(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116442
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】集積MEMSシステム
(51)【国際特許分類】
G01C 19/00 20130101AFI20230815BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20230815BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G01C19/00
B81B3/00
B81B7/02
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023076002
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2021153849の分割
【原出願日】2014-12-22
(31)【優先権主張番号】61/925,379
(32)【優先日】2014-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516008394
【氏名又は名称】モーション・エンジン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ボイセル,ロバート・マーク
(72)【発明者】
【氏名】ロス,ルイス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】システム・オン・チップ(SoC:System on Chip)またはシステム・イン・パッケージ(SiP)を形成するためのMEMSデバイスとICチップとの集積化を可能にする、3Dシステム(「3DS」)MEMSアーキテクチャを提供する。
【解決手段】集積MEMSシステムは、MEMS変換器を含む少なくとも1つのMEMSチップと、MEMS処理回路だけではなく補助信号を処理するための追加的な/補助的な回路も含む少なくとも1つのICチップとを備える。MEMSチップおよびICチップは、バンプ接合される。MEMSチップは、第1および第2の絶縁伝導路を含む。第1の経路は、処理のためにMEMS信号を変換器とICチップとの間で伝導し、第2の伝導路は、MEMSチップの全厚を通して延在して、追加的な回路で処理されるべき電力、RF、I/O、などの補助信号をICチップに伝導する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積MEMSシステムであって、
- 少なくとも1つの単一MEMSチップ、および
- 少なくとも1つの単一ICチップ
を備え、
前記少なくとも1つの単一MEMSチップが、
- 第1のキャップMEMS電気接点の第1および第2の組を含む第1のキャップ層と、
- 第2のキャップMEMS電気接点を含む第2のキャップ層と、
- 前記第1のキャップ層と前記第2のキャップ層との間に配置された中央MEMS層と、
- 前記第1のキャップ層、前記中央MEMS層、および前記第2のキャップ層内に形成されて、運動を引き起こすかまたは少なくとも1つのパラメータを検知する、少なくとも1つの変換器と、
- 前記少なくとも1つの変換器を前記第1のキャップMEMS電気接点の第1の組にそれぞれ接続して、前記少なくとも1つの変換器と前記第1の組の前記第1のキャップMEMS電気接点との間で電気的MEMS信号を伝導する、第1の絶縁伝導路と、
- 前記第1のキャップMEMS電気接点の第2の組を、前記第1のキャップ層、前記中央MEMS層、および前記第2のキャップ層を通して前記第2のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかに接続して、前記MEMSチップを通して補助信号を伝導する、第2の絶縁伝導路と、
を備え、
前記少なくとも1つの単一ICチップが、
- 第1のキャップMEMS電気接点の第1および第2の組にそれぞれバンプ接合されるIC電気接点の第1および第2の組と、
- IC電気接点の第1の組に動作可能に接続されて前記電気的MEMS信号を処理する、MEMS信号処理回路と、
- 前記IC電気接点の第2の組に動作可能に接続されて、前記補助信号を処理しかつ追加的なシステム機能を提供する、補助信号処理回路と
を備える、集積MEMSシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記第1のキャップ層、前記中央MEMS層、および前記第2のキャップ層が、導電性材料で作られ、前記第1のキャップ層が、前記中央MEMS層の第1の側に電気的に接合されており、前記第2のキャップ層が、前記第1の側とは反対側の前記中央MEMS層の第2の側に電気的に接合されている、集積MEMSシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記第1のキャップ層、前記中央MEMS層、および前記第2のキャップ層が、ウェハレベルで接合されるそれぞれのシリコンベースのウェハから製作される、集積MEMSシステム。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記中央MEMS層が、シリコン・オン・インシュレータ・ウェハから作られる、集積MEMSシステム。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記第2の絶縁伝導路が、前記第1の層、前記中央MEMS層、および前記第2の層のうちの1つにエッチングされたトレンチによって形成され、前記トレンチが、位置合わせされかつ絶縁材料で満たされており、前記トレンチが、それぞれの導電性ウェハプラグを取り囲み、
前記導電性ウェハプラグが、前記MEMSチップの全厚を通した電気信号の伝達を可能にする、集積MEMSシステム。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記第2の絶縁伝導路のうちの少なくともいくつかが、前記第1の層、前記中央MEMS層、および前記第2の層のうちの1つにエッチングされたトレンチによって形成され、前記トレンチが、位置合わせされており、かつ、絶縁材料で覆われかつ導電性材料で満たされたそれらのそれぞれの側壁を有する、集積MEMSシステム。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記第1および第2のキャップ層の前記第1および第2のキャップMEMS電気接点が、接合パッドである、集積MEMSシステム。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの変換器が、6自由度運動センサを含み、前記少なくとも1つのパラメータが、3軸の直線加速度、および3軸の角速度を含む、集積MEMSシステム。
【請求項9】
請求項9に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記6自由度運動センサが、前記第1および第2のキャップ層内にそれぞれ設けられた第1および第2の電極の組と、前記中央MEMS層内に設けられた複数のプルーフマスとを含み、前記第1および第2の電極の組が、前記複数のプルーフマスとともにコンデンサを形成し、前記第1の絶縁伝導路のうちのいくつかが、前記第1および第2の電極の組の前記電極を、前記MEMS電気接点の第1の組のうちの少なくともいくつかの前記第1のキャップMEMS電気接点にそれぞれ接続する、集積MEMSシステム。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの変換器が、少なくとも1つの非慣性センサを含む、集積MEMSシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの非慣性センサが、圧力センサ、磁力計、温度計、およびマイクロホンのうちの少なくとも1つを含む、集積MEMSシステム。
【請求項12】
請求項10または11に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの非慣性センサが、前記第1の層内にパターン付けされた非慣性電極と、前記中央MEMS層内にパターン付けされた少なくとも1つのMEMS構造とを含み、前記第1の絶縁伝導路のうちのいくつかが、前記少なくとも1つの非慣性センサの前記電極を前記第1の組の前記第1のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかに接続する、集積MEMSシステム。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記電気的MEMS信号のうちの少なくともいくつかが、アナログ信号であり、前記ICチップが、前記MEMSチップによって送信されたアナログ信号を前記MEMS信号処理回路による処理のためのデジタル信号に変換するために、また、前記MEMS信号処理回路によって送信されたデジタル信号を前記MEMSチップに入る前にアナログ信号に変換するために、混合信号CMOS回路を含む、集積MEMSシステム。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記ICチップが、デジタルバスを含み、前記MEMS信号処理回路が、前記デジタルバスを介して前記混合信号回路に接続されたデジタルCMOS回路を含む、集積MEMSシステム。
【請求項15】
請求項14に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記デジタルCMOS回路が、デジタルデータ分析回路、デジタル入力/出力回路、メモリ、システム制御装置、および較正/補償回路のうちの少なくとも1つを含む、集積MEMSシステム。
【請求項16】
請求項14または15に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記ICチップが、電力バスを含み、前記補助信号処理回路が、前記電力バスと前記デジタルバスとに接続された電力管理回路を含む、集積MEMSシステム。
【請求項17】
請求項14から16までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記ICチップが、前記補助信号を処理するための、前記デジタルバスに接続された高速CMOS回路を含む、集積MEMSシステム。
【請求項18】
請求項17に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記高速CMOS回路が、無線信号またはGPS信号のための入出力モジュールのうちの少なくとも1つを含む、集積MEMSシステム。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの単一MEMSチップが、第1の単一MEMSチップと、少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップとを含み、前記第1の単一MEMSチップおよび前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップが、垂直に積み重ねられ、前記第1の単一MEMSチップの前記第2の層が、前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの前記第1の層にバンプ接合され、前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの前記第2の絶縁伝導路が、前記第1の単一MEMSチップの前記第2の絶縁伝導路のうちの少なくともいくつかに電気的に接続されて、前記第1の単一MEMSチップおよび前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップを通して前記少なくとも1つのICチップに補助信号を伝導する、集積MEMSシステム。
【請求項20】
請求項19に記載の集積MEMSシステムにおいて、第1のMEMSチップが、第1のキャップMEMS電気接点の第3の組と、前記第1のキャップ層、前記中央MEMS層、および前記第2のキャップ層を通して前記第3の組の前記第1のキャップMEMS電気接点を、前記第2のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかに接続する第3の絶縁伝導路とを含み、前記第3の絶縁伝導路が、前記少なくとも1つのICチップの前記MEMS信号処理回路に電気的に接続され、かつ、前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの絶縁伝導路に電気的に接続され、前記MEMS信号処理回路が、前記第1の単一MEMSチップおよび前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの前記電気的MEMS信号を処理する、集積MEMSシステム。
【請求項21】
請求項1から20までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの単一MEMSチップが、第1の単一ICチップと、少なくとも1つの追加的な単一ICチップとを含む、集積MEMSシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、米国特許出願第61/925,379号の優先権を主張するものであり、その開示は参照により全体として本特許出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、センサやアクチュエータなどの微小電気機械システム(MEMS:microelectromechanical system)デバイスの集積化に関し、より詳細には、集積回路(IC:integrated circuit)およびMEMSチップを含む集積MEMSシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
微小電気機械システム(MEMS)デバイス、具体的には、加速度計および角速度センサ、またはジャイロスコープなどの慣性センサが、絶えず増加を続ける用途において使用されている。スマートフォンやタブレットPCに内蔵されたカメラのための光学画像安定化(OIS:optical image stabilization)、仮想現実システム、およびウェアラブル電子装置などのMEMSセンサに対する大衆消費電子製品用途の著しい増加により、従来は遙かに大型でより高価でかつより高等級の非MEMSセンサによって提供されていたより先進的な用途にそのような技術を利用することへの関心が高まっている。そのような用途は、工業用途のための単一軸および多軸のデバイス、ナビゲーションシステムおよび姿勢方位基準システム(AHRS:attitude heading reference system)のための慣性測定装置(IMU:inertial measurement unit)、空、陸、海の無人の乗り物ならびに個人向けの屋内用GPS拒否ナビゲーションのための制御システムを含む。これらの用途はまた、健康管理/医療および運動能力の監視システム、ならびに次世代の仮想現実感のための先進的なモーションキャプチャシステムを含み得る。これらの先進的用途は、市場に出ている既存の消費者向け等級のMEMS慣性センサの性能を遙かに超えた、より低いバイアスドリフトとより高い感度仕様とを必要とする場合が多い。これらの市場を拡大するには、また、新規なものを作り出すには、より高度な性能仕様が開発されることが望ましくかつ必要である。低コストかつ小型のセンサおよび/またはMEMS慣性センサを使用可能なシステムを製造することも必要である。
【0004】
加速度計やジャイロスコープなどのMEMS慣性センサが通常は従来の機械式ジャイロスコープよりも遙かに小さいことを考えれば、それらのMEMS慣性センサはより大きな機械騒音およびドリフトを受け易い。また、位置および姿勢は、加速度データと角速度データを統合することによってそれぞれ計算されるので、騒音およびドリフトは、誤差の増大につながる。したがって、ナビゲーションのような高い精度を必要とする用途に対しては、他の位置および/または方向依存性測定を加えることでMEMS運動センサの6自由度(6DOF:six-degree-of-freedom)慣性性能(すなわち、3軸の加速度、および3軸の角回転)を増補することが、一般に望ましい。そのようなセンサ融合は、より良好な結果を得るのに必須である。
【0005】
半導体産業の成功の柱は、増大し続けるシリコン集積回路上のデバイスの密度であった。歴史的に、この密度の増大は、フォトリソグラフィおよびエッチングの方法の向上を通して、電子デバイス最小寸法の縮小によって成し遂げられてきた。集積回路(IC:integrated circuit)最小寸法は、一般的には180nm、最新技術としては10~20nmのサブミクロン寸法に達した。これらの寸法は、従来の半導体プロセスの限界、具体的にはフォトグラフィ法の光学的限界に近づきつつある。それと同時に、
2Dにおける横方向チップ寸法を拡大して従来よりも大きなチップを作ることにより、全体的なチップの機能が強化されてきた。
【0006】
実際には、パッケージ基板上の電気トレースは、シリコンチップ上のそれらよりも遙かに大きい。この不整合は、ルーティングの難しさ、および過度の電力消費をもたらし、また、シリコン(Si:silicon)インタポーザの導入をもたらしたが、このシリコンインタポーザは、チップ側上には微細な信号分配トレースがパターン付けされ、基板側上には粗い接続部がパターン付けされて、インタポーザを通してそれら2つの間に電気相互接続を有することができる。このSiインタポーザを使用する手法は、チップは2Dにおいて分配されるがインタポーザは抵抗器やコンデンサなどの受動素子以外のちょっとした付加機能を含むものの第3次元において導入されるので、2.5Dと呼ばれる。
【0007】
シリコン貫通電極(TSV:through-silicon via)の発達は、個々のICチップが薄型化されかつ積み重ねられる3D集積回路(3DIC:3D integrated circuit)を可能にした。ICプロセスへのTSV技術の導入は、さらなる複雑さの水準をもたらした。ICプロセスは、通常、ICチップの表面の近くでは数ミクロンに制約され、かつ、微細な特性(feature)のフォトリソグラフィを必要とするが、TSVプロセスは、より粗い特性(feature)であり、かつ、ICの厚さを貫通する。したがって、ICチップの領域は、TSV製作のために分離されなければならず、結果的に、シリコン領域の非効率的な使用と、より高いICユニット費用とがもたらされる。さらにTSVは、通常、金属充填され、具体的には銅で充填される。銅は、IC回路を製作するのに必要とされる温度のために、フロントエンド工程の一部にはなり得ない。したがって、TSVは、それらが工程の初期に製作される場合には、ポリシリコンで作られなければならず、または、それらが金属で作られる場合には、工程の最後に製作されなければならない。どちらの手法も、通常は高度に制御されかつ変更が困難な半導体プロセスを、より複雑にする。
【0008】
ますます多くの電気的機能を3DICに統合する努力と並行して、MEMSを電子装置に統合することが望まれている。MEMSは、機械的、光学的、磁気的、電気的、化学的、生物学的、もしくは他の微小な変換器またはアクチュエータを含む、集積回路である。電子デバイスがますます多くの機能を含むにつれて、設計者は、ユーザにフィードバックを提供するためにMEMSセンサを含む必要がある。例えば、スマートフォンは、スマートフォンの位置、ジェスチャーに基づく命令、ナビゲーション、およびゲームに対して運動情報を提供するために、MEMS加速度計およびジャイロスコープを組み入れている。電子装置がより小型になり、より複雑になり、より集積されるにつれて、MEMS信号を処理するための集積回路を含むシステムチップ内にMEMSチップを含むことが望まれている。しかし、多くのMEMS製作工程とIC製作工程との間には、いくつかの根本的な違いがある。ほとんどのMEMSデバイスでは、MEMS機械的要素(例えば、プルーフマス、マイクロミラー、マイクロポンプ、感圧膜)は、自由に移動できる必要がある。したがって、MEMS機械的要素を自由にするために製作工程が追加されなければならない。さらに、MEMS変換器はある程度の環境の影響に敏感な設計によるものであるので、MEMSパッケージングは、望ましくない環境の影響から変換器を保護しなければならない。このことにより、パッケージは、標準的なICパッケージングで使用されるものよりも複雑なパッケージになる。
【0009】
MEMS変換器をその検知電子装置ICと統合する努力が、数年来なされてきた。そうした努力には、MEMSとICとを並べてパッケージングすること、MEMSを直接IC上に組み立てること、およびMEMSとICとを積み重ねることが含まれる。これらの手法の欠点は、それらの手法が一般にMEMSを保護するためのキャップとICへの電気接続を作るためのワイヤ接合とを含む追加的な最終パッケージングを必要とすることである
。このチップスケールのパッケージングは、最終デバイスに相当な費用を上乗せする。MEMS上のキャップはまた、3DIC用途のためのチップの積み重ねを、不可能ではないにしても困難にする。
【0010】
米国特許第8,250,921号は、集積運動処理ユニットを説明している。アナログでの駆動および検知、フィルタリング、ならびにA/D変換のための独立した関連混合信号チップ(ADC)をそれぞれが有するいくつかの個別的なMEMSセンサが、基板またはシステムボックス内の基板上に実装されている。追加的なチップが、較正、システム制御、電力管理、およびI/Oのためのシステム基板上に含まれる。個々のチップのパッケージング、基板の製作、チップの実装、および機械的な位置合わせの費用は、この手法を費用のかかるものにし、また、ナビゲーションのような利益率の高い用途に主に有益なものにする。さらに、カバーウェハは、接続性または電子機能を含まずに、単に保護機能を有するにすぎない。
【0011】
より少数のMEMSチップにますます多くのMEMS機能を付け加えること、および、より多くの電子機能をより少数のICに組み入れることにより、費用およびサイズを縮小することができ、また、MEMSセンサおよび電子装置の全てを単一の基板上に集積することが望ましい。典型的には、既存の「単一チップ」慣性測定ユニット(IMU:inertial measurement unit)は、互いに添着され、かつキャップまたはプラスチックモールディングで覆われるパッケージ基板にワイヤ接合された、裸チップから成る。したがって、チップ内のシステム構成要素外では、さらなる3D集積化は不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、MEMSを利用可能なシステムチップ(「3DS」)を形成するためのMEMSデバイスとICチップとの集積化を可能にする、3次元(3D:three-dimensional)MEMSアーキテクチャを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、集積MEMSシステムが提供される。可能な一実施形態において、集積MEMSシステムは、少なくとも1つの単一MEMSチップ、および少なくとも1つのICチップを含む。
【0014】
MEMSチップが、第1のキャップMEMS電気接点の第1および第2の組を含む第1のキャップ層を備える。MEMSはまた、第2のキャップMEMS電気接点を含む第2のキャップ層を備える。第1および第2のキャップMEMS電気接点は、接合パッドであることが好ましい。中央MEMS層が、第1のキャップ層と第2のキャップ層との間に配置される。少なくとも1つの変換器が、第1のキャップ層、中央MEMS層、および第2のキャップ層内に形成されて、運動を引き起こすかまたは少なくとも1つのパラメータを検知する。第1の絶縁伝導路は、1つまたは複数の変換器を第1のMEMS電気接点の第1の組にそれぞれ接続して、変換器と第1の組の第1のキャップMEMS電気接点との間で電気的MEMS信号を伝導する。第2の絶縁伝導路は、第1のキャップ層、中央MEMS層、および第2のキャップ層を通して第1のキャップMEMS電気接点の第2の組を第2のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかに接続しており、MEMSチップを通して補助信号を伝導する。
【0015】
単一ICチップが、第1のキャップMEMS電気接点の第1および第2の組にそれぞれバンプ接合されるIC電気接点の第1および第2の組を含む。単一ICチップは、IC電気接点の第1の組に動作可能に接続されて電気的MEMS信号を処理するMEMS信号処
理回路と、IC電気接点の第2の組に動作可能に接続されて補助信号を処理しかつ追加的なシステム機能を提供する補助信号処理回路とを含む。
【0016】
第1のキャップ層、中央MEMS層、および第2のキャップ層は、導電性材料で作られることが好ましく、第1のキャップ層は、中央MEMS層の第1の側に電気的に接合され、第2のキャップ層は、第1の側とは反対側の中央MEMS層の第2の側に電気的に接合される。より具体的には、第1のキャップ層、中央MEMS層、および第2のキャップ層は、ウェハレベルで接合されるそれぞれのシリコンベースのウェハから製作されることが好ましい。
【0017】
いくつかの実施形態では、中央MEMS層は、シリコン・オン・インシュレータ・ウェハから作られる。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2の絶縁伝導路は、第1の層、中央MEMS層、および第2の層のうちの1つにエッチングされたトレンチによって形成される。トレンチは位置合わせされ、かつ絶縁材料で満たされる。トレンチは、それぞれの導電性ウェハプラグを取り囲み、導電性ウェハプラグは、MEMSチップの全厚を通した電気信号の送信を可能にする。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2の絶縁伝導路のうちの少なくともいくつかが、第1の層、中央MEMS層、および第2の層のうちの1つにエッチングされたトレンチによって形成される。トレンチは位置合わせされ、かつ、絶縁材料で覆われかつ導電性材料で満たされたそれらのそれぞれの側壁を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、変換器は、6自由度運動センサを含み、パラメータは、3軸の直線加速度、および3軸の角速度を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、6自由度運動センサは、第1および第2のキャップ層内にそれぞれ設けられた第1および第2の電極の組と、中央MEMS層内に設けられた複数のプルーフマスとを含む。第1および第2の電極の組は、プルーフマスとともにコンデンサを形成し、第1の絶縁伝導路のうちのいくつかが、第1および第2の電極の組の電極を、MEMS電気接点の第1の組の第1のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかにそれぞれ接続する。
【0022】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの変換器は、圧力センサ、磁力計、温度計、およびマイクロホンなどの、少なくとも1つの非慣性センサを含む。非慣性センサは、典型的には、第1または第2の層内にパターン付けされた非慣性電極と、中央MEMS層内にパターン付けされた少なくとも1つのMEMS構造とを含む。第1の絶縁伝導路のうちのいくつかが、非慣性電極を第1の組の第1のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかに接続する。
【0023】
電気的MEMS信号は、ほとんどの場合アナログ信号であり、ICチップは、MEMSチップによって送信されたアナログ信号をMEMS信号処理回路による処理のためのデジタル信号に変換するために、また、MEMS信号処理回路によって送信されたデジタル信号をMEMSチップに入る前にアナログ信号に変換するために、混合信号CMOS回路を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、ICチップはデジタルバスを含み、MEMS信号処理回路は、デジタルバスを介して前述の混合信号回路に接続されたデジタルCMOS回路を含む。デジタルCMOS回路は、デジタルデータ分析回路、デジタル入力/出力回路、メモリ、
システム制御装置、および較正/補償回路のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、ICチップは、電力バスを含み、補助信号処理回路は、電力バスとデジタルバスとに接続された電力管理回路を含む。ICチップはまた、補助信号を処理するための、デジタルバスに接続された高速CMOS回路を含み得る。高速CMOS回路は、無線信号またはGPS信号のための入出力モジュールを含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、集積MEMSシステムは、第1の単一MEMSチップと、少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップとを含む。第1の単一MEMSチップ、および少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップは、垂直に、すなわち上下に積み重ねられ、第1の単一MEMSチップの第2の層は、前述の少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの第1の層にバンプ接合されている。少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの第2の絶縁伝導路は、第1の単一MEMSチップの第2の絶縁伝導路のうちの少なくともいくつかに電気的に接続されて、第1の単一MEMSチップおよび前述の少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップを通して少なくとも1つのICチップに補助信号を伝導する。
【0027】
第1のMEMSチップは、第1のキャップMEMS電気接点の第3の組と、第1のキャップ層、中央MEMS層、および第2のキャップ層を通して第3の組の第1のキャップMEMS電気接点を第2のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかに接続する第3の絶縁伝導路とを含むことが好ましい。第3の絶縁伝導路は、ICチップのMEMS信号処理回路に電気的に接続され、かつ、少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの絶縁伝導路に電気的に接続される。したがって、MEMS信号処理回路は、第1の単一MEMSチップおよび追加的な単一MEMSチップの電気的MEMS信号を処理することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、集積MEMSシステムが、第1の単一ICチップと少なくとも1つの追加的な単一ICチップとを含むことも可能である。
【0029】
当然ながら、上記の各ステップの前、その最中、またはその後に他の処理ステップが行われてもよい。各ステップの順序も異なっていてもよく、また、ステップのうちのいくつかは、組み合わされてもよい。
【0030】
各図面は本発明の例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、本発明が他の同等に有効な実施形態を認め得ることに、留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1A】一実施形態による集積MEMSシステムの概略部分分解斜視図である。
【
図1B】
図1Aの集積MEMSシステムの概略分解斜視図である。
【
図2A】別の実施形態による集積MEMSシステムの概略断面図である。
【
図2B】可能な変形形態を示す、MEMSチップ内に形成された絶縁伝導路の詳細図である。
【
図2C】可能な変形形態を示す、MEMSチップ内に形成された絶縁伝導路の詳細図である。
【
図2E】MEMSウェハスタックの概略断面図である。
【
図2F】
図2EのMEMSウェハスタックへの
図2Dの集積回路ウェハのウェハレベルのフリップ接合を示す、概略断面図である。
【
図2G】プリント回路基板(PCB:printed circuit board)に接合された、
図2Aの集積MEMSシステムの概略断面図である。
【
図3】可能な一実施形態による集積MEMSシステムの概略図である。
【
図4A】ウェハレベルで接合された、ICウェハおよび2つのMEMSウェハスタックの概略断面図である。
【
図4B】PCBに接合されて示された、可能な一実施形態による集積MEMSシステムの概略断面図である。
【
図5A】
図5Aは、MEMSウェハスタック、およびMEMSウェハスタックにバンプ接合された、いくつかのICチップの概略断面図である。
【
図5B】
図5Bは、PCBに接合されて示された、別の可能な一実施形態による集積MEMSシステムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明において、図面における同様の特徴には同様の参照番号が与えられており、また、図面の明瞭性を維持するために、同じ参照番号が先行する図で既に示されていた場合には、それらの参照番号が省略される場合がある。図面の各要素は、本実施形態の要素および構造を明瞭に示すことに重点が置かれているので、必ずしも原寸に比例して示されてはいないことも理解されるべきである。
【0033】
この説明を通して、別の要素に対する1つの要素の位置を示す、「上部」および「底部」、「~より上に」および「~より下に」、「~の上に」および「~の下に」、「上方の」および「下方の」などの用語、ならびに他の同等の用語は、図に示されるように、説明の容易さおよび明瞭性のために本明細書において使用されるものであり、制限的なものと見なされるべきではない。そのような空間的な関係を示す用語は、図に例示された配向に加えて、使用または動作中のMEMSチップの様々な配向を含むように意図されていることが、理解されるであろう。具体的には、「上部」および「底部」という用語は、説明の解釈を促進するために使用され、MEMSの当業者は、使用時には、「上部キャップ」および「底部キャップ」が上下逆さまに位置決めされるようにMEMSセンサが異なる配向で配置され得ることを、容易に認識するであろう。
【0034】
さらに、MEMS変換器という用語は、加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサ、磁力計、アクチュエータ、微小流体デバイス、微小光学デバイス、等のような、しかしそれらに限定されないデバイスを包含する。ICチップもまた、電力増幅器、検出回路、GPS、マイクロプロセッサ、等のような超小型電子回路を含み得る。本明細書で説明される集積MEMSシステムの「MEMS部分」という用語は、多ウェハスタック(multi-wafer stack)3DS MEMSとも呼ばれ得る。
【0035】
MEMSシステムは一般に、混合信号(アナログおよびデジタル)システムである。MEMSチップは通常、アナログであり、連続可変の変換器(センサまたはアクチュエータ)を含むが、MEMSを駆動するために取得または提供されるデータは、ほとんどの場合、デジタル的に使用または生成される。MEMSチップは、1つまたは複数のアナログ入出力(I/O:input/output)チャネルを有することができ、電子システムは、アナログ出力およびデジタル出力の両方を有することができる。アナログMEMSチャネルは、MEMSセンサ出力をデジタルシステムに送信するために使用され、かつ、作動またはセンサの動作のためにMEMSにアナログ信号を提供するために使用され得る。典型的には、MEMSは、アナログデジタル変換器(ADC:analog-to-digital converter)と相互作用することができ、アナログデジタル変換器は、MEMSセンサ出力を増幅しかつデジタル形式に変換すること、および/または、MEMSを作動させるために使用され得るアナログの電圧または電流にデジタル信号を変換することができる。このインタフェース以外では、ほとんどのデータ処理がデジタル式とされ得る。
【0036】
大まかに述べると、本発明は、集積MEMSシステムを対象とする。集積MEMSシステムは、第1および第2のキャップウェハと中央MEMSウェハとを含む多ウェハMEMSスタックから製作され、中央MEMSウェハは、標準ウェハ、シリコン・オン・インシュレータ(SOI:silicon-on-insulator)ウェハ、または複数のウェハとされ得る。多ウェハスタックは、3Dスルーチップビア(3DTCV:3D Through-Chip-Vias)とも呼ばれ得る絶縁伝導路で構成される。これらの絶縁伝導路は、シリコンのプラグの周りのシリコンウェハにトレンチをパターン付けすることによって形成される。トレンチは、シリコンプラグを絶縁するために、絶縁材料で満たされるかまたは覆われる。第1のウェハ、中央MEMSウェハ、および第2のウェハのシリコンプラグは位置合わせされて絶縁伝導路を形成し、いくつかは多ウェハスタックの全厚を通して延在する。絶縁伝導路は、第1のキャップ層上の接合パッドから、また、第1のウェハ、第2のウェハ、および/または中央MEMSウェハ上の電極から、中央MEMSウェハおよび第2のキャップウェハを通して、第2のキャップウェハ上の接合パッドに信号を伝えることを可能にする。ICウェハが、多ウェハスタックの第1のキャップ層または第2のキャップ層にバンプ接合されかつ方形切断されて、個片化されたまたは個別的な集積MEMSシステムを形成する。この構成は、集積回路I/Oパッドが第1および第2のキャップのうちの1つのパッドにバンプ接合されるので、多ウェハMEMSスタックと集積回路との間に電気的ルーティングを提供する。方形切断の後、個々の構成要素は、PCBにバンプ接合され得る集積MEMSシステムであり、ボンディングワイヤおよび外部パッケージングの必要性を排除する。
【0037】
図1Aおよび1Bを参照すると、集積MEMSシステム1000の可能な一実施形態が示されている。システム1000は、MEMSセンサ機能を単一のMEMSチップに統合することを可能にすることができると同時に電子機能を単一のICチップに統合することができる、アーキテクチャを有する。このアーキテクチャは、ICチップによって処理される補助信号をMEMSチップに通すことを可能にする。いくつかがMEMSチップの全厚を通していくらか延在する複数の絶縁伝導路を含むMEMSチップは、ICチップへのワイヤ接合のない電気的接続を可能にする。補助信号は、非MEMS信号であり、すなわち、MEMSチップに対して外的なものであり、例えばPCBなどの別の構成要素によって提供される。ICチップは、チップレベルまたはウェハレベルでMEMSチップの上部にフリップチップ接合されて集積MEMSシステムを形成することができ、MEMSおよびICの統合の費用の大部分を排除するほかに、パッケージングの複雑化、および前述の費用を排除する。MEMSシステムはまた、垂直に積み重ねられたいくつかの単一MEMSチップを含むことができ、また場合により2つ以上のICチップも含むことができる。
【0038】
この例では、集積MEMSシステム1000は、第1のキャップ層1120と、中央MEMS層1160と、第2のキャップ層1140とを含む単一MEMSチップ1100を備える。各層1120、1160、および1140は、シリコンなどの導電性材料で作られる。第1のキャップ層1120は、中央MEMS層1160の第1の側1161に電気的に接合され、第2のキャップ層1140は、第1の側1161の反対側の中央MEMS層1160の第2の側1162に電気的に接合される。中央MEMS層1160は、第1のキャップ層1120と第2のキャップ層1140との間に配置され、かつ、デバイス層1164と、ハンドル層1168と、絶縁層1166とを含むシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハで作られる。第1のキャップ層1120、中央MEMS層1160、および第2のキャップ層1140は、以下でより詳細に説明されるように、ウェハレベルで接合された、それぞれのシリコンベースのウェハで製作される。絶縁層1166は、SOIデバイス層1164とSOIハンドル層1168との間のSOI埋め込み酸化層である。例えば絶縁伝導路の一部として、SOIデバイス層1164とSOIハンドル層1168との間の特定の所望の場所に電気的接続を作るために、導電性分路が埋め込み酸
化層1166を通して製作される。
【0039】
少なくとも1つの変換器1170が、第1のキャップ層1120、中央MEMS層1160、および第2のキャップ層1140内に形成されて、運動を引き起こすかまたは少なくとも1つのパラメータを検知する。変換器は、例えば運動センサなどのセンサか、または、例えばマイクロスイッチなどのアクチュエータであり得る。1つまたは複数の変換器は、MEMS構造、例えば、運動センサのためのプルーフマス、または圧力センサもしくは磁力計のための膜を含む。相互接続されかつ導電性材料で作られた2つの外側キャップおよび中央MEMS層によるMEMSチップ1100のアーキテクチャは、単一MEMSチップ内にいくつかの異なるタイプの変換器を含むことを可能にする。MEMS構造は、中央MEMS層1160内にパターン付けされ、また、第1および第2の電極の組1180、1182が、第1および第2の層1120、1140内にパターン付けされ、かつ、MEMS構造に動作可能に(磁気的に、容量的に、電気的に、等のように)関連付けられる。したがって、「単一MEMSチップ」は、2つのキャップ層1120および1140ならびに中央MEMS層1160内にパターン付けされた1つまたは複数のMEMS変換器を含むチップである。変換器の様々なMEMS特徴または機能(すなわち、電極、プルーフマス、膜、リード線、等)は、各チップが異なるMEMSセンサを含む複数のMEMSチップを基板上に並べて貼着させるのとは対照的に、同じシリコンウェハ内にパターン付けされる。例えば、本アーキテクチャは、3つの異なる軸に沿って加速度、角速度、および磁界を測定するためのMEMS特徴または機能、ならびに圧力センサなどの他のセンサを、同じ3つのウェハ層内に、したがって同じMEMSチップ内にパターン付けすることを可能にする。
【0040】
図1Aおよび1Bをなおも参照すると、第1のキャップ層1120は、その外側上に、好ましくはMEMSチップ1100の周辺部の周りに配置された、電気接点1124、1126を含む。これらの第1のキャップ層の電気接点1124、1126は、第1のキャップMEMS電気接点と呼ばれる。第2のキャップ層1140もまた、その外側上に電気接点1144を含み、第2のキャップMEMS電気接点と呼ばれる。第1ならびに第2のキャップMEMS電気接点1124、1126、および1144は、典型的には接合パッドである。
【0041】
単一MEMSチップ1100はまた、第1のキャップ層1120、中央MEMS層1160、および第2の層1140のうちの1つまたは複数を貫通して延在する、複数の絶縁伝導路1130、1150を含む。したがって、MEMSチップは、MEMSウェハ層1160を通してキャップ層1120、1140へ、またキャップ層1120、1140を通してMEMSチップの外側上の接合パッド1124、1144へ信号を伝達するために、電気的に絶縁された「3次元スルーチップビア(3DTCV:three dimensional through-chip via)」を含む。絶縁伝導路1130、1150は、1つまたは複数の方向に延在することができる。絶縁伝導路1130、1150は、シリコン「トレンチアンドフィル(trench-and-fill)」法を使用して形成され得る。絶縁伝導路1130、1150は、典型的には、導電性ウェハプラグ26を取り囲む絶縁された閉ループトレンチ28によって形成される。トレンチ28は、絶縁材料で満たされ、導電性ウェハプラグ26は、電気信号の伝達を可能にする。絶縁伝導路1130、1150は、1つまたは複数の層内に延在する部分を有し、かつ、層接触面において位置合わせされて、MEMSチップ1100を通した電気信号の伝導を可能にする。絶縁伝導路のうちのいくつかは、1つまたは複数の変換器を、接点の第1の組1124の一部である第1のキャップMEMS電気接点に接続する。これらの絶縁伝導路は、第1の絶縁伝導路1130と呼ばれる。それらは、変換器1170と前述の第1の組1124の第1のキャップMEMS電気接点との間で電気的MEMS信号を伝導する。より具体的には、絶縁伝導路1130は、変換器1170の電極、リード線、および/またはM
EMS構造を、第1のキャップMEMS電気接点1124に接続する。他の絶縁伝導路が、単一MEMSチップ1100の全厚を通して、すなわち、第1のキャップ層1120、中央MEMS層1160、および第2のキャップ層1140を通して延在する。これらの絶縁伝導路は、第1のキャップMEMS電気接点の第2の組1126を、第2のキャップMEMS電気接点1144のうちのいくつかに接続する。それらは、第2の絶縁伝導路1150と呼ばれ、かつ、MEMSチップ1100を通して電力信号またはデジタル信号などの補助信号を伝導する働きをする。第2の絶縁伝導路1150は、ICチップ1200からMEMSチップ1100を通して別のICチップにまたはPC基板に信号を送るために、第1のキャップ層1120上の金属化および接合パッドと第2のキャップ層1140上の接合パッドとの間に絶縁された経路を提供する。
【0042】
図1Aおよび1Bをなおも参照すると、集積MEMSシステム1000はまた、単一のICチップ1200を含む。ICチップ1200は、典型的には、相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal-oxide-semiconductor)技術を使用して製作された特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)チップであるが、他のタイプのICも使用可能である。ICチップ1200は、1つまたは複数の変換器1170の電気的MEMS信号を処理するために、第1の絶縁伝導路1130に動作可能に接続されたMEMS信号処理回路1240を含む。ICチップ1200はまた、補助信号を処理するために、また、追加的なシステム機能を提供するために、第2の絶縁伝導路1150に動作可能に接続された補助信号処理回路1260を含む。ICによって行われる管理機能は、センサデータの解釈、温度または他の環境変異によるセンサ応答における変動の補償、システムタイミングおよび機能のマイクロコントローラ管理、較正定数、センサ解釈定数、および測定されたデータなどのデータを記憶するためのメモリ、ならびに有線および無線のデータI/Oを含み得る。
【0043】
MEMS信号処理回路1240は、MEMS変換器1170を往復するデータ信号を管理する。MEMS信号処理回路1240は、変換器によって必要とされるアナログの駆動信号およびフィードバック信号を制御しかつ提供し、信号測定のタイミングを制御し、測定された信号を増幅、フィルタ処理、およびデジタル化し、かつ、角加速度または雰囲気圧などの様々なパラメータを計算するために変換器1170からの入来MEMS信号を分析および解釈する。MEMS信号処理回路1240は、典型的には、少なくともA/DおよびD/A変換器、電源、システム制御装置、メモリ、較正および合成モジュール、ならびにデータ分析モジュールを含む。
【0044】
補助信号処理回路1260は、MEMS変換器を作動させるためおよび測定されたMEMS信号を出力するために厳密に必要とされる信号以外の信号を処理する。補助信号処理回路1260はまた、電力使用量を最小限に抑えるためにセンサの活動を監視すること、無線でデータを送受信すること、GPS信号を受信しかつ解釈すること、較正または性能の向上のために他のセンサまたはGPSからの追加的なデータを統合すること、対象となる追加的なシステムパラメータを計算するためまたは他のシステムの活動を始動させるために測定されたデータを使用することなどの、追加的なシステム機能を提供し得る。十分に活用された場合、補助信号処理回路1260は、例えばPCB基板からの/PC基板へのMEMS信号以外の信号の受信、処理、および送信をすることができるので、集積3Dシステム1000は、集積MEMSセンサによる測定を制御、実行、および分析すること、3DSシステムチップと、他の取り付けられた外部センサと、携帯電話、ゲームコントローラ、または表示装置などのより大きな外部システムとの間のセンサハブとして機能すること、ならびに、より大きなシステムに決定を下すかまたは入力を提供するために全てのデータを統合することが可能になる。MEMSチップはまた、PCBとICチップとの間で「高性能の」インタポーザとして機能する。デジタルおよび/またはアナログの信号
が、MEMSチップを通過し、補助回路1260によって処理されて、MEMS変換器1170(例えば、電力信号のための)によって使用されることができ、かつ、MEMSチップを通して返信されるかまたは無線で送信され得る。
【0045】
したがって、ICチップ1200は、第1のキャップ層1120のMEMS電気接点にバンプ接合されるIC電気接点を含む。IC電気接点は、第1のキャップMEMS電気接点の第1および第2の組1124、1126にそれぞれバンプ接合される、第1および第2の組1128、1230にグループ化される。言い換えれば、IC電気接点の組1128は、MEMS電気接点の組1124に接続され、したがって、第1の絶縁伝導路1130をMEMS信号処理回路1240に接続する。IC電気接点の組1230は、MEMS電気接点の組1126に接続されて、第2の絶縁伝導路1150を補助信号処理回路1260に接続する。典型的には、第1および第2のキャップ層のMEMS電気接点は、接合パッドである。
【0046】
図2Aを参照すると、集積MEMSシステム2000の別の可能な実施形態が示されている。例示的な3DS MEMSチップ2100は、密閉された9自由度(DOF:degree-of-freedom)MEMSセンサチップであり、この9自由度MEMSセンサチップは、x、y、およびzの加速度ならびに角運動速度を測定するための6DOF慣性センサ2172と、3軸磁力計2176とを含み、それらは全てMEMSチップ2100内に一体に製作されている。
【0047】
6DOF慣性センサ2172は、3軸の直線加速度と、3軸の角速度とを検知する。6DOF慣性センサ2172は、第1および第2のキャップ層2120、2140内にそれぞれ設けられた、第1および第2の電極の組2180、2182を含む。1つまたはいくつかのプルーフマス2163、2165が、中央MEMS層2160内にパターン付けされ、第1および第2の電極の組2180、2182が、プルーフマスとともにコンデンサを形成し得る。
図2Aでは、2つのプルーフマス2163、2165しか見られないが、6DOF慣性センサ2172は、より多くのプルーフマスを含むことができる。MEMSチップ2100は、先に説明されたものと同様の、第1および第2の絶縁伝導路2130、2150を含む。第1の絶縁伝導路2130は、MEMS電極2180、2182を、第1のキャップ層2120上のMEMS電気接点の第1の組2124に接続する。第2の絶縁伝導路2150は、MEMSチップ2100の全厚を通して延在して、MEMSチップ2100を通した補助(または追加的な)信号の伝達を可能にする。第2の絶縁伝導路2150は、第1のキャップ層2120のMEMS電気接点の第2の組2126を、第2のキャップ層2140のMEMS電気接点2144のうちのいくつかに接続する。明瞭性のために、第2のキャップ電極2182と、第1のキャップ層2120のMEMS電気接点2124との間に延在する経路2130a、2130d、ならびに第1の層2120内にパターン付けされた第1のキャップ電極2180と同じ層2120のMEMS電気接点2126とを接続する経路2130bおよび2130cなどの、第1の絶縁伝導路のうちのいくつかだけが、
図2Aに示されている。同様に、第1のキャップ層2120内の電気接点2124、2126と第2のキャップ層2140内の電気接点2144とを接続する経路2150aおよび2150bなどの、第2の絶縁伝導路のうちのいくつかだけが、
図2Aに示されている。
【0048】
図2Bおよび2Cを参照すると、絶縁伝導路の可能な変形形態の拡大された部分が示されている。
図2Bでは、絶縁経路は、導電性ウェハプラグ26を取り囲む閉ループトレンチ28によって形成される。トレンチは、絶縁材料30で覆われたそのそれぞれの側壁を有し、かつ、導電性材料32で満たされる。
【0049】
あるいは、
図2Cにおけるように、トレンチは、完全に絶縁材料30で満たされてもよ
い。両方の変形形態に対して、導電性ウェハプラグ26は、キャップ層を通して電気接点42に電気信号を伝達することを可能にする。当然ながら、絶縁伝導路はMEMSチップの全厚を通して延在することができるので、中央および第2の層は、第1、中央、および第2の層のトレンチがそれらの層の接触面において位置合わせされるように、同じ形でパターン付けされ得る。
【0050】
図2Aに戻り参照すると、単一MEMSチップはまた、非慣性センサである変換器を含むことができる。使用可能な非慣性センサの例は、圧力センサ、磁力計、温度計、マイクロホン、微小流体デバイス、および微小光学デバイスを含む。他のタイプの非慣性センサも使用可能である。非慣性センサは、第1および第2の層のうちの少なくとも1つにパターン付けされた非慣性電極を含む。非慣性センサはまた、非慣性電極を含むことが可能な、中央MEMS層内にパターン付けされた少なくとも1つのMEMS構造を含む。非慣性センサにおけるMEMS構造の例は、圧力センサ、マイクロホン、または磁力計において使用されるような膜を含む。MEMSチップ内の第1の絶縁伝導路のうちのいくつかは、MEMSチップの第1の層の接合パッドへ非慣性電極から信号を伝達するように、非慣性電極を第1のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかに接続し、それらの第1のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかは、ICチップに接続される。
【0051】
図2Aの実施形態では、非慣性センサは、慣性センサ2172の精度を高めるために使用され得る3軸磁力計2176である。単一ICチップ2200の(IC I/O接合パッドなどの)IC電気接点2228、2230は、単一MEMSチップ2100の(MEMS I/O接合パッドなどの)MEMS電気接点2126、2124に直接接合されて、電気雑音を減少させかつワイヤ接合を排除する。磁力計2176は、電極2184などの非慣性電極、および、共振膜2167、2169を含む。
【0052】
アナログデータが、ICチップ2200のアナログデジタル変換器(ADC)入力/出力混合信号段階において、MEMSセンサ2172、2176とICチップ2200との間で伝達され得る。センサ2172、2176によって生成されるMEMS信号はアナログ信号であり、そのため、それらの信号は、ICチップ2200のデジタルCMOS部分においてさらに処理されるために、ADCによってデジタルに変換される。ICチップ2200によるMEMS信号のデータ処理は、例えば、センサの較正および補償、航行に関する計算、データの平均化、またはセンサデータ融合を含み得る。システム制御は、データの多重化、タイミング、計算、および他のデータ処理を制御することができる集積マイクロコントローラによって提供され得る。補助(または追加的な)信号が、追加的なデジタルI/Oを介してICチップに伝達される。ICチップ2200は、例えば無線通信またはGPS(全地球測位システム、Global Positioning System)機能などの、補助信号処理回路を含む。GPSデータはまた、MEMSセンサデータを増補および結合してMEMSセンサチップ2100の精度を高めるために使用され得る。これらは例にすぎず、任意の特定のシステムの実装において、より多くのまたはより少ない機能が存在し得る。理解され得るように、MEMS信号を介してアナログ検知データを提供することに加えて、MEMSチップ2100はまた、MEMSシステム2000と外界、例えばより大きなシステムにおけるプリント回路基板との間に、電力、アナログ、およびデジタルのI/Oを含む電子インタフェースを提供することができる。
【0053】
図2Aに示された実施形態の通り、単一MEMSチップ2100は、3D MEMSシステム2000(3DS)に統合され、かつ、能動MEMSデバイス、および信号分配のためのインタポーザの両方として機能する。3DSアーキテクチャの1つの可能な使用は、
図2Dから2Hに概略的に示されるように、MEMSおよびICのウェハ規模の統合を含む。
【0054】
図2Dは、ICウェハ200の概略図である。ICウェハが、CMOS、ヒ化ガリウムまたはガリウムヒ素(GaAs:Gallium Arsenide)もしくは他のIII-V化合物、リン化インジウムまたはインジウムリン(InP:Indium Phosphide)もしくは他のII-VI化合物、炭化ケイ素、または他の技術のうちのいずれか1つを使用して構成され得る。ICウェハ200は、いくつかのICチップ2200を含む。各ICチップは、ICトランジスタによって形成されたMEMS信号処理回路2240と補助処理回路2260とを含む。ICチップに含まれる機能は、GPS、RF、論理および/またはメモリを含み得る。ICウェハ200はまた、中間金属相互接続と、典型的には接合パッドであるIC電気接点とを含む。IC電気接点は、第1および第2の接点の組2228、2230に分類される。第1の組2228のIC接点は、第1の絶縁経路に関連したMEMS電気接点と接続するように設計され、第2の組2230は、第2の絶縁経路に関連したMEMS電気接点と接続するように設計される。
【0055】
図2Eは、
図2AのMEMSチップ2100のような単一MEMSチップをいくつか含む、多ウェハスタック100の概略図である。
図2DのASICウェハ200、および
図2EのMEMS多ウェハスタック100は、既存の方法を利用して費用を最小限に抑えかつ生産量を増大させるために、別々のMEMS製造工場およびIC製造工場で製作され得る。この例では、方形切断前の2つのICチップと2つのMEMSチップとが示されている。
【0056】
MEMSスタック100の製作過程中、第1および第2のシリコンウェハの内側を向いた表面上の電極、リード線、およびフィードスルーの境界を画定するために、第1および第2の層にチャネルがエッチングされる。次いでチャネルは、熱酸化物もしくはCVD(化学蒸着、Chemical Vapor Deposition)二酸化ケイ素などの絶縁材料で覆われるかまたは満たされる。典型的にはSOIウェハである中央MEMSウェハの両側には、電極と、膜およびプルーフマスなどのMEMS構造とがパターン付けされる。電気信号をデバイスから絶縁伝導路になるものを通してハンドル層に伝えることを可能にするために、導電性分路が、埋め込み酸化層内の特定の場所に形成される。中央MEMSウェハおよびキャップMEMSウェハもまた、MEMS構造を封入するそれぞれのフレームがパターン付けされる。デバイスによって必要とされる種々の伝導路は、各レベル上のフィードスルー構造を位置合わせすることによって構成される。中央MEMSウェハ内の絶縁伝導路の部分は、MEMSウェハが完全にスタック内に含まれ、また、絶縁トレンチがキャップトレンチのように大気中の漏れに対するシールを提供する必要がないので、絶縁体で満たされたチャネルか、またはエッチングされた開放トレンチによって絶縁され得る。フレームもまた、MEMS構造の周りに密閉されたチャンバを形成するように接合される。ウェハスタック100が組み立てられた後、キャップウェハは、絶縁された導電領域を露出するために、研削および研磨される。
【0057】
図2D~2Fは、MEMSウェハ100およびICウェハ200の好ましい接合方法を示す。アンダーフィル44が、上側のCMOSウェハ200に貼り付けられて、IC電気接点(この場合では接合パッド)を露出するためにパターン付けされる。ハンダバンプ45が、接合パッド上に被着される。ICウェハ200は、IC接合パッドおよびハンダバンプが第1のキャップウェハの接合パッドに位置合わせされるように、ひっくり返されてMEMSウェハ100に位置合わせされる。ICウェハ200は、MEMS集積システムウェハを作り出すために、温度および圧力を使用してMEMSウェハ100に接合される。
【0058】
次いで、接合された3DSウェハは、3Dシステム・オン・チップ(3DSoC:3D
System on Chip)とも呼ばれる個々の集積MEMSシステム構成要素へ
と(
図2Fにおける点線に沿って)方形切断され得る。ICチップの露出した側は、シリコン基板上に貼り付けられた酸化物不活性化層によって保護され、MEMS/ASIC接触面は、アンダーフィル44によって保護される。
図2Gに示されるように方形切断されたチップ2000は、パッケージ化されたICとして取り扱われることができ、第2のキャップ上に設けられた底部キャップ接合パッドは、追加的なパッケージ化を伴わずに、PCB300上の接合パッドにバンプ接合され得る。PCBアンダーフィル44が、PCBに貼り付けられて、PCB接合パッド上の接点を明瞭にするためにパターン付けされる。ハンダバンプ45が、露出したPCB接合パッドに貼り付けられ、方形切断された3DS構成要素チップ2000は、PCB300にフリップチップ接合され得る。追加的な湿気からの保護が所望される場合、高分子封止材料または他の材料34が適用され得る。追加的なキャッピングまたはボンドワイヤは必要とされない。
【0059】
図3は、この場合では10-DOF IMUシステム3000である、集積MEMSシステムの可能な一実施形態を示すブロック図である。システム3000は、10-DOF単一MEMSチップ3100、および単一ICチップ3200を含み、MEMSチップおよびICチップは、
図2Aのシステム2000に対して説明されたものと同様のアーキテクチャを有する。MEMSチップ3100は、上部キャップ層、中央MEMS層、および底部キャップ層を含み、各層に変換器がパターン付けされている。変換器は、3軸の加速度計、ジャイロスコープ、および磁力計、ならびに圧力センサを含み得る。第1および第2の絶縁伝導路3130、3150が、MEMS信号および補助信号を伝達するために、MEMS層内に形成される。絶縁伝導路3130、3150は、第1および/または第2のキャップ層上のMEMS電気接点に接続する。単一ICチップ3200が、MEMSチップの第1の層にバンプ接合され、かつ、MEMS信号処理回路3240、および補助処理回路3260を含む。MEMS信号処理回路は、変換器のI/O信号、すなわち、変換器によって生成された信号および/または変換器を制御するための信号を処理する。補助処理回路3260は、補助信号、すなわち、変換器に動力を供給するための信号および/または変換器を制御するためのデジタル信号などの、MEMSチップ3100の第2の絶縁経路を通過する信号を処理する。
【0060】
本実施形態では、MEMS信号処理回路3240は、デジタルデータ分析回路3242、デジタル入力/出力回路3244、メモリ3246、システム制御装置3248、および較正/補償回路3250などの、専門化されたデジタルCMOS回路モジュールを含む。補助信号処理回路3260は、電力管理回路3262と、無線および/またはGPSのI/Oモジュールを含み得る高速CMOS回路3264とを含む。MEMS信号処理回路3240内および補助信号処理回路3260内のデジタル構成要素は、デジタルバス3272を通じて通信する。
【0061】
変換器はアナログ信号を使用して動作するので、ICチップ3200は、ICチップ3200がMEMSセンサ3100の入力および出力と相互作用することを可能にするために、混合信号CMOS回路3270を含む。混合信号CMOS回路3270は、MEMSチップ3100によって生成されたアナログ信号をMEMS信号処理回路3240による処理のためのデジタル信号に変換するために、ADCを含む。混合信号CMOS回路3270はまた、MEMS信号処理回路3240および/または補助信号処理回路3260から受信したデジタル信号を、MEMSチップ3100を制御するためのアナログ信号に変換するためのDACを含む。混合信号CMOS回路3270は、デジタルバス3272を通じてICチップ3200の他のデジタル構成要素と通信する。
【0062】
3DSサブシステムは、これらの種々の回路の間で分散される。例えば、
図3に示されるように角速度および加速度を測定する6DOF慣性センサ、圧力センサ、ならびに3DOF磁力計から成る10DOF MEMSセンサに基づいた3DS慣性航法ユニット(I
NU:Inertial Navigation Unit)を考慮されたい。3DSシステムの一部は、より大きなシステムからの位置/姿勢読取りのためのデジタル要求が、PCB基板デジタルI/Oリード線、あるいはメモリもしくは論理セクションよりも高いクロックレートで駆動する高速CMOSまたはRF CMOSを必要とする無線I/O3264を通じて入って来るときに、システムセンサハブとして機能することができる。要求は、デジタルバス3272およびデジタルI/Oセクション3244を通ってシステム制御装置3248に伝わる。システム制御装置3248は、3つの角速度、3つの加速度、3つの磁界、および1つの圧力の読取りのそれぞれの測定を引き起こしかつ時刻を定めるために、クロック信号を提供する。アナログ/デジタルセクション3270は、種々のセンサの静電容量を測定するのに必要とされるDCバイアスおよびジャイロスコープ駆動信号を提供するほかに、信号を増幅しかつそれらの信号を角速度、加速度、磁界、および圧力を表すデジタルデータに変換する。デジタル分析回路3242は、未加工のデジタルセンサデータを取得することができ、かつ、メモリ3246に記憶されたアルゴリズムおよび定数を使用して、加速度および角速度(IMU出力)、ならびに圧力および磁界のリアルタイムの値を計算することができる。しかし、慣性航法出力(例えば、位置および姿勢)が必要とされる場合、デジタルデータ分析セクション3242は、6DOFデータを外部センサの読取り値(GPSなど)と一緒に圧力および磁界のデータと統合して瞬間的な位置および姿勢を提供するために、追加の計算を行う。これらの「センサ融合」のアルゴリズムおよび定数は、メモリ3246に記憶され得る。最終的に、結果は、デジタルI/Oセクション3244およびデジタルバスを通り、MEMSチップを通してPCB基板へ出力されるか、または、この場合もより大きなシステムと通信するためのセンサハブとして機能する3DSチップによるRF無線通信を介して出力される。
【0063】
図に示されるように、IC3200は、伝導路3130および3150を介してMEMSチップ3100と相互作用する。第1の伝導路3130は、変換器のI/O信号を伝導し、したがってアナログチャネルである。したがって、第1の伝導路3130は、デジタルバス3272に達する前に、混合信号CMOS回路3270インタフェースを通過する。第2の伝導路3150は、補助信号を伝導する。補助信号はアナログまたはデジタルであり得るので、それらはその機能に応じて、ICチップ3200内への異なる経路を取り得る。例えば、アナログ補助信号が、混合信号CMOS回路3270を介してICチップ3200と相互作用し得る一方で、デジタル信号が、デジタルバス3272と直接相互作用し得る。第2の伝導路3150が電力信号を伝えている場合、例えば、第2の伝導路3150は、電力バス3274として機能し、かつ電力管理回路3262と直接相互作用することができ、電力管理回路3262はまた、デジタルデータを伝達するためにデジタルバス3272に接続されている。
【0064】
図4Aを参照すると、最終的なデバイス設置面積を減少させるために、MEMS集積システムの代替的アーキテクチャが、複数の単一MEMSウェハ102、104が垂直に積み重ねられて3DS MEMSウェハを形成することを可能にする。
図4Aは、互いに積み重ねられかつ接合された異なるデバイスタイプの2つのMEMSウェハ102、104から成る多ウェハ3DS MEMSに接合されたICウェハ202を示す。第1および第2の絶縁伝導路(3DTCVとも呼ばれる)を位置合わせすることにより、MEMS信号および補助信号は、MEMSチップおよびASICチップのスタック全体を通して届けられることができ、電力バスが簡略化され、また、種々のMEMS機能と電子装置との間でのリード線の引き回しが最小限に抑えられる。
図4Bは、プリント回路基板302にバンプ接合されたICチップ4200および2つの単一MEMSチップ4102、4104のスタックから成る、方形切断された3DS構成要素4000を示す。この場合では、単一MEMSチップ4102の第2の層は、追加的な単一MEMSチップ4104の第1の層にバンプ接合される。追加的な単一MEMSチップ4104の第2の絶縁伝導路4150’は、第1の単一MEMSチップ4102の第2の絶縁伝導路4150のうちの少なくと
もいくつかに電気的に接続されて、第1の単一MEMSチップおよび追加的な単一MEMSチップを通してICチップ4200の補助信号処理回路に補助信号を伝導する。MEMSチップ4102および4104の相互接続された第2の絶縁伝導路は、ワイヤ接合を必要とせずに、PCBからICチップまで補助信号を送信することを可能にする。
【0065】
MEMSチップ4104のためのMEMS信号もまた、MEMSチップ4102を通過してICチップ4200まで伝わり得る。第1のMEMSチップ4102は、第1のキャップMEMS電気接点の第3の組、および第3の絶縁伝導路4170を備えて、第3の組の第1のキャップMEMS電気接点を、第1のキャップ層、中央MEMS層、および第2のキャップ層を通して、MEMSチップ4102の第2のキャップ層の第2のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかに接続する。これらの第3の絶縁伝導路4170は、ICチップ4200のMEMS信号処理回路4240に電気的に接続され、かつ、MEMSチップ4104の絶縁伝導路4130’に電気的に接続される。したがって、MEMS信号処理回路4240は、第1の単一MEMSチップおよび前述の少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの電気的MEMS信号を処理することができる。したがって、MEMS信号処理回路4240は、両方のMEMSチップ4102および4104からのMEMS信号を処理することができる。
【0066】
図4Aおよび4Bに示された実施形態では2つのMEMSチップが存在するが、当然ながら、同じタイプまたは異なるタイプの3つ以上のMEMSチップを積み重ねることが可能である。したがって、集積MEMSシステム構成要素は、第1の単一MEMSチップと、垂直に積み重ねられた追加的な複数の単一MEMSチップとを含み得る。
【0067】
図5Aおよび5Bを参照すると、ICの型におけるばらつきが複雑すぎて単一のASICでは適応できない場合(例えば、混合信号機能に加えてGPS機能、それに加えて無線周波(RF)機能)、MEMSウェハスタック106は、MEMS信号および補助信号を処理するための第1のICチップと、GPS、RF、論理、プロセッサ、メモリなどの所望のタイプの追加的なICチップ5204、5206、5208とを含む3DS基板として使用され、かつ、多ウェハスタック106のキャップウェハのうちの1つにバンプ接合され得る。単一ASCウェハをMEMSウェハスタックに付着するのに、ウェハ接合を使用するのではなく、
図5Aにおけるように、IC接合パッドとMEMSハンダバンプとを位置合わせしかつ接合するために、ピックアンドプレースおよびハンダバンプ付着などのPCBチップ付着法が使用される。したがって、各ICチップは、MEMSウェハに対して個々に設置および接合されて3Dシステムウェハ(3DS wafer:3D System Wafer)を形成し、3DSウェハは、個々の3Dシステム・イン・パッケージ(3DSiP:3D System in Package)チップに単体化される。
【0068】
図5Bを参照すると、MEMS金属層38は、この場合、MEMSチップ5106を種々のIC5204、5206、5208に接続する働きをするだけではなく、各ICを相互接続するように、また、それらに信号および電力の分配を提供するように機能する。いずれにしても、方形切断の後、個々の3DS構成要素5000は、追加的なパッケージングまたはワイヤ接合を伴わずに、完成したシステムチップとして扱われ得る。システムチップ5000は、PC基板304にバンプ接合され得る。
【0069】
特許請求の範囲に記載の範囲は、各例に記載された好ましい実施形態によって限定されるべきではなく、全体として説明と一致する最も広い解釈を与えられるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積微小電気機械(MEMS)ジャイロスコープであって、
MEMSウェハを含む複数のシリコンウェハを有するMEMSウェハスタックであって、キャビティ内にMEMS構造を持ち、前記MEMSウェハは、導電性シリコンデバイス層、絶縁層、及びハンドル層を有するシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハを有し、前記MEMS構造が、前記導電性シリコンデバイス層で形成され且つ前記キャビティ内で角回転を受けるプルーフマスを有する、MEMSウェハスタックと、
前記キャビティを密閉するために前記MEMSウェハスタック内で導電性シリコンウェハに接合されたキャップウェハであって、前記MEMSウェハスタックのキャップ導電性シリコン層及びキャップ絶縁層を有するキャップウェハと、
前記MEMSウェハスタックの1又は複数の導電性シリコン層内に形成された駆動電極及び検出電極であって、それぞれ、前記キャビティ内の前記プルーフマスの運動を駆動し、及び前記キャビティ内の前記プルーフマスの角運動を検出する、駆動電極及び検出電極と、
前記キャップ絶縁層を通って及び前記キャップ導電性シリコン層を通って延びる複数の第1の絶縁伝導路であって、前記複数の第1の絶縁伝導路の少なくとも1つは、前記MEMSウェハスタック上の第1の電気接点と、前記プルーフマスとの間に電気的接続を形成し、前記複数の第1の絶縁伝導路の第1の組は、前記MEMSウェハスタック上の各第2の電気接点と、前記駆動電極及び前記検出電極との間に電気的接続を形成するように、前記キャップ絶縁層を通って及び前記キャップ導電性シリコン層を通って延びる、前記複数の第1の絶縁伝導路と、
前記第1及び第2の電気接点に接続され、前記MEMSジャイロスコープの角速度を測定するための駆動電極信号及び検出電極信号を含むMEMS電気信号を処理するMEMS信号処理回路と、
を備えるMEMSジャイロスコープ。
【請求項2】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
少なくとも1つの第1の絶縁伝導路は、前記キャップ導電性シリコン層に形成されたプラグを備え、前記プラグは、前記キャップ導電性シリコン層の全厚を通してパターン付けされた閉ループトレンチにより境界付けられており、少なくとも1つの電気接点が前記プラグに接続されている、MEMSジャイロスコープ。
【請求項3】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記MEMSジャイロスコープが3軸の角回転を提供する、MEMSジャイロスコープ。
【請求項4】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記キャップウェハは前記MEMSウェハの前記導電性シリコンデバイス層に接続されている、MEMSジャイロスコープ。
【請求項5】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記MEMSウェハは、外側フレームと、ばねにより懸架されたプルーフマスとを備え、前記プルーフマス及び前記ばねは、前記MEMSウェハの前記導電性シリコンデバイス層にパターン付されている、MEMSジャイロスコープ。
【請求項6】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記MEMSデバイス層を前記第1の絶縁伝導路の少なくとも1つに電気的に接続する電気的シャントを備え、前記絶縁伝導路は、前記電気的シャントを介して、前記電気接点の1つを前記MEMSウェハの前記ハンドル層に接続する、MEMSジャイロスコープ。
【請求項7】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記駆動電極及び前記検出電極のうち少なくとも1つは、前記キャップウェハの前記キャップ導電性シリコン層にパターン付けされたキャップ電極を含む、MEMSジャイロスコープ。
【請求項8】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記MEMSジャイロスコープは、加速度計を更に備える、MEMSジャイロスコープ。
【請求項9】
請求項8に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記導電性シリコンデバイス層は、慣性測定ユニットの処理回路に接続されている、MEMSジャイロスコープ。
【請求項10】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記キャップウェハに形成されたキャップウェハフィードスルーと、
第2のキャップウェハであって、MEMSウェハフィードスルーを介して前記キャップウェハフィードスルーに位置合わせされかつ電気的に接続される第2のキャップウェハフィードスルーを備える第2のキャップウェハと、
を更に備え、
第2のキャップ電極は、前記第2のキャップウェハの第2のキャップ導電性シリコン層内に形成されている、MEMSジャイロスコープ。
【請求項11】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記キャップ導電性シリコン層は、単結晶シリコン層である、MEMSジャイロスコープ。
【請求項12】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記キャップ導電性シリコン層は、前記キャビティの一部を形成する凹部を有し、
前記MEMSジャイロスコープは、前記キャビティの周りに、少なくとも1つの駆動電極及び少なくとも1つの検出電極を有する、MEMSジャイロスコープ。
【請求項13】
請求項12に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記凹部は、前記キャップ導電性シリコン層の電極と前記プルーフマスとの間のキャパシタンスギャップを備える、MEMSジャイロスコープ。
【請求項14】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記MEMSジャイロスコープは、6自由度慣性センサを形成するように、前記導電性シリコンデバイス層で形成されたジャイロスコープ及び加速度計を有する慣性センサチップを備える、MEMSジャイロスコープ。
【請求項15】
請求項14に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記MEMS構造の前記キャビティは第1の密閉キャビティであり、
前記MEMS構造は、第1のMEMS構造であり、
前記慣性センサチップは、少なくとも第2のMEMS構造を取り囲む少なくとも第2のキャビティを更に備え、
前記第1及び第2のキャビティは異なる内部圧力を有する、
MEMSジャイロスコープ。
【請求項16】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記MEMS信号処理回路は、集積回路及びアナログデジタル変換器を更に備える、MEMSジャイロスコープ。
【請求項17】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記MEMS信号処理回路は、システム制御装置を更に備える、MEMSジャイロスコープ。
【請求項18】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
電力管理回路、メモリ、フィードバック回路、及び非慣性センサを有する慣性測定ユニットを更に備える、MEMSジャイロスコープ。
【請求項19】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
前記MEMS信号処理回路は、慣性センサパッケージを形成するように、前記MEMSジャイロスコープに積み重ねられた集積回路を更に備える、MEMSジャイロスコープ。
【請求項20】
請求項1に記載のMEMSジャイロスコープであって、
圧力センサ、磁力計、微小光学デバイス、温度計、マイクロミラー、無線通信回路、GPS回路、及び補助信号処理回路のうち少なくとも1つを更に備える、MEMSジャイロスコープ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
特許請求の範囲に記載の範囲は、各例に記載された好ましい実施形態によって限定されるべきではなく、全体として説明と一致する最も広い解釈を与えられるべきである。
<付記>
[形態1]
集積MEMSシステムであって、
- 少なくとも1つの単一MEMSチップ、および
- 少なくとも1つの単一ICチップ
を備え、
前記少なくとも1つの単一MEMSチップが、
- 第1のキャップMEMS電気接点の第1および第2の組を含む第1のキャップ層と、
- 第2のキャップMEMS電気接点を含む第2のキャップ層と、
- 前記第1のキャップ層と前記第2のキャップ層との間に配置された中央MEMS層と、
- 前記第1のキャップ層、前記中央MEMS層、および前記第2のキャップ層内に形成されて、運動を引き起こすかまたは少なくとも1つのパラメータを検知する、少なくとも1つの変換器と、
- 前記少なくとも1つの変換器を前記第1のキャップMEMS電気接点の第1の組にそれぞれ接続して、前記少なくとも1つの変換器と前記第1の組の前記第1のキャップMEMS電気接点との間で電気的MEMS信号を伝導する、第1の絶縁伝導路と、
- 前記第1のキャップMEMS電気接点の第2の組を、前記第1のキャップ層、前記中央MEMS層、および前記第2のキャップ層を通して前記第2のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかに接続して、前記MEMSチップを通して補助信号を伝導する、第2の絶縁伝導路と、
を備え、
前記少なくとも1つの単一ICチップが、
- 第1のキャップMEMS電気接点の第1および第2の組にそれぞれバンプ接合されるIC電気接点の第1および第2の組と、
- IC電気接点の第1の組に動作可能に接続されて前記電気的MEMS信号を処理する、MEMS信号処理回路と、
- 前記IC電気接点の第2の組に動作可能に接続されて、前記補助信号を処理しかつ追加的なシステム機能を提供する、補助信号処理回路と
を備える、集積MEMSシステム。
[形態2]
形態1に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記第1のキャップ層、前記中央MEMS層、および前記第2のキャップ層が、導電性材料で作られ、前記第1のキャップ層が、前記中央MEMS層の第1の側に電気的に接合されており、前記第2のキャップ層が、前記第1の側とは反対側の前記中央MEMS層の第2の側に電気的に接合されている、集積MEMSシステム。
[形態3]
形態1または2に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記第1のキャップ層、前記中央MEMS層、および前記第2のキャップ層が、ウェハレベルで接合されるそれぞれのシリコンベースのウェハから製作される、集積MEMSシステム。
[形態4]
形態1から3までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記中央MEMS層が、シリコン・オン・インシュレータ・ウェハから作られる、集積MEMSシステム。
[形態5]
形態1から4までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記第2の絶縁伝導路が、前記第1の層、前記中央MEMS層、および前記第2の層のうちの1つにエッチングされたトレンチによって形成され、前記トレンチが、位置合わせされかつ絶縁材料で満たされており、前記トレンチが、それぞれの導電性ウェハプラグを取り囲み、前記導電性ウェハプラグが、前記MEMSチップの全厚を通した電気信号の伝達を可能にする、集積MEMSシステム。
[形態6]
形態1から5までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記第2の絶縁伝導路のうちの少なくともいくつかが、前記第1の層、前記中央MEMS層、および前記第2の層のうちの1つにエッチングされたトレンチによって形成され、前記トレンチが、位置合わせされており、かつ、絶縁材料で覆われかつ導電性材料で満たされたそれらのそれぞれの側壁を有する、集積MEMSシステム。
[形態7]
形態1から6までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記第1および第2のキャップ層の前記第1および第2のキャップMEMS電気接点が、接合パッドである、集積MEMSシステム。
[形態8]
形態1から7までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの変換器が、6自由度運動センサを含み、前記少なくとも1つのパラメータが、3軸の直線加速度、および3軸の角速度を含む、集積MEMSシステム。
[形態9]
形態9に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記6自由度運動センサが、前記第1および第2のキャップ層内にそれぞれ設けられた第1および第2の電極の組と、前記中央MEMS層内に設けられた複数のプルーフマスとを含み、前記第1および第2の電極の組が、前記複数のプルーフマスとともにコンデンサを形成し、前記第1の絶縁伝導路のうちのいくつかが、前記第1および第2の電極の組の前記電極を、前記MEMS電気接点の第1の組のうちの少なくともいくつかの前記第1のキャップMEMS電気接点にそれぞれ接続する、集積MEMSシステム。
[形態10]
形態1から9までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの変換器が、少なくとも1つの非慣性センサを含む、集積MEMSシステム。
[形態11]
形態10に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの非慣性センサが、圧力センサ、磁力計、温度計、およびマイクロホンのうちの少なくとも1つを含む、集積MEMSシステム。
[形態12]
形態10または11に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの非慣性センサが、前記第1の層内にパターン付けされた非慣性電極と、前記中央MEMS層内にパターン付けされた少なくとも1つのMEMS構造とを含み、前記第1の絶縁伝導路のうちのいくつかが、前記少なくとも1つの非慣性センサの前記電極を前記第1の組の前記第1のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかに接続する、集積MEMSシステム。
[形態13]
形態1から12までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記電気的MEMS信号のうちの少なくともいくつかが、アナログ信号であり、前記ICチップが、前記MEMSチップによって送信されたアナログ信号を前記MEMS信号処理回路による処理のためのデジタル信号に変換するために、また、前記MEMS信号処理回路によって送信されたデジタル信号を前記MEMSチップに入る前にアナログ信号に変換するために、混合信号CMOS回路を含む、集積MEMSシステム。
[形態14]
形態1から13までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記ICチップが、デジタルバスを含み、前記MEMS信号処理回路が、前記デジタルバスを介して前記混合信号回路に接続されたデジタルCMOS回路を含む、集積MEMSシステム。
[形態15]
形態14に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記デジタルCMOS回路が、デジタルデータ分析回路、デジタル入力/出力回路、メモリ、システム制御装置、および較正/補償回路のうちの少なくとも1つを含む、集積MEMSシステム。
[形態16]
形態14または15に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記ICチップが、電力バスを含み、前記補助信号処理回路が、前記電力バスと前記デジタルバスとに接続された電力管理回路を含む、集積MEMSシステム。
[形態17]
形態14から16までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記ICチップが、前記補助信号を処理するための、前記デジタルバスに接続された高速CMOS回路を含む、集積MEMSシステム。
[形態18]
形態17に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記高速CMOS回路が、無線信号またはGPS信号のための入出力モジュールのうちの少なくとも1つを含む、集積MEMSシステム。
[形態19]
形態1から18までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの単一MEMSチップが、第1の単一MEMSチップと、少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップとを含み、前記第1の単一MEMSチップおよび前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップが、垂直に積み重ねられ、前記第1の単一MEMSチップの前記第2の層が、前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの前記第1の層にバンプ接合され、前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの前記第2の絶縁伝導路が、前記第1の単一MEMSチップの前記第2の絶縁伝導路のうちの少なくともいくつかに電気的に接続されて、前記第1の単一MEMSチップおよび前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップを通して前記少なくとも1つのICチップに補助信号を伝導する、集積MEMSシステム。
[形態20]
形態19に記載の集積MEMSシステムにおいて、第1のMEMSチップが、第1のキャップMEMS電気接点の第3の組と、前記第1のキャップ層、前記中央MEMS層、および前記第2のキャップ層を通して前記第3の組の前記第1のキャップMEMS電気接点を、前記第2のキャップMEMS電気接点のうちの少なくともいくつかに接続する第3の絶縁伝導路とを含み、前記第3の絶縁伝導路が、前記少なくとも1つのICチップの前記MEMS信号処理回路に電気的に接続され、かつ、前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの絶縁伝導路に電気的に接続され、前記MEMS信号処理回路が、前記第1の単一MEMSチップおよび前記少なくとも1つの追加的な単一MEMSチップの前記電気的MEMS信号を処理する、集積MEMSシステム。
[形態21]
形態1から20までのいずれか一項に記載の集積MEMSシステムにおいて、前記少なくとも1つの単一MEMSチップが、第1の単一ICチップと、少なくとも1つの追加的な単一ICチップとを含む、集積MEMSシステム。
【外国語明細書】