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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116507
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】がんを処置する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20230815BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20230815BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230815BHJP
   A61L 15/36 20060101ALI20230815BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20230815BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20230815BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K45/00 ZNA
A61P43/00 121
A61P35/00
A61K35/741
A61P17/00
A61P31/04
A61K9/107
A61K9/06
A61K9/12
A61K9/14
A61K9/20
A61L15/36 100
A61L15/36 110
C12N1/20 A
C12N1/20 E
C12N15/31
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023085139
(22)【出願日】2023-05-24
(62)【分割の表示】P 2019552970の分割
【原出願日】2018-03-27
(31)【優先権主張番号】62/638,058
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/477,370
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガロ,リチャード,エル.
(72)【発明者】
【氏名】仲辻 晃明
(57)【要約】      (修正有)
【課題】前がん、がん又は腫瘍性細胞の成長、遊走、増殖及び/又は転移を阻害するための、又は病原体を阻害するための方法及び組成物を提供する。
【解決手段】一例として、下式で示されるイミダゾピリミジン又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグを含む、阻害有効量の組成物と細胞又は病原体を接触させることを含む、方法とする。

【選択図】図7-1-2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前がん、がん又は腫瘍性細胞の成長、遊走、増殖及び/又は転移を阻害するための、又は病原体を阻害するための方法であって、細胞又は病原体を、化合物式I(a):
【化1】
[式中、
N1~N5は窒素原子であり;
X1~X2は炭素原子であり;
破線で結合しているR基は、存在するか、又は該R基が、共有二重結合により別の原子と結合している原子に連結している場合には存在せず;
直線及び破線の両方で表されている結合は、該結合が共有単結合又は共有二重結合であり得ることを示し;
縮合複素環系は、X1と二重結合を形成するN2又はN3との、及びX2と二重結合を形成するN4又はN5との3個の二重結合を含み;
R1は、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、又は-O-R10であり;
R2、R4、R5、R7~R9は、独立して、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリールであり;
R3及びR6は、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、場合によって置換された複素環、ハロゲン化物、ヒドロキシル、カルボニル、アルデヒド、カルボキシル、エステル、アルコキシ、カルボキシアミド、アミン、イミン、アジド、シアノ、ニトロ、ニトロソ、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、及びホスフェートから独立して選択され;
R10は、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、及び場合によって置換された複素環から選択される]
又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグを含む阻害有効量の組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項2】
前記化合物が、式I(b)の一般式:
【化2】
[式中、
N1~N5は窒素原子であり;
X1~X2は炭素原子であり;
破線で結合しているR基は、存在するか、又は該R基が、共有二重結合により別の原子と結合している原子に連結している場合には存在せず;
直線及び破線の両方で表されている結合は、該結合が共有単結合又は共有二重結合であり得ることを示し;
縮合複素環系は、X1と二重結合を形成するN2又はN3との、及びX2と二重結合を形成するN4又はN5との3個の二重結合を含み;
R1は、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、又は-O-R10であり;
R2、R4、R5、及びR7は、独立して、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリールであり;
R10は、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、及び場合によって置換された複素環から選択される]
又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が、一般式II:
【化3】
又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグ、又は式IIの化合物の互変異生体、又は式IIの化合物の互変異生体の薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前がん、がん又は腫瘍性細胞が、黒色腫、扁平上皮癌、日光角化症、角化棘細胞腫、及び基底細胞癌からなる群から選択される、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
がん細胞を、in vivoで接触させる、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記接触が、局所投与を介する、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、化学療法剤を更に含む、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、局所投与用に製剤化される、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、全身投与用に製剤化される、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、式I(a)、I(b)又はIIの化合物を産生する共生プロバイオティック細菌を含む、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項11】
前記共生プロバイオティック細菌が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、及び/又は55に記載の1つ以上の配列を発現する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記共生プロバイオティック細菌が、表皮ブドウ球菌株MO34及び/又はMO38を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
皮膚ミクロビオームのバランスを産生又は維持する、及び/又は感染又は新生物を処置するための局所的プロバイオティック組成物であって、式I(a):
【化4】
[式中、
N1~N5は窒素原子であり;
X1~X2は炭素原子であり;
破線で結合しているR基は、存在するか、又は該R基が、共有二重結合により別の原子と結合している原子に連結している場合には存在せず;
直線及び破線の両方で表されている結合は、該結合が共有単結合又は共有二重結合であり得ることを示し;
縮合複素環系は、X1と二重結合を形成するN2又はN3との、及びX2と二重結合を形成するN4又はN5との3個の二重結合を含み;
R1は、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、又は-O-R10であり;
R2、R4、R5、R7~R9は、独立して、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリールであり;
R3及びR6は、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、場合によって置換された複素環、ハロゲン化物、ヒドロキシル、カルボニル、アルデヒド、カルボキシル、エステル、アルコキシ、カルボキシアミド、アミン、イミン、アジド、シアノ、ニトロ、ニトロソ、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、及びホスフェートから独立して選択され;
R10は、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、及び場合によって置換された複素環から選択される]
の構造を有する1つ以上の化合物、又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグの治療有効量又は阻害有効量を含む、局所的プロバイオティック組成物。
【請求項14】
前記化合物が、式I(b)の一般式:
【化5】
[式中、
N1~N5は窒素原子であり;
X1~X2は炭素原子であり;
破線で結合しているR基は、存在するか、又は該R基が、共有二重結合により別の原子と結合している原子に連結している場合には存在せず;
直線及び破線の両方で表されている結合は、該結合が共有単結合又は共有二重結合であり得ることを示し;
縮合複素環系は、X1と二重結合を形成するN2又はN3との、及びX2と二重結合を形成するN4又はN5との3個の二重結合を含み;
R1は、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、又は-O-R10であり;
R2、R4、R5、及びR7は、独立して、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリールであり;
R10は、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、及び場合によって置換された複素環から選択される]
又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグを含む、請求項13に記載の局所的プロバイオティック組成物。
【請求項15】
前記化合物が、一般式II:
【化6】
又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグ、又は式IIの化合物の互変異生体、又は式IIの化合物の互変異生体の薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグを含む、請求項13に記載の局所的プロバイオティック組成物。
【請求項16】
少なくとも1つのプロバイオティック共生皮膚細菌を含む、請求項13に記載の局所的プロバイオティック組成物。
【請求項17】
前記プロバイオティック共生皮膚細菌が、表皮ブドウ球菌株MO34及び/又はMO38である、請求項16に記載の局所的プロバイオティック組成物。
【請求項18】
ローション剤、シェイクローション剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、フォーム剤、散剤、固形剤、ペースト剤又はチンキ剤として製剤化される、請求項13から16のいずれか一項に記載の局所的プロバイオティック組成物。
【請求項19】
請求項13から16のいずれか一項に記載の局所的プロバイオティック組成物を含む、絆創膏又は包帯。
【請求項20】
UV照射に起因する皮膚の損傷を処置する方法であって、皮膚を、請求項13から16のいずれか一項に記載の局所的プロバイオティック組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項21】
式I(a)、I(b)及び/又はIIの化合物並びに1つ以上の薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項22】
1つ以上の化学療法剤を更に含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
経口、非経口、又は局所の投与に好適である、請求項21又は22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
局所剤形が、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、スプレー剤又はローション剤の形態のいずれかである、請求項23に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条に基づいて、2017年3月27日に出願された米国特許仮出願第62/477,370号、及び2018年3月2日に出願された米国特許仮出願第62/638,058号の優先権を主張し、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
米国連邦後援研究に関する記述
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)により授与された認可番号AI083358の下で政府援助を用いて行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、抗がん剤、それを作製する方法、及び使用方法に関する。
【0004】
配列番号の参照による組み込み
「Sequence_ST25.txt」というタイトルの、2018年3月26日に作成された、98,239バイトのデータを有する、IBM-PC、MS-ウインドウズオペレーティングシステムでマシンフォーマットされた配列番号を本ファイルに添付する。これによって、上記配列番号は、あらゆる目的のために、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
微生物の寄託
本発明の例示的微生物(表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)MO34及び表皮ブドウ球菌MO38)を、2018年3月22日に、ブダペスト条約の下で、American Type Culture Collection、10801 University Boulevard、Manassas、Va.20110-2209に、ATCC番号_______(菌株名称S.epi-MO38 UCSD 20180315)として及びATCC番号_______(菌株名称S.epi-MO34 UCSD 20180315)として、寄託した。本寄託物は、試料の最新の分譲要請が寄託機関により受理された後の少なくとも5年間、寄託の日付後の少なくとも30年間、又は関連特許の法的強制力のある期間のいずれか最長の期間、承認された寄託機関において維持され、突然変異、非生育又は破壊の場合には交換される。これらの細胞株の公共への利用可能性に対する全ての制限は、その出願から特許の発行時に撤回不能に取り除かれる。
【背景技術】
【0006】
2017年には、米国において、診断された新しいがん症例は15,000,000件を超え、がん死亡は600,000件より多いことが推定される。様々ながんを処置及び予防するために進歩してきたが、新規な方法及び組成物が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、腫瘍症及びがんの処置に有用な組成物及び方法を提供する。
【0008】
特定の実施形態では、本発明は、式I(a)の一般式:
【0009】
【化1】
[式中、N1~N5は窒素原子であり;X1~X2は炭素原子であり;破線で結合しているR基は、存在するか、又は該R基が、共有二重結合により別の原子と結合している原子に連結している場合には存在せず;直線及び破線の両方で表されている結合は、該結合が共有単結合又は共有二重結合であり得ることを示し;縮合複素環系は、X1と二重結合を形成するN2又はN3との、及びX2と二重結合を形成するN4又はN5との3個の二重結合を含み;R1は、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、又は-O-R10であり;R2、R4、R5、R7~R9は、独立して、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリールであり;R3及びR6は、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、場合によって置換された複素環、ハロゲン化物、ヒドロキシル、カルボニル、アルデヒド、カルボキシル、エステル、アルコキシ、カルボキシアミド、アミン、イミン、アジド、シアノ、ニトロ、ニトロソ、チオール、
スルフィド、スルホキシド、スルホン、及びホスフェートから独立して選択され;R10は、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、及び場合によって置換された複素環から選択される]
を有する化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグを提供する。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、式I(b)の一般式:
【0011】
【化2】
[式中、N1~N5は窒素原子であり;X1~X2は炭素原子であり;破線で結合しているR基は、存在するか、又は該R基が、共有二重結合により別の原子と結合している原子に連結している場合には存在せず;直線及び破線の両方で表されている結合は、該結合が共有単結合又は共有二重結合であり得ることを示し;縮合複素環系は、X1と二重結合を形成するN2又はN3との、及びX2と二重結合を形成するN4又はN5との3個の二重結合を含み;R1は、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、又は-O-R10であり;R2、R4、R5、及びR7は、独立して、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリールであり;R10は、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、及び場合によって置換された複素環から選択される]
を有する化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグを提供する。
【0012】
また別の実施形態では、本発明は、一般式II(6-N-ヒドロキシアミノプリン(6-HAP)):
【0013】
【化3】
の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグ;又は式IIの化合物の互変異生体、又は式IIの化合物の互変異生体の薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグを提供する。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、式I(a)、I(b)及び/又はIIの化合物並びに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。また別の実施形態では、上記医薬組成物は、少なくとも1つの付加的な活性剤を含む。また更なる実施形態では、少なくとも1つの付加的な活性剤は、化学療法剤である。また更なる実施形態では、化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、及び細胞傷害性抗生物質からなる群から選択される。更なる実施形態では、抗がん剤は、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロルエタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソ尿素、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲン受容体結合剤、ドセタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシルータンパク質転移酵素阻害剤、トランスプラチナ(transplatinum)、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、6-メルカプトプリン;カペシタビン;クラドリビン;クロファラビン;シタラビン;ドキソルビシン;フルダラビン;フロクスウリジン;ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;メトトレキサート;ペメトレキセド;ペントスタチン;プレドニゾン;プロカルバジン及びメトトレキサート、又はその任意の類似体若しくは誘導変異体からなる群から選択される。
【0015】
本発明はまた、新生物、がん又は細胞増殖性障害を処置するのに有効な量の式I(a)、I(b)及び/又はIIの化合物又は式I(a)、I(b)及び/又はIIの化合物を含有する医薬組成物と対象とを局所的又は非経口的に接触させることを含む、新生物(前がん性を含む)、細胞増殖性障害又はがんを処置する方法も提供する。
【0016】
表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)は6-HAPを産生し、これはDNA合成を阻害し、腫瘍症に対する保護をもたらす可能性を有することが見いだされた。宿主防御における皮膚細菌に関する有益な役割は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)感染に抵抗する共生細菌にとっての役割の観察所見と一致するが、この概念を、がん及び前がん性新生物(例えば、乳頭腫及び日光角化症)に対する宿主防御機能まで更に拡張する。その上、6-HAPを産生する表皮ブドウ球菌株の減少により、対象の皮膚がんを発症するリスクが増加し得る。したがって、本発明は、対象における腫瘍症を予防し、減弱及び/又は阻害するための、6-HAPを産生する表皮ブドウ球菌株を含むプロバイオティック組成物を提供する。
【0017】
特定の実施形態では、本発明は、対象を皮膚がん又は他の種類の腫瘍症から保護し、(i)式I、II若しくはIIの組成物及び/又は(ii)6-N-ヒドロキシアミノプリン(6-HAP)を産生するプロバイオティック共生微生物を含む組成物を提供する。更なる実施形態では、プロバイオティック共生微生物は、表皮ブドウ球菌株である。また更なる実施形態では、上記株は、1つ以上の表皮ブドウ球菌であり、表皮ブドウ球菌MO34及び/又は表皮ブドウ球菌MO38である。別の実施形態では、上記組成物は、局所的又は経皮的な送達用に製剤化される。また別の実施形態では、上記組成物は、ローション剤、シェイクローション剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、フォーム剤、散剤、固形剤、ペースト剤、又はチンキ剤の形態である。更なる実施形態では、上記組成物は、1つ以上の日焼け防止剤を更に含む。日焼け防止剤の例として、アミノ安息香酸、アボベンゾン、シノキセート、ジオキシベンゾン、エカムスル、エンスリゾール、ホモサレート、メラジメート、オクトクリレン、オクチノキセート、オクチサレート、オキシベンゾン、パジメートO、スリソベンゾン、二酸化チタン、サリチル酸トロールアミン、及び酸化亜鉛が含まれるが、これらに限定されない。また更なる実施形態では、皮膚保護用組成物は、1つ以上の局所的抗生物質を更に含む。局所的抗生物質の例として、スルフアセトアミドナトリウム、バシトラシン、ポリミキシンb、エリスロマイシン、スルファジアジン銀、ネオマイシン、レタパムリン、及びムピロシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
ある実施形態では、本発明は、本発明の組成物を対象に局所投与することを含む、対象を皮膚がん又は他の種類の腫瘍症の発症から防ぐ方法を更に提供する。更なる実施形態では、腫瘍症は、上皮内腫瘍である。また更なる実施形態では、腫瘍症は、UV曝露により又はUV曝露から誘発される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1-1】正常なヒト皮膚から単離された表皮ブドウ球菌株が、抗菌活性を有する非タンパク質分子を産生することを示す図である。(a)A群連鎖球菌(GAS)に対する放射拡散アッセイによる、正常なヒト皮膚から単離された、44株の表皮ブドウ球菌株からの培養上清の抗菌活性に関するスクリーニング。データは、各株の馴化培地の増殖阻害域の直径を表す。UD=検出できず。(b)表皮ブドウ球菌MO34の培養上清から、ポリヒドロキシメチルを使用したHPLCにより精製された、抗菌性化合物の溶出プロファイル。5精製工程の最後の工程を示す。挿入パネルは、GASに対する放射拡散アッセイに関する各画分の抗菌活性を表す。緑色線は、アセトニトリル中のH2Oの勾配を表す。GASに対する抗菌活性は、放射拡散アッセイにより決定した。
図1-2】正常なヒト皮膚から単離された表皮ブドウ球菌株が、抗菌活性を有する非タンパク質分子を産生することを示す図である。(c~d)熱処理(表示時間で100℃)(c)、及びプロテイナーゼK(2mg/mL)又はパパイン(2mg/mL)を用いた37℃における3時間のインキュベーション、続いて90℃における5分間のインキュベーションをして、酵素を不活性化した後(d)の、GASに対する最も強い抗菌活性を産生する表皮ブドウ球菌(MO34)からの抗菌性分子の安定性。
図2】6-HAPを産生する表皮ブドウ球菌株によるコロニー形成が、皮膚表面の病原菌に対する抗菌活性を向上させることを示す図である。(a~b)6-HAPを産生する表皮ブドウ球菌(MO34)、非抗菌株(ATCC1457)、又はビヒクルのいずれかによりコロニー化したマウス皮膚の、GAS又はメチシリン耐性の黄色ブドウ球菌(MRSA)曝露に対する抗菌活性。マウス背部皮膚に表皮ブドウ球菌(MO34若しくはATCC1457)又はPBS(ビヒクル)を2時間塗布した。次に、病原体を皮膚表面に6時間塗布した。GAS(溶血性)及び表皮ブドウ球菌(非溶血性)用の血液寒天プレートに、又はMRSA(マンニトール陽性:卵黄反応を伴う大きな黄色コロニー)及び表皮ブドウ球菌(マンニトール陰性:卵黄反応を伴わない小さいピンク色コロニー)用の卵黄を伴うマンニトール塩寒天にプレーティングしたスワブ試料の連続希釈液を、スワビングし、計数することにより、細菌生存度を測定した。各点は、個々のマウスからのデータを表す。スチューデントt検定により*P<0.05及び**P<0.01。
図3-1】表皮ブドウ球菌株が、抗菌活性を有する6-N-ヒドロキシアミノプリンを産生することを示す図である。(a)高分解能電子スプレーイオン化質量分析により分析した、表皮ブドウ球菌MO34株から精製された抗生物質の分子量。(b)アンモニウム-15N塩化物(12.5mM)を含有するTSB中で表皮ブドウ球菌MO34を24時間培養した後の、抗生物質分子への15N同位体の組み込み。
図3-2】表皮ブドウ球菌株が、抗菌活性を有する6-N-ヒドロキシアミノプリンを産生することを示す図である。(c~d)1H-NMRにおける、精製された抗生物質(c)の化学シフトと、合成6-HAP(d)の化学シフトの比較。
図3-3】表皮ブドウ球菌株が、抗菌活性を有する6-N-ヒドロキシアミノプリンを産生することを示す図である。(e~f)電子衝突質量分析における、精製された抗生物質(e)の断片化プロファイルと、合成6-HAP(f)の断片化プロファイルの比較。
図3-4】表皮ブドウ球菌株が、抗菌活性を有する6-N-ヒドロキシアミノプリンを産生することを示す図である。(g)抗生物質(6-HAP)の決定された化学構造。
図4-1】6-HAPが、DNA重合の直接的阻害剤であることを示す図である。(a)6-HAP(25μg/mL)、マイトマイシンC(5μg/mL)、又はLL-37(10μM)を含有するTHB中の、GASの時間経過死滅。各表示時間点において、培地中の生GASを、寒天プレート上でCFUを計数することにより測定した。データは、4回の個々の実験の平均値±SEを表す。(b)6-HAP(25μg/mL)、マイトマイシンC(5μg/mL)及びLL-37(10μM)を含有するTHB中で1時間インキュベートしたGASの膜透過性。損なわれた細胞膜を有する細菌(赤)は、無傷の細胞膜を有する細菌(緑)と識別され得る
図4-2】6-HAPが、DNA重合の直接的阻害剤であることを示す図である。(c)BrdU(10μM)を含有するTHB中の、6-HAP(25μg/mL)又はマイトマイシンC(5μg/mL)を用いた30又は60分間のインキュベーション後の、GASの新生DNAへのBrdU組み込み。(d)BrdU(10μM)を含有するTHB中の、6-HAP(25μg/mL)又はマイトマイシンC(5μg/mL)を用いた60分間のインキュベーション後の、表皮ブドウ球菌ATCC12228の新生DNAへのBrdU組み込み。データは、5回の個々の実験の平均値±SEを表す(ビヒクル対照に対するスチューデントt検定により、*P<0.05及び**P<0.01)。
図4-3】6-HAPが、DNA重合の直接的阻害剤であることを示す図である。(e~f)クレノウ断片ポリメラーゼによるin vitroでのDNA伸長を遮断する、6-HAPの能力。伸長反応を、IRDye800-標識した18-ntプライマー(配列番号57)、及び伸長の開始塩基においてアデノシン(X=T)又はシチジン(X=G)を必要とした25-ntテンプレート(配列番号58)を用いて実行した(e)。伸長反応を、20%のアクリルアミドゲル上での電気泳動により分析した(f)。(g)アデニンの存在下における、6-HAPのGASに対する抗菌活性。GASを、アデニンを伴うか又は伴わず、6-HAPを含有する培地中で20時間インキュベートした。GAS生存度を、CFUを計数することにより測定した。データは、4回の個々の実験の平均値±SEを表す(スチューデントt検定により、**P<0.01)。
図5-1】6-HAPの選択的抗増殖活性の要因であるmARC2を示す図である。(a~b)Pam212扁平上皮癌に抗するが、正常なケラチン産生細胞には抗しない、6-HAPの選択的抗増殖活性。表示された濃度の6-HAP又はマイトマイシンC(10μg/mL)を含有する好適な培地中で、それぞれ、4時間又は24時間のインキュベーション後の、Pam212細胞(b)又はNHEK(b)へのBrdU組み込み(a)。
図5-2】6-HAPの選択的抗増殖活性の要因であるmARC2を示す図である。(c)NHEK、扁平上皮癌(Pam212)、黒色腫(B16F10)及びリンパ腫細胞株(L5178)におけるmARC1及びmARC2の発現。各細胞における相対的発現レベルを比較するために、データを、GAPDH発現に対するものとして示した。
図5-3】6-HAPの選択的抗増殖活性の要因であるmARC2を示す図である。(d)対照siRNA、mARC1 siRNA及びmARC2 siRNAで処理したNHEKにおけるmARC1及びmARC2の発現。(e)NHEKにおける6-HAPに対する感受性への、mARC1及びmARC2のsiRNAを用いた遺伝子サイレンシングの効果。各siRNAで処理したNHEKを、48時間インキュベートし、次に10μg/mLの6-HAPと共に24時間インキュベートした。
図6-1】6-HAPが、マウスにおける深在性皮膚感染症を改善し、B16黒色腫の成長を遅らせることを示す図である。(a~c)GASによる皮膚感染症に対する、6-HAPの単回筋肉内注射の効果。感染病変のサイズを、Image-Jソフトウェアにより測定した(a)。感染後の第1日及び第3日における、6-HAP又はビヒクルで処置したマウスの、感染した皮膚(矢印)の代表的画像を(b)に示す。感染した皮膚を、細菌注射の24及び72時間後に取り除き、PBS中で均質化した(c)。寒天プレート上にホモジネートの連続希釈液をプレーティングすることにより、CFUを数え挙げた。データは、8回の個々の実験の平均値±SEを表す(ビヒクル対照に対するスチューデントt検定により、*P<0.05及び**P<0.01)。
図6-2】6-HAPが、マウスにおける深在性皮膚感染症を改善し、B16黒色腫の成長を遅らせることを示す図である。(a~c)GASによる皮膚感染症に対する、6-HAPの単回筋肉内注射の効果。感染病変のサイズを、Image-Jソフトウェアにより測定した(a)。感染後の第1日及び第3日における、6-HAP又はビヒクルで処置したマウスの、感染した皮膚(矢印)の代表的画像を(b)に示す。感染した皮膚を、細菌注射の24及び72時間後に取り除き、PBS中で均質化した(c)。寒天プレート上にホモジネートの連続希釈液をプレーティングすることにより、CFUを数え挙げた。データは、8回の個々の実験の平均値±SEを表す(ビヒクル対照に対するスチューデントt検定により、*P<0.05及び**P<0.01)。
図6-3】6-HAPが、マウスにおける深在性皮膚感染症を改善し、B16黒色腫の成長を遅らせることを示す図である。(d~e)マウスにおける黒色腫の成長に対する、6-HAPを用いた頻回の筋肉内投与の効果。データは、10回の個々の実験の平均値±SEを表す(ビヒクル対照に対するスチューデントt検定により、*P<0.05、**P<0.01及び***P<0.001)(d)。第9日及び第13日における、6-HAP又はビヒクルで処置したマウスの、腫瘍(破線)の代表的画像を(e)に示す。
図7-1-1】6-N-ヒドロキシアミノプリンを産生する表皮ブドウ球菌株が、SKH-1無毛マウスにおけるUV-誘発性の皮膚腫瘍形成を抑制することを示す図である。(a~d)DMBA、続いて180mJ/cm2におけるUV-B照射で週2回処置したSKH-1無毛マウスにおける腫瘍発生率(a)及び数(b)に対する、6-HAPを産生する表皮ブドウ球菌MO34によるコロニー形成の効果。表皮ブドウ球菌ATCC1457を、6-HAPを産生しない対照株として使用した。各マウスにおける腫瘍発生率及び腫瘍数を毎週記録した。データは、19匹のマウスの平均値±SEを表す。表皮ブドウ球菌ATCC1457(c)又はMO34(d)で処置されたマウスにおける、12週での、UV-誘発性の腫瘍形成の代表的画像を示す。
図7-1-2】6-N-ヒドロキシアミノプリンを産生する表皮ブドウ球菌株が、SKH-1無毛マウスにおけるUV-誘発性の皮膚腫瘍形成を抑制することを示す図である。(a~d)DMBA、続いて180mJ/cm2におけるUV-B照射で週2回処置したSKH-1無毛マウスにおける腫瘍発生率(a)及び数(b)に対する、6-HAPを産生する表皮ブドウ球菌MO34によるコロニー形成の効果。表皮ブドウ球菌ATCC1457を、6-HAPを産生しない対照株として使用した。各マウスにおける腫瘍発生率及び腫瘍数を毎週記録した。データは、19匹のマウスの平均値±SEを表す。表皮ブドウ球菌ATCC1457(c)又はMO34(d)で処置されたマウスにおける、12週での、UV-誘発性の腫瘍形成の代表的画像を示す。
図7-2】6-N-ヒドロキシアミノプリンを産生する表皮ブドウ球菌株が、SKH-1無毛マウスにおけるUV-誘発性の皮膚腫瘍形成を抑制することを示す図である。(a~d)DMBA、続いて180mJ/cm2におけるUV-B照射で週2回処置したSKH-1無毛マウスにおける腫瘍発生率(a)及び数(b)に対する、6-HAPを産生する表皮ブドウ球菌MO34によるコロニー形成の効果。表皮ブドウ球菌ATCC1457を、6-HAPを産生しない対照株として使用した。各マウスにおける腫瘍発生率及び腫瘍数を毎週記録した。データは、19匹のマウスの平均値±SEを表す。表皮ブドウ球菌ATCC1457(c)又はMO34(d)で処置されたマウスにおける、12週での、UV-誘発性の腫瘍形成の代表的画像を示す。
図7-3】6-N-ヒドロキシアミノプリンを産生する表皮ブドウ球菌株が、SKH-1無毛マウスにおけるUV-誘発性の皮膚腫瘍形成を抑制することを示す図である。(e~f)UV-Bで12週間処置された、それぞれ、表皮ブドウ球菌1457(e)又はMO34(f)によりコロニー化したSKH-1マウスから得られた、UV-誘発性の皮膚腫瘍又は皮膚の代表的なH&E染色。
図7-4】6-N-ヒドロキシアミノプリンを産生する表皮ブドウ球菌株が、SKH-1無毛マウスにおけるUV-誘発性の皮膚腫瘍形成を抑制することを示す図である。(g~h)それぞれ、表皮ブドウ球菌ATCC1457(g)又はMO34(h)で処置された、UV-誘発性の腫瘍又はSKH-1マウスの皮膚における、表皮ブドウ球菌及びケラチン-14に対する免疫染色。
図7-5】6-N-ヒドロキシアミノプリンを産生する表皮ブドウ球菌株が、SKH-1無毛マウスにおけるUV-誘発性の皮膚腫瘍形成を抑制することを示す図である。(g~h)それぞれ、表皮ブドウ球菌ATCC1457(g)又はMO34(h)で処置された、UV-誘発性の腫瘍又はSKH-1マウスの皮膚における、表皮ブドウ球菌及びケラチン-14に対する免疫染色。
図8】表皮ブドウ球菌の皮膚単離株及び実験室株による6-HAPの産生を示す図である。(a~d)正常なヒト皮膚の表面から単離された表皮ブドウ球菌のMO34(a)及びMO38(b)株、又はATCC12228(c)及びATCC1457(d)実験室株を、TSB中で終夜培養した。6-HAPを、方法項に基づいて、培養上清から部分的に精製した。左のパネルは、Sep-Pak工程(方法を参照されたい)後の、TSKgel NH2-100アミノカラム(4.6×150mm)(Tosoh Biosci.LLC、東京、日本)に関する、6-HAPのHPLC-溶出プロファイル(矢印)を示す。溶出プロファイルを、270nmにおいて監視した。緑色線は、アセトニトリル中のH2Oの勾配を表す。右のパネルは、GASに対する放射拡散アッセイに関する各画分の抗菌活性を表す。
図9】AcOD-D2O中の6-HAPのgHMBCスペクトル(500MHz)を示す図である。6-HAPの炭素スペクトルを、gHMBC実験により間接的に測定した。gHMBCスペクトルデータを、Mercury Pluss 500 (Varian)分光計で記録した。FIDファイルを、MestRenova 8.1(MestreLab Research)を使用して処理した。AcOD-D2O(1:5v/v)中の6-HAPのgHMBCスペクトルにより、芳香族領域(δC=113.60、144.94、148.17、150.28、150.45)の5つの炭素シグナルが明らかとなった。
図10】天然6-HAPと合成6-HAPとの抗菌活性の比較を示す図である。GAS(1×105CFU/mL)を、表示された濃度の精製6-HAP又は合成6-HAPと共に、THB中で終夜インキュベートした。細菌成長を、OD600(成長指数の相対%)を測定することにより監視した。
図11】ヒトケラチン産生細胞及び脂腺細胞の細胞膜を直接破壊する、6-HAPの能力を示す図である。正常なヒト表皮ケラチン産生細胞(NHEK)又は不死化ヒト脂腺細胞株(SZ95)(1×105セル)を、それぞれEpilife又はSebmed培地中で、表示された濃度の6-HAPと共に、37℃で6時間インキュベートした。ビヒクル(0.5%のDMSO)又はTriton X-100(0.1%)を添加して、それぞれ、0%又は100%のLDH放出を達成した。LDH放出を、Cytotoxicity Detection Kit(LDH)(Roche、Mannheim、ドイツ)を用いて、提供されたプロトコールに基づいて決定した。データは、3回の個々の実験の平均値±SEを表す。
図12-1】6-HAPが、腫瘍細胞株に対する抗増殖活性を発揮することを示す図である。表示された濃度の6-HAP又はマイトマイシンC(10μg/mL)を含有する好適な培地中における4時間のインキュベーション後の、腫瘍細胞株、L5178(a)、YAC-1リンパ腫(b)、B16F10黒色腫(c)の増殖活性。細胞の増殖活性を、BrdU組み込みを監視することにより決定した。データは、4回の個々の実験の平均値±SEを表す。
図12-2】6-HAPが、腫瘍細胞株に対する抗増殖活性を発揮することを示す図である。表示された濃度の6-HAP又はマイトマイシンC(10μg/mL)を含有する好適な培地中における4時間のインキュベーション後の、腫瘍細胞株、L5178(a)、YAC-1リンパ腫(b)、B16F10黒色腫(c)の増殖活性。細胞の増殖活性を、BrdU組み込みを監視することにより決定した。データは、4回の個々の実験の平均値±SEを表す。
図13】マウスにおける6-HAPの全身的毒性を示す図である。C57BL6マウス(8週の雌)に、6-HAP(20mg/kg)又は等しい体積のビヒクル(0.9%のNaCl中の2.5%のDMSO)を用いて、48時間ごとに2週間血管内投与した(矢印)。6-HAPの毒性を観察するために、マウス体重を指示された時点で決定した。データは、10匹のマウスの平均値±SEを表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈により明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「化合物(a compound)」への言及は、複数のその化合物を含み、「細胞(the cell)」への言及は、1つ以上の細胞への言及等を含む。
【0021】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は等価の任意の方法及び試薬が、本発明の方法の実行及び組成物において使用され得るが、ここに例示的な方法及び材料を記載する。
【0022】
「又は」の使用も、別段に明記されない限り、「及び/又は」を意味する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(haves)」、及び「有している(having)」は互換的であり、限定を意図するものではない。
【0023】
様々な実施形態の記載において、用語「含む(comprising)」を使用する場合、いくつかの特定の場合において、一実施形態は「から本質的になる」又は「からなる」という言語を使用して代替的に記載され得ることを、当業者であれば理解するであろうことを更に理解されたい。
【0024】
本明細書で述べた全ての刊行物は、その刊行物に記載され、本明細書の記載と関連して使用され得る方法論を説明し、開示する目的で、その全容が本明細書に参照により組み込まれる。しかしながら、組み込まれた刊行物又は参照文献及び本出願において明確に述べられるか又は定義されたものの両方に見いだされる任意の同様又は同一の用語に関して、本出願において明確に述べられたその用語の定義又は意味が、あらゆる点で規定するものとする。上記及び本文全体を通して論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書の何ものも、本発明者らが、先行開示によって、このような開示に先行する権利を持たないことを承認するものとして解釈されてはならない。
【0025】
用語「アルキル」は、炭素及び水素原子からなり、炭素間に共有単結合を含有する有機基を指す。一般に、「アルキル」は、本発明で使用される場合、別段に明記されない限り、1~20個の炭素原子を含有する有機基を指す。2個以上の炭素がある場合、炭素は直鎖で連結してもよく、あるいは3個以上の炭素がある場合、炭素はまた、親鎖が1個以上の2級炭素、3級炭素、又は4級炭素を含有するように分岐で連結してもよい。アルキルは、別段に明記されない限り、置換されていても、又は非置換であってもよい。置換アルキル基には、中でも、アリール基で置換されたものが含まれ、これらも同様に場合によって置換され得る。特定のアルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、シクロプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、シクロブチル、n-ペンチル、分岐ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、分岐ヘキシル、及びシクロヘキシル基が含まれ、これらの全ては場合によって置換される。特定の置換アルキル基には、ハロアルキル基、特にトリハロメチル基、特にトリフルオロメチル基が含まれる。
【0026】
用語「アルケニル」は、炭素及び水素原子からなり、2個の炭素間に少なくとも1個の共有二重結合を含有する有機基を指す。一般に、「アルケニル」は、本発明で使用される場合、別段に明記されない限り、1~20個の炭素原子を含有する有機基を指す。C1-アルケニルは、親鎖の原子と1個の二重結合を形成し得るが、3個以上の炭素のアルケニル基は、2個以上の二重結合を含有し得る。場合によっては、アルケニル基は共役し、他の場合にはアルケニル基は共役せず、また他の場合にはアルケニル基は、共役の連続した伸長部分及び非共役の連続した伸長部分を有してもよい。加えて、2個以上の炭素がある場合、炭素は直鎖で連結してもよく、あるいは4個以上の炭素がある場合、炭素はまた、親鎖が1個以上の2級炭素、3級炭素、又は4級炭素を含有するように分岐で連結してもよい。アルケニルは、別段に明記されない限り、置換されていても、又は非置換であってもよい。置換アルケニル基には、中でも、アルキル又はアリール基で置換されたものが含まれ、これらの基も同様に場合によって置換され得る。特定のアルケニル基には、エテニル、プロパ-1-エニル、プロパ-2-エニル、ブタ-1-エニル、ブタ-2-エニル、ペンタ-1-エニル、ペンタ-2-エニル、分岐ペンテニル、ヘキサ-1-エニル、分岐ヘキセニルが含まれ、これらの全ては場合によって置換される。
【0027】
用語「アルキニル」は、炭素及び水素原子からなり、2個の炭素間に共有三重結合を含有する有機基を指す。一般に、「アルキニル」は、本発明で使用される場合、別段に明記されない限り、1~20個の炭素原子を含有する有機基を指す。C1-アルキニルは、親鎖の原子と1個の三重結合を形成し得るが、3個以上の炭素のアルキニル基は、2個以上の三重結合を含有し得る。2個以上の炭素がある場合、炭素は直鎖で連結してもよく、あるいは5個以上の炭素がある場合、炭素はまた、親鎖が1個以上の2級炭素、3級炭素、又は4級炭素を含有するように分岐で連結してもよい。アルキニルは、別段に明記されない限り、置換されていても、又は非置換であってもよい。
【0028】
用語「抗菌性」は、処置、薬剤及び化合物に関する場合、外来性の媒介物による感染により起きるか又はそれらに起因する任意の症状を抑制し、弱毒化し、寛解するために使用され得る薬剤を指す。本発明の目的上、外来性の媒介物には、細菌、寄生虫、ウイルス、及び菌類が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
用語「抗がん」は、処置、薬剤及び化合物に関する場合、細胞増殖性障害、新生物又はがんにより起きるか又はそれらに起因する任意の症状を抑制し、弱毒化し、寛解するために使用され得る薬剤(例えば、6-HAP又はプロバイオティック等の小分子)を指す。
【0030】
用語「アリール」は、本発明で使用される場合、環原子として炭素のみを含有する、局在パイ電子雲を有する共役平面環系を指す。本発明の目的上、「アリール」は、1~7個のアリール環を包含し、アリールが1環より多い場合は、アリール環は、連結するか、縮合するか、又はこれらの組合せとなるように結び付く。アリールは、置換されていても若しくは非置換であってもよく、又は2個以上のアリール環の場合は、1個以上の環が非置換であってもよく、1個以上の環が置換されていてもよく、又はこれらの組合せであってもよい。置換アリール基には、中でも、アルキル又はアルケニル基で置換されたものが含まれ、これらの基も同様に場合によって置換され得る。特定の置換アリール基には、モノ、ジ、トリ、テトラ、及びペンタハロ置換フェニル基;モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、及びヘプタハロ置換されたナフタレン基;3-又は4-ハロ置換フェニル基、3-又は4-アルキル-置換されたフェニル基、3-又は4-アルコキシ-置換されたフェニル基、3-又は4-RCO-置換されたフェニル、5-又は6-ハロ置換ナフタレン基が含まれる。より詳細には、置換アリール基には、アセチルフェニル基、特に4-アセチルフェニル基;フルオロフェニル基、特に3-フルオロフェニル及び4-フルオロフェニル基;クロロフェニル基、特に3-クロロフェニル及び4-クロロフェニル基;メチルフェニル基、特に4-メチルフェニル基、及びメトキシフェニル基、特に4-メトキシフェニル基が含まれる。特定のアリール基には、フェニル基、ビフェニル基、及びナフチル基が含まれ、これらの全ては場合によって置換される。
【0031】
本発明の目的上、用語「がん」は、細胞増殖性障害、新生物、前がん性細胞障害及びがんを包含して使用される。したがって、「がん」は、転移又は腫瘍成長に至り得る異常な細胞増殖を起こす任意の細胞を指す。例示的ながんとして、副腎皮質癌、AIDS-関連のがん、AIDS-関連のリンパ腫、肛門がん、肛門直腸癌、肛門管のがん、虫垂癌、小児小脳星状細胞腫、小児大脳星状細胞腫、基底細胞癌、皮膚がん(非黒色腫)、胆道がん、肝外胆管がん、肝内胆管がん、膀胱がん(bladder cancer)、膀胱がん(urinary bladder cancer)、
骨及び関節のがん、骨肉腫及び悪性線維性組織球腫、脳がん、脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視覚路及び視床下部の神経膠腫、三種陰性乳がんを含む乳がん、気管支腺腫/カルチノイド、カルチノイド腫瘍、胃腸管、神経系のがん、神経系リンパ腫、中枢神経系がん、中枢神経系リンパ腫、子宮頚がん、小児がん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸がん、結腸直腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ系新生物、菌状息肉症、セザリー症候群、子宮内膜がん、食道がん、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼がん、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢がん、胃(gastric)(胃(stomach))がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞性腫瘍、卵巣胚細胞性腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍神経膠腫、頭頸部がん、肝細胞(肝臓)がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼球内黒色腫、眼球がん、膵島腫瘍(膵内分泌部)、カポジ肉腫、腎臓がん、腎がん、喉頭がん、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリーセル白血病、唇及び口腔のがん、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、AIDS-関連のリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、髄芽腫、黒色腫、眼球内(目)黒色腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、中皮腫、転移性扁平頸部がん(squamous neck cancer)、口がん、舌のがん、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、上咽頭がん、神経芽細胞腫、口腔がん(oral cancer)、口腔がん(oral cavity cancer)、中咽頭がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣低悪性度腫瘍、膵がん、島細胞膵がん、副鼻腔及び鼻腔のがん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽細胞腫、前立腺がん、直腸がん、腎盂及び尿管、移行細胞がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、軟部肉腫、子宮がん、子宮肉腫、皮膚がん(非黒色腫)、皮膚がん(黒色腫)、乳頭腫、日光角化症及び角化棘細胞腫、メルケル細胞皮膚癌、小腸がん、軟部肉腫、扁平上皮癌、胃(stomach)(胃(gastric))がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、精巣がん、咽頭がん、胸腺腫、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺がん、腎盂及び尿管並びに他の泌尿器の移行細胞がん、妊娠性絨毛性腫瘍、尿道がん、子宮内膜の子宮がん、子宮肉腫、子宮体がん、腟がん、外陰がん、及びウィルムス腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫、結腸直腸がん、膵がん、膀胱がん、乳がん、三種陰性乳がん、卵巣がん及び肺がんからなる群から選択される。
【0032】
用語「シクロアルキル」は、本発明で使用される場合、少なくとも3個の炭素原子を含有するが、環を形成するように連結した12個以下の炭素原子を含有するアルキルを指す。本発明の目的上、「シクロアルキル」は、1~7個のシクロアルキル環を包含し、シクロアルキルが1環より多い場合は、シクロアルキル環は、連結するか、縮合するか、又はこれらの組合せとなるように結び付く。「シクロアルキル」はまた、二環式及び三環式-ベースの基も含み得る。シクロアルキルは、置換されていても若しくは非置換であってもよく、又は2個以上のシクロアルキル環の場合は、1個以上の環が非置換であってもよく、1個以上の環が置換されていてもよく、又はこれらの組合せであってもよい。
【0033】
用語「シクロアルケニル」は、本発明で使用される場合、少なくとも3個の炭素原子を含有するが、環を形成するように連結した12個以下の炭素原子を含有するアルケンを指す。本発明の目的上、「シクロアルケニル」は、1~7個のシクロアルケニル環を包含し、シクロアルケニルが1環より多い場合は、シクロアルケニル環は、連結するか、縮合するか、又はこれらの組合せとなるように結び付く。「シクロアルケニル」は、二環式及び三環式-ベースの基を含み得る。シクロアルケニルは、置換されていても若しくは非置換であってもよく、又は2個以上のシクロアルケニル環の場合は、1個以上の環が非置換であってもよく、1個以上の環が置換されていてもよく、又はこれらの組合せであってもよい。特定のアルケニル基には、シクロプロパ-1-エニル、シクロブタ-1-エニル、シクロブタ-2-エニル、シクロペンタ-1-エニル、シクロヘキセニルが含まれ、これらの全ては場合によって置換される。
【0034】
用語「複素環」は、本発明で使用される場合、少なくとも1個の非炭素環原子を含有する環構造を指す。本発明の目的上、「複素環」は、1~7個の複素環を包含し、複素環が1環より多い場合は、複素環は、連結するか、縮合するか、又はこれらの組合せとなるように結び付く。複素環は、ヘテロアリール若しくは非芳香族であってもよく、又は2個以上の複素環の場合は、1個以上の環が非芳香族であってもよく、1個以上の環がヘテロアリールであってもよく、又はこれらの組合せであってもよい。複素環は、置換されていても若しくは非置換であってもよく、又は2個以上の複素環の場合は、1個以上の環が非置換であってもよく、1個以上の環が置換されていてもよく、又はこれらの組合せであってもよい。典型的には、非炭素環原子は、N、O、S、Si、Al、B、又はPである。2個以上の非炭素環原子がある場合は、これらの非炭素環原子は、同じ元素であるか、又はN及びO等の異なる元素の組合せのいずれかであり得る。複素環の例として:アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ジオキソラン、スルホラン2,3-ジヒドロフラン、2,5-ジヒドロフランテトラヒドロフラン、チオファン、ピペリジン、1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピラン、チオピラン、2,3-ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジヒドロピリジン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ジオキサン、ホモピペリジン、2,3,4,7-テトラヒドロ-1H-アゼピンホモピペラジン、1,3-ジオキセパン、4,7-ジヒドロ-1,3-ジオキセピン、及びヘキサメチレンオキシド等の単環式複素環;並びにインドール、インドリン、イソインドリン、キノリン、テトラヒドロキノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、1,4-ベンゾジオキサン、クマリン、ジヒドロクマリン、ベンゾフラン、2,3-ジヒドロベンゾフラン、イソベンゾフラン、クロメン、クロマン、イソクロマン、キサンテン、フェノキサチイン、チアントレン、インドリジン、イソインドール、インダゾール、プリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、フェナントリジン、ペリミジン、フェナント
ロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、1,2-ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンズトリアゾール、チオキサンチン、カルバゾール、カルボリン、アクリジン、ピロリジジン、及びキノリジジン等の多環式複素環が含まれるが、これらに限定されない。上述の多環式複素環に加えて、複素環には、2個以上の環の間の環縮合が、両方の環に共通する2個以上の結合及び両方の環に共通する3個以上の原子を含む多環式複素環が含まれる。そのような橋かけ複素環の例として、キヌクリジン、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン及び7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンが含まれる。
【0035】
単独で又は接尾辞若しくは接頭辞として使用される用語「複素環基」、「複素環部分」、「複素環」、又は「ヘテロシクロ」は、そこから1個以上の水素が除去された複素環を指す。
【0036】
単独で又は接尾辞若しくは接頭辞として使用される用語「ヘテロシクリル」は、そこから水素原子を取り除くことによる、複素環に由来する1価の基を指す。ヘテロシクリルには、例えば、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ジオキソラニル、スルホラニル、2,3-ジヒドロフラニル、2,5-ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、チオファニル、ピペリジニル、1,2,3,6-テトラヒドロ-ピリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、チオピラニル、2,3-ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、1,4-ジヒドロピリジニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキサニル、ジオキサニル、ホモピペリジニル、2,3,4,7-テトラヒドロ-1H-アゼピニル、ホモピペラジニル、1,3-ジオキセパニル、4,7-ジヒドロ-1,3-ジオキセピニル、及びヘキサメチレンオキシジル等の単環式ヘテロシクリルが含まれる。加えて、ヘテロシクリルには、例えば、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、フリル、フラザニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3-トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、及び1,3,4オキサジアゾリルのような芳香族ヘテロシクリル又はヘテロアリールが含まれる。加えて、ヘテロシクリルは、例えば、インドリル、インドリニル、イソインドリニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、1,4-ベンゾジオキサニル、クマリニル、ジヒドロクマリニル、ベンゾフラニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、キサンテニル、
フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニル、イソインドリル、インダゾリル、プリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、フェナントリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、1,2-ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズトリアゾリル、チオキサンチニル、カルバゾリル、カルボリニル、アクリジニル、ピロリジジニル、及びキノリジジニルのような多環式ヘテロシクリル(芳香族又は非芳香族の両方を含む)を包含する。上述の多環式ヘテロシクリルに加えて、ヘテロシクリルには、2個以上の環の間の環縮合が、両方の環に共通する2個以上の結合及び両方の環に共通する3個以上の原子を含む、多環式ヘテロシクリルが含まれる。そのような橋かけ複素環の例として、キヌクリジニル、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル;及び7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
単独で又は接尾辞若しくは接頭辞として使用される用語「ヘテロアリール」は、芳香族的特徴を有する複素環又はヘテロシクリルを指す。ヘテロアリールの例として、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チオフェン、フラン、フラザン、ピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、1,2,3-トリアゾール、テトラゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-トリアゾール、1,3,4-チアジアゾール、及び1,3,4-オキサジアゾールが含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
用語「ヘテロ」は、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、又はヘテロ炭化水素等のように接頭辞として使用される場合、本発明の目的上、親鎖の一部として、非炭素原子により置き換えられた1個以上の炭素原子を有する規定された炭化水素を指す。そのような非炭素原子の例として、N、O、S、Si、Al、B、及びPが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロ系の親鎖中に2個以上の非炭素原子がある場合、この原子は、同じ元素であってもよく、又はN及びO等の異なる元素の組合せであってもよい。
【0039】
用語「混合環系」は、少なくとも2個の環を含む、場合によって置換された環構造を指し、該環は、連結するか、縮合するか、又はこれらの組合せにより共に結び付く。混合環系は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、及び複素環を含む異なる環型の組合せを含む。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「プロバイオティック組成物」は、本発明のプロバイオティック共生皮膚細菌を含む組成物を含み、式I又はIIで表される化合物を場合によって含んでもよく、ヒト皮膚のミクロビオームバランスに影響を及ぼし、がん成長、浸潤及び/又は転移を阻害することができ、病原体の拡散及び増殖に影響を及ぼし得る。プロバイオティック組成物は、自然に存在する媒介物又は微生物の非天然の比又は組成を有し得る。例えば、微生物プロバイオティック組成物は、皮膚上で見いだされる単一種類の生物体(例えば、表皮ブドウ球菌MO34若しくはMO38、又はMO34及びMO38)を、自然では通常に見いだされない細胞の密度又は量で含み得る。代替的に、又は付加的に、微生物プロバイオティック組成物は、上述の単一種類の生物体を含み得るが、これは膏薬、ローション剤、懸濁剤、軟膏剤等の自然には存在しない組成物中に存在する。更に別の実施形態では、微生物プロバイオティック組成物は、自然では通常に見いだされない密度で、又は非天然に存在する組成物と自然では見いだされない密度で混合された微生物を含み得る。更に別の実施形態では、微生物プロバイオティック組成物は、組換え操作された微生物(例えば、弱毒化された細菌種)を含み得る。一実施形態では、共生皮膚細菌は、6-HAPを産生する細菌である。別の又は更なる実施形態では、該細菌は、表皮ブドウ球菌MO34及び/又はMO38を含む。
【0041】
用語「精製された」及び「実質的に精製された」は、本明細書で使用される場合、in vivo-生成薬剤が自然に関連する自然環境で見いだされる他の細胞又は成分を実質的に含まない、培養液、又は微生物若しくは生物学的製剤の共培養液(例えば、発酵培地及び抽出物、分画された発酵培地、発酵副生成物、式I又はIIの化合物等)を指す。いくつかの実施形態では、共培養プロバイオティックは、1つ又は複数の共生皮膚細菌を含み得る。
【0042】
用語「置換された」は、炭化水素、複素環等に関して、親鎖が1つ以上の置換基を含有する構造を指す。例えば、場合によって置換された炭化水素、ヘテロ炭化水素、複素環、混合環系等は、1つ以上の以下の:ハロゲン、CN、-COOR、-OR、-COR、-OCOOR、-CON(R)2、-OCON(R)2、-N(R)2、NO2、-SR、-SO2R、-SO2N(R)2又は-SOR基の置換基による置換を含み得て、式中、Rは、炭化水素、ヘテロ炭化水素、複素環、及び混合環系を含む群から選択される。アルキル基の任意の置換には、1つ以上のアルケニル基、アリール基又は両方での置換が含まれ、該アルケニル基又はアリール基もまた場合によって置換される。アルケニル基の任意の置換には、1つ以上のアルキル基、アリール基、又は両方での置換が含まれ、該アルキル基又はアリール基もまた場合によって置換される。アリール基の任意の置換には、1つ以上のアルキル基、アルケニル基、又は両方でのアリール環の置換が含まれ、該アルキル基又はアルケニル基もまた場合によって置換される。
【0043】
用語「置換基」は、水素原子の代わりに置換された原子又は原子団を指す。本発明の目的上、置換基は重水素原子を含む。
【0044】
炭化水素、ヘテロ炭化水素、複素環、混合環系等に対する任意の置換基には、中でも:-COOR[式中、Rは水素又はアルキル基若しくはアリール基であり、より詳細には、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基であり、これらの全ては場合によって置換される];
-COR[式中、Rは水素又はアルキル基若しくはアリール基であり、より詳細には、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基であり、これらの基の全ては場合によって置換される];
-CON(R)2[式中、各Rは、互いに独立して、Rは、水素又はアルキル基若しくはアリール基であり、より詳細には、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基であり、これらの基の全ては場合によって置換され;R及びRは、1つ以上の二重結合を含有し得る環を形成することができる];
-OCON(R)2[式中、各Rは、互いに独立してRは、水素又はアルキル基若しくはアリール基であり、より詳細には、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基であり、これらの基の全ては場合によって置換され;R及びRは、1つ以上の二重結合を含有し得る環を形成することができる];
-N(R)2[式中、各Rは、互いに独立して、Rは、水素、又はアルキル基、アシル基若しくはアリール基であり、より詳細には、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル若しくはアセチル基であり、これらの全ては場合によって置換されるか;又はR及びRは、1つ以上の二重結合を含有し得る環を形成することができる];
-SR、-SO2R、又は-SOR[式中、Rはアルキル基又はアリール基であり、より詳細には、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル基であり、これらの全ては場合によって置換され、例えば、-SR、Rは水素であり得る];
-OCOOR[式中、Rはアルキル基又はアリール基である];
-SO2N(R)2[式中、Rは水素、アルキル基、又はアリール基であり、R及びRは環を形成することができる];並びに
-OR[式中、R=H、アルキル、アリール、又はアシルであり;例えば、Rは、-OCOR*を生じるアシルであってもよく、式中、R*は、水素又はアルキル基若しくはアリール基であり、より詳細にはR*はメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基であり、これらの基の全ては場合によって置換される]
が含まれる。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「局所的」は、本明細書に記載の局所的プロバイオティック組成物が、皮膚と直接接触するような、外用での皮膚への投与、同様に浅い注射(例えば、実施例に記載されるように皮内及び病巣内に)を含み得る。
【0046】
用語「非置換」は、炭化水素、複素環等に関して、親鎖が置換基を含有しない構造を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、ある原子に連結する他の線と交差する波線は、この原子が、存在するが本構造内に描かれていない別の実体と共有結合していることを示す。線と交差しないがある原子に連結している波線は、この原子が、別の原子と、結合又は他の種類の確認できる関連性により相互作用していることを示す。
【0048】
直線及び破線で表される結合は、該結合が共有単結合あるいは共有二重結合であり得ることを示す。しかし、別の環原子と共有二重結合を形成することにより、環原子の最大原子価を超過する場合は、その結合は共有単結合である。
【0049】
本発明の目的上、Xと表された環原子が、Rと表された基と結合することによりその最大原子価を超過する場合は、Rと表された基は存在しない。
【0050】
哺乳類の皮膚には、その成長が、湿度、温度、pH、脂質含有量、及び宿主により産生される抗菌性物質の存在等の身体表面上の生態的因子により影響を受ける、多様な微生物群が棲む。それを通して皮膚表面の微生物が宿主の機能に影響を及ぼす特定の機序は、完全には理解されていないが、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌種の特定菌株が、内在性宿主抗菌ペプチド(AMP)と共に作用するタンパク質を産生して、感染性病原体に対する直接保護をもたらすことが示されてきた。例えば、表皮ブドウ球菌によるフェノール可溶性モジュリン(PSMg及びPSMd)の産生により、黄色ブドウ球菌及びA群連鎖球菌(GAS)等の細菌病原体を選択的に死滅させることができる。この種はまた、傷害後の炎症を低減し、皮膚T細胞の発達を向上させ、カテリシジン及びb-デフェンシン等の宿主AMPの発現を促進することにより、皮膚免疫機能に恩恵をもたらすことも示されてきた。無菌マウスは、特定の病原体の無い条件下又は表皮ブドウ球菌と単一関連下で維持されたマウスより、皮膚感染症に対して感受性が高い。
【0051】
共生ブドウ球菌(Staphylococcus)種が宿主防御をもたらすという更なる証拠は、セリンプロテアーゼを産生する表皮ブドウ球菌の特定菌株、又はチアゾリジンを産生する、環状ペプチドを含有するスタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)の株のいずれかを伴う鼻のコロニー形成が、黄色ブドウ球菌による鼻のコロニー形成を阻害し得るという観察所見に由来する。更に近年では、これまでに知られていない多様なAMPを産生する表皮ブドウ球菌、S.ホミニス(S.hominis)、及び他のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌種のいくつかの株が、黄色ブドウ球菌によりコロニー化するアトピー性皮膚炎患者に欠乏していることが見いだされ、これらの株の再導入の効果を評価する臨床試験は、これらが、ヒトにおける黄色ブドウ球菌のコロニー形成を直接低減することを実証した。したがって、皮膚ミクロビオームが、宿主防御を促進するのに重要な役割を果たすという証拠が増加している。
【0052】
これらの観察所見により、皮膚ミクロビオームが宿主防御の態様に寄与し得ることが示唆される。本発明は、ヒト皮膚共生細菌の代謝産物の分子分析を説明する。予期しなかったことだが、表皮ブドウ球菌株MO34及びMO38が、DNA合成を阻害する能力を有する核酸塩基類似体を産生することを見いだした。マウスに静脈内投与されるか又は局所的に塗布されると、この分子又は表皮ブドウ球菌の生菌株自体が、in vivoの腫瘍成長を抑制した。
【0053】
本発明は、式I(a)、I(b)及び/又はIIの化合物を、単独で又は本発明の化合物を産生する表皮ブドウ球菌株を含む共生プロバイオティック組成物と組み合わせて(例えば、それにより産生されて)含む、がん及び/又は病原体感染を処置するための組成物を提供する。一実施形態では、本発明は、6-HAPを含む方法及び組成物を提供する。一実施形態では、該組成物及び方法は、6-HAPを産生するプロバイオティック共生細菌を含む。別の実施形態では、該組成物及び方法は、実質的に精製された6-HAP又はその類似体若しくは誘導体を含む。別の又は更なる実施形態では、6-HAPを含む組成物は、共生プロバイオティック及び精製された6-HAP又はその類似体若しくは誘導体を含む。
【0054】
本発明は、式I(a)、式I(b)及び/又は式IIの構造を含む化合物が、DNAの複製及び発現を阻害する能力を有することを実証する。例えば、本発明は、式II(6-HAP)に関する化合物が、重要で独特の宿主防御可能性を有することを実証する。6-HAPは、GAS、GBS、黄色ブドウ球菌(MRSAを含む)及び緑膿菌(P.aeruginosa)等の主要な皮膚病原体の成長を抑制した。重要なことに、この抗菌活性は、表皮ブドウ球菌、S.ホミニス及びアクネ菌(P.acnes)等のヒト皮膚共生生物に対し、これらの皮膚病原体について選択性であった。したがって、本発明は、病原体を、式I(a)、I(b)及び/又はIIの化合物と、単独で又は本発明のプロバイオティック共生細菌と組み合わせて接触させることによる、感染の処置に有用な方法及び組成物を提供する。
【0055】
加えて、6-HAPの作用機序の研究中に、この分子はまた、哺乳類腫瘍細胞株及びUV-誘発性の皮膚腫瘍に対する選択的抗増殖機能も有するという確認にたどり着いた、予期しなかった発見がなされた。本明細書の他の箇所に記載されるように、6-HAP化合物又はその誘導体(例えば、式I(a)、及びI(b))、同様に6-HAPを産生することができる本発明のプロバイオティック共生細菌は、新生物及びがんを処置するのに使用され得る。
【0056】
本発明は、6-HAPが、細胞膜の破壊を通して活性を発揮することはなかったことを実証する。6-HAPは、無細胞アッセイにおいて、アデニン-チミジン塩基対マッチングを直接阻害した。したがって、6-HAPの作用機序は、DNA合成の阻害を介する。6-HAPでは、プリン環のC-6位炭素におけるアミノ基が、ヒドロキシアミノ基で置き換えられている。アデニンのC-6位炭素におけるアミノ基の水素は、チミンのC-4位炭素における酸素と結合するのに必要とされるため、これはDNA合成にとって重大な位置である。
【0057】
共生皮膚微生物が、そのような活性を有する核酸塩基類似体を産生することは、これまで示されていなかった。しかしながら、他の化学合成された核酸塩基類似体の、DNA合成を阻害する能力は公知である。例えば、6-メルカプトプリンは、in vivoで6-チオグアニンに変換され、次にグアニンの代わりにDNAに組み込まれる。8-アザグアニンもまた、同様の機序によりDNA合成を抑制する。6-HAPと同様に、6-チオグアニン及び8-アザグアニンは、抗生物質及び抗悪性腫瘍の活性の両方を有する。一般的な共生生物が、これまでに検出されていない強力な突然変異原を産生することは、かなり起こりそうにない。しかしながら、実際にこれに該当する場合は、これまでに検出されていない、がんに対するリスク因子を同定するために現在の観察所見が非常に意義深いものであり続けるだろう。したがって、核酸塩基類似体を産生する共生皮膚微生物の能力というこの観察所見は、きわめて重要である。
【0058】
核酸塩基類似体としての6-HAPの注目すべき特質は、病原菌及び腫瘍細胞株に対しては選択的活性を発揮するが、共生生物又は正常細胞に対する毒性はほとんどないという能力である。表皮ブドウ球菌又はS.ホミニスからこれまでに同定されたAMPもまた、宿主細胞が、それ自体の死滅に抵抗する場合の論理的挙動である、選択的死滅力を発揮することが公知であった。これらのAMPによる選択的死滅の要因である機序はよく理解されていないが、細胞膜を破壊する能力における差異に起因すると考えられている。6-HAPの場合では、いくつかの病原体及びがん細胞株のみが、in vitro及びin vivoにおいて阻害された。マウスに6-HAPを繰り返し静脈内投与した場合に、6-HAPの全身的毒性は観察されず、正常なケラチン産生細胞の成長も、培養液中の6-HAPの高濃度により阻害されなかった。対照的に、DNA合成阻害剤マイトマイシンCは、細胞成長に対するそのような選択的効果を示さなかった。したがって、この証拠により、6-HAPによる選択性は、単純に細胞分裂の速度に起因するものではないことが示唆される。6-HAPは、大腸菌(E.coli)の野生型株に対して毒性を示さないが、一方、モリブデン補酵素に関与する遺伝子が欠損している突然変異株の成長を阻害した。本明細書のデータは、モリブデン酵素mARC2が、6-HAPからNHEKを保護することを実証する。加えて、mARC2の相対的発現レベルは、がん細胞株よりNHEKにおける方が高かった。その上、本発明は、6-HAPを無毒化することができ、選択的活性を可能にし得るモリブデン酵素の関与を実証する。したがって、一実施形態では、本発明は、感染の病原体又はがん細胞が、対象の正常な健康細胞より低いレベルでmARC2発現を有する、感染又はがんを処置する方法を提供し、該方法は、本発明のプロバイオティック及び/又は式I(a)、I(b)及び/又はIIの化合物を、病原体又はがん細胞に投与することを含む。
【0059】
したがって、本発明は、我々の皮膚ミクロビオームのいくつかの構成要素が、腫瘍成長及びUV-誘発性の腫瘍形成を抑制し得るという完全に新しい概念を提供する。大部分の以前の観察所見により、腸内菌共生バランス失調(変化したミクロビオームの状態)が、がんを促進し得ることが報告された。腸内の細菌と発癌性物質の増加を関連づける観察により、この効果が炎症に依存することが示唆された。小腸炎症が、DNA損傷を誘発する遺伝毒性物質を産生する微生物叢の能力を高めることを通して、腫瘍の発達を促進することも報告された。
【0060】
本発明の重要性は数倍のものである。6-HAPの選択的活性は、皮膚ミクロビオームの恒常性を維持するのに必要不可欠であり得て、黄色ブドウ球菌の感染又はコロニー形成を処置するために治療上活用することができ、これはアトピー性皮膚炎の病原において、同様にがん進行又はがんに至る皮膚損傷の処置において重要な役割を果たす。そのような防御戦略は、有益な共生細菌を非特異的に死滅させ、正常なミクロフローラを死滅させることにより恒常性を破壊する、既存の医薬抗生物質又は消毒薬の使用より理論的に優れている。加えて、塗布された有益な細菌が、皮膚表面上に首尾よくコロニー形成した場合に、長期持続的保護が達成され得る。更に、本発明は、表皮ブドウ球菌からの抗悪性腫瘍活性という驚くべき存在を示す。細菌産物が、腫瘍成長を直接制限し得るという観察所見により、ヒト皮膚ミクロビオームの機能の理解におけるパラダイムシフトが示唆される。
【0061】
したがって、本発明は、6-HAPを産生する表皮ブドウ球菌を含む効果的な皮膚ビオームを促進することにより、皮膚感染及び/又はがん(例えば、皮膚がん)のリスクを処置するか又は低減する方法を提供する。本発明はまた、本発明の抗がん剤を産生する表皮ブドウ球菌を含むプロバイオティックを投与することを含む、感染及び/又は皮膚がんのリスクを処置するか又は低減する方法も提供する。一実施形態では、プロバイオティック組成物は、表皮ブドウ球菌MO34及び/若しくはMO38又はその弱毒化されるか若しくは遺伝子的に操作された株を含む。
【0062】
本発明は、より詳細には皮膚の、好ましくはヒト皮膚の、皮膚損傷及び新生物を阻害し、且つ/又は調節するプロバイオティック組成物を提供する。特定の実施形態では、本発明のプロバイオティック組成物は、化合物6-N-ヒドロキシアミノプリン(6-HAP)を産生することにより皮膚腫瘍症から保護する、表皮ブドウ球菌の共生株を含む。一実施形態では、該株は、表皮ブドウ球菌MO34及び/又はMO38である。
【0063】
本発明のプロバイオティック組成物は、腫瘍性の疾患及び障害を処置し、皮膚損傷及び新生物に関連する治癒を改善し、罹患率を低減し、同様に6-HAPの抗菌活性を通して感染を処置するために使用され得る。例えば、局所的プロバイオティック組成物は、UV照射により起きる皮膚損傷を処置するために、皮膚を、以下及び本明細書に記載される治療有効量又は阻害有効量の組成物と接触させることにより使用され得る。上記組成物は、1つ以上の表皮ブドウ球菌MO34及び/又はMO35を、単独で若しくは6-HAPと組み合わせて、又は6-HAP若しくはその誘導体を単独で、及び皮膚健康を改善する任意の他の所望される有効成分を含み得る。
【0064】
当技術分野で公知の任意の多様な方法が、プロバイオティック組成物又は本発明の化合物を対象に投与するために使用され得る。例えば、本発明の6-HAP抗腫瘍剤及び/又は微生物プロバイオティック組成物は、局所投与用に(例えば、ローション剤、クリーム剤、スプレー剤、ゲル剤、又は軟膏剤として)製剤化され得る。そのような局所製剤は、腫瘍性細胞、新生物に至るUV損傷等を処置するか又は阻害するのに有用である。製剤の例として、局所的なローション剤、クリーム剤、セッケン、ワイプ等が含まれる。腫瘍症又はがんが局所的でない場合の実施形態では、式I(a)、I(b)及び/又はIIの化合物の投与は、腹腔内に、静脈内に、吸入による等で送達され得る。
【0065】
したがって、本発明は、表皮ブドウ球菌を含む効果的な皮膚ビオームを促進することにより、がん(例えば、皮膚がん)のリスクを処置するか又は低減する方法を提供する。本発明はまた、本発明の抗がん剤を産生する表皮ブドウ球菌を含むプロバイオティックを投与することを含む、皮膚がんのリスクを処置するか又は低減する方法も提供する。
【0066】
本発明はまた、式I(a)の一般式:
【0067】
【化4】
[式中、
N1~N5は窒素原子であり;
X1~X2は炭素原子であり;
破線で結合しているR基は、存在するか、又は該R基が、共有二重結合により別の原子と結合している原子に連結している場合には存在せず;
直線及び破線の両方で表されている結合は、該結合が共有単結合又は共有二重結合であり得ることを示し;
縮合複素環系は、X1と二重結合を形成するN2又はN3との、及びX2と二重結合を形成するN4又はN5との3個の二重結合を含み;
R1は、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、又は-O-R10であり;
R2、R4、R5、R7~R9は、独立して、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリールであり;
R3及びR6は、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、場合によって置換された複素環、ハロゲン化物、ヒドロキシル、カルボニル、アルデヒド、カルボキシル、エステル、アルコキシ、カルボキシアミド、アミン、イミン、アジド、シアノ、ニトロ、ニトロソ、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、及びホスフェートから独立して選択され;
R10は、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、及び場合によって置換された複素環から選択される]
を有する抗菌性/抗がん性分子又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグも提供する。別の実施形態では、化合物は、式I(b)の一般式:
【0068】
【化5】
[式中、
N1~N5は窒素原子であり;
X1~X2は炭素原子であり;
破線で結合しているR基は、存在するか、又は該R基が、共有二重結合により別の原子と結合している原子に連結している場合には存在せず;
直線及び破線の両方で表されている結合は、該結合が共有単結合又は共有二重結合であり得ることを示し;
縮合複素環系は、X1と二重結合を形成するN2又はN3との、及びX2と二重結合を形成するN4又はN5との3個の二重結合を含み;
R1は、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、又は-O-R10であり;
R2、R4、R5、及びR7は、独立して、H、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリールであり;
R10は、D、場合によって置換された(C1~C6)-アルキル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキル、場合によって置換された(C1~C6)-アルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルケニル、場合によって置換された(C1~C6)-アルキニル、場合によって置換された(C1~C6)-ヘテロアルキニル、場合によって置換された(C3~C12)シクロアルキル、場合によって置換された(C4~C12)シクロアルケニル、場合によって置換されたアリール、及び場合によって置換された複素環から選択される]
を有するか、又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグである。
【0069】
また別の実施形態では、本発明は、一般式II:
【0070】
【化6】
の化合物又は薬学的に許容されるその塩若しくはプロドラッグ;又は式IIの化合物の互変異生体、又は式IIの化合物の互変異生体の薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグを提供する。
【0071】
がんの処置に有用な方法及び組成物を提供する。一実施形態では、本発明は、がんの処置に有用な組成物及び方法を提供し、該方法及び組成物は、式I(a)、I(b)及び/又はII、その誘導体又は塩を含む。本発明の方法及び組成物は、単独で又はそのようながんを処置するための他の抗がん剤と組み合わせて使用され得る。一実施形態では、上記組成物は、式I(a)、I(b)及び/又はIIの化合物に加えて、表皮ブドウ球菌MO34及び/又はMO38を含む。
【0072】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩の調製に使用されるのに好適な酸として、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)-ショウノウ酸、ショウノウスルホン酸、(+)-(1S)-ショウノウ-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラム酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、D-グルクロン酸、L-グルタミン酸、α-オキソ-グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、(+)-L-乳酸、(+/-)-DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(+/-)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフト酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、過塩素酸、リン酸、L-ピログルタミン酸、糖酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、及び吉草酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
薬学的に許容される塩の調製に使用されるのに好適な酸として、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛、又は水酸化ナトリウム等の無機塩基;及びL-アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2-(ジエチルアミノ)-エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N-メチル-グルカミン、ヒドラバミン、1H-イミダゾール、L-リシン、モルホリン、4-(2-ヒドロキシエチル)-モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第2級アミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N-メチル-D-グルカミン、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、及びトロメタミンを含む第1級、第2級、第3級、及び第4級の、脂肪族及び芳香族のアミン等の有機塩基が含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される陰イオン及び/又は陽イオンを含む。薬学的に許容される陽イオンには、中でも、アルカリ金属陽イオン(例えば、Li+、Na+、K+)、アルカリ土類金属陽イオン(例えば、Ca2+、Mg2+)、非毒性重金属陽イオン及びアンモニウム(NH4 +)及び置換アンモニウム(N(R')4 +、[式中、R'は、水素、アルキル、又は置換アルキルであり、すなわち、メチル、エチル、又はヒドロキシエチル、詳細には、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、及びトリエタノールアンモニウム陽イオンを含む]が含まれる。薬学的に許容される陰イオンには、中でも、ハロゲン化物イオン(例えば、Cl-、Br-)、硫酸イオン、酢酸イオン(例えば、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン)、アスコルビン酸イオン、アスパラギン酸イオン、安息香酸イオン、クエン酸イオン、及び乳酸イオンが含まれる。
【0075】
本明細書に開示される化合物はまた、プロドラッグ形態も有し得る。プロドラッグは、本明細書に開示される化合物の機能的誘導体であり、in vivoで親化合物に容易に変換可能である。プロドラッグは、ある状況では、投与するのが親化合物より容易であり得るために有用であることが多い。プロドラッグは、例えば、経口投与により生物学的に利用可能であり得て、一方、親化合物はそうではない。プロドラッグはまた、医薬組成物中で、親化合物を超えて、向上した溶解度を有することもできる。プロドラッグは、酵素的プロセス及び代謝性加水分解を含む様々な機序により、親薬物に変換され得る。プロドラッグの様々な例及び形態は、当技術分野で周知である。プロドラッグの例は、とりわけ、Design of Prodrugs、H.Bundgaard編、(Elsevier、1985年)、Methods in Enzymology、Vol.42、309~396頁、K.Widderら編(Academic Press、1985年);A Textbook of Drug Design and Development、Krosgaard-Larsen及びH.Bundgaard編、Chapter 5、H.Bundgaardによる「Design and Application of Prodrugs」、113~191頁、(1991年);H.Bundgaard、Advanced Drug Delivery Reviews、Vol.8、1~38頁(1992年); H.Bundgaardら、Journal of Pharmaceutical Sciences、Vol.77、285頁(1988年);及びNogrady(1985年) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach、Oxford University Press、New York、(388~392頁)に見いだされる。特定の例では、本明細書に開示される親化合物がヒドロキシル基を有する場合、このヒドロキシル基は、生物学的利用能、溶解度を増加させ、注射部位の鎮痛、不快な味の除去、毒性の低減、代謝不活性の低減、化学的安定性の向上、及び/又はヒドロキシル含有の親化合物の作用を長期化若しくは短期化させる試みの中で、エステルに変換され得る。別の特定の例では、本明細書に開示される親化合物がアミン基を有する場合、このアミン基は、生物学的利用能、溶解度を増加させ、注射部位の鎮痛、不快な味の除去、毒性の低減、代謝不活性の低減、化学的安定性の向上、及び/又はヒドロキシル含有の親化合物の作用を長期化若しくは短期化させる試みの中で、シッフ塩基に変換され得る。
【0076】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、担体、賦形剤、及び添加剤又は補助剤を使用した、対象への投与に好適な形態であり得る。頻繁に使用される担体又は補助剤には、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール及び他の糖、タルク、乳タンパク質、ゼラチン、デンプン、ビタミン、セルロース及びその誘導体、動物性及び植物性の油、ポリエチレングリコール、並びに減菌水、アルコール、グリセリン及び多価アルコール等の溶媒が含まれる。静脈内ビヒクルには、流動物及び栄養補充剤(nutrient replenisher)が含まれる。防腐剤には、抗菌剤、キレート剤、及び不活性ガスが含まれる。他の薬学的に許容される担体には、塩、防腐剤、緩衝剤等を含む水溶液、非毒性賦形剤が含まれ、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第15版、Easton:Mack Publishing Co.、1405~1412、1461~1487(1975年)、及びThe National Formulary XIV.、第14版、Washington:American Pharmaceutical Association(1975年)に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。医薬組成物の様々な成分のpH及び正確な濃度は、当技術分野における通例の技術に基づいて調節される。Goodman and Gilman's、The Pharmacological Basis for Therapeutics(第7版)を参照されたい。
【0077】
共生細菌(例えば、表皮ブドウ球菌MO34及び/若しくはMO38)又はその操作された形態(例えば、弱毒化若しくは遺伝子改変)を含む、本明細書に開示されるプロバイオティックを含む医薬組成物は、乳剤、溶液剤、懸濁剤、クリーム剤、ゲル剤、ヒドロゲル、軟膏剤、粉剤、包帯、エリキシル剤、ローション剤、懸濁剤、チンキ剤、ペースト、フォーム剤、薄膜、エアゾール剤、灌注剤、スプレー剤、坐剤、絆創膏、経皮的貼付剤を含む、局部的又は全身的な効果のための局所投与に好適な任意の剤形に製剤化され得る。本明細書に開示されるプロバイオティックを含む局所製剤はまた、リポソーム、ミセル、小球体、ナノシステム、及びこれらの混合物を含んでもよい。
【0078】
一実施形態では、本明細書に記載の式I(a)、I(b)及び/若しくはIIの化合物、並びに/又はプロバイオティック共生皮膚細菌を含む絆創膏又は包帯が提供される。様々な態様では、その主要な構成要素が上述の式I又はIIのマトリックス及び局所的プロバイオティック組成物を含む、絆創膏又は包帯が提供される。様々な態様では、その主要な構成要素がマトリックス及びプロバイオティック共生皮膚細菌を含む、絆創膏又は包帯が提供される。様々な態様では、その主要な構成要素がマトリックス及びプロバイオティック共生皮膚細菌発酵抽出物を含む、絆創膏又は包帯が提供される。様々な態様では、その主要な構成要素がマトリックス及びグリセリンを含む、絆創膏又は包帯が提供される。一実施形態では、上記絆創膏又は包帯は、皮膚の損傷又は傷害の部位に適用される。別の実施形態では、上記絆創膏又は包帯は、感染部位に適用される。
【0079】
「薬学的に許容される担体」は、溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤(必要に応じて、プロバイオティック共生細菌に対して有害なものでない限り)、等張剤及び吸収遅延剤等を含むことを意図する。薬学的活性物質としてのそのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が、医薬組成物と非適合性である場合を除いて、治療的組成物及び処置方法におけるそれらの使用が考慮される。補助活性化合物もまた、上記組成物に組み込まれ得る。
【0080】
本明細書に開示される局所製剤における使用に好適な、薬学的に許容される担体及び賦形剤には、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、安定剤、溶解度向上剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局部麻酔薬、懸濁剤及び分散剤、湿潤剤又は乳化剤、錯化剤、封鎖剤又はキレート剤、浸透増強剤、凍結保護剤、溶解保護剤(lyoprotectant)、増稠剤、及び不活性ガスが含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
プロバイオティックを含む医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、スプレー剤及びゲル剤の形態に製剤化され得る。好適な軟膏剤ビヒクルには、ラード、安息香ラード、オリーブ油、綿実油、及び他の油脂、白色ワセリン等を含む油性又は炭化水素のビヒクル;親水ワセリン、ヒドロキシステアリンスルフェート、及び無水ラノリン等の乳化可能か又は吸収性のビヒクル;親水性の軟膏等の水分除去性(water-removable)ビヒクル;分子量が変化するポリエチレングリコールを含む水溶性軟膏ビヒクル;油中水型(W/O)乳剤又は水中油型(O/W)乳剤のいずれかの、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、ラノリン、及びステアリン酸を含む乳剤ビヒクルが含まれる(Remington:The Science and Practice of Pharmacを参照されたい)。これらのビヒクルは、皮膚軟化薬であるが、抗酸化剤及び防腐剤の添加を一般に必要とする。
【0082】
好適なクリーム基剤は、水中油型又は油中水型であり得る。クリーム剤ビヒクルは、水洗可能であり、油相、乳化剤、及び水性相を含有し得る。油相は、「内部」相とも呼ばれ、一般に、ワセリン及びセチルアルコール又はステアリルアルコール等の脂肪アルコールからなる。水性相は、通例、必ずしもそうではないが、体積で油相を超えており、一般に保水剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、又は両性の界面活性剤であり得る。
【0083】
ゲル剤は、半固体、懸濁液型の系である。単一相ゲル剤は、液体担体全体にわたり実質的に均一な材料を含有する。好適なゲル化剤には、カルボマー、カルボキシポリアルキレン、Carbopol(登録商標)等の架橋アクリル酸ポリマー;酸化ポリエチレン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、及びポリビニルアルコール等の親水性ポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びメチルセルロース等のセルロース由来のポリマー;トラガカント及びキサンタンガム等のガム;アルギン酸ナトリウム;並びにゼラチンが含まれる。均一なゲル剤を調製するために、アルコール若しくはグリセリン等の分散剤が添加され得るか、又はゲル化剤は摩砕、機械的混合、及び/若しくは撹拌により分散され得る。
【0084】
本明細書に開示されるプロバイオティックを含む医薬組成物は、経直腸的に、経尿道的に、経膣的に、又は膣周囲から、坐剤、ペッサリー、ブジー、湿布剤又はパップ剤、ペースト、散剤、包帯、クリーム剤、プラスター、避妊薬、軟膏剤、溶液剤、乳剤、懸濁剤、タンポン、ゲル剤、フォーム剤、スプレー剤、又は浣腸の形態で投与され得る。これらの剤形は、Remington:The Science and Practice of Pharmacyに記載されるような従来のプロセスを使用して製造され得る。
【0085】
本発明による医薬組成物は、局部的又は全身的に投与され得る。「治療上有効用量」は、がんの症状(例えば、増殖、転移、成長等)を予防し、治癒するか、又は少なくとも部分的に抑止するのに必要な、薬剤(例えば、式I(a)、I(b)及び/若しくはIIの化合物)又は本発明による共生細菌を含むプロバイオティックの量である。この使用に効果的な量は、当然のことながら、がんの重症度、対象の体重及び全身状態並びに/又は処置される表面積に応じて変わる。典型的には、in vitroで使用される投薬量は、ヒト及び動物の処置に有用な量における有用なガイダンスを提供し得る。様々な考察が、例えば、Langer、Science、249:1527、(1990年);Gilmanら(編)(1990年)に記載され、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。投薬レジメンは、最適な治療的応答を提供するために調節され得る。例えば、数回に分割した用量を毎日投与し得るか、又は治療状況の緊急性により示されるように、用量を比例的に減少することができる。
【0086】
主要な医薬組成物は、有効量で、好適な薬学的に許容される担体を伴い、許容される投薬単位における簡便で効果的な投与用に調合される。補助活性成分を含有する組成物の場合には、投薬量は通常の用量、及び前記成分の投与方法を参照することにより決定される。
【0087】
本発明は、ヒト又は非ヒト動物を含む任意の宿主に、がん細胞又は新生物の成長、拡散又は増殖を阻害するのに有効な量で投与され得る、本明細書に開示される化合物(例えば、式I(a)、I(b)及び/又はIIの化合物)、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を提供する。一実施形態では、上記投与により、がん又は腫瘍性細胞の成長、増殖、遊走及び/又は転移の阻害がもたらされる。
【0088】
本明細書に開示される化合物(例えば、式I(a)、I(b)及び/又はIIの化合物)、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を、単独か又は1つ以上の他の治療剤と組み合わせて使用するかのいずれかで投与するために、任意の多様な、当技術分野において周知の方法が使用され得る。例えば、投与は、注射によるか又は経時的に徐々の注入により、非経口的であり得る。薬剤は、静脈内に、腹腔内に、筋肉内に、皮下に、体腔内に、吸入により、局所的又は経皮的に投与され得る。
【0089】
医薬組成物(例えば、式I(a)、I(b)及び/若しくはIIの化合物、又は表皮ブドウ球菌MO34及び/若しくはMO38等の共生細菌を含むプロバイオティック組成物、又は共生細菌及び本発明の化合物の組合せ)は、注射(皮下、静脈内等)、経口投与、吸入、経皮適用、ローション剤、クリーム剤若しくは軟膏剤を介して局所的に、又は直腸内投与による等の簡便で適切な方法で投与され得る。投与経路に応じて、医薬組成物は、医薬組成物を不活性化する恐れがある酵素、酸、及び他の自然条件の作用から、医薬組成物を保護する材料でコーティングされ得る。医薬組成物はまた、非経口的又は腹腔内に投与することもできる。分散体もまた、グリセリン、液体ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物中で、並びに油中で調製され得る。保管及び使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の成長を予防するための防腐剤を含有し得る。
【0090】
別の実施形態では、本明細書に開示される化合物及び/又は共生プロバイオティック、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、単独か、又は化学療法剤、抗生物質(プロバイオティックの利点を壊さない限り)、抗真菌剤、鎮痒薬、鎮痛薬、及び/若しくは抗ウイルス剤を含むが、これらに限定されない、1つ以上の付加的な治療剤と組み合わせるかのいずれかで製剤化され得る。
【0091】
局所投与には、本明細書で使用される場合、皮(内)、結膜、角膜内、眼球内、眼部、耳、経皮、鼻、膣、尿道、吸入、及び直腸内の投与が含まれる。そのような局所製剤は、目、皮膚、及び粘膜(例えば、口、膣、直腸)のがんを処置するか又は阻害するのに有用である。市場における製剤の例として、局所的なローション剤、クリーム剤、セッケン、ワイプ等が含まれる。
【0092】
直腸、尿道、及び膣の坐剤は、身体開口部への挿入用の固形物であり、常温で固体であるが、体温で溶融するか又は柔らかくなり、開口部内へ有効成分を放出する。直腸及び膣の坐剤に利用される薬学的に許容される担体は、本明細書に開示される医薬組成物を用いて製剤化されると体温に近い融点をもたらす剛化剤;並びに亜硫酸水素塩及びメタ重亜硫酸ナトリウムを含む、本明細書に記載の抗酸化剤等の基剤又はビヒクルを含む。好適なビヒクルには、カカオバター(セオブロマ油)、グリセリン-ゼラチン、カーボワックス(ポリエチレングリコール)、鯨ろう、パラフィン、白ろう及び黄ろう、並びに脂肪酸のモノ-、ジ-及びトリグリセリドの適切な混合物、ポリビニルアルコール、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ポリアクリル酸等のヒドロゲル;グリセリン化ゼラチンが含まれるが、これらに限定されない。様々なビヒクルの組合せが使用されてもよい。直腸及び膣の坐剤は、圧縮法又は鋳型法により調製され得る。直腸及び膣の坐剤の典型的な重量は、約2~約3gである。
【0093】
加圧された容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、又はネブライザーに使用される溶液剤又は懸濁剤は、エタノール、エタノール水溶液、又は本明細書に開示される有効成分を分散させ、可溶化するか若しくは延長放出させる好適な代替の薬剤、溶媒としての噴霧剤;及び/又はトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、若しくはオリゴ乳酸等の界面活性剤を含有して製剤化され得る。
【0094】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、約50マイクロメートル以下、又は約10マイクロメートル以下等の、吸入による送達に好適なサイズに微粒子化され得る。そのような大きさの粒子は、ナノ粒子を形成するためのスパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、超臨界流体加工、高圧均質化、又は噴霧乾燥等の当業者に公知の粉砕方法を使用して調製され得る。
【0095】
吸入器又は吹き付け器に使用されるカプセル剤、ブリスター及びカートリッジは、本明細書に開示される医薬組成物の粉末混合物;ラクトース又はデンプン等の好適な粉末基剤;及びl-ロイシン、マンニトール、又はステアリン酸マグネシウム等の性能調節剤を含有して製剤化され得る。ラクトースは、無水又は一水和物の形態であってもよい。他の好適な賦形剤又は担体には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、及びトレハロースが含まれる。吸入/鼻腔内投与用の、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、メントール及びレボメントール等の好適な香味剤、又はサッカリン若しくはサッカリンナトリウム等の甘味料を更に含んでもよい。
【0096】
局所投与用の、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、遅延、持続、パルス、制御、標的、及びプログラム放出を含む、即時放出性又は調節放出性であるように製剤化され得る。
【0097】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、毒性を低減するか又は生物学的利用能を増加させるために、リポソームに製剤化され得る。他の送達方法には、小球体若しくはプロテイノイドにカプセル封入する必要がある経口的方法、エアゾール送達(例えば、肺へ)、又は経皮的送達(例えば、イオン泳動若しくは経皮的電気穿孔による)が含まれる。他の投与方法は、当業者に公知である。
【0098】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、調節放出性剤形として製剤化され得る。本明細書で使用される場合、用語「調節放出」は、同一の経路で投与された場合、有効成分の放出の速度又は場所が、即時剤形の速度又は場所とは異なる剤形を指す。調節放出性剤形には、遅延、延長、長期、持続、拍動性、制御、促進及び高速、標的、プログラム放出、並びに胃保持の剤形が含まれる。調節放出性剤形における医薬組成物は、マトリックス制御放出性デバイス、浸透圧制御放出性デバイス、多粒子制御放出性デバイス、イオン交換樹脂、腸溶コーティング、多層コーティング、小球体、リポソーム、及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない、当業者に公知の多様な調節放出性デバイス及び方法を使用して調製され得る。有効成分の放出速度もまた、有効成分の粒度及び多形性を変化させることにより調節され得る。調節放出の例として、米国特許:第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第4,008,719号;第5,674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,556号;第5,639,480号;第5,733,566号;第5,739,108号;第5,891,474号;第5,922,356号;第5,972,891号;第5,980,945号;第5,993,855号;第6,045,830号;第6,087,324号;第6,113,943号;第6,197,350号;第6,248,363号;第6,264,970号;第6,267,981号;第6,376,461号;第6,419,961号;第6,589,548号;第6,613,358号;及び6,699,500号に記載されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む、調節放出性剤形に製剤化された医薬組成物は、マトリックス制御放出性デバイスを使用して製作され得る(Takadaら、「Encyclopedia of Controlled Drug Delivery」Vol.2、Mathiowitz編、Wiley、1999年を参照されたい)。
【0100】
一実施形態では、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む、調節放出性剤形の医薬組成物は、合成ポリマー、並びに多糖類及びタンパク質等の自然起源のポリマー及び誘導体を含む、水膨潤性、浸食性、又は可溶性のポリマーである浸食性マトリックスデバイスを使用して製剤化される。
【0101】
浸食性マトリックスを形成するのに有用な材料として、キチン、キトサン、デキストラン、及びプルラン;ガム寒天、アラビアゴム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラギーナン、ガティガム、グアーガム、キサンタンガム、及びスクレログルカン;デキストリン及びマルトデキストリン等のデンプン;ペクチン等の親水性コロイド;レシチン等のリン脂質;アルギン酸塩;アルギン酸プロピレングリコール;ゼラチン;コラーゲン;並びにエチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、酢酸トリメリト酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAT)、及びエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)等のセルロース化合物;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;酢酸ポリビニル;グリセリン脂肪酸エステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸;エタクリル酸又はメタクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT、Rohm America, Inc.、Piscataway、N.J.);ポリ(メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル);ポリラクチド;L-グルタミン酸及びエチル-L-グルタメートのコポリマー;分解性の乳酸-グリコール酸コポリマー;ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸;並びに、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、及びメタクリル酸(トリメチルアミノエチル)塩化物のホモポリマー及びコポリマー等の他のアクリル酸誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
更なる実施形態では、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、非浸食性マトリックスデバイスを用いて製剤化される。いったん投与されると、有効成分が、不活性マトリックスに溶解するか又は分散し、主として拡散により不活性マトリックスを通って放出される。非浸食性マトリックスデバイスとしての使用に好適な材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチルコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレンとの塩化ビニルコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロルヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、及びエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、炭酸シリコーンコポリマー等の不溶性プラスチック;エチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン、及び架橋した部分的加水分解ポリ酢酸ビニル等の親水性ポリマー;並びにカルナウバろう、微細結晶ワックス、及びトリグルセリド等の脂肪性化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
マトリックス制御放出系では、所望の放出動態は、例えば、利用されるポリマーの種類、ポリマー粘度、ポリマー及び/又は有効成分の粒度、有効成分とポリマーとの比、並びに組成物中の他の賦形剤又は担体を介して制御され得る。
【0104】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む、調節放出性剤形の医薬組成物は、直接圧縮、乾式又は湿式造粒続いて圧縮、溶融造粒続いて圧縮を含む、当業者に公知の方法により調製され得る。
【0105】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む、調節放出性剤形の医薬組成物は、1チャンバシステム、2チャンバシステム、非対称膜技術(AMT)、及び押出しコアシステム(ECS)を含む浸透圧制御放出性デバイスを使用して製作され得る。一般に、そのようなデバイスは、少なくとも2種の成分:(a)有効成分を含有するコア及び(b)コアを被包する、少なくとも1つの送達ポートを伴う半透膜を有する。半透膜は、送達ポートを通して押出しにより薬物放出を起こすように、使用の水性環境からコアへの水の流入を制御する。
【0106】
有効成分に加えて、浸透圧性デバイスのコアは、使用環境からデバイスのコア内への水の輸送用の推進力を生じる浸透圧剤を場合によって含む。ある種類の浸透圧剤、水膨潤性親水性ポリマーは、「オスモポリマー」及び「ヒドロゲル」とも称され、親水性のビニル及びアクリル系ポリマー、アルギン酸カルシウム等の多糖類、酸化ポリエチレン(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、メタクリル酸メチル及び酢酸ビニル等の疎水性モノマーとのPVA/PVPコポリマー、大きいPEOブロックを含む親水性ポリウレタン、クロスカルメロースナトリウム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びカルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム、及びデンプングリコール酸ナトリウムを含むが、これらに限定されない。
【0107】
他の種類の浸透圧剤は、水を吸収し、周囲のコーティングの障壁を越えて浸透圧勾配に影響を及ぼすことができるオスモゲン(osmogen)である。好適なオスモゲンには、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウム等の無機塩;デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロース、及びキシリトール等の糖;アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p-トルンスルホン酸、コハク酸、及び酒石酸等の有機酸;尿素;並びにこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0108】
異なる溶解速度の浸透圧剤が利用され、どの程度迅速に有効成分が剤形から最初に送達されるかに影響を及ぼし得る。例えば、Mannogeme EZ(SPI Pharma、Lewes、Del.)等の非晶質糖が使用され、最初の数時間に、より速い送達をもたらし、所望の治療効果及び残量の漸次的で連続的な放出を素早くもたらし、長期間にわたり所望レベルの治療的又は予防的効果を維持することができる。この場合は、有効成分は、代謝され排泄された有効成分の量に取って代わるような速度で放出される。
【0109】
コアはまた、投薬剤の性能を向上させるか又は安定性若しくは加工を促進するために、本明細書に記載の多様な他の賦形剤及び担体も含んでもよい。
【0110】
放出される有効成分の合計量及び放出速度は、半透膜の厚さ及び多孔度、コアの組成、並びに送達ポートの数、大きさ、及び位置を介して実質的に調節することができる。
【0111】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む、浸透圧制御放出性剤形の医薬組成物は、製剤の性能又は加工を促進するために、本明細書に記載の付加的な従来の賦形剤又は担体を更に含んでもよい。
【0112】
浸透圧制御放出性剤形は、当業者に公知の従来の方法及び技術に基づいて調製され得る(前掲、Remington:The Science and Practice of Pharmacy;Santus and Baker、J.Controlled Release 1995年、35、1~21頁;Vermaら、Drug Development and Industrial Pharmacy 2000年、26、695~708頁;Vermaら、J.Controlled Release 2002年、79、7~27頁を参照されたい)。
【0113】
ある実施形態では、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、有効成分及び他の薬学的に許容される賦形剤又は担体を含むコアをコーティングする非対称浸透膜を含む、AMT制御放出性剤形として製剤化される。米国特許第5,612,059号及びWO2002/17918号を参照されたい。AMT制御放出性剤形は、直接圧縮、乾式造粒、湿式造粒、及び浸漬コーティング法を含む、当業者に公知の従来の方法及び技術に基づいて調製され得る。
【0114】
特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、有効成分、ヒドロキシエチルセルロース、及び他の薬学的に許容される賦形剤又は担体を含むコアをコーティングする浸透膜を含む、ESC制御放出性剤形として製剤化される。
【0115】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、局部的又は全身的な投与用に、注射、注入、又は留置により非経口的に投与され得る。非経口投与には、本明細書で使用される場合、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑液嚢内、及び皮下の投与が含まれる。
【0116】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、溶液剤、懸濁剤、乳剤、ミセル、リポソーム、小球体、ナノシステム、及び注射前の液体における溶液剤又は懸濁剤に好適な固体を含む、非経口投与に好適な任意の剤形に製剤化され得る。そのような剤形は、薬学分野業者に公知の従来の方法に基づいて調製され得る(前掲、Remington:The Science and Practice of Pharmacyを参照されたい)。
【0117】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、微生物の成長に対抗する抗細菌剤又は防腐剤、安定剤、溶解度向上剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局部麻酔薬、懸濁剤及び分散剤、湿潤剤又は乳化剤、錯化剤、封鎖剤又はキレート剤、凍結保護剤、溶解保護剤、増稠剤、pH調整剤及び不活性ガスを含むが、これらに限定されない、1つ以上の薬学的に許容される担体及び賦形剤を含んでもよい。
【0118】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物の非経口投与用の調製物には、無菌の水溶液又は非水溶液、懸濁液及び乳濁液が含まれる。好適な水性ビヒクルには、水、食塩水、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射薬、リンゲル注射薬、等張性デキストロース注射薬、減菌水注射薬、デキストロース、乳酸リンゲル注射薬、アルコール/水溶液、及び乳濁液又は懸濁液が含まれるが、これらに限定されない。非水性ビヒクルには、オレイン酸エチル、及び植物起源の不揮発性油、ヒマシ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、ペパーミント油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、水素化植物油、水素化ダイズ油、及びヤシ油の中鎖トリグリセリド、パーム実油等の注射用有機エステルが含まれるが、これらに限定されない。水混和性ビヒクルには、エタノール、1,3-ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300及びポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、並びにジメチルスルホキシドが含まれるが、これらに限定されない。非経口的ビヒクルの例として、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース液、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、及び不揮発性油が含まれる。静脈内用ビヒクルには、流動物及び栄養補充剤、電解質補充剤(リンゲルデキストロース液をベースとするもの等)等が含まれる。他の抗細菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガス等の防腐剤及び他の添加剤もまた含まれ得る。
【0119】
本発明の化合物と共に使用され得る好適な抗細菌剤又は防腐剤には、フェノール、クレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル及びp-ヒドロキシ安息香酸プロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチル-及びプロピル-パラベン、並びにソルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。好適な等張剤には、塩化ナトリウム、グリセリン、及びデキストロースが含まれるが、これらに限定されない。好適な緩衝剤には、リン酸緩衝剤及びクエン酸緩衝剤が含まれるが、これらに限定されない。好適な抗酸化剤は、亜硫酸水素塩及びメタ重亜硫酸ナトリウムを含む本明細書に記載のものである。好適な局部麻酔薬には、プロカイン塩酸塩が含まれるが、これに限定されない。好適な懸濁剤及び分散剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンを含む本明細書に記載のものである。好適な乳化剤には、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン80、及びオレイン酸トリエタノールアミンを含む、本明細書に記載のものが含まれる。好適な封鎖剤又はキレート剤には、EDTAが含まれるが、これらに限定されない。好適なpH調整剤には、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、及び乳酸が含まれるが、これらに限定されない。好適な錯化剤には、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、及びスルホブチルエーテル7-β-シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標)、CyDex、Lenexa、Kans.)を含むシクロデキストリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、単回又は複数回投与用に製剤化され得る。単回投薬用製剤はアンプル、バイアル、又はシリンジ中に包装される。複数回投薬用の非経口製剤は、静菌性又は静真菌性の濃度における抗菌剤を含有しなければならない。非経口製剤は、当技術分野において公知であり実践されているように無菌である。
【0121】
一実施形態では、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、使用準備済の無菌溶液として製剤化される。別の実施形態では、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、使用前にビヒクルで復元される、凍結乾燥粉末及び皮下注射用錠剤を含む、無菌乾燥可溶性製品として製剤化される。また別の実施形態では、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、使用準備済の無菌懸濁剤として製剤化される。また別の実施形態では、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、使用前にビヒクルで復元される、無菌乾燥不溶性製品として製剤化される。更に別の実施形態では、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、使用準備済の無菌乳剤として製剤化される。
【0122】
投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、単位剤形における非経口組成物を製剤化することは特に有利である。「単位剤形」は、本明細書で使用される場合、処置される個体にとって単位投薬に適した物理的に別個の単位を指し;所定の量の医薬組成物を含有する各単位は、必要とされる薬学的担体と関連して所望の治療効果をもたらすように算出される。本発明の単位剤形に関する規定は、医薬組成物の特徴及び達成されるべき特定の治療効果に関連する。
【0123】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む、注射使用に好適な医薬組成物には、無菌注射用の溶液剤又は分散剤の即時調製用の、無菌水溶液(水溶性)又は分散剤及び無菌粉末が含まれる。全ての場合において、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、無菌であるべきであり、容易な注射針通過性が存在する程度まで流体でなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、好適なこれらの混合物、並びに植物油を含有する溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用により、分散体の場合に必要とされる粒度の維持により、界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物作用の予防は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等のような様々な抗細菌剤及び抗真菌剤により達成することができる。多くの場合には、組成物中に、例えば、糖、マンニトール、ソルビトール等のポリアルコール、又は塩化ナトリウムのような等張剤を含むことが典型的である。注射用組成物の長期吸収は、組成物中に、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような、吸収を遅らせる薬剤を含むことによりもたらすことができる。
【0124】
無菌注射用溶液剤は、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物を、必要とされる量で適切な溶媒中で、1種で又は上に列挙した成分の組合せで組み込むことにより、必要に応じて続いて濾過無菌化して調製され得る。一般に、分散剤は、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物を、基剤分散媒体及び上に列挙したものからの必要とされる他の成分を含有する無菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。
【0125】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、例えば、不活性希釈剤又は同化可能な食用担体と共に、経口投与することができる。本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体、並びに他の成分を含む医薬組成物はまた、硬-シェル若しくは軟-シェルのゼラチンカプセル剤に封入され、錠剤に圧縮されるか、又は個々の食事に直接組み込まれ得る。経口治療的投与用に、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、賦形剤と共に組み込まれ、摂取可能な錠剤、バッカル錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハ等の形態で使用され得る。そのような組成物及び調製物は、少なくとも1重量%の活性化合物を含有しなければならない。組成物及び調製物の百分率は、当然のことながら変化し得て、簡便には単位の重量の約5%~約80%の間であり得る。
【0126】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤等は、以下の:トラガント(gragacanth)、アカシア、コーンデンプン、又はゼラチン等の結合剤;リン酸二カルシウム等の賦形剤;コーンデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸等の崩壊作用剤;ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;及びスクロース、ラクトース若しくはサッカリン等の甘味剤、又はペパーミント、トウリョクジュの油、若しくはチェリー香料等の着香剤も含有することができる。単位剤形がカプセル剤である場合、上記種類の材料に加えて、液体担体を含むことができる。様々な他の材料は、コーティングとして、又は他の場合には、投薬単位の物理的形態を調節するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、又はカプセル剤は、セラック、糖、又は両方でコーティングされ得る。シロップ剤又はエリキシル剤は、甘味剤としてのスクロース、防腐剤としてのメチル及びプロピルパラベン、染料、及びチェリー又はオレンジ香料としての香料のような薬剤を含有することができる。当然のことながら、任意の単位剤形を調製するのに使用される任意の材料は、利用される量において、薬学的に純粋で実質的に非毒性/生体適合性でなければならない。
【0127】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、本明細書に開示され、遅延、持続、パルス、制御、標的、及びプログラム放出性形態を含む、即時又は調節放出性剤形として製剤化され得る。
【0128】
本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、本明細書に開示され、懸濁剤、固体、半固体、又はチキソトロピー性液体として、留置型デポーとしての投与用に製剤化され得る。一実施形態では、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む医薬組成物は、固体内部マトリックス中に分散し、それは体液には不溶性であるが医薬組成物中の有効成分が膜を通って拡散可能であるような外側ポリマー膜により取り囲まれている。
【0129】
好適な内部マトリックスには、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、可塑化又は非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカルボネートコポリマー、親水性ポリマー、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、及び架橋した部分的加水分解ポリ酢酸ビニルが含まれる。
【0130】
好適な外側ポリマー膜には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレンとの塩化ビニルコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロルヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマー、並びにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーが含まれる。
【0131】
治療有効量は、対象の症状(例えば、腫瘍成長、がん拡散等)を減少させるのに十分な量として測定され得る。典型的には、対象は、本明細書に開示される化合物、薬学的な塩形態及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を含む治療的組成物の、疾患又は障害の症状を少なくとも50%、90%又は100%減少させるのに十分な量で処置される。一般に、最適な投薬量は、対象の体重、がん又は新生物の種類、重さ、性別、及び症状の程度等の障害及び要因に依存する。それにもかかわらず、好適な投薬量は、当業者により容易に決定され得る。典型的には、好適な投薬量は、0.5~40mg/kg体重、例えば、1~8mg/kg体重である。
【0132】
本明細書に開示される化合物はまた、様々な症候群、障害、及び/若しくは疾患の1つ以上の症状の処置、予防、若しくは寛解に有用な他の薬剤と組み合わせられるか、又は組み合わせて使用されてもよい。又は、一例としてのみであるが、本明細書に記載の化合物のうちの1つの治療有効性は、アジュバントの投与により向上され得る(すなわち、単独では、アジュバントは最小限の治療的利益を有するのみであるが、別の治療剤と組み合わせると、患者に対する全般の治療的利益は向上され得る)。
【0133】
そのような他の薬剤、アジュバント、又は薬物は、一般的に使用される経路及び量により、したがって、同時に(同じ時に若しくは同じ製剤で)又は本明細書に開示される化合物と共に経時的に投与されてもよい。本明細書に開示される化合物が、1つ以上の他の薬物と同時に使用される場合、本明細書に開示される化合物に加えてそのような他の薬物を含有する医薬組成物が利用されてもよいが、必要ではない。したがって、本明細書に開示される医薬組成物には、本明細書に開示される化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分又は治療剤(例えば、化学療法薬剤若しくは他の抗がん剤、抗生物質等)も含有するものが含まれる。
【0134】
化学療法剤の例として:チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン(piposulfan)等のスルホン酸アルキル;ベンゾドパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)、及びウレドパ(uredopa)等のアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びチイメチロールオメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン(例えば、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン(carzelesin)及びビセレシンの合成類似体を含む);クリプトフィシン(詳細にはクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロルエタミン、メクロルエタミン酸化物塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;カルマスティン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン等のニトロソ尿素;ビンカアルカロイド;エピポドフィロトキシン;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリチアマイシン、特にカリチアマイシンガンマール(gammall)及びカリチアマイシンオメガール(omegall);L-アスパラギナーゼ;アントラセンジオン置換尿素;メチルヒドラジン誘導体;ダイネミシン(dynemicin)Aを含むダイネミシン;クロドロネート等のビスホスホネート;エスペラミシン;同様にネオカルジノスタチンクロモフォア及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カルビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC等のマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン等;メトトレキサート及び5-フルオロウウラシル(5-FU)等の代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート等の葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等のピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン等の抗-アドレナル(adrenal);フロリン酸等の葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルウラシル;
アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビスアントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン;エフロルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;マイタンシン及びアンサミトシン等のマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニチアエリン(nitiaerine);ペントスタチン;フェナメト(phenamet);ピラルビシン;ロソキサンチオン(losoxantione);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2 2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコセシン(特にT-2トキシン、ベラクリンA(verracurin A)、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、ABRAXANE(登録商標)クレモホール無含有、パクリタキセルのアルブミン-操作されたナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Ill.)、及びTAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル)(Rhone-Poulenc Rorer、Antony、France);クロラムブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;トトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチン等の白金配位錯体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン; NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DFMO);レチノイン酸等のレチノイド;カペシタビン;ロイコボリン(LV);イリノテカン;副腎皮質抑制剤;副腎皮質ステロイド;プロゲスチン;エストロゲン;アンドロゲン;ゴナドトロピン放出ホルモン類似体;並びに任意の上述の薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が含まれる。また本定義には、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン(onapristone)、及びFARESTON-トレミフェンを含む、抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)等の、腫瘍に対するホルモン作用を調節するか又は阻害するために作用する抗ホルモン剤;例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASL(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARTMIDEX(登録商標)アナストロゾール等の副腎におけるエストロゲン産生を調節する、酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤;並びにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、及びゴセレリン等の抗アンドロゲン;同様にトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);詳細には、例えばPKC-アルファ、Ralf及びH-Ras等の、異常細胞増殖に関係づけられるシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害する、アンチセンスオリゴヌクレオチド;VEGF-A発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標)リボザイム)及びHER2発現阻害剤等のリボザイム;例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチンのような遺伝子療法用ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rJL-2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELLX(登録商標)rmRH等のワクチン;トラスツズマブ等の抗体、並びに任意の上述の薬学的に許容される塩、酸又は誘導体も含まれる。
【0135】
好適な抗生物質には、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン)、βラクタム(例えば、ペニシリン及びセファロスポリン)、キノロン(例えば、シプロフロキサシン)、及びノボビオシンが含まれる。一般に、抗生物質は、抗菌性、抗ウイルス性及び/又は抗真菌性の量で投与される。ある実施形態では、本明細書に開示される化合物は、アモキシシリン、アンピシリン、アルスフェナミン、アジスロマイシン、アズトレオナム、アズロシリン、バシトラシン、カルベニシリン、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファゾリン、セファレキシン、セフジニル、セフジトレン、セフェピム、セフィキシム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフォキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフタジダイム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、クロラムフェニコール、シラスチン(cilastin)、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、コリスチン、ダルホプリスチン、デメクロサイクリン、ジクロキサシリン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エナフロキサシン(enafloxacin)、エンビオマイシン、エルタペネム、エタンブトール、フルクロキサシリン、ホスホマイシン、フラゾリドン、ガチフロキサシン、ゲルダナマイシン、ゲンタマイシン、ハービマイシン(herbimicin)、イミペネム、リネゾリド、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、マフェニド、モキシフロキサシン、メロペネム、メトロニダゾール、メズロシリン、ミノサイクリン、ムピロジン(mupirozin)、ナフシリン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、オキシテトラサイクリン、ペニシリン、ピペラシリン、プラテンシマイシン、ポリミキシンB(polymixin B)、プロクロルペラジン、プロントシル(prontocil)、キヌプリスチン、
リファブチン、ロキシスロマイシン、スペクチノマイシン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、テイコプラニン、テリスロマイシン、テトラサイクリン、チオアセタゾン、チオリダジン、チカルシリン、トブラマイシン、トリメトプリム、トロレアンドマイシン、トロバフロキサシン、及びバンコマイシンを含むが、これらに限定されない、1つ以上の抗生物質と組み合わせることができる。
【0136】
また更なる実施形態では、本明細書で提供される化合物は、アルドステロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレニソロン、デキサメタゾン、及びトリアムシノロンを含むが、これらに限定されない、当技術分野で公知の1つ以上のステロイド薬と組み合わせることができる。
【0137】
ある実施形態では、本明細書に開示される化合物は、アモロルフィン、アンホテリシンB、アニデュラファンギン、ビホナゾール、ブテナフィン、ブトコナゾール、カスポファンギン、シクロピロクス、クロトリマゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、フィリピン、フルコナゾール、イソコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミカファンギン、ミコナゾール、ナフチフィン、ナタマイシン、ニスタチン、オキシコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、リモシジン(rimocidin)、セルタコナゾール、スルコナゾール、テルビナフィン、テルコナゾール、チオコナゾール、及びボリコナゾールを含むが、これらに限定されない、1つ以上の抗真菌剤と組み合わせることができる。
【0138】
本明細書に開示される化合物はまた、鎮痒薬;ビバリルジン等の抗凝固薬;ストレプトキナーゼ等の血栓溶解薬;アスピリン等の非ステロイド性抗炎症剤;クロピドグレル等の抗血小板剤;アトモキセチン等のノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI);メチルフェニデート等のドーパミン再取り込み阻害剤(DARI);ミルナシプラン等のセロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI);ジアゼパム等の鎮静薬;ブプロピオン等のノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI);ベンラファキシン等のセロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(SNDRI);セレギリン等のモノアミンオキシダーゼ阻害剤;
視床下部リン脂質;ホスホラミドン等のエンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤;トラマドール等のオピオイド;イフェトロバン等のトロンボキサン受容体アンタゴニスト;カリウムチャネル開口薬;ヒルジン等のトロンビン阻害剤;PDGF活性の調節薬等の成長因子阻害剤;血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;GPIIb/IIIa遮断薬(例えば、アブドキシマブ(abdximab)、エプチフィバチド、及びチロフィバン)、P2Y(AC)アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル、チクロピジン及びCS-747)、並びにアスピリン等の抗血小板剤;ワルファリン等の抗凝固薬;エノキサパリン等の低分子量ヘパリン;第VIa因子阻害剤及び第Xa因子阻害剤;レニン阻害剤;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;オマパトリラト及びゲモパトリラト(gemopatrilat)等のバソペプチダーゼ阻害剤(二元的NEP-ACE阻害剤);プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK-104(別称は、イタバスタチン(itavastatin)、ニスバスタチン(nisvastatin)、又はニスバスタチン(nisbastatin))、及びZD-4522(ロスバスタチン、又はアタバスタチン(atavastatin)又はビサスタチン(visastatin)としても公知)等のHMG CoA還元酵素阻害剤;スクアレンシンテターゼ阻害剤;フィブラート系薬剤;クエストラン等の胆汁酸捕捉剤;ナイアシン;ACAT阻害剤等の抗アテローム硬化性剤;MTP阻害剤;ベシル酸アムロジピン等のカルシウムチャネル遮断薬;カリウムチャネル活性剤;アルファ-アドレナリン系薬剤;クロロチアジド、ヒドロキオロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリキオロメチアジド、ポリチアジド、ベンゾチアジド、エタクリン酸、チクリナフェン、クロルタリドン、フロセニルド(furosenilde)、ムゾリミン、ブメタニド、トリアムテレン、アミロリド、及びスピロノラクトン等の利尿薬;組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、組換え型tPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、及びアニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性因子複合体(APSAC)等の血小板溶解剤;ビグアニド(例えば、メトホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、インスリン、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブライド、及びグリピジド)、チオゾリジンジオン(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)、並びにPPAR-ガンマアゴニスト等の抗糖尿病剤;スピロノラクトン及びエプレレノン等のミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト;成長ホルモン分泌促進物質;aP2阻害剤;PDE III阻害剤(例えば、シロスタゾール)及びPDE V阻害剤(例えば、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル)等のホスホジエステラーゼ阻害剤;プロテインチロシンキナーゼ阻害剤;抗炎症薬;メトトレキサート、FK506(タクロリムス、プログラフ)、ミコフェノール酸モフェチル等の抗増殖薬;化学療法剤;免疫抑制薬;抗がん剤及び細胞傷害性薬物(例えば、ナイトロジェンマスタード、スルホン酸アルキル、ニトロソ尿素、エチレンイミン、及びトリアゼン等のアルキル化剤);ホレートアンタゴニスト、プリン類似体、及びピリジン類似体等の代謝拮抗薬;アントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、及びプリカマイシン等の抗生物質;L-アスパラギナーゼ等の酵素;ファルネシル-タンパク質転移酵素阻害剤;グルココルチコイド(例えば、
コルチゾン)、エストロゲン/抗エストロゲン薬、アンドロゲン/抗アンドロゲン薬、プロゲスチン、及び黄体ホルモン-放出ホルモンアンタゴニスト、並びに酢酸オクトレオチド等のホルモン剤;エクチナサイジン等の微小管-攪乱剤;パクリタキセル、ドセタキセル、及びエポチロンA~F等の微小管-安定化剤;ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、及びタキサン等の植物由来の生成物;並びにトポイソメラーゼ阻害剤;プレニル-タンパク質転移酵素阻害剤;並びにシクロスポリン;アザチオプリン及びシクロホスファミド等の細胞毒性薬;テニダップ等のTNF-アルファ阻害剤;エタネルセプト、ラパマイシン、及びレフルノミド等の抗TNF抗体又は可溶性TNF受容体;並びにセレコキシブ及びロフェコキシブ等のシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤;並びに種々の薬剤、例えば、ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、金化合物、シスプラチン、サトラプラチン、及びカルボプラチン等の白金配位錯体を含むが、これらに限定されない、他の種類の化合物と組み合わせて、好ましくは経時的に投与することもできる。
【0139】
本発明は、本明細書に開示される化合物、その誘導体又は類似体の治療有効量を、単独か又は他の抗がん剤と組み合わせるかのいずれかで、そのような障害を有するか又は有するリスクがある対象に、接触させるか又は投与することにより、がん及び/又は腫瘍性の障害を阻害する方法を提供する。用語「阻害すること」とは、症候群、障害、及び/又は疾患の徴候又は症状(例えば、腫瘍成長、がん細胞増殖及び/又は遊走、がん細胞転移等)を予防するか又は寛解することを意味する。
【0140】
本発明はまた、腫瘍細胞、がん細胞又は腫瘍性細胞を、化合物、薬学的な塩及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体と、阻害有効量で接触させることにより、腫瘍又はがんの成長を阻害する方法も提供する。用語「接触させること」は、細胞(例えば、腫瘍、がん又は腫瘍性細胞)を薬剤に曝露することを指す。生物体を本発明の局所的プロバイオティック組成物と接触させることは、例えば、局所的プロバイオティック組成物を細菌培養液に添加し、細菌の感受性を試験することにより、in vitroで起こり得る。あるいは、接触は、例えば、局所的プロバイオティック組成物を、細菌感染に苦しんでいる対象、感染に感受性が高い対象又はがんに罹患しているか若しくは発症のリスクがある対象と接触させることにより、in vivoで起こり得る。
【0141】
接触は、例えば、化合物、薬学的な塩及びプロドラッグ形態を含むその誘導体又は類似体を、感染、腫瘍、がん又は新生物に苦しんでいる対象に投与することにより、in vivoで起こり得る。In vivo接触には、非経口的と局所的の両方が含まれる。「阻害すること」又は「阻害有効量」は、例えば、腫瘍、がん又は腫瘍性細胞の死、成長及び/又は遊走及び/又は転移の阻害又は予防を起こすのに十分な薬剤の量を指す。
【0142】
本明細書に記載の治療的用途における使用のために、キット及び物品もまた本明細書に記載される。そのようなキットは、バイアル、チューブ等の1つ以上の容器を収容するように区分されたキャリアー、包装、又は容器を備え得て、それぞれの容器は、本明細書に記載の方法で使用される別個の要素の1つを含む。好適な容器には、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、及び試験管が含まれる。容器は、ガラス又はプラスチック等の多様な材料から形成され得る。
【0143】
例えば、容器は、本明細書に記載の1つ以上の化合物を、場合によって組成物中に又は本明細書に開示される別の薬剤と組み合わせて含むことができる。容器は、場合によって無菌アクセスポートを有する(例えば、容器は、皮下注射針により突き刺すことができる栓を備える静脈内溶液バッグ又はバイアルであり得る)。そのようなキットは、場合によって、本明細書に記載の方法におけるその使用に関する識別用の記載又はラベル又は指示を伴い、本明細書に開示される化合物を含む。
【0144】
キットは、典型的には、1つ以上の付加的な容器を備え、それぞれが、本明細書に記載の化合物の使用のために商業的及び使用者の観点から望ましい、1つ以上の様々な材料(場合によって濃縮形態における試薬、及び/又はデバイス等)を含む。そのような材料の非限定的な例として、緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ;内容物及び/又は使用のための指示を収載するキャリアー、包装、容器、バイアル及び/又はチューブのラベル、並びに使用のための指示を伴う添付文書が含まれるが、これらに限定されない。1組の指示もまた、典型的に含まれる。
【0145】
ラベルは、容器上にあるか又は容器に付随し得る。ラベルを形成する文字、数字又は他の文字が容器自体に付着され、成型されるか又はエッチングされている場合、ラベルは容器上にあり得て;ラベルは、例えば添付文書として、容器も保持する入れ物又はキャリアー内に存在する場合、容器に付随し得る。ラベルは、内容物が、特定の治療的用途に使用されるべきであることを示すために使用することができる。ラベルはまた、本明細書に記載の方法における等の、内容物の使用に関する指示を示すこともできる。これらの他の治療剤は、例えば、Physicians' Desk Reference(PDR)に示されるか、又は他の場合には当業者により決定される量で使用され得る。
【0146】
本発明はまた、表2(すなわち、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、及び/又は55)の1つ以上の配列又はそれらと少なくとも98%同一である配列の存在又は発現を決定することを含む、6-HAPを産生することができる共生細菌を同定する方法も提供する。同一性及び相同性を決定する方法は、当技術分野できわめて周知であり、少なくとも過去20年間実施されてきた。遺伝子発現の検出は、定量的RT-PCR、サザンブロット、ノーザンブロット等により決定することができる。表皮ブドウ球菌株MO34及び/又はMO38と同様の発現プロファイルを有し、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、及び/若しくは55の発現配列を含有する微生物は、本発明の方法及び組成物において使用され得る。
【0147】
本発明はまた、皮膚がんのリスク又は存在を決定する診断も提供する。この方法は、皮膚がんのリスクがあるか又は有する対象の皮膚からミクロビオーム試料を得ること、及び式I若しくはIIの化合物の産生を測定すること、又は式I若しくはIIの化合物を産生するミクロビオーム中の細菌を同定することを含み、式I若しくはIIの化合物又は式I若しくはIIの化合物を産生する細菌の存在は、がん又はがんを発症するリスクを示している。一実施形態では、対象はヒト対象である。別の実施形態では、この方法は、表皮ブドウ球菌株の存在を確認することを含む。別の実施形態では、表皮ブドウ球菌株は、ATCC番号_______(菌株名称S.epi-MO38 UCSD 20180315)及び/又はATCC番号_______(菌株名称S.epi-MO34 UCSD 20180315)の表現型を有する。
【実施例0148】
本発明は、以下の実施例により更に例証される。
【0149】
細菌。表皮ブドウ球菌の臨床株を、6か月間にわたり病院と接触がなかった健康なドナーの皮膚表面から単離した。全ての株を、ウサギ血漿に関するコアグラーゼ及びカタラーゼの活性により特徴付けした。表皮ブドウ球菌株を、API-Staph(BIOMERIEUX Inc.、Lyon、フランス)を使用して、全長16SrRNA遺伝子配列により更に特徴付けした。表皮ブドウ球菌(ATCC12228及びATCC1457)、黄色ブドウ球菌(ATCC35556)、S.ホミニス(ATCC27844)、大腸菌(ATCC25922)及び緑膿菌(ATCC14213)を、American Type Culture Collection (Manassas、VA)から入手した。GAS(NZ131)、GBS(DK23)並びにMRSA(USA300及びSanger252)は、寛大にも寄贈された。
【0150】
6-HAPの特徴付け及び精製。表皮ブドウ球菌MO34株を、トリプシン大豆ブロス(TSB)中で37℃において24時間培養し、0.22μmフィルターで培養上清から除去した。濾過した培養上清を凍結乾燥し、残渣をメタノール中で懸濁させ、タンパク質を沈殿させた。上清を真空下で乾燥し、残留物質を水に溶解した。6-HAPはC18逆相カラムに弱く保持されるので、溶液をSep-Pakカートリッジ(Waters Co.、Milford、MA)に適用し、H2Oで洗浄し、H2O中の5%アセトニトリルで溶出した。溶出液を凍結乾燥し、90%アセトニトリル/10%水中で懸濁させた。上清をHPLCにより分離した。各精製工程後、GAS(NZ131)に対する放射拡散アッセイにより活性を決定した。精製された化合物を、質量分析及びNMRにより特徴付けした。精製された6-HAPを凍結乾燥し、乾燥重量を測定して、比活性を測定した。
【0151】
抗菌アッセイ。放射拡散アッセイを、GAS(NZ131)株を使用して実施した。簡潔には、溶解トッド-ヒューウィットブロス(THB)寒天(10mL)を、GAS[1×106コロニー形成単位(CFU)]と混合し、10cmペトリ皿に注ぎ入れた。2~4μLの試験試料を、寒天プレート上に穿孔した小ウェルに塗布した。プレートを、37℃で終夜インキュベートし、細菌の視認できる成長を可能にした。抗菌活性は、ウェル周囲のクリア領域(細菌成長がない)により示された。
【0152】
MBCを決定するために、細菌を、TSB(ブドウ球菌)、THB(連鎖球菌)又は栄養性ブロス(緑膿菌及び大腸菌)中で、対数期(OD600=0.5~0.8)に達するまで培養した。1×105CFU/mLの細菌を、合成6-HAPの2倍連続希釈液と共に、PBS中の半分強度のMuller-Hintonブロス(MHB)中で、37℃で24時間インキュベートすることにより、6-HAPのMBCを決定した。インキュベーション後、好適な寒天プレート上に細菌の10倍連続希釈液を広げた後にCFUを計数することにより、生存細菌数を測定した。24時間のインキュベーション後、生存細菌の3-log減少(99.9%)としてMBCを決定した。
【0153】
BrdU組み込みアッセイ。GAS(NZ131)又は表皮ブドウ球菌(ATCC12228)を、それぞれTHB又はTSB中で、対数期に達するまで培養した。細菌(1×106CFU)を、10μMのBrdU、及び25μg/mLの6-HAP又は5μg/mLのマイトマイシンCを含有する100μLのTHB又はTSB中で、37℃で60分までインキュベートした。インキュベーション後、細菌細胞を、FixDenat溶液(Roche、Mannheim、ドイツ)で直ちに固定した。新生DNAへのBrdU組み込みを、BrdU組み込みアッセイキット(Roche)を使用してマニュアルに基づいて時間依存方式で測定した
【0154】
In vitroでのDNA重合アッセイ。6-HAPが、DNA伸長におけるアデノシン-チミジン塩基対マッチングを破壊するかどうかを検討するために、IRDye800-標識した18-bpプライマー、及び伸長の突出部の開始塩基においてアデノシン(X=T)又はシチジン(X=G)を必要とする25-bpテンプレートを設計した(図3e)。反応混合物は、DNAポリメラーゼ緩衝剤中に、100nMのプライマー/テンプレート、0.1Uのクレノウ断片(exo-)DNAポリメラーゼ(Promega、Madison、WI)、1μMのdNPTを含有した。該混合物を、37℃で10分間インキュベートした。反応を、停止液(98%のホルムアルデヒド及び20mMのEDTA)を添加することにより終結させた。延長DNAを、7Mの尿素を含有する20%の変性ポリアクリルアミドゲル上で、電気泳動によりプライマーから分離した。Oddyssey Imaging System(LI-COR Biosciences、Lincoln、NE)を用いて、蛍光を可視化した。
【0155】
細胞培養液及び細胞増殖アッセイ。B16F10マウス黒色腫、Pam212、L5178及びYAC-1マウス黒色腫の細胞株を、American Type Culture Collectionから入手した。Pam212、L5178及びYAC-1の細胞株を、ピルビン酸ナトリウム(1mM)、非必須アミノ酸(0.1mM)、ペニシリン(100単位/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)及び10%の熱-不活性化したウシ胎仔血清(FBS)又はウマ血清を補充したRPMI-1640中で、37℃において、空気中5%(v/v)のCO2の雰囲気下で維持した。B16F10細胞株を、ペニシリン(100単位/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)及び10%の熱-不活性化したFBSを補充したDMEM中で維持した。NHEKを、Invitrogen(Life technologies、Grand Island、NY)から入手し、60μMのカルシウム、上皮成長因子、ペニシリン及びストレプトマイシンを補充したEpiLife培地(Life technologies)中で維持した。6-HAPと共に4時間(腫瘍細胞株)又は24時間(NHEK)のインキュベーション後、細胞の増殖活性を、Cell Proliferationキットを用いてマニュアル(Roche)に基づいて、BrdU組み込みを監視することにより比色分析的に決定した。
【0156】
siRNAを用いたmARCの遺伝子サイレンシング。NHEKを、mARC1又はmARC2用に予め設計されたsiRNA(Thermo Fisher、Waltham、MA)、及びRNAiMAX(登録商標)試薬を含有するEpiLife(登録商標)培地中で、24時間培養した。細胞をEpiLife中で72時間維持し、6-HAP(10μg/mL)と共に24時間インキュベートした。6-HAPの抗増殖活性を、上述のようにBrdU組み込みを測定することにより決定した。
【0157】
HPLC。SepPakカートリッジからの活性画分を、親水性相互作用モードで、Venusil XBP NH2(5μm、100Å、10×250mm)(Agela Technologies、Wilmington、DE)を用いて、4mL/分における、アセトニトリル中5%~35%の直線勾配のH2OでHPLCにより分離した。活性画分を分画し、凍結乾燥しH2O中の90%アセトニトリルに溶解した。活性画分を、PolyHYDROXYETHYL A(5μm、60Å、9.4×250mm)を用いて、3ml/分における、アセトニトリル中5%~35%の直線勾配のH2Oで更に清浄した。溶出プロファイルを、270nmにおける吸光度で監視した。各精製工程後、GAS(NZ131)に対する放射拡散アッセイにより、活性を決定した。精製された6-HAPを凍結乾燥し、乾燥重量を測定して、比活性を測定した。
【0158】
質量分析。Thermo Finnigan MAT900XL質量分析計(Thermo Scientific、Waltham、MA)を、低分解能電子衝突質量分析(LR-EI-MS)及び高分解能エレクトロスプレーイオン化質量分析(HR-EI-MS)の両方で利用し、試料導入用に直接挿入プローブを使用した。1.0mAの放出電流を伴い、電子エネルギーを70eVに設定した。高分解能エレクトロスプレーイオン化MS(HR-ESI-MS)分析を、Thermo LTQ Orbitrap XL質量分析計で実施した。250℃の加熱キャピラリー温度及び60単位のシースガス(sheath gas)流量を伴い、電源電圧を4500Vに設定した。
【0159】
1H-NMR。6-HAPの1H NMRスペクトルを、Mercury Plus 500 MHz Varian機器で記録した。化学シフト(δ)を、適切な残留溶媒ピーク(DMSO-d6又はD2O)を基準として百万分率(ppm)で表し、略語のs及びbrは、1重項及びブロード1重項を表す。6-HAPの1H NMRスペクトルは、AcOD-D2O(1:5v/v)中で、芳香族領域に2個のプロトンシグナルを示し、一方、DMSO-d6中で6個のシグナルを示した。1H NMR (500 MHz, AcOD-D2O) δ 8.19 (s, 1H), 8.17 (s, 1H). 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ12.74 (br s, 1H), 10.87 (br s, 0.7H), 9.50 (br s, 1H), 8.08 (br s, 1H), 7.75 (br s, 1H), 7.48 (br s, 0.4H).
【0160】
6-HAPの合成。6-HAPを、既報告の手順に基づいてわずかな修正を加えて調製した(Preparation of nucleobases and nucleosides as antiparasitic agents、Loakes、D.;Too, K.、PCT Int. Apl.、2007135380、2007年11月29日)。ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.20g、17.3mmole)を20mLの沸騰無水エタノールに溶解し、4mLの熱無水エタノール中の水酸化カリウム(1.12g、20.0mmole)の溶液を添加した。沈殿したKClを濾過し、2mLの熱エタノールで3回洗浄した。次に、7mLの無水エタノールに溶解した6-クロロプリン(300mg、1.94mmole)(Sigma、St.Louis、MO)を、ヒドロキシルアミン溶液に添加した。反応物を2時間還流し、次に室温まで冷却し、終夜放置した。形成された白色沈殿を濾過し、水及び次にエタノールで十分に洗浄し、高真空下で乾燥して、6-HAP(230mg、78%)を白色固体として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ12.84 (br s, 1H), 10.92 (br s, 0.5H), 9.48 (br s, 1H), 8.08 (br s, 0.6H), 7.77 (s, 1H), 7.48 (br s, 0.7)は、報告されたものと一致する。作製された6-HAPを、上述のVenusil XBP NH2及びPolyHYDROXYETHYL Aを使用して、HPLCにより精製した。
【0161】
動物。動物研究に関わる全ての実験は、Institutional Animal Care and Use Guidelines of the University of California San Diego(プロトコール番号:S09074)の承認に基づいた。
【0162】
In vivoにおける皮膚感染症アッセイ。C57BL6マウス(6~8週の雌)の背部皮膚を、細菌塗布の少なくとも24時間前に、剪毛し、脱毛クリーム剤で処置し、水ですすいだ。剪毛した皮膚を、アルコールスワブで2回清浄して、元々コロニー化していた細菌を除去した。表皮ブドウ球菌(MO34又はATCC1457)をTSB中で終夜培養し、PBSで洗浄し、次にPBS中で再懸濁させた。GAS(NZ131)及びMRSA(Sanger252)を、対数期(OD600=0.5~0.8)まで、それぞれTHB又はTSB中で培養し、洗浄し、PBS中で再懸濁させた。マウス背部皮膚(2×2cm)に、表皮ブドウ球菌の株(1×108CFU/10μL)又はPBS(10μL)のいずれかを2時間塗布した。GAS又はMRSA(1×105CFU/10μL)により、背部皮膚は6時間、皮膚上曝露された。生菌を、TSB又はTHBで予め湿らせたCatch-All Swab(Epicentre Biotechnologies、Madison、WI)を用いて皮膚表面(2×2cm)から収穫した。細菌を、1mLのTHB又はTSB中で、スワブヘッドで勢いよくボルテックスすることにより懸濁させた。細菌懸濁液の10倍連続希釈液を、血液寒天プレート又はマンニトール塩寒天プレート上に広げて、CFUを計数した。血液寒天プレート上で、GAS(溶血性)を表皮ブドウ球菌(非溶血性)から識別し、マンニトール塩寒天プレート上で、MRSA(マンニトール陽性:大きい黄色コロニー)を表皮ブドウ球菌(マンニトール陰性:小さいピンク色コロニー)から識別した。
【0163】
皮下感染のために、マウス背部皮膚に、GAS(PBS中の1×107CFU/50μL)を31G針で皮下注射した。GAS感染後に、マウスに、20mg/kg体重の用量で6-HAP、又は同体積のビヒクル(0.9%NaCl中の2.5%DMSO)を静脈内注射した。創傷ルーラーと共に写真を撮ることにより創傷発達を毎日監視し、病変サイズをImageJで測定した([http://]rsbweb.nih.gov/ij/)(括弧によりハイパーリンクは無効)。
【0164】
In vivoにおける腫瘍成長アッセイ。B16F10を無菌PBS中で懸濁させた。剪毛したマウス背部皮膚に、3×105細胞/50μLで皮内注射した。C57BL6マウスに、続いて、2.5%DMSO/0.9%NaCl溶液(40mg/mL)に溶解した6-HAPを、20mg/kgマウスの用量で、血管内経路を介して48時間ごとに2週間注射した。対照マウスは、同体積のビヒクルを受けた。腫瘍サイズを、2つの垂直な直径としてカリパスで測定し、体積を式、幅2×長さ/2により推定した。腫瘍サイズが2cm超に達した場合、動物プロトコールに基づいてマウスを屠殺した。
【0165】
SKH-1マウスにおけるUV-誘発性の腫瘍形成。雌のSKH-1無毛マウス(4週齢)をCharles River Laboratories(Wilmington、MA)から購入した。マウスの背中の皮膚を、腫瘍開始剤として、DMBA(200nmole/100μLのアセトン)の単回塗布で局所的に処置した。腫瘍開始の1週間後、マウスを180mJ/cm2のUV-Bで週2回照射し、同時に、表皮ブドウ球菌MO34又はATCC1457の生菌株(1×107CFU)を用いて、週6回で12週間、皮膚上塗布で処置した。各マウスにおける腫瘍発生率及び腫瘍数を毎週記録した。
【0166】
統計解析。統計解析を、GraphPad Prism 5ソフトウェア(GraphPad、La Jolla、CA)を使用して実施した。独立t検定を使用した。独立両側t検定を使用して、実験群及び対照群の有意差に関して比較した(P<0.05)。
【0167】
ヒト皮膚からの表皮ブドウ球菌株は、非タンパク質抗生物質を産生する。抗菌活性をもたらす共生皮膚細菌をスクリーニングするために、正常なヒト皮膚の臨床単離株からの表皮ブドウ球菌44株を終夜培養し、各単離株から生じた抗菌活性を、GASに対するその馴化培地の放射拡散アッセイにより決定した(図1a)。33株がGAS成長阻害の検出可能領域を生成した。表皮ブドウ球菌ATCC1457株は活性を示さず、負の対照として使用された。MO34及びMO38と名称付けされたいくつかの特定菌株は、GAS成長阻害の最大領域を生成し、最も効力のある抗菌性分子と特徴付けられた、最初に選択されたものである。
【0168】
MO34株から分泌される、抗菌活性の要因である分子を特徴付けるために、GASに対する活性に基づく馴化培地から抗菌性分子を精製した。5精製工程の最後のクロマトグラフィーにおいて、単一ピークを単離した(図1b)。精製された化合物の最終収率は、6.4Lの培養上清から7mgであった。この精製画分は、GAS成長阻害の強力な領域を示し、MO34及びMO38株の培養上清においてのみ見いだされたが、ATCC12228及びATCC1457株等の実験室株には見いだされなかった(図9)。この抗菌性分子は、熱安定性(図1c)であり、プロテアーゼ-非感受性(図1d)であり、したがって、活性はタンパク質でない可能性があることを示唆している。
【0169】
抗菌性表皮ブドウ球菌株による皮膚コロニー形成は、病原体から保護する。皮膚表面に非タンパク質抗生物質を産生する表皮ブドウ球菌の株によるコロニー形成の生理学的関連性を検討するために、MO34若しくは検出可能な抗菌活性を伴わない表皮ブドウ球菌の対照株(ATCC1457)(図1a)、又はビヒクル単独を、マウス背部皮膚表面に塗布した。塗布の2時間後、次にこの部位を、規定量のGAS又はMRSAに曝露した。抗菌性株によりコロニー化された皮膚は、6時間内に病原体の成長が阻害されたが、対照株又はビヒクルによりコロニー化された皮膚は阻害されなかった(図2a及びb)。これらのデータにより、抗菌性表皮ブドウ球菌株によるコロニー形成が、皮膚表面の微生物病原体に対して保護的であることが示唆される。
【0170】
表皮ブドウ球菌により産生された抗生物質の構造解析。精製された抗菌性画分の高分解能エレクトロスプレー(ES)-質量分析により、151.0487の質量を有する分子を同定し、C5H5N5O(計算値d:151.0489)の分子式(図3a)が予測された。アンモニウム-15N塩化物の存在下で表皮ブドウ球菌を培養した場合、この同位体はこの分子の窒素原子に組み込まれ、これは新規の合成を介して生成されたが、培養液培地中の成分の発酵又は分解によるものではないことを示している(図3b)。精製された化合物の1H NMRスペクトルは、芳香族領域に2個のプロトンシグナルを示し(δH=8.19、8.17)、一方、DMSO-d5中で6個のシグナルを示した(δH=12.74, 1H; 10.87 0.7H; 9.50, 1H; 8.08, 1H; 7.75, 1H; 7.48, 0.4H)(図1c)。精製された化合物のgHMBCスペクトルにより、芳香族領域に5個の炭素シグナルが明らかとなった(δC=113.60、144.94、148.17、150.28、150.45)(図10)。これらのNMR化学シフトにより、5個の窒素原子のうちの1個に結合した付加的な酸素原子を伴うプリン部分の存在が示唆された。化学式C5H5N5Oを考慮すると、構造は6-N-ヒドロキシアミノプリン(6-HAP)と予測された。この予測構造を確認するために、6-HAPの化学合成を実施した。天然化合物は、1H-NMRにより、合成6-HAPと同一の化学シフトを有した(図3d)。加えて、電子衝突MSによる天然化合物の断片化プロファイル(図3e)もまた、合成生成物の断片化プロファイルと一致した(図3f)。最も重要なことに、合成6-HAPのGASに対する抗菌活性は、天然生成物の抗菌活性と同等であった(図11)。したがって、合わせたデータにより、この表皮ブドウ球菌株によって生じた抗菌活性が、6-HAP(図3g)により媒介されたことが示された。
【0171】
in vitroにおける6-HAPの抗菌活性。様々な細菌に関する6-HAPの特異性を検討するために、最小限殺菌濃度(MBC)を、in vitroにおける24時間のインキュベーションでの用量依存性死滅曲線に基づいて決定した(表1)。6-HAPは、in vitroにおいて、GAS(NZ131)、B群連鎖球菌(GBS)(DK23)、メチシリン-感受性黄色ブドウ球菌(ATCC35556)、メチシリン-耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)株(USA300及びSanger252)、緑膿菌(P.aeruginosa)(ATCC14213)を含む数種の主要な皮膚病原体を死滅させるか又は成長を抑制した。対照的に、6-HAPは、スタフィロコッカスホミニス(S.ホミニス)(ATCC27844)及び大腸菌(E.coli)(ATCC25922)及びアクネ菌(Propionibacterium acnes)(ATCC6919)に対して弱い抗菌活性を示した。表皮ブドウ球菌(ATCC12228)もまた、6-HAPに対して耐性であった。
【0172】
【表1】
【0173】
6-HAPの代謝拮抗作用機序。6-HAPは、アデニンと構造的に同様であるため、6-HAPが、宿主2により産生される大部分の他の皮膚表面AMP、又は表皮ブドウ球菌17、18からのこれまでに記載されたバクテリオシンにより使用される膜透過とは異なる機序により細菌成長を阻害すると、本発明者らは仮定した。これを検討するために、6-HAPによる死滅動態と、膜を破壊する能力を有する強力なヒトAMPであるLL37、及び公知のDNA合成阻害剤であるマイトマイシンCによる死滅動態とをまず比較した。GASの経時的な成長は、6-HAPにより、マイトマイシンCとは同様であるがLL37より遅い速度で阻害された(図4a)。1時間のインキュベーション後、LL37はGAS膜の透過性を破壊し、一方、6-HAP及びマイトマイシンCは破壊しなかった(図4b)。6-HAPはまた、6時間のインキュベーション後、正常なヒト表皮ケラチン産生細胞(NHEK)又はヒト脂腺細胞株SZ95の細胞膜透過性に直接影響を及ぼすこともなかった(図12)。
【0174】
本発明者らは、次に、DNA合成に対する6-HAPの効果を評価した。GASのゲノムDNAへのBrdU組み込みの有意な抑制を、時間依存方式で観察することができた(図4c)。しかしながら、6-HAPは、表皮ブドウ球菌におけるBrdU組み込みに影響を及ぼさなかった(図4d)。無細胞系におけるDNA伸長に対する6-HAPの作用を直接検討するために、25-bpテンプレート及びマッチする18-bp蛍光プライマーを設計して、in vitroにおいてクレノウ(exo-)DNAポリメラーゼによるDNA伸長を測定した(図4e)。6-HAPの存在下で、テンプレートがシトシンを必要とした場合(X=G)、予測された延長DNA生成物の合成が観察されたが、アデノシンが必要とされた場合(X=T)、伸長はなかった(図4f)。これらのデータにより、6-HAPは、アデノシン-チミジン塩基対形成を妨害することにより、DNA合成を阻害することが示唆された。実際に、過剰のアデニン添加により、6-HAPのGASに対する抗菌活性は部分的に減少した(図4g)。
【0175】
6-HAPの選択的抗増殖活性の機序。DNA合成を阻害する能力を考慮して、次に、6-HAPの哺乳類細胞に対する抗増殖効果を探究した。6-HAPは、Pam212扁平上皮癌(図5a)、B16F10黒色腫並びにL5178及びYAC-1リンパ腫(図13)を含む、数種の腫瘍細胞株におけるBrdU組み込みを阻害した。対照的に、正常なヒトケラチン産生細胞(NHEK)におけるBrdU組み込みは、6-HAPにより、非常に高用量(100μg/mL)まで影響を受けなかった(図5b)。哺乳類細胞株の選択的阻害の機序は、細菌病原体の選択的阻害と同様に現在知られておらず、研究進行中の課題である。
【0176】
いくつかの核酸塩基類似体は、誤った塩基の誤認識に起因する変異原性活性を発揮するため、6-HAPの変異原性活性を、遺伝子座L5178Y tk+/-マウスリンパ腫細胞のチミジンキナーゼ(tk)における変異原性イベントを検出することにより決定した。この変異原性活性の高感度アッセイは、6-HAPとビヒクルとを比較して差異を検出しなかったが、一方、メタンスルホン酸メチルを用いた処置は該アッセイに関して正の対照であり、高頻度の変異を誘起した。これらのデータは、正常な共生ミクロビオームの生成物としてのこの分子の長期間続く存在にもかかわらず、表皮ブドウ球菌と腫瘍性形質転換との間に関連性がないことと一致している。
【0177】
哺乳類細胞において、ミトコンドリア一酸化物還元成分(mARC)1及び2は、N-ヒドロキシル化核酸塩基類似体を基準的な核酸塩基に還元できることが示された。mARC1及びmARC2の相対的発現レベルは、NHEKにおいて、Pam212、L5178及びB16F10等のがん細胞株におけるレベルよりもかなり高かった(図5c)。したがって、mARCが、NHEKにおける6-HAPの解毒作用に寄与し得ると本発明者らは仮定した。siRNAを用いた遺伝子サイレンシングは、NHEKにおけるmARC1及びmARC2の発現を著しく減少させ(図5d)、6-HAPに対する細胞感受性を増加させて、mARC2が6-HAPから細胞を保護することを示唆している。
【0178】
マウスにおける皮膚感染及び黒色腫成長に対する、6-HAPを用いた全身投与の効果。6-HAPはin vitroにおいて抗菌活性及び抗増殖活性の両方を示したため、次に、in vivoにおける6-HAPの全身的活性を探究した。マウスへの、6-HAPを用いた20mg/kgの用量で48時間ごとに2週間の頻回の静脈内注射により、目視での外観、挙動又は体重の変化により評価される明らかな毒性効果は認められなかった(図14)。この応答は、図4iに見られる以前の結果と一致しており、迅速に分裂する正常なケラチン産生細胞の増殖の阻害がないことを実証している。したがって、毒性の明らかな欠如を考慮して、非毒性用量の6-HAP(20mg/kg)をGAS深在性皮膚感染症のマウスモデルに静脈内注射することにより、深在性の組織感染に対する効果を試験した。GASの接種後、6-HAPの単回注射により、マウスにおける臨床的病変サイズ(図6a~b)及びGAS生存度(図6c)は有意に抑制された。
【0179】
6-HAPの抗生作用を評価する本発明者らの実験と同様に、in vivoにおいて腫瘍成長を阻害する6-HAPの活性もまた検討した。マウスに、B16F10黒色腫を皮内接種し、続いて6-HAP(20mg/kg)又はビヒクルを48時間ごとに2週間、静脈内注射した。この激しく成長する腫瘍の腫瘍サイズは、ビヒクルを用いて注射を受けたマウスと比較して、6-HAPを受けたマウスにおいて60%超抑制された(図6d~e)。
【0180】
UV-誘発性の皮膚腫瘍形成に対する、表皮ブドウ球菌による皮膚コロニー形成の効果。6-HAPが、in vitro及びin vivoにおいて数種の腫瘍株の増殖を阻害したというデータを考慮して、6-HAPを産生する表皮ブドウ球菌の株によるコロニー形成が、UV-B照射により誘発された皮膚腫瘍形成に対して保護的であると本発明者らは仮定した。この仮説に取り組むために、二段階発癌モデルを利用した。SKH-1無毛マウスをDMBAで1週間処置し、続いてUV-B照射を週2回及び表皮ブドウ球菌で皮膚上塗布を週6回行った。表皮ブドウ球菌ATCC1457、非-6-HAP株の接種を受けたマウスは、9週において88%の腫瘍発生率(図7a)、及び12週までに多発性腫瘍形成(図7b~c)が誘発された。対照的に、6-HAPを産生する表皮ブドウ球菌MO34株を用いた頻回の塗布により、腫瘍の発生率及び数は著しく減少した(図7a~b、d)。異常組織発生検査により、対照株によりコロニー化されたSKH-1マウスが扁平上皮乳頭腫を発症したという差異が示された(図7e)。乳頭腫の発症は、6-HAP株を用いた皮膚上塗布により首尾よく阻害された(図7b、d、f)。これらのデータにより、表皮ブドウ球菌により産生された6-HAPが、皮膚表面での新生物形成に対する耐性に寄与することが示唆される。加えて、両方の株が腫瘍及び皮膚の真皮に浸透し(図7g-h)、表皮ブドウ球菌と腫瘍細胞又は皮膚存在細胞(skin residing cell)との間の直接的相互作用を示唆している。このデータは、一部の皮膚ミクロビオームが、ヒト皮膚の上皮障壁に浸透することができるという本発明者らのこれまでの観察所見と一致している。
【0181】
ヒト皮膚において6-HAPを産生する表皮ブドウ球菌株。6-HAPを、2種の異なる表皮ブドウ球菌の臨床単離株からの培養上清のHPLCにより検出した。ヒト共生表皮ブドウ球菌株における6-HAP産生の頻度を更に検討するために、MO34株の全ゲノム配列解析を実施し、ヒト皮膚ミクロビオームの既存のメタゲノムのデータセットの解析に使用した。配列解析により、ヒト皮膚ミクロビオーム内の6-HAP産生単離物と同様の表皮ブドウ球菌株が頻繁に同定されたが、同様の株が異なる頻度で、別の身体部位で検出された。
【0182】
【表2】
【0183】
本発明の多くの実施形態を記載してきた。それにもかかわらず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることを理解されたい。したがって、他の実施形態は以下の特許請求の範囲内である。
【0184】
[配列表]
SEQUENCE LISTING

<110> The Regents of the University of California

<120> COMPOSITIONS AND METHOD OF TREATING CANCER

<130> PA23-253

<150> US 62/477,370
<151> 2017-03-27

<150> US 62/638,058
<151> 2018-03-02

<160> 58

<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 132
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> hypothetical coding sequence


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(132)

<400> 1
atg agt gct gtt tta tta tca gca att agt cca acg gca agt gta aat 48
Met Ser Ala Val Leu Leu Ser Ala Ile Ser Pro Thr Ala Ser Val Asn
1 5 10 15

gaa tca ata gaa ttg tac aag tca gtt agc aag tcg aat ata gaa att 96
Glu Ser Ile Glu Leu Tyr Lys Ser Val Ser Lys Ser Asn Ile Glu Ile
20 25 30

gaa aaa gat aat aag act tta gat gat tcg ttt taa 132
Glu Lys Asp Asn Lys Thr Leu Asp Asp Ser Phe
35 40


<210> 2
<211> 43
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 2

Met Ser Ala Val Leu Leu Ser Ala Ile Ser Pro Thr Ala Ser Val Asn
1 5 10 15


Glu Ser Ile Glu Leu Tyr Lys Ser Val Ser Lys Ser Asn Ile Glu Ile
20 25 30


Glu Lys Asp Asn Lys Thr Leu Asp Asp Ser Phe
35 40


<210> 3
<211> 120
<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(120)

<400> 3
atg att cgt ttt aaa atc cta aat atg gta act gaa cag act att aat 48
Met Ile Arg Phe Lys Ile Leu Asn Met Val Thr Glu Gln Thr Ile Asn
1 5 10 15

agt tta cca tat aat ctt aaa gaa ggg act tca gaa aga att ggt ggt 96
Ser Leu Pro Tyr Asn Leu Lys Glu Gly Thr Ser Glu Arg Ile Gly Gly
20 25 30

tcc ttt act gta aaa aag gat taa 120
Ser Phe Thr Val Lys Lys Asp
35


<210> 4
<211> 39
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 4

Met Ile Arg Phe Lys Ile Leu Asn Met Val Thr Glu Gln Thr Ile Asn
1 5 10 15


Ser Leu Pro Tyr Asn Leu Lys Glu Gly Thr Ser Glu Arg Ile Gly Gly
20 25 30


Ser Phe Thr Val Lys Lys Asp
35


<210> 5
<211> 249
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> YefM protein


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(249)

<400> 5
atg act gtt aaa tcc tat tca tat gta cgt gaa cat ttc aaa gac atg 48
Met Thr Val Lys Ser Tyr Ser Tyr Val Arg Glu His Phe Lys Asp Met
1 5 10 15

att aat aaa gtt aat gat gat agc gat acg ata aca att aca aca aaa 96
Ile Asn Lys Val Asn Asp Asp Ser Asp Thr Ile Thr Ile Thr Thr Lys
20 25 30

gac cgt aat gca gtt atg atg tca gaa gat aat tat aat gaa ata atg 144
Asp Arg Asn Ala Val Met Met Ser Glu Asp Asn Tyr Asn Glu Ile Met
35 40 45

gag aca cta tac ttg caa caa aat cct gcc aat gca aaa tat tta tca 192
Glu Thr Leu Tyr Leu Gln Gln Asn Pro Ala Asn Ala Lys Tyr Leu Ser
50 55 60

gaa tcc att gaa aac cta gaa cgt ggt aat ata aaa act aag gat att 240
Glu Ser Ile Glu Asn Leu Glu Arg Gly Asn Ile Lys Thr Lys Asp Ile
65 70 75 80

ttg ata taa 249
Leu Ile



<210> 6
<211> 82
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 6

Met Thr Val Lys Ser Tyr Ser Tyr Val Arg Glu His Phe Lys Asp Met
1 5 10 15


Ile Asn Lys Val Asn Asp Asp Ser Asp Thr Ile Thr Ile Thr Thr Lys
20 25 30


Asp Arg Asn Ala Val Met Met Ser Glu Asp Asn Tyr Asn Glu Ile Met
35 40 45


Glu Thr Leu Tyr Leu Gln Gln Asn Pro Ala Asn Ala Lys Tyr Leu Ser
50 55 60


Glu Ser Ile Glu Asn Leu Glu Arg Gly Asn Ile Lys Thr Lys Asp Ile
65 70 75 80


Leu Ile



<210> 7
<211> 285
<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(285)

<400> 7
atg tta gat aaa gaa aag caa aaa gaa gct atg cct att att caa gga 48
Met Leu Asp Lys Glu Lys Gln Lys Glu Ala Met Pro Ile Ile Gln Gly
1 5 10 15

gag tac aaa tca gat gaa cca att aat tac att aaa gca aac aca atc 96
Glu Tyr Lys Ser Asp Glu Pro Ile Asn Tyr Ile Lys Ala Asn Thr Ile
20 25 30

cca aac aaa gct aca tca acg act ttt gga tat gaa aag atg att agt 144
Pro Asn Lys Ala Thr Ser Thr Thr Phe Gly Tyr Glu Lys Met Ile Ser
35 40 45

aaa gag gct atg acg cca gaa atg tta gag gtt cgt caa ata att ctt 192
Lys Glu Ala Met Thr Pro Glu Met Leu Glu Val Arg Gln Ile Ile Leu
50 55 60

aat gat gtg gta aag ctc aca gaa tca atg aat caa ttt aaa ctt gat 240
Asn Asp Val Val Lys Leu Thr Glu Ser Met Asn Gln Phe Lys Leu Asp
65 70 75 80

att aaa gtt agt aaa gta att tat gac aaa tat ggg gtg aga taa 285
Ile Lys Val Ser Lys Val Ile Tyr Asp Lys Tyr Gly Val Arg
85 90


<210> 8
<211> 94
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 8

Met Leu Asp Lys Glu Lys Gln Lys Glu Ala Met Pro Ile Ile Gln Gly
1 5 10 15


Glu Tyr Lys Ser Asp Glu Pro Ile Asn Tyr Ile Lys Ala Asn Thr Ile
20 25 30


Pro Asn Lys Ala Thr Ser Thr Thr Phe Gly Tyr Glu Lys Met Ile Ser
35 40 45


Lys Glu Ala Met Thr Pro Glu Met Leu Glu Val Arg Gln Ile Ile Leu
50 55 60


Asn Asp Val Val Lys Leu Thr Glu Ser Met Asn Gln Phe Lys Leu Asp
65 70 75 80


Ile Lys Val Ser Lys Val Ile Tyr Asp Lys Tyr Gly Val Arg
85 90


<210> 9
<211> 258
<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(258)

<400> 9
atg att aaa caa att ttc aat gat aaa gaa att cgg ttt atc gaa aaa 48
Met Ile Lys Gln Ile Phe Asn Asp Lys Glu Ile Arg Phe Ile Glu Lys
1 5 10 15

gaa gat gaa tat tgg gca gta gct gga gat gtg gca aag gta ttg ggg 96
Glu Asp Glu Tyr Trp Ala Val Ala Gly Asp Val Ala Lys Val Leu Gly
20 25 30

tac tca cat aca cca cac atg act aga tta tta gat gaa tca gaa aag 144
Tyr Ser His Thr Pro His Met Thr Arg Leu Leu Asp Glu Ser Glu Lys
35 40 45

gct gtc cat aat gtg gtc acc gtt aaa ggt aaa caa aat gct gtg atc 192
Ala Val His Asn Val Val Thr Val Lys Gly Lys Gln Asn Ala Val Ile
50 55 60

ata tta gaa ata ggt att tat gaa gct att tgg aat agt aga aga gat 240
Ile Leu Glu Ile Gly Ile Tyr Glu Ala Ile Trp Asn Ser Arg Arg Asp
65 70 75 80

gaa gct caa gaa ttt tag 258
Glu Ala Gln Glu Phe
85


<210> 10
<211> 85
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 10

Met Ile Lys Gln Ile Phe Asn Asp Lys Glu Ile Arg Phe Ile Glu Lys
1 5 10 15


Glu Asp Glu Tyr Trp Ala Val Ala Gly Asp Val Ala Lys Val Leu Gly
20 25 30


Tyr Ser His Thr Pro His Met Thr Arg Leu Leu Asp Glu Ser Glu Lys
35 40 45


Ala Val His Asn Val Val Thr Val Lys Gly Lys Gln Asn Ala Val Ile
50 55 60


Ile Leu Glu Ile Gly Ile Tyr Glu Ala Ile Trp Asn Ser Arg Arg Asp
65 70 75 80


Glu Ala Gln Glu Phe
85


<210> 11
<211> 219
<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(219)

<400> 11
gtg gtt aac aac gtt aaa aga ata cga aaa aat aaa aaa att acc att 48
Val Val Asn Asn Val Lys Arg Ile Arg Lys Asn Lys Lys Ile Thr Ile
1 5 10 15

act gaa tta agt aga aaa agt ggg ata agc aga aca act ata tac aaa 96
Thr Glu Leu Ser Arg Lys Ser Gly Ile Ser Arg Thr Thr Ile Tyr Lys
20 25 30

tta gaa tct caa aaa tca aat ccc agc ttg gaa acc att caa aaa ata 144
Leu Glu Ser Gln Lys Ser Asn Pro Ser Leu Glu Thr Ile Gln Lys Ile
35 40 45

tct tct ggt tta gat gaa aaa cca gaa aaa att ttt aac ctc att gtt 192
Ser Ser Gly Leu Asp Glu Lys Pro Glu Lys Ile Phe Asn Leu Ile Val
50 55 60

att caa gaa tta caa aag gag cct taa 219
Ile Gln Glu Leu Gln Lys Glu Pro
65 70


<210> 12
<211> 72
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 12

Val Val Asn Asn Val Lys Arg Ile Arg Lys Asn Lys Lys Ile Thr Ile
1 5 10 15


Thr Glu Leu Ser Arg Lys Ser Gly Ile Ser Arg Thr Thr Ile Tyr Lys
20 25 30


Leu Glu Ser Gln Lys Ser Asn Pro Ser Leu Glu Thr Ile Gln Lys Ile
35 40 45


Ser Ser Gly Leu Asp Glu Lys Pro Glu Lys Ile Phe Asn Leu Ile Val
50 55 60


Ile Gln Glu Leu Gln Lys Glu Pro
65 70


<210> 13
<211> 585
<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(585)

<400> 13
gtg aat gac ttt gga aag aaa tta aaa gaa tta aga ggc gac caa tca 48
Val Asn Asp Phe Gly Lys Lys Leu Lys Glu Leu Arg Gly Asp Gln Ser
1 5 10 15

att aga gaa gcc tct agg aat att ggt ata agt cac act tat tta gat 96
Ile Arg Glu Ala Ser Arg Asn Ile Gly Ile Ser His Thr Tyr Leu Asp
20 25 30

agt tta gaa aaa ggt att gat cca aga act ggc aaa gaa aga aaa cct 144
Ser Leu Glu Lys Gly Ile Asp Pro Arg Thr Gly Lys Glu Arg Lys Pro
35 40 45

aca att gaa gta att cat aaa cta tca aaa tat tat aat gtt gat ttt 192
Thr Ile Glu Val Ile His Lys Leu Ser Lys Tyr Tyr Asn Val Asp Phe
50 55 60

ttt gat tta agc aga tta gca ggt gtg ttt gta tca att aaa gat acg 240
Phe Asp Leu Ser Arg Leu Ala Gly Val Phe Val Ser Ile Lys Asp Thr
65 70 75 80

cct aaa gaa gat aag cga gaa gaa att aac aaa atg aag aaa aga ttt 288
Pro Lys Glu Asp Lys Arg Glu Glu Ile Asn Lys Met Lys Lys Arg Phe
85 90 95

aaa gaa tat ttt aac gat aca gaa ctt att gtt aaa gaa aat tat ctt 336
Lys Glu Tyr Phe Asn Asp Thr Glu Leu Ile Val Lys Glu Asn Tyr Leu
100 105 110

gat att atg aca aaa aag tta agt tat cat gaa att att ttt tgg caa 384
Asp Ile Met Thr Lys Lys Leu Ser Tyr His Glu Ile Ile Phe Trp Gln
115 120 125

aat tta tat aat ttt tat att caa gaa aaa gat tct gat tat cta aaa 432
Asn Leu Tyr Asn Phe Tyr Ile Gln Glu Lys Asp Ser Asp Tyr Leu Lys
130 135 140

ata aaa gat gaa gaa gat aca gat att tta aca ttt ata gct tcc ttg 480
Ile Lys Asp Glu Glu Asp Thr Asp Ile Leu Thr Phe Ile Ala Ser Leu
145 150 155 160

ttt aaa ata tta act gaa aat aaa aat tct aat gat gac gaa ata ttt 528
Phe Lys Ile Leu Thr Glu Asn Lys Asn Ser Asn Asp Asp Glu Ile Phe
165 170 175

aaa ggc att tcg aat gat ttt aat aaa ttc tta aaa tca tac tta aat 576
Lys Gly Ile Ser Asn Asp Phe Asn Lys Phe Leu Lys Ser Tyr Leu Asn
180 185 190

att aag tag 585
Ile Lys



<210> 14
<211> 194
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 14

Val Asn Asp Phe Gly Lys Lys Leu Lys Glu Leu Arg Gly Asp Gln Ser
1 5 10 15


Ile Arg Glu Ala Ser Arg Asn Ile Gly Ile Ser His Thr Tyr Leu Asp
20 25 30


Ser Leu Glu Lys Gly Ile Asp Pro Arg Thr Gly Lys Glu Arg Lys Pro
35 40 45


Thr Ile Glu Val Ile His Lys Leu Ser Lys Tyr Tyr Asn Val Asp Phe
50 55 60


Phe Asp Leu Ser Arg Leu Ala Gly Val Phe Val Ser Ile Lys Asp Thr
65 70 75 80


Pro Lys Glu Asp Lys Arg Glu Glu Ile Asn Lys Met Lys Lys Arg Phe
85 90 95


Lys Glu Tyr Phe Asn Asp Thr Glu Leu Ile Val Lys Glu Asn Tyr Leu
100 105 110


Asp Ile Met Thr Lys Lys Leu Ser Tyr His Glu Ile Ile Phe Trp Gln
115 120 125


Asn Leu Tyr Asn Phe Tyr Ile Gln Glu Lys Asp Ser Asp Tyr Leu Lys
130 135 140


Ile Lys Asp Glu Glu Asp Thr Asp Ile Leu Thr Phe Ile Ala Ser Leu
145 150 155 160


Phe Lys Ile Leu Thr Glu Asn Lys Asn Ser Asn Asp Asp Glu Ile Phe
165 170 175


Lys Gly Ile Ser Asn Asp Phe Asn Lys Phe Leu Lys Ser Tyr Leu Asn
180 185 190


Ile Lys



<210> 15
<211> 234
<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(234)

<400> 15
atg att aac act gcc gtc act ggt gct gaa cct gga ggt aac tgg aat 48
Met Ile Asn Thr Ala Val Thr Gly Ala Glu Pro Gly Gly Asn Trp Asn
1 5 10 15

cca aat atc atg ata agc tgc gct act ata gca aag atg cca cat ccc 96
Pro Asn Ile Met Ile Ser Cys Ala Thr Ile Ala Lys Met Pro His Pro
20 25 30

agt gca cca gca gtt ctt aac cct aat aat atc gct aga atc atg att 144
Ser Ala Pro Ala Val Leu Asn Pro Asn Asn Ile Ala Arg Ile Met Ile
35 40 45

atg att tct atg ata aac aat aac atg gaa gaa tct cct aac tta tgc 192
Met Ile Ser Met Ile Asn Asn Asn Met Glu Glu Ser Pro Asn Leu Cys
50 55 60

cga aca att ttc act tca ata ttt tat cac ttt aat atg taa 234
Arg Thr Ile Phe Thr Ser Ile Phe Tyr His Phe Asn Met
65 70 75


<210> 16
<211> 77
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 16

Met Ile Asn Thr Ala Val Thr Gly Ala Glu Pro Gly Gly Asn Trp Asn
1 5 10 15


Pro Asn Ile Met Ile Ser Cys Ala Thr Ile Ala Lys Met Pro His Pro
20 25 30


Ser Ala Pro Ala Val Leu Asn Pro Asn Asn Ile Ala Arg Ile Met Ile
35 40 45


Met Ile Ser Met Ile Asn Asn Asn Met Glu Glu Ser Pro Asn Leu Cys
50 55 60


Arg Thr Ile Phe Thr Ser Ile Phe Tyr His Phe Asn Met
65 70 75


<210> 17
<211> 135
<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(135)

<400> 17
atg ccg gaa gtt tcc gga gaa atc gct ttt aat ttt tca gca att tta 48
Met Pro Glu Val Ser Gly Glu Ile Ala Phe Asn Phe Ser Ala Ile Leu
1 5 10 15

gcc gca gct ata aca agt gat aaa gtt gat gta agt aag aaa gca gat 96
Ala Ala Ala Ile Thr Ser Asp Lys Val Asp Val Ser Lys Lys Ala Asp
20 25 30

gca att gta gtt ttg gtg tca aac cag cgt cta atg taa 135
Ala Ile Val Val Leu Val Ser Asn Gln Arg Leu Met
35 40


<210> 18
<211> 44
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 18

Met Pro Glu Val Ser Gly Glu Ile Ala Phe Asn Phe Ser Ala Ile Leu
1 5 10 15


Ala Ala Ala Ile Thr Ser Asp Lys Val Asp Val Ser Lys Lys Ala Asp
20 25 30


Ala Ile Val Val Leu Val Ser Asn Gln Arg Leu Met
35 40


<210> 19
<211> 117
<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(117)

<400> 19
atg ccg gca cca atc gct tgg ata atc cga gat atc att aaa ata gaa 48
Met Pro Ala Pro Ile Ala Trp Ile Ile Arg Asp Ile Ile Lys Ile Glu
1 5 10 15

aaa gta ggt gaa act gct gct aca aca gat cct ata aga aaa att gcc 96
Lys Val Gly Glu Thr Ala Ala Thr Thr Asp Pro Ile Arg Lys Ile Ala
20 25 30

att gag aaa ata tat aaa tga 117
Ile Glu Lys Ile Tyr Lys
35


<210> 20
<211> 38
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 20

Met Pro Ala Pro Ile Ala Trp Ile Ile Arg Asp Ile Ile Lys Ile Glu
1 5 10 15


Lys Val Gly Glu Thr Ala Ala Thr Thr Asp Pro Ile Arg Lys Ile Ala
20 25 30


Ile Glu Lys Ile Tyr Lys
35


<210> 21
<211> 753
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Hypothetical protein coding sequence


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(753)

<400> 21
ttg cct aag aca cct gaa gat ggg aaa cca agt gta gat aag aaa agc 48
Leu Pro Lys Thr Pro Glu Asp Gly Lys Pro Ser Val Asp Lys Lys Ser
1 5 10 15

ttt gta agt gaa act att tta ttt tta ttt atg tcg att cta gga gaa 96
Phe Val Ser Glu Thr Ile Leu Phe Leu Phe Met Ser Ile Leu Gly Glu
20 25 30

gtt ttt ggc tat gaa gat gaa aaa gat gga caa ctt gta cat gat att 144
Val Phe Gly Tyr Glu Asp Glu Lys Asp Gly Gln Leu Val His Asp Ile
35 40 45

tct cca ata aaa gga caa gaa aaa aat ata gaa aat tct ggt tca gat 192
Ser Pro Ile Lys Gly Gln Glu Lys Asn Ile Glu Asn Ser Gly Ser Asp
50 55 60

gtg ttt ttc tct tat cat gta gaa gac gca ata cat cca tat aaa cca 240
Val Phe Phe Ser Tyr His Val Glu Asp Ala Ile His Pro Tyr Lys Pro
65 70 75 80

gat tat ctt gct tta tat tgt ttg aaa tcg gat cat gag aaa ata gct 288
Asp Tyr Leu Ala Leu Tyr Cys Leu Lys Ser Asp His Glu Lys Ile Ala
85 90 95

ata aca gag aca tct tct att agt gaa gca atg aaa aga tta agt acg 336
Ile Thr Glu Thr Ser Ser Ile Ser Glu Ala Met Lys Arg Leu Ser Thr
100 105 110

tca acg ctt aat att ctt aga aaa ccc atg tat gaa tta cat cca cct 384
Ser Thr Leu Asn Ile Leu Arg Lys Pro Met Tyr Glu Leu His Pro Pro
115 120 125

gct tct ttt aat tca agt cat tta tct aga aaa gta tca gta ata gga 432
Ala Ser Phe Asn Ser Ser His Leu Ser Arg Lys Val Ser Val Ile Gly
130 135 140

gga agt caa aag aat cct gaa tta tta att cat gaa aca tta atg caa 480
Gly Ser Gln Lys Asn Pro Glu Leu Leu Ile His Glu Thr Leu Met Gln
145 150 155 160

gga ata gaa gat gaa gca gaa aaa gca tta agt gaa ttg aaa gaa acg 528
Gly Ile Glu Asp Glu Ala Glu Lys Ala Leu Ser Glu Leu Lys Glu Thr
165 170 175

tta ccg gaa gtt tca aat gga gtt caa tta aac cca gga gaa ctt att 576
Leu Pro Glu Val Ser Asn Gly Val Gln Leu Asn Pro Gly Glu Leu Ile
180 185 190

att tta gat aat aat aaa gca gca cat gct aga tca gct ttt aaa ccc 624
Ile Leu Asp Asn Asn Lys Ala Ala His Ala Arg Ser Ala Phe Lys Pro
195 200 205

aga tat gac ggt gaa gat aga tgg cta caa aga atg ttt tct att aat 672
Arg Tyr Asp Gly Glu Asp Arg Trp Leu Gln Arg Met Phe Ser Ile Asn
210 215 220

gac tta aaa gga tta gag gat tac atg aaa gaa gac gaa aat ata ttt 720
Asp Leu Lys Gly Leu Glu Asp Tyr Met Lys Glu Asp Glu Asn Ile Phe
225 230 235 240

gta ccc ttg gtg gat ata tta aaa gac aaa taa 753
Val Pro Leu Val Asp Ile Leu Lys Asp Lys
245 250


<210> 22
<211> 250
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 22

Leu Pro Lys Thr Pro Glu Asp Gly Lys Pro Ser Val Asp Lys Lys Ser
1 5 10 15


Phe Val Ser Glu Thr Ile Leu Phe Leu Phe Met Ser Ile Leu Gly Glu
20 25 30


Val Phe Gly Tyr Glu Asp Glu Lys Asp Gly Gln Leu Val His Asp Ile
35 40 45


Ser Pro Ile Lys Gly Gln Glu Lys Asn Ile Glu Asn Ser Gly Ser Asp
50 55 60


Val Phe Phe Ser Tyr His Val Glu Asp Ala Ile His Pro Tyr Lys Pro
65 70 75 80


Asp Tyr Leu Ala Leu Tyr Cys Leu Lys Ser Asp His Glu Lys Ile Ala
85 90 95


Ile Thr Glu Thr Ser Ser Ile Ser Glu Ala Met Lys Arg Leu Ser Thr
100 105 110


Ser Thr Leu Asn Ile Leu Arg Lys Pro Met Tyr Glu Leu His Pro Pro
115 120 125


Ala Ser Phe Asn Ser Ser His Leu Ser Arg Lys Val Ser Val Ile Gly
130 135 140


Gly Ser Gln Lys Asn Pro Glu Leu Leu Ile His Glu Thr Leu Met Gln
145 150 155 160


Gly Ile Glu Asp Glu Ala Glu Lys Ala Leu Ser Glu Leu Lys Glu Thr
165 170 175


Leu Pro Glu Val Ser Asn Gly Val Gln Leu Asn Pro Gly Glu Leu Ile
180 185 190


Ile Leu Asp Asn Asn Lys Ala Ala His Ala Arg Ser Ala Phe Lys Pro
195 200 205


Arg Tyr Asp Gly Glu Asp Arg Trp Leu Gln Arg Met Phe Ser Ile Asn
210 215 220


Asp Leu Lys Gly Leu Glu Asp Tyr Met Lys Glu Asp Glu Asn Ile Phe
225 230 235 240


Val Pro Leu Val Asp Ile Leu Lys Asp Lys
245 250


<210> 23
<211> 846
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Hypothetical protein coding sequence


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(846)

<400> 23
atg aac ttt aaa acg aat ttt aaa ggt ttg ttt agt ata gaa aag aaa 48
Met Asn Phe Lys Thr Asn Phe Lys Gly Leu Phe Ser Ile Glu Lys Lys
1 5 10 15

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20 25 30

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35 40 45

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50 55 60

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65 70 75 80

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85 90 95

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100 105 110

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115 120 125

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130 135 140

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145 150 155 160

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165 170 175

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180 185 190

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Ile Ser Ile Ile Leu Thr Ala Cys Phe His Lys Leu Trp Ile Val Ile
195 200 205

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Leu Cys Leu Ile Ile Tyr Phe Leu Leu Asn Gly Ile Phe Thr Leu Arg
210 215 220

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225 230 235 240

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245 250 255

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260 265 270

att atc gtt gtt aat gaa cta aaa aag taa 846
Ile Ile Val Val Asn Glu Leu Lys Lys
275 280


<210> 24
<211> 281
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 24

Met Asn Phe Lys Thr Asn Phe Lys Gly Leu Phe Ser Ile Glu Lys Lys
1 5 10 15


Phe Asn Val Asn Leu Leu Pro Ser Gln Leu Lys Leu Glu Asp Lys Ile
20 25 30


Asn Ile Phe Trp Ala Thr Leu Met Arg Val Val Gly Trp Leu Leu Tyr
35 40 45


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50 55 60


Ile Tyr Ile Ser Cys Ile Leu Ile Val Val Leu Leu Ile Phe Asp Ile
65 70 75 80


Ser Ser Ile Phe Leu Ile Ser Asp Asp Met Arg Lys Lys Asn Tyr Arg
85 90 95


Tyr Leu Phe Ile Lys Arg Asp Glu Glu Tyr Tyr Arg Leu Asp Lys Tyr
100 105 110


Phe Tyr Asp Ile Ser Asp Lys Gln Val Leu Gln Tyr Thr Val Asn Glu
115 120 125


Lys Asp Met Lys Ile Glu Lys Asn Asn Gly Asp Pro Lys Ile Asp Glu
130 135 140


Lys Glu Lys Ile Val Gly Lys Lys Ile Val Thr Glu Lys Ile Asn Ser
145 150 155 160


Asp Lys Val Asn Thr Phe Ile Gln Thr Asp Ser Glu Ala Thr Tyr Ser
165 170 175


Ser Lys Tyr Ile Thr Leu Val Pro Ile Val Gln Asn Ile Ile Leu Ile
180 185 190


Ile Ser Ile Ile Leu Thr Ala Cys Phe His Lys Leu Trp Ile Val Ile
195 200 205


Leu Cys Leu Ile Ile Tyr Phe Leu Leu Asn Gly Ile Phe Thr Leu Arg
210 215 220


Leu Ser Ser Asn Val Asn Glu Thr Leu Glu Asn Asn Asn Ile Lys Gln
225 230 235 240


Val Lys Asn Lys Val Lys Asn His Phe Asn Glu Asp Glu Asn Asp Asn
245 250 255


Val Gly Asp Lys Lys Asp Ser Tyr Glu His Arg Asp Lys Asn Ile Asn
260 265 270


Ile Ile Val Val Asn Glu Leu Lys Lys
275 280


<210> 25
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<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
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<400> 25
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1 5 10 15

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20 25 30

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35


<210> 26
<211> 39
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 26

Val Ala Thr Pro Val Phe Ile Asp Ser Val Gly Glu Glu Asp Glu Lys
1 5 10 15


Asn Glu Arg Asp Leu Glu Lys Leu Ser Lys Leu Tyr Pro Asn Ala Glu
20 25 30


Phe His Ile Asp Asp Ile Arg
35


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<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(657)

<400> 27
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1 5 10 15

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20 25 30

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35 40 45

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50 55 60

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65 70 75 80

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85 90 95

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100 105 110

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115 120 125

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130 135 140

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145 150 155 160

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165 170 175

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180 185 190

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195 200 205

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210 215


<210> 28
<211> 218
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 28

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1 5 10 15


Ala Ser Ser Phe Gly Ser Leu Thr Ala Thr Ile Ser Phe Ile Arg Ala
20 25 30


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35 40 45


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50 55 60


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65 70 75 80


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85 90 95


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100 105 110


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115 120 125


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130 135 140


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145 150 155 160


Leu Leu Asn Lys Val Asp Tyr Leu Leu Gly Phe Ser Met Ala Leu Ser
165 170 175


Met Ile Val Gly Ser Tyr Ile Gly Ser Ser Phe Ala Val Lys Lys Gly
180 185 190


Val Ser Tyr Val Lys Leu Leu Phe Ile Ile Val Thr Leu Leu Leu Leu
195 200 205


Ile Lys Asn Leu Tyr Asp Tyr Ile Phe Gln
210 215


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<211> 144
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Hypothetical protein coding sequence


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(144)

<400> 29
atg aaa tta cta gat gac aat aat ttt gac tta aaa cta cct att aac 48
Met Lys Leu Leu Asp Asp Asn Asn Phe Asp Leu Lys Leu Pro Ile Asn
1 5 10 15

tat aaa atc aat act gat aat tat aga tca ctt act caa gat aaa tta 96
Tyr Lys Ile Asn Thr Asp Asn Tyr Arg Ser Leu Thr Gln Asp Lys Leu
20 25 30

gat gca tta agt tca tct gat gct aat ttt gat ggt att tgg gat tag 144
Asp Ala Leu Ser Ser Ser Asp Ala Asn Phe Asp Gly Ile Trp Asp
35 40 45


<210> 30
<211> 47
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<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 30

Met Lys Leu Leu Asp Asp Asn Asn Phe Asp Leu Lys Leu Pro Ile Asn
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Asp Ala Leu Ser Ser Ser Asp Ala Asn Phe Asp Gly Ile Trp Asp
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<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
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atg aat ctt tta atc aga gaa ttg gaa aat cat tca aga gaa gtt gga 48
Met Asn Leu Leu Ile Arg Glu Leu Glu Asn His Ser Arg Glu Val Gly
1 5 10 15

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20 25 30

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Ser Glu Tyr Ile Val
35


<210> 32
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<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 32

Met Asn Leu Leu Ile Arg Glu Leu Glu Asn His Ser Arg Glu Val Gly
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20 25 30


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35


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<213> Staphylococcus epidermidis


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<221> CDS
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<400> 33
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1 5 10 15

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20 25 30

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35 40 45

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50 55 60

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Asn Arg Pro
65


<210> 34
<211> 67
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 34

Leu Arg Asp Pro Ser Gln Thr Leu Leu Ile Lys Lys Leu Lys Gly Ile
1 5 10 15


Tyr Phe Lys Ala Phe Leu Thr Ser Ser Pro Tyr Ser Gly Ile Asn Gly
20 25 30


Thr Lys Leu Val Ala Ile Gly Thr Ile Asn Ile Arg Lys Thr Pro Ile
35 40 45


Glu Asn Thr Lys Glu Glu Leu Phe Thr Asn Lys Val Ile Arg Asn Arg
50 55 60


Asn Arg Pro
65


<210> 35
<211> 1008
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Hypothetical protein coding sequence


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(1008)

<400> 35
atg aaa aag atg tgg tta cca att ata act aca atc ata gta gct ata 48
Met Lys Lys Met Trp Leu Pro Ile Ile Thr Thr Ile Ile Val Ala Ile
1 5 10 15

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20 25 30

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35 40 45

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50 55 60

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65 70 75 80

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85 90 95

aac agg cct aat cta gtg gat aat att aat aac gtt aaa gaa gat tta 336
Asn Arg Pro Asn Leu Val Asp Asn Ile Asn Asn Val Lys Glu Asp Leu
100 105 110

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Asn Arg Asp Tyr Gln Asn Val Ala Lys His Asn Ser Ser Ser Tyr Gln
115 120 125

aag caa ata tct aat gat tac caa agg tta ttt aaa gct caa caa aaa 432
Lys Gln Ile Ser Asn Asp Tyr Gln Arg Leu Phe Lys Ala Gln Gln Lys
130 135 140

tta aat cag cat gat aat ctg tct agt aaa gat ata tat gca gct ttt 480
Leu Asn Gln His Asp Asn Leu Ser Ser Lys Asp Ile Tyr Ala Ala Phe
145 150 155 160

aat ggt gaa gtg aaa att agt aat tca att agc ggt aaa aat ggt gac 528
Asn Gly Glu Val Lys Ile Ser Asn Ser Ile Ser Gly Lys Asn Gly Asp
165 170 175

gaa att tta aaa tta gtt tct aca aag tca gtt att aag atg aga gct 576
Glu Ile Leu Lys Leu Val Ser Thr Lys Ser Val Ile Lys Met Arg Ala
180 185 190

tca caa tat ata gtt aat aag ata aaa aaa gga agt aac gtt aac ttt 624
Ser Gln Tyr Ile Val Asn Lys Ile Lys Lys Gly Ser Asn Val Asn Phe
195 200 205

aaa tta gat agt gac agt gaa aat gta aaa ggt aag gtc cag tct att 672
Lys Leu Asp Ser Asp Ser Glu Asn Val Lys Gly Lys Val Gln Ser Ile
210 215 220

gat aac tta cct ata aat atg aaa aaa gaa cgt tac tat aaa aac tat 720
Asp Asn Leu Pro Ile Asn Met Lys Lys Glu Arg Tyr Tyr Lys Asn Tyr
225 230 235 240

gaa cct aaa tat atg att aca att tct gat tta aat cat ggt gtg aga 768
Glu Pro Lys Tyr Met Ile Thr Ile Ser Asp Leu Asn His Gly Val Arg
245 250 255

gca gga ttt act ggg aaa gta acg att cct tat aat atg att gaa att 816
Ala Gly Phe Thr Gly Lys Val Thr Ile Pro Tyr Asn Met Ile Glu Ile
260 265 270

cct caa aat agt atc att aat aaa aat tat gtt ttt ata gtt aat aag 864
Pro Gln Asn Ser Ile Ile Asn Lys Asn Tyr Val Phe Ile Val Asn Lys
275 280 285

gat aat tat gta caa aaa cgt aga gtt aaa ata gta aag att aaa aat 912
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290 295 300

aaa ctc att gct aag aaa gga tta aaa tta ggt gat cga gtc att gaa 960
Lys Leu Ile Ala Lys Lys Gly Leu Lys Leu Gly Asp Arg Val Ile Glu
305 310 315 320

aaa cct aaa aga tct tta caa gaa gga caa caa att aat att aaa taa 1008
Lys Pro Lys Arg Ser Leu Gln Glu Gly Gln Gln Ile Asn Ile Lys
325 330 335


<210> 36
<211> 335
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 36

Met Lys Lys Met Trp Leu Pro Ile Ile Thr Thr Ile Ile Val Ala Ile
1 5 10 15


Ile Ile Val Leu Ile Ile Leu Lys Lys Thr Asn His Leu Tyr Phe Asn
20 25 30


Asn Leu Asp Thr Tyr Lys Val Tyr Lys Val Glu Asp Arg Lys Asp Ile
35 40 45


Ser Gly Lys Gly Ile Val Phe Pro Glu His Val Lys Val Tyr Lys Ile
50 55 60


Asn Lys Asn Ile Gly Glu Tyr Ile Arg Pro Gln Ile Lys Asp Phe Arg
65 70 75 80


Lys Val Lys Lys Gly Thr Pro Leu Ile Tyr Tyr Asp Thr Asn Ser Ser
85 90 95


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100 105 110


Asn Arg Asp Tyr Gln Asn Val Ala Lys His Asn Ser Ser Ser Tyr Gln
115 120 125


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130 135 140


Leu Asn Gln His Asp Asn Leu Ser Ser Lys Asp Ile Tyr Ala Ala Phe
145 150 155 160


Asn Gly Glu Val Lys Ile Ser Asn Ser Ile Ser Gly Lys Asn Gly Asp
165 170 175


Glu Ile Leu Lys Leu Val Ser Thr Lys Ser Val Ile Lys Met Arg Ala
180 185 190


Ser Gln Tyr Ile Val Asn Lys Ile Lys Lys Gly Ser Asn Val Asn Phe
195 200 205


Lys Leu Asp Ser Asp Ser Glu Asn Val Lys Gly Lys Val Gln Ser Ile
210 215 220


Asp Asn Leu Pro Ile Asn Met Lys Lys Glu Arg Tyr Tyr Lys Asn Tyr
225 230 235 240


Glu Pro Lys Tyr Met Ile Thr Ile Ser Asp Leu Asn His Gly Val Arg
245 250 255


Ala Gly Phe Thr Gly Lys Val Thr Ile Pro Tyr Asn Met Ile Glu Ile
260 265 270


Pro Gln Asn Ser Ile Ile Asn Lys Asn Tyr Val Phe Ile Val Asn Lys
275 280 285


Asp Asn Tyr Val Gln Lys Arg Arg Val Lys Ile Val Lys Ile Lys Asn
290 295 300


Lys Leu Ile Ala Lys Lys Gly Leu Lys Leu Gly Asp Arg Val Ile Glu
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Lys Pro Lys Arg Ser Leu Gln Glu Gly Gln Gln Ile Asn Ile Lys
325 330 335


<210> 37
<211> 282
<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(282)

<400> 37
gtg caa gaa act cat tac gaa ttt aat ata gat gat gaa tta aga aaa 48
Val Gln Glu Thr His Tyr Glu Phe Asn Ile Asp Asp Glu Leu Arg Lys
1 5 10 15

cta ggt tta tta gtt gga ata tcc gaa gaa atg tac tac tgc tca att 96
Leu Gly Leu Leu Val Gly Ile Ser Glu Glu Met Tyr Tyr Cys Ser Ile
20 25 30

agt cga ata tca aca ttg tat ctt gaa aac ttt gga act aaa tgg gta 144
Ser Arg Ile Ser Thr Leu Tyr Leu Glu Asn Phe Gly Thr Lys Trp Val
35 40 45

gca tgg cgt gaa act tat gat ttt aag aat gat aaa aga gta tcg cac 192
Ala Trp Arg Glu Thr Tyr Asp Phe Lys Asn Asp Lys Arg Val Ser His
50 55 60

aga ata ata gca aat ggc agt ttt gaa tta gta gct gca aga act aaa 240
Arg Ile Ile Ala Asn Gly Ser Phe Glu Leu Val Ala Ala Arg Thr Lys
65 70 75 80

aac tat tta aac tac att aaa aga aag cag gga ata aaa tga 282
Asn Tyr Leu Asn Tyr Ile Lys Arg Lys Gln Gly Ile Lys
85 90


<210> 38
<211> 93
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 38

Val Gln Glu Thr His Tyr Glu Phe Asn Ile Asp Asp Glu Leu Arg Lys
1 5 10 15


Leu Gly Leu Leu Val Gly Ile Ser Glu Glu Met Tyr Tyr Cys Ser Ile
20 25 30


Ser Arg Ile Ser Thr Leu Tyr Leu Glu Asn Phe Gly Thr Lys Trp Val
35 40 45


Ala Trp Arg Glu Thr Tyr Asp Phe Lys Asn Asp Lys Arg Val Ser His
50 55 60


Arg Ile Ile Ala Asn Gly Ser Phe Glu Leu Val Ala Ala Arg Thr Lys
65 70 75 80


Asn Tyr Leu Asn Tyr Ile Lys Arg Lys Gln Gly Ile Lys
85 90


<210> 39
<211> 822
<212> DNA
<213> Staphylococcus saccharolyticus


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(822)

<400> 39
atg aaa atg tac aat gca gca aag aat ctc ctt agt aaa gat gtg caa 48
Met Lys Met Tyr Asn Ala Ala Lys Asn Leu Leu Ser Lys Asp Val Gln
1 5 10 15

gtt gta ccc tta aac gat aat aaa aag cca aca gta tca ttt aag aat 96
Val Val Pro Leu Asn Asp Asn Lys Lys Pro Thr Val Ser Phe Lys Asn
20 25 30

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Ile Thr Ile Asp Asp Asp Phe Ile Asp Asn Asn Phe Leu Ala Tyr Ala
35 40 45

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Lys Thr Asn Val Leu Gly Val Leu Thr Arg Gly Leu Trp Cys Ile Asp
50 55 60

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Ile Asp Ile Asn His Val Asn Gly Glu Ser Gly Phe Asp Ser Leu Lys
65 70 75 80

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Asp Ile Pro Tyr Tyr Ala Glu Phe Val Ser Asn Ala Gln Asn Thr Leu
85 90 95

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100 105 110

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Asp Gly Val Glu Tyr Ala Gln Lys Ile Gly Tyr Leu Pro Ser Val Asp
115 120 125

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Ile Lys Ala His Asp Asn Asn Tyr Phe Val Leu Ala Gly Ser Lys Thr
130 135 140

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Ala Lys Gly Leu Tyr Thr Ser Asn Lys Lys Pro Val Ile Thr Tyr Asp
145 150 155 160

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Gly Glu Phe Glu Asp Arg Ile Phe Ser Lys Arg Gly Asn Tyr Leu Gln
165 170 175

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Gln Thr Met Glu Lys Phe Ser Val Lys Ser Val Leu Pro Asn His Asn
180 185 190

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Phe Asn His Leu Gln His Thr Gly Lys Gly Gly Leu Gly Lys Glu Ala
195 200 205

tac aat cgt gta att aat ggt gaa agc ata gaa cgt aat aat gat gta 672
Tyr Asn Arg Val Ile Asn Gly Glu Ser Ile Glu Arg Asn Asn Asp Val
210 215 220

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225 230 235 240

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245 250 255

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Leu Glu Glu Trp Glu Ala Ser Tyr Asn Ser Ala Arg Asn Ser Leu Arg
260 265 270

att taa 822
Ile



<210> 40
<211> 273
<212> PRT
<213> Staphylococcus saccharolyticus

<400> 40

Met Lys Met Tyr Asn Ala Ala Lys Asn Leu Leu Ser Lys Asp Val Gln
1 5 10 15


Val Val Pro Leu Asn Asp Asn Lys Lys Pro Thr Val Ser Phe Lys Asn
20 25 30


Ile Thr Ile Asp Asp Asp Phe Ile Asp Asn Asn Phe Leu Ala Tyr Ala
35 40 45


Lys Thr Asn Val Leu Gly Val Leu Thr Arg Gly Leu Trp Cys Ile Asp
50 55 60


Ile Asp Ile Asn His Val Asn Gly Glu Ser Gly Phe Asp Ser Leu Lys
65 70 75 80


Asp Ile Pro Tyr Tyr Ala Glu Phe Val Ser Asn Ala Gln Asn Thr Leu
85 90 95


Val Gln Thr Thr Ala Ser Gly Gly Lys His Val Ile Phe Lys Lys Arg
100 105 110


Asp Gly Val Glu Tyr Ala Gln Lys Ile Gly Tyr Leu Pro Ser Val Asp
115 120 125


Ile Lys Ala His Asp Asn Asn Tyr Phe Val Leu Ala Gly Ser Lys Thr
130 135 140


Ala Lys Gly Leu Tyr Thr Ser Asn Lys Lys Pro Val Ile Thr Tyr Asp
145 150 155 160


Gly Glu Phe Glu Asp Arg Ile Phe Ser Lys Arg Gly Asn Tyr Leu Gln
165 170 175


Gln Thr Met Glu Lys Phe Ser Val Lys Ser Val Leu Pro Asn His Asn
180 185 190


Phe Asn His Leu Gln His Thr Gly Lys Gly Gly Leu Gly Lys Glu Ala
195 200 205


Tyr Asn Arg Val Ile Asn Gly Glu Ser Ile Glu Arg Asn Asn Asp Val
210 215 220


Tyr Lys Ala Ile Ser Tyr Ala Leu Gln Cys Asn Val Asp Ile Glu Pro
225 230 235 240


Leu Lys Val Ile Ile Gly Asp Val Lys Ala Asn Gly Asp Glu Phe Thr
245 250 255


Leu Glu Glu Trp Glu Ala Ser Tyr Asn Ser Ala Arg Asn Ser Leu Arg
260 265 270


Ile



<210> 41
<211> 1614
<212> DNA
<213> Staphylococcus saccharolyticus


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(1614)

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Met Asp Glu Val Ser Leu Tyr Lys Lys His Tyr Gln Phe His Ser Lys
1 5 10 15

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20 25 30

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35 40 45

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50 55 60

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65 70 75 80

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85 90 95

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100 105 110

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115 120 125

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130 135 140

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145 150 155 160

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165 170 175

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180 185 190

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195 200 205

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210 215 220

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225 230 235 240

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245 250 255

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260 265 270

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275 280 285

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290 295 300

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325 330 335

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405 410 415

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Ser Val Asn Ala Ser Val Ser Phe Leu Ile Leu Ser Leu Glu Tyr Leu
420 425 430

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Lys Gln Ile Gly Arg Glu Phe Lys Phe Asn Asn Val Thr Leu Lys Asn
435 440 445

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Tyr Tyr Thr Glu Asp Glu Leu Thr Asp Thr Gln Ile Leu Met Leu Lys
450 455 460

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465 470 475 480

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485 490 495

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Glu Asp Met Lys Lys Ile Gly Val Ala Ile Asn Gln Gln Glu Trp Ile
500 505 510

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Glu Gly Gln Asn Thr Lys Val His Lys Val Lys Asn Gln Glu Leu Phe
515 520 525

aat atg gct tta gct ttg att gaa act tag 1614
Asn Met Ala Leu Ala Leu Ile Glu Thr
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<210> 42
<211> 537
<212> PRT
<213> Staphylococcus saccharolyticus

<400> 42

Met Asp Glu Val Ser Leu Tyr Lys Lys His Tyr Gln Phe His Ser Lys
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Leu Asp Asn Val Asp Thr Pro Asn Leu Ser Arg Ile Lys Glu Ile Ser
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Lys Arg Ile Tyr Phe Ala Ala Ile Thr Thr Glu Lys Gln Ile Phe Asn
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Glu Leu Asp Ser Phe Ile Lys Leu Asn Ser Asn Gln Tyr Glu Ile Ile
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Asp Trp Ile Tyr Asn Cys Arg Lys Leu Glu Phe Val Asp Lys Lys Ile
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Lys Thr Ile Glu Glu Asp Tyr Lys Asn Leu Lys Tyr Lys Lys Ala Lys
485 490 495


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<211> 144
<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
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ttg ctt gat gaa gtt gtt att cta tat ttt tca ttt aat ggt ttt ata 48
Leu Leu Asp Glu Val Val Ile Leu Tyr Phe Ser Phe Asn Gly Phe Ile
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20 25 30

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Leu Thr Phe Thr Ile Leu Phe Val Leu Leu Val Thr Leu Gly Ala
35 40 45


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<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 44

Leu Leu Asp Glu Val Val Ile Leu Tyr Phe Ser Phe Asn Gly Phe Ile
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<210> 45
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Hypothetical protein coding sequence


<220>
<221> CDS
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20 25 30

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35 40 45

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50 55 60

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65 70 75 80

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85 90 95

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Val Glu Arg Leu Glu Glu
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<223> Synthetic Construct

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Val Glu Arg Leu Glu Glu
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence

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<223> Hypothetical protein coding sequence


<220>
<221> CDS
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Met Leu Asn Phe Glu Leu Lys Lys His Leu Lys Asp Lys Asp Met Thr
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35 40 45

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50 55 60

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65 70 75 80

tct gaa gta gga gtt gat tac aat gcg tct tat gat ttt aaa caa tta 288
Ser Glu Val Gly Val Asp Tyr Asn Ala Ser Tyr Asp Phe Lys Gln Leu
85 90 95

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tat gaa ata gat tta cag tta aac ata tta aaa gat cat agt tct gaa 384
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Val Lys Ile Thr Ile Asp Leu Arg Lys Phe Asn Tyr Leu Asn Leu Phe
130 135 140

tta ccc atc aat tct gac gta gat aat gaa ata gca tat tta act cat 480
Leu Pro Ile Asn Ser Asp Val Asp Asn Glu Ile Ala Tyr Leu Thr His
145 150 155 160

gtt tat ttt ata gac act ata ctc aaa atc aat aaa gat gaa att tta 528
Val Tyr Phe Ile Asp Thr Ile Leu Lys Ile Asn Lys Asp Glu Ile Leu
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gaa tta atg ggt aaa ggt ata aaa ata tct tca aat caa att tct tat 576
Glu Leu Met Gly Lys Gly Ile Lys Ile Ser Ser Asn Gln Ile Ser Tyr
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Val Ile Ile Lys Asp Ala Phe His Ile Ile Ser Ser Gly Ile Leu Tyr
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atg aat aat ttc aag att aca caa aaa gag ttt tat gtt aat aaa ctc 672
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aaa act agt aat act ata aat tac atc gaa gac tcc aat aaa ata ctt 720
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ttt aca agc agg cat aaa aat gtt aca taa 750
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Ile Ser Glu Leu Ser Glu Lys Thr Gly Ile Ser Arg Asn Ser Leu Gly
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245


<210> 49
<211> 600
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Hypothetical protein coding sequence


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(600)

<400> 49
ttg tcg att tta att agt ttt ctt agt tta att tta tca act ttc gct 48
Leu Ser Ile Leu Ile Ser Phe Leu Ser Leu Ile Leu Ser Thr Phe Ala
1 5 10 15

ttt tta tat gcg aac aaa aga cat aag ttg aat atg tta gat cat tta 96
Phe Leu Tyr Ala Asn Lys Arg His Lys Leu Asn Met Leu Asp His Leu
20 25 30

gat gat aaa tca gaa tgg aga aaa aaa cta ttt gaa att gca ggt tct 144
Asp Asp Lys Ser Glu Trp Arg Lys Lys Leu Phe Glu Ile Ala Gly Ser
35 40 45

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Ser Lys Ile Gly Met Gly Asn Leu Tyr Gln Phe Arg Ala Ala Leu Arg
50 55 60

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Phe Thr Tyr Lys Asn Glu Asp Glu Tyr Tyr Glu Tyr Asn Tyr Phe Glu
65 70 75 80

tgc atg aac ata att att ata aaa tat tgt gaa aaa tta ata agt caa 288
Cys Met Asn Ile Ile Ile Ile Lys Tyr Cys Glu Lys Leu Ile Ser Gln
85 90 95

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Asn Arg Ile Glu Asp His Lys His Asn Glu Asn Glu Lys Asp Gln Ser
100 105 110

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Tyr Leu Lys Asn Tyr Glu Met Asp Ser Ile Arg Leu Phe Cys Ile Tyr
115 120 125

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Met Leu Ala Asp His Trp Glu Lys Lys Gln Asn Lys Asn Phe Lys Phe
130 135 140

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145 150 155 160

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Phe Leu Asn Ile Asn Asp Lys Asn Tyr Cys Tyr Lys Cys His Lys Ser
165 170 175

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Lys Leu Asn Arg Asp Asn Phe Tyr Cys Leu Tyr His Gln Ser Ile Ser
180 185 190

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Leu Ile Asn Ser Met Thr Ser
195


<210> 50
<211> 199
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 50

Leu Ser Ile Leu Ile Ser Phe Leu Ser Leu Ile Leu Ser Thr Phe Ala
1 5 10 15


Phe Leu Tyr Ala Asn Lys Arg His Lys Leu Asn Met Leu Asp His Leu
20 25 30


Asp Asp Lys Ser Glu Trp Arg Lys Lys Leu Phe Glu Ile Ala Gly Ser
35 40 45


Ser Lys Ile Gly Met Gly Asn Leu Tyr Gln Phe Arg Ala Ala Leu Arg
50 55 60


Phe Thr Tyr Lys Asn Glu Asp Glu Tyr Tyr Glu Tyr Asn Tyr Phe Glu
65 70 75 80


Cys Met Asn Ile Ile Ile Ile Lys Tyr Cys Glu Lys Leu Ile Ser Gln
85 90 95


Asn Arg Ile Glu Asp His Lys His Asn Glu Asn Glu Lys Asp Gln Ser
100 105 110


Tyr Leu Lys Asn Tyr Glu Met Asp Ser Ile Arg Leu Phe Cys Ile Tyr
115 120 125


Met Leu Ala Asp His Trp Glu Lys Lys Gln Asn Lys Asn Phe Lys Phe
130 135 140


Asn Asn Pro Val Lys Glu Val Glu Leu Cys Ile Asp Thr Leu Gln Lys
145 150 155 160


Phe Leu Asn Ile Asn Asp Lys Asn Tyr Cys Tyr Lys Cys His Lys Ser
165 170 175


Lys Leu Asn Arg Asp Asn Phe Tyr Cys Leu Tyr His Gln Ser Ile Ser
180 185 190


Leu Ile Asn Ser Met Thr Ser
195


<210> 51
<211> 435
<212> DNA
<213> Staphylococcus epidermidis


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(435)

<400> 51
atg ggc tgt acg act gct gat att tta gcc tgt ttt aat cct aat cta 48
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1 5 10 15

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20 25 30

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35 40 45

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50 55 60

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65 70 75 80

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85 90 95

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100 105 110

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115 120 125

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Leu Ile Asn Trp Pro Leu Ser Phe Leu Ser Lys Asn Gly Ile Phe Asn
130 135 140

tga 435


<210> 52
<211> 144
<212> PRT
<213> Staphylococcus epidermidis

<400> 52

Met Gly Cys Thr Thr Ala Asp Ile Leu Ala Cys Phe Asn Pro Asn Leu
1 5 10 15


Tyr Ile Phe Leu Arg Phe Val Cys Ala Leu Ser Asn Ser Lys Arg Ser
20 25 30


Val Leu Asp Thr Leu Thr Lys Arg Ile Ser Val Ser Thr Leu Pro Asn
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Asn Pro Leu Lys Phe Ala Ile Ser Asp Cys Val Leu Val Asp Ile Phe
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65 70 75 80


Val Ile Asn Val Asn Lys Val Asn Phe Gln Ser Met Ile Asn Ser Met
85 90 95


Thr Asn Glu Pro Thr Asn Val Lys Thr Glu Gly Asn Lys Leu Gly Ser
100 105 110


Phe Cys Glu Ile Asn Ser Leu Ile Thr Phe Val Ser Ser Val Arg Arg
115 120 125


Leu Ile Asn Trp Pro Leu Ser Phe Leu Ser Lys Asn Gly Ile Phe Asn
130 135 140


<210> 53
<211> 120
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Hypothetical protein coding sequence


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(120)

<400> 53
atg att cta tgg aag aaa tat ggg agc tat gaa atg caa att gca ttt 48
Met Ile Leu Trp Lys Lys Tyr Gly Ser Tyr Glu Met Gln Ile Ala Phe
1 5 10 15

aaa gat ttc aat gaa gat aag caa act att aat gag tat act cat ttt 96
Lys Asp Phe Asn Glu Asp Lys Gln Thr Ile Asn Glu Tyr Thr His Phe
20 25 30

tta gtt cag aaa gaa cta cat tga 120
Leu Val Gln Lys Glu Leu His
35


<210> 54
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<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 54

Met Ile Leu Trp Lys Lys Tyr Gly Ser Tyr Glu Met Gln Ile Ala Phe
1 5 10 15


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20 25 30


Leu Val Gln Lys Glu Leu His
35


<210> 55
<211> 270
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Hypothetical protein coding sequence


<220>
<221> CDS
<222> (1)..(270)

<400> 55
atg gat gat tat aac tct aat aat gat acg aat gat tgg cat gaa atc 48
Met Asp Asp Tyr Asn Ser Asn Asn Asp Thr Asn Asp Trp His Glu Ile
1 5 10 15

att gaa cag ctg aag aac gat aac gag ata ctc aaa tct aac aat caa 96
Ile Glu Gln Leu Lys Asn Asp Asn Glu Ile Leu Lys Ser Asn Asn Gln
20 25 30

gaa ctt cag caa cat att cat cag ctg gaa gac gag ata gac cca atg 144
Glu Leu Gln Gln His Ile His Gln Leu Glu Asp Glu Ile Asp Pro Met
35 40 45

aga caa gaa aat gat gtt ttt cat cat tta tta caa cat ttt gat agt 192
Arg Gln Glu Asn Asp Val Phe His His Leu Leu Gln His Phe Asp Ser
50 55 60

aca gca ttt atg aac ttc aat aca tat cgt gat gat cgc cca tta aaa 240
Thr Ala Phe Met Asn Phe Asn Thr Tyr Arg Asp Asp Arg Pro Leu Lys
65 70 75 80

aat gcg att aaa cga ttg aaa gaa caa taa 270
Asn Ala Ile Lys Arg Leu Lys Glu Gln
85


<210> 56
<211> 89
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Synthetic Construct

<400> 56

Met Asp Asp Tyr Asn Ser Asn Asn Asp Thr Asn Asp Trp His Glu Ile
1 5 10 15


Ile Glu Gln Leu Lys Asn Asp Asn Glu Ile Leu Lys Ser Asn Asn Gln
20 25 30


Glu Leu Gln Gln His Ile His Gln Leu Glu Asp Glu Ile Asp Pro Met
35 40 45


Arg Gln Glu Asn Asp Val Phe His His Leu Leu Gln His Phe Asp Ser
50 55 60


Thr Ala Phe Met Asn Phe Asn Thr Tyr Arg Asp Asp Arg Pro Leu Lys
65 70 75 80


Asn Ala Ile Lys Arg Leu Lys Glu Gln
85


<210> 57
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Primer sequence

<400> 57
cgcgcgaaga ccggttac 18


<210> 58
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Partial template strand


<220>
<221> misc_feature
<222> (7)..(7)
<223> N is T or G

<400> 58
ggcggcngta accggtcttc gcgcg 25
図1-1】
図1-2】
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7-1-1】
図7-1-2】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図7-5】
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13
【外国語明細書】