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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116532
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】チップの計測システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20230815BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20230815BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20230815BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230815BHJP
   G06V 20/64 20220101ALI20230815BHJP
   G06V 10/82 20220101ALI20230815BHJP
   G06Q 50/34 20120101ALI20230815BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
A63F1/06 A
G06T7/60 110
G06T7/70 A
G06T7/00 350C
G06V20/64
G06V10/82
G06Q50/34
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086715
(22)【出願日】2023-05-26
(62)【分割の表示】P 2022104820の分割
【原出願日】2016-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2015240631
(32)【優先日】2015-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016030443
(32)【優先日】2016-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】      (修正有)
【課題】遊技テーブルにおける遊技用代用貨幣としてのチップの柄が複雑であるために、遊技テーブル上に賭けられた遊技用代用貨幣としてのチップの総額が、画像解析技術では判定が困難であるという課題が存在した。
【解決手段】本発明の計測システムでは、画像記録装置(300)による画像分析結果を用いて遊技テーブル(4)で賭けられるチップ(120)の総額を計測する管理制御装置(14)を備え、さらに本システムに使用する遊技用代用貨幣としてのチップ(120)は、複数の色の異なるプラスチックの層が積層され、少なくとも中間に着色層を備え、この中間の着色層の両側に白色層もしくは薄色層(図示しないが着色層より色の薄い層であればよい)を積層した多層構造となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記チップを置くための複数の配置エリアが縦方向及び横方向に配置されている遊技テーブルと、
前記配置エリアに置かれた一又は複数のチップからなるチップスタックを斜め上から撮影して第1の画像を生成する第1のカメラと、
前記配置エリアに置かれた一又は複数のチップからなるチップスタックを斜め上から撮影して第2の画像を生成する、前記第1のカメラとは異なる第2のカメラと、
少なくとも部分的にディープラーニング技術を用いて、前記第1の画像及び前記第2の画像を画像認識することで、同一のチップスタックについて、当該チップスタックが置かれた配置エリア、当該チップスタックを構成するチップの枚数、及び当該チップスタックを構成するチップの種類を判定する管理制御装置と、
を備え、
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラの少なくともいずれか一方は、同一の配置エリア又は隣り合う配置エリアに置かれた複数の前記チップスタックを撮影し、かつ、前記第1のカメラと前記第2のカメラとは、同一のチップスタックを異なる方向から撮影可能に設置され、それにより、前記管理制御装置は、前記第1の画像及び前記第2の画像のいずれか一方で、前記チップスタックを構成する一又は複数のチップの一部が死角により見えない場合にも、前記第1の画像及び前記第2の画像の他方に基づいて、前記複数のチップスタックの各々について、前記一部が見えないチップも含めて、前記チップスタックが置かれた配置エリア、当該チップスタックを構成するチップの枚数、及び当該チップスタックを構成するチップの種類を判定可能である、
システム。
【請求項2】
複数の配置エリアは、横方向に設けられた複数のプレイヤポジションの各々について縦方向に設けられたプレイヤエリア、バンカエリアを少なくとも含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の配置エリアのうちの前記隣り合う配置エリアは、1本の線で区切られることで互いに接する配置エリアを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラの少なくともいずれかは、前記遊技テーブルに設けられたポールに設置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラの少なくとも一方は、前記チップスタックの最上位のチップの上面を撮影可能なように設置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラのいずれも、前記チップスタックの最上位のチップの上面を撮影可能なように設置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記管理制御装置は、前記第1の画像及び前記第2の画像において、前記チップの所定の部分を特定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記管理制御装置は、前記チップスタックが置かれた配置エリア、当該チップスタックを構成するチップの枚数、及び当該チップスタックを構成するチップの種類の判定結果に基づいて、前記チップスタックの額を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラの少なくとも一方、又は前記第1のカメラ及び前記第2のカメラとは異なる第3のカメラが、前記遊技テーブルのチップトレイに収容されたチップを撮影する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記管理制御装置は、前記チップトレイに収容されたチップの総額を認識し、ゲームにおけるチップの回収及び償還の後の前記チップトレイのチップの総額の増減額が回収すべき額及び償還すべき額と対応しているか否かを判断する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記管理制御装置は、プレイヤによって置かれたチップスタックの位置、種類、及び枚数、並びにゲーム結果に基づいて、前記回収すべき額及び償還すべき額を決定する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のカメラ及び前記第2のカメラの少なくとも一方は、前記画像を連続して生成することで映像を取得する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記管理制御装置は、不正があった場合に、不正があったシーンを特定可能なように、インデックス又は時刻を付与して前記映像を記録する、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場における遊技用代用貨幣(gaming chips)であるチップの計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技テーブル上に置かれた賭けられた遊技用代用貨幣の枚数や総額を把握するため各遊技用代用貨幣に無線IC(RFID)タグを付けて遊技用代用貨幣の額を把握することが提案されている。
【0003】
特許文献1に記載のカードゲームモニタリングシステムでは、遊技テーブル上に置かれた遊技用代用貨幣が勝敗結果通り回収あるいは償還されたか否かを、遊技用代用貨幣の動きを画像解析することで判定し、不正行為のモニタリングが行われる。
また、カジノなどの遊技場では、賭けられた遊技用代用貨幣としてのチップの枚数や総額を把握するため各遊技用代用貨幣としてのチップにICタグを付けて遊技用代用貨幣としてのチップの額を把握することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/107902号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遊技用代用貨幣としてのチップが嵩高く積み重ねられて遊技テーブルに置かれるが、各チップ内にICタグを装着し、遊技テーブルの下に設けたICタグの読取装置で積み重ねたチップを読むという従来技術においては、チップが重なっていることが原因で総額が正確に読み取れないという問題があり、読取装置の感度を高くすると、異なる位置(位置により勝敗が左右される)に置かれた遊技用代用貨幣としてのチップが、合算されてしまい各位置ごとの遊技用代用貨幣としてのチップの総額が把握できない、という課題が存在する。また、カメラからの撮像では、カメラの視角により死角ができたり、重なりにより影に入って遊技用代用貨幣としてのチップの総額が把握できないという課題がある。
【0006】
カジノなどの遊技場では、遊技用代用貨幣としてのチップが嵩高く積み重ねられて遊技テーブルに置かれるが、遊技テーブルの下に設けたICタグの読取装置では、総額が正確に読み取れないという問題があり、読取装置の感度を高くすると、異なる位置(位置により勝敗が左右される)に置かれた遊技用代用貨幣としてのチップが、合算されてしまい各位置毎の遊技用代用貨幣としてのチップの総額が把握できない、という課題が存在する。本発明は、遊技場でのゲームにおける積み重ねられたチップの総額を計測する新規なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本願発明におけるチップの計測システムは、遊技テーブルで行われるゲームにおいて積み重ねられた所定の厚さの計測対象のチップの状態をカメラにより画像として記録する画像記録装置と、
異なる位置もしくは角度から積み重ねられた計測対象のチップの画像を得る複数の高さ計測用カメラと、
前記複数の高さ計測用カメラを使用して、前記複数の高さ計測用カメラから得られる計測対象のチップへのそれぞれの水平もしくは垂直方向に対するそれぞれの視角と、から前記計測対象のチップの高さを得て前記計測対象のチップの枚数を計算により得るチップ枚数計測装置と、
画像記録装置及びチップ枚数計測装置を制御する管理制御装置と、を有する。
【0008】
さらに、チップ枚数計測装置から得た計測対象のチップの枚数から積み重ねられた計測対象のチップの総額を計算により得るチップ総額計測装置と、
画像記録装置、チップ枚数計測装置に加えてチップ総額計測装置を制御する管理制御装置と、をさらに備えてもよい。
【0009】
チップ枚数計測装置から得た計測対象のチップの枚数と、前記画像記録装置の画像分析結果からそれぞれのチップの種類を識別して積み重ねられた計測対象のチップの総額を計算により得るチップ総額計測装置をさらに備えていてもよい。
【0010】
また、本チップの計測システムは、管理制御装置において、前記画像記録装置を介して各プレーヤが賭ける計測対象のチップの位置、種類および枚数を把握し、各プレーヤの賭けたすべてのチップの総額を把握可能な構成であってもよい。また、前記遊技テーブルのディーラのチップトレイの画像を得るチップトレイ用のカメラをさらに備え、チップトレイ用のカメラの画像から前記チップトレイのチップの総額を把握するチップトレイのチップ計測装置をさらに備えたものでもよい。
【0011】
本願発明は、チップの計測システムであって、前記遊技テーブルにおける毎ゲームの勝敗結果を得る勝敗結果判定装置をさらに備え、前記管理制御装置は、前記勝敗結果判定装置より得られる情報により負けたプレーヤの賭けたチップの位置、種類および枚数から当該ゲームにおける負けたプレーヤの賭けたチップ総額を把握可能な構成であってもよい。
【0012】
さらに前記管理制御装置は、遊技テーブルのディーラのチップトレイにおける計測対象のチップの総額を把握し、各ゲームの清算前の計測対象のチップトレイにおける計測対象のチップの総額から、当該ゲームですべてのプレーヤの賭けた計測対象のチップの位置、種類および枚数と当該勝敗結果判定装置で得た当該ゲームの勝敗結果とから計算される当該ゲームにおける計測対象のチップの増減額を加減算し、当該ゲームの終了時の清算後の前記計測対象のチップトレイにおける計測対象のチップのあるべき総額と、前記画像記録装置を介し得た当該ゲームの終了時の当該計測対象のチップトレイにおける計測対象のチップの現実の総額を比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違算があるか否かを判定するものであってよい。
【0013】
さらに、前記画像記録装置を複数有し、前記チップ総額計測装置は、それぞれの前記画像記録装置のそれぞれ異なる位置もしくは角度から撮影された積み重ねられた計測対象のチップの画像を使用して計測対象のチップの総額を計算する、チップの計測システムであってもよい。
【0014】
また、本チップの計測システムにおける前記計測対象のチップは、
少なくとも着色層と、白色層もしくは薄色層を積層して複数のプラスチックの層からなる積層構造体を構成して側面に積層方向の縞模様を形成し、前記着色層により遊戯用代用貨幣の種類が特定可能な構成を有するとともに、前記積層構造体のさらに上下面には遊戯用代用貨幣の種類を表す印刷層が施され、各層間が熱圧着されて層構造をなす構成であってよい。
【0015】
さらに上記課題を解決するため本願発明におけるチップの計測システムは、
遊技テーブルで行われるゲームにおいて積み重ねられた所定の厚さの計測対象のチップの状態をカメラにより画像として記録する画像記録装置と、
異なる位置もしくは角度から積み重ねられた計測対象のチップの画像を得る複数の高さ計測用カメラと、
前記複数の高さ計測用カメラを使用して、前記複数の高さ計測用カメラから得られる計測対象のチップへのそれぞれの水平もしくは垂直方向に対するそれぞれの視角と、から前記計測対象のチップの高さを得て前記計測対象のチップの枚数を計算により得るチップ枚数計測装置と、
チップ枚数計測装置から得た計測対象のチップの枚数と、前記画像記録装置の画像分析結果から積み重ねられた計測対象のチップの総額を計算により得るチップ総額計測装置と、
画像記録装置、チップ枚数計測装置、およびチップ総額計測装置を制御する管理制御装置と、を有し、
前記計測対象のチップは、
少なくとも着色層と、白色層もしくは薄色層を積層して複数のプラスチックの層からなる積層構造体を構成して側面に積層方向の縞模様を形成し、前記着色層により遊戯用代用貨幣の種類が特定可能な構成を有するとともに、前記積層構造体のさらに上下面には遊戯用代用貨幣の種類を表す印刷層が施され、各層間が熱圧着されて層構造をなす構成である。
【0016】
また、前記計測対象のチップは、複数のプラスチックの層の少なくとも一層で、層中に重量増加用の金属粉末を含有した重い層であってもよい。また、さらに前記着色層を挟んで両側に白色層もしくは薄色層を設け、前記着色層を挟んで設けた白色層または薄色層の上下の層の厚みを相互に異なるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の計測システムによれば、積み重なって置かれたチップの枚数を計測し、賭けられたチップの総額を計算することで、ゲームの勝敗結果に従ったチップの回収および償還が正しく行われたかどうかが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態の遊技用代用貨幣としてのチップの計測システムの全体の概要を示す図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態において把握される遊技用代用貨幣としてのチップの異なる重ね状態の例を示す遊技用代用貨幣としてのチップの斜視図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態における遊技用代用貨幣としてのチップの側面断面図である。
図4A図4Aは、本発明の第1の実施の形態における遊技用代用貨幣としてのチップの別の例を示す図である。
図4B図4Bは、本発明の第1の実施の形態における遊技用代用貨幣としてのチップの別の例を示す図である。
図5図5は、本発明の第1の実施の形態における遊技用代用貨幣としてのチップの平面図である。
図6図6は、本発明の第1の実施の形態における遊技用代用貨幣としてのチップを積上げた状態の斜視図である。
図7図7は、遊技用代用貨幣としてのチップの種類の異なるものを積上げた状態を説明する斜視説明写真図である。
図8A図8Aは、本発明の第1の実施の形態のチップトレイの詳細を示す図である。
図8B図8Bは、本発明の第1の実施の形態のチップトレイの他の例を示す図である。
図9A図9Aは、二段構造のチップトレイとカメラ装置2との関係を示す図であり、二段を重ねた状態を示す図である。
図9B図9Bは、二段構造のチップトレイとカメラ装置2との関係を示す図であり、二段をずらした状態を示す図である。
図10図10は、本発明の第1の実施の形態の遊技用代用貨幣としてのチップの枚数の計測方法を示す図である。
図11図11は、本発明の第1の実施の形態の遊技用代用貨幣としてのチップの枚数の計測方法を示す図である。
図12図12は、本発明の第1の実施の形態の遊技用代用貨幣としてのチップの枚数の計測方法を示す図である。
図13図13は、本発明の別の実施の形態の遊技用代用貨幣としてのチップの枚数の計測方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
カジノなどの遊技場では、遊技用代用貨幣としてのチップが嵩高く積み重ねられて遊技テーブルに置かれるが、遊技テーブルの下に設けたICタグの読取装置では、総額が正確に読み取れないという問題があり、読取装置の感度を高くすると、異なる位置(位置により勝敗が左右される)に置かれた遊技用代用貨幣としてのチップが、合算されてしまい各位置毎の遊技用代用貨幣としてのチップの総額が把握できない、という課題が存在する。
【0020】
また従来、図2に示すように遊技用代用貨幣としてのチップ120の柄は、複雑なものとなっており、多数の遊技用代用貨幣としてのチップが積まれていると、カメラにより正確に積まれた枚数が把握できないという課題がある。
【0021】
遊技用代用貨幣としてのチップ120は、垂直方向に整列して積み重なる場合だけでなく、図2に示すようにずれて重なることがある。この場合、図2に示す矢印X方向にカメラ装置2が位置する場合(もしくは相対的に遊技用代用貨幣としてのチップ120の向きが死角になる場合)、遊技用代用貨幣としてのチップ120が見えない(死角に入る)ことが想定される。
【0022】
また、ディーラは遊技テーブル上に置かれた遊技用代用貨幣としてのチップ120が勝敗結果通り回収あるいは償還される必要がある。これを、遊技用代用貨幣としてのチップ120を画像解析することで判定しようとしても、遊技用代用貨幣としてのチップ120の柄が複雑であるために、賭けられた遊技用代用貨幣としてのチップ120に対応した遊技用代用貨幣としてのチップ120を償還時にディーラが正確に償還したか否かは、現存の実用的な画像解析技術では判定できず、ミスの防止が十分でないという課題が存在した。
【0023】
本実施の形態のシステムによれば、遊技用代用貨幣としてのチップ120が多数積み上げられていても画像分析で遊技用代用貨幣としてのチップ120の枚数が判定でき、比較的重なった遊技用代用貨幣としてのチップ120も総額が位置と色とで把握することができる。
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の遊技テーブル4を有する遊技場におけるテーブルゲームにおけるチップの計測システムを説明する。図1は同システムの全体の概要を示す図であって、複数の遊技テーブル4を有する遊技場における本実施の形態のシステムは、遊技テーブル4で行われるゲームの進行状態をゲーム参加人6およびディーラ5を含め複数のカメラ装置2を介して映像として記録するとともに記録されたゲームの進行状態の映像を画像分析する画像記録装置300を備えたチップ総額計測装置302、さらに遊技テーブル4において各ゲームの勝敗結果を判定し表示するカード配布装置3を備える。カード配布装置3は、すでに当業者で使われて知られている、いわゆる電子シューであり、あらかじめゲームのルールがプログラムされており、配布されるカード1の情報(ランクとスーツ)を読み取って、ゲームの勝敗を判定することができる構造となっている。たとえばバカラゲームでは、バンカーの勝、プレーヤの勝、タイ(引き分け)が、基本的に各2-3枚のカードのランクにより決定され、判定結果(勝敗結果)は表示ランプ13にて表示される。
【0025】
管理制御装置14は、カード配布装置3から得たカード1の情報(ランクとスーツ)を読み取って各ゲームの勝敗結果を判定するとともに、ゲーム参加人6が置いた遊技用代用貨幣としてのチップ120の位置と種類と枚数の測定結果を用いて、各ゲームにおける参加人6の内の勝者6Wおよび敗者6Lを判定する。また、さらに遊技テーブル4におけるカジノ側の収支計算(敗者6Lの賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120)の総額から参加人6の内の勝者6Wに償還した遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額を差引いた額)をゲーム毎に行う計算機能を備える。
【0026】
本計測システムにおける画像記録装置300、チップ総額計測装置302および管理制御装置14は、一体もしくは複数の構成からなるコンピュータおよびプログラム、メモリを複合的に備えた構造となっている。
【0027】
次に、本計測に使用する遊技用代用貨幣としてのチップの詳細を説明する。図3は、本計測システムに使用する遊技用代用貨幣としてのチップ120の正面断面図であり、複数の色の異なるプラスチックの層が積層され、少なくとも中間に着色層121を備え、この中間の着色層121の両側に白色層122もしくは薄色層(図示しないが着色層121より色の薄い層であればよい)を積層した多層構造となっている。このように着色層121を備え、この中間の着色層121の両側に白色層122もしくは薄色層(図示しないが着色層121より色の薄い層であればよい)を積層した多層構造とすることで図6に示すように側面に積層方向の縞模様を形成し、遊技用代用貨幣としてのチップ120の種類(10ポイント、20ポイント、100ポイント、1000ポイントなど)ごとに着色層121の色を変える(赤色、緑色、黄色や青色等)ことにより遊技用代用貨幣としてのチップ120の種類を特定できるようにしている。
【0028】
遊技用代用貨幣としてのチップ120は、側面に軸方向の縞模様を形成するよう少なくとも外観において着色層121と白色層122もしくは薄色層を有する構造体とし、着色層121により遊技用代用貨幣としてのチップ120の種類を特定することが可能な構成を有している。図4A及び図4Bは、それぞれ別の実施例であるが、着色層121及び白色層122もしくは薄色層を射出成形により形成している例であり、成形金型(図示せず)内でまず着色層121を成形し、そのあと白色層122もしくは薄色層を成形するいわゆる2色成形で造られている。
【0029】
さらに、図5に示すように、遊技用代用貨幣としてのチップ120は、白色層122の表面(上面と下面)には遊技用代用貨幣としてのチップ120の種類を表す印刷123(100ポイントなど)が施されている。図3に示すように、最外層に透明層124が設けられ、各層間が熱圧着されて少なくとも5層構造をなしている。これらの遊技用代用貨幣としてのチップ120は、細長い長尺状のプラスチック材料を用い、長尺の状態で各層(着色層121、白色層122、透明層124)の間が熱圧着されて密着した状態(5層構造等)を形成し、その後にプレス等により円形あるいは長方形等に打ち抜いて形成される。プレスにより打ち抜く際に打ち抜きのための金型のダイとポンチの寸法を設計して最外層の透明層124の端にR加工(丸い角)が施される。
【0030】
すなわち、遊技用代用貨幣としてのチップ120を製造する際には、まず、板状のプラスチック製の着色層121と、板状のプラスチック製の白色層122もしくは薄色層とを積層して、複数のプラスチックの層からなる積層構造体を形成する。そして、この積層構造体の上面及び下面に図柄を印刷し、さらにその上に透明層124を設ける。そして、積層構造体と透明層124の各層を加熱圧着して各層を熱溶着して代用貨幣原板を作成する。このようにしてできた代用貨幣原板を金型により打ち抜き加工して、所定の形状の複数の遊技用代用貨幣としてのチップ120を得る。この打ち抜き加工の際に、金型により遊技用代用貨幣としてのチップ120の外側の上下の角をR加工する。
【0031】
さらに、遊技用代用貨幣としてのチップ120には、白色層122の表面にUVインク又はカーボンブラックインクによるフェイスコードが設けられている(図5参照)。このフェイスコードは遊技用代用貨幣としてのチップ120の真偽を表すものであり、紫外線(もしくは赤外線)を当てるとマークが目に見えるようになり、その形や数の組み合わせで真正なものを表す。図6は遊技用代用貨幣としてのチップ120を積み上げた状態の斜視図であり、長いコードFLと短いコードFSを組み合わせたものが、フェイスコードFである。印刷123やフェイスコードを覆うように最外層には透明層(印刷層)124が熱圧着あるいはコーティング(塗布)されているが、この透明層124にはエンボス加工が施され、遊技用代用貨幣としてのチップ120が互いに密着するのを防いでいる。なお、本実施の形態では、白色層122の表面にフェイスコードを印刷した例を挙げて説明したが、フェイスコードに代えて、あるいはフェイスコードとともに、セキュリティマーク、オプティカルバリアブルデバイス(OVD)のいずれかまたは両方を印刷してもよい。
【0032】
印刷123(100ポイントなど)が施された最外層の透明層(印刷層)124の端はR加工(R)が施され、遊技用代用貨幣としてのチップ120の打ち抜き工程において、白色層122の表面が変形して側面に現れるのを防止している。また、遊技用代用貨幣としてのチップ120は鋭利な端が残り、手や他の遊技用代用貨幣としてのチップ120を損傷するのを防いでいる。
【0033】
着色層121は、図3に示すように、着色された複数の層(図3では3層)により形成されてもよい。着色された複数の層(図3では3層)は互いに熱圧着されているので、図3のように3層構造が目視可能な状態ではなく、図3は説明上3層を表している。さらには着色層121の3層の内真ん中の層には一部くり抜きBが設けられ、その中にはRFID125が内蔵されている。
【0034】
なお、RFID125は、着色層121にくり抜きBを設けずに、平らな表面の着色層121と平らな表面の白色層122との間に配置して、そのまま着色層121と白色層122を熱圧着することで遊技用代用貨幣としてのチップ120に内蔵させてもよい。着色層121及び白色層122の少なくともいずれかをプラスチック等の熱変形可能な素材で構成することで、熱圧着によってRFID125を挟む着色層121及び白色層122のうちのプラスチック層が熱変形するので、くり抜きBを設けなくてもRFID125がそれらの層の間に密着固定される。
【0035】
図7は、遊技用代用貨幣としてのチップ120の種類の異なるものを積上げた状態を説明する斜視説明写真図である。図において、管理制御装置14は、遊技テーブル4上にゲームの参加人6が置いた遊技用代用貨幣としてのチップ120をカメラ装置2で撮像し、置かれたエリア8別に(バンカーに賭けたか、プレーヤに賭けたか、あるいはペアー(PAIR)に賭けたか、タイ(TIE)に賭けたか)を画像記録装置300を備えたチップ総額計測装置302により測定すると共に、各エリアにおいて積層された遊技用代用貨幣としてのチップ120の着色層121(もしくは薄色層)又は白色層122の数と色をチップ総額計測装置302が(画像記録装置300により得られた情報を使い)分析計測して遊技用代用貨幣としてのチップ120の種類と枚数を判定する。管理制御装置14は、カメラ装置2による撮像をカード配布装置から一枚目のカードが引かれるとき、又は引かれる前後、あるいはディーラの賭け終了のサイン後に行うように、カメラ装置2を制御する。
【0036】
管理制御装置14は、人工知能活用型もしくはディープラーニング構造を有する制御装置であってもよい。管理制御装置14は、カメラ装置2、画像記録装置300を介して各参加人6が賭ける遊技用代用貨幣としてのチップ120の位置8(プレーヤか、バンカーか、ペアーに賭けた位置)、種類(遊技用代用貨幣としてのチップ120は色毎に異なる額の値が割り付けられている)および枚数を把握することが可能である。人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術においては、自己学習機能等を用いて、遊技用代用貨幣としてのチップ120の位置8(プレーヤか、バンカーか、ペアーに賭けた位置)、種類(遊技用代用貨幣としてのチップは色毎に異なる額の値が割り付けられている)および枚数を把握することが可能であるため、各ゲームにおいてカード配布装置3が判定するゲームの勝敗結果に従って、各ゲームの負けた参加人6Lの賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120の回収(矢印Eに示す)および勝ったゲーム参加人6Wへの勝ち遊技用代用貨幣としてのチップ120への償還(支払(120W))がゲームの勝敗結果に従って適正に行われたか否かを、管理制御装置14は、画像記録装置300を介してゲームの進行状態の映像を分析することにより判定する。
【0037】
このような場合、図6に示すように(図2に示す従来遊技用代用貨幣としてのチップに比べて)積層した多層構造になっており、側面に積層方向の縞模様がくっきりと形成されているので、画像記録装置300を含むチップ総額計測装置302は容易に遊技用代用貨幣としてのチップの種類および枚数の測定を正確に行うことが可能となる。さらに、人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術を用いれば、画像の分析、判定がより正確に可能となる。人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術は当業者ですでに既知で利用可能であるため、詳細な説明を略する。
【0038】
管理制御装置14は、遊技テーブル4のディーラ5のチップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額が画像記録装置300を用いて分析把握可能で、ゲームが終了して清算した後に、各ゲーム参加人6の賭けた負け遊技用代用貨幣としてのチップ120の回収および勝ったゲーム参加人6Wへの勝ち遊技用代用貨幣としてのチップへの支払120Wの額に応じて、チップトレイ17内の遊技用代用貨幣としてのチップ120総額が増減したか否かを、ゲームの勝敗結果に従って比較計算可能である。チップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額は、RFIDなどの手段で常に把握されていても、その増減額が正しいか、否かは、管理制御装置14が、画像記録装置300を介してゲームの進行状態の映像を分析することにより判定する。これらも人工知能活用型もしくはディープラーニング構造が活用されてよい。
【0039】
管理制御装置14は、遊技テーブル4の各プレー位置7において賭けた遊技用代用貨幣としてのチップの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアーに賭けた位置)と額(種類と枚数)を把握し、各ゲームの勝敗結果により得られる各ゲーム参加人6の勝敗履歴と得た遊技用代用貨幣としてのチップの額(勝った額)を、過去の多数(ビッグデータ)のゲームの統計データと比較して特異な状況(カジノにより設定される)として抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造であってもよい。典型的にはある額(100万ドル)以上の勝ち額の発生や、ある遊技テーブル4のプレー位置7において、負けた時の賭け遊技用代用貨幣としてのチップの額が少なく、勝った時の賭け遊技用代用貨幣としてのチップの額が多い状態が数ゲーム続き、それが過去のゲームの統計データ(ビッグデータ等)と比較して特異な状況としてこれを抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造の管理制御装置14を備えるものである。
【0040】
管理制御装置14は、遊技テーブル4のディーラ5のチップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額が、各ゲームの後に各参加人6の賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120との清算が行われて清算した後に、清算に対応した遊技用代用貨幣としてのチップの増減が正しいか否かを、比較計算可能な構造となっている。
【0041】
図1に示すディーラ5の遊技用代用貨幣としてのチップ120の保持用のチップトレイ17においては、横方向に積層された遊技用代用貨幣としてのチップ120の着色層121又は白色層122の数と色をチップ総額計測装置302が(画像記録装置300により得られた情報を使い)分析計測することで、遊技用代用貨幣としてのチップ120の種類と枚数が判定可能である。保持用のチップトレイ17の遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額は、このようにして常に(もしくは所定の時間間隔で)把握されている。管理制御装置14は、各ゲームの清算額(遊技テーブル4におけるカジノ側の収支計算(敗者6Lの賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額から参加人6の内の勝者6Wに償還した遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額を差引いた額))をゲーム毎に行う計算機能を備える(上記参照)ので、チップトレイ17の遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額は常に(もしくは所定の時間間隔で)検証される。すなわち、遊技用代用貨幣としてのチップの増減が、画像記録装置300による画像分析結果とディーラ5による各ゲームの清算額と一致するか否かが検証される。
【0042】
図8Aは、本実施の形態の遊技用代用貨幣としてのチップトレイの詳細を示す図であり、図8Bは遊技用代用貨幣としてのチップトレイの他の例を示す図である。チップトレイ17には、負けたプレーヤ6Lの賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120Lを回収して一時保管する回収用のチップトレイ171と償還する遊技用代用貨幣としてのチップ120Wを保管する償還用のチップトレイ172とが設けられている。画像記録装置300および管理制御装置14は、負けたプレーヤ6Lが賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120Lの位置、種類および枚数を把握し、当該ゲームにおける遊技用代用貨幣としてのチップ120Lの増額分(当該回収用のチップトレイ171における遊技用代用貨幣としてのチップ120のあるべき額)を計算する。さらに、画像記録装置300及び管理制御装置14は、回収した後のチップトレイ171における遊技用代用貨幣としてのチップ120の現実の総額を把握し、あるべき総額と現実の総額とを比較して違いがあるか否かを判定する。
【0043】
ここで、前に示したチップトレイ17は、上段チップトレイ17aと下段チップトレイ17bとからなる二段構造になっている。図9A及び図9Bは、二段構造のチップトレイ17とカメラ装置2との関係を示す図であり、図9Aは、二段を重ねた状態を示し、図9Bは二段をずらした状態を示している。上段チップトレイ17aの下段には下段チップトレイ17bがあり、互いにヒンジ18でつながっている。上段チップトレイ17aの遊技用代用貨幣としてのチップ120が不足した場合には下段チップトレイ17bから上段チップトレイ17aに遊技用代用貨幣としてのチップ120を補充し、上段チップトレイ17aの遊技用代用貨幣としてのチップ120が過剰になった場合には下段チップトレイ17bに遊技用代用貨幣としてのチップ120を移動させる。
【0044】
下段チップトレイ17bから遊技用代用貨幣としてのチップ120を出し入れするためには上段チップトレイ17aをヒンジ18によって移動させ、図9Bの状態にする。図9Aの状態ではカメラ装置2によって上段チップトレイ17aを撮像し、図9Bの状態ではカメラ装置2によって下段チップトレイ17bを撮像可能である。図9Bの状態ではさらに、カメラ装置2cによって上段チップトレイ17aと下段チップトレイ17bとを同時にかつ互いに区別可能な状態でも撮像可能である。また、図9Bの状態で上段チップトレイ17aと下段チップトレイ17bを別々に撮影してもよい。
【0045】
管理制御装置14は、カメラ装置2、画像記録装置300を介して各プレーヤ6が遊技用代用貨幣としてのチップ120をベットエリア8のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に賭けたか、賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120の種類(遊技用代用貨幣としてのチップ120は色毎に異なる額の値が割り付けられている)および枚数を把握することが可能である。遊技用代用貨幣としてのチップ120は、垂直方向に整列して積み重なる場合だけでなく、図2に示すようにずれて重なることがある。この場合、図2に示す矢印X方向にカメラ装置2が位置する場合(もしくは相対的に遊技用代用貨幣としてのチップ120の向きが死角になる場合)、遊技用代用貨幣としてのチップ120が見えない(死角に入る)ことが想定される。
【0046】
このように、遊技用代用貨幣としてのチップ120がベットエリア8のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に賭けたか、賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120の種類(遊技用代用貨幣としてのチップ120は色毎に異なる額の値が割り付けられている)および枚数を把握することが必要である。
そして、各ゲームにおいてカード配布装置3が判定するゲームの勝敗結果に従って、各プレーヤ6の賭けた負け遊技用代用貨幣としてのチップの回収(矢印Eに示す)および勝ったプレーヤ6Wへの勝ち遊技用代用貨幣としてのチップへの支払(120W)がゲームの勝敗結果に従って適正に行われたか否かを、管理制御装置14は、画像記録装置300を介してゲームの進行状態の映像を分析することにより判定する。管理制御装置14が画像記録装置300を介して分析した判定結果が、その他の手段による読み取り結果(例えばRFIDによる読み取り結果)と異なっていた場合には、当該分析画像を保存して後から検証することができる。
【0047】
管理制御装置14は、遊技テーブル4のディーラ5のチップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額が画像記録装置300を用いて分析把握可能で、ゲームが終了して清算した後に、各プレーヤ6の賭けた負け遊技用代用貨幣としてのチップ120の回収および勝ったプレーヤ6Wへの勝ち遊技用代用貨幣としてのチップへの支払120Wの額に応じて、チップトレイ17内の遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額が増減したか否かを、ゲームの勝敗結果に従って比較計算可能である。チップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額は、RFIDなどの手段で常に把握されていても、その増減額が正しいか、否かは、管理制御装置14が、画像記録装置300を介してゲームの進行状態の映像を分析することにより判定する。
【0048】
この例では、ゲームの勝敗結果、どの種類の遊技用代用貨幣としてのチップ120がベットエリア8のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に何枚賭けたかの情報、及び負け遊技用代用貨幣としてのチップの回収及び勝ち遊技用代用貨幣としてのチップ120に対する償還が終わった後のチップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の増減額に基づいて不正やミスを検知するので、ゲーム終了後の遊技用代用貨幣としてのチップ120の動き、すなわち、賭けられていた遊技用代用貨幣としてのチップ120がプレーヤ側に移動したか、ディーラ側に移動したかを把握しなくても、不正やミスを検知できる。
【0049】
ここで、ゲームの勝敗結果は、例えばバカラの場合には、カード配布装置3において、そのゲームで繰り出されたカード1のランクを読み取ることで、バカラのルールに従って判定することができる。また、ゲームの勝敗結果は、遊技テーブル4上をカメラ装置2で撮影して、その画像を画像記録装置300で分析し、管理制御装置14で分析結果をゲームのルールと照らし合わせることでも判定できる。この場合には、カメラ装置2と画像記録装置300と管理制御装置14とで本願発明の勝敗結果判定装置が構成される。
【0050】
各プレー位置7のプレーヤ、どの種類の遊技用代用貨幣としてのチップ120がベットエリア8のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に何枚賭けたかの情報は、ベットエリア8に置かれた遊技用代用貨幣としてのチップ120をカメラ装置2で撮影し、画像記録装置300でプレー位置7毎にその画像を分析することで得られる。後に詳細を説明する。
【0051】
また、負け遊技用代用貨幣としてのチップ120の回収及び勝ち遊技用代用貨幣としてのチップ120に対する償還が行われる前後のチップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の増減額は、負け遊技用代用貨幣としてのチップ120の回収及び勝ち遊技用代用貨幣としてのチップ120に対する償還をする前のチップトレイ17内の遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額と負け遊技用代用貨幣としてのチップ120の回収及び勝ち遊技用代用貨幣としてのチップ120に対する償還をした後のチップトレイ17内の遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額とを比較することで算出できる。負け遊技用代用貨幣としてのチップ120の回収及び勝ち遊技用代用貨幣としてのチップ120に対する償還をする前のチップトレイ17内の遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額、及び負け遊技用代用貨幣としてのチップ120の回収及び勝ち遊技用代用貨幣としてのチップ120に対する償還をした後のチップトレイ17内の遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額は、それぞれ遊技用代用貨幣としてのチップ120を収容したチップトレイ17をカメラ装置2で撮影し、画像記録装置300でその画像を分析することで検知可能である。また、遊技用代用貨幣としてのチップ120内にその額を示すRFIDを埋め込むとともにチップトレイ17にRFIDリーダを設けることで、チップトレイ17に収容されている遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額を検出するようにしてもよい。
【0052】
例えば、ゲームの開始前にチップトレイ17の遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額がBbであり、ゲームが終了して負け遊技用代用貨幣としてのチップの回収及び勝ち遊技用代用貨幣としてのチップに対する償還が終わった後のチップトレイ17の遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額がBaであるとする。また、このゲームにおいて、プレーヤエリアに賭けられた遊技用代用貨幣としてのチップ120の全プレー位置7の総額がbpであり、バンカーエリアに賭けられた遊技用代用貨幣としてのチップ120の全プレー位置7の総額がbbであり、タイエリアに賭けられた遊技用代用貨幣としてのチップ120の全プレー位置7の総額がbtであるとする。例えばこのゲームの勝敗結果がバンカーの勝ちである場合には、Ba-Bb=bp-bb+btが成立すべきである。あるいは、ゲーム終了後のチップトレイ17の遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額Baは(Bb+bp-bb+bt)であるべきである。そのようになっていない場合には、遊技用代用貨幣としてのチップの回収又は償還において、不正又はミスがあったと判定することができる。
【0053】
以上のように、本実施の形態では、管理制御装置14は、ゲーム毎に遊技テーブル4上の賭け遊技用代用貨幣としてのチップ額とゲームの勝敗結果から遊技用代用貨幣としてのチップの収支を計算し、ゲーム後におけるチップトレイ17内の遊技用代用貨幣としてのチップの残高の増額を検証する。管理制御装置14は、この検証において違いが検出されたら、アラームを発出するか、あるいはカメラ装置2で撮影されたビデオの記録にその旨の記録を追加する。カジノ運営者は、ビデオを確認することで違いの原因を追究することができる。
【0054】
本実施の形態の計測システムは、各ゲームの清算前のチップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額から、当該ゲームですべてのプレーヤ6の賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120の位置、種類および枚数と勝敗結果判定装置で得た当該ゲームの勝敗結果とから計算される当該ゲームにおける遊技用代用貨幣としてのチップの増減額を加減算し、当該ゲームの終了時の清算後のチップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120のあるべき総額と、画像記録装置300を介し得た当該ゲームの終了時のチップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の現実の総額を比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定する。
【0055】
管理制御装置14は、画像記録装置300を介して各プレーヤが賭ける遊技用代用貨幣としてのチップの位置、種類および枚数を把握し、各プレーヤの賭けた負け遊技用代用貨幣としてのチップのすべての回収が終わったときに、遊技用代用貨幣としてのチップトレイにおける遊技用代用貨幣としてのチップの現実の総額を把握し、各ゲームの清算前の遊技用代用貨幣としてのチップトレイにおける遊技用代用貨幣としてのチップの総額から、負けたプレーヤの賭けた遊技用代用貨幣としてのチップの位置、種類および枚数から当該ゲームにおけるチップトレイ17の増額を加算した当該チップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120のあるべき総額と、当該チップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定する。
【0056】
管理制御装置14は、各ゲームの清算前のチップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額から、負けたプレーヤの賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120の位置、種類および枚数から当該ゲームにおけるチップトレイ17の増額を加算した当該チップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120のあるべき総額と、当該チップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがないと判定し、かつ当該ゲームの終了時の精算後のチップトレイ17におけるあるべき総額と、画像記録装置300を介し得た当該ゲームの終了時のチップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ120の現実の総額を比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあると判定した場合には、支払いの間違いと判定し、支払いの間違いを知らせる支払い誤りシグナルを発生させる。
【0057】
チップトレイ17には、負けたプレーヤの賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120を回収して一時保管する回収チップトレイ171が設けられ、画像記録装置300は、負けたプレーヤの賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ120Lの位置、種類および枚数から計算される当該ゲームにおける遊技用代用貨幣としてのチップ120の増額を加算した回収チップトレイ171における遊技用代用貨幣としてのチップ120のあるべき総額と、回収チップトレイ171における遊技用代用貨幣としてのチップ120の現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否を判定する。
【0058】
管理制御装置14が遊技テーブル4のディーラ5のチップトレイ17における把握されている遊技用代用貨幣としてのチップ120の現実の総額が、すべてのプレーヤの賭けた遊技用代用貨幣としてのチップ額と当該ゲームの勝敗結果とから計算される遊技用代用貨幣としてのチップの増減額に対応していない違いを判定したときは、画像記録装置300において上記の違いが生じたゲームの記録が分析可能となるように、画像記録装置300は、取得した映像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくは遊技用代用貨幣としてのチップ120の回収シーンあるいは支払シーンを特定して再生できる。
【0059】
このように、管理制御装置14は、画像記録装置300を介してゲームの終了時の清算後にチップトレイ17における遊技用代用貨幣としてのチップ(チップ)の総額を得るが、この場合の清算後の判断というのは、以下の1)~4)のいずれかが起こったときとする。
1)勝ち遊技用代用貨幣としてのチップ(勝ちチップ)120に対する償還が終了したとき、
2)当該ゲームで使用されたカード1が回収され、当該テーブルの廃棄エリアもしくは廃棄スロットに廃棄されるとき、
3)勝敗結果判定装置に付随する所定のボタンを押したとき、
4)勝敗を示すマーカー(図示せず)を元に戻したとき。
【0060】
上記の計測システムにおいて、前記管理制御装置14は、各ゲームでゲーム参加人が置いた遊技用代用貨幣としてのチップの位置と種類と枚数の撮像を行うが、これは以下の1)~3)のいずれかを検出したときとする。
1)前記カード配布装置が一枚目のカードが引かれるのを検出したとき、
2)引かれる前後、
3)ディーラの賭け終了のサインを管理制御装置が認識した後。
【0061】
また、管理制御装置14は、遊技テーブル4の各プレー位置7において賭けた遊技用代用貨幣としてのチップの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアーに賭けた位置)と額(種類と枚数)を把握し、各ゲームの勝敗結果により得られる各プレーヤ6の勝敗履歴と得た遊技用代用貨幣としてのチップの額(勝った額)を、過去の多数(ビッグデータ)のゲームの統計データと比較して特異な状況(カジノにより設定される)として抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。典型的にはある額(100万ドル)以上の勝ち額の発生や、ある遊技テーブル4のプレー位置7において、負けた時の賭け遊技用代用貨幣としてのチップの額が少なく、勝った時の賭け遊技用代用貨幣としてのチップの額が多い状態が数ゲーム続き、それが過去のゲームの統計データ(ビッグデータ等)と比較して特異な状況としてこれを抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造の管理制御装置14を備えるものである。
【0062】
さらに、本計測システムの管理制御装置14は(画像記録装置300と一体となって)特異な状況として抽出されるか、もしくは所定額以上の勝ちを収めたプレー位置7における個別のプレーヤ6の特定が可能な構造である。このようなプレーヤ6の特定は、画像記録装置300において、顔の画像を特徴点抽出等により得、アイデンティティ番号(ID等)を付して特定しておく。そして管理制御装置14は、特定されたプレーヤ6が、離席して別の遊技テーブルに着いたとき、当該別の遊技テーブルに当該特定プレーヤの存在を知らせる警告機能を有する。具体的には、各遊技テーブル4を管理するピットマネージャや各テーブル責任者(ディーラでもよい)に知らせて、更なる特異現象の防止を図る。
【0063】
なお、上記の例において、個別のプレーヤ6を特定せずにプレー位置7ごとの勝敗履歴と得た遊技用代用貨幣としてのチップの額(勝った額)を監視してもよい。この場合には、各プレーヤ6が離席した場合にそのプレーヤ6をトラッキングできないことになるが、1つの遊技テーブル4の特定のプレー位置7で負けた時の賭け遊技用代用貨幣としてのチップの額が少なく、勝った時の賭け遊技用代用貨幣としてのチップの額が多い状態が数ゲーム続く等の特異な状況を検知することができる。そして、そのようなプレー位置7が検出された場合には、そのプレー位置7において不正やミスがあった疑いがある。そして、そのプレー位置7を撮影したビデオを検証することで、不正やミスを発見することができる。
【0064】
具体的には、カメラ装置2は、少なくとも遊技テーブル4のベットエリア8に置かれた遊技用代用貨幣としてのチップ120を撮影するように設置される。画像記録装置300は、カメラ装置2によって撮影された画像を分析して、ユーザ位置7ごとにベットエリア8のプレーヤ、バンカー、タイのいずれの位置に遊技用代用貨幣としてのチップが置かれたか、及び置かれた遊技用代用貨幣としてのチップの額を検知する。また、カード配布装置3は、勝敗結果判定装置としても機能し、ゲームの勝敗結果を判定する。管理制御装置14は、遊技用代用貨幣としてのチップ120が置かれたベットエリア8内の位置(プレーヤ、バンカー、又はタイ)及びゲームの勝敗結果に基づいて、プレー位置7ごとの勝敗履歴及び得た遊技用代用貨幣としてのチップの額(遊技用代用貨幣としてのチップ獲得額)を記録していく(監視する)。なお、勝敗履歴及び遊技用代用貨幣としてのチップ獲得額は、そのいずれかのみが記録されてもよい。管理制御装置14は、この勝敗履歴及び/又は遊技用代用貨幣としてのチップ獲得額の履歴が、過去の多数(ビッグデータ)のゲームの統計データと比較して特異な状況(カジノにより設定される)である場合に、このプレーヤ位置7を不正行為が疑われるプレー位置として特定する。
【0065】
あるプレーヤ位置7について不正行為が疑われた場合には、不正検知システムは、その時点で少なくともディーラが知覚できるようにアラーム(光や音や振動)を発生させてよい。これにより、少なくともその場でそれ以降のゲームを中断するなどして、不正行為の継続を阻止することができる。また、カメラ装置2によって撮影されて記録される映像に、不正行為が疑われたことを示す情報を付加するようにしてよい。これにより、ビデオを確認することで、不正行為の疑いの原因を究明できる。
【0066】
以上のように、本実施の形態の遊技用代用貨幣としてのチップ120は、着色層121と、着色層121を挟む白色層122もしくは薄色層が積層された、複数のプラスチックの層からなる積層構造を有し、これにより側面に積層方向に縞模様が形成されている。遊技用代用貨幣としてのチップ120は、側面に現れた着色層121により遊技用代用貨幣としてのチップ120の種類が特定可能な構成を有する。また、遊技用代用貨幣としてのチップ120の上面および下面には印刷が施されている。具体的には、白色層122もしくは薄色層の表面に印刷が施され、その上面に透明層124を有する。着色層121、白色層122もしくは薄色層、印刷層124は、各層間が熱圧着されて層構造をなしている。
【0067】
着色層121を挟む白色層122又は薄色層は、上下で厚みが異なるように構成してもよい。また、本実施の形態では、遊技用代用貨幣としてのチップ120の上面および下面の外縁はR加工が施されている。これにより、遊技用代用貨幣としてのチップ120を扱うプレーヤの手が傷ついたり、他の遊技用代用貨幣としてのチップ120を損傷することを防ぐことができる。また、本実施の形態では、着色層121、白色層122又は薄色層のいずれかを形成するプラスチックの層の間にRFID125が密着固定されている。
【0068】
また、本実施の形態では、遊技用代用貨幣としてのチップ120の上面及び/又は下面には、UV発光インク、又は赤外線を吸収するインク(カーボンブラックインク)等の赤外線吸収インクによるフェイスコードが設けられている。また、本実施の形態の変形例として、フェイスコードに代えて、あるいはフェイスコードとともに、セキュリティマーク、オプティカルバリアブルデバイス(OVD)のいずれかまたは両方が遊技用代用貨幣としてのチップ120の表面に印刷されていてもよい。
【0069】
本実施の形態の管理制御装置14は、各ゲームでゲーム参加人が置いた遊技用代用貨幣としてのチップの位置と種類と枚数を判別するための撮像を、カード配布装置3から一枚目のカードが引かれるとき、又は、引かれる前後、あるいはディーラの賭け終了のサイン後に行う。
【0070】
また、本実施の形態の計測システムは、遊技テーブル4において各ゲームの勝敗結果を判定して表示するカード配布装置13と、遊技テーブル4上に置かれた遊技用代用貨幣としてのチップ120を撮像するカメラ装置2と、カメラ装置2による撮像結果を用いて、ゲーム参加人6が遊技テーブル4上に置いた遊技用代用貨幣としてのチップの位置と種類と枚数とを特定して記憶する管理制御装置14とを備える。遊技用代用貨幣としてのチップ120は、着色層121と白色層122もしくは薄色層が積層された積層構造体であり、側面に積層方向の縞模様を有する。管理制御装置14は、カード配布装置13から得た勝敗結果と、カメラ装置2の撮像結果を用いて特定した遊技用代用貨幣としてのチップ120の位置と種類と枚数とに基づいて、遊技テーブル4におけるカジノ側の収支計算をゲーム毎に行う計算機能を備えている。
【0071】
管理制御装置14は、各ゲーム参加人6が置いた遊技用代用貨幣としてのチップ120の着色層121又は白色層122もしくは薄色層の数を計測し、着色層121の色により遊技用代用貨幣としてのチップの種類や金額を判定して遊技用代用貨幣としてのチップ120の枚数を判定する機能を備えている。
【0072】
前述したように、遊技用代用貨幣としてのチップ120は、垂直方向に整列して積み重なる場合だけでなく、図2に示すようにずれて重なることがある。この場合、図2に示す矢印X方向にカメラ装置2が位置する場合(もしくは相対的に遊技用代用貨幣としてのチップ120の向きが死角になる場合)、遊技用代用貨幣としてのチップ120が見えない(死角に入る)ことが想定される。各プレー位置7のプレーヤ、どの種類の遊技用代用貨幣としてのチップ120がベットエリア8のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に何枚賭けたかの情報は、ベットエリア8に置かれた遊技用代用貨幣としてのチップ120をカメラ装置2で撮影し、画像記録装置300でプレー位置7毎にその画像を分析することで得られるが、カメラ装置2のみでこれを行おうとすると死角などの問題で極めて高度な高価な画像解析装置が必要となる。本実施の形態では、この課題を解決するための特別の構成を有する。以下に詳細を説明する。
【0073】
図10、11において、本実施の形態の計測システムでは、遊技用代用貨幣としてのチップ120を撮影するカメラ装置2に加えて、遊技用テーブル4からの所定の高さ位置に配置され、異なる位置もしくは角度から遊技用代用貨幣としてのチップ120を撮影する高さ計測用カメラ装置2R、2Lをさらに備える。以下では、高さ計測用カメラ2R、2Lと遊技用代用貨幣としてのチップ120が遊技用テーブル4に垂直な同一平面上にあると仮定する。高さ計測用カメラ2Rと最上位の遊技用代用貨幣としてのチップ120の中心Cとを結ぶ直線と遊技テーブル4がなす角度αと、高さ計測用カメラ2Lと最上位の遊技用代用貨幣120の中心Cを結ぶ直線と遊技テーブル4のなす角度β、高さ計測用カメラ2Rと最上位の遊技用代用貨幣120の中心Cとを結ぶ直線と遊技テーブル4の交点KRと高さ計測用カメラ2Lと最上位の遊技用代用貨幣120の中心Cとを結ぶ直線と遊技テーブル4の交点KLの間の距離Lと、重なった遊技用代用貨幣としてのチップ120の高さHの関係式は以下の式で表される。
【数1】
ここで距離L、角度α、βは以下の方法によって求められる。交点KR、KLは、高さ計測用カメラ2R、2Lの画角からみて、最上位の遊技用代用貨幣としてのチップ120の中心Cを遊技テーブル4上に射影した位置である。従って、高さ計測用カメラ2R、2Lによる撮影画像の最上位の遊技用代用貨幣としてのチップ120の輪郭の中心を画像処理によって得ることで交点KR、KLを得る。さらに、高さ計測用カメラ2R、2Lによる撮影画像を画像処理することによって、遊技用テーブル4を真上から俯瞰する画像を得るなどして、交点KR、KL間の距離L(図10、11で示すL1、L2)を得る。さらに、交点KR、KLの位置が分かれば、高さ計測用カメラ2R、2Lのテーブルからの高さは一定なので、角度α、βを得ることができる。以上より、重なった遊技用代用貨幣としてのチップ120の高さHは、式(1)を変形した式(2)で、上記で得た距離L及び角度α、βによって得ることができる。
【数2】
以上では説明を簡単にするために高さ計測用カメラ2R、2Lと遊技用代用貨幣としてのチップ120が遊技用テーブル4に垂直な同一平面上にあると仮定したが、高さ計測用カメラ2R、2Lと遊技用代用貨幣としてのチップ120が遊技用テーブル4に垂直な同一平面上にない場合でも、図12において同様に計算することができる。中心Cからテーブル面への垂線のテーブル面との交点をO、交点O、KRを結ぶ直線と交点KR、KLを結ぶ直線のなす角度をγ、交点O、KLを結ぶ直線と交点KR、KLを結ぶ直線のなす角度をδとすると、詳細な計算は省略するが、式(2)´で表せる。
【数3】
以上に示した方法で重なった遊技用代用貨幣としてのチップ120の高さHを得ることで、所定の厚みtを有する遊技用代用貨幣としてのチップ120の枚数はH/tによって得ることができる。画像記録装置300は、遊技用代用貨幣としてのチップ120の枚数の情報を利用することで、より容易かつ正確にチップの種類とその種類ごとの枚数を得ることができ、チップ総額計測装置302は遊技用代用貨幣としてのチップ120の総額を得る。同位置にある遊技用代用貨幣としてのチップ120に対しては、図10、11に示すように、高さH1、H2に対応してL1、L2、角度α、βが変化するため、式(2)によってそれぞれの高さH1、H2を得る。また、高さ計測用カメラ2R、2Lは遊技用代用貨幣としてのチップ120を撮影するカメラ装置2の機能を兼ね備えてもよい。
【0074】
図13はルーレットにおける本実施の形態の計測システムの図である。遊技用テーブル201上に遊技用代用貨幣としてのチップ220が積み重ねられて置かれる。この場合も上で述べた方法で、高さ計測用カメラ2R、2Lによって、高さ計測用カメラ2Rと最上位の遊技用代用貨幣220の中心Cとを結ぶ直線と遊技テーブル201の交点KRと高さ計測用カメラ2Lと最上位の遊技用代用貨幣220の中心Cとを結ぶ直線と遊技テーブル201の交点KLの間の距離Lを得ることができ、遊技用代用貨幣としてのチップ220の高さHを得ることができる。高さHと遊技用代用貨幣としてのチップ220の厚みtから遊技用代用貨幣としてのチップ220の枚数が得られる。ルーレットではプレーヤごとに色が異なる一種類の遊技用代用貨幣としてのチップ220が使用される。従って、高さ計測用カメラ2R、2Lとチップ枚数計測装置301によって得た遊技用代用貨幣としてのチップ220の枚数からだけで遊技用代用貨幣としてのチップ220の総額を得ることができ、最上位の遊技用代用貨幣としてのチップ220の色から賭けたプレーヤ6を判別可能である。
【0075】
なお、本実施の形態の計測システムでは、管理制御装置14等に人工知能活用型もしくはディープラーニング構造を有するものであってもよいが、人工知能活用型もしくはディープラーニング構造を有するものについては、米国特許9361577号、米国特許公開公報2016-171336号、米国公開公報2015-036920号、日本特許公開公報2016-110232号等に記載されており、これらの記載は参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
以上、本発明の各種の実施の形態を説明したが、上述の実施の形態は、本発明の範囲内で当業者により変形可能なことはもちろんであり、適用されるゲームでの必要に応じて、本実施の形態の装置が適当に変形されてよい。
【符号の説明】
【0077】
1 プレイングカード
1s 複数枚のシャッフルプレイングカード
2 カメラ装置
3 カード配布装置
4 遊技テーブル
5 ディーラ
6 客(ゲーム参加人/プレーヤ)
7 椅子
8 ベットエリア
13 結果表示ランプ
14 管理制御装置
120 遊技用代用貨幣としてのチップ
121 着色層
122 白色層
123 印刷
124 透明層(印刷層)
125 RFID
200 遊技用テーブル
220 遊技用代用貨幣としてのチップ
300 画像記録装置
301 チップ枚数計測装置
302 チップ総額計測装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技テーブルを有する遊技場における遊技テーブル上のチップの枚数計測する計測システムであって、
前記遊技テーブル上に積み重ねられた複数のチップを第1位置から撮影して第1画像を取得する第1カメラと、
前記遊技テーブル上に積み重ねられた複数のチップを、前記第1位置とは異なる第2位置から撮影して第2画像を取得する第2カメラと、
ここで、前記第1カメラと前記第2カメラとは、同一の複数のチップを撮影してそれぞれ前記第1画像及び前記第2画像を取得し、
一又は複数の情報処理装置と、
を備え、
前記一又は複数のコンピュータは、
人工知能又はディープラーニングを用いて、前記第1画像に基づいて、前記同一の複数のチップの枚数に応じた第1パラメータを判定し、
人工知能又はディープラーニングを用いて、前記第2画像に基づいて、前記同一の複数のチップの枚数に応じた第2パラメータを判定
前記第1パラメータと前記第2パラメータとに基づいて、前記同一の複数のチップの正しい枚数を決定する、計測システム。
【請求項2】
前記一又は複数のコンピュータは、さらに、人工知能又はディープラーニングを用いて、前記複数のチップの各々の種類を判定する、請求項1に記載の計測システム。
【請求項3】
前記一又は複数のコンピュータは、前記第1カメラの死角により前記第1画像において前記同一の複数のチップが隠れていても、前記第1パラメータと前記第2パラメータとに基づいて、前記同一の複数のチップの正しい種類及び枚数を決定可能である、請求項1に記載の計測システム。
【請求項4】
前記第1カメラと前記第2カメラとは、前記遊技テーブルの左右対称の位置にそれぞれ設置される、請求項1に記載の計測システム。
【請求項5】
前記遊技テーブルは複数のベットエリアを有し、
前記第1カメラは、前記複数のベットエリアの全部を撮影し、
前記第2カメラは、前記複数のベットエリアの全部を撮影する、請求項1に記載の計測システム。
【請求項6】
前記第1カメラから前記同一の複数のチップまでの距離と、前記第2カメラから前記同一の複数のチップまでの距離とが異なる、請求項1に記載の計測システム。
【請求項7】
前記一又は複数のコンピュータは、
前記第1画像及び前記第2画像からそれぞれ第1チップ領域および第2チップ領域を抽出
記第1チップ領域について、前記チップの種類及び枚数を判定し、
記第2チップ領域について、前記チップの種類及び枚数を判定する、請求項1に記載の計測システム。
【請求項8】
前記一又は複数のコンピュータは、決定した前記枚数と他の手段により判定された枚数とが異なる場合に、当該判定に係る画像を保存する、請求項1に記載の計測システム。