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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116152
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】X線診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/08 20060101AFI20230815BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20230815BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20230815BHJP
   H04N 23/667 20230101ALI20230815BHJP
【FI】
A61B6/08 309
A61B6/00 320M
H04N5/225 600
H04N5/232 450
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018784
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 春樹
(72)【発明者】
【氏名】諸見里 塁
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 清人
【テーマコード(参考)】
4C093
5C122
【Fターム(参考)】
4C093CA37
4C093EA02
4C093EA14
4C093EA17
4C093EE11
4C093FA13
4C093FA16
4C093FA42
4C093FB20
5C122DA17
5C122EA53
5C122FK02
5C122FL08
5C122GG03
5C122GG11
5C122HA87
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】照射野ランプを様々な用途に活用すること。
【解決手段】X線診断装置は、X線照射部と、可視光照射部と、設定部と、可視光制御部とを備える。前記X線照射部は、X線を照射する。前記可視光照射部は、可視光を照射する。前記設定部は、前記X線照射部によりX線が照射される予定の第1照射領域に可視光を照射させる第1モード、又は前記第1照射領域に関わらず可視光を照射させる第2モードに設定する。前記可視光制御部は、前記設定部により設定されたモードに基づいて、前記可視光照射部に可視光を照射させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射するX線照射部と、
可視光を照射する可視光照射部と、
前記X線照射部によりX線が照射される予定の第1照射領域に可視光を照射させる第1モード、又は前記第1照射領域に関わらず可視光を照射させる第2モードに設定する設定部と、
前記設定部により設定されたモードに基づいて、前記可視光照射部に可視光を照射させる可視光制御部と、
を備えるX線診断装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記第1モード、前記第2モード、又は前記X線照射部によりX線が照射されている第2照射領域に可視光を照射させる第3モードに設定し、
前記可視光制御部は、前記設定部により設定されたモードに基づいて、前記可視光照射部に可視光を照射させる、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記可視光制御部は、前記設定部により設定されたモードに応じた態様の可視光を照射させる、
請求項1又は2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記第1モードで設定時間を経過した場合に、当該第1モードから他のモードに切り替える、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記X線照射部が設置された部屋の照明機器の点灯を検知する検知部を更に備え、
前記可視光制御部は、前記検知部により前記照明機器が点灯していると判定された場合に、前記照明機器が消灯している時よりも、高い照度の可視光を照射させる、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記第2モードの場合に前記可視光照射部が可視光を照射する領域を指定する操作を受け付ける操作部を更に備え、
前記可視光制御部は、前記操作部が受け付けた操作により指定された領域に、前記可視光照射部に可視光を照射させる、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載のX線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線診断装置に関する。
【0002】
従来、X線診断装置は、X線を照射する予定の照射領域に、可視光を照射する照射野ランプを有している。照射野ランプは、照射領域への可視光の照射に限らず、様々な用途での活用が求められている。
【0003】
しかしながら、照射野ランプは、照射領域のへ可視光の照射以外には活用されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-108821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、照射野ランプを様々な用途に活用することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線診断装置は、X線照射部と、可視光照射部と、設定部と、可視光制御部とを備える。前記X線照射部は、X線を照射する。前記可視光照射部は、可視光を照射する。前記設定部は、前記X線照射部によりX線が照射される予定の第1照射領域に可視光を照射させる第1モード、又は前記第1照射領域に関わらず可視光を照射させる第2モードに設定する。前記可視光制御部は、前記設定部により設定されたモードに基づいて、前記可視光照射部に可視光を照射させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係るX線撮影装置の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係るX線診断装置が実行する照明制御処理の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、本実施形態に係るX線診断装置が実行する照明制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に関するX線診断装置について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
図1は、本実施形態に係るX線診断装置1の一例を示すブロック図である。X線診断装置1は、例えば一般X線撮影装置である。図1に示すように、X線診断装置1は、撮影装置10、及びコンソール装置20を有する。撮影装置10は、X線照射装置11、X線高電圧装置12、X線検出器13、駆動部14、及び天板15を有する。
【0010】
コンソール装置20は、入力インターフェース21、ディスプレイ22、記憶回路23、及び処理回路24を有する。なお、X線診断装置1は、一般X線撮影装置に限らず、X線アンギオグラフィ装置であってもよいし、X線TV装置であってもよい。
【0011】
なお、図1においては、天板15の幅方向をX軸方向とし、天板15の長手方向をY軸方向とし、天板15に垂直な方向をZ軸方向としている。XY平面は、X線検出器13の検出面に対応する。
【0012】
X線照射装置11は、被検体Pに対してX線を照射する装置である。X線照射装置11は、X線管111、X線絞り器112、及び照射野ランプ113を有する。
【0013】
X線管111、及びX線絞り器112は、X線を照射する。X線管111、及びX線絞り器112は、X線照射部の一例である。X線管111は、X線高電圧装置12からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。X線は、熱電子がターゲットに衝突することにより発生する。
【0014】
X線絞り器112は、X線管111におけるX線放射窓の前面に配置される。X線絞り器112は、例えば鉛などの金属板で形成された複数のX線絞り羽根と、入力インターフェース21を介して操作者により入力された操作によりX線絞り羽根を駆動させるX線絞り駆動装置とを有する。
【0015】
X線絞り器112は、X線絞り駆動装置により複数のX線絞り羽根をスライドさせることで、X線が遮蔽される領域を調節する。調整されたX線絞り羽根により、X線絞り器112は、開口領域外のX線を遮蔽する。これにより、X線絞り器112は、X線管111が発生したX線を、被検体Pの関心領域に照射されるように絞り込む。
【0016】
照射野ランプ113は、可視光を照射する。照射野ランプ113は、可視光照射部の一例である。例えば、照射野ランプ113は、被検体Pの関心領域に可視光を照射する。照射野ランプ113は、光源114、ミラー115、及び可視光絞り器116を有する。
【0017】
光源114は、可視光を発生させる。光源114は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。また、光源114は、発生させる可視光の色を変更可能なものであってもよい。例えば、光源114は、白色、暖色、赤色に切り替えることができる。なお、光源114は、これらの色に限らず、他の色に変更可能なものであってもよい。
【0018】
ミラー115は、光源114が発生させた可視光を可視光絞り器116方向に反射させる。
【0019】
可視光絞り器116は、光源114の前方に配置される。可視光絞り器116は、可視光を遮る複数の可視光絞り羽根と、入力インターフェース21を介して操作者により入力された操作により可視光絞り羽根を駆動させる可視光絞り駆動装置とを有する。
【0020】
可視光絞り器116は、可視光絞り駆動装置により複数の可視光絞り羽根をスライドさせることで、可視光を遮蔽する領域を調節する。例えば、調整された可視光絞り羽根により、可視光絞り器116は、開口領域外の可視光を遮蔽する。これにより、可視光絞り器116は、光源114が発生した可視光を、被検体Pの関心領域に照射されるように絞り込む。すなわち、可視光絞り器116は、X線が照射される領域に可視光を照射されるように絞り込む。
【0021】
また、照射野ランプ113は、コンソール装置20による制御に基づいて、可視光照射モードに応じた可視光を照射する。可視光照射モードは、照射野ランプモード、照明モード、及びX線可視モードがある。照射野ランプモードは、X線管111及びX線絞り器112によりX線が照射される予定の第1照射領域に可視光を照射するモードである。照明モードは、第1照射領域に関わらず可視光を照射させるモードである。すなわち、照明モードは、照射野ランプ113を照明として使用するモードである。X線可視モードは、X線管111及びX線絞り器112がX線を照射されている第2照射領域に可視光を照射するモードである。照射野ランプモードは、第1モードの一例である。照明モードは、第2モードの一例である。X線可視モードは、第3モードの一例である。
【0022】
また、照射野ランプ113は、照明モード、照射野ランプモード、及びX線可視モードを操作者が識別できるように可視光を照射する。例えば、照射野ランプ113は、可視光照射モードごとに異なる色の可視光を照射したり、異なる期間で点滅させたり、可視光の強度を変えたりする。また、照射野ランプ113は、これら以外の態様により可視光を照射してもよい。
【0023】
X線高電圧装置12は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路と、高電圧発生装置と、X線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、X線管111に印加する高電圧及びX線管111に供給するフィラメント電流を発生する機能を有する。X線制御装置は、X線管111が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行う。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。
【0024】
X線検出器13は、2次元に配列された複数のX線検出素子を有する平面検出器(FPD:Flat Panel Detector)により構成され、被検体Pを透過してX線検出器13に照射されたX線を検出する。そして、X線検出器13は、検出したX線に基づいて、X線の投影データを出力する。この投影データは、コンソール装置20に与えられる。なお、X線検出器13は、イメージインテンシファイア、TVカメラ等を含むものであってもよい。
【0025】
駆動部14は、X線照射装置11及びX線検出器13を移動させる。
【0026】
天板15は、被検体Pが載置される板である。
【0027】
入力インターフェース21は、例えばジョイスティックやトラックボール、トラックボールマウス、キーボード、タッチパネル、テンキー、等の一般的なポインティングデバイスや、X線曝射タイミングを指示するためのハンドスイッチ等により構成され、操作者の操作に対応した操作信号を処理回路24に出力する。
【0028】
ディスプレイ22は、例えば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等の一般的な表示出力装置により構成され、処理回路24の制御に従って各種情報を表示する。
【0029】
記憶回路23は、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。
【0030】
また、記憶回路23は、後述する操作制御機能241、モード設定機能242、照明検知機能243、照射野ランプ制御機能244、及び設定変更機能245を実現するための専用プログラムを格納する。
【0031】
処理回路24は、X線診断装置1全体の動作を制御する。処理回路24は、例えば、操作制御機能241、モード設定機能242、照明検知機能243、照射野ランプ制御機能244、及び設定変更機能245を有する。
【0032】
ここで、例えば、処理回路24の構成要素である操作制御機能241、モード設定機能242、照明検知機能243、照射野ランプ制御機能244、及び設定変更機能245の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路23に記憶されている。処理回路24は、プロセッサである。例えば、処理回路24は、プログラムを記憶回路23から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路24は、図1の処理回路24内に示された各機能を有することとなる。なお、図1においては単一のプロセッサにて、操作制御機能241、モード設定機能242、照明検知機能243、照射野ランプ制御機能244、及び設定変更機能245にて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路24を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、図1においては単一の記憶回路23が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路24は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0033】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路23に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路23にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0034】
操作制御機能241は、各種操作を受け付ける。例えば、操作制御機能241は、照明スイッチ、照射野ランプスイッチ、及びX線可視スイッチを介して、照射野ランプ113の可視光照射モードを変更する操作を受け付ける。照明モードスイッチは、照射野ランプ113の可視光照射モードを照明モードに設定するスイッチである。照射野ランプモードスイッチは、照射野ランプ113の可視光照射モードを照射野ランプモードに設定するスイッチである。X線可視モードスイッチは、照射野ランプ113の可視光照射モードをX線可視モードに設定するスイッチである。
【0035】
なお、照明モードスイッチ、照射野ランプモードスイッチ、及びX線可視モードスイッチは、入力インターフェース21に設けられたスイッチであってもよいし、天板15に設けられたスイッチであってもよいし、ディスプレイ22に表示されたスイッチであってもよい。さらに、操作制御機能241は、照明モードスイッチ、照射野ランプモードスイッチ、及びX線可視モードスイッチに限らず、他のインターフェースから可視光照射モードを変更する操作を受け付けてもよい。
【0036】
また、操作制御機能241は、X線照射スイッチを介して、X線管111及びX線絞り器112にX線を照射させる操作を受け付ける。なお、X線照射スイッチは、入力インターフェース21に設けられたスイッチであってもよいし、天板15に設けられたスイッチであってもよいし、ディスプレイ22に表示されたスイッチであってもよい。さらに、操作制御機能241は、X線照射スイッチに限らず、他のインターフェースからX線を照射させる操作を受け付けてもよい。
【0037】
ここで、照射野ランプモードで被検体PにX線が照射される予定の第1照射領域を確認せずに、X線を照射することは好ましくない。そこで、操作制御機能241は、X線を照射させる操作の受け付けを制限してもよい。すなわち、操作制御機能241は、照明モードにおいて、X線を照射させる操作の受け付けなくてもよい。言い換えると、操作制御機能241は、照射野ランプモードにおいて、X線を照射させる操作の受け付けてもよい。
【0038】
また、操作制御機能241は、照明モードの場合に、照射野ランプ113が可視光を照射する領域を指定する操作を受け付ける。操作制御機能241は、操作部の一例である。
【0039】
モード設定機能242は、照射野ランプ113の可視光照射モードのモード設定を制御する。すなわち、モード設定機能242は、X線管111及びX線絞り器112によりX線が照射される予定の第1照射領域に可視光を照射させる照射野ランプモード、又は第1照射領域に関わらず可視光を照射させる照明モードに設定する。モード設定機能242は、設定部の一例である。また、モード設定機能242は、照射野ランプモード、照明モード、又はX線管111及びX線絞り器112によりX線が照射されている第2照射領域に可視光を照射させるX線可視モードに設定する。
【0040】
モード設定機能242は、照明モードスイッチがONされた場合に、照明モードに設定する。また、モード設定機能242は、照明モードスイッチがOFFされた場合に、照射野ランプモードスイッチに応じたモードに設定する。
【0041】
モード設定機能242は、照射野ランプモードスイッチがONされた場合に、照射野ランプモードに設定する。また、モード設定機能242は、照射野ランプモードスイッチがOFFされた場合に、照射野ランプモード以外のモードに設定する。または、モード設定機能242は、照射野ランプモードで可視光を照射した照射時間が設定時間を経過した場合に、照射野ランプモード以外の他の可視光照射モードに切り換える。設定時間は、例えば30秒であるが、他の期間であってもよい。
【0042】
モード設定機能242は、X線可視モードスイッチがONされた場合に、X線可視モードに設定する。また、モード設定機能242は、X線可視モードスイッチがOFFされた場合に、X線を照射しても可視光を照射しないモードにする。
【0043】
照明検知機能243は、撮影装置10が設置された部屋の照明機器の点灯を検知する。照明検知機能243は、検知部の一例である。更に詳しくは、照明検知機能243は、照明機器が点灯しているか否かを判定する。例えば、照明検知機能243は、部屋に設置された照度センサからの出力に基づいて、部屋の照明機器が点灯しているか否かを判定する。または、照明検知機能243は、部屋に設置された照明機器から点灯状態を受信することにより照明の点灯を検知してもよい。なお、照明検知機能243は、点灯しているか否かに限らず、照明機器が点灯している光の照度を検知してもよい。
【0044】
照射野ランプ制御機能244は、照射野ランプ113を制御する。更に詳しくは、照射野ランプ制御機能244は、モード設定機能242により設定された可視光照射モードに基づいて、照射野ランプ113に可視光を照射させる。照射野ランプ制御機能244は、可視光制御部の一例である。
【0045】
照射野ランプ制御機能244は、モード設定機能242により設定された可視光照射モードに応じた態様の可視光を照射させる。すなわち、照射野ランプ制御機能244は、現在の可視光照射モードを識別できるように、照射野ランプ113に可視光を照射させる。照射野ランプ制御機能244は、モード設定機能242により設定された可視光照射モードに応じた色の可視光を照射させる。
【0046】
例えば、照射野ランプ制御機能244は、可視光照射モードが照明モードの場合に、白色の可視光を照射させる。また、照明モードの場合に、照射野ランプ制御機能244は、操作制御機能241が受け付けた操作により指定された領域に、照射野ランプ113に可視光を照射させる。これにより、操作者は、自身が作業を行う領域などに対して、照射野ランプ113に可視光を照射させることができる。
【0047】
例えば、照射野ランプ制御機能244は、可視光照射モードが照射野ランプモードの場合に、暖色の可視光を照射させる。照射野ランプモードの場合に、照射野ランプ制御機能244は、X線照射装置11がX線を照射する予定の第1照射領域に、可視光を照射させる。言い換えると、照射野ランプ制御機能244は、被検体Pの関心領域に可視光を照射させる。
【0048】
例えば、照射野ランプ制御機能244は、可視光照射モードがX線可視モード、且つX線照射装置11がX線を照射している場合に、赤色の可視光を照射させる。照射野ランプモードの場合に、照射野ランプ制御機能244は、X線照射装置11がX線を照射している第2照射領域に、可視光を照射させる。言い換えると、照射野ランプ制御機能244は、被検体Pの関心領域に可視光を照射させる。
【0049】
なお、照射野ランプ制御機能244は、可視光照射モードを識別可能にする方法として可視光の色の変更に限らず、可視光を点滅させることにより識別可能にしてもよいし、可視光の強度を変えることにより識別可能にしてもよいし、可視光の強度と色と点滅との何れかを組み合わせることにより識別可能にしてもよい。さらに、照射野ランプ制御機能244は、可視光照射モードを識別可能にする方法として、これら以外の可視光の照射態様により可視光照射モードを識別可能にしてもよい。但し、X線可視モード中に照射される可視光は、X線を照射している範囲を通知するものであるため、照明モード又は照射野ランプモードの可視光とは判別可能であることが好ましい。
【0050】
また、照射野ランプ制御機能244は、照明検知機能243による照明の検知結果に基づいた照度の可視光を照射野ランプ113に照射させる。ここで、撮影装置10が設置されている部屋が明るいと、操作者は、可視光が照射されている領域を認識しづらい。そこで、照射野ランプ制御機能244は、照明検知機能243により照明機器が点灯していると判定された場合に、照明機器が消灯している時よりも、高い照度の可視光を照射野ランプ113に照射させる。
【0051】
さらに、照射野ランプ制御機能244は、撮影装置10が設置されている部屋の照明と連動して、照射野ランプ113に可視光を照射させてもよい。例えば、照射野ランプモードの場合に、照射野ランプ制御機能244は、撮影装置10が設置されている部屋の照明が暗くなったことをトリガーに、照射野ランプ113に可視光を照射させてもよい。
【0052】
設定変更機能245は、照射野ランプ113に関する各種設定を変更する。例えば、設定変更機能245は、照明モード、照射野ランプモード、及びX線可視モードにおいて、照射野ランプ113が照射する可視光の色や照度の設定を変更する。また、設定変更機能245は、照射野ランプモードを終了する設定時間の設定を、30秒から任意の時間に変更する。
【0053】
次に、X線診断装置1が実行する各種処理について説明する。
【0054】
図2は、本実施形態に係るX線診断装置1が実行する照明制御処理の一例を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、X線が照射されていない状態での照明制御処理である。
【0055】
照射野ランプ制御機能244は、初期状態においては照射野ランプ113を消灯する(ステップS1)。
【0056】
操作制御機能241は、照射野ランプモードスイッチをONにする操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS2)。
【0057】
照射野ランプモードスイッチをONにする操作を受け付けた場合に(ステップS2;Yes)、モード設定機能242は、照射野ランプモードに設定する(ステップS3)。
【0058】
照射野ランプ制御機能244は、照射野ランプモードを示す可視光を照射野に照射する(ステップS4)。例えば、照射野ランプ制御機能244は、暖色の可視光をX線照射装置11がX線を照射する予定の第1照射領域に照射する。
【0059】
操作制御機能241は、照射野ランプモードスイッチをOFFにする操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS5)。照射野ランプモードスイッチをOFFにする操作を受け付けた場合に(ステップS5;Yes)、操作制御機能241は、照明モードスイッチがOFFであるか否かを判定する(ステップS6)。
【0060】
照明モードスイッチがOFFの場合に(ステップS6;Yes)、モード設定機能242は、ステップS1に移行する。すなわち、照射野ランプ制御機能244は、照射野ランプ113を消灯する。照明モードスイッチがONの場合に(ステップS6;No)、モード設定機能242は、ステップS10に移行する。すなわち、モード設定機能242は、照明モードに設定する。
【0061】
ステップS5において、照射野ランプモードスイッチをOFFにする操作を受け付けていない場合に(ステップS5;No)、モード設定機能242は、照射野ランプモードにおいて可視光を照射してから設定時間が経過したか否かを判定する(ステップS7)。設定時間が経過していない場合に(ステップS7;No)、照射野ランプ制御機能244は、ステップS4に移行する。
【0062】
設定時間が経過した場合に(ステップS7;Yes)、操作制御機能241は、照明モードスイッチがOFFであるか否かを判定する(ステップS8)。照明モードスイッチがOFFの場合に(ステップS8;Yes)、モード設定機能242は、ステップS1に移行する。すなわち、照射野ランプ制御機能244は、照射野ランプ113を消灯する。
【0063】
照明モードスイッチがONの場合に(ステップS8;No)、モード設定機能242は、ステップS10に移行する。すなわち、モード設定機能242は、照明モードに設定する。
【0064】
ステップS2において、照射野ランプモードスイッチをONにする操作を受け付けていない場合に(ステップS2;No)、操作制御機能241は、照明モードスイッチをONにする操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS9)。照明モードスイッチをONにする操作を受け付けていない場合に(ステップS9;No)、モード設定機能242は、ステップS2に移行する。
【0065】
照明モードスイッチをONにする操作を受け付けた場合に(ステップS9;Yes)、モード設定機能242は、照明モードに設定する(ステップS10)。
【0066】
照射野ランプ制御機能244は、照明モードを示す可視光を任意の領域に照射する(ステップS11)。例えば、照射野ランプ制御機能244は、白色の可視光を任意の領域に照射する。
【0067】
操作制御機能241は、照明モードスイッチがOFFであるか否かを判定する(ステップS12)。照明モードスイッチがOFFの場合に(ステップS12;Yes)、モード設定機能242は、ステップS1に移行する。すなわち、照射野ランプ制御機能244は、照射野ランプ113を消灯する。
【0068】
照明モードスイッチがONの場合に(ステップS12;No)、モード設定機能242は、操作制御機能241は、照射野ランプモードスイッチがONであるか否かを判定する(ステップS13)。
【0069】
照射野ランプモードスイッチがOFFの場合に(ステップS13;No)、モード設定機能242は、ステップS11に移行する。
【0070】
照射野ランプモードスイッチがONの場合に(ステップS13;Yes)、モード設定機能242は、ステップS3に移行する。すなわち、モード設定機能242は、照明モードに設定する。
【0071】
以上により、X線診断装置1は、照明制御処理を終了する。
【0072】
図3は、本実施形態に係るX線診断装置1が実行する照明制御処理の一例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、X線が照射されている状態での照明制御処理である。
【0073】
操作制御機能241は、X線の照射を指示するX線照射スイッチをONにする操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS21)。X線照射スイッチをONにする操作を受け付けていない場合に(ステップS21;No)、操作制御機能241は、待機する。
【0074】
X線照射スイッチをONにする操作を受け付けた場合に(ステップS21;Yes)、照射野ランプ制御機能244は、X線可視モードに設定済みであるか否かを判定する(ステップS22)。
【0075】
X線可視モードに設定済みの場合に(ステップS22;Yes)、照射野ランプ制御機能244は、X線照射装置11によりX線が照射されている第2照射領域に、X線可視モードを示す可視光を照射する(ステップS23)。
【0076】
X線可視モードに設定されていない場合に(ステップS22;No)、照射野ランプ制御機能244は、可視光を照射しない(ステップS24)。すなわち、X線照射装置11は、X線を照射するが、X線可視モードを示す可視光を照射しない。
【0077】
操作制御機能241は、X線の照射を指示するX線照射スイッチをOFFにする操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS25)。X線照射スイッチをOFFにする操作を受け付けていない場合に(ステップS25;No)、操作制御機能241は、ステップS22に移行する。
【0078】
X線照射スイッチをOFFにする操作を受け付けた場合に(ステップS25;Yes)、照射野ランプ制御機能244は、X線可視モードを示す可視光の照射を終了する(ステップS26)。また、X線照射装置11は、X線の照射を終了する。
【0079】
以上により、X線診断装置1は、X線可視処理を終了する。
【0080】
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1は、照射野ランプ113を有する。X線診断装置1は、照射野ランプモードの場合には、X線照射装置11によりX線が照射される予定の第1照射領域に照射野ランプ113に可視光を照射させる。また、X線診断装置1は、照明モードの場合には、X線照射装置11によりX線が照射される予定の第1照射領域に関わらず、任意の領域に照射野ランプ113に可視光を照射させる。このように、X線診断装置1は、照射野ランプ113を照明としても使用する。よって、X線診断装置1は、照射野ランプ113を様々な用途に活用することができる。
【0081】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、照射野ランプ113を様々な用途に活用することができる。
【0082】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0083】
1 X線診断装置
10 撮影装置
11 X線照射装置
12 X線高電圧装置
13 X線検出器
20 コンソール装置
111 X線管
112 X線絞り器
113 照射野ランプ
114 光源
115 ミラー
116 可視光絞り器
241 操作制御機能
242 モード設定機能
243 照明検知機能
244 照射野ランプ制御機能
245 設定変更機能
P 被検体
図1
図2
図3