(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116046
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 5/00 20060101AFI20230815BHJP
E02D 29/12 20060101ALI20230815BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20230815BHJP
H02G 9/10 20060101ALI20230815BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
F16L5/00 J
E02D29/12 E
H02G1/06
H02G9/10
F16L5/00 E
F16L5/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018588
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】392035341
【氏名又は名称】共和ゴム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592136635
【氏名又は名称】株式会社オーイケ
(71)【出願人】
【識別番号】500244551
【氏名又は名称】株式会社マンホール商会
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】渡部 勇一
(72)【発明者】
【氏名】寺阪 剛
【テーマコード(参考)】
2D147
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
2D147BA27
5G352CG01
5G369BA06
5G369DD02
(57)【要約】
【課題】当接面を有する部分の剛性を向上して突部の機能をより確実なものとするとともに、貫通穴の直径が所定値から外れていて小さい場合であっても施工可能にする。
【解決手段】螺旋波付き管13の外周面に螺合する雌ねじ部53を有するとともに、地中箱71の貫通穴73の周囲に当接する当接面55aを持つ当接板55を有し、当接面55aよりも内周側で雌ねじ部53よりも外周側の部位に貫通穴73に侵入する突部52を備えており、管体13の内周面に螺合する雄ねじ部21を有するとともに、貫通穴73の周囲に当接する当接面22aを有したベルマウス12と協働して、貫通穴73の周囲を挟み付けて、管体の接続を行う管継手11において、突部52とは反対側の端に、当接板55から間隔を隔てて外周方向に張り出す鍔状の環状板部57を形成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体の外周面に結合する結合部を有するとともに、接続対象の貫通穴の周囲に当接する当接面を持つ当接板を有し、前記当接面よりも内周側で前記結合部よりも外周側の部位に前記貫通穴に侵入する突部を備えており、前記管体の内周面に結合する結合部を有するとともに、接続対象の前記貫通穴の周囲に当接する当接面を有したベルマウスと協働して、前記貫通穴の周囲を挟み付けて、前記管体を前記貫通穴に接続する管継手であって、
前記突部とは反対側の端に、前記当接板から間隔を隔てて外周方向に張り出す鍔状の環状板部が形成された
管継手。
【請求項2】
前記環状板部が、輪郭形状を円形とする円環状に形成された
請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記環状板部が、前記当接板の大きさに相応する大きさに形成された
請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記環状板部と前記当接板との間に、これらを連結するリブが形成された
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の管継手。
【請求項5】
前記結合部が、前記当接板と前記環状板部の間の部分に相当する範囲のみに形成された
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の管継手。
【請求項6】
前記環状板部における前記当接面とは反対側の面に、止水材が備えられた
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえばハンドホールやマンホールのように地中に埋設される地中箱に対して電線保護用の管体を接続するために用いられる管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の管継手は、地中箱の貫通穴に挿入された管体の外周における地中箱より外側に取り付けられる。貫通穴は地中箱の壁部に削孔されて形成され、管継手には貫通穴の周囲に当接する当接面が形成されている。この当接面と、管体の端末であって壁部の内側に取り付けられたベルマウスとで貫通穴の周囲を挟み込むことで、管体が貫通穴に接続される。
【0003】
しかし、地中に埋設される管体には土圧がかかる。土圧のかかり方によっては、地中箱の壁面から垂直に突出する管体は、池中箱から離れた部分で下方に下がるように撓む。この変形によって、管継手と貫通穴の周囲との間に隙間ができて、止水性を維持できないおそれがある。
【0004】
このため下記特許文献1の管体接続構造を案出した。
【0005】
この管体接続構造は、管継手における貫通穴の周囲に当接する当接面の内周側部分に、貫通穴に進入する円筒状の突部を備えるというものである。突部は、管体が撓んで管継手の当接面が貫通穴の周囲から離れようとする場合でも、貫通穴の内周面に接して管継手の傾くような変位を阻止するので、止水性を維持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、当接面を有する部分は、外周方向に鍔状に張り出した板状であり、それよりも突部と反対側の部分は、単純な円筒状に形成されている。この部分は、強固な締め付けを行い、管継手の変位を阻止する突部の作用を確実なものとするためには、剛性が高い方がよい。
【0008】
また、地中箱の貫通穴は、削孔に使用する刃の違いによって所望の大きさにならない場合がある。管継手に形成される突部の直径は所定の値に設定されているので、貫通穴の大きさが突部の大きさに対して小さい場合には、用意した管継手が使えないことになってしまう。施工現場においてこのような状況に陥ると、工期の遅れ等の重大な問題になる。
【0009】
そこで、この発明は、当接面を有する部分の剛性を向上して突部の機能をより確実なものとするとともに、貫通穴の直径が所定値から外れていても施工可能にするなど、他の利点も得られるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、管体の外周面に結合する結合部を有するとともに、接続対象の貫通穴の周囲に当接する当接面を持つ当接板を有し、前記当接面よりも内周側で前記結合部よりも外周側の部位に前記貫通穴に侵入する突部を備えており、管体の内周面に結合する結合部を有するとともに、接続対象の貫通穴の周囲に当接する当接面を有したベルマウスと協働して、前記貫通穴の周囲を挟み付けて、前記管体を前記貫通穴に接続する管継手であって、前記突部とは反対側の端に、前記当接板から間隔を隔てて外周方向に張り出す鍔状の環状板部が形成された管継手である。
【0011】
この構成では、接続対象の貫通穴の大きさが所定の大きさである場合や許容範囲である場合には、管継手を結合部により管体に取り付けて、突部を貫通穴に挿入する。この状態で管継手の当接面とベルマウスの当接面で貫通穴の周囲を挟み付ける。このとき環状板部は、当接面を有する当接板の背後において当接板と一体であって、当接板よりも環状板部側の部分の剛性を向上する。
【0012】
また環状板部は、接続対象の貫通穴の大きさが所定値より小さくて突部を挿入できない場合に、管継手が前後反転して使用されることで、当接板の代わりに締め付け機能を果たす。
【0013】
さらに環状板部は、外周方向に張り出して鍔状をなす形態であって、外周面位置を、接続する管体の外周面から離して操作性をよくするとともに、板状であっても間隔をあけて存在する当接板との協働で、その部分を保持しやすくする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、当接板の後ろに控える環状板部を備えているので、当接板から環状板部にかけての部分の剛性が向上し、接続対象の貫通穴に挿入された突部の機能を確実なものとすることができる。
【0015】
そのうえ、貫通穴の大ききが小さくて突部を挿入できない場合には、管継手を反転して使用して、環状板部を当接板の代わりに利用することで、接続が可能である。しかもこの場合、環状板部から当接板にかけての部分は剛性が高いので、より硬く締め付けることが可能であり、止水性を維持できる。
【0016】
加えて、外周方向に張り出す環状板部は、管体の外周面に近い位置にある場合よりも保持しやすくするので、取付けと締め付けの作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図8】管継手の斜視図、正面図、側面図及び断面図。
【
図9】管継手の斜視図、正面図、側面図及び断面図。
【
図10】管継手の斜視図、正面図、側面図及び断面図。
【
図11】管継手の斜視図、正面図、側面図及び断面図。
【
図12】管継手の斜視図、正面図、側面図及び断面図。
【
図13】管継手の斜視図、正面図、側面図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0019】
図1に、管継手11の斜視図を示す。この管継手11は、
図2に示したように、ベルマウス12を利用して螺旋波付き管13(以下「管体」という)を接続対象である地中箱71に接続する管体接続構造を得るためのものである。
【0020】
管体13は、地中に埋設する電線を保護するためのものであって、合成樹脂で形成されている。螺旋状の凹凸(螺旋波)は外周面のほか内周面にも形成されている。この管体13は、地中箱71の壁部72に形成された円形の貫通穴73に対して一端部を嵌め込むように接続される。接続状態において、
図3に示したように、管体13は地中箱71の壁部72の外側面72aから垂直に突出した状態となる。
【0021】
管継手11は合成樹脂製であり、
図1に示したように略円筒状に形成され、管体13が通る貫通穴11aを内側に有している。円筒形状の管継手11は、長手方向(軸心方向)において2つの部分に区分でき、軸心方向の一端部は本体部51であり、他端部は突部52である。
【0022】
管継手11の本体部51における内周面には、管体13の外周面に螺合により結合する結合部としての雌ねじ部53が形成されている。この雌ねじ部53には、水分を含むと膨張するシート状の止水材54が備えられる。
【0023】
止水材54には、水分を吸収して膨張する水膨張材を保持したポリエチレンテレフタレート等からなる不織布を使用できる。雌ねじ部53に対する固定は、
図4に示したように必要形状に裁断した止水材54を張り付けるとよいが、止水材54は管継手11を成形するときに一体成形して備えることもできる。
【0024】
図5に、前述の止水材54を含むすべての止水材の図示を省略した管継手11の側面図と正面図と断面図を示す。
図5中、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は(c)のA-A断面図であり、(a)における破線は、(d)のB-B切断位置での断面形状を示している。
【0025】
本体部51の外周面における地中箱71に接続する側の端、つまり突部52側の端には、外周方向に鍔状に張り出して貫通穴73よりも大径の当接板55が形成されている。ここで、「地中箱71に接続する側」とは、本来予定されている使用態様における方向性を示しており、絶対的な意味ではない。
【0026】
当接板55は輪郭形状を円形とする円環状である。この当接板55の突部52側の平らな面が、地中箱71の外側面72aにおける貫通穴73の周囲に当接する当接面55aである。当接面55aにも止水材56が備えられる。このため当接面55aは止水材56を介して間接的に地中箱71に当接することになる。
【0027】
当接面55aに備える止水材56は、円環状に形成されている。止水材56の構成は、前述と同様に水膨張性の不織布のみからなるものであってもよいが、当接面55aは地中箱71に回転を伴って強く接する部分であるので、
図4に示したように、水膨張性の不織布層56aの背面にゴム層56bを備えた2層構造とするとよい。ゴム層56bを軟質のゴムで構成して不織布層56aを積層することで、水膨張性の不織布層56aが膨らんで締め付け力を発揮したときにゴム層56bが圧縮されて変形しつつも反発力を作用させることができる。この結果、硬い締め付けが可能になるとともに、より良好な止水状態が得られる。
【0028】
本体部51の外周面における地中箱71に接続する側と反対側の端には、当接板55から間隔を隔てて外周方向に張り出す鍔状の環状板部57が形成されている。ここでいう、「地中箱71に接続する側」の意味も、本来予定されている使用態様における方向性を示しており、絶対的な意味ではない。
【0029】
環状板部57と当接板55を有する本体部51の軸心方向の長さは、少なくとも雌ねじ部53を形成するのに必要な長さであるとともに、当接板55と環状板部57とに指先や手を引っかけたときにそれらを安定させられる長さに設定される。
【0030】
環状板部57の形状は、当接板55と同じで、輪郭形状を円形とする円環状である。また環状板部57の大きさは、当接板55の大きさに相応する大きさである。つまり、環状板部57は当接板55とつり合いの取れた大きさであって、同じ大きさ、又は似通った大きさに形成される。環状板部57と当接板55の輪郭形状が異なる場合でも、直径の一部が同じ又は近似している場合には、似通った大きさとなり得る。
【0031】
この例では、環状板部57は当接板55と同じ大きさに形成され、形状も同じであって、当接板55と平行に並んでいる。
【0032】
環状板部57と当接板55との間には、これらを連結するリブ58が形成されている。リブ58は、本体部51の軸心方向に平行に延びており、周方向に沿って等間隔で複数配設されている。この例のリブ58の本数は4本である。リブ58の高さは、環状板部57と当接板55を十分に支える高さであって、より好ましくは、本体部51の外周に指や手をかけたときに指や手が接触する高さに設定されるとよい。
【0033】
環状板部57における、当接板55の当接面55aとは反対側の平らな面は、反転使用時当接面57aであり、この反転使用時当接面57aには、止水材59が備えられる。この止水材59は、当接板55の当接面55aに備える止水材56と同じ構造のものであるとよい。すなわち、止水材59は水膨張性の不織布層59aの背面にゴム層59bを備えた2層構造とするとよい。
【0034】
本体部51における当接板55を有する側の端であって、当接面55aより内周側で雌ねじ部53より外周側の部分に、前述の突部52が一体形成されている。この突部52は円筒形であり、貫通穴73に進入する部分である。
【0035】
図6に示したように、突部52の外周面の大きさ、つまり外径D1は、貫通穴73の予定された望ましい直径D2よりも若干、数ミリ程度小径に設定される。
【0036】
前述した雌ねじ部53は、この突部52には形成されておらず、雌ねじ部53が形成される範囲は、当接板55と環状板部57の間の部分に相当する範囲のみである。突部52の内周面は凹凸の無い滑らかな円周面を有している。
【0037】
突部52の長さL1は、予定する使用態様においては長い方が望ましいが、地中箱71の壁部72の厚さL2以下に設定される。ここで言う「突部52の長さL1」は、当接面55aが止水材56を備えているので、本来の突部52の長さL3から止水材56の厚みtを減算した長さである。
【0038】
なお、図示例の地中箱71は壁部72の厚さが通常よりも薄い、30mm程度であるものを示している。
【0039】
突部52の厚さは、所望の剛性を有し、本体部51の内周面(雌ねじ部53のねじ谷の径方向位置)に関係なく、接続する管体13の外周面との間に隙間を作る厚さである。
【0040】
ベルマウス12は合成樹脂製で、管体13の内周面に螺合により結合する結合部としての円筒状の雄ねじ部21を有し、この雄ねじ部21の一端部に、外周方向に鍔状に張り出して貫通穴73よりも大きい円環状の当接板22を有している。この当接板22の雄ねじ部21を有する側の面が、地中箱71の内側面72bにおける貫通穴73の周囲に間接的に当接する当接面22aである。この当接面22aにも止水材23が備えられる。
【0041】
以上のような管継手11を用いて管体13を地中箱71の壁部72に接続するには、次のように行う。
【0042】
まず、管継手11に対して管体13の一端部を螺合し、管継手11の突部52を地中箱71の壁部72に形成した貫通穴73に対して外側面72a側から挿入する。
【0043】
つぎに、地中箱71の壁部72の内側面72bからベルマウス12の雄ねじ部21を管体13の内周面に螺合し、管継手11とベルマウス12の当接面55a,22aで壁部72における貫通穴73の周囲を厚み方向に挟み付ける。このように管継手11とベルマウス12の協働で管体13は貫通穴73内に接続され、
図3に示したように管継手11と管体13が壁部72から垂直に突出した状態となる。このとき、管継手11の突部52はその外周面を貫通穴73の内周面に薄いすき間を介して近接させている。
【0044】
管継手11の本体部51は、円筒形状部分の両端にフランジを有するような断面横コ字型であるので、剛性が高いうえに、手で保持しやすい。そのうえ、環状板部57は当接板55と共にその外径を内径よりも大きくするので、保持する手を管体13から離すことができ、回転しやすく、力を効率的にかけることもできる。このため、管継手11を螺合する際の作業性が良く、締め込んで地中箱71の壁部72を挟み付ける作業が良好に行える。
【0045】
接続後、地中に埋設されると、すべての止水材54,56,59は地中の水分を吸収して膨張して、止水材54,56,59部分を隙間の無い状態にするとともに、各部材11,12,13の結合状態を強化する。管継手11の突部52においては、貫通穴73内に相対変位不可能に挿入された状態が保持される。
【0046】
この状態で土圧がかかって管体13に上から押さえ込まれるような荷重がかかって、管体13が撓み変形しても、管継手11の突部52が貫通穴73の内周面に接して、または接するに準じた状態となって、相対変位を阻止する。この作用は、当接面55a,22aに備えられた止水材56,23の膨張力によっても補われる。
【0047】
このように突部52によって、管継手11の貫通穴73内での変位が阻止されるうえに、当接板55と環状板部57を有する本体部51の剛性が高い。このため、管体13に下方に撓むような荷重がかかっても、管継手11の当接面55aが貫通穴73の周囲から離れる方向に大きく変位することはなく、止水性を維持できる。
【0048】
本体部51の剛性は、当接板55と環状板部57の間にリブ58を備えているので、より高まり、挟み込みが強力に行えることから、上述の効果をより確実に実現できる。
【0049】
また、管継手11とベルマウス12の結合部をねじで構成したので、結合は回転により行え、接続作業は至って容易である。そのうえ、環状板部57が円環状に形成され、当接板55の大きさに相応する大きさであるので、本体部51を指先や手で保持することや回転すること、回転力を効率的に付与することが容易に行える。そのうえリブ58が回転時の滑り止めの役割も果たすので作業性が良い。
【0050】
地中箱71の貫通穴73の大きさが、予定された大きさよりも小さく、突部52を挿入できない場合には、
図7に示したように反転使用時当接面57aを地中箱71の外側面72aに押し当てて接続する。すなわち、管継手11を前述した
図3の例とは逆向きに反転させて使用する。
【0051】
このように使用するとき、環状板部57と当接板55は機能を入れ替えることになるが、作用は同じである。ただし、突部52は、貫通穴73に入らないので、地中箱71の外側に露出した状態となる。
【0052】
しかし、前述のように本体部51の剛性が高いので、強固な固定状態が得られるため、良好な止水状態は維持できる。管継手11の螺合作業性も前述と同様に良好である。
【0053】
また、たとえ土圧がかかって、管体13が下に撓むことがあっても、突部52の内周面は凹凸がなく滑らかであって、管体13の外周面との間に隙間があるので、管体13の変形による圧力を強く受けることは抑制できる。このため、環状板部57の反転使用時当接面57aが地中箱71の外側面72aから離れて隙間ができるような大きな変位を阻止でき、止水性を維持できる。
【0054】
特に、図示例の管継手11のように地中箱71の壁部72の厚さが通常よりも薄いものに対する接続ができるように突部52の長さを短く設定した場合には、管体13の変形による影響を受けにくい。
【0055】
前述のような構成の管継手11は、接続する管体13の太さに応じて複数種類用意されるが、全種類の管継手11が相似形状というわけではなく、大きさに応じて各部の寸法に違いがある。
【0056】
以下、
図8~
図13を用いて、太さに応じて寸法が異なる管継手11の例を説明する。この説明において、前述の構成と同一の部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0057】
図8~
図13は、すべての止水材54,56.59の図示を省略した管継手11の外観と断面を示すもので、すべての図において同じ形式で表示している。図中、(a)は斜視図であり、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は右側面図中央縦断面図である。(a)における破線は、(e)における雌ねじ部53のねじ山を有する位置である一点鎖線で示した位置での断面形状を示している。
【0058】
また、すべての図における突部52の長さは、接続対象の壁部72の厚みが
図5に示した前述の管継手11の場合と同じであるため、
図5の突部52の長さ同じ長さである。
【0059】
図8には、
図5の管継手11よりも小径の管継手11を示しており、
図9~
図13には、
図5の管継手11よりも径を段階的に大きくした管継手11を示している。
【0060】
これらの図に示すように、径が大きくなるに従って、本体部51の長さは、段階的に長くなり、突部52の長さに対する長さの比は、段階的に大きくなっている。突部52の長さは、いずれの管継手11においても同じであるので、小径のものほど、突部52が長く細く、大径になるほど突部52は太く短くなる。
【0061】
大きさの異なる管継手11に備えられる止水材の厚みは同じである。
【0062】
以上の構成は、この発明を実施するための一形態の構成であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0063】
例えば管体13は、螺旋波付き管のほか、独立山タイプのものであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
11…管継手
12…ベルマウス
13…螺旋波付き管
21…雄ねじ部
22a…当接面
52…突部
53…雌ねじ部
55…当接板
55a…当接面
57…環状板部
57a…反転使用時当接面
58…リブ
59…止水材
71…地中箱
73…貫通穴