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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116203
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】高所作業車の安全装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20230815BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
B66F9/24 F
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018866
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】大葉 孝明
(72)【発明者】
【氏名】狩野 翔
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AB04
3F333AB05
3F333FA09
3F333FA20
3F333FA21
3F333FD07
3F333FE04
(57)【要約】
【課題】高所作業車が傾斜路面に進入して大きく傾くことを未然に防ぐことが可能な高所作業車の安全装置を提供する。
【解決手段】走行体2の走行速度を検出する走行速度検出器62と、走行中の走行体から走行方向前方に所定距離離れた位置における走行予定路面の路面高さを所定時間おきに順次検出する路面高さ検出器61と、走行速度検出器62により検出された走行速度の検出値と、路面高さ検出器61により所定時間おきに検出された路面高さの複数の検出値とに基づき、走行予定路面の傾斜角度を求める傾斜角度算定部52とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な走行体と、作業台を支持して前記走行体に設けられ、前記作業台を前記走行体に対し昇降させる昇降装置と、を有する高所作業車の安全装置であって、
前記走行体の走行方向前方の走行予定路面の傾斜角度を検出する路面傾斜検出装置と、
前記路面傾斜検出装置により検出された前記走行予定路面の傾斜角度に応じて、前記走行体および/または前記昇降装置の作動を規制可能な作動規制装置と、を備えて構成されることを特徴とする高所作業車の安全装置。
【請求項2】
前記走行体の走行速度を検出する走行速度検出装置と、
走行中の前記走行体から走行方向前方に所定距離離れた位置における前記走行予定路面の路面高さを所定時間おきに順次検出する路面高さ検出装置と、を備え、
前記走行速度検出装置により検出された前記走行速度の検出値と、前記路面高さ検出装置により所定時間おきに検出された前記路面高さの複数の検出値とに基づき、前記路面傾斜検出装置が前記走行予定路面の傾斜角度を求めることを特徴とする請求項1に記載の高所作業車の安全装置。
【請求項3】
前記作動規制装置により前記走行体および/または前記昇降装置の作動が規制された後、前記走行体を作動規制された走行方向とは逆の向きに走行させる操作が行われた場合は、前記作動規制装置による規制を解除することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の高所作業車の安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業車の安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昇降装置により作業台を垂直に上昇させた状態で走行可能な高所作業車が知られている。このような高所作業車は、作業台を上昇させた状態で走行しているときに、坂道等の傾斜路面や高低差のある段差部に進入すると、車体が大きく傾く虞がある。車体が大きく傾いた状態で走行を続けると転倒する虞があるので、このような高所作業車には、転倒を防止するための安全装置が設けられている。例えば、車体が一定以上傾くと走行を停止させるなどの走行規制を実行する安全装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような安全装置は、例えば、車体に取り付けた傾斜角検出器により車体の傾斜角を検出するとともに、この傾斜角が予め定めた基準角を上回ったときに走行規制を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-281295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の安全装置は、水平路面を走行中の高所作業車が段差部等に進入して車体が大きく傾いたような場合に、走行を強制停止するなどの走行規制を行うことにより高所作業車の転倒防止を図るものである。これに対し、高所作業車がこれから走行しようとする路面(「走行予定路面」と称する)上に段差部等があることを事前に察知し、高所作業車が段差部等に進入すること自体を未然に防ぐようにすれば、安全性が高まり有用である。従来、高所作業車にレーザセンサを取り付け、このレーザセンサを利用して走行予定路面上に段差部が存在することを事前に察知する技術は知られている。この技術では、例えば、高所作業車の走行中、走行予定路面にレーザ光を照射して走行予定路面の高さを所定時間おきに順次検出し、その検出値が所定の閾値を越えて大きく変化した場合に走行予定路面上に段差部が存在すると判断する。このような技術によれば、段差部を事前に察知することはできるが、傾斜路面の場合、段差部に比較して高さの変化量(水平路面から傾斜路面に移る際の高さの変化量)が微少(閾値未満)となることが多いため、事前に察知することができない場合がある。そのため、高所作業車が傾斜路面に進入して大きく傾くことを未然に防ぐことが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高所作業車が傾斜路面に進入して大きく傾くことを未然に防ぐことが可能な高所作業車の安全装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、走行可能な走行体と、作業台を支持して前記走行体に設けられ、前記作業台を前記走行体に対し昇降させる昇降装置と、を有する高所作業車の安全装置であって、前記走行体の走行方向前方の走行予定路面の傾斜角度を検出する路面傾斜検出装置(例えば、実施形態における傾斜角度算定部52)と、前記路面傾斜検出装置により検出された前記走行予定路面の傾斜角度に応じて、前記走行体および/または前記昇降装置の作動を規制可能な作動規制装置(例えば、実施形態における作動制御部51)と、を備えて構成される。
【0007】
本発明に係る高所作業車の安全装置において、前記走行体の走行速度を検出する走行速度検出装置(例えば、実施形態における走行速度検出器62)と、走行中の前記走行体から走行方向前方に所定距離離れた位置における前記走行予定路面の路面高さを所定時間おきに順次検出する路面高さ検出装置(例えば、実施形態における路面高さ検出器61)と、を備え、前記走行速度検出装置により検出された前記走行速度の検出値と、前記路面高さ検出装置により所定時間おきに検出された前記路面高さの複数の検出値とに基づき、前記路面傾斜検出装置が前記走行予定路面の傾斜角度を求めることが好ましい。
【0008】
本発明に係る高所作業車の安全装置において、前記作動規制装置により前記走行体および/または前記昇降装置の作動が規制された後、前記走行体を作動規制された走行方向とは逆の向きに走行させる操作が行われた場合は、前記作動規制装置による規制を解除することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る高所作業車の安全装置によれば、走行体の走行方向前方の走行予定路面の傾斜角度を路面傾斜検出装置により検出するので、検出した傾斜角度に応じて、走行予定路面上に傾斜路面が存在するか否かを事前に察知することができる。また、検出した傾斜角度に応じて、走行体および/または昇降装置の作動を作動規制装置により規制可能であるので、所定角度以上の傾斜角度を有する傾斜路面の存在を察知した場合は、走行体を停止させたり、昇降装置の伸長作動を禁止したりすることができる。そのため、高所作業車が傾斜路面に進入して大きく傾くことを未然に防ぐことが可能となる。
【0010】
本発明に係る高所作業車の安全装置において、路面傾斜検出装置が、走行体の走行速度を検出する走行速度検出装置により検出した走行速度の検出値と、走行中の走行体から走行方向前方に所定距離離れた位置における走行予定路面の路面高さを所定時間おきに順次検出する路面高さ検出装置により検出した路面高さの複数の検出値とに基づき、走行予定路面の傾斜角度を求めるように構成することで、走行中において適宜、走行予定路面の傾斜角度を求めることが可能となる。
【0011】
本発明に係る高所作業車の安全装置において、作動規制装置による作動規制を行った後、走行体を作動規制された走行方向とは逆の向きに走行させる操作が行われた場合は作動規制装置による作動規制を解除するように構成することで、高所作業車の傾斜路面への進入を回避しつつ、作動規制を解除することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る高所作業車の安全装置を備えた高所作業車の側面図であって作業台を格納した状態を示す図である。
図2】上記高所作業車の側面図であって作業台を上昇させた状態を示す図である。
図3】上記安全装置の機能的構成を示すブロック図である。
図4】上記高所作業車の走行体に設けられる路面高さ検出器の構成および作用を例示する説明図である。
図5】上記路面高さ検出器により路面高さを検出しながら走行する上記走行体の移動過程を例示する説明図である。
図6】傾斜路面の傾斜角度に関する説明図である。
図7】上記傾斜角度の算出過程に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について上記図面を参照して説明する。図1および図2には、本発明を適用する高所作業車1を示しており、図3には、高所作業車1が備えた安全装置
の機能的構成を示している。まず、これらの図を参照して高所作業車1の全体構成について概要説明する。なお、以降の説明において、図1等における矢印Fの方向を前方とする。
【0014】
高所作業車1は、ホイール式の走行体2と、走行体2に設けられた伸縮マスト式の昇降装置4とを主体として構成されており、昇降装置4上には作業者搭乗用の作業台5が取り付けられている。走行体2は、前後の左右両側部に前後輪3a,3bを有し、前輪3aを左右方向に操舵し、また、走行モータ30(図3を参照)により後輪3bを駆動させて走行可能に構成されている。
【0015】
昇降装置4は、複数のマスト部材6a~6eを伸縮自在に入れ子式に組み合わせて構成された伸縮マスト6と、伸縮マスト6内に配置された伸縮機構(図示略)とを有している。伸縮機構は、例えば、複数の油圧式の昇降シリンダ40(図3を参照)と、複数のマスト部材同士を連結するチェーンやワイヤ等の線状部材(図示略)等を有して構成される。昇降装置4は、油圧ポンプP(図3を参照)からコントロールバルブCV(図3を参照)を介して昇降シリンダ40に供給される作動油により油圧昇降シリンダ40が伸縮作動することによって、伸縮マスト6を上下方向に伸縮可能に構成されている。伸縮マスト6は、1段目のマスト部材6aの下端部が走行体2に固定され、5段目のマスト部材6eに作業台5が固定されている。マスト部材6eおよび作業台5の床面には、平面視で略U字形の形状をなした手摺7が、作業台5に搭乗した作業者を囲むように取り付けられている。
【0016】
作業台5には操作装置8が設けられている。この操作装置8は、前後に傾動可能に設けられて走行体2を走行させる操作を行う走行操作レバー81(図3を参照)と、前後に傾動可能に設けられて昇降装置4の伸縮マスト6を伸縮させて作業台5を昇降させる操作を行う昇降操作レバー82(図3を参照)と、左右に回動可能に設けられて前輪3aを転舵させる操作を行う操舵ダイヤル(図示略)とを備えている。
【0017】
走行操作レバー81が操作されると、その操作方向および操作量に応じた走行操作信号がコントローラ50(図3を参照)に入力される。コントローラ50の作動制御部51は、入力された走行操作信号に応じて走行モータ30の回転方向および回転速度を制御し走行体2を走行させる制御を行う。昇降操作レバー82が操作されると、その操作方向および操作量に応じた昇降操作信号がコントローラ50に入力される。コントローラ50の作動制御部51は、入力された昇降操作信号に応じて、昇降シリンダ40への作動油供給をコントロールバルブCVにより制御し伸縮マスト6を伸縮作動させる制御を行う。
【0018】
作業台5に搭乗した作業者が操作装置8を操作することにより、昇降シリンダ40を作動させて伸縮マスト6を伸縮させることにより、作業台5を垂直昇降させて高所作業を行うことができる。また、操作装置8を操作することにより、後輪3bを駆動させるとともに前輪3aを操舵することができ、作業台5を上昇させた状態でも高所作業車1(走行体2)を走行させることができる。
【0019】
次に、高所作業車1に設けられた安全装置の構成および作用について、図4図7を追加参照して説明する。なお、図4および図5に示す高所作業車1は、走行体2のみを簡略化して図示したものである。安全装置は、図3に示すコントローラ50、路面高さ検出器61および走行速度検出器62を主体に構成される。
【0020】
路面高さ検出器61は、例えばTOFレーザセンサを有して構成され、図4に示すように、走行体2の前端部に取り付けられる(後端部にも取り付けられているが図示略)。路面高さ検出器61は、走行体2の走行中において、走行体2から走行方向前方に所定距離Lだけ離れた位置における走行予定路面RSにレーザ光(パルスレーザ光)を所定時間お
きに断続的に照射し(例えば、0.01秒おきとするが時間間隔は適宜設定可能であり一定の時間間隔でなくてもよい)、当該レーザ光照射位置から反射して戻るレーザ光をその都度受光する。そして、レーザ光が射出されてから戻るまでに要した時間に基づき、路面高さ検出器61からレーザ光照射位置までの距離を測定し、その距離測定値に基づきレーザ光照射位置における走行予定路面RSの高さを検出する。例えば、距離測定値と路面高さ検出値との対応関係を予め求めておき、その対応関係に基づき、距離測定値から路面高さ検出値を算定する。このようにして路面高さ検出器61は、路面高さ検出値を所定時間おきに算定する。路面高さ検出器61は、所定時間おきに路面高さ検出値を算定するとその都度、路面高さ検出値に応じた路面高さ検出信号をコントローラ50に出力する。なお、以下では、レーザ光照射位置における走行予定路面RSが水平路面である場合に検出される路面高さを基準路面高さと称する。
【0021】
走行速度検出器62は、例えば走行モータの回転速度を所定時間おき(例えば、0.1秒おきとするが時間間隔は適宜設定可能であり一定の時間間隔でなくてもよい)に検出し、その回転速度検出値に基づき走行体2(高所作業車1)の走行速度を算出する。走行速度検出器62は、走行体2の走行速度を算出するとその都度、その走行速度算出値に応じた走行速度検出信号をコントローラ50に出力する。
【0022】
コントローラ50の傾斜角度算定部52は、路面高さ検出器61からの路面高さ検出信号(路面高さ検出値)と、走行速度検出器62からの走行速度検出信号(走行速度算出値)とに基づき、走行予定路面RSの傾斜角度(次述する第2走行予定路面RS2の傾斜角度)を算定する。以下、その算定手順の一例について説明する。本例では、図5に示すように、前方Fに進む走行体2(高所作業車1)の走行路面RSが、水平路面である第1走行予定路面RS1から下り勾配の傾斜路面である第2走行予定路面RS2へと切り替わる場合を例にとって説明する。この場合、走行体2の走行中における路面高さ検出器61のレーザ光照射位置が、時間経過に伴って第1走行予定路面RS1上から第2走行予定路面RS2上へと移る。ここで、第2走行予定路面RS2の傾斜角度とは、図6に示すように、水平路面である第1走行予定路面RS1と傾斜路面である第2走行予定路面RS2とのなす角度(図中θ1で示す角度)をいう。
【0023】
図7には、路面高さ検出器61により、時間Δt(以下「単位時間Δt」と称する)(単位:秒)おきに検出された複数個(本例では4個)の路面高さ検出値(単位:ミリメートル)を示す点(プロットP1~P4)を描画したグラフが示されている。グラフ上で横に延びる点線DLは、基準路面高さに対応する位置を示している。グラフ上に例示したプロットP1は、路面高さ検出器61のレーザ光照射位置が第1走行予定路面RS1上であるときの路面高さ検出値に対応し、プロットP2は、レーザ光照射位置が第1走行予定路面RS1と第2走行予定路面RS2との境界位置であるときの路面高さ検出値に対応する。また、プロットP3とプロットP4はそれぞれ、レーザ光照射位置が第2走行予定路面RS2上であるときの路面高さ検出値に対応する。
【0024】
コントローラ50の傾斜角度算定部52は、路面高さ検出器61からの路面高さ検出信号(路面高さ検出値)より、例えばプロットP2の路面高さ検出値とプロットP3の路面高さ検出値との差分値ΔHを求める。この差分値ΔHは、単位時間Δtあたりの路面高さ検出値の変化量に相当するとともに、プロットP2に対応するレーザ光照射位置における第2走行予定路面RS2の高さと、プロットP3に対応するレーザ光照射位置における第2走行予定路面RS2の高さとの差に相当する。
【0025】
また、傾斜角度算定部52は、走行速度検出器62からの走行速度検出信号(走行速度算出値(Vtとする))と単位時間Δtとにより、走行体2の単位時間Δtあたりの走行移動距離ΔXを求める(ΔX=Δt×Vt)。そして、傾斜角度算定部52は、求めた差
分値ΔH(単位時間Δtあたりの路面高さ検出値の変化量)と単位時間Δtあたりの走行移動距離ΔXとに基づき、逆正接関数を利用して傾斜路面RS1の傾斜角度θ1を算定する(θ1=arctan(ΔH/ΔX))。以上の手順により、傾斜角度算定部52は、第2走行予定路面RS2の傾斜角度θ1を算定することができる。なお、本例では、2個の路面高さ検出値(プロットP2の路面高さ検出値とプロットP3の路面高さ検出値)を用いて傾斜角度θ1を算定しているが、3個以上の路面高さ検出値を用いて傾斜角度θ1を算定してもよい。また、複数個(例えば、5個とするが適宜設定可)の路面高さ検出値が等差級数的に連続して増加あるいは減少している場合のみ、傾斜角度θ1を算定するようにしてもよい。
【0026】
コントローラ50の作動制御部51は、例えば傾斜角度算定部52により算定された傾斜角度θ1が所定角度(例えば、2.0°とするが適宜設定可)以上の場合には、第2走行予定路面RS2を傾斜路面と判定し、走行体2および/または昇降装置4の作動を規制する。例えば、作動制御部51は、走行操作レバー81の操作にかかわらず、走行モータ30を停止させて走行体2を停止させる制御を行う。また、作動制御部51は、昇降操作レバー82の操作にかかわらず、昇降シリンダ40を作動停止させて昇降装置4(伸縮マスト6)の伸縮作動を停止させる制御を行う。なお、伸縮マスト6を縮小させる操作が行われている場合は、その操作による伸縮マスト6の縮小作動を許容してもよい。このように、傾斜角度算定部52により算定された傾斜角度θ1に応じて、走行体2および/または昇降装置4の作動を規制することにより、走行体2(高所作業車1)が傾斜路面に進入して大きく傾くことを未然に防ぐことができる。また、高所作業車1がその登坂能力を超えるような傾斜角度の傾斜路面へ進入して進行に支障をきたすことを防止することもできる。
【0027】
また、作動制御部51は、走行体2および/または昇降装置4の作動規制後、走行操作レバー81により走行体2を第2走行予定路面RS2から離れる方向(後方)に走行させる操作が行われた場合、作動規制を解除するようになっている。これにより、高所作業車1の傾斜路面への進入を回避しながら、作動規制を解除することができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上述の実施形態では、路面高さ検出装置(路面高さ検出器)として、レーザ光によるTOFセンサを用いているが、超音波によるTOFセンサなど他の測距センサを用いてもよい。また、走行予定路面の画像を取得する撮像カメラを設け、画像認識により走行予定路面の傾斜角度を検出するようにしてもよい。
【0029】
また、上述の実施形態では、本発明を適用する高所作業車として、ホイール式で伸縮マスト式の高所作業車を例示して説明したが、高所作業車としてはこれに限定されるものではなく、例えば、クローラ式で伸縮マスト式の高所作業車やホイール式またはクローラ式でシザースリンク式の高所作業車であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 高所作業車
2 走行体
4 昇降装置
5 作業台
6 伸縮マスト
8 操作装置
50 コントローラ
51 作動制御部(作動規制装置)
52 傾斜角度算定部(路面傾斜検出装置)
61 路面高さ検出器(路面高さ検出装置)
62 走行速度検出器(走行速度検出装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7