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特開2023-116018通信システム、通信方法および車載機プログラム
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  • 特開-通信システム、通信方法および車載機プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116018
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法および車載機プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/06 20210101AFI20230815BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20230815BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20230815BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20230815BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
H04W12/06
H04W4/44
H04W88/06
H04W84/12
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018533
(22)【出願日】2022-02-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度経済産業省「無人自動運転等の先進MaaS実装加速化推進事業」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】上田 有由夢
(72)【発明者】
【氏名】藤井 威生
(72)【発明者】
【氏名】向田 敦紀
【テーマコード(参考)】
5H181
5K067
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5K067AA21
5K067BB03
5K067DD11
5K067DD17
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE12
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】車載機と路側機との無線通信における接続および認証を高速化する。
【解決手段】通信システムは、車両(40)に搭載された車載機(4)と、路側機(3)と、通信監理サーバ(20)とを備える。路側機は、車両の走行中に車載機が用いる第1の情報を第1の無線通信によって車載機に送信する。通信監理サーバは、車載機が路側機との認証を行うために用いる第2の情報を第2の無線通信によって車載機に送信する。第2の情報は、受信状態チャネル情報と、認証可能範囲情報とを含む。受信状態チャネル情報は、路側機が有する複数の周波数チャネルのうち、車載機が路側機との第1の無線通信において使用可能な状態にある指定周波数チャネルを表す。認証可能範囲情報は、車載機が路側機との認証を行えると推定される認証可能範囲を表す。車載機は、車両が認証可能範囲に入った後に指定周波数チャネルを用いて路側機との認証を開始する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載機と、
前記車両が通過する経路の近傍に設置され、前記車両の走行中に前記車載機が用いる第1の情報を第1の無線通信によって前記車載機に送信する路側機と、
前記車載機が前記路側機と前記第1の無線通信の認証を行うために用いる第2の情報を、前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって前記車載機に送信する通信監理サーバと
を備え、
前記路側機は、
前記第1の無線通信に使用可能な複数の周波数チャネル
を有し、
前記第2の情報は、
前記複数の周波数チャネルのうち、前記車載機が前記路側機との前記第1の無線通信において使用可能な状態にある指定周波数チャネルを表す受信状態チャネル情報と、
前記車載機が前記路側機との認証を行えると推定される認証可能範囲を表す認証可能範囲情報と
を含み、
前記車載機は、前記車両が前記認証可能範囲に入った後に前記指定周波数チャネルを用いて前記路側機との認証を開始する
通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記路側機は、
前記第1の情報が表す、前記路側機の近傍の状況を観測する観測装置と、
前記車載機と前記第1の無線通信を行う第1の路側機通信装置と、
前記指定周波数チャネルを表す情報を前記通信監理サーバへ送信する第2の路側機通信装置と
を備える
通信システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信システムにおいて、
前記認証可能範囲情報は、前記路側機の近傍における無線環境を表す無線環境マップ情報を含み、
前記無線環境マップ情報は、前記第1の無線通信における受信電力、認証時間、レイテンシおよび誤り率のうちの少なくとも1つの、前記路側機の近傍領域における分布を表す
通信システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、
前記車載機は、
前記車両が走行する予定の経路を表す走行計画情報を格納する車載機記憶装置と、
前記車両の位置情報を測定する測位装置と、
前記第1の無線通信によって前記路側機から前記第1の情報を受信するために必要な必要通信時間と、前記路側機との前記第1の無線通信を行える通信可能範囲の内側に前記車両が滞在する通信可能時間とを、前記第2の情報と前記走行計画情報と前記位置情報とに基づいて推定する推定部と
を備え、
前記車載機は、前記必要通信時間が前記通信可能時間より短いときに前記路側機と前記第1の無線通信を行う
通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の通信システムにおいて、
前記車載機は、
複数の前記路側機の位置を表す路側機情報を格納する路側機情報記憶部
をさらに備え、
前記車載機は、前記路側機情報と前記位置情報とに基づいて、前記車両の近傍に位置する前記路側機を識別する路側機識別情報を前記通信監理サーバへ送信し、
前記通信監理サーバは、前記路側機識別情報が表す前記路側機に対応する前記第2の情報を前記車載機へ送信する
通信システム。
【請求項6】
請求項4に記載の通信システムにおいて、
前記車載機は、前記位置情報を前記通信監理サーバへ送信し、
前記通信監理サーバは、前記位置情報に基づいて、前記車両の近傍に位置する前記路側機に対応する前記第2の情報を前記車載器へ送信する
通信システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、
前記車載機と前記路側機とは、前記第1の無線通信を、無線LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)を用いて行い、
前記車載機と前記通信監理サーバとは、前記第2の無線通信を、セルラネットワークを用いて行う
通信システム。
【請求項8】
通信監理サーバが、車載機を搭載する車両が通過する経路の近傍に設置された路側機に、前記車載機が前記路側機との認証を行うために用いる車載機用認証情報をリクエストすることと、
前記路側機が、前記車載機用認証情報を前記通信監理サーバへ送信することと、
前記車載機が、前記通信監理サーバから、前記車載機用認証情報を、第1の無線通信によって受け取ることと、
前記車載機が、前記路側機との認証が可能である認証可能範囲に到達したときに、前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって、前記車載機用認証情報を用いて前記路側機との認証を行うことと
を含み、
前記車載機用認証情報は、
前記路側機が有する複数の周波数チャネルのうち、前記車載機との前記第2の無線通信において使用可能な状態にある指定周波数チャネルを表す受信状態チャネル情報と、
前記認証可能範囲を表す認証可能範囲情報と
を含む
通信方法。
【請求項9】
車両に搭載された車載機の演算装置に実行させることによって処理を実現するための車載機プログラムであって、
前記処理は、
通信監理サーバから、前記車両が通過する経路の近傍に設置された路側機との認証を行うために用いる車載機用認証情報を、第1の無線通信によって受け取ることと、
前記車載機が前記路側機との認証が可能である認証可能範囲に到達したときに、前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって、前記車載機用認証情報を用いて前記路側機との認証を行うことと
を含み、
前記車載機用認証情報は、
前記路側機が有する複数の周波数チャネルのうち、前記車載機との前記第2の無線通信において使用可能な状態にある指定周波数チャネルを表す受信状態チャネル情報と、
前記認証可能範囲を表す認証可能範囲情報と
を含む
車載機プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システム、通信方法および車載機プログラムに関し、例えば、車両に搭載された車載機と、車両が通過する経路の近傍に設置された路側機との通信に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
車両の自動運転を実現するために、車両が通過する経路の周囲の状況を表す情報などを、車両に搭載された車載機に、無線通信によって提供する技術がある。
【0003】
車載機は、LTE(Long Term Evolution)や5Gなどのセルラシステムによる無線通信でクラウドネットワークのエッジとしてのサーバなどに接続することで、自動運転に用いるデータの送受信を行うことができる。さらに、車載機は、車両が通過する経路の近傍に設置された路側機に別の無線通信で接続することで、自動運転に用いるデータの送受信をより高速に行うことができる。
【0004】
一般的に、通信可能範囲が比較的広い無線通信の通信速度は比較的遅く、通信速度が比較的早い無線通信の通信可能範囲は比較的狭い。そのため、車載機が路側機と比較的高速な無線通信を行う場合、走行する車両が路側機に接近して車載機が路側機との無線通信可能範囲に入る度に、車載機と路側機は無線通信を開始するための認証手続が必要となる場合がある。特に、無線LAN(Local Area Network)の場合は、通信端末がアクセスポイントとの認証を試みるとき、このアクセスポイントが有する複数の周波数チャネルの中から現在使用可能な受信状態チャネルを特定するために周波数チャネルのスキャンを行うと、数秒またはそれ以上の時間が経過する場合がある。
【0005】
さらに、走行する車両が路側機から離れて車載機が路側機との無線通信可能範囲から出るまでに、車載機と路側機は所望のデータの送受信を完了する必要がある。車両の移動速度と、路側機の通信可能範囲の広さとを勘案すると、車載機と路側機との無線通信における接続および認証を可能な限り高速化することが好ましい。
【0006】
上記に関連して、非特許文献1(S. Tsurumi and T. Fujii著、「Reliable vehicle-to-vehicle communication using spectrum environment map」、Proc. 2018 ICOIN、Chiang Mai、pp.310-315、2018年発行)には、所望の領域における無線環境パラメータの分布を表すマップデータを、データベース化した実測値を統計化することによって作成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】S. Tsurumi and T. Fujii著、「Reliable vehicle-to-vehicle communication using spectrum environment map」、Proc. 2018 ICOIN、Chiang Mai、pp.310-315、2018年発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記状況に鑑み、本開示は、車載機と路側機との無線通信における接続および認証を高速化した通信システム、通信方法および車載機プログラムを提供することを目的の1つとする。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
一実施の形態によれば、通信システムは、車載機(4)と、路側機(3)と、通信監理サーバ(20)とを備える。車載機(4)は、車両(40)に搭載されている。路側機(3)は、車両(40)が通過する経路の近傍に設置され、車両(40)の走行中に車載機(4)が用いる第1の情報を第1の無線通信によって車載機(4)に送信する。通信監理サーバ(20)は、車載機(4)が路側機(3)と第1の無線通信の認証を行うために用いる第2の情報を、第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって車載機(4)に送信する。路側機(3)は、第1の無線通信に使用可能な複数の周波数チャネルを有する。第2の情報は、受信状態チャネル情報と、認証可能範囲情報とを含む。受信状態チャネル情報は、複数の周波数チャネルのうち、車載機(4)が路側機(3)との第1の無線通信において使用可能な状態にある指定周波数チャネルを表す。認証可能範囲情報は、車載機(4)が路側機(3)との認証を行えると推定される認証可能範囲を表す。車載機(4)は、車両が認証可能範囲に入った後に指定周波数チャネルを用いて路側機(3)との認証を開始する。
【0011】
一実施の形態によれば、通信方法は、通信監理サーバ(20)が、車載機(4)を搭載する車両(40)が通過する経路の近傍に設置された路側機(3)に、車載機(4)が路側機(3)との認証を行うために用いる車載機用認証情報をリクエストすることと、路側機(3)が、車載機用認証情報を通信監理サーバ(20)へ送信することと、車載機(4)が、通信監理サーバ(20)から、車載機用認証情報を、第1の無線通信によって受け取ること(S03)とを含む。通信方法は、さらに、車載機(4)が、路側機(3)との認証が可能である認証可能範囲に到達したときに、第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって、車載機用認証情報を用いて路側機(3)との認証を行うこと(S09)を含む。車載機用認証情報は、路側機(3)が有する複数の周波数チャネルのうち、車載機(4)との無線通信において使用可能な状態にある指定周波数チャネルを表す受信状態チャネル情報と、認証可能範囲を表す認証可能範囲情報とを含む。
【0012】
一実施の形態によれば、車載機プログラムは、車両(40)に搭載された車載機(4)の演算装置(42)に実行させることによって処理を実現するためのものである。この処理は、通信監理サーバ(20)から、車両(40)が通過する経路の近傍に設置された路側機(3)との認証を行うために用いる車載機用認証情報を、第1の無線通信によって受け取ること(S03)を含む。この処理は、さらに、車載機(4)が路側機(3)との認証が可能である認証可能範囲に到達したときに、第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって、車載機用認証情報を用いて路側機(3)との認証を行うこと(S09)を含む。車載機用認証情報は、路側機(3)が有する複数の周波数チャネルのうち、車載機(4)との第2の無線通信において使用可能な状態にある指定周波数チャネルを表す受信状態チャネル情報と、認証可能範囲を表す認証可能範囲情報とを含む。
【発明の効果】
【0013】
一実施の形態によれば、車載機と路側機との無線通信における接続および認証を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施の形態による通信システムの一構成例を示す図である。
図2A図2Aは、一実施の形態による通信監理サーバの一構成例を示すブロック回路図である。
図2B図2Bは、一実施の形態による路側機の一構成例を示すブロック回路図である。
図2C図2Cは、一実施の形態による車載機の一構成例を示すブロック回路図である。
図3A図3Aは、一実施の形態による通信方法の処理の一例を示すフローチャートの一部である。
図3B図3Bは、一実施の形態による通信方法の処理の一例を示すフローチャートの一部である。
図4図4は、一実施の形態による路側機の通信可能範囲について説明するための図である。
図5図5は、一実施の形態による無線環境データベースについて説明するための図である。
図6図6は、一実施の形態による無線環境マップについて説明するための図である。
図7図7は、一実施の形態による通信方法の処理の一例を示すフローチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して、本開示による通信システム、通信方法及び車載機プログラムを実施するための形態を以下に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、一実施の形態による通信システム1は、サーバシステム2と、路側機3と、車載機4とを備える。一実施の形態によるサーバシステム2は、クラウドネットワークなどのネットワークのエッジとして構成されていてもよい。一実施の形態による路側機3は、車両が通過する道路などの経路の近傍に設置されていてもよい。路側機3は、例えば、交差点の信号機と一体化されていてもよいし、歩行者に対して情報提供を行うデジタルサイネージを備えていてもよい。一実施の形態による車載機4は、道路などの経路を走行する車両に搭載されていてもよい。
【0017】
サーバシステム2は、通信監理サーバ20と、無線環境データベース200とを備える。通信監理サーバ20と、無線環境データベース200とは、通信可能に接続されている。通信監理サーバ20と、無線環境データベース200とのそれぞれは、クラウドネットワークなどのネットワークにエッジとして接続されていてもよい。
【0018】
サーバシステム2と、路側機3とは、第1の通信手段91によって通信可能に接続されている。第1の通信手段91は、有線ネットワークを用いてもよい。ただし、これは一例にすぎず、実施の形態を限定しない。また、路側機3からサーバシステム2へ信号を送信する通信手段911と、サーバシステム2から路側機3へ信号を送信する通信手段912とは、必ずしも同じネットワークシステムを用いなくてもよい。
【0019】
サーバシステム2と、車載機4とは、第2の通信手段92によって通信可能に接続されている。第2の通信手段92は、LTEや5Gなどのセルラネットワークを用いてもよい。ただし、これは一例にすぎず、実施の形態を限定しない。また、車載機4からサーバシステム2へ信号を送信する通信手段921と、サーバシステム2から車載機4へ信号を送信する通信手段922とは、必ずしも同じネットワークシステムを用いなくてもよい。
【0020】
路側機3と、車載機4とは、第3の通信手段93によって通信可能に接続されている。第3の通信手段93は、無線LANなどの無線ネットワークを用いてもよい。ただし、これは一例にすぎず、実施の形態を限定しない。また、車載機4から路側機3へ信号を送信する通信手段931と、路側機3から車載機4へ信号を送信する通信手段932とは、必ずしも同じネットワークシステムを用いなくてもよい。
【0021】
図2Aに示すように、通信監理サーバ20は、いわゆるコンピュータとして構成されてもよい。通信監理サーバ20は、例えば、バス21と、演算装置22と、記憶装置23と、第1通信装置24と、第2通信装置25と、第3通信装置26と、入出力装置27とを備える。バス21は、演算装置22、記憶装置23、第1通信装置24、第2通信装置25、第3通信装置26および入出力装置27を互いに通信可能に接続するように構成されている。
【0022】
演算装置22は、通信部221と、管理部222と、データベース制御部223とを備える。記憶装置23は、サーバプログラムを格納するサーバプログラム記憶部231を備えている。演算装置22は、サーバプログラムを実行することによって、通信部221、管理部222およびデータベース制御部223の処理を実現する。通信部221、管理部222およびデータベース制御部223のそれぞれは、演算装置22と記憶装置23とが協働して処理を実現する仮想的な機能ブロックである。通信部221、管理部222およびデータベース制御部223が実現する処理の詳細については、後述する。
【0023】
サーバプログラムは、記録媒体230から読み出されてサーバプログラム記憶部231に格納されてもよい。記録媒体230は、非一時的で有形の媒体(non-transitory and tangible media)であってもよい。
【0024】
第1通信装置24は、路側機3と通信を行う。第2通信装置25は、車載機4と通信を行う。第3通信装置26は、無線環境データベース200と通信を行う。通信監理サーバ20は、さらに別の通信装置を備えていてもよい。端末プログラムは、これらの通信装置のいずれかを介して通信監理サーバ20の外部から取得されてサーバプログラム記憶部231に格納されてもよい。
【0025】
入出力装置27は、使用者に情報を出力し、使用者が入力する操作を受け付ける。一例として、入出力装置27は、画像を出力する表示装置、キー入力操作を受け付けるキーボード、タッチ操作を受け付けるとともに画像の出力を行うタッチパネルなどを含む。
【0026】
図2Bに示すように、路側機3は、無線通信のアクセスポイントとして機能するコンピュータとして構成されてもよい。路側機3は、例えば、バス31と、演算装置32と、記憶装置33と、観測装置34と、第1通信装置35と、第2通信装置36と、入出力装置37とを備える。バス31は、演算装置32、記憶装置33、観測装置34、第1通信装置35、第2通信装置36および入出力装置37を互いに通信可能に接続するように構成されている。
【0027】
演算装置32は、観測部321と、通信部322と、管理部323とを備えている。記憶装置33は、路側機プログラムを格納する路側機プログラム記憶部331を備えている。演算装置32は、路側機プログラムを実行することによって、観測部321、通信部322および管理部323の処理を実現する。観測部321、通信部322および管理部323のそれぞれは、演算装置32と記憶装置33とが協働して処理を実現する仮想的な機能ブロックである。観測部321、通信部322および管理部323が実現する処理の詳細については、後述する。
【0028】
路側機プログラムは、記録媒体330から読み出されて路側機プログラム記憶部331に格納されてもよい。記録媒体330は、非一時的で有形の媒体(non-transitory and tangible media)であってもよい。
【0029】
観測装置34は、所望のパラメータを計測するセンサを用いて路側機3の近傍の状況を観測する。このセンサは、路側機3の近傍を撮影するカメラや、路側機3からその近傍に存在する車両や歩行者などの距離を測定するLiDAR(Light Detection and Ranging)などを含んでもよい。
【0030】
第1通信装置35は、通信監理サーバ20と通信を行う。第2通信装置36は、車載機4と通信を行う。路側機3は、さらに別の通信装置を備えていてもよい。路側機プログラムは、これらの通信装置のいずれかを介して路側機3の外部から取得されて路側機プログラム記憶部331に格納されてもよい。
【0031】
入出力装置37は、使用者に情報を出力し、使用者が入力する操作を受け付ける。一例として、入出力装置37は、光を出力するランプ、音声を出力するスピーカー、押下操作を受け付けるボタンなどを含む。
【0032】
図2Cに示すように、車載機4は、いわゆるコンピュータとして構成されてもよい。車載機4は、例えば、バス41と、演算装置42と、記憶装置43と、測位装置44と、第1通信装置45と、第2通信装置46と、入出力装置47とを備える。バス41は、演算装置42、記憶装置43、測位装置44、第1通信装置45、第2通信装置46および入出力装置47を互いに通信可能に接続するように構成されている。
【0033】
演算装置42は、測位部421と、通信部422と、推定部423と、判定部424とを備えている。記憶装置43は、車載機プログラムを格納する車載機プログラム記憶部431と、路側機3の位置などを表す路側機情報を格納する路側機情報記憶部432とを備えている。演算装置42は、車載機プログラムを実行することによって、測位部421、通信部422、推定部423および判定部424の処理を実現する。測位部421、通信部422、推定部423および判定部424のそれぞれは、演算装置42と記憶装置43とが協働して処理を実現する仮想的な機能ブロックである。測位部421、通信部422、推定部423および判定部424が実現する処理の詳細については、後述する。
【0034】
車載機プログラムは、記録媒体430から読み出されて車載機プログラム記憶部431に格納されてもよい。同様に、路側機情報は、記録媒体430から読み出されて路側機情報記憶部432に格納されてもよい。記録媒体430は、非一時的で有形の媒体(non-transitory and tangible media)であってもよい。
【0035】
測位装置44は、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)などを用いて車両の位置を測定する。厳密には、測位装置44が測定する位置は、GNSS信号を受信するアンテナの位置であるが、このアンテナが車載機4に固定されており、かつ、車載機4が車両に搭載されているとき、測位装置44は実質的に車両の位置を測定している。
【0036】
第1通信装置45は、通信監理サーバ20と通信を行う。第2通信装置46は、路側機3と通信を行う。車載機4は、さらに別の通信装置を備えていてもよい。車載機プログラムと、路側機情報とは、これらの通信装置のいずれかを介して車載機4の外部から取得されて車載機プログラム記憶部431または路側機情報記憶部432にそれぞれ格納されてもよい。
【0037】
入出力装置47は、使用者に情報を出力し、使用者が入力する操作を受け付ける。一例として、入出力装置47は、画像を出力する表示装置、音声を出力するスピーカー、音声入力を受け付けるマイクロフォン、押下操作を受け付けるボタン、キー入力操作を受け付けるキーボード、タッチ操作を受け付けるとともに画像の出力を行うタッチパネルなどを含む。
【0038】
図3Aおよび図3Bのフローチャートを参照して、一実施の形態による通信方法の処理の一構成例について説明する。ここでは特に車載機4の動作に注目する。図3Aおよび図3Bのフローチャートは、車載機プログラムの処理の一構成例を表している。
【0039】
車載機4が動作を開始すると、図3AのステップS01が実行される。ステップS01において、車載機4の判定部424が、車両の近くに路側機3が存在するか否かを判定する。ここで、車載機4の測位部421は、測位装置44を制御して車両の位置を測定する。測位部421による測位は、周期的に行われてもよい。判定部424は、路側機情報記憶部432から路側機情報を読み出し、車両の進行方向に存在し、かつ、車両から最も近い路側機3の情報を抽出する。
【0040】
図4の例では、車載機4を搭載した車両40Aから見て最も近い路側機3の情報を、車両40Bの位置を含む通信可能範囲に到達する前に、路側機3の情報を抽出する。図4は、同じ車両40Aが移動を続けることによって、車両40B、車両40Cおよび車両40Dの位置に順番に到達する様子を表している。以降、車両40A、車両40B、車両40Cまたは車両40Dの位置を区別しないとき、車両40と記す。
【0041】
判定部424は、車両40の進行方向を、複数の時刻に車両40の位置を測定して得られた位置情報に基づいて算出してもよいし、この位置情報と、走行計画情報とに基づいて推定してもよい。走行計画情報は、車両40が走行する予定の経路を表す情報であり、記憶装置43に格納されている。
【0042】
判定部424は、路側機情報から、注目している路側機3との無線通信が可能である通信可能範囲を表す情報を読み出す。また、判定部424は、通信可能範囲と、車両40の位置情報と、車両40の現在速度とに基づいて、注目している路側機3との無線通信が可能となる通信可能時刻を算出する。現在時刻から通信可能時刻までの時間が所定の閾値より短いとき、判定部424は車両40の近くに路側機3が存在すると判定し(Yes)、処理は図3AのステップS02へ進む。反対に、現在時刻から通信可能時刻までの時間が所定の閾値以上であるとき、判定部424は車両40の近くに路側機3が存在しないと判定し(No)、処理は図3AのステップS01に戻る。なお、車両40の現在速度は、車両40の位置情報から算出してもよい。
【0043】
図3AのステップS02において、通信部422が、注目している路側機3の情報を通信監理サーバ20にリクエストする。ここで、通信部422は、第1通信装置45を制御して通信監理サーバ20との無線通信を行い、車載機4を識別する車載機識別情報と、注目している路側機3を識別する路側機識別情報とを対応付けて通信監理サーバ20へ送信する。
【0044】
通信監理サーバ20の通信部221は、第2通信装置25を制御して、車載機4から車載機識別情報と路側機識別情報とを受信する。ここで、車載機4と通信監理サーバ20との無線通信は、車載機4が動作を開始したときに開始してもよいし、車載機4が動作を終了するまで継続してもよい。
【0045】
通信監理サーバ20のデータベース制御部223は、第3通信装置26を制御して無線環境データベース200にアクセスし、路側機識別情報に対応する路側機3の情報を取得する。ここで、路側機3の情報には、通信監理サーバ20が路側機3と通信するために用いる、ID(IDentifier:識別子)およびパスワードなどのサーバ用認証情報などが含まれていてもよい。路側機3の情報には、さらに、路側機3の近傍における無線環境パラメータの分布を表す無線環境マップ情報が含まれてもよい。無線環境マップ情報の詳細については、後述する。
【0046】
通信部221は、第1通信装置24を制御して、路側機識別情報に対応する路側機3との通信を行い、車載機4が路側機3と無線通信を行うために用いる車載機用認証情報をリクエストするリクエスト信号と、車載機4の車載機識別情報とを対応付けて路側機3へ送信する。
【0047】
路側機3の通信部322は、第1通信装置35を制御して、通信監理サーバ20からリクエスト信号と車載機識別情報とを受信する。路側機3の管理部323は、リクエスト信号に応じて車載機用認証情報を生成する。ここで、車載機用認証情報には、路側機3の第2通信装置36が車載機4と通信するために用意されている複数の周波数チャネルのうち、現時点で使用可能な受信状態チャネルを表す受信状態チャネル情報が含まれる。受信状態チャネルは、例えば、路側機3がビーコンを送出するなどの、アクティブになっているチャネルを含む。また、車載機用認証情報には、車載機4が路側機3との認証に用いるためのIDおよびパスワードなどが含まれてもよい。さらに、車載機用認証情報には、路側機3から車載機4へ送信する予定のデータの量を表すデータ量情報が含まれてもよい。このデータは、例えば、路側機3の観測部321が観測装置34を制御して取得した、路側機3の近傍の状況を表す所望のパラメータを含む観測データや、路側機3の近傍を撮影した画像データなどを含んでもよい。路側機3の通信部322は、第1通信装置35を制御して、車載機用認証情報と、車載機4の車載機識別情報とを対応付けて通信監理サーバ20へ送信する。
【0048】
通信監理サーバ20の通信部221は、第1通信装置24を制御して、路側機3から車載機用認証情報と、車載機4の車載機識別情報とを受信する。通信監理サーバ20の通信部221は、第2通信装置25を制御して、路側機3から受信した車載機識別情報が表す車載機4へ、路側機3の情報を送信する。ここで、路側機3の情報は、路側機3から受信した車載機用認証情報を含む。路側機3の情報は、さらに、通信監理サーバ20が無線環境データベース200から取得した、路側機3の無線環境マップ情報を含んでもよい。
【0049】
図5および図6を参照して無線環境マップ情報について説明する。無線環境マップ情報は、路側機3の近傍の領域をメッシュ状に分割し、それぞれのメッシュにおける無線環境パラメータの値を測定して統計化することによって得られる無線環境マップ8を表す。ここで、無線環境パラメータは、受信電力、認証時間、レイテンシ、誤り率などを少なくとも1つ含む。
【0050】
図5に示すように、複数の観測端末5A、5B、5Cのそれぞれは、所定の無線環境パラメータを測定し、無線環境パラメータの測定値と、測定を行った位置を表す位置情報とを対応付けて、無線環境データベース200へ送信する。無線環境データベース200に集められた測定値は、位置情報が表す測定位置を含むメッシュごとに統計化される。その結果、図6に示すような無線環境マップ8を表す無線環境マップ情報が生成される。無線環境マップ情報は、図3Aおよび図3Bのフローチャートが開始する前に生成されてもよいし、このフローチャートが開始した後に更新されてもよい。車載機4は、観測端末5A、5B、5Cとして動作してもよい。
【0051】
図6の例では、路側機3を含むメッシュである送信メッシュ81以外のメッシュ82のそれぞれについて、無線環境パラメータの測定値に基づく統計値が登録されている。一般的に、凡例80を参照して読み取れるように、送信メッシュ81に近いメッシュ82ほど、受信電力は高く、レイテンシは少なく、誤り率は低い傾向がある。ただし、この傾向は、路側機3の近傍に存在する建築物などの遮蔽物などに応じて異なる。
【0052】
通信監理サーバ20の管理部222は、路側機3の通信可能範囲および無線環境マップ8に基づいて、車載機4が路側機3との認証を行うことができる認証可能範囲を推定してもよい。一例として、認証可能範囲は、通信可能範囲のうち、無線環境マップ8における無線環境パラメータが所定の条件を満足するメッシュ82に含まれる範囲である。ここで、無線環境パラメータが満足する条件は、例えば、受信電力が所定の閾値より高いこと、認証時間が所定の閾値より短いこと、レイテンシが所定の閾値より少ないこと、誤り率が所定の閾値より低いこと、などを含む。管理部222は、認証可能範囲を表す認証可能範囲情報を生成してもよい。通信監理サーバ20の通信部221から車載機4へ送信される路側機3の情報には、認証可能範囲情報がさらに含まれてもよい。
【0053】
ステップS02の後、図3AのステップS03が実行される。ステップS03において、車載機4の通信部422は、第1通信装置45を制御して、路側機3の情報を通信監理サーバ20から受け取る。以降、通信部422が受信する路側機3の情報が、車載機4が路側機3との無線通信を行うために用いる車載機用認証情報と、路側機3の認証可能範囲情報と、路側機3の無線環境マップ情報とを含む場合について説明する。
【0054】
ステップS03の後、図3AのステップS04が実行される。ステップS04において、車載機4の推定部423は、路側機3との通信可能時間を推定する。ここで、推定部423は、車両40の走行計画情報と、車両40の位置と、車両40の速度と、路側機3の認証可能範囲と、無線環境マップ8とに基づいて、車載機4が路側機3との無線通信の認証手続を開始できる地点および/または時刻と、認証手続きが完了した後に車載機4が路側機3との無線通信を開始できる地点および/または時刻と、車両40が通信可能範囲から出て路側機3との無線通信ができなくなる地点および/または時刻とを推定する。推定部423は、これらの結果に基づいて、路側機3との通信を行える通信可能範囲の内側に車両40が滞在する通信可能時間を推定する。
【0055】
ステップS04の後、図3AのステップS05が実行される。ステップS05において、車載機4の判定部424は、車両40が路側機3の通信可能範囲の内側に滞在している間に想定されるデータの送受信を行えるか否かを判定する。ここで、まず、車載機4の推定部423が、想定されるデータのデータ量を表すデータ量情報と、無線環境マップ情報とに基づいて、車載機4が想定されるデータを路側機3から受信するために必要な必要通信時間を推定する。次に、判定部424が、必要通信時間と、ステップS04で推定された通信可能時間とを比較する。必要通信時間が通信可能時間より長い場合、判定部424は想定されるデータの送受信を行うことはできないと判定し(No)、処理は図3AのステップS06へ進む。反対に、必要通信時間が通信可能時間未満である場合、判定部424は想定されるデータの送受信を行うことができると判定し(Yes)、処理は図3BのステップS07へ進む。
【0056】
図3AのステップS06において、車載機4の通信部422は、注目していた路側機3とは別の路側機3または通信監理サーバ20とデータの送受信を行う。
【0057】
ここで、別の路側機3とデータの送受信を行う場合は、図3Aおよび図3Bに示したフローチャートの処理を一度終了して再度開始し、ステップS01を再度実行し、近くに別の路側機3が存在する場合はこの別の路側機3についてステップS02以降を再度実行する。
【0058】
もしくは、通信監理サーバ20とデータの送受信を行う場合は、通信監理サーバ20が中継することによって路側機3から車載機4へのデータの送受信を行う。このデータの送受信が完了すると、図3Aおよび図3Bに示したフローチャートの処理は終了する。
【0059】
図3BのステップS07において、車載機4の通信部422は、路側機3の認証パラメータを登録する。ここで、認証パラメータは、路側機3の受信状態チャネル情報と、路側機3との認証手続を行うために用いるIDおよびパスワードとを含む。
【0060】
ステップS07の後、図3BのステップS08が実行される。ステップS08において、車載機4の判定部424は、車両40の現在の位置を測定した位置情報と、路側機3の認証可能範囲情報とに基づいて、車載機4が認証可能範囲に入ったか否かを判定する。ここで、車載機4が認証可能範囲に入っていないと判定された場合(No)は、処理は図3BのステップS08を繰り返す。反対に、車載機4が認証可能範囲に入ったと判定された場合(Yes)は、処理は図3BのステップS09へ進む。
【0061】
図3BのステップS09において、車載機4の通信部422は、路側機3に接続する。ここで、通信部422は、第2通信装置46を制御し、ステップS07で登録した認証情報を用いて路側機3との認証手続を行う。
【0062】
このとき、車載機4は、予め路側機3から指定された受信状態チャネルを用いて認証手続を行うため、路側機3が有する複数の周波数チャネルをスキャンして受信状態チャネルを探す処理を省略できることに注目されたい。発明者らによる実験では、無線LANの認証手続を行うときに、周波数チャネルのスキャン処理を含めて行った場合は約6秒の認証時間が必要であった一方で、周波数チャネルのスキャン処理を省略する以外は同じ条件で認証手続を行った場合は認証時間を約0.5秒まで短縮できた。認証時間が短縮されると、通信可能時間がその分だけ多く確保できるので、周波数チャネルのスキャン処理が必要な場合と比較して、車載機4は路側機3からより多くのデータを受け取ることができる。
【0063】
ステップS09の後、図3BのステップS10が実行される。ステップS10において、車載機4の通信部422は、第2通信装置36を制御して、路側機3とデータの送受信を行う。
【0064】
ステップS10の後、図3BのステップS11が実行される。ステップS11において、車載機4の通信部422は、路側機3との接続を切断する。このとき、通信部422は、ステップS07で登録した認証情報を破棄してもよい。
【0065】
ステップS11が終了すると、図3Aおよび図3Bに示したフローチャートの処理は終了する。その後、次の路側機3との通信を行うために同じフローチャートの処理を再度開始してもよい。
【0066】
以上に説明したように、一実施の形態による通信システム1、通信方法および通信プログラムは、走行する車両40に搭載された車載機4と、車両40が通過する経路の近傍に設置された路側機3との無線通信における接続および認証を高速化することができる。
【0067】
なお、通信監理サーバ20は、路側機3の情報とは別に、車両40の現在位置の付近における交通状況の最新情報などを、車載機4に、適宜なタイミングで送信してもよい。
【0068】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、車載機4の路側機情報記憶部432に路側機3の位置などを表す路側機情報を格納している場合の構成について説明した。本実施の形態では、車載機4が路側機情報を有していない場合の構成について説明する。本実施の形態による車載機4は、図2Cに示した第1の実施の形態による車載機4と同様に構成されてもよいが、路側機情報記憶部432は省略可能である。
【0069】
図7のフローチャートを参照して、本実施の形態による通信方法について説明する。図7のフローチャートは、図3Aのフローチャートのうち、ステップS01~ステップS03を、ステップS21およびステップS22に置き換えることで得られる。
【0070】
本実施の形態において、車載機4が動作を開始すると、図7のステップS21が実行される。ステップS21において、車載機4の通信部422が、車両40の位置を表す位置情報を通信監理サーバ20に送信する。ここで、車両40の位置情報は、図3AのステップS01の場合と同様に、車載機4の測位部421が車両40の位置を測定することによって得られる。車載機4の通信部422は、第1通信装置45を制御して通信監理サーバ20との無線通信を行い、車両40の位置情報と、車載機4の車載機識別情報とを対応付けて、通信監理サーバ20へ送信する。車載機4の通信部422は、位置情報および車載機識別情報を、複数回にわたって通信監理サーバ20へ送信してもよいし、周期的に送信してもよい。
【0071】
通信監理サーバ20の通信部221は、第2通信装置25を制御して、車載機4から位置情報と車載機識別情報とを受信する。本実施の形態において、第1の実施の形態の場合と同様に、車載機4と通信監理サーバ20との無線通信は、車載機4が動作を開始したときに開始してもよいし、車載機4が動作を終了するまで継続してもよい。
【0072】
通信監理サーバ20のデータベース制御部223は、第3通信装置26を制御して無線環境データベース200にアクセスし、車両40の進行方向に存在し、かつ、車両40から最も近い路側機3の情報を抽出する。ここで、車両40の進行方向は、例えば、通信監理サーバ20の管理部222が、車両40の複数の位置情報に基づいて算出することによって得られる。
【0073】
通信監理サーバ20の通信部221は、抽出した路側機3の情報を、第1の実施の形態における図3AのステップS02の場合と同様に、車載機4に送信する。このとき、路側機3の情報は、路側機3から受信した車載機用認証情報と、路側機3の認証可能範囲情報と、路側機3の無線環境マップ情報とを含む。ここで、車載機用認証情報は、第1の実施の形態の場合と同様に、通信監理サーバ20からのリクエストに応じて路側機3が生成したものである。また、認証可能範囲情報は、第1の実施の形態の場合と同様に、通信監理サーバ20の管理部222が生成したものである。さらに、無線環境マップ情報は、第1の実施の形態の場合と同様に、無線環境データベース200から取得されたものである。
【0074】
ステップS21の後、図7のステップS22が実行される。ステップS22において、車載機4の判定部424は、路側機3の情報を通信監理サーバ20から受け取ったか否かを判定する。車載機4の通信部422が路側機3の情報を通信監理サーバ20から受け取った場合(Yes)、判定部424は受け取ったと判定し、処理は図3AのステップS04へ進む。反対に、車載機4の通信部422が路側機3の情報を通信監理サーバ20から受け取っていない場合(No)、判定部424は受け取っていないと判定し、処理は図7のステップS21へ戻る。車載機4の処理は、路側機3の情報を通信監理サーバ20から受け取るまで、図7のステップS21およびS22を繰り返す。
【0075】
図7のフローチャートのステップS04~S06については、図3Aのフローチャートの場合と同様である。また、図7のフローチャートから続く処理は、図3Bのフローチャートの処理と同様である。
【0076】
以上に説明したように、本実施の形態による通信システム1、通信方法および通信プログラムは、走行する車両40に搭載された車載機4が路側機3の位置情報を有していない場合でも、路側機3の位置情報を通信監理サーバ20から取得することによって、第1の実施の形態の場合と同様に、車両40が通過する経路の近傍に設置された路側機3との無線通信における接続および認証を高速化することができる。
【0077】
(変形例、その1)
ここまで、車両40の自動走行についての説明を省略したが、車載機4が自動走行を実現するための構成を備えてもよいことは言うまでもない。例えば、車載機4は車両40との間で各種の信号の送受信を行うための通信装置をさらに備えていてもよいし、車載機4の演算装置42は車両40の走行を制御するための制御部をさらに備えていてもよい。
【0078】
(変形例、その2)
上記の実施の形態では、車両40の現在速度を、車両40の位置情報から算出できる構成について説明した。この構成の変形例として、車載機4は、車両40の速度計から車両40の速度を表す情報を取得してもよい。この場合、車載機4は、図7のステップS21において車両40の位置情報を通信監理サーバ20に送信するとき、さらに、車両40の速度を表す速度情報を通信監理サーバ20に送信してもよい。また、この場合、通信監理サーバ20は、車載機4から受信した速度情報に基づいて路側機3を抽出してもよい。
【0079】
(変形例、その3)
上記の実施の形態では、路側機3の認証可能範囲を通信監理サーバ20の管理部222が推定する構成について説明した。この構成の変形例として、車載機4の推定部423が路側機3の認証可能範囲を算出してもよい。この場合は、図3AのステップS03と、図7のステップS22とにおいて、車載機4が通信監理サーバ20から受け取る路側機3の情報から、認証可能範囲情報を省略してもよい。また、図7のステップS22において、車載機4が通信監理サーバ20から受け取る路側機3の情報は、路側機3の通信可能範囲を表す通信可能範囲情報をさらに含んでもよい。
【0080】
以上、発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、実施の形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 通信システム
2 サーバシステム
20 通信監理サーバ
21 バス
22 演算装置
221 通信部
222 管理部
223 データベース制御部
23記憶装置
230 記録媒体
231 サーバプログラム記憶部
24 第1通信装置
25 第2通信装置
26 第3通信装置
27 入出力装置
200 無線環境データベース
3 路側機
31 バス
32 演算装置
321 観測部
322 通信部
323 管理部
33 記憶装置
330 記録媒体
331 路側機プログラム記憶部
34 観測装置
35 第1通信装置
36 第2通信装置
37 入出力装置
4 車載機
40、40A、40B、40C、40D 車両
41 バス
42 演算装置
421 測位部
422 通信部
423 推定部
424 判定部
43 記憶装置
430 記録媒体
431 車載機プログラム記憶部
432 路側機情報記憶部
44 測位装置
45 第1通信装置
46 第2通信装置
47 入出力装置
5A、5B、5C 観測端末
8 無線環境マップ
80 凡例
81 送信メッシュ
82 メッシュ
91 第1の通信手段
911、912 通信手段
92 第2の通信手段
921、922 通信手段
93 第3の通信手段
931、932 通信手段
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7