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特開2023-116354物品移載装置およびこの物品移載装置を備えたハンド装置の着脱装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116354
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】物品移載装置およびこの物品移載装置を備えたハンド装置の着脱装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/90 20060101AFI20230815BHJP
   B25J 15/04 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
B65G47/90 Z
B25J15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019117
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS12
3C707GS04
3C707NS26
3F072AA12
3F072GA01
3F072GA06
3F072GC04
3F072GC05
3F072GE07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】物品を適正な位置に安定した姿勢で移載することのできる物品移載装置を具現する。
【解決手段】物品を移載可能な帯状部材を、支持部材の上面側からこの支持部材の先端部で折り返して支持部材の下面側へ巻回し、物品に対する支持部材の進退移動と、この支持部材の上面に対する帯状部材の正逆方向への移動とによって物品を移載する物品移載装置であって、帯状部材の両端部を、支持部材の基部側に配置した回転部材に取り付け、この回転部材を回転させて帯状部材の一端側を繰り出しながら他端側を巻き取ることによって、支持部材の上面に対して帯状部材を移動させる構成とする。また、回転部材に対する帯状部材の一端側と他端側の巻き掛かり方向を逆方向に設定すると共に、回転部材の回転による帯状部材の一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを略同じ長さに設定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を移載可能な帯状部材を、支持部材の上面側から該支持部材の先端部で折り返して支持部材の下面側へ巻回し、物品に対する前記支持部材の進退移動と、この支持部材の上面に対する帯状部材の正逆方向への移動とによって物品を移載する構成とした物品移載装置であって、前記帯状部材の両端側を、前記支持部材の基部側に配置した単一の回転部材または同軸回転する複数の回転部材に取り付け、この回転部材を回転させて前記帯状部材の一端側を繰り出しながら他端側を巻き取ることによって、前記支持部材の上面に対して帯状部材を移動させる構成としたことを特徴とする物品移載装置。
【請求項2】
前記回転部材に対する帯状部材の一端側と他端側の巻き掛かり方向を逆方向に設定すると共に、前記回転部材の回転による帯状部材の一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを略同じ長さに設定した請求項1に記載の物品移載装置。
【請求項3】
前記帯状部材の両端側に幅狭部を形成し、これら幅狭部の夫々が、前記回転部材における回転軸心方向で異なる部位に巻き掛かる構成とした請求項1または請求項2に記載の物品移載装置。
【請求項4】
前記帯状部材の両端側に、切り欠き部と幅狭部を帯状部材の幅方向に隣接させて形成し、前記帯状部材の一端側に形成した切り欠き部の幅を、この帯状部材の他端側に形成した幅狭部の幅よりも大きく設定し、前記帯状部材の一端側の幅狭部と他端側の幅狭部の夫々が、前記回転部材における回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる構成とした請求項1または請求項2に記載の物品移載装置。
【請求項5】
前記帯状部材の両端側のうちの一方または両方を、前記回転部材の外周部に対して着脱自在な構成とした請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の物品移載装置。
【請求項6】
前記支持部材を物品の下面側に向けて進出させながら、前記帯状部材を支持部材の上面に対して正方向へ移動させてこの物品を掬い上げ、前記帯状部材を支持部材の上面に対して逆方向へ移動させながら、前記支持部材を物品の下面側から退避させて物品を降ろす構成とした請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の物品移載装置。
【請求項7】
前記帯状部材と支持部材と回転部材を備えたハンド装置を設け、このハンド装置をロボットアームのリスト部に対して着脱自在とする着脱装置を設け、この着脱装置には、ロボットアームのリスト部側に固定される保持部材と、ハンド装置側に固定される被保持部材とを備え、前記保持部材には、前記被保持部材を載置状態で横方向へスライド自在に支持するスライド支持部と、このスライド方向における所定の位置で前記被保持部材に係合する係合部と、この係合部が係合した位置で被保持部材を押圧してスライド不能に固定する固定部とを備えた請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の物品移載装置を備えたハンド装置の着脱装置。
【請求項8】
前記固定部に、回転操作によって前記被保持部材を押圧する第1操作具と、この第1操作具の回転をロックする第2操作具を備えた請求項7に記載の物品移載装置を備えたハンド装置の着脱装置。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品等の物品を移載する物品移載装置、および、この物品移載装置を備えたハンド装置を着脱するための着脱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば食品加工工場では、生肉等の塊状食品を切断装置によってその先端部から所定間隔で切断し、これによって所定の厚さに形成された複数の食品(薄肉片等の物品)を、手作業によってコンベア上から掬い上げ、食品用のトレーに盛り付ける。
トレーに盛り付けられて群を形成した食品は、このトレーごと包装され、食品の種類、計測された総重量や価格等のラベルが貼られて、商品として出荷される。
【0003】
近年、このような食品群の形成を自動化する試みがなされており、特許文献1には、コンベア上の食品をロボットアームに備えた吸着ヘッドによって採取して移動させ、これを繰り返して食品群を形成する技術が開示されている。
また、この食品群をハンド装置に備えた一対の把持部材で把持して採取し、トレーに盛り付ける技術が開示されている。
なお、このようなハンド装置は、ロボットアームのリスト部に対してボルト等の締結手段で固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6626411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような技術によって、例えば生肉のような油脂を含有する食品や粘着性を有する食品等の物品を吸着ないし把持して採取した場合、この物品が吸着ヘッドや把持部材に付着する。
このため、吸着や把持を解除しても物品が脱落しにくく、この採取した物品を適正な位置に安定した姿勢で置くことができにくくなる問題がある。
また、衛生上の問題等から、このようなハンド装置をリスト部から取り外して洗浄するような場合には、締結手段による締結を解除する工具を必要とし、ハンド装置の着脱を容易に行なうことができず、作業能率が低下する問題がある。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決し、採取した食品を適正な位置に安定した姿勢で置くことができる物品移載装置と、この物品移載装置を備えたハンド装置を容易に着脱することのできる着脱装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、物品を移載可能な帯状部材を、支持部材の上面側から該支持部材の先端部で折り返して支持部材の下面側へ巻回し、物品に対する前記支持部材の進退移動と、この支持部材の上面に対する帯状部材の正逆方向への移動とによって物品を移載する構成とした物品移載装置であって、前記帯状部材の両端側を、前記支持部材の基部側に配置した単一の回転部材または同軸回転する複数の回転部材に取り付け、この回転部材を回転させて前記帯状部材の一端側を繰り出しながら他端側を巻き取ることによって、前記支持部材の上面に対して帯状部材を移動させる構成としたことを特徴とする物品移載装置とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記回転部材に対する帯状部材の一端側と他端側の巻き掛かり方向を逆方向に設定すると共に、前記回転部材の回転による帯状部材の一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを略同じ長さに設定した請求項1に記載の物品移載装置とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記帯状部材の両端側に幅狭部を形成し、これら幅狭部の夫々が、前記回転部材における回転軸心方向で異なる部位に巻き掛かる構成とした請求項1または請求項2に記載の物品移載装置とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記帯状部材の両端側に、切り欠き部と幅狭部を帯状部材の幅方向に隣接させて形成し、前記帯状部材の一端側に形成した切り欠き部の幅を、この帯状部材の他端側に形成した幅狭部の幅よりも大きく設定し、前記帯状部材の一端側の幅狭部と他端側の幅狭部の夫々が、前記回転部材における回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる構成とした請求項1または請求項2に記載の物品移載装置とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記帯状部材の両端側のうちの一方または両方を、前記回転部材の外周部に対して着脱自在な構成とした請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の物品移載装置とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記支持部材を物品の下面側に向けて進出させながら、前記帯状部材を支持部材の上面に対して正方向へ移動させてこの物品を掬い上げ、前記帯状部材を支持部材の上面に対して逆方向へ移動させながら、前記支持部材を物品の下面側から退避させて物品を降ろす構成とした請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の物品移載装置とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記帯状部材と支持部材と回転部材を備えたハンド装置を設け、このハンド装置をロボットアームのリスト部に対して着脱自在とする着脱装置を設け、この着脱装置には、ロボットアームのリスト部側に固定される保持部材と、ハンド装置側に固定される被保持部材とを備え、前記保持部材には、前記被保持部材を載置状態で横方向へスライド自在に支持するスライド支持部と、このスライド方向における所定の位置で前記被保持部材に係合する係合部と、この係合部が係合した位置で被保持部材を押圧してスライド不能に固定する固定部とを備えた請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の物品移載装置を備えたハンド装置の着脱装置とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記固定部に、回転操作によって前記被保持部材を押圧する第1操作具と、この第1操作具の回転をロックする第2操作具を備えた請求項7に記載の物品移載装置を備えたハンド装置の着脱装置とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の物品移載装置によれば、物品を適正な位置に安定した姿勢で移載することができる。
また、この物品移載装置を備えたハンド装置の着脱装置によれば、ハンド装置の着脱を容易に行なうことができ、作業能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置を装着するロボットアームの説明用側面図。
図2】実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置を装着するロボットアームの説明用平面図。
図3】第1実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用左側面図。
図4】第1実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用右側面図。
図5】第1実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用平面図。
図6】第1実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用底面図。
図7】第1実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用背面図。
図8】帯状部材の第1実施例の平面図。
図9】帯状部材の第2実施例の平面図。
図10】第1実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置による盛り付けシステムのブロック図。
図11】(a)は第1実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置による盛り付け開始状態の説明図、(b)は盛り付け終了時の状態の説明図。
図12】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用左側面図。
図13】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用右側面図。
図14】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用平面図。
図15】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用底面図。
図16】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用背面図。
図17】第2実施形態における一部の作用状態を示す図であって、(a)は薄肉群の両端部を折り畳む前の状態の説明用正面図、(b)は薄肉群の両端部を折り畳んだ状態の説明用正面図。
図18】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置による盛り付けシステムのブロック図。
図19】(a)は第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置による盛り付け開始状態の説明図、(b)は盛り付け途中の状態の説明図。
図20】第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用左側面図。
図21】第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用平面図。
図22】第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用概略正面図。
図23】第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用概略背面図。
図24】第3実施形態の物品移送装置を備えたハンド装置の一部の説明用正面図。
図25】(a)は第3実施形態の物品移送装置を備えたハンド装置の一部の説明用正面図、(b)はハンド装置の一部の拡大図。
図26】第3実施形態の物品移送装置を備えたハンド装置の一部の説明用側面図。
図27】第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置による盛り付けシステムのブロック図。
図28】物品(薄肉)の採取開始初期の状態を模式的に示す平面図、側面図、正面図であって、(a)は待機状態の説明図、(b)は採取開始状態の説明図、(c)は掬い上げ途中状態の説明図。
図29図28(c)に続き、物品(薄肉)の採取完了までの状態を模式的に示す平面図、側面図、正面図であって、(d)は掬い上げ完了状態の説明図、(e)は物品を抱え込む状態の説明図、(f)は物品を採取し移動を開始する状態の説明図。
図30図29(f)に続き、採取した物品(薄肉)を移動させた後に所定位置へ置くまでの状態を模式的に示す平面図、側面図、正面図であって、(g)は物品の抱え込みを解除した状態の説明図、(h)は物品を所定位置へ置き始めた状態の説明図、(i)は物品を所定の位置へ置いた状態の説明図。
図31図30(i)に続き、物品(薄肉)を所定位置へ置いた後に、この物品から掬い上げ部を退避させた状態を模式的に示す平面図、側面図、正面図であって、(j)は物品を置き終えた状態の説明図、(k)は物品から掬い上げ部を退避させた状態の説明図。
図32】(a)は実施形態における盛り付け領域の説明図、(b)は物品(薄肉)を捻って置いた状態の説明用平面図。
図33】(a)~(c)は、物品(薄肉)が盛り付け領域に行列配置されていく状態を示す説明図。
図34】着脱装置の平面図。
図35】着脱装置の底面図。
図36】着脱装置の一部を断面して示す背面図。
図37】着脱装置の右側面図。
図38】着脱装置の左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に詳述する実施形態において、対象とする物品を、チルド状態の塊状肉をスライサー1によってスライスした生の薄肉Eとして説明する。
また、この薄肉Eは、スライサー1によって、切断後に二つに折り畳まれたものとしてもよい。
なお、この物品は、薄肉Eに限定されず、他の食品であってもよく、柔軟性や粘着性を有する食品生地や、食品以外の工業製品等であってもよい。
【0018】
(第1搬送装置及び第2搬送装置)
図1図2に示すように、スライサー1から切り出された薄肉Eは、そのX軸方向における長さ(幅)が、そのY軸方向における長さよりも長い状態で、第1搬送装置2におけるベルト3の搬送面3a上に載置される。
食品盛り付け装置4は、第1搬送装置2に対して、その下流側の左側の位置に配置するが、この位置に限定されない。
【0019】
第1搬送装置2は、従動ローラ群と駆動ローラ(共に図示省略)にわたって無端状のベルト3を巻回したベルトコンベアとする。
この第1搬送装置2の終端側には、第1搬送装置2の搬送方向と平面視で直交し、左右方向に延在した第2搬送装置5を配置する。
この第2搬送装置5は、後述するように食品用のトレー6を第1搬送装置2の搬送終端に臨む待機位置へ搬送するものであり、従動スプロケットと駆動スプロケット(共に図示省略)にわたって無端状のチェーン7を巻回したチェーンコンベアとする。
なお、この第2搬送装置5を、トレー6を載置状態で搬送するベルト式のコンベアとしてもよい。
【0020】
また、第1搬送装置2のベルト3は、図8に示すサーボモータ8によって駆動される。
このサーボモータ8の回転位相は、エンコーダ9により検出され、この検出値がスライサーコントローラ10に入力される。
【0021】
(カメラ)
また、図1及び図2に示すように、採取位置Tよりも上流側の上方の位置に、採取位置Tに搬送される前(採取される前)の搬送面3a上の薄肉Eを撮像するカメラ11を配置する。
【0022】
(ロボットアーム)
図1図2に示すように、食品盛り付け装置4は、ロボットアーム12を備えたロボットである。
このロボットアーム12は、複数の能動関節の軸J1~J6を中心として、全体の旋回および各部の回動を自在とする。
図10に示すように、この能動関節の軸J1~J6の全てに、サーボモータ13~18を備え、これらのサーボモータ13~18のそれぞれに、回転位置検出器としてのエンコーダ19~23Sを備える。
【0023】
また、このロボットアーム12は、基台25、旋回ベース26、ロアアーム27、アッパアーム28、リスト29、及びハンド取付座30から構成する。
基台25は、加工工場のフロアまたはスライサー1側に連結された支持台24上に固定し、この基台25には、鉛直方向の軸J1周りに旋回ベース26を旋回自在に設ける。
この旋回ベース26には、水平方向の軸J2周りにロアアーム27を上下回動自在に軸支し、このロアアーム27の上端には、水平方向の軸J3周りにアッパアーム28の基部28aを上下方回動自在に軸支する。
【0024】
基部28aの先端に取り付ける回転体28bは、基部28aの軸線に沿う軸J4の周りに回転自在に支持する。なお、軸J4は、軸J3と直交する。
回転体28bの先端には、リスト29を横方向の軸J5周りに回動自在に支持する。この軸J5は、軸J4と直交する。
リスト29の先端には、ハンド取付座30を上下方向の軸J6周りに旋回自在に装着する。
【0025】
各軸J1~J6に備えたサーボモータ13~18は、後述する食品盛り付け制御装置31のロボットコントローラ34からの出力によって駆動する。
【0026】
(盛り付け領域R)
図2に示すように、第2搬送装置5によって搬送され、第1搬送装置2の終端よりも下流側に離間する位置に待機させたトレー6の底面上に、盛り付け領域Rを設定する。
また、この盛り付け領域Rを設定する位置は、トレー6の底面上以外に、スライサー1周辺の固定位置など、適宜の位置に設定可能とする。
この盛り付け領域R内に複数の薄肉Eが置かれることで、薄肉Eの群(物品群)が形成される。
【0027】
(方向の定義)
なお、上述の第1搬送装置2の搬送方向において、スライサー1側を上流側とし、その反対側を下流側とする。
図において、「-Y」は上流側の方向を示し、「+Y」は下流側の方向を示す。
「+X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での右手側の方向を示し、「-X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での左手側の方向を示す。
「-Z」は下方向、「+Z」は上方向を示す。
X、Y、Zで示す方向は相互に直交し、それぞれが三次元座標軸となる。
【0028】
(盛り付け領域Rにおける行と列の定義)
上述の盛り付け領域Rにおいて、薄肉Eを盛り付け領域Rの一端から他端まで連続的に盛り付けていく方向を「行」と定義し、この「行」と直交する方向を「列」と定義する。
これにより、薄肉Eが1つの行に全て置かれた後に、次の行頭への盛り付けが開始され、これを反復して、盛り付け領域R内の全ての行および全ての列に、盛り付けを完了する。
なお、本実施形態においては、X軸方向に「行」を設定し、Y軸方向に「列」を設定する。これにより、複数の「行」がY軸方向に間隔をおいて平行に並ぶ。
【0029】
(移載装置およびハンド装置の第1実施形態)
図3図7に第1実施形態のハンド装置33を示す。
左右の側板100L,100Rにおける前後方向中間部の間を丸棒状の連結部材103で連結して枠組みする。
平面視で矩形に形成した支持板(請求項の「支持部材」)101の後端部から起立する左右の起立部102L,102Rの各外側面を、左右の側板100L,100Rの前端部における内側面間に当接させた状態で固定する。
これによって、支持板101の前端部(請求項の「先端部」)は、左右の側板100L,100Rに対して大きく前方へ突出する。
図6に示すように、この支持板101の下面には、撓みや振動を抑えるための3条の補強プレート101Sを固着する。
【0030】
また、左右の側板100L,100Rの後端部間には、回転枠体(請求項の「回転部材」)104の回転軸104Aの両端部を、ベアリング104AB,104ABを介して回転自在に軸受する。
この回転枠体104は、回転軸104Aの両端部に円形の支持盤104Bを固定し、これら左右の支持盤104B,104Bの間に複数の棒状部材104Cを溶接固定して構成する。
この棒状部材104Cは、回転軸104Aを中心とする円弧上に、この回転軸104Aと平行な姿勢で、かつ、略等しいピッチで配置する。
【0031】
また、図7に示すように、一部の棒状部材104Cを短尺に形成して係止用棒状部材104CL,104CRとし、左右の支持盤104B,104Bの夫々の内側面から内側方へ突出する姿勢で、その基部を支持盤104B,104Bの内側面に固定する。
そして、テンションアーム105Aの前端部に、テンションローラ105を支持軸105Sで回転自在に軸支し、このテンションアーム105Aの後端部を、上述の回転軸104Aと同軸心で上下揺動自在に支持する。
なお、テンションアーム105Aは、右側の側板100Rの内側面に沿わせて配置する。
【0032】
また、支持軸105Sの右側端部を、テンションアーム105Aを貫通させて外側へ突出させ、この突出端部を、上述の右側の側板100Rの前部に形成した上下方向の切り欠き溝105Cに侵入させる。
そして、支持軸105Sの突出端部に雌螺子部材105Dを螺合し、この雌螺子部材105Dの回転操作によってテンションアーム105Aと右側の側板100Rとを締結固定する。
この雌螺子部材105Dを逆方向に回転操作して締結状態を緩め、テンションアーム105Aを揺動操作して、テンションローラ105の上下位置を調節することができる。
【0033】
また、右側の側板100Rの外側面に伝動ケース100R1を取り付け、この伝動ケース100R1の右側面にサーボモータ100R2を取り付ける。
そして、図4に示すように、伝動ケース100R1の内部において、サーボモータ100R2の出力軸に固定した出力ギヤ100R3と、上述の回転軸104Aの突出端部に固定した入力ギヤ100R4とを噛み合わせる。
【0034】
また、図7に示すように、右側の側板100Rの後部を上方へ延在させた後に左側方へ屈折させて延在させ、取付部100R5を形成する。
この取付部100R5の上面に、側面視において直角三角形状のスペーサ100R6の底辺部を固定し、このスペーサ100R6の斜面部とロボットアーム12側のハンド取付座30との間に、後述する着脱装置400を設ける。
この着脱装置400によって、ハンド装置33がロボットアーム12のリスト29に装着される。
【0035】
(第1実施例のベルトとその巻回し構成)
図8に示すように、薄肉Eを移載可能な帆布等でベルト(請求項の「帯状部材」)106を形成し、このベルト106の両端側に、切り欠き部106Sと幅狭部106Tをベルト106の幅方向に隣接させて形成する。
そして、このベルト106の一端側に形成した切り欠き部106Sの幅B1を、このベルト106の他端側に形成した幅狭部106Tの幅B2よりも大きく設定する。
同様に、ベルト106の他端側に形成した切り欠き部106Sの幅A2を、このベルト106の一端側に形成した幅狭部106Tの幅A1よりも大きく設定する。
【0036】
しかして、図5図6に示すように、このベルト106の一端側の幅狭部106Tの端部に形成したループ状の係合部106Rを、上述の右側の係止用棒状部材104CRに貫通状態で装着する。
そして、このベルト106の他端側を、支持板101の上面側から、この支持板101の先端部で折り返して支持板101の下面側へ巻回す。
さらに、この他端側の幅狭部106Tの端部に形成したループ状の係合部106Lを、左側の係止用棒状部材104CLに貫通状態で装着する。
【0037】
これにより、ベルト106の一端側の幅狭部106Tと他端側の幅狭部106Tが、互いの間に左右方向の隙間106Qを形成した状態で、回転枠体104における回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる。
すなわち、ベルト106の一端側の幅狭部106Tと他端側の幅狭部106Tの巻き取り・繰り出しにおいて、互いの干渉が防止される。
【0038】
なお、図7に示すように、回転枠体104に対するベルト106の一端側の幅狭部106Tの巻き掛け方向と他端側の幅狭部106Tの巻き掛け方向を逆方向とし、回転枠体104の回転によるベルト106の一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを略同じ長さに設定する。
すなわち、ベルト106の両端側のいずれか一方が所定長さだけ巻き取られ、いずれか他方がこの所定長さだけ繰り出される関係に設定する。
【0039】
なお、図5に示すように、回転枠体104の直前の位置において、ベルト106の一端側の幅狭部106Tの上面にテンションローラ105を当接させ、ベルト106に張力を与える。
このテンションローラ105の上下位置を調節することにより、ベルト106の張力を調節することができ、また、作業によって生じるベルト106の伸びを吸収することができる。
【0040】
以上の支持板101、回転枠体104、ベルト106、サーボモータ100R2等により、ハンド装置33としての薄肉Eの移載装置107が構成される。
【0041】
(帯状部材の第2実施例)
図9にベルト106の第2実施例を示す。
すなわち、ベルト106の一端側の左右方向中央部を切り欠いて単一の切り欠き部106Sを形成し、この単一の切り欠き部106Sの左右両側に、左右の幅狭部106T,106Tを形成する。
また、ベルト106の他端側の左右両側部を切り欠いて左右の切り欠き部106S,106Sを形成し、この左右の切り欠き部106S,106Sの間に単一の幅狭部106Tを形成する。
そして、このベルト106の一端側に形成した切り欠き部106Sの幅B1を、このベルト106の他端側に形成した幅狭部106Tの幅B2よりも大きく設定する。
同様に、ベルト106の他端側に形成した左右の切り欠き部106S,106Sの幅A2を、このベルト106の一端側に形成した左右の幅狭部106Tの幅A1よりも大きく設定する。
【0042】
これにより、ベルト106の一端側の左右の幅狭部106T,106Tと他端側の単一の幅狭部106Tが、互いの間に左右方向の隙間106Qを形成した状態で、回転枠体104における回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる。(この状態は図示省略している。)
したがって、ベルト106の一端側の左右の幅狭部106T,106Tと他端側の幅狭部106Tの巻き取り・繰り出しにおいて、互いの干渉が防止される。
【0043】
(盛り付けシステムのブロック回路)
図10に示すように、演算部、記憶部等を備えたロボットコントローラ34に対して、その入力側に、上述のエンコーダ19~23S、および上述のサーボモータ100R2に備えたエンコーダ100R2Eと、カメラ11を接続する。
一方、ロボットコントローラ34の出力側には、上述のサーボモータ13~18と、サーボモータ100R2を連繋する。
なお、図示を省略しているが、ロボットコントローラ34の出力側には、各サーボモータ13~18およびサーボモータ100R2を作動させる個別のリレー回路が介在している。
【0044】
一方、スライサー1側のスライサーコントローラ10には、その入力側に上述のエンコーダ9を接続し、その出力側は上述のサーボモータ8を接続する。
なお、スライサー1の作動制御に関する他のセンサー類およびアクチュエータ類は図示を省略している。
そして、ロボットコントローラ34とスライサーコントローラ10を、通信線SLを介して接続する。
以上により、食品盛り付け制御装置31が構成される。
【0045】
(盛り付け制御)
図2に示すように、スライサー1によって塊状肉が所定の厚さに切断され、切断された複数の薄肉Eが、第1搬送装置2におけるベルト3の搬送面3a上に一部ずつ重なるようにして順次載置され、薄肉群E1が形成される。この薄肉群E1は、ベルト3の駆動速度制御によって所定の間隔をおいて順次形成される。なお、この薄肉群E1を形成する各薄肉Eを、二つに折り畳まれたものとしてもよい。
ここで、カメラ11による撮像結果から得られた薄肉群E1の大きさに基づき、薄肉群E1の-Y側の端部におけるX軸方向での中心位置を、目標点B(図2参照)として設定する。または、薄肉群E1全体の面積重心位置を目標点Bとして設定してもよい。
【0046】
そして、ベルト3の駆動によって、この薄肉群E1が採取位置Tに到達したときに、ベルト3を一時的に停止させると共に、スライサーコントローラ10からロボットコントローラ34へ採取開始信号を出力する。
この採取信号がロボットコントローラ34へ入力されると、サーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12の各能動関節等を制御し、リスト29に装着されたハンド装置33を移動制御する。
【0047】
すなわち、ハンド装置33に備えた移載装置107の先端部におけるベルト106の幅方向での中心点が、上述の目標点B(薄肉群E1における幅方向(X軸方向)での中心位置)に一致するように、ハンド装置33をY軸方向に沿って-Y側から+Y側へ移動させ、移載装置107を薄肉群E1側へ進出させる。
このとき、ロボットコントローラ34からサーボモータ100R2へ出力がなされ、ベルト106が正方向へ駆動されて薄肉群E1を掬い上げた後、このベルト106の駆動を停止する。
【0048】
そして、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12の各能動関節等を制御し、ハンド装置33を、一旦上昇させた後に、トレー6の底部上面に形成された盛り付け領域R上の1列目の設定位置へ移動させる。
この設定位置において、ハンド装置33を+Y方向へ向けた姿勢のままで下降させ、移載装置107のベルト106を逆方向へ駆動しながら、ハンド装置33を-Y方向へ移動させる。
これによって、図11(a)に示すように、1列目の薄肉群E1が移載される。
【0049】
このような移載動作を、盛り付け領域R上で隣接する2列目の設定位置に対しても行なうことで、図11(b)に示すように、2列目の薄肉群E1が1列目の薄肉群E1の一部に重なるようにして盛り付けが完了する。
なお、第2搬送装置5は、トレー6への薄肉群E1の盛り付けが完了するまでは、このトレー6の搬送を停止している。
そして、トレー6への薄肉群E1の盛り付けが完了した後に、第2搬送装置5を駆動してこのトレー6を搬出し、次の空のトレーを上述の待機位置まで送り出す。
【0050】
(移載装置およびハンド装置の第2実施形態)
図12図16に第2実施形態のハンド装置33を示す。
図15に示すように、左右の側板200L,200Rにおける前後方向中間部の間を、上下の丸棒状の連結部材201U,201Dで連結して枠組みする。
平面視で矩形に形成した上側の支持板(請求項の「支持部材」)202Uの後端部から起立する左右の起立部203UL,203URの各外側面を、左右の側板200L,200Rの前端部における内側面間に当接させた状態で固定する。
【0051】
また、平面視で矩形に形成した下側の支持板(請求項の「支持部材」)202Dの後端部から垂下する左右の垂下部203DL,203DRの各外側面を、左右の側板200L,200Rの前端部における内側面間に当接させた状態で固定する。
これによって、上側の支持板202Uと下側の支持板202Dは、所定の隙間をおいて平行な姿勢で配置される。
【0052】
また、上側の支持板202Uと下側の支持板202Dの各前端部(請求項の「先端部」)は、左右の側板200L,200Rに対して大きく前方へ突出する。
なお、図12図13に示すように、上側の支持板202Uの前端部が、下側の支持板202Dの前端部よりも前方に延在する。
【0053】
また、左右の側板200L,200Rにおける前後方向中間部の間には、上側の回転枠体(請求項の「回転部材」)204Uの回転軸205Uと、下側の回転枠体(請求項の「回転部材」)204Dの回転軸205Dの各両端部を、ベアリング206,206を介して回転自在に軸受する。
これら上下の回転枠体204U,204Dは、各回転軸205U,205Dの両端部に円形の支持盤207UL,207UR,207DL,207DRを固定する。
【0054】
これら上側の左右の支持盤207UL,207URの間、および下側の左右の支持盤207DL,207DRの間に、上側の複数の棒状部材208Uと下側の複数の棒状部材208Dの夫々を溶接固定して構成する。
この棒状部材208U,208Dの夫々は、回転軸205U,205Dを中心とする円弧上に、この回転軸205U,205Dと平行な姿勢で、かつ、略等しいピッチで配置する。
【0055】
また、図12図16に示すように、上下の回転枠体204U,204Dにおいて、左側の支持盤207UL,207DLの外周部の一部を切り欠き、切り欠き部207USP,207DSPを形成する。
そして、棒状部材208U,208Dのうちの一つの係止用棒状部材208UK,208DKを片持ち状態とし、この係止用棒状部材208UK,208DKの先端部を、上述の切り欠き部207USP,207DSPの夫々に臨ませる。
この切り欠き部207USP,207DSPと係止用棒状部材208UK,208DKの先端部との間の隙間を介して、上下のベルト106,106の着脱が行なえる構成とする。
【0056】
また、図12図14図15に示すように、上下のテンションアーム209U,209Dの各前端部に、上下のテンションローラ210U,210Dを支持軸211US,211DSで回転自在に軸支する。
この上下のテンションアーム209U,209Dの後端部は、上述の上下の回転軸205U,205Dと同軸心で上下揺動自在に支持する。
なお、上下のテンションアーム209U,209Dは、右側の側板200Rの内側面に沿わせて配置する。
【0057】
また、支持軸211US,211DSの右側端部を、各テンションアーム209U,209Dを貫通させて外側へ突出させ、各突出端部を、上述の右側の側板200Rの前部に形成した上方向および下方向の上下の切り欠き溝212UC,212DCに夫々侵入させる。
そして、各支持軸211US,211DSの突出端部に雌螺子部材213UC,213DCを螺合し、各雌螺子部材213UC,213DCの回転操作によって各テンションアーム209U,209Dと右側の側板200Rとを締結固定する。
この各雌螺子部材213UC,213DCを逆方向に回転操作して締結状態を緩め、テンションアーム209U,209Dを揺動操作して、各テンションローラ210U,210Dの上下位置を調節することができる。
【0058】
また、右側の側板200Rの外側面に伝動ケース200R1を取り付け、この伝動ケース200R1の右側面にサーボモータ200R2を取り付ける。
そして、図13に示すように、伝動ケース200R1の内部において、サーボモータ200R2の出力軸に固定した出力ギヤ200R3と、上述の上側の回転軸205Uの突出端部に固定した入力ギヤ200RUとを噛み合わせる。
また、この入力ギヤ200RUと、下側の回転軸205Dの突出端部に固定した入力ギヤ200RDとを噛み合わせる。
これにより、サーボモータ200R2の出力によって、上側の回転軸205Uと下側の回転軸205Dとが逆方向に回転駆動される。
【0059】
また、図16に示すように、右側の側板200Rの後部を上方へ延在させた後に左側方へ屈折させて延在させ、取付部200R5を形成する。
この取付部200R5の上面に、側面視において直角三角形状のスペーサ200R6の底辺部を固定し、このスペーサ200R6の斜面部とロボットアーム12側のハンド取付座30との間に、後述する着脱装置を設ける。
この着脱装置によって、ハンド装置33がロボットアーム12のリスト29に装着される。
【0060】
(ベルトの巻回し構成)
しかして、図8に示したものよりも幅狭に形成した2つのベルト106,106を使用し、図15図16に示すように、この上側のベルト106の一端側の幅狭部106Tの端部に形成したループ状の係合部106Rを、上述の上側の係止用棒状部材208UKの基部側の部位に貫通状態で装着する。
そして、この上側のベルト106の他端側を、上側の支持板202Uの上面側から、この支持板202Uの先端部で折り返して支持板202Uの下面側へ巻回す。
さらに、この他端側の幅狭部106Tの端部に形成したループ状の係合部106Lを、上側の係止用棒状部材208UKの先端側の部位に貫通状態で装着する。
【0061】
これにより、ベルト106の一端側の幅狭部106Tと他端側の幅狭部106Tが、互いの間に左右方向の隙間106Qを形成した状態で、上側の回転枠体204Uにおける回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる。
すなわち、ベルト106の一端側の幅狭部106Tと他端側の幅狭部106Tの巻き取り・繰り出しにおいて、互いの干渉が防止される。
【0062】
なお、図12図15に示すように、上側の回転枠体204Uに対するベルト106の一端側の巻き掛け方向と他端側の巻き掛け方向を逆方向とし、回転枠体204の回転によるベルト106の一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを略同じ長さに設定する。
すなわち、上側のベルト106の両端側のいずれか一方が所定長さだけ巻き取られ、いずれか他方がこの所定長さだけ繰り出される関係に設定する。
【0063】
なお、図12に示すように、上側の回転枠体204Uの直前の位置において、ベルト106の一端側の幅狭部106Tの上面に上側のテンションローラ210Uを当接させ、ベルト106に張力を与える。
このテンションローラ210Uの上下位置を調節することにより、ベルト106の張力を調節することができ、また、作業によって生じるベルト106の伸びを吸収することができる。
【0064】
なお、以上は上側のベルト106の巻回し構成について説明したが、下側のベルト106の巻回し構成については、この上側のベルト106の巻回し構成と上下対称であるため説明を省略する。
以上により、移載装置200が構成される。
【0065】
また、図12図13図17に示すように、スペーサ200R6の前面に側面視でクランク形状に屈折した吊持部材220の基部を固定し、この吊持部材220の先端部(前端部)に、折り畳み装置221を取り付ける。
まず、側面視で下向きコ字状に形成した支持枠体221Aの内部に、左右のエアシリンダ221L,221Rを、前後方向の位置をずらせて固定する。
【0066】
すなわち、右側のエアシリンダ221Rは、左側のエアシリンダ221Lよりも後側に偏倚した位置に配置されている。
この左側のエアシリンダ221Lの上下のピストン221LP,221LPは、右側方へ延在し、その先端部に固定したプレート221LTに、スペーサ221LSを介して平面視L字形状の作動板221LAを固定する。
また、右側のエアシリンダ221Rの上下のピストン221RP,221RPは、左側方へ延在し、その先端部に固定したプレート221RTに、スペーサ221RSを介して平面視L字形状の作動板221RAを固定する。
これら左右の作動板221LA,221RAの夫々には、上下方向の長孔221L1,221R1を形成する。
【0067】
そして、支持枠体221Aに対して逆T字形状の支持板221X1の上部を固定し、この支持板221X1の下辺部の左右両端に、左右の支点軸221LJ,221RJを介して左右の回動アーム221LM,221RMの上部に形成した内側突出端部を回動自在に軸着する。
さらに、左右の回動アーム221LM,221RMの各上端部に固定したピン221L1P,221R1Pを、左右の作動板221LA,221RAの夫々に形成した長孔221L1,221R1に挿通させる。
そして、左右の回動アーム221LM,221RMの各下端部内側面に、夫々内側方へ延在する左右の支持部材221LSP,221RSPの基部を固定し、この左右の支持部材221LSP,221RSPの上面に、前後方向に沿う左右各3本の細い棒状部材221LSB,221RSBを固定する。
【0068】
以上の構成により、左右のエアシリンダ221L,221Rのピストン221LP,221RPが短縮作動すると、左右の回動アーム221LM,221RMが互いの間隔を拡大するように回動して開き、左右の棒状部材221LSB,221RSBは移載装置200の下側から外側方へ退避する。
この状態では、移載装置200上に支持されている薄肉群E1の左右両端部が垂れ下がる。(図17(a)参照)
【0069】
そして、左右のエアシリンダ221L,221Rのピストン221LP,221RPが伸長作動すると、左右の回動アーム221LM,221RMが互いの間隔を縮小するように回動して閉じ、左右の棒状部材221LSB,221RSBは移載装置200の下面へ接近する。
これによって、移載装置200に支持されることで垂れ下がっていた薄肉群E1の左右両端部が、この移載装置200の下面側へ持ち上げられ、この薄肉群E1の左右両端部が折り畳まれる。(図17(b)参照)
【0070】
以上の移載装置200と折り畳み装置221等により、ハンド装置33が構成される。
【0071】
(盛り付けシステムのブロック回路)
図18に示すように、図10のブロック図におけるロボットコントローラ34の出力側に連携したサーボモータ100R2に替えて、左右のエアシリンダ221L,221Rとサーボモータ100R2を連携する。
また、ロボットコントローラ34の入力側に接続したエンコーダ100R2Eに加えて、左右のエアシリンダ221L,221Rの伸縮位置を検出する左右のポジションセンサ(ないしストロークセンサ)222L,222Rを接続する。
【0072】
(盛り付け制御)
上述の第1実施形態と同様に、ベルト3の駆動によって、薄肉群E1が採取位置Tに到達したときに、ベルト3を一時的に停止させると共に、スライサーコントローラ10からロボットコントローラ34へ採取開始信号を出力する。
この採取信号がロボットコントローラ34へ入力されると、サーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12の各能動関節等を制御し、リスト29に装着されたハンド装置33を移動制御する。
【0073】
すなわち、ハンド装置33に備えた移載装置200の先端部における上側のベルト106の幅方向での中心点が、目標点B(薄肉群E1における幅方向(X軸方向)での中心位置)に一致するように、ハンド装置33をY軸方向に沿って-Y側から+Y側へ移動させ、移載装置200を薄肉群E1側へ進出させる。
このとき、ロボットコントローラ34からサーボモータ200R2へ出力がなされ、上側のベルト106が正方向へ駆動されて(このとき下側のベルト106は上側のベルト106に対して逆方向へ駆動される)、薄肉群E1を掬い上げた後、このベルト106の駆動を停止する。
【0074】
そして、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12の各能動関節等を制御し、ハンド装置33を、一旦上昇させた後に、トレー6の底部上面に形成された盛り付け領域R上の1列目の設定位置へ移動させる。
この間に、ロボットコントローラ34から左右のエアシリンダ221L,221Rへ出力がなされ、左右のエアシリンダ221L,221Rのピストン221LP,221RPが伸長作動する。
【0075】
これによって、左右の回動アーム221LM,221RMが互いの間隔を縮小するように回動して閉じ、左右の棒状部材221LSB,221RSBは移載装置200の下面へ接近する。
これにより、移載装置200に支持されて垂れ下がっていた薄肉群E1の左右両端部が、この移載装置200の下面側へ持ち上げられ、この薄肉群E1の左右両端部が折り畳まれる。
【0076】
そして、この設定位置において、ハンド装置33を+Y方向へ向けた姿勢のままで下降させ、移載装置200のベルト106を逆方向へ駆動しながら、ハンド装置33を-Y方向へ移動させる。
これによって、図19(a)に示すように、1列目の薄肉群E1が、その両端部を下側に折り畳まれた状態で移載される。
【0077】
このような移載動作を、盛り付け領域R上で隣接する2列目の設定位置に対しても行なうことで、図19(b)に示すように、2列目の薄肉群E1が、その両端部を下側に折り畳まれた状態で、1列目の薄肉群E1の一部に重なるようにして盛り付けが完了する。
【0078】
(移載装置およびハンド装置の第3実施形態)
図20図23に第3実施形態のハンド装置33を示す。
このハンド装置33は、枠体36を基体として構成する。
この枠体36の上部には、後述する着脱装置を介してハンド取付座30の下面に装着するための取付板35を固定する。
【0079】
(掬い上げ部)
図20図21に示すように、枠体36の内側部には、Y軸方向に伸縮作動する電動シリンダ37のシリンダ部を固定し、この電動シリンダ37の作動ロッド37Aの先端部に、支持部材38を介して駆動ケース39を取り付ける。
これにより、電動シリンダ37は、ハンド装置33の上部に配置され、水(スライサー1洗浄時の洗浄水等)や肉屑の影響を受けにくくなる。
【0080】
また、この駆動ケース39は、支持部材38の前面から前方へ突出し、その左外側面に、内部のサーボモータ39Mによって回転駆動される出力軸39Sに取り付けた回転盤(請求項の「回転部材」)39Dを配置する。
この回転盤39Dの外周部における出力軸39Sを中心とした円弧軌跡上に、8本のピン39Pの基部を片持ち状態で固定し、このピン39Pの先端部を左側へ延在させる。
これらのピン39Pのうち、隣接する2本のピン39PS,39PSをベルト係止用の係止ピンとする。
また、駆動ケース39の左側面における回転盤39Dの前側の部位に、上下の案内ローラ39R,39Rを回転軸39RS,39RSで回転自在に軸支する。
【0081】
また、駆動ケース39の下部左側面に支持ステー40の基部を固定し、この支持ステー40の先端部を前方へ突出させる。
この支持ステー40の先端部(前端部)を斜め上方へ屈折させると共に、この屈折端部に前下がり傾斜した面を形成し、この面に、幅狭の矩形に形成した支持板41(請求項の「支持部材」)の基部を沿わせて固着する。
これにより、支持板41は、所定の角度で下がり傾斜した姿勢で延在し、駆動ケース39側に支持される。
【0082】
また、この支持板41の先端部(延在端部)は下面側へ折り返し、この折り返し端部(実質的に支持板41の先端となる)に曲面を形成する。
そして、支持板41の左右幅と同等の幅に形成した樹脂製のベルト(請求項の「帯状部材」)106の両端部にループ状の係止部を形成し、一端側の係止部を一方の係止ピン39PSに係止する。
【0083】
このベルト106を、上側の案内ローラ39Rの上側周面から支持板41の上面に沿わせて支持した後、この支持板41の先端で下面側へ折り返す。
折り返したベルト106の他端側の部位は、支持板41の下面に略沿わせ、下側の案内ローラ39Rの上側周面から複数のピン39Pの外周側の部位を経て、その他端側の係止部を他方の係止ピン39PSに係止する。
【0084】
以上により、移載装置100が構成され、電動シリンダ37が伸縮作動すると、作動ロッド37Aの先端部に支持された駆動ケース39が、Y軸方向に往復移動する。
【0085】
また、サーボモータ39Mが駆動されると、ベルト106が正逆方向に往復移動する。
すなわち、図20において、サーボモータ39Mの駆動によって回転盤39Dが反時計方向に回転すると、前側の係止ピン39PSに係止されたベルト106の一端側の係止部が後方へ引かれ、このベルト106の一端側の部位が巻き取られる。
これによって、ベルト106における支持板41の上面に支持されている部位が、この支持板41の上面に沿って斜め上方へ移動する。
このとき、後側の係止ピン39PSが下降することによって、ベルト106の他端側が繰り出されるため、ベルト106の巻き掛け周長は略変化せず張力も所定範囲に維持される。
【0086】
一方、サーボモータ39Mの逆方向への駆動によって回転盤39Dが時計方向に回転すると、前側の係止ピン39PSに係止されたベルト106の一端側の係止部が前方へ押し出され、このベルト106の一端側の部位が繰り出される。
これによって、ベルト106における支持板41の上面に支持されている部位が、この支持板41の上面に沿って斜め下方へ移動する。
このとき、後側の係止ピン39PSが上昇することによって、ベルト106の他端側が巻き取られるため、ベルト106の巻き掛け周長は略変化せず張力も所定範囲に維持される。
【0087】
以上のようにして、ベルト106における支持板41の上面に支持された部位を主体として、掬い上げ部54(請求項の「移載装置100」)が形成される。
【0088】
(指状部)
図22図26に示すように、上述の枠体36の下面部には、左右の指状部55L,55Rを開閉駆動する第1エアシリンダ56および第2エアシリンダ57をY軸方向に間隔をおいて固定する。これにより、第1エアシリンダ56と第2エアシリンダ57は、ハンド装置33の上部に配置され、水(スライサー1洗浄時の洗浄水等)や肉屑の影響を受けにくくなる。
なお、図22図23では、左右の指状部材55L,55Rの概略の設置範囲を一点鎖線で示している。
【0089】
しかして、図26に示すように、+Y側に配置した第1エアシリンダ56は、シリンダブロック56Aの+Y側の側面に左右方向(X軸方向)のガイドレール56Bを形成する。
このガイドレール56Bに、左右一対のスライダ56L,56Rを摺動自在に嵌合する。
シリンダブロック56Aの内部には、上下のシリンダ孔を平行に穿設し、各シリンダ孔内に個別のピストン(図示省略)を往復摺動自在に内蔵し、各ピストンに左右のスライダ56L,56Rを連結する。
なお、エアの供給によって各ピストンが互いに反対方向に摺動するように構成し、これによって、各ピストンに連結された左右のスライダ56L,56Rは互いに反対方向へ摺動する。
【0090】
一方、-Y側に配置した第2エアシリンダ57は、シリンダブロック57Aの-Y側の側面に左右方向(X軸方向)のガイドレール57Bを形成する。
このガイドレール57Bに、左右一対のスライダ57L,57Rを摺動自在に嵌合する。
シリンダブロック57Aの内部には、上下のシリンダ孔を平行に穿設し、各シリンダ孔内に個別のピストン(図示省略)を往復摺動自在に内蔵し、各ピストンに左右のスライダ57L,57Rを夫々連結する。
そして、エアの供給によって各ピストンが互いに反対方向に摺動するように構成し、これによって、各ピストンに連結された左右のスライダ57L,57Rは互いに反対方向へ摺動する。
【0091】
なお、左右の指状部55L,55Rには、左右の第1部材58L,58R、および、左右の第2部材59L,59Rを備える。
【0092】
(第1部材)
図24図26に示すように、左右の第1部材58L,58Rは、第1エアシリンダ56側の左右のスライダ56L,56Rに夫々支持する。
すなわち、左右方向に延在する板状の左右の第1支持部材60L,60Rの内側端部を、左右のスライダ56L,56Rの+Y側の面に固定する。
この左右の第1支持部材60L,60Rの外側端部は、下向きに屈折して下方(-Z方向)へ延在した後に、-Y方向へ屈折して延在させる。
【0093】
このようにして形成された左右の延在端部の下面に、左右方向に延在する第1副支持部材61L,61Rの外側端部を、角棒状の第1補強部材RI,RIを介して夫々固定する。
この左右の第1副支持部材61L,61Rの内側端部を下向きに屈折し、下方(-Z方向)へ延在させて左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRを形成する。
【0094】
更に、各インナーフィンガー58IFL,58IFRの下端部から所定の高さに亘る部位を左右幅広に形成する。この左右幅広の部位を第1部材58L,58Rと称する。
この左右の第1部材58L,58Rの内側縁部は、その下端部付近まで略垂直な方向に延在させる。
そして、この左右の第1部材58L,58Rの下端部内側縁は円弧状に内側(対向する側)へ延在させ、左右の係合部58LS,58RSを形成する。
【0095】
(第2部材)
図24図26に示すように、左右の第2部材59L,59Rは、第2エアシリンダ57側の左右のスライダ57L,57Rに夫々支持する。
すなわち、左右方向に延在する板状の左右の第2支持部材62L,62Rの内側端部を、左右のスライダ57L,57Rの-Y側の面に固定する。
この左右の第2支持部材62L,62Rの外側端部は、下向きに屈折して下方(-Z方向)へ延在した後に、+Y方向へ屈折して延在させる。
【0096】
このようにして形成された左右の延在端部の下面に、左右方向に延在する第2副支持部材63L,63Rの外側端部を、第2補強部材RJ,RJを介して夫々固定する。
この左右の第2副支持部材63L,63Rの内側端部を下向きに屈折し、下方(-Z方向)へ延在させて左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRを形成する。
【0097】
更に、各アウターフィンガー59IFL,59IFRの下端部から所定の高さに亘る部位を左右幅広に形成する。この左右幅広の部位を第2部材59L,59Rと称する。
この左右の第2部材59L,59Rの内側縁部は、その下端部まで略垂直な方向に延在させる。
【0098】
図24図26に示すように、左側の第2副支持部材63Lと左側のアウターフィンガー59IFLを一体的に形成したものを2つ設け、上述の左側の第2補強部材RJの前面と後面(-Y側の面と+Y側の面)に夫々固定する。
これによって、左側の前後の第2部材59L,59Lの間にY軸方向の隙間SPが形成される。
【0099】
また、右側の第2副支持部材63Rと右側のアウターフィンガー59IFRを一体的に形成したものを2つ設け、上述の右側の第2補強部材RJの前面と後面(-Y側の面と+Y側の面)に夫々固定する。
これによって、右側の前後の第2部材59R,59Rの間にもY軸方向の隙間SPが形成される。
【0100】
これら左右の隙間SP,SPに対して、左右の第1部材58L,58Rの夫々を退避および突出自在に配置する。
【0101】
(採取部)
図20に示すように、掬い上げ部54と左右の指状部55L,55Rから採取部32が形成される。
初期状態では、駆動ケース39が+Y方向へ離間し、掬い上げ部54の支持板41の上面に支持されたベルト106の先端部は、左右の指状部55L,55Rの間から+Y方向へ退避している。
【0102】
図20に示すように、電動シリンダ37が短縮作動して駆動ケース39が-Y方向へ設定距離だけ移動すると、掬い上げ部54が左右の指状部55L,55Rの間に進入する。
この状態で、掬い上げ部54の先端部(ベルト106における支持板41の上面に支持された部位の-Y側の端部)が、左右の指状部55L,55Rよりも-Y側へ突出する。
図24に、掬い上げ部54が、開いた状態の左右の第1部材58L,58Rおよび左右の第2部材59L,59Rの間へ進入した状態を示す。
【0103】
また、図25(a)には、掬い上げ部54が左右の第1部材58L,58Rおよび左右の第2部材59L,59Rの間へ進入した状態で、この左右の第1部材58L,58Rおよび左右の第2部材59L,59Rが、夫々のストローク端まで閉じる方向へ移動した状態を示す。
図25(b)に一部拡大して示すように、この状態では、掬い上げ部54の左側端(ベルト106の側端)と、左側の第1部材58Lの内側縁部の間に形成される第1間隙T1が、掬い上げ部54の側端と第2部材59Lの内側縁部の間に形成される第2間隙T2よりも小さくなるように、夫々のストローク端の位置関係を設定する。
図示を省略しているが、掬い上げ部54の右側端と、右側の第1部材58Rおよび右側の第2部材59Rとの各位置関係についても同様に設定する。
【0104】
この第1間隙T1および第2間隙T2の設定は、上述の左右の指状部55L,55Rを構成する各部材の左右方向の延在長さ、および、第1エアシリンダ56および第2エアシリンダ57の摺動ストローク端の位置設定等によって行なう。
なお、第1エアシリンダ56のシリンダブロック56Aと第2エアシリンダ57のシリンダブロック57Aを、枠体36に対して上下動可能に弾性的に支持する構成としてもよい。
【0105】
また、左右の第1支持部材60L,60Rの外側端部における下方への屈折部位と、左右の第2支持部材62L,62Rの外側端部における下方への屈折部位と、左右の第1副支持部材61L,61Rの内側端部における下方への屈折部位と、左右の第2副支持部材63L,63Rの内側端部における下方への屈折部位とに関節部(上下回動部)を設け、この関節部に、初期姿勢(垂直姿勢)側に付勢する復帰バネを設けた構成としてもよい。
これによって、左右の指状部55L,55Rの下端部がスライサー1側のベルト3の搬送面3aに干渉しても、この左右の指状部55L,55Rが上方へ退避するため、ベルト3や指状部55L,55Rの破損や変形を防止することができる。
【0106】
(盛り付けシステムのブロック回路)
図27に示すように、図10のブロック図におけるロボットコントローラ34の出力側に連携したサーボモータ100R2に替えて、第1エアシリンダ56と、第2エアシリンダ57と、電動シリンダ37と、サーボモータ39Mを連携する。
【0107】
(盛り付け制御)
以下に述べる「制御点」は、左の第1部材58Lの係合部58LSの先端(内側端)と、右の第1部材58Rの係合部58RSの先端(内側端)との間の中心位置である。
しかして、図28図31に、ハンド装置33によって薄肉Eを採取する状態から、略U字状に変形させた薄肉Eを載置する状態までの過程を示す。
【0108】
図16(a)に示すように、盛り付け制御が開始されると、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を駆動制御し、左右の指状部55L,55Rと掬い上げ部54を、それぞれの初期位置に位置付ける。
左右の指状部55L,55Rの初期ポイントは、薄肉Eの採取位置Tから-Y側にオフセット量f(図28(a)参照)だけ偏倚した位置において、搬送面3aから直上方へ所定距離離間した位置に設定される。
【0109】
このとき、掬い上げ部54は、初期ポイントよりも所定距離+Y方向へ偏倚した位置に配置される。
なお、オフセット量fは、掬い上げ部54の先端が採取位置Tから初期ポイントの直下位置まで移動する間において、斜め上方へ移動する掬い上げ部54のベルト106によって、採取位置Tに位置する薄肉Eを掬い上げることのできる量に設定されている。
【0110】
また、この初期ポイントにおいて、ハンド装置33の左右の指状部55L,55Rは互いに離間した開放状態となる。
すなわち、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRと左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRは、夫々最大間隔まで離間した開放状態となる。
【0111】
この状態において、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRに備えた第1部材58L,58Rは、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRに備えた第2部材59L,59Rの隙間SP,SP内に退避する。
これによって、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部は、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部に対して外側方へ(隙間SP内へ)退避している。
【0112】
次に、スライサーコントローラ10によって、採取位置Tへ搬送中の薄肉Eの属性の取得を行なう。
すなわち、スライサーコントローラ10には、スライサー1側に設けられ、スライス前の塊状肉の先端部の厚さ(高さ)を検出する厚さ(高さ)センサー(図示省略)から、その検出結果が入力される。
【0113】
スライサー1は、横向き姿勢で供給された塊状肉を、その先端部から上下方向に切断するものであるため、この塊状肉の先端部の厚さ(高さ)は、搬送面3a上に載置される薄肉EのY軸方向での長さに近似した寸法となる。
なお、Y軸方向の中央部で折り畳まれた薄肉Eの場合、この薄肉EのY軸方向での長さは、この厚さ(高さ)の約1/2の長さとなる。
【0114】
スライサーコントローラ10は、このスライス前の塊状肉の先端部の厚さ(高さ)を、ロボットコントローラ34に送る。
【0115】
また、ロボットコントローラ34では、カメラ11で撮像した薄肉Eの画像を処理し、この結果に基づいて、薄肉Eの大きさ(薄肉EのX軸方向での長さ(幅)と面積)を取得する。
そして、取得された薄肉Eの大きさから、この薄肉Eを大・中(標準)・小・採取不適の4つのクラスに分類する。
【0116】
(採取に適した薄肉Eの採取および盛り付け)
まず、ロボットコントローラ34により、固定値として記憶された複数の所定行数Mのうち、使用するトレー6の大きさに対応する所定行数Mが選択される。
また、塊状肉の厚さ(高さ)及び画像処理に基づく薄肉Eの大きさに基づいて、所定列数Nが自動的に算出される。
【0117】
これにより、図33(a)に示すように、トレー6の内底面の盛り付け領域R内に、所定行数Mの行と、所定列数Nの列が設定される。
なお、各行および各列は、それぞれが等間隔で設定される。
【0118】
以下、まず、最初に算出された所定列数Nを全ての行に適用する場合(全ての行にN列(N枚)の薄肉Eを置く場合)の処理について説明する。
なお、この所定列数Nを、行ごとに算出する処理については、後述する。
【0119】
まず、ロボットコントローラ34により、行カウンタのカウント値m及び列カウンタのカウント値nにそれぞれ1をセットし、薄肉盛り付け処理に移行する。
【0120】
(薄肉盛り付け処理)
図33(a)に示すように、トレー6の内底面は、複数の薄肉配置区画に行列状に区分される。本実施形態では、(m,n)=(1,1),(1,2),(1,3),(1,4),(2,1),(2,2),…,(M,N)のように第1行から列順に薄肉盛り付け処理され、1つの行が終了すると、隣接する次の行において同様の盛り付け処理がなされる。
【0121】
第1行を意味する「m=1」は、トレー6の内底面において、最も-Y側の位置に配置される。
第1列を意味する「n=1」は、トレー6の内底面において、最も+X側の位置に配置される。
【0122】
まず、ロボットコントローラ34は、「採取目標位置設定処理」、及び、「軌道生成処理」を行なう。
【0123】
(採取目標位置設定処理)
カメラ11による撮像結果から得られた薄肉Eの大きさに基づき、薄肉EにおけるX軸方向の中央部位または中央部位の近傍の位置を被支持部B(図2参照)として設定し、この被支持部Bの採取目標位置を算出する。
【0124】
(軌道生成処理)
軌道生成処理は、採取から盛り付け終了までの軌道、及び初期ポイントへ戻る軌道の生成処理であり、時間毎のハンド装置33の位置および姿勢をロボットコントローラ34によって制御する。
【0125】
(薄肉盛り付け制御)
図28(a)における左上の平面視で示す図のように、初期状態におけるハンド装置33において、左右の指状部55L,55RはX軸方向に最大間隔を形成する位置まで開いている。
すなわち、左右の第1部材58L,58Rおよび左右の第2部材59L,59Rが、夫々最大位置まで開き、各第1部材58L,58Rの内側縁部が、各第2部材59L,59Rの内側縁部に対して外側方へ偏倚した位置へ退避している。
この状態において、第1搬送装置2によって搬送される薄肉Eが採取位置Tに到達したときに、ロボットコントローラ34がスライサーコントローラ10から採取開始信号を受信(取得)する。
【0126】
そして、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を緩速で下降させる。
これにより、図28(a)における左下の側面視で示す図のように、指状部55L,55Rの下端(第1部材58L,58Rの下端および第2部材59L,59Rの下端)と掬い上げ部54のベルト106の下端(先端)が、それぞれ搬送面3aに接触しない程度の僅かな隙間を残して可及的に近接する。
なお、ベルト106の下端は搬送面3aに軽く接触させてもよい。
【0127】
この後、ロボットコントローラ34からの出力によって電動シリンダ37を短縮作動させ、掬い上げ部54を初期位置から掬い上げ位置へ(-Y方向へ)移動させる。
すなわち、掬い上げ部54を、第1搬送装置2の下流側(+Y側)から、薄肉EにおけるX軸方向の中間部(目標点B)付近に向けて上流側(-Y側)へ移動させる。
【0128】
そして、掬い上げ部54の移動開始から設定時間経過後に、ロボットコントローラ34からの出力によってサーボモータ39Mを回転駆動し、支持板41上のベルト106を傾斜上がり方向へ移動(正方向移動)させる。
なお、上述の設定時間は、掬い上げ部54が初期位置から採取位置Tに位置する薄肉Eに到達するまでの時間に対して、同じ時間または僅かに短い時間に設定する。
【0129】
これによって、図28(b)から図28(c)に示すように、傾斜上がり方向へ移動するベルト106によって、採取位置Tに位置する薄肉Eの幅方向(X軸方向)の中央部が斜め上方へ掬い上げられていく。
このとき、ベルト106上に支持されていない薄肉Eの両端部が、自重によって垂れ下がり変形し始める。
【0130】
なお、掬い上げ部54におけるベルト106の斜め上方への移動速度は、掬い上げ部54の-Y方向への移動速度に対して、同速度または稍々高速に設定するのが好ましい。
このように設定することにより、搬送面3aからベルト106への薄肉Eの引き継ぎが良好に行なわれ、この薄肉Eに皺が形成されにくくなる。
【0131】
図29(d)に示すように、掬い上げ部54が-Y側へさらに移動すると、ベルト106によって中央部を掬い上げられた薄肉Eの両端部が、左右に配置された+Y側の第2部材59L,59Rの内側縁部に当接し、この当接抵抗によって薄肉Eの姿勢がベルト106の上面に沿う姿勢に修正される。また、左右の第2部材59L,59Rおよび左右の第1部材58L,58Rは、共に開放した状態を維持している。
この状態で、掬い上げ部54が、薄肉Eを掬い上げたまま左右の指状部55L,55Rの間に進入する。
これによって、掬い上げ部54の先端部(ベルト106の先端部)は、左右の指状部55L,55Rの間から-Y側へ突出する。
【0132】
続いて、掬い上げ部54のベルト106の移動を停止させた後、ロボットコントローラ34からの出力によって、第1エアシリンダ56の作動を開始し、左右の指状部55L,55Rにおける左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRの内側方(互いに接近する方向)への移動を開始する。
図29(e)に示すように、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRが内側方へ移動開始すると、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部が薄肉Eの両端部に当接し、この当接部位を内側方へ押し始める。
このとき、左右の係合部58LS,58RSが薄肉Eの下側へ進入し、この薄肉Eを抱え込み始める。
【0133】
そして、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRが内側方への移動を開始してから設定時間が経過した後に、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRを内側方(互いに接近する方向)へ移動させる。
図29(f)に示すように、薄肉Eの両端部は、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部によってベルト106の両側端側へ押圧され、平面視で略U字状(馬蹄形に近似した形状)に変形する。
【0134】
この状態で、薄肉Eは、接近した左右の係合部58LS,58RSによって掬い上げ部54の下側(ベルト106の下側)へ抱え込まれるようにして支持される。
なお、このとき、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部と掬い上げ部54(ベルト106)の左右側端との間に第1間隙T1,T1が残るため、薄肉Eを強く挟みすぎて損傷させることはない。
【0135】
また、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部も掬い上げ部54の左右側端に接近するが、この左右の第2部材59L,59Rの内側縁部と掬い上げ部54の左右側端との間に、第1間隙T1,T1よりも大きい第2間隙T2,T2が残る。
この第2間隙T2,T2の存在により、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部を薄肉Eに積極的に当接させないようにしている。
このようにして薄肉Eを支持した後、次の工程へ移行する。
【0136】
すなわち、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を上昇させる。
この制御点の上昇時に、薄肉Eの両端が搬送面3aから浮上し、更にトレー6の周壁6aの高さよりも高い位置を維持する。
これによって、制御点が盛り付け領域R上に移動する際に、薄肉Eと周壁6aとの干渉が防止される。
【0137】
続いて、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を、トレー6の周壁6a上方を通過させて、盛り付け領域R上方のポイントに移動させる。
これにより、盛り付け領域Rが設定されたトレー6の内底面に対して、左右の指状部55L,55Rの下端及び掬い上げ部54のベルト106の下端(先端)が接近する。
このポイントは、薄肉Eが降ろされる肉降下点Rmnが属する第m番目の行よりも下流側(+Y側)に設定する。
このポイントへの移動中に、ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33がY軸方向に対して捻り角θを有する姿勢となる。
【0138】
続いて、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を次のポイントへ移動させる。
このポイントへの移動中、薄肉Eの両端部は、トレー6の内底面上を引きずられる。
【0139】
そして、制御点がこのポイントへの移動を開始してから予め設定された時間が経過した後、ロボットコントローラ34からの出力によって第1エアシリンダ56を逆方向へ作動させる。
これによって、図30(g)に示すように、左右の指状部55L,55Rにおける左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRが外側方(互いに離間する方向)へ移動する。
また、薄肉Eに対する左右の第1部材58L,58Rの内側縁部によるベルト106の両側端側への押圧と、左右の係合部58LS,58RSによる抱え込みが解除される。
ただし、この時点では、ロボットコントローラ34から第2エアシリンダ57へは出力がなされず、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRは互いに接近した位置に維持される。
【0140】
これにより、薄肉Eと当接する部材が、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部から、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部に切り替わる。
すなわち、第1部材58L,58Rの内側縁部に(押圧されることによって)付着していた薄肉Eが、第2部材59L,59Rの内側縁部に持ち替えられるようにして、この第1部材58L,58Rおよび第2部材59L,59Rから離脱される。
【0141】
続いて、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を次のポイントに移動させる。
この移動中に、ロボットコントローラ34からの出力によってサーボモータ39Mを逆方向へ回転駆動させる。
これによって、掬い上げ部54のベルト106が斜め下方(逆方向)へ移動し、図30(h)に示すように、薄肉Eがトレー6の内底面に向けて斜め下方へ降ろされ始める。
【0142】
このとき、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRは互いに接近した位置に維持され、掬い上げ部54の側端と左右の第2部材59L,59Rの内側縁部の間には第2間隙T2,T2が形成されている。
また、第2部材59L,59Rの下端部には、第1部材58L,58Rにおけるような係合部が無い。
このため、図30(i)から図31(j)への状態変化に示すように、斜め下方へ降ろされる薄肉Eの左右両辺部は、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部によって略U字状から元の形状への復元を規制されながら、この第2間隙T2,T2を通過して円滑に降ろされる。
【0143】
降ろされた薄肉Eは、略U字状の形状を保持した状態で、トレー6の内底面に載置される。
また、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33の捻り角θを0にして、左右の指状部55L,55Rが並ぶ方向をX軸方向に戻す。
この後、ロボットコントローラ34からの出力によって、ベルト106の移動を停止させた後、ロボットアーム12を制御し、制御点を次のポイントへ移動させる。
これにより、ハンド装置33は、上方へかつ+Y方向(下流側)へ移動し、降ろした薄肉Eから離間する。
【0144】
続いて、図31(k)に示すように、制御点が移動を開始したときに、ロボットコントローラ34からの出力によって電動シリンダ37を伸長作動させ、掬い上げ部54を初期位置へ移動させる。
これと共に、ロボットコントローラ34からの出力によって第2エアシリンダ57を逆方向へ作動させ、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRが外側方(互いに離間する方向)へ移動し、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部の間隔が拡大する。
【0145】
続いて、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を、さらに下流側(+Y側)の高い位置に移動させる。
この後、制御点を初期ポイントに移動させる。
【0146】
以上で、肉降下点Rmnに対する1枚の薄肉Eの盛り付け処理が終了する。
この後、ロボットコントローラ34によって、列カウンタのカウント値nが所定列数Nを超えているか否かを判定する。
【0147】
カウント値nが所定列数Nを超えていない場合には、リターンして、現在の行mにおいて、次の列順の肉降下点Rmnに対する薄肉Eの盛り付け処理を行なう。
従って、この薄肉Eの盛り付け処理は、1行当たりN回実行されることになる。
カウント値nが、所定列数Nを超えている場合には、次の行の最初の列の肉降下点Rmnに対する薄肉Eの盛り付け処理が開始される。
【0148】
以上の処理を反復し、所定行数M及び所定列数Nにおける全ての肉降下点Rmnへの薄肉Eの盛り付けを完了する。
【0149】
(3行4列での盛り付け例)
ここで、所定行数Mを「3」とし、かつ、所定列数Nを「4」にした場合の例を、図32(a)および図33の(a)~(c)に示す。
図33(a)は、第1行第1列の肉降下点Rmn(=R11)に、薄肉Eの盛り付けが終了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
図33(b)は、第1行の全肉降下点Rmnと、第2行第1列の肉降下点Rmn(=R21)に、薄肉Eの盛り付けが終了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
図33(c)は、第1行及び第2行の全肉降下点Rmnと、第3行第1列の肉降下点Rmn(=R31)に、薄肉Eの盛り付けが終了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
【0150】
(所定列数Nを行ごとに算出する処理)
以上は、最初に算出された所定列数Nを全ての行に適用する場合(全ての行にN列(N枚)の薄肉Eを置く場合)の処理について説明した。
これに対し、上述の所定列数Nを、各行の先頭に置かれる薄肉Eの大きさに応じ、行ごとに算出する処理としてもよい。
【0151】
(中(標準)クラスの薄肉Eが揃う場合)
盛り付け領域R内の最も-Y側に位置する第1行において、この第1行の先頭(最も+X側の位置)に置かれる1番目の薄肉Eが「中(標準)」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には4列(4枚)の薄肉Eを置くことが決定される。
これに従い、第1行には、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に(+X側から-X側へ)、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0152】
続いて、第1行の+Y側に隣接する第2行への盛り付け処理が開始される。
そして、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが同じく「中」のクラスに分類されたものである場合、この第2行にも4列(4枚)の薄肉Eを置くことが決定され、5番目の薄肉Eから8番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0153】
続いて、第2行の+Y側に隣接する第3行への盛り付け処理が開始される。
そして、この第3行の先頭に置かれる9番目の薄肉Eが同じく「中」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも4列(4枚)の薄肉Eを置くことが決定され、9番目の薄肉Eから12番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0154】
以上により、盛り付け領域R内に合計12枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了する。
なお、スライサー1から搬送面3a上への薄肉Eの切り出し位置からして、X軸方向において、「中(標準)」のクラスに分類された薄肉Eの目標点Bは、搬送面3aのX軸方向の幅の中心位置Xcに略一致する。
このため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、X軸方向へ位置補正する必要はない。
【0155】
(中・小クラスの薄肉Eが混在する場合)
上述の第1行において、この第1行の先頭に置かれる1番目の薄肉Eが「中」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には、上述の場合と同様にして、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが置かれる。
【0156】
続いて、第2行への盛り付け処理が開始され、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが「小」のクラスに分類されたものである場合、この第2行には5列(5枚)の薄肉Eを置くことが決定される。
これに従い、第2行には、5番目の薄肉Eから9番目の薄肉Eの順に、5列(5枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0157】
続いて、第3行への盛り付け処理が開始され、この第3行の先頭に置かれる10番目の薄肉Eも「小」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも5列(5枚)の薄肉Eを置くことが決定され、10番目の薄肉Eから14番目の薄肉Eの順に、5列(5枚の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0158】
以上により、盛り付け領域R内に合計14枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了する。
なお、X軸方向において、「小」のクラスに分類された薄肉Eの目標点Bは、搬送面3aの中心位置Xcに対して-X側へ距離Xaだけ偏倚するため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、-X側へ距離Xaだけ位置補正する。
【0159】
(中・大クラスの薄肉Eが混在する場合)
上述の第1行において、この第1行の先頭に置かれる1番目の薄肉Eが「中」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には、上述の場合と同様にして、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが置かれる。
【0160】
続いて、第2行への盛り付け処理が開始され、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが「大」のクラスに分類されたものである場合、この第2行には3列(3枚)の薄肉Eを置くことが決定される。
これに従い、第2行には、5番目の薄肉Eから7番目の薄肉Eの順に、3列(3枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0161】
続いて、第3行への盛り付け処理が開始され、この第3行の先頭に置かれる8番目の薄肉Eも「大」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも3列(3枚)の薄肉Eを置くことが決定され、8番目の薄肉Eから10番目の薄肉Eの順に、3列(3枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0162】
以上により、盛り付け領域R内に合計10枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了する。
なお、各行における列数を自動的に変更することにより、各列の間隔も自動的に変更される。
なお、X軸方向において、「大」のクラスに分類された薄肉Eの目標点Bは、搬送面3aの中心位置Xcに対して+X側へ距離Xbだけ偏倚するため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、+X側へ距離Xbだけ位置補正する。
【0163】
(総重量の収束)
しかして、以上の盛り付け処理における盛り付け枚数の自動調整によって、トレー6内の盛り付け領域Rに盛り付けられた薄肉Eの総重量が設定範囲α内に収まる。
なお、枚数制御した場合の総重量ラインの垂直落下部分(段差部分)は、トレー6に盛り付けられる薄肉Eの枚数が減ったときに現出する。
【0164】
すなわち、同じ枚数のまま、薄肉Eの大きさが大きくなるに従い、盛り付け後の薄肉Eの総重量は徐々に増加するが、枚数が1枚減少することで、総重量は一旦低下する。
薄肉Eの盛り付け枚数が、12枚、14枚、10枚と異なった場合、このように薄肉Eの大きさに応じて盛り付け枚数を増加または減少させることで、その総重量は設定範囲内に収まる。
また、この薄肉Eの枚数制御によって、隣接する薄肉Eの間隔も自動調整され、盛り付け領域R内に整然と盛り付けられる。
【0165】
(着脱装置)
図34図38に着脱装置400の実施形態を示す。
この着脱装置400は、ロボットアーム12のリスト29の下端に固定される上側の保持部材401と、ハンド装置33の上部に固定される被保持部材402から構成される。
【0166】
保持部材401は、その上面部にリスト29との連結座401Aを形成し、その左右両側部に、内側方へ下がり傾斜した傾斜面(請求項の「スライド支持部」)401B,401Bを有する左右の摺動支持部401C,401Cを左右対称に形成する。
この左右の摺動支持部401C,401Cのうちの一側の摺動支持部材401Cにおいて、傾斜面401Bを前後方向の中間部で分割して隙間を形成し、この隙間に、傾斜面401Bと同じ傾斜角度の傾斜面401B1を形成した移動部材(請求項の「固定部」)401Dを嵌合する。
【0167】
また、摺動支持部401C側の雌螺子部401Eに螺合する雄螺子部401Fを有した操作ハンドル(請求項の「第1操作具」)401G を設け、雄螺子部401Fの先端部を移動部材401Dの外側面に当接させる。
操作ハンドル401Gを一方側に回転操作することによって、雄螺子部材401Fが締め込まれ、この雄螺子部材401Fの先端部で移動部材401Dが押されて内側方へ移動する。
【0168】
また、ロックハンドル(請求項の「第2操作具」)401Hを、雄螺子部材401Fと一体の軸401F2の外周に螺合し、このロックハンドル401Hの一方側への回転操作によって、操作ハンドル401Gを回転操作不能な状態に固定できる構成とする。
【0169】
また、左右の摺動支持部401C,401Cのうちの他側の摺動支持部401Cにおいて、上述の移動部材401Dと対向する側の部位に貫通孔401Iを形成し、この貫通孔401Iにプランジャピン(請求項の「係合部」)401Jを挿通する。
このプランジャピン401Jは、内側方へ突出する方向へ常時弾性付勢し、このプランジャピン401Jの外側端部には引き操作用の環状部材401Kを取り付ける。
なお、保持部材401の上面の一部を開放する切り欠き部401Lを形成し、平面視において左右の摺動支持部401C,401Cの端部を露出させる。
【0170】
一方、上述の被保持部材402は、その下面にハンド装置33との連結座402Aを形成し、その左右両側部に、上述の保持部材401側の傾斜面401B,401Bと同等の傾斜角度で外側方へ上がり傾斜した傾斜面402B,402Bを形成する。
また、被保持部材402の他側の部位における長さ方向の中心部に、嵌合穴402Cを形成する。
【0171】
以上の構成により、ハンド装置33をリスト29に装着する際には、まず、ハンド装置33を持ち上げ、被保持部材402側の左右の傾斜面402B,402Bを、切り欠き部401Lから下方向に侵入させて、保持部材401側の左右の傾斜面401B,401Bに載せて支持する。
そして、この被保持部材402を保持部材401の奥側に摺動させると、保持部材401側のプランジャピン401Jの先端部が、被保持部材402側の嵌合穴402Cに係合して位置決めされる。
【0172】
この状態で、操作ハンドル401Gを回転操作し、移動部材401Dを内側方へ移動させて、移動部材401D側の傾斜面401B1を、被保持部材402側の傾斜面402Bに押し当てて固定する。
さらに、ロックハンドル401Hを回転操作して、操作ハンドル401Gの回転を固定し、振動等によるゆるみを防止する。
なお、ハンド装置33をリスト29から取り外す際には、上述の装着時と逆の手順で行なえばよい。
【0173】
この着脱装置400により、ハンド装置33の洗浄や、形態の異なるハンド装置33の交換等の作業を容易に行なうことができる。
【符号の説明】
【0174】
33 ハンド装置
39D 回転盤(回転部材)
41 支持板(支持部材)
101 支持板(支持部材)
104 回転枠体(回転部材)
106 ベルト(帯状部材)
106S 切り欠き部
106T 幅狭部
202U 上側の支持板(支持部材)
202D 下側の支持板(支持部材)
204U 上側の回転枠体(回転部材)
204D 下側の回転枠体(回転部材)
400 着脱装置
401 保持部材
401B 傾斜面(スライド支持部)
401D 移動部材(固定部)
401G 操作ハンドル(第1操作具)
401H ロックハンドル(第2操作具)
401J プランジャピン(係合部)
402 被保持部材





図1
図2
図3
図4
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図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
【手続補正書】
【提出日】2022-03-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3