(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116028
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】踏台安定化機構及び踏台
(51)【国際特許分類】
E06C 1/39 20060101AFI20230815BHJP
E06C 5/36 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
E06C1/39 A
E06C5/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018553
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】598022956
【氏名又は名称】株式会社大同機械
(74)【代理人】
【識別番号】100169591
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】奥田 好昭
(72)【発明者】
【氏名】岩井 文哉
(72)【発明者】
【氏名】落合 康全
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044BA06
2E044BB04
2E044EE11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】作業者が昇降する際に加わる斜め方向または回転方向の力に対しても安定な踏台を提供する。
【解決手段】本発明の踏台安定化機構10aは、天板21と台22を有する踏台20aに取り付けることができ、踏台20aの台22に取り付けることができる取付部12と、上から見たときに台22から外側の床面に張り出すことができる平板11を備える。または、本発明の踏台20aは、天板21と台22と安定化機構10aとを有し、その安定化機構10aは、台22に取り付けることができる取付部12と、台22から外側の床面に張り出すことができる平板11を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と台を有する踏台に取り付けることができる踏台安定化機構であって、
前記台に取り付けることができる取付部と、上から見たときに前記台から外側の床面に張り出すことができる平板を備える、
踏台安定化機構。
【請求項2】
請求項1において、
前記取付部は、前記平板と一体で構成され、前記台の底面にある凹部に嵌め込まれることによって水平方向に固定される、
踏台安定化機構。
【請求項3】
請求項1において、
前記取付部は、前記天板上に設けられた凹部に嵌め込まれる部材と、前記台の外壁に沿って底部まで延びて前記平板を前記台の底面と略同じ高さの床面に接するように固定する部材とを備える、
踏台安定化機構。
【請求項4】
請求項1において、
前記踏台は水平方向に互いに連結するための連結部を有し、
前記取付部は、前記連結部と連結することができるように構成され、前記平板を前記台の底面と略同じ高さの床面に接するように固定する、
踏台安定化機構。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項において、
前記台は上から見たときに方形であり、
前記平板の幅は前記台に取り付けられた辺と略同じ幅である、
踏台安定化機構。
【請求項6】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項において、
前記台は上から見たときに方形であり、
前記平板の幅は前記台に取り付けられた辺よりも広い、
踏台安定化機構。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項において、
前記平板は、床面に貫通する孔を備える、
踏台安定化機構。
【請求項8】
天板と台と安定化機構とを有する踏台であって、
前記安定化機構は、前記台に取り付けることができる取付部と、前記台から外側の床面に張り出すことができる平板を備える、
踏台。
【請求項9】
請求項8において、
前記取付部は、前記平板と一体で構成され、前記台の底面にある凹部に嵌め込まれることによって水平方向に固定される、
踏台。
【請求項10】
請求項8において、
前記取付部は、前記台に固定され前記平板を水平方向にスライドできるように支持し、
前記平板は、前記スライドによって、前記取付部から前記台の外側に張り出した状態と、前記取付部に収納された状態とを変更することができるように構成される、
踏台。
【請求項11】
請求項8において、
前記取付部は、前記平板を前記台の底部で水平な面内で回転することができるように支持し、
前記平板は、前記回転によって、前記取付部から前記台の外側に張り出した状態と前記台の底部の下に収納された状態とを変更することができるように構成される、
踏台。
【請求項12】
請求項8から請求項11のうちのいずれか1項において、
前記台は上から見たときに方形であり、
前記平板の幅は前記台に取り付けられた辺と略同じ幅である、
踏台。
【請求項13】
請求項8、請求項9または請求項11において、
前記台は上から見たときに方形であり、
前記平板の幅は前記台に取り付けられた辺よりも広い、
踏台。
【請求項14】
請求項8から請求項13のうちのいずれか1項において、
前記平板は、床面に貫通する孔を備える、
踏台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏台安定化機構及び踏台に関し、特に建設現場等で使用される踏台に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
建設現場を含む多くの作業において、種々の踏台が使用されている。
【0003】
特許文献1には、高さを簡単に変えられる作業用踏台の発明が開示されている。天板を上下2個の台で支える構造で、上台と下台を上下に重ねることによって高く、上台と下台を組み合わせることによって低くすることができる。上台と下台は中央部を軸に上下方向の移動と水平面内の回転を可能とされ、90°回転することによって、上下に重ねて高くする状態と組み合わせて低くする状態とを切り替えることができる。
【0004】
特許文献2にも、高さを簡単に変えられる作業用踏台の発明が開示されている。作業者が天板の周縁部に乗ったときに踏台が安定しない問題点が指摘され、中央部に乗ることを示す指標を施す発明が開示されている(第0004段落~第0006段落)。
【0005】
特許文献3には、上下2段の階段状の天板を備える踏台が示され、安定性を向上するために、高い天板の脚部のうち低い天板から遠い2本の脚部に、低い天板から離れる方向に床面に突出する2本の安全ストッパーを取り付ける発明が開示されている。安全ストッパーは、脚部の支えに沿って収納することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-127145号公報
【特許文献2】特開2020-26694号公報
【特許文献3】特開平6-99368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2及び3について本発明者が検討した結果、以下のような新たな課題があることがわかった。即ち、従来の技術は、作業者の動きが考慮されておらず、安定性が十分ではないことがわかった。
【0008】
特許文献3に記載される階段状の踏台によれば、作業者は低い天板を踏んでから高い天板の上に登るので、作業者は低い天板と高い天板が配列された方向に移動するのが通常である。仮にこれ以外の方向から直接高い天板上に乗るような場合には、作業者は安定に対して十分に注意を払うと思われる。一方、特許文献1及び2のように高さを変更することができる踏台では、階段状でないため作業者が登る方向を特定することができない。特許文献2に開示される踏台には、作業面(天板)の周縁部に乗ると不安定になるとして、中央部に乗るように指示する指標が施されている。
【0009】
しかしこれは作業者が既に作業面(天板)に乗った後には機能するとしても、床面から作業面(天板)に登る動作よって誘発される不安定化については、まったく考慮されていないことに、本願発明者らは気付いた。作業者が天板に乗った状態では、作業者の体重は鉛直方向に係るので、踏台の中央部、即ち重心の直上に立って作業すれば踏台は安定している。しかしながら、踏台に上ると言う動作では、作業者の体重は斜め下方向から天板の上面に移動するので、踏台の重心を外れて斜めに横切る力、或いは、重心を中心に回転する力が作用することになる。
【0010】
本願発明者らは、このような分析に基づき、作業者が昇降する際に加わる斜め方向または回転方向の力に対しても踏台の安定を保つという、新規の課題を見出したものである。
【0011】
本発明の目的は、作業者が昇降する際に加わる斜め方向または回転方向の力に対しても安定な踏台を提供することである。
【0012】
このような課題を解決するための手段を以下に説明するが、その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の踏台安定化機構は、天板と台を有する踏台に取り付けることができ、踏台の台に取り付けることができる取付部と、上から見たときに前記台から外側の床面に張り出すことができる平板を備える。
【0014】
本発明の踏台は、天板と台と安定化機構とを有し、その安定化機構は、台に取り付けることができる取付部と、台から外側の床面に張り出すことができる平板を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0016】
すなわち、作業者が昇降する際に加わる斜め方向または回転方向の力に対しても安定な踏台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の踏台安定化機構の取付部の構造を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、本発明の踏台安定化機構の構成例10jを示す平面図および拡大図である。
【
図19】
図19は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【
図21】
図21は、本発明の踏台安定化機構の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0019】
〔1〕踏台安定化機構(
図1~
図5等)
本発明の踏台安定化機構は、天板(21)と台(22)を有する踏台(20a、20b)に取り付けることができる踏台安定化機構(10a、10b、10c、10d、10e)であって、前記台(22)に取り付けることができる取付部(12)と、上から見たときに前記台(22)から外側の床面に張り出すことができる平板(11)を備える。
【0020】
これにより、作業者が昇降する際に加わる斜め方向または回転方向の力に対しても安定な踏台を提供することができる。
【0021】
〔2〕嵌め込み方式での取付け(
図1~
図3等)
〔1〕項の踏台安定化機構(10a、10b、10c)において、前記取付部(12)は、前記平板(11)と一体で構成され、前記台の底面にある凹部(図示を省略)に嵌め込まれることによって水平方向に固定される。
【0022】
これにより、踏台安定化機構の着脱を容易にすることができる。例えば、取付部が台の凹部に上下方向にスライドすることによって嵌め込まれる構造とすることにより、平板と一体化された取付部の上から台の凹部にスライドして嵌め込むことによって、踏台は自重によって平板を床面に押さえつけながら固定し、安定化機構として使うことができる一方、踏台を持ち上げるだけでその安定化機構を外すことができる。なおここで「水平方向に固定される」とは、水平方向の少しのズレも許容しないのではなく、踏台に昇降する際の安定化に支障のない程度の遊びを許容して固定されることを意味する。
【0023】
ここで、上述の「底面にある凹部」とは、上部取付部(12)と安定的に噛みあうことができるような凹みを指し、例えば複数の側板(221)によって囲まれた矩形筒状の空間や隙間などを含むことを意味する。すなわち「底面にある凹部」は、その幅や深さによって限定されるものではない。
【0024】
〔3〕天板からの吊り下げ方式での取付け(
図4、
図19)
〔1〕項の踏台安定化機構(10d、10k)において、前記取付部は、前記天板上に設けられた凹部(24)に嵌め込まれる部材(17)と、前記台の外壁(221)に沿って底部まで延びて前記平板(11)を前記台の底面と略同じ高さの床面に接するように固定する部材(12)とを備える。
【0025】
これにより、踏台を設置した後に安定化機構を取り付けることができ、踏台安定化機構の着脱を容易にすることができる。また、安定化機構の平板は踏台の底面と同じ高さに設計することができる。
【0026】
〔4〕水平方向に連結可能な踏台の連結部に連結される取付部(
図5、
図20)
〔1〕項の踏台安定化機構(10e)において、前記踏台は水平方向に互いに連結するための連結部(26,27)を有し、前記取付部(12,15)は、前記連結部と連結することができるように構成され、前記平板を前記台の底面と略同じ高さの床面に接するように固定する。
【0027】
これにより、踏台を設置した後に安定化機構を取り付けることができ、踏台安定化機構の着脱を容易にすることができる。また、安定化機構の平板は踏台の底面と同じ高さに設計することができる。
【0028】
〔5〕平板は踏台と同じ幅(
図1,
図2,
図6~
図7,
図9~
図12)
〔1〕項から〔4〕項のいずれか1項の踏台安定化機構において、前記台は上から見たときに方形であり、前記平板の幅は前記台に取り付けられた辺と略同じ幅である。
【0029】
これにより、安定化機構を取り付けられた踏台は、いろいろな角度からの作業者の昇降に対して安定化される。
【0030】
〔6〕平板の幅は踏台よりも広い(
図3,
図4,
図8,
図13,
図14)
〔1〕項から〔4〕項のいずれか1項の踏台安定化機構において、前記台は上から見たときに方形であり、前記平板の幅は前記台に取り付けられた辺よりも広い。
【0031】
これにより、安定化機構を取り付けられた踏台は、より大きな角度からの作業者の昇降に対して安定化される。
【0032】
〔7〕平板にアンカー用孔(
図1~
図21)
〔1〕項から〔6〕項のうちのいずれか1項の踏台安定化機構(10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10m)において、前記平板は、床面に貫通する孔(19)を備える。
【0033】
これにより、踏台安定化機構は、平板をアンカーによって床面に固定することができ、踏台全体がより安定化される。従来の踏台は、床面に固定する機構を持たず、またそのような機構を設けることは容易ではないが、本発明の安定化機構は床面に張り出した平板を備えるので、その平板に貫通孔を設けるだけで踏台全体を床に固定することができる。
【0034】
〔8〕安定化機構を備える踏台(
図1~
図3、
図15~
図18)
本発明の踏台は、天板(21)と台(22)と安定化機構(10a、10b、10c、10i、10j)とを有する踏台(20a、20b)であって、前記安定化機構は、前記台に取り付けることができる取付部(12)と、前記台から外側の床面に張り出すことができる平板(11,16)を備える。
【0035】
これにより、作業者が昇降する際に加わる斜め方向または回転方向の力に対しても安定な踏台を提供することができる。
【0036】
〔9〕嵌め込み方式での取付け(
図1~
図3)
〔8〕項の踏台において、前記取付部は、前記平板と一体で構成され、前記台の底面にある凹部(図示を省略)に嵌め込まれることによって水平方向に固定される。
【0037】
これにより、〔1〕項の踏台安定化機構と同様に、踏台安定化機構の着脱を容易にすることができる。
【0038】
〔10〕スライド方式での取付け(
図15、
図16、
図21)
〔8〕項の踏台において、前記取付部は、前記台に固定され、前記平板(16)を水平方向にスライドできるように支持し、前記平板は、前記スライドによって、前記取付部から前記台の外側に張り出した状態と、前記取付部に収納された状態とを変更することができるように構成される。
【0039】
これにより、安定化機構と踏台を一体化し、踏台の運搬や設置など、取り扱いを容易にすることができる。安定化が必要な場合にスライドして平板を張り出させることによって安定化に寄与させ、安定化が不要なときには踏台内の取付部に収容しておくことができる。
【0040】
なお、本〔10〕項のスライド方式での取付けは、上記取付部を上記台と一体化して構成しても、上記取付部を上記台に着脱することができるように構成してもよい。
【0041】
〔11〕回転式での取付け(
図17、
図18)
〔8〕項の踏台において、前記取付部は、前記平板(11)を前記台の底部で水平な面内で回転することができるように支持し、前記平板は、前記回転によって、前記取付部から前記台の外側に張り出した状態と、前記台の底部の下に収納された状態とを変更することができるように構成される。
【0042】
これにより、安定化機構と踏台を一体化し、踏台の運搬や設置など、取り扱いを容易にすることができる。安定化が必要な場合に回転して平板を張り出させることによって安定化に寄与させ、安定化が不要なときには踏台の底部の内側に収容しておくことができる。
【0043】
なお、本〔11〕項の回転式での取付けは、上記取付部を上記台と一体化して構成しても、上記取付部を上記台に着脱することができるように構成してもよい。
【0044】
〔12〕平板は踏台と同じ幅(
図1,
図2,
図6~
図7,
図9~
図12)
〔8〕項から〔11〕項のいずれかの踏台において、前記台は上から見たときに方形であり、前記平板の幅は前記台に取り付けられた辺と略同じ幅である。
【0045】
これにより、安定化機構を備える踏台は、いろいろな角度からの作業者の昇降に対して安定化される。
【0046】
〔13〕平板の幅は踏台よりも広い(
図3)
〔8〕項,〔9〕項または〔11〕項の踏台において、前記台は上から見たときに方形であり、前記平板の幅は前記台に取り付けられた辺よりも広い。
【0047】
これにより、安定化機構を備える踏台は、より大きな角度からの作業者の昇降に対して安定化される。
【0048】
〔14〕平板にアンカー用孔(
図1~
図21)
〔8〕項から〔13〕項のうちのいずれか1項の踏台(10a~10m)において、前記平板は、床面に貫通する孔(19)を備える。
【0049】
これにより、踏台安定化機構は、平板をアンカーによって床面に固定することができる、踏台全体がより安定化される。従来の踏台は、床面に固定する機構を持たず、またそのような機構を設けることは容易ではないが、本発明の安定化機構は床面に張り出した平板を備えるので、その平板に貫通孔を設けるだけで踏台全体を床に固定することができる。
【0050】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0051】
図1は、本実施形態の踏台安定化機構10aの構成例を示す斜視図である。踏台20aは、天板21と台22とから構成される。天板21は、平面視にて正方形等の矩形に形成され、上面に多数の凹凸(図示は省略)による滑り止めと、上下に貫通する水抜き孔24を設けており、台22の上部に取付けることにより踏台20aの天板面を構成する。台22は、上面からの平面視にて天板21と略一致する矩形となる矩形筒状に形成される。台22は、4枚の側板221から構成される。側板221は、床面に接する位置が
図1に示すように台形状に切り欠けされ、隙間25と脚部23が形成される。天板21と台22は、合成樹脂によって成形されるが、金属あるいは木材によって形成されてもよい。天板21と台22は、図示しない接合機構によって互いに固着され、一体となって踏台20aを構成する。
【0052】
踏台安定化機構10aは、平板11と複数の取付部12とから構成される。平板11は、略T字状の形状をしており、台22の隙間25の下に位置するよう隙間25の幅より狭い幅を有する部分と、平面視したときに台22から外側の床面に張り出した部分とからなる。本実施形態では床面に張り出した部分は、台22の側板221と略一致する幅に構成されているが、それよりも狭い幅でも広い幅でもよい。狭い幅に構成した場合は、平板がコンパクトになる反面、台22の側板に対する斜め方向への安定性が若干低下する。広い幅に構成した場合は、平板は大きくなるが、台22の側板221に対する斜め方向への安定性は大きくなる。取付部12は、平板11を台22の底面に固定することができるように構成される。例えば、取付部12は、平板11から上方垂直方向に形成され、踏台20aに対して設置された場合に、踏台20aの側板221の内側と外側に位置するように対向して構成される。取付部12の内側と外側の距離は、側板221の厚さとほぼ一致するか、数ミリ程度広く設定されるとよい。または、取付部12は、側板221の外側に代えて内側に、側板221からの距離の異なる複数個で構成されていてもよい。平板11は、ペグやボルトなどにより地面に固定可能なように貫通したアンカー用孔19が形成されるとよい。平板11と複数の取付部12は、金属により形成され、一体に形成されてもよいし、別個に形成されてボルトによって接合されて形成されてもよい。また、平板11の床面に設置する面に滑り止めのための溝を形成したり、滑り止めのシートを貼付けしてもよい。
【0053】
図1aは、踏台安定化機構10aを踏台20aに設置する前の状態を示す。踏台安定化機構10aは、床面に設置される。踏台20aを上方から下方に側板221が取付部12の間に位置するように移動させる。側板部221に対して内側の取付部12と外側の取付部12に挟まれた状態でスライドさせながら、台22の脚部23が床面に設置するまで移動させる。
図1bは、取り付け後の状態を示す。この状態で、台22の側板221は取付部12に挟持された形となり、取付部12は側板221を支持し、側板221の斜め方向または回転方向による動きを支えることができる。踏台安定化機構10aを床面に固定する場合は、アンカー用孔19を介してペグやボルトによって固定する。
【0054】
本実施形態の踏台安定化機構10aにより、作業者が昇降する際に加わる斜め方向または回転方向の力に対しても安定な踏台を提供することができる。作業者が踏台20aに昇降する際、あるいは作業時に、天板21の周縁部に足をかけた場合も、踏台安定化機構10aによって側板221の斜め方向または回転方向による動きを支えることができ、踏台を安定させることができる。また、踏台安定化機構10aは踏台20aをスライド移動させるだけで容易に着脱可能である。
【0055】
以上は、台22が四方の側面を側板221で形成された単純な構造であることを想定して説明したが、台22の底部に複雑な凹凸が形成されている場合には、取付部12をその凹部に嵌め込まれるように適宜変更すればよい。また、上(
図1)は取付部12を側板221の外側にも設ける構成例であるが、取付部12と前記凹部の嵌合が十分であれば、側板221の外側の取付部12は不要となる。なお、このことは他の図を引用して説明する他の構成例についても同様に妥当する。
【0056】
図2は、別の実施形態の踏台安定化機構10bの構成例を示す斜視図である。平板11は、略I字型の形状をしており、長手方向(図面の左右方向)は、台22の一辺の長さより長く、長手方向と垂直の方向の幅は台22の幅とほぼ同一である。平板11の長手方向と垂直方向の幅は、台22の隙間25の幅よりも狭い幅の個所が形成されており、その狭い幅の個所が台22の幅よりも長く続くよう形成されている。これによって平板11は、台22の下に設置された状態で、台22の対向する側板221の隙間25と床面との間を貫通し、対向する側板221の両面から張り出した形で設置される。平板11には、取付部12が平板11から上方垂直方向に形成され、踏台20aに対して設置された場合に、踏台20aの対向する側板221の内側に接する位置に形成される。つまり、長手方向に対向して形成された取付部12の互いの外側どうしの距離が、台22の対向する側板221の内側面の間隔と同じになる。平板11と複数の取付部12は、金属により形成され、一体に形成されていてもよいし、別個に形成されてボルトによって接合されて形成されていてもよい。平板11にはペグやボルトなどにより地面に固定可能なように貫通したアンカー用孔19が形成されていてもよい。また、平板11の床面に設置する面に滑り止めのための溝を形成したり、滑り止めのシートを貼付けしてもよい。
【0057】
図2aは、踏台安定化機構10bを踏台20aに設置する前の状態を示す。踏台安定化機構10bは、床面に設置される。踏台20aを上方から下方に側板221が取付部12の間に位置するように移動させる。対向する側板部221の内側面がそれぞれ取付部12と接する状態、つまり対向する側板部221の内側面が取付部12を挟んだ状態でスライドさせながら、台22の脚部23が床面に設置するまで移動させる。
図2bは、取り付け後の状態を示す。踏台安定化機構10bを床面に固定する場合は、アンカー用孔19を介してペグやボルトによって固定することができるように構成されていてもよい。この状態で、台22の側板221の内側面は取付部12と接した形となり、取付部12は側板221を支持し、側板221の斜め方向または回転方向による動きを支えることができる。特に、台22の
図2紙面左右方向の端部に作業者が足をかけた場合であっても、取付部12が側板221の内面を支持することにより
図2の紙面左右方向いずれにも傾くことを防止することができる。
【0058】
図3は、別の実施形態の踏台安定化機構10cの構成例を示す斜視図である。平板11は、略正方形の形状をしており、平板11の各辺の長さは台22の一辺の長さより長い。平板11には、矩形の貫通溝13が2つ形成されている。貫通溝13は、平板11の上に踏台20aが位置した時に、踏台20aの脚部23が貫通溝13を通って床面に設置するように形成されており、本実施例では踏台20aの2つの脚部23をカバーする形で長方形の貫通溝13が2つ形成されている。貫通溝13はこの形態に限らず、脚部23一つに対応して正方形の貫通溝13が4つ形成される形でもよい。取付部12は、平板11から上方垂直方向に形成され、踏台20aに対して設置された場合に、踏台20aの側板221の内側四隅に対応した位置に略L字型に形成される。取付部12のL字型の直角の先端部は、側板221の内側で形成される角に近接し、取付部12の外側平面は側板221の内側面と接するように形成されている。つまり、上方から平面視した時に、4つのL字型の取付部12の外側面で形成される矩形は、側板221の内側面で形成される矩形と略一致するかわずかに小さい。平板11と複数の取付部12は、金属により形成され、一体に形成されてもよいし、別個に形成されてボルトによって接合されて形成されていてもよい。平板11は、ペグやボルトなどにより地面に固定可能なように貫通したアンカー用孔19が形成されていてもよい。また、平板11の床面に設置する面に滑り止めのための溝を形成したり、滑り止めのシートを貼付けすることができる。
【0059】
図3aは、踏台安定化機構10cを踏台20aに設置する前の状態を示す。踏台安定化機構10cは、床面に設置される。踏台20aを上方から下方に側板221が取付部12の間に位置するように移動させる。取付部12のL字型の外側平面と台22の側板221の内側面とが近接した状態で踏台20aをスライドさせながら、台22の脚部23が床面に設置するまで移動させる。
図3bは、取り付け後の状態を示す。この状態で、台22の側板221は取付部12の外面を囲い込む形となり、取付部12は側板221を支持し、側板221の斜め方向または回転方向による動きを支えることができる。踏台安定化機構10cを床面に固定する場合は、アンカー用孔19を介してペグやボルトによって固定することができる。
【0060】
本実施形態の踏台安定化機構10cにより、作業者が昇降する際に加わる斜め方向または回転方向の力に対しても安定な踏台を提供することができる。踏台安定化機構10cの幅が踏台20aよりも広く、側板221の4方向いずれにも平板11が外側に張り出すため、作業者が踏台20aに昇降する際、あるいは作業時に、いずれの方向から天板21の周縁部に足をかけた場合も、取付部12によって側板221の斜め方向または回転方向による動きを支えることができ、踏台を安定させることができる。また、踏台安定化機構10aは踏台20aをスライド移動させるだけで容易に着脱可能である。
【0061】
図4は、別の実施形態の踏台安定化機構10dの構成例を示す斜視図である。平板11は、略長方形の形状をしており、長辺は側板221の幅よりも広い。取付部12は、平板11から上方垂直方向に形成され、台22の天板21の上面で90度折れ曲がり、天板21の水抜き孔24を覆うように水平面が形成されている。本実施例の踏台20aには4つの水抜き孔24が形成されており、その2つを覆うように平板11に対して取付部12が2つ形成されている。取付部12の水平面の水抜き孔24に対応する位置には、鉛直方向下に向けて図示しない棒状部材が形成されている。棒状部材は水抜き孔24に嵌合し、取付部12と踏台20aとは互いに床面と水平方向に並んで上下方向に固定される。平板11は、ペグやボルトなどにより地面に固定可能なように貫通したアンカー用孔19が形成されていてもよい。平板11と複数の取付部12は、金属により形成され、一体に形成されてもよいし、別個に形成されてボルトによって接合されて形成されてもよい。また、平板11の床面に設置する面に滑り止めのための溝を形成したり、滑り止めのシートを貼付けすることができる。
【0062】
取付時には、床面に設置された踏台20aに対して踏台安定化機構10dを上方から接近させ、棒状部材を水抜き孔24に差し込む。その状態から、取付部12の垂直方向平面と側板221とが近接した状態で平板11の下部が床面に接触するまで垂直方向にスライドさせる。
図4は取付後の状態を示しており、この状態で踏台20aは、側板221が取付部12で支持され、棒状部材は水抜き孔24に嵌合し、踏台安定化機構10dと踏台20aとは互いに床面と水平方向に固定される。
【0063】
本実施形態の踏台安定化機構10dにより、踏台を設置した後に安定化機構を取り付けることができ、踏台安定化機構の着脱を容易にすることができる。また、安定化機構の平板は踏台の底面と同じ高さに設計することができる。
【0064】
なお、天板21に形成された孔を「水抜き穴24」として説明したが、目的や構造は水抜きに限定されるものではない。取付部12が天板21に嵌め込まれる構造であれば任意である。例えば、脚部23を円柱形としておき、踏み台20aを上下に積み重ねるときに、円柱形とした脚部23と嵌合するような穴であってもよい。
【0065】
図5は、別の実施形態の踏台安定化機構10eの構成例を示す斜視図である。踏台20bは、踏台20aと共通する形状であるが、連結部26および連結受部27が形成されている点で異なる。連結部26は、連結受部27に互いに嵌合する形状であり、互いに隣接した踏台20bの連結部26と連結受部27を係合させて踏台20bを拡張することができる。踏台安定化機構10eは、取付部12と平板11とから構成され、取付部12は平板11から上方垂直方向に形成される。
図5bに示すように踏台安定化機構10eが踏台20bに設置された状態における取付部12が踏台20bと接する面には、踏台20bの連結部26と同形状の接合部15が形成されている。接合部15は、踏台20bの連結受部27と互いに係止しあうことができる。これによって、踏台安定化機構10eは踏台20bに連結され固定される。平板11と複数の取付部12は、金属により形成され、一体に形成されていてもよいし、別個に形成されてボルトによって接合されて形成されていてもよい。また、平板11の床面に設置する面に滑り止めのための溝を形成したり、滑り止めのシートを貼付けすることもできる。
【0066】
図5aは、踏台安定化機構10eを踏台20bに設置する前の状態を示す。床面に設置された踏台20bに対して踏台安定化機構10eを上方から接近させ、連結部12の接合部15が形成された平面と踏台20bの側板221とが接した状態で踏台安定化機構10eを下方にスライドさせながら移動させる。この状態で接合部15と連結受部27を嵌合させてさらに踏台安定化機構10eをさらに下方に平板11の下面が床面に接するまでスライドさせる。
図5bは、取付後の状態を示しており、この状態で踏台20aは、側板221が取付部12で支持され、踏台安定化機構10eと踏台20aとは互いに床面と水平方向に固定される。踏台安定化機構10eを床面に固定する場合は、アンカー用孔19を介してペグやボルトによって固定することができる。
【0067】
本実施形態の踏台安定化機構10eにより、安定化機構と踏台を一体化し、踏台の運搬や設置など、取り扱いを容易にすることができる。安定化が必要な場合にスライドして平板を張り出させることによって安定化に寄与させ、安定化が不要なときには踏台内の取付部に収容しておくことができる。
【0068】
なお、本実施例は踏台20b1台に対して踏台安定化機構10eを設置した例を示したが、踏台20bが複数台連結された状態でその一番外部にある踏台20bの端部に踏台安定化機構10eを連結することができる。これにより踏台20bが連結され拡張された足場に対して、より安定性を増すことができる。
【0069】
図6は、踏台安定化機構10aを踏台20cに対して設置した例を示す構成図である。踏台20cは、踏台20aと同様に、天板21、台22からなり、台22は、側板221、脚部23、隙間25から構成される。踏台20aとの違いは、側板221が折畳可能に構成されており、不使用時にはコンパクトに折りたたむことができる点である。
図6では、側板221が展開された状態で使用時の状態である。このとき、台22は展開された4枚の側板221で構成された矩形筒状の構造となっている。踏台安定化機構10aは、踏台20aに対して設置された時と同様に、床面に設置された踏台安定化機構10aに対して上方から踏台20cを下方に移動させ、側板221が踏台安定化機構10aの取付部12に挟持される位置に固定される。これにより、側板221は、取付部12に支持され、作業者が昇降する際に加わる斜め方向または回転方向の力に対しても安定な踏台を提供することができる。
【0070】
図7は、踏台安定化機構10bを踏台20cに対して設置した例を示す構成図である。すでに説明したように踏台安定化機構10bは、取付部12により、踏台20aの側板221を4方向の内側から支持する。これと同様にこの実施例では、展開された状態の側板221を、踏台20cの内側から取付部12が支持する。これにより、取付部12に支持され、作業者が昇降する際に加わる斜め方向または回転方向の力に対しても安定な踏台を提供することができる。
【0071】
図8は、踏台安定化機構10cを踏台20cに対して設置した例を示す構成図である。
図3に示した踏台安定化機構10bとの違いは、貫通溝13が踏台20cに対応して4つ設けられている点である。すでに説明したように踏台安定化機構10cは、取付部12により、踏台20aの側板221を4方向の内側から支持する。これと同様にこの実施例では、展開された状態の側板221を、踏台20cの4方向の内側から取付部12が支持する。これにより、取付部12に支持され、作業者が昇降する際に加わる斜め方向または回転方向の力に対しても安定な踏台を提供することができる。踏台安定化機構10cの幅が踏台20aよりも広く、側板221の4方向いずれにも平板11が外側に張り出すため、作業者が踏台20aに昇降する際、あるいは作業時に、いずれの方向から天板21の周縁部に足をかけた場合も、取付部12によって側板221の斜め方向または回転方向による動きを支えることができ、踏台を安定させることができる。
【0072】
図9および
図10は、別の実施形態の踏台安定化機構10fの構成例を示す斜視図である。踏台20dは、特開2012-127145号公報に開示されている踏台と同様の形状をした踏台である。踏台20dは、天板21を上下2個の台で支える構造で、上台222と下台223を上下に重ねることによって高く、上台222と下台223を組み合わせることによって低くすることができる。上台222と下台223は中央部を軸に上下方向の移動と水平面内の回転を可能とされ、90°回転することによって、上下に重ねて高くする状態と組み合わせて低くする状態とを切り替えることができる。
図9は、踏台20dの上台222と下台223が上下に重ねられて高くされた状態を示し、上台222と下台223の側板221が上下に連続して積み重なっている。下台223の側板221には、脚部23と隙間25が形成されている。
図10aは、下台223を床面方向から見た底面の平面図である。下台223の側板221は、対向する面とで一体に形成され、略台形状の凹状に窪んでおり、凹状の窪みの斜面部分である側板斜部2231を有する。
【0073】
平板11は、略T字状の形状をしており、台22の隙間25の下に位置するよう隙間25の幅より狭い幅を有する部分と、上から平面視したときに台22から外側の床面に張り出した部分とからなる。本実施例では床面に張り出した部分は、台22の側板221と略一致する幅に構成されているが、それよりも狭い幅でも広い幅でもよい。狭い幅に構成した場合は、平板がコンパクトになる反面、台22の側板に対する斜め方向への安定性が若干低下することになる。広い幅に構成した場合は、平板は大きくなるが、台22の側板221に対する斜め方向への安定性は大きくなる。取付部12は、平板11から上方垂直方向に形成され、踏台20dに対して設置された際に、踏台20dの側板221の内側に近接して位置する。平板11には係止軸14が上方垂直方向に形成され、踏台20dに対して設置された際に、
図10に示す側板221の床面に接する面に形成された水抜き孔28に嵌合するように形成される。ここで「水抜き孔28」として説明しているが、「水抜き」は一例に過ぎず、孔8はどのような目的でもどのような形態の孔であってもよい。円形の孔を例示するので、取付部12にはその孔に合わせて係止軸14として説明している。平板11が踏み台20dから離れる方向と同じ方向に離れた2箇所以上で、台22の底面と噛みあう構造を備えることが重要であって、その機能や形状は任意である。
【0074】
踏台安定化機構10fは、床面に設置される。踏台20dを上方から下方に側板221の内側面が取付部12に近接するように移動させる。このとき、
図10の破線部で示された、側板221と側板斜部2231とからなるテーパー状に形成された空間のうち最も幅の広い箇所に取付部12が挿入されるように踏台20dを移動させる。2つの取付部12の幅は、この破線部で表される2つの空間の幅と略一致しており、これにより取付部12は踏台20dに対して側板221の水平方向に対して固定される。さらに踏台20dを下方に移動させ、係止軸14が水抜き孔28に差し込まれるようにして脚部23が床面に接するまで移動させる。
図9は、取り付け後の状態を示す。この状態で、台22の側板221は取付部12と係止軸14によって支持され、側板221の斜め方向または回転方向による動きを支えることができる。踏台安定化機構10fを床面に固定する場合は、アンカー用孔19を介してペグやボルトによって固定することができる。
【0075】
図11および
図12は、別の実施形態の踏台安定化機構10gの構成例を示す斜視図である。
図12は、踏台安定化機構10gが踏台20dに設置された状態を示す。踏台安定化機構10gは、平板11と4つの取付部12および係止軸14とから構成される。平板11は、略I字型の形状をしており、長手方向(図面の左右方向)は、台22の一辺の長さより長く、長手方向と垂直の方向の幅は台22の幅とほぼ同一である。平板11の長手方向と垂直方向の幅は、台22の隙間25の幅よりも狭い幅の個所が形成されており、その狭い幅の個所が台22の幅よりも長く続くよう形成されている。これによって平板11は、台22の下に設置された状態で、台22の対向する側板221の隙間25と床面との間を貫通し、対向する側板221の両面から張り出した形で設置される。踏台安定化機構10fと同様に、取付部12は側板221の内側に位置し、係止軸14は、水抜き孔28に挿入される。
【0076】
踏台安定化機構10gは、床面に設置される。踏台20dを上方から下方に側板221の内側面が取付部12に近接するように移動させる。このとき、
図10の破線部で示された(反対の側板221についても図示しないが同様である)、側板221と側板斜部2231とからなるテーパー状に形成された空間のうち最も幅の広い箇所に取付部12が挿入されるように踏台20dを移動させる。2つの取付部12の幅は、この破線部で表される2つの空間の幅と略一致しており、これにより取付部12は踏台20dに対して側板221の水平方向に対して固定される。さらに踏台20dを下方に移動させ、係止軸14が第2の水抜き孔28に差し込まれるようにして脚部23が床面に接するまで移動させる。
図12は、取り付け後の状態を示す。この状態で、台22の側板221は取付部12と係止軸14によって支持され、側板221の斜め方向または回転方向による動きを支えることができる。特に、台22の踏台安定化機構10gの長手方向の両端部に作業者が足をかけた場合であっても、取付部12が側板221の内面を指示することにより踏台20dが傾くことを防止することができる。踏台安定化機構10gを床面に固定する場合は、アンカー用孔19を介してペグやボルトによって固定することができる。
【0077】
図13および
図14は、別の実施形態の踏台安定化機構10hの構成例を示す斜視図である。踏台安定化機構10hは、平板11と4つの取付部12および係止軸14とから構成される。
図14は、踏台安定化機構10hが踏台20dに設置された状態を示す。平板11は、略正方形の形状をしており、平板11の一辺の各辺の長さは台22の一辺の長さより長い。平板11には、5角形の貫通溝13が4つ形成されている。貫通溝13は、平板11の上に踏台20aが位置した時に、踏台20aの脚部13が貫通溝13を通って床面に設置するように形成されている。貫通溝13はこの形態に限らず、
図3のように2つの脚部23に対応した長方形の貫通溝13が2つ形成される形でもよい。また、貫通溝13の形状は脚部23が通過する形状であれば円形など任意の形状に形成されていてもよい。踏台安定化機構10gと同様に、取付部12は側板221の内側に位置し、係止軸14は、水抜き孔28に挿入される。
【0078】
踏台安定化機構10hは、床面に設置される。踏台20dを上方から下方に側板221の内側面が取付部12に近接するように移動させる。このとき、
図10の破線部で示された(反対の側板221についても図示しないが同様である)、側板221と側板斜部2231とからなるテーパー状に形成された空間のうち最も幅の広い箇所に取付部12が挿入されるように踏台20dを移動させる。2つの取付部12の幅は、この破線部で表される2つの空間の幅と略一致しており、これにより取付部12は踏台20dに対して側板221の水平方向に対して固定される。さらに踏台20dを下方に移動させ、係止軸14が第2の水抜き孔28に差し込まれるようにして脚部23が床面に接するまで移動させる。
図14は、取り付け後の状態を示す。この状態で、台22の側板221は取付部12と係止軸14によって支持され、側板221の斜め方向または回転方向による動きを支えることができる。特に、台22の踏台安定化機構10gのいずれの周縁部に作業者が足をかけた場合であっても、取付部12が側板221の内面を支持することにより踏台20dが傾くことを防止することができる。踏台安定化機構10hを床面に固定する場合は、アンカー用孔19を介してペグやボルトによって固定できる。
【0079】
なお、ここまで
図11~
図14を引用して説明した構成例では、係止軸14が取付部12とは別の構成物であるため個別の名称を付して説明したが、係止軸14と取付部12を一体の構成物ととらえて取付部と呼んでもよい。また、それぞれ別の名称で呼んで、それらを合わせて取付部と呼んでもよい。
【0080】
図15および
図16は、別の実施形態の踏台安定化機構10iの構成例を示す斜視図である。踏台安定化機構10iは、踏台20aに取付けられ、取付部12および支持板16とから構成される。取付部12は、長方形筒上の形状であり、踏台20aに設置される際の床面方向に開口部121が形成されている。取付部12は、上面からの平面視で矩形であり、本実施形態では踏台20aの側板221に囲まれた内側の矩形とほぼ同じサイズである。支持板16は取付部12に収納可能な形状で、凸形状のガイド部161を有する略矩形平面の部材である。支持板16は取付部12の内部をスライドして移動することができる。支持板16は、
図16に示した方向の反対からも取付部12の内部をスライド可能としてもよく、支持板16が取付部12の図面左右方向いずれにもスライド可能として構成してもよい。また、取付部12には支持板16が取付部12から脱落することを防止するストッパー機構が設けられると好適である。
【0081】
踏台安定化機構10iの取付には、まず取付部12を4つの側板221に囲まれた空間にはめ込み、側板の最下点と取付部12の下面が一致する位置で固定する。固定は接着でもよいし、側板221に取付穴を設けてボルト等によって固定してもよい。または、
図21のように取付部12の上面に踏台20aの底面にある図示しない凹部に嵌合するように突起部材122を形成し、凹部と突起部位122が嵌合することにより、踏台安定化機構10iが踏台20aに固定されるようにしてもよい。これにより、本実施形態の踏台安定化機構10iを着脱可能とすることができる。取付部12の固定後、取付部12内に収納していた支持板16をスライドさせ、隙間25を通過して側板221から突出させる。支持板16は使用しない場合は、取付部12内にスライド移動して収納することができる。
【0082】
これにより、安定化機構と踏台を一体化し、踏台の運搬や設置など、取り扱いを容易にすることができる。安定化が必要な場合にスライドして平板を張り出させることによって安定化に寄与させ、安定化が不要なときには踏台内の取付部に収容しておくことができる。また、支持板16を張り出した状態で床面に固定させるために、アンカー用孔19を介してペグなどやボルト等によって固定することができる。
【0083】
ここで支持板16は、構造上平板ではないため便宜上別の呼称である「支持板」を用いたが、他の構成例における平板11と同様の機能を有するので、広義には平板11の一変形例である。
【0084】
図17および
図18は、別の実施形態の踏台安定化機構10jの構成例を示す斜視図および平面図である。踏台20eは、踏台20aと略同じ構成であるが、脚部23が円筒状の形状をしている点で相違する。踏台安定化機構10jは、平板11と取付部12とから構成されている。平板11は、円の4分の1の扇形の形状をしており、半径は踏台20eの一片の略半分である。平板11の厚さは、踏台20eの隙間25の高さより小さい。取付部12はボールベアリングからなる内部が回動可能な部材である。取付部12は平板11の開口部に固定されて取り付けられ、取付部12の内周側に踏台20eの脚部23を嵌合させることにより、平板11を踏台20eに固定する。これにより、平板11は脚部23を軸にして回動可能となり、側板221から平板を張り出させることができる。また、平板11を張り出した状態で床面に固定させるために、アンカー用孔19を介してペグなどやボルト等によって固定することができる。
【0085】
これにより、安定化機構と踏台を一体化し、踏台の運搬や設置など、取り扱いを容易にすることができる。安定化が必要な場合に回転して平板を張り出させることによって安定化に寄与させ、安定化が不要なときには踏台の底部の内側に収容しておくことができる。
【0086】
なお、本実施形態では脚部23が円筒形の例を示したが、脚部の形状は転可能な取付部12の内側に嵌め込まれる形状であれば任意である。また、平板11の取付部12は、踏台20eの脚部23に固定されてもよいし、着脱可能な構成とされてもよい。
【0087】
図19は、別の実施形態の踏台安定化機構10kの構成例を示す斜視図である。
図19aは取付前の状態を、
図19bは取付後の状態を示す。踏台20fは、踏台20aと同様の構造であるが、天板21の四隅に天板21の高さより低く形成されたコーナー凹部29が形成されている点が異なる。平板11は、略長方形の形状をしており、長辺は側板221の幅よりも広い。取付部12は、平板11から上方垂直方向に形成され、床部からの高さが台22のコーナー凹部29の上部の高さと同じとなる高さで90度折れ曲がり、コーナー凹部29および水抜き孔24を覆うように水平面が形成されている。本実施形態の踏台20fには4つの水抜き孔24およびコーナー凹部29が形成されており、その2つを覆うように平板11に対して取付部12が2つ形成されている。取付部12の水平面の水抜き孔24に対応する位置には、鉛直方向下に向けて棒状部材17が形成されている。棒状部材17は水抜き孔24に挿入され、取付部12と踏台20fとは互いに床面と水平方向に並んで上下方向に固定される。平板11には、ペグやボルトなどにより地面に固定可能なように貫通したアンカー用孔19が形成されていてもよい。平板11と複数の取付部12及び棒状部材17は、金属により形成され、一体に形成されてもよいし、別個に形成されてボルトによって接合されて形成されてもよい。また、平板11の床面に設置する面に滑り止めのための溝を形成したり、滑り止めのシートを貼付けすることができる。
【0088】
取付時には、床面に設置された踏台20fに対して踏台安定化機構10kを上方から接近させ、棒状部材17を水抜き孔24に差し込む。その状態から、取付部12の垂直方向平面と側板221とが近接した状態で平板11の下部が床面に接触するまで垂直方向にスライドさせる。
図19bは取付後の状態を示しており、この状態で踏台20fは、側板221が取付部12で支持され、棒状部材17は水抜き孔24に嵌合し、取付部12の水平面がコーナー凹部29に位置する。水平面の大きさは上面からの平面視でコーナー凹部29とほぼ同じ形状で、厚さもコーナー凹部29の深さとほぼ同じであるとよい。その形状であれば、取付部12が設置されることにより天板21とで一体となって平面を構成することができ、天板21上での作業者の安全性を向上させることができ、また取付部12の水平部への固定を強固にすることができる。取付部12の設置により、踏台安定化機構10kと踏台20fとは互いに床面と水平方向に固定される。
【0089】
本実施形態の踏台安定化機構10kにより、踏台を設置した後に安定化機構を取り付けることができ、踏台安定化機構の着脱を容易にすることができる。また、安定化機構の平板は踏台の底面と同じ高さに設計することができる。
【0090】
なお、天板21に形成された孔を「水抜き穴24」として説明したが、目的や構造は水抜きに限定されるものではない。例えば、脚部23を円柱形としておき、踏み台20aを上下に積み重ねるときに、円柱形とした脚部23と嵌合するような穴であってもよい。
【0091】
図20は、別の実施形態の踏台安定化機構10mの構成例を示す斜視図である。踏台20gは、踏台20bと同様に連結部26および連結受部27が形成されている踏台であるが、連結部26と連結受部27とが同じ面に形成されている点で異なる。連結部26は、連結受部27に互いに嵌合する形状であり、互いに隣接した踏台20gの連結部26と連結受部27を係合させて踏台20gを拡張することができる。踏台安定化機構10mは、取付部12と平板11とから構成され、取付部12は平板11から上方垂直方向に形成される。
図20bに示すように踏台安定化機構10mが踏台20gに設置された状態における取付部12が踏台20gと接する面には、踏台20gの連結部26および連結受部27と同形状の接合部15が形成されている。接合部15は、踏台20gの連結部26および連結受部27と互いに係止しあうことができる。これによって、踏台安定化機構10mは踏台20gに連結され固定される。平板11と複数の取付部12は、金属により形成され、一体に形成されていてもよいし、別個に形成されてボルトによって接合されて形成されていてもよい。また、平板11の床面に設置する面に滑り止めのための溝を形成したり、滑り止めのシートを貼付けすることもできる。
【0092】
図20aは、踏台安定化機構10mを踏台20gに設置する前の状態を示す。床面に設置された踏台20gに対して踏台安定化機構10mを上方から接近させ、連結部12の接合部15が形成された平面の下端と踏台20gの天板21の上面が接し、かつ、踏台20gの連結部26および連結受部27と接合部15がかみ合う位置に接近させた状態で踏台安定化機構10mを下方にスライドさせながら移動させる。この状態で接合部15と連結部26および連結受部27を嵌合させてさらに踏台安定化機構10mをさらに下方に平板11の下面が床面に接するまでスライドさせる。
図20bは、取付後の状態を示しており、この状態で踏台20gは、側板221が取付部12で支持され、踏台安定化機構10mと踏台20gとは互いに床面と水平方向に固定される。踏台安定化機構10mを床面に固定する場合は、アンカー用孔19を介してペグやボルトによって固定することができる。
【0093】
本実施形態の踏台安定化機構10mにより、安定化機構と踏台をより強固に連結し、且つ、着脱も容易とすることができ、踏台の運搬や設置など、取り扱いを容易にすることができる。
【0094】
以上にて説明した実施形態においては、踏台20aないし踏台20gの形状は方形である場合について説明したが、この場合に限られず、踏台は上部から見た平面視において、略円形、半円形あるいは方形以外の多角形の形状であってもよい。また平板の形状についても、方形あるいは回転する扇形の形状である場合について説明したが、踏台の外側に張り出して踏台の安定性を向上させる機能を有する限りは円形や楕円形あるいは方形以外の他の多角形でもよい。また、各実施形態において、踏台安定化機構を常時利用する場合には、取付部を踏台に対して固定することにより着脱の手間をなくし、踏台安定化機構と既存の踏台を一体の新たな踏台として安定性を向上させることができる。
【0095】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0096】
10a~10m 踏み台安定化機構
11 平板
12 取付部
121 開口部
122 突起部材
13 貫通溝
14 係止軸
15 接合部
16 支持板
17 棒状部材
19 貫通孔
161 ガイド部
20a~20g 踏台
21 天板
22 台
221 側板
222 上台
223 下台
2231 側板斜部
23 脚部
24 水抜き孔
25 隙間
26 連結部
27 連結受部
28 第2の水抜き孔
29 コーナー凹部