(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116264
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】エアコン清掃方法
(51)【国際特許分類】
F28G 9/00 20060101AFI20230815BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
F28G9/00 Z
B08B3/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018968
(22)【出願日】2022-02-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】522054651
【氏名又は名称】相澤 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 勝
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201AB52
3B201AB53
3B201BB22
3B201BB92
3B201CD22
(57)【要約】
【課題】エアコン洗浄作業時における操作性及び作業性を向上し、かつ作業者の安全を確保する。
【解決手段】
袋部4と、給液ノズル具挿通孔5と、排液孔6と、紐部材挿通部9と、紐部材10と、少なくとも1つの緊締具11とを有する洗浄ユニット1を用いて、天井設置型のエアコンの洗浄を行うエアコン清掃方法であって、被せ工程と、紐部材挿通部9に挿通された紐部材10を緊締する緊締工程と、ノズル近傍領域24と給液ノズル具19とを連結する挿通連結工程と、ノズル近傍領域24の周辺において袋部4の径方向外側から内側に向かって突出する突出部26を形成しつつ、先端ノズル20の洗浄液の噴出方向を洗浄対象領域へ臨むようにセットする噴出セット工程と、当該洗浄対象領域の洗浄を行う洗浄工程と、使用済の洗浄液を袋部4の外部へと排出する排液工程とを有するエアコン清掃方法。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が開口し他端が略一直線状の閉止端とされた、透過性素材の袋部と、前記袋部の前記閉止端のうち、前記略一直線に沿った一方側端部に設けられた給液ノズル具挿通孔と、前記袋部の前記閉止端のうち、前記略一直線に沿った他方側端部に設けられた排液孔と、前記袋部の開口縁部に沿う周方向の全周に設けられた紐部材挿通部と、前記紐部材挿通部に挿通された、略環状の紐部材と、前記袋部の外部に設けられ、前記紐部材挿通部に挿通された前記紐部材を緊締可能な少なくとも1つの緊締具と、を有する洗浄ユニットを用いて、天井設置型のエアコンの洗浄を行うエアコン清掃方法であって、
前記エアコンの略長方形の下部外郭の周方向全周をその下方から覆うように、前記一端を上方で前記他端を下方とした姿勢の前記袋部の開口部を被せる被せ工程と、
前記被せ工程で前記開口部が被せられた状態で、前記紐部材挿通部に挿通された前記紐部材を前記緊締具を用いて緊締する緊締工程と、
前記緊締工程で前記紐部材が緊締された状態で垂下されている前記袋部の下端の前記一方側端部に位置している前記閉止端の前記給液ノズル具挿通孔に対して、所定の洗浄液を噴出可能な給液ノズル具の先端ノズルを挿通しかつその挿通部分をシールすることにより、前記先端ノズルを前記袋部の内部に現出させるとともに前記給液ノズル具の手前側の手動把持部を前記袋部の外部に露出させた姿勢にて、前記袋部のうち前記給液ノズル具挿通孔の周辺に位置するノズル近傍領域と前記給液ノズル具とを連結する挿通連結工程と、
前記挿通連結工程で前記袋部の前記ノズル近傍領域に連結された状態の前記給液ノズル具の前記手動把持部を上方かつ前記袋部の径方向内側へ向かって持ち上げることにより、前記袋部のうち前記ノズル近傍領域の周辺において当該袋部の径方向外側から内側に向かって突出する突出部を形成しつつ、当該突出部から前記袋部の内部へと突き出る前記先端ノズルの前記洗浄液の噴出方向を、前記エアコンの前記下部外郭のうちの洗浄対象領域へ臨むようにセットする噴出セット工程と、
前記噴出セット工程で前記噴出方向がセットされた前記先端ノズルから前記洗浄液を噴出させて前記洗浄対象領域へ衝突させ、当該洗浄対象領域の洗浄を行う洗浄工程と、
前記突出部が前記袋部の径方向内側に向かって突出した状態で、前記袋部の前記閉止端において前記一方側端部から前記他方側端部への下り傾斜を形成し、前記洗浄工程にて生じ前記袋部の内部にて流下する使用済の前記洗浄液を当該他方側端部へと流下させて集水し、前記排液孔を介し当該袋部の外部へと排出する排液工程と、
を有することを特徴とするエアコン清掃方法。
【請求項2】
請求項1記載のエアコン清掃方法において、
前記緊締具は、
前記紐部材を構成する前記略環状のうち一部分を一端から挿通させるとともに他端から露出させる筒部と、
前記筒部の前記他端側部分を折り返すように屈曲させた状態で当該他端側部分以外の部分に係合させて保持可能な保持部と、
を有し、
前記緊締工程では、
前記紐部材のうち前記筒部の前記他端から露出した露出部分を引っ張って当該紐部材のうち前記紐部材挿通部に挿通された部分に張力を付与した後、
前記紐部材の前記一部分を挿通させた前記筒部の前記他端側部分を屈曲させてその屈曲させた前記他端側部分を前記他端側部分以外の部分に対し前記保持部により保持する
ことを特徴とするエアコン清掃方法。
【請求項3】
請求項2記載のエアコン清掃方法において、
前記洗浄ユニットの前記紐部材挿通部には、さらに、
略環状の弾性部材が前記紐部材と略沿いつつ延設されており、
前記被せ工程では、
前記弾性部材の弾性力を前記エアコンの前記下部外郭の周方向全周に作用させつつ、当該下部外郭の周方向全周に当該袋部の前記開口部を被せる
ことを特徴とするエアコン清掃方法。
【請求項4】
請求項3記載のエアコン清掃方法において、
前記被せ工程では、
前記エアコンの前記下部外郭の略長方形において互いに対向する第1辺及び第2辺のうち、前記第1辺の中点の直下に対応する第1位置に前記給液ノズル具挿通孔が位置し、かつ前記第2辺の中点の直下に対応する第2位置に前記排液孔が位置するように、前記開口部を被せる
ことを特徴とするエアコン清掃方法。
【請求項5】
請求項4記載のエアコン清掃方法において、
前記洗浄ユニットにおいて、
前記少なくとも1つの緊締具は、
前記紐部材挿通部の近傍下部のうち前記閉止端の前記一方側端部に対応する第1部位に設けられる第1緊締具と、前記紐部材挿通部の近傍下部のうち前記閉止端の前記他方側端部に対応する第2部位に設けられる第2緊締具と、を含み、
前記緊締工程では、
前記被せ工程で前記第1位置に配置された前記給液ノズル具挿通孔の略上方における前記第1緊締具を用いた前記紐部材の緊締、及び、前記被せ工程で前記第2位置に配置された前記排液孔の略上方における前記第2緊締具を用いた前記紐部材の緊締、のうち少なくとも一方を行う
ことを特徴とするエアコン清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作性、作業性及び安全性の高い、エアコン清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内機と室外機に分離した天井埋め込み型あるいは天井吊り下げ型の、業務用等のエアコンの熱交換器アルミフィンを高圧洗浄機で薬液を噴射して洗浄する際に、汚水が周囲に飛散しないようにエアコン下部に取り付ける洗浄カバーが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の
図1、
図5及び段落[0010]~[0011]等には、エアコン15に装着するための開口部3にゴム紐2を有し、またカバー本体1の下部に排水チューブ10が備わったポリエチレン製のエアコン洗浄用カバーが記載されている。また、該エアコン洗浄用カバーを用いた洗浄時には、作業者が左手でゴム紐2を引っ張って隙間を作り、その隙間から右手でノズルを差し込むことについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のエアコン洗浄用カバーでは、ノズルから噴出した洗浄液が隙間から作業者側に飛散する可能性があるため、洗浄液中に化学的に有害成分がある場合等において作業者の安全確保が不十分である。また、いちいち手動でゴム紐をひっぱって隙間を作らないとノズルを差し込めないため、操作性や作業性が非常に低下するものであった。
【0005】
本発明の目的は、エアコン洗浄作業時における操作性及び作業性を向上し、かつ作業者の安全を確保する、エアコン清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、一端が開口し他端が略一直線状の閉止端とされた、透過性素材の袋部と、前記袋部の前記閉止端のうち、前記略一直線に沿った一方側端部に設けられた給液ノズル具挿通孔と、前記袋部の前記閉止端のうち、前記略一直線に沿った他方側端部に設けられた排液孔と、前記袋部の開口縁部に沿う周方向の全周に設けられた紐部材挿通部と、前記紐部材挿通部に挿通された、略環状の紐部材と、前記袋部の外部に設けられ、前記紐部材挿通部に挿通された前記紐部材を緊締可能な少なくとも1つの緊締具と、を有する洗浄ユニットを用いて、天井設置型のエアコンの洗浄を行うエアコン清掃方法であって、前記エアコンの略長方形の下部外郭の周方向全周をその下方から覆うように、前記一端を上方で前記他端を下方とした姿勢の前記袋部の開口部を被せる被せ工程と、前記被せ工程で前記開口部が被せられた状態で、前記紐部材挿通部に挿通された前記紐部材を前記緊締具を用いて緊締する緊締工程と、前記緊締工程で前記紐部材が緊締された状態で垂下されている前記袋部の下端の前記一方側端部に位置している前記閉止端の前記給液ノズル具挿通孔に対して、所定の洗浄液を噴出可能な給液ノズル具の先端ノズルを挿通しかつその挿通部分をシールすることにより、前記先端ノズルを前記袋部の内部に現出させるとともに前記給液ノズル具の手前側の手動把持部を前記袋部の外部に露出させた姿勢にて、前記袋部のうち前記給液ノズル具挿通孔の周辺に位置するノズル近傍領域と前記給液ノズル具とを連結する挿通連結工程と、前記挿通連結工程で前記袋部の前記ノズル近傍領域に連結された状態の前記給液ノズル具の前記手動把持部を上方かつ前記袋部の径方向内側へ向かって持ち上げることにより、前記袋部のうち前記ノズル近傍領域の周辺において当該袋部の径方向外側から内側に向かって突出する突出部を形成しつつ、当該突出部から前記袋部の内部へと突き出る前記先端ノズルの前記洗浄液の噴出方向を、前記エアコンの前記下部外郭のうちの洗浄対象領域へ臨むようにセットする噴出セット工程と、前記噴出セット工程で前記噴出方向がセットされた前記先端ノズルから前記洗浄液を噴出させて前記洗浄対象領域へ衝突させ、当該洗浄対象領域の洗浄を行う洗浄工程と、前記突出部が前記袋部の径方向内側に向かって突出した状態で、前記袋部の前記閉止端において前記一方側端部から前記他方側端部への下り傾斜を形成し、前記洗浄工程にて生じ前記袋部の内部にて流下する使用済の前記洗浄液を当該他方側端部へと流下させて集水し、前記排液孔を介し当該袋部の外部へと排出する排液工程と、を有するエアコン清掃方法であることを特徴としている。
【0007】
本願発明においては、エアコンの清掃を行う作業者は、一端が開口し他端が閉止端である袋部を備えた洗浄ユニットを用いる。
【0008】
まず被せ工程では、作業者は、袋部を、一端側の開口部を上、他端側の閉止端を下、にした姿勢にし、上側の開口部を、エアコンの略長方形の下部外郭に下から被せ、その外郭の周方向全周を覆う。これにより、袋部は、略長方形のエアコン下部外郭に上部が嵌め込まれ、当該上部が略四角筒状になりつつ下部は垂れ下がった状態となる。
【0009】
次に緊締工程で、作業者は、袋部の開口縁部に沿う周方向の全周にある紐部材挿通部に予め挿通されている略環状の紐部材を、所定の緊締具を用いて緊締する。これにより、上記のようにエアコン下部外郭に被せられた状態の袋部の上部と、当該エアコン下部外郭とが密着し、それらの間の隙間がなくなってシールされる。
【0010】
その後、挿通連結工程で、作業者は、上記のように垂れ下がっている袋部の下端に位置する略一直線状の閉止端のうち一方側端部にある給液ノズル具挿通孔に、給液ノズル具のうち先端ノズルを挿通する。この結果、給液ノズル具は、先端ノズルが袋部の内部に位置するとともに手前側の手動把持部は袋部の外部に露出した姿勢となる。この状態で、作業者が、給液ノズル具挿通孔と、それに対する給液ノズル具の挿通部分との間を適宜にシールすることで、袋部のノズル近傍領域と給液ノズル具とが連結される。
【0011】
そして、噴出セット工程で、作業者は、上記の連結状態のままで給液ノズル具の手動把持部を把持して手動把持部を上方かつ袋部内側へ向かって持ち上げることで、上述のように略四角筒状に垂れ下がっている袋部の側壁を内部空間側へ押し込む。これにより、袋部の側壁のうちノズル近傍領域の周辺において、手動把持部を押し込んだ作業者の腕のまわりに、袋部の外側から内側に向かって突出する突出部が形成される。作業者は、上記のように袋部側壁を押し込みつつ持ち上げた給液ノズル具の先端ノズルの先を所望の向きにセットし、これによって先端ノズルからの洗浄液の噴出方向を、エアコン下部外郭のうち洗浄しようと意図する洗浄対象領域へと、当該エアコン下部外郭の下方から臨ませる。
【0012】
その後、洗浄工程で、作業者は、給液ノズル具の先端ノズルから洗浄液を噴出させつつ先端ノズルの向きを順次スライドさせるだけで、複数の洗浄対象領域へと順次衝突させて、各洗浄対象領域を連続的に順番に洗浄することができる。これにより、操作性及び作業性を非常に高くすることができる。その際、袋部材は透過性素材で構成されるため、その際の洗浄液の噴出挙動、汚れが落ちる挙動、等を、作業者は視覚的に良好に確認することができる。また例えば、上記突出部の中に作業者の上半身も一緒に貫入させることで、エアコン下部外郭のうち作業者から見てより奥のほうの領域まで先端ノズルを届かせることもできる。
そして、洗浄対象領域に衝突して汚れを落とした使用後の洗浄液は、袋部の内部空間内において貯留されることとなる。その際、上記のように突出部を形成するノズル近傍領域及び給液ノズル具挿通孔は袋部下端の閉止端のうち一方側端部にあり、排液孔が袋部下端の閉止端のうち他方側端部にある。したがって、使用済みの洗浄液は、排液工程において袋部内部かつ上方へと突き出した突出部のまわりには溜まらず直ちに下方の閉止端へと流下し、さらに閉止端に沿って下り勾配となる他方側端部へと流れて排液孔へと導入され、円滑に袋部の外部へと排出される。すなわち、上記のように袋部の内部において、略長方形のエアコン下部外郭の下方へ先端ノズルを入り込ませることができる一方で、作業者の腕や上半身は常に袋部の外にあるため、例えば化学的に人体に悪影響を及ぼす可能性のある成分の洗浄液を用いる場合であっても、洗浄液と作業者との隔絶を確保でき、高い安全性を確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エアコン洗浄作業時における操作性及び作業性を向上し、かつ作業者の安全を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】エアコン清掃時のエアコンの分解工程を説明する概念図である。
【
図2】エアコン清掃時のエアコンの分解工程を説明する概念図である。
【
図3】エアコンの下部外郭に洗浄ユニットを取り付けた状態を表す斜視図である。
【
図4】エアコンの下部外郭に洗浄ユニットを取り付けた状態を表す斜視図である。
【
図10】本実施形態の効果を説明する概念図である。
【
図12】第1緊締具の緊締工程を説明する概念図である。
【
図18】噴出セット工程と洗浄工程とが同時に行われている状態を表す概念図である。
【
図20】洗浄工程における動作例を説明する概念図である。
【
図21】洗浄工程における動作例を説明する概念図である。
【
図22】洗浄工程における動作例を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1、
図2によりエアコン清掃時におけるエアコン100の分解工程を説明する。
図1に示されるエアコン100は、オフィスや店舗等に設置される、天井埋め込み型の業務用エアコン100であり、仮天井101に埋め込まれている。作業者Mはエアコン100を清掃するにあたり、フィルタ、送風ファン、ドレンパン等の構成部品を必要に応じて取り外し、別途清掃する。
図2はエアコン100の構成部品が取り外された状態である。熱交換器の筐体12の上部は仮天井101の上方向にある本天井(図示なし)に取り付けられている。筐体12の内部には、熱交換器(図示なし)が配置されている。作業者Mは熱交換器及び筐体12の内部を含む、所定の洗浄対象を薬液や水などの洗浄液で洗浄する。
【0017】
天井埋め込み型のエアコン100は天井設置型のエアコンの一例であるが、天井吊り下げ型のエアコンであってもかまわない。熱交換器の筐体12はエアコンの下部外郭の一例である。エアコンの下部外郭の形状は長方形であってもよく、正方形であってもかまわない。
図1及び
図2に示す方角は、エアコン清掃時に作業者Mから見た上下方向、前後方向、左右方向であり、これらは互いに直交する。同様の方角が
図3~4、
図8~
図11、
図14~22にも適宜適用される。
【0018】
図3及び
図4に、筐体12の下部に洗浄ユニット1を装着した状態を表す斜視図を示す。なお、
図4は
図3を右方向に少しずらし、袋部4を前後方向に広げて見せた図である。洗浄ユニット1は、エアコン100の清掃時に薬液や汚水等の飛散を防ぐために装着される。エアコン100の下部外郭は長方形以外にも正方形であってもかまわない。
【0019】
洗浄ユニット1は、一端2(この図の上方端部)が開口し他端(この図の下方端部)が前後方向に沿った略一直線状の閉止端3とされた、袋部4と、袋部4の閉止端3のうち、前記略一直線に沿った前方側端部に設けられた給液ノズル具挿通孔5と、袋部4の閉止端3のうち、前記略一直線に沿った後方側端部に設けられた排液孔6とを有する。
【0020】
袋部4は薄手の透過性素材で構成される。前記透過性素材の一例としては、アクリル樹脂、ビニール等が挙げられる。ポリプロピレンを用いると、薬液に対する耐久性が高いため、好ましい。また、PVC(ポリ塩化ビニル)を用いると、透過性が高いため、清掃中にエアコン内部が見やすいので、好ましい。
【0021】
洗浄ユニット1は、袋部4の開口縁部に沿う周方向の全周に設けられた紐部材挿通部9と、紐部材挿通部9に挿通された、略環状の紐部材10と、袋部4の外部に設けられ、紐部材挿通部9に挿通された紐部材10を緊締可能な少なくとも1つの緊締具11とを有する。紐部材10の一例として、この図では伸縮性のない布素材の紐を用いているが、他のものを用いても良い。
【0022】
図3に示すように、洗浄カバー1を筐体12の下部に取り付ける際には、筐体12の略長方形において互いに対向する第1辺13及び第2辺14のうち、作業者から見て前方側(手前)に配置される第1辺13の中点の直下に対応する第1位置Iに給液ノズル具挿通孔5が位置し、かつ後方側(奥)第2辺14の中点の直下に対応する第2位置IIに排液孔6が位置するように取り付ける。
【0023】
例えば、緊締具11と給液ノズル具挿通孔5とが上下方向の一直線上に配置されるように洗浄ユニット1を構成した上で、緊締具11を第1辺13の左右方向中央部にくるように取り付けることで、簡単に給液ノズル具挿通孔5を第1位置Iに配置させ、廃液孔6を第2部位IIに配置させることができる。
【0024】
図5に洗浄ユニット1単体での斜視図を示す。袋部4は略矩形の袋形状である。給液ノズル具挿通孔5はゴムシート7と貫通孔8により構成される。ゴムシート7は矩形状中央に貫通孔8で袋部4とともに貫通されており、袋部4の内側に接着されている。ゴムシート7は、ある程度の伸縮性と摩擦性を有する素材であれば、ゴム素材以外で構成されていてもよい。
【0025】
排液孔6は袋部4の端部に脱着可能に取り付けられ、袋部4内から外部に汚水を排出できるように貫通孔を備えている。なお、排液をスムーズに行うために、閉止端3の後方側端部付近Tにおいて、袋部4を略L字状に加工することが好ましい。
【0026】
図6に洗浄ユニット1を袋部4の一端2の開口部18から見た斜視図を示す。
緊締具11は、第1緊締具11aと、第2緊締具11bとを含む。第1緊締具11aは、
図3で説明した第1部位Iに対応する位置に設けられ、第2緊締具11bは第2部位IIに対応する位置に設けられる。すなわち第1緊締具11aと給液ノズル具挿通孔5とが
図3に示した第1辺13の左右方向の略中心線上に配置され、第2緊締具11bと排液孔とが第2辺14の左右方向の略中心線上に配置されるようになっている。
【0027】
紐部材10は2本の紐部材10′と紐部材10″とを含む。紐部材10′と紐部材10″のそれぞれの一方側端部が第1緊締具11aに接続され、それぞれの他方側端部同士が第2緊締具11bに接続されている。
【0028】
図7、
図12に第1緊締具11aの斜視図及び緊締工程を説明する概念図を示す。緊締具11aは、紐部材10を構成する略環状(この図では紐部材10′と紐部材10″から構成される略環)のうち一部分を一端から挿通させるとともに他端から露出させる筒部15と、筒部15の他端側部分を折り返すように屈曲させた状態で当該他端側部分以外の部分に係合させて保持可能な保持部16とを有する。この図では、筒部15はゴムまたはプラスチック製のチューブであり、保持部16は2つの金属製のリングである。リングは1つであってもよい。
【0029】
緊締工程においては、
図12(a)に示すように、紐部材10のうち筒部15の他端から露出した露出部分を引っ張って紐部材10のうち紐部材挿通部9に挿通された部分に張力を付与した後、
図12(b)に示すように、紐部材10の前記一部分を挿通させた筒部15の他端側部分を屈曲させてその屈曲させた他端側部分を他端側部分以外の部分に対し保持部16により保持する。
【0030】
紐部材挿通部9には、さらに、略環状の弾性部材17が紐部材10と略沿いつつ延設されている。弾性部材17は伸縮性を有する部材、例えば環状のゴム紐である。
【0031】
図8、
図9は被せ工程を説明する概念図である。
図8に示すように、作業者Mはエアコン100の熱交換器の筐体12の周方向全周をその下方から覆うように、袋部4の一端2を上方とし、閉止端3(図示なし)を下方として袋部4の開口部18を筐体12の下部に被せる。この時、図示されない仮天井101が筐体12の外周側に存在するため、作業者Mは筐体12の下方に位置し、下方から洗浄カバー1を被せる。
【0032】
図9に示すように、被せ工程においてはまず仮天井101と筐体12の隙間に手を差し入れ、弾性部材17の弾性力を筐体12の周方向全周に作用させつつ、筐体12の下部において周方向全周に袋部4の開口部18を被せる。
【0033】
図10(a)に示すように、洗浄ユニット1においては、第1位置Iに給液ノズル具挿通孔5が位置することによって、給液ノズル具19を筐体12の最後方まで伸ばすのに必要な距離は最短のL1で良く、袋部4のサイズが最小限ですむ。
図10(b)に示すように、例えば給液ノズル具挿通孔5が第1辺13の右方向端部に配置していた場合、給液ノズル具19を筐体12の最後方まで伸ばすのに必要な距離は筐体が形成する長方形の対角線であるL2となり、これはL1よりも長いので、最奥に到達させるためには袋部4のサイズを大きくする必要が生じる。しかし、袋部4の大きさは大きければ大きいほど取り回しが面倒になり、清掃の作業性が著しく低下するので、好ましくない。
【0034】
図11は前記被せ工程で開口部18が被せられた状態で、紐部材挿通部9に挿通された紐部材10を緊締具11aを用いて緊締する緊締工程を説明する概念図である。この緊締工程では、紐部材10のうち筒部15の他端から露出した露出部分を引っ張って紐部材10のうち紐部材挿通部9に挿通された部分に張力を付与した後、紐部材10の一部分を挿通させた筒部15の他端側部分を屈曲させてその屈曲させた他端側部分を他端側部分以外の部分に対し保持部16により保持する工程である。
【0035】
この図では図示の煩雑性を避けるために、筐体12の外部から作業を行っているが、実際には、仮天井101が存在するため、筐体12の下部から緊締作業が行われる。緊締部材11は仮天井101の存在に関わらず筐体12の下部から引っ張って作業できるので、作業性が高い。弾性部材17に加えて紐部材10を緊締部材11により緊締することで、筐体12から洗浄ユニットが外れることを、実質的に完全に防止することができる。
【0036】
図13に給液ノズル具19の斜視図を示す。給液ノズル具19は、給液ノズル具挿通孔5に対して挿通され、所定の洗浄液を噴出可能な先端ノズル20と、その挿通部分をシールするシール部21と、手動把持部22と、凹部23を備える。シール部21は、ウレタン素材等の固いスポンジ素材で構成されている。給液ノズル具挿通孔5に先端ノズル20とシール部21とを差し込むと、凹部23のところまで差し込めるようになっており、シール部21は、ゴムシート7との間の摩擦により、先端ノズル20の挿通部分をシールするようになっている。
【0037】
図14は挿通連結工程を説明する概念図である。この工程では、前記緊締工程で紐部材10が緊締された状態で垂下されている袋部4の給液ノズル具挿通孔5に対して、給液ノズル具19の先端ノズル20を挿通しかつその挿通部分をシールすることにより、先端ノズル20を袋部4の内部に現出させるとともに給液ノズル具19の手前側の手動把持部22を袋部4の外部に露出させた姿勢にて、袋部4のうち給液ノズル具挿通孔5の周辺に位置するノズル近傍領域24と給液ノズル具19とを連結する。給液ノズル具19は高圧洗浄機25に接続されている。
【0038】
図15~
図17に噴出セット工程を説明する概念図を示す。噴出セット工程においては、
図15に示すように、前記挿通連結工程で袋部4のノズル近傍領域24に連結された状態の給液ノズル具19の手動把持部22を上方かつ袋部4の径方向内側へ向かって持ち上げ、
図16に示すように、袋部4のうちノズル近傍領域24の周辺において袋部4の径方向外側から内側に向かって突出する突出部26を形成する。
図17に示すように、突出部26から袋部4の内部へと突き出る先端ノズル20の洗浄液の噴出方向を、筐体12のうちの洗浄対象領域へ臨むようにセットする。
【0039】
図18においては、前記噴出セット工程と、前記噴出セット工程で前記噴出方向がセットされた先端ノズル20から洗浄液を噴出させて洗浄対象領域へ衝突させ、洗浄対象領域の洗浄を行う洗浄工程とが同時に行われている。
【0040】
図19は、排液工程を説明する概念図である。この工程では、突出部26が袋部4の径方向内側に向かって突出した状態で、袋部4の閉止端3において前方端部から後方側端部への下り傾斜が形成され、前記洗浄工程にて生じた、袋部4の内部にて流下する使用済の洗浄液(汚水)27が、袋部4内に留まることなく、後方側端部へと流下して集水され、排液孔6を介し当該袋部4の外部へ接続された廃液袋28へと排出する。排液孔6には、廃液袋28のかわりにバケツやポリタンク等を接続してもかまわない。
【0041】
図20~
図22は洗浄工程における動作例を説明する概念図である。
図20に示すように、作業者Mが突出部26を介して袋部4の外側から筐体12の下部に入りこみ、給液ノズル具19の先端ノズル20を左右方向に動かすだけで、筐体12の内部を左右方向に簡単に洗浄することができる。
【0042】
図21に示すように、作業者Mは緊締部11aをよけ、右手及び頭部を突出部26を介して袋部4の側壁を内側に押し込んでできた空間に入り込ませ、給液ノズル具19の先端ノズル20から洗浄液を洗浄対象に噴射する。
【0043】
図22(a)及び
図22(b)に示すように、作業者Mは体全体を突出部26を介して袋部4の側壁または下部を内側に押し込んでできた空間に入り込ませ、左手で突出部26を形成する袋部4の側壁または下部を外側から支持するとともに、右手で給液ノズル具19を把持して先端ノズル20から洗浄液を筐体12の内部に噴射する。このような動作は給液ノズル具19が袋部4の第1部位Iに取り付けられている為に容易に行うことができ、また、排液孔6が第2部位IIに取り付けられているために、このような動作を行った際に袋部4内に汚水が留まらずすみやかに排出される。このように、突出部26を介して、作業者Mが筐体12の下部に入り込み清掃を行うことができるので、洗浄対象が見やすく作業性が高いとともに、洗浄液が作業者M及び外部に飛散する恐れがない。
【0044】
<実施形態の効果>
本実施形態においては、エアコンの清掃を行う作業者Mは、一端2が開口し他端が閉止端3である袋部4を備えた洗浄ユニット1を用いる。
【0045】
まず被せ工程では、作業者Mは、袋部4を、一端2側の開口部18を上、他端側の閉止端3を下、にした姿勢にし、上側の開口部18を、エアコンの略長方形の下部外郭に下から被せ、その外郭の周方向全周を覆う。これにより、袋部4は、略長方形のエアコン下部外郭に上部が嵌め込まれ、当該上部が略四角筒状になりつつ下部は垂れ下がった状態となる。
【0046】
次に緊締工程で、作業者Mは、袋部4の開口縁部に沿う周方向の全周にある紐部材挿通部9に予め挿通されている略環状の紐部材10を、所定の緊締具11を用いて緊締する。これにより、上記のようにエアコン下部外郭に被せられた状態の袋部4の上部と、当該エアコン下部外郭とが密着し、それらの間の隙間がなくなってシールされる。
【0047】
その後、挿通連結工程で、作業者Mは、上記のように垂れ下がっている袋部4の下端に位置する略一直線状の閉止端3のうち一方側端部にある給液ノズル具挿通孔5に、給液ノズル具19のうち先端ノズル20を挿通する。この結果、給液ノズル具19は、先端ノズル20が袋部4の内部に位置するとともに手前側の手動把持部22は袋部4の外部に露出した姿勢となる。この状態で、作業者が、給液ノズル具挿通孔5と、それに対する給液ノズル具19の挿通部分との間を適宜にシールすることで、袋部4のノズル近傍領域24と給液ノズル具19とが連結される。
【0048】
そして、噴出セット工程で、作業者Mは、上記の連結状態のままで給液ノズル具19の手動把持部22を把持して手動把持部22を上方かつ袋部4内側へ向かって持ち上げることで、上述のように略四角筒状に垂れ下がっている袋部4の側壁を内部空間側へ押し込む。これにより、袋部4の側壁のうちノズル近傍領域24の周辺において、手動把持部22を押し込んだ作業者Mの腕のまわりに、袋部4の外側から内側に向かって突出する突出部26が形成される。作業者Mは、上記のように袋部4側壁を押し込みつつ持ち上げた給液ノズル具19の先端ノズル20の先を所望の向きにセットし、これによって先端ノズル20からの洗浄液の噴出方向を、エアコン下部外郭のうち洗浄しようと意図する洗浄対象領域へと、当該エアコン下部外郭の下方から臨ませる。
【0049】
その後、洗浄工程で、作業者Mは、給液ノズル具19の先端ノズル20から洗浄液を噴出させつつ先端ノズル20の向きを順次スライドさせるだけで、複数の洗浄対象領域へと順次衝突させて、各洗浄対象領域を連続的に順番に洗浄することができる。これにより、操作性及び作業性を非常に高くすることができる。その際、袋部材4は透過性素材で構成されるため、その際の洗浄液の噴出挙動、汚れが落ちる挙動、等を、作業者Mは視覚的に良好に確認することができる。また例えば、上記突出部26の中に作業者Mの上半身も一緒に貫入させることで、エアコン下部外郭のうち作業者Mから見てより奥のほうの領域まで先端ノズル20を届かせることもできる。
【0050】
そして、洗浄対象領域に衝突して汚れを落とした使用後の洗浄液は、袋部4の内部空間内において貯留されることとなる。その際、上記のように突出部26を形成するノズル近傍領域24及び給液ノズル具挿通孔5は袋部4下端の閉止端3のうち一方側端部にあり、排液孔6が袋部4下端の閉止端3のうち他方側端部にある。したがって、使用済みの洗浄液は、排液工程において袋部4内部かつ上方へと突き出した突出部26のまわりには溜まらず直ちに下方の閉止端3へと流下し、さらに閉止端3に沿って下り勾配となる他方側端部へと流れて排液孔6へと導入され、円滑に袋部4の外部へと排出される。すなわち、上記のように袋部4の内部において、略長方形のエアコン下部外郭の下方へ先端ノズル20を入り込ませることができる一方で、作業者Mの腕や上半身は常に袋部4の外にあるため、例えば化学的に人体に悪影響を及ぼす可能性のある成分の洗浄液を用いる場合であっても、洗浄液と作業者Mとの隔絶を確保でき、高い安全性を確保することができる。
【0051】
また、本実施形態では特に、緊締具11として、筒部15と保持部16とを有するものが用いられる。筒部15は、略環状形状を構成する紐部材10のうち当該略環状の一部分を一端から他端へと挿通させ、かつ他端から露出させる機能を有する。
【0052】
作業者Mは、緊締工程において、まず、紐部材10のうち筒部15の他端からの露出部分を引っ張ることで、紐部材10のうち紐部材挿通部9に挿通された部分に対し張力を付与する。これにより、袋部4の上部とエアコン下部外郭との間を確実に密着させることができる。
【0053】
そして、その後作業者Mは、紐部材10を挿通させた筒部15の他端側部分を屈曲させ、その屈曲させた部分をそれ以外の非屈曲部分に対し保持部16を用いて保持させる。これにより、上記密着させた状態を確実に保持することができる。
【0054】
また、本実施形態では特に、紐部材挿通部9に紐部材10と共に配設される略環状の弾性部材17が、弾性力をエアコン下部外郭の周方向全周に作用させることができる。これにより、被せ工程でエアコン下部外郭の周方向全周に袋部4の開口部18を被せた後、その後の緊締工程で緊締を行うまでの間、袋部材4がエアコン下部外郭から垂れ下がる状態を保持し落下しないようにすることができる。このため、緊締工程においては、仮天井101とエアコン下部外郭との間のわずかな隙間において、手を入れたりする必要がなく、簡単に、二重に保持を行うことができ、作業性が高い。
【0055】
また、本実施形態では特に、エアコン下部外郭が形成する略長方形における対向する2辺(第1辺13と第2辺14)に関連付けて、袋部材4のうち第1辺13の中点に対応する第1位置Iに給液ノズル挿通孔5が配設され、第2辺14の中点に対応する第2位置IIに排液孔6が配設される。言い換えれば、略長方形形状の手前側1辺の中央と奥側1辺の中央との位置関係、と同様の位置関係で、それぞれ給液ノズル挿通孔5と排液孔6とが設けられる。
【0056】
ここで、仮に、
図10(b)のように略長方形形状の1つのコーナーと当該コーナーから対角線上にある別のコーナーとの位置関係、と同様の位置関係で給液ノズル挿通孔5と排液孔6とが設けられていた場合を想定する。この場合、前述のように作業者Mが袋部4側壁を押し込み突出部26を形成しつつ先端ノズル20から洗浄液を噴出させる際、作業者Mの手元から、洗浄液を衝突させる上記洗浄対象領域までの距離の最大値は、上記対角線相当の長さになる。
【0057】
これに対し、
図10(a)に示す本実施形態においては、前述の位置関係で給液ノズル挿通孔5と排液孔6とが設けられることにより、作業者Mの手元から洗浄対象領域までの距離の最大値は、対角線よりは短い長方形の1辺相当の長さになる。したがって、作業中において作業者Mにおいて必要となる操作範囲・作業範囲を低減することができるので、袋部4の大きさが最低限ですみ、操作性・作業性を確実に向上することができる。
【0058】
また、本実施形態では特に、緊締具11が、第1緊締具11aと第2緊締具11bとの2つが設けられる。第1緊締具11aは、袋部4の閉止端3の前方側端部に対応する第1部位Iすなわち前述の給液ノズル具挿通孔5に対応する位置に設けられ、第2緊締具11bは、袋部4の閉止端3の後方側端部に対応する第2部位IIすなわち排液孔6に対応する位置に設けられる。
【0059】
このとき、前述のように、給液ノズル挿通孔5及び排液孔6は、エアコン下部外郭が形成する略長方形における対向する2辺(第1辺13と第2辺14)に関連し、略長方形形状の手前側1辺の中央と奥側1辺の中央との位置関係と同様の位置関係で設けられる。この結果、第1緊締具11aと第2緊締具11bも、略長方形形状の手前側1辺の中央と奥側1辺の中央との位置関係と同様の位置関係で設けられる。これにより、例えば天井におけるエアコン100の設置部位の周囲の構造物の形状や集積状況に応じて、第1緊締具11a及び第2緊締具11bのうち緊締が行いやすい、いずれか一方の緊締具を選択して用いることができる。あるいは、エアコンの設置部位の周囲構造が狭隘で1つの緊締具だけでは紐部材の全周に張力を十分に付与できない可能性があるときに、第1緊締具11aを用いた張力付与と第2緊締具11bを用いた張力付与との両方を併せて行うことで、全周にわたり確実に張力を付与して十分な緊締を行うことができる。
【0060】
また、緊締部11を第1辺13または第2辺14の中央付近に取り付けることで、給液ノズル具挿通孔5及び排液孔6が自動的に第1部位I及び第2部位IIの配置されることになるため、作業性が向上する。また、緊締部11の他端側に露出している紐部材10にさらにS字フック等を取り付け、作業前後に給液ノズル具19を地面に置きたくないときに、ここにひっかけておけるようにすることができる。
【0061】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0062】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0063】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 洗浄ユニット
2 一端
3 閉止端
4 袋部
5 給液ノズル具挿通孔
6 排液孔
9 紐部材挿通部
10 紐部材
11 緊締具
12 筐体
13 第1辺
14 第2辺
15 筒部
16 保持部
17 弾性部材
18 開口部
19 給液ノズル具
20 先端ノズル
21 シール部
22 手動把持部
23 凹部
24 ノズル近傍領域
26 突出部
27 汚水
28 排水袋
100 エアコン
101 仮天井