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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116030
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】積層体および貼付材剥離方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20230815BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230815BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20230815BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20230815BHJP
   B32B 7/14 20060101ALI20230815BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C09J7/38
B32B27/00 M
B32B7/06
B32B7/022
B32B7/14
G09F3/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018556
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】平 美咲
(72)【発明者】
【氏名】金子 麻由
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4F100AK03
4F100AK04C
4F100AK25A
4F100AK42
4F100AK52B
4F100AT00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA32A
4F100CB05A
4F100DC23A
4F100DG10C
4F100GB31
4F100JL13A
4F100JL14B
4F100YY00C
4J004AA05
4J004AA10
4J004AA14
4J004AA15
4J004AB01
4J004CA04
4J004CB03
4J004CC02
4J004DB02
(57)【要約】
【課題】耐カール性に優れるとともに、剥離ライナーをめくるように変形させた際の貼付材の剥離性が良好な積層体を提供する。
【解決手段】積層体100は、貼付材110が剥離ライナー120の面121に剥離可能に積層されているとともに、剥離ライナーの前記面のうち、貼付材の配置箇所と異なる箇所が露出した構成を有する。剥離ライナーにつき、JIS L1096:2010、8.21に記載の45°カンチレバー法に準拠して測定される剛軟度は、50mm以上140mm以下である。貼付材につき、台1000に載置された10mm幅Wの試験片110Aを、試験片の載置面1001に垂直な方向IVから見て、台から10mmはみ出させ、当該はみ出し部113Aを押圧して90°曲げるのに要する力Fは、0.1N以上0.6N以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼付材が剥離ライナーの面に剥離可能に積層されるとともに、前記剥離ライナーの前記面のうち、前記貼付材の配置箇所と異なる箇所が露出した積層体であって、
前記剥離ライナーにつき、JIS L1096:2010、8.21に記載の45°カンチレバー法に準拠して測定される剛軟度が、50mm以上140mm以下であり、
前記貼付材につき、台に載置された10mm幅の試験片を、当該試験片の載置面に垂直な方向から見て、前記台から10mmはみ出させ、当該はみ出し部を押圧して90°曲げるのに要する力が、0.1N以上0.6N以下である、積層体。
【請求項2】
前記剥離ライナーにおいて、前記面と反対側の裏面同士の間の静止摩擦係数は、0より大きく4以下である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記剥離ライナーは、80g/m以上200g/m以下の坪量の紙によって形成された基材を有する、請求項1または請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記貼付材は、円形状または楕円形状を有する、請求項1~請求項3のうちのいずれか1つに記載の積層体。
【請求項5】
請求項1~請求項4のうちのいずれか1つに記載の積層体において、前記剥離ライナーをめくるように変形させ、前記貼付材の一部が、前記剥離ライナーから自然剥離した後、当該自然剥離した箇所から、前記貼付材を剥がす、貼付材剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体および貼付材剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な分野でシールやラベル等の貼付材が使用されている。例えば、特許文献1では、ハードディスク・ドライブに用いられる貼付材が開示されており、特許文献2では、自動車の車体構成部材に用いられる貼付材が開示されている。
【0003】
特許文献1の発明では、貼付材であるシールの一部に折り代が設けられており、これによって、貼付材をめくって台紙から剥がれ易くしているが、貼付材と剥離ライナーとが積層された積層体において、貼付材と剥離ライナーとのいずれをめくった方が両者を剥がし易いかは、状況によって異なる。
【0004】
例えば、本発明者らが検証したところ、貼付材が比較的小さい場合や手袋を着用して作業する場合、剥離ライナーをめくった方が、両者を剥がし易い。特に、剥離ライナーをめくるように変形させ、それに追従した貼付材が、反発力によって、剥離ライナーから部分的に剥離するようにすれば、貼付材を摘み易く、剥離が容易であることを、本発明者らは見い出した。
【0005】
また、本発明者らは、そのような貼付材の反発力を強める手法を検討し、検討の結果、同反発力は、貼付材の追従する剥離ライナーを変形し易くすることによって強められることが明らかとなったため、剥離ライナーのコシを弱めることを発案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6141279号公報
【特許文献2】実開平7-15516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コシの弱い剥離ライナーは、剥離前にカールするような癖がつき易く、耐カール性が低いという難点があった。
【0008】
一方で、剥離ライナーのコシを強めれば、耐カール性は向上するものの、剥離ライナーの変形、ひいてはそれに追従する貼付材の変形が抑えられ、その結果、剥離ライナーの変形を利用して貼付材を剥離させ難くなる。
【0009】
本発明は、それらの課題に鑑みてなされ、耐カール性に優れるとともに、剥離ライナーをめくるように変形させた際の貼付材の剥離性が良好な積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明は、貼付材が剥離ライナーの面に剥離可能に積層されるとともに、前記剥離ライナーの前記面のうち、前記貼付材の配置箇所と異なる箇所が露出した積層体である。前記剥離ライナーにつき、JIS L1096:2010、8.21に記載の45°カンチレバー法に準拠して測定される剛軟度は、50mm以上140mm以下である。前記貼付材につき、台に載置された10mm幅の試験片を、当該試験片の載置面に垂直な方向から見て、前記台から10mmはみ出させ、当該はみ出し部を押圧して90°曲げるのに要する力は、0.1N以上0.6N以下である。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を有する積層体によれば、剥離ライナーが、カールするような癖を抑制するのに好適な強いコシを有するため、優れた耐カール性が発揮される。
【0012】
また、剥離ライナーが強いコシを有するのに起因して、剥離ライナーの変形が緩やかになったとしても、貼付材が、それに応じて好適な反発力を発揮する強いコシを有するため、剥離ライナーをめくるように変形させた際の貼付材の剥離性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の積層体の側面図である。
図2】実施形態の積層体の平面図である。
図3】貼付材のコシの強さ測定のため試験片が台に配置された図である。
図4図3の矢印IVの方向(試験片の載置面に垂直な方向)から見た平面図である。
図5】貼付材のコシの強さ測定の概要を示す図である。
図6】貼付材のコシの強さ測定の概要を示す図である。
図7】貼付材のコシの強さ測定の概要を示す図である。
図8】剥離ライナーを部分的に拡大して示す側面図である。
図9】剥離ライナーをめくるように変形させた積層体の側面図である。
図10】めくるように変形させた剥離ライナーの湾曲部から、貼付材の端部が、反発力によって自然剥離した積層体の側面図である。
図11】貼付材が剥離されて剥離ライナーの余白部分が広がった積層体の側面図である。
図12】剥離ライナーの余白部分を裏面側に折り返した積層体の側面図である。
図13】剥離ライナーの湾曲した折り返し部から、貼付材の端部が、反発力によって自然剥離した積層体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる。
【0015】
図1に示すように、実施形態の積層体100は、貼付材110と、剥離ライナー120とが積層された構成を有する。貼付材110は、剥離ライナー120の面121に剥離可能に積層されている。貼付材110は、例えば、電気製品の分野において、ケーシングを構成する部材に形成された穴を塞ぐのに用いられるが、本発明が適用される分野や用途は、特に限定されない。
【0016】
貼付材110は、基材層111と、粘着剤層112とが積層された構成を有する。基材層111の形成材料は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンである。基材層111は、例えば、40μm以上500μm以下の厚みを有するが、これに限定されない。粘着剤層112は、例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等の粘着剤を主剤として構成され、また、必要に応じて、帯電防止剤や、可塑剤、粘着付与剤、安定剤等の各種添加剤を含んでもよい。
【0017】
図2示すように、貼付材110は、円形状を有しており、また、剥離ライナー120の面121のうち、貼付材110の配置箇所と異なる箇所は、露出している。
【0018】
貼付材110をどのようにして形作るかは、特に限定されないが、例えば、剥離ライナー120の面121の全体を覆うように形成された基材層111および粘着剤層112に対し、厚み方向に刃を入れて、貼付材110の外形形状を形成し、同外形形状の外側の不要な基材層111および粘着剤層112を剥がして除去する、いわゆるカス上げをすることによって、貼付材110を形作ることができる。
【0019】
貼付材110は、強いコシを有するが、具体的なコシの強さを、一般的な測定法、例えばJIS L1096:2010、8.21に記載の45°カンチレバー法に準じて規定しようとすると、測定対象である貼付材110の形状が、同測定法に適さず、コシの強さを規定できない。そこで、貼付材110については、独自の測定法によって、コシの強さを規定した。
【0020】
具体的に、図3に示すように、貼付材110から作られた試験片110Aを、台1000に対し、部分的にはみ出すように配置し、そのはみ出し部113Aを押圧して90°曲げるのに要する力を、コシの強さとした。
【0021】
台1000は、試験片110Aを載置する平らな載置面1001と、載置面1001から直角に曲がった角部1002とを有していれば、構造や大きさは、特に限定されない。試験片110Aは、粘着剤層112を介して載置面1001に固定されるが、これに限定されず、例えばテープを用いて固定する形態も、本発明の範囲に含まれる。はみ出し部113Aは、図3では載置面1001に水平に突出しているが、これに限定されず、撓んでいてもよい。試験片110Aは、貼付材110から切り出して形成される。
【0022】
図4に示すように、試験片110Aは、10mmの幅Wを有する。また、載置面1001に垂直な方向から見て、はみ出し部113Aは、台1000から10mmの長さLで、はみ出している。
【0023】
試験片110Aにおいて、幅Wと直交する長手方向の長さは、特に限定されないが、載置面1001に固定される部分が狭過ぎると、試験片110Aが外れる虞があることから、載置面1001に確実に固定できる長さであることが好ましい。
【0024】
図5図7に示すように、はみ出し部113Aは、角部1002に押し付けることによって、90°曲げることができ、またこのとき、例えばプッシュプルゲージPによって、はみ出し部113Aを押圧すれば、はみ出し部113Aを90°曲げるのに要する力Fを測定できる。
【0025】
プッシュプルゲージPは、基材層111側から、はみ出し部113Aの面に垂直に押し当てられる。また、図示した例のように、プッシュプルゲージPが、はみ出し部113Aの面に対し、丁度90°で垂直に押し当てられる場合に限定されず、概ね垂直に押し当てられる場合も、本発明の範囲に含まれる。
【0026】
例えば、はみ出し部113Aが撓んでいるような場合、はみ出し部113Aの面に対し、プッシュプルゲージPを丁度90°で正確に押し当てることは難しく、プッシュプルゲージPを押し当てる方向は、はみ出し部113Aの面の法線方向に対し、例えば15°以下のような多少の傾きを有してもよい。
【0027】
また、プッシュプルゲージPからの押圧によって、はみ出し部113Aは、曲がっていき、角部1002に沿うように変形するが、その間、プッシュプルゲージPは、はみ出し部113Aの面に対し、垂直あるいは前述のように概ね垂直に押し当てられるように維持されつつ、力を測定する。
【0028】
こうしてプッシュプルゲージPによって測定される力、すなわち、はみ出し部113Aを90°曲げるのに要する力Fは、0.1N以上0.6N以下である。
【0029】
力Fが大きいほど、貼付材110のコシが強いことを表し、力Fが小さいほど、貼付材110のコシが弱いことを表す。貼付材110のコシの強さは、主に基材層111に依存し、基材層111の材質や厚みを変えることによって調整可能である。
【0030】
貼付材110と異なり、剥離ライナー120については、コシの強さを、JIS L1096:2010、8.21に記載の45°カンチレバー法に準じて測定でき、同測定法に準拠して測定される剛軟度が、50mm以上140mm以下である。剛軟度が大きいほど、剥離ライナー120は、撓み難く、コシが強いことを表し、剛軟度が小さいほど、剥離ライナー120は、撓み易く、コシが弱いことを表す。
【0031】
図8に示すように、剥離ライナー120は、剥離剤層122、樹脂ラミネート層123、基材124、樹脂ラミネート層125を、積層方向にこの順序で有する。剥離ライナー120の両面のうち、剥離剤層122側が、貼付材110の積層される面121である。
【0032】
剥離剤層122は、例えばシリコーン化合物を含む剥離剤組成物によって形成され、貼付材110に対し、良好な剥離性を有する。
【0033】
樹脂ラミネート層123、125はそれぞれ、例えばポリエチレンによって形成されるが、これに限定されず、他の樹脂によって形成された形態も本発明の範囲に含まれる。また、樹脂ラミネート層123、125はそれぞれ、10μm以上40μm以下の厚みを有するが、これに限定されない。
【0034】
基材124は、例えば、80g/m以上200g/m以下の坪量の紙によって形成され、紙の中でも耐カール性が良好であることから、好ましくは上質紙によって形成されるが、剥離ライナー120が耐カール性等の本質的機能を発揮できるのであれば、基材124の材質や厚みは、特に限定されない。
【0035】
剥離ライナー120のコシの強さは、主に基材124の材質および厚み(坪量)に依存し、また、樹脂ラミネート層123、125の材質および厚みによっても変化するため、それらを変えることによって調整可能である。
【0036】
次に、貼付材110を剥離する貼付材剥離方法について述べる。
【0037】
図9に示すように、本実施形態の貼付材剥離方法では、作業者は、剥離ライナー120をめくるように変形させていく。貼付材110は、剥離ライナー120の変形に追従していく一方、コシの強さによって、剥離ライナー120の変形とともに反発力を増す。
【0038】
そして、図10に示すように、貼付材110は、ある程度変形すると、反発力によって、端部が自発的に剥がれる(自然剥離する)。その後、作業者は、剥離した同端部から、貼付材110を剥がす。剥がされた貼付材110は、貼付対象物の所定の箇所に貼り付けられる。
【0039】
貼付材110の剥離後、図11に示すように、剥離ライナー120では、貼付材110のない余白部分が増す。剥離ライナー120に広い余白部分がある場合、作業者は、その余白部分を、剥離ライナー120の裏面127側に折り返すようにして、剥離ライナー120をめくっていくことによって、貼付材110を剥がす。
【0040】
具体的に、図12に示すように、作業者は、剥離ライナー120のうち、貼付材110のない余白部分126を、折り返すようにして、剥離ライナー120の裏面127側へと、端部128から送り、こうして形成される折り返し部129から離隔させるように、端部128をさらに移動させることによって、剥離ライナー120をめくっていく。
【0041】
その後、図13に示すように、折り返し部129が、貼付材110の配置箇所に達すると、貼付材110は、折り返し部129の湾曲形状に追従して変形していくが、ある程度変形すると、反発力によって、端部が自発的に剥がれる。剥離した同端部から、作業者は貼付材110を剥がし、貼付対象物の所定の箇所に貼り付ける。また、次の貼付材110を剥がしたい場合、作業者は、折り返し部129が次の貼付材110に達するように、端部128をさらに移動させる。
【0042】
端部128の移動の間、作業者は、剥離ライナー120のコシの強さに抗して、折り返し部129を維持しなければならないが、剥離ライナー120を、裏面127同士を重ね合わせた状態で、厚み方向から指で挟んで保持しつつ、裏面127同士をスライドさせれば、折り返し部129を維持したまま剥離対象の貼付材110へと移動させ易い。
【0043】
その際、裏面127同士の間の摩擦抵抗が小さければ、両者を円滑にスライドさせ易く、作業性に優れる。このような観点から、剥離ライナー120の裏面127同士の間の静止摩擦係数は、好ましくは、0より大きく4以下である。
【0044】
実際、本発明者らが、裏面127同士の間の静止摩擦係数が異なるいくつかの場合について、作業性を確認したところ、静止摩擦係数が、0.3、0.4、1.6の場合、裏面127同士を円滑にスライドさせ易く、作業性が特に良好であった。静止摩擦係数が2.4の場合、裏面127同士の間に若干の抵抗感があったものの、裏面127同士をスライドさせて貼付材110を剥離できた。一方、静止摩擦係数が4.1の場合、裏面127同士の間の抵抗が大きく、裏面127同士をスライドさせて貼付材110を剥離することは、困難であった。
【0045】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0046】
本実施形態では、剥離ライナー120つき、JIS L1096:2010、8.21に記載の45°カンチレバー法に準拠して測定される剛軟度が、50mm以上140mm以下であり、剥離ライナー120が、カールするような癖を抑制するのに好適な強いコシを有する。このため、本実施形態の積層体100によれば、優れた耐カール性が発揮される。
【0047】
一方で、剥離ライナー120は、強いコシを有するが故に、例えば折り返し部129のように、変形が比較的緩やかで、このため、コシが弱くより小さい曲率で曲がる場合に比べ、貼付材110に反発力を生じさせるという点においては、優位性が比較的低い。
【0048】
しかしながら本実施形態では、剥離ライナー120の変形が緩やかであったとしても、貼付材110が、それに応じて好適な反発力を発揮する強いコシを有する。具体的に、はみ出し部113Aを押圧して90°曲げるのに要する力Fが、0.1N以上0.6N以下であり、このコシの強さによって、貼付材110は、たとえ剥離ライナー120の変形が緩やかであったとしても、それに応じた好適な反発力を発揮する。このため、剥離ライナー120をめくるように変形させた際の貼付材110の剥離性が良好である。
【0049】
なお、貼付材110のコシは、上記力Fが0.1N以上であれば、好適な反発力を発揮でき、また、コシが強ければ強い程、反発力を発揮する上で好ましいが、その一方で、過度に強すぎると、貼付対象物に貼付した際、貼付対象物の形状に追従し難くなる。そのため、貼付材110のコシとしては、上記力Fが0.6N以下であることが好ましく、このような構成によって、貼付対象物の形状に良好に追従できる。
【0050】
剥離ライナー120において、裏面127同士の間の静止摩擦係数を、0より大きく4以下にすれば、剥離対象の貼付材110へと折り返し部129を移動させる祭、裏面127同士を重ね合わせて円滑にスライドさせ易く、作業性を高められる。
【0051】
剥離ライナー120の基材124を、80g/m以上200g/m以下の坪量の紙によって形成すれば、優れたコシの強さによって、耐カール性を特に効果的に発揮でき、また、ある程度の柔軟性も確保されるため、剥離ライナー120をめくるように変形させ易い。
【0052】
本実施形態では、貼付材110が、円形状を有し、角部がないため、貼付材110に対し例えば作業者の指等が不用意に引っ掛かり難く、貼付材110の意図せぬ剥離が防止される。
【0053】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変できる。
【0054】
例えば、上記形態の剥離ライナー120から、樹脂ラミネート層125が排除され、基材124の一方の面が露出した形態も、本発明の範囲に含まれる。また、剥離ライナーの平面形状も図2に示した形状に限定されず、長方形や正方形等の矩形形状の他に、それらとは異なる形状も本発明の範囲に含まれる。
【0055】
また、貼付材の形状も上記実施形態のように円形状に限定されず、楕円形状であってもよい。貼付材が楕円形状を有するようにすれば、上記実施形態と同様、角部がないため、不用意な引っ掛かりによる意図せぬ剥離を防止できる。
【0056】
また、貼付材の形状は、円形状や楕円形状に限定されず、長方形や正方形等の矩形形状であってもよいし、それらとは異なる形状であってもよい。
【0057】
また、貼付材は、貼付して用いられるものであれば、特に限定されず、例えば、ラベル、テープ、シール等であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
100 積層体、
110 貼付材、
110A 貼付材の試験片、
111 基材層、
112 粘着剤層、
113A 台からはみ出した試験片のはみ出し部、
120 剥離ライナー、
121 貼付材の積層された面、
122 剥離剤層、
123 樹脂ラミネート層、
124 基材、
125 樹脂ラミネート層、
126 貼付材のない余白部分、
127 剥離ライナーの裏面、
128 剥離ライナーの端部、
129 折り返し部、
1000 台、
1001 試験片の載置面、
1002 台の角部、
W 試験片の幅、
L 試験片の載置面に垂直な方向から見た、台からのはみ出し部の長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13