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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116175
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】紙幣収納庫
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/125 20190101AFI20230815BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20230815BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G07D11/125
E05B65/00 E
G07G1/00 331A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018823
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 人
(72)【発明者】
【氏名】黒羽 達夫
【テーマコード(参考)】
3E141
3E142
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA06
3E141CA05
3E141FC03
3E141FL01
3E141FL04
3E142BA16
3E142BA18
3E142GA24
(57)【要約】
【課題】セキュリティ性を向上させる。
【解決手段】回収カセット14は、リジェクト紙幣を収納するリジェクト紙幣収納空間30と、リジェクト紙幣収納空間30と上下方向に沿って設けられ、回収紙幣を収納する回収紙幣収納空間34と、回収紙幣収納空間34は閉塞された状態のまま、リジェクト紙幣収納空間30のみを開閉するリジェクト紙幣収納扉48とを設ける。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を収納する第1紙幣収納空間と、
前記第1紙幣収納空間と上下方向に沿って設けられ、紙幣を収納する第2紙幣収納空間と、
前記第2紙幣収納空間は閉塞された状態のまま、前記第1紙幣収納空間のみを開閉する第1扉と
を有する紙幣収納庫。
【請求項2】
前記第1紙幣収納空間及び前記第2紙幣収納空間の両方を開閉する第2扉
をさらに有し、
前記第1扉は、前記第2扉により前記第2紙幣収納空間が閉塞された状態のまま、前記第1紙幣収納空間のみを開閉する
請求項1に記載の紙幣収納庫。
【請求項3】
前記第2扉の開閉を規制し鍵により施錠又は解錠される扉錠部
をさらに有し、
前記第1扉は鍵により施錠又は解錠される錠が設けられず、前記第1扉は前記扉錠部が施錠された状態で前記第1紙幣収納空間のみを開閉することが可能である
請求項2に記載の紙幣収納庫。
【請求項4】
前記紙幣収納庫は、前記第1紙幣収納空間と前記第2紙幣収納空間とに紙幣を送出する紙幣ユニットに対し着脱可能に設けられ、
前記第1扉は、前記紙幣収納庫が前記紙幣ユニットに装着された状態において、前記紙幣ユニットから外部に露出する側面に設けられる
請求項1に記載の紙幣収納庫。
【請求項5】
前記紙幣収納庫が前記紙幣ユニットに装着された状態において前記第1扉は前記第1紙幣収納空間を開閉可能であり、
前記紙幣収納庫が前記紙幣ユニットから外された状態において前記第1扉は前記第1紙幣収納空間を開閉不能である
請求項4に記載の紙幣収納庫。
【請求項6】
前記紙幣ユニットは、前記紙幣ユニットを収める筐体に対し引き出し可能に設けられ、
前記第1扉は、前記紙幣ユニットが前記筐体から引き出された状態において前記紙幣ユニットから外部に露出する側面に設けられる
請求項4に記載の紙幣収納庫。
【請求項7】
前記第1紙幣収納空間は、前記第1紙幣収納空間と前記第2紙幣収納空間とに紙幣を送出する紙幣ユニットから送出された紙幣のうちリジェクトすべきと判定されたリジェクト紙幣を収納する
請求項1に記載の紙幣収納庫。
【請求項8】
前記第2紙幣収納空間は、前記紙幣ユニットから回収される回収紙幣を収納する
請求項7に記載の紙幣収納庫。
【請求項9】
前記第1紙幣収納空間は、前記第2紙幣収納空間の上方に設けられる
請求項1に記載の紙幣収納庫。
【請求項10】
前記第1扉が前記第1紙幣収納空間を開閉可能な状態であるロック解除状態と、前記第1扉が前記第1紙幣収納空間を閉塞させた状態を保つロック状態とを切り替えるロック機構をさらに有し、
前記ロック機構は、
前記紙幣収納庫が前記紙幣ユニットに対し着脱される際の前記紙幣収納庫の移動に伴い、前記ロック解除状態と前記ロック状態とを切り替える
請求項4に記載の紙幣収納庫。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙幣収納庫に関し、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等のような小売店舗の精算所において使用されるレジ釣銭システムの紙幣収納庫に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、レジ釣銭システムにおいては、POS(Point Of Sales)システム等に接続されたPOSレジに、紙幣や硬貨の入出金処理を行う釣銭機が組み合わされたものが普及している。この釣銭機のうち紙幣を処理する紙幣処理装置としての紙幣入出金装置は、レジ係員との間で紙幣の授受を行う入出金部と、紙幣を搬送する搬送部と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、再利用可能な紙幣を金種毎に収納する紙幣収納庫と、リジェクトすべき紙幣を収納するリジェクト庫と、紙幣収納庫に収納された紙幣の一部又は全部を売り上げ金として回収する回収庫とを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また紙幣入出金装置においては、内部にリジェクト庫及び回収庫が形成された回収カセットが設けられており、リジェクト庫の内部及び回収庫の内部を回収カセットの外部に露出させるよう開閉する扉を有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-88860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような紙幣入出金装置においては、外部からリジェクト庫のリジェクト紙幣が取り出されるために扉が開放される場合、リジェクト庫の内部と共に回収庫の内部も開放されるため、外部から回収庫の回収紙幣にもアクセス可能となり、セキュリティが保てない可能性があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、セキュリティ性を向上させ得る紙幣収納庫を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の紙幣収納庫においては、紙幣を収納する第1紙幣収納空間と、第1紙幣収納空間と上下方向に沿って設けられ、紙幣を収納する第2紙幣収納空間と、第2紙幣収納空間は閉塞された状態のまま、第1紙幣収納空間のみを開閉する第1扉とを設けるようにした。
【0008】
これにより本発明は、第1紙幣収納空間から紙幣が外部から取り出させる際に第2紙幣収納空間の紙幣には外部からアクセスさせないようにできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、セキュリティ性を向上させ得る紙幣収納庫を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】リジェクト紙幣収納扉閉鎖状態における紙幣入出金装置の外観構成を示す斜視図である。
図2】リジェクト紙幣収納扉開放状態における紙幣入出金装置の外観構成を示す斜視図である。
図3】紙幣入出金装置収納状態における紙幣入出金装置の外観構成を示す斜視図である。
図4】紙幣入出金装置引出状態における紙幣入出金装置の外観構成を示す斜視図である。
図5】紙幣入出金装置の構成を示す右側面図である。
図6】回収カセットの構成を示す左側面図である。
図7】全体収納扉閉鎖状態及びリジェクト紙幣収納扉閉鎖状態における回収カセットの外観構成を示す斜視図である。
図8】全体収納扉開放状態及びリジェクト紙幣収納扉閉鎖状態における回収カセットの外観構成を示す斜視図である。
図9】回収カセット離脱状態、リジェクト紙幣収納扉ロック状態及びリジェクト紙幣収納扉閉鎖状態におけるロック機構の構成を示し、(A)は左側からの斜視図、(B)は右側からの斜視図である。
図10】回収カセット装着状態、リジェクト紙幣収納扉ロック解除状態及びリジェクト紙幣収納扉閉鎖状態におけるロック機構の構成を示し、(A)は左側からの斜視図、(B)は右側からの斜視図である。
図11】回収カセット装着状態、リジェクト紙幣収納扉ロック解除状態及びリジェクト紙幣収納扉開放状態におけるロック機構の構成を示し、(A)は左側からの斜視図、(B)は右側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.紙幣入出金装置の構成]
図1に外観を示すように、紙幣ユニットとしての紙幣入出金装置1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアのような小売店舗の精算所(いわゆるレジ)に設置されており、顧客が購入したい商品を精算する際にレジ係員により操作される精算機である。この紙幣入出金装置1は、POSレジ(図示せず)と接続されており、POSレジの制御に基づき動作する。以下では、レジ係員(以下、使用者とも呼ぶ)が紙幣入出金装置1に対峙する側面及びその反対面をそれぞれ前面及び後面とし、さらに該使用者から見て左右及び上下を定義して説明する。
【0013】
紙幣入出金装置1は、使用者により紙幣入出金口2に投入された紙幣を取り込んで紙幣収納庫12(図5)に収納すると共に、紙幣を紙幣収納庫12(図5)から取り出し、これを紙幣入出金口2から釣銭として出金する。
【0014】
また紙幣入出金装置1の内部には、釣銭制御部4が設けられている。釣銭制御部4は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、フラッシュメモリ等でなるメモリから各種プログラムを読み出して実行することにより、紙幣入出金装置1を統括制御し、入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
【0015】
紙幣入出金装置1は、図5に示すように、内部に紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれており、釣銭制御部4(図1)が各部(紙幣入出金部6、搬送部8、鑑別部10、紙幣収納庫12及び回収カセット14)を統括制御する。
【0016】
紙幣入出金部6は、紙幣入出金装置1内における前端近傍に位置している。この紙幣入出金部6は、使用者により紙幣入出金口2(図1)に投入された紙幣を取り込んで1枚ずつに分離し搬送部8へ繰り出すと共に、使用者へ出金すべき紙幣を、紙面を上下方向に向けて集積された状態で、すなわち上下方向に沿って整列された状態で収容し紙幣入出金口2から釣銭として出金する。
【0017】
搬送部8は、ローラやベルト等により、搬送路に沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。搬送部8の分岐点には、ブレード(図示せず)が設けられており、釣銭制御部4(図1)の制御に基づき回動することにより、紙幣の搬送先を切り替える。
【0018】
鑑別部10は、紙幣入出金部6の後方に位置している。この鑑別部10は、入金される紙幣、出金される紙幣及び回収される紙幣をその内部で搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて該紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)及び搬送状態を認識し、その鑑別結果を釣銭制御部4へ通知する。これに応じて釣銭制御部4は、取得した鑑別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。
【0019】
回収カセット14は、紙幣入出金部6の後方に位置しており、内部に紙幣を集積させて収納する紙幣収納空間15を有している。この回収カセット14は、上側のリジェクト紙幣収納部16と下側の回収紙幣収納部17とが一体となりリジェクトステージ18により互いに空間が分離された一体型収納庫であり、紙幣入出金装置1に対し着脱可能である。
【0020】
またリジェクト紙幣収納部16は、紙幣収納庫12から繰り出された紙幣について、鑑別部10及び釣銭制御部4により、搬送部8上での姿勢が正常時よりも傾いた状態で搬送されるスキューや、複数枚の紙幣が重なった状態で搬送される重送等の異常が発生したと判定された紙幣であるリジェクト紙幣が搬送部8により搬送されてくると、該リジェクト紙幣を内部に収納する。回収紙幣収納部17は、紙幣収納庫12に収納された紙幣の一部又は全部を売り上げ金として回収する回収処理が行われる際に、該紙幣である回収紙幣が搬送部8により搬送されて来ると、該回収紙幣を内部に収納する。
【0021】
回収カセット14の後方には、紙幣収納庫12が設けられている。紙幣収納庫12は、直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積させて収納する空間を有している。この紙幣収納庫12は、鑑別部10及び釣銭制御部4により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された紙幣が、その金種に応じて搬送部8により搬送されてくると、該紙幣を内部に集積させて収納する。また紙幣収納庫12は、釣銭制御部4から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、収納している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部8に受け渡す。
【0022】
かかる構成において紙幣入出金装置1は、鑑別部10による紙幣の鑑別結果等をもとに釣銭制御部4が各部を制御して、紙幣の入金処理、出金処理及び回収処理等を行う。
【0023】
このような紙幣入出金装置1は、図3に示すスライドレール19により釣銭機筐体20に対し前後方向へ移動可能に構成されている。紙幣入出金装置1は、保守員等により紙幣入出金装置1の内部の保守作業が行われる場合、紙幣入出金装置1が釣銭機筐体20から前方へ向かって図4に示すように前側へ引き出され紙幣入出金装置引出状態となると、紙幣入出金装置1の内部の保守作業が可能な状態となる。一方、紙幣入出金装置1は、保守作業が完了し保守員等により後方へ向かって図3に示すように後側へ押し込まれると、紙幣入出金装置1が釣銭機筐体20内部に収納された紙幣入出金装置収納状態となる。
【0024】
釣銭機筐体20は、左端において立設する釣銭機筐体左側壁20Lが形成されている。紙幣入出金装置収納状態(図3)において釣銭機筐体左側壁20Lは、その右側面が紙幣入出金装置1の左側面と近接した状態で左右方向に対向している。このため紙幣入出金装置収納状態(図3)において、紙幣入出金装置1の内部に装着されている回収カセット14は、その左側面が釣銭機筐体左側壁20Lと近接した状態で左右方向に対向している。よって紙幣入出金装置収納状態(図3)において、回収カセット14は、紙幣入出金装置1の内部から左方向へ向かう移動が釣銭機筐体左側壁20Lにより規制されている。
【0025】
また紙幣入出金装置収納状態(図3)において、回収カセット14は、図1及び図2に示すリジェクト紙幣収納扉48を、釣銭機筐体左側壁20Lと近接させた状態で左右方向に対向している。このため、リジェクト紙幣収納扉48の回動軌跡上には、釣銭機筐体左側壁20Lが位置している。これにより紙幣入出金装置収納状態(図3)において、リジェクト紙幣収納扉48は、閉鎖状態から開放状態へ移行しないように規制されている(詳しくは後述する)。
【0026】
[2.回収カセットの構成]
図6図7及び図8に示すように、回収カセット14は、全体として直方体状に構成されており、その周囲が回収カセット筐体22により覆われている。回収カセット筐体22は、回収カセット筐体天板22U、回収カセット筐体底板22D、回収カセット筐体左側板22L、回収カセット筐体右側板22R及び回収カセット筐体前側板22Fを有している。
【0027】
この回収カセット14は、紙幣入出金装置1に設けられた回収カセット装着部(図示せず)に対し左右方向に沿って着脱可能に構成されている。すなわち回収カセット14は、保守員に把持され回収カセット装着部に対し左側から右方向である装着方向Ds(図4)に押し込まれ回収カセット装着部に装着されると、図1に示す回収カセット装着状態となる。この回収カセット装着状態において回収カセット14は、受取口22A(図6)を搬送部8(図5)と対向させる。これにより回収カセット14は、搬送部8から紙幣を受け取ることができる。
【0028】
また回収カセット14は、保守員に把持され回収カセット装着部から左方向である離脱方向Dr(図4)に向かって引き抜かれることにより、回収カセット装着部から離脱され、回収カセット離脱状態となる。
【0029】
さらに回収カセット14は、回収カセット筐体前側板22Fの上端近傍に、搬送部8から紙幣を受け取るスリット状の受取口22Aを有しており、その内部に紙幣収納空間15を有している。
【0030】
紙幣収納空間15内には、リジェクトステージ18が設けられており、該リジェクトステージ18の上側には、リジェクト紙幣を収納する空間であるリジェクト紙幣収納空間30が形成されている。これらリジェクトステージ18及びリジェクト紙幣収納空間30により、リジェクト紙幣収納部16が構成されている。リジェクト紙幣収納部16は、受取口22Aから放出されたリジェクト紙幣を集積方向である略上下方向(略鉛直方向)に沿って重なるようにリジェクトステージ18に集積させる。このリジェクトステージ18は、後端の回動軸を中心として回動可能に構成されている。
【0031】
紙幣収納空間15内におけるリジェクトステージ18の下側には、回収ステージ32が設けられており、該回収ステージ32の上側とリジェクトステージ18の下側との間には、回収紙幣を収納する空間である回収紙幣収納空間34が形成されている。これら回収ステージ32及び回収紙幣収納空間34により、回収紙幣収納部17が構成されている。回収紙幣収納部17は、受取口22Aから放出された回収紙幣を集積方向である上下方向(鉛直方向)に沿って重なるように回収ステージ32に集積させる。この回収ステージ32は、スプリング36により下方から支持されており、該回収ステージ32に集積されたリジェクト紙幣の枚数に応じて、該スプリング36が縮み適正な集積スペースを確保する。上側搬送ガイド38は、受取口22Aから紙幣収納空間15までの上方に亘って形成され、搬送されるリジェクト紙幣の上側をガイドする。
【0032】
回収カセット14は、回収紙幣収納部17に回収紙幣を収納する場合はリジェクトステージ18の前端を持ち上げることにより搬送部8から回収紙幣収納部17へ回収紙幣を搬送し得る状態にする一方、リジェクト紙幣収納部16にリジェクト紙幣を収納する場合はリジェクトステージ18の前端を下げることにより搬送部8からリジェクト紙幣収納部16へリジェクト紙幣を搬送し得る状態にする。
【0033】
また回収カセット14は、紙幣収納空間15と外部とを連通させ該紙幣収納空間15から外部へリジェクト紙幣及び回収紙幣を取り出させる開口である紙幣取出開口40(図8)が後側の全面に形成されている。
【0034】
回収カセット筐体22には、紙幣取出開口40を覆い片開きする板状の開き扉である第2扉としての全体収納扉42が、吊元である右端に設けられた蝶番を支点として回動するよう開閉可能に設けられている。回収カセット14は、顧客との間で取引処理が行われる場合、図7に示したように全体収納扉42を閉じ紙幣取出開口40を閉鎖することにより、紙幣収納空間15内部の各部、リジェクト紙幣や回収紙幣等を保護する。以下ではこれを全体収納扉閉鎖状態とも呼ぶ。一方、回収カセット14は、紙幣入出金装置1から取り外された該回収カセット14からリジェクト紙幣が回収されるリジェクト紙幣回収作業が行われる場合や、紙幣入出金装置1から取り外された該回収カセット14から回収紙幣が回収される回収紙幣回収作業が行われる場合、全体収納扉42を後方へ向けて開き紙幣取出開口40を開放することにより、リジェクト紙幣及び回収紙幣を取り出し可能な状態とする。以下ではこれを全体収納扉開放状態とも呼ぶ。
【0035】
回収カセット筐体左側板22Lにおける、全体収納扉42の戸先部側(左端側)には、扉錠部としての紙幣収納扉錠44が設けられている。回収カセット14は、紙幣収納扉錠44に所定の鍵が差し込まれ一方向に捻られることにより、紙幣収納扉錠44を施錠する。一方、回収カセット14は、紙幣収納扉錠44に所定の鍵が差し込まれ他方向に捻られることにより、紙幣収納扉錠44を解錠する。このように回収カセット14は、紙幣収納扉錠44を解錠する鍵を有していない人の場合、回収紙幣収納空間34に対しアクセスできないようになっている。
【0036】
また回収カセット14は、リジェクト紙幣収納空間30と外部とを連通させ該リジェクト紙幣収納空間30から外部へリジェクト紙幣を取り出させる開口であるリジェクト紙幣取出開口46が、回収カセット筐体左側板22Lの上方寄りに形成されている。このリジェクト紙幣取出開口46は、リジェクト紙幣収納空間30の左側に形成されており、リジェクト紙幣収納空間30のみと外部とを連通させるものの、回収紙幣収納空間34と外部とは連通させないように形成されている。
【0037】
回収カセット筐体22には、リジェクト紙幣取出開口46を覆い片開きする板状の開き扉であるリジェクト紙幣収納扉48が、吊元である上端に設けられた回動シャフト48S(図9)を支点として回動するよう開閉可能に設けられている。リジェクト紙幣収納扉48は、前端が最も下がった状態のリジェクトステージ18の下端部よりも上側に配置されており、リジェクト紙幣収納扉開放状態(図2)において、リジェクト紙幣収納空間30を外部に開放させ外部からリジェクト紙幣収納空間30へアクセス可能とさせるものの、回収紙幣収納空間34は外部に開放させず外部から回収紙幣収納空間34へはアクセス不能とする。すなわち、リジェクト紙幣収納扉48は、リジェクト紙幣収納扉開放状態(図2)において、回収紙幣収納空間34を閉塞させた状態を保ったまま、リジェクト紙幣収納空間30を外部に開放させる。
【0038】
回収カセット14は、顧客との間で取引処理が行われる場合、図1に示したようにリジェクト紙幣収納扉48を閉じリジェクト紙幣取出開口46を閉鎖することにより、リジェクト紙幣収納空間30内部の各部やリジェクト紙幣等を保護する。以下ではこれをリジェクト紙幣収納扉閉鎖状態とも呼ぶ。一方、回収カセット14は、回収カセット装着状態(図2)において紙幣入出金装置1に装着された状態の回収カセット14からリジェクト紙幣が取り除かれるリジェクト紙幣除去作業が行われる場合、リジェクト紙幣収納扉48を開きリジェクト紙幣取出開口46を開放することにより、リジェクト紙幣を取り出し可能な状態とする。以下ではこれをリジェクト紙幣収納扉開放状態とも呼ぶ。
【0039】
一方、図6に示すように、回収カセット14において搬送部8から紙幣を受け取る受取口22Aの後方であり紙幣収納空間15の前方には、集積ローラ部50が設けられている。集積ローラ部50は、テンションローラ51及びフィードローラ52により構成され、シャフトを左右方向に向けた円柱状に形成されており、図示しないモータにより駆動される。テンションローラ51は、図6中時計回り(集積方向)に回転することにより、搬送部8から搬送された紙幣をリジェクト紙幣収納部16又は回収紙幣収納部17へ集積させる。フィードローラ52は、テンションローラ51の下側に対向配置されており、図6中反時計回り(集積方向)に回転することにより、搬送部8から搬送された紙幣をリジェクト紙幣収納部16又は回収紙幣収納部17へ集積させる。フィードローラ52の回転軸であるフィードローラ軸には、ゴム等の弾性部材で形成された舌片53が、左右方向に所定の間隔を空けて複数本設けられている。この舌片53は、フィードローラ52と共に図6中反時計回りに回転することにより、リジェクト紙幣収納部16又は回収紙幣収納部17のリジェクト紙幣収納空間30又は回収紙幣収納空間34へ送り出された紙幣の前端部分を叩き、該紙幣をリジェクトステージ18又は回収ステージ32上に集積させる。
【0040】
[3.ロック機構の構成]
図9図10及び図11に示すように、回収カセット14及び釣銭機筐体20には、ロック機構60が設けられている。ロック機構60は、回収カセット14に設けられた可動機構62と、釣銭機筐体20に設けられたラック64とにより構成されている。
【0041】
[3-1.可動機構の構成]
可動機構62は、リジェクト紙幣収納扉48、ロックプレート66、ばね68、ばね70、ギア72、ギア74、ベベルギア76及びベベルギア78により構成されている。
【0042】
リジェクト紙幣収納扉48は、リジェクト紙幣収納扉閉鎖状態(図1)において左右方向に薄く前後方向に延びる板状部材であり、上端部に設けられた前後方向に延びる回動シャフト48Sを軸として、図9中反時計回りであるリジェクト紙幣収納扉開放方向Doと、図9中時計回りであるリジェクト紙幣収納扉閉鎖方向Dcとに回動可能に構成されている。
【0043】
回動シャフト48Sにおけるリジェクト紙幣収納扉48よりも前側には、トーションスプリングであるばね68におけるコイル状に巻かれた円柱形状のコイル巻線部分が巻回されている。ばね68は、一方の腕部をリジェクト紙幣収納扉48に当接させることにより、リジェクト紙幣収納扉48をリジェクト紙幣収納扉閉鎖方向Dcへ付勢する。リジェクト紙幣収納扉閉鎖状態(図9及び図10)においてリジェクト紙幣収納扉48は、回収カセット筐体左側板22L(図7)に当接することにより、リジェクト紙幣収納扉閉鎖方向Dcへの回動が規制されると共に、リジェクト紙幣取出開口46を覆い閉鎖させる。リジェクト紙幣収納扉48における前下側端部には、ロックプレート係止部48Tが形成されている。ロックプレート係止部48Tは、ロックプレート66のロック板66Lにおける回動軌跡に沿う円弧形状の溝であり、回動シャフト48Sに向かって凹んでいる。
【0044】
リジェクト紙幣収納扉48の下方には、ロックプレート66が設けられている。ロックプレート66は、左右方向に延びる回動シャフト66Sを軸として、図9(A)中時計回りであるロック解除方向Duと、図9(A)中反時計回りであるロック方向Dlとに回動可能に構成されている。またロックプレート66は、ロック板66Lが径方向の外側へ突出している。
【0045】
回動シャフト66Sにおけるロックプレート66よりも右側には、トーションスプリングであるばね70におけるコイル状に巻かれた円柱形状のコイル巻線部分が巻回されている。ばね70は、一方の腕部をロックプレート66に当接させることにより、ロックプレート66をロック方向Dlへ付勢する。リジェクト紙幣収納扉ロック状態(図9)においてロックプレート66は、ロックプレート係止部48Tの内部にロック板66Lを入り込ませロックプレート係止部48T内の当接部に当接することにより、ロック方向Dlへの回動が規制されると共に、リジェクト紙幣収納扉閉鎖状態におけるリジェクト紙幣収納扉48のリジェクト紙幣収納扉開放方向Doへの回動を規制する。
【0046】
ロックプレート66とばね70との間には、ベベルギア76が回動シャフト66Sを軸として回転可能に設けられている。ベベルギア76は、ロックプレート66と同期して回転する。
【0047】
ベベルギア76の右側には、該ベベルギア76と噛み合うベベルギア78が回動シャフト78Sを軸として回転可能に設けられている。ベベルギア78の前側には、ギア72が回動シャフト78Sを軸として回転可能に設けられている。ギア72は、ベベルギア78と同期して回転する。ギア72の右側には、該ギア72と噛み合うギア74が回動シャフト74Sを軸として回転可能に設けられている。
【0048】
[3-2.ラックの構成]
一方、釣銭機筐体20において、ギア74の下端部の右側には、左右方向に延びる駆動機構としてのラック64が設けられている。ラック64は、回収カセット14が回収カセット装着状態(図4中破線で示す)と回収カセット離脱状態(図4中実線で示す)とを遷移する際に、ギア74と噛み合うことにより、ギア74を回転させる。
【0049】
[3-3.回収カセット離脱状態の場合]
回収カセット離脱状態(図9)においてロック機構60は、ロックプレート66のロック板66Lをリジェクト紙幣収納扉48のロックプレート係止部48Tに入れ込むことによりリジェクト紙幣収納扉ロック状態となる。リジェクト紙幣収納扉ロック状態においてリジェクト紙幣収納扉48がリジェクト紙幣収納扉開放方向Doへ回動すると、ロックプレート66のロック板66Lは、リジェクト紙幣収納扉48のロックプレート係止部48Tに当接することにより、リジェクト紙幣収納扉48のリジェクト紙幣収納扉開放方向Doへの回動を規制する。これによりロック機構60は、リジェクト紙幣収納扉閉鎖状態を保ち、リジェクト紙幣収納扉48によりリジェクト紙幣取出開口46を覆い閉鎖させる。
【0050】
かくしてロック機構60は、回収カセット離脱状態において、リジェクト紙幣収納扉48を開放させない状態とする。このため、回収カセット離脱状態において保守員がリジェクト紙幣収納部16からリジェクト紙幣を取り出す場合には、紙幣収納扉錠44を解錠し全体収納扉42を開放させて全体収納扉開放状態(図8)とする必要がある。
【0051】
[3-4.回収カセット装着状態の場合]
一方、回収カセット14が回収カセット装着部に対し装着方向Ds(図9)に押し込まれ回収カセット装着状態(図1)となると、図10に示すように、ラック64がギア74と噛み合い、ギア74を図10(B)中反時計回りに回転させる。続いて、ギア72及びベベルギア78が時計回りに回転し、ばね70の付勢力に逆らってベベルギア76及びロックプレート66を反時計回りに回転させる。このため、ロックプレート66は、ロック解除方向Duに回動しロック板66Lをロックプレート係止部48Tの内部から外部まで移動させることにより、リジェクト紙幣収納扉閉鎖状態からリジェクト紙幣収納扉48をリジェクト紙幣収納扉開放方向Do(図9)へ回動可動な状態とする。
【0052】
これによりロック機構60は、保守員等によるリジェクト紙幣収納扉48の解錠操作を必要とすることなく、回収カセット装着状態において、リジェクト紙幣収納扉48を開放可能な状態とする。このため、回収カセット装着状態において保守員がリジェクト紙幣収納部16からリジェクト紙幣を取り出す場合には、リジェクト紙幣収納扉48の解錠操作を行うことなく、図11に示すように、リジェクト紙幣収納扉48がほぼ水平方向に沿う姿勢まで指でリジェクト紙幣収納扉開放方向Doへ回動させてリジェクト紙幣収納扉開放状態とし、リジェクト紙幣収納扉48を開放させることとなる。
【0053】
[4.効果等]
ところで、紙幣入出金装置1の出金時においてリジェクト紙幣収納部16に収納されたリジェクト紙幣は、例えば重送等が発生したことがリジェクト紙幣と判定された原因であるため、鑑別部10で金種が判別されていない可能性がある。これに対し、回収カセット14が紙幣入出金装置1から取り外される前に、回収カセット装着状態のままで、リジェクト紙幣収納空間30からリジェクト紙幣が取り出されて紙幣入出金部6から投入され紙幣入出金装置1で再計数し、金種が確定した紙幣を回収紙幣収納空間34に収納することにより、金種判別されていない紙幣を少なくしたいという要望があった。
【0054】
しかしながらそのような場合において、回収カセット14に設けられた扉が開かれた際にリジェクト紙幣収納空間30と共に回収紙幣収納空間34も開放されてしまうと、外部から回収紙幣収納空間34の回収紙幣にもアクセス可能となり、セキュリティが保てないおそれがあった。
【0055】
これに対し紙幣入出金装置1は、回収カセット14における紙幣収納空間15を上下にリジェクト紙幣収納空間30と回収紙幣収納空間34とに区分し、回収紙幣収納空間34が閉塞された状態を保ったままリジェクト紙幣収納空間30のみを開閉するリジェクト紙幣収納扉48を設けるようにした。
【0056】
このため紙幣入出金装置1は、リジェクト紙幣収納空間30を外部に開放させリジェクト紙幣にアクセス可能とさせた際に、回収紙幣収納空間34には外部からアクセスさせないようにできる。
【0057】
これにより紙幣入出金装置1は、リジェクト紙幣を取り出させる際に回収紙幣には外部からアクセスさせないようにでき、回収紙幣収納空間34から回収紙幣が取られてしまうことを防止し、セキュリティ性を向上させることができる。
【0058】
さらに紙幣入出金装置1は、回収カセット装着状態(図4中破線で示す)においてはリジェクト紙幣収納扉48(図1)を開閉可能な状態とする一方、回収カセット離脱状態(図4中実線で示す)においてはリジェクト紙幣収納扉48を開閉不能な状態とした。
【0059】
このため紙幣入出金装置1は、紙幣入出金装置収納状態(図3)から紙幣入出金装置引出状態(図4)にされ、回収カセット装着状態においてリジェクト紙幣収納扉48を開放させリジェクト紙幣収納扉開放状態(図2)とすることにより、紙幣収納扉錠44の解錠を行うことなくリジェクト紙幣収納空間30へのアクセス性を向上できる。これと共に紙幣入出金装置1は、紙幣入出金装置収納状態から紙幣入出金装置引出状態にされ、さらに回収カセット装着状態から回収カセット離脱状態となり、保守員等が回収カセット14を持ち運べる状況になった場合には、リジェクト紙幣収納扉48を開放不能な状態としリジェクト紙幣収納扉閉鎖状態(図7)を保つことにより、紙幣収納扉錠44が解錠されない限りはリジェクト紙幣収納空間30へアクセス不能とし、セキュリティ性を保つことができる。このように紙幣入出金装置1は、リジェクト紙幣収納空間30へアクセス性とセキュリティ性とを両立できる。
【0060】
また紙幣入出金装置1は、紙幣入出金装置収納状態(図3)において、回収カセット14を釣銭機筐体20の内部に収納させ外部からアクセス不能な状態とすると共に、回収カセット14を釣銭機筐体左側壁20Lと近接させて離脱方向Drへ移動不能且つ全体収納扉42を開放不能な状態とした。
【0061】
このため紙幣入出金装置1は、紙幣入出金装置収納状態(図3)において、回収カセット14内のリジェクト紙幣及び回収紙幣に外部からアクセス不能な状態とし、リジェクト紙幣及び回収紙幣を回収カセット14から取り出されないようにできる。
【0062】
一方、紙幣入出金装置1は、回収カセット14を紙幣入出金装置1から取り外し可能な紙幣入出金装置引出状態(図4)において、回収カセット14を紙幣入出金装置1の左側面の外部に露出させ、リジェクト紙幣収納扉48に外部からアクセス可能な状態とした。
【0063】
また紙幣入出金装置1は、リジェクト紙幣取出開口46及びリジェクト紙幣収納扉48を、リジェクト紙幣収納部16と対応させて該リジェクト紙幣収納部16の左方に配置するようにした。このため紙幣入出金装置1は、リジェクト紙幣収納扉開放状態(図2)となった場合、保守員に対し外部からリジェクト紙幣収納空間30に容易にアクセスさせることができる。
【0064】
さらに紙幣入出金装置1は、回収カセット14に設けられた可動機構62と、釣銭機筐体20に設けられた駆動機構としてのラック64とにより、リジェクト紙幣収納扉48の開閉を規制するロック機構60を構成するようにした。
【0065】
また紙幣入出金装置1は、回収カセット装着状態(図4中破線で示す)から離脱方向Drへ回収カセット14が引き抜かれると、可動機構62におけるロックプレート66のロック板66Lをリジェクト紙幣収納扉48のロックプレート係止部48Tに入れ込むことにより、リジェクト紙幣収納扉ロック状態(図9)とするようにした。
【0066】
一方、紙幣入出金装置1は、回収カセット離脱状態(図4中実線で示す)から装着方向Dsへ回収カセット14が押し込まれると可動機構62におけるロックプレート66のロック板66Lをリジェクト紙幣収納扉48のロックプレート係止部48Tから離脱させることによりリジェクト紙幣収納扉ロック解除状態(図10)とするようにした。
【0067】
このように紙幣入出金装置1は、回収カセット装着部に対し回収カセット14が挿抜される際の回収カセット14の移動に伴い、リジェクト紙幣収納扉ロック状態(図9)とリジェクト紙幣収納扉ロック解除状態(図10)とを切り替えるようにした。このため紙幣入出金装置1は、リジェクト紙幣収納扉48をロックする状態とロック解除する状態とを切り替えるための動力源を用いることなく、リジェクト紙幣収納扉ロック状態(図9)とリジェクト紙幣収納扉ロック解除状態(図10)とを切り替えることができる。
【0068】
以上の構成によれば回収カセット14は、リジェクト紙幣を収納するリジェクト紙幣収納空間30と、リジェクト紙幣収納空間30と上下方向に沿って設けられ、回収紙幣を収納する回収紙幣収納空間34と、回収紙幣収納空間34は閉塞された状態のまま、リジェクト紙幣収納空間30のみを開閉するリジェクト紙幣収納扉48とを設けるようにした。
【0069】
これにより回収カセット14は、リジェクト紙幣収納空間30からリジェクト紙幣が外部から取り出させる際に回収紙幣収納空間34の回収紙幣には外部からアクセスさせないようにできる。
【0070】
[5.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、リジェクト紙幣収納扉48を回動させることによりリジェクト紙幣収納扉閉鎖状態(図1)とリジェクト紙幣収納扉開放状態(図2)とを切り替える場合について述べた。本発明はこれに限らず、リジェクト紙幣収納扉48を例えば前後方向に沿ってスライド移動させることによりリジェクト紙幣収納扉閉鎖状態とリジェクト紙幣収納扉開放状態とを切り替えても良い。
【0071】
また上述した実施の形態において、リジェクト紙幣収納扉48を施錠する錠を設けても良い。
【0072】
さらに上述した実施の形態においては、回収カセット14の内部における上側にリジェクト紙幣収納部16を、下側に回収紙幣収納部17をそれぞれ配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、回収カセット14の内部における下側にリジェクト紙幣収納部16を、上側に回収紙幣収納部17をそれぞれ配置しても良い。その場合、下側のリジェクト紙幣収納部16のリジェクト紙幣収納空間30と対向する位置にリジェクト紙幣収納空間30を開閉するリジェクト紙幣収納扉48を設ければ良い。
【0073】
但し、一般的に、リジェクト紙幣の枚数は回収紙幣の枚数に比べて少数であるため、回収カセット14においては、リジェクト紙幣収納部16よりも回収紙幣収納部17の空間が大きく設計されている。このため、回収カセット14における上側の大部分を回収紙幣収納部17が占め、回収カセット14における底部近辺にリジェクト紙幣収納部16が配置されると、回収カセット14の上寄りに配置された集積ローラ部50からリジェクト紙幣収納部16へリジェクト紙幣を搬送することが困難となる。このため、回収カセット14の内部における上側にリジェクト紙幣収納部16を、下側に回収紙幣収納部17をそれぞれ配置し、該リジェクト紙幣収納部16のリジェクト紙幣収納空間30のみを開閉するリジェクト紙幣収納扉48に本発明を適用すると、本発明の効果を顕著に奏する。
【0074】
さらに上述した実施の形態においては、回収カセット14の内部をリジェクト紙幣収納空間30と回収紙幣収納空間34との2個の紙幣収納空間に分割する場合について述べた。本発明はこれに限らず、回収カセット14の内部を3個以上の任意の個数の紙幣収納空間に分割しても良い。その場合であっても、リジェクト紙幣収納部16のリジェクト紙幣収納空間30と対向する位置にリジェクト紙幣収納空間30を開閉するリジェクト紙幣収納扉48を設ければ良い。
【0075】
さらに上述した実施の形態においては、ばね68の付勢力によりリジェクト紙幣収納扉48をリジェクト紙幣収納扉閉鎖方向Dc(図9)へ回動させ、リジェクト紙幣収納扉48をリジェクト紙幣収納扉開放状態(図11)からリジェクト紙幣収納扉閉鎖状態(図10)へ遷移させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、リジェクト紙幣収納扉48の自重によりリジェクト紙幣収納扉48をリジェクト紙幣収納扉閉鎖方向Dcへ回動させても良い。
【0076】
さらに上述した実施の形態においては、リジェクト紙幣収納扉48をロックする状態とロック解除する状態とを切り替えるための動力源を用いることなく、回収カセット装着部に対し回収カセット14が挿抜される際の回収カセット14の移動に伴い、リジェクト紙幣収納扉ロック状態(図9)とリジェクト紙幣収納扉ロック解除状態(図10)とを切り替える場合について述べた。本発明はこれに限らず、リジェクト紙幣収納扉48をロックする状態とロック解除する状態とを切り替えるための動力源を設けても良い。
【0077】
さらに上述した可動機構62とラック64とを、回収カセット装着部に対し回収カセット14が挿抜される際の回収カセット14の移動に伴いリジェクト紙幣収納扉ロック状態(図9)とリジェクト紙幣収納扉ロック解除状態(図10)とを切り替える、他の種々の構成としても良い。
【0078】
さらに上述した形態においては、回収カセット装着部に対し回収カセット14が挿抜される際の回収カセット14の移動に伴い可動する可動機構62を回収カセット14に設け、可動機構62を可動させるラック64を釣銭機筐体20に設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、回収カセット装着部に対し回収カセット14が挿抜される際の回収カセット14の移動に伴い可動する可動機構を釣銭機筐体20に設け、該可動機構を可動させる駆動機構を回収カセット14に設けても良い。
【0079】
さらに上述した実施の形態においては、紙幣入出金装置1に1個の紙幣収納庫12を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、紙幣入出金装置1に2個以上の任意の個数の紙幣収納庫12を設けても良い。
【0080】
さらに上述した実施の形態においては、投入された紙幣を取り込んで搬送部8へ繰り出す紙幣入金部と、出金すべき紙幣を集積する紙幣出金部とが一体化した紙幣入出金部6を紙幣入出金装置1に設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、紙幣入金部と紙幣出金部とを別体で紙幣入出金装置1に設けても良い。
【0081】
さらに上述した実施の形態においては、レジ係員により操作される精算機である釣銭機の紙幣入出金装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、顧客自身により操作されるセルフ精算機やセミセルフ精算機の紙幣入出金装置に本発明を適用しても良い。
【0082】
さらに上述した実施の形態においては、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等のレジ精算場において使用されるPOSレジに接続され紙幣の入出金処理を行う釣銭機の紙幣入出金装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、銀行内において使用される自動テラー現金預払機(窓口端末)等の銀行員が使用する端末の種々の装置に本発明を適用しても良い。
【0083】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また、本発明は、上述した各実施の形態及び上述した他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用する場合や、該抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加する場合にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0084】
さらに上述した実施の形態においては、第1紙幣収納空間としてのリジェクト紙幣収納空間30と、第2紙幣収納空間としての回収紙幣収納空間34と、第1扉としてのリジェクト紙幣収納扉48とによって、紙幣収納庫としての回収カセット14を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1紙幣収納空間と、第2紙幣収納空間と、第1扉とによって、紙幣収納庫を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、紙幣等の媒体を搬送すると共に判別する種々の搬送装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0086】
1……紙幣入出金装置、2……紙幣入出金口、4……釣銭制御部、6……紙幣入出金部、8……搬送部、10……鑑別部、12……紙幣収納庫、14……回収カセット、15……紙幣収納空間、16……リジェクト紙幣収納部、17……回収紙幣収納部、18……リジェクトステージ、19……スライドレール、20……釣銭機筐体、20L……釣銭機筐体左側壁、22……回収カセット筐体、22U……回収カセット筐体天板、22D……回収カセット筐体底板、22L……回収カセット筐体左側板、22R……回収カセット筐体右側板、22F……回収カセット筐体前側板、22A……受取口、30……リジェクト紙幣収納空間、32……回収ステージ、34……回収紙幣収納空間、36……スプリング、38……上側搬送ガイド、40……紙幣取出開口、42……全体収納扉、44……紙幣収納扉錠、46……リジェクト紙幣取出開口、48……リジェクト紙幣収納扉、48S……回動シャフト、48T……ロックプレート係止部、50……集積ローラ部、51……テンションローラ、52……フィードローラ、53……舌片、60……ロック機構、62……可動機構、64……ラック、66……ロックプレート、66L……ロック板、66S……回動シャフト、68……ばね、70……ばね、72……ギア、74……ギア、74S……回動シャフト、76……ベベルギア、78……ベベルギア、 78S……回動シャフト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11