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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116024
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/30 20150101AFI20230815BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20230815BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20230815BHJP
   H01Q 5/378 20150101ALI20230815BHJP
【FI】
H01Q5/30
H01Q1/32 Z
H01Q1/22 B
H01Q5/378
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018545
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】坂部 篤史
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆太郎
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AA03
5J046AA07
5J046AB01
5J046MA09
5J047AA03
5J047AA07
5J047AB01
5J047EB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】周波数帯の異なる2つのアンテナの利得を良好にするアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置1は、AM/FMアンテナAT1と、AM/FMアンテナAT1とは周波数帯の異なるTELアンテナAT2と、を備える。AM/FMアンテナAT1及びTELアンテナAT2は、それぞれ第1容量素子50及び第2容量素子60を備える。AM/FMアンテナAT1及びTELアンテナAT2の各容量素子は、その少なくとも一部分が当該各容量素子を支持するインナーカバー部40の上部に配設され、互いに電気的に接続されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アンテナと、当該第1アンテナとは周波数帯の異なる第2アンテナと、を備えたアンテナ装置であって、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナは、それぞれ容量素子を備え、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの各容量素子は、
その少なくとも一部分が当該各容量素子を支持する支持部の上部に配設され、
互いに電気的に接続されているアンテナ装置。
【請求項2】
前記第2アンテナは、前記第1アンテナよりも周波数帯の高いアンテナである請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第2アンテナの容量素子は、その周囲が前記第1アンテナの容量素子によって囲われている請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第2アンテナの容量素子は、無給電素子である請求項1~3のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの各容量素子は、板状の素子である請求項1~4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記支持部が設置されたアンテナベース部と、
前記アンテナベース部を車両に取り付ける車両取付部と、
シャークフィン形状のアンテナカバー部と、
を備える請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両のルーフに設置される車載のアンテナ装置として、AM(Amplitude Modulation)ラジオ放送及びFM(Frequency Modulation)ラジオ放送が受信可能なAM/FMアンテナを備えたアンテナ装置が知られている。近年では、上記のAM/FMアンテナのような放送系受信アンテナに加えて、TELアンテナ等の情報通信系アンテナを備えたアンテナ装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4913900号公報
【特許文献2】特許第6420523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2に開示されているアンテナ装置では、それぞれのアンテナの利得の低下を抑制するため、AM/FMアンテナとTELアンテナとの距離を離し、AM/FMアンテナの下方にTELアンテナを設けているが、TELアンテナの利得の低下を十分に抑制できないという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、アンテナ装置に配設される周波数帯の異なる2つのアンテナの利得を良好にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のアンテナ装置は、
第1アンテナと、当該第1アンテナとは周波数帯の異なる第2アンテナと、を備えたアンテナ装置であって、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナは、それぞれ容量素子を備え、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの各容量素子は、
その少なくとも一部分が当該各容量素子を支持する支持部の上部に配設され、
互いに電気的に接続されている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記第2アンテナは、前記第1アンテナよりも周波数帯の高いアンテナである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のアンテナ装置において、
前記第2アンテナの容量素子は、その周囲が前記第1アンテナの容量素子によって囲われている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記第2アンテナの容量素子は、無給電素子である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの各容量素子は、板状の素子である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
前記支持部が設置されたアンテナベース部と、
前記アンテナベース部を車両に取り付ける車両取付部と、
シャークフィン形状のアンテナカバー部と、
を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アンテナ装置に配設される周波数帯の異なる2つのアンテナの利得を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態のアンテナ装置を示す外観斜視図である。
図2】アンテナ装置を示す分解斜視図である。
図3】第1容量素子及び第2容量素子の展開図である。
図4】アンテナカバー部内のアンテナ装置(インナーカバー部無し)を示す組立斜視図である。
図5】(a)は、アンテナカバー部内のアンテナ装置(インナーカバー部有り)を示す組立斜視図である。(b)は、アンテナカバー部内のアンテナ装置(インナーカバー部有り)を示す組立側面図である。
図6】(a)~(c)は、ローバンド(Low Band)、ミドルバンド(Middle Band)、ハイバンド(High Band)のそれぞれにおける、本実施の形態のように第2容量素子をインナーカバー部の上面(外側)に配置したアンテナ装置のTELアンテナの周波数と利得との関係を、第2容量素子をインナーカバー部の内側(第1容量素子よりも下方)に配置したアンテナ装置のTELアンテナの周波数と利得との関係とともに示した特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0015】
図1図5を参照して、本発明に係る実施の形態のアンテナ装置1を説明する。図1は、本実施の形態のアンテナ装置1を示す外観斜視図である。図2は、アンテナ装置1を示す分解斜視図である。図3は、第1容量素子50及び第2容量素子60の展開図である。図4は、アンテナカバー部10内のアンテナ装置1(インナーカバー部40無し)を示す組立斜視図である。図5(a)は、アンテナカバー部10内のアンテナ装置1(インナーカバー部40有り)を示す組立斜視図である。図5(b)は、アンテナカバー部10内のアンテナ装置1(インナーカバー部40有り)を示す組立側面図である。
【0016】
本実施の形態のアンテナ装置1は、自動車などの車両のルーフの設置面の固定用開口(図示略)に取り付けられるいわゆるシャークフィンアンテナの車載アンテナ装置であって、AMラジオ放送(周波数帯:MW(LW)帯)/FMラジオ放送(周波数帯:VHF帯)を受信するAM/FMアンテナと、情報通信系であるTELアンテナと、を備える複合アンテナ装置である。
【0017】
図1に示すように、アンテナ装置1は、アンテナカバー部10を備え、アンテナカバー部10内にアンテナの本体部分などを収納する構造を有する。アンテナカバー部10は、後述するアンテナベース部20に取り付けられ、前方から後方に向けて流線型状に隆起して形成され、車両の外観が損なわれないように、低姿勢のシャークフィン形状に形成されている。アンテナカバー部10は、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂などの電波透過性及び絶縁性を有する合成樹脂などからなり、下面が開放された成形品とされる。
【0018】
図2のアンテナ装置1の分解図に示すように、アンテナ装置1は、アンテナカバー部10(図2では図示略)と、アンテナベース部20と、基板部30と、支持部としてのインナーカバー部40と、第1容量素子50と、第2容量素子60と、パッキン部70と、車両取付具80と、を備える。
【0019】
アンテナカバー部10の下面開口は、アンテナベース部20などが取り付けられたときに、基板部30、インナーカバー部40、第1容量素子50、第2容量素子60などの収納空間が形成されるようになっている。
【0020】
アンテナベース部20は、アンテナ装置1の土台部であり、基板部30を支持するとともに、車両の設置面の固定用開口に取り付けられる構造を有する。アンテナベース部20は、平板部21を有する。平板部21は、アルミ、亜鉛などのダイカストで構成された金属製の略平板形状のベース部であり、螺子穴21h1,21h2,21h3、穴部21h4、凸部(図示略)を有する。なお、平板部21は、鋼板などの板金で構成したものでもよい。
【0021】
螺子穴21h1は、貫通された雌螺子孔であり、車両取付具80の雄螺子部が螺合され、車両取付具80が取り付けられる。螺子穴21h2は、貫通されていない雌螺子穴であり、雄螺子(ビス)である螺子S1が螺合され、インナーカバー部40が取り付けられる。螺子穴21h3は、貫通されていない雌螺子穴であり、雄螺子(ビス)である螺子S2が螺合され、基板部30が取り付けられる。凸部(図示略)は、平板部21の下側に設けられ、車両取付具80が取り付けられる。
【0022】
基板部30は、本体基板31と、コネクタ部32と、接続端子33a,33b,33c,33dと、アンテナ基板34と、アンテナ基板ホルダー35と、アンテナコイル36a,36bと、TELアンテナパターン部37と、接続端子38a,38b,38cと、を有する。本体基板31は、平面が水平方向に配置されたPCB(Printed circuit board)であり、各種電子部品が実装され回路パターンが形成されており、上面に接続端子33a,33b,33c,33dが実装され、下面にコネクタ部32が取り付けられ、複数の穴部31hが形成されている。
【0023】
穴部31hは、貫通された孔であり、螺子S2が貫通される。穴部31hを介する螺子穴21h3への螺子S2の螺合により、基板部30がアンテナベース部20に固定取り付けされる。また、アンテナコイル36a,36b、第1容量素子50などにより、AMラジオ放送/FMラジオ放送を受信する第1アンテナとしてのAM/FMアンテナAT1が構成される。また、TELアンテナパターン部37、第2容量素子60などにより、第2アンテナとしてのTELアンテナAT2が構成される。
【0024】
接続端子33a,33b,33c,33dは、M字状の金属製の接続端子であり、アンテナ基板34を挟み込んで支持接続する。
【0025】
接続端子33a,33bは、AM/FMアンテナAT1用の接続端子である。接続端子33aは、本体基板31の給電側の給電点を含む回路パターンの端子に電気的に接続されており、アンテナ基板34の接続により、アンテナ基板34のアンテナコイル36aに電気的に接続された回路パターンの端子に電気的に接続される。接続端子33bは、本体基板31の接地側の接地点を含む回路パターンの端子に電気的に接続されており、アンテナ基板34の接続により、アンテナ基板34のアンテナコイル36bに電気的に接続された回路パターンの端子に電気的に接続される。なお、接続端子33aが、接地側の回路パターンの端子に電気的に接続され、接続端子33bが、給電側の回路パターンの端子に電気的に接続される構成としてもよい。
【0026】
接続端子33c,33dは、TELアンテナAT2用の接続端子である。接続端子33dは、本体基板31の給電側の給電点を含む回路パターンの端子に電気的に接続されており、アンテナ基板34の接続により、アンテナ基板34のTELアンテナパターン部37に電気的に接続された回路パターンの端子に電気的に接続される。接続端子33cは、本体基板31の接地側の接地点を含む回路パターンの端子に電気的に接続され、アンテナ基板34の接続により、アンテナ基板34に接続される接続端子38cと電気的に接続された回路パターンの端子に電気的に接続される。
【0027】
アンテナ基板34は、本体基板31上に立設され、平面が垂直方向に配置されるPCBであり、アンテナコイル36a,36bを支持するとともに、アンテナコイル36a,36bに電気的に接続された回路パターンが形成され、接続端子33a,33b,38a,38b用の端子を有する。また、アンテナ基板34は、TELアンテナパターン部37が設けられるとともに、TELアンテナパターン部37に電気的に接続された回路パターンが形成され、接続端子33c,33d,38c用の端子を有する。
【0028】
アンテナ基板ホルダー35は、アンテナ基板34が本体基板31上に立設された状態を維持するための部材である。アンテナ基板ホルダー35は、雄螺子(ビス)である螺子S3用の穴部(図示略)を有する。螺子S3が上記穴部を介してインナーカバー部40の内側面に設けられた螺子穴(図示略)に螺合されることにより、アンテナ基板ホルダー35がインナーカバー部40の内側に固定的に取り付けられる。
【0029】
アンテナコイル36a,36bは、エナメル被覆銅線や、ニッケル被覆銅線などで構成された巻回導線による分布定数のコイルである。なお、アンテナコイル36a,36bは、アンテナ基板34に実装された集中定数のコイル(インダクタ)のチップ部品、リード部品などとして構成してもよい。
【0030】
TELアンテナパターン部37は、上述したようにアンテナ基板34上に設けられ、例えば、UHF(Ultra High Frequency)帯域の信号を受信するためのアンテナパターンを有する。
【0031】
接続端子38a,38b,38cは、M字状の金属製の接続端子であり、アンテナ基板34を挟み込んで固定接続する。接続端子38aは、雄螺子(ビス)である螺子S4用の穴部を有し、アンテナ基板34の接続により、アンテナ基板34のアンテナコイル36aに電気的に接続された回路パターンの端子に電気的に接続される。接続端子38bは、螺子S4用の穴部を有し、アンテナ基板34の接続により、アンテナ基板34のアンテナコイル36bに電気的に接続された回路パターンの端子に電気的に接続される。接続端子38cは、螺子S4用の穴部を有し、アンテナ基板34の接続により、アンテナ基板34に接続された接続端子33cと電気的に接続された回路パターンの端子に電気的に接続される。
【0032】
インナーカバー部40は、アンテナカバー部10の内側に配置され、基板部30を収納するとともに、第1容量素子50及び第2容量素子60を固定的に支持する固定ホルダー部である。第1容量素子50と第2容量素子60のそれぞれに対するアンテナ基板34(接続端子38a,38b,38c)の接続だけでは、アンテナベース部20に対する第1容量素子50及び第2容量素子60の固定が弱いため、インナーカバー部40で第1容量素子50及び第2容量素子60を支持している。
【0033】
インナーカバー部40は、ドーム部41、平板部42を有し、螺子穴部41a,41b41cなどの金属部品と樹脂とを一体成型した構成を有する。ドーム部41は、耐熱性のある絶縁性の樹脂からなり、アンテナ基板34などを内側に収納するカバー部であり、螺子穴部41a,41b,41cを有する。この耐熱性のある絶縁性の樹脂は、例えば、PC(Poly Carbonate:ポリカーボネート)、PC/PET(Poly Ethylene Terephthalate:ポリエチレンテレフタラート)の混合材料、PC/ABSの混合材料である。
【0034】
螺子穴部41aは、軸方向が垂直方向に延在する金属製の雌螺子部であり、接続端子38aの穴部を介して螺子S4が螺合され、第1容量素子50の穴部51aを介して雄螺子(ビス)である螺子S5が螺合される。螺子穴部41bは、軸方向が垂直方向に延在する金属製の雌螺子部であり、接続端子38bの穴部を介して螺子S4が螺合され、第1容量素子50の穴部51bを介して螺子S5が螺合される。螺子穴部41cは、軸方向が垂直方向に延在する金属製の雌螺子部であり、接続端子38cの穴部を介して螺子S4が螺合され、第2容量素子60の穴部61aを介して螺子S5が螺合される。
【0035】
螺子S4が接続端子38a,38b,38cの穴部を介して螺子穴部41a,41b,41cにそれぞれ螺合され、接続端子38a,38b,38cがアンテナ基板34に接続されることにより、インナーカバー部40が基板部30に固定的に取り付けられる。
【0036】
平板部42は、ドーム部41と同様の樹脂からなり、本体基板31などを内側に収納するカバー部であり、複数の穴部42hを有する。螺子S1が穴部42hを介して螺子穴21h2に螺合されることにより、インナーカバー部40がアンテナベース部20に固定的に取り付けられる。
【0037】
第1容量素子50は、AM/FMアンテナAT1用の容量素子であり、容量板部51を有する。図3に示すように、容量板部51は、ブリキなどの金属製の容量板(金属板)であり、穴部51a,51bを有する。第2容量素子60は、TELアンテナAT2用の容量素子(無給電素子)であり、第1容量素子50と同様に、容量板部61を有する。図3に示すように、容量板部61は、ブリキなどの金属製の容量板(金属板)であり、穴部61aを有する。なお、容量板部51と容量板部61のそれぞれは、金属板に限定されるものではなく、基板、導電樹脂などで構成してもよい。導電樹脂は、樹脂の高分子化合物自体が導電性を示すものや、金属や炭素を微粒子にして樹脂に混合して導電性を与えたものである。
【0038】
図3に示す容量板部51を複数箇所で折り曲げることにより、図2に示す立体的な形状に構成され、穴部51aと穴部51bとの間に電流経路を有する容量板として機能する。このとき、第2容量素子60は、第1容量素子50との間で電気的に接続可能な距離を確保するとともに、その周囲が第1容量素子50によって囲われるように配置される。
【0039】
パッキン部70は、アンテナ装置1を車両のルーフに取り付けた場合に、外部からの水、塵などがアンテナ装置1及び車両内部に侵入することを防ぐ部材であり、パッキン71,72を有する。パッキン71は、発泡ウレタンなどの弾性体製のパッキンであり、アンテナベース部20とインナーカバー部40との間に配置され、挟まれて圧縮されることにより、防水、防塵の機能を実現する。パッキン72は、発泡ウレタンなどの弾性体製のパッキンであり、アンテナベース部20とルーフの設置面との間に配置され、挟まれて圧縮されることにより、防水、防塵の機能を実現する。
【0040】
車両取付具80は、例えば金属製であり、雄螺子が形成された雄螺子部と、取付時に車両の設置面及びアンテナベース部20の凸部に接触する脚部と、を有する。車両取付具80の雄螺子部をルーフの固定用開口に挿入して、パッキン72を挟んで螺子穴21h1に締結することで、アンテナ装置1を車両のルーフの設置面に固定設置する。
【0041】
図2に示す各部品を組み立てることにより、図4及び図5に示すように、組み立て後のアンテナ装置1が構成される。ただし、図4においては、アンテナカバー部10及びインナーカバー部40の図示を省略している。図5(a)及び図5(b)においては、アンテナカバー部10の図示を省略している。
図4及び図5に示すように、第1容量素子50の穴部51a(図3参照)を有する部分と穴部51b(図3参照)を有する部分がインナーカバー部40の上面に配置される。また、第2容量素子60が、インナーカバー部40の上面であって、上記の第1容量素子50の穴部51bを有する部分の前方に配置される。つまり、第1容量素子50の少なくとも一部分(穴部51aを有する部分と穴部51bを有する部分)と第2容量素子60とがほぼ同じ高さに配置されている。
【0042】
図6(a)~図6(c)は、ローバンド(Low Band)、ミドルバンド(Middle Band)、ハイバンド(High Band)のそれぞれにおける、本実施の形態のように第2容量素子60をインナーカバー部40の上面(外側)に配置したアンテナ装置1のTELアンテナAT2の周波数と利得との関係を、第2容量素子60をインナーカバー部40の内側(第1容量素子50よりも下方)に配置したアンテナ装置のTELアンテナの周波数と利得との関係とともに示した特性図である。
【0043】
図6(b)及び図6(c)に示すように、ミドルバンドとハイバンドでは、第2容量素子60をインナーカバー部40の上面(外側)に配置した場合と、第2容量素子60をインナーカバー部40の内側(第1容量素子50よりも下方)に配置した場合とで、TELアンテナAT2の利得が概ね同一であることが確認できた。
【0044】
一方、図6(a)に示すように、ローバンド(600~1000MHz)では、第2容量素子60をインナーカバー部40の上面(外側)に配置した場合、第2容量素子60をインナーカバー部40の内側(第1容量素子50よりも下方)に配置した場合に比べて、TELアンテナAT2の低周波数側の利得が改善することが確認できた。つまり、ローバンドでは、第2容量素子60をインナーカバー部40の上面(外側)に配置することで、TELアンテナAT2の低周波数側の利得の低下を抑制することができる。これにより、TELアンテナAT2の広帯域化を図ることができる。
【0045】
以上、本実施の形態によれば、アンテナ装置1は、AM/FMアンテナAT1と、当該AM/FMアンテナAT1とは周波数帯の異なるTELアンテナAT2と、を備えたアンテナ装置1であって、AM/FMアンテナAT1及びTELアンテナAT2は、それぞれ容量素子(第1容量素子50、第2容量素子60)を備え、AM/FMアンテナAT1及びTELアンテナAT2の各容量素子(第1容量素子50、第2容量素子60)は、その少なくとも一部分が当該各容量素子を支持するインナーカバー部40の上部に配設され、互いに電気的に接続されている。
【0046】
このため、アンテナ装置1において、第1容量素子50と第2容量素子60とがインナーカバー部40の上部に配設され、互いに電気的に接続されることで、アンテナを電気的に大型化することが可能となり、従来よりもTELアンテナAT2の利得を良好にできる。これにより、アンテナ装置1に配設されるAM/FMアンテナAT1とTELアンテナAT2のそれぞれの利得を良好にできる。
【0047】
また、TELアンテナAT2は、AM/FMアンテナAT1よりも周波数帯の高いアンテナである。このため、従来、限られたスペースでは、周波数帯の関係上、AM/FMアンテナAT1の第1容量素子50よりも下方にTELアンテナAT2の第2容量素子60が配置されていたが、アンテナ装置1によれば、当該第2容量素子60を当該第1容量素子50とほぼ同じ高さに配置することができる。
【0048】
また、TELアンテナAT2の第2容量素子60は、その周囲がAM/FMアンテナAT1の第1容量素子50によって囲われている。このため、高さ方向においてTELアンテナAT2を最大限使用できる。また、アンテナを複合化してもTELアンテナAT2のアンテナ高を損なうことがない。
【0049】
また、TELアンテナAT2の第2容量素子60は、無給電素子である。このため、TELアンテナAT2は、第1容量素子50と第2容量素子60とを電気的に接続させることで、TELアンテナAT2の帯域内における信号を効率良く受信できる。
【0050】
また、AM/FMアンテナAT1及びTELアンテナの各容量素子(第1容量素子50、第2容量素子60)は、板状の素子である。このため、第1容量素子50と第2容量素子60とのそれぞれを嵩張ることなくインナーカバー部40の外形に沿って配設することができるので、アンテナ装置1の大型化を避けることができる。
【0051】
また、アンテナ装置1は、本体基板31及びインナーカバー部40が設置されたアンテナベース部20と、アンテナベース部20を車両に取り付ける車両取付具80と、シャークフィン形状のアンテナカバー部10と、を備える。このため、アンテナ装置1をシャークフィンアンテナ装置として構成できる。
【0052】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係るアンテナ装置の一例であり、これに限定されるものではない。
【0053】
例えば、上記実施の形態では、デザイン性を重視したシャークフィンアンテナ装置としてのアンテナ装置1を説明したが、これに限定されるものではない。車両のルーフトップの位置に取り付けるアンテナ装置1以外にも、例えば、車両のインパネ(ダッシュボード)内部や、車両のドアミラー、リアスポイラー、リアウインドウ等の位置に取り付けるアンテナ装置としてもよい。かかる場合、アンテナカバー部10の形状はシャークフィン形状でなくてもよい。
【0054】
また、上記実施の形態では、第1容量素子50と第2容量素子60のそれぞれをインナーカバー部40の外面に配置することでアンテナ特性の改善を図っているが、例えば、インナーカバー部40が無い場合には、アンテナカバー部10の内側(インサートを含む)の上部に第1容量素子50と第2容量素子60のそれぞれを取り付ける、あるいは、アンテナを固定するためのホルダーの上部に取り付けるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、TELアンテナAT2の第2容量素子60は、板状の素子であるが、コイル状(例えば、ミアンダ、ジグザグ、ヘリカル型等)の素子であってもよい。
【0056】
また、上記実施の形態では、TELアンテナAT2を第2アンテナの一例として説明したが、この第2アンテナは、モノポールタイプのアンテナであればよく、例えば、Wi-Fi(登録商標)アンテナ等であってもよい。
【0057】
その他、上記実施の形態におけるアンテナ装置1の細部構成及び詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 アンテナ装置
AT1 AM/FMアンテナ
AT2 TELアンテナ
10 アンテナカバー部
20 アンテナベース部
21 平板部
21h1,21h2,21h3 螺子穴
21h4 穴部
30 基板部
31 本体基板
31h 穴部
32 コネクタ部
33a,33b,33c,33d 接続端子
34 アンテナ基板
35 アンテナホルダー
36a,36b アンテナコイル
37 TELアンテナパターン部
38a,38b,38c 接続端子
40 インナーカバー部
41 ドーム部
41a,41b,41c 螺子穴部
42 平板部
42h 穴部
50 第1容量素子
51 容量板部
51a,51b 穴部
60 第2容量素子
61 容量板部
61a 穴部
70 パッキン部
71,72 パッキン
80 車両取付具
S1,S2,S3,S4,S5 螺子
図1
図2
図3
図4
図5
図6