(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116183
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】扉解錠システム及びその制御装置
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20230815BHJP
G06Q 10/083 20230101ALI20230815BHJP
【FI】
E05B49/00 J
G06Q10/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018838
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】秋元 雄策
【テーマコード(参考)】
2E250
5L049
【Fターム(参考)】
2E250AA04
2E250BB08
2E250BB29
2E250BB32
2E250DD02
2E250FF27
2E250FF36
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】制御装置の記憶部を圧迫しないようにすることにより、認証及び開閉装置の解錠の迅速性、システムの構築の容易化、メンテナンス作業の容易化等を図ること。
【解決手段】扉を開閉する開閉装置と、この開閉装置に対して解錠を指示する制御装置と、この制御装置と通信可能であると共に、前記建物に住む住民に関する住居を特定する特定情報及び該住民に配達すべき宅配物の荷物情報を記憶部に格納する管理サーバとを含む扉解錠システムであって、制御装置は建物又は建物の敷地内に配設され、管理サーバから前記荷物情報を受信し、かつその記憶部に登録する登録手段と、建物に設けられた入力装置を介して又は配達員が所持する通信端末から無線を介して受信する宅配物の識別情報と登録済の荷物情報を認証対象として認証を実行する認証手段と、認証が成立した場合に開閉装置に対して解錠を指示する解錠指示手段とを備える扉解錠システム。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも建物の入口に設けられた扉を開閉する開閉装置と、この開閉装置に対して解錠を指示する制御装置と、この制御装置と通信可能であると共に、前記建物に住む住民の住居を特定する特定情報及び該住民に配達すべき宅配物の荷物情報を記憶部に格納する管理サーバとを含む扉解錠システムであって、
前記制御装置は前記建物又は建物の敷地内に配設され、前記管理サーバから前記荷物情報を受信し、かつ、その記憶部に登録する登録手段と、前記建物に設けられた入力装置を介して、又は配達員が所持する通信端末から無線を介して受信する前記宅配物の識別情報と前記登録済の荷物情報を認証対象として認証を実行する認証手段と、前記認証が成立した場合に前記開閉装置に対して解錠を指示する解錠指示手段とを備える扉解錠システム。
【請求項2】
請求項1の扉解錠システムに於いて、前記管理サーバは、前記宅配物の配達状況に対応して前記認証対象の荷物情報を前記制御装置に送信することを特徴とする扉解錠システム。
【請求項3】
建物の入口に設けられた扉を開閉する開閉装置と、この開閉装置に対して解錠を指示する扉解錠システムの制御装置であって、
前記制御装置は前記建物又は建物の敷地内に配設され、管理サーバから荷物情報を受信し、かつ、その記憶部に登録する登録手段と、前記建物に設けられた入力装置を介して、又は配達員が所持する通信端末から無線を介して受信する宅配物の識別情報と前記登録済の荷物情報を認証対象として認証を実行する認証手段と、前記認証が成立した場合に前記開閉装置に対して解錠を指示する解錠指示手段とを備える扉解錠システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば、建築物のエントランス入口に設置されたオートロックの自動ドアを開くための扉解錠システム及びその扉解錠システムに含まれる制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2は、本願発明と同一の技術分野に関するものである。特許文献1及び特許文献2と本願発明とは、配送員が、オートロック設備のある集合住宅の内部に荷物を配送する際に、適切にオートロックを開錠し、荷物を配送することを実現するという点では、発明の課題が一部共通する。なお、「開錠」と「解錠」は同じ意味である。
【0003】
ここで、特許文献1の構成要素を簡単にまとめると、制御サーバは、開錠装置及び荷物情をそれぞれ記憶する記憶部と、認証部と、錠前に対する開錠指示部等を有する。一方、特許文献2のサーバ装置も、前記特許文献1の構成要素と略同一であり、記憶手段と、認証手段と、扉制御装置に対する解錠 (開錠)指示手段等を有する。但し、前記扉制御装置は「単一の筐体」からなる点に特徴がある。
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の各管理サーバ装置は、ネットワーク上の管理サーバ自体に、情報収集、認証、扉制御装置に対する解錠指示等各種機能を全て持たせているので、前記認証手段や解錠指示手段に不具合が発生した時、管理サーバ又は解錠システム全体のメンテナンスに詳しい人(熟練者)が必要であるという問題点がある。
この点について付言すると、錠制御装置に対して鍵情報を設定できる鍵情報設定業者が、建物まで出向き、錠制御装置が存在する現場で、問題が発生したネットワーク上の管理サーバの認証手段や解錠指示手段のメンテナンスをすることができないという欠点があった。またネットワーク上の管理サーバに種々の機能を持たせので、システム全体の構築に時間がかかると共に、管理サーバの負担が大きくなり、例えば認証に時間がかかるという問題もあった。そこで、出願人は前記問題点を克服するために本願発明を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6777955号公報
【特許文献2】特許第6966120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主たる目的は、特許文献1及び特許文献2の問題点に鑑み、制御装置の記憶部を圧迫しないようにすることにより、認証及び開閉装置の解錠の迅速性、システムの構築の容易化、メンテナンス作業の容易化等を図ることである。第2の目的は、宅配物の配達状況に基づきタイムリーに荷物情報を制御装置に通知すること、会員の配達希望を受け入れる、会員に対してきめ細かなサービスを提供する等である。その他の目的として、例えば配達員の動線に対する便宜を向上させることは従属項によって特定される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の扉解錠システムは、少なくとも建物の入口に設けられた扉を開閉する開閉装置と、この開閉装置に対して解錠を指示する制御装置と、この制御装置と通信可能であると共に、前記建物に住む住民の住居を特定する特定情報及び該住民に配達すべき宅配物の荷物情報を記憶部に格納する管理サーバとを含む扉解錠システムであって、前記制御装置は前記建物又は建物の敷地内に配設され、前記管理サーバから前記荷物情報を受信し、かつ、その記憶部に登録する登録手段と、前記建物に設けられた入力装置を介して、又は配達員が所持する通信端末から無線を介して受信する前記宅配物の識別情報と前記登録済の荷物情報を認証対象として認証を実行する認証手段と、前記認証が成立した場合に前記開閉装置に対して解錠を指示する解錠指示手段とを備えることを特徴とする。ここで「受信」の概念は、読取手段や通信手段よる識別情報の取得手段の意味合いである。
【0008】
上記において、前記管理サーバは、前記宅配物の配達状況に対応して前記認証対象の荷物情報を前記制御装置に送信することを特徴とする。付言すると、管理サーバの制御装置への荷物情報(例えば配達伝票番号)の送信時期(タイミング)は、宅配物の配送状況を見て判断するのが好ましい。例えば配送状況が「配達中」になったら制御装置への登録をスタートする。前記構成により、管理サーバは会員(ユーザ)の宅配物の配達状況を把握することができると共に、制御装置の記憶部を圧迫しないようにすることができる。また実施形態によっては、会員(ユーザ)の配達日、配達時間帯等の希望を受け入れることが可能となるので、会員に対してきめ細かなサービスを提供することができる。
【0009】
また前記荷物情報は、前記会員端末が宅配業者端末から貰った最新の情報であり、かつ、前記管理端末は前記最新の情報を前記会員端末から電子メールを介してもらうことが好ましい。前記構成により、制御装置に電子メールに記載されている最新の荷物情報を認証情報として保持させることができる(制御装置に管理サーバと連携する機能を持たせないために、その記憶部の記憶容量を大きくする必要がない)。
【0010】
さらに、実施形態如何によっては、前記管理サーバは、前記住民のアカント情報及び該住民に配達すべき宅配物の荷物情報を記憶部に格納する上位のサーバと、前記上位のサーバから貰った住居を含む識別情報に基づいて前記制御装置の位置を特定する下位のサーバとを含み、前記下位のサーバが前記荷物情報を前記制御装置に送信することが好ましい。前記構成により、データーベースを容易に作成することができると共に、通信障害、定期点検等の場合にメンテナンスが容易となる。
【0011】
また本発明の扉解錠システムの制御装置は、建物の入口に設けられた扉を開閉する開閉装置と、この開閉装置に対して解除を指示するであって、前記制御装置は前記建物又は建物の敷地内に配設され、管理サーバから荷物情報を受信し、かつ、その記憶部に登録する登録手段と、前記建物に設けられた入力装置を介して、又は配達員が所持する通信端末から無線を介して受信する宅配物の識別情報と前記登録済の荷物情報を認証対象として認証を実行する認証手段と、前記認証が成立した場合に前記開閉装置に対して解錠を指示する解錠指示手段を備えることを特徴とする。
【0012】
実施形態如何によっては、上記の扉解錠システムの制御装置に於いて、前記制御装置はエレベーターの停止階を制御する停止階制御信号をエレベーターの駆動制御装置に送信することが好ましい。付言すると、制御装置は、配達伝票番号を認証し、少なくとも集合玄関の扉を開く、そして、さらに、エレベーターの籠の呼出しや着階指示を行うことが好ましい。前記構成により、配達員の動線に対応して「きめ細かなサービス」を提供することができ、これにより宅配業者の配達員の労力の軽減化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、管理サーバの役割と、建物を含む敷地内に設置された制御装置の役割を分けたので、管理サーバの記憶部には、例えば会員情報、荷物情報、制御装置等の種々の識別情報を保持させ、一方、制御装置に必要な範囲の情報(認証に必要に荷物情報)を持たせることができる。したがって、制御装置の記憶部を圧迫しないようにすることにより、認証及び開閉装置の解錠の迅速性、システムの構築の容易化、メンテナンス作業の容易化等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1乃至
図8は本発明の第1実施形態を示す各説明図。
図9は第1実施形態を前提とする制御装置3Aの説明図である。
【
図1】本発明の第1実施形態に係る扉解錠システムの全体構成を示す構成図。
【
図2】住民端末(例えばモバイル端末)5の構成を示すブロック図。
【
図3】住民が住民に関する特定情報を入力する入力画面5aの一例。
【
図4】管理サーバ4から住民端末5に会員登録通知が届いた出力画面5bの一例。
【
図6】管理サーバの簡単な構成と機能(制御を兼ねる)を示す概略説明図。
【
図8】会員管理テーブル33aと会員メール管理ボックス33bと下位の管理サーバテーブル33cの関連性を示す概略説明図。
【
図9】第1実施形態を前提とする制御装置3Aの概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至
図8は、本発明の第1実施形態の扉解錠システム及びその制御装置の各説明図である。まず、
図1を参照にして基本的な構成要件を説明する。
【0016】
図1は扉解錠システムの全体構成を示す構成図である。
図1に於いて、Xは扉解錠システムで、この扉解錠システムXは、少なくとも敷地内の建物1の入口に設けられた扉を開閉する開閉装置2と、この開閉装置2に対して解錠を指示する制御装置3と、この制御装置3と通信可能であると共に、前記建物1に住む住民に関する特定情報及び該住民に配達すべき宅配物の荷物情報を記憶部に格納する管理サーバ4と、この管理サーバ4とネットワークNT(広域、ローカル等)を介して通信可能な住民端末5とを含む。制御装置3は前記建物1又は建物の敷地内1に配設されている。
【0017】
さらに、望ましくは宅配業者端末6が含まれる。ここでは、前記建物1は集合住宅(例えば高層マンション)、前記建物1の入口は集合住宅のエントランス、前記扉は自動ドアとして説明する。もちろん、集合住宅には、実施形態如何によっては介護施設、宿泊施設、学生寮なども含まれる。
【0018】
前記開閉装置2は、建物1の入口を構成する扉枠および壁に設けられ、入力装置、通信手段等を有し、電動モータ等の駆動源の駆動力で動力伝達機構が作動する。開閉装置2や入力装置2aの具体的構成は割愛する。
【0019】
前記制御装置3は、管理対象である建物1あるいは敷地1、具体的には建物1の入口付近、建物の共用部、建物の管理室等ローカル通信方式(Wi-Fi)で電波が届く範囲内に設置されている。制御装置3は、単数又は複数の筐体、好ましくは一つの筐体(通信手段、制御部、計時手段等が一つ箱体に組み込まれている意味)で構成されている。
【0020】
実施形態の制御装置3は、単に開閉装置2に対して解錠を指示する機能のみならず、管理サーバ4からネットワークNTを介して宅配物Dの配達状況に対応してタイムリーに送信されてくる認証対象の識別情報を登録する機能、会員の配達希望日に認証を実行する機能等を有する。
【0021】
管理サーバ4は、単数又は複数(実施形態では複数)であり、ネットワークNTの概念に含まれるインターネットやローカル通信手段(例えばWi-Fi)を介して前記制御装置3と相互に通信可能である。また住民端末5と宅配業者端末6も前記ネットワークNTを介して相互に通信可能に接続される。
【0022】
なお、実施形態如何によっては、開閉装置2と制御装置3との間、又は開閉装置2の付近には、配達員Mが所持する通信端末90の電波が届く範囲を拡大するために、転送機器、ゲートウェイなどの通信中継装置(図示せず)を適宜に配設しても良い。また前記扉には、建物1の内部に設けられたエレベーターの籠の自動開閉扉も含まれる。したがって、該実施形態では、開閉装置2は、集合住宅のエントランスの自動ドアを開閉する第1の開閉装置2と、エレベーターの自動開閉扉を開閉する入力装置7a等を有する第2の開閉装置7が含まれる。
【0023】
さて、制御装置3及び管理サーバ4の具体的構成をする前に、建物1に住む住民が、住民端末(例えばモバイル端末)5を利用して当該住民に関する住居(物件+部屋)を特定する特定情報aを管理サーバ4に対して送信する必要があるので、住民端末5の構成とアカウントの登録について説明する。
【0024】
図2は住民端末(例えばモバイル端末)5の構成を示すブロック図である。
図2に示すモバイル端末5は、取得部11と、通信部12と、入力部13と、記憶部14と、表示部15と、制御部16とを有する。
【0025】
前記取得部11は、管理サーバ4のネットワークNT上の位置を特定するサーバ側の特定情報を取得する。取得部11は、実施形態では、カメラまたはスキャナのような2次元コードを読み取る読取部である。前記特定情報は、例えば、URL(Uniform Resource Locator)などである。
【0026】
ところで、前記2次元コードは、印刷物に印刷されているものであっても良い。モバイル端末5が2次元コードを読み取ってネットワークNT上の管理サーバ4にアクセスする技術は周知なので、具体的な説明は割愛する。また取得部11は、読取部の代わりに、NFC(Near Field Communication)方式のような近距離無線通信などを用いる無線通信部でもよい。この場合、例えば近距離無線通信などを用いて特定情報を送信する送信器(図示せず)を、開閉装置2の筐体とは別に、建物1の適宜箇所(例えば自動ドアの近傍)に設けるのが好ましい。
【0027】
前記通信部12は、ネットワークNTを介して管理サーバ4と通信可能に接続する。実施形態の通信部12は、住民に関する住居(物件+部屋)を特定する特定情報aを管理サーバ4に対して送信する。ここで「住民に関する特定情報」には、住居(物件+部屋)、氏名、前記住所にあたるメールアドレス、登録時のアカウントに含まれるユーザー名、ユーザーの氏名及び住所を特定できる電話番号等の識別情報が含まれる。前記電話番号は、例えばモバイル端末5に予め登録されている固有番号である。これにより、モバイル端末5を所持する住民の住居(物件+部屋)及び氏名を特定することができる。特定情報aは、本解錠システムXを利用する住民(ユーザー名)を特定するための情報でもあることから、家族構成如何によっては、夫、妻、子供等の情報も特定情報aに含めることができる。
【0028】
また通信部12は、例えば宅配業者端末6から「宅配物、宅配物の伝票番号、宅配中等の宅配物に関する情報」の通知を受信する。この場合、住民端末5は、受信後速やかに前記宅配物に関する情報と共に配達希望、例えば通知時間から直近の何日の午前中の配達希望、直近の何日の午後の配達希望等を配達日と共に配達時間帯、さらには宅配物の伝票番号を管理サーバ4に通知するのが好ましい。
【0029】
入力部13は、住民(利用者)からタッチパネルに対する操作、音声等により、住所、氏名、生年月日、モバイル端末5の電話番号、メールアドレス等の識別情報を受け付ける。特に、新規登録の場合には、好ましくは、氏名、メールアドレス、パスワードを含むアカウントを確認し、住民の住居(物件+部屋)を特定することができる特定情報aを管理サーバ4に対して送信する。
【0030】
図3は住民が住民に関する特定情報(識別情報a)を入力する入力画面5aの一例である。一方、
図4は管理サーバ4から住民端末5に会員登録通知が届いた出力画面5bの一例である。これらの画面は、あくまでも一例であって、前記入力画面5a及び出力画面5bは任意に設定することができる。これにより、管理サーバ4は、会員の識別情報(例えば物件情報)と該住民に配達すべき宅配物の荷物情報との紐付けが可能となる。
【0031】
記憶部14は、前記会員の識別情報(特定情報a)を含め、種々の情報を記憶する。また表示部15は、前記会員の特定情報aを含む種々の情報を表示する。
【0032】
制御部16は、モバイル端末5全体を制御する。例えば、取得部11が管理サーバ5側の特定情報(管理サーバの位置情報)を取得すると、その後、制御部16は、管理サーバ5に対して、アカウント情報(権原を取得するための情報)等を送信する。
【0033】
以上のように、住民が該解錠システムXのサービスを受けるために、予め、管理サーバ(例えば登録商標:MIWA-Links)4に対して住民端末5及びインターネットを利用し、会員の住居(物件情報)を特定するためにアカウント等の登録をする。なお、前記アカウントの登録には、住居(物件+部屋)のみならず、氏名、住民のメールアドレス、それにパスワードが含まれているのが好ましい。
【0034】
次に、
図5は制御装置3の構成を示すブロック図である。制御装置3は、前述したように、開閉装置2に対して解錠を指示する機能のみならず、管理サーバ4からネットワークNTを介して宅配物Dの配達状況に対応してタイムリーに送信されてくる荷物情報bを登録する機能、認証を実行する機能等を有する。
【0035】
すなわち、
図5で示す制御装置3は、管理サーバ4から直近の荷物情報bを「認証対象の識別情報」として通信手段21で受信し、かつ、その記憶部23に登録する登録手段22と、例えば前記建物1に設けられた第1の開閉装置2側の入力装置2aを介して受信する前記住民に配達すべき宅配物の識別情報(例えば伝票番号)bと前記登録済の直近の認証対象としての荷物情報bとの認証を実行する認証手段24と、前記認証が成立した場合に前記第1の開閉装置2に対して解錠を指示する解錠指示手段25と、前記各手段を制御する制御部26、それに計時手段27を備えている。なお、制御装置3は、その他必要に応じて電源等を備えている。通信手段21、登録手段22、認証手段24、解錠指示手段25および制御部26に関する技術は周知技術(特許文献1、特許文献2等)なので、ここでは、さらなる詳細な説明を割愛する。
【0036】
ところで、例えば特許文献2では、扉制御装置を構成する建物の外側のインターホンが「入力装置」を構成し、該入力装置に宅配物の識別情報(例えば伝票番号)を入力している。したがって、建物のエントランスの扉付近に設置された入力装置としてのインターホンが第1の開閉装置2側の入力装置2aと理解することができる。本発明の第1実施形態の第1の開閉装置2側の入力装置2aは、インターホンに限定せず、近距離無線通信などを用いる無線通信部、テンキー装置等に代えて読取り装置を採用しているが、近距離無線通信、テンキー装置、インターホン、読取り装置等を使用しないし実施形態も考えられる。
【0037】
例えば
図1で示す建物付近で、車両側から宅配業者の配達員Mが保持するモバイル端末(例えばスマホ)90及びローカル式通信手段や転送機器を利用して、本実施形態の制御装置3の通信部手段21に解錠要求を送信する場合である。
【0038】
したがって、第1実施形態において、第1の開閉装置2側の近距離無線通信、テンキー装置、インターホン、読取装置等の入力装置2aを使用せず、宅配業者の配達員Mが、住民(ユーザー)が不在の時、車に乗って、又はその付近から、電波が届く領域内で、配達員Mが所持するスマホ90の画面を操作し、ユーザーの識別情報(例えば居所)と配送伝票番号bを含む解錠要求を、直接操作(遠隔操作)により、制御装置3送信しても良い(別の実施形態)。
【0039】
付言すると、この実施形態に於いて、バーコードリーダー等の入力装置2aとは別体の転送器を用いて、例えば集合住宅の管理室等に設けられた制御装置3に前記解錠要求を送信しても良い(配達員Mが所持する通信端末90から無線を介して伝票番号bを直接制御装置3に送信する変形例)。
【0040】
次に、
図6は管理サーバの簡単な構成と機能を示す概略説明図、
図7は上位の管理サーバのブロック図である。
図6及び
図7を参照にして管理サーバ4の構成を説明する。
図6と
図7を参照にすると理解することができるように、管理サーバ4は、会員(ログインした住民)からの情報、会員からの電子メールに記載されている宅配物の配達情報等を管理すると共に、会員の物件情報と荷物情報bを特定した場合には、ネットワーク(例えばローカルネットワーク)を介して建物を含む敷地内1に配設された制御装置3に、少なくとも前記荷物情報bが送信される。
【0041】
したがって、管理サーバ4の視点からは、前記制御装置3は、管理サーバ4との情報の共有化、情報の閲覧権原の付与等行うものでないことから、仲間あるいは連結相手のサーバではない。
【0042】
制御装置3は、管理サーバ4から一方通行的に荷物情報bをもらい、その後、配達員Mからの荷物情報bをもらって認証を実行し、認証が成立したら、開閉装置3に対してエントランスの扉を開くように解錠指示する装置であるから、ここでは「管理サーバ」というよりも、「扉制御装置」というべきものである。
【0043】
しかして、上位のサーバ4Aは、全国の建物に居住する住民の新規登録を対象にする広域のクラウドサーバであり、一方、下位のサーバ4Bは、都道府県の各地域の各建物にそれぞれ単数又は複数個設置された地域限定のクラウドサーバである。付言すると、前記下位のサーバ4Bは、一つ又は複数の集合住宅又はその敷地内に一個設置するのが望ましい。
【0044】
図6は管理サーバ4の制御図なので、ここでは段階的に説明する。Step1は、上位の管理サーバ4Aから上位のサーバの位置を特定する特定情報(位置情報)を住民端末5に送信し、住民端末5は前記特定情報を受信する。
【0045】
周知の如く、電子メールはインターネットを通じてメッセージのやり取りをする仕組みであり、メールアドレス、SMTPサーバ(送信サーバ)、POPサーバ(受信サーバ)等により、電子メールの送受信が実行される。
【0046】
Step2は、住民端末5に入力された会員情報を上位の管理サーバ4Aが受信する。
図3を参照に説明したように、会員は物件情報(建物名+部屋番号)、氏名、生年月日、住民端末(会員端末)5の固有の電話番号、メールアドレス等の住民の氏名及び住所を特定する特定情報aを入力する。実施形態では、ネットワークを利用する権利である「アカウント」には、会員(ユーザー)を識別するために、少なくともメールアドレスと共にパスワードを入力するのが望ましい。
【0047】
Step3は、上位の管理サーバ4Aから住民端末5に会員登録が完了したことを通知する(
図4参照)。
【0048】
Step4は、その後、上位の管理サーバ4Aは住民端末5から電子メールを受信する。実施形態では、従来の特許文献1(特許第6777955号公報の請求項1をご参照)の如く、宅配業者端末から荷物特定情報を受けるのではなく、住民端末5から電子メールを利用して荷物特定情報、配達状況、配達希望日時、配達伝票番号等の宅配物に関する直近(例えば配達可能な期間)の荷物情報をもらう。付言すると、荷物情報は、会員端末5が宅配業者端末6から貰った最新の情報であり、かつ、管理端末4は前記最新の情報を前記会員端末5から電子メールを介してもらう。前記の場合に於いて、前記電子メール最新の情報の中には、配達伝票番号の他に、会員の配達日並びに配達時間帯が含まれているのが望ましい。
【0049】
なお、会員に対する「きめ細かなサービス」を問題にする必要がないのであれば、前記従来の特許文献1と同様に、単純に管理サーバ4は宅配業者端末6から荷物特定情報を受け取っても良い。
【0050】
したがって、住民端末5は宅配業者端末6から前記荷物特定情報を受けたとき、住民端末5は可及的速やか前記宅配物に関する直近の荷物情報を上位の管理サーバ4Aに送信するのが望ましい。前記送信の場合に於いて、会員は荷物情報のみならず、配達希望日、時間帯等の希望情報も一緒に送信するのが望ましい。
【0051】
Step5は、上位の管理サーバ4Aが自己の記憶部に前記会員情報及び会員メール情報を記録した後、望ましくは、Step4で住民端末5から宅配物に関する直近の荷物情報をもらった時(受信した際)、特別な事情が発生しない限り、直ちに前記住民端末5の識別情報(物件UUID+部屋ID)と前記会員メール情報に含まれている荷物情報(例えば伝票番号)とを紐付け、これにより該特定された下位の管理サーバ4Bに対してネットワークを介して前記紐付け情報を3日以内に送信する(ここでは「直近の荷物情報」という)。
【0052】
次に、
図7を参照にして上位の管理サーバ4Aの構成を説明する。上位の管理サーバ4Aは、通信部31、各種の情報を登録する登録手段32、各種の情報を記憶する記憶部33、計時部34、住民端末5の識別情報(物件UUID+部屋ID)と会員メール情報に含まれている荷物情報(例えば伝票番号)とを紐付ける紐付け部35、各種の情報を送信する情報送信指示部36、前記各部を制御するサーバ制御部37等を備えている。なお、特に図示しないが、その他、認証部、電源部等を有する。
【0053】
送信及び受信機能を有する通信部31、普通一般にプログラムを格納することや各種の情報を記憶する記憶部33、時間を計測する計時部34等の機能は周知技術なので、詳細な説明は割愛する。ここでは実施形態に対応して記憶部33に格納されている複数の情報について、簡単に説明する。
【0054】
実施形態の記憶部33は、会員の氏名・物件情報・電話番号を含む会員管理テーブル33aと、会員のメールアドレス・該メールアドレスに記載されている荷物情報や希望情報を含む会員メール管理ボックス33bと、下位の管理サーバテーブル33cと、前記下位の管理サーバテーブル33cに対して直近の紐付け情報を送信するための時間あるいは期間についていの条件33d等が格納されている。
図8は、前記会員管理テーブル33aの会員情報と、前記会員メール管理ボックス33bのメール情報と、前記下位の管理サーバテーブル33cのサーバ情報が互いに関連性を有することを概略的に示したものである。なお、前記会員情報とメール情報とサーバ情報の紐付けは、図示しないプログラムに基づきサーバ制御部37が自動的に実行する。
【実施例0055】
ここでは第1実施形態の制御装置3に他の制御機能を付加した制御装置3Aについて簡単に説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明を割愛する。また
図9に示す扉解錠システムX2を、本発明の第2実施形態とする。この扉解錠システムX1の発明の目的は、集合住宅のエントランスから共用部の通路に入った配達員Mがエレベーター(籠)に乗って、宅配物Dを、例えば4階、5階等の荷受取人の部屋(会員)に届ける場合のセキャリティと利便性を向上させることである。
【0056】
図9に於いて、28はエレベーターの情報で、このエレベーターの情報は部屋番号毎に住民が使用するエントランスと昇降動するエレベーターの籠が関連付けられた状態で予め記憶部23に格納されている。仮想線で示す符号40は、エレベーター付近の外壁面やエレベーターの籠の内壁面である。前記外壁面又は内壁面の適宜箇所にエレベーターの入力装置7aが設置されている。入力装置7aは、例えば宅配物Dの識別情報bを配達員から取得する。
【0057】
したがって、宅配物の識別情報bの一例である伝票番号を取得することができのるであれば、入力装置7aは、無線、バーコードリーダー、テンキー装置、音声装置等なんでも良い。そこで入力装置7aが取得した前記識別情報bは制御装置3Aに送信される。前述した如く、制御装置3Aは認証手段24を有するので、認証が成立した場合には、停止階要求手段29からエレベーターの駆動制御装置41に向かって停止階制御信号cが出力される。前記駆動制御装置41は、前記停止階制御信号cを受信すると、籠を指定された階に停止させる。なお、制御装置3Aには、例えば1階のフロアーに籠を呼び出す機能を設けても良い。
【0058】
以上のように、本発明では、構成要素の制御装置(3、3A)に多様な機能を持たせ、認証及び開閉装置の解錠の迅速性、システムの構築の容易化、メンテナンス作業の容易化、配達員の労力の軽減化等を図ると共に、実施形態如何によっては、会員に対して「きめ細かなサービス」を提供することができる。
本発明は、建築物のエントランス入口に設置されたオートロックの自動ドアを開くための開錠装置を制御する扉解錠システム及びその制御装置の分野で利用することができる。