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特開2023-116405含フッ素環状化合物の製造方法及び含フッ素環状化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116405
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】含フッ素環状化合物の製造方法及び含フッ素環状化合物
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/68 20060101AFI20230815BHJP
   C07C 211/60 20060101ALI20230815BHJP
   C07C 43/225 20060101ALI20230815BHJP
   C07C 41/30 20060101ALI20230815BHJP
   C07C 25/22 20060101ALI20230815BHJP
   C07C 17/269 20060101ALI20230815BHJP
   C07D 333/50 20060101ALI20230815BHJP
   C07D 333/52 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C07C209/68
C07C211/60 CSP
C07C43/225 A
C07C41/30
C07C25/22
C07C17/269
C07D333/50
C07D333/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009201
(22)【出願日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2022018474
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】305013910
【氏名又は名称】国立大学法人お茶の水女子大学
(71)【出願人】
【識別番号】301005614
【氏名又は名称】東ソー・ファインケム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182073
【弁理士】
【氏名又は名称】萩 規男
(72)【発明者】
【氏名】矢島 知子
(72)【発明者】
【氏名】神原 將
(72)【発明者】
【氏名】柴田 桜子
(72)【発明者】
【氏名】山口 愛織
(72)【発明者】
【氏名】香川 巧
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB84
4H006BA95
4H006EA33
4H006GN38
4H006GP03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より工業的に実施可能な、芳香族化合物に原料由来のオクタフルオロブチル基を環化して付加することで得られる化合物の製造方法及び当該方法により得られる新規な含フッ素環状化合物を提供する。
【解決手段】ベンゼン誘導体もしくはその類縁体を、有機溶媒中、光照射下、1,4-ジヨードペルフルオロブタンと反応させることにより、下記、一般式(4)

(式(4)中、R、R及びRは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子又はアミノ基を示す)で表わされる含フッ素環状化合物もしくはその類縁体由来の含フッ素環状化合物を得る方法、及び得られる含フッ素環状化合物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化17】
(式(1)中、R、R及びRは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子又はアミノ基を示す)
で表わされるベンゼン誘導体、又は、下記一般式(2)
【化18】
(式(2)中、R及びRは各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、4-アミノフェニル基、3-メチル-4-アミノフェニル基又はハロゲン原子を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す)
で表されるベンゼン誘導体、又は、下記一般式(3)
【化19】
(式(3)中、R及びRは水素原子又は縮環したフェニル環を示し、Aは酸素原子又はイオウ原子を示す)
で表されるヘテロ環芳香族誘導体を、有機溶媒中、光照射下、1,4-ジヨードペルフルオロブタンと反応させることを特徴とする、下記、一般式(4)
【化20】
(式(4)中、R、R及びRは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子又はアミノ基を示す)
で表わされるベンゼン誘導体、又は、下記一般式(5)
【化21】
(式(5)中、R及びRは各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、4-アミノフェニル基、3-メチル-4-アミノフェニル基又はハロゲン原子を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す)
で表されるオクタフルオロブチル基環化付加ベンゼン誘導体、又は、下記一般式(6)
【化22】
(式(6)中、R及びRは水素原子又は縮環したフェニル環を示し、Aは酸素原子又はイオウ原子を示す)
で表されるオクタフルオロブチル基環化付加ヘテロ環芳香族誘導体からなる含フッ素環状化合物の製造方法。
【請求項2】
光照射条件が、太陽光又は発光ダイオードによることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素環状化合物の製造方法。
【請求項3】
下記、一般式(7)
【化23】
(式(7)中、R及びR11は、各々独立してメチル基、エチル基又はメトキシ基を示し、R10はメトキシ基又はアミノ基を示す)
で表わされる含フッ素環状化合物。
【請求項4】
下記、式(8)
【化24】
で表される含フッ素環状化合物。
【請求項5】
下記、式(9)
【化25】
で表される含フッ素環状化合物。
【請求項6】
下記、式(10)
【化26】
で表される含フッ素環状化合物。
【請求項7】
光触媒として、エオシンY・2ナトリウム塩存在下、光照射下、反応を行うことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素環状化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は含フッ素環状化合物の製造方法及び新規含フッ素環状化合物に関する。
含フッ素環状化合物を用いて製造される含フッ素環状構造を有する高分子化合物は、屈折率、誘電率が低く、高い透明性を有し、さらに、高い耐熱性、高い耐溶剤性を持つ材料であり、半導体・フォトニクス分野において重要な材料として、普及している。
【背景技術】
【0002】
従来より、含フッ素環状化合物の製造方法としては、1,4-ジヨードペルフルオロブタンを用い、亜鉛塩とした後、芳香族ジヨード化合物と反応させる方法(例えば、非特許文献1参照)、1,4-ジヨードペルフルオロブタンを用い、ラジカル開始剤として過硫酸カリウム存在下、芳香族化合物と反応させる方法(例えば、非特許文献2参照)、さらに、修飾ビタミンB12-コバルト錯体を触媒として用い、芳香族化合物と1,4-ジヨードペルフルオロブタンを反応させる方法(例えば、非特許文献3参照)が知られている。
【0003】
上記非特許文献1の方法は、過剰の亜鉛が必要で、経済的ではないという課題がある。また、非特許文献2に記載の方法は、過剰の過硫酸カリウムが必要で、大量スケールでは爆発の危険性を伴うという課題がある。さらに、非特許文献3の方法では、高価な修飾ビタミンB12-コバルト錯体を触媒が必要で、経済てきではないという課題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】P.T.Kaplan,et.al.,J.Fluorine Chem.168(2014),158-162。
【非特許文献2】Hai-Ping Cao,et.al.,J.Fluorine Chem.127(2006),1079-1086。
【非特許文献3】L.Cui,et.al.,RSC Adv.,2020,10,24862-27866。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、これら従来技術を鑑み、含フッ素環状化合物の製造方法について、より工業的に実施可能な方法及び当該方法により得られる新規な含フッ素環状化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは、1,4-ジヨードペルフルオロブタンを原料とし、光照射下、芳香族化合物と反応させることにより、容易に含フッ素環状化合物が得られることを見出した。さらに、当該方法により得られる化合物が高分子製造用原料となりうる新規化合物を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、以下に係る。
[1] 下記一般式(1)
【化1】
(式(1)中、R、R及びRは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子又はアミノ基を示す)
で表わされるベンゼン誘導体、又は、下記一般式(2)
【化2】
(式(2)中、R及びRは各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、4-アミノフェニル基、3-メチル-4-アミノフェニル基又はハロゲン原子を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す)
で表されるベンゼン誘導体、又は、下記一般式(3)
【化3】
(式(3)中、R及びRは水素原子又は縮環したフェニル環を示し、Aは酸素原子又はイオウ原子を示す)
で表されるヘテロ環芳香族誘導体を、有機溶媒中、光照射下、1,4-ジヨードペルフルオロブタンと反応させることを特徴とする、下記一般式(4)
【化4】
(式(4)中、R、R及びRは各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子又はアミノ基を示す)
で表わされるオクタフルオロブチル基環化付加ベンゼン誘導体、又は、下記一般式(5)
【化5】
(式(5)中、R及びRは各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、4-アミノフェニル基、3-メチル-4-アミノフェニル基又はハロゲン原子を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す)
で表されるオクタフルオロブチル基環化付加ベンゼン誘導体、又は、下記一般式(6)
【化6】
(式(6)中、R及びRは水素原子又は縮環したフェニル環を示し、Aは酸素原子又はイオウ原子を示す)
で表されるオクタフルオロブチル基環化付加ヘテロ環芳香族誘導体からなる含フッ素環状化合物の製造方法。
[2] 光照射条件が、太陽光又は発光ダイオードによる、項[1]に記載の含フッ素環状化合物の製造方法。
[3] 下記、一般式(7)
【化7】
(式(7)中、R及びR11は、各々独立してメチル基、エチル基又はメトキシ基を示し、R10はメトキシ基又はアミノ基を示す)
で表わされる含フッ素環状化合物。
[4] 下記、式(8)
【化8】
で表される含フッ素環状化合物。
[5] 下記、式(9)
【化9】
で表される含フッ素環状化合物。
[6] 下記、式(10)
【化10】
で表される含フッ素環状化合物。
[7] 光触媒として、エオシン-Y・2ナトリウム塩存在下、光照射下、反応を行うことを特徴とする、項[1]又は項[2]に記載の含フッ素環状化合物の製造方法。
以上の通り、本発明は含フッ素環状化合物の製造方法及び、当該方法により得られる含フッ素環状化合物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、芳香族誘導体にオクタフルオロブチル基を有する1,4-ジヨードペルフルオロブタンを反応させて、オクタフルオロブチル基を環化して付加することで得られる含フッ素環状化合物の工業的な製造方法製法が提供できる。また高分子製造用のモノマー化合物として有用な新規な含フッ素環状化合物できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(1)で表わされるベンゼン誘導体としては、具体的に例えば、ベンゼン、メチルベンゼン、エチルベンゼン、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、アニリン、1,2-ジメチルベンゼン、1,3-ジメチルベンゼン、1,2-ジエチルベンゼン、1,3-ジエチルベンゼン、1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、1,2-ジエトキシベンゼン、1,3-ジエトキシベンゼン、2-メチルアニリン、3-メチルアニリン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリエチルベンゼン、1,2,3-トリメトキシベンゼン,1,2,3-トリエトキシベンゼン、2,3-ジメチルアニリン、2,6-ジメチルアニリン、2,6-n-プロピルアニリン、2,6-iso-プロピルアニリン、2,6-ジフルオロアニリン、2,6-ジクロロアニリン、2,6-ジブロモアニリン、2,6-ジヨードアニリン、2-メトキシ-6-メチルアニリン等が挙げられる。
【0010】
本発明の一般式(2)で表されるベンゼン誘導体としては、具体的には例えば、1,4-ジメトキシベンゼン、1,4-ジエトキシベンゼン、1,4-ジアミノベンゼン、4,4´-ジアミノジフェニル、1,4-ジフルオロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,4-ジブロモベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,4-ジメトキシ-2-メチルベンゼン、1,4-ジエトキシ-2-メチルベンゼン、1,4-ジアミノ-2-メチルベンゼン、4,4´-ジアミノ-3,3´-ジメチルジフェニル、1,4-ジフルオロ-2-メチルベンゼン、1,4-ジクロロ-2-メチルベンゼン、1,4-ジブロモ-2-メチルベンゼン、1,4-ジヨード-2-メチルベンゼン等が挙げられる。
【0011】
本発明の一般式(3)で表されるヘテロ環芳香族誘導体としては、具体的には例えば、チオフェン、ベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン等が挙げられる。
【0012】
本発明の一般式(4)で表されるオクタフルオロブチル基環化付加ベンゼン誘導体としては、具体的には例えば、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-エトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-エトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,6-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6,7-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,7-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,6-ジエチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6,7-ジエチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,7-ジエチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,6-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6,7-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,7-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,6-ジエトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6,7-ジエトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,7-ジエトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-アミノ-6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-7-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-アミノ-7-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,6,7-トリメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,6,7-トリエチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,6,7-トリメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,6,7-トリエトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-アミノ-6,7-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-7-アミノ-5,6-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジ-n-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジ-iso-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジクロロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジヨード-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5-メトキシ-7-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
【0013】
本発明の一般式(5)で表されるオクタフルオロブチル基環化付加ベンゼン誘導体としては、具体的には例えば、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジエトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジアミノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-アミノ-8-(4-アミノフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジクロロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジヨード-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジメトキシ-6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジエトキシ-6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジアミノ-6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-アミノ-8-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-4-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジフルオロ-6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジクロロ-6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジブロモ-6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジヨード-6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
【0014】
本発明の一般式(6)で表されるオクタフルオロブチル基環化付加ヘテロ環芳香族誘導体としては、具体的には例えば、4,4,5,5,6,6,7.7-オクタフルオロ-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾフラン、4,4,5,5,6,6,7.7-オクタフルオロ-4,5,6,7-テトラヒドロジベンゾフラン、4,4,5,5,6,6,7.7-オクタフルオロ-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾチオフェン、4,4,5,5,6,6,7.7-オクタフルオロ-4,5,6,7-テトラヒドロジベンゾチオフェン等が挙げられる。
【0015】
本発明の一般式(7)で表されるオクタフルオロブチル基環化付加ベンゼン誘導体としては、具体的には例えば、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジエチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-メトキシ-5,7-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-メトキシ-5,7-ジエチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,6,7-トリメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
【0016】
本発明の式(8)で表されるオクタフルオロブチル基環化付加ジブロモベンゼン誘導体は、具体的には、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを示す。
【0017】
本発明の式(9)で表されるオクタフルオロブチル基環化付加4,4´-ジアミノジフェニル誘導体は、具体的には、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-アミノ-8-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-6-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを示す。
【0018】
本発明の式(10)で表されるオクタフルオロブチル基環化付加ベンゾチオフェン誘導体は、具体的には、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-2,3,4,5-テトラヒドロジベンゾチオフェンを示す。
【0019】
本発明の実施に当たって、使用する1,4-ジヨードペルフルオロブタンの使用量は、反応に具する芳香族化合物1モルに対して、1.0モル~4.0モル使用すると良い。
【0020】
本発明に適用可能な光源としては、通常の外光(太陽光)、市販の化学実験用の発光ダイオード(LED)を用いることが可能である。用いられるLEDの種類としては、青色LED、白色LED及び赤色LEDの3種並びに波長が限定されたLEDが購入、取得できるが、本発明にはどのLEDでも適用可能である。
【0021】
本発明に適用可能な有機溶剤は、反応に不活性なものであれば特に制約はないが、具体的には例えば、ジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、各々単独又は混合して使用するか、必要に応じて各々単独又は混合したものに水を添加し使用する。
本発明で水を添加する場合は、反応に使用する溶剤に対して0.1重量倍量~2.0重量倍量の使用が可能である。
本発明の有機溶剤又は有機溶剤と水の混合物の使用量は、反応に具する芳香族化合物に対して10重量倍量~1,000重量倍量使用する。
【0022】
本発明の実施に当たって、必要に応じて、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤や、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩を添加しても良く、その場合は、反応に具する芳香族化合物1モルに対して、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤は、2モル~10モル、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属炭酸塩は、0.5モル~3.0モル添加しても良い。
【0023】
本発明の実施当たって、必要に応じて、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N´,N´-テチラメチルエチレンジアミン、N,N,N´,N´-テトラエチルエチレンジアミン等を添加しても良く、その場合は、反応に具する芳香族化合物に対して、0.5モル量~5.0モル量使用すると良い。
【0024】
本発明の実施に当たって、下記式(11)
【化11】
に示すエオシンY(Eosin Y)、エリスロシンB(Erythrosine B)、ローズ・ベンガル(Rose Bengal)、フロキシンB(Phloxine B)等の、350nm~600nmの最大吸収波長を有する化合物及びそのナトリウム塩を光増感剤として添加しても良く、その場合は、反応に具する芳香族化合物1モルに対して、0.01モル量~0.50モル量使用するとよい。
【0025】
本発明の反応温度及び時間は、通常5℃~50℃の温度範囲で、10時間~48時間の範囲である。
本発明の反応後の後処理としては、周知の方法であれば特に規定はないが、例えば、ジクロロメタン等の溶剤で抽出、硫酸ナトリウム上で乾燥、ろ過、濃縮し粗製物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等により精製し、目的物の一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)、一般式(8)、一般式(9)又は一般式(10)で表わされる含フッ素環状化合物を得ることができる。
【実施例0026】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0027】
分析にあたっては下記機器を使用した。
H-NMRおよび19F-NMR:日本電子(株)製GSX-400スペクトロメーター(JEOL GSX-400 spectrometer)。
【0028】
実施例1 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジエチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(12)の調製
【化12】
撹拌子を備えた10mLのガラス製耐圧チューブに、2,6-ジエチルアニリン(44.8mg,0.3mmol)、ジクロロメタン(3mL)、チオ硫酸ナトリウム(237.5mg,1.5mmol)を溶解させた水溶液(2mL)、炭酸セシウム(147.3mg,0.45mmol)及び1,4-ジヨードペルフルオロブタン(56μL,136mg,0.3mmol)を添加し、室温下、365nmのLEDを用いた光照射下、24時間反応を行った。
反応終了後、ジクロロメタンで抽出、硫酸ナトリウム上で乾燥、ろ過、減圧濃縮することにより、粗製物を得た。得られた粗製物について、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼンを用いた19F-NMR測定において、目的物は58.1mg(0.183mmol,収率61%)が生成していた。
次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、目的物の1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(12)を得た(56.2mg,0.177mmol,収率59%)。
【0029】
目的物の分析は次の通りであった。
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.42(1H,s),4.25(2H,r),2.82(2H,q,J=7.5Hz),2.58(2H,q,J=7.5Hz),1.33(3H,t,J=7.6Hz),1.24(3H,t,J=7.6Hz)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-100.3(2F,s),-101.4(2F,s),-133.7(2F,s),-135.8(2F,s)。
【0030】
実施例2~10 各種オクタフルオロブチル基環化付加物の調製
実施例1と同じ反応装置を用い、2,6-ジエチルアニリン(0.3mmol)に替えて表1中に示した芳香族化合物(0.3mmol)を用いた以外、実施例1と同じ操作を行い、各種オクタフルオロブチル基環化付加物を得た。結果を表1中に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
1)粗製物での内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼンを用いた19F-NMR測定による収率。( )内は、シリカゲルカラム精製後の単離収率。
2)1 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(13)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.41(1H,s),4.16(2H,br),2.34(3H,t,J=2.1Hz),2.27(3H,s)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-100.5(2F,s),-101.8(2F,s),-133.8(2F,s),-135.9(2F,s)。
3)1 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジアミノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(14)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=6.72(2H,d,J=2.3Hz),4.07(4H,br)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-108.0(2F,s),-110.2(2F,s),-135.3(2F,s),-136.1(2F,s)。
4)1 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5-アミノ-8-(4-アミノ-3-メチルフェニル)-5メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(15)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.28-7.62(5H,m)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-107.5(2F,s),-103.0(2F,s),-134.4(2F,s),-143.3(2F,s)。
5)1 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(16)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.19(2H,s),3.89(6H,s)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-108.4(4F,s),-135.4(4F,s)。
6)1 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジエトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(17)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.16(2H,s),4.09(4H,q,J=6.9Hz),1.44(6H,t,J=6.9Hz)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-108.3(4F,s),-135.5(4F,s)。
7)1 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,6,7-トリメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(18)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.04(1H,s),4.00(3H,s),3.97(3H,s),3.95(3H,s)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-103.0(2F,s),-104.7(2F,s),-133.8(2F,s),-135.8(2F,s)。
8)4,4,5,5,6,6,7,7-オクタフルオロ-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾチオフェン(19)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.62(1H,m),7.47(1H,m)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-97.2(2F,s),-104.0(2F,s),-133.1(2F,s),-133.7(2F,s)。
9)2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-2,3,4,5-テトラヒドロジベンゾチオフェン(20)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.63-8.20(4H,m)。
19F-NMR(376Hz,CDCl)δ=-99.3(2F,s),-106.5(2F,s),-133.4(2F,s),-133.7(2F,s)。
10)1 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(21)
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.41(2H,s)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-103.1(4F,s),-136.1(4F,s)。
【0033】
実施例11 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジ-iso-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(22)の調製
【化13】
実施例1と同じ反応装置を用い、2,6-ジエチルアニリン(0.3mmol)に替えて2,6-ジ-iso-プロピルアニリン(0.3mmol)に替えた以外、実施例1と同じ操作を行い、目的物の1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジ-isoプロピル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(22)を収率74%で得た。
【0034】
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.43(s,1H),4.31(s,2H),3.87-3.81(dd,1H,J=14.7Hz,7.3Hz),2.82-2.75(dd,1H,J=13.5Hz,6.6Hz),1.38(d,6H,J=7.3Hz),1.21-1.12(dd,6H,J=6.9Hz,2.8Hz)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-99.50(s,2F),-99.90(t,2F),-133.30(s,2F),-135.90(t,2F)。
【0035】
実施例12 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(23)の調製
【化14】
実施例1と同じ反応装置を用い、2,6-ジエチルアニリン(0.3mmol)に替えて2,6-ジフルオロアニリン(0.3mmol)に替えた以外、実施例1と同じ操作を行い、目的物の1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジフルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(23)を収率31%で得た。
【0036】
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.33(t,1H,J=10.1Hz),4.38(s,2H)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-101.73(dd,2F,J=17.3Hz,8.7Hz),-105.55(t,2F,J=10.8Hz),-122.96(dd,1F,-131.42(dd,1F,J=19.5Hz,10.8Hz),-134.02--134.16(m,2H),-135.40(q,2H,J=11.6Hz)。
【0037】
実施例13 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジクロロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(24)の調製
【化15】
実施例1と同じ反応装置を用い、2,6-ジエチルアニリン(0.3mmol)に替えて2,6-ジクロロアニリン(0.3mmol)に替えた以外、実施例1と同じ操作を行い、目的物の1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジクロロ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(24)を収率35%で得た。
【0038】
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.69(s,1H),5.20(s,2H)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-101.35--101.46(m,2F),-107.01(t,2F,J=8.7Hz),-133.63(td,2F,J=17.3Hz,8.7Hz),-135.87(t,2F,J=8.7H)。
【0039】
実施例14 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5-メトキシ-7-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(25)の調製
【化16】
実施例1と同じ反応装置を用い、2,6-ジエチルアニリン(0.3mmol)に替えて2-メトキシ-6-メチルアニリン(0.3mmol)に替えた以外、実施例1と同じ操作を行い、目的物の1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5-メトキシ-7-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(24)を収率84%で得た。なお副生物として1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-7-メトキシ-5-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンが3%生成していた。
【0040】
<目的物>
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.00(s,1H),4.36(s,2H),3.96(s,3H),2.33(s,3H)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-100.40(s,2F),-100.80(s,2F),-133.60(s,2F),-135.70(t,2F)。
<副生物>
H-NMR(400MHz,CDCl)δ=7.32(s,1H),4.27(s,2H),3.87(s,3H),2.28(s,3H)。
19F-NMR(376MHz,CDCl)δ=-100.90(s,2F),-105.10(t,2F),-134.10(s,2F),-135.50(t,2F)。
【0041】
実施例15 1,1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(16)の調製
実施例1と同じ反応装置を用い、2,6-ジエチルアニリン(0.3mmol)に替えて1,4-ジメトキシベンゼン(1.5mmol)を用いた以外、実施例1と同じ操作を行い、目的物の1,1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-5,8-ジメトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(16)を収率70%で得た。
【0042】
実施例16~18 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジエチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(12)の調製
実施例1と同じ反応装置を用い、2,6-ジエチルアニリンの添加量を1.5mmolとした上で炭酸セシウム及びチオ硫酸ナトリウムの量を表2に示した量に替え、反応を行った。結果を表2中に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
実施例19~21 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジエチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(12)の調製
実施例1と同じ反応装置を用い、2,6-ジエチルアニリンの添加量を1.5mmolとした上で、炭酸セシウム(0.45mmol,1.5eq.)に替えて、表3中に示した塩基(0.45mmol,1.5eq.)に変更し、反応を行った。結果を表3中に示した。
【0045】
【表3】
【0046】
実施例22 1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジエチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(12)の調製
アルゴン雰囲気下、撹拌子を備えた20mLのナス型二口フラスコに、2,6-ジエチルアニリン(29.9mg,0.2mmol)、アセトニトリル/水(5/1)混合液(5mL)、エオシンY・2ナトリウム塩(14.7mg、0.02mmol)、チオ硫酸ナトリウム(1.00mmol)及び1,4-ジヨードペルフルオロブタン(56μL,136mg,0.3mmol)を仕込み、室温下、白色LEDの照射を3時間行ったところ、目的物の1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロ-6-アミノ-5,7-ジエチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(12)が収率23%で生成していた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明により、簡便にオクタフルオロブチル基が環化付加した芳香族化合物を得ることができ、オクタフルオロブチル基が環化付加した芳香族化合物は、光学材料や電子材料に用いられる高分子化合物の合成原料として利用可能である。