(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116410
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20230815BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20230815BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20230815BHJP
C11D 1/38 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/72
C11D1/722
C11D1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015822
(22)【出願日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2022019054
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(74)【代理人】
【識別番号】100203242
【弁理士】
【氏名又は名称】河戸 春樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 宥太
(72)【発明者】
【氏名】大橋 達貴
(72)【発明者】
【氏名】廣島 理文
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AC08
4H003AC09
4H003AC23
4H003AE05
4H003BA12
4H003DA01
4H003DA05
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA19
4H003EB06
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB30
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003ED29
4H003FA04
(57)【要約】
【課題】殺菌効果に優れ、例えば短時間の処理であっても優れた殺菌効果が得られる液体洗浄剤組成物および殺菌洗浄方法を提供する。
【解決手段】下記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する、液体洗浄剤組成物。
(a)成分:ノニオン界面活性剤(ただし、(b)成分は除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤
Rb-O-(EO)s-H (b1)
〔式中、Rbは炭素数8以上24以下の第二級アルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、sは平均付加モル数であり、0を超え7未満の数である。〕
(c)成分:カチオン界面活性剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する、液体洗浄剤組成物。
(a)成分:ノニオン界面活性剤(ただし、(b)成分は除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤
Rb-O-(EO)s-H (b1)
〔式中、Rbは炭素数8以上24以下の第二級アルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、sは平均付加モル数であり、0を超え7未満の数である。〕
(c)成分:カチオン界面活性剤
【請求項2】
(b)成分の前記一般式(b1)中、sが0を超え5以下の数である、請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(a)成分が、下記の一般式(a1)で表されるノニオン界面活性剤及び下記の一般式(a2)で表されるノニオン界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤である、請求項1又は2に記載の液体洗浄剤組成物。
R1a-O-〔(EO)p/(PO)q〕-H (a1)
〔式中のR1aは炭素数10以上24以下の脂肪族炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、p及びqは平均付加モル数であり、pは0以上40以下の数であり、qは0以上6以下の数であり、pとqの合計は1以上であり、EOとPOを含む場合、EOとPOはブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。〕
R2a-(CO)O-(AO)r-R3a (a2)
〔式中、R2aは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R3aは水素原子又はメチル基であり、COはカルボニル基であり、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基である。AOが炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基を含む場合は、炭素数2のアルキレンオキシ基と炭素数3のアルキレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。rは平均付加モル数であって、1以上70以下の数である。〕
【請求項4】
繊維製品用又は硬質表面用である、請求項1~3の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である(a)/(b)の値が、2以上である、請求項1~4の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
下記(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び水を含有する処理液を、微生物の存在する対象物に接触させる、殺菌洗浄方法。
(a)成分:ノニオン界面活性剤(ただし、(b)成分は除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤
Rb-O-(EO)s-H (b1)
〔式中、Rbは炭素数8以上24以下の第二級アルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、sは平均付加モル数であり、0を超え7未満の数である。〕
(c)成分:カチオン界面活性剤
【請求項7】
前記対象物が、繊維製品又は硬質表面である、請求項6に記載の殺菌洗浄方法。
【請求項8】
前記処理液が、請求項1~5の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物を用いて調製されたものである、請求項6又は7に記載の殺菌洗浄方法。
【請求項9】
下記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する組成物の、液体洗浄剤組成物としての使用。
(a)成分:ノニオン界面活性剤(ただし、(b)成分は除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤
Rb-O-(EO)s-H (b1)
〔式中、Rbは炭素数8以上24以下の第二級アルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、sは平均付加モル数であり、0を超え7未満の数である。〕
(c)成分:カチオン界面活性剤
【請求項10】
液体洗浄剤組成物が、繊維製品用液体洗浄剤組成物又は硬質表面用液体洗浄剤組成物である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記組成物中の、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である(a)/(b)の値が、2以上である、請求項9又は10に記載の使用。
【請求項12】
下記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する組成物の、液体洗浄剤組成物としての用途。
(a)成分:ノニオン界面活性剤(ただし、(b)成分は除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤
Rb-O-(EO)s-H (b1)
〔式中、Rbは炭素数8以上24以下の第二級アルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、sは平均付加モル数であり、0を超え7未満の数である。〕
(c)成分:カチオン界面活性剤
【請求項13】
液体洗浄剤組成物が、繊維製品用液体洗浄剤組成物又は硬質表面用液体洗浄剤組成物である、請求項12に記載の用途。
【請求項14】
前記組成物中の、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である(a)/(b)の値が、2以上である、請求項12又は13に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物、及び殺菌洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料等の繊維製品や、浴室、トイレ、各種工業設備等の硬質物品など、さまざまな物品の洗浄に、界面活性剤を配合した洗浄剤が用いられている。近年、生活者の衛生意識の高まりに伴い、繊維表面や硬質表面などのにおいや菌に対する関心も高まってきており、洗浄と共に殺菌効果を付与する検討が種々なされている。繊維表面や硬質表面などには皮膚常在菌や環境中に存在する様々な菌が付着し繁殖していることが知られている。繊維表面や硬質表面などに付着している菌の増殖を抑制する手段として、第4級アンモニウム塩を使用することが知られている。
【0003】
特許文献1には、(A)特定の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート及び特定のアルコールアルコキシレートから選択される1種以上と、(B)特定の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート及び特定のアルコールアルコキシレートから選択される1種以上と、(C)4級アンモニウム化合物、3級アミン化合物、2級アミン化合物、ジメチルジアリルアンモニウムの重合体及びビグアニド化合物から選択される1種以上(c1)、又は水溶性銀塩(c2)とを、所定条件で含有する、繊維製品用の液体洗浄剤が開示されている。
【0004】
特許文献2には、(A)ノニオン界面活性剤と、(B)フェノール系抗菌剤と、(C)特定の第4級アンモニウム化合物とを、所定条件で含有する、繊維製品用の液体洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-28942号公報
【特許文献2】特開2020-105278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、殺菌効果に優れ、例えば短時間の処理であっても優れた殺菌効果が得られる液体洗浄剤組成物、及び殺菌洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する、液体洗浄剤組成物に関する。
(a)成分:ノニオン界面活性剤(ただし、(b)成分は除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤
Rb-O-(EO)s-H (b1)
〔式中、Rbは炭素数8以上24以下の第二級アルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、sは平均付加モル数であり、0を超え7未満の数である。〕
(c)成分:カチオン界面活性剤
【0008】
また、本発明は、前記(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び水を含有する処理液を、微生物の存在する対象物に接触させる、殺菌洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、殺菌効果に優れ、例えば短時間の処理であっても優れた殺菌効果が得られる液体洗浄剤組成物、及び殺菌洗浄方法が提供される。
【0010】
本発明の液体洗浄剤組成物が、殺菌効果に優れる理由は必ずしも定かではないが、以下のように推定される。一般に、カチオン界面活性剤は、菌体に吸着することで殺菌効果が発現するため、菌体に対するカチオン界面活性剤の吸着量が多い方が殺菌性に優れる。本発明の(b)成分である第二級アルキル基を有するノニオン界面活性剤は、他のノニオン界面活性剤、例えば、第一級のアルキル基を有するノニオン界面活性剤に比べて、カチオン界面活性剤と併用した場合の、カチオン界面活性剤の菌体への吸着量を多くする効果に優れると考えられる。すなわち、本発明では、カチオン界面活性剤と組み合わせるノニオン界面活性剤として、第二級のアルキル基を有する本発明の(b)成分のノニオン界面活性剤を用いることが、優れた殺菌効果を得るのに貢献している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<液体洗浄剤組成物>
(a)成分は、ノニオン界面活性剤(ただし、(b)成分は除く)である。
(a)成分としては、殺菌効果の観点から、脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートから選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤が好ましい。
【0012】
殺菌効果の観点から、前記の脂肪族炭化水素基は、アルキル基又はアルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
【0013】
殺菌効果の観点から、脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートにおける脂肪族炭化水素基は、直鎖又は分岐鎖であり、直鎖が好ましい。前記脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、より更に好ましくは14以上、より更に好ましくは16以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
【0014】
殺菌効果の観点から、脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートにおける前記のアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる1種以上が好ましく、エチレンオキサイドがより好ましい。アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを含む場合、ブロック結合型でもランダム結合型であってもよい。
【0015】
殺菌効果の観点から、脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレートにおける前記のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、そして、好ましくは70以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは35以下、より更に好ましくは20以下である。
【0016】
脂肪族エステルアルコキシレートとしては、例えば、脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物及びその末端メチル化物が挙げられる。脂肪族エステルアルコキシレートとしては、殺菌効果の観点から、脂肪酸メチルエステルエトキシレートが好ましい。
【0017】
殺菌効果の観点から、脂肪族エステルアルコキシレートにおける前記の脂肪酸は、炭素数が、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、より更に好ましくは14以上、より更に好ましくは16以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下の脂肪族炭化水素基を有する脂肪酸が挙げられる。
【0018】
(a)成分としては、下記の一般式(a1)で表されるノニオン界面活性剤及び下記の一般式(a2)で表されるノニオン界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤が挙げられる。
R1a-O-〔(EO)p/(PO)q〕-H (a1)
〔式中のR1aは炭素数10以上24以下の脂肪族炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、p及びqは平均付加モル数であり、pは0以上40以下の数であり、qは0以上6以下の数であり、pとqの合計は1以上であり、EOとPOを含む場合、EOとPOはブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。〕
R2a-(CO)O-(AO)r-R3a (a2)
〔式中、R2aは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R3aは水素原子又はメチル基であり、COはカルボニル基であり、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基である。AOが炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基を含む場合は、炭素数2のアルキレンオキシ基と炭素数3のアルキレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。rは平均付加モル数であって、1以上70以下の数である。〕
【0019】
一般式(a1)中、R1aの炭素数は、殺菌効果の観点から、10以上、好ましくは12以上、そして、24以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下である。
【0020】
一般式(a1)中、R1aの脂肪族炭化水素基としては、殺菌効果の観点から、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。R1aは、殺菌効果の観点から、直鎖または分岐鎖の脂肪族炭化水素基、例えば直鎖または分岐鎖アルキル基、直鎖または分岐鎖アルケニル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。
【0021】
一般式(a1)中、pは0以上40以下の数であり、pが0でない場合、殺菌効果の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、より更に好ましくは10以上、そして、好ましくは35以下、より好ましくは30以下である。
【0022】
一般式(a1)中、qは0以上6以下の数であり、qが0でない場合、殺菌効果の観点から、好ましくは1以上、そして、好ましくは4以下である。
【0023】
(a)成分としては、殺菌効果の観点から、例えば、下記の一般式(a1-1)で表されるノニオン界面活性剤が挙げられる。
R1a-O-(EO)n1-(PO)q-(EO)n2-H (a1-1)
〔式中のR1aは炭素数10以上24以下の脂肪族炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、n1、n2及びqは平均付加モル数であり、n1は0以上20以下の数であり、qは1以上6以下の数であり、n2は0以上20以下の数である。EOとPOを両方含む場合、n1とn2は同時に0ではなく、EOとPOはこの順でブロック型結合をしている。〕
【0024】
一般式(a1-1)中、R1a、qの具体例及び好ましい例は一般式(a1)と同じである。
【0025】
一般式(a1-1)中、n1は0以上20以下の数であり、n1が0でない場合は、殺菌効果の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは7以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。
【0026】
一般式(a1-1)中、n2は0以上20以下の数であり、n2が0でない場合は、殺菌効果の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは7以上、そして、好ましくは19以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは17以下である。
【0027】
また、一般式(a2)中、R2aの炭素数は、殺菌効果の観点から、9以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。
【0028】
R2aは、殺菌効果の観点から、アルキル基又はアルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。殺菌効果の観点から、脂肪族炭化水素基は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、直鎖が好ましい。
【0029】
殺菌効果の観点から、R3aは水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
【0030】
一般式(a2)中、rは、殺菌効果の観点から、1以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、そして、70以下、好ましくは50以下、より好ましくは25以下である。
【0031】
一般式(a2)中、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基である。AOが炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基を含む場合は、炭素数2のアルキレンオキシ基と炭素数3のアルキレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。
【0032】
脂肪族アルコールアルコキシレート及び脂肪族エステルアルコキシレート以外のノニオン界面活性剤としては、アルキレンオキシ基を含んでいてもよい多価アルコール脂肪酸エステル、アルキルグリコシド、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマーなどが挙げられる。アルキレンオキシ基を含んでいてもよい多価アルコール脂肪酸エステルとしては、殺菌効果の観点から、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0033】
本発明の液体洗浄剤組成物では、(a)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0034】
本発明の液体洗浄剤組成物は、殺菌効果の観点から、(a)成分を、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下含有することができる。
【0035】
(b)成分は、下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤である。
Rb-O-(EO)s-H (b1)
〔式中、Rbは炭素数8以上24以下の第二級アルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、sは平均付加モル数であり、0を超え7未満の数である。〕
【0036】
一般式(b1)中、Rbの炭素数は、殺菌効果の観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上、そして、24以下、好ましくは18以下、更に好ましくは16以下であってよい。ここで、第二級アルキル基とは、第二級アルコールから水酸基を除去した残基であり、より具体的には、一般式(b1)中のRb-O-においてOと結合するRbの炭素原子が第二級炭素原子となっている基である。
【0037】
一般式(b1)中、sは、殺菌効果の観点から、0を超え、そして、7未満、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下の数である。
【0038】
本発明の液体洗浄剤組成物では、(b)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。本発明の液体洗浄剤組成物は、(b)成分として、一般式(b1)中のsが0を超え3以下のノニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
【0039】
本発明の液体洗浄剤組成物は、殺菌効果の観点から、(b)成分を、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下含有することができる。
【0040】
(c)成分は、カチオン界面活性剤である。
(c)成分としては、殺菌効果の観点から、例えば、下記一般式(c1)で表される化合物が挙げられる。
【0041】
【0042】
〔式中、R1cは、炭素数8以上24以下の鎖式炭化水素基であり、R2cは、炭素数8以上24以下の鎖式炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、R3c及びR4cは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、X-は炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、又はハロゲン化物イオンである。〕
【0043】
一般式(c1)中、R1cの鎖状炭化水素基の炭素数は、殺菌効果の観点から、9以上が好ましく、10以上がより好ましく、そして18以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。
【0044】
R2cは、炭素数8以上24以下の鎖式炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、R2cの鎖状炭化水素基の炭素数は、殺菌効果の観点から、9以上が好ましく、10以上がより好ましく、そして18以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。
R2cの鎖式炭化水素基は、殺菌効果の観点から、アルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0045】
R3c、R4cは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基などの炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基である。
【0046】
R1c、R2cの鎖状炭化水素基の具体例は、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基であり、殺菌効果の観点から、それぞれ独立に、ノニル基、デシル基が好ましく、デシル基が好ましい。
【0047】
R2c、R3c及びR4cの炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基の具体例は、それぞれ独立に、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
X-は、CH3SO4
-、CH3CH2SO4
-などの炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、又はハロゲン化物イオンである。
【0048】
前記一般式(c1)で表される化合物のより具体的な化合物は、殺菌効果の観点から、N-エチル-N,N-ジメチルテトラデシルアンモニウム塩、トリメチルヘキサデシルアンモニウム塩、N,N-ジオクチル-N,N-ジメチルアンモニウム塩、N,N-ジノニル-N,N-ジメチルアンモニウム塩、N,N-ジデシル-N,N-ジメチルアンモニウム塩、N,N-ジオクチル-N-エチル-N-メチルアンモニウム塩、N,N-ジノニル-N-エチル-N-メチルアンモニウム塩、及びN,N-ジデシル-N-エチル-N-メチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられ、モノ長鎖型アンモニウム塩とジ長鎖型アンモニウム塩を併用することもできる。これらの塩となる対イオンは、CH3SO4
-、CH3CH2SO4
-、又はクロルイオン等のハロゲン化物イオンである。
【0049】
(c)成分としては、殺菌効果の観点から、ビスピリジニウム化合物が挙げられる。ビスピリジニウム化合物としては、例えば、英国特許第1533952号明細書、特開昭52-105228号公報、国際公開第2014/100807号に記載されているものなどが挙げられる。ビスピリジニウム化合物としては、具体的には、下記一般式(c2)で表される化合物、下記一般式(c3)で表される化合物が挙げられる。
【0050】
【0051】
〔式中、Yは、4~18個の炭素原子を有するアルキレンまたはアルケニレン基であり、R5cは、それぞれ、6~18個の炭素原子を有するアルキル基または5~7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはハロゲン置換の有無にかかわらずフェニル基を表し、Aは、陰イオンである。qは1又は2、rは1又は2であり、q×r=2である。〕
【0052】
Aは、一価又は二価の陰イオンであり、例えば、塩化物、臭化物、リン酸塩、オルトケイ酸塩、有機酸、例えば式R6c-COO-を有する有機酸やアルキル(炭素数1以上40以下)スルホン酸、などの化合物からの陰イオンであり得る。ここで、R6cは、水素、ヒドロキシル、または炭素数1以上40以下のアルキル基である。
【0053】
殺菌効果の観点から、Aの陰イオンに相当する有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、リン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、グリシルリジン酸、サリチル酸、ステアリン酸、ホスホン酸、トリフルオロ酢酸、シアノ酢酸、4-シアノ安息香酸、2-クロロ安息香酸、2-ニトロ安息香酸、フェノキシ酢酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。
【0054】
殺菌効果の観点から、好ましいビスピリジニウム化合物は、一般式(c3)の化合物、更にオクテニジン二塩酸塩(一般式(c3)中、R5cがそれぞれn-オクチル基、Yがn-デセニル基、AがCl、qが1、rが2の化合物、CAS番号70775-75-6)である。
本発明の液体洗浄剤組成物では、(c)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0055】
本発明の液体洗浄剤組成物は、殺菌効果の観点から、(c)成分を、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有することができる。
【0056】
本発明の液体洗浄剤組成物は、殺菌効果の観点から、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である(a)/(b)の値が、好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは50以下、より好ましくは10以下である。なお、各成分の含有量は、本発明の液体洗浄剤組成物中の各成分の含有量である(以下も、特記しない限り、同様)。
【0057】
本発明の液体洗浄剤組成物は、殺菌効果の観点から、(a)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比である(a)/(c)の値が、好ましくは1以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは40以下、より更に好ましくは30以下、より更に好ましくは25以下、より更に好ましくは20以下である。
【0058】
本発明の液体洗浄剤組成物は、殺菌効果の観点から、(b)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比である(b)/(c)の値が、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、そして、好ましくは500以下、より好ましくは400以下、更に好ましくは300以下、より更に好ましくは200以下、より更に好ましくは100以下、より更に好ましくは50以下、より更に好ましくは25以下、より更に好ましくは10以下である。
【0059】
本発明の液体洗浄剤組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲で、(a)成分、(b)成分及び(c)成分以外の界面活性剤(以下、その他の界面活性剤ともいう)を含有することができる。その他の界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、並びに両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。その他の界面活性剤の含有量は、殺菌効果の観点から、本発明の液体洗浄剤組成物中、2質量%以下、更に1質量%以下、更に0.5質量%以下、更に0.1質量%以下であることが好ましく、0質量%であってもよい。
【0060】
例えば、陰イオン界面活性剤としては、殺菌効果の観点から、炭素数10以上18以下の内部オレフィンスルホン酸塩、炭素数10以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有する硫酸エステル塩、炭素数10以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、炭素数8以上18以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩(炭素数8以上18以下のアルキル基とは、ベンゼン環に置換するアルキル基を意味し、ベンゼン骨格は含まない)、炭素数10以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するスルホン酸塩(但し、炭素数10以上18以下の内部オレフィンスルホン酸塩を除く)、及び炭素数10以上24以下の脂肪酸又はその塩、から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤などが挙げられる。これらの塩としては、殺菌効果の観点から、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属(1/2原子)塩、アンモニウム塩又は有機アンモニウム塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。有機アンモニウム塩としては、炭素数1以上6以下のアルカノールアンモニウム塩が挙げられる。
【0061】
陰イオン界面活性剤の含有量は、殺菌効果の観点から、本発明の液体洗浄剤組成物中、1質量%以下、更に0.5質量%以下、更に0.1質量%以下であることが好ましく、0質量%であってもよい。
【0062】
両性界面活性剤としては、殺菌効果の観点から、炭素数10以上24以下のアルキル又はアルケニルアミンオキサイド、炭素数10以上24以下のアルキル又はアルケニルベタイン、炭素数10以上24以下のアルキル又はアルケニルスルホベタインなどが挙げられる。
【0063】
本発明の液体洗浄剤組成物は、好ましくは水を含有する。水は、イオン交換水、水道水、精製水などを用いることができる。水は、組成物の残部として、組成物全体の組成が100質量%となるような量で用いることができる。本発明の液体洗浄剤組成物は、殺菌効果の観点から、水を、組成物中に、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下含有する。
【0064】
本発明の液体洗浄剤組成物は、殺菌効果の観点から、その他の任意成分として、本発明の効果に影響を与えない範囲で、下記の(1)~(11)の成分を含有することが出来る。
【0065】
(1)アルカリ剤
本発明の液体洗浄剤組成物は、殺菌効果の観点から、アルカリ剤を含有することが好ましい。アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などの無機アルカリ剤、窒素原子に結合する基のうち、1つ以上、3つ以下が炭素数2以上、4以下のアルカノール基であり、残りが炭素数1以上、4以下のアルキル基又は水素原子であるアルカノールアミンを挙げることができる。殺菌効果の観点から、このうちアルカノール基はヒドロキシアルキル基、更にヒドロキシエチル基であるものが好ましい。殺菌効果の観点から、アルカノール基以外は水素原子、又はメチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。アルカノールアミンとしては、殺菌効果の観点から、2-アミノエタノール、N-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類が挙げられる。本発明では、(1)成分として、殺菌効果の観点から、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選ばれるアルカノールアミンが好ましく、モノエタノールアミンがより好ましい。
また、上記(1)成分であるアルカリ剤は、本発明の液体洗浄剤組成物のpHを所定の値に調整する為にも用いることが出来る。
本発明の液体洗浄剤組成物では、(1)成分を、後出するpHになるような量を配合しても良い。具体的には、組成物中、殺菌効果の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、含有しても良い。なお、本発明では、(1)成分のアルカリ剤、中でもアルカノールアミンの配合量には、陰イオン界面活性剤の対イオンなど、他の成分に由来して組成物中に配合される分も算入するものとする。
【0066】
(2)キレート剤
キレート剤の具体例として、殺菌効果の観点から、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸等のアミノポリ酢酸又はこれらの塩、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸又はこれらの塩、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、これらのアルカリ金属又は低級アミン塩等が挙げられる。(2)成分のキレート剤の含有量は、酸型とみなした場合に、組成物中、殺菌効果の観点から、好ましくは0.1質量%以上、5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上、4質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上、3質量%以下である。
【0067】
(3)再汚染防止剤及び/又はポリマー系分散剤
再汚染防止剤及び/又はポリマー系分散剤としては、殺菌効果の観点から、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。再汚染防止剤及び/又はポリマー系分散剤の含有量は、組成物中、殺菌効果の観点から、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0068】
(4)漂白剤
漂白剤としては、殺菌効果の観点から、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過硼酸ナトリウム等が挙げられる。漂白剤の含有量は、組成物中、殺菌効果の観点から、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0069】
(5)漂白活性化剤
漂白活性化剤としては、殺菌効果の観点から、テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6-316700号の一般式(I-2)~(I-7)で表される漂白活性化剤等が挙げられる。漂白活性化剤の含有量は、組成物中、殺菌効果の観点から、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0070】
(6)酵素
酵素としては、殺菌効果の観点から、アミラーゼ、スクラーゼ、ラクターゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ及びリパーゼ等から選ばれる1種以上の酵素が挙げられる。酵素の含有量は、組成物中、殺菌効果の観点から、0.001質量%以上2質量%以下が好ましい。殺菌効果の観点から、アミラーゼ及びプロテアーゼを含む酵素であることが好ましい。
【0071】
(7)蛍光染料
蛍光染料としては、殺菌効果の観点から、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料が挙げられる。蛍光染料の含有量は、組成物中、殺菌効果の観点から、0.001質量%以上1質量%以下が好ましい。
【0072】
(8)酸化防止剤
酸化防止剤としては、殺菌効果の観点から、ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、組成物中、殺菌効果の観点から、0.01質量%以上、2質量%以下が好ましい。
【0073】
(9)色素、香料、ダイクロサン等の抗菌剤、シリコーン等の消泡剤。
殺菌効果の観点から、抗菌剤としてはダイクロサンが好ましい。
【0074】
(10)水酸基を有する有機溶剤
水酸基を有する有機溶剤としては、殺菌効果の観点から、以下の(10-1)成分~(10-6)成分から選ばれる1種以上の化合物が用いられる。
【0075】
(10-1)成分:炭素数2以上6以下の脂肪族炭化水素基を有する1価のアルコール
(10-1)成分として、殺菌効果の観点から、例えばエタノール、1-プロパノール、2-プロパノール及び1-ブタノールから選ばれる1価のアルコールが挙げられる。
【0076】
(10-2)成分:炭素数2以上6以下の2価以上6価以下のアルコール
(10-2)成分として、殺菌効果の観点から、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール及びグリセリンから選ばれる2価又は3価のアルコールが挙げられる。2-メチル-2,4-ペンタンジオールは、ヘキシレングリコールとも称される。
【0077】
(10-3)成分:炭素数2以上4以下のアルキレングリコール単位を含有するポリアルキレングリコール
(10-3)成分として、殺菌効果の観点から、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、重量平均分子量400以上4000以下のポリエチレングリコール及び重量平均分子量400以上4000以下のポリプロピレングリコールから選ばれるポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0078】
(10-4)成分:炭素数2以上4以下のアルキレングリコール単位と、炭素数1以上4以下のアルキル基とを有する、(モノ又はポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル
(10-4)成分として、殺菌効果の観点から、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール及び1-エトキシ-2-プロパノールから選ばれる化合物が挙げられる。
【0079】
(10-5)成分:炭素数1以上8以下のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル
(10-5)成分として、殺菌効果の観点から、例えば1-メチルグリセリルエーテル、2-メチルグリセリルエーテル、1,3-ジメチルグリセリルエーテル、1-エチルグリセリルエーテル、1,3-ジエチルグリセリルエーテル、トリエチルグリセリルエーテル、1-ペンチルグリセリルエーテル、2-ペンチルグリセリルエーテル、1-オクチルグリセリルエーテル及び2-エチルヘキシルグリセリルエーテルから選ばれるアルキルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0080】
(10-6)成分:炭素数2又は3のアルキレングリコール単位を有する(モノ又はポリ)アルキレングリコールの芳香族アルキルエーテル
(10-6)成分として、殺菌効果の観点から、例えば2-フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、2-ベンジルオキシエタノール及びジエチレングリコールモノベンジルエーテルから選ばれる化合物が挙げられる。
【0081】
前記(10-4)成分、(10-6)成分において「(モノ又はポリ)アルキレングリコール」なる用語は、モノアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールを意味する。また、「ポリアルキレングリコール」とは、アルキレングリコール単位を2個以上9個以下の量で含有することを意味する。
【0082】
(10)成分は、殺菌効果の観点から、(10-1)成分、(10-2)成分、(10-4)成分、及び(10-6)成分から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
より具体的には、本発明の液体洗浄剤組成物は、殺菌効果の観点から、エタノール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2-フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル及びトリエチレングリコールモノフェニルエーテルから選ばれる1種以上の化合物を含有することが好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物は、水酸基を有する有機溶剤として、殺菌効果の観点から、エタノール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2-フェノキシエタノール、ポリエチレングリコールフェニルエーテルから選ばれる1種以上の有機溶剤を含有することがより好ましい。
【0083】
(10)成分の含有量は、組成物中、殺菌効果の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更により好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更により好ましくは10質量%以下である。
【0084】
(11)ハイドロトロープ剤
殺菌効果の観点から、ハイドロトロープ剤を配合することができる。本発明のハイドロトロープ剤は、殺菌効果の観点から、陰イオン性基を有する有機化合物であり、更にはメチル基、エチル基又はプロピル基から選ばれるアルキル基を1つ又は2つ含み、スルホン酸基又はカルボン酸基を1つ有するアルキルベンゼンカルボン酸又はアルキルベンゼンスルホン酸又はそれらの塩、並びに安息香酸又はその塩を挙げることができる。より具体的には殺菌効果の観点から、パラトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸、安息香酸であり、塩はアルカリ金属塩が好ましい。本発明では殺菌効果の観点から、パラトルエンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩が好ましく、酸として配合し、組成物中のアルカリ剤で中和してもよい。本発明の液体洗浄剤組成物は、ハイドロトロープ剤を、酸型化合物に換算して、殺菌効果の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、含有することができる。
【0085】
本発明の液体洗浄剤組成物のpHは、特に限定するものではないが、殺菌効果の観点などを考慮して設定でき、25℃におけるpHが、例えば、3以上、更に5以上、更に更に7以上、そして、12以下、更に11以下、更に10以下であってよい。該pHは、ガラス電極を用いて25℃で測定した値である。具体的には、以下の方法で測定されたものである。
<pHの測定方法>
堀場製作所製pHメーター D-52にpH電極(型式6367)をあらかじめフタル酸緩衝液(pH4.01)、リン酸標準液(pH6.84)、ホウ酸塩標準液(pH9.18)で校正し、イオン交換水で十分すすいでおく。温度を25℃に調整した液体洗浄剤組成物に、上記の通り校正、洗浄したpH電極を入れ、pHメーターのAUTO HOLDモードを用いて、測定値が一定になるまで測定する。
【0086】
本発明の液体洗浄剤組成物は、20℃の粘度が、本発明の液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は、特に限定するものではないが、殺菌効果の観点から、10~1,000mPa・sが好ましく、20~600mPa・sがより好ましく、30~300mPa・sが更に好ましい。具体的には、以下の方法で測定されたものである。
<粘度の測定方法>
粘度は、B型粘度計により測定する。ローターは粘度に合ったものを選択する。回転数60r/minで回転し、回転開始から60秒後の粘度を液体洗浄剤組成物の粘度とする。
【0087】
本発明の液体洗浄剤組成物は、例えば、衣料、寝具などの繊維製品用や、食器、浴室、床、医療器具などの硬質表面用として好適である。
【0088】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を配合してなる液体洗浄剤組成物であってよい。この液体洗浄剤組成物には、前記の各成分の含有量は、配合する全成分中の各成分の配合量に置き換えて適用することができる。
【0089】
本発明は、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する組成物の、液体洗浄剤組成物としての使用を開示する。本発明の使用では、液体洗浄剤組成物が、繊維製品用液体洗浄剤組成物又は硬質表面用液体洗浄剤組成物であってよい。
また、本発明は、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する組成物の、液体洗浄剤組成物としての用途を開示する。本発明の用途では、液体洗浄剤組成物が、繊維製品用液体洗浄剤組成物又は硬質表面用液体洗浄剤組成物であってよい。
本発明の使用及び用途には、本発明の液体洗浄剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。例えば、本発明の使用及び用途では、前記組成物は、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である(a)/(b)の値が、好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは50以下、より好ましくは10以下であってよい。
【0090】
<殺菌洗浄方法>
本発明の殺菌洗浄方法は、前記(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び水を含有する処理液(以下、本発明の処理液ともいう)を、微生物の存在する対象物に接触させる。
本発明の殺菌洗浄方法には、本発明の液体洗浄剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。本発明の殺菌洗浄方法における、(a)成分、(b)成分、(c)成分の具体例や好ましい例なども、本発明の液体洗浄剤組成物と同じである。本発明の殺菌洗浄方法は、本発明の液体洗浄剤組成物から調製した処理液を用いることができる。殺菌洗浄に適切な組成であれば本発明の液体洗浄剤組成物をそのまま処理液として用いてもよい。本発明の処理液は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び水を混合して得られる処理液であってよい。この処理液には、後述する各成分の含有量は、混合する全成分中の各成分の混合量に置き換えて適用することができる。
【0091】
本発明の殺菌洗浄方法は殺菌効果に優れるため、例えば、短時間の処理でも優れた殺菌効果を得ることができる。本発明の殺菌洗浄方法では、例えば、本発明の処理液の接触時間が、例えば、1日以内(24時間以内)、更に6時間以内、更に30分以内、更に15分以内、更に5分以内であってよい。この接触時間は、本発明の処理液が、最初に対象物に接触した時点を始点としてよい。
【0092】
本発明の殺菌洗浄方法では、本発明の処理液のpHは、殺菌効果の観点から、特に限定するものではないが、25℃におけるpHが、例えば、3以上、更に5以上、更に更に7以上、そして、12以下、更に11以下、更に10以下であってよい。該pHは、ガラス電極を用いて25℃で測定した値であり、具体的には本発明の液体洗浄剤組成物と同じ方法で測定できる。
【0093】
本発明の処理液は、例えば、処理対象物などを考慮して、水を比較的多く含有する組成、及び水を比較的少なく含有する組成のいずれで用いることもできる。
水を比較的多く含有する組成では、本発明の処理液は、(a)成分を、殺菌効果の観点から、好ましくは2ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは80ppm以上、そして、好ましくは5000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは250ppm以下含有することができる。
また、水を比較的少なく含有する組成では、本発明の処理液は、(a)成分を、殺菌効果の観点から、好ましくは30000ppm以上、より好ましくは50000ppm以上、更に好ましくは100000ppm以上、そして、好ましくは500000ppm以下、より好ましくは300000ppm以下、更に好ましくは250000ppm以下含有することができる。
【0094】
水を比較的多く含有する組成では、本発明の処理液は、(b)成分を、殺菌効果の観点から、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは5ppm以上、更に好ましくは20ppm以上、そして、好ましくは2500ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは100ppm以下含有することができる。
また、水を比較的少なく含有する組成では、本発明の処理液は、(b)成分を、殺菌効果の観点から、好ましくは10000ppm以上、より好ましくは20000ppm以上、更に好ましくは25000ppm以上、そして、好ましくは300000ppm以下、より好ましくは150000ppm以下、更に好ましくは100000ppm以下含有することができる。
【0095】
水を比較的多く含有する組成では、本発明の処理液は、(c)成分を、殺菌効果の観点から、好ましくは0.0005ppm以上、より好ましくは1ppm以上、更に好ましくは4ppm以上、そして、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは25ppm以下含有することができる。
また、水を比較的少なく含有する組成では、本発明の処理液は、(c)成分を、殺菌効果の観点から、好ましくは10ppm以上、より好ましくは2000ppm以上、更に好ましくは5000ppm以上、そして、好ましくは100000ppm以下、より好ましくは50000ppm以下、更に好ましくは30000ppm以下含有することができる。
【0096】
本発明の殺菌洗浄方法は、対象物が繊維製品の場合、例えば、本発明の殺菌洗浄方法は、いわゆる繊維製品の洗濯における洗浄工程に取り込んで実施することができる。その場合、洗濯条件は、通常の洗濯に準ずることができる。本発明の殺菌洗浄方法を洗濯の洗浄工程に取り込んで実施する場合、殺菌効果の観点から、本発明の液体洗浄剤組成物を、水で、好ましくは500倍以上、より好ましくは800倍以上、そして、好ましくは5000倍以下、より好ましくは、3000倍以下の希釈倍率で希釈した処理液を用いることができる。
【0097】
上述した実施の形態に加え、本発明は以下の態様を開示する。これらの態様には、本発明の液体洗浄剤組成物、殺菌洗浄方法、液体洗浄剤組成物としての使用、及び液体洗浄剤組成物としての用途で記載した事項を相互に適宜適用することができる。
【0098】
<1>
下記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する、液体洗浄剤組成物。
(a)成分:ノニオン界面活性剤(ただし、(b)成分は除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤
Rb-O-(EO)s-H (b1)
〔式中、Rbは炭素数8以上24以下の第二級アルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、sは平均付加モル数であり、0を超え7未満の数である。〕
(c)成分:カチオン界面活性剤
【0099】
<2>
(a)成分が、下記の一般式(a1)で表されるノニオン界面活性剤及び下記の一般式(a2)で表されるノニオン界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤である、<1>に記載の液体洗浄剤組成物。
R1a-O-〔(EO)p/(PO)q〕-H (a1)
〔式中のR1aは炭素数10以上24以下の脂肪族炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、p及びqは平均付加モル数であり、pは0以上40以下の数であり、qは0以上6以下の数であり、pとqの合計は1以上であり、EOとPOを含む場合、EOとPOはブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。〕
R2a-(CO)O-(AO)r-R3a (a2)
〔式中、R2aは炭素数9以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R3aは水素原子又はメチル基であり、COはカルボニル基であり、AOは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基である。AOが炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基を含む場合は、炭素数2のアルキレンオキシ基と炭素数3のアルキレンオキシ基は、ブロック型結合でもランダム型結合であってもよい。rは平均付加モル数であって、1以上70以下の数である。〕
【0100】
<3>
(a)成分が、下記の一般式(a1-1)で表されるノニオン界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン界面活性剤である、<1>又は<2>に記載の液体洗浄剤組成物。
R1a-O-(EO)n1-(PO)q-(EO)n2-H (a1-1)
〔式中のR1aは炭素数10以上24以下の脂肪族炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、n1、n2及びqは平均付加モル数であり、n1は0以上20以下の数であり、qは1以上6以下の数であり、n2は0以上20以下の数である。EOとPOを両方含む場合、n1とn2は同時に0ではなく、EOとPOはこの順でブロック型結合をしている。〕
【0101】
<4>
液体洗浄剤組成物が、(a)成分を、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下含有する、<1>~<3>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【0102】
<5>
一般式(b1)中、sが、0を超え、そして、7未満、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下の数である、<1>~<4>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【0103】
<6>
液体洗浄剤組成物が、(b)成分を、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下含有する、<1>~<5>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【0104】
<7>
(c)成分が、下記一般式(c1)で表される化合物である、<1>~<6>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【0105】
【0106】
〔式中、R1cは、炭素数8以上24以下の鎖式炭化水素基であり、R2cは、炭素数8以上24以下の鎖式炭化水素基、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、R3c及びR4cは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基であり、X-は炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、又はハロゲン化物イオンである。〕
【0107】
<8>
前記一般式(c1)で表される化合物が、N-エチル-N,N-ジメチルテトラデシルアンモニウム塩、トリメチルヘキサデシルアンモニウム塩、N,N-ジオクチル-N,N-ジメチルアンモニウム塩、N,N-ジノニル-N,N-ジメチルアンモニウム塩、N,N-ジデシル-N,N-ジメチルアンモニウム塩、N,N-ジオクチル-N-エチル-N-メチルアンモニウム塩、N,N-ジノニル-N-エチル-N-メチルアンモニウム塩、及びN,N-ジデシル-N-エチル-N-メチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物である、<7>に記載の液体洗浄剤組成物。
【0108】
<9>
前記化合物の塩となる対イオンが、CH3SO4
-、CH3CH2SO4
-、又はクロルイオン等のハロゲン化物イオンである、<7>又は<8>に記載の液体洗浄剤組成物。
【0109】
<10>
(c)成分が、ビスピリジニウム化合物である、更に、下記一般式(c2)で表される化合物及び下記一般式(c3)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物である、更に一般式(c3)の化合物で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物である、更にオクテニジン二塩酸塩(一般式(c3)中、R5cがそれぞれn-オクチル基、Yがn-デセニル基、AがCl、qが1、rが2の化合物、CAS番号70775-75-6)である、<1>~<6>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【0110】
【0111】
〔式中、Yは、4~18個の炭素原子を有するアルキレンまたはアルケニレン基であり、R5cは、それぞれ、6~18個の炭素原子を有するアルキル基または5~7個の炭素原子を有するシクロアルキル基、またはハロゲン置換の有無にかかわらずフェニル基を表し、Aは、陰イオンである。qは1又は2、rは1又は2であり、q×r=2である。〕
【0112】
<11>
液体洗浄剤組成物が、(c)成分を、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有する、<1>~<10>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【0113】
<12>
(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である(a)/(b)の値が、好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは50以下、より好ましくは10以下である、<1>~<11>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【0114】
<13>
(a)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比である(a)/(c)の値が、好ましくは1以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは40以下、より更に好ましくは30以下、より更に好ましくは25以下、より更に好ましくは20以下である、<1>~<12>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【0115】
<14>
(b)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比である(b)/(c)の値が、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、そして、好ましくは500以下、より好ましくは400以下、更に好ましくは300以下、より更に好ましくは200以下、より更に好ましくは100以下、より更に好ましくは50以下、より更に好ましくは25以下、より更に好ましくは10以下である、<1>~<13>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【0116】
<15>
繊維製品用又は硬質表面用である、<1>~<14>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【0117】
<16>
水を含有する、更に、水を、組成物中に、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下含有する、<1>~<15>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【0118】
<17>
下記(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び水を含有する処理液を、微生物の存在する対象物に接触させる、殺菌洗浄方法。
(a)成分:ノニオン界面活性剤(ただし、(b)成分は除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤
Rb-O-(EO)s-H (b1)
〔式中、Rbは炭素数8以上24以下の第二級アルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、sは平均付加モル数であり、0を超え7未満の数である。〕
(c)成分:カチオン界面活性剤
【0119】
<18>
前記対象物が、繊維製品又は硬質表面である、<17>に記載の殺菌洗浄方法。
【0120】
<19>
前記処理液が、<1>~<16>の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物を用いて調製されたものである、<17>又は<18>に記載の殺菌洗浄方法。
【0121】
<20>
前記処理液が、(a)成分を、好ましくは2ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは80ppm以上、そして、好ましくは5000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは250ppm以下含有する、<17>~<19>の何れか1項に記載の殺菌洗浄方法。
【0122】
<21>
前記処理液が、(b)成分を、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは5ppm以上、更に好ましくは20ppm以上、そして、好ましくは2500ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは100ppm以下含有する、<17>~<20>の何れか1項に記載の殺菌洗浄方法。
<22>
前記処理液が、(c)成分を、好ましくは0.0005ppm以上、より好ましくは1ppm以上、更に好ましくは4ppm以上、そして、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは25ppm以下含有する、<17>~<21>の何れか1項に記載の殺菌洗浄方法。
【0123】
<23>
前記処理液が、(a)成分を、好ましくは30000ppm以上、より好ましくは50000ppm以上、更に好ましくは100000ppm以上、そして、好ましくは500000ppm以下、より好ましくは300000ppm以下、更に好ましくは250000ppm以下含有する、<17>~<19>の何れか1項に記載の殺菌洗浄方法。
【0124】
<24>
前記処理液が、(b)成分を、好ましくは10000ppm以上、より好ましくは20000ppm以上、更に好ましくは25000ppm以上、そして、好ましくは300000ppm以下、より好ましくは150000ppm以下、更に好ましくは100000ppm以下含有する、<17>~<19>、<23>の何れか1項に記載の殺菌洗浄方法。
【0125】
<25>
前記処理液が、(c)成分を、好ましくは10ppm以上、より好ましくは2000ppm以上、更に好ましくは5000ppm以上、そして、好ましくは100000ppm以下、より好ましくは50000ppm以下、更に好ましくは30000ppm以下含有する、<17>~<19>、<23>、<24>の何れか1項に記載の殺菌洗浄方法。
【0126】
<26>
下記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する組成物の、液体洗浄剤組成物としての使用。
(a)成分:ノニオン界面活性剤(ただし、(b)成分は除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤
Rb-O-(EO)s-H (b1)
〔式中、Rbは炭素数8以上24以下の第二級アルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、sは平均付加モル数であり、0を超え7未満の数である。〕
(c)成分:カチオン界面活性剤
【0127】
<27>
液体洗浄剤組成物が、繊維製品用液体洗浄剤組成物又は硬質表面用液体洗浄剤組成物である、<26>に記載の使用。
【0128】
<28>
前記組成物中の、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である(a)/(b)の値が、好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは50以下、より好ましくは10以下である、<26>又は<27>に記載の使用。
【0129】
<29>
下記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する組成物の、液体洗浄剤組成物としての用途。
(a)成分:ノニオン界面活性剤(ただし、(b)成分は除く)
(b)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤
Rb-O-(EO)s-H (b1)
〔式中、Rbは炭素数8以上24以下の第二級アルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、sは平均付加モル数であり、0を超え7未満の数である。〕
(c)成分:カチオン界面活性剤
【0130】
<30>
液体洗浄剤組成物が、繊維製品用液体洗浄剤組成物又は硬質表面用液体洗浄剤組成物である、<29>に記載の用途。
【0131】
<31>
前記組成物中の、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である(a)/(b)の値が、好ましくは0.1以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは2以上、そして、好ましくは50以下、より好ましくは10以下である、<26>又は<27>に記載の用途。
【実施例0132】
表1~3に示す液体洗浄剤組成物を調製し、以下の方法で殺菌性を評価した。結果を表1~3に示す。また、本発明の液体洗浄剤組成物の配合例を表4に示す。表中の液体洗浄剤組成物は、pH(25℃)が9.0であった。なお、表1~3中の実施例の液体洗浄剤組成物は、繊維製品に付着した汚れに対する洗浄力に優れるものであった。また、表4の配合例の液体洗浄剤組成物は、殺菌効果に優れ、繊維製品に付着した汚れに対する洗浄力に優れる。
【0133】
<殺菌性の試験方法>
(1)着用済みの衣類から分離されたマイクロコッカス属細菌(Micrococcus sp.)をSCD-LP寒天培地を平板としたプレートに画線培養し、37℃で24時間培養したものを白金耳でかきとり、滅菌水で希釈してOD600=0.4の菌濃度に調製した。
(2)試験溶液(表の液体洗浄剤組成物を菌体と接触時0.83g/Lの濃度となるように水で希釈したもの)4.5mlに対して、(1)の懸濁液を0.5ml添加し、5分間接触させた。水は全て滅菌済みの水道水を使用した。
(3)(2)で菌を接触させた試験溶液をLP希釈溶液で段階希釈し、混釈法によってSCD-LP寒天培地上に生育したコロニー数をカウントした。以下の式により殺菌活性値を求めた。この評価では、殺菌活性値が高い方が殺菌効果に優れると判断できる。
殺菌活性値=LogA-LogB
A:試験溶液接触前の菌数の平均値(CFU/ml)
B:試験溶液接触後の菌数の平均値(CFU/ml)
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
表中の成分は以下のものである。
<(a)成分>
(a-1):ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン混合アルキルエーテル(炭素数12のアルキル基/炭素数14のアルキル基(7/3、質量比)の混合アルキル基に、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン基の順に結合しており、オキシプロピレン基の平均付加モル数は3.7モル、オキシエチレン基の平均付加モル数は16.5モル)
(a-2):ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン混合アルキルエーテル(炭素数12のアルキル基/炭素数14のアルキル基(7/3、質量比)の混合アルキル基に、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン基の順に結合しており、オキシエチレン基の平均付加モル数は9モルと9モル、オキシプロピレン基の平均付加モル数は2モル)
(a-3):ポリオキシエチレン混合アルキルエーテル(混合アルキル基が炭素数12のアルキル基/炭素数14のアルキル基(7/3、質量比)の混合アルキル基に、ポリオキシエチレン基が結合しており、オキシエチレン基の平均付加モル数は10モル)
(a-4):脂肪酸メチルエステルエトキシレート(脂肪酸の炭素数16以上18以下、エチレンオキシ基の平均付加モル数が15モル)
【0139】
<(b)成分>
(b-1):炭素数12~14の第二級アルコールにエチレンオキシドを平均3モル付加したノニオン界面活性剤、一般式(b1)中のRbが炭素数12~14の第二級アルキル基、sが3のノニオン界面活性剤
(b-2):炭素数12~14の第二級アルコールにエチレンオキシドを平均5モル付加したノニオン界面活性剤、一般式(b1)中のRbが炭素数12~14の第二級アルキル基、sが5のノニオン界面活性剤
【0140】
<(b’)成分((b)成分の比較成分)>
(b’-1):炭素数12~14の第二級アルコールにエチレンオキシドを平均7モル付加したノニオン界面活性剤〔便宜的に一般式(b1)の構造にあてはめると、一般式(b1)中のRbが炭素数12~14の第二級アルキル基、sが7のノニオン界面活性剤に相当する。〕
(b’-2):炭素数12~14の第一級アルコールにエチレンオキシドを平均3モル付加したノニオン界面活性剤〔便宜的に一般式(b1)の構造にあてはめると、一般式(b1)中のRbが炭素数12の第一級アルキル基、sが3のノニオン界面活性剤に相当する。〕
【0141】
<(c)成分>
(c-1):N-エチル-N,N-ジメチルテトラデシルアンモニウム硫酸エチル塩(コータミン40ES、花王株式会社製)
(c-2):N,N-ジデシル-N-エチル-N-メチルアンモニウム硫酸エチル塩(コータミンD10-ES、花王株式会社製)
(c-3):オクテニジン二塩酸塩(Octenidine Dihydrochloride)(東京化成工業株式会社製)
(c-4):ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド
【0142】
<その他の成分>
プロテアーゼ:花王株式会社製
アミラーゼ:ノボザイム社製
塩化カルシウム:株式会社トクヤマ製
ヤシ油脂肪酸:ルナックL55、花王株式会社製
アクリル酸ポリマー:アクアリックLK-165、株式会社日本触媒製
ブチルカルビトール:日本乳化剤株式会社製
クエン酸:扶桑化学工業株式会社製
モノエタノールアミン:株式会社日本触媒製
イオン交換水