(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116019
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】液位センサ用フロート、液位センサ、及び液位センサ用フロートの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01F 23/76 20060101AFI20230815BHJP
G01F 23/62 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G01F23/76 A
G01F23/62 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018535
(22)【出願日】2022-02-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】501054621
【氏名又は名称】株式会社八洲測器
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】黒河 晃
【テーマコード(参考)】
2F013
【Fターム(参考)】
2F013AA05
2F013AA08
2F013AB01
2F013BC01
2F013BG01
2F013BG11
2F013CB02
(57)【要約】
【課題】半導体等の製造工程で使用する際も液体の変質や劣化につながることがなく、また液位も正確に確認することができる液位センサ用フロートを提供する。
【解決手段】液位センサ用フロート2は、内側に閉鎖空間K1が設けられて液体に浮かぶよう構成され、閉鎖空間K1の一部を区画形成するとともに開口部3eを有する外殻部3と、閉鎖空間K1の残部を区画形成する他の外殻部4と、を備え、閉鎖空間K1に不活性ガスを収容した状態で他の外殻部4が開口部3eを覆って外殻部3にろう付けされている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に閉鎖空間が設けられて液体に浮かぶよう構成された液位センサ用フロートであって、
前記閉鎖空間の一部を区画形成するとともに開口部を有する外殻部と、当該閉鎖空間の残部を区画形成する他の外殻部と、を備え、当該閉鎖空間に不活性ガスを収容した状態で当該他の外殻部が当該開口部を覆って当該外殻部にろう付けされている液位センサ用フロート。
【請求項2】
請求項1のフロートと当該フロートをスライド可能に支持するステムとを備える液位センサ。
【請求項3】
内側に閉鎖空間が設けられて液体に浮かぶよう構成された液位センサ用フロートの製造方法であって、
前記閉鎖空間の一部を区画形成するとともに開口部を備える外殻部と、当該閉鎖空間の残部を区画形成する他の外殻部と、ろう材とを準備する工程と、
不活性ガスが収容される密閉容器内に、前記開口部が当該密閉容器と通じる状態で、前記外殻部に前記ろう材を配置するとともに当該ろう材に前記他の外殻部を配置する工程と、
前記密閉容器を密閉して当該密閉容器が不活性ガスで満たされる状態で当該密閉容器内の温度を前記ろう材の融点以上に上昇させ、前記閉鎖空間に不活性ガスを収容した状態で前記他の外殻部が前記開口部を覆って前記外殻部にろう付けされる工程と、を備える液位センサ用フロートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液位の確認に用いられる液位センサに関するものであり、特に液位センサ用フロート、このフロートを備える液位センサ、及び液位センサ用フロートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の表面高さである液位の確認に用いられる液位センサが従前より使用されている。例えば特許文献1には、液体に浮かぶフロートと、フロートをスライド可能に支持するステム(ガイドシャフト)とを備える液位センサ(フロートセンサ)が示されている。この液位センサは、フロート内に磁石が設けられるとともにステム内にリードスイッチが設けられている。そして、フロートを液体に浮かべてステムに対してフロートがスライドする際、磁石によってリードスイッチがON又はOFFになるため、このリードスイッチのON、OFF状態を確認することによって液位を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで従来の一般的なフロートは、内側に設けられる閉鎖空間に空気が封入され、これにより浮力が得られるようにしている。しかし、空気が封入されたフロートを半導体や薬剤の製造工程で使用すると、フロートから空気が漏れることがあった場合、製造工程で使用する液体がこの空気によって変質したり劣化したりするおそれがある。
【0005】
一方、半導体等の製造工程でも使用できるものとして、
図5に示した如きフロートも知られている。
図5(a)に示したフロート51は、外殻部52、及びガス導入パイプ53を備えている。
【0006】
外殻部52は、中央部に位置する円筒状の内筒壁52aと、円環板状をなし、内筒壁52aの外周面から径方向外側に向けて延在する一対の接続壁52bと、接続壁52bの外縁部に設けられた円筒状の外筒壁52cとを備えていて、外殻部52の内側には、環状をなす空間(閉鎖空間K3)が区画形成されている。そしてガス導入パイプ53は、円筒状であって、接続壁52bと外筒壁52cを接続した部位に溶接によって連結されている。なお、ガス導入パイプ53が設けられている接続壁52bと外筒壁52cを接続した部位には貫通孔が設けられていて、外殻部52の内側とガス導入パイプ53の内側は連通している。
【0007】
そしてガス導入パイプ53から不活性ガスを注入し、その後、ガス導入パイプ53の先端部を封止することによって閉鎖空間K3に不活性ガスが封入されたフロート51が形成される。すなわちフロート51は、空気に換えて不活性ガスで浮力が得られるため、万一フロート51から不活性ガスが漏れることがあっても、製造工程で使用する液体が変質したり劣化したりすることがない。
【0008】
しかしフロート51は、
図5(a)に示すように片寄った位置にガス導入パイプ53を備えているため、これを
図5(b)に示すようにステム55に取り付けて液位センサ56として使用する場合、液体Lに浮かべたフロート51は、図示したように傾くことになる。すなわち、フロート51が傾くことによって、ステム55に対してフロート51がスムーズにスライドし難くなるうえ、フロート51に設けられた不図示の磁石の高さもフロート51が水平状態であるときから変化するため、液位が正確に確認できないことがある。更に、ガス導入パイプ53によってフロート51の重量が増加すると、得られる浮力では十分に浮上できず、液体の比重によっては使用できないおそれがある。すなわち、適用可能な液体の種類が制限される可能性がある点でも懸念がある。
【0009】
このような問題点に鑑み、本発明は、液位センサ用フロートに関し、半導体等の製造工程で使用する際も液体の変質や劣化につながることがなく、また液位も正確に確認することができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、内側に閉鎖空間が設けられて液体に浮かぶよう構成された液位センサ用フロートであって、前記閉鎖空間の一部を区画形成するとともに開口部を有する外殻部と、当該閉鎖空間の残部を区画形成する他の外殻部と、を備え、当該閉鎖空間に不活性ガスを収容した状態で当該他の外殻部が当該開口部を覆って当該外殻部にろう付けされている液位センサ用フロートである。
【0011】
また本発明は、このようなフロートと、このフロートをスライド可能に支持するステムとを備える液位センサでもある。
【0012】
また本発明は、内側に閉鎖空間が設けられて液体に浮かぶよう構成された液位センサ用フロートの製造方法であって、前記閉鎖空間の一部を区画形成するとともに開口部を備える外殻部と、当該閉鎖空間の残部を区画形成する他の外殻部と、ろう材とを準備する工程と、不活性ガスが収容される密閉容器内に、前記開口部が当該密閉容器と通じる状態で、前記外殻部に前記ろう材を配置するとともに当該ろう材に前記他の外殻部を配置する工程と、前記密閉容器を密閉して当該密閉容器が不活性ガスで満たされる状態で当該密閉容器内の温度を前記ろう材の融点以上に上昇させ、前記閉鎖空間に不活性ガスを収容した状態で前記他の外殻部が前記開口部を覆って前記外殻部にろう付けされる工程と、を備える液位センサ用フロートの製造方法でもある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る液位センサ用フロートは、従来使用していたガス導入パイプを備えていないため、液体に浮かべた際に水平状態が保たれる。すなわち、このフロートをステムに取り付けた際にはステムに対してスムーズにスライドさせることができるため、液位を正確に確認することができる。また、フロートの内側に設けられている閉鎖空間には不活性ガスが収容されているため、万一フロートから不活性ガスが漏れることがあっても、フロートが浮かべられた液体が変質したり劣化したりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る液位センサの一実施形態を示した側面図である。
【
図2】
図1に示したフロートの製造方法に関する図である。
【
図3】
図1に示したフロートの変形例を示した図である。
【
図4】
図3に示したフロートの製造方法に関する図である。
【
図5】従来の液位センサとフロートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照しながら本発明に係る液位センサの一実施形態について説明する。
【0016】
まず、本実施形態の液位センサ1を構成する部材について説明する。
図1に示すように本実施形態の液位センサ1は、フロート2とステム6を備えている。なおフロート2(後述する下側外殻部3と上側外殻部4)には、不図示の磁石が内蔵されていて、ステム6(後述するステム本体7)には、この磁石によってON状態、又はOFF状態になるリードスイッチが内蔵されている。
【0017】
フロート2は、下側外殻部3と上側外殻部4を備えている。上側外殻部4は、
図2に示したろう材5によって下側外殻部3にろう付けされている。なお下側外殻部3は、本明細書等における「外殻部」に相当する。また上側外殻部4は、本明細書等における「他の外殻部」に相当する。
【0018】
下側外殻部3は、中央部に位置する円筒状の内筒壁3aと、内筒壁3aの下部外周面から径方向外側に向けて延在する円環板状の接続壁3bと、接続壁3bの外縁部に設けられた円筒状の外筒壁3cとを備えている。内筒壁3a、接続壁3b、及び外筒壁3cは、これらによって上方を開放した環状空間3dを区画形成するものであり、内筒壁3aの上端部と外筒壁3cの上端部の間には、この環状空間3dの開口部3eが設けられている。なお環状空間3dは、後述する閉鎖空間K1の一部を構成するものである。
【0019】
上側外殻部4は、上述した内筒壁3a、接続壁3b、及び外筒壁3cと略同一形状になる内筒壁4a、接続壁4b、及び外筒壁4cを備えている。内筒壁4a、接続壁4b、及び外筒壁4cは、これらによって下方を開放した環状空間4dを区画形成するものであり、内筒壁4aの下端部と外筒壁4cの下端部の間には、この環状空間4dの開口部4eが設けられている。なお環状空間4dは、後述する閉鎖空間K1の残部を構成するものである。
【0020】
下側外殻部3と上側外殻部4は金属製であって、本実施形態ではステンレス(例えばSUS304やSUS316)により形成されている。
【0021】
ろう材5は、本実施形態では銀ろうやニッケルろうを使用している。また本実施形態のろう材5は、融点が1000℃以下のものを使用している。なお、ろう材5は、下側外殻部3や上側外殻部4に使用される素材やフロート2の使用環境、コスト、作業性等に応じて適宜選択すればよく、銀ろうやニッケルろうに限定されるものではない。また使用するろう材5の融点は、フロート2を製造する際の設備で加熱可能な温度であればよく、融点が1000℃を超えるろう材5を使用してもよい。
【0022】
ステム6は、ステム本体7と、ストッパー8と、固定用ネジ9と、信号線10を備えている。
【0023】
ステム本体7は、外形が円形になる筒状であって、その外径は、内筒壁3a、4aの内径よりも若干小さくなっている。ステム本体7の内部には、上述したリードスイッチが取り付けられている。
【0024】
ストッパー8は外径が円形になる板状であって、ステム本体7の外周面に設けられている。本実施形態では、所定の間隔をあけて2つのストッパー8が設けられていて、下方に位置するストッパー8によってフロート2の下方への過剰な移動が規制され、上方に位置するストッパー8によってフロート2の上方への過剰な移動が規制される。
【0025】
固定用ネジ9は、ステム本体7の外周面に螺合していて、固定用ネジ9を回転させることによってステム本体7に対して移動する。本実施形態では固定用ネジ9を一対設けている。固定用ネジ9は、液位センサ1として使用する際、液体を収容した容器等にステム本体7を固定するものであって、何れか一方の固定用ネジ9を回転してこれを他方の固定用ネジ9に向けて移動させることにより、この容器等を挟持してステム本体7を固定することができる。
【0026】
信号線10は、上述したリードスイッチに電気的に接続されている。信号線10を不図示の計測器等に接続することにより、リードスイッチのON状態、OFF状態を確認することができる。なお、本実施形態のリードスイッチは磁石によってON/OFFする接点を2つ持っていて、それに応じて信号線10は4本設けられているが、本発明におけるリードスイッチの接点の数、及び信号線10の本数はこれに限られるものではない。
【0027】
次に、上記の部材を用いて本実施形態の液位センサ1を製造する方法について説明する。まず、フロート2を製造する方法について説明する。
【0028】
フロート2を製造するにあたっては、
図2(a)において仮想線で示した密閉容器21内に下側外殻部3、上側外殻部4、ろう材5を収容する。密閉容器21は、不活性ガスを収容した状態で密閉することができる容器である。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン及びヘリウムからなる群から選択される何れか1種のガス又は2種以上のガスの混合物を用いることができる。
【0029】
そして、下側外殻部3における内筒壁3aの上端部と外筒壁3cの上端部にろう材5を配置し、このろう材5の上方に上側外殻部4を配置する。上側外殻部4を配置する際は、内筒壁3aと外筒壁3cに対して内筒壁4aと外筒壁4cが揃うように配置する。この状態においては、下側外殻部3と上側外殻部4の間には隙間があいていて、開口部3e、4eは、密閉容器21の内部空間と通じている。なお上述した磁石は、下側外殻部3及び/又は上側外殻部4に取り付けておく。
【0030】
次いで、密閉容器21を密閉し、密閉容器21の内部空間から気体を排出して真空引きを行う。しかる後は、密閉容器21に不活性ガスを導入して、密閉容器21の内部空間が不活性ガスで満たされる状態にする。ここで、上記のように開口部3e、4eは、密閉容器21の内部空間と通じているため、下側外殻部3の環状空間3d、及び上側外殻部4の環状空間4dも不活性ガスで満たされる。
【0031】
その後は、密閉容器21内の温度をろう材5の融点以上に上昇させる。これによりろう材5が溶融するため、下側外殻部3と上側外殻部4との間の隙間が閉じて下側外殻部3と上側外殻部4はろう付けされる(
図2(b)参照)。この状態において開口部3e、4eは、内筒壁3a、4a及び外筒壁3c、4cで覆われて、環状空間3d、4dは不活性ガスを収容した状態で閉鎖される。ここで、閉鎖された環状空間3d、4dを総称して閉鎖空間K1と称する。
【0032】
しかる後は、密閉容器21内の温度を下げて、下側外殻部3と上側外殻部4がろう付けされたフロート2を密閉容器21から取り出す。以上の工程を経ることにより、閉鎖空間K1に不活性ガスを収容したフロート2を製造することができる。
【0033】
その後は、製造したフロート2をステム本体7に挿通するとともに、ステム本体7に、ストッパー8、固定用ネジ9、及び信号線10を備える不図示のリードスイッチを取り付けることにより、液位センサ1を製造する。
【0034】
このようにして製造した液位センサ1は、フロート2に不活性ガスが収容されているため、この液位センサ1を半導体等の製造工程で使用する際、万一フロート2から不活性ガスが漏れることがあっても、製造工程で使用する液体が変質したり劣化したりすることがない。また本実施形態のフロート2は、従前のようにガス導入パイプを備えておらず、ステム本体7を中心として軸対称になる形状であるため、液体にフロート2を浮かべた際、フロート2はステム本体7に対して実質的に傾くことなくスムーズに上下動する。従って、フロート2を浮かべた液体の液位を正確に確認することができる。
【0035】
次に、
図3、
図4を参照しながら上述したフロート2の変形例であるフロート2Aについて説明する。本実施形態のフロート2Aは、上述した下側外殻部3と上側外殻部4を一体化した如き外殻部11と、蓋部12と、上述したろう材5を備えている。
【0036】
外殻部11は、中央部に位置する円筒状の内筒壁11aと、円環板状をなし、内筒壁11aの外周面から径方向外側に向けて延在する一対の接続壁11bと、一対の接続壁11bの外縁部に設けられた円筒状の外筒壁11cを備えている。外殻部11の内側には、内筒壁11a、接続壁11b、及び外筒壁11cで区画形成される内側空間11dが設けられている。また外筒壁11cには、内側空間11dに通じる円形の開口部11eが設けられている。外殻部11は、例えば上述した下側外殻部3と上側外殻部4をろう付けや溶接で一体的に連結させることにより形成することができる。なお外殻部11の内側には、不図示の磁石が設けられている。
【0037】
蓋部12は、円板状になる蓋部本体12aと、蓋部本体12aに連結する円柱状の軸部12bを備えている。蓋部本体12aの外径は、開口部11eの内径よりも大きくなっていて、軸部12bの外径は、開口部11eの内径よりも小さくなっている。なお蓋部12は、本明細書等における「他の外殻部」に相当する。
【0038】
このような外殻部11、蓋部12、及びろう材5でフロート2Aを製造するにあたっては、
図4(a)において仮想線で示した密閉容器21内に、外殻部11、蓋部12、及びろう材5を収容する。
【0039】
そして、
図4(b)に示すように外殻部11における開口部11eの周辺にろう材5を配置し、軸部12bを開口部11eに挿入するようにしてこのろう材5の上方に蓋部本体12aを配置する。この状態においては、外殻部11と蓋部本体12aの間には隙間があいていて、開口部11eは、密閉容器21の内部空間と通じている。
【0040】
次いで、密閉容器21を密閉し、密閉容器21の内部空間から気体を排出して真空引きを行った後、密閉容器21に不活性ガスを導入して、密閉容器21の内部空間が不活性ガスで満たされる状態にする。上記のように開口部11eは、密閉容器21の内部空間と通じているため、外殻部11の内側空間11dも不活性ガスで満たされる。
【0041】
その後は、密閉容器21内の温度をろう材5の融点以上に上昇させる。これによりろう材5が溶融するため、外殻部11と蓋部本体12aとの間の隙間が閉じて外殻部11と蓋部12はろう付けされる(
図4(c)参照)。すなわち、外殻部11における内側空間11dは、蓋部12によって不活性ガスを収容した状態で閉鎖される。ここで、閉鎖された内側空間11dを閉鎖空間K2と称する。
【0042】
しかる後は、密閉容器21内の温度を下げて、外殻部11と蓋部12がろう付けされたフロート2Aを密閉容器21から取り出す。以上の工程を経ることにより、閉鎖空間K2に不活性ガスを収容したフロート2Aを製造することができる。このように製造したフロート2Aも、上述したフロート2と同様の手順でステム本体7に取り付けることにより、液位センサ1を製造することができる。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0044】
例えば上述した下側外殻部3と上側外殻部4は同一形状の部材であったが、形状は異なっていていてもよく、例えば上側外殻部4は、形状が円環板状になる部材であってもよい。また蓋部12は、軸部12bを省略したものでもよい。
【符号の説明】
【0045】
1:液位センサ
2、2A:フロート
3:下側外殻部(外殻部)
3a:内筒壁
3b:接続壁
3c:外筒壁
3d:環状空間
3e:開口部
4:上側外殻部(他の外殻部)
4a:内筒壁
4b:接続壁
4c:外筒壁
4d:環状空間
4e:開口部
5:ろう材
6:ステム
7:ステム本体
8:ストッパー
9:固定用ネジ
10:信号線
11:外殻部
11a:内筒壁
11b:接続壁
11c:外筒壁
11d:内側空間
11e:開口部
12:蓋部(他の外殻部)
12a:蓋部本体
12b:軸部
21:密閉容器
K1:閉鎖空間
K2:閉鎖空間
【手続補正書】
【提出日】2022-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖空間が設けられて液体に浮かぶよう構成された液位センサ用フロートであって、
前記閉鎖空間の一部を区画形成するとともに開口部を有する外殻部と、当該閉鎖空間の残部を区画形成する他の外殻部と、を備え、当該閉鎖空間に前記開口部から導入された不活性ガスを収容した状態で当該他の外殻部が当該開口部を覆って当該外殻部にろう付けされており、
前記外殻部は、内筒壁と、当該内筒壁を内側に収容する外筒壁と、当該内筒壁及び当該外筒壁を接続する接続壁とを有し、これらにより前記閉鎖空間の一部を区画形成し、前記内筒壁の内側はステムを挿通可能である液位センサ用フロート。
【請求項2】
閉鎖空間が設けられて液体に浮かぶよう構成された液位センサ用フロートであって、
前記閉鎖空
間の一部を区画形成する下側外殻部と、その残部を区画形成する上側外殻部とを備え、
前記下側外殻部は、下側内筒壁と、当該下側内筒壁を内側に収容する下側外筒壁と、前記下側内筒壁及び前記下側外筒壁の下端部を接続する下側接続壁とを備え、その上方は開口する開口部となり、
前記上側外殻部は、上側内筒壁と、上側外筒壁を内側に収容する上側外筒壁と、前記上側内筒壁及び前記上側外筒壁の上端部を接続する上側接続壁とを備え、その下方は開口し、
前記閉鎖空間に前記開口部から導入された不活性ガスが収容された状態で、前記下側外殻部の開口部が前記上側外殻部に覆われて、前記下側内筒壁の上端部及び前記下側外筒壁の上端部と、前記上側内筒壁の下端部及び前記上側外筒壁の下端部とがろう付けされており、
前記下側内筒壁及び前記上側内筒壁の内側にステムを挿通可能にされている、液位センサ用フロート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のフロートと当該フロートをスライド可能に指示するステムとを備える液位センサ。
【請求項4】
閉鎖空間が設けられて液体に浮かぶよう構成された液位センサ用フロートの製造方法であって、
前記閉鎖空間の一部を区画形成するとともに開口部を有する外殻部と、当該閉鎖空間の残部を区画形成する他の外殻部と、ろう材とを準備する工程と、
不活性ガスが収容される密閉容器内に、前記開口部が当該密閉容器と通じる状態で、前記外殻部に前記ろう材を配置するとともに当該ろう材に前記他の外殻部を配置する工程と、
前記密閉容器を密閉して当該密閉容器が不活性ガスで満たされる状態で当該密閉容器内の温度を前記ろう材の融点以上に上昇させ、前記閉鎖空間に不活性ガスを収容した状態で前記他の外殻部が前記開口部を覆って前記外殻部にろう付けされる工程と、を備え、
前記外殻部は、内筒壁と、当該内筒壁を内側に収容する外筒壁と、当該内筒壁及び当該外筒壁を接続する接続壁とを有し、これらにより前記閉鎖空間の一部を区画形成し、前記内筒壁の内側はステムを挿通可能である液位センサ用フロートの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明は、閉鎖空間が設けられて液体に浮かぶよう構成された液位センサ用フロートであって、前記閉鎖空間の一部を区画形成するとともに開口部を有する外殻部と、当該閉鎖空間の残部を区画形成する他の外殻部と、を備え、当該閉鎖空間に不活性ガスを収容した状態で当該他の外殻部が当該開口部を覆って当該外殻部にろう付けされており、前記外殻部は、内筒壁と、当該内筒壁を内側に収容する外筒壁と、当該内筒壁及び当該外筒壁を接続する接続壁とを有し、これらにより前記閉鎖空間の一部を区画形成し、前記内筒壁の内側はステムを挿通可能である液位センサ用フロートである。
また、本発明は閉鎖空間が設けられて液体に浮かぶよう構成された液位センサ用フロートであって、前記閉鎖空間の一部を区画形成する下側外殻部と、その残部を区画形成する上側外殻部とを備え、前記下側外殻部は、下側内筒壁と、当該下側内筒壁を内側に収容する下側外筒壁と、前記下側内筒壁及び前記下側外筒壁の下端部を接続する下側接続壁とを備え、その上方は開口する開口部となり、前記上側外殻部は、上側内筒壁と、上側外筒壁を内側に収容する上側外筒壁と、前記上側内筒壁及び前記上側外筒壁の上端部を接続する上側接続壁とを備え、その下方は開口し、前記閉鎖空間に前記開口部から導入された不活性ガスが収容された状態で、前記下側外殻部の開口部が前記上側外殻部に覆われて、前記下側内筒壁の上端部及び前記下側外筒壁の上端部と、前記上側内筒壁の下端部及び前記上側外筒壁の下端部とがろう付けされており、前記下側内筒壁及び前記上側内筒壁の内側にステムを挿通可能にされている、液位センサ用フロートである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また本発明は、閉鎖空間が設けられて液体に浮かぶよう構成された液位センサ用フロートの製造方法であって、
前記閉鎖空間の一部を区画形成するとともに開口部を有する外殻部と、当該閉鎖空間の残部を区画形成する他の外殻部と、ろう材とを準備する工程と、不活性ガスが収容される密閉容器内に、前記開口部が当該密閉容器と通じる状態で、前記外殻部に前記ろう材を配置するとともに当該ろう材に前記他の外殻部を配置する工程と、前記密閉容器を密閉して当該密閉容器が不活性ガスで満たされる状態で当該密閉容器内の温度を前記ろう材の融点以上に上昇させ、前記閉鎖空間に不活性ガスを収容した状態で前記他の外殻部が前記開口部を覆って前記外殻部にろう付けされる工程と、を備え、前記外殻部は、内筒壁と、当該内筒壁を内側に収容する外筒壁と、当該内筒壁及び当該外筒壁を接続する接続壁とを有し、これらにより前記閉鎖空間の一部を区画形成し、前記内筒壁の内側はステムを挿通可能である液位センサ用フロートの製造方法でもある。