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特開2023-116467単電池、動力電池パック及び電気自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116467
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】単電池、動力電池パック及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20230815BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20230815BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20230815BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20230815BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20230815BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20230815BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20230815BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20230815BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/119
H01M50/103
H01M50/342 101
H01M50/105
H01M50/249
H01M50/211
H01M50/209
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023081780
(22)【出願日】2023-05-17
(62)【分割の表示】P 2021540056の分割
【原出願日】2019-06-21
(31)【優先権主張番号】201910021244.0
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910020967.9
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021246.X
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021248.9
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021247.4
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910020925.5
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】何▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲華▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】江文▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼志佩
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼▲衛▼▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】唐江▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
(72)【発明者】
【氏名】王信月
(72)【発明者】
【氏名】何科峰
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放熱能力が高く、かつ動力電池パック内の全体的な配列に役立ち、動力電池パックの空間利用率を向上させ、動力電池パックのエネルギー密度を拡大し、さらに動力電池パックの航続能力を向上させる単電池、前記単電池を有する動力電池パック、及び前記動力電池パックを有する電気自動車を提供する。
【解決手段】単電池は、電池本体を含み、前記電池本体が長さL、幅H及び厚さDを有する。前記電池本体の長さLが幅Hより大きく、前記電池本体の幅Hが厚さDより大きく、前記電池本体の長さLがL>600mmであり、前記電池本体の長さLと幅Hが、L/H=4~21を満たす。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池本体を含み、前記電池本体が長さL、幅H及び厚さDを有し、前記電池本体の長さ
Lが幅Hより大きく、前記電池本体の幅Hが厚さDより大きく、
前記電池本体の長さLが
L>600mm
であり、前記電池本体の長さLと幅Hが、
L/H=4~21
を満たすことを特徴とする、単電池。
【請求項2】
前記電池本体の長さLと幅Hは、
L/H=9~13
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の単電池。
【請求項3】
前記電池本体の長さLと厚さDは、
L/D=23~208
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の単電池。
【請求項4】
前記電池本体の長さLと前記電池本体の体積Vは、
L/V=0.0005~0.002mm-2
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の単電池。
【請求項5】
前記電池本体の幅Hと前記電池本体の体積Vは、
H/V=0.0001mm-2~0.00015mm-2
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の単電池。
【請求項6】
前記電池本体の厚さDと前記電池本体の体積Vは、
D/V=0.0000065mm-2~0.00002mm-2
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の単電池。
【請求項7】
前記電池本体の長さLと前記電池本体の表面積Sは、
L/S=0.002mm-1~0.005mm-1
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の単電池。
【請求項8】
前記電池本体の表面積Sと前記電池本体の体積Vは、
S/V=0.1mm-1~0.35mm-1
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の単電池。
【請求項9】
前記電池本体の表面積Sと前記電池本体のエネルギーEは、
S/E≦1000mm・Wh-1
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の単電池。
【請求項10】
前記電池本体の長さLと前記電池本体のエネルギーEは、
L/E=0.8mm・Wh-1~2.45mm・Wh-1
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の単電池。
【請求項11】
前記電池本体の長さLと前記電池本体のエネルギーEは、
L/E=1.65mm・Wh-1~2.45mm・Wh-1
を満たすことを特徴とする、請求項10に記載の単電池。
【請求項12】
前記電池本体の長さLは、600mm~2500mmであることを特徴とする、請求項
1~11のいずれか一項に記載の単電池。
【請求項13】
前記電池本体の長さLは、600mm~1500mmであることを特徴とする、請求項
12に記載の単電池。
【請求項14】
前記電池本体の長手方向及び厚さ方向は、水平方向に沿って延び、前記電池本体の幅方
向は、鉛直方向に沿って延びることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載
の単電池。
【請求項15】
前記電池本体の長手方向の一端に設けられた第1の電極タブと、
前記電池本体の長手方向の他端に設けられた第2の電極タブと、をさらに含むことを特
徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の単電池。
【請求項16】
前記単電池は、アルミニウムシェル角形電池であることを特徴とする、請求項1~11
のいずれか一項に記載の単電池。
【請求項17】
前記単電池は、少なくとも1つの防爆弁を備え、前記防爆弁は、前記電池本体の長手方
向の少なくとも1端に設けられることを特徴とする、請求項16に記載の単電池。
【請求項18】
前記電池本体の長手方向の両端に防爆弁がそれぞれ設けられることを特徴とする、請求
項16に記載の単電池。
【請求項19】
前記単電池は、パウチ電池であり、前記電池本体の長さLと幅Hは、
L/H=7~20
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の単電池。
【請求項20】
パック本体と、
前記パック本体内に設けられた請求項1~19のいずれか一項に記載の複数の単電池と
、を含むことを特徴とする、動力電池パック。
【請求項21】
請求項20に記載の動力電池パックを含むことを特徴とする、電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー カンパニー リミテッドが2019年1月9日に提出した、
中国特許出願第「201910021244.0」、「201910020967.9」
、「201910021246.X」、「201910021248.9」、「2019
10021247.4」及び「201910020925.5」号の優先権を主張するも
のであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、具体的には、単電池、前記単電池を有する動力電池パ
ック、及び前記動力電池パックを有する電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、例えば、電気自動車に適用される動力電池パックは、主に、パック
本体と、パック本体内に取り付けられ、それぞれが複数の単電池からなる複数の電池モジ
ュールとを含む。電気自動車の航続能力に対するユーザの要求が徐々に高まっているにつ
れて、車体の底部の空間が限られている場合、従来技術における動力電池パックを採用す
れば、内部空間の利用率が低くなり、動力電池パックのエネルギー密度が需要を満たすこ
とができず、これも電気自動車の発展を制限する重要な要因となってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
関連する従来技術において、電池の内部抵抗、過電流の制限のため、単電池の寸法は大
きく設計されず、単電池を電池モジュールに組み立て、次に電池モジュールを電池トレイ
に置く場合、単電池の寸法が小さく、長さが短く、単電池の対向する両端が電池パック内
の対向して設けられた2つのサイドビームに嵌合することができないため、収容装置内に
クロスビーム500’及び/又はサイドビーム600’(図1に示す)を設ける必要があ
り、このように、単電池の組立が容易になる。
【0005】
図1に示すように、動力電池パック10’のパック本体200’’は、クロスビーム5
00及びサイドビーム600によって、複数の電池モジュール400’の取付領域に分割
されることが多く、電池モジュール400’は、ねじなどにより、クロスビーム500’
又はサイドビーム600’に固定される。電池モジュール400’は、順に配列された複
数の単電池を含み、複数の単電池は、配列されて電池アレイを形成し、電池アレイの外部
に端板及び/又は側板が設けられ、一般的には、端板と側板を同時に含み、端板と側板は
、固定されて電池アレイを収容する空間を囲む。同時に、端板と側板は、電池アレイの固
定を実現するために、ねじにより接続されるか、又はタイロッドなどの他の接続部材によ
り接続される。
【0006】
出願人は、試験及び分析により、電池モジュール400’がねじなどの構造によりクロ
スビーム500’又はサイドビーム600’に固定されるため、空間が無駄になり、また
、ねじなどの接続部材を増加させるため、重量が高くなり、なお、電池モジュール400
’が端板と側板の組み合わせにより設計され、端板と側板がいずれも一定の厚さ及び高さ
を有するため、パック本体200’’の内部の空間が無駄になり、パック本体200’’
の体積利用率が低くなることを見出した。一般的な場合には、上記従来技術における動力
電池パック10’は、パック本体200’’内の単電池の体積の和とパック本体200’
’の体積との比がいずれも50%程度であり、更に40%まで低い。
【0007】
上記従来技術の実施例に係る電池パック10’は、採用した電池モジュール400’の
端板、側板、及び動力電池パック10’の内部の接続取付形態などが、いずれもパック本
体200’’の内部空間の利用率を低下させ、その結果、動力電池パック10’では、単
電池の体積の和とパック本体200’’の体積との比が低すぎて、そのエネルギー密度が
電気自動車の航続能力に対するユーザの需要を満たすことができない。
【0008】
本願は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決しようとする。したがっ
て、本願は、放熱能力が高く、かつ動力電池パック内の全体的な配列に役立ち、動力電池
パックの空間利用率を向上させ、動力電池パックのエネルギー密度を拡大し、さらに動力
電池パックの航続能力を向上させる単電池を提供することを1つの目的とする。
【0009】
本願は、前記単電池を有する動力電池パックをさらに提供する。
【0010】
本願は、前記動力電池パックを有する電気自動車をさらに提供する。
【0011】
本願の第1の態様の実施例に係る単電池は、電池本体を含み、前記電池本体が長さL、
幅H及び厚さDを有し、前記電池本体の長さLが幅Hより大きく、前記電池本体の幅Hが
厚さDより大きく、前記電池本体の長さLが>600mmであり、前記電池本体の長さL
と幅Hが、L/H=4~21を満たす。
【0012】
本願の実施例に係る単電池は、放熱能力が高く、かつ動力電池パック内の全体的な配列
に役立ち、動力電池パックの空間利用率を向上させ、動力電池パックのエネルギー密度を
拡大し、さらに動力電池パックの航続能力を向上させる。
【0013】
本願の第2の態様の実施例に係る動力電池パックは、パック本体と、前記パック本体内
に設けられた本願の第1の態様の実施例に記載の複数の単電池と、を含む。
【0014】
本願の実施例に係る動力電池パックは、本願の第1の態様の実施例に記載の単電池を利
用することにより、空間利用率が高く、エネルギー密度が大きく、航続能力が高いなどの
利点を有する。
【0015】
本願の第3の態様の実施例に係る電気自動車は、本願の第2の態様の実施例に記載の動
力電池パックを含む。
【0016】
本願の実施例に係る電気自動車は、本願の第2の態様の実施例に記載の動力電池パック
を利用することにより、電池の占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることが
できる。
【0017】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明に
おいて明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来技術における動力電池パックの分解図である。
図2】本願の実施例に係る動力電池パックの断面図である。
図3】本願の実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
図4】本願の実施例に係る動力電池パックの分解図である。
図5】本願の実施例に係る単電池の概略構成図である。
図6】本願の実施例に係る動力電池パックの電池モジュールの配列方式概略図である。
図7】本願の別の実施例に係る動力電池パックの電池モジュールの配列方式概略図である。
図8】本願の実施例に係る動力電池パックのパック本体が電気自動車に形成された概略構成図である。
図9】本願の実施例に係る電気自動車の概略構成図である。
図10】本願の実施例に係る電気自動車の分解図である。
図11図2におけるG領域の拡大図である。
図12】本願の第1の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
図13】本願の第2の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
図14】本願の第3の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
図15】本願の第4の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
図16】本願の第5の代替的な実施例に係る動力電池パックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は図面に示され、全体を通して同
一又は類似する符号は、同一又は類似する部品、若しくは同一又は類似する機能を有する
部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解
釈するものに過ぎず、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0020】
なお、本願の説明において、用語「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ
」、「内」、「外」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づ
くものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置
又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならな
いことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解すべき
ではない。
【0021】
また、本願の説明において、「複数」とは、2つ以上を意味する。
【0022】
従来技術における動力電池パックの現状を考慮して、本願は、空間利用率が高く、エネ
ルギー密度が大きく、航続能力が高いなどの利点を有する動力電池パック及びそれを有す
る電気自動車を提供する。
【0023】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る動力電池パック10を説明する。
【0024】
図2図16に示すように、本願の実施例に係る動力電池パック10は、パック本体2
00と、複数の単電池100とを含む。
【0025】
複数の単電池100はパック本体200内に設けられ、パック本体200は、複数の単
電池100を収容するケースとして理解することができ、例えば、トレイ210及び上部
カバー220を含んでよく、トレイ210及び上部カバー220は共に複数の単電池10
0の収容空間を画定し、複数の単電池100はトレイ210に設けられ、かつ上部カバー
220によりカバーされる。複数の単電池100の体積の和V1と動力電池パック10の
体積V2は、V1/V2≧55%を満たす。
【0026】
当業者であれば理解できるように、V1は、各単電池100の体積と単電池100の数
との積であり、V2は、動力電池パック10の外郭によって画定された立体形状の全体積
であり、即ち、動力電池パック10の内部空間を含む体積であり、即ち、動力電池パック
10の外郭によって空間上で囲まれた立体領域の体積である。電気自動車において、V1
/V2は、空間利用率として定義される。
【0027】
本願の実施例に係る動力電池パック10は、単電池100の体積の和と動力電池パック
10の体積との比、即ち、V1/V2≧55%を限定することにより、動力電池パック1
0の空間利用率を向上させ、動力電池パック10内に、より多くの単電池100を配置し
、即ち、単位空間内に、より多くのエネルギー供給構造を配置するため、エネルギー密度
を向上させて、占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができる。
【0028】
本願のいくつかの実施例において、V1/V2≧60%である。
【0029】
本願のいくつかの実施例において、V1/V2≧62%である。
【0030】
本願のいくつかの実施例において、V1/V2≧65%である。
【0031】
当業者であれば理解できるように、いくつかの要因の影響により、例えば、トレイの底
部の衝突防止空間及び液冷システム、保温材料、絶縁保護材、熱安全補助部品、火炎排出
及び排気通路、高圧配電モジュールなどを含む周辺部品がパック本体200の内部空間を
占有するため、V1/V2の最大値は、一般的に80%であり、即ちV1/V2≦80%
である。
【0032】
以下、図面を参照して、本願の具体的な実施例に係る動力電池パック10を説明し、動
力電池パック10は、長手方向が矢印Aで示され、幅方向が矢印Bで示され、高さ方向が
矢印Cで示される。
【0033】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図2図4に示すように、単電池100は
、長手方向が動力電池パック10の幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100
が動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列されることにより、動力電池パック10
の空間利用率を55%、60%、62%、65%又はそれ以上に設定することに役立つ。
【0034】
本願のいくつかの具体例において、図3及び図4に示すように、動力電池パック10の
幅方向Bに、単電池100とパック本体200の側壁との間の距離は、単電池100の長
さより小さく、具体的には、動力電池パック10の幅方向Bに、単電池100の一端とそ
れ(単電池100の上記一端)に隣接するパック本体200のサイドビームとの間の最近
接距離はL1であり、単電池100の他端とそれ(単電池100の上記他端)に隣接する
パック本体200のサイドビームとの間の最近接距離はL2であり、単電池100の長さ
L0は、L3+L4<L0を満たす。このように、動力電池パック10の幅方向Bに、追
加の別の単電池100を収容することができない。
【0035】
換言すれば、パック本体200は、動力電池パック10の幅方向Bに、1つの単電池1
00のみを収容する。すなわち、動力電池パック10の幅方向Bに、単電池100は、2
つ又は2つ以上の数で配置することができない。
【0036】
理解できるように、動力電池パック10の幅方向Bに、パック本体200の両側は、サ
イドビームであり、動力電池パック10の長手方向Aに、パック本体200の両端は、エ
ンドビームである。
【0037】
本願のいくつかの具体例において、図3及び図4に示すように、単電池100の長さは
、動力電池パック10の幅方向B全体にわたって延び、すなわち動力電池パック10の幅
方向Bに沿って、単電池100は、パック本体200の一側から他側まで延び、単電池1
00の長さは、動力電池パック10の幅方向Bに充填され、パック本体200は、動力電
池パック10の幅方向Bにおいて2つ又は2つ以上の単電池100を配置することができ
ず、単電池100の長手方向の両端は、パック本体200の幅方向Bに対向する両側壁に
嵌合し、例えば、パック本体200に固定することができる。これにより、パック本体2
00の内部にクロスビーム及びサイドビームを必要とせず、直接的に、接続された単電池
100により補強リブの役割を担い、パック本体200の構造を大幅に簡略化し、かつ補
強リブの占有する空間及び単電池100の取付構造の占有する空間を減少させることによ
り、空間利用率を向上させて、航続能力を向上させる。
【0038】
当然のことながら、本願の実施例は、クロスビーム及びサイドビームを設けないことに
限定されず、本願のいくつかの実施例において、図13に示すように、パック本体200
内にクロスビーム500を設けることができ、クロスビーム500は、動力電池パック1
0の幅方向Bに沿って延び、複数の単電池100は、動力電池パック10の長手方向Aに
沿って配列されて電池アレイを形成し、クロスビーム500は、上記電池アレイを動力電
池パック10の長手方向Aに沿って少なくとも二分割し、上記電池アレイの各部分は、少
なくとも1つの単電池100を含み、かつ1つの電池モジュール400を構成する。
【0039】
当然のことながら、本願の他のいくつかの実施例において、図12に示すように、パッ
ク本体200内にサイドビーム600が設けられてもよく、サイドビーム600は、動力
電池パック10の長手方向Aに沿って延び、単電池100は、長手方向が動力電池パック
10の幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100は、動力電池パック10の長
手方向Aに沿って配列されて電池アレイを形成し、上記パック本体200内に動力電池パ
ック10の幅方向Bに沿って少なくとも2列の電池アレイが配置され、各列の電池アレイ
は、動力電池パック10の長手方向Aに沿って配列された複数の動力単電池100を含み
、サイドビーム600は、隣接する2列の電池アレイの間に位置する。
【0040】
また、ここでクロスビーム及びサイドビームは、防護仕切り板、断熱綿等の他の構造部
材に置き換えることができ、本願において、限定されず、すなわち、本願において、電池
パック中の電池アレイは、一体であってもよく、クロスビーム及び/又はサイドビーム、
又は他のスペーサにより複数のサブ電池アレイに分割されてもよく、例えば、1つ、2つ
、3つ又は4つのサブ電池アレイに分割されてもよい。
【0041】
本願のいくつかの具体例において、パック本体200は、動力電池パック10の幅方向
Bの両側に位置するサイドビームを含み、単電池100の長手方向の両端は、上記サイド
ビームに支持され、パック本体200は、動力電池パック10の長手方向Aの両端に位置
するエンドビームを含み、上記エンドビームは、それに隣接する単電池100に対して内
向きの押圧力を提供する。
【0042】
図3及び図4に示すように、パック本体200は、第1のサイドビーム201、第2の
サイドビーム202、第1のエンドビーム203及び第2のエンドビーム204を有し、
第1のサイドビーム201、第2のサイドビーム202、第1のエンドビーム203、第
2のエンドビーム204は、順に首尾接続され、第1のサイドビーム201と第2のサイ
ドビーム202は、動力電池パック10の幅方向Bに対向し、第1のエンドビーム203
と第2のエンドビーム204は、動力電池パック10の長手方向Aに対向する。第1のサ
イドビーム201及び第2のサイドビーム202は、単電池100の長手方向の両端に支
持力を提供し、すなわち、単電池100の一端が第1のサイドビーム201に支持され、
かつ他端が第2のサイドビーム202に支持される。第1のエンドビーム203及び第2
のエンドビーム204は、単電池100の厚さ方向の両側に押圧力を提供し、すなわち、
第1のエンドビーム203は、第1のエンドビーム203に隣接して設けられた単電池1
00に第2のエンドビーム204に向かう作用力を印加し、第2のエンドビーム204は
、第2のエンドビーム204に隣接して設けられた単電池100に第1のエンドビーム2
03に向かう作用力を印加し、このように、複数の単電池100は、動力電池パック10
の長手方向Aに沿って第1のエンドビーム203と第2のエンドビーム204との間に緊
密に配列され、かつ互いに貼り合わせることができる。また、第1のエンドビーム203
及び第2のエンドビーム204は、動力電池パック10の長手方向Aに複数の単電池10
0を位置規制することができ、特に、単電池100が僅かに膨張すると、単電池100に
対して緩衝し内向きの圧力を提供するという作用を果たし、単電池100の膨張量及び変
形量が大きすぎることを防止することができる。
【0043】
本願のいくつかの具体例において、図7に示すように、単電池100は、長手方向が動
力電池パック10の幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100は、動力電池パ
ック10の長手方向Aに沿って配列されて電池アレイを形成し、パック本体200内に動
力電池パック10の高さ方向Cに沿って少なくとも2層の電池アレイを含む。これにより
、単電池100の数を最適化することにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度を
向上させ、かつBIC、低電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。
【0044】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図15及び図16に示すように、単電池1
00は、長手方向が動力電池パック10の長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電
池100は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列されることにより、動力電池パ
ック10の空間利用率を55%、60%、62%、65%又はそれ以上に設定することに
役立つ。
【0045】
本願のいくつかの具体例において、図15及び図16に示すように、動力電池パック1
0の長手方向Aに、単電池100とパック本体200の端壁との間の距離は、単電池10
0の長さより小さい。具体的には、動力電池パック10の長手方向Aに、単電池100の
一端とそれ(単電池100の上記一端)に隣接するパック本体200のエンドビームとの
間の最近接距離は、L3であり、単電池100の他端とそれ(単電池100の上記他端)
に隣接するパック本体200のエンドビームとの間の最近接距離は、L4であり、単電池
100の長さL0は、L3+L4<L0を満たす。このように、動力電池パック10の長
手方向Aに、追加の別の単電池100を収容することができない。
【0046】
換言すれば、パック本体200は、動力電池パック10の長手方向Aに、1つの単電池
100のみを収容する。すなわち、動力電池パック10の長手方向Aに、単電池100は
、2つ又は2つ以上の数で配置することができない。
【0047】
理解できるように、動力電池パック10の幅方向Bに、パック本体200の両側は、サ
イドビームであり、動力電池パック10の長手方向Aに、パック本体200の両端は、エ
ンドビームである。
【0048】
本願のいくつかの具体例において、図15及び図16に示すように、単電池100の長
さは、動力電池パック10の長手方向A全体にわたって延び、すなわち動力電池パック1
0の長手方向Aに沿って、単電池100は、パック本体200の一端から他端まで延び、
単電池100の長さは、動力電池パック10の長手方向Aに充填され、パック本体200
は、動力電池パック10の長手方向Aにおいて2つ又は2つ以上の単電池100を配置す
ることができず、単電池100の長手方向の両端は、パック本体200の長手方向Aに対
向する両端壁に嵌合し、例えば、パック本体200に固定することができる。これにより
、パック本体200の内部にクロスビーム及びサイドビームを必要とせず、直接的に、接
続された単電池100により補強リブの役割を担い、パック本体200の構造を大幅に簡
略化し、かつ補強リブの占有する空間及び単電池100の取付構造の占有する空間を減少
させることにより、空間利用率を向上させて、航続能力を向上させる。
【0049】
当然のことながら、本願の実施例は、サイドビーム及びクロスビームを設けないことに
限定されず、本願のいくつかの実施例において、図15に示すように、パック本体200
内にサイドビーム600を設けることができ、サイドビーム600は。動力電池パック1
0の長手方向Aに沿って延び、複数の単電池100は、動力電池パック10の幅方向Bに
沿って配列されて電池アレイを形成し、サイドビーム600は、上記電池アレイを動力電
池パック10の幅方向Bに沿って少なくとも二分割し、上記電池アレイの各部分は、少な
くとも1つの単電池100を含み、かつ1つの電池モジュール400を構成する。
【0050】
当然のことながら、本願の他のいくつかの実施例において、パック本体200内にクロ
スビーム500が設けられてもよく、クロスビーム500は、動力電池パック10の幅方
向Bに沿って延び、単電池100は、長手方向が動力電池パック10の長手方向Aに沿う
ように配置され、複数の単電池100は、動力電池パック10の幅方向Bに沿って配列さ
れて電池アレイを形成し、パック本体200内に動力電池パック10の長手方向Aに沿っ
て少なくとも2列の電池アレイが配置され、各列の電池アレイは、動力電池パック10の
幅方向Bに沿って配列された複数の単電池100を含み、クロスビーム500は、隣接す
る2列の電池アレイの間に位置する。
【0051】
また、ここでクロスビーム及びサイドビームは、防護仕切り板、断熱綿等の他の構造部
材に置き換えることができ、本願において、限定されず、すなわち、本願において、電池
パック中の電池アレイは、一体であってもよく、クロスビーム及び/又はサイドビーム、
又は他のスペーサにより複数のサブ電池アレイに分割されてもよく、例えば、1つ、2つ
、3つ又は4つのサブ電池アレイに分割されてもよい。本願のいくつかの具体例において
、パック本体200は、動力電池パック10の長手方向Aの両端に位置するエンドビーム
を含み、単電池100の長手方向の両端は、上記エンドビームに支持され、パック本体2
00は、動力電池パック10の幅方向Bの両側に位置するサイドビームを含み、上記サイ
ドビームは、それに隣接する単電池100に対して内向きの押圧力を提供する。
【0052】
図16に示すように、パック本体200は、第1のサイドビーム201、第2のサイド
ビーム202、第1のエンドビーム203及び第2のエンドビーム204を有し、第1の
サイドビーム201、第2のサイドビーム202、第1のエンドビーム203、第2のエ
ンドビーム204は、順に首尾接続され、第1のサイドビーム201と第2のサイドビー
ム202は、動力電池パック10の幅方向Bに対向し、第1のエンドビーム203と第2
のエンドビーム204は、動力電池パック10の長手方向Aに対向する。第1のエンドビ
ーム203及び第2のエンドビーム204は、単電池100の長手方向の両端に支持力を
提供し、すなわち、単電池100の一端が第1のエンドビーム203に支持され、かつ他
端が第2のエンドビーム204に支持される。第1のサイドビーム201及び第2のサイ
ドビーム202は、単電池100の厚さ方向の両側に押圧力を提供し、すなわち、第1の
サイドビーム201は、第1のサイドビーム201に隣接して設けられた単電池100に
第2のサイドビーム202に向かう作用力を印加し、第2のサイドビーム202は、第2
のサイドビーム202に隣接して設けられた単電池100に第1のサイドビーム201に
向かう作用力を印加し、このように、複数の単電池100は、動力電池パック10の幅方
向Bに沿って第1のサイドビーム201と第2のサイドビーム202との間に緊密に配列
され、かつ互いに貼り合わせることができる。また、第1のサイドビーム201及び第2
のサイドビーム202は、動力電池パック10の幅方向Bにおいて複数の単電池100を
位置規制することができ、特に、単電池100が僅かに膨張すると、単電池100に対し
て緩衝し内向きの圧力を提供するという役割を果たし、単電池100の膨張量及び変形量
が大きすぎることを防止することができる。
【0053】
本願のいくつかの具体例において、図15に示すように、単電池100は、長手方向が
動力電池パック10の長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電池100は、動力電
池パック10の幅方向Bに沿って配列されて電池アレイを形成し、パック本体200内に
動力電池パック10の高さ方向Cに沿って少なくとも1層の電池アレイを含む。これによ
り、単電池100の数を最適化することにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度
を向上させ、かつBIC、低電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。
【0054】
本願のいくつかの具体的な実施例において、複数の単電池100は、複数の電池モジュ
ール400に組み立てることができ、複数の電池モジュール400は、動力電池パック1
0の長手方向Aに沿って配列されてもよく(図6に示す)、動力電池パック10の幅方向
Bに沿って配列されてもよく(図15に示す)、動力電池パック10の高さ方向Cに沿っ
て配列されて多層構造を形成してもよく(図7に示す)、換言すれば、単電池100が動
力電池パック10の幅方向Bに沿って延びるか又は長手方向Aに沿って延びるかにかかわ
らず、複数の単電池100は、いずれも動力電池パック10の高さ方向Cに沿って多層に
配列することができる。当然のことながら、複数の電池モジュール400は、動力電池パ
ック10の長手方向A及び高さ方向Cに沿って同時に配列されてもよく、動力電池パック
10の幅方向B及び高さ方向Cに沿って同時に配列されてもよい。これにより、電池モジ
ュール400の数が最適化されることにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度を
向上させ、かつBIC、低電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。理解すべきことは、
本願の実施例における電池モジュール400に端板及び側板等の構造が設けられないこと
である。
【0055】
従来技術において、単電池の寸法が小さく、長さが短く、単電池の対向する両端が、パ
ック本体200’’内の対向して設けられた2つの側壁に嵌合することができないため、
パック本体200’’内にサイドビーム600’及び/又はクロスビーム500’(図1
に示す)を設ける必要があり、このように、単電池の組立が容易になる。単電池を電池モ
ジュール400’の形態でパック本体200’’内に取り付けた後、動力電池パック10
’の幅方向に沿って複数の単電池が存在し、すなわち、単電池は、対向して設けられた2
つの側壁の間に延びず、対向して設けられた2つのサイドビーム600’又はクロスビー
ム500’の間に延び、電池モジュールは、締結具により隣接するサイドビーム600’
及び/又はクロスビーム500’に固定される。
【0056】
従来技術におけるパック本体200’’内にサイドビーム600’及び/又はクロスビ
ーム500’が設けられ、サイドビーム600’及び/又はクロスビーム500’が、パ
ック本体200’’内の、単電池を収容するための取付空間を多く占めるため、パック本
体200’’の空間利用率が低く、一般的に、単電池の体積の和とパック本体200’’
の体積との比が約40%であり、さらにそれ以上低く、すなわち、従来技術におけるパッ
ク本体200’’内に、単電池を取り付けるための空間が40%程度のみであるため、パ
ック本体200’’に収容可能な単電池の数が限られ、動力電池パック10’全体の容量
、電圧が制限され、動力電池パック10’の航続能力が低い。
【0057】
本願の実施例に係る単電池は、電池本体を含み、上記電池本体は、長さL、幅H及び厚
さDを有し、上記電池本体の長さLは、幅Hより大きく、上記電池本体の幅Hは、厚さD
より大きく、上記電池本体の長さLは、>600mmであり、上記電池本体の長さLと幅
Hは、L/H=4~21を満たし、本願のいくつかの実施例において、上記電池本体の長
さLと幅Hは、L/H=9~13を満たす。上記寸法要件を満たす上記単電池を動力電池
パック10内に配置すると、パック本体200内のサイドビーム及び/又はクロスビーム
の使用を低減し、さらにパック本体200内にサイドビーム及び/又はクロスビームを設
置しなくてもよく、このように、サイドビーム及び/又はクロスビームがパック本体20
0内に占める空間を減少させ、パック本体200の空間利用率を向上させる一方、電池モ
ジュール400内の端板及び側板の使用を低減し、端板及び側板がパック本体200に占
める空間を減少させ、パック本体200の空間利用率を向上させることができる。多くの
単電池100をパック本体200内にできるだけ配置することにより、動力電池パック全
体の容量、電圧及び航続能力を向上させる。
【0058】
また、パック本体200内にサイドビーム及び/又はクロスビームを配置する必要がな
いため、パック本体200の製造プロセスを簡略化し、単電池100の組立の複雑度を低
減し、生産コストを低減する一方、パック本体200及び動力電池パック10全体の重量
を軽減し、動力電池パック10の軽量化を実現する。特に、動力電池パック10が電気自
動車に取り付けられる場合、電気自動車の航続能力を向上させ、電気自動車の軽量化を実
現することもできる。
【0059】
また、単電池100自体は、パック本体200の構造強度を補強するために用いられ、
すなわち、パック本体200内にその構造強度を補強する補強構造をさらに設ける必要が
なく、補強構造に代えて単電池100自体でパック本体200の構造強度を確保し、パッ
ク本体200が外力の作用下で変形しにくいことを確保することができる。中国特許文献
CN107925028Aに開示された組電池に比べて、パック本体200は、単電池1
00を収容し保護する作用を果たすだけでなく、単電池100を支持し、動力電池パック
10全体の耐荷重能力を向上させることができ、単電池100の長さは、動力電池パック
10の強度に補強作用を果たす。
【0060】
本願のいくつかの実施例において、上記電池本体の長さLと厚さDは、L/D=23~
208を満たし、電池内の寸法の比を拡大することにより、単一の単電池100の表面積
が増加して、単電池100の放熱面積を増大させ、単電池100の放熱速度を向上させ、
さらに動力電池パック10全体の安全性を向上させることができ、動力電池パック10が
より安全で確実になる。本願のいくつかの実施例において、上記電池本体の長さLと厚さ
Dは、L/D=50~120を満たす。
【0061】
本願のいくつかの具体例において、単電池100は、電池本体110(タブなどの小さ
な寸法の突出構造を除いた本体部分として理解できる)を含み、電池本体110の体積V
と電池本体110のエネルギーEは、V/E≦2000mm・Wh-1を満たす。これ
により、十分な放熱面積を保証して放熱効果を保証するだけでなく、単電池100の体積
比を低下させることができ、複数の単電池100の動力電池パック10での配置のコンパ
クト化に役立つ。
【0062】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図9及び図10に示すように、上記パック
本体200は、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池のケースと異
なり、特に寸法及び荷重支持の態様において、パック本体200は、車両本体/車体と係
合する、単電池100を収容し担持する構造を形成するように、車体と係合して接続され
た車両用トレイ210を含んでよく、該車両用トレイ210は、独立して製造される、単
電池100を収容し取り付けるトレイである。単電池100を車両用トレイ210内に取
り付けた後、該車両用トレイ210を締結具により車体に取り付けることができ、例えば
、電気自動車のシャーシに吊り下げて、収容及び荷重支持の作用を果たす。
【0063】
動力電池パック10を、車両に使用されて電気エネルギーを供給する動力電池パックと
して使用する場合、単電池100の長手方向を車体の長手方向、すなわち、車両の前後方
向に沿うように配置することができ、この場合で、単電池100の電池本体110の長さ
Lは、600mm~2500mmであってもよく、いくつかの実施例において、単電池1
00の長さが車両の幅に合わせるように、Lは、600mm~1500mmであってもよ
い。動力電池パック10を、車両に使用されて電気エネルギーを供給する動力電池パック
として使用する場合、単電池100の長手方向を車体の幅方向、すなわち、車両の左右方
向に沿うように配置することができ、この場合で、単電池100の長さが車両の幅に合わ
せるように、単電池100の電池本体110の長さLは、600mm~2500mmであ
ってもよい。
【0064】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図8に示すように、パック本体200は、
電気自動車に直接形成されてもよく、すなわち、パック本体200は、電気自動車の任意
の適切な位置に形成され、単電池100を取り付ける装置である。例えば、パック本体2
00は、電気自動車のシャーシに形成されてよい。
【0065】
本願のいくつかの具体的な実施例において、動力電池パック10が電気自動車に配置さ
れる場合、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池と異なり、動力電
池パック10は、電池管理システム(BMS)、電池コネクタ、電池サンプラー及び電池
熱管理システムのうちの少なくとも1つなどの車両用電池に必要な部材を含み、動力電池
パック10は、幅方向Bが車体の幅方向、即ち車両の左右方向に沿うとともに長手方向が
車体の長手方向、即ち車両の前後方向に沿うように配置される。当然のことながら、本願
は、これに限定されず、動力電池パック10を、幅方向Bが車体の長手方向に沿うととも
に長手方向Aが車体の幅方向に沿うように配置してよい。
【0066】
当業者であれば理解できるように、単電池100の動力電池パック10内での方向配置
及び動力電池パック10の電気自動車での方向配置は、異なる形式で組み合わせることが
でき、例えば、単電池100は、長手方向が動力電池パック10の幅方向Bに沿うように
配置されてもよく、長手方向が動力電池パック10の長手方向Aに沿うように配置されて
もよく、動力電池パック10は、幅方向Bが車体の幅方向に沿うように配置されてもよく
、幅方向Bが車体の長手方向に沿うように配置されてもよく、さらに、例えば、動力電池
パック10は、幅方向Bが車体の幅方向に沿うように配置されるか又は車体の長手方向に
沿うように配置されるにかかわらず、単電池100は、長手方向が車体の幅方向に沿うよ
うに配置される。単電池100、動力電池パック10及び車体の相対的な配置方向は、実
際の応用に応じて設定することにより、異なる要求を満たすことができる。
【0067】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る単電池100を説明する。
【0068】
以下の具体的な実施例において、長さL、幅H及び厚さDの単位は、いずれもミリメー
トル(mm)であり、表面積Sの単位は、平方ミリメートル(mm)であり、体積Vの
単位は、立方ミリメートル(mm)であり、エネルギーEの単位は、ワット時(Wh)
である。
【0069】
図5に示すように、本願の実施例に係る単電池100は、電池本体110を含み、電池
本体110は、タブなどの小さな寸法の突出構造を除いた本体部分として理解できる。電
池本体110は、長さL、幅H及び厚さDを有する。
【0070】
電池本体110の長さLは、電池本体110の幅Hより大きく、電池本体110の幅H
は、電池本体110の厚さDより大きく、電池本体の長さLは、>600mmであり、電
池本体110の長さLと電池本体110の幅Hは、L/H=4~21を満たし、本願のい
くつかの実施例において、電池本体110の長さLと電池本体110の幅Hは、L/H=
9~13を満たす。
【0071】
本願の実施例に係る単電池100は、電池本体110の長さLと幅Hとの比を設計する
ことにより、一定の体積で電池本体110を合理的に扁平化することができ、動力電池パ
ック内での全体的な配列に役立つ(例えば、本願の上記実施例に係る動力電池パック10
の配列を実現する)ことにより、動力電池パックの空間利用率を向上させ、動力電池パッ
クのエネルギー密度を向上させて、動力電池パックの航続能力を向上させる一方、単電池
100が十分に大きな放熱面積を有することを保証し、内部の熱量をタイムリーに外部に
伝導して、熱量が内部に集まることを防止することにより、高いエネルギー密度に適合し
、航続能力の向上をサポートすることができる。
【0072】
本願のいくつかの実施例において、単電池100の動力電池パック内での配列を最適化
し、かつ単電池100の放熱能力を向上させるために、電池本体110の長さLと厚さD
は、L/D=23~208を満たす。
【0073】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図5に示すように、電池本体110は、一
定の構造強度を有するように、外面が平滑な直方体形状に構成され、例えば、電池用電極
体を角形電池ケース内に入れ、蓋板で電池ケースの開口部分を密封し、電解液を注入する
。アルミプラスチック複合膜の電池と比較して、本願の実施例に係る単電池100は、熱
伝導性能が高く、従来の電池熱管理構造と組み合わせて、大きな寸法の構造による放熱問
題を効果的に回避することができる。円柱状電池と比較して、空間利用率がより高く、製
造組立プロセスがより簡単である。
【0074】
本願の実施例に係る単電池100が動力電池パック10のパック本体200内に配置さ
れる場合、電池本体110は、長手方向及び厚さ方向が水平方向に沿って延び、幅方向が
垂直方向に沿って延びることができ、即ち、単電池100が縦に立てて配置され、該水平
方向及び垂直方向は、いずれも動力電池パック10を使用する場合(例えば、電気自動車
に適用する場合)の方向を基準とする。
【0075】
本願のいくつかの具体例において、単電池100の動力電池パック10内での配列を最
適化して、エネルギー密度を向上させ、航続能力を向上させ、パック本体200の限られ
た空間内に、電池本体110の配列をよりコンパクトにし、エネルギーをより集中させる
ために、単電池100の他のパラメータを設計する。
【0076】
本願のいくつかの実施例によれば、電池本体110の長さLと電池本体110の体積V
は、L/V=0.0005mm-2~0.002mm-2を満たし、本願のいくつかの実
施例において、電池本体110の幅Hと電池本体110の体積Vは、H/V=0.000
1mm-2~0.00015mm-2を満たし、本願のいくつかの実施例において、電池
本体110の厚さDと電池本体110の体積Vは、D/V=0.0000065mm-2
~0.00002mm-2を満たす。これにより、一定の体積の電池本体110に対して
、長さL、幅H及び厚さDのうちの各項と体積Vとの比を設計することにより、単位数量
のエネルギーの空間での分布を最適化し、このように、パック本体200内での配置に役
立つ。
【0077】
本願のいくつかの実施例において、電池本体110の長さLと電池本体110の表面積
Sは、L/S=0.002mm-1~0.005mm-1を満たし、電池本体110の長
さLと電池本体110のエネルギーEは、L/E=0.8mm・Wh-1~2.45mm
・Wh-1を満たし、本願のいくつかの実施例において、電池本体110の長さLと電池
本体110のエネルギーEは、L/E=1.65mm・Wh-1~2.45mm・Wh
を満たす。これにより、単電池100がその長手方向においてパック本体200の対向
する両辺を横断することに役立ち、このように、動力電池パック10の航続能力を向上さ
せ、かつ単電池100の構造強度及び放熱効果を両立させる。
【0078】
本願のいくつかの他の例において、電池本体110の表面積Sと電池本体110の体積
Vは、S/V=0.1mm-1~0.35mm-1を満たす。これにより、十分な放熱面
積を保証して放熱効果を保証するだけでなく、単電池100の体積比を低下させることが
でき、複数の単電池100の動力電池パック10での配置のコンパクト化に役立つ。
【0079】
電池本体110の表面積Sと電池本体110のエネルギーEは、S/E≦1000mm
・Wh-1を満たす。このように、単電池100の表面の放熱が十分であり、特に動力
電池が三元又は高ニッケル三元正極材料を採用する場合、電池内部の熱量をタイムリーに
伝導することを保証することができ、電池の安全性に役立つ。また、本願の実施例におけ
る単電池100は、外面が平滑な角形電池であり、一定の構造強度を有し、金属熱伝導性
が良好であり、波形により表面積を増加させる電池と比較して、プロセス及び後期の組立
の難度が小さい。
【0080】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図5に示すように、単電池100はさらに
、第1のタブ101及び第2のタブ102を含む。
【0081】
第1のタブ101は、電池本体110の長手方向の一端に設けられ、第2のタブ102
は、電池本体110の長手方向の他端に設けられる。換言すれば、単電池100の長手方
向は、単電池100の内部の電流方向であってよく、すなわち、単電池100の内部の電
流方向は、矢印Bにより示すとおりである。このように、電流方向が単電池100の長手
方向と同じであるため、単電池100の有効放熱面積がより大きく、放熱効率がより高い
。ここで、第1のタブ101は、単電池100の正極タブであり、第2のタブ102は、
単電池100の負極タブであってよく、或いは、第1のタブ101は、単電池100の負
極タブであり、第2のタブ102は、単電池100の正極タブである。
【0082】
本願のいくつかの具体例において、図5に示すように、単電池100は、防爆弁103
をさらに含む。
【0083】
防爆弁103は、電池本体110の長手方向での少なくとも1端に設けられる。単電池
100が故障して膨張すると、その内部は、防爆弁103内の反転シートを突き破るのに
十分な気圧を有することにより、単電池100を短絡させ、単電池100の安全を保証し
、単電池100が爆発することを防止することができる。
【0084】
当業者であれば理解できるように、防爆弁103を設けることは、アルミニウムケース
電池だけでなく、パウチ電池にも適用することができ、また、防爆弁103は、電池本体
100の端部以外の他の位置に設けられてよい。
【0085】
本願のいくつかの具体的な実施例において、単電池がパウチ電池である場合、電池本体
の長さLと幅Hは、L/H=7~20を満たす。
【0086】
本願のいくつかの具体的な実施例において、電池本体110の長手方向での両端に防爆
弁103がぞれぞれ設けられる。
【0087】
例えば、図2図5及び図11に示すように、単電池100の第1のサイドビーム20
1に向かう第1の端に防爆弁103が設けられ、第1のサイドビーム201の内部に排気
通路222が設けられ、第1のサイドビーム201の各単電池100の防爆弁103に対
応する位置のそれぞれに吸気口221が設けられ、吸気口221が排気通路222に連通
し、パック本体200に排気通路222に連通する排気孔が設けられ、及び/又は単電池
100の第2のサイドビーム202に向かう第2の端に防爆弁103が設けられ、第2の
サイドビーム202の内部に排気通路222が設けられ、第2のサイドビーム202の各
単電池100の防爆弁103に対応する位置のそれぞれに吸気口221が設けられ、吸気
口221が排気通路222に連通し、パック本体200に排気通路222に連通する排気
孔が設けられる。
【0088】
従来技術において、単電池の使用過程において、その内部の気圧がある程度まで上昇す
れば、防爆弁が開き、単電池の内部の火炎、煙又はガスが防爆弁を通って排出され、動力
電池パックの内部に集まり、タイムリーに排出できなければ、単電池に対して二次的な損
傷を与える。本願の実施例において、第1のサイドビーム201及び/又は第2のサイド
ビーム202に、単電池100の防爆弁103に対応する吸気口221が設けられ、かつ
第1のサイドビーム201及び/又は第2のサイドビーム202の内部に排気通路222
が設けられるため、単電池100の内部の気圧が上昇すると、その防爆弁103が開き、
その内部の火炎、煙又はガスなどが直接的に吸気口221を通って第1のサイドビーム2
01及び/又は第2のサイドビーム202内の排気通路222に入り、かつ排気孔を通っ
て第1のサイドビーム201及び又は第2のサイドビーム202から排出され、例えば、
排気孔を通って大気中に排出され、このように、該火炎、煙又はガスがパック本体200
の内部に集まらず、該火炎、煙又はガスが単電池100に対して二次的なダメージを与え
ることを回避する。
【0089】
また、複数の単電池100における各単電池100は、一端が第1のサイドビーム20
1内の排気通路222により排気し、他端が第2のサイドビーム202内の排気通路22
2により排気し、このように、単電池100の両端は、異なる通路により排気し、排気距
離を増加させ、交互排気を形成することにより、温度を低下させることができる。
【0090】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る電気自動車1を説明し、該電気自動車は、
動力電池パックを使用して電気エネルギーを提供することにより、走行を駆動する必要が
ある商用車、特種車、電動自転車、電動バイク、電動スクーターなどの電気自動車を含ん
でよい。
【0091】
図9及び図10に示すように、本願の実施例に係る電気自動車1は、本願の上記実施例
に係る動力電池パック10を含み、パック本体200は、電気自動車に一体成形されても
よく、独立して製造される、単電池100を収容し取り付ける車両用トレイであってもよ
い。
【0092】
本願の実施例に係る電気自動車1は、本願の上記実施例に係る動力電池パック10を利
用することにより、電池の占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができ
る。
【0093】
本願のいくつかの具体的な実施例において、図9及び図10に示すように、動力電池パ
ック10は、電気自動車1の底部に設けられ、パック本体200は、電気自動車1のシャ
ーシに固定接続される。電気自動車1のシャーシでの取付空間が大きいため、動力電池パ
ック10を電気自動車1のシャーシに設けることにより、単電池100の数をできるだけ
増加させて、電気自動車1の航続能力を向上させることができる。
【0094】
本願のいくつかの具体例において、図9及び図10に示すように、電気自動車1は、電
気自動車1の底部に設けられた1つの動力電池パック10を含み、パック本体200は、
電気自動車1のシャーシに固定接続され、動力電池パック10は、幅方向が電気自動車1
の車体の幅方向、即ち電気自動車1の左右方向に沿うとともに長手方向が電気自動車1の
車体の長手方向、即ち電気自動車1の前後方向に沿うように配置される。他の実施例にお
いて、電気自動車1は、電気自動車1の底部に設けられた複数の動力電池パック10を含
んでよく、該複数の電池パック10の形状及び寸法は、同じであっても異なってもよく、
各動力電池パック10は、電気自動車1のシャーシの形状及び寸法に応じて調整でき、複
数の動力電池パック10は、車体の長手方向、即ち前後方向に沿って配列される。
【0095】
本願のいくつかの具体例において、パック本体200の幅Fと車体の幅Wとの比は、5
0%≦F/W≦80%を満たす。本願の別のいくつかの実施例において、上記動力電池パ
ックの幅方向での上記電池本体の長さLと車体の幅Wは、46%≦L/W≦76%を満た
す。上記実施例において、車体の幅方向に沿って1つのパック本体200のみを設けるこ
とで実現することができ、パック本体200が複数である場合、複数のパック本体200
は、車体の長手方向に沿って配列される。一般的に、多くの車両にとって、車体の幅Wが
500mm~2000mmであり、例えば、500mm、600mm、1600mm、1
800mm、2000mmであり、本願のいくつかの実施例において、車体の幅Wが60
0mm~2000mmであり、例えば、600mm、1600mm、1800mm、20
00mmである。本願において、車体の長さが500mm~5000mmである、乗用車
にとって、乗用車の幅が一般的に500mm~1800mmであり、本願のいくつかの実
施例において、乗用車の幅が600mm~1800mmであってもよく、本願において、
乗用車の車体の長さが500mm~4000mmである。
【0096】
本願のいくつかの他の実施例において、パック本体200の幅Fが500mm~150
0mmであり、本願のいくつかの実施例において、パック本体200の幅Fが600mm
~1500mmであり、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池のケ
ースよりはるかに大きく、CN107925028Aのような組電池の電池モジュール4
00を収容することに役立ち、航続能力を保証し、かつ車体の寸法に合わせる。
【0097】
本願のいくつかの具体例において、単電池100は、電池本体110を含み、電池本体
110の長さLと車体の幅Wとの比は、46%≦L/W≦76%を満たす。本実施例にお
いて、車体の幅方向に沿って1つの単電池100のみを設けることで実現することができ
る。他の可能な実施形態において、このような寸法要求を満たす場合、長手方向に複数の
電池モジュール400又は複数の単電池100を設けることで実現することができる。い
くつかの実施例において、電池本体110の長さLが600mm~1500mmである。
【0098】
以上より、従来技術に比較して、本願は、単電池の寸法を長く設計し、最大2500m
mとすることができ、該単電池を電池パックに適用することにより、以下の技術的効果を
達成することができる。
【0099】
1.電池パックの体積利用率の顕著な向上と電池パックの体積エネルギー密度の向上:
現在、業界の体積利用率が40%程度であるが、本願の設計により、電池パックの内部全
体に電池を配置することができ、体積利用率が60%以上、更に80%に向上することが
でき、その体積エネルギー密度が20%以上向上する。同様な車両は、本願に係る電池及
び配置形態を採用すると、エネルギーが20%~30%向上することができ、車両の走行
可能な距離も20%~30%向上することができる。
【0100】
2.電池パックのコストの顕著な低減:単電池自体が機械的補強作用を担うことにより
、電池トレイの補強リブを省略するか又は減少させることができ、電池パックの製造プロ
セスが簡単であり、製造コストを低減し、また、本願に係る単電池の寸法が電池パックの
寸法に合わせ、単電池を電池パックに直接的に並んで配置することができ、従来技術のよ
うに、先に複数の単電池を、2つの端板と2つの側板で囲まれたモジュールフレーム内に
並んで配置し、次に電池モジュールを電池パックに組み立てる必要がなく、本願に係る単
電池の寸法が十分に長く、複数の単電池を電池パックに直接的に並んで配置することがで
き、電池モジュールを組み立てる端板、側板、及び電池モジュールを固定して取り付ける
ねじなどの大量の締結具を省略するか又は減少させ、単電池の組立プロセスがより簡単で
あり、大量の手間や物資などの製造コストを低減し、電気自動車の普及に一層有利である
【0101】
3.電池パックの安定性及び信頼性の向上:電池パックの組立プロセスが複雑になるほ
ど、不良品発生の確率が高くなり、電池パックが緩み、取付が強固にならない可能性も大
きくなり、電池パックの品質に悪影響を及ぼし、電池パックの安定性及び信頼性を低減す
る。本願に係る単電池を電池パックに組み立てると、組立プロセスがより簡単になるため
、電池パックの安定性及び信頼性を向上させ、電池パックの不良率を低下させる。
【0102】
4.電池パックの放熱安全性の顕著な向上:電池パックの昇温は、発熱と放熱が共に作
用する結果であり、同じ容量の前提で、単電池の発熱量が一定であり、本願は、単電池を
扁長にするように設計することにより、単電池の放熱効果がより高く、単電池の昇温が低
下し、電池パックの作動条件が一定である前提で、該単電池を採用して、電池パックの昇
温が低下するため、電池パックの安全性も大幅に向上する。
【0103】
上述した単電池が長いことによってもたらす顕著な技術的効果に基づいて、単電池の自
体に対する支持を実現するために、成形プロセス、構造設計などの面の改善により、ケー
スの支持強度を向上させるとともに、ケースのアスペクト比を所定の範囲内に制御するこ
とができる。また、集電経路の最適化などにより、単電池の内部抵抗を低下させることが
できる。また、注液プロセスの改善により、単電池の寸法が長いことによってもたらす、
注液時間が長くなるという問題を解決することもできる。
【0104】
本願の実施例に係る単電池100、動力電池パック10及び電気自動車1の他の構成及
び操作は、当業者にとって既知であるため、ここで詳細に説明しない。
【0105】
以下、比較例1、比較例2及び実施例1~3により本願を説明し、本願の実施例に係る
単電池100は、単電池の寸法パラメータなどを設計することにより、動力電池が放熱効
果の面で明らかに向上する。
【0106】
以下の実施例及び比較例における単電池は、リン酸鉄リチウム電池である。
【0107】
同じ条件で、比較例1及び実施例1~5における単電池に対して2Cの速度で急速充電
し、急速充電過程における単電池の温度上昇状況を測定する。以下の表において、各実施
例及び比較例における単電池の長さ、幅、厚さ、体積、表面積及びエネルギーのパラメー
タの選択を記録し、かつ具体的な温度上昇を記録する。
【0108】
表中のデータから分かるように、本願に係る単電池100(すなわち実施例1~5)は
、同等の条件の急速充電により、温度上昇が比較例と比較して異なる程度低下し、従来技
術よりも優れた放熱効果を有する。
【0109】
【表1】
【0110】
本明細書の説明において、用語「具体的な実施例」、「具体例」などを参照する説明は
、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の
少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語
の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。
【0111】
本願の実施例を例示し説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原則及び
主旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を
行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその等価範囲で限定される。
【符号の説明】
【0112】
従来技術において、
動力電池パック10’、パック本体200’’、電池モジュール400’、サイドビー
ム600’、クロスビーム500’
本願において、
電気自動車1、動力電池パック10、単電池100、電池本体110、パック本体20
0、トレイ210、上部カバー220、第1のサイドビーム201、第2のサイドビーム
202、第1のエンドビーム203、第2のエンドビーム204、排気通路222、吸気
口221、電池モジュール400、第1のタブ101、第2のタブ102、防爆弁103
、サイドビーム600、クロスビーム500、動力電池パック10の長手方向A、動力電
池パック10の幅方向B、電池動力パック10の高さ方向C、電池本体110の長さL、
電池本体110の幅H、電池本体110の厚さD、車体の幅W、パック本体200の幅F
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池本体を含み、前記電池本体が長さL、幅H及び厚さDを有し、前記電池本体の長さ
Lが幅Hより大きく、前記電池本体の幅Hが厚さDより大きく、
前記電池本体の長さLが
L>600mm
であり、前記電池本体の長さLと幅Hが、
L/H=4~21
を満たすことを特徴とする、単電池。
【外国語明細書】