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特開2023-116069高分子材料、自己組織化膜、自己組織化膜の製造方法、パターン及びパターンの形成方法
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  • 特開-高分子材料、自己組織化膜、自己組織化膜の製造方法、パターン及びパターンの形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116069
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】高分子材料、自己組織化膜、自己組織化膜の製造方法、パターン及びパターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 293/00 20060101AFI20230815BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20230815BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20230815BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20230815BHJP
【FI】
C08F293/00
C08J5/18 CET
B82Y30/00
B82Y40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018633
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】平原 和弘
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 駿介
(72)【発明者】
【氏名】福長 祝也
(72)【発明者】
【氏名】澤邊 朋美
(72)【発明者】
【氏名】宮島 徹
【テーマコード(参考)】
4F071
4J026
【Fターム(参考)】
4F071AA22X
4F071AA75X
4F071AG28
4F071AH12
4F071BB02
4J026HA08
4J026HA26
4J026HA32
4J026HA39
4J026HA49
4J026HB08
4J026HB26
4J026HB39
4J026HB43
4J026HB45
4J026HB48
4J026HC08
4J026HC43
4J026HC45
4J026HC47
4J026HC49
4J026HE06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構成するブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)を大きくしたとしても、形成するパターンのハーフピッチの増大を抑制することができ、かつ、均一な自己組織化膜を形成することができる高分子材料を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される構成単位を含む第1重合ブロックと、所定の構成単位を含む第2重合ブロックと、が連結されてなるペンタブロック共重合体以上のマルチブロック共重合体を含有する高分子材料。

[一般式(1)中、Rは、水素原子及び炭素数1~3のアルキル基を表す。mは、1以上1000以下の整数である。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される構成単位を含む第1重合ブロックと、
下記一般式(2)で表される構成単位を含む第2重合ブロックと、
が連結されてなるペンタブロック共重合体以上のマルチブロック共重合体を含有する高分子材料。
【化1】
[一般式(1)中、Rは、水素原子及び炭素数1~3のアルキル基を表す。mは、1以上1000以下の整数である。]
【化2】
[一般式(2)中、Rは、水素原子及び炭素数1~3のアルキル基を表す。nは、1以上1000以下の整数である。]
【請求項2】
前記マルチブロック共重合体は、ヘキサブロック共重合体である請求項1に記載の高分子材料。
【請求項3】
前記マルチブロック共重合体は、リビングアニオン重合により共重合されてなる請求項1又は2に記載の高分子材料。
【請求項4】
前記マルチブロック共重合体は、数平均分子量が3,000以上50,000以下である請求項1~3の何れか1項に記載の高分子材料。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の高分子材料を用いて得られる自己組織化膜。
【請求項6】
表面にトップコート剤が塗布されてなる請求項5に記載の自己組織化膜。
【請求項7】
請求項1~4の何れか1項に記載の高分子材料を用いて自己組織化膜を形成する自己組織化膜の製造方法。
【請求項8】
ガイドパターン内で自己組織化膜を形成する請求項7に記載の自己組織化膜の製造方法。
【請求項9】
前記自己組織化膜上にトップコート剤を塗布する工程を含む請求項7又は8に記載の自己組織化膜の製造方法。
【請求項10】
請求項5又は6に記載の自己組織化膜がエッチングされてなるパターン。
【請求項11】
請求項5又は6に記載の自己組織化膜をエッチングしてパターンを形成する工程を含むパターンの形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料、自己組織化膜、自己組織化膜の製造方法、パターン及びパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体をはじめとする電子部品の小型化に伴い、微細なパターンを形成することができるリソグラフィ技術の需要が高まっている。
【0003】
なかでも、ブロック共重合体のミクロ相分離を利用した誘導自己組織化(DSA:Directed Self-Assembly)を用いた技術は、低コストで微細なパターンを形成することが可能であることから、次世代のリソグラフィ技術として注目を集めている。
【0004】
そのような技術として、例えば、特許文献1では、少なくとも1nm以上の表面粗さを有する基板上に、少なくとも2種類以上の互いに非相溶な高分子が互いの末端で結合してなるブロック共重合体樹脂を載置され、基板表面に対して垂直に配向したミクロドメイン構造を有するブロック共重合体膜であって、該ブロック共重合体樹脂が分子量の異なる少なくとも2種類以上のブロック共重合体樹脂の混合物であることを特徴とする高分子膜が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-8701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に高分子材料では、共重合体の重合度が大きくなると(共重合体の重量平均分子量(Mw)が大きくなると)、強度が向上する。
本発明者らは、従来の誘導自己組織化材料について検討を行ったところ、誘導自己組織化膜(単に自己組織化膜ともいう)に強度を付与するために、構成するブロック共重合体の重合度を大きくすると(重量平均分子量(Mw)を大きくすると)、形成するパターンのハーフピッチ(hp)が大きくなり、微細かつ均一な自己組織化膜を形成することができない(すなわち、自己組織化膜の微細性や均一性と強度とを両立することが困難である)といった課題があることを見出した。
従来の誘導自己組織化材料では、上記課題について十分に検討されておらず、更なる改善の余地があった。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、構成するブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)を大きくしたとしても、形成するパターンのハーフピッチ(hp)の増大を抑制し、かつ、均一な自己組織化膜を形成することができる高分子材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討したところ、構成するブロック共重合体がテトラブロック共重合体以下のマルチブロック共重合体である場合には、構成するブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)を大きくすると形成するパターンのハーフピッチ(hp)の増大を抑制すること、及び、均一な自己組織化膜を形成することが困難であるといった課題が顕著であることを見出した。
本発明者らは、更に鋭意検討をした結果、特定の構成単位を含む第1重合ブロックと、第2重合ブロックとが連結されてなるペンタブロック共重合体以上のマルチブロック共重合体を含有することにより、構成するブロック共重合体(重合ブロック)の重量平均分子量(Mw)を大きくしたとしても形成するパターンのハーフピッチ影響の増大を抑制することができ、かつ、均一な自己組織化膜を形成することができることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される構成単位を含む第1重合ブロックと、下記一般式(2)で表される構成単位を含む第2重合ブロックと、が連結されてなるペンタブロック共重合体以上のマルチブロック共重合体を含有する高分子材料;上記高分子材料を用いて得られる自己組織化膜;上記高分子材料を用いて自己組織化膜を形成する自己組織化膜の製造方法;上記自己組織化膜がエッチングされてなるパターン;上記自己組織化膜をエッチングしてパターンを形成する工程を含むパターンの形成方法である。
【0010】
【化1】
[一般式(1)中、Rは、水素原子及び炭素数1~3のアルキル基を表す。mは、1以上1000以下の整数である。]
【0011】
【化2】
[一般式(2)中、Rは、水素原子及び炭素数1~3のアルキル基を表す。nは、1以上1000以下の整数である。]
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、構成するブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)を大きくしたとしても、形成するパターンのハーフピッチの増大を抑制することができ、かつ、均一な自己組織化膜を形成することができる高分子材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例及び比較例で作製したブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と、ハーフピッチ(hp)の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(高分子材料)
本発明の高分子材料は、下記一般式(1)で表される構成単位を含む第1重合ブロックと、下記一般式(2)で表される構成単位を含む第2重合ブロックと、が連結されてなるペンタブロック共重合体以上のマルチブロック共重合体を含有する。
【0015】
【化3】
[一般式(1)中、Rは、水素原子及び炭素数1~3のアルキル基を表す。mは、1以上1000以下の整数である。]
【0016】
【化4】
[一般式(2)中、Rは、水素原子及び炭素数1~3のアルキル基を表す。nは、1以上1000以下の整数である。]
【0017】
誘導自己組織化(以下、「DSA」ともいう)技術は、互いに非相溶な2種類の高分子鎖が共重合により一点で連結されたときに発現するミクロ相分離形成能を利用した技術である。
共有結合で連結されたマルチブロック共重合体は、同一の高分子成分同士が分子間で集合してミクロ相分離を起こす際に、2つの高分子成分間の体積分率比(f)に応じて分子集合時の界面曲率が変化してミクロドメイン構造が変化する。
【0018】
2つの高分子成分(例えば、第1重合ブロックと、第2重合ブロック)により形成されるミクロドメイン構造としては、第2重合ブロック中に第1重合ブロックが微細に分散した球状構造、第2重合ブロック中に第1重合ブロックが線状に分散したシリンダー構造、第2重合ブロック中に分散した複数の第1重合ブロックが相互に結合したジャイロイド構造、及び、第2重合ブロックと第1重合ブロックとが層状に積層したラメラ構造が知られている。
本発明の高分子材料は、上記の何れのミクロドメイン構造を発現するものであってもよいが、半導体のパターン形成の観点から、ラメラ構造又はシリンダー構造を発現するものであることが好ましい。
【0019】
上記一般式(1)中のR、及び、上記一般式(2)中のRとしては、水素原子及び炭素数1以上3以下のアルキル基であれば特に制限はない。
炭素数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基及びイソプロピル基等が挙げられる。
これらの中でも、R、及び、Rとしては、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0020】
マルチブロック共重合体の第1重合ブロックとしては、例えば、上記一般式(1)で表される同一の構成単位が繰り返して重合してなる第1重合ブロックA、又は、上記一般式(1)で表される構成単位と、上記一般式(1)とは異なる構成単位と、が繰り返し重合してなる第1重合ブロックBを用いることができる。
【0021】
マルチブロック共重合体の第2重合ブロックとしては、例えば、上記一般式(2)で表される同一の構成単位が繰り返して重合してなる第2重合ブロックC、又は、上記一般式(2)で表される構成単位と、上記一般式(2)とは異なる構成単位と、が繰り返し重合してなる第2重合ブロックDを用いることができる。
【0022】
ペンタブロック共重合体としては、上述した重合ブロックA~Dが、ACACA、ACBCA、ADADA、ADBCAのように任意に配列したものを用いることができる。
ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、かつ、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、上記一般式(1)で表される同一の構成単位が繰り返して重合してなる第1重合ブロックAと、上記一般式(2)で表される同一の構成単位が繰り返して重合してなる第2重合ブロックCとが配列したもの(ACACA、CACAC)が好ましい。
【0023】
上記マルチブロック共重合体は、分子量の差異が形成するパターンのハーフピッチに与える影響を好適に抑制し、より均一な自己組織化膜を形成する観点から、ヘキサブロック共重合体であることが好ましい。
ヘキサブロック共重合体においても、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、かつ、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、上記一般式(1)で表される同一の構成単位が繰り返して重合してなる第1重合ブロックAと、上記一般式(2)で表される同一の構成単位が繰り返して重合してなる第2重合ブロックCとが配列したもの(ACACAC)が好ましい。
【0024】
マルチブロック共重合体の構成単位の比率としては、上記一般式(1)で表される構成単位と、上記一般式(2)で表される構成単位とのモル比率(上記一般式(1)で表される構成単位:上記一般式(2)で表される構成単位)としては、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性が向上する観点から、8:2~2:8の範囲内であることが好ましい。
【0025】
また、上述したラメラ構造又はシリンダー構造を好適に形成する場合、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性が向上する観点から、上記一般式(1)で表される構成単位と、上記一般式(2)で表される構成単位とのモル比率(上記一般式(1)で表される構成単位:上記一般式(2)で表される構成単位)を4:6~6:4の範囲内であることがより好ましく、5:5であることが更に好ましい。
【0026】
上記マルチブロック共重合体は、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性が向上する観点から、数平均分子量(Mn)が3,000以上50,000以下であることが好ましい。
上記数平均分子量(Mn)が3,000以上であれば、自己組織化が進行してミクロドメイン構造が形成された自己組織化膜が得られる。また、数平均分子量(Mn)が50,000以下であれば、高分子化合物の親水性基の有する水素結合が適度に作用するので、パターンサイズを10nm以下にすることが容易となる。
上記数平均分子量(Mn)は、5,000以上がより好ましく、6,000以上が更に好ましい。また、上記数平均分子量(Mn)は、20,000以下がより好ましい。
なお、本発明の効果を奏する範囲で数平均分子量(Mn)が10,000以下のものも、本発明の高分子材料に含まれる。
【0027】
上記マルチブロック共重合体の分子量分布(PDI:Mw/Mn=PDI)は、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、1.0以上が好ましく、1.02以上がより好ましく、また1.1以下が好ましく、1.05以下がより好ましい。
PDIが1.0以上1.1以下であれば、低分子量のポリマー及び高分子量のポリマーの混入が殆どないので、自己組織化により形成されたミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性が向上する。
【0028】
上述した数平均分子量(Mn)及びPDI(並びに重量平均分子量Mw)は、ポリスチレンを標準物質として換算したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。GPC法による数平均分子量は、例えば、GPC測定装置(商品名:「HLC-8120、東ソー社製)、カラム(商品名:TSK GEL GMH6、東ソー社製)及び移動相(THF)を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出する。
【0029】
上記マルチブロック共重合体の組成比は、核磁気共鳴(NMR)法によって求めることができる。
NMR法による組成比は、例えば、NMR測定装置(商品名「JNM-ECZ400R」、JEOL社製、解析ソフト:Delta5.3.1、周波数:400MHz)、温度25℃、溶媒(CDCl)、内部標準:テトラメチルシラン(TMS:Tetramethylsilane)、積算回数16回の条件で測定することができる。
なお、マルチブロック共重合体の組成とは、マルチブロック共重合体を構成する構成単位を意味し、組成比とは、マルチブロック共重合体を構成する構成単位のモル比率を意味する。
【0030】
上記マルチブロック共重合体は、リビングアニオン重合により共重合されてなることが好ましい。
リビングアニオン重合法により共重合された上記一般式(1)で表される構成単位を主体とする第1重合ブロックと、上記一般式(2)で表される構成単位を主体とする第2重合ブロックとのマルチブロック共重合体が好ましい。
高分子材料は、リビングアニオン重合によって共重合されることにより、PDIを極めて狭くできると共に、所望の数平均分子量の高分子化合物を精度良く得ることが可能となる。これにより、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性を向上することが可能となる。
【0031】
上記マルチブロック共重合体である高分子化合物の製造方法としては、上記一般式(1)で表される構成単位を主体とする第1重合ブロックと、上記一般式(2)で表される構成単位を主体とする第2重合ブロックとを共重合できるものであれば特に制限はない。
高分子材料を得るための重合方法としては、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合、リビングラジカル重合、及び有機金属触媒を用いた配位重合等が挙げられる。これらの中でも、重合の失活及び副反応が少なく、リビング重合が可能なリビングアニオン重合が好ましい。
【0032】
リビングアニオン重合においては、脱酸素及び脱水処理を行った重合用モノマー及び有機溶媒を用いる。
有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。リビングアニオン重合では、これらの有機溶媒にアニオン種を必要量添加した後、モノマーを随時添加することで重合を行う。アニオン種としては、例えば、アルキルリチウム、アルキルマグネシウムハライド、ナフタレンナトリウム、及びアルキル化ランタノイド系化合物等の有機金属が挙げられる。
【0033】
本発明の高分子材料では、モノマーとして置換スチレンを共重合するので、これらの中でも、アニオン種としては、s-ブチルリチウム及びブチルマグネシウムクロライドが好ましい。
リビングアニオン重合の重合温度としては、-100℃以上50℃以下の範囲内が好ましく、重合の制御を容易にする観点から、-70℃以上40℃以下がより好ましい。
【0034】
上記マルチブロック共重合体の製造方法としては、例えば、p-(1-エトキシエトキシ)スチレン等のフェノール性水酸基を保護した置換スチレンのモノマーを上述した条件下でリビングアニオン重合によりブロック共重合を行ってブロック共重合体を合成する。
このブロック共重合体は、シュウ酸等の酸触媒等を用いて得られた高分子化合物のフェノール性水酸基を脱保護することができる。重合時のフェノール性水酸基に対する保護基としては、p-(1-エトキシエトキシ)スチレン以外にも、t-ブチル基及びトリアルキルシリル基等が挙げられる。
なお、高分子化合物中に他のエーテル部位、エステル部位を有するモノマーを共重合する場合は、脱保護反応時の酸性度の調整及びアルカリ性条件下での脱保護反応により、選択的に脱保護してフェノール性水酸基を得ることも可能である。
【0035】
本発明の高分子材料は、構成するブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)を大きくしたとしても、形成するパターンのハーフピッチの増大を抑制することができ、かつ、均一な自己組織化膜を形成することができるので、自己組織化用(自己組織化膜の形成)に用いることが好ましい。
【0036】
(自己組織化膜)
本発明の自己組織化膜は、本発明の高分子材料を用いて得られる。
具体的には、本発明の自己組織化膜は、本発明の高分子材料を有機溶剤に溶解させて塗布することにより得られる。
【0037】
上記高分子材料を溶解する有機溶剤としては、自己組織化膜が得られるものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸3-メトキシブチル、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3-エトキシエチルプロピオネート、3-エトキシメチルプロピオネート、3-メトキシメチルプロピオネート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジアセトンアルコール、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、及びテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
上記高分子材料を溶解する有機溶剤としては、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、及び乳酸アルキルエステルが好ましい。プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、アルキル基の炭素数が1以上4以下のものが挙げられる。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、及びエチル基が好ましい。また、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、1,2置換体と1,3置換体とを含む置換位置の組み合わせにより3種の異性体があるが、これらの異性体を単独で用いてもよく、2種以上の異性体を併用してもよい。
【0039】
上記乳酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1以上4以下のものが挙げられる。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、及びエチル基が好ましい。
【0040】
上記有機溶剤の濃度としては、例えば、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを用いる場合には、有機溶剤の全質量に対してプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートが50質量%以上となるようにすることが好ましい。また、乳酸アルキルエステルを用いる場合には、有機溶剤の全質量に対して50質量%以上となるようにすることが好ましい。
また、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートと乳酸アルキルエステルとの混合溶剤を有機溶剤として用いる場合には、混合溶剤の合計量が有機溶剤の全質量に対して50質量%以上となるようにすることが好ましい。
また、この混合溶媒を用いる場合には、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを60質量%以上95質量%以下、乳酸アルキルエステルを5質量%以上40質量%以下の割合とすることが好ましい。プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを60質量%以上とすることにより高分子材料の塗布性が良好となり、95質量%以下とすることにより高分子材料の溶解性が向上する。
【0041】
高分子材料を有機溶剤に溶解させた溶液は、従来公知の成膜方法で自己組織化膜が得られる濃度であれば特に制限はなく、例えば、高分子材料の固形分100質量部に対して、有機溶剤を5000質量部以上50000質量部以下が好ましく、7000質量部以上30000質量部以下がより好ましい。
【0042】
高分子材料を有機溶剤に溶解させた溶液を塗布することにより、本発明の自己組織化膜を製造することができる。
高分子材料を有機溶剤に溶解させた溶液の塗布方法としては、自己組織化膜が得られるものであれば特に制限はなく、例えば、スピン塗布法、浸漬法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、吹き付け法、ポッティング法、及びスクリーン印刷法等が挙げられる。
上記高分子材料を用いて自己組織化膜を形成する自己組織化膜の製造方法もまた、本発明に包含される。
【0043】
本発明の自己組織化膜は、自己組織化膜が封止及び保護されるので、自己組織化膜のハンドリング性及び耐候性を向上させる観点から、表面にトップコート剤が塗布されてなることが好ましい。
【0044】
上記トップコート剤としては、例えば、ポリエステル系トップコート剤、ポリアミド系トップコート剤、ポリウレタン系トップコート剤、エポキシ系トップコート剤、フェノール系トップコート剤、(メタ)アクリル系トップコート剤、ポリ酢酸ビニル系トップコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレンなどのポリオレフィン系トップコート剤、セルロース系トップコート剤などが挙げられる。
上記トップコート剤のコーティング量(固形分換算)は、3g/m以上7g/m以下が好ましい。
上記トップコート剤は、従来公知の塗布方法で自己組織化膜上に塗布することができる。
上記自己組織化膜上にトップコート剤を塗布する工程を含む自己組織化膜の製造方法もまた、本発明に包含される。
【0045】
本発明の自己組織化膜は、アンダーコート剤を塗布してもよい。
アンダーコート剤としては、従来公知の各種アンダーコート剤を用いることができる。
【0046】
本発明の自己組織化膜は、ガイドパターン内で自己組織化膜を形成することが好ましい。
この場合、例えば、高分子材料の溶液をガイドパターン付シリコン基板などに塗布して自己組織化膜を形成することができる。
そして、200℃以上300℃以下で5分以上1時間以下のアニーリング処理によりシリコン基板上に自己組織化ミクロドメイン構造のパターンが得られる。
得られたミクロドメイン構造のパターンを酸素プラズマガスでエッチングすることにより、ハーフピッチ(hp)10nm以下のL/S(ライン/スペース)パターン及びCH(微細なホール)パターンを得ることができる。
上記自己組織化膜がエッチングされてなるパターン、及び、上記自己組織化膜をエッチングしてパターンを形成する工程を含むパターンの形成方法もまた、本発明に包含される。
【0047】
上記マルチブロック共重合体は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察及びX線小角散乱(SAXS)測定により凝集力を評価することができる。凝集力の評価サンプルは、例えば、50mgのマルチブロック共重合体のサンプル膜を調製し、調製したサンプルを1gの無添加THFに溶解させてテフロン(登録商標)シャーレに移し、テフロン(登録商標)シャーレで10日間キャストして真空乾燥することにより作成できる。
【0048】
TEM観察では、まず、サンプル膜を適当な大きさにカットして包埋型に入れた後、エポキシ樹脂を流し込み、60℃で12時間静置させてエポキシ樹脂を硬化させて包埋処理を実施する。そしてミクロトームを用いて包埋処理を実施したサンプル膜を厚さはおよそ50nmの切片とした後、切片をCuグリッド上に集めCsCOで染色した後、透過型電子顕微鏡装置で観察することによりhpを測定することができる。
【0049】
SAXS測定では、例えば、ブロック共重合体の粉末を耐熱フィルム上にて熱処理を行い、X線小角散乱(SAXS:small-angle X-ray scattering)分析装置(極微細周期構造解析システム Nano-Viewer AXIS IV Rigaku社製)を用いて、バルク状態でのミクロ相分離性測定を行うことができる。
【0050】
このミクロ相分離性測定では、例えば、ブロック共重合体のサンプル膜にX線を入射して小角側に現れる散乱の角度依存性をイメージングプレートにより60分測定を実施する。測定データ処理に関しては、空気散乱などのバックグランド補正を行ってq/nm-1を算出し、フーリエ変換解析を実施後、ブロック共重合体の自己組織化によるミクロドメイン構造の平均繰り返しパターンサイズ幅の恒等周期(d)の半数である自己組織化膜のハーフピッチ(hp)の数値を測定することができる。
【実施例0051】
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら制限されるものではない。
【0052】
(実施例1:ヘキサブロック共重合体(BP-2)の合成)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して-70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)9.09mlを注入した。次に、反応溶液の内温が-60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったp-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gを滴下し、滴下終了後、更に30分間反応させた。
次に、更に蒸留脱水処理を行った4-トリメチルシリルスチレン29.3gを滴下注入して30分間反応させた。さらにその後、p-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gと4-トリメチルシリルスチレン29.3gとp-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gと4-トリメチルシリルスチレン29.3gを順次滴下することで、重合反応を継続して行った。
その後、メタノール30gを投入することにより重合反応を停止し、反応溶液を濃縮することによりヘキサブロック共重合体(BP-1)150gを得た。
【0053】
次に、得られたヘキサブロック共重合体(BP-1)50gをTHF300gに溶解させて1Lの反応容器に注入した後、メタノール175g、及びシュウ酸1gを添加して窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン2gを加えて中和反応を行った。
次に、得られた反応溶液を減圧濃縮した後、THF100g、アセトン100gを注入して脱保護後のテトラブロック共重合体を再溶解させた。次に、脱保護後のヘキサブロック共重合体溶液を超純水4.5Lに加えてヘキサブロック共重合体(BP-2)を析出させて洗浄した。
その後、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してヘキサブロック共重合体(BP-2)の白色粉末固体45gを得た。
【0054】
<ヘキサブロック共重合体(BP-2)の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(PDI)の測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られたヘキサブロック共重合体(BP-2)の数平均分子量及び分子量分布を測定した。測定条件を以下に示す。測定結果を以下及び下記表1に示す。
GPC測定装置:商品名:「HLC-8120」[東ソー(株)製]
カラム:商品名「TSK GEL GMH6」[東ソー(株)製]
移動相:THF
カラム温度:40℃
標準物質:ポリスチレン
【0055】
標準ポリスチレンを基準としてGPCを測定した結果、得られたヘキサブロック共重合体(BP-2)のMnは9201であり、Mwは9569であり、PDIは1.04であった。
【0056】
<ヘキサブロック共重合体(BP-2)の組成比の測定>
核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)スペクトル法(H-NMR)により得られたヘキサブロック共重合体(BP-2)の組成比を測定した。測定条件を以下に示す。
NMR測定装置:商品名「JNM-ECZ400R、JEOL社製、解析ソフト:Delta5.3.1」)、
周波数:400MHz
温度:25℃、
溶媒:CDCl
内部標準:テトラメチルシラン(TMS:Tetramethylsilane)
積算回数:16回
【0057】
脱保護前の1-エトキシエトキシ基由来のシグナル(3ppm~4ppm及び5ppm付近)は、脱保護後に消失していることが確認された。
さらに、各シグナルの面積比率よりヘキサブロック共重合体(BP-2)の組成比(モル比率)は、4-ヒドロキシスチレン(HS):4-トリメチルシリルスチレン(TMSSt)=50:50であることが分かった。
【0058】
SAXS測定では、ブロック共重合体の粉末を耐熱フィルム上にて熱処理を行い、X線小角散乱(SAXS:small-angle X-ray scattering)、分析装置(極微細周期構造解析システム:商品名「Nano-Viewer AXIS IV」、Rigaku社製)を用いて、バルク状態でのミクロ相分離性測定を行った。
ブロック共重合体のサンプル膜にX線を入射して小角側に現れる散乱の角度依存性をイメージングプレートにより60分測定を実施した。測定データ処理に関しては、空気散乱などのバックグランド補正を行ってq/nm-1を算出し、フーリエ変換解析を実施後、ブロック共重合体の自己組織化によるミクロドメイン構造の平均繰り返しパターンサイズ幅の恒等周期(d)の半数である自己組織化膜のハーフピッチ(hp)の数値を測定した。
その結果、恒等周期(d)は7.8nmであり、ハーフピッチ(hp)は3.9nmであった。測定結果を下記表1に示す。
【0059】
(実施例2:ヘキサブロック共重合体(BP-4)の合成)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して-70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)27.0mlを注入した。次に、反応溶液の内温が-60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったp-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gを滴下し、滴下終了後、更に30分間反応させた。
次に、更に蒸留脱水処理を行った4-トリメチルシリルスチレン29.3gを滴下注入して30分間反応させた。さらにその後、p-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gと4-トリメチルシリルスチレン29.3gとp-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gと4-トリメチルシリルスチレン29.3gを順次滴下することで、重合反応を継続して行った。
その後、メタノール30gを投入することにより重合反応を停止し、反応溶液を濃縮することによりヘキサブロック共重合体(BP-3)150gを得た。
【0060】
次に、得られたヘキサブロック共重合体(BP-3)50gをTHF300gに溶解させて1Lの反応容器に注入した後、メタノール175g、及びシュウ酸1gを添加して窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。
次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン2gを加えて中和反応を行った。次に、得られた反応溶液を減圧濃縮した後、THF100g、アセトン100gを注入して脱保護後のテトラブロック共重合体を再溶解させた。次に、脱保護後のヘキサブロック共重合体溶液を超純水4.5Lに加えてヘキサブロック共重合体(BP-4)を析出させて洗浄した。
その後、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してヘキサブロック共重合体(BP-4)の白色粉末固体45gを得た。
【0061】
得られたヘキサブロック共重合体(BP-4)を用いて、上述した測定方法によりヘキサブロック共重合体(BP-4)の組成比、Mn及びPDIを測定した。測定結果を以下及び下記表1に示す。
・ヘキサブロック共重合体(BP-4)の組成比(モル比率)
4-ヒドロキシスチレン(HS):4-トリメチルシリルスチレン(TMSSt)=50:50
・Mn=3140
・Mw=3266
・PDI=1.04
【0062】
次に、上述した方法により作製したパターンの恒等周期(d)及びhpを測定した。その結果、恒等周期(d)は、6.0nmであり、hpは3.0nmであった。測定結果を下記表1に示す。
【0063】
(実施例3:ヘキサブロック共重合体(BP-6)の合成)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して-70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)1.70mlを注入した。次に、反応溶液の内温が-60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったp-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gを滴下し、滴下終了後、更に30分間反応させた。
次に、更に蒸留脱水処理を行った4-トリメチルシリルスチレン29.3gを滴下注入して30分間反応させた。さらにその後、p-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gと4-トリメチルシリルスチレン29.3gとp-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gと4-トリメチルシリルスチレン29.3gを順次滴下することで、重合反応を継続して行った。
その後、メタノール30gを投入することにより重合反応を停止し、反応溶液を濃縮することによりヘキサブロック共重合体(BP-5)150gを得た。
【0064】
次に、得られたヘキサブロック共重合体(BP-5)50gをTHF300gに溶解させて1Lの反応容器に注入した後、メタノール175g、及びシュウ酸1gを添加して窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン2gを加えて中和反応を行った。
次に、得られた反応溶液を減圧濃縮した後、THF100g、アセトン100gを注入して脱保護後のテトラブロック共重合体を再溶解させた。次に、脱保護後のヘキサブロック共重合体溶液を超純水4.5Lに加えてヘキサブロック共重合体(BP-6)を析出させて洗浄した。
その後、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してヘキサブロック共重合体(BP-6)の白色粉末固体45gを得た。
【0065】
得られたヘキサブロック共重合体(BP-6)を用いて、上述した測定方法によりヘキサブロック共重合体(BP-6)の組成比、Mn及びPDIを測定した。測定結果を以下及び下記表1に示す。
・ヘキサブロック共重合体(BP-6)の組成比(モル比率)
4-ヒドロキシスチレン(HS):4-トリメチルシリルスチレン(TMSSt)=50:50
・Mn=48919
・Mw=50876
・PDI=1.04
【0066】
次に、上述した方法により作製したパターンの恒等周期(d)及びhpを測定した。その結果、恒等周期(d)は、19.6nmであり、hpは9.8nmであった。測定結果を下記表1に示す。
【0067】
(実施例4:ペンタブロック共重合体(BP-8)の合成)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して-70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)9.09mlを注入した。次に、反応溶液の内温が-60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったp-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gを滴下し、滴下終了後、更に30分間反応させた。
次に、更に蒸留脱水処理を行った4-トリメチルシリルスチレン39.1gを滴下注入して30分間反応させた。さらにその後、p-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gと4-トリメチルシリルスチレン39.1gとp-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gを順次滴下することで、重合反応を継続して行った。
その後、メタノール30gを投入することにより重合反応を停止し、反応溶液を濃縮することによりペンタブロック共重合体(BP-7)150gを得た。
【0068】
次に、得られたペンタブロック共重合体(BP-7)50gをTHF300gに溶解させて1Lの反応容器に注入した後、メタノール175g、及びシュウ酸1gを添加して窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン2gを加えて中和反応を行った。
次に、得られた反応溶液を減圧濃縮した後、THF100g、アセトン100gを注入して脱保護後のペンタブロック共重合体を再溶解させた。次に、脱保護後のペンタブロック共重合体溶液を超純水4.5Lに加えてペンタブロック共重合体(BP-8)を析出させて洗浄した。
その後、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してペンタブロック共重合体(BP-8)の白色粉末固体45gを得た。
【0069】
得られたペンタブロック共重合体(BP-8)を用いて、上述した測定方法によりペンタブロック共重合体(BP-8)の組成比、Mn及びPDIを測定した。測定結果を以下及び下記表1に示す。
・ペンタブロック共重合体(BP-8)の組成比(モル比率)
4-ヒドロキシスチレン(HS):4-トリメチルシリルスチレン(TMSSt)=50:50
・Mn=8675
・Mw=9022
・PDI=1.04
【0070】
次に、上述した方法により作製したパターンの恒等周期(d)及びhpを測定した。その結果、恒等周期(d)は、8.2nmであり、hpは4.1nmであった。測定結果を下記表1に示す。
【0071】
(実施例5:ペンタブロック共重合体(BP-10)の合成)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して-70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)1.65mlを注入した。次に、反応溶液の内温が-60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったp-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gを滴下し、滴下終了後、更に30分間反応させた。
次に、更に蒸留脱水処理を行った4-トリメチルシリルスチレン39.1gを滴下注入して30分間反応させた。さらにその後、p-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gと4-トリメチルシリルスチレン39.1gとp-(1-エトキシエトキシ)スチレン26.9gを順次滴下することで、重合反応を継続して行った。
その後、メタノール30gを投入することにより重合反応を停止し、反応溶液を濃縮することによりペンタブロック共重合体(BP-9)150gを得た。
【0072】
次に、得られたペンタブロック共重合体(BP-9)50gをTHF300gに溶解させて1Lの反応容器に注入した後、メタノール175g、及びシュウ酸1gを添加して窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン2gを加えて中和反応を行った。
次に、得られた反応溶液を減圧濃縮した後、THF100g、アセトン100gを注入して脱保護後のペンタブロック共重合体を再溶解させた。次に、脱保護後のペンタブロック共重合体溶液を超純水4.5Lに加えてペンタブロック共重合体(BP-10)を析出させて洗浄した。
その後、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してペンタブロック共重合体(BP-10)の白色粉末固体45gを得た。
【0073】
得られたペンタブロック共重合体(BP-10)を用いて、上述した測定方法によりペンタブロック共重合体(BP-10)の組成比、Mn及びPDIを測定した。測定結果を以下及び下記表1に示す。
・ペンタブロック共重合体(BP-10)の組成比(モル比率)
4-ヒドロキシスチレン(HS):4-トリメチルシリルスチレン(TMSSt)=50:50
・Mn=47504
・Mw=49404
・PDI=1.04
【0074】
次に、上述した方法により作製したパターンの恒等周期(d)及びhpを測定した。その結果、恒等周期(d)は、20.0nmであり、hpは10.0nmであった。測定結果を下記表1に示す。
【0075】
(実施例6:オクタブロック共重合体(BP-12)の合成)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して-70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)8.00mlを注入した。次に、反応溶液の内温が-60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったp-(1-エトキシエトキシ)スチレン18.0gを滴下し、滴下終了後、更に30分間反応させた。
次に、更に蒸留脱水処理を行った4-トリメチルシリルスチレン19.5gを滴下注入して30分間反応させた。さらにその後、p-(1-エトキシエトキシ)スチレン18.0gと4-トリメチルシリルスチレン19.5gとp-(1-エトキシエトキシ)スチレン18.0gと4-トリメチルシリルスチレン19.5gとp-(1-エトキシエトキシ)スチレン18.0gと4-トリメチルシリルスチレン19.5gとを順次滴下することで、重合反応を継続して行った。
その後、メタノール30gを投入することにより重合反応を停止し、反応溶液を濃縮することによりオクタブロック共重合体(BP-11)130gを得た。
【0076】
次に、得られたオクタブロック共重合体(BP-11)50gをTHF300gに溶解させて1Lの反応容器に注入した後、メタノール175g、及びシュウ酸1gを添加して窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン2gを加えて中和反応を行った。
次に、得られた反応溶液を減圧濃縮した後、THF100g、アセトン100gを注入して脱保護後のオクタブロック共重合体を再溶解させた。次に、脱保護後のオクタブロック共重合体溶液を超純水4.5Lに加えてオクタブロック共重合体(BP-12)を析出させて洗浄した。
その後、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してオクタブロック共重合体(BP-12)の白色粉末固体45gを得た。
【0077】
得られたオクタブロック共重合体(BP-12)を用いて、上述した測定方法によりオクタブロック共重合体(BP-12)の組成比、Mn及びPDIを測定した。測定結果を以下及び下記表1に示す。
・オクタブロック共重合体(BP-12)の組成比(モル比率)
4-ヒドロキシスチレン(HS):4-トリメチルシリルスチレン(TMSSt)=50:50
・Mn=9301
・Mw=9673
・PDI=1.04
【0078】
次に、上述した方法により作製したパターンの恒等周期(d)及びhpを測定した。その結果、恒等周期(d)は、7.6nmであり、hpは3.8nmであった。測定結果を下記表1に示す。
【0079】
(実施例7:オクタブロック共重合体(BP-14)の合成)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して-70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)1.59mlを注入した。次に、反応溶液の内温が-60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったp-(1-エトキシエトキシ)スチレン18.0gを滴下し、滴下終了後、更に30分間反応させた。
次に、更に蒸留脱水処理を行った4-トリメチルシリルスチレン19.5gを滴下注入して30分間反応させた。さらにその後、p-(1-エトキシエトキシ)スチレン18.0gと4-トリメチルシリルスチレン19.5gとp-(1-エトキシエトキシ)スチレン18.0gと4-トリメチルシリルスチレン19.5gとp-(1-エトキシエトキシ)スチレン18.0gと4-トリメチルシリルスチレン19.5gとを順次滴下することで、重合反応を継続して行った。
その後、メタノール30gを投入することにより重合反応を停止し、反応溶液を濃縮することによりオクタブロック共重合体(BP-13)130gを得た。
【0080】
次に、得られたオクタブロック共重合体(BP-13)50gをTHF300gに溶解させて1Lの反応容器に注入した後、メタノール175g、及びシュウ酸1gを添加して窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン2gを加えて中和反応を行った。
次に、得られた反応溶液を減圧濃縮した後、THF100g、アセトン100gを注入して脱保護後のオクタブロック共重合体を再溶解させた。次に、脱保護後のオクタブロック共重合体溶液を超純水4.5Lに加えてオクタブロック共重合体(BP-14)を析出させて洗浄した。
その後、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してオクタブロック共重合体(BP-14)の白色粉末固体45gを得た。
【0081】
得られたオクタブロック共重合体(BP-14)を用いて、上述した測定方法によりオクタブロック共重合体(BP-14)の組成比、Mn及びPDIを測定した。測定結果を以下及び下記表1に示す。
・オクタブロック共重合体(BP-14)の組成比(モル比率)
4-ヒドロキシスチレン(HS):4-トリメチルシリルスチレン(TMSSt)=50:50
・Mn=46537
・Mw=48398
・PDI=1.04
【0082】
次に、上述した方法により作製したパターンの恒等周期(d)及びhpを測定した。その結果、恒等周期(d)は、19.0nmであり、hpは9.5nmであった。測定結果を下記表1に示す。
【0083】
(比較例1:ジブロック共重合体(RBP-1)の合成)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して-70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)1.60mlを注入した。次に、反応溶液の内温が-60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったスチレン72.0gを滴下し、滴下終了後、更に30分間反応させた。
次に、更に蒸留脱水処理を行ったメタクリル酸メチル78.0gを滴下注入して30分間反応させた。
その後、メタノール30gを投入することにより重合反応を停止し、反応溶液を濃縮することによりジブロック共重合体(RBP-1)130gを得た。
【0084】
得られたジブロック共重合体(RBP-1)を用いて、上述した測定方法によりジブロック共重合体(RBP-1)の組成比、Mn及びPDIを測定した。測定結果を以下及び下記表1に示す。
・ジブロック共重合体(RBP-1)の組成比(モル比率)
スチレン(St):メタクリル酸メチル(MMA)=50:50
・Mn=46246
・Mw=48096
・PDI=1.04
【0085】
次に、上述した方法により作製したパターンの恒等周期(d)及びhpを測定した。その結果、恒等周期(d)は、28.0nmであり、hpは14.0nmであった。測定結果を下記表1に示す。
【0086】
(比較例2:ジブロック共重合体(RBP-2)の合成)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して-70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)3.50mlを注入した。次に、反応溶液の内温が-60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったスチレン72.0gを滴下し、滴下終了後、更に30分間反応させた。
次に、更に蒸留脱水処理を行ったメタクリル酸メチル78.0gを滴下注入して30分間反応させた。
その後、メタノール30gを投入することにより重合反応を停止し、反応溶液を濃縮することによりジブロック共重合体(RBP-2)130gを得た。
【0087】
得られたジブロック共重合体(RBP-2)を用いて、上述した測定方法によりジブロック共重合体(RBP-2)の組成比、Mn及びPDIを測定した。測定結果を以下及び下記表1に示す。
・ジブロック共重合体(RBP-2)の組成比(モル比率)
スチレン(St):メタクリル酸メチル(MMA)=50:50
・Mn=21176
・Mw=22023
・PDI=1.04
【0088】
ジブロック共重合体(RBP-2)を用い、上述した方法によりパターン作製を試みたが、相分離せず相溶しており、パターン作製ができなかった。
【0089】
(比較例3:テトラブロック共重合体(RBP-4)の合成)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して-70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)1.50mlを注入した。次に、反応溶液の内温が-60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったp-(1-エトキシエトキシ)スチレン35.9gを滴下し、滴下終了後、更に30分間反応させた。
次に、更に蒸留脱水処理を行った4-トリメチルシリルスチレン39.1gを滴下注入して30分間反応させた。さらにその後、p-(1-エトキシエトキシ)スチレン35.9gと4-トリメチルシリルスチレン39.1gとを順次滴下することで、重合反応を継続して行った。
その後、メタノール30gを投入することにより重合反応を停止し、反応溶液を濃縮することによりテトラブロック共重合体(RBP-3)130gを得た。
【0090】
次に、得られたテトラブロック共重合体(RBP-3)50gをTHF300gに溶解させて1Lの反応容器に注入した後、メタノール175g、及びシュウ酸1gを添加して窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン2gを加えて中和反応を行った。
次に、得られた反応溶液を減圧濃縮した後、THF100g、アセトン100gを注入して脱保護後のテトラブロック共重合体を再溶解させた。次に、脱保護後のテトラブロック共重合体溶液を超純水4.5Lに加えてテトラブロック共重合体(RBP-4)を析出させて洗浄した。
その後、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してテトラブロック共重合体(RBP-4)の白色粉末固体45gを得た。
【0091】
得られたテトラブロック共重合体(RBP-4)を用いて、上述した測定方法によりテトラブロック共重合体(RBP-4)の組成比、Mn及びPDIを測定した。測定結果を以下及び下記表1に示す。
・テトラブロック共重合体(RBP-4)の組成比(モル比率)
4-ヒドロキシスチレン(HS):4-トリメチルシリルスチレン(TMSSt)=50:50
・Mn=49325
・Mw=51298
・PDI=1.04
【0092】
次に、上述した方法により作製したパターンの恒等周期(d)及びhpを測定した。その結果、恒等周期(d)は、40.0nmであり、hpは20.0nmであった。測定結果を下記表1に示す。
【0093】
(比較例4:テトラブロック共重合体(RBP-6)の合成)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して-70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs-ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)2.70mlを注入した。次に、反応溶液の内温が-60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったp-(1-エトキシエトキシ)スチレン35.9gを滴下し、滴下終了後、更に30分間反応させた。
次に、更に蒸留脱水処理を行った4-トリメチルシリルスチレン39.1gを滴下注入して30分間反応させた。さらにその後、p-(1-エトキシエトキシ)スチレン35.9gと4-トリメチルシリルスチレン39.1gとを順次滴下することで、重合反応を継続して行った。
その後、メタノール30gを投入することにより重合反応を停止し、反応溶液を濃縮することによりテトラブロック共重合体(RBP-5)130gを得た。
【0094】
次に、得られたテトラブロック共重合体(RBP-5)50gをTHF300gに溶解させて1Lの反応容器に注入した後、メタノール175g、及びシュウ酸1gを添加して窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン2gを加えて中和反応を行った。
次に、得られた反応溶液を減圧濃縮した後、THF100g、アセトン100gを注入して脱保護後のテトラブロック共重合体を再溶解させた。次に、脱保護後のヘキサブロック共重合体溶液を超純水4.5Lに加えてテトラブロック共重合体(RBP-6)を析出させて洗浄した。
その後、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してテトラブロック共重合体(RBP-6)の白色粉末固体45gを得た。
【0095】
得られたテトラブロック共重合体(RBP-6)を用いて、上述した測定方法によりテトラブロック共重合体(RBP-6)の組成比、Mn及びPDIを測定した。測定結果を以下及び下記表1に示す。
・テトラブロック共重合体(RBP-6)の組成比(モル比率)
4-ヒドロキシスチレン(HS):4-トリメチルシリルスチレン(TMSSt)=50:50
・Mn=27431
・Mw=28529
・PDI=1.04
【0096】
次に、上述した方法により作製したパターンの恒等周期(d)及びhpを測定した。その結果、恒等周期(d)は、22.0nmであり、hpは11.0nmであった。測定結果を下記表1に示す。
【0097】
<ハーフピッチ(hp)の評価結果>
実施例及び比較例において測定した自己組織化膜のハーフピッチ(hp)は、以下の基準で評価をした。その結果を表1に記載した。
〇:自己組織化膜のハーフピッチ(hp)が10.0nm以下であった。
×:自己組織化膜のハーフピッチ(hp)が10.0nmを超えた。
【0098】
【表1】
【0099】
実施例で作製したブロック共重合体では、PDI及びハーフピッチ(hp)が十分に小さいことから均一な自己組織化膜を形成できることが確認された。
図1は、実施例及び比較例で作製したブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と、ハーフピッチ(hp)の関係を示す図である。
図1に示すように、ヘキサブロック共重合体(実施例1~3)では、構成するブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)を大きくしたとしても、形成するパターンのハーフピッチの増大を抑制することができることが確認された。
また、ペンタブロック共重合体(実施例4~5)、オクタブロック共重合体(実施例6~7)においても同様に、構成するブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)を大きくしたとしても、形成するパターンのハーフピッチの増大を抑制することができることが確認された。
一方で、テトラブロック共重合体(比較例3~4)では、重量平均分子量(Mw)の増加に伴い、ハーフピッチ(hp)が顕著に増加することが確認された。
また、比較例1~2は、一般式(1)で表される構成単位を含む第1重合ブロックと一般式(2)で表される構成単位を含む第2重合ブロックとを有さず、ハーフピッチ(hp)を小さくする(10.0nm以下とする)ことが困難であることが示された。
図1