(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116107
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】スプーン及びフォーク
(51)【国際特許分類】
A47G 21/00 20060101AFI20230815BHJP
A47G 21/04 20060101ALI20230815BHJP
A47G 21/02 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
A47G21/00 V
A47G21/04 Z
A47G21/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018699
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】592085780
【氏名又は名称】やなぎプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】田口 健吉
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115BA02
3B115BA09
3B115BA12
3B115DB07
(57)【要約】
【課題】スプーンの成形用プラスチック材料を節減する。
【解決手段】壺1と柄2から成るスプーンに於て、3対乃至5対の貫孔対U
8 を、上記柄2の長手方向略中央位置M
2 から柄尻3の方向Nに向って、順次、配設した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壺(1)と柄(2)から成るスプーンに於て、3対乃至5対の貫孔対(U8 )を、上記柄(2)の長手方向略中央位置(M2 )から柄尻(3)の方向(N)に向って、順次、配設したことを特徴とするスプーン。
【請求項2】
上記貫孔対(U8 )は、各々、横に並んだ2本の細長状貫孔(8)(8)をもって構成され、しかも、柄(2)の長手方向略中央位置(M2 )から柄尻方向(N)に向って、順次、上記細長状貫孔(8)の長さ寸法(L)が増加するように、設定されている請求項1記載のスプーン。
【請求項3】
上記柄(2)の横断形状は、所定幅の天井壁部(10)と、左右端垂下片部(11)(11)と、中央垂下片部(12)をもって、横倒E字型に形成され、
上記貫孔対(U8 )は、各々、2個の細長状貫孔(8)(8)をもって構成され、かつ、上記細長状貫孔(8)は、上記左右端垂下片部(11)(11)及び左右中央垂下片部(12)を避けて上記天井壁部(10)にのみ、形成されている請求項1又は2記載のスプーン。
【請求項4】
上記貫孔対(U8 )の各々の横断面に於て、中央垂下片部(12)と左右端垂下片部(11)(11)にて形成される凹溝(5)(5)の溝幅寸法(W5 )と、貫孔対(U8 )の各貫孔(8)(8)の横幅寸法(B)との間に、0.55・W5 ≦B≦0.95・W5 なる関係式が成立する請求項3記載のスプーン。
【請求項5】
上記貫孔対(U8 )の内で最も壺(1)に近く配設された最先端貫孔対(U81)の先端から柄尻(3)までの貫孔配置領域長さ(L81)と、柄(2)の全長(L0 )との間に、0.35・L0 ≦L81≦0.65・L0 なる関係式が成立する請求項1,2,3又は4記載のスプーン。
【請求項6】
すくい(20)と柄(2)から成るフォークに於て、3対乃至5対の貫孔対(U8 )を、上記柄(2)の長手方向略中央位置(M2 )から柄尻方向(N)に向って、順次、配設したことを特徴とするフォーク。
【請求項7】
上記貫孔対(U8 )は、各々、2個の細長状貫孔(8)(8)をもって構成され、しかも、長手方向略中央位置(M2 )から柄尻方向(N)に向って、順次、上記細長状貫孔(8)の長さ寸法(L)が増加するように、設定されている請求項6記載のフォーク。
【請求項8】
上記柄(2)の横断形状は、所定幅の天井壁部(10)と、左右端垂下片部(11)(11)と、中央垂下片部(12)をもって、横倒E字型に形成され、
上記貫孔対(U8 )は、各々、2個の細長状貫孔(8)(8)をもって構成され、かつ、上記細長状貫孔(8)は、上記左右端垂下片部(11)(11)及び左右中央垂下片部(12)を避けて上記天井壁部(10)にのみ、形成されている請求項6又は7記載のフォーク。
【請求項9】
上記貫孔対(U8 )の各々の横断面に於て、中央垂下片部(12)と左右端垂下片部(11)(11)にて形成される凹溝5,5の溝幅寸法(W5 )と、貫孔対(U8 )の各貫孔(8)(8)の横幅寸法(B)との間に、0.75・W5 ≦B≦0.95・W5 なる関係式が成立する請求項8記載のフォーク。
【請求項10】
上記貫孔対(U8 )の内で最もすくい(20)に近く配設された最先端貫孔対(U81)の先端から柄尻(3)までの貫孔配置領域長さ(L81)と、柄(2)の全長(L0 )との間に、0.35・L0 ≦L81≦0.65・L0 なる関係式が成立する請求項6,7,8又は9記載のフォーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプーン及びフォークに関する。
【背景技術】
【0002】
古くは、スプーン,フォークは金属製であったが、現在では、コンビニエンスストア等の弁当等に付設のプラスチック製のものが、主流となっている。しかも、(使い捨てのために)年間に捨てられるプラスチック製のスプーンやフォークは数10億本とも言われている。
最近の環境問題の解決のために、とうもろこしや(抽出後の)コーヒー豆等の廃材を、プラスチック材料に混入させる等の方法による努力もなされている。しかし、プラスチック成形の難しさ等問題もあり、普及が遅れている。
【0003】
本発明者は、一本のスプーン又はフォークを製造するためのプラスチック材料自体の減量を図るべきと考えて、調査・検討を行った。その結果、
図11に示したように、スプーン40の柄41の長さの半分以上に渡って、帯状切欠き窓部42を形成したものを、見付け出した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1記載のスプーンは、ステンレス鋼製である。即ち、十分な強度と剛性のある金属材料であるが故に、大きな帯状切欠き窓部42の形成が可能である。
図11に示すようなスプーン40を、仮に、プラスチックにて製造すれば、プラスチック材料の使用を大幅に低減できるメリットはあるが、プラスチック製としては、実用上、曲げ及び捩りに対しての強度不足で破損の虞があって、全く適用できない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、壺と柄から成るスプーンに於て、3対乃至5対の貫孔対を、上記柄の長手方向略中央位置から柄尻の方向に向って、順次、配設したものである。
また、上記貫孔対は、各々、横に並んだ2本の細長状貫孔をもって構成され、しかも、柄の長手方向略中央位置から柄尻方向に向って、順次、上記細長状貫孔の長さ寸法が増加するように、設定されている。
また、上記柄の横断形状は、所定幅の天井壁部と、左右端垂下片部と、中央垂下片部をもって、横倒E字型に形成され、上記貫孔対は、各々、2個の細長状貫孔をもって構成され、かつ、上記細長状貫孔は、上記左右端垂下片部及び左右中央垂下片部を避けて上記天井壁部にのみ、形成されている。
【0007】
また、上記貫孔対の各々の横断面に於て、中央垂下片部と左右端垂下片部にて形成される凹溝の溝幅寸法W5 と、貫孔対の各貫孔の横幅寸法Bとの間に、0.55・W5 ≦B≦0.95・W5 なる関係式が成立する。
また、上記貫孔対の内で最も壺に近く配設された最先端貫孔対の先端から柄尻までの貫孔配置領域長さL81と、柄の全長L0 との間に、0.35・L0 ≦L81≦0.65・L0 なる関係式が成立する。
【0008】
また、本発明は、すくいと柄から成るフォークに於て、3対乃至5対の貫孔対を、上記柄の長手方向略中央位置から柄尻方向に向って、順次、配設した。
また、フォークに於て、上記貫孔対は、各々、2個の細長状貫孔をもって構成され、しかも、長手方向略中央位置から柄尻方向に向って、順次、上記細長状貫孔の長さ寸法が増加するように、設定されている。
また、フォークに於て、上記柄の横断形状は、所定幅の天井壁部と、左右端垂下片部と、中央垂下片部をもって、横倒E字型に形成され、上記貫孔対は、各々、2個の細長状貫孔をもって構成され、かつ、上記細長状貫孔は、上記左右端垂下片部及び左右中央垂下片部を避けて上記天井壁部にのみ、形成されている。
【0009】
また、フォークに於て、上記貫孔対の各々の横断面に於て、中央垂下片部と左右端垂下片部にて形成される凹溝の溝幅寸法W5 と、貫孔対の各貫孔の横幅寸法Bとの間に、0.75・W5 ≦B≦0.95・W5 なる関係式が成立する。
また、フォークに於て、上記貫孔対の内で最もすくいに近く配設された最先端貫孔対の先端から柄尻までの貫孔配置領域長さL81と、柄の全長L0 との間に、0.35・L0 ≦L81≦0.65・L0 なる関係式が成立する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るスプーンによれば、使用状態下で最も大きな曲げモーメント及び捩りモーメントが作用する柄の(長手方向の)先端乃至略中央位置までは、(貫孔が存在せず)従来と同等の強度を維持している。そして、曲げモーメントや捩りモーメントがほとんど作用しない柄の長手方向略中央位置から柄尻の範囲では、プラスチック材料の使用量を、巧妙に、低減している。
さらに、本発明に係るフォークによれば、使用状態下で最も大きな曲げモーメント及び捩りモーメントが作用する柄の(長手方向の)先端乃至略中央位置までは、(貫孔が存在せず)従来と同等の強度を維持している。そして、曲げモーメントや捩りモーメントがほとんど作用しない柄の長手方向略中央位置から柄尻の範囲では、プラスチック材料の使用量を、巧妙に、低減している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るスプーンの実施の一形態を示す平面図である。
【
図3】断面図を示し、(A)(B)(C)は各々
図1(又は
図4)の(A-A)(B-B)(C-C)拡大断面図である。
【
図4】本発明に係るフォークの実施の一形態を示す平面図である。
【
図7】他の実施形態を示した要部拡大底面図である。
【
図8】別の実施形態を示した要部拡大底面図である。
【
図9】さらに別の実施形態を示した要部拡大底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1と
図2、及び、
図1の(A-A)、(B-B)、(C-C)各断面を示した
図3(A)(B)(C)に於て、プラスチック製のスプーンSを示し、壺1と柄2から成っている。
壺1は、スプーンの頭(bowl)とも呼ばれる部分である。
そして、柄2の長手方向略中央位置M
2 から柄尻3の方向Nに向って、3つ(3対)の貫孔対U
8 が、小寸法の間隙をもって、配設されている。
【0013】
本発明において、
図1,
図6に示したように、柄2の横(幅)方向Kに、小間隙をもって並んだ2個の貫孔8,8を、貫孔対U
8 と呼ぶこととする。また、各貫孔8は柄2の長手方向に細長状とするのが好ましい。さらに、細長状の各貫孔8の両端はアール状に丸味を有する。
しかも、柄2の長手方向略中央領域M
2 から柄尻方向Nに向って、細長状貫孔8の長さ寸法Lが、順次、増加するように、設定している。
図6に示す具体例では、L
3 <L
2 <L
1 となるように設定される。しかも、次の数式(1)と数式(2)が成立するのが、好ましい。
1.5 ・L
2 ≦L
1 ≦2.0 ・L
2 ………数式(1)
1.5 ・L
3 ≦L
2 ≦2.0 ・L
3 ………数式(2)
【0014】
次に、
図7は(
図6に代わる)他の実施形態を示し、細長状貫孔8の形状が、4つの角部を有する長方形をしている。
また、
図6,
図7では、長手方向の2辺28,28が相互に平行な場合を例示する。ところで、柄2は、平面(底面)的に見ると、柄尻3に向って次第に横方向Kの幅寸法が増加する場合が多い。そのような場合に、各貫孔8の2辺28,28を柄尻3に近づくに従って溝幅の増加する拡開状として、各貫孔8を楔型としても、自由である。
【0015】
次に、
図8は、貫孔対U
8 の数を5対とした場合を示す。即ち、本発明にあっては、
図6に示した3対に限らず、5対まで、貫孔対U
8 の数を増加するも自由であり、(図示省略の)4対とするも好ましい。
また、
図9は、貫孔対U
8 の数を、
図7に示した3対から、5対に増やしても、かつ、(図示省略の)4対としても、自由であることを示す。
なお、
図8又は
図9に於て、柄尻3から4番目,5番目の貫孔対U
8 は、3番目の貫孔対U
8 に比較して、順次、その長さ寸法が減少するように、設定するのが、望ましい。
【0016】
次に、
図3(A)(B)(C)の各図は、
図1におけるA-A拡大断面図、B-B拡大断面図、C-C拡大断面図である。
この
図3(A)(B)(C)から判るように、柄2の横断面形状は、所定幅の天井壁部10と、左右端垂下片部11,11と、中央垂下片部12をもって、横断面が横倒E字型に、形成されている。
既述の如く、貫孔対U
8 は、各々、2個の(左右の)細長状貫孔8,8をもって、構成されているが、
図3(及び
図10)から明らかとなるように、各貫孔8は、左右端垂下片部11,11及び中央垂下片部12を避けて、天井壁部10にのみ、形成されている。
【0017】
さらに詳しく説明すると、
図3(A)(B)(C)及び
図10に示した貫孔対U
8 の横断面に於て、中央垂下片部12と左右端垂下片部11,11にて形成される凹溝5,5の溝幅寸法W
5 と、各貫孔8の横幅寸法Bとの間に、次の数式(3)が成立する。
0.55・W
5 ≦B≦0.95・W
5 ………数式(3)
より望ましくは、次の数式(4)とする。
0.60・W
5 ≦B≦0.90・W
5 ………数式(4)
【0018】
なお、
図6に於て、各貫孔8の形状を、凹溝5の内面と平行状に形成するのも、望ましい。即ち、柄2は柄尻3から壺1の方向へ近づくに従って、幅寸法が減少する場合が多い。その場合は凹溝5の幅寸法も壺1の方向に近づけば減少するため、細長状貫孔8の平面視(
図1)及び底面視(
図2と
図6)の形状を、先端方向―――壺1の方向―――へ幅狭テーパ状とするのが好ましい。
【0019】
ところで、
図1に示したように、貫孔対U
8 ,U
8 ,U
8 の内で、最も壺1に近く配設された最先端貫孔対U
81の先端から、柄尻3までの長さ寸法―――これを「貫孔配置領域長さL
81」と呼ぶ―――は、柄2の全長をL
0 とすれば、次の数式(5)が成立する。
即ち、0.35・L
0 ≦L
81≦0.65・L
0 ………数式(5)
【0020】
次に、
図4と
図5、及び、(
図4の(A-A)(B-B)(C-C)各断面を示した)
図3(A)(B)(C)に於て、プラスチック製のフォークFを示し、すくい20と柄2から成っている。
すくい20は、フォークの歯(歯面部;prong )とも呼ばれる部分である。
そして、柄2の長手方向略中央位置M
2 から柄尻3の方向Nに向って、3つ(3対)の貫孔対U
8 が、小寸法の間隙をもって、配設されている。また、各貫孔8は柄2の長手方向に細長状とするのが好ましい。
しかも、柄2の長手方向略中央領域M
2 から柄尻方向Nに向って、細長状貫孔8の長さ寸法Lが、順次、増加するように、設定している(
図4,
図5参照)。
【0021】
図6に示す具体例では、L
3 <L
2 <L
1 となるように設定される。しかも、次の数式(1)と数式(2)が成立するのが、好ましい。
1.5 ・L
2 ≦L
1 ≦2.0 ・L
2 ………数式(1)
1.5 ・L
3 ≦L
2 ≦2.0 ・L
3 ………数式(2)
【0022】
次に、
図7は(
図6に代わる)他の実施形態を示し、細長状貫孔8の形状が、4つの角部を有する長方形をしている。
また、
図6,
図7では、長手方向の2辺28,28が相互に平行な場合を例示する。ところで、柄2は、平面(底面)的に見ると、柄尻3に向ってしだいに横方向Kの幅寸法が増加する場合が多い。そのような場合に、各貫孔8の2辺28,28を、柄尻3に近づくに従って、溝幅の増加する拡開状として、各貫孔8を楔型としても、自由である。
【0023】
次に、
図8は、貫孔対U
8 の数を5対とした場合を示す。即ち、本発明にあっては、
図6に示した3対に限らず、5対まで、貫孔対U
8 の数を増加するも自由であり、(図示省略の)4対とするも好ましい。
また、
図9は、貫孔対U
8の数を、
図7に示した3対から、5対に増やしても、かつ、(図示省略の)4対としても、自由であることを示す。
なお、
図8又は
図9に於て、柄尻3から4番目,5番目の貫孔対U
8 は、3番目の貫孔対U
8 に比較して、順次、その長さ寸法が減少するように、設定するのが、望ましい。
【0024】
次に、
図3の(A)(B)(C)の各図は、
図4におけるA-A拡大断面図、B-B拡大断面図、C-C拡大断面図でもある。
この
図3(A)(B)(C)から判るように、柄2の横断面形状は、所定幅の天井壁部10と、左右端垂下片部11,11と、中央垂下片部12をもって、横断面が横倒E字型に、形成されている。
フォークFにあっても、貫孔対U
8 は、各々、2個の(左右の)細長状貫孔8,8をもって、構成されているが、
図3(及び
図10)から明らかとなるように、各貫孔8は、左右端垂下片部11,11及び中央垂下片部12を避けて、天井壁部10にのみ、形成されている。
【0025】
さらに詳しく説明すると、
図3(A)(B)(C)及び
図10に示した貫孔対U
8 の横断面に於て、中央垂下片部12と左右端垂下片部11,11にて形成される凹溝5,5の溝幅寸法W
5 と、各貫孔8の横幅寸法Bとの間に、次の数式(3)が成立する。
0.55・W
5 ≦B≦0.95・W
5 ………数式(3)
より望ましくは、次の数式(4)とする。
0.60・W
5 ≦B≦0.90・W
5 ………数式(4)
【0026】
なお、
図6に於て、各貫孔8の形状を、凹溝5の内面と平行状に形成するのも、望ましい。即ち、柄2は柄尻3からすくい(歯面部)20の方向へ近づくに従って、幅寸法が減少する場合が多い。その場合は、凹溝5の幅寸法もすくい20の方向に近づけば減少するため、細長状貫孔8の平面視(
図4)及び底面視(
図5と
図6)の形状を、先端方向―――すくい20の方向―――へ幅狭テーパ状とするのが好ましい。
【0027】
ところで、
図4に示したように、貫孔対U
8 ,U
8 ,U
8 の内で、最もすくい20に近く配設された最先端貫孔対U
81の先端から、フォーク柄尻3までの長さ寸法―――これを「貫孔配置領域長さL
81」と呼ぶ―――は、フォークFの柄2の全長をL
0 とすれば、次の数式(5)が成立する。
即ち、0.35・L
0 ≦L
81≦0.65・L
0 ………数式(5)
なお、本発明のスプーンS又はフォークFにおける貫孔8は、プラスチック射出成形時に同時に形成する。成形後の機械的打抜きにて形成することも、可能である。
【0028】
本発明は、以上詳述したように、壺1と柄2から成るスプーンに於て、3対乃至5対の貫孔対U8 を、上記柄2の長手方向略中央位置M2 から柄尻3の方向Nに向って、順次、配設した構成であるので、スプーン使用時に大きな曲げモーメントや捩り力が作用する壺1の近傍領域は、十分な強度を、そのまま保ちながら、人の指にて保持されて補強され、幅寸法の比較的大きい柄尻3の近傍に、3対乃至5対の貫孔対U8 を配設されて、スプーンとしての強度と剛性は十分確保されつつ、貫孔8の形成によるプラスチック材料の減量を実現できる。年間に捨てられるプラスチック製スプーンの本数は莫大な量であるので、一本のスプーンに6個乃至10個の貫孔8を形成することによるプラスチック材料節減量は微小と言えども、我国全体での節減総量は十分な重量となって、最近の環境保全に大きく貢献できる発明である。
【0029】
また、本発明は、上記貫孔対U8 は、各々、横に並んだ2本の細長状貫孔8,8をもって構成され、しかも、柄2の長手方向略中央位置M2 から柄尻方向Nに向って、順次、上記細長状貫孔8の長さ寸法Lが増加するように、設定されているので、スプーン使用時に、大きな曲げモーメントや捩り力が作用する壺1の近傍領域を避けて、比較的幅寸法の大きい部位に、巧妙に、貫孔対U8 を配設でき、スプーンの柄2の強度と剛性は十分に確保できる。しかも、柄尻3に近づくほど、柄2の横幅寸法が増加して強度も剛性も高まるため、細長状貫孔8の長さ寸法Lを柄尻方向Nに向って増加させることは、スプーンの柄2の強度と剛性を最低限度いないに維持する上で合理的である。
【0030】
また、本発明は、上記柄2の横断形状は、所定幅の天井壁部10と、左右端垂下片部11,11と、中央垂下片部12をもって、横倒E字型に形成され、上記貫孔対U8 は、各々、2個の細長状貫孔8,8をもって構成され、かつ、上記細長状貫孔8は、上記左右端垂下片部11,11及び左右中央垂下片部12を避けて上記天井壁部10にのみ、形成されている構成であるので、柄2の左右垂下片部11,11と中央垂下片部12は、(軽量を保ちつつ)上下方向の曲げモーメントに対する十分な補強に貢献する。しかも、貫孔8によって、左右垂下片部11,11及び中央垂下片部12は、全く傷付かず、長手方向に連続状として、柄2に作用するスプーン使用時の曲げモーメントに対応できる。
【0031】
また、上記貫孔対の各々の横断面に於て、中央垂下片部と左右端垂下片部にて形成される凹溝の溝幅寸法W5 と、貫孔対の各貫孔の横幅寸法Bとの間に、0.55・W5 ≦B≦0.95・W5 なる関係式が成立するように設定したので、プラスチック材料節減のために十分な横幅寸法Bを確保できる。かつ、横幅寸法Bを大きく設定しすぎて、垂下片部11,11や中央垂下片部12に傷付き(凹窪部)を形成してしまう虞もなくなり、柄2の曲げ強度は十分確保できる。
【0032】
また、上記貫孔対の内で最も壺に近く配設された最先端貫孔対の先端から柄尻までの貫孔配置領域長さL81と、柄の全長L0 との間に、0.35・L0 ≦L81≦0.65・L0 なる関係式が成立するように構成したので、スプーン使用時に大きな曲げモーメントや捩り力が作用する壺1の近傍領域は、(貫孔が存在せず、)十分な強度を保つ。即ち、上記数式において、上限値(0.65・L0 )を越えると、スプーン使用時に、折損の虞が高まる。逆に、上記数式の下限値(0.35・L0 )よりも小さいと、貫孔8による材料節減が十分にできない。
【0033】
さらに、本発明は、すくい20と柄2から成るフォークに於て、3対乃至5対の貫孔対U8 を、上記柄2の長手方向略中央位置M2 から柄尻方向Nに向って、順次、配設した構成であるので、フォーク使用時に大きな曲げモーメントや捩り力が作用するすくい20の近傍領域は、十分な強度を、そのまま保ちながら、人の指にて保持されて補強され、幅寸法の比較的大きい柄尻3の近傍に、3対乃至5対の貫孔対U8 を配設されて、フォークとしての強度と剛性は十分確保されつつ、貫孔8の形成によるプラスチック材料の減量を実現できる。年間に捨てられるプラスチック製スプーンの本数は莫大な量であるので、一本のフォークに6個乃至10個の貫孔8を形成することによるプラスチック材料節減量は微小と言えども、我国全体での節減総量は十分な重量となって、最近の環境保全に大きく貢献できる発明である。
【0034】
また、本発明は、上記貫孔対U8 は、各々、2個の細長状貫孔8,8をもって構成され、しかも、長手方向略中央位置M2 から柄尻方向Nに向って、順次、上記細長状貫孔8の長さ寸法Lが増加するように、設定されているので、フォーク使用時に、大きな曲げモーメントや捩り力が作用するすくい20の近傍領域を避けて、比較的幅寸法の大きい部位に、巧妙に、貫孔対U8 を配設でき、フォークの柄2の強度と剛性は十分に確保できる。しかも、柄尻3に近づくほど、柄2の横幅寸法が増加して強度も剛性も高まるため、細長状貫孔8の長さ寸法Lを柄尻方向Nに向って増加させることは、フォークの柄2の強度と剛性を最低限度以内に維持する上で合理的である。
【0035】
また、本発明は、上記柄2の横断形状は、所定幅の天井壁部10と、左右端垂下片部11,11と、中央垂下片部12をもって、横倒E字型に形成され、上記貫孔対U8 は、各々、2個の細長状貫孔8,8をもって構成され、かつ、上記細長状貫孔8は、上記左右端垂下片部11,11及び左右中央垂下片部12を避けて上記天井壁部10にのみ、形成されている構成であるので、柄2の左右垂下片部11,11と中央垂下片部12は、(軽量を保ちつつ)上下方向の曲げモーメントに対する十分な補強に貢献する。しかも、貫孔8によって、左右垂下片部11,11及び中央垂下片部12は、全く傷付かず、長手方向に連続状として、柄2に作用するフォーク使用時の曲げモーメントに対応できる。
【0036】
また、上記貫孔対の各々の横断面に於て、中央垂下片部と左右端垂下片部にて形成される凹溝の溝幅寸法W5 と、貫孔対の各貫孔の横幅寸法Bとの間に、0.75・W5 ≦B≦0.95・W5 なる関係式が成立するように設定したので、プラスチック材料節減のために十分な横幅寸法Bを確保できる。かつ、横幅寸法Bを大きく設定しすぎて、垂下片部11,11や中央垂下片部12に傷付き(凹窪部)を形成してしまう虞もなくなり、柄2の曲げ強度は十分確保できる。
【0037】
また、上記貫孔対の内で最もすくいに近く配設された最先端貫孔対の先端から柄尻までの貫孔配置領域長さL81と、柄の全長L0 との間に、0.35・L0 ≦L81≦0.65・L0 なる関係式が成立するように構成したので、フォーク使用時に大きな曲げモーメントや捩り力が作用するすくい20の近傍領域は、(貫孔が存在せず、)十分な強度を保つ。即ち、上記数式において、上限値(0.65・L0 )を越えると、フォーク使用時に、折損の虞が高まる。逆に、上記数式の下限値(0.35・L0 )よりも小さいと、貫孔8による材料節減が十分にできない。
【符号の説明】
【0038】
1 壺
2 柄
3 柄尻
5 凹溝
8 貫孔
10 天井壁部
11 (左右端)垂下片部
12 中央垂下片部
20 すくい
B 横幅寸法
F フォーク
L,L1 ,L2 ,L3 長さ寸法
L0 柄の全長
L81 貫孔配置領域長さ
M2 略中央位置
N 柄尻方向
S スプーン
U8 貫孔対
U81 最先端貫孔対
W5 溝幅寸法