特開 2023-116307 除草装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023116307

(43)【公開日】2023-08-22

(54)【発明の名称】除草装置

(51)【国際特許分類】

   A01M 21/04 20060101AFI20230815BHJP

【ＦＩ】

A01M21/04 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022019043

(22)【出願日】2022-02-09

(71)【出願人】

【識別番号】391002498

【氏名又は名称】フタバ産業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000578

【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人

(72)【発明者】

【氏名】加藤 久幸

【テーマコード（参考）】

2B121

【Ｆターム（参考）】

2B121AA19

2B121DA02

2B121DA33

2B121DA62

2B121DA63

2B121EA26

2B121FA14

(57)【要約】

【課題】画像認識による不要植物の識別精度を高めることができる除草装置を提供する。
【解決手段】カメラで所定範囲を撮像した画像から植物の位置を特定し、当該植物にレーザ照射を実行する除草装置は、遮蔽部と、調整部と、を備える。遮蔽部は、レーザ照射を実行する空間を囲うことで、空間の外部から空間への光の入射を抑制する。調整部は、所定範囲の明るさを調整可能である。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

カメラで所定範囲を撮像した画像から植物の位置を特定し、当該植物にレーザ照射を実行する除草装置であって、
レーザ照射を実行する空間を囲うことで、前記空間の外部から前記空間への光の入射を抑制する遮蔽部と、
前記所定範囲の明るさを調整可能な調整部と、
を備える、除草装置。

【請求項2】

請求項１に記載の除草装置であって、
前記調整部は、少なくとも１つの照明装置を有する、除草装置。

【請求項3】

請求項２に記載の除草装置であって、
前記少なくとも１つの照明装置のうちの少なくとも１つは、前記空間の内部において移動可能に構成されている、除草装置。

【請求項4】

請求項２又は請求項３に記載の除草装置であって、
レーザ照射の照射面と前記少なくとも１つの照明装置のうちの少なくとも１つとの間に前記カメラが配置される、除草装置。

【請求項5】

請求項１から請求項４までのいずれか１項に記載の除草装置であって、
前記調整部は、前記遮蔽部に設けられた、開度を変更可能なルーバー窓を有し、前記ルーバー窓の前記開度を変更して前記所定範囲の明るさを調整可能である、除草装置。

【請求項6】

請求項１から請求項５までのいずれか１項に記載の除草装置であって、
前記遮蔽部は、前記遮蔽部と地面との距離を調整可能に構成されている、除草装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、除草装置に関する。

【背景技術】

【0002】

レーザ照射によって、農地における不要植物（つまり雑草）を除去する除草装置が公知である（特許文献１－３参照）。この除草装置では、不要植物の上方からレーザ光を照射することで、不要植物に損傷を与えて枯死させる。レーザ光は、画像認識処理によって識別された不要植物の位置に向けて照射される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１５－５３９４１号公報

【特許文献2】特開２０１５－５３９４２号公報

【特許文献3】特開２０１５－６２４１２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、季節、天候、時刻等によって環境の明るさが異なる。そのため、一定の条件においては画像により不要植物を識別することが難しく、不要植物の識別精度が低下する可能性があった。

【0005】

本開示の一局面は、画像認識による不要植物の識別精度を高めることができる除草装置を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示の一態様は、カメラで所定範囲を撮像した画像から植物の位置を特定し、当該植物にレーザ照射を実行する除草装置であって、遮蔽部と、調整部と、を備える。遮蔽部は、レーザ照射を実行する空間を囲うことで、上記空間の外部から上記空間への光の入射を抑制する。調整部は、所定範囲の明るさを調整可能である。このような構成によれば、上記画像に対する上記空間の外部の明るさの影響を低減できる。したがって、画像認識により植物の位置を特定することについて識別精度を高めことができる。

【0007】

本開示の一態様では、調整部は、少なくとも１つの照明装置を有してもよい。このような構成によれば、外部環境が暗いとき、例えば夜間でも植物を照らすことができる。よって、夜間でも植物を撮像することができ、時刻を問わずに除草作業を行うことができる。

【0008】

本開示の一態様では、少なくとも１つの照明装置のうちの少なくとも１つは、空間の内部において移動可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、植物の周辺に影ができにくい位置に照明装置を移動させることができる。よって、植物の周辺に影ができにくい状況で画像を取得し、画像認識により植物の位置を特定することができる。したがって、画像認識による識別精度を高めることができる。

【0009】

本開示の一態様では、レーザ照射の照射面と少なくとも１つの照明装置のうちの少なくとも１つとの間にカメラが配置されてもよい。このような構成によれば、カメラで撮像した画像に、照明装置が映り込むことを抑制することができる。よって、植物以外の物体が映り込むことを抑制できるため、画像認識により植物の位置を特定することについて識別精度を高めることができる。

【0010】

本開示の一態様では、調整部は、遮蔽部に設けられた、開度を変更可能なルーバー窓を有し、ルーバー窓の開度を変更して所定範囲の明るさを調整可能であってもよい。このような構成によれば、ルーバー窓の開度により上記空間の明るさを調整することができる。よって、画像認識を行う際に適した明るさに調整することができ、画像認識による識別精度を高めることができる。

【0011】

本開示の一態様では、遮蔽部は、遮蔽部と地面との距離を調整可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、遮蔽部と地面との間から上記空間に入射する光の量を調整することができる。よって、画像認識を行う際に適した明るさに調整することができ、画像認識による識別精度を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】図１Ａは、除草装置の正面図の模式図であり、図１Ｂは除草装置の上面図の模式図である。

【図2】図２は、除草装置の側面図の模式図である。

【図3】図３は、除草装置における制御装置の構成を示すブロック図である。

【図4】図４は、変形例の除草装置の正面図の模式図である。

【図5】図５は、変形例の照明装置の斜視図である。

【図6】図６Ａ～６Ｄは、除草装置が１つの照明装置を備えるときの照明装置の配置を説明する図である。

【図7】図７Ａ～７Ｃは、除草装置が２つの照明装置を備えるときの照明装置の配置を説明する図である。

【図8】図８Ａ，８Ｂは、除草装置が３つの照明装置を備えるときの照明装置の配置を説明する図である。

【図9】図９Ａ～９Ｃは、除草装置が４つの照明装置を備えるときの照明装置の配置を説明する図である。

【図10】図１０Ａ，１０Ｂは、除草装置が５つの照明装置を備えるときの照明装置の配置を説明する図である。

【図11】図１１は、ルーバー窓を備える除草装置の側面図の模式図である。

【図12】図１２は、下方に伸張可能な板を備える除草装置の側面図の模式図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
［１．実施形態］
［１－１．構成］
図１Ａ，図１Ｂ，図２に示す除草システム１は、例えば農地において、農作物Ｐ１の周辺に発生した不要植物Ｐ２をレーザ照射により除去するためのシステムである。不要植物Ｐ２は、レーザ照射を実行する対象の植物であり、雑草などが該当する。除草システム１は、装置本体２と、レーザ照射器３と、カメラ４と、制御装置７とを備える。

【0014】

＜装置本体＞
装置本体２は、レーザ照射器３、カメラ４、遮蔽部５、調整部６及び制御装置７を保持する筐体である。また、装置本体２は、移動機構を有する。

【0015】

本実施形態の移動機構は、複数の車輪２１によって構成されている。装置本体２は、複数の車輪２１によって、農地上を走行するように構成されている。移動機構は、駆動装置を有していてもよい。例えばモータによって車輪２１を回転させる電動式の駆動装置を有してもよい。また、作業者が装置本体２を押す又は引くことで移動する手動式であってもよい。

【0016】

以下、装置本体２の進行方向を前方向とし、装置本体２の進行方向と反対の方向を後ろ方向とする。なお、装置本体２の進行方向とは、複数の車輪２１が回転して進む方向であって、図２の矢印Ｙ１が示す方向である。また、装置本体２の幅方向を左右方向とし、装置本体２の高さ方向を上下とする。これらの方向は説明の便宜上用いているに過ぎず、本開示の実施の態様について何ら限定するものではない。

【0017】

＜レーザ照射器＞
レーザ照射器３は、制御装置７によって識別された不要植物Ｐ２の上方から、不要植物Ｐ２に向けてレーザ光Ｌを照射するように構成されている。

【0018】

レーザ照射器３は、レーザ光Ｌにより、不要植物Ｐ２に損傷を与える（具体的には焼損させる）ことで不要植物Ｐ２を枯死させる。
レーザ照射器３としては、バッテリと、発振器と、集光部とを備える公知のレーザ照射装置が使用できる。レーザ照射器３のレーザ光Ｌの周波数は、例えば４５０ｎｍ以上６５０ｎｍ以下である。

【0019】

レーザ照射器３は、装置本体２の移動中にレーザ照射を行ってもよいし、装置本体２が停止した状態でレーザ照射を行ってもよい。レーザ照射器３は、制御装置７が識別した複数の不要植物Ｐ２に順次レーザ照射を行う。

【0020】

＜カメラ＞
カメラ４は、複数の農作物Ｐ１及び少なくとも１つの不要植物Ｐ２が混在する農地のうちの所定範囲を上方から撮像した画像を取得するように構成されている。一例として、カメラ４は、装置本体２の筐体の底面に設置される。

【0021】

カメラ４が取得する画像には、複数の農作物Ｐ１、少なくとも１つの不要植物Ｐ２及びその他の物体（例えば、柵等の構造物、石等の障害物など）が含まれる。カメラ４の撮像範囲は、装置本体２の移動に伴って変化する。

【0022】

＜遮蔽部＞
遮蔽部５は、図１Ｂに示されるように、レーザ照射を実行する空間である照射空間１００を囲う壁である。なお図１Ｂでは、照射空間１００を説明するために、遮蔽部５と車輪２１以外の構成については省略している。遮蔽部５は、照射空間１００の外部から照射空間１００への光の入射を抑制する。遮蔽部５は、前壁５ａと、右壁５ｂと、後壁５ｃと、左壁５ｄと、を備える。一例として、遮蔽部５は金属板であり、例えば鉄板である。なお、遮蔽部５の材質はこれに限定されるものではない。例えば、遮蔽部５は、布で形成されたカーテンや樹脂で形成された板であってもよい。なお、図１Ａにおいては、便宜上、調整部６等が遮蔽部５を透過して見えているが、実際には、照射空間１００の外部からは調整部６等が見えない構成である。また、図２においては、調整部６等が装置本体２の筐体を透過して見えているが、実際には、調整部６等は装置本体２の筐体及び遮蔽部５により、外部からは見えない構成である。

【0023】

＜調整部＞
調整部６は、不要植物Ｐ２を照らす明るさを調整可能な装置である。一例として、調整部６は、２つの照明装置６ａを有する。２つの照明装置６ａは、装置本体２の筐体の底面であって、左右に１つずつ配置される。２つの照明装置６ａは、白色の光を照射する。

【0024】

＜制御装置＞
図３に示されるように、制御装置７は、ＣＰＵ、ＲＯＭ、ＲＡＭ、フラッシュメモリ等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。ＣＰＵは、非遷移的実体的記録媒体であるＲＯＭに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御装置７は、１つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。

【0025】

制御装置７に含まれる各部の機能を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の機能は、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。例えば、上記機能がハードウェアである電子回路によって実現される場合、その電子回路は、デジタル回路、又はアナログ回路、あるいはこれらの組合せによって実現されてもよい。

【0026】

制御装置７は、カメラ４が撮像した画像から、不要植物Ｐ２を識別するように構成されている。制御装置７は、公知の統計学的手法によって構築されたＡＩ（人工知能）を用いて、不要植物Ｐ２を識別する。

【0027】

統計学的手法としては、例えば、教師あり機械学習、多変量解析等が挙げられる。教師あり機械学習では、多数のラベル（つまり教師データ）付きの植物の画像を機械学習回路にて分析することで、判定式（つまり分類器）を構築する。

【0028】

制御装置７は、識別した不要植物Ｐ２の座標に対するレーザ光の照射をレーザ照射器３に指示する。制御装置７は、レーザ照射器３に対して、照射座標、照射時間、照射強度等を入力する。

【0029】

［１－２．効果］
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
（１ａ）遮蔽部５は、照射空間１００の外部から照射空間１００への光の入射を抑制する。このような構成によれば、カメラ４により撮像された画像に対する照射空間１００の外部の明るさの影響を低減できる。したがって、画像認識による不要植物Ｐ２の識別精度を高めことができる。

【0030】

（１ｂ）調整部６は、照明装置６ａを有する。このような構成によれば、外部環境が暗いとき、例えば夜間でも不要植物Ｐ２を照らすことができる。よって、夜間でも不要植物Ｐ２を撮像することができ、時刻を問わずに除草作業を行うことができる。

【0031】

また、２つの照明装置６ａは、左右に１つずつ配置される。このような構成によれば、左右の両側から不要植物Ｐ２を照らすことができる。よって、不要植物Ｐ２の周辺に影ができにくい状況で、画像認識により不要植物Ｐ２を識別することができる。したがって、画像認識による不要植物Ｐ２の識別精度を高めことができる。

【0032】

［１－３．対応関係］
上記実施形態では、遮蔽部５及調整部６が除草装置に相当する。
［２．他の実施形態］
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。

【0033】

（２ａ）上記実施形態において、カメラ４が、装置本体２の筐体の底面に配置される構成を例示した。しかし、カメラ４が配置される位置はこれに限定されるものではない。例えば、図４に示されるように、カメラ４は、レーザ照射の照射面と照明装置６ａとの間に配置されていてもよい。なお、図４においては、便宜上、調整部６等が遮蔽部５を透過して見えているが、実際には、照射空間１００の外部からは調整部６等が見えない構成である。また、図５に示されるように、カメラ４と照明装置６ｂとは一体に構成されていてもよい。具体的には、照明装置６ｂにおける光の出力面６１の中央部に、カメラ４を埋め込んだ構造であってもよい。このような構成によれば、カメラ４で撮像した画像に、カメラ４の影が映り込むことを抑制することができる。また、カメラ４で撮像した画像に、照明装置６ａが映り込むことを抑制することができる。よって、不要植物Ｐ２以外の物体が映り込むことを抑制できるため、画像認識による不要植物Ｐ２の識別精度を高めことができる。

【0034】

（２ｂ）上記実施形態において、２つの照明装置６ａが、左右に１つずつ配置される構成を例示した。しかし、２つの照明装置６ａが配置される位置や個数はこれに限定されるものではない。図６Ａ～図１０Ｂを用いて、照明装置６ａの配置について説明する。なお、図６Ａ～図１０Ｂは、装置本体２の上面図であって、装置本体２を透過して見たときの模式図である。

【0035】

例えば、図６Ａ～６Ｄに示されるように、１つの照明装置６ａが用いられてもよい。より詳しくは、例えば、図６Ａに示されるように、１つの照明装置６ａは、カメラ４と上下方向に重なる位置に配置されてもよい。このとき、カメラ４は１つの照明装置６ａの下方に配置される。また例えば、図６Ｂに示されるように、１つの照明装置６ａは、カメラ４と隣接する位置に配置されてもよい。また例えば、図６Ｃに示されるように、１つの照明装置６ａは、左右の壁から間隔を空けた位置であって、前方に配置されてもよい。また例えば、図６Ｄに示されるように、１つの照明装置６ａは、前方かつ左側の角に配置されてもよい。

【0036】

また例えば、図７Ａに示されるように、２つの照明装置６ａは、前後に並ぶように１つずつ配置されてもよい。また例えば、図７Ｂに示されるように、２つの照明装置６ａは、装置本体２の中央から離れた位置に配置されてもよい。また例えば、７Ｃに示されるように、２つの照明装置６ａは、左右の壁から間隔を空けた位置であって、装置本体２の中央寄りとなる位置に１つずつ配置されてもよい。

【0037】

また例えば、図８Ａ，８Ｂに示されるように、３つの照明装置６ａが用いられてもよい。より詳しくは、例えば、図８Ａに示されるように、３つの照明装置６ａはカメラ４を囲むように間隔を空けて配置されてもよい。また例えば、図８Ｂに示されるように、３つの照明装置６ａは一直線上に並ぶように配置されてもよい。３つの照明装置６ａのうちの１つの照明装置６ａは、カメラ４と上下方向に重なる位置に配置されてもよい。

【0038】

また例えば、図９Ａ～９Ｃに示されるように、４つの照明装置６ａが用いられてもよい。より詳しくは、例えば、図９Ａに示されるように、４つの照明装置６ａは前後かつ左右に分かれた４箇所にそれぞれ配置されてもよい。また例えば、図９Ｂに示されるように、４つの照明装置６ａは一直線上に並ぶように配置されてもよい。また例えば、図９Ｃに示されるように、４つの照明装置６ａは前後の壁から間隔を空けた位置に配置されてもよい。

【0039】

また例えば、図１０Ａ，１０Ｂに示されるように、調整部６として５つの照明装置６ａが用いられてもよい。より詳しくは、例えば、図１０Ａに示されるように、５つの照明装置６ａのうちの４つの照明装置６ａは、前後かつ左右に分かれた４箇所にそれぞれ配置されてもよい。５つの照明装置６ａのうちの残りの１つの照明装置６ａは、カメラ４と上下方向に重なる位置に配置されてもよい。また例えば、５つの照明装置６ａのうちの４つの照明装置６ａは、前後の壁から間隔を空けた位置に配置されてもよい。５つの照明装置６ａのうちの残りの１つの照明装置６ａは、カメラ４と上下方向に重なる位置に配置されてもよい。

【0040】

（２ｃ）照明装置６ａは、移動可能であってもよい。例えば、照明装置６ａは、装置本体２の筐体の底面に設けられたレールをスライド可能に構成されていてもよい。また例えば、装置本体２の筐体の底面には、照明装置６ａを係止するための複数の係止部が設けられていてもよい。複数の係止部は、前後かつ左右に分かれた位置にそれぞれ設けられてもよい。照明装置６ａは複数の係止部のうちの任意の係止部に係止されてもよい。また、照明装置６ａは、手動で移動されてもよいし、自動で移動可能に構成されていてもよい。

【0041】

（２ｄ）上記実施形態において、調整部６として照明装置６ａが用いられる構成を例示した。しかし、調整部として明るさを調整する部材はこれに限定されるものではない。例えば、調整部１０６として、図１１に示されるように、遮蔽部５に設けられた、開度を変更可能なルーバー窓を有していてもよい。調整部１０６は、ルーバー窓の開度を変更して明るさを調整可能である。なお、ルーバー窓の開度とは、後述する開口部５１の開き具合のことである。

【0042】

調整部１０６は、遮蔽部５に設けられた、開口部５１と、回転軸５３を中心に回転する傾斜部５２とを有する。傾斜部５２の角度によって、開口部５１の開き具合が変更され、照射空間１００の外部から照射空間１００に入射する光の量を調整することができる。調整部１０６では、傾斜部５２によって、上方から照射されるレーザ光Ｌの開口部５１からの漏洩が抑制される。そのため、安全性の向上を促進しつつ、不要植物Ｐ２を照らす明るさを調整することができる。なお、ルーバー窓は、遮蔽部５の少なくとも１面に設けられればよい。また、開口部５１と傾斜部５２とは複数設けられてもよい。

【0043】

（２ｅ）遮蔽部５は、遮蔽部５と地面との距離を調整可能に構成されていてもよい。具体的には、図１２に示されるように、遮蔽部５は、下方に伸張可能な板８を備えていてもよい。このような構成によれば、走行中は、走行の邪魔にならないように地面から間隔を空けた位置に遮蔽部５の下端がある。一方、撮像時には、照射空間１００に外部から光が入らないように、板８により遮蔽部５と地面との間も遮蔽することができる。また、例えば、遮蔽部５は下方にカーテンを備えていてもよい。なお地面とは、車輪２１が移動する基準面のことである。

【0044】

（２ｆ）上記実施形態では、遮蔽部５は、前壁５ａと、右壁５ｂと、後壁５ｃと、左壁５ｄを備える構成を例示した。しかし、装置本体２により遮蔽部５の上方から照射空間１００に入る光が十分に遮られない場合、当該光が遮られるように天井が備えられてもよい。

【0045】

（２ｇ）上記実施形態では、装置本体２を移動させることが可能な移動機構を備える構成を例示した。しかし、装置本体２の移動形態は走行に限定されない。装置本体は、例えば、農地に設けられたレールにより案内される構成であってもよい。装置本体は、例えば、飛行により移動してもよい。また、装置本体２は、移動機構を備えない構成であってもよい。

【0046】

（２ｈ）上記実施形態における１つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を１つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。

【符号の説明】

【0047】

１…除草システム、２…装置本体、３…レーザ照射器、４…カメラ、５…遮蔽部、５ａ…前壁、５ｂ…右壁、５ｃ…後壁、５ｄ…左壁、６…調整部、６ａ，６ｂ…照明装置、７…制御装置、８…板、２１…車輪、５１…開口部、５２…傾斜部、６１…出力面、１００…照射空間、Ｌ…レーザ光、Ｐ１…農作物、Ｐ２…不要植物。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】