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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116479
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】筋肉性能改善化合物
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20230815BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20230815BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 38/14 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20230815BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/18
C07K14/47
A61P21/00
A61P21/04
A61K38/14
A61K45/00
A61K47/55
A61K39/395 N
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023083666
(22)【出願日】2023-05-22
(62)【分割の表示】P 2019548783の分割
【原出願日】2017-11-28
(31)【優先権主張番号】1620119.6
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519191639
【氏名又は名称】ファーマフォックス セラピューティクス アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Pharmafox Therapeutics AG
【住所又は居所原語表記】Untere Fuchsrainstrasse 16,CH-4313 Moehlin,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】フリーブレード,ヤン ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ボイド,マリナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ブチェンコ,オレナ
(72)【発明者】
【氏名】シェリノ,ロベルタ
(57)【要約】
【課題】 少なくとも2つの成分を含む化合物であって、第一の成分は、ヒトアグリンのC末端からのnLG3ドメインであり、少なくとも1つの第二の成分は、ミオスタチンの存在下、ActR2B誘導性シグナル伝達活性を阻害するタンパク質またはアンタゴニスト抗体から選択され、これらの成分は、連結要素の手段によって連結されている、前記化合物。
【解決手段】 かかる化合物は、神経筋肉疾患および問題のための有効な処置である。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの成分を含む化合物であって、第一の成分は、ヒトアグリンのC末端からのnLG3ドメインであり、少なくとも1つの第二の成分は、ミオスタチンの存在下、ActR2B誘導性シグナル伝達活性を阻害するタンパク質またはアンタゴニスト抗体から選択され、これらの成分は、連結要素の手段によって連結されている、前記化合物。
【請求項2】
以下:
A-L-B
B-L-A
A-L-C-L-B
B-L-C-L-A
C-L-B-L-A
C-L-A-L-B
B-L-A-L-C
A-L-B-L-C
A-L-D
D-L-A
A-L-E
E-L-A
(式中、
Aは、アグリンnLG3ドメイン含有タンパク質を表し、
Bは、ActRIB、ActRIC、ActRIIA、ActR2Bレセプタータンパク質およびフォリスタチンの細胞外ドメインを表し、
Cは、「安定化」ドメインを表し、
Dは、ActRIB、ActRIC、ActRIIA、およびActR2Bレセプタータンパク質に対するActR2B媒介性シグナル伝達阻害mAbを表し、
Eは、TGF-ベータスーパーファミリーのメンバーに対するActR2B媒介性シグナル伝達阻害mAbを表し、
Lは、連結要素を表す)
の成分の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
組合せが、B-L-C-L-A、D-L-AおよびE-L-Aから選ばれる、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、(h)nLG3、ならびに、それに対して少なくとも75%、80%、85%、90%および95%同一であるタンパク質から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、配列番号10と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%同一および完全同一である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Bが、ActRIB、ActRIC、ActRIIA、ActR2Bおよびフォリスタチンからの細胞外ドメイン、ならびに、それに対して少なくとも75%、80%、85%、90%および95%同一であるタンパク質から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
Bが、配列番号12(AAC64515.1,GI:3769443)に規定されるとおりのヒトActR2Bレセプター、および、配列番号25に規定されるとおりのフォリスタチンから選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Cが、IGG1、IGG2、IGG3およびIGG4、ならびに、それに対して少なくとも75%、80%、85%、90%および95%同一である「Fc」ドメインから選択される「Fc」ドメインである、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
Cが、配列番号14に規定されるとおりの「Fc」ドメイン、ならびに、それに対して少なくとも75%、80%、85%、90%および95%同一であるタンパク質である、請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
Dが、ActRIB、ActRIC、ActRIIA、ActR2Bに対するシグナル伝達ブロックmAb、または、それに対して少なくとも75%、80%、85%、90%および95%同一であるmAbから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
Dが、ActRmAb(LC)(配列番号44)およびActRmAb(HC)(配列番号45)に規定されるとおりのmAb、ならびに、それに対して少なくとも75%、80%、85%、90%および95%同一であるmAbである、請求項6に記載の化合物。
【請求項12】
Eが、アクチビンB、アクチビンAB、インヒビンA、インヒビンB、GDF3、GDF1 1、ノーダル(Nodal)、BMP2、BMP4、BMP7、BMP9、およびBMP10のようなTGF-ベータスーパーファミリーに対するシグナル伝達ブロックmAb、ならびに、それに対して少なくとも75%、80%、85%、90%および95%同一であるものから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
連結要素が、ActR2Bの細胞外ドメインのC終端の約15アミノ酸の未構築の領域(「テール」)、および、相対的に二次構造がない、5および15、20、30、50またはそれ以上の間のアミノ酸の人工配列から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項14】
Eが、MyomAb(LC) 配列番号32およびMyomAb(HC) 配列番号31。に規定されるとおりのmAb、ならびに、それに対して少なくとも75%、80%、85%、90%および95%同一であるmAbである、請求項6に記載の化合物。
【請求項15】
配列番号22に規定されるとおりのActR-Fc-nLG3、配列番号23に規定されるとおりの(h)ActR-Fc-(h)nLG3、配列番号27に規定されるとおりのFol-Fc-nLG3、配列番号30に規定されるとおりの(h)nLG3に連結されるActRmAb(HC)(ActRmAb(HC)-(h)nLG3)、配列番号33に規定されるとおりのMyomAb((h)nLG3に連結されるHC)および(MyomAb(HC)-(h)nLG3)からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物の有効量を投与することを含む、筋肉性能を改善するための方法。
【請求項17】
薬学的に許容可能なキャリアと共に製剤化される、請求項1に記載の化合物を少なくとも1つ含む、医薬組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物の有効量を投与することを含む、筋肉機能の喪失を導く病理学的状態の処置の方法であって、病理学的状態は、以下の1以上である、前記方法:
- コルチゾール、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、または、プレドニゾロンのようなグルココルチコイドを用いる処置の結果としての筋委縮症、
- 神経外傷に起因する除神経の結果としての、あるいは、神経変性ニューロパチー、代謝性ニューロパチー、または炎症性ニューロパチーの結果としての筋委縮症(例としては、ギラン・バレー症候群、末梢ニューロパチー、または環境毒素もしくは薬物への暴露)、
- ミオトニア;ネマリンミオパチー、マルチ/ミニコアミオパチー、および筋細管(中心核)ミオパチーを含む、先天性ミオパチー;ミトコンドリアミオパチー;家族性周期性四肢麻痺;炎症性ミオパチー;グリコーゲンまたは脂質蓄積症によって引き起こされるような代謝性ミオパチー;皮膚筋炎;多発性筋炎;封入体筋炎;骨化性筋炎;横紋筋融解症およびミオグロビン尿症のようなミオパチーの結果としての筋委縮症、
- デュシェンヌ型、ベッカー型、筋緊張性、顔面肩甲上腕型、エメリ・ドレフュス型、眼咽頭型、肩甲上腕型、肢体型、福山型、先天性筋ジストロフィー、または遺伝性遠位型ミオパチーのような筋ジストロフィー症によって引き起こされるミオパチー、
- 骨粗しょう症、骨折、低身長、または低身長症のような筋骨格疾患、
- 成人運動ニューロン病(adult motor neuron disease)、乳児脊髄性筋萎縮症、筋委縮性側索硬化症、若年性脊髄性筋萎縮症、多巣性コンダクターブロックを有する自己免疫性運動ニューロパチー(autoimmune motor neuropathy with multifocal conductor block)、脳卒中または脊髄損傷に起因する麻痺、外傷に起因する骨格固定化(skeletal immobilization due to trauma)、長期臥床、自発的不活動(voluntary inactivity)、非自発的不活動(involuntary inactivity)、代謝ストレスまたは栄養欠乏、がん、AIDS、絶食、甲状腺障害、糖尿病、良性先天性筋緊張低下、セントラルコア疾患(central core disease)、やけど、慢性閉塞性肺疾患、肝疾患(線維症、肝硬変のような例)、敗血症、腎不全、うっ血性心不全、加齢、宇宙旅行または無重力環境で過ごした時間(time spent in a zero gravity environment)。
- 筋肉減少症、皮膚萎縮症、筋消耗、脳萎縮症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗しょう症、変形性関節症、免疫不適格(immunologic incompetence)、高血圧、痴ほう症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢黄斑変性、前立腺がん、脳卒中、平均寿命の減少、フレイル、記憶喪失、しわ、腎機能障害、および加齢に関連する難聴;2型糖尿病、メタボリックシンドローム、高血糖および肥満を含む代謝疾患のような、加齢に関連する状態。もちろん、患者は、これらの状態の1以上に、例としては筋肉減少症および肺気腫、または、筋肉減少症および腎機能障害に、同時に罹患していてもよい。
- 急性および/または慢性腎疾患または腎不全、肝臓線維症または肝硬変、乳癌のようながん、パーキンソン病;ALS、脳萎縮症、または痴ほう症および貧血のような神経細胞死に関連する状態のような病理学的状態。さらに、年齢、外傷または不活動の結果として罹患する喪失がある。
- 悪液質、とくに関節リウマチに関連する悪液質、およびがんに関連する悪液質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筋肉の機能に影響する病理学的障害または疾患を処置するための方法およびかかる処置における使用のための化合物に関する。方法は、病理学的障害を処置、予防、寛解、または診断するのに特に適している。
【0002】
筋肉は、生きている生物の運動の全てを担う収縮組織である。筋肉機能の喪失は、多かれ少なかれ、一定に有害である。筋肉機能の重要な構成は、強度、パワー、および耐久性である。筋肉強度は、筋肉または筋肉の群が、一般に外部負荷に対して、最大収縮する際に発揮できる、力の量である。筋肉強度は、単一の最大努力の間に耐性を克服するために、筋肉または筋肉群によって発揮され得る最大の測定可能な力として表される。筋肉パワーは、迅速に発生する力であり、強度および速度を組み合わせる。それは、性能作業の速度である。筋肉耐久性は、延長された様式で保持するか、または、耐性に対して反復して力を発揮する、筋肉または筋肉の群の能力である。
【0003】
これらの性能は、エクササイズマシーンのような試験レジームにおいて対象の通常のアセスメントによって評価され得る。最も重要なことは、筋肉耐久性の喪失である。例えば、6分間のウォーキング試験または「6MWT」(例としては、Bautmans et al (BMC Geriatr. 2004 Jul 23;4:6)を参照のこと)およびEnright (Respir Care. 2003 Aug;48(8):783-5)における改善は、筋肉の機能に影響する病理学的障害を処置することが意図された薬物の米国食品医薬品局のような規制当局による承認のための必須要件である。
【0004】
筋肉機能の喪失を導き得る多数の病理学的障害が存在する。本明細書で使用される場合、「病理学的障害」としては、これに限定されないが、神経筋疾患を含む。神経筋障害は、直接的に随意筋の病態であるか、または、間接的に神経または神経筋接合部の病態のいずれかである、筋肉の機能を損なう多数の疾患および病気を包含する非常に幅広い用語である。
【0005】
筋肉機能の喪失を導き得る1つの病理学的障害は、筋萎縮症である。コルチゾール、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、または、プレドニゾロンのようなグルココルチコイドを用いる処置の結果を含む、筋萎縮症の多数の原因が存在する。筋萎縮症はまた、神経外傷に起因する除神経の結果、または、変性、代謝性、または炎症性ニューロパチー(例としては、ギラン・バレー症候群、末梢ニューロパチー、または環境毒素もしくは薬物への暴露)の結果であり得る。
【0006】
さらに、筋萎縮症は、ミオトニア;ネマリンミオパチー、マルチ/ミニコアミオパチー、および筋細管(中心核)ミオパチーを含む、先天性ミオパチー;ミトコンドリアミオパチー;家族性周期性四肢麻痺;炎症性ミオパチー;グリコーゲンまたは脂質蓄積症によって引き起こされるような代謝性ミオパチー;皮膚筋炎;多発性筋炎;封入体筋炎;骨化性筋炎;横紋筋融解症およびミオグロビン尿症のようなミオパチーの結果であり得る。
【0007】
ミオパチーは、デュシェンヌ型、ベッカー型、筋緊張性、顔面肩甲上腕型、エメリ・ドレフュス型、眼咽頭型、肩甲上腕型、肢体型、福山型、先天性筋ジストロフィー、または遺伝性遠位型ミオパチーのような筋ジストロフィー症によって引き起こされてもよい。筋骨格疾患はまた、骨粗しょう症、骨折、低身長、または低身長症であり得る。
【0008】
筋肉機能の喪失を導き得る他の病理学的障害は、成人運動ニューロン病(adult motor neuron disease)、乳児脊髄性筋萎縮症、筋委縮性側索硬化症、若年性脊髄性筋萎縮症、多巣性コンダクターブロックを有する自己免疫性運動ニューロパチー(autoimmune motor neuropathy with multifocal conductor block)、脳卒中または脊髄損傷に起因する麻痺、外傷に起因する骨格固定化(skeletal immobilization due to trauma)、長期臥床、自発的不活動(voluntary inactivity)、非自発的不活動(involuntary inactivity)、代謝ストレスまたは栄養欠乏、がん、AIDS、絶食、甲状腺障害、糖尿病、良性先天性筋緊張低下、セントラルコア疾患(central core disease)、やけど、慢性閉塞性肺疾患、肝疾患(線維症、肝硬変のような例)、敗血症、腎不全、うっ血性心不全、加齢、宇宙旅行または無重力環境で過ごした時間(time spent in a zero gravity environment)である。
【0009】
処置されてもよい加齢に関連する状態の例としては、筋肉減少症、皮膚萎縮症、筋消耗、脳萎縮症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗しょう症、変形性関節症、免疫不適格(immunologic incompetence)、高血圧、痴ほう症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢黄斑変性、前立腺がん、脳卒中、平均寿命の減少、フレイル、記憶喪失、しわ、腎機能障害、および加齢に関連する難聴;2型糖尿病、メタボリックシンドローム、高血糖および肥満を含む代謝障害が含まれる。もちろん、患者は、これらの状態の1以上に、例としては筋肉減少症および肺気腫、または、筋肉減少症および腎機能障害に、同時に罹患していてもよい。
【0010】
本明細書中に記載される「病理学的状態」と考えられる他の状態としては、急性および/または慢性腎疾患または腎不全、肝臓線維症または肝硬変、乳癌のようながん、パーキンソン病;ALS、脳萎縮症、または痴ほう症および貧血のような神経細胞死に関連する状態が含まれる。さらに、年齢、外傷または不活動の結果として罹患する喪失がある。
【0011】
さらなる状態は、悪液質、関節リウマチに関連する悪液質、およびがんに関連する悪液質を含む。
【0012】
現在までのところ、これらの障害を処置するための、信頼できるかまたは有効な治療法はほとんど開発されてきていない。筋肉の問題の個々の側面が取り組まれている。例えば、筋肉質量の喪失のための処置の1つの可能性のある手段は、ミオスタチンの阻害である。ときどきGDF-8(増殖分化因子8)と称されるミオスタチンは、構造的に関連するシグナル伝達タンパク質のトランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-ベータ)スーパーファミリーに属する二量体の増殖および分化因子のファミリーの1つである。これらのタンパク質は、少なくとも2つのI型レセプターであるActRIB(ALK4)およびActRIC(ALK7)ならびに2つのII型レセプターであるActRIIA(ACVR2A)およびActR2B(ACVR2B)を含むレセプターセリンキナーゼのヘテロ二量体複合体を介してシグナル伝達する。これらのレセプターは全て、膜貫通タンパク質であり、システインリッチ領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および推定されるセリン/スレオニン特異性を有する細胞質ドメインから構成される。I型レセプターはシグナル伝達に必須であるが、II型レセプターは、I型レセプターのリガンドの結合のためおよび発現のために必要とされる。I型およびII型レセプターは、リガンド結合後に、安定な複合体を形成し、II型レセプターによるI型レセプターのリン酸化を生じる。
【0013】
アクチビンレセプターIIB(ActR2B)は、ミオスタチン(GDG8)についてのレセプターであるが、アクチビンB、アクチビンAB、インヒビンA、インヒビンB、GDF3、GDF1 1、ノーダル(Nodal)、BMP2、BMP4、BMP7、BMP9、およびBMP10のような、TGF-ベータスーパーファミリーの多数の他のメンバーは同様に、ActR2Bに結合し活性化する(例としては、Tsuchida et al (Endocrine journal 2008 55(1), 11-21を参照のこと)。ActR2Bとそのリガンドの相互作用をブロックすることにより、有益な生理学的影響を導き得る。ミオスタチンとこのレセプターとの間の相互作用は、Smad依存経路を介する骨格筋分化の阻害を調節する。(SMADは、ミオスタチンのように、トランスフォーミング増殖因子ベータリガンドから核への細胞外シグナルを伝達する細胞内タンパク質であり、これらは、核において下流の遺伝子転写を活性化する。)従って、ミオスタチンのActR2Bへの結合を阻害または予防することにより、骨格筋の形成を誘導し得る。
【0014】
種々のグループがこれを調査している。Bogdanovich et al (Nature, 2002, 420:418-421)には、抗ミオスタチン抗体が、ミオスタチンをブロックすることができ、デュシェンヌ型筋ジストトロフィーのマウスモデルにおいて筋肉質量の増加を生じたことが記載されている。Bradley et al (Cell Mol. Life. Sci. 2008, 65:2119-2124)では、上述の抗ミオスタチン抗体を含むミオスタチン/ActR2B相互作用を調節するための、ミオスタチンプロペプチドを投与することによって成熟ミオスタチンの放出を阻害するための、フォリスタチンを投与してミオスタチンレセプターをブロックするための、HDAC阻害剤を投与してフォリスタチン産生を誘導するための、ミオスタチンがレセプターと結合するのを妨げる変更されたミオスタチンペプチドを投与するための、および、ミオスタチンについての可溶性デコイレセプターを投与するための、異なる利用可能なアプローチについて考察されている。
【0015】
ミオスタチンは、筋肉繊維増殖および筋肉幹細胞増殖を阻害するように作用する。研究により、ミオスタチンを欠いているか、または、ミオスタチンの活性をブロックする物質で処理したかのいずれかの動物は、顕著により大きい筋肉質量を有することが示されている。さらに、ミオスタチン遺伝子の両方のコピーにおいて変異を有する個体は、筋肉質量が顕著に増加しており、そして、多数の場合において、正常より強力である。特定の場合において、N Engl J Med 2004; 350:2682-2688 (June 24, 2004)に記載されるように、異常に筋肉が発達して生まれた乳児は、ミオスタチンの欠乏を有することが分かっており、その生産を担う遺伝子における欠損に起因すると考えられる。
【0016】
多数の近年の刊行物は、例として以下のとおり、処置としてこれを利用しようとしている:
- ActR2Bポリペプチドのようなミオスタチン結合タンパク質(例として、US7842663およびUS8614292)、
- フォリスタチン(例として、US6004937)
- 抗ActR2B抗体(例として、US 8,551,482)
- 抗ミオスタチン抗体(例として、US7261893、US8063188、US8415159、US8551482およびUS8710212)
- 抗アクチビン抗体(例として、US 20150037339 A1、WO 2009137075 A1)
【0017】
筋肥大および/または萎縮症が事情の全てではない。別の因子は、除神経である。筋収縮は、電気的および化学的メッセージの放出を介して、神経からの活動電位(impulse)によって引き起こされる。神経はまた、筋肉の健全さ(well-being)および適切な機能に必須である多数の栄養因子を筋肉繊維に提供する。神経と筋肉との間の接続(connection)は、神経筋接合部(neuromuscular junction; NMJ)と呼ばれる高度に複雑なシナプス構造を介して発生する。NMJの喪失は、筋肉自体の解剖学的および生化学的完全性とは独立して、筋機能の減少を生じる。
【0018】
いくつかのアプローチは、神経筋接合部の喪失の防止に焦点を当てている。NMJの正確な維持のためには、例としては、Wu et al (Development. 2010 Apr;137(7):1017-33. doi: 10.1242/dev.038711)およびTezuka et al (Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Nov 18;111(46):16556-61)によって、アグリンが、神経筋接合部のそれらの形成および維持に重要であることが示されている。
【0019】
しかしながら、増加された筋肉質量およびNMJを保持しようとする処置の併用でさえも、(トレッドミル上の適切に処置されたマウスの性能によって測定される)筋肉性能の喪失を防止しないことが見出されている。要するに、筋肉の問題の個々の側面を改善するための多数の方法が存在するが、筋肉性能の全体的な喪失に対抗し得るものは現在存在しない。
【0020】
特定のグループの連結されたタンパク質、ポリペプチドおよびモノクローナル抗体が、筋肉性能を改善する際に例外的な結果を生じることが現在、見出されている。従って、少なくとも2つの成分を含む化合物が提供され、第一の成分は、ヒトアグリンのC末端からのnLG3ドメインであり、および、少なくとも1つの第二の成分は、ミオスタチンの存在下でActR2B誘導性シグナル伝達活性を阻害するタンパク質またはアンタゴニスト抗体から選択され、これらの成分は連結要素(entitiy)の手段によって連結されている。
【0021】
本明細書の上記のような化合物の有効量を投与することを含む、筋肉性能を改善するための方法がさらに提供される。
【0022】
「筋肉性能を改善する(こと)」は、筋肉耐久性が特に改善されることを意味する。本明細書の上記のような化合物は、より多い筋肉質量(ミオスタチン)をあまり提供しないし、アセチルコリンセレセプターを効率的にクラスター化することもないが(完全に活性なアグリンフラグメントよりも少なくとも100~1000倍低い)、耐久性によって測定される場合、全体の筋肉性能は、顕著に改善されるということは驚くべき事実である。これは、本明細書の下記のような実験方法によって実証され得る。
【0023】
本開示における使用に適した、および、本開示において記載されたアミノ酸配列に関して、配列は、以下に示される配列に対して、少なくとも75%同一であるべきである。より詳細には、これらは、80%、85%、90%または95%同一、最も詳細には、95%同一であってもよい。アグリンにおけるインサートの場合(本明細書の以下に詳細に記載される)、インサートは、少なくとも95%同一であるべきである。特定の態様において、全てのアミノ酸配列は、少なくとも95%同一である。
【0024】
第一の成分は、アグリンのC末端からのnLG3ドメインである。アグリンは、分子量400~600kDaを有する大きなヘパランプロテオグリカンである。(データベースアクセス番号NP-940978)。タンパク質コアは、約2000のアミノ酸からなり、その質量は、約225kDaである。それは、9 K(クニッツ型)ドメイン、2 LE(ラミニン-EGF-様)ドメイン、1つのSEA(精子タンパク質、エンテロキナーゼおよびアグリン)ドメイン、4 EG(上皮増殖因子様)ドメインおよび3 LG(ラミニン球状)ドメインから構成される複数ドメインタンパク質である。アグリンは、非常に重要なタンパク質であり、アグリン欠乏マウスは、呼吸不全に起因して出生時に死亡する。これは、アグリンが筋肉繊維の適切な神経支配のために厳格に要求され、そして、これらのマウスは、適切なNMJを構築することができないという事実によって引き起こされる。
【0025】
アグリンは、いくつかのスプライスバリアントで存在し、分泌タンパク質として発現され得、N末端NtA(N末端アグリン)ドメインを含有しており、これは、アグリンの最も豊富な形態であり、運動ニューロンにおいて発現される主な形態である。それは、ニューロンの細胞体において生成され、軸索を通って輸送され、運動神経の軸索終末からNMJのシナプス間隙へ放出される。ここで、それは、LRP4のアゴニストとして作用し、基底板の成分ともなってもよい。CNSにおいて、ほとんどのアグリンは、N末端NtAドメインを欠く、N末端での選択的スプライシングによって、II型膜貫通タンパク質として発現される(Bezakova and Ruegg, 2003)。
【0026】
アグリンにおけるセリン/スレオニン(S/T)リッチセグメントは、高度のグリコシル化を担っており、大きい質量のプロテオグリカンを生じるいくつかのグリコシル化部位およびグルコサミノグリカン付着部位を含有している。第一のEGドメインで出発するアグリンのC末端の75kDa構成部分は、筋細胞におけるアセチルコリンレセプター(AChR)のクラスター化活性のための十分な活性に必要とされるが、ほとんどのC末端の20kDaフラグメントがAChR凝集を誘導するのに充分である(Bezakova and Ruegg, 2003)。α-ジストログリカンを含むアグリン、ヘパリン、いくつかのインテグリンおよびLRP4の相互作用パートナーについてのいくつかの結合部位は、C末端領域にマッピングされる。大きなヘパラン硫酸側鎖は、ヘパリン結合タンパク質、例としてはいくつかの増殖因子についての結合部位である。
【0027】
ヒトアグリンのC末端部において、2つの代替的なスプライシング部位yおよびzが存在する。y部位において、0、4、17または21(4+17)アミノ酸のインサートが存在してもよく、そして、z部位において、0、8、11または19(8+11)アミノ酸のインサートが存在してもよい。y部位における4つの挿入されたアミノ酸の機能は、ヘパリン結合部位を創出することである。運動ニューロンは、主にy4アグリンを発現する。最も重要なアグリンのスプライシング部位は、NMJ成熟の観点で、z部位であり、アグリンにアセチルコリンレセプタークラスター化剤として活性であるという能力を付与する。スプライシング部位yにおける4アミノ酸インサートの存在下、z部位における8アミノ酸の挿入を含有する全長アグリン(y4z8)は、培養筋管クラスター化アッセイにおいて35pMの最大半量のAChRクラスター化活性を有するアグリンバリアントを産生することが周知である。11アミノ酸の挿入は、最大半量のAChRクラスター化活性を生じるが、19アミノ酸の挿入は、110pMの最大半量のAChRクラスター化活性を生じる。この部位において挿入を有さないアグリンは、インビトロ培養筋管上のアセチルコリンレセプターをクラスター化する際に活性ではない(Bezakova and Ruegg, 2003)。従って、クラスター化アッセイにおけるアグリンの最も活性な形態は、y4z8バリアントであり、これは、運動ニューロンによって発現される。
【0028】
LG2、EG4およびLG3ドメインを含有するアグリン(y4z8)の40kDa C末端フラグメントは、AchRクラスター化活性において130pMのEC50を有してAChRクラスター化において活性であるが、より短いフラグメントはより低い活性のみを有していることが見出された。z8挿入を有するC末端LG3ドメイン、いわゆるLG3z8ドメインは、たった13nMの最大半量のAchRクラスター化活性を示し、これは、40kDaフラグメントよりも100倍低い因子である。
【0029】
NMJの発生および成熟の間、アグリンは、アセチルコリンレセプターのクラスター化に関与する重要な分子プレーヤーである。NMJは、神経伝達物質のアセチルコリンによって不安定化されるが、運動ニューロンによって分泌されるアグリンは、膜結合レセプターチロシンキナーゼであるMuSKのリン酸化を介して、AChRのクラスターを安定化および増加させる。アグリンとMuSKとの相互作用は、低密度リポタンパク質レセプター(LDLR)関連タンパク質であるLRP4を介して媒介されると仮定されている。アグリン(y4z8)は、アグリン(y4z0)よりも10倍高いLRP4に対する親和性を有し、インビトロ培養筋管アッセイにおいて観察される異なるアグリンスプライシングバリアントの差次的なAChRクラスター化活性を生じることが見出された。アグリン結合の際、LRP4は、MuSKの自己リン酸化を生じ、これは次いで、アセチルコリンレセプターの発現およびクラスター化についてのシグナルカスケードを活性化する。44kDフラグメントのアグリンは、筋細胞の表面上のアセチルコリンレセプターのクラスターの形成を導くことが見出されており(Hettwer et al (PLOS ONE February 2014. Vol.9, Issue 2, e88739)を参照のこと)、これは、NMJの形成の最初のステップであると考えられている。
【0030】
この開示において使用される場合、用語「LG3」は、配列番号1に示すマウス由来の22kDaのC末端アグリンフラグメントを意味する(全ての配列が、この開示に添付されており、その一部を形成する)。本開示において使用される場合、用語「nLG3」は、z部位において8、11または19アミノ酸の挿入をさらに含有するLG3フラグメントを意味する。z部位において挿入された配列は、ELTNEIPA(z8、配列番号2),PETLDSRALFS(z11、配列番号3)またはELTNEIPAPETLDSRALFS(z19、配列番号4、配列番号2および配列番号3の組合せ)。nLG3の例は、配列番号5である。
【0031】
本開示で使用される場合、用語「(h)LG3」は、配列番号6で示すヒト由来22kDaのC末端アグリンフラグメントを意味する。本開示で使用される場合、用語「(h)nLG3」は、z部位に8、11または19アミノ酸の挿入をさらに含有する(h)LG3フラグメントを意味する。z部位において挿入された配列ELANEIPV(z8、配列番号7)、PETLDSGALHS(z11、配列番号8)またはELANEIPVPETLDSGALHS(z19、配列番号9、配列番号7および配列番号9の組合せ)。(h)nLG3の特定の例は、配列番号10である。
【0032】
nLG3は、N末端またはC末端においてさらなるアミノ酸を含んでもよい。N末端における、かかるさらなるアミノ酸は、例としては、適切な細胞における組み換え合成または発現による調製の方法に起因して存在する。
【0033】
アグリンの天然のN末端にまで1以上のアグリンのドメインによるN末端における伸長を含有するタンパク質、ならびに、ヒトアグリンのグリコシル化されたか、または、他の様式で翻訳後に酵素学的または化学的に修飾されたタンパク質バリアントもまた含まれる。
【0034】
第二の成分は、ミオスタチンの存在下、ActR2B媒介シグナル伝達活性を阻害するタンパク質またはアンタゴニスト抗体から選択される。本明細書で使用される第二の成分の例は、actR2B(AcvRIIB、actRIIB)、またはacvRA(actR2、actRII)、alk4、alk5のようなタンパク質またはアンタゴニスト抗体をいう。用語ActRは、配列番号11に規定されるとおりのマウスActR2Bレセプターの可溶性細胞外部分をいう。この細胞外部分は、細胞を囲む環境に突出する膜貫通タンパク質の任意の部分である。用語(h)ActRは、配列番号12(AAC64515.1,GI:3769443)に規定されるとおりのヒトActR2Bレセプターの細胞外部分をいう。別の例は、配列番号25に規定されるとおりのフォリスタチンである。
【0035】
ActR2B媒介性シグナル伝達活性を阻害するモノクローナル抗体(mAb)の例は、ActRmAb(US8551482)である。抗体は、軽鎖(LC)および重鎖(HC)からなる。ActRmAbのLC(ActRmAb(LC))の典型的な例は、配列番号29に規定されるとおりである。ActRmAbのHC(ActRmAb(HC))は、配列番号28に規定されるとおりである。ActRmAb(HC)に接続される(h)nLG3(ActRmAb(HC)-(h)nLG3)は、配列番号30に規定される。抗体の別の例は、MyomAb(US8063188)である。この抗体は、ミオスタチンに対して向けられており、(h)ActRレセプターへのミオスタチンの結合を妨げる。MyomAbのLC(MyomAb(LC)の典型的な例は、配列番号32に規定されるとおりである。MyomAbのHC(MyomAb(HC)は、配列番号31に規定されるとおりである。MyomAb(HC)に接続される(h)nLG3(MyomAb(HC)-(h)nLG3)は、配列番号33に規定される。
【0036】
mAbのこのActR2B媒介性シグナル伝達阻害活性は、アッセイの手段によって容易に確認されてもよい。かかるアッセイとしては、例としては、Smad依存性レセプター遺伝子アッセイ、ミオスタチン誘導性Smadリン酸化の阻害(P-Smad ELISA)および骨格筋細胞分化のミオスタチン誘導性阻害の阻害(例えば、クレアチンキナーゼアッセイによる)を含み得る。
【0037】
いくつかの態様において、第二の成分は、10nM以下、1nM以下、または100pM以下のIC50でSmad依存性レセプター遺伝子アッセイにおいて測定される場合、ミオスタチン誘導性シグナル伝達を阻害する。
【0038】
いくつかの場合において、本開示の化合物は、さらなる成分を含むことが可能であり、2つの連結要素によって接合される3つの成分が存在してもよいことを意味する。第三の成分は、安定化成分として作用し、すなわち、それはインビトロ血清半減期を増加させる。これは、腎臓による破壊の減少、クリアランスの減少、または他の薬物動態効果の結果であってもよい。「インビボ血清半減期」は、生物の血液中に循環するタンパク質の半減期をいう。免疫グロブリン(IgG分子)のFc領域との融合は、所望の薬物動態特性を付与し、広範な範囲のタンパク質の血清半減期を増加させることが知られている。用語「IgG分子のFc領域」は、当業者に周知であるように、アイソタイプIgGの免疫グロブリンのFcドメインをいう。IgG分子のFc領域は、IgG分子のインビボ血清半減期の増加を担うIgG分子(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)の部分である。
【0039】
第三の成分はまた、所望の特性を付与するように選択されてもよい。例としては、いくつかのドメインは、親和性クロマトグラフィーによって得られたタンパク質の単離に特に有用である。親和性精製の目的のために、グルタチオン、アミラーゼ、およびニッケルまたはコバルト結合体化樹脂のような、親和性クロマトグラフィーについての関連するマトリックスが使用される。かかるマトリックスの多数が、ファルマシアGST精製システムおよび(HIS.sub.6)融合パートナーを用いて有用であるQIAexpress(商標)システム(キアゲン)のような「キット」形態で入手可能である。別の例としては、第三のドメインは、ActR2Bポリペプチドの検出を容易にするように選択してもよい。かかる検出ドメインの例は、種々の蛍光タンパク質(例としては、GFP)ならびに特定の抗体が利用可能である通常短いペプチド配列である「エピトープタグ」を含む。特定のモノクローナル抗体が容易に利用可能である周知のエピトープタグは、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)、およびc-mycタグを含む。いくつかの場合において、第三のドメインは、関連するプロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化して、それにより組み換えタンパク質をそこから遊離させるのを可能にする、第Xa因子またはトロンビンのようなプロテアーゼ切断部位を有してもよい。遊離されたタンパク質は、次いで、引き続くクロマトグラフィー分離によって第三のドメインから単離され得る。特定の好ましい態様において、ActRドメインおよび(h)nLG3ドメインは、得られたポリペプチドをインビボで安定化させるドメインに連結される。
【0040】
第三の成分の典型的な例は、「Fc」ドメイン、配列番号14である。
同様に、ヒト血清アルブミンへの融合は、所望な特性を付与し得る。選択してもよい他のタイプの融合ドメインは、多量体化(例としては、二量体化、四量体化)ドメインおよび機能的ドメイン(これは、筋肉成長のさらなる刺激のような、さらなる生物学的機能を付与する)を含む。
【0041】
連結要素は、アミノ酸の短いストレッチであり、2つのタンパク質成分を連結する。この未構築のリンカーは、ActR2Bの細胞外ドメインのC終端の約15アミノ酸の未構築の領域(「テール」)に対応してもよいか、または、それは、相対的に二次構造がない、5および15、20、30、50またはそれ以上の間のアミノ酸の人工配列であってもよい。リンカーは、グリシンおよびプロリン残基が豊富であり得、例としては、スレオニン/セリンおよびグリシンの反復配列を含有してもよい。しばしば、配列gggの複数の反復が使用される(グリシン-グリシン-グリシン-セリン)。グリシンは、可動性を付与し、セリンは極性である。連結は、グリシンおよびプロリン残基が豊富であってもよいし、例としては、スレオニン/セリンおよびグリシンの反復配列(例としては、4以下のTGまたは4以下のSG反復)を含有してもよい。典型的なリンカー配列「L」は、配列番号13に規定されるとおりである。融合タンパク質は、エピトープタグ、FLAGタグ、またはポリヒスチジン配列およびGST融合のような精製サブ配列を含んでいてもよい。
【0042】
Fcドメインに連結したタンパク質を含有するActRドメインの例は、ActR-Fc(配列番号19)、Fc-ActR(配列番号20)および(h)ActR-Fc(配列番号21)である(Cadena et al. J Appl Physiol 109: 635-642, 2010)。Fcドメインに連結したフォリスタチンの例は、配列番号26に規定される。
Fcドメインに連結したnLG3ドメイン含有タンパク質の例は、nLG3-Fc(配列番号16)、Fc-nLG3(配列番号15)およびFc-(h)nLG3(配列番号17)である。インサートFc-(h)LG3(配列番号18)を有さないLG3ドメインの例もまた構築された。
【0043】
特定の態様は、以下の成分を含む。
A-L-B
B-L-A
A-L-C-L-B
B-L-C-L-A
C-L-B-L-A
C-L-A-L-B
B-L-A-L-C
A-L-B-L-C
A-L-D
D-L-A
A-L-E
E-L-A
(式中、
Aは、アグリンnLG3ドメイン含有タンパク質を表し、
Bは、ActRIB、ActRIC、ActRIIA、ActR2Bレセプタータンパク質およびフォリスタチンの細胞外ドメインを表し、
Cは、「安定化」ドメインを表し、
Dは、ActRIB、ActRIC、ActRIIA、およびActR2Bレセプタータンパク質に対するActR2B媒介性シグナル伝達阻害mAbを表し、
Eは、TGF-ベータスーパーファミリーのメンバーに対するActR2B媒介性シグナル伝達阻害mAbを表し、
Lは、連結要素を表す。)
特定の組合せは、B-L-C-L-A、D-L-AおよびE-L-Aである
【0044】
これらの特定の組合せの例は、配列番号22に規定されるとおりのActR-Fc-nLG3、配列番号23に規定されるとおりの(h)ActR-Fc-(h)nLG3、配列番号27に規定されるとおりのFol-Fc-nLG3である。(h)nLG3に連結されるActRmAb(HC)(ActRmAb(HC)-(h)nLG3)は配列番号30に規定されるとおりである。MyomAb((h)nLG3に連結されるHC)(MyomAb(HC)-(h)nLG3)は配列番号33に規定されるとおりである。抗体の対応する軽鎖は、十分に機能的な抗体を作製するために重鎖と同時に発現される必要がある。
【0045】
本開示の抗体の重鎖および軽鎖は、連結要素によって接合される第一および第二の成分と共に、連続する単一鎖タンパク質として発現されてもよい(例としては、Bird et al., 1988 Science 242:423-426; Huston et al., 1988 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; McCafferty et al., 1990 Nature 348:552-554を参照のこと)。連続する単一鎖タンパク質は、(h)nLG3に連結され得る。
【0046】
本開示の化合物は、公知の方法によって作成してもよい。例としては、化合物をコードするDNAは、適切な発現系において発現され、得られたタンパク質は、引き続き精製される。いくつかの原核生物および真核生物発現系は、本開示の化合物の産生および分泌に適している。原核生物発現系は、これに限定されないが、E.coliにおける発現を含む。真核生物発現系は、マウス骨髄腫細胞における発現、昆虫細胞におけるバキュロウイルス媒介発現、並びに、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞における発現、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における一過性発現、およびピキア・パストリスにおける安定発現を含む。これらの系は、無血清条件に容易に適合して、上清における混入タンパク質の量を減少させることができ、大規模生産のために適合し得るという利点を有する。さらに、HEK293TおよびHEK293細胞、COS細胞、CHO細胞、HeLa細胞、H9細胞、Jurkat細胞、NIH3T3細胞、C127細胞、CV1細胞、CAP細胞、またはSF細胞を含む、種々の細胞株が使用されてもよい。
【0047】
哺乳動物、酵母、昆虫および植物細胞は全て、ペプチドのアミノ酸配列によって影響され得る異なるグリコシル化パターンを導入してもよいので、成分の配列は、使用される発現系の種類に依存して適切に調整されてもよい。一般に、ヒトにおける使用のためのタンパク質は、HEK293またはCHO細胞株のような適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞株において発現されるが、他の哺乳動物発現細胞株もまた、有用であると予測される。
【0048】
本開示の化合物は、標準的なタンパク質精製技術によって精製されてもよい。免疫グロブリンGは、タンパク質AまたはGを使用して精製されてもよい。Hisタグタンパク質は、IMACを使用して精製され得るが、ヘパリンカラムを使用するイオン交換クロマトグラフィーまたは親和性精製も同様に使用し得る。アグリンのC末端部分に対して惹起した抗体を介する精製もまた使用し得る。溶出タンパク質は、次いで、ヒドロキシアパタイトカラムを使用して、または、ゲルろ過によってさらに精製し得る。
【0049】
本開示の化合物は、医薬組成物において有用である。したがって、本開示は、薬学的に許容可能なキャリアと共に製剤化される、上記のような少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0050】
本開示の医薬組成物は、筋肉機能の喪失を導く病理学的状態の処置に特に有用である。かかる状態の非制限的な例は、以下を含む:
- コルチゾール、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、または、プレドニゾロンのようなグルココルチコイドを用いる処置の結果としての筋委縮症、
- 神経外傷に起因する除神経の結果としての、あるいは、神経変性、代謝性、または炎症性ニューロパチーの結果としての筋委縮症(例としては、ギラン・バレー症候群、末梢ニューロパチー、または環境毒素もしくは薬物への暴露)、
- ミオトニア;ネマリンミオパチー、マルチ/ミニコアミオパチー、および筋細管(中心核)ミオパチーを含む、先天性ミオパチー;ミトコンドリアミオパチー;家族性周期性四肢麻痺;炎症性ミオパチー;グリコーゲンまたは脂質蓄積症によって引き起こされるような代謝性ミオパチー;皮膚筋炎;多発性筋炎;封入体筋炎;骨化性筋炎;横紋筋融解症およびミオグロビン尿症のようなミオパチーの結果としての筋委縮症、
- デュシェンヌ型、ベッカー型、筋緊張性、顔面肩甲上腕型、エメリ・ドレフュス型、眼咽頭型、肩甲上腕型(scapulohumeral)、肢体型、福山型、先天性筋ジストロフィー、または遺伝性遠位型ミオパチーのような筋ジストロフィー症によって引き起こされるミオパチー、
- 骨粗しょう症、骨折、低身長、または低身長症のような筋骨格疾患;
【0051】
- 成人運動ニューロン病(adult motor neuron disease)、乳児脊髄性筋萎縮症、筋委縮性側索硬化症、若年性脊髄性筋萎縮症、多巣性コンダクターブロックを有する自己免疫性運動ニューロパチー(autoimmune motor neuropathy with multifocal conductor block)、脳卒中または脊髄損傷に起因する麻痺、外傷に起因する骨格固定化(skeletal immobilization due to trauma)、長期臥床、自発的不活動(voluntary inactivity)、非自発的不活動(involuntary inactivity)、代謝ストレスまたは栄養欠乏、がん、AIDS、絶食、甲状腺障害、糖尿病、良性先天性筋緊張低下、セントラルコア疾患(central core disease)、やけど、慢性閉塞性肺疾患、肝疾患(線維症、肝硬変のような例)、敗血症、腎不全、うっ血性心不全、加齢、宇宙旅行または無重力環境で過ごした時間(time spent in a zero gravity environment)。
【0052】
- 筋肉減少症、皮膚萎縮症、筋消耗、脳萎縮症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗しょう症、変形性関節症、免疫不適格(immunologic incompetence)、高血圧、痴ほう症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢黄斑変性、前立腺がん、脳卒中、平均寿命の減少、フレイル、記憶喪失、しわ、腎機能障害、および加齢に関連する難聴のような加齢に関連する状態;2型糖尿病、メタボリックシンドローム、高血糖および肥満を含む、代謝障害。もちろん、患者は、これらの状態の1以上に、例としては筋肉減少症および肺気腫、または、筋肉減少症および腎機能障害に、同時に罹患していてもよい。
【0053】
- 急性および/または慢性腎疾患または腎不全、肝臓線維症または肝硬変、乳癌のようながん、パーキンソン病のような病理学的障害;ALS、脳萎縮症、または痴ほう症および貧血のような神経細胞死に関連する状態。さらに、年齢、外傷または不活動の結果として罹患する喪失がある。
- 悪液質、関節リウマチに関連する悪液質、およびがんに関連する悪液質のようなさらなる状態。
【0054】
本開示の医薬化合物はまた、併用療法で、すなわち、他の剤と組み合わせて、投与され得る。例としては、併用療法は、少なくとも1つの他の筋肉質量/強度増加剤、例としては、IGF-1、IGF-2またはIGF-1またはIGF-2のバリアント、抗ミオスタチン抗体、ミオスタチンプロペプチド、ActR2Bを結合するがこれを活性化しないミオスタチンデコイタンパク質、ベータ2アゴニスト、グレリンアゴニスト、SARM、GHアゴニスト/模倣物またはフォリスタチンと組み合わせた、本開示の抗ActR2B抗体を含み得る。本開示の医薬化合物はまた、Nusinersenまたは類似化合物との併用療法で投与され得る。SMN2遺伝子の代替的スプライシングを調節し、これをSMN1遺伝子に機能的に変換するアンチセンスオリゴヌクレオチドであるNusinersenは、脊髄性筋萎縮症についての治験薬である。
【0055】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能なキャリア」は、生理学的に適合性の、任意および全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤、および抗菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。キャリアは、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または上皮投与(例としては、注射または注入による)に適しているべきである。投与経路に依存して、本開示の化合物は、材料でコーティングされて、酸の作用および化合物を不活化してもよい他の天然の状態から化合物を保護していてもよい。
【0056】
本開示の化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態であってもよい。「薬学的に許容可能な塩」は、親化合物の所望の生物学的活性を保持しているが、所望ではない如何なる毒性学的影響も付与しない塩を指す(例としては、Berge, S. M., et al., 1977 J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照のこと)。かかる塩の例は、酸付加塩および塩基付加塩を含む。酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素、亜リン酸などのような非毒性無機酸、並びに、脂肪族一カルボン酸および二カルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪酸および芳香族スルホン酸などのような非毒性有機酸に由来するものを含む。塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、ならびに、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、塩素、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどのような非毒性有機アミンに由来するものを含む。
【0057】
本開示の医薬組成物はまた、薬学的に許容可能な抗酸化剤を含み得る。薬学的に許容可能な抗酸化剤の例は、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;ならびに、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などのような金属キレート剤を含む。
【0058】
本開示の医薬組成物中で使用してもよい適切な水溶性および非水溶性キャリアの例は、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのような)、およびその適切な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルを含む。適切な流動性は、例としては、レシチンのようなコーティング材料の使用によって、分散物の場合には要求される粒子径の維持によって、および、界面活性剤の使用によって、維持され得る。
【0059】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のようなアジュバントを含有していてもよい。微生物の存在の防止は、上述の滅菌手順によって、および、種々の抗殺菌剤および抗菌剤(例としては、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸など)の含有によっての両方により保証されてもよい。糖、塩酸ナトリウムなどのような等張剤を組成物に含めることがまた望ましくあってもよい。さらに、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延させる剤の含有によってもたらされてもよい。
【0060】
薬学的に許容可能なキャリアは、滅菌注射可能な溶液または分散物の即時調製のための、滅菌水溶液または分散物および滅菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のための、かかる媒体および剤の使用は、当該分野で公知である。任意の簡便な媒体または剤が活性化合物と不適合である場合を除き、本開示の医薬化合物におけるその使用は企図される。補助的な活性化合物もまた、化合物に組み込まれ得る。
【0061】
治療用組成物は、典型的には、製造および貯蔵の条件下で、無菌および安定でなければならない。化合物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高薬物濃度に適した他の秩序だった構造として製剤化され得る。キャリアは、例としては、水、エタノール、ポリオール(例としては、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)およびその適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散物の場合は要求される粒子径の維持によって、および、界面活性剤の使用によって、維持され得る。多数の場合において、化合物中に等張剤、例としては、糖、マンニトール、ソルビトールのような多価アルコール、または塩化ナトリウムなどを含み得る。注射可能な化合物の持続的吸収は、吸収を遅延させる剤、例としては、モノステアリン酸塩およびゼラチンを化合物に含めることによってもたらし得る。
【0062】
無菌の注射可能な溶液は、上に列挙される剤の1つまたはその組合せとともに、適切な溶媒中に必要な量で活性化合物を組み込むことによって、必要な場合、続いて滅菌マイクロフィルター法によって、調製され得る。一般に、分散物は、基本分散媒および上に列挙されるものからの必要な他の剤を含有する無菌ビヒクルに、活性化合物を組み込むことによって調製される。無菌注射可能な溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製方法は、以前に滅菌ろ過したその溶液から、活性剤の粉末および任意のさらなる所望の剤を生じる、減圧乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)である。
【0063】
単一の投与形態を産生するキャリア材料と組合せ得る化合物の量は、処置される対象、および特定の投与様式に依存して変化するだろう。単一の投与形態を産生するキャリア材料と組み合わせ得る活性剤の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量であるだろう。一般に、この量は、100パーセントのうちで、活性剤の約0.01パーセントから約99パーセント、約0.1パーセントから約70パーセント、または、薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせた活性剤の約1パーセントから約30パーセントで変化するだろう。
【0064】
投与レジメンは、最適な所望される応答(例としては、治療応答)を提供するように調整される。例としては、単回ボーラスが投与されてもよく、数回に分けた投与量が経時的に投与されてもよいか、または、投与量は、治療状況の緊急事態によって示されるように、比例して減少または増加されてもよい。投与の容易性および投与の均一性のために、投与単位形態で非経口化合物を製剤化することは、特に有利である。本明細書で使用される場合、投与単位形態は、処置される対象について単位投与量として適した物理的に別々の単位を指す;各単位は、要求される薬学的キャリアと協同して所望の治療効果を産生するように計算された活性化合物の所定の量を含有する。本開示の投与単位形態のための仕様は、活性化合物の特殊な特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに、個体の感受性の処置のためのかかる活性化合物を配合する分野における固有の制限によって指示され、これらに直接依存する。
【0065】
化合物の投与のための投与量は、宿主の体重の約0.0001~100mg/kg、およびより通常には、0.01~5mg/kgで変化する。例としては、投与量は、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重または10mg/kg体重、あるいは、1~10mg/kgまたは3~7mg/kgの範囲内であり得る。処置レジメンの例は、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、1カ月に1回、3カ月毎に1回、または、3~6カ月毎に1回の投与を伴う。あるいは、化合物は、1年に約1回またはたった1回のみ投与してもよい。かかる投与は、静脈内または皮下で行われてもよい。本開示の化合物のための投与レジメンは、静脈内投与による1mg/kg体重または3mg/kg体重を含み、抗体は、以下の投与スケジュールの1つを使用して与えられる:6回の投与量について4週毎、次いで、3カ月毎;3週毎;3mg/kg体重を1回、その後、1mg/kg体重を3カ月毎。
【0066】
投与量は、筋肉性能の増強を引き起こすものであるべきである。種々の態様において、効果は骨格筋に対するものである。種々の態様において、投与量は、内部器官(例としては、心臓、肺、肝臓、腎臓)のサイズの比例する増加を超えない筋肥大を引き起こす。かかる比例する増加は、質量または体積のいずれかを測定することによって比較されてもよい。
【0067】
いくつかの方法において、異なる結合特性を有する本開示の2以上の化合物は、同時に投与されてもよく、その場合、投与される各化合物の投与量は、指示される範囲の範囲内である。化合物は、通常、多数の機会に投与される。単回投与間の間隔は、例としては、毎週、毎月、3カ月毎、6カ月毎、または1年毎であり得る。間隔はまた、患者における標的抗原に対する化合物の血液レベルを測定することによって示される場合、不定期であり得る。いくつかの方法において、投与量は、約1~1000mu.g/mlの血漿抗体濃度を達成するように調整されており、いつかの方法では、約25~300mu.g/mlである。
【0068】
あるいは、化合物は、徐放性(sustained release)処方物として投与され得、この場合、より少ない投与頻度が必要とされる。投与量および頻度は、患者における化合物の半減期に依存して変化する。一般に、ヒト抗体は、最も長い半減期を示し、次いで、ヒト化抗体、キメラ抗体、および非ヒト抗体の順である。投与の投与量および頻度は、処置が予防的または治療的であるかに依存して変化し得る。予防的適用において、比較的低投与量が、長期期間にわたって、比較的頻繁ではない間隔で投与される。何人かの患者は、その生涯の残りの間、処置を受け続ける。治療用途において、比較的短い間隔での比較的高投与量が、疾患の進行が低減または停止されるまで、または、患者が疾患の徴候の部分的または完全な寛解を示すまで、ときどき必要とされる。その後、患者は、予防レジームを投与され得る。
【0069】
本開示の医薬組成物中の化合物の実際の投与量レベルは、患者に毒性となることなく、特定の患者、化合物、および投与様式について所望な治療応答を達成するのに有効な化合物の量を得るように変化してもよい。選択された投与量レベルは、使用される本開示の特定の化合物、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排出速度、処置の期間、使用される特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康および以前の治療歴、ならびに医療分野で周知の同様の因子を含む、種々の薬物動態因子に依存するだろう。
【0070】
本開示の化合物の「薬学的に有効な投与量」は、疾患徴候の重篤度の減少、疾患徴候がない期間の頻度および期間の増加、または、疾患の罹患に起因する機能障害(impairment)または能力障害(disability)の予防(すなわち、筋肉質量および/または強度の増加)を生じ得る。
【0071】
本開示の化合物は、当該分野で公知の種々の方法の1以上を使用して、1以上の投与経路によって投与され得る。当業者に理解されるように、投与経路および/または様式は、所望される結果に依存して変化するだろう。本開示の抗体の投与経路は、静脈内、筋肉内、皮膚内、腹膜内、皮下、脊髄または他の非経口投与経路、例としては、注射または注入を含む。本明細書で使用される場合、成句「非経口投与」は、経腸および局所投与、通常は注射による投与以外の投与様式を意味し、これらに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、腱鞘内、莢膜内、眼窩内、心臓内、皮膚内、腹膜内、経気管、皮下、角膜下、関節内、莢膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外、および胸骨内の注射および注入を含む。1つの態様において、抗体は、静脈内投与される。別の態様において、抗体は、皮下投与される。
【0072】
あるいは、本開示の化合物は、局所、表皮または粘膜投与経路のような非経口経路によって、例としては、鼻腔内、経口、膣内、直腸、舌下または局所的に投与され得る。
【0073】
活性化合物は、インプラント、経皮パッチ、および微小カプセル化送達システム(microencapsulated delivery system)を含む、制御放出性(controlled release)処方物のような、迅速な放出に対して化合物を保護するだろうキャリアと共に調製され得る。酢酸エチレンビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような、生分解性の生体適合性ポリマーを使用し得る。かかる処方物の製造のための多数の方法が特許付与されているか、または、当業者に一般に公知である。例としては、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照のこと。
【0074】
化合物は、当該分野で公知の医療デバイスを使用して投与され得る。例としては、1つの態様において、本開示の化合物は、U.S. Pat. Nos. 5,399,163; 5,383,851; 5,312,335; 5,064,413; 4,941,880; 4,790,824または4,596,556において示されるデバイスのような、無針皮下注射装置を用いて投与され得る。本開示において有用な周知のインプラントおよびモジュールの例は、以下を含む:制御された速度で医薬を分散させるための移植可能な微小注入ポンプを示すU.S. Pat. No. 4,487,603;皮膚を通って医薬を投与するための治療デバイスを示すU.S. Pat. No. 4,486,194;正確な注入速度で医薬を送達するための医薬注入ポンプを示すU.S. Pat. No. 4,447,233;連続的な薬物送達のための可変フロー移植可能注入な装置を示すU.S. Pat. No. 4,447,224;複数のチャンバー区画を有する浸透圧薬物送達システムを示す U.S. Pat. No. 4,439,196;および浸透圧薬物送達システムを示すU.S. Pat. No. 4,475,196。多数の他のかかるインプラント、送達システム、およびモジュールが、当業者に公知であり、MicroCHIPS(商標) (Bedford, Mass.)によって作成されるものを含む。
【0075】
特定の態様において、本開示の化合物は、インビボでの適切な分散を保証するように製剤化され得る。例としては、血液脳関門(BBB)は、多数の高度に親水性の化合物を除外する。本開示の化合物が(所望の場合)BBBを通過するのを保証するために、これらは、例としては、リポソームで製剤化され得る。リポソームを製造するための方法は、例としては、U.S. Pat. Nos. 4,522,811; 5,374,548;および5,399,331を参照のこと。リポソームは、特定の細胞または器官に選択的に輸送される1以上の構成部分を含み、従って、標的化薬物送達を増強し得る(例としては、V. V. Ranade, 1989 J. Clin Pharmacol. 29:685を参照のこと)。標的化構成部分の例は、葉酸またはビオチンを含む(例としては、U.S. Pat. No. 5,416,016を参照のこと);マンノシド(Umezawa et al., 1988 Biochem. Biophys. Res. Commun 153:1038);抗体(P. G. Bloeman et al., 1995 FEBS Lett. 357:140; M. Owais et al., 1995 Antimicrob. Agents Chemother. 39:180);界面活性剤タンパク質Aレセプター(Briscoe et al., 1995 Am. J. Physiol. 1233:134);p120(Schreier et al., 1994 J. Biol. Chem. 269:9090);K. Keinanen; M. L. Laukkanen, 1994 FEBS Lett. 346:123; J. J. Killion; I. J. Fidler, 1994 Imrnunomethods 4:273もまた参照のこと。
【0076】
本開示の化合物のさらなる驚くべきおよび有利な効果は、これらが、当該分野で公知のものよりもはるかに特異的なミオスタチン阻害剤であるということである。
ミオスタチンブロック剤は、筋肉繊維だけでなくサテライト細胞にも、複数の影響を有することが周知である。サテライト細胞は、骨格筋の成長、維持および再生に必要とされる、幹細胞および前駆細胞の異種集団である。ミオスタチンブロック剤は、これらの筋幹細胞の成長および分化を切り替える(McCroskery et al. (2003) J. Cell Biol. 162, 1135-1147)。
【0077】
ミオスタチンブロック剤は、筋肉繊維に対して異なる影響を有する;これらは、筋肉フィラメント(筋肉収縮を担う)のタンパク質分解をスイッチオフし、筋肉フィラメントのタンパク質合成をオンにする(turn on) (Curr Opin Support Palliat Care. 2011 Dec; 5(4): 334-341)。ミオシンは、筋肉収縮におけるその役割が知られている筋肉タンパク質フィラメントのファミリーの名前であり、これらは、ATP依存運動タンパク質のファミリーを含み、筋肉収縮におけるそれらの役割が知られている。筋肉収縮の間、ミオシンのような筋肉フィラメントは、損傷され得、分解されて新たなフィラメントによって置き換えられる必要がある。筋肉タンパク質分解におけるヒト変異は、近位の筋肉の脱力(weakness)および肥大型心筋症を導くことが公知である。Olive et al (Human Molecular Genetics, 2015, 1-13)による論文において、患者の筋肉繊維は、ミオシンおよびミオシン関連タンパク質によって形成される封入体(inclusion)を含有したことが実証された。
【0078】
ミオスタチンブロック剤はまた、筋肉フィラメントのタンパク質分解をブロックし、従って、ミオスタチン阻害剤への延長した暴露により、損傷した筋肉フィラメントの蓄積を導くことがあり得る。これは、ActR-Fc、ActRmAbおよびMyomAbのようなミオスタチンブロック剤の望ましくない副作用であり得る。これは、トレッドミルのような性能アッセイにおけるこれらのタンパク質の相対的に低い活性を説明してもよい。
【0079】
本開示に記載されるnLG3の、ActR-Fc、ActRmAbおよびMyomAbへのカップリングは、それらの作用様式においてより特異的である新規な化合物を生じている。ActR-Fc-nLG3、ActRmAb-nLG3およびMyomAb-nLG3のようなタンパク質は、サテライト細胞のみを活性化し、筋肉繊維に対して直接の影響を有さない。現在のところ、かかるタンパク質が、それらの作用様式で、この新たなレベルの特異性にどのようにして達するのかは不明である。1つの説明は、本開示の範囲をいかなる様式において制限するものではないが、Act RIIBレセプターもまた、共通のレセプターとしてLRPタンパク質を使用するということであり得る。nLG3は、LRP4に結合することが非常によく知られている。LRP4への結合は非常に重要である。コントロールとして使用されるタンパク質ActR-Fc-LG3(LG3とLG3との間の差異に留意する)は、ActR-Fcのように、類似の重量および筋肉の増加を導き、従って、LG3ドメインの付加は、この新たな活性に十分ではない(図12を参照のこと)。LG3ドメインは、それがLRP4に結合するのを可能にする適切なインサートを有することが必須である。この結果はまた、ActR-FcのC末端のかさ高い残基が、ActR-Fc-nLG3の新規な影響についての理由ではおそらくないだろうことを示す。
【0080】
従って、この開示はまた、筋肉繊維に対する直接の影響の非存在下、骨格筋の筋肉サテライト細胞を特異的に活性化する方法を提供し、この方法は、本明細書の上に記載されるような化合物で筋肉を処置することを含む。
この開示は、以下の例および関連する図面を参照してさらに説明されるが、これらは、特定の態様を記載するものであり、いかなる様式で制限するものではない。
図1~11のより詳細な解説を以下に提供するが、基本的な詳細は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は、アセチルコリンレセプタークラスターの形成を示す(ドット)。
図2図2は、多数の組成物のクーマシー染色SDS-PAGEゲルを示す。
図3図3は、経時的な相対的な体重増加を示す。
図4図4は、ビヒクルおよび多数の化合物で処置したマウスの相対的な筋肉重量を示す。
図5図5は、処置されたマウスのロータロッド性能を示す。
図6図6は、経時的な相対的な体重増加を示す。
図7図7は、相対的な筋肉湿重量を示す。
図8図8は、加齢マウスのトレッドミル性能を示す。
図9図9は、トレッドミルランの間の1分当たりの動機づけ電気パルスの数を示す。
図10図10は、第三週のビヒクル投与の間の、マウスの平均握力(GS)性能を示す(処置の前のGS)。
図11】筋肉病理学の要約。
図12図12は、経時的な相対的な体重増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
タンパク質の合成
cDNAは、商業的に得た。cDNAは、制限酵素NotIおよびHindIIIを介して、哺乳動物遺伝子発現ベクターpEvi3(evitria AG, Switzerland)にクローニングした。プラスミドDNAは、市販のDNA精製キット(Macherey Nagel, Germany)を使用して、低エンドトキシン条件下で調製した。タンパク質Fc-nLG3を、配列番号34を使用して得た。タンパク質nLG3-Fcは、配列番号35を使用して構築した。Fc-(h)nLG3は、配列番号36を使用して構築した。Fc-(h)LG3は、配列番号37を使用して構築した。Fc-ActRは、配列番号38を使用して構築した。ActR-Fcは、配列番号39を使用して構築した。(h)ActR-Fcは、配列番号40を使用して構築した。ActR-Fc-nLG3は、配列番号41を使用して構築した。
【0083】
(h)ActR-Fc-(h)nLG3は、配列番号42を使用して構築し、(h)ActR-Fc-(h)LG3は、配列番号43を使用して構築し、ActRmAb(LC)は、配列番号44を使用して構築し、そして、ActRmAb(HC)は、配列番号45を使用して構築した。ActRmAb(HC)-(h)nLG3は、配列番号46を使用して構築した。MyomAb(LC)は、配列番号47を使用して構築し、そして、MyomAb(HC)は、配列番号48を使用して構築した。MyomAb(HC)-(h)nLG3は、配列番号49を使用して構築した。Fol-FcおよびFol-Fc-nLG3は、それぞれ配列番号50および配列番号51を使用して構築した。
【0084】
タンパク質の産生および精製
全てのタンパク質は、CHO K1細胞によって産生した。シードは、化学的に規定された動物成分が含まれていない無血清培地である、eviGrow(商標)培地(evitria AG, Switzerland)中で増殖させた。トランスフェクションおよび産生は、37℃および5%CO2で、動物成分を含有していない無血清培地であるeviMake(商標)(evitria AG, Switzerland)中で実施した。ActRmAbおよびMyomAbは、IgG重鎖および軽鎖発現ベクターDNAとの同時トランスフェクションにより産生する。得られた抗体は、それぞれActmAbおよびMyomAbと命名する。ActRmAb-(h)nLG3は、ActRmAb(HC)-(h)nLG3およびActRmAb(LC)を用いて作製されたベクターDNAの同時トランスフェクションによって作成した。得られた抗体は、ActmAb-(h)nLG3と命名した。MyomAb-(h)nLG3は、MyomAb(HC)-(h)nLG3およびMyomAb(LC)を用いて産生したベクターDNAの同時トランスフェクションによって作製した。得られた抗体は、MyomAb-(h)nLG3と命名される。
【0085】
上清は、トランスフェクション後の8日目において、遠心分離および滅菌ろ過(0.2μm)によって収穫した。標的タンパク質は引き続き、洗浄バッファーとしてPBS、溶出バッファーとして0.1mol/lグリシンpH3.0、および中和バッファーとして1mol/l TRIS pH10を用いるBio-Rad BioLogic DuoFlow FPLCシステム上のタンパク質A親和性クロマトグラフィーを介して精製した。
【0086】
SDS-PAGEゲル電気泳動によるタンパク質の同定
各化合物は、4X LDS Sample Buffer(Invitrogen)および10X還元剤(Invitrogen)中で溶出し、1μgの濃度に達した。サンプルは、70℃で10分間加熱し、引き続き、4~12% Bis-Tris Plus gel (Invitrogen)上でランした。ゲルは、200Vの電圧で35分間ランした。標的タンパク質画分は、ゲルのクーマシー染色によって同定した。ゲルは、クーマシー染色液(0.26%クーマシーブルー、10%酢酸、25%メタノール)中に4時間放置した。クーマシー溶液を除去した後、過剰な色素を除去するために、ゲルを脱染色液(10%酢酸、25%メタノール)中に一晩インキュベートした。ゲルをスキャンして、濃度計(BioRad)を使用して、画像を撮影した。
【0087】
C2C12マウス細胞でのアセチルコリンレセプターのクラスター化
C2C12マウス筋肉細胞は、2mM L-グルタミン、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン(全てInvitrogen-Gibcoから購入した)を含有する10%FBS(Sigma)ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)高グルコース(Sigma, Italy)中で培養した、ATCC(ATCC-LGC Standards S.r.l., Italy)からの培養した骨格筋芽細胞であった。これらは、先の培地で、8ウェルチャンバースライド上で2~3日間培養し、次いで、DMEMおよび3%FBSと置き換えて、筋管を得た。筋管を、アグリン構築物と共に10muM(マイクロM)で24時間インキュベートして、2%パラホルムアルデヒドで20分間、RTで固定した。サンプルは、細胞を、Alexafluor 555-conjugated α-Bungarotoxin(1:500; Invitrogen, Itally)と共にRTで1hインキュベートすることによって、AChRについて染色した。次いで、細胞をリンスし、カバーグラスを、PB0.1Mを滴下してマウントした。AChRクラスター化のレベルを、蛍光顕微鏡を用いて40Xの倍率で、確立場の平均AChRクラスター数を決定することによって比較した。
【0088】
動物研究
倫理的陳述
研究室動物の使用を伴う全ての手順は、イタリア国内(DL n. 116, G.U., Supp. 40, February 18, 1992; permit number 17/2010-B, June 30, 2010)およびEuropean Communities Council Directive 24 November 1986 (86/609/EEC)に従って実施した。
【0089】
動物
9週齢動物
1つの実験において、9週齢の雄性C57BL/6マウス(1群あたりn=5,Harlan, Italy)を、体重について無作為化し、次いで、タンパク質で皮下処置した。使用したタンパク質を図に示す。リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、pH7.4をビヒクルコントロールとして使用した。投与量は、10mg/kgであり、1週当たり3回投与し、2週間の処置のために第1、3、5、8、10、12日に投与した。混合物についての総投与量は、20mg/kgであり、各タンパク質が10mg/kgで与えられるように、ActR-FcおよびFc-nLG3の1:1の混合物からなる。体重は、投与の開始25日後、投与前に、1週間あたり3回測定し、マウスは、CO2で安楽死させた。腓腹筋、大腿四頭筋、および上腕三頭筋を収集し、秤量した。
【0090】
22月齢動物
加齢マウスの実験において、24匹の雄性マウス系統C57/BL6(Charles River, Franceにて購入した)を使用した。実験手順の開始の時点で、マウスは22月齢である。動物の体重を測定し、耳パンチをした;マウスは、12/12h明/暗サイクル下、1ケージ当たり5匹、通常のケージに維持し、食物および水を自由に与えた。注射は、5週連続で、1週当たり3回皮下投与(10mg/kg)を実施した。5週の処置のために、化合物を、第1、3、5、8、10、12、15、17、19、22、24、26、29、31、33日目に注射した。動物は、無作為に3つの実験群に分けた:PBSの注射を受けるコントロール群(PBS)、処置群AcrR-Fc-nLG3、およびActR-Fc。
【0091】
体重
マウスの体重は、実験の間ずっと1週あたり5回測定した。
【0092】
ロータロッド
ロータロッド測定は、Rotarod(商標)装置(Ugo Basile, Italy)の7650加速モデル上で行った。マウスは、ロータロッドのロッド上に配置する。ロッドは、4から32rpmまでゆっくりと加速する。マウスがロッド上に滞在する時間を記録し、マウスがロッド上にもはや残ることができないときに試験を終了する。標準試験における最大試験期間は5分である。延長試験において、最大試験期間は30分である。異なる処置群のロータロッド性能を示す。標準偏差は、エラーバーとして示す。(各群についてN=5)。標準的な試験は、2回の運動試験後、処置の第18日目および21日目に行った。データは、2日の4つの平均である。延長試験は、処置の第21日目に行う。
【0093】
トレッドミル運動
マウスは、1週あたり3回午後に、トレッドミル装置(Panlab, Harvard Apparatus)上で訓練した。機器は、個々のレーンで5匹までのマウスを同時に運動させることができる能力を有する。マウスは、化合物注射を開始する前に3週間、次いで、化合物/PBS投与の間の3週間、トレッドミル上で訓練した。各マウスは、加速トレッドミルプロトコールを使用して試験した。簡潔には、マウスは、任意の実験の前に、トレッドミルに適切に順化させた。実験ランの前の数日、マウスは、ショッキンググリッドを外してベルトを動かした状態で、それぞれのレーンでトレッドミル上に配置し、これらに機器を数分間探索させた。実験の間、マウスは、ランの前にウォームアップさせた。これのために、ベルトは、低速度(16cm/秒)で開始し、ショッキンググリッドは、徐々に0.2mAまでオンにした。ウォームアップ期間は、2分間であった。ウォームアップ期間後、マウスは、それらのランニング性能について試験した。トレッドミル速度は、16cm/秒で開始し、1分毎に1cm加速させた。加速は、マウスが疲弊状態に達するまで続く。マウスが1分当たり10以上のショックを受ける場合、このレベルは消耗状態と考えられ、実験を、その特定のマウスについて停止する。疲弊後、ショッキンググリッドは不活化させ、マウスはそのケージに戻した。ランニング距離、毎分に受けたショックの数、およびショックの総数を、各マウスについて評価する。
【0094】
握力試験
前肢握力を、Grip Strength Meter (Ugo Basile, Varese, Italy)を使用して測定した。コントロールおよび処置マウスは、最初の6週の実験の間、1週間に2回試験して、最後の2週の実験において、1週間に5回試験した。マウスは、尾を保持して、それらの前肢でT字のバーを掴ませた。一旦マウスが両方の肢でバーを掴むと、マウスがバーを放出するまで、マウスはバーから引き離された。デジタルメーターは、マウスによってバーに及ぼされる張力のレベルを(グラムで)表示する。各動物は、5回の連続する試験を与えられ、最も低い値及び最も高い値を分析によって除外し、平均値をとった。
【0095】
筋肉単離および貯蔵
マウスは、頚椎脱臼によって犠牲にした。脱臼後、新鮮な骨格筋(三頭筋、四頭筋および腓腹筋)を、鉗子および剪刀を用いて、皮膚および骨から迅速に解剖した。筋肉湿重量を、単離後すぐに測定した。次いで、筋肉(各マウスについて3つ)を、凍結切片のために、クリオスタットニュートラルのための包埋剤であるKillik (Bio-Optica, Milan; 05-9801)を含有するPeel-A-Way包埋モールド(Sigma-Aldrich; E6032-1cs)に配置した。筋肉をカバーするための可能な最小量のKillikを使用して、迅速な凍結が生じるのを可能にした。次いで、モールド(mold)を、イソペンタン(1-メチルブタン; Sigma-Aldrich; M32631)およびドライアイス(-80℃)を満たしたビーカーに20~40秒間、迅速に移して(より長い接触時間は、サンプル中の亀裂の形成を生じ得る;不十分な時間は、凍結の人為現象を生じ得る)、次いで、ドライアイスに筋肉サンプルを移した。長期貯蔵のために、サンプルは、-80℃に維持した。
各マウスについての他の3つの筋肉は、迅速にチューブに配置し、迅速なRNAse不活化でRNAを安定化および保護するために、少なくとも1mlのRNAlater(Sigma-Aldrich)でカバーした。サンプルは、4℃で24時間維持し、次いで、RNAlaterは、チューブから除去して、使用するまで-80℃で貯蔵した。
【0096】
凍結切片化(cryosectioning)
凍結切片化の前に、サンプルは、さらなる処理の前に、少なくとも20分間、クリオスタットに配置した。サンプルは、Killik包埋剤を用いるクリオスタットの丸い金属性マウントにマウントした。20μmの厚さの断面を作製し、温めた(RT)ゼラチン状Superfrostスライド(ThermoScientific Menzel Glaser (217655)上に回収した。切片は、RTで1時間乾燥させ、次いで-20℃で貯蔵した。
【0097】
筋肉の形態計測学的分析
マウス筋肉の断面を、ヘマトキシリンGill No2(Sigma-Aldrich(GHS232)および1%エオシンY水溶液(H/E染色手順を参照のこと)を用いて染色した。形態計測学的分析は、各実験群の3つの断面について実施した。以下のパラメーターを評価した:1)周辺および中心の有核繊維の面積および周囲長、2)繊維の数に対する核の総数、3)総数に対する中心核のパーセンテージ。
【0098】
データ分析および統計
データは、平均±S.D.として表す(平均の標準偏差)。独立スチューデントt検定を使用して、実験群間の有意差を決定する。p<0.05の値は有意であり、**p<0.01は非常に有意であり、そして、***p<0.001は特に有意であるとみなす。
得られた結果は、図を参照して説明される。
【0099】
図1は、アセチルコリンレセプタークラスターの形成を示す(ドット)。1A、ビヒクル処置のコントロール;1B、Fc-nLG3;1C、nLG3-Fc;1D、ActR-Fc-nLG3。高濃度(10muM)のFc-アグリン(1B)およびアグリン-Fc(1C)において予測されるように、AChRクラスターは可視であった。しかしながら、ActR-Fc-nLG3(1D)およびPBS(1A)を使用した場合、明瞭なクラスターは可視ではなかった。単なる偶発的な、おそらく自発的なクラスターが可視であった。さらに、nLG3-Fc-ActR処置細胞はまた、C2C12処置細胞上にクラスターを示さなかった(結果は示さず)。予測されるように、AChRクラスターは、高濃度の場合のみであるが、nLG3-FcおよびFc-nLG3処置C2C12細胞上に出現した。1muMでは、クラスターは可視ではなかった。actR-Fc-nLG3はなぜAChRクラスターを示さなかったのかは、明らかでなかった。ActR-Fc-nLG3の「ActR」部分は、クラスターの形成を阻害するのかもしれない。これは、立体障害によって引き起こされて、適切なアグリンの結合を不可能とするか、または、アグリンおよびミオスタチンシグナル伝達経路が干渉するのかもしれない。
【0100】
図2は、Fc-nLG3(レーン1);nLG3-Fc(レーン2);Fc-ActR(レーン3);ActR-Fc(レーン4);ActR-Fc-nLG3(レーン5);(h)ActR-Fc(レーン6);Fc-(h)nLG3(レーン7);(h)ActR-Fc-(h)nLG3(レーン8);(h)ActR-Fc-(h)LG3(レーン9);ActRmAb(レーン10);ActRmAb-(h)nLG3(レーン11);MyomAb(レーン12);MyomAb-(h)nLG3(レーン13)のクーマシー染色したSDS-PAGEを示す。全ての観察されるタンパク質バンドは、予測されるとおりである。ActRおよび(h)ActR誘導体のタンパク質バンドは、このタンパク質がグリコシル化され、グリコシル化の程度が同じタンパク質の複数のバンドを生成するので、ファジーである。
【0101】
図3は、相対的な体重が経時的に増加することを示す。9週齢のマウスを、ビヒクル、ActR-Fc、Fc-nLG3、ActR-Fc-nLG3、ならびに、ActR-FcおよびFc-nLG3の1:1の混合物(図2A);ビヒクル、(h)ActR-Fc、(h)Fc-(h)nLG3、および(h)ActR-Fc-(h)nLG3(図2B);ビヒクル、ActmAbおよびActmAb-nLG3(図3C);ビヒクル、MyomAbおよびMyomAB-(h)nLG3(図2D)で処置した。予測されるとおり、ActR-Fc、ActR-Fc-nLG3、およびActR-Fc+Fc-nLG3混合物で処置したマウスは、第15日目に、ビヒクル処置マウスと比較して、顕著に増加した体重を有する。驚くべきことに、ActR-Fc-nLG3処置マウスは、ActR-Fc、ActR-Fc-nLG3、およびActR-Fc+Fc-nLG3混合物と比較して、顕著により少ない体重を有する。また、(h)Fc-(h)nLG3、ActmAb-nLG3 MyomAb-(h)nLG3は、それらの相対的なコントロール化合物である(h)ActR-Fc、ActmAbおよびMyomAbと比較して顕著により少ない体重を有する。
【0102】
図4は、ビヒクル、ActR-Fc、Fc-nLG3、ActR-Fc-nLG3、ActR-FcおよびFc-nLG3の1:1の混合物、(h)ActR-Fc、Fc-(h)nLG3、(h)ActR-Fc-(h)nLG3、ActmAb、ActmAb-nLG3、MyomAbおよびMyomAB-(h)nLG3で処置したマウスの相対的な筋肉重量を示す。腓腹筋、四頭筋および三頭筋についての相対的な平均筋肉重量を計算して、ビヒクル処置マウスの筋肉と比較した。相対的な筋肉重量の結果は、総体重の結果と類似する。予測されるように、Fc-nLG3以外の全ての化合物が、顕著に増加した相対的な筋肉重量を有する。驚くべきことに、nLG3をさらに保有する化合物、または、nLG3のヒトバージョンである(h)nLG3、ActR-Fc-nLG3、(h)ActR-Fc-(h)nLG3 ActmAb-(h)nLG3 MyomAb-(h)nLG3は、それらのコントロール化合物と比較して、顕著により少ない体重を有する。
【0103】
図5は、マウスのロータロッド性能を示す。ActR-Fc、Fc-nLG3、ActR-FcおよびFc-nLG3の1:1混合物、ActmAb、MyomAb処置マウスの性能は、有意に増加しなかった。驚くべきことに、nLG3 resp (h)nLG3含有化合物ActR-Fc-nLG3、ActmAb-nLG3およびMyomAB-(h)nLG3の性能は、それらのコントロール化合物ActR-Fc、ActmAb、MyomAbと比較して顕著に増加していた。
【0104】
図6は、相対的な体重が経時的に増加することを示す。毎週の相対的な平均体重を計算した。全ての22齢のマウスを、実験の最初の3週間、ビヒクル(PBS)で処置した。続く5週間において、加齢マウスをビヒクル、ActR-Fc、およびActR-Fc-nLG3で処置した。第3週後に、ActR-Fc投与動物は、ビヒクルと比較して、顕著に高いレベルの増加した体重に達する。第3週後、ActR-Fc-nLG3投与動物は、ActR-Fcの体重よりも顕著に少ないが、ビヒクルと比較して顕著に増加した体重を有する。
【0105】
図7は、相対的な筋肉湿重量を示す。腓腹筋、四頭筋および三頭筋についての相対的な平均筋肉重量を、ビヒクル処置したマウスの筋肉と比較して計算した。ActR-Fc投与動物は、ビヒクルと比較して増加した、高度に顕著なレベルの筋肉重量を有する。ActR-Fc-nLG3投与動物は、ビヒクルと比較して、筋肉重量が顕著に増加していたが、ActR-Fcの体重よりも顕著に少なかった。
【0106】
図8は、加齢マウスのトレッドミル性能を示す。図8Aは、ビヒクル投与の第3週の間(処置前)のトレッドミル性能を示す。この時点において、全ての群の性能は非常に類似している。図8Bは、第5週および6週の間(処置後)の平均トレッドミル性能を示す。ActR-Fcおよびビヒクル処置マウスの性能は、処置後に処置前よりも低かった(有意ではない)。年齢が増加するにつれて、これらのマウスのトレッドミル性能は、減少するようである。驚くべきことに、ActR-Fc-nLG3処置マウスの性能は、処置前と比較して、処置後で改善した(p=X)。これは、マウスが年を取るに拘らず、トレッドミル性能が改善したことを示す。処置マウスにおけるActR-Fc-nLG3の性能は、ビヒクルおよびActR-Fc処置マウスよりも顕著に高かった。これは、ActR-Fc-nLG3での処置が、加齢マウスの筋肉の耐久性を改善することを示す。
【0107】
図9は、第5週および6週におけるトレッドミルランの間の、1分あたりの動機づけ電気パルスの平均数を示す。マウスは、疲弊した場合、より多くの電気パルスを必要とする。ActR-Fcおよびビヒクル処置マウスは、ActR-Fc-nLG3処置マウスよりも多くのパルスを必要とした。これは、高度に有意p<0.001であった。興味深いことに、最初の9分間で、マウスの3つの群の全てが、統計的有意差のないおよそ同数のパルス数を必要とした。トレッドミル上の時間が増加するにつれて、ActR-Fc-nLG3処置マウスの性能は、はるかに優れており、マウスは、ビヒクルおよびActR-Fc処置マウスよりも少ないパルスを必要とした。これはまた、ActR-Fc-nLG3で処置したマウスが、改善された筋肉耐久性を有することを明確に示す。
【0108】
図10は、ビヒクル投与の第3週の間のマウスの平均握力(GS)性能を示す(処置前のGS)。この時点では、全ての群の性能は非常に類似する。図7Bは、第5週および6週の間の平均握力(GS)性能を示す(処置後GS)。ビヒクル処置マウスの性能は、処置後において処置前よりも低かった(有意)。ActR-FcおよびActR-Fc-nLG3処置マウスの性能は、処置後において処置前よりも高かった(有意)。ActR-Fc-nLG3およびActR-Fc処置マウスのGS性能は、処置後に非常に類似しており、両方が、ビヒクル処置マウスと比較して有意に増加していた。よって、化合物ActR-Fc-nLG3の投与は、ActR-Fcと同様の増加した筋肉強度性能を保持してきた。
【0109】
図11 筋肉病理学の要約。横断面積(CSA)、および筋肉繊維あたりの核の数を、ビヒクル、ActR-FcおよびActR-Fc-nLG3処置マウスについて決定した。これらの結果から、CSAあたりの核の数を計算した。図11において、CSAについての相対値、および繊維当たりの核当たりの核の数、およびCSAあたりの核の数を記載した。ActR-Fc(p<0.001)およびActR-Fc-nLG3(p<0.05)処置マウスは、ビヒクル処置マウスと比較して、統計的に有意に増加したCSAおよび繊維当たりの核の数を有する。さらに、ActR-Fc-nLG3と比較して、ActR-Fc処置マウスは、有意に増加したCSA(p<0.01)および核の数(p<0.05)を有する。しかしながら、ビヒクルまたはActR-Fc-nLG3と比較して、ActR-Fc処置マウスは、繊維面積あたりの有意に減少した核の数を有する(p<0.05)。核形成は、サテライト細胞の活性によって促進される。サテライト細胞が増殖および分化するにつれて、これらは、既存の筋肉繊維と融合し、より多くの、筋肉繊維である核を導くだろう。
【0110】
図12は、相対的な体重が経時的に増加することを示す。9週齢のマウスを、ビヒクル、(h)ActR-Fc、(h)ActR-Fc-(h)nLG3、および(h)ActR-Fc-(h)LG3で処置した。第19日目において、ActR-Fc、(h)ActR-Fc-(h)nLG3、および(h)ActR-Fc-(h)LG3処置マウスは、ビヒクル処置マウスと比較して、有意に増加した相対的な体重を有する(それぞれp<0.001、p<0.05、p<0.001)。(h)ActR-Fc-(h)LG3および(h)ActR-Fcの相対的な体重は、有意差はない。注目すべきことに、(h)ActR-Fc-(h)LG3処置マウスは、(h)ActR-Fc-(h)nLG3と比較して、有意に(p>0.01)より大きい体重を有する。2つのタンパク質は、(h)nLG3中の8アミノ酸配列のインサートによってのみ異なる。このインサートは、LRP4レセプターへの結合を担っているから、(h)nLG3はLRP4レセプターに結合するところ、(h)LG3は結合しない。(h)ActR-Fc-(h)nLG3で処置したマウスは、ActR-Fc-nLG3と類似の増殖曲線を示す(図3)。
【0111】
これらの結果から、おそらく、ActR-Fc-nLG3の筋肉成長は、筋肉繊維と融合してより多くの核を導く筋肉幹細胞(すなわち、サテライト細胞)の増殖によってのみ引き起こされるようである。より多くの核が、筋肉繊維におけるより多くのタンパク質合成を導き、ActR-Fc-nLG3、(h)ActR-Fc-(h)nLG3、ActRmAb-nLG3およびMyomAb-nLG3処置動物における筋肉の適度な増加および体重の増加を導くだろう。ActR-Fcでの処置はまた、より多くの核を導くが、繊維増殖は、比例的を超えており(over proportional)、実際に、より小さい核密度を導く。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
2023116479000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの成分を含む化合物であって、第一の成分は、ヒトアグリンのC末端からのnLG3ドメインであり、少なくとも1つの第二の成分は、ミオスタチンの存在下、ActR2B誘導性シグナル伝達活性を阻害するタンパク質またはアンタゴニスト抗体から選択され、これらの成分は、連結要素の手段によって連結されている、前記化合物。
【外国語明細書】