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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116136
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】拡大掘削装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 10/32 20060101AFI20230815BHJP
   E02D 5/44 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
E21B10/32
E02D5/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018746
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】522053964
【氏名又は名称】中尾 保正
(71)【出願人】
【識別番号】000228660
【氏名又は名称】日本コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】中尾 保正
【テーマコード(参考)】
2D041
2D129
【Fターム(参考)】
2D041AA03
2D041BA11
2D041BA44
2D041CA03
2D041CB01
2D041CB04
2D041DA12
2D041EA04
2D041EB07
2D041EC01
2D041FA02
2D041FA04
2D129AB16
2D129AC09
2D129BB08
2D129EB26
2D129GA34
2D129HB14
(57)【要約】
【課題】機械的要素のみで構成された簡素な構造であり、強度が高く、従来の拡大掘削装置より拡大掘削率の高い拡大掘削装置を提供する。
【解決手段】拡大掘削装置100は、掘削ロッドの先端に一体的に連結可能な掘削シャフト10と、掘削シャフト10の外周に掘削シャフト10の軸心10cと平行をなし、且つ、掘削シャフト10の周方向に沿って等間隔に配置された複数の支軸13と、各支軸13に回動可能に取り付けられた拡大翼11と、を備え、掘削ロッドが矢線R方向に正回転する杭穴掘削作業時は、土圧を受けた拡大翼11が縮径状態を保持し、掘削ロッドが矢線L方向に逆回転する拡大掘削作業時は、土圧を受けた拡大翼11が支軸13回りに回動して拡径状態となり、その状態のままで掘削シャフト10とともに複数の拡大翼11が矢線L方向に回転することにより周囲の地盤を拡大削孔する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削ロッドの先端に掘削ロッドと一体に回転するように連結可能な掘削シャフトと、
前記掘削シャフトの外周に前記掘削シャフトの軸心と平行をなし、且つ、前記掘削シャフトの周方向に沿って等間隔に配置された複数の支軸と、
前記支軸に回動可能に取り付けられた拡大翼と、を備え、
前記掘削ロッドが正回転する杭穴掘削作業時は、土圧を受けた前記拡大翼が縮径状態を保持し、
前記掘削ロッドが逆回転する拡大掘削作業時は、土圧を受けた前記拡大翼が前記支軸回りに回動して前記拡大翼の一部が前記掘削シャフトの外周に当接するまで拡がった拡径状態を保持することを特徴とする拡大掘削装置。
【請求項2】
前記拡大翼を、前記掘削シャフトの軸心方向に沿って重なるように複数配置した請求項1記載の拡大掘削装置。
【請求項3】
前記拡大翼が前記拡径状態まで回動することによって剪断される拡径確認部材を設けた請求項1または2記載の拡大掘削装置。
【請求項4】
拡大掘削作業時における前記拡大翼の上面若しくは下面の少なくとも一方に少なくとも一つのコニカルビットを設けた請求項1~3の何れかの項に記載の拡大掘削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に形成された杭穴先端部を拡大掘削して根固め球根部を形成する工事に使用する拡大掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に形成された杭穴先端部を拡大掘削して根固め球根部を形成する拡大掘削装置については、従来、様々な構造、機能を有するものが提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1に記載された「拡大掘削装置」などがある。
【0003】
特許文献1に記載された「拡大掘削装置」は、掘削ロッドの先端に掘削ロッドと一体に回転するように連結して使用するものであり、この拡大掘削装置は、掘削ロッドに連通する中空状の駆動軸と、その外周に設けられた螺旋状を呈する2枚の掘削翼と、各掘削翼の先端に取り付けられた掘削刃と、各掘削翼の螺旋に沿って設けられ、拡径状態と縮径状態に切り換え可能に構成された2枚の拡大翼とを備えている。
【0004】
2枚の拡大翼は掘削翼に連設したブラケットにピンで揺動自在に支持され、掘削ロッドを正回転させる杭孔掘削時には、土圧により、掘削翼の回転軌跡内に大部分が収容された縮径状態となり、掘削ロッドを逆回転させることにより、拡大翼が土圧を受けてピン回りに揺動し、掘削翼の回転軌跡より半径方向外方に突出した拡径状態となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-214366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された「拡大掘削装置」は、螺旋状を呈する2枚の掘削翼の螺旋に沿って設けられ、拡径状態と縮径状態に切り換え可能に構成された2枚の拡大翼で拡大掘削するのであるが、掘削翼に比べ拡大翼のサイズ(掘削ロッドの回転面の半径方向のサイズ)が小さいので、拡大掘削率が低いという問題がある。
【0007】
また、前記「拡大掘削装置」においては、拡大掘削率を高めるため、拡大翼のサイズを大きくすると、拡大掘削作業時に、土圧によりブラケット付近に加わる負荷が過大となり、損傷する可能性が高まるので、拡大翼のサイズを大きくして、拡大掘削率を高めることが困難であるのが実状である。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、機械的要素のみで構成された簡素な構造であり、強度が高く、従来の拡大掘削装置より拡大掘削率の高い拡大掘削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る拡大掘削装置は、
掘削ロッドの先端に掘削ロッドと一体に回転するように連結可能な掘削シャフトと、
前記掘削シャフトの外周に前記掘削シャフトの軸心と平行をなし、且つ、前記掘削シャフトの周方向に沿って等間隔に配置された複数の支軸と、
前記支軸に回動可能に取り付けられた拡大翼と、を備え、
前記掘削ロッドが正回転する杭穴掘削作業時は、土圧を受けた前記拡大翼が縮径状態を保持し、
前記掘削ロッドが逆回転する拡大掘削作業時は、土圧を受けた前記拡大翼が前記支軸回りに回動して前記拡大翼の一部が前記掘削シャフトの外周に当接するまで拡がった拡径状態を保持することを特徴とする。
【0010】
前記拡大掘削装置においては、前記拡大翼を、前記掘削シャフトの軸心方向に沿って重なるように複数配置することができる。
【0011】
前記拡大掘削装置においては、前記拡大翼が前記拡径状態まで回動することによって剪断される拡径確認部材を設けることができる。
【0012】
前記拡大掘削装置においては、前記拡大翼の上面若しくは下面の少なくとも一方に少なくとも一つのコニカルビットを設けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、機械的要素のみで構成された簡素な構造であり、強度が高く、従来の拡大掘削装置より拡大掘削率の高い拡大掘削装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態である拡大掘削装置を示す一部省略正面図である。
図2図1中のA-A線における一部省略水平断面図であり、拡大翼が縮径している状態を示している。
図3図1中のA-A線における一部省略水平断面図であり、拡大翼が拡径している状態を示している。
図4図1に示す拡大掘削装置に掘削ヘッドを連結する状態を示す一部省略正面図である。
図5図1に示す拡大掘削装置の使用状態(拡大翼が縮径した状態)を示す一部省略垂直断面図である。
図6】その他の実施形態である拡大掘削装置に掘削ヘッドを連結した状態を示す一部省略正面図である。
図7図6に示す拡大掘削装置の使用状態(拡大翼が縮径した状態)を示す一部省略垂直断面図である。
図8図6に示す拡大掘削装置の拡径確認部材付近を示す一部省略斜視図である。
図9図8中の拡径確認部材付近を示す一部省略斜視図である。
図10】その他の実施形態である拡大掘削装置を示す一部省略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図5に基づいて、本発明の実施形態である拡大掘削装置100について説明する。図1図3に示す拡大掘削装置100は、図5に示すように、駆動手段(図示せず)により正逆方向に回転駆動される駆動軸2と、駆動軸2の外周に設けられた螺旋状の掘削羽根3と、を備えた掘削ロッド1の駆動軸2の先端に掘削ロッド1と一体に回転するように連結可能な掘削シャフト10と、掘削シャフト10の外周に掘削シャフト10の軸心10cと平行をなし、且つ、掘削シャフト10の周方向に沿って等間隔に配置された複数の支軸13と、各支軸13に回動可能に取り付けられた拡大翼11と、を備えている。
【0016】
図1に示すように、各支軸13は軸心10cと平行な方向に離れた一対のブラケット16,16を介して掘削シャフト10の外周面から離れた位置に固定されている。図2,3に示すように、拡大翼11の平面視形状は、支軸13から離れるにつれて連続的に縮幅したテーパ形状をなし、その先端部11dは鉛直方向(軸心10c方向)と平行な平面形状をなし、基端側には先端部11dから離れる方向に突出した突起部11bと、突起部11bに隣接し、先端部11dに近づく方向に凹んだ凹部11cと、が設けられている。拡大翼11は掘削シャフト10の外周に120度間隔で3箇所に配置されているが、拡大翼11の形状、個数並びに配置間隔などは図2図3に示す形態に限定されない。
【0017】
複数のブラケット16の外周において支軸13より掘削シャフト10寄りの部分には拡径確認ボルト18が配置されている。拡径確認ボルト18付近の構造や機能などについては、後の段落において、図8図9に基づいて詳述する。
【0018】
図1に示すように、掘削シャフト10の上端側には掘削ロッド1の駆動軸2の下端部分に連結するための六角柱状のコネクタ14aが突設され、掘削シャフト10の下端側には、図4に示す掘削ヘッド20の駆動軸21の上端側に突設されたコネクタ22が嵌入可能なコネクタ穴14bが軸心10c方向に穿設されている。
【0019】
図1に示す拡大掘削装置100を使用する場合、図4に示すように、拡大掘削装置100の下端側に掘削ヘッド20を連結する。掘削ヘッド20は、円筒状の駆動軸21と、駆動軸21の上端側に突設された六角柱状のコネクタ22と、駆動軸21の外周に設けられた螺旋状の掘削羽根23と、を備えている。拡大掘削装置100の掘削シャフト10の下端側のコネクタ穴14bに、掘削ヘッド20の上端側のコネクタ22を嵌入し、所定の固定手段で固定することにより、拡大掘削装置100と掘削ヘッド20とが一体的に連結される。
【0020】
次に、図4に示すように、掘削ヘッド20と一体化された拡大掘削装置100を、掘削ロッド1の駆動軸2の先端に掘削ロッド1と一体に回転するように連結する。具体的には、駆動軸2の先端に穿設されたコネクタ穴4(図5参照)に、拡大掘削装置100の掘削シャフト10の上端側のコネクタ14aを嵌入し、所定の固定手段で固定することにより、掘削ロッド1と、拡大掘削装置100及び掘削ヘッド20と、が一体的に連結される。これにより、拡大掘削装置100及び掘削ヘッド20は、掘削ロッド1と一体的に回転するように連結される。
【0021】
ここで、図2図5に基づいて、拡大掘削装置100を構成する拡大翼11の機能、作用効果などについて説明する。
【0022】
図5に示すように、杭穴掘削作業時は掘削ロッド1を矢線R方向に正回転させるが、このとき、図2に示すように、土圧を受けた拡大翼11の先端部11dが掘削シャフト10に接近した状態を保持するので拡大翼11は縮径状態に保たれる。従って、掘削ロッド1を矢線R方向に正回転させることにより、杭穴掘削作業を円滑に行うことができる。
【0023】
一方、拡大掘削作業時は掘削ロッド1を矢線L方向に逆回転させるが、このとき、図3に示すように、土圧を受けた複数の拡大翼11がそれぞれ支軸13回りに回動して拡大翼11の突起部11bが掘削シャフト10の外周に当接するまで拡がっていき、図3に示すように、手裏剣状をなす拡径状態に保たれる。従って、掘削羽根23(図5参照)より大きな回転半径を描いて矢線L方向に回転する複数の拡大翼11により、図5に示す地盤中に形成された杭穴Hの拡大翼11の周囲の地盤が拡大掘削され、杭穴Hより内径の大きな根固め球根部(図示せず)が形成される。
【0024】
前述したように、図3に示す拡大掘削装置100の拡大翼11は大きな回転半径を描いて矢線L方向に回転して杭穴H(図5参照)の周囲の地盤を拡大掘削するので、従来の拡大掘削装置より拡大掘削率を高めることができる。また、拡大翼11が矢線L方向に回転して地盤を掘削するときに突起部11bに生じる土圧の反力は掘削シャフト10の外周(突起部11bが当接している部分)で支えるので、損傷し難く、簡素な構造でありながら、高強度を発揮する。
【0025】
また、図3に示すように、支軸13は掘削シャフト10の外周から離れた位置に配置されているので、支軸13と反力点(突起部11b)との間に溜まった土砂が、拡大翼11が拡径するときに噛むことがなく、スムーズな拡径動作を確保することができる。
【0026】
拡大掘削作業が終了後、掘削ロッド1(図5参照)を矢線R方向に正回転させると、土圧を受けた複数の拡大翼11はそれぞれ図1図2に示す縮径状態に戻るので、拡大掘削装置100及び掘削ヘッド20は掘削ロッド1とともに容易に地上に引き上げることができる。
【0027】
拡大掘削装置100を構成する拡大翼11は、掘削ロッド1を介して掘削シャフト10を逆回転させたり、正回転させたりするだけで、拡径したり、縮径したりするので、油圧系、電気系の動作システムが不要である。このため、拡大掘削装置100は機械的要素のみで構成することができ、構造も簡素である。
【0028】
次に、図6図9に基づいて、その他の実施形態である拡大掘削装置200について説明する。なお、拡大掘削装置200において、前述した拡大掘削装置100と共通する部分については図1図5中に示す符号と同符号を付して説明を省略する。
【0029】
図6は拡大掘削装置200に掘削ヘッド20を一体的に連結した状態を示している。図6に示すように、拡大掘削装置200においては、図1に示す拡大掘削装置100の拡大翼11の位置に上部拡大翼11並びに下部拡大翼12を配置している。上部拡大翼11並びに下部拡大翼12は掘削シャフト10の軸心10c方向に沿って重ねて配置され、支軸13及びブラケット16を介して掘削シャフト10の外周に取り付けられている。
【0030】
上部拡大翼11並びに下部拡大翼12は互いに干渉することなく、支軸13周りに回動可能である。上部拡大翼11並びに下部拡大翼12の形状、機能などは、図2図3に示す拡大翼11と同様であり、上部拡大翼11並びに下部拡大翼12は互いに同様の構造、機能等を有している。
【0031】
拡大掘削装置200の使い方は図5に示す拡大掘削装置100と同様である。図7に示すように、拡大掘削装置200は、掘削ヘッド20とともに、掘削ロッド1の先端部分に掘削ロッド1と一体的に回転するように連結して使用される。
【0032】
拡大掘削装置200を構成する上部拡大翼11並びに下部拡大翼12は、掘削ロッド1を介して掘削シャフト10を逆回転させたり、正回転させたりするだけで、図2図3に示す拡大翼11と同様に拡径したり、縮径したりするので、油圧系、電気系の動作システムが不要である。このため、拡大掘削装置200は機械的要素のみで構成することができ、構造も簡素である。
【0033】
上部拡大翼11並びに下部拡大翼12は支軸13を共有して掘削シャフト10の軸心10c方向に沿って重なるように配置され、上部拡大翼11並びに下部拡大翼12は同様の構造、機能等を有しているので、拡大掘削作業の効率化に有効である。
【0034】
図8図9に示すように、拡大掘削装置200においては、ブラケット16の外周の支軸13より掘削シャフト10寄りの部分にナット17が固着されている。ナット17は、その軸心方向が支軸13と平行をなすように固着され、合成樹脂製の拡径確認ボルト18がナット17に螺着されている。
【0035】
上部拡大翼11並びに下部拡大翼12が縮径状態にあるとき、拡径確認ボルト18の先端部18aは、上部拡大翼11並びに下部拡大翼12から離れた状態にあるが、拡径確認ボルト18の先端部18aは上部拡大翼11並びに下部拡大翼12が拡径状態まで回動するときの動作領域内に位置している。従って、上部拡大翼11並びに下部拡大翼12が拡径状態まで回動すると拡径確認ボルト18の先端部18a側が剪断される。
【0036】
即ち、図9に示すように、上部拡大翼11が拡径状態まで回動していく過程において、上部拡大翼11の凹部11cがナット17の下方を通過するきに、凹部11cとナット17との間に生じる剪断作用により、拡径確認ボルト18の先端部18a側が剪断される。この剪断作用は下部拡大翼12においても同様に生じる。
【0037】
従って、拡大掘削作業が終了し、地上に引き上げられた拡大掘削装置200の拡径確認ボルト18の剪断の有無を目視確認することにより、拡大掘削作業中に上部拡大翼11並びに下部拡大翼12が拡径したか否かを確認することができる。これにより、杭穴Hの先端部に所定の大きさの根固め球根部が形成されたか否かを確認することができる。先端部18a側が剪断された拡径確認ボルト18をナット17から取り外し、新たな拡径確認ボルト18をナット17に螺着すれば、拡径確認手段としての機能が再生される。
【0038】
なお、前述した、図2図3中に示す拡径確認ボルト18も、図8図9に示すナット17並びに拡径確認ボルト18と同様に設けられており、図8図9中の拡径確認ボルト18と同様の作用効果を発揮する。
【0039】
拡大掘削作業が終了した後、掘削ロッド1(図7参照)を矢線R方向に正回転させると、上部拡大翼11並びに下部拡大翼12は図6図7に示す縮径状態に戻るので、拡大掘削装置200の引き上げ作業は容易である。
【0040】
次に、図10に基づいて、その他の実施形態である拡大掘削装置300について説明するが、拡大掘削装置300において前述した拡大掘削装置200と共通する部分については図6図9中に示す符号と同符号を付して説明を省略する。
【0041】
図10に示すように、拡大掘削装置300においては、上部拡大翼11の上面11a及び下部拡大翼12の下面12bにそれぞれ複数のコニカルビット19を設けている。コニカルビット19はそれぞれ台座19aを介して溶接されている。
【0042】
上部拡大翼11の上面11aの複数のコニカルビット19の尖端部19bは、掘削シャフト10が矢線L方向に逆回転するとき、矢線Lの上方に向かうとともに、掘削シャフト10から離れる方向に向かうように傾斜して配置されている。
【0043】
下部拡大翼12の下面12bの複数のコニカルビット19の尖端部19bは、掘削シャフト10が矢線L方向に逆回転するとき、矢線Lの下方に向かうとともに、掘削シャフト10から離れる方向に向かうように傾斜して配置されている。
【0044】
図10に示すように、上部拡大翼11の上面11a及び下部拡大翼12の下面12bにそれぞれ複数のコニカルビット19を設けたことにより、上部拡大翼11及び下部拡大翼12の拡径動作並びに縮径動作の迅速化及び確実化を図ることができ、拡大掘削作業の効率化にも有効である。
【0045】
なお、図1図10に基づいて説明した拡大掘削装置100,200,300は、本発明に係る拡大掘削装置を例示するものであり、本発明に係る拡大掘削装置は前述した拡大掘削装置100,200,300に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る拡大掘削装置は、地中に形成された杭穴先端部を拡大掘削して根固め球根部を形成する工事を施工する装置として、土木建築業などの分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 掘削ロッド
2,21 駆動軸
3,23 掘削羽根
4,14b コネクタ穴
10 掘削シャフト
10c 軸心
11 拡大翼(上部拡大翼)
11a 上面
11b 突起部
11c 凹部
11d 先端部
12 下部拡大翼
12b 下面
13 支軸
14a,22 コネクタ
16 ブラケット
17 ナット
18 拡径確認ボルト
18a 先端部
19 コニカルビット
19a 台座
19b 尖端部
20 掘削ヘッド
100,200,300 拡大掘削装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10