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特開2023-116269コンクリート製品連結部材およびコンクリート製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116269
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】コンクリート製品連結部材およびコンクリート製品
(51)【国際特許分類】
   B28B 23/00 20060101AFI20230815BHJP
   E04B 1/48 20060101ALI20230815BHJP
   E04B 1/61 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
B28B23/00
E04B1/48 E
E04B1/61 502D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022018979
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】313001550
【氏名又は名称】株式会社アーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 和洋
【テーマコード(参考)】
2E125
4G058
【Fターム(参考)】
2E125AC02
2E125BB21
2E125CA05
4G058GA01
4G058GE01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】先に据え付けられたコンクリート製品に対し、次のコンクリート製品を上側から据え付けた後に互いのコンクリート製品の連結作業を行うことが可能なコンクリート製品連結部材とこれが埋設されたコンクリート製品を提供する。
【解決手段】ヨーク部20と、ヨーク部20の板厚方向に向けて起立する配置で配設された筒体としてのねじ棒収容部30と、ねじ棒収容部30の中心軸と同一軸線上の位置においてヨーク部20を貫通する貫通孔26A,28Aと、を具備することを特徴とするコンクリート製品連結部材100と、これが埋設されたコンクリート製品200である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨーク部と、
前記ヨーク部の板厚方向に向けて起立する配置で配設された筒体と、
前記筒体の中心軸と同一軸線上の位置において前記ヨーク部を貫通する貫通孔と、を具備することを特徴とするコンクリート製品連結部材。
【請求項2】
少なくとも一本のアンカーと、
前記アンカーに取り付けられたヨーク部と、
前記ヨーク部の前記アンカーの延設側面において前記アンカーの延設方向に向けて配設され、前記アンカーまたは前記ヨーク部の少なくとも一方に固定された筒体と、
前記筒体の中心軸と同一軸線上の位置において前記ヨーク部を貫通する貫通孔と、を具備することを特徴とするコンクリート製品連結部材。
【請求項3】
前記ヨーク部は前記筒体の連結方向と直交方向に起立する上面開口箱体に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート製品連結部材。
【請求項4】
前記筒体は有底筒に形成されていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか一項に記載のコンクリート製品連結部材。
【請求項5】
コンクリート製品どうしを連結する連結端面のうちの少なくとも一方から連結方向に所要距離離れた位置に請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のコンクリート製品連結部材がヨーク部の一部を外表面に露出させた状態で埋設されており、
前記連結端面と前記ヨーク部との間には、前記連結端面に開口すると共に貫通孔に連通する通路が形成されていることを特徴とするコンクリート製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製品連結部材およびコンクリート製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボックスカルバートやトンネル用セグメント等に代表されるコンクリート製品どうしを連結するために用いられるコンクリート製品連結部材については、特許文献1(実公平2-42782号公報)に開示されているような構成が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されているコンクリート製品連結部材としてのボックスカルバートの継手(以下、単に継手という)は、締結部材の差し込み口を有するヨーク部と、ヨーク部に固定されたアンカーと、を有している。この継手は、連結対象のコンクリート製品の連結端面に差し込み口を開口させた状態でコンクリート製品に埋設されており、差し込み口どうしを対面させた状態でコンクリート製品が据え付けられる。その後、差し込み口にボルトを差し込むと共にボルトをナットで締結することでコンクリート製品どうしを連結することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平2-42782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている継手によって連結されるコンクリート製品は、一方のコンクリート製品には、表面に形成した凹部と、凹部につながり連結端面に連通する抜き穴が設けられている。また、他方のコンクリート製品には、連結端面における抜き穴と対応する位置に横穴が設けられていると共に横穴の奥にアンカープレートが埋設されている。そして、一方のコンクリート製品と他方のコンクリート製品とを連結する際は、アンカープレートにボルトを係合させると共に抜き穴にボルトを挿通させた状態にした後、凹部からナットでボルトの締結作業が行われる。このように特許文献1に開示されている継手を用いてコンクリート製品どうしを連結する際には、一方のコンクリート製品を所定位置に据え付けした後、横穴からボルトを差し込んでアンカープレートにボルトを係合させた状態にしてから他方のコンクリート製品を連結しなければならない。このため、コンクリート製品どうしを連結する際には、他方のコンクリート製品を水平方向に移動させなければならず、コンクリート製品の据え付け作業が効率的に行うことができない課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は上記課題を解決するためのものであり、その目的とするところは次のとおりである。すなわち、連結対象となるコンクリート製品を据え付けする際に、先に据え付けられたコンクリート製品に対し、次のコンクリート製品を連結端面の上側から単純に降下させて据え付けした後に互いのコンクリート製品の連結作業を行うことが可能なコンクリート製品連結部材とこれが埋設されたコンクリート製品を提供することにある。
【0007】
上記課題を解決するため発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち、本発明は、ヨーク部と、前記ヨーク部の板厚方向に向けて起立する配置で配設された筒体と、前記筒体の中心軸と同一軸線上の位置において前記ヨーク部を貫通する貫通孔と、を具備することを特徴とするコンクリート製品連結部材である。
【0008】
また、少なくとも一本のアンカーと、前記アンカーに取り付けられたヨーク部と、前記ヨーク部の前記アンカーの延設側面において前記アンカーの延設方向に向けて配設され、前記アンカーまたは前記ヨーク部の少なくとも一方に固定された筒体と、前記筒体の中心軸と同一軸線上の位置において前記ヨーク部を貫通する貫通孔と、を具備することを特徴とするコンクリート製品連結部材である。
【0009】
これらにより、コンクリート製品の据え付け時においては、コンクリート製品どうしを連結する際に用いる締結部材を筒体の内部に収容することができるので、後から据え付けするコンクリート製品は、先に据え付けられたコンクリート製品の連結端面の上側から他のコンクリート製品を単純に降下させることで据え付け作業を行うことができ、コンクリート製品どうしの連結作業を効率的に行うことができる。
【0010】
また、前記ヨーク部は前記筒体の連結方向と直交方向に起立する上面開口箱体に形成されていることが好ましい。
【0011】
これにより、コンクリート製品のコンクリート打設前にコンクリート製品連結部材を所定箇所に設置しておけば、コンクリート製品に締結部材の締結作業時におけるハンドホールを簡単に形成することができる。
【0012】
また、前記筒体は有底筒に形成されていることが好ましい。
【0013】
これにより、コンクリート製品のコンクリート打設時に筒体の開口部のマスキング作業が不要になり、コンクリート製品の製造を簡略化することができる。
【0014】
また、コンクリート製品どうしを連結する連結端面のうちの少なくとも一方から連結方向に所要距離離れた位置に上記のうちのいずれかに記載のコンクリート製品連結部材がヨーク部の一部を外表面に露出させた状態で埋設されており、前記連結端面と前記ヨーク部との間には、前記連結端面に開口すると共に貫通孔に連通する通路が形成されていることを特徴とするコンクリート製品としての発明もある。
【0015】
これにより、コンクリート製品の据え付け時においては、コンクリート製品どうしを連結する際に用いる締結部材を筒体の内部に収容することができるので、後から据え付けするコンクリート製品は、先に据え付けられたコンクリート製品の上側から吊り下げた状態での据え付け作業を行うことができ、コンクリート製品どうしの連結作業の効率を高めることができる。また、コンクリート製品どうしの連結端面をコンクリート面にすることができ、連結端面とヨーク部との間に所要厚さのコンクリート部分を有しているので、締結部材を高い締結力で締結することができ、コンクリート製品が重量物であっても確実な連結が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コンクリート製品どうしを連結する際に用いられる締結部材をコンクリート製品に埋設した筒体の内部空間に挿抜可能な状態で収容することができ、コンクリート製品の据え付け時においては、筒体の内部空間に締結部材を収容させておくことが可能になる。したがって、後から据え付けられるコンクリート製品は、先に据え付けられたコンクリート製品の連結端面の上側から単純に降下させることで据え付け作業を行うことができ、コンクリート製品どうしの連結作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態におけるコンクリート製品連結部材の正面図である。
図2】第1実施形態におけるコンクリート製品連結部材の平面図である。
図3】第1実施形態におけるコンクリート製品連結部材の右側面図と左側面図である。
図4】第1実施形態におけるコンクリート製品連結部材がコンクリート製品に埋設されている状態を示す平面図である。
図5】第1実施形態におけるコンクリート製品の連結の工程における状態を示す透視正面図および透視平面図である。
図6図5に続く状態を示す透視正面図および透視平面図である。
図7図6に続く状態を示す透視正面図および透視平面図である。
図8図7に続く状態を示した透視正面図および透視平面図である。
図9】2つのコンクリート製品が連結された状態を示す透視正面図および透視平面図である。
図10】第2実施形態におけるコンクリート製品連結部材の平面図である。
図11】第2実施形態におけるコンクリート製品連結部材がコンクリート製品に埋設されている状態を示す平面図である。
図12】第1実施形態の他の実施形態例を示す平面図である。
図13図12に示すコンクリート製品連結部材をコンクリート製品に埋設した状態を示す平面図である。
図14】第2実施形態の他の実施形態例を示す平面図である。
図15図14に示すコンクリート製品連結部材をコンクリート製品に埋設した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1図3に示すように、本実施形態におけるコンクリート製品連結部材(以下、単に連結部材100という)は、アンカー10と、ヨーク部20と、筒体としてのねじ棒収容部30と、を具備する。本実施形態におけるアンカー10、ヨーク部20およびねじ棒収容部30はいずれも鋼材により形成されているが、合成樹脂等に代表される他の公知の材料により形成されていてもよい。
【0019】
本実施形態におけるアンカー10は、いわゆる異形鉄筋により形成されており、ヨーク部20の側周面のうち正面22と背面24に溶接等の公知の方法によって取り付けられている。アンカー10は、ヨーク部20の正面22および背面24に沿うと共に右側面26から離れる方向に所要長さ範囲にわたって延設されている。アンカー10の延設方向先端部12は、アンカー10の延設方向に直交する方向に曲折させた曲折部に形成してもよい。
【0020】
本実施形態におけるヨーク部20は、底面21、正面22、背面24、右側面26および左側面28が一体に形成され、ねじ棒収容部30の連結方向(アンカー10の延設方向)と直交する方向に起立する上面開口箱体に形成されている。ヨーク部20は、コンクリート製品200の外表面に上面開口部を開口させるようにして配設される。ヨーク部20の側周面のうちの一面である右側面26の中央位置には、後述するコンクリート製品200どうしを連結する際に用いられる締結部材の一部としてのねじ棒40を挿通させる第1貫通孔26Aが穿設されている。ヨーク部20の右側面26の外側面には、第1貫通孔26Aに連通する有底筒に形成されたねじ棒収容部30が第1貫通孔26Aの中心軸とねじ棒収容部30の開口面の中心軸を同一軸線上に配置した状態で溶接等の公知の方法によって固定されている。また、ヨーク部20の右側面26の対向面である左側面28には、第1貫通孔26Aと同一軸線上の位置に第2貫通孔28Aが穿設されている。このようにヨーク部20は、ねじ棒収容部30の中心軸と同一軸線上の位置に形成された第1貫通孔26Aおよび第2貫通孔28Aとによって貫通されている。
【0021】
本実施形態におけるねじ棒収容部30は、有底筒に形成されており、開口部の径寸法が第1貫通孔26Aと同径寸法以上に形成されている。ねじ棒収容部30は、アンカー10の延設側面であるヨーク部20の右側面26の外側面に対して直交方向に(アンカー10の延設方向およびヨーク部20の右側面26の板厚方向に)立設されている。ねじ棒収容部30は、図2に示すように、立設方向に沿って適宜配設されたステー32によってアンカー10に固定することもできる。このようにしてアンカー10とヨーク部20に固定されたねじ棒収容部30の内部空間には、ねじ棒40をヨーク部20の左側面28の第2貫通孔28Aから挿抜可能に収容することができる。
【0022】
本発明に係る連結部材100に用いられるねじ棒40は、ねじ棒収容部30の内部空間に収容可能な径寸法に形成されたものが用いられる。ねじ棒40の第1端部42をねじ棒収容部30の内底面34に当接させた状態において第2端部44がヨーク部20の右側面26よりも左側面28の側に位置する長さであって、後述する連結端面210から突出しない範囲の長さに形成されている。本実施形態におけるねじ棒40のように、ねじ棒40の外周面の全範囲にねじ山が形成されていることが好ましい。本実施形態における連結部材100は、図1図3に示すようにねじ棒40がねじ棒収容部30に予め収容されているが、ねじ棒40は連結部材100の必須構成ではなく、コンクリート製品200どうしの連結作業時に連結部材100とは別体のねじ棒40をねじ棒収容部30に収容する形態を採用することもできる。
【0023】
続いて、本実施形態における連結部材100が埋設されたコンクリート製品200について説明する。図4に示すように、本実施形態におけるコンクリート製品200は、それぞれの連結端面210からコンクリート製品200の連結方向に所要距離離れた位置に連結部材100が埋設されたものである。より詳細には、連結端面210に最も近いヨーク部20の左側面28の外側面と、連結端面210との間に所要長さ範囲のコンクリート部分を存在させると共に、コンクリート製品200の外表面にヨーク部20の一部が露出するようにコンクリート製品200に連結部材100が埋設されている。本実施形態における連結部材100は、底面21、正面22、背面24、右側面26および左側面28における各々の内側面がコンクリート製品200の外表面に露出した状態でコンクリート製品200に埋設されている。
【0024】
連結部材100は、コンクリート製品200へのコンクリートの打設前に、コンクリート製品200の型枠(図示はせず)に配設される。この後コンクリートの打設時までの間に、ヨーク部20の左側面28の外側面の第2貫通孔28Aの位置と連結端面210を形成する型枠との間にボイド管に代表されるスペーサ230が配設される。コンクリートを打設して、コンクリートが硬化した後にスペーサ230を取り除くことでコンクリート製品200に一方の端部が連結端面210に開口すると共に他方の端部が第2貫通孔28Aに連通する通路220を形成することができる。この通路220により、連結部材100のねじ棒収容部30に収容したねじ棒40がねじ棒収容部30と連結端面210との間で挿抜可能にスライド移動させることができる。
【0025】
このように、連結端面210とヨーク部20との間に所要厚さのコンクリート部分が形成され、かつ連結端面210からねじ棒40を突出させずにコンクリート製品200の内部に収容しておくことが可能なコンクリート製品200を得ることができる。これによりコンクリート製品200どうしを連結する際の据え付け作業を単純な吊り下げ作業にすることができる。また、コンクリート製品200どうしを連結する際においては、ねじ棒40の締結力が大きくなっても、コンクリートに埋設されたヨーク部20が変形することなく、コンクリート製品200どうしの連結精度を向上させることができる点において好都合である。このような構成は、ボックスカルバートに代表されるような重量の大きいコンクリート製品200を連結する際において特に好都合である。
【0026】
次に、図5図9を参照しながら本実施形態における連結部材100が埋設されたコンクリート製品200の連結方法について説明する。施工者は、図5に示すように予め設定された据え付け位置にコンクリート製品200の据え付けを行う。次に、施工者は、図5に示すように先に据え付けられたコンクリート製品200に埋設された連結部材100のねじ棒収容部30にねじ棒40の端部が連結端面210からはみ出さないように収容する。なお、ねじ棒40は、次に据え付けを行うコンクリート製品200に埋設された連結部材100のねじ棒収容部30にねじ棒40の端部が連結端面210からはみ出さないように収容してもよい。次に施工者は、図6に示すように他のコンクリート製品200をクレーン等に代表される吊り下げ装置を用いて先に据え付けられたコンクリート製品200の上方側から真下の位置に下降させるようにして据え付けを行う。このとき施工者は、図7に示すように互いの連結端面210どうしを当接させると共に互いの通路220を位置合わせした状態にする。
【0027】
次に施工者は、図8に示すようにヨーク部20の内側空間でねじ棒40を掴んで一方のコンクリート製品200と他方のコンクリート製品200にねじ棒40を掛け渡した状態になるまでねじ棒40を長さ方向にスライド移動させる。次に施工者は、図9に示すようにそれぞれのコンクリート製品200においてヨーク部20の内側空間に締結部材の一部としてのナット46を装着してねじ棒40を締結してコンクリート製品200どうしを連結する。本実施形態における連結部材100が埋設されたコンクリート製品200によれば、連結される連結端面210どうしがコンクリート面になり、ナット46によるねじ棒40の締結をヨーク部20の内周面(左側面28の内側面)において行うことができる。これらによりナット46によるねじ棒40の締結強度を高めることができるため、コンクリート製品200が重量物であっても高い精度で連結することができる。
【0028】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態における連結部材100の平面図である。図10からも明らかなとおり本実施形態における連結部材100は、アンカー10の構成を有していない点で第1実施形態と構成を異にしている。このようにアンカー10が省略された連結部材100は、埋設対象となるコンクリート製品200が非重量物である際に用いて好適である。なお、図10に示す連結部材100において第1実施形態と等しい構成については、第1実施形態で用いた符号と同符号を付すことによりここでの詳細な説明は省略する。
【0029】
ヨーク部20の右側面26にはねじ棒収容部30が立設されている。図10に示すように、ねじ棒収容部30のヨーク部20から遠ざかる側の先端部には底蓋36を配設することもできる。底蓋36の外径寸法は、ねじ棒収容部30の外径寸法よりも大きく形成されており、コンクリート製品200に埋設された際に、第1実施形態におけるアンカー10と同様の効果を期待することができる。
【0030】
図10に示す連結部材100をコンクリート製品200に埋設する際には、コンクリート製品200のコンクリートを打設する前に、コンクリート製品200の鉄筋(図示はせず)と固定しておけばよい。具体的にはヨーク部20とコンクリート製品200の鉄筋との溶接や、ねじ棒収容部30とコンクリート製品200の鉄筋との金属線材による係合等により固定することができる。このとき、ヨーク部20の上面開口部をコンクリート打設後の表面に露出されるように位置決めしておく。このようにして連結部材100を鉄筋に取り付けた後に、図示しない型枠にコンクリートを打設し、コンクリート硬化後に型枠を脱型することで、図11に示すような表面にヨーク部20の一部を露出させた状態で連結部材100が埋設されたコンクリート製品200を得ることができる。
【0031】
このようにして得られたコンクリート製品200の連結方法については、第1実施形態と同様に行うことができるためここでの繰り返しの説明は省略する。
【0032】
以上に本発明に係る連結部材100およびこれを埋設したコンクリート製品200およびコンクリート製品200の連結方法の発明について説明をしたが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態においては、ヨーク部20にアンカー10が2本取り付けられた形態を例示しているが、アンカー10の本数は特に限定されるものではなく、アンカー10は、少なくとも1本あればよい。
【0033】
また、以上の実施形態においては、ヨーク部20が上面開箱体に形成された形態を例示しているがこの形態に限定されるものではない。ヨーク部20は、図12におけるハッチング部で示すように平面視コの字型や平板型に形成した形態を採用することもできる。この形態を採用した場合、ねじ棒収容部30は、ヨーク部20とは離れた位置でステー32によってアンカー10またはヨーク部20の少なくとも一方に取り付けられることになる。また、ヨーク部20の主たる平面(ここでは、コンクリート製品200どうしの連結方向に直交する平面)部分にはヨーク部20の板厚方向に締結部材を挿通させるための貫通孔20Aが穿設されており、この貫通孔20Aの開口面における中心点位置は、ねじ棒収容部30の中心軸と同一軸線上に位置合わせされている。
【0034】
また、図12に示す連結部材100をコンクリート製品200に埋設する際は、ねじ棒40を抜き取った状態にした上で、ヨーク部20とねじ棒収容部30との間に図13に示すように函抜体50およびスペーサ230を配設してからコンクリートを打設する。これによりコンクリート製品200を型枠から脱型すれば、ヨーク部20とねじ棒収容部30との間の部分にハンドホールとなる凹部と、連結端面210とヨーク部20との間のコンクリート部分にねじ棒40を挿抜可能に挿通させる通路220を形成することができる。また、コンクリート製品200の外表面の一部である凹穴からヨーク部20の一部を露出させた状態にし、先の実施形態と同様にナット46により高い締結力でねじ棒40を締結することもできる。
【0035】
また、第2実施形態における連結部材100およびコンクリート製品200に対しても図14図15にそれぞれ示されているように、第1実施形態の変形例(図12図13)と同様の変形例を適用することができる。なお、図14図15に示されている連結部材100のねじ棒収容部30は、固定部材38を介してヨーク部20と溶接等の公知の手法によって固定されている。
【0036】
また、以上の実施形態においては、ねじ棒収容部30が有底筒に形成された形態を例示しているが、ねじ棒収容部30はこの形態に限定されるものではない。ねじ棒収容部30は単純な筒体に形成することもできる。ねじ棒収容部30を筒体に形成した際は、ヨーク部20から遠ざかる側の先端部にマスキングテープ等によって仮蓋をした状態でコンクリートの打設を行えばよい。このときのねじ棒40の第1端部42の位置は、ねじ棒収容部30に配設した仮蓋の位置を基準にすればよい。
【0037】
また、以上の実施形態においては、コンクリート製品200の連結端面210にはいずれも同じ形状の連結部材100が埋設されている形態を例示しているがこの形態に限定されるものではない。2つの連結端面210のうちの一方の連結端面210のみに本発明に係る連結部材100を埋設し、他方の連結端面210に従来型のコンクリート製品連結部材やねじインサート(図示はせず)を埋設した形態を採用することもできる。ねじインサートを用いた場合においても、コンクリート製品200のコンクリート打設時以前にねじインサートと連結端面210との間に函抜き体を配設しておく必要がある。
【0038】
また、以上の実施形態においては、連結部材100をコンクリート製品200の外側の外表面に埋設した形態を例示しているがこの形態に限定されるものではない。コンクリート製品200がボックスカルバートのような大型の製品であって、施工者がコンクリート製品200の内部に入ることが可能な場合には、コンクリート製品200の内側の外表面(いわゆる内表面)に連結部材100を埋設することもできる。
【0039】
そして以上に説明した変形例の他、実施形態において説明した変形例等を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0040】
10:アンカー
12:延設方向先端部
20:ヨーク部
20A:貫通孔,21:底面,22:正面,24:背面,26:右側面,28:左側面,
26A:第1貫通孔,28A:第2貫通孔
30:ねじ棒収容部(筒体)
32:ステー,34:内底面,36:底蓋,38:固定部材
40:ねじ棒(締結部材の一部)
42:第1端部,44:第2端部,46:ナット(締結部材の一部)
50:函抜体
100:連結部材(コンクリート製品連結部材)
200:コンクリート製品
210:連結端面,220:通路,230:スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15