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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116142
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/486 20200101AFI20230815BHJP
   G01S 7/484 20060101ALI20230815BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20230815BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G01S7/486
G01S7/484
G01S17/931
G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018762
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 義朗
(72)【発明者】
【氏名】林 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】曽根 秀倫
(72)【発明者】
【氏名】本橋 和也
(72)【発明者】
【氏名】春瀬 祐太
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA07
2F112CA05
2F112DA02
2F112DA25
2F112DA28
2F112EA05
2F112FA41
5J084AA05
5J084AB01
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA06
5J084BA07
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA40
5J084CA03
5J084CA11
5J084CA22
5J084CA32
5J084CA45
5J084EA02
5J084EA22
(57)【要約】
【課題】検知性能の向上を図ること。
【解決手段】本開示に係る測定装置は、測定エリアに向かって測定光を照射する発光部と、前記測定エリアからの反射光を受光する第1受光部と、前記発光部及び前記第1受光部を制御するとともに、前記第1受光部の受光結果に基づいて前記測定エリアにおける対象物までの距離を算出する制御部と、前記測定エリアからの光のうち、前記測定光とは異なる波長の光を受光する第2受光部と、
を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定エリアに向かって測定光を照射する発光部と、
前記測定エリアからの反射光を受光する第1受光部と、
前記発光部及び前記第1受光部を制御するとともに、前記第1受光部の受光結果に基づいて前記測定エリアにおける対象物までの距離を算出する制御部と、
前記測定エリアからの光のうち、前記測定光とは異なる波長の光を受光する第2受光部と、
を備える測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記第2受光部の受光結果に基づいて、前記距離を算出する、
測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の測定装置であって、
前記制御部は、
前記第2受光部の受光結果に基づいて、前記発光部から照射する前記測定光の強度を設定し、
前記第2受光部の受光結果に応じた前記強度の前記測定光を照射したときの前記第1受光部の受光結果に基づいて、前記距離を算出する、
測定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の測定装置であって、
前記制御部は、
前記第2受光部の受光結果に基づいて、積算回数を決定し、
決定した前記積算回数にて前記第1受光部に前記反射光を受光させ、
前記積算回数に応じた前記第1受光部の受光結果に基づいて、前記距離を算出する、
測定装置。
【請求項5】
請求項2に記載の測定装置であって、
前記第1受光部は、複数の受光素子を有し、
前記制御部は、
複数の受光素子の出力を加算する加算部と、
前記加算部の加算結果と閾値とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に基づいてヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラムのピークに基づいて光の到達時間を検出する時間検出部と
を有するとともに、
前記第2受光部の受光結果に基づいて、前記閾値を設定する、
測定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の測定装置であって
前記制御部は、前記第2受光部の受光結果に基づいて、対向車の有無を判別する、
測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の測定装置であって、
前記第2受光部は、第1波長の光を検出可能な第1センサと、前記第1波長とは異なる第2波長の光を検出可能な第2センサとを有し、
前記制御部は、前記第1センサの検出結果に基づく前記第1波長の光の強度と、前記第2センサの検出結果に基づく前記第2波長の光の強度との比率に基づいて、前記対向車の有無を判別する、
測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の測定装置であって、
前記第1センサは、465nmの波長の光を検出可能であり、
前記第2センサは、560nmの波長の光を検出可能である、
測定装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の測定装置であって、
前記第1センサは、青色の光を検出可能であり、
前記第2センサは、黄色の光を検出可能である、
測定装置。
【請求項10】
請求項6~9のいずれかに記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記第2受光部の受光結果の変化に基づいて、前記対向車の接近を検出する、
測定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の測定装置であって、
前記制御部は、前記第1受光部の受光結果に基づき算出された前記距離の変化と、前記第2受光部の受光結果の変化とを対比する、
測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を照射し、対象物で反射して戻ってきた反射光を受光することに基づいて対象物までの距離を測定する測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-152536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定装置が受光する光には反射光のみではなく、太陽光や対向車の光などの外乱光(ノイズ)が含まれる。上記の測定装置では、これらの光を判別することが出来ないため、ノイズによって受光の際に検知性能が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、検知性能の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一つは、測定エリアに向かって測定光を照射する発光部と、前記測定エリアからの反射光を受光する第1受光部と、前記発光部及び前記第1受光部を制御するとともに、前記第1受光部の受光結果に基づいて前記測定エリアにおける対象物までの距離を算出する制御部と、前記測定エリアからの光のうち、前記測定光とは異なる波長の光を受光する第2受光部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検知性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の測定装置1を含む全体構成図である。
図2】第1受光部20の構成の説明図である。
図3図3Aは、信号処理部462の説明図である。図3Bは、加算部462Aの出力と比較部462Bの出力を示す図である。図3Cは、ヒストグラム、及び、飛行時間TOFの説明図である。
図4】第1実施形態の制御部40の処理を説明するフロー図である。
図5】制御部40の処理の変形例を説明するフロー図である。
図6】制御部40の処理の別の変形例を説明するフロー図である。
図7】第2実施形態の測定装置1の第2受光部30の構成の説明図である。
図8】白色LEDのスペクトルの説明図である。
図9】第2実施系形態の制御部40の処理を示すフロー図である。
図10】第2実施系形態の制御部40の処理の変形例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、同一の又は類似する構成について共通の符号を付して重複した説明を省略することがある。
【0010】
=====第1実施形態=====
<<測定装置の概略>>
図1は、本実施形態の測定装置1を含む全体構成図である。
【0011】
図1に示す測定装置1は、いわゆるLiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)としての機能を有する測定装置である。測定装置1は、測定光(本実施形態では赤外光)を照射し、その測定光が対象物50で反射して戻ってくるまでの時間を計測することによって、対象物50までの距離をTOF(Time Of Flight)方式で測定する。本実施形態の測定装置1は、車両に搭載されており、対象物50は別の車両(対向車)である、なお、対象物50で反射して戻ってくる光(戻り光)のことを「反射光」ともいう。
【0012】
図1に示すように、測定装置1は、発光部10、第1受光部20、第2受光部30、及び制御部40を備えている。
【0013】
発光部10は、測定対象の空間(以下、測定エリア)に測定光(ここでは赤外光)を照射する。発光部10は、例えば、一次元的又は二次元的に配置された複数の面発光タイプのレーザ素子(VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を有する面発光素子アレイ(VCSELアレイ)や、出射する光の配光を調整するレンズ等の投光光学系(ともに不図示)を含んで構成される。
【0014】
第1受光部20は、測定エリアの対象物50からの反射光(赤外光)を受光する。本実施形態の第1受光部20には、光を検出するセンサ(受光素子)としてSPAD(Single Photon Avalanche Diode)が用いられている。なお、第1受光部20の詳細については後述する。
【0015】
第2受光部30は、測定エリアからの光のうち、反射光とは異なる波長の光(例えば、太陽光や対向車からの光などの外乱光)を受光する。
【0016】
制御部40は、測定装置1の制御を司る。制御部40は、例えばメモリやCPUなどの素子や回路などのハードウェア構成で実現される。制御部40は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、所定の機能を実現する。図1には、制御部40によって実現される各種機能が示されている。制御部40は、タイミング制御部42、設定部44、測距部46、及び判別部48を有する。
【0017】
タイミング制御部42は、発光部10から光を照射するタイミングなど、様々なタイミングを制御する。
【0018】
設定部44は、測定装置1の各種設定を行う。例えば、発光部10から照射する測定光の強度、ヒストグラムを作成する際の積算回数や閾値などを設定する。
【0019】
測距部46は、対象物50までの距離を測定する。測距部46は、信号処理部462と、時間検出部464と、距離算出部466を有する。信号処理部462は、第1受光部20の出力信号を処理する。時間検出部464は、発光部10が測定光を照射してから、第1受光部20に反射光が到達するまでの到達時間(光の飛行時間:TOF)を検出する。距離算出部466は、光の飛行時間(TOF)に基づいて、対象物50までの距離を算出する。
【0020】
判別部48は、第2受光部30の受光結果から、対向車の存在や接近などの状況を判別する。判別部48の判別については後述する。
【0021】
<<第1受光部20について>>
図2は、第1受光部20の構成の説明図である。
【0022】
図2に示すように、第1受光部20は、二次元状に配列された複数の画素22を有している。また、各画素(一つの画素)22は、複数の受光素子24を有する。ここでは、各画素22は、受光素子24として、X方向(例えば水平方向)に3個、Y方向(例えば鉛直方向)に3個に配列された9個のSPADを有する。SPADで構成された受光素子24は、光の粒子(光子:以下フォトンともいう)を検出するとパルス信号を出力する。
【0023】
<<ヒストグラム、及び、TOFについて>>
図3Aは、信号処理部462の説明図である。また、図3Bは、加算部462Aの出力と比較部462Bの出力の一例を示す図である。信号処理部462は、加算部462Aと、比較部462Bと、ヒストグラム生成部462Cとを有する。ここでは、信号処理部462は、第1受光部20の各画素22の出力信号に基づいて、時間相関単一光子計数法(Time Correlated Single Photon Counting(TCSPC)で用いるヒストグラムを生成する。
【0024】
加算部462Aは、画素22を構成する複数の受光素子24(SPAD)の出力信号を加算する。加算部462Aは、受光素子24が出力するパルス幅を調整(整形)した上で、複数の受光素子24の出力信号を加算しても良い。比較部462Bは、加算部462Aの出力信号と、閾値とを比較し、加算部462Aの出力信号が閾値以上の場合に信号を出力する。比較部462Bが信号を出力するタイミングは、第1受光部20の受光素子24が光を検知したタイミングであると考えられる。
【0025】
ところで、外乱光のフォトンは時間的にランダムにそれぞれの受光素子24に入射する。これに対し、反射光のフォトンは、光を照射してから所定の遅延時間(対象物50までの距離に応じた飛行時間)にそれぞれの受光素子24に入射する。このため、外乱光のフォトンが時間的にランダムに受光素子24に入射した場合には、加算部462Aの出力信号が閾値以上になる確率は低い。一方、反射光のフォトンが受光素子24に入射した場合には、画素22を構成する複数の受光素子24が同時にフォトンを検出するため、加算部462Aの出力信号が閾値以上になる確率は高い。このため、複数の受光素子24の出力信号を加算部462Aで加算し、加算部462Aの出力信号と閾値とを比較部462Bに比較させることによって、受光素子24が反射光を検知したと考えられる時間を計測する。
【0026】
なお、受光素子24が、一度フォトンを検出すると、不感時間(hold-off-time,dead-time)が生じる。複数の受光素子24(SPAD)の出力信号を加算部462Aで加算することで、不感時間が生じることによる影響を抑制することができる。
【0027】
図3Cは、ヒストグラム、及び、飛行時間TOFの説明図である。図中の横軸は、時間であり、縦軸は頻度(回数)である。ヒストグラム生成部462Cは、比較部462Bの出力に基づいて、第1受光部20の各画素22の受光素子24が光を検知した時間を繰り返し計測するとともに、その時間に対応付けられた頻度(回数)をインクリメントすることによって、ヒストグラムを生成する。ヒストグラム生成部462Cは、頻度(回数)をインクリメントする時、数を1つ増加させる代わりに、加算部462Aの出力信号(加算値)に相当する数を増加させても良い。
【0028】
なお、設定部44(図1参照)は、前述したように、ヒストグラムを生成するための積算回数を予め設定する。タイミング制御部42は、設定された積算回数に応じて、発光部10に測定光を複数回出射させる。発光部10からの1回の測定光の出射に対して、加算部462Aから信号が1回又は複数回出力される。ヒストグラム生成部462Cは、設定された積算回数に達するまで、比較部462Bの出力信号に応じて、頻度(回数)をインクリメントすることによって、ヒストグラムを生成する。
【0029】
ヒストグラムの生成後、測距部46(時間検出部464)は、ヒストグラムに基づいて、光を照射してから反射光が到達するまでの時間TOFを検出する。図3Cに示すように、測距部46(時間検出部464)は、ヒストグラムの頻度のピークに対応する時間(光の飛行時間TOF)を検出する。そして、測距部46(距離算出部466)は、その時間に基づいて、対象物50までの距離を算出する。お、光は、飛行時間TOFの間に、対象物までの距離の2倍進むことになるので、光の速度をCo、飛行時間TOFをTfとすると、対象物までの距離Lは、
L=(Tf×Co)/2 ・・・・・(1)
となる。距離算出部466は式(1)に従い対象物50までの距離を算出する。
【0030】
<<第2受光部30について>>
第2受光部30は、前述したように反射光(赤外光)とは異なる波長の光を受光する。このため、第2受光部30は、反射光(赤外光)とは異なる波長の光(例えば太陽光)を検出可能なセンサ(例えば、フォトダイオード)を備えている。なお、第2受光部30のセンサ(不図示)は、第1受光部20の受光面と同じ向きに設置されており、制御部40からの指示に従い測定エリアからの光を受光する。
【0031】
<<制御部40の処理について>>
図4は、第1実施形態の制御部40の処理を説明するフロー図である。
【0032】
まず、制御部40(タイミング制御部42)は、測定エリアからの光のうち、測定光と異なる波長の光(外乱光、以下では太陽光とする)を第2受光部30で受光させる(S101)。そして、制御部40の設定部44は、その受光結果に基づいて、発光部10が照射する測定光(赤外光)の強度を設定する(S102)。例えば、太陽光の光が強いほど、測定光の強度が大きくなるように設定する。
【0033】
次に、タイミング制御部42は、発光部10を制御して、ステップS102で設定した強度の測定光(赤外光)を、測定エリアに向かって照射させる(S103)。また、タイミング制御部42は、測定エリアからの光(反射光、太陽光を含む)を、第1受光部20で受光させる(S104)。なお、タイミング制御部42は、1回の発光に対して、第1受光部20に受光を繰り返し行わせる。
【0034】
測距部46(信号処理部462)のヒストグラム生成部462Cは、加算部462Aの出力(加算結果)と、所定の閾値とを比較した比較部462Bの出力(比較結果)に基づいて、時間ごとの頻度を示すヒストグラムを生成する(S105)。
【0035】
積算回数がn回目ではない(つまりn未満の)場合(ステップS106でNo)、ステップS103に戻り、制御部40は、再度、発光部10に測定光を照射させる。
【0036】
一方、ステップS106で積算回数がn回目の場合(ステップS106でYes)、測距部46の時間検出部464は、生成されたヒストグラムのピークを求め、発光のタイミングからピークまでの時間(飛行時間TOF)を算出する(S107)。
【0037】
次に、測距部46の距離算出部466は、飛行時間TOFを用いて、式(1)に従って、対象物までの距離を算出する(S108)。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の測定装置1の制御部40(設定部44)は、第2受光部30の受光結果に基づいて、発光部10が照射する測定光の強度を設定している。これにより外乱光が多い場合には測定光の強度を大きくすることにより、検出精度を維持することができる。また、外乱光が少ない場合には、測定光の強度を小さくすることにより、消費電力の低減を図ることができる。
【0039】
<変形例1>
図5は、制御部40の処理の変形例(変形例1)を説明するフロー図である。なお、測定装置1の構成は、前述の実施形態と同じである。この変形例の設定部44は、第2受光部30の受光結果に基づいて、積算回数nを決定する。
【0040】
まず、制御部40のタイミング制御部42は、測定エリアからの光のうち、測定光と異なる波長の光(外乱光、例えば太陽光)を第2受光部30で受光させる(S201)。そして、制御部40の設定部44は、その受光結果に基づいて、積算回数nを設定(決定)する(S202)。例えば、外乱光が強いほど、積算回数nが増えるように設定する。
【0041】
次に、タイミング制御部42は、発光部10を制御して、所定強度の測定光(赤外光)を、測定エリアに向かって照射させる(S203)。さらに、タイミング制御部42は、測定エリアからの光(赤外光、太陽光を含む)を、第1受光部20で受光させる(S204)。なお、タイミング制御部42は、1回の発光に対して、第1受光部20に受光を繰り返し行わせる。
【0042】
測距部46(信号処理部462)のヒストグラム生成部462Cは、加算部462Aの出力(加算結果)と、所定の閾値とを比較した比較部462Bの出力(比較結果)に基づいて、ヒストグラムを生成する(S205)。
【0043】
積算回数がn回目ではない(つまりn未満の)場合(ステップS206でNo)、ステップS203に戻り、制御部40は、再度、発光部10に測定光を照射させる。
【0044】
一方、積算回数がn回目の場合(ステップS206でYes)、測距部46の時間検出部464は、生成されたヒストグラムのピークを求め、発光のタイミングからそのピークまでの時間(飛行時間TOF)を算出する(S207)。
【0045】
次に、測距部46の距離算出部45は、飛行時間TOFを用いて、式(1)に従って、対象物までの距離を算出する(S208)。
【0046】
以上説明したように、この変形例の設定部44は、第2受光部30の受光結果に基づいて、積算回数nを設定している。これにより、外乱光の状況に応じて積算回数を最適化することができる。例えば、外乱光が多い場合には積算回数nを大きく設定することにより検出精度を維持することができる。また、外乱光が少ない場合には、積算回数nを小さく設定することにより、測定の速度を向上させることができる。
【0047】
<変形例2>
図6は、制御部40の処理の別の変形例(変形例2)を説明するフロー図である。なお、測定装置1の構成は前述の実施形態と同じである。この変形例では、第2受光部30の受光結果に基づいて、比較部462Bで加算部462Aの出力と比較される閾値(図3A図3B参照)を設定する。
【0048】
まず、制御部40のタイミング制御部42は、測定エリアからの光のうち、測定光と異なる波長の光(外乱光、例えば太陽光)を第2受光部30で受光させる(S301)。そして、制御部40の設定部44は、その受光結果に基づいて、閾値を決定する(S302)。
【0049】
なお、閾値が小さい値の場合、外乱光が多い時に、ヒストグラムが外乱光の影響を大きく受けてしまうため、光の到達時間の検出精度が低下するおそれがある。一方、閾値が大きい値の場合、所定の積算回数のヒストグラムを生成するのに時間がかかってしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、第2受光部30の受光結果に基づいて、外乱光が多い場合には、閾値を大きい値に設定する、これにより検出精度を維持することができる。また、第2受光部30の受光結果に基づいて、外乱光が少ない場合には、閾値を小さい値に設定する。これにより、ヒストグラムの生成速度を高めることができる。
【0050】
次に、タイミング制御部42は、発光部10を制御して、所定強度の測定光(赤外光)を測定エリアに照射させる(S303)。さらに、タイミング制御部42は、測定エリアからの光(赤外光、太陽光を含む)を、第1受光部20で受光させる(S304)。なお、タイミング制御部42は、1回の発光に対して、第1受光部20に受光を繰り返し行わせる。
【0051】
測距部46(信号処理部462)のヒストグラム生成部462Cは、加算部462Aの加算結果と、ステップS302で設定された閾値とを比較した比較部462Bの出力(比較結果)に基づいて、ヒストグラムを生成する(S305)。
【0052】
積算回数がn回目ではない(つまりn未満の)場合(ステップS306でNo)、ステップS303に戻り、制御部40は、再度、発光部10に測定光を照射させる。
【0053】
一方、積算回数がn回目の場合(ステップS306でYes)、測距部46の時間検出部464は、生成されたヒストグラムのピークを求め、発光のタイミングからそのピークまでの時間(飛行時間TOF)を算出する(S307)。
【0054】
次に、測距部46の距離算出部466は、飛行時間TOFを用いて、式(1)に従って、対象物50までの距離を算出する(S308)。
【0055】
以上説明したように、この変形例の設定部44は、第2受光部30の受光結果に基づいて、ヒストグラムを生成する際の閾値を設定している。これにより、外乱光が多い場合には、閾値を大きい値に設定することで検出精度を維持することができる。また、外乱光が少ない場合には、閾値を小さい値に設定することで、ヒストグラムの生成速度を高めることができる。
【0056】
=====第2実施形態=====
図7は、第2実施形態の測定装置1の第2受光部30の構成の説明図である。
第2実施形態の第2受光部30は、発光部10が照射する測定光(赤外光)とは異なる波長の光を受光するセンサとして、検出範囲の異なる2つのセンサ(第1センサ32及び第2センサ34)を有している。後述するように、第1センサ32は、青色の光を検出可能なセンサであり、第2センサ34は、黄色の光を検出可能なセンサである。
【0057】
また、第2実施形態の対象物50(以下、対向車)は、車両のランプ(例えば、ロービーム、DRL(Daytime Running Lamp)など)の光源として白色LEDを備えている。なお、白色LEDは、青色LEDと、黄色蛍光体の組合せで構成されている。つまり、青色LEDで発生した光を、黄色蛍光体を通して照射する。これにより、白色の光が照射されることになる。そして、測定装置1の第2受光部30は、対向車の白色LEDから照射された光を検出する。
【0058】
図8は、白色LEDのスペクトルの説明図である。図の横軸は波長を示し、縦軸は光のエネルギーを示している。
図に示すように、白色LEDのスペクトルには、波長が465nm付近のピークと、560nm付近のピークとの2つのピークが含まれている。なお、約465nmのピークは、青色LEDが出射する光の中心波長であり、約560nmのピークは、黄色蛍光体が出す光の中心波長である。
【0059】
また、図8に示す領域R1は、第1センサ32(青色の光を検出可能なセンサ)の検出可能領域である。また、領域R2は、第2センサ34(黄色の光を検出可能なセンサ)の検出可能領域である。図に示すように第1センサ32は、波長465nmの光を検出可能であり、第2センサ34は、波長560nmの光を検出可能である。なお、第1センサ32が検出可能な領域R1の波長は「第1波長」に相当し、第2センサ34が検出可能な領域R2の波長は「第2波長」に相当する。
【0060】
このような検出範囲の異なる第1センサ32と第2センサ34を設けることにより、それぞれの検出結果(光の強度比)から対象物50(対向車)の存在を判別することができる。
【0061】
図9は、第2実施系形態の制御部40の処理を示すフロー図である。
【0062】
制御部40(タイミング制御部42)は、測定エリアからの光を第2受光部30で受光させる(S401)。また、制御部40は、第2受光部30の第1センサ32の受光結果に基づいて青色の光(中心波長465nmの光)の強度を検出する(S402)。
【0063】
また制御部40は、第2受光部30の第2センサ34の受光結果に基づいて黄色の光(中心波長560nmの光)の強度を検出する(S403)。
【0064】
次に、制御部40の判別部48は、青色の光の強度と、黄色の光の強度との比率に基づいて対向車の有無を判別する(S404)。例えば、青色の光の強度が、黄色の光の強度よりも高い場合、判別部48は、対向車(白色LED)から照射された光である(つまり対向車が存在する)と判別する。また、黄色の光の強度が、青色の光の強度よりも高い(例えば太陽光などの)場合、判別部48は、対向車から照射された光ではない(つまり対向車が存在しない)と判別する。
【0065】
以上説明したように、第2実施形態の測定装置1の第2受光部30は、青色の光を検出可能な第1センサ32と、黄色の光を検出可能な第2センサ34とを有している。これにより、判別部48は、第1センサ32によって検出された青色の光の強度と、第2センサ34によって検出された黄色の光の強度との比率に基づいて、対向車(対象物50)の有無を判別することができる。
【0066】
<変形例>
図10は、第2実施系形態の制御部40の処理の変形例を示すフロー図である。この変形例では、測定装置1(制御部40)は、第2受光部30の検出結果に基づいて、対向車の接近を検出する。
【0067】
まず制御部40は、測定エリアからの光を第2受光部30の第1センサ32及び第2センサ34で受光させる(S501)。ここでは、前述の実施形態と同様に第1センサ32は青色の光を受光し、第2センサ34は黄色の光を受光する。この受光結果により対向車(対象物50)の有無が検出できる。
【0068】
また、制御部40は、時間の経過に伴う第2受光部30の受光結果(受光量)の変化に基づいて、対向車の接近を検出する(S502)。例えば、対向車が接近する場合、第1センサ32の受光量及び第2センサ34の受光量が、時間の経過に伴ってともに増加する。これにより、制御部40の判別部48は、第2受光部30の受光結果の変化に基づいて対向車が接近していることを判別する。
【0069】
また、制御部40(測距部46)は、第1実施形態と同様に、第1受光部20の受光結果に基づいて、対向車(対象物50)までの距離を算出する(S503)。
【0070】
そして、制御部40は、第1受光部20の検出結果に基づいて算出された対向車までの距離(第1実施形態参照)の変化と、第2受光部30の受光結果の変化とを対比する(S504)。これにより、対向車(対象物50)までの距離の測定の信頼性を高めることができる。
【0071】
=====まとめ=====
以上、本実施形態の測定装置1について説明した。測定装置1は、発光部10と、第1受光部20と、第2受光部30と、制御部40とを備えている。発光部10は、測定エリアに向かって測定光(赤外光)を照射する。第1受光部20は、測定エリアからの反射光(対象物50で反射した測定光)を受光する。制御部40は、発光部10及び第1受光部20を制御するとともに、第1受光部20の受光結果に基づいて、測定エリアにおける対象物50までの距離を算出する。第2受光部30は、測定エリアからの光のうち、測定光とは異なる波長の光を受光する。これにより、検知性能の向上を図ることができる。
【0072】
また、制御部40は、第2受光部30の受光結果に基づいて、対象物50までの距離を算出する。これにより、外乱光(太陽光など)による影響を抑制することができ、測定の精度を高めることができる。
【0073】
具体的には、第1実施形態の設定部44は、第2受光部30の受光結果に基づいて、発光部10から照射する測定光の強度を設定する。そして、制御部40は、その強度の測定光を発光部10から照射したときの第1受光部20の受光結果に基づいて、距離を算出する。これにより、外乱光が多い場合には測定光の強度を大きくすることにより検出精度を維持することができる。また、外乱光が少ない場合には、測定光の強度を小さくすることにより消費電力の低減を図ることができる。
【0074】
また、第1実施形態の変形例1の設定部44は、第2受光部30の受光結果に基づいて、積算回数nを決定する。そして、制御部40は、決定した積算回数nにて第1受光部20に反射光を受光させ、積算回数nに応じた第1受光部20の受光結果に基づいて、距離を算出する。これにより、外乱光が多い場合には積算回数nを大きく設定することにより検出精度を維持することができる。また、外乱光が少ない場合には、積算回数nを小さく設定することにより測定の速度を向上させることができる。
【0075】
なお、制御部40(測距部46)は、加算部462Aと、比較部462Bと、ヒストグラム生成部462Cを有している。加算部462Aは、複数の受光素子24の出力を加算し、比較部462Bは、加算部462Aの出力と、閾値とを比較する。ヒストグラム生成部462Cは、比較部462Bの比較結果に基づいてヒストグラムを生成する。また、時間検出部464は、ヒストグラムのピークに基づいて光の到達時間(飛行時間TOF)を検出する。このような構成において、第1実施形態の変形例2の設定部44は、第2受光部30の受光結果に基づいて閾値を設定する。これにより、外乱光が多い場合には、閾値を大きい値に設定することで検出精度を維持することができる。また、外乱光が少ない場合には、閾値を小さい値に設定することで、ヒストグラムの生成速度を高めることができる。
【0076】
また、第2実施形態の制御部40は、第2受光部30の受光結果に基づいて、対向車(対象物50)の有無を判別する。具体的には、第2実施形態の第2受光部30は、波長の異なる光をそれぞれ検出可能な第1センサ32と第2センサ34を有している。そして、制御部40の判別部48は、第1センサ32の検出結果に基づく光の強度と、第2センサ34の検出結果に基づく光の強度との比率に基づいて、対向車の有無を判別する。これにより、対向車の検知性能の向上を図ることができる。
【0077】
また、第1センサ32は、青色の光(465nmの波長の光)を検出可能であり、第2センサ34は、黄色の光(560nmの波長の光)を検出可能である。これにより対向車の白色LEDの光を検出することができる。
【0078】
また、第2実施形態の変形例の制御部40は、第2受光部30の受光結果の変化に基づいて、対向車の接近を検出する。これにより、第2受光部30の受光結果から対向車の接近を検出できる。
【0079】
さらに、第2実施形態の変形例の制御部40は、第1受光部20の受光結果に基づき算出された距離の変化と、第2受光部30の受光結果の変化とを対比する。これにより、距離の測定の信頼性を高めることができる。
【0080】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0081】
10 発光部
20 第1受光部
22 画素
24 受光素子
30 第2受光部
32 第1センサ
34 第2センサ
40 制御部
42 タイミング制御部
44 設定部
46 測距部
462 信号処理部
462A 加算部
462B 比較部
462C ヒストグラム生成部
464 時間検出部
466 距離算出部
48 判別部
50 対象物(対向車)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10