(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116402
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】天井扇風機用の揺動回転支持部材、及びそれを備えた天井扇風機
(51)【国際特許分類】
F04D 25/08 20060101AFI20230815BHJP
F04D 29/64 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
F04D25/08 304B
F04D29/64 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003520
(22)【出願日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】111104646
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523014913
【氏名又は名称】▲呉▼ 孟姿
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】李 聖▲フ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 孟姿
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB04
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130BA73A
3H130BA73Z
3H130BA95A
3H130BA95Z
3H130BA98A
3H130BA98Z
3H130CA23
3H130CA24
3H130DD01Z
3H130EA01A
3H130EA01Z
3H130EA07A
3H130EA07Z
3H130EB01A
3H130EB01Z
3H130ED04A
3H130ED04Z
(57)【要約】
【課題】加工が容易で、かつ軽量化がなされた、天井扇風機用の揺動回転支持部材及びそれを備えた天井扇風機を提供する。
【解決手段】天井扇風機用の揺動回転支持部材であって、半円形の板状体の基部と、半球状の案内部を含み、基部が、貫通する複数の透孔と、基部の厚み方向に沿った内面と、内面上に凹むように形成される陥凹部とを有し、案内部が、片側面に形成されると共に基部の内面と面一である案内面と、基部の陥凹部と連通するように案内面上に形成されるスリット溝部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井扇風機用の揺動回転支持部材であって、半円形の板状体の基部と、半球状の案内部を含み、
前記基部が、該基部を貫通する複数の透孔と、該基部の厚み方向に沿った内面と、該内面上に凹むように形成される陥凹部とを有し、
前記案内部が、前記基部の片側面に形成されると共に、該基部の内面と面一である案内面と、該基部の陥凹部と連通するように該案内面に形成されるスリット溝部とを有することを特徴とする天井扇風機用の揺動回転支持部材。
【請求項2】
天井扇風機であって、吊下手段と、駆動装置と、少なくとも一つの請求項1に記載の天井扇風機用の揺動回転支持部材と、下部カバーと、保持カラーと、羽根部材とを含み、
前記吊下手段は、吊り下げ具と同期電動機を含み、該吊り下げ具の一端に窪み状に形成される収容空間を有し、該同期電動機は、該吊り下げ具の収容空間内に配置され、
前記駆動装置は、一端が前記同期電動機に連結され、他端に駆動軸が突設され、
前記少なくとも一つの揺動回転支持部材は、前記複数の透孔をそれぞれ挿通する複数の締結部材により前記駆動装置に固設され、前記駆動軸が前記スリット溝部に挿設され、
前記下部カバーは、前記吊下手段に結合されると共に、その一端に窪み状に形成される装着空間を有し、該装着空間の底部に軸穴が形成され、
前記保持カラーは、前記下部カバーの装着空間内に固設されると共に、環状部と、該環状部の内壁面に形成される少なくとも一つの突起とを含み、前記少なくとも一つの揺動回転支持部材の案内部は、一部が前記軸穴から露出すると共に、前記案内面が該突起に当接するように、該保持カラー内に嵌合保持され、
前記羽根部材は、前記駆動装置の駆動軸に接続されて回転駆動することを特徴とする天井扇風機。
【請求項3】
前記少なくとも一つの天井扇風機用の揺動回転支持部材は二つ有し、
前記少なくとも一つの突起の数が二つであって、該二つの突起が互いに対向するように前記環状部の内壁面上に形成され、前記二つの揺動回転支持部材は、それぞれの案内面が対向するように、該二つの突起の両側に設置されることを特徴とする請求項2に記載の天井扇風機。
【請求項4】
前記天井扇風機は、前記保持カラーの上方に当接するように前記下部カバーに固設される、C型止め輪である保持リングを含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の天井扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井扇風機及びその内部に装着されている揺動回転支持部材に関し、特に、ヘッド部が揺動可能な天井扇風機及びその内部に装着されている揺動回転支持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、従来の天井扇風機、特に、送風方向を変化させることができるヘッド揺動式の天井扇風機における軸支持機構は、保持カラー91と、該保持カラー91内に揺動可能かつ回転可能に保持される揺動回転支持部材90とを含み、該揺動回転支持部材90は、板状基部901と、該基部901の片側面に突出形成された球状案内部902から構成され、該球状案内部902は、ソリッド金属ボール体であり、その球体の表面の相対する両側に切削加工により形成された案内溝部903を有し、該保持カラー91の内周面に、互いに対向するように突出形成される二つの突起911を有する。前記揺動回転支持部材90は、前記板状基部901を介して駆動モータ(図示せず)に固設され、該駆動モータの駆動軸は、前記球状案内部902及び板状基部901を貫通する貫通孔(図示せず)を挿通して、羽根部材に連結される。前記揺動回転支持部材90は、前記球状案内部902が前記保持カラー91内に嵌合されると共に、当該保持カラー91の両突起911が該球状案内部902の両案内溝部903内に摺動自在に遊嵌されることにより、該保持カラー91内に揺動かつ回転可能に保持され、駆動モータは、揺動かつ回転可能な揺動回転支持部材90の支持により安定して揺動旋回運動して、該駆動モータに連結されている羽根部材の送風方向を変化させる。
【0003】
しかしながら、前記揺動回転支持部材90は、全体が金属製のボール体であり、一定の重量及び体積を有することから、取り付けられている天井扇風機の全体的な重量及び体積が増えてしまい、駆動モータ及び同期電動機などの駆動装置に負担がかかり、消費電力の増加及び設備の使用寿命の低下に繋がると共に、輸送コストの上昇を招き、さらに、球体表面の両側に溝切削加工を施すことも困難であることから、加工に時間や手間がかかるといった問題があるので、改良する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、加工が容易で、かつ軽量化がなされた、天井扇風機用の揺動回転支持部材及びそれを備えた天井扇風機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、天井扇風機用の揺動回転支持部材を提案したものであり、当該揺動回転支持部材は、
天井扇風機用の揺動回転支持部材であって、半円形の板状体の基部と、半球状の案内部を含み、
前記基部が、該基部を貫通する複数の透孔と、該基部の厚み方向に沿った内面と、該内面上に凹むように形成される陥凹部とを有し、
前記案内部が、前記基部の片側面に形成されると共に、該基部の内面と面一である案内面と、該基部の陥凹部と連通するように該案内面に形成されるスリット溝部とを有することを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明は、上記目的を達成するために、上記揺動回転支持部材を備えた天井扇風機を提案したものであり、当該天井扇風機は、吊下手段と、駆動装置と、前記揺動回転支持部材と、下部カバーと、保持カラーと、羽根部材とを含み、
前記吊下手段は、吊り下げ具と同期電動機を含み、該吊り下げ具の一端に窪み状に形成される収容空間を有し、該同期電動機は、該吊り下げ具の収容空間内に配置され、
前記駆動装置は、一端が前記同期電動機に連結され、他端に駆動軸が突設され、
前記少なくとも一つの揺動回転支持部材は、前記複数の透孔をそれぞれ挿通する複数の締結部材により前記駆動装置に固設され、前記駆動軸が前記スリット溝部に挿設され、
前記下部カバーは、前記吊下手段に結合されると共に、その一端に窪み状に形成される装着空間を有し、該装着空間の底部に軸穴が形成され、
前記保持カラーは、前記下部カバーの装着空間内に固設されると共に、環状部と、該環状部の内壁面に形成される少なくとも一つの突起とを含み、前記天井扇風機用の揺動回転支持部材の案内部は、一部が前記軸穴から露出すると共に、前記案内面が該突起に当接するように、該保持カラー内に嵌合保持され、
前記羽根部材は、前記駆動装置の駆動軸に接続されて回転駆動することを特徴とする。
【0007】
前記少なくとも一つの天井扇風機用の揺動回転支持部材は二つ有し、
前記少なくとも一つの突起の数が二つであって、該二つの突起が互いに対向するように前記環状部の内壁面上に形成され、前記二つの揺動回転支持部材は、それぞれの案内面が対向するように、該二つの突起の両側に設置されることを特徴とする。
【0008】
前記天井扇風機は、前記保持カラーの上方に当接するように前記下部カバーに固設される、C型止め輪である保持リングを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の優れた点は、天井扇風機用の揺動回転支持部材の基部を半円形の板状体にし、案内部を半球状体にすることにより、部品の小型化及び軽量化を実現するものであり、また、二つの揺動回転支持部材は、それぞれの案内面が対向するように、間隔をあけて組み合わせ、保持カラーの突起を受ける空間を形成することにより、球体表面に溝切削加工作業を省き、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明に係る天井扇風機の分解斜視図である。
【
図3】本発明に係る天井扇風機用の揺動回転支持部材を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る天井扇風機用の揺動回転支持部材の底面図である。
【
図5】本発明に係る天井扇風機用の揺動回転支持部材の使用状態を示す模式図である。
【
図6】本発明に係る天井扇風機用の揺動回転支持部材の使用状態を示す模式図である。
【
図7】従来技術の天井扇風機用の揺動回転支持部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面及び本発明の好適な実施例を参照しながら、本発明が予め決められた発明の目的を達成するために講じた技術的手段をさらに詳述する。
【0012】
図1及び
図2に示すように、本発明に係る天井扇風機は、少なくとも一つの天井扇風機用の揺動回転支持部材10、吊下手段20、駆動装置30、下部カバー40、保持カラー50、保持リング60及び羽根部材70を含む。
【0013】
図2~
図5に示すように、前記天井扇風機用の揺動回転支持部材10は、プレス加工により一体成型された部品であって、半円形の板状体の基部11と、半球状の案内部12とを含み、該基部11は、該基部11を貫通する複数の透孔111と、該基部11の厚み方向に沿った内面112と、該内面112上に凹むように形成される陥凹部113とを有する。尚、本発明の好適な実施例においては、前記陥凹部113が、前記基部11の内面112から奥方へ窪むように形成された半円弧状輪郭を呈する凹溝であるが、これに限定されるものではなく、該陥凹部113の形状は必要に応じて任意に変更することができる。
【0014】
前記案内部12は、前記基部11の片側面において、該基部11の内面112に隣接するように形成された半球状体であって、該内面112と面一である案内面121と、該基部11の陥凹部113に連通すると共に、該案内面121に凹むように形成されるスリット溝部122を含む。尚、本発明の好適な実施例において、前記スリット溝部122は、円筒状溝であるが、これに限定されるものではなく、該スリット溝部122の形状は必要に応じて任意に変更することができる。
【0015】
図1~
図3に示すように、前記吊下手段20は、吊り下げ具21、同期電動機22及びリンクアーム23を含み、該吊り下げ具21の一端が天井に固定されると共に、他端に窪み状に形成された収容空間を有し、該同期電動機22が該吊り下げ具21の収容空間内に設置されており、該リンクアーム23の一端が該同期電動機22に連結されると共に、他端がアダプタ部材を介して前記駆動装置30に接続される。前記同期電動機22は、前記リンクアーム23を介して前記駆動装置30を、該同期電動機22とリンクアーム23との接続箇所を中心として旋回駆動するが、これに関する構成は既存技術であるため、ここではその詳しい構造についての説明を省略する。尚、本発明の好適な実施例においては、前記同期電動機22がモータであるが、これに限定されるものではなく、前記駆動装置30を駆動して旋回させることができる装置であればよい。
【0016】
前記駆動装置30は、一端が前記リンクアーム23に連結されると共に、他端に駆動軸31が突設される。尚、本発明の好適な実施例においては、前記駆動装置30がモータであるが、これに限定されるものではなく、前記羽根部材70を回転駆動させることができる装置であればよい。前記天井扇風機用の揺動回転支持部材10は、前記複数の透孔111をそれぞれ挿通した複数の締結部材を介して前記駆動装置30に固設されており、該駆動装置30の駆動軸31は、該揺動回転支持部材10のスリット溝部122に挿通される。尚、本発明の好適な実施例においては、前記天井扇風機用の揺動回転支持部材10の数が二つであり、当該二つの揺動回転支持部材10は、それぞれの案内面121において対向するように間隔を置いて配置されているが、これに限定されるものではなく、揺動回転支持部材10の数が一つであってもよい。
【0017】
前記下部カバー40は、前記吊下手段20の下方に組み合わせることできると共に、その一端に窪み状に形成される装着空間を有し、該装着空間の底部に軸穴41が形成され、前記駆動装置30及び天井扇風機用の揺動回転支持部材10は、該下部カバー40の装着空間及び吊下手段20の収容空間内に設置される。
【0018】
前記保持カラー50は、前記下部カバー40の装着空間内に固定されると共に、環状部51及び二つの突起52を含み、該二つの突起52は、該環状部51の内周壁面において対向するように突出形成される。尚、本発明の好適な実施例においては、前記保持カラー50が二つの突起52を含むが、これに限定されるものではなく、該突起52の数が一つであってもよい。本発明の好適な実施例の各天井扇風機用の揺動回転支持部材10の案内部12は、その一部が前記下部カバー40の軸穴41から露出すると共に、その案内面121は、前記保持カラー50の二つの突起52に当接するように、該保持カラー50内に嵌合保持される。
【0019】
前記保持リング60はC型止め輪であって、前記保持カラー50の上方に当接するように、前記下部カバー40に取り付けられる。
【0020】
前記羽根部材70は、前記駆動装置30の駆動軸31に接続されて回転駆動するものであるが、該羽根部材70に関する構成は既存技術であるため、ここではその詳しい構造についての説明を省略する。
【0021】
以下、本発明の使用状態について説明する。
図2、
図5及び
図6に示すように、前記吊り下げ具21を介して天井に固設される本発明に係る天井扇風機を起動させて、前記同期電動機22により前記リンクアーム23を回転駆動させ、それにより、該リンクアーム23に連結された駆動装置30は、該リンクアーム23と同期電動機22との連結箇所を中心に旋回駆動し、該駆動装置30の旋回運動に連動する二つの揺動回転支持部材10は、それぞれの案内面121が前記下部カバー40に固定された保持カラー50の二つの突起52に当接しつつ、揺動回転する。このような設計によれば、前記駆動装置30は、前記揺動回転支持部材10の支持により安定して揺動旋回運動しながら、駆動軸31に接続されて回転駆動する前記羽根部材70の送風方向を変えることができる。上述したように、本発明の優れた点は天井扇風機用の揺動回転支持部材10の基部11を半円形の板状体にし、案内部12を半球状体にすることにより、部品の小型化及び軽量化を実現し、消費電力の節約、設備の使用寿命の向上及び輸送コストの抑制に役立つ。また、二つの揺動回転支持部材10は、それぞれの案内面121が対向するように、間隔をあけて組み合わせ、保持カラー50の突起52を受ける空間を形成することにより、球体表面に溝切削加工作業を省き、製造コストの低減及び組立作業の作業性の向上を図ることができる。
【0022】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明に対して何ら限定を行うものではない。本発明について、比較的好適な実施形態をもって上記のとおり開示したが、これは本発明を限定するものではなく、すべての当業者が、本発明の技術構想を逸脱しない範囲において、本発明の技術の本質に基づいて上記の実施形態に対して行ういかなる簡単な修正、変更及び修飾も、依然としてすべて本発明の技術構想の範囲内にある。
【符号の説明】
【0023】
10 揺動回転支持部材
11 基部
111 透孔
112 内面
113 陥凹部
12 案内部
121 案内面
122 スリット溝部
20 吊下手段
21 吊り下げ具
22 同期電動機
23 リンクアーム
30 駆動装置
31 駆動軸
40 下部カバー
41 軸穴
50 保持カラー
51 環状部
52 突起
60 保持リング
70 羽根部材
90 揺動回転支持部材
901 板状基部
902 球状案内部
903 案内溝部
91 保持カラー
911 突起