(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116376
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】光学系および光通信装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20230815BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108544
(22)【出願日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2022018952
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】布施 慎吾
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA22
2H087LA01
2H087LA25
2H087MA07
2H087PA03
2H087PA17
2H087PB03
2H087QA02
2H087QA03
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA33
2H087QA34
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087UA01
(57)【要約】
【課題】小型化および軽量化が可能な光通信装置およびそれに適用可能な光学系を実現する。
【解決手段】光源(S)とは反対側から、負の屈折力を有する第一レンズ群(L1)と、正の屈折力を有する第二レンズ群(L2)とがこの順で配置される。第二レンズ群(L2)は、他のレンズ群間との間隔を変化させるように光軸に沿って移動可能である。第一レンズ群(L1)および第二レンズ群(L2)は特定の式で表される関係を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負の屈折力を有する第一レンズ群と、正の屈折力を有する第二レンズ群とをこの順で有し、第二レンズ群が他のレンズ群間との間隔を変化させるように光軸に沿って移動可能である光学系であって、
以下の式を満足する、光学系。
f1/f2≦-2.25・・・(1)
L/f1≧-1.05・・・(2)
ただし
f1:第一レンズ群の焦点距離
f2:第二レンズ群の焦点距離
L:光学系の全長
【請求項2】
以下の式を満足する、請求項1に記載の光学系。
md2/f2≧0.06・・・(3)
ただし
md2:第二レンズ群の移動距離
【請求項3】
前記第一レンズ群および前記第二レンズ群に続いて配置される第三レンズ群をさらに有し、前記第三レンズ群が前記光学系へ信号光を出射する光源と前記第二レンズ群との間に配置される場合に以下の式を満足する、請求項1に記載の光学系。
D3/fa≧0.16・・・(4)
ただし
D3:前記第三レンズ群における最も前記光源側のレンズ面から前記光源の発光点までの光軸上の距離
fa:前記光学系の焦点距離
【請求項4】
前記第一レンズ群および前記第二レンズ群に続いて配置される第三レンズ群をさらに有し、少なくともいずれかのレンズ群のレンズに非球面レンズを含む、請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
いずれのレンズ群におけるいずれのレンズの硝材が耐放射線ガラスである、請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光学系と、
前記第一レンズ群に対して前記第二レンズ群とは反対側に配置された、前記光学系へ通信光を出射する光源、または、前記光学系から通信光を受光する受光素子、と、
を備える光通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系および光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
5G(第五世代移動通信システム)などの電波による通信技術が劇的な高速化を遂げているが、その通信速度は理論的に上限に達している。通信のさらなる高速化を実現することは、コストおよび実現性の観点から困難である。その中でも、通信のさらなる高速化を実現するための技術として、光無線通信技術が注目されている。
【0003】
光は電磁波であるが、利用の自由度が電波に比べて高く、直進性が高いことから電波のように広い範囲に伝播しないため、セキュリティ上優位である。このため、固定された物体間の通信に適していると考えられ、また、人工衛星間の宇宙空間における通信においても電波を補完する技術として有利と考えられている。
【0004】
光通信では、一般に通信距離が非常に長く、さらに受信アンテナも小型である。このため、通信光を受信側に受光させることが困難であり、受信側の探知に時間を要すると通信が遅延することがある。そのため、通信光とは別に、遠方に配置された受信側のアンテナの位置をアライメントするためのビーコン目的の光学系が使用されている。ビーコン目的の光学系では、コリメート光から発散光または収束光までの様々な伝播形態の光に対応可能であることが求められる。
【0005】
様々な伝播形態を有する通信光に対応する光学系には、負の屈折力を有する第一レンズ群、正の屈折力を有する第二レンズ群、および第三レンズ群を備え、特定の式の関係を満たす変倍光学系が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。また、当該光学系には、負の屈折力を有する第一レンズ群、正の屈折力を有する第二レンズ群、および負の屈折力を有する第三レンズ群を備え、一つの群を固定とし、二つの群を可動とするビームエキスパンダーが知られている(例えば、特許文献3、4参照)。さらに、当該光学系には、アナモフィック型のレンズで構成され、正負正または負正負の屈折力を有する第一から第三のレンズ群を有し、第二レンズ群が移動可能な投射光学系が知られている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-003546号公報
【特許文献2】特開2006-003548号公報
【特許文献3】特開昭55-151612号公報
【特許文献4】特開昭55-149914号公報
【特許文献5】特開2017-138490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ビーコン用の光学系は、光通信用の光学系とは別に設置されることがあり、例えば人工衛星に設置する場合では、小型化および軽量化が求められるが、この点において、上述のような従来技術には問題がある。
【0008】
たとえば、特許文献1、2に記載の発明では、撮像系のため、ピント合わせに第二レンズ群および第三レンズ群の二つのレンズ群を光軸に沿って移動させる必要がある。このため、光学系において移動可能な箇所が二か所になり、光通信装置の構造が複雑化し、軽量化が困難になることがある。
【0009】
また、特許文献3、4に記載の発明はビームエキスパンダーであるため、入射した平行光を平行光で射出するためには、二つのレンズ群を光軸に沿って移動させる必要がある。したがって、光通信用の光学系に適用すると、光学系におけるレンズ群の移動可能な箇所が二か所になり、光通信装置の構造が複雑化し、軽量化が困難になることがある。
【0010】
さらに、特許文献5に記載の発明は、投射目的であることから、光学系の全長が非常に長くなることがある。したがって、小型軽量化が困難になることがある。
【0011】
本発明の一態様は、小型化および軽量化が可能な光通信装置およびそれに適用可能な光学系を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る光学系は、負の屈折力を有する第一レンズ群と、正の屈折力を有する第二レンズ群とをこの順で有し、第二レンズ群が他のレンズ群間との間隔を変化させるように光軸に沿って移動可能である光学系であって、
以下の式を満足する。
f1/f2≦-2.25・・・(1)
L/f1≧-1.05・・・(2)
ただし
f1:第一レンズ群の焦点距離
f2:第二レンズ群の焦点距離
L:光学系の全長
【0013】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る光通信装置は、上記の光学系と、前記第一レンズ群に対して前記第二レンズ群とは反対側に配置された、前記光学系へ通信光を出射する光源、または、前記光学系から通信光を受光するファイバーコアなどの受光素子を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、小型化および軽量化が可能な光通信装置およびそれに適用可能な光学系を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図2】実施例1の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図である。
【
図3】実施例1におけるコリメート光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図である。
【
図4】実施例1における発散光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図である。
【
図5】実施例1における収束光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図である。
【
図6】実施例2の光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図7】実施例2の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図である。
【
図8】実施例3の光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図9】実施例3の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図である。
【
図10】実施例4の光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図11】実施例4の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図である。
【
図12】実施例5の光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図13】実施例5の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図である。
【
図14】実施例6の光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図15】実施例6の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図である。
【
図16】実施例7の光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図17】実施例7の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図である。
【
図18】実施例8の光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図19】実施例8の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図である。
【
図20】実施例9の光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図21】実施例9の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図である。
【
図22】実施例10の光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図23】実施例10の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図である。
【
図24】比較例1の特定のレンズ配置における光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図25】
図24の(1)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図である。
【
図26】
図24の(2)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図である。
【
図27】
図24の(3)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図である。
【
図28】比較例2の特定のレンズ配置における光学系の光学的な構成を模式的に示す図である。
【
図29】
図28の(1)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図である。
【
図30】
図28の(2)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図である。
【
図31】
図28の(3)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図である。
【
図32】本発明の一実施形態に係る光通信装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0017】
1.光学系
1-1.光学的構成
本発明の実施形態に係る光学系は、第一レンズ群と第二レンズ群とを、光源または受光素子とは反対側からこの順で有する。本明細書中において、「レンズ群」は、1つ以上のレンズを含み、レンズ群に含むレンズ同士の間隔は、変化しない。
【0018】
また、本明細書中において、レンズ群には、接合レンズが含まれていてもよい。レンズ群に接合レンズが含まれている場合のレンズ枚数は、それぞれ接合されているレンズを数える。接合レンズとしては、例えば、空気間隔を介することなく複数のレンズが一体化した接合レンズが挙げられる。この場合は、接合レンズを構成する複数のレンズだけ数える。接合レンズの別の例としては、非常に薄く、光学的に実質的に影響しない厚さの接着剤の層により接合されている複数のレンズが一体化した接合レンズが挙げられる。この場合は、接着剤の層はレンズとして数えない。
【0019】
また、レンズ群には、1枚のレンズと樹脂とが一体化した複合レンズが含まれていてもよい。例えば、1枚のレンズと樹脂とが一体化した複合レンズは1枚のレンズと数えられる。
【0020】
(1)第一レンズ群
第一レンズ群は、光学系において最もファーフィールド側に配置される。ファーフィールド側とは、当該光学系が光源からの光を外方に出射するための照射光学系であれば、当該外方側であり、光源とは反対側である。当該光学系が外方からの光を受光素子で受光するための受光光学系であれば、ファーフィールド側とは、当該外方側であり、受光素子とは反対側である。第一レンズ群は、負の屈折力を有する。
【0021】
(2)第二レンズ群
第二レンズ群は、第一レンズ群の次にファーフィールド側に配置される。第二レンズ群は、正の屈折力を有する。また、第二レンズ群は、他のレンズ群間との間隔を変化させるように光軸に沿って移動可能に配置される。他のレンズ群は、光の形態(コリメート、発散および収束)の制御の目的で光軸に沿って移動可能には構成されないことが、小型化および軽量化の観点から好ましい。
【0022】
(3)第三レンズ群
本発明の実施形態の光学系は、第三レンズ群をさらに有していてもよい。第三レンズ群は、第一レンズ群および第二レンズ群に続いて配置される。すなわち、第三レンズ群は、第二レンズ群に対してファーフィールド側とは反対側(最も光源または受光素子側)に配置される。たとえば、当該光学系が出射系の光学系であれば、第三レンズ群は光源と第二レンズ群との間に配置され、当該光学系が受光系の光学系であれば、第三レンズ群は受光素子と第二レンズ群との間に配置される。第三レンズ群は、正の屈折力を有していてもよいし、負の屈折力を有していてもよい。
【0023】
(4)他の構成
少なくともいずれかのレンズ群のレンズには、非球面レンズが含まれてもよい。受光光学系では、受光した光を光ファイバのコアなどの小スポット径に集光させることが求められる。本発明の実施形態の光学系の少なくともいずれかのレンズ群が非球面レンズを含むことは、収差を良好に補正する観点、および、集光時のスポット径を小さくする観点から好ましい。集光時の小スポット化に有利である観点から、第一レンズ群が非球面レンズを有することが好ましい。
【0024】
また、いずれのレンズ群におけるいずれのレンズも、その硝材が耐放射線ガラスであってもよい。本発明の実施形態の光学系は、後述するように、簡素な光学的構成であり、またビームプロファイル形状を実質的に維持したままで種々の特性の光を通過させ得る。よって、人工衛星への搭載に有利であり、宇宙空間における光通信に有利である。この用途の場合では、宇宙空間の放射線により、レンズの硝材が着色され、レンズの透過率が低下し、当該光学系を介する光通信に影響を及ぼすことがある。このような放射線によるレンズの光学特性への影響を抑制する観点から、レンズの硝材に耐放射線ガラスを使用することが好ましい。
【0025】
本発明の実施形態の光学系は、本発明の実施形態の効果が得られる範囲において、レンズ群を構成するレンズ以外の他の光学素子をさらに有していてもよい。他の光学素子は、それによる効果を発現する範囲において、光学系において適宜に配置され得る。
【0026】
1-2.光学系の動作
本発明の実施形態に係る光学系では、第二レンズ群が、他のレンズ群間との間隔を変化させるように光軸に沿って移動する。第二レンズ群がこのように動作することにより、光学系から出射される光の形態を、コリメート光から発散光または収束光まで、簡素な構成で自在に変えることが可能である。よって、当該光学系が光通信に用いられる場合に、光通信装置の光学系の小型化を実現するのに好適である。
【0027】
1-3.光学系の条件を表す式
本発明の実施形態に係る光学系は、前述した構成を有すると共に、次に説明する一以上の式を満足することが好ましい。
f1/f2≦-2.25・・・(1)
L/f1≧-1.05・・・(2)
ただし
f1:第一レンズ群の焦点距離
f2:第二レンズ群の焦点距離
L:光学系の全長
【0028】
光通信では、光源がガウス分布の状態の光を発生し、光学系を通してコリメート光、発散光または収束光を通信光として出射させたとしても、光学系通過後の光の特性は、光源出射時と同様もガウス分布であることが好ましい。光学系が上記式(1)および式(2)の両方を満足する場合では、光学系を通して、コリメート光、発散光および収束光の様々な特性の光を光学系から出射することが可能である。光学系が上記式(1)および式(2)の両方を同時に満たさない場合では、収束光を光学系から出射することが困難になることがある。また、この場合では、光学系から出射する光のビームプロファイル形状がガウシアン分布の形状から大きく乱れ、光通信に悪影響を及ぼすことがあり得る。上記の観点から、上記式(1)であればf1/f2が-3.22以下であることがより好ましく、-3.30以下であることがより好ましい。また、上記式(2)であれば、上記の観点から、L/f1が-0.70以上であることがより好ましく、-0.66以上であることがより好ましい。
【0029】
また、本発明の実施形態に係る光学系は、前述した構成を有すると共に、下記の式(3)を満足することが好ましい。
md2/f2≧0.06・・・(3)
ただし
md2:第二群の移動距離
f2:第二レンズ群の焦点距離
【0030】
光学系が式(3)を満足することは、第二レンズ群の移動によるビーム角度の適切な制御を実現する観点から好ましい。光学系が式(3)を満足しない場合では、第二レンズ群の移動による信号光の特性(コリメート、発散または収束など)の制御において、第二レンズ群の移動感度が過度に高くなり、第二レンズ群の停止精度が低下し、信号光のビーム角度の誤差が大きくなることがある。第二レンズ群の適切な移動感度および適切な停止精度を実現する観点から、md2/f2は0.21以上であることが好ましい。
【0031】
また、本発明の実施形態に係る光学系は、前述した構成を有すると共に、下記の式(4)を満足することが好ましい。
D3/fa≧0.16・・・(4)
ただし
D3:第三レンズ群における最も光源側のレンズ面から光源の発光点までの光軸上の距離
fa:光学系の焦点距離
【0032】
光学系が最も光源側のレンズ群として第三レンズ群を有する場合では、式(4)を満足することは、第二レンズ群の移動によるビーム角度の適切な制御を実現する観点から好ましい。光学系が式(4)を満足しない場合には、光源から光学系(第三レンズ群)までの距離が過度に短くなり、ビーム角度の適切な制御が困難になることがある。光源から光学系までの距離を、ビーム角度の適切な制御を実現するための適切な距離に設定する観点から、D3/faは0.32以上であることが好ましい。
【0033】
2.光通信装置
次に、本発明の一実施形態に係る光通信装置について説明する。当該光通信装置は、上記実施形態に係る光学系と、当該光学系のファーフィールドとは反対側に配置された光源または受光素子とを有する。以下、当該光学系を照射光学系として備える光通信装置を例として、本発明の一実施形態を説明する。
【0034】
図32は、本発明の一実施形態に係る光通信装置の構成を模式的に示す図である。
図32に示されるように、光通信装置1は、ケーシング2、基台3、および支持部4を有する。ケーシング2は、通信光の光源21と、光学系22とを収容している。基台3は、光通信装置1の設置場所に固定される台である。支持部4は、ケーシング2を基台3に対して、光学系の光軸に直交する方向へ回頭可能に支持する。
【0035】
光源21は、例えば光通信に利用される通信光を発生する素子であり、光源21には、電気を光に変換する素子を用いることができる。光源21の例には、発光ダイオードおよび半導体レーザが含まれる。
【0036】
光学系22は、ファーフィールド側からこの順に配置されている第一レンズ群L1、第二レンズ群L2および第三レンズ群L3によって構成されている。第一レンズ群L1は、負の屈折力を有し、第二レンズ群L2は、正の屈折力を有する。第一レンズ群L1と第三レンズ群L3は、ケーシング2内において、光源21の光軸に沿う方向に対して固定されている。第二レンズ群L2は、光軸に沿って移動可能に配置されている。さらに、光学系22は、前述した式(1)および式(2)を満足するように構成されている。各レンズ群とも、一枚のレンズで構成されている。
【0037】
光通信装置1は、通信光の特性をコリメート光から発散光または収束光まで、三枚のレンズによって種々に変更することが可能である。よって、ビーコン目的での利用に有利である。また、通信光の特性の調整は、第二レンズ群L2を光軸に沿って移動させることのみによって実現される。よって、光通信装置の小型化および軽量化の観点で有利である。
【0038】
受光側の光通信装置は、光源21に代えて受光素子を配置することによって構成することが可能である。受光素子は、光学系を通過した通信光を受光可能な光学素子であればよい。受光素子の例には、受光した光を伝達するための光ファイバ、ならびに、CCD(Charge Coupled Device)センサおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子、が含まれる。
【0039】
本発明の実施形態に係る光学系は、簡素な光学的構成によって、ビームプロファイル形状を実質的に維持したまま、コリメート光から発散光または収束光までの種々の特性の光を出射し、また受光することが可能である。このような光学系を備える光通信装置は、光通信のみならずビーコンにも適用可能である。よって、固定された基地局間の光通信のみならず、相対的に移動する基地局間での光通信に好適である。また、光学系が簡素に構成されることから、光通信装置の小型化および軽量化に有利である。したがって、人工衛星間における光通信のように、宇宙空間における光通信にも有利である。
【0040】
〔変形例〕
本発明の実施形態において、光学系の各レンズ群におけるレンズの枚数は、光学的構成の簡素化の観点からは一枚であることが好ましいが、二枚以上であってもよい。
【0041】
また、本発明の実施形態において、光学系は、光源または受光素子との相対的な関係の情報を示す構成をさらに含んでいてもよい。当該相対的な関係の情報の例には、適用される光源または受光素子の種類、光学系を配置する際の最も光源または受光素子側のレンズ面から光源または受光素子までの好適な距離、および、信号光の通過方向を示す矢印、が含まれる。当該情報を示す構成の例には、上記情報の印刷物および刻印物、が含まれる。当該情報は、光学系に直接形成されてもよい。
【0042】
〔まとめ〕
以上の説明から明らかなように、本発明の第一の態様に係る光学系は、負の屈折力を有する第一レンズ群(L1)と、正の屈折力を有する第二レンズ群(L2)とをこの順で有し、第二レンズ群が他のレンズ群間との間隔を変化させるように光軸に沿って移動可能である光学系であって、以下の式を満足する。ただし、下記式中、f1は第一レンズ群の焦点距離、f2は第二レンズ群の焦点距離、および、Lは光学系の全長、をそれぞれ表す。
f1/f2≦-2.25・・・(1)
L/f1≧-1.05・・・(2)
【0043】
したがって、本発明の第一の態様に係る光学系は、小型化および軽量化が可能な光通信装置に適用可能である。
【0044】
本発明の第二の態様に係る光学系は、第一の態様において、以下の式を満足してもよい。この構成は、第二レンズ群の移動によるビーム角度の適切な制御を実現する観点からより一層効果的である。
md2/f2≧0.06・・・(3)
ただし
md2:第二レンズ群の移動距離
【0045】
本発明の第三の態様に係る光学系は、第一の態様または第二の態様において、第一レンズ群および第二レンズ群に続いて配置される第三レンズ群をさらに有していてもよいし、当該第三レンズ群が光学系へ信号光を出射する光源と第二レンズ群との間に配置される場合に以下の式を満足してもよい。この構成は、第二レンズ群の移動によるビーム角度の適切な制御を実現する観点からより一層効果的である。
D3/fa≧0.16・・・(4)
ただし
D3:前記第三レンズ群における最も前記光源側のレンズ面から前記光源の発光点までの光軸上の距離
fa:前記光学系の焦点距離
【0046】
本発明の第四の態様の光学系は、第一の態様から第三の態様のいずれか一つにおいて、第一レンズ群と第二レンズ群に続いて、第三レンズ群(L3)をさらに有し、少なくともいずれかのレンズ群のレンズに非球面レンズを含んでもよい。この構成は、光学系の光学的構成の簡素化および軽量化の観点からより一層効果的である。
【0047】
本発明の第五の態様に係る光学系は、第一の態様から第四の態様において、いずれのレンズ群におけるいずれのレンズの硝材が耐放射線ガラスであってもよい。この構成は周辺環境からの放射線によるレンズの光学特性への影響を抑制する観点から、より一層効果的である。
【0048】
また、本発明の第六の態様に係る光通信装置は、前述の第一の態様から第五の態様のいずれか一つの光学系と、第一レンズ群に対して第二レンズ群とは反対側に配置された、光学系へ通信光を出射する光源、または、光学系から通信光を受光する受光素子、とを備える。したがって、本発明の第六の態様に係る光通信装置は、小型化および軽量化が可能である。
【0049】
本発明の実施形態に係る光学系および光通信装置によれば、より高速な光通信への適用が期待される。これにより、通信に係る種々の技術の普及、発展および革新が期待される。このように、本発明の実施形態に係る光通信装置では、産業と技術革新の基盤に関する持続可能な開発目標(SDGs)の達成への貢献が期待される。
【0050】
本発明は上述した各実施形態に限定されず、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0051】
本発明の一実施例について以下に説明する。なお、以下の各表において、長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」である。また、「E-a」は「×10-a」を示す。また、実施例1では図および表における表示を説明するが、実施例1における図および表における表示は、他の実施例における図および表についても同様である。
【0052】
以下に示す実施例1から実施例4の光学系は、光源Sとは反対(ファーフィールド)側から順に、負の屈折力を有する第一レンズ群L1、正の屈折力を有する第二レンズ群L2、および、正の屈折力を有する第三レンズ群L3で構成されている。また、収束光から発散光までの光路の制御において、第一レンズ群L1および第三レンズ群L3はそれぞれ固定されたまま移動せず、第二レンズ群L2が光軸に沿って移動する。なお、実施例における各レンズ群は、一枚のレンズで構成されている。また、各実施例における光源SのNA(開口数)は0.1である。
【0053】
[実施例1]
図1に、実施例1の光学系の光学的な構成を模式的に示す。
図1は、実施例1におけるコリメート光、発散光、および収束光のときの光学的な構成を模式的に示している。また、
図2には、実施例1の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図を示す。実施例1において、第一レンズ群L1のレンズは非球面レンズであり、その他のレンズは球面レンズである。
【0054】
実施例1における光学系の光学特性を表1から表3にそれぞれ示す。表1は光学系の数値データである。
【0055】
表中、「面番号」は、ファーフィールド側から光学系のレンズ面を数えたときのレンズ面の順番、「ASP」はレンズ面が非球面であることを表し、「SPH」はレンズ面が球面であることを表す。また、「R」はレンズ面の曲率半径、「D」はレンズ面の光軸上の間隔、「N」は波長1550nmに対するレンズの屈折率、をそれぞれ表す。なお、面番号6における「D」の数値は、6番目のレンズ面から光源の発光点までの距離を表す。これは、前述した式(4)におけるD3に該当する。また、下記表中の「D2」および「D4」は、それぞれ、面番号2のレンズ面からのレンズ間距離、および、面番号4のレンズ面からのレンズ間距離、を表す。
【0056】
[表1]
面番号 R D N
1 ASP 6045.000 1.5 1.5002
2 ASP 89.710 D2
3 SPH 24.730 2.8 1.5002
4 SPH -16.160 D4
5 SPH 17.300 1.5 1.5002
6 SPH -82.200 6.5
【0057】
表2は非球面係数の数値データを表す。非球面(ASP)偶数次非球面は次式で定義される。下記式中、cは曲率(1/r)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A4、A6、A8、A10・・・は各次数の非球面係数、を表す。
z=ch2/[1+{1-(1+k)c2h2}1/2]+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10・・・
【0058】
[表2]
面番号 k A4 A6 A8
1 0 -5.258E-05 -1.855E-09 3.838E-07
2 0 1.004E-04 1.195E-06 3.964E-07
【0059】
表3は、各ビーム状態における変化した距離の数値データである。
【0060】
[表3]
D コリメート 発散 収束
D2 10.168 13.168 7.168
D4 11.527 8.527 14.527
【0061】
また、
図3は、実施例1におけるコリメート光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図であり、
図4は、実施例1における発散光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図であり、
図5は、実施例1における収束光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を示す図である。
【0062】
[実施例2]
図6に、実施例2におけるコリメート光、発散光、および収束光のときの光学的な構成を模式的に示す。また、
図7には、実施例2の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図を示す。また、表4は実施例2の光学系の数値データを表し、表5は実施例2の非球面係数の数値データを表し、表6は実施例2の各ビーム状態における変化した距離の数値データを表す。
【0063】
[表4]
面番号 R D N
1 ASP -10.422 1.5 1.5002
2 ASP -20.422 D2
3 SPH 7.718 2.500 1.5002
4 SPH -43.116 D4
5 SPH 17.983 1.300 1.5002
6 SPH 7.983 4.625
【0064】
[表5]
面番号 k A4 A6 A8
1 0 -5.076E-04 -2.757E-05 -6.733E-06
2 0 2.156E-04 1.284E-05 0.000E+00
【0065】
[表6]
D コリメート 発散 収束
D2 12.912 15.912 9.912
D4 10.567 7.567 13.567
【0066】
[実施例3]
図8に、実施例3におけるコリメート光、発散光、および収束光のときの光学的な構成を模式的に示す。また、
図9には、実施例3の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図を示す。また、表7は実施例3の光学系の数値データを表し、表8は実施例3の非球面係数の数値データを表し、表9は実施例3の各ビーム状態における変化した距離の数値データを表す。
【0067】
[表7]
面番号 R D N
1 ASP 55.517 1.5 1.5002
2 ASP 45.517 D2
3 SPH 8.638 2.500 1.5002
4 SPH 13.424 D4
5 SPH 21.288 1.500 1.5002
6 SPH INF 17.501
【0068】
[表8]
面番号 k A4 A6 A8
1 0 1.632E-06 -1.840E-06 4.082E-07
2 0 1.047E-04 -9.022E-07 4.804E-07
【0069】
[表9]
D コリメート 発散 収束
D2 8.000 11.000 5.000
D4 8.000 5.000 11.000
【0070】
[実施例4]
図10に、実施例4におけるコリメート光、発散光、および収束光のときの光学的な構成を模式的に示す。また、
図11には、実施例4の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図を示す。また、表10は実施例4の光学系の数値データを表し、表11は実施例4の非球面係数の数値データを表し、表12は実施例4の各ビーム状態における変化した距離の数値データを表す。
【0071】
[表10]
面番号 R D N
1 ASP -11.097 1.5 1.5002
2 ASP -22.419 D2
3 SPH 7.614 2.500 1.5002
4 SPH -47.240 D4
5 SPH 26.834 1.300 1.5002
6 SPH 9.469 4.833
【0072】
[表11]
面番号 k A4 A6 A8
1 0 -4.107E-04 -6.573E-06 -2.704E-06
2 0 1.584E-04 1.576E-05 0.000E+00
【0073】
[表12]
D コリメート 発散 収束
D2 9.458 12.458 6.458
D4 10.670 7.670 13.670
【0074】
[実施例5]
図12に、実施例5におけるコリメート光、発散光、および収束光のときの光学的な構成を模式的に示す。また、
図13には、実施例5の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図を示す。また、表13は実施例5の光学系の数値データを表し、表14は実施例5の非球面係数の数値データを表し、表15は実施例5の各ビーム状態における変化した距離の数値データを表す。
【0075】
[表13]
面番号 R D N
1 ASP 57.579 1.5 1.51633
2 ASP 47.576 D2
3 SPH 16.326 2.800 1.51633
4 SPH -22.889 D4
5 SPH 7.988 1.500 1.51633
6 SPH -614.186 2.500
【0076】
[表14]
面番号 k A4 A6 A8
1 0 -2.375E-05 3.599E-07 3.656E-07
2 0 7.141E-05 9.091E-07 3.963E-07
【0077】
[表15]
D コリメート 発散 収束
D2 7.626 10.626 4.626
D4 14.586 11.586 17.586
【0078】
[実施例6]
図14に、実施例6におけるコリメート光、発散光、および収束光のときの光学的な構成を模式的に示す。また、
図15には、実施例6の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図を示す。また、表16は実施例6の光学系の数値データを表し、表17は実施例6の非球面係数の数値データを表し、表18は実施例6の各ビーム状態における変化した距離の数値データを表す。
【0079】
[表16]
面番号 R D N
1 ASP 107.207 1.500 1.51633
2 ASP 97.207 D2
3 SPH 24.967 2.500 1.51633
4 SPH 13287.157 D4
5 SPH 15.264 1.500 1.51633
6 SPH -70.386 11.910
【0080】
[表17]
面番号 k A4 A6 A8
1 0 2.981E-05 -3.966E-06 1.708E-07
2 0 4.104E-05 -4.062E-06 1.775E-07
【0081】
[表18]
D コリメート 発散 収束
D2 8.000 11.000 5.000
D4 23.590 20.590 26.590
【0082】
[実施例7]
図16に、実施例7におけるコリメート光、発散光、および収束光のときの光学的な構成を模式的に示す。また、
図17には、実施例7の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図を示す。また、表19は実施例7の光学系の数値データを表し、表20は実施例7の非球面係数の数値データを表し、表21は実施例7の各ビーム状態における変化した距離の数値データを表す。
【0083】
[表19]
面番号 R D N
1 ASP -18.324 1.5 1.51633
2 ASP -95.222 D2
3 SPH 7.725 2.500 1.51633
4 SPH -58.068 D4
5 SPH 4606.439 1.300 1.62230
6 SPH 11.620 6.605
【0084】
[表20]
面番号 k A4 A6 A8
1 0 -3.253E-04 -4.527E-05 8.773E-06
2 0 1.562E-04 -2.342E-05 7.916E-06
【0085】
[表21]
D コリメート 発散 収束
D2 8.000 11.000 5.000
D4 11.193 8.193 14.193
【0086】
[実施例8]
図18に、実施例8におけるコリメート光、発散光、および収束光のときの光学的な構成を模式的に示す。また、
図19には、実施例8の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図を示す。また、表22は実施例8の光学系の数値データを表し、表23は実施例8の非球面係数の数値データを表し、表24は実施例8の各ビーム状態における変化した距離の数値データを表す。
【0087】
[表22]
面番号 R D N
1 ASP 36.667 1.5 1.51633
2 ASP 26.667 D2
3 SPH 14.616 2.500 1.51633
4 SPH -33.028 D4
5 SPH INF 1.500 1.62230
6 SPH -71.371 7.132
【0088】
[表23]
面番号 k A4 A6 A8
1 0 -1.138E-05 -2.173E-06 8.589E-07
2 0 5.884E-05 -2.063E-06 9.764E-07
【0089】
[表24]
D コリメート 発散 収束
D2 11.000 14.000 8.000
D4 10.159 7.159 13.159
【0090】
[実施例9]
図20に、実施例9におけるコリメート光、発散光、および収束光のときの光学的な構成を模式的に示す。また、
図21には、実施例9の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図を示す。また、表25は実施例9の光学系の数値データを表し、表26は実施例9の非球面係数の数値データを表し、表27は実施例9の各ビーム状態における変化した距離の数値データを表す。
【0091】
[表25]
面番号 R D N
1 ASP -26.220 1.5 1.51633
2 ASP -765.088 D2
3 SPH 7.413 2.500 1.51633
4 SPH -126.246 D4
5 SPH 890.627 1.300 1.51633
6 SPH 56.212 5.085
【0092】
[表26]
面番号 k A4 A6 A8
1 0 -3.546E-04 1.310E-05 -1.397E-06
2 0 1.412E-04 2.841E-05 0.000E+00
【0093】
[表27]
D コリメート 発散 収束
D2 10.000 13.000 7.000
D4 10.615 7.615 13.615
【0094】
[実施例10]
図22に、実施例10におけるコリメート光、発散光、および収束光のときの光学的な構成を模式的に示す。また、
図23には、実施例10の光学系におけるコリメート光の逆光線追跡による波長1550nmでの球面収差図を示す。また、表28は実施例10の光学系の数値データを表し、表29は実施例10の非球面係数の数値データを表し、表30は実施例10の各ビーム状態における変化した距離の数値データを表す。
【0095】
[表28]
面番号 R D N
1 ASP -53.949 1.5 1.51633
2 ASP -63.949 D2
3 SPH 16.672 2.500 1.51633
4 SPH -23.752 D4
5 SPH 132.878 1.300 1.51633
6 SPH 52.878 5.412
【0096】
[表29]
面番号 k A4 A6 A8
1 0 -1.747E-05 -2.580E-06 8.981E-07
2 0 6.672E-05 -1.934E-06 8.383E-07
【0097】
[表30]
D コリメート 発散 収束
D2 9.849 12.849 6.849
D4 13.394 10.394 16.394
【0098】
[比較例1、2]
図24に、比較例1の特定のレンズ配置における光学的な構成を模式的に示す。比較例1の光学系は、前述した式(1)および式(2)に示される関係のいずれも満たさない。
図24の(1)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を
図25に、
図24の(2)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を
図26に、そして、
図24の(3)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を
図27にそれぞれ示す。比較例1の(1)のレンズ配置における光はコリメート光である。比較例1の(2)および(3)のレンズ配置における光は発散光である。
【0099】
図28には、比較例2の特定のレンズ配置における光学的な構成を模式的に示す。比較例2の光学系は、前述した式(1)および式(2)に示される関係のいずれも満たさない。
図28の(1)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を
図29に、
図28の(2)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を
図30に、そして、
図28の(3)のレンズ配置における光のファーフィールドでのビームプロファイル特性を
図31にそれぞれ示す。比較例2の(1)のレンズ配置における光はコリメート光である。比較例2の(2)のレンズ配置における光は発散光である。比較例2の(3)のレンズ配置における光は収束光である。
【0100】
なお、実施例1~10および比較例1、2における前述の各式による算出値を表31に示す。
【0101】
[表31]
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 実施例6
(1) f1/f2 -9.10 -3.37 -12.88 -2.26 -29.53 -43.86
(2) L/f1 -0.19 -0.77 -0.08 -1.04 -0.05 -0.02
(3) md/f2 0.16 0.23 0.07 0.23 0.15 0.06
(4) D3/fa 0.42 0.32 0.69 0.31 0.16 0.47
実施例7 実施例8 実施例9 実施例10 比較例1 比較例2
(1) f1/f2 -3.31 -9.98 -8.52 -36.30 -1.40 -1.76
(2) L/f1 -0.07 -0.17 -0.27 -0.05 -1.89 -1.50
(3) md/f2 0.22 0.15 0.21 0.15 0.19 0.20
(4) D3/fa 0.32 0.34 0.33 0.26 0.15 0.16