(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116518
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】フロルグルシノールおよびトリメチルフロログルシノールの医薬製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20230815BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230815BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20230815BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230815BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20230815BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230815BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230815BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
A61K31/05
A61P25/08
A61P13/00
A61P1/00
A61P21/02
A61K9/48
A61K9/14
A61K9/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023085724
(22)【出願日】2023-05-24
(62)【分割の表示】P 2019543833の分割
【原出願日】2018-03-08
(31)【優先権主張番号】62/468,501
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518238034
【氏名又は名称】シンリックス ファーマ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】パテル、ピユーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ピアース、キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】イサクソン、ジョナサン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者への経口投与のための、フロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールおよび/またはその薬学的に許容される塩の医薬組成物を提供する。
【解決手段】経口投薬単位であって、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、又はそれらの薬学的に許容される塩を有する即時放出製剤であって、約37℃で約0.1NのHCl溶液を有する約750mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記即時放出製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、又はそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約5分~約2時間で前記投薬単位から放出される、前記即時放出製剤と、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、又はそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤とを有する、経口投薬単位とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投薬単位であって、
フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する即時放出製剤であって、約37℃で約0.1NのHCl溶液を有する約750mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記即時放出製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約5分~約2時間で前記投薬単位から放出される、前記即時放出製剤と、
フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤であって、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が少なくとも約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記放出調節製剤と
を有する、経口投薬単位。
【請求項2】
前記即時放出製剤または放出調節製剤の一方または両方が、フロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩を有する、請求項1に記載の経口投薬単位。
【請求項3】
前記即時放出製剤または放出調節製剤の一方または両方が、トリメチルフロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩を有する、請求項1または2に記載の経口投薬単位。
【請求項4】
前記即時放出製剤および放出調節製剤が、フロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩と、トリメチルフロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩とを有する、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項5】
フロログルシノール対トリメチルフロログルシノールの比が、例えば約80:20、約70:30、約60:40、約50:50、約40:60、約30:70、または約20:80などの約90:10~約10:90である、請求項4に記載の経口投薬単位。
【請求項6】
前記フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩が、約2時間~約12時間かけて前記放出調節製剤から放出される、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項7】
前記即時放出製剤の一部が前記放出調節製剤でコーティングされている、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項8】
前記経口投薬単位の重量に基づいて、約10~約50重量%の前記放出調節製剤を有する、請求項7に記載の経口投薬単位。
【請求項9】
第二の放出調節製剤をさらに有する、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項10】
約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記第二の放出調節製剤の重量に基づいて、少なくとも約90重量%のフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはその薬学的に許容される塩が、約4時間~約6時間で前記投薬単位から放出される、請求項9に記載の経口投薬単位。
【請求項11】
前記即時放出製剤の一部が前記第二の放出調節製剤でコーティングされている、請求項9または10に記載の経口投薬単位。
【請求項12】
前記放出調節製剤が腸溶性ポリマーを有する、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項13】
前記腸溶性ポリマーが、例えばAcryl-EZE(登録商標)ポリマーなどのアクリルポリマーである、請求項12に記載の経口投薬単位。
【請求項14】
前記腸溶性ポリマーが、例えばSureteric(登録商標)ポリマーなどのポリ酢酸ビニルフタレートポリマーである、請求項13に記載の経口投薬単位。
【請求項15】
前記即時放出製剤、放出調節製剤、またはそれらの組み合わせがビーズまたは顆粒の形態である、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項16】
錠剤、カプセル、小袋、ソフトゲル、または液体である、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項17】
前記即時放出製剤、放出調節製剤、またはそれらの組み合わせが、錠剤、カプセル、小袋、ソフトゲル、または液体の形態である、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項18】
前記即時放出製剤を有するビーズと前記放出調節製剤を有するビーズとを有する、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項19】
前記即時放出製剤中に約50mg~約800mgのフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項20】
前記放出調節製剤中に約50mg~800mgを有する、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項21】
約50mg~約1000mgのフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位。
【請求項22】
経口投薬単位であって、
複数のビーズであって、各ビーズはフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する即時放出製剤を有し、約37℃で約0.1NのHClを有する約750mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記即時放出製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約1時間後に前記投薬単位から放出される、前記複数のビーズと、
複数のビーズであって、各ビーズはフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤を有し、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が少なくとも約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記複数のビーズと
を有する、経口投薬単位。
【請求項23】
複数のビーズを有する経口投薬単位であって、各ビーズは、
フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する即時放出製剤の形態のコアであって、約37℃で約0.1NのHClを有する約750mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記即時放出製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約1時間後に前記投薬単位から放出される、前記コアと、
前記コアを覆うコーティングであって、
(i)フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤であって、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が少なくとも約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記放出調節製剤、または
(ii)フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤であって、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約4時間~約6時間後に前記投薬単位から放出される、前記放出調節製剤、または
(iii)(i)および(ii)の組み合わせ
である、前記コーティングと
を有する、経口投薬単位。
【請求項24】
対象のけいれん性状態を治療する方法であって、上述の請求項のいずれか一項に記載の経口投薬単位を前記対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項25】
前記けいれん性状態が、気管支、胃、腸、尿管、胆嚢、腎臓、または胆管の突然の不随意筋収縮である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記けいれん性状態が、尿路けいれん、胆石、胃腸障害、炎症性腸症候群、腎臓疝痛、または胆道のけいれん性状態である、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年3月8日付けで出願された米国仮出願第62/468,501号の利益を主張し、その全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせを有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
フロログルシノールは化学的にベンゼントリオール、特に1,3,5-ベンゼントリオールである。これは三置換ベンゼンの対称アレーン置換パターンを有する。エノールの一種として、これは平衡状態にある2つの互変異性型(フェノール様の性質を有する1,3,5-トリヒドロキシベンゼンとケトン様の性質を有する1,3,5-シクロヘキサントリオン(フロログルシン))で存在する。
【0004】
【化1】
3つのヒドロキシル基はメチル化されることができ、1,3,5-トリメトキシベンゼン(トリメチルフロログルシノール)をもたらす。フロログルシノールアシル化誘導体は脂肪酸合成酵素阻害活性を有する。
【0005】
フロログルシノール(フロログルシン(商標)、フロログルシノール(商標)、スパスフォン)は、非特異的鎮痙薬として医学的に使用されている。これは非常に弱い抗コリン作用を有し、平滑筋細胞を直接弛緩させることによってその主な作用を発揮する。これは、血管や他の管、気管支、腸、尿管、および胆嚢の突然の不随意筋収縮として定義されるけいれんの治療に使用される。具体的な用途としては、例えば、尿路けいれん、胆石、けいれん痛および関連する胃腸障害、腎臓の疝痛、並びに中程度の腹痛を伴う胆道のけいれん性状態の治療が挙げられる。平滑筋細胞の弛緩は高度に選択的であるように見え、腸および血管床よりも尿管および胆道に影響を与える。その弛緩特性の一部は、酵素カテコール-O-メチルトランスフェラーゼのその阻害によるものである。トリメチルフロログルシノールはフロログルシノールと同様の薬理学的および毒物学的プロファイルを有するが、トリメチルフロログルシノールの作用期間はフロログルシノールの期間の約6倍である。
【0006】
フロログルシノール投与は、フロログルシノールまたはそのメチル化型に対する過敏症を有する患者には禁忌であるが、予防策は決定されていない。皮膚過敏症(アレルギー性皮膚反応)をまれに引き起こすことが知られている。アナフィラキシーショックは、フロログルシノールの静脈内または筋肉内投与で報告されている。
【0007】
フロログルシノールは、機能性腸疾患とも呼ばれる機能性腸障害(FBD)を治療するために使用される。診断基準(ローマIII)は、3か月の評価に基づいて、1か月に少なくとも3日起こる6か月以上続く症状であり、典型的な最初の訴えは、排便と通過障害によって軽減される腹痛である。診断は、クローン病または大腸癌などの根本的な器質性障害の排除によるものである。治療の主な目的は、便秘や下痢の主な症状を和らげることによって、正常な胃腸通過の回復と痛みの軽減を行うことである。
【0008】
過敏性腸症候群(IBS)は、FBDの最も一般的な原因である。一般成人集団におけるIBSの最近の推定有病率は約8%である。IBSは、排便および/または排便習慣の変化(下痢および/または便秘)に伴う腹痛および/または膨張を特徴とする急性症状を伴う慢性症状である。症状は変動し、典型的には人生のストレスのたまる出来事によって悪化する。病因は、小腸および/または結腸における内臓過敏症および/または運動活性の増大もしくは無秩序化を含む。下痢型のIBSを有する個体は、移動性運動複合体のフフェイズIIの間および食後に、健康な被験者よりも空腸収縮が多く、疼痛発作の発生と空腸運動活動のクラスターの開始との間に関係がある。疼痛発作はまた、結腸の一過性収縮の変化および摂食の影響およびストレスに対する影響の両方についての反応性の増大にも関連している。内臓痛および消化管運動の変化は、消化管の感受性の上昇から生じる運動反射の変化に依存し、フロログルシノールなどの鎮痙薬を急性疼痛を伴う症状の短期間の治療に使用するための理論的根拠を提供する。
【0009】
過活動膀胱または切迫性失禁は、膀胱を空にする必要があるという感覚が突然、しばしば激しく、そして警告なしに起こる状態についての俗称である。膀胱の筋肉が圧迫され、膀胱から尿が押し出されて漏出を引き起こす。けいれんは、重度の月経痛または陣痛と同種のけいれん痛、および時には灼熱感を伴うものとして説明される。膀胱けいれんの病因は、食事、薬剤、膀胱を神経支配する神経への血管供給の変化、最近の手術の結果としての感染、神経損傷、筋肉損傷などであり得る。
【0010】
クオリティオブライフは、FBS、IBS、および過活動膀胱を有する個体においては妥協される。治療の目的は、定期的な腸管通過、制御された膀胱排泄、および痛みの解消を回復することである。治療法は、生活習慣(症状を悪化させる食物を避ける、定期的な運動を開始する)および食事の変更(便秘が症状である場合は繊維の消費量を増やし、下痢が症状である場合は繊維の消費量を減らす)と組み合わされます。薬理学的治療は、特に腹痛と膨張が主な症状である場合の鎮痙薬の投与である。
【0011】
フロログルシノールは、直腸S状結腸運動反応を増強することによってFBSおよびIBSを治療することができる。しかしながら、規制上の証拠が決定的ではなかったため、米国では治療法として承認されていない。
【0012】
フロログルシノールは、一実施形態では1日6回まで80mgの用量で、他の実施形態では1日3回まで80mgの用量で経口投与される。尿路のけいれん性状態を管理するための典型的な経口投与量は1日6回80mgであり、いくつかの研究では1日3回80mgの経口投与の用量が報告されている。1日2~3回の40mgの非経口経路が使用されるが、現在は推奨されていない。膀胱けいれんおよび胆道けいれんの典型的な直腸投与量は1日3回150mgである。
【0013】
フロログルシノールは、160mgの単回経口投与の20分後に達成される677ng /mlの血中濃度ピークを有する。経口投与後のバイオアベイラビリティ(吸収)は47%であり、主に腎臓代謝を伴う。フロログルシノールは、主に水酸化代謝物、グルクロノおよびスルホ接合体として、および部分的には未修飾薬として尿中に排泄される。それは1.5時間の短い血漿半減期を有する。
【0014】
IBSの有病率は、国および使用される診断基準に関連し、1%~20%まで変動する。あるフランスの研究では調査に基づき、2万人の個人を対象とした自己管理アンケートによって実施され、ローマII基準に従って定義されて4.7%の有病率(4.36%~5.04%)となった。別のフランスの研究では、電話質問で8,221人の個人を対象にした調査で、マニング基準に従って定義されて推定12%の有病率(症状持続期間を含まない)となり、2.5%が症状持続期間を含み、ローマI基準で2.1%、ローマII基準で1%となった。現在の基準(ローマIII)に従ってIBSの有病率を評価した疫学的研究はなく、ローマIII基準は活発な症状の持続期間に関してそれほど制限的ではないため、ローマIII基準による有病率はローマII基準よりも高いはずである(ローマIII基準では少なくとも6ヶ月間症状が存在していなければならないところ、ローマII基準では1年である)。
【0015】
フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩をさらに放出する、1つまたはそれ以上のフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する新規な組成物が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示は経口投薬単位を提供する。この経口投薬単位は、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する即時放出製剤であって、約37℃で約0.1NのHCl溶液を有する約750mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記即時放出製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約5分~約2時間で前記投薬単位から放出される、前記即時放出製剤を有する。前記経口投薬単位はまた、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤であって、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が少なくとも約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記放出調節製剤を有する。
【0017】
他の実施形態において、本開示は、経口投薬単位であって、複数のビーズであって、各ビーズはフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する即時放出製剤を有し、約37℃で約0.1NのHClを有する約750mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記即時放出製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約5分~約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記複数のビーズと、複数のビーズであって、各ビーズはフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤を有し、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が少なくとも約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記複数のビーズとを有する、経口投薬単位を提供する。
【0018】
さらなる実施形態では、本開示は、複数のビーズを有する経口投薬単位を提供する。いくつかの態様において、各ビーズは、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する即時放出製剤の形態のコアであって、約37℃で約0.1NのHCl溶液を有する約750mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記即時放出製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約5分~約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記コアを有する。前記ビーズはまた、前記コアを覆うコーティングであって、(i)フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤であって、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が少なくとも約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記放出調節製剤、(ii)フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤であって、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約4時間~約6時間後に前記投薬単位から放出される、前記放出調節製剤、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせである、前記コーティングを有する。
【0019】
さらに他の実施形態では、本開示は、対象のけいれん性状態を治療する方法であって、本明細書に記載の経口投薬単位を対象に投与する工程を有する、方法を提供する。
【0020】
本発明の他の態様および実施形態は、以下の本発明の詳細な説明から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本出願は、添付の図面と併せて読まれる場合にさらに理解される。主題を説明する目的で、主題の例示的な実施形態が図面に示される。しかしながら、本明細書に開示される主題は、開示される特定の組成物、方法、装置、およびシステムに限定されるものではない。さらに、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
【
図1】
図1は、本開示の即時放出(IR)製剤および放出調節製剤の代表的な薬物放出プロファイルを示す。
【
図2】
図2は、本開示の即時放出部分および放出調節部分からのフロログルシノールの模擬血漿プロファイルである。
【
図3】
図3は、即時放出層および放出調節層を有する本開示の二層錠剤を示す。
【
図4】
図4は、即時放出層、放出調節層、および緩衝層を含む本開示の三層錠剤を示す。
【
図5】
図5は、放出調節マトリックスおよび即時放出コーティングを有する本開示の錠剤を示す。
【
図6】
図6は、即時放出錠剤、プラグ、および浸透圧系を有する放出調節錠剤を含有する本開示のカプセルを示す。
【
図7】
図7は、即時放出ビーズおよび放出調節ビーズを含有する本開示のカプセルを示す。
【
図8】
図8は、即時放出型および放出調節型の小型錠剤を含有する本開示のカプセルを示す。
【
図9】
図9は、即時放出顆粒および放出調節顆粒を含有する本開示のカプセルを示す。
【
図10】
図10は、即時放出層でコーティングされた放出調節ビーズを含む本開示のカプセルを示す。
【
図11】
図11は、即時放出顆粒を含む本開示の圧縮錠剤および当該圧縮錠剤内に埋め込まれたコーティングされた放出調節錠剤を示す。
【
図12】
図12は、即時放出錠剤内に埋め込まれた放出調節錠剤を有する本開示の圧縮された即時放出錠剤を示す。
【
図13】
図13は、即時放出液体に懸濁された本開示の放出調節錠剤を示す。
【
図14】
図14は、即時放出顆粒またはビーズおよび放出調節顆粒またはビーズの混合物を含有する本開示の小袋を示す。
【
図15】
図15は、発泡性即時放出顆粒またはビーズおよびコーティングされた放出調節顆粒またはビーズを含む本開示の小袋を示す。
【
図16】
図16は、バンドによって分離された中間層を有する本開示の錠剤を示す。
【
図17】
図17は、コーティングされた遅延放出/放出調節薬物粒子、ビーズまたは顆粒を含有する本開示の口腔内崩壊錠を示し、挿入図はポリマーマトリックス中の薬物を示す。
【
図18】
図18は、薬物溶液およびコーティングされた遅延放出/放出調節薬物粒子、ビーズまたは顆粒を含有する本開示のカプセルを示す。
【
図19】
図19は、薬物溶液およびコーティングされた遅延放出/放出調節薬物粒子、ビーズまたは顆粒を含有する本開示のソフトゲルを示す。
【
図20】
図20は、コーティングされた放出調節薬物粒子、ビーズまたは顆粒を含有する本開示の液体ビヒクルを示す。
【
図21】
図21は、実施例1の即時放出製剤/放出調節製剤の遅延放出プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示において、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の言及を含み、文脈が明らかに他を示さない限り、特定の数値への言及は、少なくともその特定の値を含む。したがって、例えば、「1つの材料」への言及は、そのような材料の少なくとも1つと、当業者に知られているその等価物への言及となる。
【0023】
修飾語「約」は、2つの端点の絶対値によって定義される範囲を開示すると見なされるべきである。例えば、表現「約2~約4」はまた、「2~4」の範囲を開示する。単一の数を修飾するために使用される場合、用語「約」は指示された数の±10%を指すことがあり、かつ指示された数を含む。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示し、「約1」は0.9~1.1を意味する。
【0024】
リストが提示される場合、他に述べられない限り、そのリストの個々の要素およびそのリストのあらゆる組み合わせは、別々の実施形態として解釈されることが理解されるべきである。例えば、「A、B、またはC」として提示された実施形態のリストは、実施形態、「A」、「B」、「C」、「AまたはB」、「AまたはC」、「BまたはC」、または「A、B、またはC」を含むと解釈されるべきである。
【0025】
明確にするために本明細書で別々の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供することもできることを理解されたい。すなわち、明らかに不適合または除外されない限り、個々の実施形態は他の任意の実施形態と組み合わせることができるとみなされ、そのような組み合わせは別の実施形態であると見なされる。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴は、別々にまたは任意のサブコンビネーションで提供することもできる。特許請求の範囲は、選択的な要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。このように、この記述は、請求項の要素の列挙、または「否定的」な限定の使用に関連して「単独で」、「のみ」などのような排他的用語の使用の先行する基礎として役立つことを意図する。最後に、実施形態は一連の工程の一部またはより一般的な構造の一部として説明することができるが、各工程はそれ自体独立した実施形態と見なすこともできる。
【0026】
「薬学的に許容される」とは、連邦の規制機関または州政府もしくは米国以外の国における対応機関によって承認され、または承認され得ること、あるいは動物、より具体的にはヒトに使用するために米国薬局方または他の一般に認められている薬局方にリストされていることを意味する。
【0027】
本明細書で使用される「患者」または「対象」という用語は哺乳動物をいい、互換的に使用される。いくつかの実施形態では、患者または対象はヒトである。他の実施形態では、患者または対象は、獣医または家畜、家畜またはペット、あるいは臨床研究に通常使用される動物である。
【0028】
任意の疾患または障害を「治療する」とは、いくつかの実施形態において、疾患または障害を改善すること(すなわち、疾患またはその臨床症状のうちの少なくとも1つの発症を阻止または軽減すること)を指す。「治療する」とは、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの組み合わせを使用して疾患または障害を改善することを指す。いくつかの実施形態において、「治療する」または「治療」とは、対象によって認識され得ない可能性がある少なくとも1つの身体的パラメータを改善することを指す。他の実施形態では、「治療する」または「治療」は、物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体的パラメータの安定化)、またはその両方で、疾患または障害を調節することを指す。さらなる実施形態では、「治療する」または「治療」は、疾患または障害の発症を遅らせることを指す。
【0029】
本明細書で使用される「フロログルシノール」という用語は、以下の化合物を指す。
【0030】
【0031】
フロログルシノールはまた、以下に示されるその既知のケト互変異性体を含む、それらの互変異性型も含む。
【0032】
【0033】
同様に、本明細書で使用される「トリメチルフロログルシノール」という用語は以下の化合物を指す。
【0034】
【0035】
本明細書で論じるように、本開示は経口投与用に製剤化された投薬単位、すなわち経口投薬単位を提供する。この経口投薬単位は様々な送達形態をとることができる。いくつかの実施形態では、前記投薬単位は錠剤、カプセル(ハードまたはソフト)、小袋、ソフトゲル、液体、ゲル、ストリップ、フィルム、またはカプセル入り錠剤である。他の実施形態では、前記投薬単位は錠剤、カプセル、小袋、ソフトゲル、または液体である。さらなる実施形態では、前記経口投薬単位は錠剤である。他の実施形態では、前記経口投薬単位はカプセルである。なおさらなる実施形態において、前記経口投薬単位は小袋である。
【0036】
本明細書で使用される「錠剤」という用語は、固形投薬単位を指す。前記錠剤は、経口投与に便利な任意の形状またはサイズ、例えば円形、楕円形などであり得る。錠剤は、即時放出製剤および放出調節製剤の一方または両方を圧縮することによって調製される。いくつかの実施形態では、前記錠剤は即時放出製剤を圧縮することによって調製される。他の実施形態では、前記錠剤は1つまたは複数の放出調節製剤を圧縮することによって調製される。さらなる実施形態では、前記錠剤は、即時放出製剤および1つまたは複数の放出調節製剤を圧縮することによって調製される。前記錠剤の基剤に応じて、それは即時放出製剤または放出調節製剤を含む層でコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、前記錠剤は、即時放出(IR)層および放出調節層を互いに隣接して含む二層錠剤である。例えば
図3を参照。他の実施形態では、前記錠剤は、層、例えば緩衝層によって分離された即時放出層および放出調節層を含む三層錠剤である。例えば
図4を参照。さらなる実施形態では、前記錠剤は、前記錠剤内に包埋された、即時放出製剤でコーティングされた顆粒、および放出調節製剤でコーティングされたビーズを含有する。例えば
図11を参照。さらに他の実施形態では、前記錠剤は、即時放出製剤を含む錠剤内に埋め込まれた放出調節製剤を含む錠剤を含む。例えば
図12を参照。なおさらなる実施形態では、前記錠剤は、即時放出製剤を含む溶液中に懸濁されている放出調節製剤を含む錠剤を含み、前記溶液はカプセル内に含まれる。例えば
図13を参照。他の実施形態では、本開示のカプセルは、即時放出製剤を含む溶液、および放出調節製剤でコーティングされたビーズまたは顆粒を含む。例えば
図18を参照。さらなる実施形態では、本開示のソフトゲルは即時放出製剤を含む溶液、および放出調節製剤でコーティングされたビーズまたは顆粒を含む。例えば
図19を参照。さらに他の実施形態において、
図20は、即時放出製剤を含む液体ビヒクル、および放出調節製剤でコーティングされたビーズまたは顆粒を含む。
【0037】
本明細書で使用される「カプセル」という用語は、固形投薬単位を指す。前記カプセルは典型的には楕円形であるが、当業者によって決定されるように、他の形態を採用することができる。前記カプセルは、必要に応じて、ハードまたはソフトゼラチンカプセルであり得る。いくつかの実施形態において、前記カプセルは、即時放出製剤を含む錠剤および放出調節製剤を含む錠剤を含む。さらなる実施形態では、前記カプセルは即時放出錠剤、プラグ、および放出調節錠剤を含む。例えば
図6を参照。他の実施形態では、前記カプセルは、即時放出製剤でコーティングされたビーズおよび放出調節製剤でコーティングされたビーズを含む。例えば
図7を参照。さらなる実施形態では、前記カプセルは即時放出型の小型錠剤および放出調節型の小型錠剤を含有する。例えば
図8を参照。さらに他の実施形態では、前記カプセルは即時放出顆粒を含み、前記顆粒は放出調節製剤でコーティングされている。例えば
図9を参照。さらに他の実施形態では、前記カプセルは、放出調節製剤および即時放出製剤でコーティングされた複数のビーズを層として含む。
【0038】
本明細書で使用される「小袋」という用語は、即時放出製剤を含む即時放出および放出調節顆粒またはビーズと、放出調節製剤を含む顆粒またはビーズとの混合物を含有するパッケージを指す。例えば
図14を参照。当該パッケージは当業者によって選択されてもよい。
【0039】
投薬単位の形態にかかわらず、それは代替的にまたは追加的にビーズ、顆粒、またはそれらの組み合わせを含み得る。本明細書で使用されるとおり、「ビーズ」は、即時放出製剤、放出調節製剤、またはそれらの組み合わせの押出しおよび球形化によって調製される固体粒子である。同様に、「顆粒」は固体粒子であるが、それらは造粒によって調製される。当業者は、本明細書で使用するための顆粒を調製するための適切な造粒方法を選択することができるだろう。いくつかの実施形態において、造粒方法は、とりわけ、高剪断造粒、溶融造粒、乾式造粒、または湿式造粒を含む。いくつかの実施形態では、投薬単位は即時放出製剤を含むビーズを含有する。他の実施形態では、前記投薬単位は放出調節製剤を含むビーズを含有する。さらなる実施形態では、前記投薬単位は即時放出製剤を含むビーズおよび放出調節製剤を含むビーズを含む。さらに他の実施形態では、前記投薬単位は即時放出製剤を含むビーズを含有する。他の実施形態では、前記投薬単位は放出調節製剤を含むビーズを含有する。さらなる実施形態では、前記投薬単位は即時放出製剤を含むビーズおよび放出調節製剤を含むビーズを含む。
【0040】
典型的には、複数のビーズまたは顆粒が本明細書に記載の投薬単位に組み込まれる。本明細書で使用される「複数」という用語は、前記投薬単位に必要な量のフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、または薬学的に許容される塩を提供するいくつかのビーズまたは顆粒を指す。いくつかの実施形態では、前記投薬単位は複数のビーズを含む。さらなる実施形態では、前記投薬単位は複数の顆粒を含む。他の実施形態では、前記投薬単位は複数のビーズおよび複数の顆粒を含む。
【0041】
前記ビーズおよび/または顆粒は、前記即時放出製剤または放出調節製剤の一方または両方を含有する。いくつかの実施形態では、前記ビーズは前記即時放出製剤を含む。他の実施形態では、前記ビーズは前記放出調節製剤を含む。さらなる実施形態では、前記ビーズは前記即時放出製剤および放出調節製剤を含む。さらに他の実施形態では、前記顆粒は前記即時放出製剤を有する。なおさらなる実施形態では、前記顆粒は前記放出調節製剤を含む。他の実施形態では、前記顆粒は前記即時放出製剤および放出調節製剤を含む。
【0042】
各ビーズまたは顆粒は、コアと1つ以上の任意選択のコーティング層とを含む。したがって、前記コアは、前記即時放出製剤または放出調節製剤の一方または両方を含む。いくつかの実施形態において、前記コアはまた、本明細書に記載されるような賦形剤などの不活性医薬剤を含有する。前記コアは、約50~約1500μmの直径を有する。いくつかの実施形態において、前記コアは、約50~約1300μm、約50~約1100μm、約50~約900μm、約50~約800μm、約50~約700μm、約50~約600μm、約50~約500μm、約50~約400μm、約50~約300μm、約50~約200μm、約100~約1500μm、約100~約1300μm、約100~約1100μm、約100~約900μm、約100~約800μm、約100~約700μm、約100~約600μm、約100~約500μm、約100~約400μm、約100~約300μm、約100~約200μmの直径を有する。他の実施形態では、前記コアの直径は約100~約800μmである。
【0043】
前記投薬単位は、様々な溶解特性を有する複数の活性コアを有することができる。したがって、前記コアは1つまたは複数の層で被覆することができる。いくつかの実施形態において、前記コアは2つまたはそれ以上の層、すなわち多層錠剤でコーティングされている。さらなる実施形態では、前記コアは即時放出製剤層でコーティングされている。他の実施形態では、前記コアは放出調節製剤層でコーティングされている。なおさらなる実施形態において、前記コアは即時放出製剤でコーティングされ、かつ放出調節製剤でコーティングされる。
【0044】
他の層をトップコートとして、または他の層の間に適用することができる。これらの層は、当業者によって決定されるように、薬学的に不活性な成分、すなわち緩衝層として、または薬学的に活性な成分として含み得る。
【0045】
前記経口投薬単位は、1またはそれ以上のフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはフロログルシノールもしくはトリメチルフロログルシノールの薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、前記経口投薬単位は、フロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩を含む。他の実施形態では、前記経口投薬単位はトリメチルフロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩を含む。さらなる実施形態では、前記経口投薬単位は、フロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩およびトリメチルフロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容される塩は、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、および同様の既知の許容される酸を含む有機酸および無機酸から形成され得る。
【0047】
他の実施形態では、薬学的に許容される塩はまた、無機塩基、望ましくはアルカリ金属水酸化物などのナトリウム、リチウム、またはカリウムを含むアルカリ金属塩から形成することができる。無機塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、および水酸化マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩はまた、アンモニウム塩、モノ-、ジ-およびトリメチルアンモニウム、モノ-、ジ-およびトリエチルアンモニウム、モノ-、ジ-およびトリプロピルアンモニウム、エチルジメチルアンモニウム、ベンジルジメチルアンモニウム、シクロヘキシルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、ジベンジルアンモニウム、ピペリジニウム、モルホリニウム、ピロリジニウム、ピペラジニウム、1-メチルピペリジニウム、4-エチルモルホリニウム、1-イソプロピルピロリジニウム、1,4-ジメチルピペラジニウム、1-n-ブチルピペリジニウム、2-メチルピペリジニウム、1-エチル-2-メチルピペリジニウム、モノ-、ジ-およびトリエタノールアンモニウム、エチルジエタノールアンモニウム、n-ブチルモノエタノールアンモニウム、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアンモニウム、フェニルモノ-エタノールアンモニウム、ジエタノールアミン、エチレンジアミンなどの有機塩基から形成され得る。一例では、前記塩基は水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、またはそれらの混合物である。
【0048】
上述の化合物は、薬学的または生理学的に許容される酸、塩基、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属から誘導される塩の形態で使用することができる。
【0049】
望ましくは、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の量は、以下に記載するように患者を治療するのに十分である。いくつかの実施形態において、前記経口投薬単位は、約50~約1000mgのフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせを含有する。他の実施形態において、前記経口投薬単位は、約50~約900mg、約50~約800mg、約50~約700mg、約50~約600mg、約50~約500mg、約50~約400mg、約50~約300mg、約50~約200mg、約50~約100mg、約100~約900mg、約100~約800mg、約100~約700mg、約100~約600mg、約100~約500mg、約100~約400mg、約100~約300mg、約100~約200mg、約100~約100mg、約200~約900mg、約200~約800mg、200~約700mg、約200~約600mg、約200~約500mg、約200~約400mg、約200~約300mg、約300~約900mg、約300~約800mg、約300~約700mg、約300~約600mg、約300~約500mg、約300~約400mg、約400~約900mg、約400~約800mg、約400~約700mg、約400~約600mg、約400~約500mg、約500~約900mg、約500~約800mg、約500~約700mg、約500~約600mg、約600~約900mg、約600~約800mg、または約600~約800mg、約600~約700mgのフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0050】
前記経口投薬単位は、1つ以上の即時放出成分および1つ以上の放出調節成分を含有する。いくつかの実施形態において、前記経口投薬単位は、少なくとも1つの即時放出製剤および少なくとも1つの放出調節製剤を含む。他の実施形態では、前記投薬単位は少なくとも1つの即時放出製剤および少なくとも2つの放出調節製剤、すなわち第一の放出調節製剤および第二の放出調節製剤を含む。さらなる実施形態において、前記投薬単位は、少なくとも1つの即時放出製剤および少なくとも3つの放出調節製剤、すなわち、第一の放出調節製剤、第二の放出調節製剤、および第三の放出調節製剤を含む。さらに他の実施形態では、前記投薬単位は少なくとも1つの即時放出製剤および少なくとも4つの放出調節製剤、すなわち第一の放出調節製剤、第二の放出調節製剤、第三の放出調節製剤、および第四の放出調節製剤を含む。
【0051】
前記即時放出製剤および放出調節製剤の両方とも、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を含有する。いくつかの実施形態では、前記即時放出製剤はフロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩を含有する。他の実施形態では、前記即時放出製剤はトリメチルフロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩を含有する。さらなる実施形態では、前記即時放出製剤は、(i)フロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩、および(ii)トリメチルフロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩を含む。さらに他の実施形態では、前記放出調節製剤は、フロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩を含有する。なおさらなる実施形態では、前記放出調節製剤はトリメチルフロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩を含有する。他の実施形態では、前記放出調節製剤は、(i)フロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩、および(ii)トリメチルフロログルシノールまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0052】
前記経口投薬単位は、前記経口投薬単位の重量に基づいて、約10~約50重量%の前記即時放出製剤を含む。いくつかの実施形態において、前記経口投薬単位は、前記経口投薬単位の重量に基づいて、約10~約50重量%、約10~約40重量%、約10~約30重量%、約10~約20重量%、約20~約50重量%、約20~約40重量%、約20~約30重量%、約30~約50重量%、または約40~約50重量%の前記即時放出製剤を含む。他の実施形態では、前記経口投薬単位は、前記経口投薬単位の重量に基づいて、約10、15、20、25、30、35、40、45、または50重量%の前記即時放出製剤を含む。
【0053】
前記経口投薬単位は、前記経口投薬単位の重量に基づいて、約10~約50重量%の前記放出調節製剤を含む。いくつかの実施形態において、前記経口投薬単位は、前記経口投薬単位の重量に基づいて、約10~約50重量%、約10~約40重量%、約10~約30重量%、約10~約20重量%、約20~約50重量%、約20~約40重量%、約20~約30重量%、約30~約50重量%、または約40~約50重量%の前記放出調節製剤を含む。他の実施形態では、前記経口投薬単位は、前記経口投薬単位の重量に基づいて、約10、15、20、25、30、35、40、45、または50重量%の前記放出調節製剤を含む。
【0054】
上記の経口投薬単位に関して、前記即時放出製剤または放出調節製剤の一方または両方は、錠剤、カプセル(ハードまたはソフト)、小袋、ソフトゲル、液体、ゲル、ストリップ、フィルム、またはカプセル入り錠剤である。他の実施形態において、前記即時放出製剤または放出調節製剤の一方または両方は、錠剤、カプセル、小袋、ソフトゲル、または液体である。
【0055】
本明細書で使用される「即時放出」という用語は、ヒトによる経口摂取時に、重量で実質的にすべてのフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を、短時間での生物学的取り込みのために胃腸管(例えば胃または腸、好ましくは胃)の一部に放出する投薬単位を指す。投薬単位が即時放出または持続放出溶解プロファイルを示すかどうかを決定する目的で、投薬単位の放出プロファイルを測定するインビトロ方法が製薬分野で知られている。このような方法により、本明細書に記載の投薬単位は、前記即時放出製剤に含まれるフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の実質的にすべての総量を放出できることが測定され得る。いくつかの実施形態では、前記即時放出製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が溶液(例えば酸性水溶液)に放出される。他の実施形態において、約90~約100重量%、約95~約100重量%、約98~100重量%、約99~100重量%、または90、91、92、93、94、95、96、97、89、99、または100重量%のフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩が前記即時放出製剤から放出される。前記フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩は、約5分~約2時間、例えば約5分~約1.5時間、約5分~約1時間、約5分~約45分、約5分~約30、約15、または約10分で前記即時放出製剤から放出される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の投薬単位の即時放出製剤部分の放出プロファイルは、USP711法によって測定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の投薬単位の即時放出製剤部分の放出プロファイルは、USP2パドル法によって測定される。他の実施形態では、本明細書に記載の投薬単位の即時放出製剤部分の放出プロファイルは、前記即時放出製剤部分を約45~約55rpm(例えば、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、または55rpm、好ましくは約50rpm)の速度、および最大約900mLまでの容量(例えば、種々の試験方法に基づいて約300mL、750mL、または約900mL)の塩酸(約0.01~約0.2N、好ましくは約0.1N、例えば塩酸水溶液)、および約35~約40℃(例えば35、36、37、38、39、または40℃、好ましくは約37℃)の温度に曝露する方法によって測定される。例えば、本明細書の投薬単位の即時放出製剤の放出プロファイルは、約37℃で約0.1NのHCl溶液を有する約750mLの水溶液において約50rpmに前記投薬単位を曝露する方法によって測定することができる。
【0056】
本明細書で使用される「放出調節」という用語は、長時間にわたる生物学的取り込みのための、胃腸管(例えば胃または腸)および結腸へのフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の数時間にわたる徐放を指す。投薬単位が放出調節溶解プロファイルを示すかどうかを決定する目的で、投薬単位の放出プロファイルを測定するインビトロ方法が製薬分野で知られている。このような方法により、本明細書に記載の投薬単位は、前記放出調節製剤に含まれるフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の実質的にすべての総量を放出できることが測定され得る。いくつかの実施形態では、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が溶液(例えば酸性水溶液)に放出される。他の実施形態において、約90~約100重量%、約95~約100重量%、約98~100重量%、約99~100重量%、または90、91、92、93、94、95、96、97、89、99、または100重量%のフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩が前記放出調節製剤から放出される。前記フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩は、少なくとも約2時間、約2~約12時間、約2~約11時間、約2~約10時間、約2~約9時間、約2~約8時間、約2~約7時間、約2~約6時間、約2~約5時間、約2~約4時間、約2~約3時間、約4~約12時間、約4~約11時間、約4~約10時間、約4~約9時間、約4~約9時間、約4~約8時間、約4~約7時間、約4~約6時間、約6~約12時間、約6~約11時間、約6~約10時間、約6~約9時間、約6~約8時間、約8~約12時間、約8~約11時間、約8~約10時間、または約10~約12時間で前記放出調節製剤から放出される。望ましくは、各放出調節製剤は異なる放出プロファイルを含む。いくつかの実施形態では、第1の放出調節製剤は、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を約5分~約2時間で前記放出調節製剤を放出する。他の実施形態では、存在する場合、第2の放出調節製剤は、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を少なくとも約2時間で前記放出調節製剤から放出する。さらなる実施形態では、存在する場合、第2の放出調節製剤は、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはその薬学的に許容される塩を少なくとも約4~約6時間で放出調節製剤から放出する。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の投薬単位の修飾された放出調節製剤部分の放出プロファイルは、USP2パドル法によって測定される。他の実施形態では、本明細書に記載の投薬単位の放出調節製剤部分の放出プロファイルは、前記放出調節製剤部分を約45~約55rpm(例えば、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、または55rpm、好ましくは約50rpm)の速度、および最大約1100mLまでの容量(例えば、種々の試験方法に基づいて約300mL、約500mL、約750mL、または約1000mL、好ましくは約1000mL)の、例えばリン酸塩ベースの緩衝剤を含む水溶液(例えば、塩酸を含む水溶液(約0.01~約0.2N、好ましくは約0.1N、例えば、塩酸水溶液)))および三塩基性リン酸ナトリウム(約10~約30mM、約10~約20mM、約20~約30mM、約15~約25mM、好ましくは約20mM)、および約6.5~約7のpH(例えば、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、または7、好ましくは6.8)、および約35~約40℃(例えば35、36、37、38、39、または40℃、好ましくは約37℃)の温度に曝露する方法によって測定される。いくつかの実施形態では、本明細書の投薬単位の放出調節製剤の放出プロファイルは、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmに前記投薬単位を曝露する方法によって測定することができる。他の実施形態では、前記投薬単位の放出調節製剤の放出プロファイルは、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmに前記投薬単位を曝露する方法によって測定することができる。さらなる実施形態において、前記投薬単位は放出調節製剤を含み、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはその薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が少なくとも約2時間後に前記投薬単位から放出される。さらに他の実施形態では、前記投薬単位は放出調節製剤を含み、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはその薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約4~約6時間後に前記投薬単位から放出される。さらに他の実施形態では、前記投薬単位は2つの放出調節製剤であって、(i)放出調節製剤であって、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が少なくとも約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記放出調節製剤と、(ii)放出調節製剤であって、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約4~約6時間後に前記投薬単位から放出される、前記放出調節製剤とを有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、前記経口投薬単位は即時放出プロファイルおよび放出調節プロファイルを有する。他の実施形態では、前記経口投薬単位は、その90%以上が約5分~約2時間で放出されるフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはその薬学的に許容される塩として定義される即時放出プロファイル、およびその約90重量%以上が少なくとも約2時間で放出されるフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩として定義される持続放出プロファイルを有する。
【0059】
いくつかの実施形態において、前記即時放出製剤は、約50~約800mgのフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を含有する。他の実施形態において、前記即時放出製剤は、約50~約700mg、約50~約600mg、約50~約500mg、約50~約400mg、約50~約300mg、約50~約200mg、約50~約100mg、約100~約800mg、約100~約700mg、約100~約600mg、約100~約500mg、約100~約400mg、約100~約300mg。約100~約200mg、約100~約100mg、約200~約800mg、約200~約700mg、約200~約600mg、約200~約500mg、約200~約400mg、約200~約300mg、約300~約800mg、約300~約700mg、約300~約600mg、約300~約500mg、約300~約400mg、約400~約800mg、約400~約700mg、約400~約600mg、約400~約500mg、約500~約800mg、約500~約700mg、約500~約600mg、約600~約800mg、または約600~約700mgのフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0060】
同様に、前記放出調節製剤は、約50~約800mgのフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を含有する。他の実施形態では、前記放出調節製剤は、約50~約700mg、約50~約600mg、約50~約500mg、約50~約400mg、約50~約300mg、約50~約200mg、約50~約100mg、約100~約800mg、約100~約700mg、約100~約600mg、約100~約500mg、約100~約400mg、約100~約300mg。約100~約200mg、約100~約100mg、約200~約800mg、約200~約700mg、約200~約600mg、約200~約500mg、約200~約400mg、約200~約300mg、約300~約800mg、約300~約700mg、約300~約600mg、約300~約500mg、約300~約400mg、約400~約800mg、約400~約700mg、約400~約600mg、約400~約500mg、約500~約800mg、約500~約700mg、約500~約600mg、約600~約800mg、または約600~約700mgのフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を含有する。
【0061】
本明細書に記載の投薬単位がフロログルシノールおよびトリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の両方を含む場合、フロログルシノール対トリメチルフロログルシノール(またはそれらの塩)の比は約90:10~約10:90である。いくつかの実施形態では、フロログルシノール対トリメチルフロログルシノール(またはそれらの塩)の比は、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70、約60:40~約40:60、約50:50~約50:50、約40:60~約60:40、約30:70~約70:30、または約20:80~約80:20である。他の実施形態では、フロログルシノール対トリメチルフロログルシノール(またはそれらの塩)の比は、約90:10、約85:15、約80:20、約75:25、約70:30、約65:35、約60:40、約55:45、約50:50、約45:55、約40:60、約35:65、約30:70、約25:75、約20:80、約15:85、または約10:90である。
【0062】
前記投薬単位は、前記即時放出製剤および1またはそれ以上の放出調節製剤の別々および個別の部分を含むことができ、つまりそれらは物理的に分離されている。したがって、いくつかの実施形態では、前記投薬単位は即時放出製剤および放出調節製剤を含み得る。他の実施形態では、前記投薬単位は、即時放出製剤、第一の放出調節製剤、および第二の放出調節製剤を含み得る。
【0063】
あるいは、前記即時放出製剤の一部と放出調節製剤の一部とが結合されており、つまり一方の製剤が他方の製剤の上に層となっている。本明細書で使用される「部分」という用語は製剤の表面を指す。いくつかの実施形態では、部分とは、前記製剤の重量に基づいて、少なくとも約50重量%、例えば少なくとも約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約98、約99、または約100重量%を指す。いくつかの実施形態では、前記即時放出製剤は前記放出調節製剤の層を含む。他の実施形態では、前記放出調節製剤は前記即時放出製剤の層を含む。前記投薬単位が2つ以上の放出調節製剤を含む場合、いくつかの実施形態では、前記即時放出製剤は第一の放出調節製剤でコーティングされ、次いでこれは第二の放出調節製剤でコーティングされる。他の実施形態では、前記即時放出製剤は第二の放出調節製剤でコーティングされ、それは次に第一の放出調節製剤でコーティングされる。いくつかの実施形態では、前記経口投薬単位は複数のビーズを含み、各ビーズはフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはその薬学的に許容される塩を含む即時放出製剤の形態のコアを含み、前記コアを覆うコーティングは、(i)フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む放出調節製剤、(ii)フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む放出調節製剤、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせである。
【0064】
前記放出調節製剤は、上記の放出調節プロファイルを提供する薬剤を含む。いくつかの実施形態では、前記放出調節製剤は腸溶性ポリマーを含む。腸溶性ポリマーとは、胃液中での分解には耐性がある(すなわち、胃に見られる低pHレベルでは比較的不溶性)が、腸管で見られる高いpHレベルでは溶解するポリマーを指す。腸溶性ポリマーの例としては、これらに限定するものではないが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、Sureteric(登録商標)ポリマーなどのポリ酢酸ビニルフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、例えばEUDRAGIT(登録商標)L12.5、EUDRAGIT(登録商標)L100、またはEUDRAGIT(登録商標)S12.5、S100などのメタクリル酸/メタクリル酸メチルエステルのコポリマー、例えばAcryl-EZE(登録商標)ポリマーなどのメタクリル酸およびエチルアクリレートのコポリマー、またはシェラックなどのアレウチン酸のエステルが挙げられる。例えばEUDRAGIT(登録商標)L 30D-55、EUDRAGIT(登録商標)L 100-55、EUDRAGIT(登録商標)S100、EUDRAGIT(登録商標)製剤4110D(Rohm Pharma)、AQUATERIC(登録商標)、AQUACOAT(登録商標)CPD 30(FMC)、KOLLICOAT MAE(登録商標)30Dおよび30DP(BASF)、EASTACRYL(登録商標)30D(Eastman Chemical)などの水性コロイド状ポリマー分散液または再分散液もまた適用することができる。いくつかの実施形態において、前記腸溶性ポリマーは、例えばAcryl-EZE(登録商標)ポリマーなどのメタクリル酸およびエチルアクリレートのコポリマーである。さらなる実施形態では、前記腸溶性ポリマーは、Sureteric(登録商標)ポリマーなどのフタレートポリマーである。
【0065】
記載される組成物は、安全かつ有効であると考えられ、また望ましくない生物学的副作用または望ましくない相互作用を引き起こすことなく個体に投与され得る1またはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。例示的な賦形剤としては、抗菌剤、抗酸化剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香味剤、流動促進剤、等張化剤、潤滑剤、pH調整剤、可塑剤、保存剤、甘味剤、安定剤、懸濁剤、粘度増加剤、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
結合剤としては、アカシアゴム、トラガカントゴム、コーンスターチ、ゼラチン、スクロース、プレゼラチン化デンプン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウムカルシウム、メチルセルロース、メチルセルロースなどのナトリウムセルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ケイ酸アルミニウム、およびポリアクリルアミドなどが挙げられる。
【0067】
崩壊剤としては、コーンスターチ、ポテトスターチ、プレゼラチン化デンプン、架橋カルボキシメチルセルロース(AC-DI-SOL(登録商標))、デンプングリコール酸ナトリウム(EXPLOTAB(登録商標))、架橋ポリビニルピロリドン(PLASDONE XL(登録商標))などが挙げられる。
【0068】
着色剤には、合成染料および天然染料ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0069】
希釈剤または担体は、とりわけ、水、アルコール、油、ポリエチレングリコールなどのグリコールを含み得る。希釈剤の例には、ラッカセイ油、アーモンド油、ピーナッツ油、パーム油、パーム核油、ペパーミント油、ブラックカレント種子油、米ぬか油、ダイズ油、キャノーラ油、コーン油、ココナッツ油、綿実油、ひまし油、オリーブ油、リン油(ニーム)、ゴマ油、プリムローズ油、植物油、LIPEX(登録商標)108(abitec)、小麦胚芽油、魚油、菜種油、ヒマワリ油およびベニバナ油、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン32ラウリン酸グリセリド(ACCONON(登録商標)M-44)、ポリオキシエチレン8カプリル酸/カプリン酸グリセリド(ACCONON(登録商標)MC-8)、グリセリルステアレート(IMWITOR(登録商標))、ポリオキシエチル化オレイン酸グリセリド(LABRAFIL(登録商標))、鉱油、例えばグリセリルモノオレエート、グリセリルモノカプレート、グリセリルモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプリレート、およびプロピレングリコールモノラウレート(CAPMUL(登録商標))などのモノおよびジグリセリド乳化剤、例えばシメチコンなどのジメチルポリシロキサン、グリコフロール、グリセリン、エタノールグリセロール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール(PEG)-400が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、担体は水またはアルコールである。
【0070】
香味料を使用して不快な臭いおよび充填製剤の味をマスクすることができる。適切な香味料は合成香味料および天然香味料を含む。
【0071】
保湿剤を使用してソフトゲルの水分活性を抑制することができる。適切な保湿剤としては、グリセリンおよびソルビトールが挙げられ、これらは可塑剤組成物の成分であることが多い。
【0072】
カプセル化された活性剤が感光性である場合、乳白剤はカプセルシェルを不透明化するために使用される。適切な乳白剤としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
可塑剤は、材料を柔らかくそして柔軟にするためにゼラチンに添加される化学薬品である。適切な可塑剤としては、グリセリン、ソルビトールとソルビタンとの混合物であるソルビトール溶液、およびプロピレングリコールおよびマルチトールなどの他の多価アルコール、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
保存料には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、およびヘプチルエステル(集合的に「パラベン」として知られる)などのp-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルまたはそれらの組み合わせが含まれる。
【0075】
可溶化剤としては、とりわけ、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、グルタル酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0076】
甘味剤は、スクロース、ラクトース、デキストロース、マンニトールまたはサッカリンを含む。
【0077】
界面活性剤としては、イオン性、非イオン性、および/または胆汁酸塩界面活性剤、アルキル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)を含むアニオン性界面活性剤およびドキュセートナトリウムなどのスルホコハク酸誘導体、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80、TWEEN(登録商標)40、SPAN(登録商標)20などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)を含む非イオン性界面活性剤、GELUCIRE(登録商標)44/14、GELUCIRE(登録商標)50/13、飽和ポリグリコール化(モノ、ジまたはトリを含む)グリセリドなどのポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、モノカプリル酸グリセリル(IMWITOR(登録商標)308)、モノカプロン酸グリセリル(CAPMUL(登録商標)MCM C-8)、カプリル酸/カプリン酸グリセリル(CAPMUL(登録商標)MCM)、ポリオキシエチレングリセリルカプリレート、およびポリオキシエチレングリセリルカプロレート(LABRASOL(登録商標))などの中鎖モノグリセリド(6~10炭素)、グリセリルトリカプレートおよびグリセリルトリカリレート(MIGLYOL(登録商標)612)などの中鎖脂肪酸エステル、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックポリマー、ポロキサマー188(PLURONIC(登録商標)F-68)、ポロキサマー237(PLURONIC(登録商標)F-87)、ポロキサマー338(PLURONIC(登録商標)F-108)、ポロキサマー407(PLURONIC(登録商標)F-127)、ポロキサマー124(PLURONIC(登録商標)L-44)などのポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシステアレート-ポリエトキシル化(40)ステアリン酸(MYRJ(商標)52)、エトキシル化ヒマシ油-ポリエトキシル化(60)水素化ヒマシ油(CREMOPHOR(登録商標)EL)、エトキシ化ヒドロステアリン酸ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアレート(SOLUTOL(登録商標)HS15)、ポリオキシ20セトステアリルエーテル(ATLAS(商標)G-3713)、ポリオキシ10オレイルエーテル(BRIJ(商標)96、BRIJ(商標)97、Oleth 10)、ポリエチレングリコールエーテル(TRITON(商標)X-100、TRITON(商標)X-114、TRITON(商標)X-405、TRITON(商標)N-101)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル(12~18炭素)、およびリン脂質(ジミリストイルDL-アルファ-ホスファチジルコリン)などのレシチン、デオキシコール酸、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸、タウロコール酸ナトリウムを含む胆汁酸塩界面活性剤などが挙げられる。
【0078】
安定剤としては、酸化防止剤、緩衝剤、酸などが挙げられる。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エデテート(EDTA)、モノチオグリセロール、アスコルビン酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、トリグリコアメート、ビタミンEまたはその誘導体、没食子酸プロピル、およびそれらの組み合わせなどが挙げられ得るが、これに限られない。
【0079】
増粘剤としては、ゼラチン、グリセリン、カラギーナン、コロイド状二酸化ケイ素、硬化植物油、ポビドン、またはアルギン酸プロピレングリコールが挙げられる。
【0080】
前記投薬単位は、フロログルシノールまたはトリメチルフロログルシノールに加えて、他の薬学的に活性な成分を含み得る。いくつかの実施形態では、前記投薬単位は、とりわけ、クエン酸アルベリン、メバベリン、臭化オチロニウム、臭化ピナベリウム、塩酸ジシクロミン、XIFASAN(リファキシミン)、VIBERZI(登録商標)(エルクサドリン)、またはLOTRONEX(登録商標)(アロセトロン)などの鎮痙薬も含み得る。他の鎮痙薬には、Annahaziの"Role of antispasmodics in the treatment of irritable bowel syndrome," World J. Gastroenterol., May 28, 2014, 20(20): 6031-6043に論じられているものが含まれ、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
他の層/コーティングは、トップコートとして、または他の層/コーティングの間に塗布することができる。したがって、とりわけ、ハンドル中の粉塵を最小限に抑え、外観を改善し、飲み込み性を改善し、光沢を与え、シーラントとして作用し、静電気を最小限に抑え、および/または色を与えるために、コーティングを設けることができる。適切なコーティング厚は当業者によって決定され得る。前記層は、当業者によって決定されるように、薬学的に不活性な成分または薬学的に活性な成分を含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、経口投薬単位が提供され、(i)フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはその薬学的に許容される塩を含む即時放出製剤であって、約37℃で約0.1NのHCl溶液を有する約750mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記即時放出製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約5分~約2時間で前記投薬単位から放出される、前記即時放出製剤と、(ii)フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む放出調節製剤であって、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が少なくとも約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記放出調節製剤とを有する。
【0083】
他の実施形態では、経口投薬単位が提供され、(i)複数のビーズであって、各ビーズはフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する即時放出製剤を有し、約37℃で約0.1NのHClを有する約750mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記即時放出製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約1時間後に前記投薬単位から放出される、前記複数のビーズと、(ii)複数のビーズであって、各ビーズはフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤を有し、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が少なくとも約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記複数のビーズとを有する。
【0084】
さらなる実施形態では、経口投薬単位が提供され、複数のビーズを含み、各ビーズは、(a)フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する即時放出製剤の形態のコアであって、約37℃で約0.1NのHClを有する約750mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記即時放出製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約1時間後に前記投薬単位から放出される、前記コアと、(b)前記コアを覆うコーティングであって、(i)フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤であって、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が少なくとも約2時間後に前記投薬単位から放出される、前記放出調節製剤、または(ii)フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する放出調節製剤であって、約37℃で約6.8のpHで約0.1NのHClおよび約20mMの三塩基性リン酸ナトリウムを有する約1000mLの水溶液において約50rpmでUSP2パドル法によって測定した場合に、前記放出調節製剤の重量に基づいて、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩の少なくとも約90重量%が約4時間~約6時間後に前記投薬単位から放出される、前記放出調節製剤、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせである、前記コーティングとを有する。
【0085】
本明細書に記載の投薬単位および製剤は、対象におけるけいれん性状態を治療するのに有用である。当該方法は、本明細書に記載の経口投薬単位を対象に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、けいれん性状態は、対象の臓器または筋肉などの身体部分の突然の不随意筋収縮である。他の実施形態では、前記けいれん性状態は、気管支、胃、腸、尿管、胆嚢、腎臓、または胆管の突然の不随意筋収縮である。さらなる実施形態では、前記けいれん性状態は、尿路けいれん、胆石、胃腸障害、炎症性腸症候群、腎臓疝痛、または胆道のけいれん性状態である。
【0086】
特に断らない限り、製剤は剤形である。錠剤は剤形の非限定的な例である。製剤の分散および崩壊は同義語として用いられる。本明細書では、「活性」と略される活性成分は、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはフロログルシノールとトリメチルフロログルシノールとの組み合わせである。本明細書で使用されるように、徐放および持続放出は一般に同義的に使用される。
【0087】
ビーズおよびペレットのそれぞれは剤形の任意の個別成分であり、例えばカプセルシェルは複数のビーズおよび/または複数のペレットで充填することができる。
【0088】
即時放出製剤および遅延放出製剤は、投与に関連して活性成分の放出の開始を示す。即時放出製剤は、投与後比較的短い期間内、例えば数分以内で始まる製剤からの活性成分の放出を示す。遅延放出製剤は、製剤からの活性物質の放出が投与後比較的短い期間内に始まらないが、代わりに遅延されて投与後比較的長期間、例えば1時間以上後に開始または誘発されることを示す。
【0089】
急速放出製剤および徐放製剤は、開始後の放出速度を示す。活性物質の送達が始まると、活性物質は比較的急速にまたは比較的ゆっくりと放出され得る。急速な放出は、開始後、最大またはピーク用量が比較的短い期間で達成されることを示す。ゆっくりな放出は、開始後、最大またはピーク用量が比較的長期間で達成されることを示す。一度達すると、最大用量は任意の割合、例えば速い、遅い、または一定の速度で低下し得る。
【0090】
持続放出製剤および連続放出製剤は、進行中の放出期間を示し、活性成分の送達が最初の開始後長期間、典型的には1時間を超えて、用量放出プロファイルの形状に関わらず継続するかまたは持続することを意味する。例えば、活性物質の放出は、比較的長い期間にわたって、最大値とゼロを超える最小値との間で持続する。この放出は、一定の用量でもよいし、または経時的に減少する用量でもよい。
【0091】
一定放出製剤は、放出されている用量を示す。一定の放出は、活性物質が中程度または長期間にわたって比較的一定の用量で送達されることを意味する。これは、最初の開始後に比較的平坦であるか、または緩やかに傾斜しており、すなわち非常に明確な山と谷がない用量放出プロファイルによって表すことができる。したがって、一定の放出は典型的には持続的または連続的であるが、持続的または連続的な放出は一定ではないかもしれない。
【0092】
パルス放出製剤は、活性物質が、ある期間にわたって最大用量と最小用量との間で変動する1つまたはそれ以上の用量で送達されることを示す。これは1つまたはそれ以上の異なる山または谷を有する用量放出プロファイルによって表すことができる。しかしながら、2つ以上のパルス放出は、オーバーラップしている、全体的な、または複合的な放出プロファイルを生み出す可能性があり、この放出プロファイルは実質的に一定であるようにみえる。2回またはそれ以上のパルス放出が起こる場合、パルス間に放出のない期間があってもなくてもよい。典型的には、パルス放出は、約60分以内に本質的にすべての活性物質の放出をもたらす。
【0093】
持続放出製剤は、特定の放出のメカニズムまたは特性、例えば持続、パルス、または一定に関係なく、比較的長期間にわたって標的用量範囲内の活性物質の放出、または比較的長期間にわたって標的用量範囲内の薬物の血漿レベルのいずれかの放出を提供する。
【0094】
経口投与された薬物の放出プロファイルは、投与時に製剤が活性物質を胃、腸などに放出または送達する様式およびタイミングを示す。様々な方法が薬物放出を評価し、放出プロファイルを生成することが知られており、製剤のin vivo挙動をモデル化するin vitro試験、ならびに即時放出および制御放出の固形剤形のためのUSP溶解試験を含む。
【0095】
薬物放出プロファイルは血漿プロファイルとは異なる。血漿プロファイルは、哺乳動物、例えば薬物製剤を投与されている患者の血流中の活性物質の用量またはレベルを示す。活性成分が製剤から放出されるとき、例えば腸に入ると、経時的に血流中に存在する活性物質の量を決定することができる。
【0096】
薬物放出プロファイルは、所望のまたは標的とされる血漿プロファイルを生成するように設計されることができ、血漿プロファイルは放出プロファイルを模倣し得る。例えば、活性物質の持続放出は血漿中に持続的な用量を生じると予想され、パルス放出はパルス状(ピークと谷)の血漿プロファイルを生じると予想されるが、これは必ずしもそうではない。血流中の活性物質の半減期(T1/2)(その減衰率)は、持続的または連続的な血漿プロファイルがパルス送達プロファイルから生じ得るようなものであり得る。生体吸収、バイオアベイラビリティ、および初回通過効果などの他の要因も役割を果たす可能性がある。特定の活性物質放出プロファイルによって生じる血漿プロファイルもまた患者ごとに異なり得る。
【0097】
バイオアベイラビリティの尺度は当該分野で公知であり、血漿濃度-時間曲線下面積(AUC)、最大濃度(Cmax)、およびCmaxまでの時間(Tmax)を含む。
【0098】
AUCは、血漿濃度-時間曲線下の面積を測定し、単回用量の薬物の投与後に吸収された薬物の量を表す(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Gennaro Ed. 2000, p. 999)。
【0099】
Cmaxは経口薬物投与後に達成される最大血漿濃度である(Remington, page 999)。経口薬物投与は、1つのCmaxをもたらすが、例えばパルス用量製剤の投与後には、1つより多いピーク血漿濃度をもたらし得る。
【0100】
Tmaxは経口薬物投与後にCmaxを達成するのに必要な時間量であり、活性物質の吸収速度に関連する(Remington, page 999)。
【0101】
放出制御コーティングは、放出を遅延させ、放出を持続させ、放出を防止し、および/または放出制御コーティングで被覆された粒子からの薬物の放出を延長するコーティングを包含する。放出制御という用語は、持続放出、遅延放出、および時限パルス放出を包含する。したがって、放出制御コーティングは、持続放出コーティング、時限パルス放出コーティング、または遅延時間コーティングを包含する。
【0102】
腸溶性ポリマーとは、胃液に耐性があり(すなわち、胃に見られる低pHレベルでは比較的不溶性)、腸管に見られる高いpHレベルでは溶解するpH感受性ポリマーを指す。
【0103】
剤形または剤形の成分であり得る医薬組成物に関して、即時放出とは、剤形の投与後約1時間以内に、活性物質の約50%以上、別の実施形態では活性成分の約75%以上、他の実施態様では活性成分の約90%以上、他の実施態様では活性成分の約95%以上を放出する医薬組成物を指す。この用語はまた、活性成分の放出がほとんどまたはまったく起こらない遅延時間の後に活性成分の比較的急速な放出が起こる医薬組成物を指すこともできる。
【0104】
即時放出(IR)ビーズまたは即時放出粒子は、広義には、活性物質に関して即時放出特性を示す活性物質を含むビーズまたは粒子を指す。
【0105】
徐放性(SR)ビーズまたは徐放性粒子は、広義には、活性物質含有コアの上に配置されたSRコーティングを含むビーズまたは粒子を指す。
【0106】
遅延コーティングまたは時限パルス放出コーティング(TPR)は、水不溶性ポリマーと腸溶性ポリマーとを組み合わせた放出制御コーティングを指し、TPRコーティングはそれ自体で、所定の遅延時間後に活性物質の即時放出パルスを提供する。バリアコーティング(SRコーティング)上に配置されたTPRコーティングを有する時限持続放出(TSR)ビーズは、所定の遅延時間後に持続的な活性物質放出プロファイルを提供する。
【0107】
遅延放出(DR)ビーズまたは遅延放出粒子は、広義には活性物質含有コアを指す。DRコーティングは、腸溶性ポリマーを、場合によっては可塑剤と組み合わせて含む徐放性コーティングを指す。
【0108】
放出制御(CR)ビーズまたは放出制御粒子は、広義には内側にSRコーティング、場合によっては続いて外側のDRもしくはTPRコーティング、または内側にTPRコーティング、続いて外側のDRコーティングを有する活性物質含有コアを指す。
【0109】
遅延時間は、組成物またはその組成物を含む剤形の摂取後、または組成物またはその組成物を含む剤形の模擬体液に対する曝露後に、医薬組成物から約10%未満の活性物質が放出される期間を指し、例えば、2段階溶出媒体(最初の2時間は700mLの0.1N HCl中で37℃、その後200mLのpH修正剤の添加によって得られたpH6.8での溶出試験)を用いたUSP装置での評価である。
【0110】
例えば、基材上のコーティングに関しては、例えば基材を基準としたコーティングの相対的位置を指すが、コーティングが基材と直接接触している必要はない。例えば、基材の「上に配置された」第1のコーティングは、基材と直接接触していてもよく、または第1のコーティングと基材との間に1つ以上の介在材料またはコーティングが介在してもよい。例えば、活性物質含有コア上に配置されたSRコーティングは、活性物質含有コアまたは酸性結晶または酸性物質含有コア上に直接堆積されたSRコーティングを指すことができ、または活性物質含有コア上に堆積された保護シールコーティング上に堆積されたSRコーティングを指すことができる。
【0111】
シーラント層または保護シールコーティングとは、活性物質含有コア粒子または機能性ポリマーコーティングを覆って配置され、ハンドル中の粒子の摩耗および損耗から粒子を保護し、かつ/または処理中の静電気を最小限に抑える保護膜を指す。
【0112】
口腔内崩壊錠またはODTは、咀嚼することなく投与後に口腔内で急速に崩壊する錠剤を指す。例えば
図17を参照。崩壊速度は変動し得るが、投与直後に飲み込まれることが意図されている従来の固体剤形(例えば、錠剤またはカプセル)の崩壊速度より速いか、またはUSP<701>試験法で試験した場合に、咀嚼可能な固体剤形の崩壊速度より速い。
【0113】
実質的に崩壊するという用語は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%の崩壊に相当する崩壊レベルを指す。崩壊は溶解とは区別され、崩壊は、例えば錠剤を構成する粒子の構造的凝集の崩壊または喪失を意味し、一方、溶解は、液体中の固体の可溶化、例えば、溶媒または胃液中への薬物の可溶化を意味する。
【0114】
水不溶性ポリマーは、pHとは無関係に、または広いpH範囲(例えば、pH0~pH14)にわたって、水性媒体に不溶性または非常にわずかに可溶性なポリマーである。膨潤するが水性媒体に溶解しないポリマーは水不溶性であり得る。
【0115】
水溶性ポリマーは、pHとは無関係に水性媒体に可溶性、すなわち相当量が溶解するポリマーである。
【0116】
腸溶性ポリマーは、腸内条件下で可溶性、すなわち相当量が溶解するポリマーである。すなわち、中性~アルカリ性条件下では水性媒体中であり、酸性条件下(すなわち低pH)では不溶性である。
【0117】
逆腸溶性ポリマーまたは胃溶性ポリマーは、酸性条件下では可溶性であり、中性およびアルカリ性条件下では不溶性であるポリマーを指す。
【0118】
特に明記しない限り、様々なコーティングまたは層の量(コーティング重量)は、コーティング前の粒子またはビーズの初期重量に対する、乾燥コーティングによって提供される粒子またはビーズの重量増加百分率として表され、例えば、10%コーティング重量は、粒子の重量を10%増加させる乾燥コーティングを指す。
【0119】
生物学的同等性は、同様の条件下で同じ用量で投与した場合の活性成分の利用可能性において、有意に異なる吸収速度および吸収の度合いがないことを意味する。生物学的同等性は、薬物動態学的パラメータ、例えばAUCおよびCmaxによって測定することができる。
【0120】
一実施形態は、放出調節製剤(MR)を含有する経口フロログルシノール製剤である。この実施形態では、単一剤形は即時放出(IR)剤形および持続放出(XR)剤形の両方を含む。本明細書で使用されるとおり、即時放出剤形は投与後すぐに活性成分を放出する。本明細書中で使用されるとおり、持続放出剤形は、遅延放出、時間放出、制御放出、または持続放出形態を包含する。本明細書で使用されるとおり、持続放出剤形は、最小の副作用で特定の期間一定の薬物濃度を維持するために、経時的に所定の速度で活性物質を放出する。持続放出製剤は、限定的ではなく例示的な例を用いて後に記載されるような、活性物質とのポリマー接合体および活性物質のリポソーム製剤を含む様々な製剤によって達成され得る。
【0121】
デリバリーシステムは、活性物質を充填してもしなくてもよいコア、シード、またはマトリックス、ならびに活性物質を含むおよび/または活性物質の開始特性および放出特性を制御する放出特性を有する層を含む1つ以上のコーティング層を含み得る。前記コア、シード、またはマトリックスは、調製するかまたは商業的に入手することができる。ほんの一例として、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、キサンタンガム、カルボマー、カラギーナン、ズーグランなどから製造された親水性マトリックスを有する糖または微結晶セルロースコアがあってもよい。
【0122】
コーティング層は、即時放出、遅延パルス放出、または持続放出を提供することができる。即時放出層からの活性物質の即時放出は、例えば、胃液が急速に浸透することができる非常に薄い層またはコーティングを使用することによって可能であり、活性物質の迅速な浸出を容易にし、または胃液中で活性物質を容易に溶解し放出する支持バインダーまたは他の不活性材料を含む混合物中に活性物質を組み込むことによっても可能であり、または不活性材料と活性物質の両方が小粒子として胃液中に急速に分散しながら、胃液と接触すると急速に崩壊する支持バインダーまたは他の不活性材料を使用することによっても可能である。このような急速な崩壊性および分散性の材料には、例えばラクトースおよび微結晶セルロースが含まれる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは懸濁剤および結合剤の一例である。
【0123】
遅延パルス放出成分用の腸溶性コーティングは、pH依存性またはpH非依存性であり得る。持続放出成分用の腸溶性コーティングはpHに依存する。pH依存性コーティングは活性化されて、既知のpH範囲内で薬物を放出するが、これは典型的には遅延放出が望まれる環境の局所pHに適合する。例示的なpH依存性コーティングとしては、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、例えばEUDRAGIT(登録商標)L12.5、L100、またはEUDRAGIT(登録商標)S12.5、S100の商品名で知られる材料などの共重合メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、または腸溶性コーティングを得るために使用される類似の化合物が挙げられる。水性コロイド状ポリマー分散液または再分散液もまた適用することができ、例えばEUDRAGIT(登録商標)L 30D-55、EUDRAGIT(登録商標)L 100-55、EUDRAGIT(登録商標)S100、EUDRAGIT(登録商標)製剤4110D(Rohm Pharma)、AQUATERIC(登録商標)、AQUACOAT(登録商標)CPD 30(FMC)、KOLLICOAT MAE(登録商標)30Dおよび30DP(BASF)、EASTACRYL(登録商標)30D(Eastman Chemical)がある。
【0124】
pH非依存性コーティングは、腸内細菌中のアゾレダクターゼによる酵素活性化を受けやすい材料(すなわち、アゾポリマー)、または結腸内のポリサッカリダーゼによる分解を受けやすい材料(天然多糖)を含む。アゾポリマーの限定されない例には、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とメチルメタクリレート(MMA)とのコポリマーが含まれる。天然多糖の限定されない例には、アミロース、キトサン、コンドロイチン、デキストラン、およびキシランが含まれる。
【0125】
徐放性成分は、徐放性コーティング、徐放性マトリックス、および徐放性浸透圧システムを含み得る。持続放出コーティングは、水不溶性ポリマー、水不溶性ポリマーの組み合わせ、または水不溶性ポリマーと水溶性ポリマーとの組み合わせを使用して調製することができる。従来の徐放性ポリマーは当業者に公知であり、徐放性マトリックスに使用することができる。
【0126】
例示的な持続放出コーティングとしては、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、脂肪酸およびそのエステル、アルキルアルコール、ワックス、ゼイン(トウモロコシ由来のプロラミン)、およびEUDRAGIT(登録商標)RSおよびRL30D、EUDRAGIT(登録商標)NE30D、AQUACOAT(登録商標)、SURELEASE(登録商標)、KOLLICOAT(登録商標)SR30D、およびセルロースアセテートラテックスなどの水性ポリマー分散液が挙げられる。
【0127】
ペレットまたはビーズは、当該ペレットまたはビーズの活性特性および物理化学的特性との適合性に基づいて、任意の薬学的に許容される材料で作製することができる。
【0128】
結合剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーなどのセルロース誘導体が挙げられる。
【0129】
崩壊剤としては、コーンスターチ、プレゼラチン化デンプン、架橋カルボキシメチルセルロース(AC-DI-SOL(登録商標))、デンプングリコール酸ナトリウム(EXPLOTAB(登録商標))、架橋ポリビニルピロリドン(PLASDONE XL(登録商標))などが挙げられる。
【0130】
充填剤には、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、デキストラン、デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどが含まれる。
【0131】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、胆汁酸塩、グリセリルモノステアレート、PLURONIC(登録商標)line(BASF)などが挙げられる。
【0132】
可溶化剤としては、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、グルタル酸、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0133】
安定剤としては、酸化防止剤、緩衝剤、酸などが挙げられる。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エデテート(EDTA)、モノチオグリセロール、アスコルビン酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリグリコアメート、ビタミンEまたはその誘導体、没食子酸プロピル、およびそれらの組み合わせなどが挙げられ得るが、これに限られない。
【0134】
以下の情報は、例示的であるが非限定的な製造方法を例示する。
【0135】
前記コアは、押出球形化、高剪断造粒、溶液または懸濁液の層形成によって調製することができる。
【0136】
押出球形化では、活性物質および他の添加剤は、結合剤溶液を添加することによって造粒される。湿った塊を一定の大きさの篩を備えた押出機に通過させる。押出物は、マルメライザー中で球形化される。得られたペレットを乾燥し、ふるいにかける。
【0137】
高剪断造粒では、活性物質および他の添加剤を乾式混合し、次いで高剪断造粒機/ミキサー中で結合剤溶液を添加することによって混合物を湿潤させる。顆粒を濡らした後、混合と粉砕の複合作用によって混練される。得られた顆粒またはペレットを乾燥し、ふるいにかける。
【0138】
溶液または懸濁液の層形成においては、結合剤を含むまたは含まない薬物溶液または分散液を、流動床処理装置または他の適切な装置内で特定の粒径を有する出発シード上に噴霧し、それにより前記出発シードの表面に活性物質をコーティングする。活性物質を装填したペレットを乾燥させる。
【0139】
コア粒子は、約50ミクロン~1500ミクロン、好ましくは100ミクロン~800ミクロンの範囲の直径を有する。前記コア粒子は交互の一連のコーティング層で流動層装置中でコーティングすることができる。前記コアは活性物質の層で直接コーティングされてもよく、および/または活性物質は前記コア材料に組み込まれてもよい。活性物質含有層の上、および/または活性物質層の間に分離層または保護層を追加することができる。分離層または保護層を活性物質装填コアの表面上に付加し、次いで前記腸溶性遅延パルスまたは持続放出層をその上にコーティングすることができる。初期用量を送達するために、別の活性物質層を前記腸溶性遅延パルスまたは持続層に追加することもできる。保護コーティング層は、水または適切な有機溶媒中のポリマーの溶液または水性ポリマー分散液を使用して、パンコーティングまたは流動床コーティングなどの本分野で使用される従来のコーティング技術によって、活性物質含有コアまたは活性物質層状コアのいずれかのすぐ外側に塗布することができる。前記保護層に適した材料は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、エチルセルロース水性分散液(AQUACOAT(登録商標)、SURELEASE(登録商標))、EUDRAGIT(登録商標)RL 30D、OPADRY(登録商標)、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、脂肪酸およびそのエステル、ワックス、ゼイン、およびEUDRAGIT(登録商標)RSおよびRL 30D、EUDRAGIT(登録商標)NE 30D、AQUACOAT(登録商標)、SURELEASE(登録商標)、および/またはセルロースアセテートラテックスなどの水性ポリマー分散液などのセルロース誘導体を含み、単独で、またはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(登録商標)、Hercules Corp.)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL(登録商標)、Dow Chemical Corp.)、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマーと組み合わせて使用することができる。コーティングレベルは約1%w/w~約6%w/w、好ましくは約2%w/w~約4%w/wである。
【0140】
前記腸溶性遅延パルス放出または徐放性コーティング層は、本分野で知られている従来のコーティング技術によって、例えば水中のポリマーの溶液または適切な有機溶媒を使用して、または水性ポリマー分散液を使用して、パンコーティングまたは流動床コーティングによって、シールコーティングを伴って、または伴わずに前記コアに適用される。前記活性物質が酸性胃環境(pH<4.5)では放出されないが、pH感受性層がより高い温度で溶解した場合、一定の遅延時間の後に、または前記単位が胃を通過した後に放出されて利用可能になるように、適切な塗装機、例えば市販のpH感受性ポリマーが本分野において公知である。
【0141】
遅延パルス放出成分および持続放出成分のための腸溶性ポリマーとしては、例えば、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、例えば、商品名EUDRAGIT(登録商標)L12.5、L100、またはEUDRAGIT(登録商標)S12.5、S100で知られる材料などの共重合メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、または腸溶性コーティングを得るために使用される類似の化合物などが挙げられる。EUDRAGIT(登録商標)L 30D-55、EUDRAGIT(登録商標)L 100-55、EUDRAGIT(登録商標)S100、EUDRAGIT(登録商標)製剤4110D(Rohm Pharma)、 AQUATERIC(登録商標)、AQUACOAT(登録商標)CPD 30(FMC)、KOLLICOAT MAE(登録商標)30Dおよび30DP(BASF)、EASTACRYL(登録商標)30D(Eastman Chemical)などの水性コロイド状ポリマー分散液または再分散液もまた適用することができる。
【0142】
前記腸溶性遅延パルス放出および徐放性ポリマーは、pH感受性ではない他の既知のコーティング製品、例えば中性メタクリル酸エステルと、EUDRAGIT(登録商標)RSおよびEUDRAGIT(登録商標)RLとして市販されている少量のトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド、EUDRAGIT(登録商標)NE30Dとして市販される官能基を含まない中性エステル分散液、および他のpH非依存性コーティング製品とを混合することによって改変できる。
【0143】
前記腸溶性遅延パルス放出または徐放性コーティング上に使用される保護層の改変成分は、前記腸溶性コーティングの後に連続的にコーティングされて前記腸溶性コーティング層を通る水浸透速度を低下させることができる水浸透バリア層(半透過性ポリマー)を含むことができ、そのため活性物質の放出の遅延時間が長くなる。コーティングは前述のように行われる。
【0144】
保護層または着色剤オーバーコート層を任意選択で塗布することができる。OPADRY(登録商標)、OPADRY II(登録商標)(Colorcon)、およびColorconからの対応する色および無色のグレードは、ペレットを粘着性から保護し、製品に色を与えることができる。一実施形態において、保護剤またはカラーコーティングは、1%w/w~6%w/w、好ましくは約2%w/w~約3%w/wの範囲である。タルクを使用することもできる。
【0145】
例えば、さらにより迅速な放出を促進および提供するために、成分をオーバーコーティング製剤に組み込んでもよい。そのような成分には、例えば、アセチルトリエチルシトレート、トリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルセバケート、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどを含む可塑剤、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、二酸化チタン、ケイ酸マグネシウムなどの滑剤が含まれる。
【0146】
前記組成物は、単独でまたは追加の賦形剤と共に、ハードゼラチンカプセルに組み込むことができる。前記組成物は、例えば、摂取後に粒子を急速に分散させる錠剤マトリックスに組み込むことによって錠剤に組み込むことができる。錠剤化プロセス中の粒子破壊を防ぐために、例えば、微結晶セルロース(AVICEL(登録商標))、大豆多糖類(EMCOSOY(登録商標))、プレゼラチン化デンプン(STARCH(登録商標)1500、NATIAL(登録商標)1551)、およびポリエチレングリコール(CARBOWAX(登録商標))などの充填剤/結合剤が必要とされ、これは約5%w/w~約75%w/w、好ましい範囲では約25%w/w~約50%w/wの範囲で存在する。
【0147】
賦形剤は、典型的には、微結晶セルロース、ダイズ多糖類、リン酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、ラクトース、スクロース、ソルビトールなどを含む1またはそれ以上の不活性充填剤;ヒュームド二酸化ケイ素、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどを含む粉末に流動性を付与する1またはそれ以上の材料;ポリエチレングリコール、ロイシン、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油などを含む適切な錠剤化を保証するための1またはそれ以上の潤滑剤を、約0.1%w/w~約10%w/wの範囲で、好ましくは約0.3%w/w~約3.0%w/wの範囲で含むが、これらに限定されない。
【0148】
錠剤が摂取されたら、崩壊剤を添加してビーズを分散させる。崩壊剤としては、これらに限定されるものではないが、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(AC-DI-SOL(登録商標))、デンプングリコール酸ナトリウム(EXPLOTAB(登録商標)、PRIMOJEL(登録商標))、架橋ポリビニルポリピロリドン(Plasone-XL)などが挙げられ、約3%w/w~約15%w/wの範囲で、好ましくは約5%w/w~約10%w/wの範囲で含まれる。
【0149】
一実施形態において、錠剤は粒子から形成され、この粒子は、AVICEL(登録商標)、崩壊剤、および滑剤と共にブレンダーに導入され、均一な混合物を達成するために一定の時間(分)にかけて混合され、次いで当該混合物を錠剤が圧縮される錠剤プレスのホッパーに置かれる。使用される圧縮力は、錠剤を形成するのには十分であるが、ビーズまたはコーティングを破壊するのには十分ではない。
【0150】
錠剤は、即時放出成分が乾式混合され、遅延パルス放出成分および持続放出成分が湿式造粒される3層で構成することができる。次いで前記錠剤を1層または3層圧縮で成形する。層が溶解すると、各成分は放出され、製剤化されたように作用し、例えば即時放出粒子は即時放出を提供し、遅延パルス放出粒子は遅延パルス放出を提供し、持続放出粒子は遅延時間後に持続放出を提供する。
【0151】
ポリマーフィルムコーティングは、任意の適切な方法で活性物質粒子に塗布することができる。一実施形態では、前記ポリマーフィルムは、例えば空気圧スプレーガンを使用して、滑らかな表面構造と比較的一定の厚さを有する均一なコーティングとして塗布される。前記空気圧スプレーガンは、約0.8mm~約2mmのノズル直径を有することができ、約0.5~約3barの空気圧で作動することができる。噴霧速度は、蠕動ポンプまたは圧力容器を用いて調節することができる。噴霧は、粒子が湿りすぎず(過度に湿って)凝集しないように、同時乾燥と連続的であり得る。流動床法は、例えばAEROMATIC(商標)、WERSTER HS(商標)Columnを有するGLATT(商標)などの小さい粒子を被覆するのに適しており、噴霧中に下方から空気流を導入して粒子を流動化し、フィルムを乾燥させるシリンダー状の密封器具において作動する。改良されたコーティングドラム(通常は穴のあいた壁を有するシリンダー状の水平に回転するユニット)を用いて小さな粒子をコーティングすることができる。
【0152】
ポリマー制御放出コーティングを有する粒子は、様々な種類の経口剤形の中にさらに製造されることができる。一例として、前記放出コーティング粒子を、単独でまたは賦形剤、アジュバント、および/または他の活性成分と組み合わせて、丸剤、錠剤などに圧縮することができる。別の例として、前記放出コーティング粒子をソフトゼラチンカプセルまたはハードゼラチンカプセルのいずれかに充填することができる。別の例として、前記放出コーティング粒子を他の活性成分または不活性成分と共にパウチに包装し、懸濁液の形態で水中に分散させることができる。
【0153】
コーティング組成物は、少量の乳化剤、湿潤剤、およびイソノニルフェニルポリオキシエチレングリコールエーテルなどの安定剤を含み得る。少量のタルクも前記コーティング組成物中に組み入れることができ、またはその後に塗布されて前記コーティング粒子の流動特性を改善または向上させることができる。
【0154】
適切なコーティングの厚さは、所望の拡散特性に応じて、約2マイクロメートル~約15マイクロメートルの範囲であり得る。コーティングの重量は一般にフロログルシノール粒子の重量の2~15%である。
【0155】
別の実施形態では、前記放出コーティング粒子を非コーティング粒子と組み合わせて、即時放出成分と持続放出成分の両方を有する経口投与可能な医薬製剤を提供することができる。前記非コーティング粒子は一般に、コーティング前の放出コーティング粒子と実質的に同じ特性を有し得る。前記放出コーティング粒子と同様に、前記非コーティング粒子は、少量の賦形剤、アジュバント、および/または他の活性成分を含み得る。
【0156】
水不溶性、水透過性、および水膨潤性ポリマーコーティングの代わりに、可溶性、不溶性、透過性、不透過性、または生分解性コーティングを含む他の放出コーティングを使用することができる。ポリマーコーティングは、コポリマー、ターポリマー、および3つ以上の異なるモノマー単位を有する他のポリマーを含む、1つ以上のポリマーから構成することができる。ポリマーは天然または合成ポリマーを含み得る。徐放性コーティングに使用される天然ポリマーには、ポリペプチド、多糖類、およびアルギン酸が含まれる。合成ポリマーとしては、水性セルロース、ヒドロキシアシルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸およびエステルのポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、およびポリウレタン、ならびにそれらのコポリマーが挙げられる。
【0157】
即時放出/持続放出配合製剤の持続放出コーティングに使用するための具体的なポリマーには、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースプロピオネート(低、中、または高分子量)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、セルローストリアセテート、セルローススルフェートナトリウム塩、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリヘキサメタクリレート、ポリイソデシルメタクリレート、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリメタラクリレート、ポリイソプロピルラクリレート、ポリイソブチルラクリレート、ポリオクタデシルアクリレート、ポリエチレン(低または高密度)、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、およびポリビニルピロリドンが含まれる。適切なコポリマーの例には、ブチルメタクリレート-/イソブチルメタクリレートコポリマー、高分子量のメチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル/マレイン酸、モノエチルエステルコポリマー、メチルビニルエーテル/マレイン酸および無水物コポリマー、およびビニルアルコール/酢酸ビニルコポリマーが含まれる。適切な生分解性ポリマーの例には、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリエチレンテレフタレート、およびポリウレタンが含まれる。適切なアクリレートおよびメタクリレートの例は、商標EUDRAGIT(登録商標)で販売されるもののようなポリアクリルおよびメタクリルポリマーである。
【0158】
即時放出/持続放出の組合せ製剤は、有効かつ無毒である実質的に任意の量の即時放出形態の活性物質と、治療上有効で、選択された量の即時放出の活性物質と組み合わせて使用した場合に持続放出期間にわたって無毒である任意の量の持続放出形態の活性物質からなることができる。
【0159】
前記非コーティング粒子およびコーティング粒子は、様々な経口医薬剤形または製剤、例えば、カプセル、錠剤、パウチなどに組み合わされ得る。徐放性コーティング粒子および非コーティング粒子は、様々な賦形剤、アジュバントなど、および/または他の活性物質と組み合わせることができる。
【0160】
一実施形態では、水不溶性、水透過性、およびわずかに水膨潤性のポリマーコーティングでコーティングされた活性物質の粒子は、再現性の高い予測可能な速度で活性物質の拡散制御持続放出を提供する。この速度は、pHなどの被験者間および被験者内の生理学的変動とは無関係である。前記粒子は、持続放出コーティング活性物質と同じでも異なってもよい非コーティング活性物質と組み合わせることができる。得られた組み合わせ即時放出/持続放出製剤は、従来の腸溶性持続放出コーティング組成物を用いて、他の持続放出剤形よりも高い薬物放出速度の再現性を提供しながら、それと同時に薬物の即時放出および持続放出の両方を提供する。
【0161】
上記の実施形態のいずれも、様々な異なる種類の経口投与可能な薬学的剤形に製剤化することができ、典型的な製剤は丸剤または錠剤である。錠剤は、好ましくは約11~約19SCUの硬度、最も好ましくは約15SCUの硬度を有する。前記錠剤は、6分後に約0.8%未満の重量損失の脆砕性を有するのが好ましい。
【0162】
薬学的に許容される賦形剤およびアジュバントは徐放性組成物に使用することができ、例えばラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、硫酸カルシウム、硫酸二カルシウム、硫酸三カルシウムなどの充填剤および希釈剤;米デンプン、微結晶セルロースなどのデンプン;アカシア、トラガカント、ゼラチン、ショ糖、プレゼラチン化デンプン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウムアンモニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ケイ酸アルミニウム、およびポリアクリルアミドを含む結合剤;架橋ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースおよびセルロース誘導体などのデンプン誘導体を含む崩壊剤;潤滑剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク、高融点ワックス、およびコロダシリカなどのステアリン酸金属塩を含む手引きが挙げられる。
【0163】
一実施形態では、崩壊剤/結合剤の組み合わせには、POLYPLASDONE(登録商標)XL(GAF)などの架橋ポリビニルピロリドン、またはAC-DI-SOL(登録商標)(FMC Corporation)などのクロスカルメロースナトリウム、または架橋ポリビニルピロリドンまたはクロスカルメロースナトリウムと組み合わせた微結晶セルロースが含まれる。崩壊剤/結合剤は、既知の技術を用いて容易に決定することができる有効量で用いられる。
【0164】
前記活性物質は、種々の剤形、例えば錠剤、コーティング錠、カプセルのような固体剤形、またはシロップまたは懸濁剤のような液体剤形で投与することができる。錠剤形成は、従来の錠剤化装置、例えば、マネスティロータリープレス、ストークスロータリープレスなどを用いて、約15℃~約30℃、圧力約0.4トン~約3.0トンで行われる。
【0165】
前記錠剤は、ハンドル中および瓶内での粉塵発生を最小限に抑え、外観および嚥下性を改善するためにコーティングを施すことが望ましい。可能な錠剤コーティングを実施例において示し、前記コーティングは光沢のためにカルナバワックスのオーバーコートを有してもよい。
【0166】
錠剤は、様々な溶解特性を有する複数の活性コアを有することができる。初回および2回目の投与量は、単一の投与工程で投与することができる。一実施形態では、初回用量および第二用量は、一回の投与工程で、例えば単一の固形剤形で投与される。そのような剤形は、初期用量の活性物質を含有する即時放出部分と、第二用量の活性物質を含有する持続放出部分とを有する単回投与工程であり得る。そのような単一の固体剤形は、第一の即時放出用量が1層であり、第二の持続放出用量が第2の層中にある多層錠剤であってもよい。単一の固体剤形はまた、第一の即時放出用量が粒子の一部分にあり、第二の持続放出用量が粒子の第二の部分にある多粒子錠剤などであってもよい。
【0167】
製剤、例えば錠剤は、例えば、3次元的に印刷された急速分散剤形を開示する国際公開第2014/144512号、米国特許第6,471,992号、および米国特許出願公開第2012/0207929号、および第2013-0133975号などの本分野で公知のように、積層造形法、すなわち三次元印刷よって構築することができる。この実施形態では、急速分散性固体剤形は、フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、および/またはポリマーでコーティングしたトリメチルフロログルシノールと、少なくとも1つの賦形剤とを含む三次元印刷マトリックスを有し、当該マトリックスは印刷流体を粉体と粉体の粒子に沈着させて結合させることによって形成される。前記マトリックスは、規定の全体のかさ密度、水性流体中での崩壊(分散)時間、水性流体中での溶解時間、および含水量を伴う多孔質である。前記マトリックスは、改善された化学的安定性、十分な硬度、低い脆砕性、および少量の水性液体中での極めて速い分散時間のバランスを提供する。
【0168】
この実施形態において多くの異なる種類の水溶性賦形剤の含有量を増加させることは、一般に、硬度の増加および分散時間の増加をもたらす。しかし、グリセリンの含有量を増やすと硬度は上がるものの、分散時間は短くなる。したがって、一実施形態では、印刷流体はグリセリンおよび少なくとも1つの薬学的に許容される溶媒を含む。一般的な方法工程は以下のとおりである。(a)活性物質含有粉末の増分層を表面上に付着させ、(b)グリセリンおよび少なくとも1つの薬学的に許容される溶媒を含有する十分量の印刷流体を前記増分層上に付着させて粉末中の粒子を結合させ、次いで工程(a)および(b)を繰り返して錠剤または他の製剤を形成する。
【0169】
投与時に、剤形はその固体マトリックスの非常に急速な崩壊/分散を受ける。前記マトリックス中の活性物質および賦形剤は、水、唾液、ジュース、牛乳、飲料、体液、ソーダなどの少量の水性流体に入れた場合でも急速に分散する。一般的に分散は溶解と重複し、前記マトリックスは、少なくとも少量の水性流体と接触すると所望の時間内に分散する三次元形状を有する。
【0170】
所定の厚さのバルク粉末の増分層を前の粉末層の上に広げ、所定の飽和レベル、ライン間隔、および印刷流体の流れに従って印刷流体を小滴として増分層に塗布して粒子を結合させる。この二段階プロセスは、所望の量の印刷された増分層を有するマトリックスが形成されるまで完了する。
【0171】
開示された製剤はまた他の治療的活性物質を含んでもよい。フロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールに加えて活性物質を同じ剤形に処方してもよく、または別々に処方してもよく、他の活性物質を同時にまたは任意の順序で連続して投与することができる。用量は、各活性物質と別々に同じ範囲内であり得るか、または相乗効果が生じる場合、1つまたはそれ以上の組み合わせた活性物質は低い用量を有してもよい。
【0172】
本発明の一実施形態は、単一剤形中に即時放出形態および持続放出形態の両方を含有する経口トリメチルフロログルシノール製剤である。本発明の一実施形態は、単一剤形中に即時放出形態および持続放出形態の両方を含有する経口フロログルシノール-トリメチルフロログルシノール製剤である。一実施形態では、前記即時放出形態はフロログルシノールであり、前記持続放出形態はトリメチルフロログルシノールである。一実施形態では、前記即時放出形態はトリメチルフロログルシノールであり、前記持続放出形態はフロログルシノールである。
【0173】
10mg~160mgの範囲の80mgの即時放出製剤および20mg~480mgの範囲の160mgの持続放出製剤の両方を組み合わせたフロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールの剤形は、患者に対して約12時間にわたって継続的に薬剤送達を提供する。そのような投薬製剤は、一回の患者投薬で12時間にわたって腸および/または尿のけいれん抑制のための適用範囲を提供し、患者の利便性および長期治療を提供し、例えば患者は症状のない完全な睡眠の夜、完全な仕事日、完全な余暇日などを有益に経験するかもしれない。
【0174】
本発明の製剤の実施形態は、以下を含む:100%フロログルシノール、100%トリメチルフロログルシノール、これらに限定されないが、90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、または10:90を含む任意の比率のフロログルシノール:トリメチルフロログルシノールの組み合わせ。本発明の製剤は、組成物の即時放出(IR)部分もしくは成分、および持続放出(XR)部分もしくは成分、またはそれらの組み合わせを含む。前記即時放出部分は約1時間以内に即時放出用量の100%を送達し、前記持続放出部分は12時間にわたって持続放出用量を送達する。フロログルシノールをまったく含まないトリメチルフロログルシノール、またはトリメチルフロログルシノールをまったく含まないフロログルシノールを含む、任意の量または割合のフロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールは、即時放出部分または持続放出部分のいずれにあってもよく、そのため本発明の製剤は限定されない。一実施形態では、フロログルシノールとトリメチルフロログルシノールの両方が即時放出部分と持続放出部分の両方に存在してもよい。この実施形態では、フロログルシノールとトリメチルフロログルシノールの両方が同じ製剤中にあっても異なる製剤中にあってもよい。
【0175】
フロログルシノールまたはトリメチルフロログルシノールの典型的な溶出プロファイル(放出プロファイルとも呼ばれる)を
図1に示す。薬物放出の割合は、送達システムの即時放出部分では1時間未満または1時間以内で100%に近づき、送達システムの持続放出部分では12時間以内または12時間未満で約100%に近づく。
図2は、フロログルシノールの模擬血漿濃度の概略図であり、即時放出部分からの血漿薬物濃度は、持続放出部分からの薬物が即時放出部分からの薬物の約半分のプラトーに達すると同時に約2倍の濃度でピークに達する。
【0176】
腎臓の疝痛を含む尿路のけいれん性状態の管理のために、フロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールの経口投与量は1日6回80mgであり得る。中程度の腹痛を伴う胆道のけいれん性状態の管理のために、フロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールの経口投与量は1日6回80mgであり得る。
【0177】
一実施形態において、1日3回、62.2mgのフロログルシノールおよび80mgのトリメチルフロログルシノールの経口投与量を、IBS患者に使用することができる。最大用量は1日6回80mgである。
【0178】
一実施形態では、活性物質は非経口投与されてもよい。フロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールの非経口投与は、1日2回40mg、または1日3回40mgであり得る。医療提供者による非経口投与は、病院環境において有用であり得る。
【0179】
一実施形態では、活性物質は直腸投与することができる。尿路および胆道のけいれん性状態の管理のための活性物質の直腸投与は、1日3回150mgであり得る。直腸投与は座薬製剤によってもよい。一実施形態では、前記製剤は、例えば座薬により直腸投与される。一実施形態では、前記製剤は、非経口的に、例えば静脈内、皮下、または筋肉内注射により投与される。
【0180】
前記組成物は様々な送達形態またはシステムをとることができる。以下の製剤を使用することができ、これらは例示的なものにすぎず、限定的なものではない。経口製剤は、錠剤、カプセル、小袋、ソフトゲル、液体、ゲル、ストリップ、フィルム、粉末、顆粒、パルス放出、コーティングコア、遅延持続放出形態、縞状薬剤形態、持続放出形態、錠剤カプセル、顆粒カプレット、層状錠剤などを含み、例えば、錠剤カプセル、顆粒カプレット剤、層状錠剤などと、活性物質および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤との組み合わせを含む。
【0181】
錠剤製剤は当業者に知られている。前記錠剤は、経口投与に便利な任意の形状またはサイズ、例えば円形、楕円形などであり得る。一実施形態では、前記錠剤は、100%のフロログルシノールまたはトリメチルフロログルシノールまたはそれらの混合物を含み、即時放出(IR)、持続放出(XR)、またはそれらの組み合わせのいずれでもよい。前記錠剤は、互いに隣接するIR層およびXR層を含む二層錠剤(
図3)、薬学的に許容される緩衝層によって分離されたIR層とXR層の両方を含む三層錠(
図4)、またはマトリックス層中に活性物質を含み、活性物質のIR層でコーティングされたXR錠剤(
図5)であってもよい。
【0182】
前記組成物はまた、他の送達形態、例えば、12時間にわたる前記組成物の制御送達のための浸透圧薬物送達システム内のIR錠剤、プラグ、およびXR錠剤を含有するカプセル(
図6)、IRビーズとXRビーズを適切な比率で混合して含有するカプセル(
図7)、IRミニ錠剤とXRミニ錠剤とを混合して含有するカプセル(
図8)、徐放性ポリマーでコーティングされたIR顆粒およびXR顆粒を含有するカプセル(
図9)、IR層でコーティングされたXRビーズを含有するカプセル(
図10)などで提供されてもよい。活性物質の他の送達形態は、IR顆粒を含有する圧縮錠剤および前記錠剤内に埋め込まれたコーティングXRビーズ(
図11)、IR錠剤内に埋め込まれたXR錠剤を含む圧縮錠剤(
図12)、またはカプセル内の即時放出液体薬剤溶液中に懸濁されたXR錠剤(
図13)であり得る。
【0183】
他の送達形態は小袋である。前記小袋は、IRおよびXR顆粒またはビーズの混合物を含んでもよく(
図14)、または発泡性IR顆粒およびコーティングXR顆粒の混合物を含んでもよい(
図15)。
【0184】
他の即時型、延長型、または持続型、修飾型、および遅延型パルス放出システムは、以下の参考文献のそれぞれに記載されており、これらは、この参照によりその全体が本明細書に明確に組み込まれる。米国特許出願公開第2005/0095295号、2005/0106247号、および2007/0264323号、および米国特許第6,126,969号および第8,211,465号。一例として、米国特許出願公開第2005/0106247号は、非水溶性ポリマー、および/または水溶性ポリマーを含む持続放出コーティングを有する、ビーズ、ペレット、顆粒などの持続放出粒子中の薬物(塩酸シクロベンザプリン)を記載しており、その粒子の一部はゼラチンカプセルに入っている。別の例として、米国特許出願公開第2007/0264323号は、コーティング層、遅延パルス放出成分、即時放出製剤、中間放出製剤、持続放出製剤、および制御放出カプセルを含むカプセル、錠剤、または小袋内のビーズなどの薬物(ADDERALL(登録商標))の送達システムを開示する。米国特許第6,126,969号は、即時放出/持続放出剤形のためのコーティングされた薬物粒子とコーティングされていない薬物粒子との組み合わせなどの薬物(アセトアミノフェン)の送達システムを開示している。米国特許第8,211,465号は、薬物(イブプロフェンなどのNSAID)の初期放出および同じ薬物の2回目の持続放出のための剤形を開示している。浸透圧送達システムは、Patra et alのOsmotic Drug Delivery Systems: Basis and Design Approaches, Recent Patents on Drug Delivery and Formulation, 7 (2013) 1-12.に開示されている。
【0185】
剤形の活性コアは、薬物含有フィルム形成製剤でコーティングされた不活性粒子または酸性もしくはアルカリ性緩衝結晶であり得る。一実施形態では、水溶性フィルム形成組成物は水溶性/分散性粒子を形成する。あるいは、前記活性物質は、前記活性物質を含有するポリマー組成物の造粒および製粉および/または押出しおよび球形化によって調製することができる。前記コア中の活性物質の量は必要とされる用量に依存し、典型的には約5重量%~60重量%の間で変動する。前記活性コア上のポリマーコーティングは、必要とされる放出プロファイルの種類および/または選択されたポリマーおよびコーティング溶媒に応じて、典型的にはコーティングされた粒子の重量に基づいて約4%~20%であろう。当業者は、所望の用量を達成するために前記コア上へのコーティングまたは前記コアへの組み込みのために適切な量の活性物質を選択することができるであろう。一実施形態では、不活性コアは、前記活性物質の微小環境を変化させてその放出を促進する、糖球、または緩衝結晶、または炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、フマル酸、酒石酸などのカプセル化緩衝結晶であってもよい。
【0186】
薬物含有粒子は、XRビーズを提供するために、水不溶性ポリマーまたは水不溶性ポリマーと水溶性ポリマーとの組み合わせを含む持続放出(XR)コーティングでコーティングされてもよい。実施形態では、前記水不溶性ポリマーと前記水溶性ポリマーは、100:0~65:35、または約95:5~70:30、または約85:15~75:25の重量比で存在してもよい。前記持続放出コーティングは、所望の放出プロファイルを提供するのに必要な量で塗布される。実施形態では、前記持続放出コーティングは、コーティングビーズの約1重量%~15重量%、またはコーティングビーズの約7重量%~12重量%である。
【0187】
2つのビーズ集団の混合物を含む放出調節剤形は、以下のように製造することができる。薬物含有コアは、非パレイルシード、酸性緩衝結晶、またはアルカリ緩衝結晶などの不活性粒子を活性物質およびポリマー結合剤でコーティングすることによって、または造粒および製粉によって、または押出し/球形化によって調製されて、IRビーズを形成する。このIRビーズは、エチルセルロースのような可塑化された水不溶性ポリマー単独で、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースのような水溶性ポリマーと組み合わせてコーティングされてXRビーズを形成する。ハードゼラチンカプセルXRビーズは、単独でまたはIRビーズと組み合わせて、所望の放出プロファイルを提供する放出調節(MR)カプセルを製造するために所望の比率で充填される。
【0188】
以下の溶解手順を使用するIRビーズは、30分以内に少なくとも約70%、より具体的には少なくとも約90%の前記活性物質を放出することが報告されている。
【0189】
USP装置2(50rpmでパドル)を以下の溶解媒体と共に使用する:900mLの0.1N HCl(または適切な溶解媒体)で、37℃で、HPLCによって活性物質放出を決定する。
【0190】
水性溶媒または薬学的に許容される溶媒を、活性物質含有コア粒子を調製するために使用することができる。薬物を不活性糖球に結合させるために使用されるフィルム形成結合剤の種類は重要ではないが、通常は水溶性、アルコール可溶性、またはアセトン/水溶性結合剤が使用される。ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のような結合剤、デキストラン、コーンスターチのような多糖類は、約0.5重量%~約5重量%の濃度で、使用されている他の濃度とともに使用できる。前記活性物質は、このコーティング製剤中に溶液形態で存在してもよく、またはコーティング製剤の粘度に応じて約35重量%以下の固形分で分散されてもよい。
【0191】
活性物質、場合によりPVPのような結合剤、使用される場合には溶解速度制御ポリマー、および場合により他の薬学的に許容される賦形剤を、プラネタリーミキサーまたはFAELER(登録商標)のような高剪断造粒機中で混合し、水やアルコールなどの造粒液剤を添加/噴霧することにより造粒する。湿った塊を押出しおよび球形化して、押出機/マルメライザーを使用して球状粒子(ビーズ)を製造することができる。これらの実施形態では、活性物質量は、押出し/球状化コアの総重量に基づいて90重量%に達してもよい。
【0192】
XRコーティングに有用な水不溶性ポリマーの例示的であるが非限定的な例としては、エチルセルロース粉末または水性分散液(例えば、AQUACOAT(登録商標)ECD-30)、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル(KOLLICOAT(登録商標)SR30D、BASF)、アクリル酸エチルおよびメタクリル酸メチルをベースとする中性コポリマー、EUDRAGIT(登録商標)NE、RSおよびRS30D、RLまたはRL30Dなどの第4級アンモニウム基を有するアクリル酸およびメタクリル酸エステルのコポリマーなどが挙げられる。例示的であるが限定されない水溶性ポリマーは、低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、および/または分子量>3000のポリエチレングリコール(PEG)を含む。徐放性コーティングは典型的には、水中での、及び使用される溶剤またはラテックス懸濁液ベースのコーティング製剤での活性物質の溶解度に応じて約1重量%~最大15重量%の範囲の厚さで塗布される。
【0193】
膜を形成するのに使用されるコーティング組成物は通常可塑化されている。例示的であるが非限定的な可塑剤としては、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリ-n-ブチル、ジエチルフタレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、および/またはアセチル化モノグリセリドなどが挙げられる。可塑剤は、ポリマーに基づいて、約3重量%~約30重量%、より典型的には約10重量%~約25重量%を有してもよい。可塑剤の種類およびその含有量は、ポリマーまたはポリマーおよびコーティング系の性質(例えば、水性または溶剤系、溶液または分散系および全固形分)に依存する。
【0194】
粒子は、異なる膜層を分離するための持続放出膜コーティングを塗布する前に、薄いヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;OPADRY(登録商標)Clear)フィルムを塗布することによって下塗りされてもよい。HPMCが典型的に使用されるが、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のような他のプライマーもまた使用され得る。
【0195】
膜コーティングは、製薬業界で使用される任意のコーティング技術を使用してコアに塗布することができる。一実施形態では、流動床コーティングが使用される。
【0196】
多剤形、すなわち多粒子剤形(ペレット、ビーズ、顆粒、ミニ錠剤など)の形態の製品、または経口投与に適した他の形態の製品を使用することができる。本明細書で使用されるように、これらの用語は多粒子剤形を指すために互換的に使用される。
【0197】
2つ以上のビーズ集団の混合物を含む持続放出剤形は、以下のようにして作製することができる。非パレルシード、酸性緩衝結晶、またはアルカリ緩衝結晶などの不活性粒子を活性物質および高分子結合剤でコーティングして、活性粒子、すなわち即時放出(IR)ビーズを形成することができ、このビーズはボーラス投与として作用するための単位剤形に存在してもよい。前記活性粒子は、水不溶性ポリマーまたは水溶性ポリマーと水不溶性ポリマーの混合物の溶液または懸濁液でコーティングされて、持続放出コーティング活性粒子、すなわち持続放出(XR)を形成する。ハードゼラチンカプセルXRビーズを単独で、場合により95:5~70:30(XRビーズ:IRビーズ)の範囲の比でIRビーズと組み合わせて充填して標的の活性物質放出プロファイルを示す放出調節(MR)カプセルを製造する。
一実施形態では、前記剤形は、油性または脂質系に分散された活性物質の即時放出部分、および疎水性担体でコーティングされた活性物質のワックス状マトリックスまたは粒子に製剤化された他の部分を有する。前記活性物質の少なくとも15%~50%が即時放出部分であり、即時放出に適した剤形に存在する。錠剤カプセルの残りの部分は、重量で、活性物質の徐放性製剤または活性物質の徐放性製剤の一部を含み得る。前記活性物質は脂質ベースの送達システムに製剤化することができる。脂質賦形剤中に前記活性物質をカプセル化または可溶化すると、可溶化および吸収が増大し、その結果バイオアベイラビリティが向上する可能性がある。
【0198】
脂質賦形剤は市販されている。脂質は吸収に影響を与えるため、脂質賦形剤の特性を知ることが必要である。脂質ベースの製剤のための賦形剤の選択を決定する要因は、混和性、溶媒容量、自己分散性および製剤の自己分散を促進する能力、消化性および消化産物の運命、刺激性、毒性、純度、化学的安定性、カプセル適合性、融点、コストなどを含む。
【0199】
中鎖および長鎖トリグリセリドからなる食用油は、様々な溶媒および界面活性剤と共に、脂質ベースの製剤を調製するために頻繁に使用される。多くの脂質は両親媒性であり、すなわちそれらは親油性部分(脂肪酸)および親水性部分を有する。脂肪酸鎖長が増加するにつれて融点は上昇するが、脂肪酸の不飽和度の増加と共に融点は低下し、これはまた酸化に対する感受性を増加させる。脂質ベースの製剤に使用される可溶化剤は以下の表に提供される。
【0200】
【0201】
トリグリセリド植物油は最も一般的な脂質賦形剤である。それらは完全に消化され吸収され、安全性の問題を排除する。トリグリセリドは、長鎖トリグリセリド(LCT)、中鎖トリグリセリド(MCT)、および短鎖トリグリセリド(SCT)である。活性物質に対するそれらの溶媒容量は、主にエステル基の有効濃度によるものである。MCTはLCTよりも高い溶媒容量を有し、酸化しにくい。異なる植物源からの油は、各脂肪酸の異なる割合を有する。様々な脂質賦形剤中の脂肪酸組成を以下に示す。
【0202】
【0203】
D-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸(ビタミンE TPGS)は植物性トコフェロールから誘導される。それは水溶性であり、難水溶性薬物のための吸収促進剤として作用する。純粋なトリグリセリドは精製植物油に含まれる。
【0204】
混合グリセリドは植物油の部分加水分解によって得られる。トリグリセリド出発物質および加水分解の程度は、製造される混合グリセリドの化学組成を決定する。中鎖混合グリセリドは酸化されにくく、より大きな溶媒容量を有し、乳化を促進する。これらの極性油性賦形剤も溶媒容量および製剤の分散性を改善する。極性油の例には、ソルビタントリオレエート(SPAN(登録商標)85)およびオレイン酸が含まれる。
【0205】
共溶媒、例えば、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)-400などは、活性物質に対する製剤の溶媒容量を増加させ、高い割合の水溶性界面活性剤を含有する系の分散を助ける。共溶媒に関する実用的な限界としては、希釈後の溶媒容量の損失による溶媒からの可溶化活性物質の沈殿、油とのいくつかの共溶媒の非混和性、およびカプセルシェルとの低分子量溶媒の不適合性が挙げられる。
【0206】
水不溶性界面活性剤は、油-水界面で吸着する中間の親水性-親油性バランス(HLB 8~12)を有する脂質賦形剤である。エトキシル化の程度に応じて、それらは水中で有限の溶解度を有する。それらは剪断を受けるとエマルジョンを形成することができ、水中にで「分散性」であると言われることがある。それらはミセルを形成することができるが、それらの親水性が不十分であるために自己乳化することができない。ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート(TWEEN(登録商標)-85)およびポリオキシエチレン(20)グリセリルトリオレエート(TAGOT(登録商標)-TO)などのオレイン酸エステルは、HLB 11~11.5を有する水不溶性界面活性剤を例示する。しかしながら、平均のHLBが11であるTWEEN(登録商標)-80とSPAN(登録商標)-80とのブレンドは、機能においてTWEEN(登録商標)-85と類似しない。TWEEN(登録商標)-80とSPAN(登録商標)-80とのブレンドは水溶性と水不溶性の両方の分子を持っているが、TWEEN(登録商標)-85は主に水不溶性の分子を持っている。
【0207】
水溶性界面活性剤は、自己乳化薬物送達システムを処方するための最も一般的な界面活性剤である。HLB>12を有する材料は、それらの臨界ミセル濃度(CMC)を超える純水中に溶解することによって低濃度でミセル溶液を形成することができる。水溶性界面活性剤は、加水分解植物油を用いてPEGによって合成され、またはアルコールをエチレンオキシドと反応させて、一般に使用される界面活性剤(例えば、セトステアリルアルコールエトキシレートまたはCETOMACROGOL(商標))であるアルキルエーテルエトキシレートを生成することができる。ソルビタンエステルとエチレンオキシドとの反応は、ポリソルベート、主にエーテルエトキシレートを生成する。CREMOPHOR(登録商標)RH40およびRH60(エトキシル化水素化ヒマシ油)は、植物油由来の材料の水素化から得られるこのタイプの例である。水素化されていないCREMOPHOR(登録商標)EL(エトキシル化ひまし油)も広く使用される。CREMOPHOR(登録商標)は排出ポンプを抑制することによって吸収を高めるものの、阻害機構は決定されておらず、それは界面活性剤分子の膜への貫通、排出ポンプの表面への吸着、または排出ポンプの細胞内ドメインとの分子の相互作用による非特異的立体配座変化であり得る。
【0208】
製剤を酸化から保護するために添加剤を加えてもよい。例としては、パルミチン酸アスコルビル、α-トコフェロール、β-カロチン、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)などの脂溶性抗酸化剤が挙げられる。
【0209】
脂質賦形剤は広い融点範囲をもたらす異なる化学組成を有するため、製剤化中の脂質挙動が評価される。脂質の熱的性質、例えば結晶化温度、融点、ガラス転移温度、および温度に対する賦形剤の固形脂肪含有量の決定は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて評価される。加熱または冷却中の脂質構成は、ホットステージ顕微鏡によって評価される。脂質賦形剤の結晶度は、X線回折(XRD)によって確認される。
【0210】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびガスクロマトグラフィー(GC)は、エーテル、エステル、および脂肪酸分布の正確な組成を決定することができる。他の化学指数には、それらの鹸化価から決定される脂肪酸の分子量、ヨウ素ベースのアッセイにより決定される炭化水素鎖の飽和、過酸化物を測定することにより決定される酸化的変化、酸含有量から測定される遊離脂肪酸、および水酸基含有量を測定することにより決定される遊離ヒドロキシル基が含まれる。
【0211】
FDA要求溶出試験は、脂質ベース製剤のインビボ挙動と相関しない。胃腸管内の脂質は、脂質賦形剤の乳化および分散特性にも影響するリパーゼ(胃および膵臓)の存在下で消化過程を受け、それによりインビボでの可溶化能力が変化する。したがって、脂質ベースの製剤を選択する際には、脂質賦形剤の消化性を考慮する必要がある。生体関連媒体中での溶解試験はそのような効果を評価し、インビボ挙動を予測することができる。自己乳化製剤の有効性は、分散試験(乳化能力および粒径)によって決定することができる。光子相関分光法(PCS)またはレーザー光回折を使用して粒径を測定することができ、目視観察は乳化能力を予測するのに役立ち得る。
【0212】
脂質ベースの賦形剤は、様々な生理学的プロセス、例えば胆汁流および膵液分泌の刺激、胃内容排出の延長、膜流動性の増大、密着結合の開放、薬物のリンパ輸送の促進による初回通過代謝の回避、および排出トランスポーターの阻害などに影響を及ぼすことによって薬物の経口吸収を高める。これらの効果を評価するために、小腸ミクロソーム、Caco-2細胞、チャンバーを用いた反転腸管、およびインサイチュ灌流アッセイを含む様々なインビトロモデルが利用可能である。
【0213】
リポソームを使用することができ、これらの球状二層構造は、それらの配置において細胞膜に似ており、主に両親媒性リン脂質(親水性頭部および疎水性脂肪酸尾部)である。水和すると、これらのリン脂質は球状の二層構造を形成し、疎水性の尾部が構造の内側に向かって配向し、親水性の頭部が構造の外側に向かって配向する。親水性物質を小球の水性内部空間に埋め込むことができ、一方で疎水性活性物質を内側の脂肪酸層内に埋め込むことができる。
【0214】
固体脂質ナノ粒子(SLN)を使用することができる。SLNは、制御された部位特異的な薬物送達と共にバイオアベイラビリティを高めることができるため、経口腸管リンパ送達のための潜在的な担体でもある。SLNは、典型的には、親油性分子を可溶化することができる(界面活性剤によって安定化された)固体脂質コアマトリックスを有する10nm~1000nmの範囲の球状粒子である。主に使用される脂質としては、モノステアリン酸グリセロールなどのモノグリセリド、ベヘン酸グリセロールなどのジグリセリド、トリステアリンなどのトリグリセリド、ステアリン酸などの脂肪酸、コレステロールなどのステロイド、およびパルミチン酸セチルなどのワックスが挙げられる。モノグリセリド脂質および大豆レシチンおよびポロキサマー188界面活性剤を使用して薬物充填SLNをコーティングするN-カルボキシメチルキトサンポリマーを処方することによって、1つの薬物の経口バイオアベイラビリティが改善された(Venishetty et al)。
【0215】
スプレー冷却とも呼ばれるスプレー凝固では、溶融脂質が冷却チャンバー内にスプレーされ、空気と接触すると球状の固体粒子に凝固する。この固体粒子はチャンバーの底から集められ、ハードゼラチンカプセルに充填されるか、または錠剤に圧縮される。超音波噴霧器はスプレー冷却プロセスにおいて固体粒子を発生させる。考慮すべきパラメータは、賦形剤の融点、製剤の粘度、および液滴の即時凝固を可能にするためのチャンバー内の冷却空気温度である。薬物顆粒は、溶融性結合剤としてPEG4000またはポロキサマー188を、および充填剤としてラクトース一水和物を用いて溶融造粒することによって調製されることが報告されている。狭いサイズ分布を有する微粒子は、ステアロイルポリオキシグリセリド(GELUCIRE(登録商標)50/13)を賦形剤として使用した場合に報告され、難水溶性薬物の溶解度を著しく高めた(Cavallari et al Thermal and Fractal Analysis of Diclofenac/Gelucire 50/13 Microparticles Obtained by Ultrasound-Assisted Atomization, J. Pharm. Sci. 94 (2005) 1124-340)。
【0216】
ペレット化とも呼ばれる溶融造粒は、活性物質の粉末混合物を顆粒またはペレットに変換する。高剪断混合(「ポンプオン」技術)の存在下で溶融性結合剤(溶融状態)を粉末混合物にスプレーするか、または溶融性結合剤を粉末混合物と混合し、高剪断混合中に粒子(固体/半固体)の摩擦により溶融する。溶融した結合剤は粉末粒子間に液体架橋を形成し、制御された条件下で球形化ペレットに変換する小さい顆粒を形成する。粉末の細かさに応じて、15%~25%の脂質ベースの結合剤を使用することができる。処理中に考慮すべきパラメータは、結合剤粒子サイズ、混合時間、インペラ速度、および溶融時の結合剤の粘度である。薬物の溶解速度は、薬物の固体分散体を含有する溶融凝集物を配合することによって改善された(Seoら)。ラクトース一水和物を、高剪断ミキサー中で溶融性結合剤、例えばGELUCIRE(登録商標)50/13のPEG3000と溶融凝集させた。ポリオキシグリセリド、部分グリセリドまたはポリソルベート、およびレシチンは、自己ミクロ乳化系を形成するための溶融造粒技術において使用される例示的な脂質賦形剤である。
【0217】
実施形態では、徐放性マトリックス錠剤は、溶融造粒法によって、疎水性担体またはステアリン酸、カルナバロウ、および蜜ろうなどの溶融性結合剤を使用して製剤化し、前記担体を持続送達用に疎水性にすることができる。
【0218】
以下の実施例のいずれにおいても、活性物質またはAPIと称されるフロログルシノールまたはトリメチルフロログルシノールのうちの一方が存在する限り、フロログルシノールまたはトリメチルフロログルシノールのいずれかを使用することができる。
【0219】
【0220】
脂質ベースの製剤は、賦形剤中に脂質を含むものであり、例示的な脂質ベースの製剤を以下に示す。
【0221】
【0222】
【0223】
以下の実施形態のいずれにおいても、活性物質と称されるフロログルシノールまたはトリメチルフロログルシノールのうちの一方が存在する限り、フロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールのいずれかを使用することができる。
【0224】
一実施形態では、パルス放出形態が使用される。パルス放出形態は、コーティングされたコア製剤と呼ばれる1つまたはそれ以上のコーティングを有する活性コアを含む。コーティングされたコアはまた、即時放出に適した量の活性物質と組み合わせて使用されてもよい。
【0225】
一実施形態では、「遅延持続放出」製剤と呼ばれる、第2の部分の開始および放出が経時的に延長し、または延長し得る前に第2の量が遅延するように、フロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールのいずれかの活性物質の少なくとも第2の量と組み合わせて即時放出用に製剤化される量の活性物質が製剤化される。これらのパルス放出剤形製剤のそれぞれは、他に示さない限り、すべて重量パーセントでさらに記載される。
【0226】
コーティングされたコア製剤は、市販のノンパレル糖球などの不活性粒子を含む用量の活性コアである。前記コア中の活性物質の量は、送達されるべき所望の用量に応じて変動する。一実施形態では、前記コアは約5%の活性物質から約90%の活性物質を含む。一実施形態では、前記コアは約5%の活性物質から約60%の活性物質を含む。前記活性物質の量は、前記コアの総重量に基づく。当業者は、所望の剤形を達成するために前記コアのコーティングまたは前記コアへの組み込みのために適切な量の活性物質を選択することができる。典型的には、前記コーティングされたコアは、約80mg、160mg、最大約480mgの活性物質を含み得る。前記コア粒子をコーティングするために、水性または薬学的に許容される溶媒媒体を使用することができる。前記活性物質を不活性粒子に結合させるために、任意の種類の薬学的に許容される不活性結合剤を使用することができる。水溶性結合剤を使用することができる。アルコール可溶性結合剤を使用してもよい。ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシアルキルセルロース、ポリエチレンオキシド、デキストラン、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCまたはヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルセルロースなどの多糖類などのような結合剤は、約0.5重量%~約5重量%の濃度で水に分散して使用できる。前記活性物質は、このコーティング製剤中に溶液形態または懸濁形態であり得る。活性物質の濃度は、前記コーティング製剤の粘度に応じて、約0.1重量%~約20重量%まで変動し得る。
【0227】
一実施形態では、前記活性コアは、造粒によって、または押出しおよび球形化によって調製される。前記活性物質、PVPなどの結合剤、選択的に高粘度HPMC(ヒプロメロース)などの溶解速度制御ポリマー、および選択的に他の薬学的に許容される賦形剤は、高剪断造粒機(例えば、FAELER(登録商標)造粒機)または流動床造粒機(例えばGLATT(登録商標)GPCG造粒機)で混合され、水またはアルコールなどの造粒液を添加/噴霧することによって造粒して凝集体を形成し、乾燥する。押出機を用いて湿った塊を押し出し球形化して、球状粒子(ビーズ)を製造する。これらの実施形態では、薬物充填量は、押出成形または粒状化コアの総重量に基づいて90重量%であり得る。
【0228】
一実施形態では、活性物質を含有する粒子上の膜コーティングの一方の層は可塑化腸溶性ポリマーを含み、他方の層は水不溶性ポリマーと可塑化水分散性/腸溶性ポリマーとの混合物を含む。水不溶性ポリマーと水分散性ポリマーは、約10:1~1:1、または約4:1~1:1の重量比で存在する。コーティングの総重量は、多粒子剤形の総重量に基づいて約15重量%~80重量%、または約20重量%~約60重量%である。
【0229】
中間酸含有膜は選択的である。含まれる場合、前記中間酸含有膜は、例えば、フマル酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸などの有機酸と、例えばPVPなどの結合剤とを含み得る。水溶性ポリマーまたはアルコール可溶性ポリマーが通常使用される。この酸含有膜の重量は、コーティングビーズの総重量に基づいて約5%~約20%である。前記酸含有膜中の酸は、内層中の腸溶性ポリマーの溶解を遅延させ、それにより遅延時間を増大させると共にコーティングビーズからの活性物質の放出速度を減少させる。高分子膜の外層の組成、ならびに内層、中間層、および外層の各層の個々の重量は、予測されるインビトロ/インビボの相関関係に基づいて活性物質のパルス放出プロファイルを達成するようにさらに最適化される。したがって、パルス放出投与製剤は、所定の期間の経過後および/または製剤を投与された個体の消化管の特定の時点の量の活性物質を放出するように最適化されている。
【0230】
腸溶性ポリマーの例には、これらに限られるものではないが、以下の化合物または組成物が、単独でまたは組み合わせて含まれる。セルロースのエステルおよびその誘導体(セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート、pH感受性メタクリル酸-メタメタクリル酸コポリマー、およびシェラック。これらのポリマーは、乾燥粉末または水性分散液として使用することができる。メタクリル酸コポリマーEUDRAGIT(登録商標)L100、S100、L30D(Rohm Pharma)、セルロースアセテートフタレートCELLACEFATE(登録商標)(Eastman Chemical Co.)、セルロースアセテートフタレート水性分散液AQUATERIC(登録商標)(FMC Corp.)、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート水性分散液AQOAT(登録商標)(Shin Etsu K.K.)が入手可能である。
【0231】
水不溶性ポリマーの例には、これらに限られるものではないが、以下の化合物または組成物が、単独でまたは組み合わせて含まれる。セルロース誘導体(例えばエチルセルロース)、ポリ酢酸ビニル(KOLLICOAT(登録商標)SR30D、BASF)、アクリル酸エチルおよびメタクリル酸メチルに基づく中性コポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸エステルと例えばEUDRAGIT(登録商標)NE、RSまたはRS30D、RLまたはRL30Dなどの第4級アンモニウム基とのコポリマー。
【0232】
本分野で公知の任意の薬学的コーティング方法を使用して、膜コーティングを前記コアに塗布することができる。例えば、流動床コーティングを使用することができる。
【0233】
パルス放出剤形製剤は、(i)不活性粒子、例えば、非パレイルシード(糖球)を活性物質およびポリマー結合剤でコーティングし、または活性物質の粒子を形成するための顆粒化および/または押し出し/球形化によって活性物質を含有する粒子を調製し、(ii)前記活性物質の粒子を可塑化腸溶コーティングで被覆し、可塑化腸溶コーティング活性物質粒子を形成し、(iii)前記可塑化腸溶コーティング活性物質粒子を水不溶性ポリマーと腸溶性ポリマーとの混合物でコーティングすることによって調製することができる。放出特性は、(ii)と(iii)を交換することによって調節することができる。前述のように、前記粒子からの遅延時間および活性物質放出プロファイルをさらに調整するために、(ii)と(iii)の間で前記膜に有機酸を添加することができる。
【0234】
一実施形態では、前記製剤は、経口投与の数時間後に前記活性物質の時間制御パルス放出を提供するために、または特定の吸収部位を標的とするために、単一形態の微粒子を使用してもよい。一実施形態では、多層コーティング活性物質含有粒子を組み込む剤形を、例えばゼラチン(ハードゼラチンまたはソフトゼラチンのいずれか)カプセルなどの即時放出用の量の活性物質とともに複合剤形製剤に混合する。この実施形態は、活性物質の即時放出部分と時間制御パルス放出部分との両方を有する複合剤形を提供する。
【0235】
選択的な即時放出部分およびコーティングされたコアの活性物質は、それぞれ約10mg、20mg、40mg、80mgなどの活性物質を含むことができ、本発明のコーティングされたコア剤形は約10~800mgの活性物質を含むことができる。
【0236】
一実施形態では、遅延持続放出剤形が使用される。
【0237】
一実施形態では、剤形は、活性物質の少なくとも二峰性の血液プロファイル、例えば
図2に示すプロファイルを提供することができる。この実施形態では、前記剤形は、即時放出のための少なくとも第一の量の活性物質、および遅延持続放出のための第二の量の活性物質を含む。例えば、活性物質の第一の部分は、投与後最初の1時間の間に本発明の剤形から直ちに放出される。実質的に活性物質が放出されず、および/または循環に入ることができ、および/または投与された活性物質の第二の部分から生物学的に利用可能である経過時間がある。その後、例えばさらに数時間経過した後、追加の活性物質が放出され、この第二の部分の放出は長期間、例えば最初の投与後12時間まで、さらにはより長い期間にわたって起こる。この第二の部分の放出は典型的には活性物質が放出されない遅滞時間後に起こるため、ある量の活性物質の放出開始前に遅延を示すことがあるそのような剤形は遅延持続放出剤形と呼ばれる。そのような剤形は単独で投与することができ、または他の剤形と組み合わせて投与することができる。
【0238】
投与後最初の1時間の即時放出後に生物学的に利用可能である活性物質の量に対応する血中濃度で、活性物質の血中濃度が上昇することが望ましい。しばらくすると、血中活性物質のレベルは、望ましいレベルまたは治療レベルより低くなる。活性物質の第二の部分は、活性物質の即時放出部分が放出された後に循環系に入ることができる。実施形態では、活性物質の血中濃度が低下し始めた後、前記製剤は、活性物質の第二の用量を投与する必要なしに、血中濃度を所望の濃度以上に上昇および/または維持することが望ましい。
【0239】
以下の例は一実施形態を例示する。活性物質の最初の即時放出部分は初期薬物動態プロファイルを有する。充填剤、賦形剤などが最終重量パーセントを占めることができる。
【0240】
遅延持続放出または持続放出のための製剤は以下のとおりである。各持続放出組成物は、4時間~12時間、典型的には6~12時間にわたって活性物質を放出するように製剤化された活性物質の量を含む。
【0241】
マンニトールなどのポリアルコール、POLYOX(登録商標)などの凝固剤、ステアリン酸などの凝固剤および潤滑剤を添加して、遅延持続放出活性製剤を提供することができる顆粒を得る。カプレット、錠剤、または遅延放出製剤の他の剤形は、カプセル化手順を含む本分野において公知の手順を使用して調製される。そのような剤形は、それ以上ではなく、典型的には徐放性の血液プロファイルを示し、すなわち剤形は典型的には摂取後すぐに活性物質を放出し、経時的に活性物質を放出し続ける。これらの組成物はまた剤形に製剤化することができ、摂取後数時間から12時間までの期間にわたって活性物質を放出する持続放出プロファイルを示すことができる。
【0242】
一実施形態では、前記組成物から形成される剤形は、その後の加工用に錠剤を密封するために選択的にベースコートとすることができる。シーラーとしては、例えば、HPMC、(ポリ)エチレングリコール(PEG)などが挙げられる。
【0243】
一実施形態では、剤形は、後に説明され
図16に示されるように、1つまたは複数のポリマー材料の1つまたは複数のバンドで帯状にされる。ポリマー材料の1つまたは複数の周方向または他の種類のバンド、例えば、分散期間中に最小限にしか侵されないか、または侵食または劣化しない比較的不溶性のポリマー材料が使用される。典型的な不溶性ポリマーとしては、前述の水不溶性ポリマーが挙げられる。バンドの数、バンド間の位置または間隔、およびバンドの厚さは、活性物質の放出速度を制御することができる。例えば、複数のバンドが使用される場合、バンド間に0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、または3.0mmのスペースが存在し得る。例えば、各バンドは、0.5mm、1.0mm、1.5mm、または2.0mm幅であり得、約0.1ミクロン~100ミクロン、または0.1ミクロン~50ミクロン、または0.1ミクロン~20ミクロンの厚さを有し得る。
図16に示すように、一実施形態では、カプレットは2つの周方向ポリマーバンドを有し、各バンド20および30は約1mmの幅および約2mmの間隔40を有する。バンド製剤は活性物質の放出を遅らせ、前記活性物質が放出され及び/又は循環系に入ることができる、すなわち生物学的利用可能にされることができる期間を延長する。実施形態では、前記バンドは活性物質の放出の開始を遅らせるので、開始の遅延または遅延放出とも呼ばれる遅延時間が存在し、その間に活性物質は放出されない。開始の遅延は、投与後0時間~4時間であり得、または0時間~3時間であり得、または0.5時間~4時間であり得、または1時間~2時間であり得る。
【0244】
一実施形態では、バンド剤形は、本分野で知られている適切な腸溶コーティング、例えばEUDRAGIT(登録商標)L30D-55およびPEGおよび/またはポリマーで選択的にコーティングすることができ、その例を以下の表に示す。
【0245】
【0246】
前記腸溶性コーティングはまた、他の賦形剤または充填剤、例えばタルク、ラクトース、リン酸二カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤などを含んでもよい。
【0247】
前記バンド剤形は、約2μg/cm2~10μg/cm2、典型的には約7μg/cm2のレベルでコーティングすることができる。前記腸溶性コーティングは、前記剤形の投与後に活性物質が放出されない時間があるように活性物質の開始を遅らせる。典型的には、腸溶性コーティング後、コーティングされたバンド剤形(例えば、腸溶性コーティングされたバンドカプレット)からの活性物質の開始遅延は、0.5時間~4時間、典型的には1時間~2時間であり得る。
【0248】
一実施形態では、本分野で知られている方法を使用して前述の即時放出用量の活性物質を腸溶性コーティングバンドカプレットと組み合わせて、単一の複合剤形、例えば単一のゼラチンカプセルを製造する。前記製剤は、特定の所望の血液プロファイルを提供するように調整することができる。
【0249】
実施形態では、前記組成物は少なくとも以下に記載される即時放出製剤および持続放出製剤を含む。持続放出製剤は、典型的には活性物質の遅延した開始を示さない。持続放出製剤は通常、投与後に剤形から薬物が生物学的に利用可能にならないような有意な期間を示さない。
【0250】
一実施形態では、錠剤カプセルは、摂取または投与時に即時放出するように製剤化された錠剤形態の活性物質の第一の部分と、持続放出するように製剤化された錠剤形態の少なくとも活性物質の第二の部分とを含有するカプセルであり、すなわち、前記第二の部分は摂取後6~12時間まで活性物質の量を放出し続ける。前記活性物質の少なくとも15%~50%は即時放出製剤であり、錠剤形態であり、即時放出に適している。前記錠剤カプセルの残りの部分は、重量で、活性物質の持続放出製剤または活性物質の持続放出製剤の一部を含み得る。活性物質の即時放出製剤を含有する前記錠剤、および活性物質の持続放出製剤を含有する前記錠剤は、本分野で知られた方法を用いて、単一の剤形、例えば、ゼラチンカプセルに混合されてもよい。
【0251】
一実施形態では、造粒カプレットは、即時放出用に製剤化された活性物質の顆粒の第一の部分と、持続放出用に製剤化された錠剤形態の活性物質の少なくとも第二の部分とを含むカプセルまたはカプレットである。少なくとも15%~50%の活性物質が即時放出製剤であり、錠剤に対して顆粒中に存在し得る。一実施形態では、造粒カプセルの少なくとも約80%は、典型的には別のカプレットに含まれる粒状形態の即時放出用の活性物質の組成物を含む。前記造粒カプレットの残りの部分は、重量で、活性物質の持続放出製剤を含み得るか、または前記造粒カプレットは、活性物質の持続放出製剤の一部を含み得る。活性物質の即時放出製剤を含有するカプレット、および活性物質の持続放出製剤を含有するカプレットは、本分野で知られた方法を用いて、単一の剤形、例えば、ゼラチンカプセルに混合されてもよい。
【0252】
一実施形態では、層状錠剤は、即時放出用に製剤化された活性物質を有する2またはそれ以上の層と、持続放出用に製剤化された活性物質の層とを有する錠剤を含む。前記層状錠剤は、摂取時に即時放出する量の活性物質、および層状錠剤を摂取した後6時間~12時間までの間に活性物質の量を即時に提供することができる活性物質の少なくとも第二の部分を含む。少なくとも15%~50%の活性物質が即時放出製剤である。一実施形態において、前記層状錠剤の少なくとも約80%は即時放出用の活性物質の組成物を含む。前記層状錠剤の残りの部分は、重量で、活性物質の持続放出製剤を含んでもよく、または活性物質の持続放出製剤の一部を含んでもよい。前記製剤は例えば錠剤圧縮などの従来の方法で組み合わせることができ、その結果、その加工後に、最終的な錠剤化剤形は、少なくとも第一層が活性物質の即時放出製剤を含有し、第二層が活性物質の持続放出製剤を含有する2またはそれ以上の層を有する。
【0253】
一実施形態では、前記活性物質の100%は即時放出剤形であり、持続放出に適した剤形とは組み合わされない。前記活性物質は、脂質ベースの製剤、例えば上記のような油性または脂質系に分散させることができる。
【0254】
一実施形態では、前記活性物質は、持続放出組成物の少なくとも20重量%~30重量%、30重量%~60重量%、または70重量%であり、組成物の残りの重量は例えば、充填剤、潤滑剤、ポリマーなどの賦形剤である。前記ポリマーは、一実施形態では持続放出組成物の5重量%~20重量%、一実施形態では持続放出組成物の7重量%~10重量%、および一実施形態では持続放出組成物の10重量%~16.5重量%で存在することができる。一実施形態では、前記ポリマーは例えばMETHOCEL(商標)K4Mなどのセルロース系ポリマーであり、約10重量%で存在する。前記持続放出製剤は、直接圧縮または湿式造粒によって調製することができる。
【0255】
前記製剤は錠剤に圧縮されてもよく、または食品と直接混合されてもよい。そのような組成物は少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。前記組成物および調製物の割合は、例えば単位の重量の約2%~約60%まで変動し得る。
【0256】
賦形剤には、これらに限定されるものではないが、1つまたは複数の薬学的に許容される不活性希釈剤;吸収可能な食用担体;結合剤および潤滑剤を含む他の成分も前記剤形の溶解プロファイルに影響を及ぼし得ることを当業者は理解していることに留意して、例えば変性セルロース誘導体、変性デンプン誘導体などの崩壊を促進するための崩壊剤;ハードまたはソフトシェルゼラチンカプセル;リン酸二カルシウム;トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;スクロース、ラクトース、サッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、ウィンターグリーンオイル、チェリーフレーバーなどの香料;イオン性、非イオン性、および/または胆汁酸塩界面活性剤などの1またはそれ以上の界面活性剤、アルキル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)を含むアニオン性界面活性剤およびドキュセートナトリウムなどのスルホコハク酸誘導体、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80、TWEEN(登録商標)40、SPAN(登録商標)20などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)を含む非イオン性界面活性剤、GELUCIRE(登録商標)44/14、GELUCIRE(登録商標)50/13、飽和ポリグリコール化(モノ、ジまたはトリを含む)グリセリドなどのポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、モノカプリル酸グリセリル(IMWITOR(登録商標)308)、モノカプロン酸グリセリル(CAPMUL(登録商標)MCM C-8)、カプリル酸/カプリン酸グリセリル(CAPMUL(登録商標)MCM)、ポリオキシエチレングリセリルカプリレート、およびポリオキシエチレングリセリルカプロレート(LABRASOL(登録商標))などの中鎖モノグリセリド(6~10炭素)、グリセリルトリカプレートおよびグリセリルトリカリレート(MIGLYOL(登録商標)612)などの中鎖脂肪酸エステル、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックポリマー、ポロキサマー188(PLURONIC(登録商標)F-68)、ポロキサマー237(PLURONIC(登録商標)F-87)、ポロキサマー338(PLURONIC(登録商標)F-108)、ポロキサマー407(PLURONIC(登録商標)F-127)、ポロキサマー124(PLURONIC(登録商標)L-44)などのポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシステアレート-ポリエトキシル化(40)ステアリン酸(MYRJ(商標)52)、エトキシル化ヒマシ油-ポリエトキシル化(60)水素化ヒマシ油(CREMOPHOR(登録商標)EL)、エトキシ化ヒドロステアリン酸ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアレート(SOLUTOL(登録商標)HS15)、ポリオキシ20セトステアリルエーテル(ATLAS(商標)G-3713)、ポリオキシ10オレイルエーテル(BRIJ(商標)96、BRIJ(商標)97、Oleth 10)、ポリエチレングリコールエーテル(TRITON(商標)X-100、TRITON(商標)X-114、TRITON(商標)X-405、TRITON(商標)N-101)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル(12~18炭素)、およびリン脂質(ジミリストイルDL-アルファ-ホスファチジルコリン)などのレシチン、デオキシコール酸、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸、タウロコール酸ナトリウムを含む胆汁酸塩界面活性剤などが含まれる。カプセル剤形は液体担体も含み得る。他の材料がコーティングとして存在してもよく、あるいは前記剤形の物理的形態を変更するために存在してもよく、例えば錠剤、ピル、またはカプセルはシェラックおよび/または糖でコーティングされてもよい。シロップまたはエリキシルは、前記活性物質、甘味剤としてのスクロース、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、染料、ならびに香料を含み得る。
【0257】
実施形態では、他の活性物質が製剤に含まれていてもよい。
【0258】
一実施形態では、前記剤形は、脂質、界面活性剤、および溶媒を有する賦形剤を含有する液体充填ソフトゲルカプセルである。前記カプセルは、即時放出、遅延放出、持続放出、または制御放出のための製剤を含み得る。
【0259】
前記製剤は、1つ以上の脂肪酸などの賦形剤を含有してもよい。この方法は、1つ以上の脂肪酸、共役脂肪酸、高いHLB値を有する(半)固体界面活性剤、および/または親水性ポリマー中に水難溶性活性剤を溶解、溶融、または懸濁することを含む。適切な脂肪酸には、C10~C18脂肪酸、好ましくはC16~C18脂肪酸が含まれる。適切な共役脂肪酸としては、グリセロール(例えば、モノグリセリド)、単糖類、および/またはポリエチレングリコール(PEG)と共役したC10~C18脂肪酸、好ましくはC16~C18脂肪酸が挙げられる。適切な親水性ポリマーとしては、ポロキソマーおよびポロキサミンが挙げられる。
【0260】
適切な脂肪酸としては、C10~C18脂肪酸、より好ましくはC16~C18脂肪酸が挙げられる。例示的な脂肪酸としては、これらに限られるものではないが、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マーガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、ヘプタコサン酸(カルボセリン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)、トリアコンタン酸(メリシン酸)、ドトリアコンタン酸(ラセロイン酸)、トリトリアコンタン酸(セロメリシン酸)、テトラトリアコンタン酸(ゲダ酸)、およびペンタトリアコンタン酸(セロプラスチン酸)が含まれる。前記脂肪酸は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0261】
油、例えば、大豆油のような植物油は、単独でまたは上記のコーティング材料と組み合わせて使用することができる。大豆油は、14.4%の飽和脂肪酸、23.3%のオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸、ならびに57.9%のリノール酸およびアルファリノール酸などの多価不飽和脂肪酸を含有する。
【0262】
一実施形態では、前記脂肪酸は、グリセロール、ソルビトールまたはソルビタンなどの単糖、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンオキシド、あるいはそれらの組み合わせに共有結合している。これらの材料は共役脂肪酸と呼ばれる。適切な共役脂肪酸としては、これらに限定されるものではないが、商標名GELUCIRE(登録商標)で市販されているものなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタンモノステアレートなどの脂肪酸のソルビタンエステル、グリセロールベヘネートおよびグリセリルモノステアレート、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0263】
脂肪酸の濃度範囲は、前記組成物の約1~約20重量%である。前記組成物(微粒子および担体)の約5~約15重量%、好ましくは1~約20重量%である。
【0264】
水不溶性活性剤は、単独で、または1つ以上の脂肪酸もしくは共役脂肪酸および/または1つ以上の親水性ポリマーと組み合わせて、1つ以上の界面活性剤でコーティングすることができる。一実施形態では、前記界面活性剤は、約10より大きい、約12より大きい、約14より大きい、または約16より大きい(1~18のスケールで)HLB値を有する。所望のHLBを有する界面活性剤は本分野で公知である。前記界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、または非イオン性であり得る。一実施形態では、前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。
【0265】
そのような界面活性剤の例としては、これらに限られるものではないが、ポリソルベート20、40、および80(TWEEN(登録商標)の名称で市販されている)、ポリオキシエチレンモノステアレート、スクロースモノラウレートなどのいくつかの糖エステル、エトキシル化ノニルフェノール、アルファオレフィンスルホネート、エトキシル化獣脂アミン、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、エトキシル化大豆アミン、脂肪酸およびアルコール、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびポリオキシエチレンステアレートが挙げられる。
【0266】
一実施形態では、前記界面活性剤は、脂肪酸鎖を含有する高HLB界面活性剤である。適切な界面活性剤としては、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびポリオキシエチレンステアレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0267】
ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体は、主に、30~50分子のエチレンオキシドでエトキシル化されたリシノレイルグリセロールを含む。ポリソルベートまたはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトールおよびその無水物1モルに対して、約20、5または4モルのエチレンオキシドと共重合した、ソルビトールおよびその無水物の一連の部分脂肪酸エステルである。得られる生成物は広範囲の分子量を有する分子の混合物である。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、ラウリル、ミリスチル、セチル、およびステアリルアルコールなどの直鎖脂肪アルコール(n-アルコール)の一連のポリオキシエチレングリコールエーテルである。ポリオキシエチレンステアレートはステアリン酸のポリエトキシル化により製造される。
【0268】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、前記界面活性剤の親水性部分はインビトロまたはインビボで活性剤と水性溶解媒体との適合性を高め、脂肪酸側鎖は脂肪酸酸化を介した吸収を高めると考えられる。脂肪酸酸化の間、細胞内Ca2+が消費され、それがギャップ結合の拡大をもたらし、細胞間の前記活性剤の通過を可能にする。さらに、そのようなコーティング粒子は、例えば前記活性剤の酸化を防止することによって、薬物単独よりも安定であり得る。
【0269】
前記界面活性剤の濃度は、前記組成物(微粒子および担体)の約1~約50重量%、好ましくは約5~約15重量%である。
【0270】
適切な親水性ポリマーとしては、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系材料、およびポリペプチドが挙げられる。
【0271】
前記親水性ポリマーの濃度は、前記組成物の約1~約50重量%、より好ましくは前記組成物の約5~約15重量%である。前記親水性ポリマーがポリエチレングリコールである場合、濃度は前記組成物の約1~約80重量%、約30~約60重量%、約35~約60重量%、または前記組成物(微粒子および担体)の約40~約60重量%である。
【0272】
一実施形態では、前記微粒子は、薬物とコーティング材料との混合物を薬学的に許容される担体に添加することによって形成される。一実施形態では、前記担体は親水性または親油性の担体である。得られた粒子は前記担体に懸濁している。前記担体は単一成分または成分の混合物であり得る。前記担体は、溶媒、界面活性剤、または他の賦形剤を含み得る。前記担体材料は、前記微粒子からの薬物の放出速度および/または薬物の溶解速度を変更または修正することができる。前記組成物は、前記微粒子の制御放出特性および前記担体の制御放出特性のために二相性放出プロファイルを示し得る。前記担体材料の定性的および定量的組成を変えることにより、前記活性剤の放出プロファイルを調節することが可能になる。前記担体は、前記活性剤の放出を調節する1つ以上の速度制御賦形剤を含み得る。例示的な速度制御賦形剤には、ベヘン酸グリセリル、GELUCIRE(登録商標)、Cremophor、水素化植物油、蜜ろう、ヒプロメロースなどのセルロース系ポリマー、アルギネート、CARBOPOL(登録商標)、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限られるものではない。
【0273】
一実施形態では、前記担体は、約10より大きい、約12より大きい、約14より大きい、または約16より大きいHLB値を有する界面活性剤を含有する親水性担体であり、および/または水溶性である。例示的な親水性担体としては、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン32ラウリングリセリド(商品名ACCONON(登録商標)M-44でAbitechから入手可能)、ポリオキシエチレン8カプリル酸/カプリン酸グリセリド(商品名ACCONON(登録商標)MC-8でAbitechから入手可能)、グリコフロールが挙げられるが、これらに限られるものではない。親水性ビヒクルは、グリセリン、エタノール、グリコフロール、およびカプリロカプロイルマクロゴール-8(フランス、セントプリストのGattefosse S.A.から商品名LABRASOL(登録商標)で入手可能)のような1またはそれ以上の混和性溶媒をさらに含み得る。
【0274】
一実施形態では、前記親水性担体は水またはアルコールである。別の実施形態では、前記担体は、ポリエチレングリコール、および選択的に1つまたは複数の界面活性剤および/または水を含有する親水性担体混合物である。特定の実施形態では、前記親水性担体は、PEG400(例えば、組成物の57重量%)、水(例えば、組成物の8重量%)、およびTWEEN(登録商標)20(例えば、組成物の10重量%)の混合物である。前記親水性担体は、CREMOPHOR(登録商標)RH40も含有することができる。前記親水性担体の濃度は、一般に、前記組成物(微粒子および担体)の約50重量%~約85重量%、好ましくは前記組成物の約70~約80重量%である。
【0275】
他の実施形態では、前記担体は親油性担体である。好ましい実施形態では、前記親油性担体は約10未満のHLB値を有し、および/または油溶性である。例示的な親油性の油性ビヒクルとしては、植物油、中鎖モノ-、ジ-、およびトリグリセリド、グリセリルステアレート(商品名IMWITOR(登録商標)でSasolから入手可能)、ポリオキシエチル化オレイングリセリド(フランス、セントプリストのGattefosse、SAから商品名LABRAFIL(登録商標)として入手可能)、鉱油、モノオレイン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、およびモノラウリン酸プロピレングリコール(オハイオ州コロンバスのAbitec Corp.から商品名CAPMUL(登録商標)として入手可能)などのモノ-およびジグリセリド乳化剤、およびシメチコンなどのジメチルポリシロキサンが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0276】
前記親油性担体の濃度は、一般に前記組成物(微粒子および担体)の約10重量%~約50重量%、好ましくは前記組成物の約5~約35重量%である。
【0277】
前記組成物は、安全かつ有効であると考えられ、望ましくない生物学的副作用または望ましくない相互作用を引き起こすことなく個体に投与され得る1またはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。例示的な添加剤としては、溶媒、懸濁剤、分散剤、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、保存料、抗菌剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0278】
本明細書に記載の組成物に含めるのに適した添加剤としては、酸化防止剤(例えば、ビタミンEアセテート、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、およびブチル化ヒドロキシトルエンなどのα-トコフェロール)、極性溶媒(例えば、水、プロピレングリコール、およびグリセリン)、疎水性溶媒(例えば、コーン油、ヒマシ油、大豆油、オリーブ油、魚油、落花生油、ペパーミント油、ベニバナ油、ゴマ油、中鎖トリグリセリド、カプリル酸トリグリセリド、ココナッツオイルまたはヤシ油由来のカプリン酸トリグリセリド)、および増粘剤(例えば、ゼラチン、グリセリン、カラギーナン、コロイド状二酸化ケイ素、水素化植物油、ポビドン、およびアルギン酸プロピレングリコール)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0279】
本明細書に記載の微粒子組成物は、一般に経口または非経口投与用に製剤化される。適切な経口剤形には、ハードまたはソフトのゼラチンまたは非ゼラチンカプセルなどのカプセル、または経口懸濁剤、またはシロップが含まれる。適切な非経口製剤は懸濁液を含む。
【0280】
一実施形態では、微粒子組成物(親水性または親油性担体に懸濁された微粒子)は、ハードまたはソフトカプセルなどのカプセルに封入される。前記カプセルは、天然および/または合成のフィルム形成ポリマーから調製することができる。適切な天然フィルム形成材料は、ゼラチンを含むがこれに限定されない。非ゼラチンカプセルは、カラギーナン、シェラック、アルギネート、ペクチン、およびゼインから製造されたカプセルを含むが、これらに限定されない。適切な合成フィルム形成ポリマーとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、およびポリ(メタ)アクリレートなどのアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0281】
前記組成物は腸溶性カプセルにカプセル化することもでき、その場合、前記カプセルは腸溶性コーティングでコーティングされるか、またはカプセルシェルはBanner Pharmacaps、IncによるWO2004/030658に記載されているような腸溶性ポリマーを含む。
【0282】
ハードシェルカプセルは、典型的には、2つのカプセル半体を形成し、一方の半体を充填溶液で充填し、次いで前記カプセル半体を一緒に密封して完成カプセルを形成することによって調製される。ソフトゼラチンカプセルは、典型的には回転ダイ封入法を用いて調製される。そのような方法は本分野において公知である。
【0283】
カプセルシェルは1またはそれ以上の添加剤を含有することができる。適切なシェル添加剤としては、可塑剤、乳白剤、着色剤、保湿剤、防腐剤、香味剤、ならびに緩衝塩および酸、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0284】
可塑剤は、材料をより柔らかく、より柔軟にするためにゼラチンに添加される化学薬品である。適切な可塑剤としては、グリセリン、ソルビトールとソルビタンの混合物であるソルビトール溶液、およびプロピレングリコールおよびマルチトールなどの他の多価アルコール、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0285】
カプセル化される活性剤が感光性である場合、乳白剤はカプセルシェルを不透明化するために使用される。適切な乳白剤としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0286】
着色剤は、マーケティングおよび製品の識別/区別の目的で使用することができる。適切な着色剤としては、合成染料および天然染料、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0287】
湿潤剤は、前記ソフトゲルの水分活性を抑制するために使用することができる。適切な保湿剤としては、グリセリンおよびソルビトールが挙げられ、これらは可塑剤組成物の成分であることが多い。乾燥した、適切に保存されたソフトゲルの低い水分活性のために、微生物からの最大の危険はカビおよび酵母から来る。このため、防腐剤を前記カプセルシェルに組み込むことができる。適切な防腐剤としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、およびヘプチルエステル(集合的に「パラベン」として知られる)などのp-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルまたはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0288】
香味料を使用して、不快な臭いおよび充填製剤の味を隠すことができる。適切な香味料は合成および天然香味料を含む。ゼラチンを架橋することができるアルデヒドの存在により、香味料の使用は問題となり得る。結果として、緩衝塩および酸を、ゼラチンの架橋を抑制するためにアルデヒドを含有する香味料と共に使用することができる。
【0289】
中鎖トリグリセリドもまた使用され得る。本明細書中で使用される場合、「中鎖トリグリセリド」は、グリセロールと3つの脂肪酸とのエステル化を介して形成されるC6~C12エステル鎖を意味する。中鎖トリグリセリドには様々な供給源があり、例えば、ココナッツオイル、パーム核油などがある。分画ココナッツオイルは、中鎖トリグリセリドに対して最も一般的に使用される供給源である。市販の中鎖トリグリセリドの例には、Sasol Germany GMBHにより製造されたMIGLYOL(登録商標)810、812、または881、Abitec Corporationにより製造されたCAPTEX(登録商標)300、355、または810D、Stepan CompanyによるNEOBEE(登録商標)M5、Croda Incにより製造されたCRODAMOL(登録商標)GTC/C、およびGattesfosse Groupによって製造されるLABRAFAC(登録商標)Lipophile WL 1349が含まれる。例示的な一実施形態では、中鎖トリグリセリドは、カプリル酸(C8)/カプリン酸(C10)のトリグリセリドであるCAPTEX(登録商標)355を含み得る。
【0290】
様々な量の中鎖トリグリセリドを医薬製剤に含めることができる。一以上の実施態様において、前記医薬製剤は、約50~約95重量%の中鎖トリグリセリド、または約85~約95重量%の中鎖トリグリセリドを含み得る。さらに、例示的な実施形態では、前記医薬製剤は、約100~約300mg、または約200~300mgの重量の中鎖トリグリセリド、または約225~275mgの重量の中鎖トリグリセリド、または約250mg重量の中鎖トリグリセリドを含み得る。
【0291】
中鎖トリグリセリドと同様に、「中鎖モノグリセリド」および「中鎖ジグリセリド」は、それぞれ、グリセロールと1つの脂肪酸または2つの脂肪酸とのエステル化を介して形成されるC6~C12エステル鎖である。市販の中鎖モノ/ジグリセリドの例は、Abitecによって製造されるCAPMUL(登録商標)製品を含み得る。中鎖トリグリセリドも含む中鎖モノ/ジグリセリド化合物、例えばSasolによって製造される市販のIMWITOR(登録商標)組成物を使用することも考えられる。
【0292】
例示的な実施形態において、中鎖モノ/ジグリセリドは、カプリル(C8)/カプリン(C10)酸の中鎖モノ/ジグリセリドを含むCAPMUL(登録商標)MCMを含み得る。CAPMUL(登録商標)MCM製品ラインの全ての等級、例えば、全国処方(NF)等級またはCAPMUL(登録商標)MCM EPは本発明での使用に適しているが、3%グリセロールを含むためEP等級に使用することが望ましく、NF等級は7%グリセロールを含む。
【0293】
一以上の実施態様によれば、前記医薬製剤は、約5重量%~約25重量%の中鎖モノ/ジグリセリド、または約5重量%~約15重量%の中鎖モノ/ジグリセリドを含み得る。例示的な実施形態において、前記医薬製剤は、約20mg~50mgの重量の中鎖モノ/ジグリセリド、または約25mg~30mgの重量の中鎖モノ/ジグリセリド、または約25mgの重量の中鎖モノ/ジグリセリドを含み得る。
【0294】
理論に縛られることなく、中鎖トリグリセリドと中鎖モノ/ジグリセリドとの混合物は、液体充填ハードゲルカプセル製剤内の活性物質のバイオアベイラビリティにとって重要である。ソフトゲルカプセルは中鎖モノ/ジグリセリドのみを含み得るが、中鎖モノ/ジグリセリドのみを含むハードゼラチンカプセルは完成した剤形の必要な物理的安定性を提供することができない。ハードゼラチンカプセル内の中鎖トリグリセリドおよび中鎖モノ/ジグリセリドの混合物は、前記活性物質の所望の製品安定性、溶解性、およびバイオアベイラビリティを達成することができる。結果として、中鎖トリグリセリド対中鎖モノ/ジグリセリドの重量比は、前記混合物を前記カプセルに添加する前後の非乳化混合物内の前記活性物質の溶解性および安定性を促進する。中鎖トリグリセリドおよび中鎖モノ/ジグリセリドは、約10:1~約5:1、または約10:1~約7:1の重量比で存在してもよい。
【0295】
本発明は、当業者に公知の他の賦形剤を含み得る。例えば、経口組成物中の賦形剤は、希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、香味剤、着色剤、安定剤、流動促進剤、可塑剤、防腐剤、甘味料などから選択され得る。
【0296】
希釈剤としては、任意の長鎖トリグリセリド、落花生油、アーモンド油、落花生油、パーム油、パーム核油、クロフサスグリオイル、米ぬか油、ダイズ油、キャノーラ油、コーン油、ココナッツオイル、綿実油、ヒマシ油、オリーブオイル、リン油(ニーム)、ゴマ油、プリムローズ油、植物油、LIPEX(登録商標)108(アビテック)、小麦胚芽油、魚油、菜種油、ひまわり油、およびサフラン油などの液体希釈剤が挙げられ得る。別の実施形態では、他の希釈剤、例えば、カルシウム-ケイ酸アルミニウム(SIPERNAT(登録商標)106PQ)、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、微結晶ケイ化セルロース、粉末セルロース、デキストレート、デキストロース、フルクトース、ラクチトール、無水ラクトース、ラクトース一水和物、ラクトース二水和物、ラクトース三水和物、マンニトールソルビトール、デンプン、プレゼラチン化デンプン、スクロース、タルク、キシリトール、マルトースマルトデキストリン、マルチトール、シリコン二酸化物、HPMC、およびそれらの組み合わせなどを使用することができるが、これらに限られるものではない。
【0297】
前記製剤には、投与経路、製剤の種類、活性物質の非活性成分の放出、安定性、スケールアップ、活性物質の新規調製方法、新規製剤化方法が含まれる。
【0298】
インビボ性能評価は、Tmax、CmaxなどのpK/pD、血漿濃度曲線、有効性、副作用などの薬物動態学的データを含む。
【0299】
前記活性物質は、前記活性物質のすべての形態を含み、トリメチル形態以外に、中間体、代謝産物、エナンチオマー、多形体、結晶構造、水和物、立体異性体、塩、塩基、錯体、担体、および誘導体および共役体を含むが、これらに限定されない。
【0300】
他の放出プロファイルとしては、制御性、腸溶性、持続性、速効性、多相性などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0301】
フロログルシノールおよびトリメチルフロログルシノールの本発明の製剤の他の既知のおよび決定されるべき用途は、本発明に包含される。
【0302】
態様:
態様1:フロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールの製剤と少なくとも1つの賦形剤とを有する医薬組成物であって、フロログルシノールまたはトリメチルフロログルシノールの少なくとも1つが即時放出(IR)製剤および持続放出製剤の両方である医薬組成物。
【0303】
態様2:100%フロログルシノールを有する態様1に記載の組成物。
【0304】
態様3:100%トリメチルフロログルシノールを有する態様1に記載の組成物。
【0305】
態様4:フロログルシノール:トリメチルフロログルシノールを90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、および10:90からなる群から選択される比率で有する態様1に記載の組成物。
【0306】
態様5:フロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールの剤形であって、即時放出(IR)部分の用量と持続放出(XR)部分の用量とを含む剤形。
【0307】
態様6:前記IR部分が1時間未満で100%の前記用量を送達する態様5に記載の剤形。
【0308】
態様7:前記XR部分が12時間にわたって前記用量を送達する態様5に記載の剤形。
【0309】
態様8:以下からなる群から選択される態様5に記載の剤形:
IR層およびXR層を含む二層錠剤、
IR層と、XR層と、前記IR層とXR層との間の緩衝層とを含む三層錠剤、
マトリックス層にPGまたはTMPを含み、かつPGまたはTMPがIR層でコーティングされたXR錠剤、
12時間にわたって薬物を送達する浸透圧システム内にIR錠剤、プラグ、およびXR錠剤を含むカプセル、
IRビーズとXRビーズを適切な比率で混合して含むカプセル、
IRミニ錠剤とXRミニ錠剤とを混合して含むカプセル、
持続放出ポリマーでコーティングされたIRおよびXR顆粒を含むカプセル、
トップコートとしてIR層でコーティングされた被覆XRビーズを含むカプセル。
IR顆粒および錠剤内に埋め込まれた被覆XRビーズを含む圧縮錠剤、
IR錠剤内に埋め込まれたXR錠剤を含む圧縮錠剤、
カプセル内の液剤溶液に懸濁されたXR錠剤、
IRおよびXRの顆粒またはビーズの混合物を含む小袋、
発泡性IR顆粒と被覆XR顆粒との混合物を含む小袋、
被覆された遅延/持続放出薬物粒子、ビーズ、または顆粒を含む口腔内崩壊錠剤、
薬物溶液と、被覆された遅延/持続放出薬物粒子、ビーズ、または顆粒とを含むカプセル、
薬物溶液と、被覆された遅延/持続放出薬物粒子、ビーズ、または顆粒とを含むソフトゲル、
液体ビヒクルでコーティングされた遅延/持続放出薬物粒子、ビーズ、または顆粒。
【0310】
態様9:第一の複数の第一の活性物質ビーズおよび第二の複数の第二の活性物質ビーズを有する医薬製剤であって、前記製剤は、前記製剤を経口投与される患者に対して、前記第一の活性物質および前記第二の活性物質のそれぞれの本質的に同時送達の二重パルスを提供する、医薬製剤。
【0311】
態様10:1またはそれ以上の活性な塩を送達するための医薬組成物であって、
(a)即時放出コーティングで被覆された1またはそれ以上の薬学的に活性な塩と、
(b)遅延パルス腸溶性放出を提供する腸溶性放出コーティングで被覆された1またはそれ以上の薬学的に活性な塩であって、前記腸溶性放出コーティングは、前記腸溶性コーティングで被覆された1またはそれ以上の活性な塩の本質的にすべてを、前記遅延パルス腸溶性放出の開始後約60分以内に放出する、前記薬学的に活性な塩と
を有する、組成物。
【0312】
態様11:患者を治療するのに有効な活性な塩の混合物を送達するための医薬製剤であって、
前記患者に前記製剤を経口投与すると活性物質を即時放出する即時放出剤形と、
前記患者に前記製剤を経口投与すると前記活性物質を遅延放出する遅延腸溶性放出剤形と、
薬学的に許容される担体と
を有する、製剤。
【0313】
態様12:フロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールの脂質ベースの製剤と少なくとも1つの賦形剤とを有する医薬組成物であって、フロログルシノールまたはトリメチルフロログルシノールの少なくとも1つが即時放出(IR)製剤である医薬組成物。
【0314】
態様13:100%フロログルシノールを有する態様12に記載の組成物。
【0315】
態様14:100%トリメチルフロログルシノールを有する態様12に記載の組成物。
【0316】
態様15:フロログルシノール:トリメチルフロログルシノールを90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、および10:90からなる群から選択される比率で有する態様12に記載の組成物。
【0317】
態様16:フロログルシノールおよび/またはトリメチルフロログルシノールの剤形であって、前記剤形は即時放出(IR)製剤を含有する、剤形。
【0318】
以下の実施例は、本開示に記載されている概念のいくつかを説明するために提供される。各実施例は、組成、調製方法、および使用の特定の個々の実施形態を提供すると考えられるが、実施例のいずれも、本明細書に記載される、より一般的な実施形態を限定するものと見なされるべきではない。
【0319】
以下の実施例において、使用された数(例えば、量、温度など)に関して正確さを確実にするための努力がなされたが、いくらかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。特記しない限り、温度は℃であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0320】
実施例
【実施例0321】
フロログルシノールの放出調節製剤の一例を以下に提供する。
【0322】
【0323】
ビーズの製造方法
押出し
フロログルシノールとセルロース微結晶PH200(MCC)との混合物を含有する湿塊を、トップドリブンミキサーを使用して1:1の比で調製した。フロログルシノール500gとMCC500gの混合物を5分間乾式混合した。混合しながら、900mLの水を5分間かけて添加した。前記湿塊を1.0mmスクリーンを通して押し出し、2.0mmクロスハッチプレートを有する球形化装置を用いてビーズに成形した。このビーズをオーブン中65℃で2時間乾燥させた。
【0324】
腸溶性コーティング
前記ビーズを、Wursterカラムを備えた流動床中でAcryl-EZE Clear 93F1925でコーティングした。コーティング溶液を1mmのノズルを通して10g/分の速度で塗布した。約35%の理論上の重量増加を支持するのに十分なコーティング溶液を適用した。コーティングされたビーズおよびコーティングされていないビーズの放出プロファイルは、溶解試験を用いて分析した。例えば
図21は、異なる時点での薬物の放出を示す。
【0325】
以下の参考文献のそれぞれは、その全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0326】
Chang and Robinson, chapter 4: Sustained Drug Release from Tablets and Particles Through Coating, Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, vol. 3, Eds. Lieberman, Lachman, and Schwartz, Marcel Dekker, Inc., 1991.
【0327】
本明細書に示し説明した実施形態は、当業者である発明者の特定の実施形態にすぎず、決して限定的なものではない。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内で本発明の精神から逸脱することなく、それらの実施形態に対する様々な変更、修正、または変形を行うことができる。引用した参考文献は、その全体がその参照により本明細書に明確に組み込まれる。
フロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩をさらに放出する、1つまたはそれ以上のフロログルシノール、トリメチルフロログルシノール、またはそれらの薬学的に許容される塩を有する新規な組成物が必要とされる。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 国際公開第2013/087410号
(非特許文献)
(非特許文献1) "ANNEX I,SUMMARY OF PRODUCT CHARACTERISTICS: SPASFON,coated tablet ED - ANNEX I SUMMARY OF PRODUCT CHARACTERISTICS",21 October 2008 (2008-10-21),page 103-105,Retrieved from the Internet: URL:http://www.legemiddelverket.no/upload/Core%20safety%20profiles/CSP%20phloroglucinol%20200909.PDF
(非特許文献2) ANITA ANNAH?ZI ET AL,"Role of antispasmodics in the treatment of irritable bowel syndrome",WORLD JOURNAL OF GASTROENTEROLOGY,Vol.20,No.20,28 May 2014 (2014-05-28),page 6031-6043