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特開2023-116554抗MERTKアゴニスト抗体-薬物コンジュゲートおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116554
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】抗MERTKアゴニスト抗体-薬物コンジュゲートおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230815BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230815BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20230815BHJP
   C07K 16/40 20060101ALN20230815BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20230815BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20230815BHJP
【FI】
A61K39/395 Y
A61P35/00
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K39/395 P
A61K47/68
A61K38/05
C07K16/40 ZNA
C12N15/13
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023088505
(22)【出願日】2023-05-30
(62)【分割の表示】P 2020522279の分割
【原出願日】2018-06-26
(31)【優先権主張番号】62/525,993
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592054292
【氏名又は名称】ザ ロックフェラー ユニバーシティー
(71)【出願人】
【識別番号】520001017
【氏名又は名称】インスピルナ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】タヴァゾイ,ソハイル
(72)【発明者】
【氏名】タヴァゾイ,マスード
(72)【発明者】
【氏名】ハルベルグ,ニルズ ヘンリク
(57)【要約】      (修正有)
【課題】癌を治療するための抗体薬物コンジュゲート、その製造方法、および治療方法を提供する。
【解決手段】(i)Merチロシンキナーゼ(MERTK)(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスMERTKの双方)に特異的に結合する抗体と、(ii)前記抗体に直接共役されているか、またはリンカーを介して前記抗体に共役されている細胞毒性剤とを含む抗体薬物コンジュゲート、並びに、当該抗体薬物コンジュゲートを含み、当該抗体薬物コンジュゲートに含有される前記抗体が内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する組成物が提供される。本開示はまた、(i)MERTKに特異的に結合して内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗体と、(ii)前記抗体に直接共役されているか、またはリンカーを介して前記抗体に共役されている細胞毒性剤とを含む抗体薬物コンジュゲートを投与することによりがんを治療する方法をも提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ヒトMerチロシンキナーゼ(MERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のヒト
MERTKシグナル伝達を作動する抗体またはその抗原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項2】
前記抗体または抗原結合断片がマウスMERTKにさらに特異的に結合する、請求項1
に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項3】
前記抗体がヒトMERTKの細胞外ドメインを特異的に認識し、前記細胞外ドメインが
配列番号58のアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の抗体薬物コンジュゲート
【請求項4】
前記抗体が、ヒトMERTKへの結合についてGas-6と競合する、請求項1~3の
いずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項5】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体薬物
コンジュゲート。
【請求項6】
前記抗体が、2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項7】
前記重鎖のそれぞれが、配列番号1の相補性決定領域(CDR)1、配列番号6のCD
R2、および配列番号11のCDR3を含む可変領域(VH)を含む、請求項6に記載の
抗体薬物コンジュゲート。
【請求項8】
前記重鎖のそれぞれが可変領域(VH)を含み、前記VHが配列番号2のCDR1、配
列番号7のCDR2、および配列番号12のCDR3を含む、請求項6に記載の抗体薬物
コンジュゲート。
【請求項9】
前記重鎖のそれぞれが可変領域(VH)を含み、前記VHが配列番号3のCDR1、配
列番号8のCDR2、および配列番号11のCDR3を含む、請求項6に記載の抗体薬物
コンジュゲート。
【請求項10】
前記重鎖のそれぞれが可変領域(VH)を含み、前記VHが配列番号4のCDR1、配
列番号9のCDR2、および配列番号13のCDR3を含む、請求項6に記載の抗体薬物
コンジュゲート。
【請求項11】
前記重鎖のそれぞれが可変領域(VH)を含み、前記VHが配列番号5のCDR1、配
列番号10のCDR2、および配列番号14のCDR3を含む、請求項6に記載の抗体薬
物コンジュゲート。
【請求項12】
前記重鎖のそれぞれが可変領域(VH)を含み、前記VHが配列番号3のCDR1、配
列番号6のCDR2、および配列番号11のCDR3を含む、請求項6に記載の抗体薬物
コンジュゲート。
【請求項13】
前記重鎖のそれぞれが可変領域(VH)を含み、前記VHが配列番号25のCDR1、
配列番号30のCDR2、および配列番号35のCDR3を含む、請求項6に記載の抗体
薬物コンジュゲート。
【請求項14】
前記重鎖のそれぞれが可変領域(VH)を含み、前記VHが配列番号26のCDR1、
配列番号31のCDR2、および配列番号36のCDR3を含む、請求項6に記載の抗体
薬物コンジュゲート。
【請求項15】
前記重鎖のそれぞれが可変領域(VH)を含み、前記VHが配列番号27のCDR1、
配列番号32のCDR2、および配列番号35のCDR3を含む、請求項6に記載の抗体
薬物コンジュゲート。
【請求項16】
前記重鎖のそれぞれが可変領域(VH)を含み、前記VHが配列番号28のCDR1、
配列番号33のCDR2、および配列番号37のCDR3を含む、請求項6に記載の抗体
薬物コンジュゲート。
【請求項17】
前記重鎖のそれぞれが可変領域(VH)を含み、前記VHが配列番号29のCDR1、
配列番号34のCDR2、および配列番号38のCDR3を含む、請求項6に記載の抗体
薬物コンジュゲート。
【請求項18】
前記重鎖のそれぞれが可変領域(VH)を含み、前記VHが配列番号27のCDR1、
配列番号30のCDR2、および配列番号35のCDR3を含む、請求項6に記載の抗体
薬物コンジュゲート。
【請求項19】
前記軽鎖のそれぞれが、配列番号15の相補性決定領域(CDR)1、配列番号19の
CDR2、および配列番号22のCDR3を含む可変領域(VL)を含む、請求項6、7
、9または12のいずれかに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項20】
前記軽鎖のそれぞれが可変領域(VL)を含み、前記VLが配列番号16のCDR1、
配列番号20のCDR2、および配列番号23のCDR3を含む、請求項6または8に記
載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項21】
前記軽鎖のそれぞれが可変領域(VL)を含み、前記VLが配列番号17のCDR1、
配列番号21のCDR2、および配列番号24のCDR3を含む、請求項6または10に
記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項22】
前記軽鎖のそれぞれが可変領域(VL)を含み、前記VLが配列番号18のCDR1、
配列番号20のCDR2、および配列番号22のCDR3を含む、請求項6または11に
記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項23】
前記軽鎖のそれぞれが可変領域(VL)を含み、前記VLが配列番号39のCDR1、
配列番号43のCDR2、および配列番号46のCDR3を含む、請求項6、13、15
または18のいずれかに記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項24】
前記軽鎖のそれぞれが可変領域(VL)を含み、前記VLが配列番号40のCDR1、
配列番号44のCDR2、および配列番号47のCDR3を含む、請求項6または14に
記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項25】
前記軽鎖のそれぞれが可変領域(VL)を含み、前記VLが配列番号41のCDR1、
配列番号45のCDR2、および配列番号48のCDR3を含む、請求項6または16に
記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項26】
前記軽鎖のそれぞれが可変領域(VL)を含み、前記VLが配列番号42のCDR1、
配列番号44のCDR2、および配列番号46のCDR3を含む、請求項6または18に
記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項27】
前記重鎖が、配列番号49を含む可変領域(VH)を含む、請求項6に記載の抗体薬物
コンジュゲート。
【請求項28】
前記軽鎖が、配列番号50を含む可変領域(VL)を含む、請求項6または27に記載
の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項29】
前記重鎖が、配列番号51を含む可変領域(VH)を含む、請求項6に記載の抗体薬物
コンジュゲート。
【請求項30】
前記軽鎖が、配列番号52を含む可変領域(VL)を含む、請求項6または29に記載
の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項31】
ヒト由来定常領域を含む、請求項6~30のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲ
ート。
【請求項32】
前記重鎖の定常領域が、ガンマ1、ガンマ2、ガンマ3、およびガンマ4からなる群か
ら選択されるアイソタイプを有する、請求項31に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項33】
前記抗体またはその抗原結合断片がヒト化されている、請求項1~32のいずれか1項
に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項34】
前記抗体が、約3ピコモーラー(pM)~約400pMの範囲の解離定数(K)でヒ
トMERTKに結合する、請求項1~33のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲー
ト。
【請求項35】
前記抗体が、約3pM~約400pMの範囲のKでマウスMERTKに結合する、請
求項1~34のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項36】
前記抗体または抗原結合断片が、乳癌細胞の存在下、インビトロで内皮細胞の遊走を阻
害し、前記遊走がコントロール抗体で処理された内皮細胞と比較して30%超阻害される
、請求項1~35のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項37】
前記抗体または抗原結合断片が、インビトロでヒト血管内皮細胞のMERTKのリン酸
化を促進する、請求項1~36のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項38】
前記抗体または抗原結合断片が、インビトロで癌細胞上のMERTKのリン酸化を促進
しない、請求項1~37のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項39】
前記抗体または抗原結合断片が、インビボで腫瘍血管新生を阻害する、請求項1~38
のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項40】
前記抗体または抗原結合断片が、内皮細胞の非存在下、インビトロでのトランスウェル
遊走アッセイにおいて多形膠芽腫細胞株A172の遊走を阻害しない、請求項1~39の
いずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項41】
前記抗体または抗原結合断片が、多形性膠芽腫細胞株A172上のMERTKの発現レ
ベルを低下させない、請求項1~40のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項42】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号1の相補性決定領域(CDR)1、
配列番号6のCDR2、および配列番号11のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含
む抗体またはその抗原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項43】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号2のCDR1、配列番号7のCDR
2、および配列番号12のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはその抗
原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項44】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号3のCDR1、配列番号8のCDR
2、および配列番号11のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはその抗
原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項45】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号4のCDR1、配列番号9のCDR
2、および配列番号13のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはその抗
原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項46】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号5のCDR1、配列番号10のCD
R2、および配列番号14のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはその
抗原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項47】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号3のCDR1、配列番号6のCDR
2、および配列番号11のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはその抗
原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項48】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号25のCDR1、配列番号30のC
DR2、および配列番号35のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはそ
の抗原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項49】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号26のCDR1、配列番号31のC
DR2、および配列番号36のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはそ
の抗原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項50】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号27のCDR1、配列番号32のC
DR2、および配列番号35のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはそ
の抗原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項51】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号28のCDR1、配列番号33のC
DR2、および配列番号37のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはそ
の抗原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項52】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号29のCDR1、配列番号34のC
DR2、および配列番号38のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはそ
の抗原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項53】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号27のCDR1、配列番号30のC
DR2、および配列番号35のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはそ
の抗原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項54】
(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号5のCDR1、配列番号10のCD
R2、および配列番号14のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗体またはその
抗原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカ
ーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項55】
前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、前記VLが配列番
号16の相補性決定領域(CDR)1、配列番号20のCDR2、および配列番号23の
CDR3を含む、請求項42、44または47に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項56】
前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、前記VLが配列番
号17のCDR1、配列番号21のCDR2、および配列番号24のCDR3を含む、請
求項45に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項57】
前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、前記VLが配列番
号18のCDR1、配列番号20のCDR2、および配列番号22のCDR3を含む、請
求項46に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項58】
前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、前記VLが配列番
号39のCDR1、配列番号43のCDR2、および配列番号46のCDR3を含む、請
求項48、50または53に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項59】
前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、前記VLが配列番
号40のCDR1、配列番号44のCDR2、および配列番号47のCDR3を含む、請
求項49に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項60】
前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、前記VLが配列番
号41のCDR1、配列番号45のCDR2、および配列番号48のCDR3を含む、請
求項51に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項61】
前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、前記VLが配列番
号42のCDR1、配列番号44のCDR2、および配列番号46のCDR3を含む、請
求項53に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項62】
前記抗体が免疫グロブリンであり、前記抗原結合断片が前記免疫グロブリンの一部であ
る、請求項42~61のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項63】
前記抗体が免疫グロブリンである、請求項42~61のいずれか1項に記載の抗体薬物
コンジュゲート。
【請求項64】
前記抗体または抗原結合断片がヒト化されている、請求項42~63のいずれか1項に
記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項65】
前記抗体または抗原結合断片がヒト由来定常領域を含む、請求項42~63のいずれか
1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項66】
前記抗体がヒト化免疫グロブリンである、請求項65に記載の抗体薬物コンジュゲート
【請求項67】
前記抗体が二重特異性抗体である、請求項1~4および42~61のいずれか1項に記
載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項68】
(I)ヒトMERTKに特異的に結合する免疫グロブリンである抗体部分と、
(II)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(III)任意のリンカーと、
を含み、
前記免疫グロブリンは、
(A)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(ii)配列番
号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または、
(B)(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(ii)配列番
号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
を含み、
前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介
して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項69】
(I)(a)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(ii)
配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む第1の免疫グロブリン;並びに、
(b)(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(ii)
配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む第2の免疫グロブリン;
からなる群から選択される参照抗体とMERTKへの結合について競合する抗体である抗
体部分と、
(II)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(III)任意のリンカーと、
を含み、
前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介
して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項70】
前記抗体部分の前記薬物部分に対するモル比が1:1~1:8である、請求項1~69
のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項71】
前記抗体部分の前記薬物部分に対するモル比が1:3~1:5である、請求項1~69
のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項72】
前記リンカーを含み、前記リンカーが切断可能なリンカーである、請求項1~71のい
ずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項73】
前記リンカーを含み、前記リンカーが切断不能なリンカーである、請求項1~71のい
ずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項74】
前記細胞毒性剤が、小分子、ヌクレオチド、ペプチド、または非抗体タンパク質である
、請求項1~73のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項75】
前記細胞毒性剤が小分子である、請求項1~73のいずれか1項に記載の抗体薬物コン
ジュゲート。
【請求項76】
前記細胞毒性剤が、アウリスタチン、メイタンシノイド、ピロロベンゾジアゼピン、イ
ンドリノベンゾジアゼピン、カリケアマイシン、カンプトテシン類似体、デュオカルマイ
シン、チューブリン阻害剤、チューブリシンまたはチューブリシン類似体、アンベルスタ
チン269、ドキソルビシン、抗生物質、アントラサイクリン、微小管阻害剤、スプライ
セオスタチン、またはタイランスタチンである、請求項74に記載の抗体薬物コンジュゲ
ート。
【請求項77】
前記細胞毒性剤がモノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはモノメチルアウリス
タチンF(MMAF)である、請求項76に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項78】
前記細胞毒性剤がDM1またはDM4である、請求項76に記載の抗体薬物コンジュゲ
ート。
【請求項79】
前記リンカーが存在しない、請求項1~78のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュ
ゲートの製造方法であって、
(a)前記細胞毒性剤を前記抗体部分に直接共役させて、抗体薬物コンジュゲートを製
造し、(b)前記抗体薬物コンジュゲートを精製することを含む、製造方法。
【請求項80】
前記リンカーを含む、請求項1~78のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート
の製造方法であって、
(a)前記リンカーを前記抗体部分に直接共役させて、リンカー抗体部分を製造するこ
とと、(b)前記リンカー抗体部分の前記リンカーを前記細胞毒性剤に直接共役させて、
抗体薬物コンジュゲートを製造することと、(c)前記抗体薬物コンジュゲートを精製す
ることと、をこの順に含む、製造方法。
【請求項81】
前記リンカーを含む、請求項1~78のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート
の製造方法であって、
(a)前記リンカーを前記細胞毒性剤に直接共役させて、リンカー細胞毒性剤部分を製
造することと、(b)前記リンカー細胞毒性剤部分の前記リンカーを前記抗体部分に直接
共役させて、抗体薬物コンジュゲートを製造することと、(c)前記抗体薬物コンジュゲ
ートを精製することと、をこの順に含む、製造方法。
【請求項82】
請求項1~78のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲートの治療的有効量、およ
び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項83】
請求項82に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記
対象における癌の治療方法。
【請求項84】
前記癌が、肺、乳房、骨、卵巣、胃、膵臓、喉頭、食道、精巣、肝臓、耳下腺、胆道、
結腸、直腸、子宮頸部、子宮、子宮内膜、腎臓、膀胱、前立腺または甲状腺の癌である、
請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記癌が、肉腫、扁平上皮癌、黒色腫、神経膠腫、膠芽腫、神経芽腫またはカポジ肉腫
である、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記癌が乳癌である、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記癌がトリプルネガティブ乳癌である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記対象に他の治療薬を投与することをさらに含む、請求項83~87のいずれか1項
に記載の方法。
【請求項89】
前記他の治療薬が前記癌を治療するためのものである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記他の治療薬が、乳癌の治療に使用される薬剤、黒色腫の治療に使用される薬剤、免
疫療法、または血管新生阻害剤である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記他の治療薬が、タモキシフェン、ラロキシフェン、パクリタキセル、シクロホスフ
ァミド、ドセタキセル、ビンブラスチン、フルオロウラシル、エベロリムス、トラスツズ
マブ、トラスツズマブ-エムタンシン、ペルツズマブ、およびラパチニブジトシレートか
らなる群から選択される、乳癌を治療するのに使用される薬剤である、請求項90に記載
の方法。
【請求項92】
前記他の治療薬が、BRAF阻害剤、MEK阻害剤、およびダカルバジンからなる群か
ら選択される、黒色腫を治療するのに使用される薬剤である、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記他の治療薬が、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤で
ある抗体である、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
前記他の治療薬が、VEGF阻害剤、VEGFR2阻害剤、スニチニブ、およびソラフ
ェニブからなる群から選択される血管新生阻害剤である、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
前記対象がヒトである、請求項83~94のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、35USC§119(e)の下で、2017年6月28日に出願された米
国仮出願第62/525,993号の優先権を主張する。
【0002】
電子的に提出された配列表の参照
この出願は、2017年6月16日に作成された29キロバイトのサイズの「Sequence
Listing.txt」という名称のテキストファイルとして、この出願とともに提出された配列
表を参照により組み込むものとする。
【0003】
1.分野
本開示によれば、(i)Merチロシンキナーゼ(MERTK)(例えば、ヒトMER
TK、またはヒトおよびマウスMERTKの双方)に特異的に結合する抗体と、(ii)
前記抗体に直接共役されているか、またはリンカーを介して前記抗体に共役されている細
胞毒性剤とを含む抗体薬物コンジュゲート、並びに、当該抗体薬物コンジュゲートを含み
、当該抗体薬物コンジュゲートに含有される前記抗体が内皮細胞のMERTKシグナル伝
達を作動する組成物が提供される。本開示はまた、(i)MERTKに特異的に結合して
内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗体と、(ii)前記抗体に直接共役され
ているか、またはリンカーを介して前記抗体に共役されている細胞毒性剤とを含む抗体薬
物コンジュゲートを投与することによりがんを治療する方法をも提供する。
【0004】
2.背景
Merチロシンキナーゼ(MERTK)(c-mer、MER、癌原遺伝子c-Mer
、受容体チロシンキナーゼMerTK、チロシンプロテインキナーゼMer、STKキナ
ーゼ、RP38、またはMGC133349とも呼ばれる)は、受容体チロシンキナーゼ
のTAMファミリーのメンバーであり、AXLおよびTYRO3キナーゼも含む。MER
TKは、リガンド、特に注目されるのは可溶性タンパク質であるGas-6の結合による
活性化を介して、細胞外空間からのシグナルを変換する。Gas-6がMERTKに結合
すると、その細胞内ドメインでMERTKの自己リン酸化が誘導され、下流のシグナル活
性化が起こる(Cummings CT et al.,(2013)Clin Can
cer Res 19:5275-5280; Verma A et al.,(20
11)Mol Cancer Ther 10:1763-1773)。
【0005】
MERTK受容体は、膜結合型と可溶型の両方で存在している。細胞外ドメインは切断
されて可溶性の細胞外ドメインを生成することができ、この可溶性の細胞外ドメインは、
膜結合型MERTKに結合する可溶性Gas-6リガンドの能力および/または利用可能
性を低下させることにより、細胞上のMERTK受容体の活性化を負に調節するデコイ受
容体として作用するとの仮説がある(Sather S et al.,(2007)B
lood 109:1026-1033)。その結果、MERTKは、癌の進行、血管新
生、および転移に関連する2つの役割を有している。一方で、内皮細胞上のMERTKの
Gas-6活性化は、共培養システムにおける癌細胞による内皮細胞の動員を阻害する。
内皮動員は、腫瘍の血管新生、腫瘍の成長、および転移を可能にする癌細胞の重要な特徴
である。しかしながら、他方で、MERTKは癌細胞において反対の役割を果たしており
、その過剰発現は、おそらく切断されたMERTKを放出して可溶性のMERTK細胞外
ドメインタンパク質をデコイ受容体として生成することにより、転移の増加をもたらす。
したがって、腫瘍細胞は、デコイ受容体として作用する可溶性の形態の細胞外MERTK
受容体を分泌し、可溶性Gas-6リガンドが内皮細胞上のMERTKを活性化する能力
(および/または利用可能性)を低下させ、最終的に内皮動員、血管新生、および癌の進
行を引き起こす(Png KJ et al.,(2012)Nature 481:1
90-194)。
【0006】
歴史的に、癌の治療のため、MERTKの活性化剤ではなく阻害剤を生成するための努
力がなされてきた(例えば、抗癌化合物として開発された強力な小分子MERTK阻害剤
である、化合物UNC1062)。これは、MERTKは癌遺伝子としてのみ機能すると
考えられていたためである(Liu J et al.(2013)Eur J Med
Chem 65:83-93; Cummings CT et al.(2013)
Clin Cancer Res 19:5275-5280; Verma A et
al.(2011)Mol Cancer Ther 10:1763-1773)。
癌細胞および内皮細胞におけるMERTKの二重の役割を考えると、一般的にMERTK
の活性化をもたらす分子(例えば、内皮細胞および癌細胞の両方)での治療により、内皮
細胞の動員および転移が増加する可能性がある。ただし、癌細胞ではなく内皮細胞のME
RTKのシグナル伝達を活性化する化合物は、腫瘍の血管新生と転移の魅力的な治療薬に
なる可能性がある。
【0007】
したがって、MERTKに特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動
する抗体を用いた治療の選択肢が必要とされている。
【0008】
近年、抗体薬物コンジュゲート(ADC)は、最も急速に成長しているがん治療薬のク
ラスの1つとなっている(Beck A et al.(2017)Nat Rev D
rug Discov 16:315-337; Peters C and Brow
n S、(2015 )Biosci Rep 35:art:e00225)。
【0009】
本明細書における参考文献の引用は、それが本開示に対する先行技術であるという承認
として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0010】
3.概要
本発明は、(a)MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスME
RTKの双方)に特異的に結合し、内皮細胞のヒトMERTKシグナル伝達を作動する抗
体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1つま
たは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーとを含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部
分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役されてい
る、抗体薬物コンジュゲートを提供する。
【0011】
本発明の抗体薬物コンジュゲートの抗体部分であり得る、非限定的かつ例示的な抗ME
RTK抗体またはその抗原結合断片を以下に記載する。
【0012】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、
ヒトMERTKの細胞外ドメインを特異的に認識する。別の特定の実施形態では、本明細
書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、マウスMERTKの細胞外ドメ
インを特異的に認識する。別の特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体
またはその抗原結合断片は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマ
ウスMERTKの両方)への結合についてGas-6と競合する。特定の実施形態では、
本明細書に記載の抗MERTK抗体または抗原結合断片はモノクローナルである。別の特
定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、2つ
の同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである。
【0013】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)NYGMN(配列番号1)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2;および
/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0014】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)GYTFTNY(配列番号2)のVH CDR1;および/または
(b)(配列番号7)のVH CDR2;および/または
(c)STVVSRYFD(配列番号12)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0015】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPT(配列番号8)のVH CDR2;および/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0016】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)TNYGMN(配列番号4)のVH CDR1;および/または
(b)WMGWINTYTGEPT(配列番号9)のVH CDR2;および/または
(c)ARKSTVVSRYFD(配列番号13)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0017】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)GYTFTNYG(配列番号5)のVH CDR1;および/または
(b)INTYTGEP(配列番号10)のVH CDR2;および/または
(c)ARKSTVVSRYFDV(配列番号14)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0018】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2;および
/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0019】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1;および/または
(b)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2;および/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0020】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)SQDVGDA(配列番号16)のVL CDR1;および/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2;および/または
(c)YRSYPL(配列番号23)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0021】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)GDAVTWC(配列番号17)のVL CDR1;および/または
(b)LLIYWASTRH(配列番号21)のVL CDR2;および/または
(c)QQYRSYPL(配列番号24)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0022】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を刺激する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)QDVGDA(配列番号18)のVL CDR1;および/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2;および/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0023】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスM
ERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)DYSMH(配列番号25)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2;およ
び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0024】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)NYTFTDY(配列番号26)のVH CDR1;および/または
(b)TDTG(配列番号31)のVH CDR2;および/または
(c)FGAMD(配列番号36)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0025】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPT(配列番号32)のVH CDR2;および/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0026】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)TDYSMH(配列番号28)のVH CDR1;および/または
(b)WVGWINTDTGEPT(配列番号33)のVH CDR2;および/また

(c)ARWFGAMD(配列番号37)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0027】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)NYTFTDYS(配列番号29)のVH CDR1;および/または
(b)INTDTGEP(配列番号34)のVH CDR2;および/または
(c)ARWFGAMDY(配列番号38)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0028】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2;およ
び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0029】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトとマウスの両
方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1;および/または
(b)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2;および/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0030】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトとマウスの両
方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)SQDVTNV(配列番号40)のVL CDR1;および/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2;および/または
(c)YYRTPR(配列番号47)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0031】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトとマウスの両
方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)TNVVAWY(配列番号41)のVL CDR1;および/または
(b)LLIYSASYRY(配列番号45)のVL CDR2;および/または
(c)QQYYRTPR(配列番号48)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0032】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトとマウスの両
方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)QDVTNV(配列番号42)のVL CDR1;および/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2;および/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0033】
特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、上記のVH CD
Rのうちの1つ、2つ、または3つすべてを含む。特定の実施形態では、抗体またはその
抗原結合断片は、表1または表3のVH CDR1を含む。いくつかの実施形態では、抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、表1または表3のVH CDR2を含む。特
定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、表1または表3のVH
CDR3を含む。特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、
抗体M6のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3(表1)を含む。特
定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、抗体M19のVH C
DR1、VH CDR2、およびVH CDR3(表3)を含む。
【0034】
特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、上記のVL CD
Rのうちの1つ、2つ、または3つすべてを含む。特定の実施形態では、抗MERTK抗
体またはその抗原結合断片は、表2または表4のVL CDR1を含む。いくつかの実施
形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、表2または表4のVL CDR
2を含む。特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、表2また
は表4のVL CDR3を含む。特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原
結合断片は、抗体M6のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3(表2
)を含む。特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、抗体M1
9のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3(表4)を含む。
【0035】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)NYGMN(配列番号1)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2;および
/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1;および/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2;および/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3。
【0036】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)GYTFTNY(配列番号2)のVH CDR1;および/または
(b)(配列番号7)のVH CDR2;および/または
(c)STVVSRYFD(配列番号12)のVH CDR3;および/または
(d)SQDVGDAのVL(配列番号16) CDR1;および/または
(e)WAS(配列番号20)のVL CDR2;および/または
(f)YRSYPL(配列番号23)のVL CDR3。
【0037】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPT(配列番号8)のVH CDR2;および/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1;および/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2;および/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3。
【0038】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)TNYGMN(配列番号4)のVH CDR1;および/または
(b)WMGWINTYTGEPT(配列番号9)のVH CDR2;および/または
(c)ARKSTVVSRYFD(配列番号13)のVH CDR3;および/または
(d)GDAVTWC(配列番号17)のVL CDR1;および/または
(e)LLIYWASTRH(配列番号21)のVL CDR2;および/または
(f)QQYRSYPL(配列番号24)のVL CDR3。
【0039】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)GYTFTNYG(配列番号5)のVH CDR1;および/または
(b)INTYTGEP(配列番号10)のVH CDR2;および/または
(c)ARKSTVVSRYFDV(配列番号14)のVH CDR3;および/また

(d)QDVGDA(配列番号18)のVL CDR1;および/または
(e)WAS(配列番号20)を含むVL CDR2;および/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3。
【0040】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2;および
/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1;および/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2;および/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3。
【0041】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)DYSMH(配列番号25)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2;およ
び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1;および/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2;および/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3。
【0042】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)NYTFTDY(配列番号26)のVH CDR1;および/または
(b)TDTG(配列番号31)のVH CDR2;および/または
(c)FGAMD(配列番号36)のVH CDR3;および/または
(d)SQDVTNV(配列番号40)のVL CDR1;および/または
(e)SAS(配列番号44)のVL CDR2;および/または
(f)YYRTPR(配列番号47)のVL CDR3。
【0043】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPT(配列番号32)のVH CDR2;および/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1;および/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2;および/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3。
【0044】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)TDYSMH(配列番号28)のVH CDR1;および/または
(b)WVGWINTDTGEPT(配列番号33)のVH CDR2;および/また

(c)ARWFGAMD(配列番号37)のVH CDR3;および/または
(d)TNVVAWY(配列番号41)のVL CDR1;および/または
(e)LLIYSASYRYの(配列番号45)VL CDR2;および/または
(f)QQYYRTPR(配列番号48)のVL CDR3。
【0045】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)NYTFTDYS(配列番号29)のVH CDR1;および/または
(b)INTDTGEP(配列番号34)のVH CDR2;および/または
(c)ARWFGAMDY(配列番号38)のVH CDR3;および/または
(d)QDVTNV(配列番号42)のVL CDR1;および/または
(e)SAS(配列番号44)のVL CDR2;および/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3。
【0046】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2;およ
び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1;および/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2;および/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3。
【0047】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可
変領域配列を含む。別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、ま
たはヒトとマウスの両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮のMERTKシグナル伝
達を作動する抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号51のアミノ酸配列
を含む重鎖可変領域配列を含む。
【0048】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスM
ERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変
領域配列を含む。別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、また
はヒトおよびマウスの両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグ
ナル伝達を作動する、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号52のアミ
ノ酸配列を含む軽鎖可変領域配列を含む。
【0049】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、(a)配列番号49のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域と、(b)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む。別の
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスM
ERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗体
またはその断片は、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配
列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む。
【0050】

特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗体は、重鎖定常領域および/または軽鎖定常領域を含む。一部の実施
形態では、重鎖定常領域は、IgG、IgG2、IgG、IgG4、IgA、およ
びIgAからなるヒト免疫グロブリンの群から選択される。特定の実施形態では、軽鎖
定常領域は、IgGκおよびIgGλからなるヒト免疫グロブリンの群から選択される。
いくつかの実施形態において、抗体は、1つまたは複数のヒトFcガンマ受容体に対する
結合親和性が増加した定常領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、1つまた
は複数のヒトFcガンマ受容体に対する結合親和性が低下した定常領域を含む。
【0051】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス両
方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載の抗体と同じMERTK(例
えば、ヒトMERTK、またはヒトとマウスの両方のMERTK)のエピトープに結合す
る抗MERTK抗体またはその抗原結合断片である。別の実施形態では、MERTK(例
えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス両方のMERTK)に特異的に結合し、
内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗MERTK抗体またはその抗原結合断片
は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスMERTKの両方)
への結合について、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片と競合す
る抗MERTK抗体またはその抗原結合断片である。別の特定の実施形態では、MERT
K(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に特異的に
結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を刺激する抗MERTK抗体またはその抗原
結合断片は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトとマウスの両方のMER
TK)への結合について、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片と
競合する第1の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片であり、ここで、前記競合は、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片の存在下での前記第1の抗M
ERTK抗体またはその抗原結合断片のMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒ
トおよびマウスの両方のMERTK)への結合の80%超(例えば、85%、90%、9
5%、98%、または80%~85%、80%~90%、85%~90%、もしくは85
%~95%)の低下として示される。
【0052】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する
、本明細書に記載の抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、マウス抗体またはキメラ抗体である
。特定の実施形態において、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマ
ウスの両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動
する、本明細書に記載の抗体は、約3pM~約400pMの範囲のKで、MERTK(
例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に結合する。特
定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は単離されている。特定の実施形態では、本明
細書に記載の抗体はモノクローナル抗体である。
【0053】
別の実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体の重鎖可変領域および/ま
たは軽鎖可変領域、または重鎖および/または軽鎖をコードする核酸分子が本明細書に記
載される。特定の実施形態では、核酸分子は、配列番号53または配列番号55の核酸配
列を含む重鎖可変領域をコードする。別の特定の実施形態では、核酸分子は、配列番号5
4または配列番号56の核酸配列を含む軽鎖可変領域をコードする。特定の実施形態では
、核酸分子は単離されている。
【0054】
特定の実施形態において、本明細書に記載の抗MERTK抗体の重鎖可変領域および/
または軽鎖可変領域、または重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含
むベクター(例えば、単離されたベクター)が本明細書に記載される。特定の実施形態に
おいては、上記ポリヌクレオチドまたはベクターを含む宿主細胞が本明細書に記載される
。宿主細胞の例には、大腸菌、シュードモナス、バチルス、ストレプトミセス、酵母、C
HO、YB/20、NS0、PER-C6、HEK-293T、NIH-3T3、HeL
a、BHK、HepG2、SP2/0、R1.1、B-W、L-M、COS1、COS7
、BSC1、BSC40、BMT10細胞、植物細胞、昆虫細胞、および組織培養中のヒ
ト細胞がある。特定の実施形態においては、ポリヌクレオチドが発現され、抗体が産生さ
れるように宿主細胞を培養することを含む、MERTK(例えば、ヒトMERTK、また
はヒトおよびマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナ
ル伝達を作動する抗MERTK抗体またはその抗原結合断片を製造する方法が本明細書に
記載される。
【0055】
別の実施形態において、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートおよび薬学的に許容
される担体を含む医薬組成物が本明細書により提供される。医薬組成物は、癌の治療に使
用されうる。
【0056】
特定の実施形態においては、対象に本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートの有効量
を投与することを含む、対象の癌を治療する方法が本明細書により提供される。別の実施
形態では、本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象の癌を治療す
る方法が本明細書により提供される。特定の実施形態では、癌を治療する方法は、内皮細
胞の遊走の阻害、血管新生の阻害、および/または腫瘍進行の阻害をもたらす。
【0057】
特定の実施形態では、本明細書により提供される方法によって治療される癌は、肺、乳
房、骨、卵巣、胃、膵臓、喉頭、食道、精巣、肝臓、耳下腺、胆道、結腸、直腸、子宮頸
部、子宮の癌、子宮内膜、腎臓、膀胱、前立腺または甲状腺の癌である。いくつかの実施
形態において、治療される癌は、肉腫、扁平上皮癌、黒色腫、神経膠腫、膠芽腫、神経芽
腫またはカポジ肉腫である。
【0058】
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法により治療される癌は、乳癌である。
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法により治療される癌は、トリプルネガテ
ィブ乳癌である。
【0059】
特定の実施形態では、癌を治療する方法は、追加の治療薬を対象に投与することをさら
に含む。本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートまたは本明細書に記載の医薬組成物と
組み合わせて対象に投与することができる追加の治療薬の例は、以下のセクション5.6
および5.7に記載されている。
【0060】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートと組み合わせて対象に
投与される追加の治療薬は、乳癌の治療に使用される薬剤、黒色腫の治療に使用される薬
剤、免疫療法、または血管新生阻害剤である。
【0061】
特定の実施形態において、追加の治療薬は、タモキシフェン、ラロキシフェン、パクリ
タキセル(タキソール(登録商標))、シクロホスファミド、ドセタキセル、ビンブラス
チン、フルオロウラシル、エベロリムス、トラスツズマブ、トラスツズマブ-エムタンシ
ン、ペルツズマブ、およびラパチニブジトリレートからなる群から選択される、乳癌の治
療に使用される薬剤である。
【0062】
特定の実施形態では、追加の治療薬は、BRAF阻害薬、MEK阻害薬、およびダカル
バジンからなる群から選択される黒色腫の治療に使用される薬剤である。
【0063】
特定の実施形態では、追加の治療薬は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、または
PD-L1阻害剤である抗体である。
【0064】
特定の実施形態では、追加の治療薬は、VEGF阻害剤、VEGFR2阻害剤、スニチ
ニブ、およびソラフェニブからなる群から選択される血管新生阻害剤である。
【0065】
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法により治療される対象はヒトである。
【0066】
一形態では、(a)ヒトMerチロシンキナーゼ(MERTK)に特異的に結合し、内
皮細胞のヒトMERTKシグナル伝達を作動する抗体またはその抗原結合断片である抗体
部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、(c)任意の
リンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または
、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲートが本明
細書により提供される。
【0067】
前述の形態の特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、マウスMERTK
にさらに特異的に結合する。
【0068】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体はヒトMERTKの細胞
外ドメインを特異的に認識し、当該細胞外ドメインは配列番号58のアミノ酸配列を含む
【0069】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体は、ヒトMERTKへの
結合についてGas-6と競合する。
【0070】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体はモノクローナル抗体で
ある。
【0071】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体は、2つの同一の軽鎖お
よび2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである。
【0072】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、重鎖のそれぞれは、配列番号1の相補性決定領域(CDR)1、
配列番号:6のCDR2、および配列番号:11のCDR3を含む可変領域(VH)を含
む。そのような特定の実施形態のさらなる一実施形態では、軽鎖のそれぞれは、配列番号
15の相補性決定領域(CDR)1、配列番号19のCDR2、および配列番号22のC
DR3を含む可変領域(VL)を含む。
【0073】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、重鎖のそれぞれは可変領域(VH)を含み、当該VHは配列番号
2のCDR1、配列番号7のCDR2、および配列番号12のCDR3を含む。そのよう
な特定の実施形態のさらなる一実施形態では、軽鎖のそれぞれは可変領域(VL)を含み
、当該VLは配列番号16のCDR1、配列番号:20のCDR2、および配列番号:2
3のCDR3を含む。
【0074】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各重鎖は可変領域(VH)を含み、当該VHは配列番号3のCD
R1、配列番号8のCDR2、および配列番号11のCDR3を含む、そのような特定の
実施形態のさらなる一実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは配列
番号15の相補性決定領域(CDR)1、配列番号19のCDR2、および配列番号22
のCDR3を含む。
【0075】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各重鎖は可変領域(VH)を含み、当該VHは配列番号4のCD
R1、配列番号9のCDR2、および配列番号13のCDR3を含む。そのような特定の
実施形態のさらなる一実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは配列
番号17のCDR1、配列番号:21のCDR2、および配列番号:24のCDR3を含
む。
【0076】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各重鎖は可変領域(VH)を含み、当該VHは配列番号5のCD
R1、配列番号10のCDR2および配列番号14のCDR3を含む。このような特定の
実施形態のさらなる一実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは配列
番号18のCDR1、配列番号20のCDR2、および配列番号22のCDR3を含む。
【0077】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各重鎖は可変領域(VH)を含み、当該VHは配列番号3のCD
R1、配列番号6のCDR2、および配列番号11のCDR3を含む。そのような特定の
実施形態のさらなる一実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは配列
番号15の相補性決定領域(CDR)1、配列番号19のCDR2、および配列番号22
のCDR3を含む。
【0078】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、重鎖のそれぞれは可変領域(VH)を含み、当該VHは配列番号
25のCDR1、配列番号30のCDR2、および配列番号35のCDR3を含む。その
ような特定の実施形態のさらなる一実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当
該VLは配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、および配列番号46のCD
R3を含む。
【0079】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各重鎖は可変領域(VH)を含み、当該VHは配列番号26のC
DR1、配列番号31のCDR2、および配列番号36のCDR3を含む。このような特
定の実施形態のさらなる一実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは
配列番号40のCDR1、配列番号:44のCDR2、および配列番号:47のCDR3
を含む。
【0080】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各重鎖は可変領域(VH)を含み、当該VHは配列番号27のC
DR1、配列番号32のCDR2、および配列番号35のCDR3を含む、そのような特
定の実施形態のさらなる一実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは
配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、および配列番号46のCDR3を含
む。
【0081】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各重鎖は可変領域(VH)を含み、当該VHは配列番号28のC
DR1、配列番号33のCDR2、および配列番号37のCDR3を含む。そのような特
定の実施形態のさらなる一実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは
配列番号41のCDR1、配列番号45のCDR2、および配列番号48のCDR3を含
む。
【0082】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各重鎖は可変領域(VH)を含み、当該VHは配列番号29のC
DR1、配列番号34のCDR2、および配列番号38のCDR3を含む。
【0083】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各重鎖は可変領域(VH)を含み、当該VHは配列番号27のC
DR1、配列番号30のCDR2、および配列番号35のCDR3を含む。そのような特
定の実施形態のさらなる一実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは
配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、および配列番号46のCDR3を含
む。そのような特定の実施形態の別のさらなる実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)
を含み、当該VLは配列番号42のCDR1、配列番号44のCDR2、および配列番号
46のCDR3を含む。
【0084】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは配列番号15の相
補性決定領域(CDR)1、配列番号:19のCDR2、および配列番号:22のCDR
3を含む可変領域(VL)を含む。
【0085】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは配列番号16のC
DR1、配列番号20のCDR2、および配列番号23のCDR3を含む。
【0086】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは配列番号17のC
DR1、配列番号21のCDR2、および配列番号24のCDR3を含む。
【0087】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、VLは配列番号18のCDR
1、配列番号20のCDR2、および配列番号22のCDR3を含む。
【0088】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは配列番号39のC
DR1、配列番号43のCDR2、および配列番号46のCDR3を含む。
【0089】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは配列番号40のC
DR1、配列番号44のCDR2、および配列番号47のCDR3を含む。
【0090】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは配列番号41のC
DR1、配列番号45のCDR2、および配列番号48のCDR3を含む。
【0091】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、各軽鎖は可変領域(VL)を含み、当該VLは配列番号42のC
DR1、配列番号44のCDR2、および配列番号46のCDR3を含む。
【0092】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、重鎖は可変領域(VH)を含み、これは配列番号49を含む。そ
のような特定の実施形態のさらなる一実施形態では、軽鎖は配列番号50を含む可変領域
(VL)を含む。
【0093】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、軽鎖は配列番号50を含む可変領域(VL)を含む。
【0094】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、重鎖は配列番号51を含む可変領域(VH)を含む。そのような
実施形態のさらなる一実施形態では、軽鎖は配列番号52を含む可変領域(VL)を含む
【0095】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態
の特定の実施形態では、軽鎖は配列番号52を含む可変領域(VL)を含む。
【0096】
抗体が2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである、先行す
る実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト由来
定常領域を含む。そのような特定の実施形態のさらなる一実施形態では、重鎖定常領域は
、ガンマ1、ガンマ2、ガンマ3、およびガンマ4からなる群から選択されるアイソタイ
プを有する。
【0097】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片
はヒト化されている。
【0098】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体は、約3pM~約400
pMの範囲の解離定数KでヒトMERTKに結合する。
【0099】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体は、約3pM~400p
Mの範囲のKでマウスMERTKに結合する。
【0100】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、
乳癌細胞の存在下、インビトロで内皮細胞の遊走を阻害し、前記遊走はコントロール抗体
で処理された内皮細胞と比較して30%超阻害される。
【0101】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、
インビトロでヒト血管内皮細胞のMERTKのリン酸化を促進する。
【0102】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、
インビトロで癌細胞上のMERTKのリン酸化を促進しない。
【0103】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、
インビボで腫瘍血管新生を阻害する。
【0104】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、
内皮細胞の非存在下、インビトロでのトランスウェル遊走アッセイにおいて多形膠芽腫細
胞株A172の遊走を阻害しない。
【0105】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、
多形性膠芽腫細胞株A172上のMERTKの発現レベルを低下させない。
【0106】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号1の相補性決定領域
(CDR)1、配列番号6のCDR2、および配列番号11のCDR3を含む重鎖可変領
域(VH)を含む抗体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞
毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞
毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗
体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。そのよ
うな形態の特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖可変領域(VL)を
さらに含み、当該VLは配列番号15の相補性決定領域(CDR)1、配列番号19のC
DR2、および配列番号22のCDR3を含む。
【0107】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号2のCDR1、配列
番号7のCDR2、および配列番号12のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗
体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1つま
たは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体
部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役されて
いる、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。そのような形態の特定の実
施形態では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、当該V
Lは配列番号16のCDR1、配列番号20のCDR2、および配列番号23のCDR3
を含む。
【0108】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号3のCDR1、配列
番号8のCDR2、および配列番号11のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗
体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1つま
たは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体
部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役されて
いる、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。そのような形態の特定の実
施形態では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、当該V
Lは配列番号15の相補性決定領域(CDR)1、配列番号19のアミノ酸配列を含むC
DR2、および配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0109】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号4のCDR1、配列
番号9のCDR2、および配列番号13のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗
体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1つま
たは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体
部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役されて
いる、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。そのような形態の特定の実
施形態では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、当該V
Lは配列番号17のCDR1、配列番号21のCDR2、および配列番号24のCDR3
を含む。
【0110】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号5のCDR1、配列
番号10のCDR2、および配列番号14のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む
抗体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1つ
または複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗
体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役され
ている、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。そのような形態の特定の
実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、当該
VLは配列番号18のCDR1、配列番号20のCDR2、および配列番号22のCDR
3を含む。
【0111】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号3のCDR1、配列
番号6のCDR2、および配列番号11のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含む抗
体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1つま
たは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体
部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役されて
いる、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。そのような形態の特定の実
施形態では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、当該V
Lは配列番号15の相補性決定領域(CDR)1、配列番号19のアミノ酸配列を含むC
DR2、および配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0112】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号25のCDR1、配
列番号30のCDR2、および配列番号35のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含
む抗体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1
つまたは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記
抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役さ
れている、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。そのような形態の特定
の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、当
該VLは配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、および配列番号46のCD
R3を含む。
【0113】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号26のCDR1、配
列番号31のCDR2、および配列番号36のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含
む抗体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1
つまたは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記
抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役さ
れている、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。そのような形態の特定
の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、当
該VLは配列番号40のCDR1、配列番号44のCDR2、および配列番号47のCD
R3を含む。
【0114】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号27のCDR1、配
列番号32のCDR2、および配列番号35のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含
む抗体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1
つまたは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記
抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役さ
れている、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。そのような形態の特定
の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、当
該VLは配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、および配列番号46のCD
R3を含む。
【0115】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号28のCDR1、配
列番号33のCDR2、および配列番号37のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含
む抗体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1
つまたは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記
抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役さ
れている、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。そのような形態の特定
の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、当
該VLは配列番号41のCDR1、配列番号45のCDR2、および配列番号48のCD
R3を含む。
【0116】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号29のCDR1、配
列番号34のCDR2、および配列番号38のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含
む抗体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1
つまたは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記
抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役さ
れている、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。
【0117】
別の形態では、(a)ヒトMERTKに特異的に結合し、配列番号27のCDR1、配
列番号30のCDR2、および配列番号35のCDR3を含む重鎖可変領域(VH)を含
む抗体またはその抗原結合断片である抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1
つまたは複数の薬物部分と、(c)任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記
抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役さ
れている、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。そのような形態の特定
の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、当
該VLは配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、および配列番号:46のC
DR3を含む。そのような形態の別の特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片
は軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、当該VLは配列番号42のCDR1、配列番号4
4のCDR2、および配列番号:46のCDR3を含む。
【0118】
前述の形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体は免疫グロブリンであり、抗原結合
断片は免疫グロブリンの一部である。
【0119】
前述の形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は免疫グロ
ブリンである。
【0120】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片
はヒト化されている。
【0121】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片
は、ヒト由来定常領域を含む。そのような特定の実施形態のさらなる一実施形態では、抗
体またはその抗原結合断片は、ヒト化免疫グロブリンである。
【0122】
抗体がモノクローナル抗体または2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む免疫
グロブリンではない、前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体また
はその抗原結合断片は二重特異性抗体である。
【0123】
別の形態では、(A)ヒトMERTKに特異的に結合する免疫グロブリンである抗体部
分と、(B)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、(C)任意のリ
ンカーと、を含み、前記免疫グロブリンは、(i)配列番号51のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域、および(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、前
記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して
前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。
【0124】
別の形態では、(A)ヒトMERTKに特異的に結合する免疫グロブリンである抗体部
分と、(B)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、(C)任意のリ
ンカーと、を含み、前記免疫グロブリンは、(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重
鎖可変領域、および(ii)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、前
記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して
前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。
【0125】
別の態様では、(I)ヒトMERTKに特異的に結合する免疫グロブリンである抗体部
分と、(II)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、(III)任
意のリンカーと、を含み、前記免疫グロブリンは、(A)(i)配列番号51のアミノ酸
配列を含む重鎖可変領域、および(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領
域;または、(B)(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(i
i)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;を含み、前記細胞毒性剤は、前記
抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役さ
れている、抗体薬物コンジュゲートが本明細書により提供される。
【0126】
別の形態では、(I)(a)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
および(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む第1の免疫グロブ
リン;並びに、(b)(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(
ii)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む第2の免疫グロブリン;か
らなる群から選択される参照抗体とMERTKへの結合について競合する抗体である抗体
部分と、(II)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、(III)
任意のリンカーと、を含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、
または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲート
が本明細書により提供される。
【0127】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体部分の薬物部分に対する
モル比が1:1~1:8である。
【0128】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体部分の薬物部分に対する
モル比が1:3~1:5である。
【0129】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体薬物コンジュゲートはリ
ンカーを含み、当該リンカーは切断可能なリンカーである。
【0130】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、抗体薬物コンジュゲートはリ
ンカーを含み、当該リンカーは切断不能なリンカーである。
【0131】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、細胞毒性剤は小分子、ヌクレ
オチド、ペプチド、または非抗体タンパク質である。このような特定の実施形態のさらな
る一実施形態では、細胞毒性剤は小分子である。
【0132】
前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、細胞毒性剤は、アウリスタチ
ン、メイタンシノイド、ピロロベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン、カリケ
アマイシン、カンプトテシン類似体、デュオカルマイシン、チューブリン阻害剤、チュー
ブリシンまたはチューブリシン類似体、アンベルスタチン269、ドキソルビシン、抗生
物質、アントラサイクリン、微小管阻害剤、スプライセオスタチン、またはタイランスタ
チンである。そのような特定の実施形態のさらなる一実施形態では、細胞毒性剤は、モノ
メチルアウリスタチンE(MMAE)またはモノメチルアウリスタチンF(MMAF)で
ある。そのような特定の実施形態の別のさらなる実施形態では、細胞毒性剤はDM1また
はDM4である。
【0133】
別の形態では、リンカーが存在しない上述の形態/実施形態のいずれかに記載の抗体薬
物コンジュゲートを製造する方法が本明細書により提供され、この方法は、(a)前記細
胞毒性剤を前記抗体部分に直接共役させて、抗体薬物コンジュゲートを製造し、(b)前
記抗体薬物コンジュゲートを精製することを含む。
【0134】
別の形態では、リンカーを含む、上述の形態/実施形態のいずれかに記載の抗体薬物コ
ンジュゲートの製造方法が本明細書により提供され、この方法は、(a)前記リンカーを
前記抗体部分に直接共役させて、リンカー抗体部分を製造することと、(b)前記リンカ
ー抗体部分の前記リンカーを前記細胞毒性剤に直接共役させて、抗体薬物コンジュゲート
を製造することと、(c)前記抗体薬物コンジュゲートを精製することと、をこの順に含
む。
【0135】
別の形態では、リンカーを含む、上述の形態/実施形態のいずれかに記載の抗体薬物コ
ンジュゲートの製造方法が本明細書により提供され、この方法は、(a)前記リンカーを
前記細胞毒性剤に直接共役させて、リンカー細胞毒性剤部分を製造することと、(b)前
記リンカー細胞毒性剤部分の前記リンカーを前記抗体部分に直接共役させて、抗体薬物コ
ンジュゲートを製造することと、(c)前記抗体薬物コンジュゲートを精製することと、
をこの順に含む。
【0136】
別の形態では、前述の形態/実施形態のいずれかに記載の抗体薬物コンジュゲートの治
療有効量、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が本明細書により提供される
【0137】
別の形態では、前述の形態に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するこ
とを含む、前記対象における癌の治療方法が本明細書により提供される。
【0138】
癌を治療する方法の前述の形態の特定の実施形態では、癌は肺、乳房、骨、卵巣、胃、
膵臓、喉頭、食道、精巣、肝臓、耳下腺、胆道、結腸、直腸、子宮頸部、子宮、子宮内膜
、腎臓、膀胱、前立腺または甲状腺の癌である。そのような特定の実施形態の特定の実施
形態では、癌は乳癌である。そのような特定の実施形態のさらなる一実施形態では、癌は
トリプルネガティブ乳癌である。
【0139】
癌を治療する方法の前述の形態の特定の実施形態では、癌は肉腫、扁平上皮癌、黒色腫
、神経膠腫、神経膠芽腫、神経芽腫またはカポジ肉腫である。
【0140】
癌を治療する方法の前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、上記方法
は、追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。
【0141】
上記方法が追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む実施形態の特定の実施形態
では、追加の治療薬は上記癌を治療するためのものである。
【0142】
追加の治療薬が前記癌を治療するためのものである実施形態の特定の実施形態では、当
該追加の治療薬は、乳癌の治療に使用される薬剤、黒色腫の治療に使用される薬剤、免疫
療法、または血管新生阻害剤である。そのような特定の実施形態のさらなる一実施形態で
は、追加の治療薬は、タモキシフェン、ラロキシフェン、パクリタキセル、シクロホスフ
ァミド、ドセタキセル、ビンブラスチン、フルオロウラシル、エベロリムス、トラスツズ
マブ、トラスツズマブ-エムタンシン、ペルツズマブ、およびラパチニブジトシレートか
らなる群から選択される、乳癌を治療するのに使用される薬剤である。そのような特定の
実施形態の別のさらなる実施形態では、追加の治療薬は、BRAF阻害剤、MEK阻害剤
、およびダカルバジンからなる群から選択される、黒色腫を治療するのに使用される薬剤
である。そのような特定の実施形態の別のさらなる実施形態では、追加の治療薬は、CT
LA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である抗体である。そのよう
な特定の実施形態の別のさらなる実施形態では、追加の治療薬は、VEGF阻害剤、VE
GFR2阻害剤、スニチニブ、およびソラフェニブからなる群から選択される血管新生阻
害剤である。
【0143】
癌を治療する方法の前述の形態/実施形態のいずれかの特定の実施形態では、対象はヒ
トである。
【0144】
4.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0145】
図1図1Aおよび1B:MERTKの配列。A)抗体産生のためにマウスを免疫するのに使用される組換えMERTKペプチドの概略図。このペプチドは、MERTKの細胞外ドメイン(図1Bを参照)、短鎖連結ペプチド(IEGRMD)、およびヒトIgG1の一部で構成されている。B)図1Aに記載の組換えMERTKペプチドで使用されるMERTKの部分を示す完全長ヒトMERTKの配列(配列番号57)(太字および下線付き配列;配列番号58)。
図2図2:MERTKモノクローナル抗体スクリーン。単一のハイブリドーマクローンから回収されたMERTK結合モノクローナル抗体の結合特性を特徴付けるのに使用される抗体捕獲ELISAアッセイからのデータを示す図。抗体クローンは、第1列でM1からM20まで任意に名付けられている。MERTK結合モノクローナル抗体のいくつかは、第2列の大きな(>3.5)OD値で示されるように、MERTKに対して高い親和性結合を示した。これらの抗体の一部は、第3列の低い(<2.5)ブロッキングOD値で示されるように、MERTKのGas-6への結合も中和した。
図3図3:MERTK結合抗体M19およびM6は内皮動員を阻害する。生理学的濃度のモノクローナル抗体M6またはM19のいずれかが、転移性乳癌細胞による内皮動員を有意に阻害できることを示す図。2.5×10個のMDA-MB-231細胞を4重に播種した。5×10個のHUVEC細胞の癌細胞へのトランスウェル遊走を、200ng/mLのコントロール抗体(IgG)またはスクリーニングから分離されたMERTK結合抗体の存在下で評価した。トランスウェルインサートを介して移動した細胞の画像を取得し、ImageJソフトウェアを使用して細胞をカウントした。N=4。内皮細胞の動員を著しく阻害するモノクローナル抗体(M6およびM19)は、それぞれ赤色および緑色で標識されている。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
図4図4A、4Bおよび4C:MERTK結合抗体M19は内皮細胞上のMERTKを活性化する。A)HUVEC細胞を、FBSなし+M19なし、10%FBS+M19なし、10%FBS+25μg/mLのM19、またはFBSなし+25μg/mLのM19のいずれかで16時間処理し、活性化(リン酸化)されたMERTK(P-MERTK)およびMERTKとAKTとの合計レベルについてのウエスタンブロット分析を行った。示されているように、M19抗体による処理は、活性化されたMERTKのレベルを増加させた。B)M19抗体処理によるMERTK活性化の定量であり、図4Aのウエスタンブロットのデータに基づき、M19処理および未処理のHUVEC細胞から分離されたP-MERTKのMERTKに対するタンパク質発現レベルの比として算出した。C)HUVEC細胞については、P-MERTKのウエスタンブロット分析の前に、30分間、示されているようにM19抗体の濃度を増加させて処理した。M19治療の用量を増やすと、MERTKの活性化が増加することに注目すべきである。
図5図5Aおよび5B:MERTK結合抗体M6は内皮細胞上のMERTKを活性化する。A)HUVEC細胞を、活性化(リン酸化)MERTK(P-MERTK)およびMERTKの合計レベルのウエスタンブロット分析の16時間前に、FBSなし+M6なし、10%FBS+M6なし、10%FBS+25μg/mLのM6、またはFBSなし+25μg/mLのM6のいずれかで処理した。示されているように、M6抗体による処理は、活性化されたMERTKのレベルを増加させた。B)M6抗体処理によるMERTK活性化の定量であり、図5Aのウエスタンブロットデータに基づき、M6処理および未処理HUVEC細胞から分離されたP-MERTKのMERTKに対するタンパク質発現レベルの比として算出した。
図6図6:MERTK結合抗体M19は癌細胞上のMERTKを活性化しない。LM2乳癌細胞を、FBSなし+M19抗体なし、10%FBS+M19抗体なし、10%FBS+25μg/mLのM19抗体、またはFBSなし+25μg/mLのM19抗体のいずれかで16時間処理した後、活性化されたMERTK(P-MERTK)およびMERTKの合計レベルについてのウエスタンブロット分析を行った。示されているように、M19抗体で処理した癌細胞では検出可能なレベルのP-MERTKは誘導されなかった。
図7図7:M19は高い親和性でヒトMERTKに結合する。バイオレイヤー干渉法を使用した、ヒトMERTK(hMer)に対するM19の抗体結合動態(Mer-M19)を示す図。精製されたM19をAMQセンサーに1μg/mLの濃度でロードし、溶液中の検体に対する結合を試験した。すべての検体は、5nMから合計7濃度の2倍希釈系列で調製した。動的フィットは、1:1モデルを使用して計算し、各濃度についてのローカルフィットおよび全体的なグローバルフィットを行った。全体的なグローバルフィットにより計算されたヒトMERTKへのM19の結合の結合親和性(K)は、326ピコモルであった。
図8図8:M19はマウスMERTKに高い親和性で結合する。バイオレイヤー干渉法を使用した、マウスMERTK(msMer)に対するM19の抗体結合動態(Mer-M19)を示す図。精製されたM19をAMQセンサーに1μg/mLの濃度でロードし、溶液中の検体に対する結合を試験した。すべての検体は、5nMから合計7濃度の2倍希釈系列で調製した。動的フィットは、1:1モデルを使用して計算し、各濃度についてのローカルフィットおよび全体的なグローバルフィットを行った。全体的に計算されたマウスMERTKへのM19結合のグローバルフィット結合親和性(K)は、305ピコモルであった。
図9図9Aおよび9B:M19による処置は、インビボでのトリプルネガティブ乳癌の原発腫瘍の増殖および転移を阻害する。A)250μgのコントロール抗体(IgG)またはM19抗体のいずれかで隔週処置したマウスにおける2000MDA-MB-231または5000Lm1a1乳癌細胞の乳腺脂肪体での腫瘍成長である。B)250μgのコントロール抗体(IgG)またはM19抗体のいずれかで隔週処置したマウスにおける乳腺脂肪体に、Lm1a1乳癌細胞を両側注射した。98日後、肺を摘出し、H&E染色のために処理し、転移性結節の数を数えた。N=4。エラーバーは平均の標準誤差を表す。スチューデントのT検定を使用してP値を取得した(p<0.05)。
図10図10:M19による処置は、インビボでの血管新生を阻害する。250μgのコントロール抗体(IgG)またはM19抗体で週に2回処置した、58日間成長した乳腺の脂肪体における異種移植腫瘍を、DAPIおよびCD31で二重染色した。閾値CD31シグナルを使用して、血管密度を定量化した。N=4。エラーバーは平均の標準誤差を表す。スチューデントのT検定を使用してP値を取得した(p<0.05)。
図11図11:M6は高い親和性でMERTKに結合する。M6は、高い親和性でヒトMERTKに結合する。バイオレイヤー干渉法を使用した、ヒトMERTK(hMer)に対するM6の抗体結合動態(Mer-M6)を示す図。精製されたM6をAMQセンサーに1μg/mLの濃度でロードし、溶液中の検体に対する結合を試験した。すべての検体は、5nMから合計7濃度の2倍希釈系列で調製した。動的フィットは、1:1モデルを使用して計算し、各濃度についてのローカルフィットおよび全体的なグローバルフィットを行った。全体的に計算されたM6のヒトMERTKへの結合についての結合親和性(K)は、4.6ピコモルであった。
図12図12:M6による処置は、インビボでのトリプルネガティブ乳癌の原発腫瘍成長を阻害する。250μgのコントロール抗体またはM6抗体のいずれかで、隔週、21日間処置したマウスにおける2000MDA-MB-231による乳腺の脂肪体での腫瘍成長である。N=4。エラーバーは平均の標準誤差を表す。
【発明を実施するための形態】
【0146】
5.詳細な説明
本明細書によれば、(a)MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマ
ウスMERTKの双方)に特異的に結合し、内皮細胞のヒトMERTKシグナル伝達を作
動する抗MERTK抗体(例えば、モノクローナル抗体)またはその抗原結合断片である
抗体部分と、(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、(c)任
意のリンカーとを含み、前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、また
は、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役されている、抗体薬物コンジュゲートが提
供される。本開示で使用される「共役」という用語は、共有結合により結合していること
を意味するものとし、これは直接または介在する共有結合構造を介して行うことができる
【0147】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体-薬物コンジュゲートは、1:1~1
:20の薬物部分に対する抗体部分のモル比を有する。特定の実施形態では、本明細書で
提供される抗体薬物コンジュゲートは、1:1~1:15の薬物部分に対する抗体部分の
モル比を有する。特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体薬物コンジュゲートは
、1:1~1:12の薬物部分に対する抗体部分のモル比を有する。特定の実施形態では
、本明細書で提供される抗体薬物コンジュゲートは、1:1~1:8の薬物部分に対する
抗体部分のモル比を有する。好ましい実施形態では、本明細書で提供される抗体薬物コン
ジュゲートは、1:3~1:5の薬物部分に対する抗体部分のモル比を有する。特定の実
施形態では、本明細書で提供される抗体薬物コンジュゲートは、1:3である薬物部分に
対する抗体部分のモル比を有する。別の特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体
薬物コンジュゲートは、1:4である薬物部分に対する抗体部分のモル比を有する。別の
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体薬物コンジュゲートは、1:5である薬
物部分に対する抗体部分のモル比を有する。
【0148】
薬物部分は、抗体部分の1つまたは複数の鎖に結合する。いくつかの実施形態において
、薬物部分は、抗体部分の1つの鎖に結合する(例えば、抗体部分がscFvである場合
、または抗体部分が免疫グロブリン(四量体である)などの多鎖抗体もしくはその抗原結
合断片である場合)。他の実施形態では、薬物部分は、抗体部分の2つ以上の鎖に結合す
る(抗体部分が免疫グロブリンなどの多鎖抗体またはその抗原結合断片である場合)。特
定の実施形態では、薬物部分は、免疫グロブリンの2つの同一の鎖、例えば重鎖または軽
鎖に結合している。他の実施形態では、薬物部分は、抗体部分のすべての鎖に結合してい
る(抗体部分が免疫グロブリンなどの多鎖抗体またはその抗原結合断片である場合)。
【0149】
特定の実施形態では、薬物部分は、抗体の定常領域の1つまたは複数の部位に結合して
いる。特定の実施形態では、薬物部分は、免疫グロブリンである抗体のFc領域に結合し
ている。
【0150】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスMERTKの両方)の細
胞外ドメインを特異的に認識する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK
抗体またはその抗原結合断片は、ジャーカット細胞で発現される185キロダルトン(k
D)のMERTKグリコフォーム、単球細胞系U937における205kDのMERTK
グリコフォーム、ヒト白血病細胞(例えば、ヒトT細胞急性リンパ芽球性白血病)で発現
される135~140kDのMERTKグリコフォーム、およびヒト白血病細胞(例えば
、ヒトT細胞急性リンパ芽球性白血病)で発現される170~190のkDのMERTK
グリコフォームに結合しない。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体
またはその抗原結合断片は、癌細胞上のMERTKの発現レベルを低下させない。特定の
実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、多形膠芽
腫細胞株A172上のMERTKの発現レベルを低下させない。特定の実施形態では、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は単離されている。特定の実施
形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号57
のアミノ酸配列を含むヒトMERTKタンパク質に特異的に結合する。別の特定の実施形
態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号58の
アミノ酸配列を含むヒトMERTKの細胞外領域に特異的に結合する。別の特定の実施形
態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号58に
特異的に結合する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその
抗原結合断片は、MERTKに結合する2つの抗原結合部位を含む。特定の実施形態では
、2つの抗原結合部位はMERTK上の同じエピトープに結合する。特定の実施形態では
、2つの抗原結合部位は同一のCDRを含む。
【0151】
抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え産生抗体、
単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キ
メラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖分子および2つの軽鎖分子を含む四量
体抗体、抗体軽鎖モノマー、抗体重鎖モノマー、抗体軽鎖ダイマー、抗体重鎖ダイマー、
抗体軽鎖-抗体重鎖ペア、イントラボディ、ヘテロコンジュゲート抗体、単一ドメイン抗
体、一価抗体、単鎖抗体または単鎖Fv(scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、ジ
スルフィド結合Fv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗
抗Id抗体を含む)が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体はポリク
ローナル抗体である。好ましい実施形態では、本明細書に記載の抗体はモノクローナル抗
体である。抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、Ig
M、IgD、IgAまたはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG、IgG、Ig
、IgG、IgAまたはIgA)、または任意のサブクラス(例えば、IgG
2aまたはIgG2b)でありうる。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、I
gG抗体、またはそのクラスもしくはサブクラスである。特定の実施形態では、抗体はヒ
ト化モノクローナル抗体である。別の特定の実施形態では、抗体はヒトモノクローナル抗
体であり、好ましくは免疫グロブリンである。
【0152】
本明細書で使用する用語「抗原結合断片」、「抗原結合領域」、および同様の用語は、
抗体分子に抗原に対する特異性を付与するアミノ酸残基を含む抗体分子の一部を指す(例
えば、相補性決定領域(CDR))。抗原結合領域は、例えば、げっ歯類(例えば、マウ
ス、ラットまたはハムスター)およびヒトなどの任意の動物種に由来することができる。
例として、抗原結合断片には、Fab断片、F(ab’)断片、および上記の抗体のい
ずれかの抗原結合断片が含まれる。
【0153】
本明細書で使用される場合、「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は互換的
に使用され、当技術分野で一般的である。可変領域は通常、抗体の一部、一般的には抗体
間で配列が大きく異なり、特定の抗原に対する特定の抗体の結合および特異性に使用され
る軽鎖または重鎖の一部を指す。配列の可変性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる
領域に集中しているが、可変ドメインのより高度に保存された領域はフレームワーク領域
(FR)と呼ばれる。特定のメカニズムまたは理論に拘束されることを望まないが、軽鎖
および重鎖のCDRが抗体と抗原との相互作用および特異性に主に関与すると考えられて
いる。特定の実施形態では、可変領域はヒト可変領域である。特定の実施形態では、可変
領域は、げっ歯類またはマウスのCDRおよびヒトフレームワーク領域(FR)を含む。
特定の実施形態では、可変領域は霊長類(例えば、非ヒト霊長類)の可変領域である。特
定の実施形態では、可変領域は、げっ歯類またはマウスのCDRおよび霊長類(例えば、
非ヒト霊長類)のフレームワーク領域(FR)を含む。
【0154】
CDRは、Kabat、Chothia、AbM、Contact、IMGT、および
Exemplaryの定義を含む、当技術分野におけるさまざまな方法で定義される。K
abatの定義は配列の可変性に基づいており、CDR領域を予測するために最も一般的
に使用される定義である(Kabat,Elvin A. et al.,Sequen
ces of Proteins of Immunological Interes
t。Bethesda:National Institutes of Health
、1983)。Chothiaの定義は、構造ループ領域の位置に基づいている(Cho
thia et al.,(1987)J Mol Biol 196:901-917
)。Kabatの定義とChothiaの定義との妥協案であるAbMの定義は、Oxf
ord Molecular Group(bioinf.org.uk/abs)によ
って作成された抗体構造モデリングのためのプログラムの統合パッケージである(Mar
tin ACR et al.,(1989)PNAS 86 :9268-9272)
。Contactの定義は、利用可能な複雑な結晶構造の分析に基づいている(bioi
nf.org.uk/abs)(MacCallum RM et al。、(1996
)J Mol Biol 5:732-745を参照)。IMGTの定義はIMGTから
のものです(「IMGT(登録商標)、国際ImMunoGeneTics情報システム
(登録商標)Webサイトimgt.org、創設者およびディレクター:Marie-
Paule Lefranc、モンペリエ、フランス)。Exemplaryの定義はA
bMとKabatとの組み合わせである(Presta et al.,(1997)C
ancer Res 57:4593-4599)。
【0155】
本明細書には、上記のような抗MERTK抗体およびその抗原結合断片をコードする相
補的DNA(cDNA)などの単離された核酸(ポリヌクレオチド)も記載されている。
細胞毒性剤がペプチドもしくはタンパク質である場合、または細胞毒性剤およびリンカー
(存在する場合)がペプチドまたはタンパク質である場合、抗体薬物コンジュゲートをコ
ードする核酸も提供される。本明細書にさらに記載されるのは、そのような抗MERTK
抗体もしくはその抗原結合断片または抗体薬物コンジュゲートをコードする核酸(ポリヌ
クレオチド)を含むベクター(例えば、発現ベクター)および細胞(例えば、宿主細胞)
である。本明細書には、そのような抗体または抗体薬物コンジュゲートを製造する方法も
記載されている。
【0156】
他の形態では、本明細書によれば、(i)抗MERTK抗体またはその抗原結合断片、
および(ii)抗MERTK抗体もしくはその抗原結合断片に直接結合しているか、また
は、リンカーを介して抗MERTK抗体もしくはその抗原結合断片に結合している細胞毒
性剤を含む抗体薬物コンジュゲートの製造方法が提供される。
【0157】
他の形態では、本明細書によれば、(i)抗MERTK抗体またはその抗原結合断片、
および(ii)抗MERTK抗体もしくはその抗原結合断片に直接結合しているか、また
は、リンカーを介して抗MERTK抗体もしくはその抗原結合断片に結合している細胞毒
性剤を含む抗体薬物コンジュゲートの有効量を対象に投与することを含む、対象における
癌の治療方法が提供される。関連する組成物(例えば、医薬組成物)およびキットも提供
される。
【0158】
5.1 抗体部分
本明細書で提供される抗体薬物コンジュゲートの抗体部分であり得る非限定的かつ例示
的な抗MERTK抗体またはその抗原結合断片を、以下に提示する。
【0159】
5.1.1 配列およびバリアント
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、
Kabat、Chothia、AbM、Contact、IMGT、またはExempl
aryにより定義される、表1または表3の抗体のVH CDR1を含む。いくつかの実
施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、Kabat
、Chothia、AbM、Contact、IMGT、またはExemplaryによ
り定義される、表1または表3の抗体のVH CDR2を含む。一部の実施形態では、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、Kabat、Chothi
a、AbM、Contact、IMGT、またはExemplaryにより定義される、
表1または表3の抗体のVH CDR3を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記
載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、表1または表3の抗体のVH CDR
のうちの1つ、2つ、または3つすべて(例えば、表1の第1行のVH CDR、抗体M
6のKabat VH CDRのすべて)を含む。
【0160】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、
Kabat、Chothia、AbM、Contact、IMGT、またはExempl
aryにより定義される、表2または表4の抗体のVL CDR1を含む。一部の実施形
態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、Kabat、C
hothia、AbM、Contact、IMGT、またはExemplaryにより定
義される、表2または表4の抗体のVL CDR2を含む。一部の実施形態では、本明細
書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、Kabat、Chothia、
AbM、Contact、IMGT、またはExemplaryにより定義される、表2
または表4の抗体のVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、表2または表4の抗体のVL CDRのう
ちの1つ、2つ、または3つすべて(例えば、表1の第1行のVH CDR、抗体M6の
すべてのKabat VH CDR)を含む。
【0161】
【表1】
【0162】
【表2】
【0163】
【表3】
【0164】
【表4】
【0165】
【表5】
【0166】
【表6】
【0167】
【表7】
【0168】
【表8】
【0169】
【表9】
【0170】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)NYGMN(配列番号1)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2;および
/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0171】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)GYTFTNY(配列番号2)のVH CDR1;および/または
(b)TYTG(配列番号7)のVH CDR2;および/または
(c)STVVSRYFD(配列番号12)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0172】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPT(配列番号8)のVH CDR2;および/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0173】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)TNYGMN(配列番号4)のVH CDR1;および/または
(b)WMGWINTYTGEPT(配列番号9)のVH CDR2;および/または
(c)ARKSTVVSRYFD(配列番号13)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0174】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)GYTFTNYG(配列番号5)のVH CDR1;および/または
(b)INTYTGEP(配列番号10)のVH CDR2;および/または
(c)ARKSTVVSRYFDV(配列番号14)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0175】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2;および
/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0176】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1;および/または
(b)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2;および/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0177】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)SQDVGDA(配列番号16)のVL CDR1;および/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2;および/または
(c)YRSYPL(配列番号23)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0178】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)GDAVTWC(配列番号17)のVL CDR1;および/または
(b)LLIYWASTRH(配列番号21)のVL CDR2;および/または
(c)QQYRSYPL(配列番号24)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0179】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)QDVGDA(配列番号18)のVL CDR1;および/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2;および/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0180】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)DYSMH(配列番号25)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2;およ
び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0181】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)NYTFTDY(配列番号26)のVH CDR1;および/または
(b)TDTG(配列番号31)のVH CDR2;および/または
(c)FGAMD(配列番号36)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0182】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPT(配列番号32)のVH CDR2;および/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0183】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)TDYSMH(配列番号28)のVH CDR1;および/または
(b)WVGWINTDTGEPT(配列番号33)のVH CDR2;および/また

(c)ARWFGAMD(配列番号37)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0184】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)NYTFTDYS(配列番号29)のVH CDR1;および/または
(b)INTDTGEP(配列番号34)のVH CDR2;および/または
(c)ARWFGAMDY(配列番号38)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0185】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2;およ
び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、
を含む重鎖可変領域(VH)を含む。
【0186】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトとマウスの両
方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1;および/または
(b)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2;および/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0187】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトとマウスの両
方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)SQDVTNV(配列番号40)のVL CDR1;および/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2;および/または
(c)YYRTPR(配列番号47)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0188】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトとマウスの両
方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)TNVVAWY(配列番号41)のVL CDR1;および/または
(b)LLIYSASYRY(配列番号45)のVL CDR2;および/または
(c)QQYYRTPR(配列番号48)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0189】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトとマウスの両
方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は:
(a)QDVTNV(配列番号42)のVL CDR1;および/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2;および/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、
を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0190】
特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、上記のVH CD
Rのうちの1つ、2つ、または3つすべてを含む。特定の実施形態では、抗体またはその
抗原結合断片は、表1または表3のVH CDR1を含む。いくつかの実施形態では、抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、表1または表3のVH CDR2を含む。特
定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、表1または表3のVH
CDR3を含む。特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、
抗体M6のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3(表1)を含む。特
定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、抗体M19のVH C
DR1、VH CDR2、およびVH CDR3(表3)を含む。
【0191】
特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、上記のVL CD
Rのうちの1つ、2つ、または3つすべてを含む。特定の実施形態では、抗MERTK抗
体またはその抗原結合断片は、表2または表4のVL CDR1を含む。いくつかの実施
形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、表2または表4のVL CDR
2を含む。特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、表2また
は表4のVL CDR3を含む。特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原
結合断片は、抗体M6のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3(表2
)を含む。特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、抗体M1
9のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3(表4)を含む。
【0192】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)NYGMN(配列番号1)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2;および
/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1;および/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2;および/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3。
【0193】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)GYTFTNY(配列番号2)のVH CDR1;および/または
(b)TYTG(配列番号7)のVH CDR2;および/または
(c)STVVSRYFD(配列番号12)のVH CDR3;および/または
(d)SQDVGDAのVL(配列番号16) CDR1;および/または
(e)WAS(配列番号20)のVL CDR2;および/または
(f)YRSYPL(配列番号23)のVL CDR3。
【0194】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPT(配列番号8)のVH CDR2;および/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1;および/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2;および/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3。
【0195】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)TNYGMN(配列番号4)のVH CDR1;および/または
(b)WMGWINTYTGEPT(配列番号9)のVH CDR2;および/または
(c)ARKSTVVSRYFD(配列番号13)のVH CDR3;および/または
(d)GDAVTWC(配列番号17)のVL CDR1;および/または
(e)LLIYWASTRH(配列番号21)のVL CDR2;および/または
(f)QQYRSYPL(配列番号24)のVL CDR3。
【0196】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)GYTFTNYG(配列番号5)のVH CDR1;および/または
(b)INTYTGEP(配列番号10)のVH CDR2;および/または
(c)ARKSTVVSRYFDV(配列番号14)のVH CDR3;および/また

(d)QDVGDA(配列番号18)のVL CDR1;および/または
(e)WAS(配列番号20)を含むVL CDR2;および/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3。
【0197】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2;および
/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1;および/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2;および/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3。
【0198】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)DYSMH(配列番号25)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2;およ
び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1;および/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2;および/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3。
【0199】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)NYTFTDY(配列番号26)のVH CDR1;および/または
(b)TDTG(配列番号31)のVH CDR2;および/または
(c)FGAMD(配列番号36)のVH CDR3;および/または
(d)SQDVTNV(配列番号40)のVL CDR1;および/または
(e)SAS(配列番号44)のVL CDR2;および/または
(f)YYRTPR(配列番号47)のVL CDR3。
【0200】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPT(配列番号32)のVH CDR2;および/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1;および/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2;および/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3。
【0201】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)TDYSMH(配列番号28)のVH CDR1;および/または
(b)WVGWINTDTGEPT(配列番号33)のVH CDR2;および/また

(c)ARWFGAMD(配列番号37)のVH CDR3;および/または
(d)TNVVAWY(配列番号41)のVL CDR1;および/または
(e)LLIYSASYRYの(配列番号45)VL CDR2;および/または
(f)QQYYRTPR(配列番号48)のVL CDR3。
【0202】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)NYTFTDYS(配列番号29)のVH CDR1;および/または
(b)INTDTGEP(配列番号34)のVH CDR2;および/または
(c)ARWFGAMDY(配列番号38)のVH CDR3;および/または
(d)QDVTNV(配列番号42)のVL CDR1;および/または
(e)SAS(配列番号44)のVL CDR2;および/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3。
【0203】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
MERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、以下を含む:
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2;およ
び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3;および/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1;および/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2;および/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3。
【0204】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、上記のCDRの1つ、2つ、3
つ、4つ、5つ、または6つすべてを含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結
合断片は、表1または表3のVH CDR1を含む。いくつかの実施形態では、抗体また
はその抗原結合断片は、表1または表3のVH CDR2を含む。いくつかの実施形態で
は、抗体またはその抗原結合断片は、表1または表3のVH CDR3を含む。いくつか
の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、表2または表4のVL CDR1を含
む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、表2または表4のVL
CDR2を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、表2または
表4のVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は
、抗体M6のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3(表1)を含む。
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、抗体M19のVH CDR1、V
H CDR2、およびVH CDR3(表3)を含む。特定の実施形態では、抗体または
その抗原結合断片は、抗体M6のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR
3(表2)を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、抗体M19の
VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3(表4)を含む。特定の実施形
態では、抗体またはその抗原結合断片は、抗体M6のVL CDR1、VL CDR2、
VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含む(表1
および表2)。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、抗体M19のVL
CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、およ
びVH CDR3を含む(表3および表4)。
【0205】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)DYSMH(配列番号25)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2;およ
び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、
を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1;および/または
(b)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2;および/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、
を含む。
【0206】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)NYTFTDY(配列番号26)のVH CDR1;および/または
(b)TDTG(配列番号31)のVH CDR2;および/または
(c)FGAMD(配列番号36)のVH CDR3のVH CDR3、
を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)SQDVTNV(配列番号40)のVL CDR1;および/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2;および/または
(c)YYRTPR(配列番号47)のVL CDR3、
を含む。
【0207】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)NYGMN(配列番号1)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2;および
/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3のVH CDR3、
を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1;および/または
(b)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2;および/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、
を含む。
【0208】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)GYTFTNY(配列番号2)のVH CDR1;および/または
(b)TYTG(配列番号7)のVH CDR2;および/または
(c)STVVSRYFD(配列番号12)のVH CDR3のVH CDR3、
を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)SQDVGDA(配列番号16)のVL CDR1;および/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2;および/または
(c)YRSYPL(配列番号23)のVL CDR3、
を含む。
【0209】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPT(配列番号8)のVH CDR2;および/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3のVH CDR3、
を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1;および/または
(b)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2;および/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、
を含む。
【0210】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)TNYGMN(配列番号4)のVH CDR1;および/または
(b)WMGWINTYTGEPT(配列番号9)のVH CDR2;および/または
(c)ARKSTVVSRYFD(配列番号13)のVH CDR3のVH CDR3

を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)GDAVTWC(配列番号17)のVL CDR1;および/または
(b)LLIYWASTRH(配列番号21)のVL CDR2;および/または
(c)QQYRSYPL(配列番号24)のVL CDR3、
を含む。
【0211】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)GYTFTNYG(配列番号5)のVH CDR1;および/または
(b)INTYTGEP(配列番号10)のVH CDR2;および/または
(c)ARKSTVVSRYFDV(配列番号14)のVH CDR3のVH CDR
3、
を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)QDVGDA(配列番号18)のVL CDR1;および/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2;および/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、
を含む。
【0212】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1;および/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2;および
/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3のVH CDR3、
を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1;および/または
(b)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2;および/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、
を含む。
【0213】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPT(配列番号32)のVH CDR2;および/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3のVH CDR3、
を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1;および/または
(b)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2;および/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、
を含む。
【0214】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)TDYSMH(配列番号28)のVH CDR1;および/または
(b)WVGWINTDTGEPT(配列番号33)のVH CDR2;および/また

(c)ARWFGAMD(配列番号37)のVH CDR3のVH CDR3、
を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)TNVVAWY(配列番号41)のVL CDR1;および/または
(b)LLIYSASYRY(配列番号45)のVL CDR2;および/または
(c)QQYYRTPR(配列番号48)のVL CDR3、
を含む。
【0215】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)NYTFTDYS(配列番号29)のVH CDR1;および/または
(b)INTDTGEP(配列番号34)のVH CDR2;および/または
(c)ARWFGAMDY(配列番号38)のVH CDR3のVH CDR3、
を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)QDVTNV(配列番号42)のVL CDR1;および/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2;および/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、
を含む。
【0216】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(
VL)を含み、
(i)前記VHは:
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1;および/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2;およ
び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3のVH CDR3、
を含み、かつ、
(ii)前記VLは:
(a)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1;および/または
(b)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2;および/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、
を含む。
【0217】
特定の実施形態では、VHは上記のVH CDRの2つまたは3つすべてを含み、およ
び/またはVLは上記のVL CDRの2つまたは3つすべてを含む。特定の実施形態で
は、VHは表1または表3の抗体の1つのVH CDR1を含む。いくつかの実施形態で
は、VHは表1または表3の抗体の1つのVH CDR2を含む。特定の実施形態では、
VHは表1または表3の抗体の1つのVH CDR3を含む。いくつかの実施形態では、
VLは表2または表4の抗体の1つのVL CDR1を含む。いくつかの実施形態では、
VLは表2または表4の抗体の1つのVL CDR2を含む。特定の実施形態において、
VLは表2または表4の抗体の1つのVL CDR3を含む。いくつかの実施形態におい
て、VHは、抗体M6のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3(表1
)を含む。。特定の実施形態では、VHは、抗体M19のVH CDR1、VH CDR
2、およびVH CDR3(表3)を含む。特定の実施形態では、VLは、抗体M6のV
L CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3(表2)を含む。特定の実施形態
では、VLは、抗体M19のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3(
表4)を含む。いくつかの実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、
VHおよびVLを含み、VHは、抗体M19のVH CDR1、VH CDR2、および
VH CDR3(表3)を含み、VLは、抗体M19のCDRのVL CDRのVL C
DR1、VL CDR2、およびVL CDR3(表4)を含む。いくつかの実施形態で
は、抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、VHおよびVLを含み、VHは、抗体
M6のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3(表1)を含み、VLは
、抗体M6のCDRのVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3(表2)
を含む。
【0218】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する
、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号49のアミノ
酸配列(表5)を含む重鎖可変領域配列(例えば、抗体M6のVH)を含む。別の特定の
実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方の
MERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本明細
書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、配列番号51のアミノ酸配列(表6)を含む
重鎖可変領域配列(表6)(例えば、抗体M19のVH)を含む。
【0219】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの
両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、
本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、配列番号50のアミノ酸配列(表5)
を含む軽鎖可変領域配列(例えば、抗体M6のVL)を含む。別の特定の実施形態では、
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に
特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本明細書に記載の抗体
またはその抗原結合断片は、配列番号52のアミノ酸配列(表6)を含む軽鎖可変領域配
列(例えば、抗体M19のVL)を含む。
【0220】
特定の一実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウ
スの両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動す
る、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、(a)配列番号49のアミノ酸配
列を含む重鎖可変領域、および(b)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(
例えば、抗体M6のVHおよびVL)を含む。別の特定の実施形態では、MERTK(例
えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス両方のMERTK)に特異的に結合し、
内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本明細書に記載の抗体またはその抗原結
合断片は、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および(b)配列番
号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(例えば、抗体M19のVHおよびVL)。
【0221】
好ましい実施形態において、抗体は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒ
トおよびマウスの両方のMERTK)に特異的に結合し、
(A)配列番号1のVH CDR1、配列番号6のVH CDR2、配列番号11のVH
CDR3、配列番号15のVL CDR1、配列番号19のVL CDR2、および配
列番号22のVL CDR3;
(B)配列番号2のVH CDR1、配列番号7のVH CDR2、配列番号12のVH
CDR3、配列番号16のVL CDR1、配列番号20のVL CDR2、および配
列番号23のVL CDR3;
(C)配列番号3のVH CDR1、配列番号8のVH CDR2、配列番号11のVH
CDR3、配列番号15のVL CDR1、配列番号19のVL CDR2、および配
列番号22のVL CDR3;
(D)配列番号4のVH CDR1、配列番号9のVH CDR2、配列番号13のVH
CDR3、配列番号17のVL CDR1、配列番号21のVL CDR2、および配
列番号24のVL CDR3;
(E)配列番号5のVH CDR1、配列番号10のVH CDR2、配列番号14のV
H CDR3、配列番号18のVL CDR1、配列番号20のVL CDR2、および
配列番号22のVL CDR3;または、
(F)配列番号3のVH CDR1、配列番号6のVH CDR2、配列番号11のVH
CDR3、配列番号15のVL CDR1、配列番号19のVL CDR2、および配
列番号22のVL CDR3、
を含むヒト化抗体またはそのヒト化抗原結合断片である。
【0222】
特定の形態において、本明細書に記載の抗体は、そのVHドメイン単独、またはそのV
Lドメイン単独、またはその3つのVH CDR単独、またはその3つのVL CDR単
独により記載され得る。例えば、相補的な軽鎖または重鎖をヒト軽鎖または重鎖のライブ
ラリーからそれぞれ同定することによってマウス抗αVβ3抗体をヒト化し、高い親和性
または元の抗体の親和性よりも高い親和性を有するヒト化抗体変異体をもたらすことにつ
いて記載しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Rader C e
t al.(1998)PNAS 95:8910-8915を参照。また、特定のVH
ドメイン(またはVLドメイン)を使用して相補的な可変ドメインについてライブラリー
をスクリーニングすることにより特定の抗原に結合する抗体を作製する方法を説明してお
り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Clackson T et al
.,(1991)Nature 352:624-628も参照。また、特定のVHドメ
インを使用して相補的なVLドメインについてライブラリー(例えば、ヒトVLライブラ
リー)をスクリーニングし、次いで選択されたVLドメインを使用して追加の相補的な(
例えば、ヒトの)VHドメインの選択をガイドすることにより特定の抗原に結合する抗体
を作製する方法を記載し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kim SJ
% Hong HJ,(2007)J Microbiol 45:572-も参照。
【0223】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体のVH(例えば、CDR1、CDR2、ま
たはCDR3)領域および/またはVL(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3
)領域に沿った1つまたは複数のCDRの位置は、MERTK(例えば、ヒトMERTK
、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)への免疫特異的な結合が維持される(例
えば、実質的に、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少
なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が維持される)限り、1、2、3
、4、5、または6アミノ酸位置で異なっていてもよい。別の実施形態では、本明細書に
記載の抗体のVH(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)領域および/または
VL(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)領域に沿った1つまたは複数のC
DRの長さは、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方の
MERTK)への免疫特異的な結合が維持される(例えば、実質的に、例えば、少なくと
も50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%
、少なくとも95%が維持される)限り、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそ
れ以上のアミノ酸だけ異なっていてもよい。別の実施形態では、本明細書に記載のVH
CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および
/またはVL CDR3のアミノ末端および/またはカルボキシ末端は、MERTK(例
えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)への免疫特異的な
結合が維持される(例えば、実質的に、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、
少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%が維持され
る)限り、本明細書に記載の1つまたは複数のCDRと比較して、1つ、2つ、3つ、4
つ、5つまたはそれ以上のアミノ酸だけ長くてもよいし、短くてもよい。本明細書で使用
する「免疫特異的に結合する」、「免疫特異的に認識する」、「特異的に結合する」、お
よび「特異的に認識する」という用語は、当業者によって理解されるように、抗体の文脈
における類似の用語であり、抗原結合部位を介して抗原(例えば、エピトープまたは免疫
複合体)に結合する抗体およびその抗原結合断片を指し、当該抗体または抗原結合断片と
他の抗原との交差反応性を排除するものではない。当技術分野で知られている任意の方法
を使用して、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のM
ERTK)への免疫特異的な結合が維持されているかどうかを確認することができ、例え
ば、後述する実施例4および実施例7(セクション6)に結合アッセイおよび条件につい
ての記載がある。
【0224】
特定の形態において、本明細書には、抗MERTK抗体、あるいは、重鎖および/また
は軽鎖(例えば、重鎖のみ、軽鎖のみ、または重鎖および軽鎖の両方)を含むその抗原結
合断片が記載される。軽鎖に関して、特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERT
K抗体またはその抗原結合断片の軽鎖はカッパ軽鎖である。別の特定の実施形態では、本
明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片の軽鎖はラムダ軽鎖である。さ
らに別の特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断
片の軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖である。
【0225】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体または
その抗原結合断片は軽鎖を含み、当該軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、抗体M6または
抗体M19のVL CDRのアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、お
よびVL CDR3(すなわち、表2および表4に列挙されたもの)を含み、当該軽鎖の
定常領域は、カッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。別の特定の実施形態では、ME
RTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に免疫
特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は軽鎖を含
み、当該軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号50または配列番号52のアミノ酸
配列を含み、当該軽鎖の定常領域は、カッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。本明細
書で使用される場合、「定常領域」または「定常ドメイン」という用語は交換可能であり
、当技術分野で共通の意味を有する。定常領域は、抗体の一部分であり、例えば、抗体の
抗原への結合には直接関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター
機能を示すことができる軽鎖および/または重鎖のカルボキシル末端部分である。免疫グ
ロブリン分子の定常領域は一般に、免疫グロブリン可変ドメインと比較して、より保存さ
れたアミノ酸配列を有している。 特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は
、MERTKシグナル伝達を作動する。
【0226】
別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマ
ウスの両方のMERTK)に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体ま
たはその抗原結合断片は軽鎖を含み、当該軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、抗体M6ま
たは抗体M19のVL CDRのアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2
、およびVL CDR3(すなわち、表2および表4に列挙されたもの)を含み、当該軽
鎖の定常領域は、ラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。別の特定の実施形態では、
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に
免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は軽鎖
を含み、当該軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号50または配列番号52のアミ
ノ酸配列を含み、当該軽鎖の定常領域は、ラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。特
定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、MERTKシグナル伝達を作動する
【0227】
別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマ
ウスの両方のMERTK)に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体ま
たはその抗原結合断片は軽鎖を含み、当該軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、抗体M6ま
たは抗体M19のVL CDRのアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2
、およびVL CDR3(すなわち、表2および表4に列挙されたもの)を含み、当該軽
鎖の定常領域は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖の定常領域のアミノ酸配列を含む
。特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体または
その抗原結合断片は軽鎖を含み、当該軽鎖の可変領域のアミノ酸は、配列番号50または
配列番号52のアミノ酸配列を含み、当該軽鎖の定常領域は、ヒトカッパ軽鎖またはヒト
ラムダ軽鎖の定常領域のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原
結合断片は、MERTKシグナル伝達を作動する。ヒト定常領域配列の非限定的な例は、
当技術分野で開示されており、例えば、Kabat EA et al.,(1991)
を参照。
【0228】
重鎖に関して、特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗
原結合断片の重鎖は、アルファ(α)重鎖、デルタ(δ)重鎖、イプシロン(ε)重鎖、
ガンマ(γ)重鎖またはミュー(μ)重鎖であり得る。別の特定の実施形態において、本
明細書に記載の抗体の重鎖は、ヒトアルファ(α)重鎖、ヒトデルタ(δ)重鎖、ヒトイ
プシロン(ε)重鎖、ヒトガンマ(γ)重鎖またはヒトミュー(μ)重鎖を含み得る。
【0229】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体または
その抗原結合断片は重鎖を含み、当該重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、抗体M6または
抗体M19のVH CDRのアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、お
よびVH CDR3(すなわち、表1および表3に列挙されたもの)を含み、当該重鎖の
定常領域は、ヒトガンマ(γ)重鎖の定常領域のアミノ酸配列を含む。別の特定の実施形
態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMER
TK)に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断
片は重鎖を含み、当該重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号49または配列番号5
1のアミノ酸配列を含み、当該重鎖の定常領域は、ヒトガンマ(γ)重鎖の定常領域のア
ミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、MERTKシ
グナル伝達を作動する。
【0230】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体または
その抗原結合断片は重鎖を含み、当該重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、抗体M6または
抗体M19のVH CDRのアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、お
よびVH CDR3(すなわち、表1および表3に列挙されたもの)を含み、当該重鎖の
定常領域は、本明細書に記載のまたは当技術分野で知られているヒト重鎖のアミノ酸を含
む。特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウ
スの両方のMERTK)に特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体またはそ
の抗原結合断片は重鎖を含み、当該重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号49また
は配列番号51のアミノ酸配列を含み、当該重鎖の定常領域は、本明細書に記載のまたは
当技術分野で公知のヒト重鎖のアミノ酸を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗
原結合断片は、MERTKシグナル伝達を作動する。ヒト定常領域配列の非限定的な例は
、当技術分野で開示されており、例えば、上述したKabat EA et al.,(
1991)を参照。
【0231】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体または
その抗原結合断片は、本明細書に記載の任意のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)
および軽鎖可変領域(VL)を含み、定常領域は、IgG、IgE、IgM、IgD、I
gAまたはIgY免疫グロブリン分子、またはヒトIgG、IgE、IgM、IgD、I
gAまたはIgY免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸配列を含む。別の特定の実施
形態において、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方の
MERTK)に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原
結合断片は、本明細書に記載の任意のアミノ酸配列を含むVHおよびVLを含み、定常領
域は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、またはIgY免疫グロブリン分子のア
ミノ酸配列を含み、これは免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、Ig
、IgG、IgG、IgAおよびIgA)、または任意のサブクラス
(例えば、IgG2aおよびIgG2b )である。特定の実施形態では、定常領域は、
ヒトのIgG、IgE、IgM、IgD、IgAまたはIgY免疫グロブリン分子のアミ
ノ酸配列を含み、これは免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgG
、IgG、IgG、IgAおよびIgA)、または任意のサブクラス(
例えば、IgG2aおよびIgG2b )である。
【0232】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片のF
c領域に、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)を導入して、抗体
の1つまたは複数の機能特性を変更する。
【0233】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片
のFc領域(例えば、Kabatナンバリングシステム(例えば、KabatのEUイン
デックス)によるナンバリングによる、CH2ドメイン(ヒトIgGの残基231~3
40)および/またはCH3ドメイン(ヒトIgGの残基341~447)および/ま
たはヒンジ領域)に、1つ、2つまたはそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)を導入
して、エフェクター細胞の表面上のFc受容体(例えば、活性化Fc受容体)に対する抗
体またはその抗原結合断片の親和性を増加または減少させる。Fc受容体に対する抗体の
親和性を減少または増加させる抗MERTK抗体またはその抗原結合断片のFc領域にお
ける変異、およびそのような変異をFc受容体またはその断片に導入する技術は、当技術
分野の当業者に知られている。Fc受容体に対する抗体またはその抗原結合断片の親和性
を変化させることができる抗MERTK抗体またはその抗原結合断片のFc受容体におけ
る変異の例は、例えば、Smith P et al.2012)PNAS 109:6
181-6186、米国特許第6,737,056号、および国際公開第WO02/06
0919;WO98/23289;およびWO97/34631に記載されており、これ
らは参照により本明細書に組み込まれる。
【0234】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、グリコシル化定常領域を含
む。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、グリコシル化されて
いない定常領域を含む。フコース含量が減少した抗体は、例えばFcγRIIIaなどの
Fc受容体に対する親和性が増加していることが報告されている。したがって、特定の実
施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、フコース含量が低いか、
またはフコースを含有していない。そのような抗体またはその抗原結合断片は、当業者に
知られている技術を使用して作製することができる。例えば、抗体またはその抗原結合断
片は、フコシル化の能力が欠損しているかまたは欠如している細胞で発現され得る。特定
の例では、α1,6-フコシルトランスフェラーゼの両方の対立遺伝子のノックアウトを
持つ細胞株を使用して、フコース含量が減少した抗体を産生することができる。ポテリジ
ェント(登録商標)システム(ロンザ)は減少したフコース含量を有する抗体またはその
抗原結合断片を作製することができるシステムの一例である。あるいは、フコース含量が
低減された、またはフコースを含有しない抗体または抗原結合フラグメントは、例えば、
以下によって作製され得る:(i)フコシル化を防止または低減する条件下で細胞を培養
する;(ii)フコースの翻訳後除去(例えば、フコシダーゼ酵素による);(iii)
例えば非グリコシル化糖タンパク質の組換え発現後の、所望の炭水化物の翻訳後付加;ま
たは(iv)フコシル化されていない抗体またはその抗原結合断片を選択するための糖タ
ンパク質の精製。フコースを含有しない、またはフコース含量の減少した抗体またはその
抗原結合断片を作製する方法については、例えば、Longmore GD & Sch
achter H(1982)Carbohydr Res 100:365-92、お
よびImai-Nishiya H et al,.(2007)BMC Biotec
hnol.7:84を参照。
【0235】
別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマ
ウスの両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を
作動する、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、重鎖および/
または軽鎖を含み、(i)当該重鎖は、(a)抗体M6または抗体M19のVH CDR
のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3(すな
わち、表1および表3に列挙されたもの)を含む可変領域、並びに(b)ヒトIgG重鎖
の定常ドメインのアミノ酸配列を含む定常重鎖ドメインを含むか、並びに/あるいは、(
ii)当該軽鎖は、(a)抗体M6または抗体M19のVL CDRのアミノ酸配列を有
するVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3(すなわち、表2および表
4に列挙されたもの)を含む可変領域、並びに(b)ヒトIgGの定常ドメインのアミノ
酸配列を含む定常軽鎖ドメインを含む。
【0236】
別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマ
ウスの両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を
作動する、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は重鎖および/ま
たは軽鎖を含み、(i)当該重鎖は(a)配列番号49または配列番号51のアミノ酸配
列を含む可変領域、並びに(b)ヒトIgGの定常ドメインのアミノ酸配列を含む定常重
鎖ドメインを含むか、並びに/あるいは、(ii)当該軽鎖は、配列番号50または配列
番号52のアミノ酸配列を含む可変領域、並びに(b)ヒトカッパ軽鎖の定常ドメインの
アミノ酸配列を含む定常軽鎖ドメインを含む。
【0237】
2つの配列(例えば、アミノ酸配列または核酸配列)間の同一性百分率の決定は、数学
的アルゴリズムを使用して行うこともできる。2つの配列の比較に使用される数学的アル
ゴリズムの具体的かつ非限定的な例は、Karlin S & Altschul SF
(1990)PNAS 90:5873-5877により修正された、Karlin S
& Altschul SF(1990)PNAS 87:2264-2268のアル
ゴリズムである。このようなアルゴリズムは、Altschul SF et al.,
(1990)J Mol Biol 215:403のNBLASTおよびXBLAST
プログラムに組み込まれている。本明細書に記載の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を
得るためには、BLASTヌクレオチド検索が、NBLASTヌクレオチドプログラムパ
ラメーターセット、たとえばスコア=100、ワード長=12で実行可能である。本明細
書に記載のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るためには、BLASTタンパク質
検索が、例えば、スコア50、ワード長=3に設定されたXBLASTプログラムパラメ
ータを用いて実行可能である。比較の目的でギャップ付きアライメントを取得するには、
Altschul SF et al.,(1997)Nuc Acids Res 2
5:3389 3402に記載されているように、ギャップ付きBLASTを利用可能で
ある。あるいは、PSI BLASTを使用して、分子間の離れた関係を検出する反復探
索を行ってもよい(上記)。BLAST、ギャップBLAST、およびPSI BLAS
Tプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST
)のデフォルトパラメータを使用することができる(例えば、ワールドワイドウェブ上の
全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)、Ncbi.nlm.nih.gov
)。配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの別の具体的かつ非限定的な例は、My
ers and Miller、1988、CABIOS 4:11 17のアルゴリズ
ムである。このようなアルゴリズムは、GCGシーケンスアラインメントソフトウェアパ
ッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。
アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合には、PAM120
重み残差表、ギャップ長ペナルティ12、ギャップペナルティ4を使用可能である。
【0238】
2つの配列間の同一性百分率は、ギャップを許可するかどうかにかかわらず、上記と同
様の手法を使用して決定され得る。同一性百分率の計算では、通常、完全一致のみがカウ
ントされる。
【0239】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動
する抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号49または配列番号51のV
Hのアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少
なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するVHを含む。特定の実施
形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のME
RTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗MER
TK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号49または配列番号51のVHのアミノ酸
配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95
%、または少なくとも98%の配列同一性を有するVHドメインを含み、当該抗体または
抗原結合断片は、表1~表4に記載のCDR(例えば、VH CDRおよび/またはVL
CDR)と同一のCDR(例えば、VH CDRおよび/またはVL CDR)を含む
【0240】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動
する抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号50または配列番号52のV
Lのアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少
なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するVLを含む。特定の実施
形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のME
RTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗MER
TK抗体またはその抗原結合断片は、配列番号50または配列番号52のVLのアミノ酸
配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95
%、または少なくとも98%の配列同一性を有するVLを含み、当該抗体または抗原結合
断片は、表1~表4に記載のCDR(例えば、VH CDRおよび/またはVL CDR
)と同一のCDR(例えば、VH CDRおよび/またはVL CDR)を含む。
【0241】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動
する抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、(i)配列番号49または配列番号5
1のVHドメインのアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なく
とも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するVHドメ
イン、および(ii)配列番号50または配列番号52のVLドメインのアミノ酸配列に
対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、ま
たは少なくとも98%の配列同一性を有するVLドメインを含む。特定の実施形態では、
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に
免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗MERTK抗体ま
たはその抗原結合断片は、(i)配列番号49または配列番号51のVHドメインのアミ
ノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも
95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するVHドメイン、および(ii)配
列番号50または配列番号52のVLドメインのアミノ酸配列に対して少なくとも80%
、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の
配列同一性を有するVLドメインを含み、当該抗体または抗原結合断片は、表1~表4に
記載のCDR(例えば、VH CDRおよび/またはVL CDR)と同一のCDR(例
えば、VH CDRおよび/またはVL CDR)を含む。
【0242】
別の形態において、本明細書によれば、本明細書に記載の抗体(例えば、抗体M6また
は抗体M19)と同じかまたは重複するMERTKのエピトープ(例えば、ヒトMERT
K、またはヒトおよびマウスの両方のMERTKのエピトープ)に結合する抗体が開示さ
れる。本明細書で使用される「エピトープ」は、当技術分野における用語であり、抗体が
特異的に結合することができる抗原の局所的な領域を意味する。エピトープは、例えば、
ポリペプチドの連続したアミノ酸(線形または隣接エピトープ)であってもよいし、1つ
または複数のポリペプチドの2つ以上の非隣接領域から構成されていてもよい(立体配座
、非線形、不連続、または非連続のエピトープ)。特定の実施形態において、抗体のエピ
トープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分析
と組み合わせた水素/重水素交換(例えば、MALDI質量分析)、アレイベースのオリ
ゴペプチドスキャニングアッセイ、および/または突然変異誘発マッピング(例えば、部
位特異的突然変異誘発マッピング)により決定され得る。X線結晶学の場合、結晶化は、
当技術分野で既知の方法(例えば、Giege R et al.,(1994)Act
a Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt 4
):339-350;McPherson A(1990))Eur J Bioche
m 189:1-23;Chayen NE(1997)Structure 5:12
69-1274;McPherson A(1976)J Biol Chem 251
:6300-6303)のいずれかを使用して達成することができる。抗体:抗原結晶は
、よく知られているX線回折技術を使用して研究でき、X-PLOR(Yale Uni
versity、1992、Molecular Simulations、Inc.に
よって配布された;例えば、Meth Enzymol(1985)volumes 1
14 &115、eds Wyckoff HW et al.;US Patent
Application No.2004/0014194を参照)、およびBUSTE
R(Bricogne G(1993)Acta Crystallogr D Bio
l Crystallogr 49(Pt 1):37-60;Bricogne G(
1997)Meth Enzymol 276A:361-423、ed Carter
CW;Roversi P et al.,(2000)Acta Crystall
ogr D Biol Crystallogr 56(Pt 10):1316-13
23)などのコンピューターソフトウェアを使用して修正可能である。突然変異誘発マッ
ピング研究は、当業者に知られている任意の方法を使用して達成することができる。例え
ば、アラニンスキャニング突然変異誘発技術を含む突然変異誘発技術の説明についてはC
hampe M et al.,(1995)およびCunningham BC &
Wells JA(1989)を参照。さらに、MERTK(たとえば、ヒトMERTK
、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)の同じかまたは重複するエピトープを認
識して結合する抗体は、イムノアッセイなどの日常的な手法を使用して、例えばある抗体
が他の抗体の標的抗原への結合を阻害する能力を示すこと(すなわち、競合結合アッセイ
)により同定することができる。競合結合アッセイを使用して、2つの抗体があるエピト
ープに対して同様の結合特異性を持っているかどうかを判断することもできる。競合的結
合は、試験中の免疫グロブリンがMERTKなどの共通の抗原への参照抗体の特異的結合
を阻害するアッセイにおいて決定され得る。例えば、固相での直接または間接的な放射免
疫測定法(RIA)、固相での直接または間接的な酵素免疫測定法(EIA)、サンドイ
ッチ競合アッセイ(Stahli C et al.,(1983)Methods E
nzymol 9:242-253を参照);固相での直接ビオチン-アビジンEIA(
Kirkland TN et al.,(1986)J Immunol 137:3
614-9を参照);固相での直接標識アッセイ、固相での直接標識サンドイッチアッセ
イ(Harlow E & Lane D,(1988)Antibodies:A L
aboratory Manual、Cold Spring Harbor Pres
sを参照);I-125標識を使用した固相での直接ラベルRIA(Morel GA
et al.,(1988)Mol Immunol 25(1):7-15を参照);
固相での直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung RC et al.,(199
0)Virology 176:546-52);直接ラベル化RIA(Moldenh
auer G et al.,(1990)Scand J Immunol 32:7
7-82)といった多くのタイプの競合結合アッセイが知られている。典型的に、そのよ
うなアッセイは、固体表面結合した精製抗原(例えば、ヒトMERTKなどのMERTK
)またはこれらのいずれかを有する細胞、非標識の試験免疫グロブリンおよび標識された
参照免疫グロブリンの使用を伴う。競合阻害は、試験免疫グロブリンの存在下で固体表面
または細胞に結合した標識の量を測定することにより測定できる。通常、試験免疫グロブ
リンは過剰に存在する。通常、競合する抗体が過剰に存在すると、共通の抗原への参照抗
体の特異的結合を少なくとも50~55%、55~60%、60~65%、65~70%
、70~75%またはそれよりも多く阻害する。競合結合アッセイは、標識抗原または標
識抗体のいずれかを使用して、多数の異なる形式で構成され得る。このアッセイの一般的
なバージョンでは、抗原は96ウェルプレートに固定されている。次に、放射能標識また
は酵素標識を使用して、標識抗体の抗原への結合を阻害する非標識抗体の能力を測定する
。さらなる詳細については、例えば、Wagener C et al.,(1983)
J Immunol 130:2308-2315;Wagener C et al.
,(1984)J Immunol Methods 68:269-274;Kuro
ki M et al.,(1990)Cancer Res 50:4872-487
9;Kuroki M et al.,(1992)Immunol Invest 2
1:523-538;Kuroki M et al.,(1992)Hybridom
a 11:391-407、およびAntibodies:A Laboratory
Manual、Ed Harlow E&Lane D editors supra,
pp.386-389。
【0243】
特定の形態では、競合ELISAアッセイなどの競合結合アッセイ(これは、標識抗原
または標識抗体を使用して、あらゆる数の異なる形式で構成できる)において2つの抗体
が同一または立体的に重複するエピトープを認識する場合には、競合結合アッセイを使用
することで、ある抗体が、例えば用量依存的に、別の抗体(例えば、参照抗体と実質的に
同じかまたは重複するエピトープに結合する抗体)によって競合的に阻害されるかどうか
を決定できる。特定の実施形態では、抗体は、本明細書に記載の抗体(例えば、抗体M6
または抗体M19)を用いた競合結合アッセイで試験することができる。
【0244】
別の形態では、当業者に公知のアッセイまたは本明細書に記載のアッセイ(例えば、E
LISA競合アッセイまたは表面プラズモン共鳴)を使用して決定される、MERTK(
例えば、ヒトMERTKまたはヒトおよびマウスの両方のMERTK)への結合について
本明細書に記載の抗体(例えば、M6またはM19)と(例えば、用量依存的に)競合し
、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗体が本明細書により開示される。別の
形態では、当業者に公知のアッセイまたは本明細書に記載のアッセイ(例えば、ELIS
A競合アッセイまたは懸濁液アレイまたは表面プラズモン共鳴)を使用して決定される、
MERTK(例えば、ヒトMERTKまたはヒトおよびマウスの両方のMERTK)への
本明細書に記載の抗体(例えば、M6またはM19)の結合を(例えば、用量依存的に)
競合的に阻害する抗体が本明細書により開示される。
【0245】
特定の実施形態において、MERTK(例えば、ヒトMERTKまたはヒトおよびマウ
スの両方のMERTK)への結合について本明細書に記載の抗体が自己競合するのと同程
度に、MERTK(例えば、ヒトMERTKまたはヒトおよびマウスの両方のMERTK
)への結合について本明細書に記載の抗体と競合する抗体が本明細書により開示される。
特定の実施形態において、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウ
スの両方のMERTK)への結合について本明細書に記載の抗体と競合する第1の抗体が
本明細書により開示され、その競合は当該第1の抗体のMERTKへの結合の、80%を
超える(例えば、85%、90%、95%、98%、または80%~85%、80%~9
0%、85%~90%、または85%~95%)低下として示される。
【0246】
特定の形態において、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)への特異的な結合について、配列番号49または配列番号51のア
ミノ酸配列を有するVHドメイン、および配列番号50または配列番号52のアミノ酸配
列を有するVLドメインを含む抗体と(例えば、用量依存的に)競合する抗体が本明細書
により開示される。
【0247】
特定の形態において、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)への特異的な結合について、(i)表1または表3に列挙されてい
る抗体のCDRのアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、およびVH
CDR3を含むVHドメイン、および(ii)表2または表4に列挙されている抗体のV
L CDRのアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、およびVL CD
R3を含むVLドメインを含む抗体と(例えば、用量依存的に)競合する抗体が本明細書
により開示される。VH CDRおよびVL
特定の実施形態において、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマ
ウスの両方のMERTK)への特異的な結合について、抗体M6のVH CDRおよびV
L CDR(表1および表2)を含む抗体と(例えば、用量依存的に)競合する抗体が本
明細書により開示される。
【0248】
特定の実施形態において、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマ
ウスの両方のMERTK)への特異的な結合について、抗体M19のVH CDRおよび
VL CDR(表3および表4)を含む抗体と(例えば、用量依存的に)競合する抗体が
本明細書により開示される。
【0249】
別の特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片
は、(i)表1または表3に列挙されている抗体のCDRのアミノ酸配列を有するVH
CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含むVHドメイン、および(ii)
表2または表4に列挙されている抗体のCDRのアミノ酸配列を有するVL CDR1、
VL CDR2、およびVL CDR3を含むVLドメインを含む抗体と同じかまたは重
複するエピトープに免疫特異的に結合する。
【0250】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、
配列番号49のアミノ酸配列を有するVHドメイン、および配列番号50のアミノ酸配列
を有するVLドメインを含む抗体M6と同じかまたは重複するエピトープに免疫特異的に
結合する。別の特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原
結合断片は、配列番号51のアミノ酸配列を有するVHドメイン、および配列番号52の
アミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体M6と同じかまたは重複するエピトープに
免疫特異的に結合する。当業者に公知のまたは本明細書に記載のアッセイ(例えば、X線
結晶学、ELISAアッセイなど)を使用して、2つの抗体が同じエピトープに結合する
かどうかを判断することができる。
【0251】
親和性は、平衡解離定数(K)および平衡会合定数(K)を含むがこれらに限定
されない、当技術分野で知られている多くの方法で測定および/または表現することがで
きる。Kは、バイオレイヤー干渉法などの当業者に知られている技術によって決定する
ことができる。特定の実施形態では、Kは、後述するセクション6の実施例4または実
施例7に記載されるように決定される。
【0252】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片、M
ERTKへの結合について本明細書に記載の抗体と競合する抗MERTK抗体またはその
抗原結合断片、または本明細書に記載の抗体と同じかまたは重複するエピトープに結合す
る抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、7nM未満、6nM未満、5nM未満、
4.5nM未満、4nM未満、3.5nM未満、3nM未満、2.5nM未満、2nM未
満、1.5nM未満、1nM未満、0.75nM未満、0.5nM未満、0.25nM未
満、0.1nM未満、0.05nM未満、0.025nM未満、0.01nM未満、また
は0.005nM未満のKでMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよ
びマウスの両方のMERTK)に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の
抗MERTK抗体またはその抗原結合断片、MERTKへの結合について本明細書に記載
の抗体と競合する抗MERTK抗体またはその抗原結合断片、または本明細書に記載の抗
体と同じかまたは重複するエピトープに結合する抗MERTK抗体またはその抗原結合断
片は、およそ、7nM、6nM、5nM、4.5nM、4nM、3.5nM、3nM、2
.5nM、2nM、1.5nM、1nM、0.75nM、0.5nM、0.25nM、0
.1nM、0.05nM、0.025nM、0.01nM、または0.005nMのK
でMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK
)に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその
抗原結合断片、MERTKへの結合について本明細書に記載の抗体と競合する抗MERT
K抗体またはその抗原結合断片、または本明細書に記載の抗体と同じかまたは重複するエ
ピトープに結合する抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、約3pM~約400p
MのKでMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のM
ERTK)に結合する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体または
その抗原結合断片は、約0.3nMのKでMERTK(例えば、ヒトMERTK、また
はヒトおよびマウスの両方のMERTK)に結合する。別の特定の実施形態では、本明細
書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、約4.6pMのKでMERT
K(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に結合する
。本明細書で使用される「約」という用語は、数値または数値範囲の変更に使用される場
合、値または範囲の5%から10%大きい偏差および5%から10%小さい偏差が、記載
された値または範囲の意図する意味内に留まることを意味する。
【0253】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体のエピトープは、抗体を製造するための免
疫原として使用される。抗体を産生するための方法については、例えば、後述するセクシ
ョン5.2を参照。
【0254】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、
例えば、Beck A et al.,(2017)Nat Rev Drug Dis
cov 16:315-337;Peters C and Brown S,(201
5)Biosci Rep 35:art:e00225;McCombs JR an
d Owen SC(2015)The AAPS Journal 17:339-3
51;Jackson DY(2016)Org Proces Res Dev 20
:852-866;または、Olivier KJ and Hurvitz SA e
d.(2016)Antibody-Drug Conjugates:Fundame
ntals, Drug Development, and Clinical,Wi
leyに記載された方法により、薬物部分との結合を促進するため、特に部位特異的な結
合を促進するために、当技術分野で知られている方法によって操作または改変される。薬
物部分との結合を促進する目的で抗MERTK抗体またはその抗原結合断片を操作または
改変するのに使用することができる非限定的かつ例示的な方法(Beck A et a
l.,(2017)Nat Rev Drug Discov 16:315-337を
参照)としては、1つまたは複数の追加のシステインまたはセレノシステインの追加、非
天然アミノ酸工学、結合を支援できる特定の酵素によって認識可能な1つまたは複数のア
ミノ酸タグの追加、グリカンのリモデリング、アミノ末端セリンの追加、および天然のシ
ステイン架橋が挙げられる。
【0255】
5.1.2 抗体部分の機能的特徴
いくつかの形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動
する、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、内皮細胞上のME
RTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)の活性
を、少なくともおよそ、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、1
5倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または10
0倍増大させる。MERTKの活性は、本明細書に記載の方法または当業者に知られてい
る方法、例えば、MERTKのリン酸化の量を測定することにより、測定され得る。別の
特定の実施形態では、MERTKのリン酸化の増加によって測定されるMERTK活性の
増加は、抗体を含まない内皮細胞、または無関係の抗体(例えば、MERTKに免疫特異
的に結合しない抗体)を含む内皮細胞のMERTK活性(例えば、ヒトMERTK、また
はヒトとマウスの両方のMERTK活性)に対して少なくとも3倍、4倍、5倍、6倍、
7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、または30倍である。特定の実施形態では
、MERTK活性の増加は少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または
100%である。特定の実施形態では、MERTK活性の増加は、後述する実施例3に記
載されるように評価される。
【0256】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動
する、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、MERTKへの結
合について、Gas-6(例えば、ヒトGas-6)と競合する。いくつかの実施形態で
は、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、Gas-6がMERTK(例えば
、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)へ結合するのを阻害す
る(例えば、完全に阻害するか、部分的にのみ阻害する)。いくつかの実施形態において
、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)
に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、本明細書に記載
の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、当業者に公知のまたは本明細書に記載の
アッセイにより評価した場合に、内皮細胞上でGas-6(例えば、ヒトまたはマウスの
Gas-6)がMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方の
MERTK)に結合するのを、85%、80%、75%、70%、65%、60%以上、
55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%または10%を超え
て阻害する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結
合断片の存在下でのGas-6(例えば、ヒトGas-6)のMERTK(例えば、ヒト
MERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)への結合の阻害を評価するの
に使用されるアッセイは、後述する実施例1に記載の抗体捕捉ELISAである。
【0257】
特定の実施形態では、内皮細胞におけるMERTKリン酸化のレベルは、後述する実施
例3に記載されるようなホスホMERTK特異的ウエスタンブロッティングにより測定さ
れる。
【0258】
特定の実施形態では、内皮細胞上のMERTKリン酸化のレベルを促進する(すなわち
、増加させる)本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、インビト
ロで癌細胞(例えば、乳癌細胞)上のMERTKリン酸化を促進しない(すなわち、増加
させない)。特定の実施形態において、癌細胞におけるMERTKリン酸化のレベルは、
後述する実施例3に記載されるようなホスホ-MERTK特異的ウエスタンブロッティン
グにより測定される。
【0259】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動
する、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、癌細胞(例えば、
乳癌細胞)の存在下、インビトロでMERTKを発現する内皮細胞の遊走を阻害する。い
くつかの特定の実施形態において、内皮細胞の遊走は、本明細書に記載のおよび/または
当業者に既知の方法によって評価した場合に、少なくとも10%、20%、30%、35
%、40%、50%、または60%阻害される。いくつかの特定の実施形態では、内皮細
胞の遊走は、本明細書に記載のおよび/または当業者に知られている方法で評価した場合
に、少なくとも40%、45%、50%、55%、または60%阻害される。移動の程度
は、本明細書に記載されているおよび/または当業者に知られている方法によって評価す
ることができる。阻害は、抗体を含まないかまたは無関係の抗体(例えば、MERTKに
免疫特異的に結合しない抗体)を含むMERTK発現内皮細胞の遊走の程度に対する相対
的なものであってもよい。特定の実施形態では、内皮細胞の遊走を評価するのに使用され
るアッセイは、後述する実施例2に記載されているトランスウェル遊走アッセイである。
【0260】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動
する、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、内皮細胞の非存在下でのインビ
トロのトランスウェル遊走アッセイにおいて、多形膠芽腫細胞株A172の遊走を阻害し
ない。
【0261】
特定の実施形態において、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマ
ウスの両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を
作動する、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、腫瘍内の血管
新生を阻害する。いくつかの実施形態では、血管新生の阻害は、少なくとも10%、20
%、30%、40%、50%、55、60%、65%、70%、または75%である。特
定の実施形態では、血管新生の阻害は少なくとも50%、55%、60%、65%、また
は70%である。血管新生の阻害は、本明細書に記載のおよび/または当業者に知られて
いる方法によって評価することができる。阻害は、抗体を含まないかまたは無関係の抗体
(例えば、MERTKに免疫特異的に結合しない抗体)を含む場合の血管新生レベルに対
する相対的なものであってもよい。特定の実施形態では、インビボで血管新生を評価する
のに使用されるアッセイは、後述する実施例6に記載されている通りである。
【0262】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動
する、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、腫瘍(例えば、ヒ
ト乳癌腫瘍)の進行を阻害する。腫瘍の進行の阻害は、少なくとも10%、20%、30
%、40%、50%、60%、70%、または80%である。腫瘍の進行は、本明細書に
記載のおよび/または当業者に知られている方法によって評価することができる。腫瘍の
進行は、抗体を含まないかまたは無関係の抗体(例えば、MERTKに免疫特異的に結合
しない抗体)を含む場合の腫瘍の状態に対する相対的なものであってもよい。特定の実施
形態では、腫瘍の進行を評価するのに使用されるアッセイは、後述する実施例5および実
施例8に記載されているマウス腫瘍移植モデルである。
【0263】
5.2.抗体の製造
5.2.1.抗体の製造およびスクリーニング
本明細書には、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方
のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する抗体ま
たはその抗原結合断片を製造する方法も記載されている。
【0264】
本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、抗体の合成のための当該分野で公知
の任意の方法、例えば、化学合成または組換え発現技術によって、製造することができる
。本明細書に記載される方法は、特に明記しない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子分
析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチドの合成および修飾、
核酸ハイブリダイゼーション、および当業者の範囲内の関連分野における従来の技術を使
用する。これらの技術は、例えば、本明細書で引用された参考文献に記載されており、文
献で十分に説明されている。例えば、Maniatis T et al.,(1982
)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,C
old Spring Harbor Laboratory Press;Sambr
ook J et al.,(1989),Molecular Cloning:A
Laboratory Manual,Second Edition,Cold Sp
ring Harbor Laboratory Press;Sambrook J
et al.,(2001)Molecular Cloning:A Laborat
ory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory
Press,Cold Spring Harbor,NY;Ausubel FM
et al.,Current Protocols in Molecular Bi
ology,John Wiley&Sons(1987年および年次更新);Curr
ent Protocols in Immunology、John Wiley&S
ons(1987年および年次更新)Gait(ed.)(1984)Oligonuc
leotide Synthesis:A Practical Approach,I
RL Press;Eckstein(ed.)(1991)Oligonucleot
ides and Analogues:A Practical Approach,
IRL Press;Birren B et al.,(eds.)(1999)Ge
nome Analysis:A Laboratory Manual、Cold S
pring Harbor Laboratory Pressを参照。
【0265】
特定の実施形態において、本明細書に記載の抗体は、例えば合成、遺伝子工学を介した
DNA配列の作製を伴う任意の手段により調製、発現、作製または単離された抗体(例え
ば、組換え抗体)である。特定の実施形態では、そのような抗体は、動物または哺乳動物
(例えば、ヒト)のインビボでの抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しないDNA
配列によってコードされる配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、
ヒトMERTK(配列番号57)またはその細胞外ドメイン(配列番号58)を免疫原と
して使用することを含む方法によって作製される。
【0266】
特定の形態において、本明細書に記載の細胞または宿主細胞を培養することを含む、M
ERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に免
疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、抗MERTK抗体ま
たはその抗原結合断片を作製する方法が本明細書に記載される。特定の形態において、本
明細書に記載の細胞または宿主細胞(例えば、本明細書に記載の抗体をコードするポリヌ
クレオチドを含む細胞または宿主細胞)を用いて、本明細書に記載の抗体またはその抗原
結合断片を発現させる(例えば、組換え発現させる)ことを含む、MERTK(例えば、
ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、
内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する、抗MERTK抗体またはその抗原結合断
片を作製する方法が本明細書に記載される。特定の実施形態では、細胞は単離された細胞
である。特定の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドが当該細胞に導入されている。特
定の実施形態では、この方法は、細胞または宿主細胞から得られた抗体またはその抗原結
合断片を精製する工程をさらに含む。
【0267】
ポリクローナル抗体を製造する方法は、当技術分野で知られている(例えば、第11章
:Short Protocols in Molecular Biology,(2
002)第5版、Ausubel FMら編、John Wiley and Sons
、ニューヨークを参照)。
【0268】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によ
り製造される抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、お
よびファージディスプレイ技術、またはそれらの組み合わせの使用などの当技術分野で知
られている多種多様な技術を使用して作製することができる。例えば、モノクローナル抗
体は、本明細書に記載の抗体またはその断片、例えばそのような抗体の軽鎖および/また
は重鎖を外因的に発現する宿主細胞から組換え的に製造することができる。クローン細胞
株およびそれにより発現されるモノクローナル抗体の調製方法は、当技術分野で周知であ
る(例えば、上述した、第11章::Short Protocols in Mole
cular Biology,(2002)第5版、Ausubel FMらを参照)。
例えば、モノクローナル抗体は、Harlow E&Lane D,Antibodie
s:A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbo
r Laboratory Press,2nd ed.1988);Hammerli
ng GJ et al.,in:Monoclonal Antibodies an
d T-Cell Hybridomas 563 681(Elsevier,NY,
1981);及びKohler G&Milstein C(1975)Nature
256:495に記載のように当技術分野で公知のハイブリドーマ技術を用いて製造され
得る。ハイブリドーマ技術を用いて特定の抗体を製造およびスクリーニングする方法は、
当技術分野において公知である。いくつかの実施形態では、マウス(またはラット、サル
、ロバ、ブタ、ヒツジ、ハムスター、またはイヌなどの他の動物)を抗原(例えば、ME
RTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK))で免
疫することができる。そして、免疫反応が検出されると、例えば、抗原に特異的な抗体が
マウス血清で検出されると、マウスの脾臓が採取され、脾臓細胞が単離される。次いで、
脾臓細胞を周知の技術により、任意の適切な骨髄腫細胞、例えば、アメリカンタイプカル
チャーコレクション(ATCC(登録商標))(マナッサス、バージニア州)から入手可
能な細胞株SP20からの細胞に融合し、ハイブリドーマを形成する。ハイブリドーマは
、限界希釈によって選択され、クローン化される。
【0269】
このように調製されたハイブリドーマ細胞は、好ましくは融合されていない親骨髄腫細
胞の成長または生存を阻害する1つまたは複数の物質を含む適切な培地に播種されて増殖
する。ハイブリドーマ細胞が増殖している培地を、MERTK(例えば、ヒトMERTK
、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に対するモノクローナル抗体の産生につ
いてアッセイする。所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を産生するハイブ
リドーマ細胞が同定された後、標準的な方法(上述したGoding JW(Ed),M
onoclonal Antibodies:Principles and Prac
tice)により、クローンをサブクローンし、増殖させ、培地から分離することができ
る。ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、当技術
分野で知られている方法、例えば、免疫沈降法、または放射性免疫測定法(RIA)や酵
素結合免疫吸着測定法(ELISA)などのインビトロでの結合アッセイによって決定さ
れる。
【0270】
特定の実施形態において、単一細胞(例えば、組換え抗体を産生するハイブリドーマま
たは宿主細胞)により産生されるモノクローナル抗体が本明細書に記載され、当該抗体は
、例えば、当技術分野で公知の、または本明細書で提供される実施例1に記載のようなE
LISAまたは他の抗原結合アッセイまたは競合結合アッセイにより測定した場合に、M
ERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に免
疫特異的に結合する。特定の実施形態では、モノクローナル抗体はキメラ抗体またはヒト
化抗体であり得る。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、一価抗体または多価(
例えば、二価)抗体である。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は単一特異性抗体
または多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。
【0271】
本明細書に記載の抗体には、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよび
マウスの両方のMERTK)を認識する抗体断片が含まれ、当業者に知られている任意の
技術によって作製することができる。例えば、本明細書に記載のFabおよびF(ab’
断片は、パパイン(Fab断片を生成する)またはペプシン(F(ab’)断片
を生成する)などの酵素を使用して、免疫グロブリン分子のタンパク質分解により製造で
きる。Fab断片は、抗体分子の2つの同一アームの1つに対応し、重鎖のVHドメイン
およびCH1ドメインと対になった完全な軽鎖を含む。F(ab’)断片は、ヒンジ
領域のジスルフィド結合により連結された抗体分子の2つの抗原結合アームを含む。
【0272】
さらに、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、当技術分野で公知の様々な
ファージディスプレイ法を使用して製造することもできる。ファージディスプレイ法では
、機能的抗体ドメインを、それらをコードするポリヌクレオチド配列を運ぶファージ粒子
の表面に表示する。特に、VHドメインおよびVLドメインをコードするDNA配列は、
動物のcDNAライブラリー(例えば、罹患組織のヒトまたはマウスのcDNAライブラ
リー)から増幅される。VHドメインおよびVLドメインをコードするDNAは、PCR
によりscFvリンカーと組み換えられ、ファージミドベクターにクローニングされる。
ベクターは大腸菌内にエレクトロポレートされ、大腸菌はヘルパーファージに感染する。
これらの方法で使用されるファージは、典型的には、fdおよびM13などの繊維状ファ
ージであり、VHドメインおよびVLドメインは通常、ファージの遺伝子IIIまたは遺
伝子VIIIのいずれかに組換えにより融合される。特定の抗原に結合する抗原結合ドメ
インを発現するファージは、例えば、標識抗原または固体表面またはビーズに結合または
捕捉された抗原を使用して、抗原で選択または特定することができる。本明細書に記載の
抗体を作製するために使用できるファージディスプレイ法の例としては、Brinkma
n U et al.,(1995)J Immunol Methods 182:4
1-50;Ames RS et al.,(1995)J Immunol Meth
ods 184:177-186;Kettleborough CA et al.,
(1994)Eur J Immunol 24:952-958;Persic L
et al.,(1997)Gene 187:9-18;Burton DR&Bar
bas CF(1994)Advan Immunol 57:191-280;PCT
出願番号PCT/GB91/001134;国際公開番号WO90/02809、WO9
1/10737、WO92/01047、WO92/18619、WO93/11236
、WO95/15982、WO95/20401、およびWO97/13844、並びに
米国特許第5,698,426、5,223,409、5,403,484、5,580
,717、5,427,908、5,750,753、5,821,047、5,571
,698、5,427,908、5,516,637、5,780,225、5,658
,727、5,733,743および5,969,108号に記載のものがある。
【0273】
上記の参考文献に記載されているように、ファージ選択後、ファージからの抗体コード
領域を単離し、ヒト抗体などの抗体全体、またはその他の望ましい抗原結合断片を生成す
るために使用し、例えば、以下に説明するように、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、
酵母、および細菌などのあらゆる望ましい宿主で発現させることができる。Fab、Fa
b’およびF(ab’)断片などの抗体断片を組換えにより産生する技術も、PCT公
開番号WO92/22324;Mullinax RL et al.,(1992)B
ioTechniques 12(6):864-9;Sawai H et al.,
(1995)Am J Reprod Immunol 34:26-34;及びBet
ter M et al.,(1988)Science 240:1041-1043
に開示されているものなど、当技術分野で知られている方法を使用して実施可能である。
【0274】
一形態では、抗体全体を生成するために、VHヌクレオチド配列またはVLヌクレオチ
ド配列、制限部位、および制限部位を保護する隣接配列を含むPCRプライマーを使用し
て、テンプレート、例えばscFvクローンからVH配列またはVL配列を増幅すること
ができる。当業者に公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅VHドメインをVH
定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅VLドメインを
VL定常領域、例えばヒトのカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクターにクローニ
ングすることができる。VHドメインおよびVLドメインは、必要な定常領域を発現する
1つのベクターにクローニングしてもよい。次いで、当業者に公知の技術を使用して、重
鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞株に同時トランスフェクトして、完全長抗
体、例えばIgGを発現する安定なまたは一過性の細胞株を生成する。
【0275】
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子に由来する分子である。
例えば、キメラ抗体は、ヒト抗体の定常領域に融合したマウスまたはラットのモノクロー
ナル抗体の可変領域を含むことができる。キメラ抗体を産生する方法は、当技術分野で知
られている。例えば、Morrison SL(1985)Science 229:1
202-7;Oi VT&Morrison SL(1986)BioTechniqu
es 4:214-221;Gillies SD et al.,(1989)J I
mmunol Methods 125:191-202;並びに、米国特許第5,80
7,715号、4,816,567号、4,816,397号、および6,331,41
5号を参照。
【0276】
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合することができ、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列
を実質的に有するフレームワーク領域と、非ヒト免疫グロブリン(例えば、マウス免疫グ
ロブリン)のアミノ酸配列を実質的に有するCDRとを含む。特定の実施形態では、ヒト
化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫
グロブリンのものを含む。この抗体には、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およ
びCH4領域も含まれ得る。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIg
Eなどの免疫グロブリンの任意のクラス、並びにIgG、IgG、IgGおよびI
gGなどの任意のアイソタイプから選択され得る。ヒト化抗体は、CDRグラフティン
グ(欧州特許第EP239400号、国際公開第WO91/09967号、並びに米国特
許第5,225,539号、5,530,101号、および5,585,089号)、ベ
ニアリングまたはリサーフェシング(欧州特許第EP592106号およびEP5195
96号;Padlan EA(1991)Mol Immunol 28(4/5):4
89-498;Studnicka GM et al.,(1994)Prot En
gineering 7(6)):805-814;およびRoguska MA et
al.,(1994)PNAS 91:969-973)、鎖シャッフリング(米国特
許第5,565,332号)に開示されている技術や、例えば、米国特許第6,407,
213号、米国特許第5,766,886号、国際公開第WO93/17105号;Ta
n P et al.,(2002)J Immunol 169:1119-25;C
aldas C et al.,(2000)Protein Eng.13(5):3
53-60;Morea V et al.,(2000)Methods 20(3)
:267-79;Baca M et al.,(1997)J Biol Chem
272(16):10678-84;Roguska MA et al.,(1996
)Protein Eng 9(10):895 904;Couto JR et a
l.,(1995)Cancer Res.55(23 Supp):5973s-59
77s;Couto JR et al.,(1995)Cancer Res 55(
8):1717-22;Sandhu JS(1994)Gene 150(2):40
9-10及びPedersen JT et al.,(1994)J Mol Bio
l 235(3):959-73に記載の技術を含むが、これらに限定されない、当技術
分野で公知の様々な技術を使用して産生することができる。参照によりその全体が本明細
書に組み込まれる、米国出願公開第US 2005/0042664A1(2005年2
月24日)も参照されたい。
【0277】
多重特異性(例えば、二重特異性抗体)を作製する方法が開示されており、例えば、米
国特許第7,951,917号;7,183,076号;8,227,577号;5,8
37,242号;5,989,830号;5,869,620号;6,132,992号
および8,586,713号を参照。
【0278】
単一ドメイン抗体、例えば、軽鎖を欠く抗体は、当技術分野で周知の方法により産生さ
れ得る。Riechmann L&Muyldermans S(1999)J Imm
unol 231:25-38;Nuttall SD et al.,(2000)C
urr Pharm Biotechnol 1(3):253-263;Muylde
rmans S,(2001)J Biotechnol 74(4):277-302
;米国特許第6,005,079号;および国際公開第WO94/04678号、WO9
4/25591号およびWO01/44301号を参照。
【0279】
さらに、MERTK抗原に免疫特異的に結合する抗体を利用して、当業者に周知の技術
を使用して抗原を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を作製することができる。(例えば
、Greenspan NS&Bona CA(1989)FASEB J 7(5):
437-444;およびNissinoff A(1991)J Immunol 14
7(8):2429-2438を参照)。
【0280】
特定の実施形態では、本明細書に記載のMERTKアゴニスト抗体と同じかまたは重複
するMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK
)のエピトープに結合する、本明細書に記載の抗体は、ヒト抗MERTK抗体またはその
抗原結合断片である。特定の実施形態において、本明細書に記載の抗体のいずれか(例え
ば、M6またはM19)のMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウ
スの両方のMERTK)への結合を競合的に阻害する、本明細書に記載の抗体は、ヒト抗
MERTK抗体またはその抗原結合断片である。ヒト抗体は、当該分野で公知の任意の方
法を使用して産生され得る。例えば、機能的な内因性免疫グロブリンを発現できないが、
ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現できるトランスジェニックマウスを使用できる。特に、
ヒトの重鎖および軽鎖の免疫グロブリン遺伝子の複合体を、ランダムに、または相同組換
えによりマウス胚性幹細胞に導入することができる。あるいは、ヒトの重鎖および軽鎖の
遺伝子に加えて、ヒトの可変領域、定常領域、および多様性領域をマウス胚性幹細胞に導
入することができる。マウスの重鎖および軽鎖の免疫グロブリン遺伝子については、相同
組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入とは別に、またはこれと同時にその機能
を失わせることができる。特に、J領域のホモ接合体の欠失により、内因性の抗体産生
が阻害される。改変された胚性幹細胞は培養され、胚盤胞にマイクロインジェクションさ
れて、キメラマウスが作られる。次に、キメラマウスを繁殖させて、ヒト抗体を発現する
ホモ接合の子世代を作製する。このトランスジェニックマウスは、選択された抗原、例え
ば抗原(例えば、MERTK)の全部または一部を用いて通常の方法で免疫される。抗原
に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を使用して、免疫トランスジ
ェニックマウスから取得することができる。トランスジェニックマウスが保有するヒト免
疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞の分化中に再配列し、その後クラススイッチングおよ
び体細胞変異を受ける。したがって、そのような技術を使用して、治療的に有用なIgG
、IgA、IgMおよびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するた
めのこの技術の概要については、例えば、Lonberg N&Huszar D(19
95)Int Rev Immunol 13:65-93を参照。ヒト抗体およびヒト
モノクローナル抗体を産生するためのこの技術およびそのような抗体を産生するためのプ
ロトコールの詳細な議論については、例えば、国際公開第WO98/24893、WO9
6/34096およびWO96/33735および米国特許第5,413,923、5,
625,126、5,633,425、5,569,825、5,661,016、5,
545,806、5,814,318および5,939,598を参照。ヒト抗体を産生
できるマウスの例には、Xenomouse(商標)(Abgenix、Inc.;米国
特許第6,075,181および6,150,184)、HuAb-Mouse(商標)
(Mederex、Inc./Gen Pharm;米国特許第5,545,806およ
び5,569,825)、Trans Chromo Mouse(商標)(キリン)お
よびKM Mouse(商標)(Medarex / Kirin)がある。
【0281】
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)
に特異的に結合するヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを
使用した上記のファージディスプレイ法などの、当技術分野で知られているさまざまな方
法で作製できる。米国特許第4,444,887号、第4,716,111号、および第
5,885,793号;および国際公開第WO98/46645、WO98/50433
、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/3
3735、およびWO91/10741も参照。
【0282】
いくつかの実施形態では、マウス-ヒトハイブリドーマを使用してヒト抗体を産生する
ことができる。たとえば、エプスタイン-バーウイルス(EBV)で形質転換されたヒト
末梢血リンパ球をマウス骨髄腫細胞と融合させて、ヒトモノクローナル抗体を分泌するマ
ウス-ヒトハイブリドーマを作製し、これらのマウス-ヒトハイブリドーマをスクリーニ
ングして、標的抗原(例えば、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよび
マウスの両方のMERTK))に免疫特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を分泌す
るものを決定することができる。そのような方法は知られており、当技術分野で開示され
ている。例えば、Shinmoto H et al.,(2004)Cytotech
nology 46:19-23;Naganawa Y et al.,(2005)
Human Antibodies 14:27-31を参照。
【0283】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する
抗体またはその抗原結合断片を産生する方法は、後述する実施例1に記載されている。
【0284】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウス
の両方のMERTK)に特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動する
抗体またはその抗原結合断片をスクリーニングおよび選択する方法は、後述する実施例1
に記載されている。
【0285】
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片が産生されると、免疫グロ
ブリン分子を精製するための当技術分野で公知の任意の方法、例えばクロマトグラフィー
(例えば、イオン交換、アフィニティー、特に、プロテインA後の特定の抗原に対するア
フィニティー、およびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度、また
はタンパク質精製のためのその他の標準的な手法により精製することができる。さらに、
本明細書に記載の抗体は、精製を促進するために、本明細書に記載されるかまたは当技術
分野で公知の異種ポリペプチド配列に融合させることができる。
【0286】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、
単離または精製される。一般的に、単離された抗体は、単離された抗体とは異なる抗原特
異性を持つ他の抗体を実質的に含まない抗体である。例えば、特定の実施形態では、本明
細書に記載の抗体の調製物は、細胞物質および/または化学前駆体を実質的に含まない。
「細胞物質を実質的に含まない」という用語には、抗体が単離または組換え生産される細
胞の細胞成分から分離されている抗体の調製物が含まれる。したがって、細胞物質を実質
的に含まない抗体には、およそ30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、
または0.1%(乾燥重量)未満の異種のタンパク質(本明細書では「混入タンパク質」
とも呼ばれる)および/または抗体の変異体、例えば抗体の異なる翻訳後修飾の形態また
は他の異なる抗体のバージョン(例えば、抗体断片)を有する抗体の調製物が含まれる。
抗体が組換えにより産生される場合、それはまた、一般に培地を実質的に含まない、すな
わち、培地はタンパク質調製物の体積のおよそ20%、10%、2%、1%、0.5%、
または0.1%未満を占める。抗体が化学合成により生成される場合、それは一般に化学
前駆体または他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、タンパク質の合成に関与する
化学前駆体または他の化学物質から分離される。したがって、抗体のそのような調製物は
、対象の抗体以外の化学前駆体または化合物をおよそ30%、20%、10%、または5
%(乾燥重量で)未満で有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は単離また
は精製されている。
【0287】
5.2.2 ポリヌクレオチド
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)
の抗原に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片(例えば、
可変軽鎖領域および/または可変重鎖領域)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌ
クレオチド、並びに、ベクター、例えば、当該ポリヌクレオチドの宿主細胞(例えば、大
腸菌および哺乳動物細胞)における効率的な発現のためのポリヌクレオチドを含むベクタ
ーもまた、本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは単
離または精製されている。
【0288】
本明細書で使用される「単離された」ポリヌクレオチドまたは核酸分子は、核酸分子の
天然源に(例えば、マウスまたはヒトに)存在する他の核酸分子から分離されたものであ
る。さらに、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、組換え技術によって産生さ
れる場合には他の細胞物質または培地を実質的に含まないか、または、化学合成される場
合には化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。例えば、「実質的に含まない
」という用語には、およそ15%、10%、5%、2%、1%、0.5%、または0.1
%未満の他の物質、例えば細胞物質、培地、他の核酸分子、化学前駆体および/または他
の化学物質、を有するポリヌクレオチドまたは核酸分子の調製物が含まれる。
【0289】
特定の形態において、MERTKポリペプチド(例えば、ヒトMERTK)に免疫特異
的に結合し、本明細書に記載のアミノ酸配列を含む抗体またはその抗原結合断片、並びに
、MERTKポリペプチドへの結合についてこのような抗体と(例えば、用量依存的に)
競合するか、またはこのような抗体のエピトープと同じかまたは重複するエピトープに結
合する抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書に開示され
る。
【0290】
特定の形態において、本明細書に記載の抗体の軽鎖または重鎖をコードするヌクレオチ
ド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書に記載される。ポリヌクレオチドは、本明細書
に記載のVH CDR(例えば、表1および表3を参照)を含む重鎖をコードするヌクレ
オチド配列を含むことができる。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載のVL CDR(
例えば、表2および表4を参照)を含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むことが
できる。
【0291】
特定の実施形態において、例えば表1または表3に記載のVH CDR1、VH CD
R2、およびVH CDR3を含む3つのVH鎖CDRを含むMERTKアゴニスト抗体
をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書に開示される。特定の
実施形態では、例えば表2または表4に記載のVL CDR1、VL CDR2、および
VL CDR3を含む3つのVL鎖CDRを含むMERTKアゴニスト抗体をコードする
ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書に開示される。特定の実施形態にお
いて、例えば表1または表3に記載のVH CDR1、VH CDR2、およびVH C
DR3を含む3つのVH鎖CDR、並びに、例えば表2および表4に記載のVL CDR
1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む3つのVL鎖CDRを含むMERTK
アゴニスト抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書に記載
される。特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、M6のVH CD
R1、VH CDR2、およびVH CDR3(すなわち、配列番号1、6、および11
;配列番号2、7および12;配列番号3、8、および11;配列番号4、9、および1
3;配列番号5、10、および14;または配列番号3、6、および11)をコードする
。特定の実施形態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、M6のVL CDR
1、VL CDR2、およびVL CDR3(すなわち、配列番号15、19、および2
2;配列番号16、20、および23;配列番号17、21、および24;または配列番
号18、20、および22)をコードする。特定の実施形態では、本明細書に記載のポリ
ヌクレオチドは、M6のVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3(すな
わち、配列番号1、6、および11;配列番号2、7および12;配列番号3、8、およ
び11;配列番号4、9、および13;配列番号5、10、および14;または配列番号
3、6、および11)、並びに、3つのM6のVL CDR(すなわち、配列番号15、
19、および22;配列番号16、20、および23;配列番号17、21、および24
;または配列番号18、20、および22)をコードする。
【0292】
特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、M19のVH CDR1
、VH CDR2、およびVH CDR3(すなわち、配列番号25、30、および35
;配列番号26、31、および36;配列番号27、32、および35;配列番号28、
33、および37;配列番号29、34、および38;または配列番号27、30、およ
び35)をコードする。特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、M
19のVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3(例えば、配列番号39
、43、および46;配列番号40、44、および47;配列番号41、45、および4
8;または配列番号:42、44、および46)をコードする。特定の実施形態では、本
明細書に記載のポリヌクレオチドは、M19の3つのVH CDR(すなわち、配列番号
25、30、および35;配列番号26、31、および36;配列番号27、32、およ
び35;配列番号28、33、または37;配列番号29、34、および38;または配
列番号27、30、および35)、並びに、M19の3つのVL CDR(すなわち、配
列番号39、43、および46;配列番号:40、44、および47;配列番号41、4
5、および48;または配列番号:42、44、および46)をコードする。
【0293】
特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、本明細書に記載のアミノ
酸配列(配列番号49または51)を含む重鎖可変領域を含む本明細書に記載の抗MER
TK抗体をコードするヌクレオチド配列を含み、当該抗体はMERTK(例えば、ヒトM
ERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に免疫特異的に結合する。特定
の実施形態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、本明細書に記載のアミノ酸
配列(配列番号50または52)を含む軽鎖可変領域を含む本明細書に記載の抗MERT
K抗体をコードするヌクレオチド配列を含み、当該抗体はMERTK(例えば、ヒトME
RTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に免疫特異的に結合する。特定の
実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号49のアミノ酸配列を含
む重鎖可変領域、および配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む本明細書
に記載の抗MERTK抗体をコードするヌクレオチド配列を含み、当該抗体はMERTK
(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に免疫特異的
に結合する。特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号51
のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変
領域を含む本明細書に記載の抗MERTK抗体をコードするヌクレオチド配列を含み、当
該抗体はMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMER
TK)に免疫特異的に結合する。
【0294】
特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号53または配列
番号55の核酸配列を含むVHをコードする。特定の実施形態では、本明細書に記載のポ
リヌクレオチドは、配列番号54または配列番号56の核酸配列を含むVLをコードする
。特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号53の核酸配列
を含むVH、および配列番号54の核酸配列を含むVLをコードする(例えば、M6)。
別の特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、配列番号55の核酸配
列を含むVH、および配列番号56の核酸配列を含むVLをコードする(例えば、M19
)。
【0295】
特定の形態において、軽鎖および重鎖、例えば別個の軽鎖および重鎖を含む抗体をコー
ドするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書に開示される。軽鎖に関して
、特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、カッパ軽鎖をコードする
ヌクレオチド配列を含む。別の特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチド
は、ラムダ軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。さらに別の特定の実施形態では、
本明細書に記載のポリヌクレオチドは、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖を含む本明
細書に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書
に記載のポリヌクレオチドは、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよび
マウスの両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達
を作動する、本明細書に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含み、当該抗体は軽
鎖を含み、当該軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号50または配列番号52のい
ずれかのアミノ酸配列を含むことができ、当該軽鎖の定常領域はヒトカッパ軽鎖の定常領
域を含む。別の特定の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、MERTK
(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に免疫特異的
に結合し、内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動し、軽鎖を含む、本明細書に記載の
抗体をコードするヌクレオチド配列を含み、当該軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列
番号50または配列番号52のいずれかのアミノ酸配列を含むことができ、軽鎖の定常領
域はヒトラムダ軽鎖の定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0296】
特定の実施形態では、本明細書に記載のMERTKアゴニスト抗体またはその抗原結合
断片(例えば、VHドメインおよび/またはVLドメイン)をコードする最適化されたポ
リヌクレオチド配列は、本明細書に記載のMERTKアゴニスト抗体またはその抗原結合
断片(例えば、VHドメインおよび/またはVLドメイン)をコードする最適化されてい
ないポリヌクレオチド配列のアンチセンス(例えば、相補的な)ポリヌクレオチドにハイ
ブリダイズできる。特定の実施形態では、本明細書に記載のMERTKアゴニスト抗体ま
たは抗原結合断片をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、本明細書に記載のME
RTKアゴニスト抗体またはその抗原結合断片をコードする最適化されていないポリヌク
レオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドに高ストリンジェンシー条件下でハイブリ
ダイズする。特定の実施形態では、本明細書に記載のMERTKアゴニスト抗体またはそ
の抗原結合断片をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、本明細書に記載のMER
TKアゴニスト抗体またはその抗原結合断片をコードする最適化されていないヌクレオチ
ド配列のアンチセンスポリヌクレオチドに高ストリンジェンシー、中または低ストリンジ
ェンシーハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。特定の実施形態では、本
明細書に記載のポリヌクレオチドはコドン最適化されている。ハイブリダイゼーション条
件に関する情報は開示されており、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許
出願公開第2005/0048549号(例えば、段落72~73)を参照。
【0297】
当該分野で公知の任意の方法によって、ポリヌクレオチドが得られ、ポリヌクレオチド
のヌクレオチド配列が決定され得る。本明細書に記載の抗体およびこれらの抗体の修飾バ
ージョンをコードするヌクレオチド配列は、当技術分野で周知の方法を使用して決定でき
る、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られているヌクレオチドコドンは、
抗体をコードする核酸を生成するように組み立てられる。抗体をコードするこのようなポ
リヌクレオチドは、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから組み立てることができ(
例えば、Kutmeier G et al.,(1994)、BioTechniqu
es 17:242-6に記載されている)、簡単に言えば、抗体をコードする配列の部
分を含有するオリゴヌクレオチドを重複させ、それらのオリゴヌクレオチドをアニーリン
グおよびライゲーションし、そしてライゲーションされたオリゴヌクレオチドをPCRに
より増幅する。
【0298】
あるいは、本明細書に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドは、当技術分野で周知
の方法(例えば、PCRおよび他の分子クローニング法)を使用して、適切な供給源(例
えば、ハイブリドーマ)からの核酸から生成できる。例えば、既知の配列の3’および5
’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用したPCR増幅は、目的の抗体を産
生するハイブリドーマ細胞から得られたゲノムDNAを使用して実行することができる。
そのようなPCR増幅法を使用して、抗体の軽鎖および/または重鎖をコードする配列を
含む核酸を得ることができる。そのようなPCR増幅法を使用して、抗体の可変軽鎖領域
および/または可変重鎖領域をコードする配列を含む核酸を得ることができる。増幅され
た核酸は、例えばキメラ抗体およびヒト化抗体を作製するために、宿主細胞での発現およ
びさらなるクローニングのためにベクターにクローニングすることができる。
【0299】
特定の抗体をコードする核酸を含むクローンが入手できないが、抗体分子の配列がわか
っている場合には、当該免疫グロブリンをコードする核酸を化学的に合成するか、または
適切な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリーまたは、本明細書に記載の抗体を発現
するために選択されたハイブリドーマ細胞などの抗体を発現する組織または細胞から作製
され、または核酸、好ましくはポリA+RNA、もしくは単離されたcDNAライブラリ
ー)から、配列の3’および5’にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用したPC
R増幅により、または、例えば当該抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDN
Aクローンを同定するための特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを
使用したクローニングにより、取得することができる。次いで、PCRにより生成された
増幅核酸は、当該分野で周知の任意の方法を使用して複製可能なクローニングベクター中
にクローニングされ得る。
【0300】
本明細書に記載のMERTKアゴニスト抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用
して(例えば、MERTKアゴニスト抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的
に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、容易に単離および配
列決定することができる。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの供給源として機能
し得る。単離されると、DNAは発現ベクター中に導入され、これはその後に、他の方法
では免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズ
ハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO GSシステム(商標)(ロンザ)から
のCHO細胞)、または骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされ、組換え宿主
細胞においてMERTKアゴニスト抗体の合成を行う。
【0301】
抗体全体を作製するには、VHまたはVLのヌクレオチド配列、制限部位、および制限
部位を保護する隣接配列を含むPCRプライマーを使用して、scFvクローンのVH配
列またはVL配列を増幅することができる。当業者に公知のクローニング技術を利用して
、PCR増幅VHドメインを重鎖定常領域、例えばヒトガンマ4定常領域を発現するベク
ターにクローニングすることができ、PCR増幅VLドメインを軽鎖定常領域、例えば、
ヒトのカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる
。特定の実施形態では、VHまたはVLドメインを発現するためのベクターは、プロモー
ター、分泌シグナル、可変ドメインのクローニング部位、定常ドメイン、および選択マー
カーを含む。VHおよびVLドメインは、必要な定常領域を発現する1つのベクターにク
ローニングすることもできる。重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターは、当業者に公
知の技術を用いて、完全長の抗体(例えば、IgG)を発現する安定したまたは一過性の
細胞株を生成する細胞株に同時トランスフェクトされる。
【0302】
DNAは、例えば、マウス配列の代わりにヒトの重鎖および軽鎖定常ドメインのコード
配列で置換することにより、または非免疫グロブリンポリぺプチドのコード配列の全部ま
たは一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合により連結することにより修飾すること
もできる。
【0303】
本明細書に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドに、高ストリンジェンシー、中ス
トリンジェンシーまたは低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下でハイブ
リダイズするポリヌクレオチドもまた、本明細書に開示される。特定の実施形態では、本
明細書に記載のポリヌクレオチドは、高ストリンジェンシー、中または低ストリンジェン
シーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書で提供されるVH(配列番号49もし
くは51)および/またはVL(配列番号50もしくは52)をコードするポリヌクレオ
チドにハイブリダイズする。
【0304】
ハイブリダイゼーション条件は当該分野で開示されており、当業者に知られている。例
えば、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションには、約45℃での6×塩
化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中のフィルター結合DNAへのハイブリダ
イゼーションと、それに続く約50~65℃での0.2×SSC/0.1%SDS中での
1回以上の洗浄が含まれ得る;高ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション
には、約45℃での6×SSC中のフィルター結合核酸へのハイブリダイゼーションと、
それに続く約68℃での0.1×SSC/0.2%SDS中での1回以上の洗浄が含まれ
得る。他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーショ
ンは当業者に公知で、開示されており、例えば、Ausubel FM et al.,
eds.,(1989)Current Protocols in Molecula
r Biology、Vol.I、Green Publishing Associa
tes、Inc.およびJohn Wiley&Sons、Inc.,ニューヨーク、6
.3.1-6.3.6および2.10.3ページを参照。
【0305】
特定の実施形態では、薬物部分は、抗体部分の1つまたは複数の鎖のN末端またはC末
端に(直接または、ペプチドもしくはタンパク質であるリンカーを介して)融合したペプ
チドまたはタンパク質である。例えば、抗体部分がscFvである場合、薬物部分はsc
FvのN末端またはC末端で(直接または、ペプチドもしくはタンパク質であるリンカー
を介して)融合することができる。特定の実施形態では、抗体部分が多鎖抗体またはその
抗原結合断片である場合、薬物部分は抗体部分の鎖の1つに(直接または、ペプチドもし
くはタンパク質であるリンカーを介して)融合することができる。免疫グロブリンである
抗体の場合、特定の実施形態では、両方の重鎖を薬物部分に(直接または、ペプチドもし
くはタンパク質であるリンカーを介して)融合することができ、および/または両方の軽
鎖をリンカー薬物部分に(直接または、ペプチドもしくはタンパク質であるリンカーを介
して)融合することができる。そのような特定の実施形態では、薬物部分および抗体部分
またはその鎖、並びに薬物部分と抗体部分との間のリンカー(存在する場合)から構成さ
れる融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書で
提供される。そのようなポリヌクレオチドは、抗MERTK抗体について上述したのと同
じ方法を使用して生成および単離することができる。
【0306】
5.2.3 細胞およびベクター
宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞での組換え発現のためのMERTKアゴニスト抗体
またはその抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベ
クター(例えば、発現ベクター)も本明細書に開示される。本明細書に記載のMERTK
アゴニスト抗体またはその抗原結合断片(例えば、ヒト抗体またはヒト化抗体)を組換え
発現するためのそのようなベクターを含む宿主細胞も本明細書に開示される。
【0307】
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)
に特異的に結合する本明細書に記載の抗体(例えば、本明細書に記載の全長抗体、抗体の
重鎖および/もしくは軽鎖、または単鎖抗体)の組換え発現は、当該抗体をコードするポ
リヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を伴う。本明細書に記載の抗体分子、抗体の重
鎖および/または軽鎖、またはその抗原結合断片(例えば重鎖および/または軽鎖可変領
域)をコードするポリヌクレオチドが得られたら、当技術分野で周知の技術を使用する組
換えDNA技術によって当該抗体分子の産生のためのベクターを作製することができる。
したがって、抗体または抗体断片(例えば、軽鎖または重鎖)をコードするヌクレオチド
配列を含むポリヌクレオチドを発現させることによりタンパク質を調製する方法が本明細
書に開示される。当業者に周知の方法を使用して、抗体または抗体断片(例えば、軽鎖ま
たは重鎖)をコードする配列および適切な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクタ
ーを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、
合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが含まれる。プロモーターに作動可能に連結され
た、本明細書に記載の抗体分子、抗体の重鎖または軽鎖、抗MERTK抗体の重鎖または
軽鎖可変ドメインまたはその抗原結合断片、あるいは重鎖または軽鎖のCDRをコードす
るヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターも本明細書に開示される。そのようなベク
ターは、例えば、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列(例えば、国際公開
第WO86/05807およびWO89/01036;並びに米国特許第5,122,4
64号を参照)を含むことができ、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖および軽鎖の両方の
全体の発現のために抗体の可変ドメインをそのようなベクターにクローニングすることが
できる。
【0308】
発現ベクターは、従来の技術によって細胞(例えば、宿主細胞)に移され、次いで、得
られた細胞は、従来の技術によって培養されて、本明細書に記載の抗体またはその抗原結
合断片を産生し得る。したがって、宿主細胞における配列の発現のためのプロモーターに
作動可能に連結された、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片、またはその重鎖
もしくは軽鎖、またはその断片、または本明細書に記載の単鎖抗体をコードするポリヌク
レオチドを含む宿主細胞が本明細書に開示される。本明細書で使用される場合、「宿主細
胞」との用語は、任意のタイプの細胞、例えば、初代細胞、培養中の細胞、または細胞株
由来の細胞であり得る。特定の実施形態では、「宿主細胞」という用語は、ある核酸分子
でトランスフェクトされた細胞およびそのような細胞の子孫または潜在的な子孫を意味す
る。そのような細胞の子孫は、例えば後続の世代または核酸分子の宿主細胞ゲノムへの組
み込みで起こり得る突然変異または環境の影響により、核酸分子でトランスフェクトされ
た親細胞と同一ではなくてもよい。
【0309】
様々な宿主-発現ベクターシステムを利用して、本明細書に記載の抗体分子を発現させ
ることができる。そのような宿主-発現システムは、それによって目的のコード配列が産
生されてその後精製され得る媒体を意味するが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転
換またはトランスフェクトすると、本明細書に記載の抗体分子をインサイチュで発現でき
る細胞も意味する。これらには、例えば、抗体をコードする配列を含む組換えバクテリオ
ファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された
細菌(例えば、大腸菌および枯草菌);抗体をコードする配列を含む組換え酵母発現ベク
ターで形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス・ピキア);抗体をコードする配列
を含む組換えウイルス(例えば、バキュロウイルス)発現ベクターに感染した昆虫細胞シ
ステム;抗体をコードする配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワ
ーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染した、または
、抗体をコードする配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド
)で形質転換された植物細胞システム(例えば、クラミドモナス・ラインハーディなどの
緑藻);あるいは、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオ
ネインプロモーター)、または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデ
ノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え
発現コンストラクトを保有する哺乳動物細胞システム(例えば、COS(例えば、COS
1またはCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK293、NS0、PER.C6、
VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、およびNIH3T3、HEK
-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC4
0、YB/20およびBMT10細胞)があるがこれらに限定されない。特定の実施形態
では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を発現する細胞は、CHO細胞、例
えばCHO GS System(商標)(ロンザ)からのCHO細胞である。特定の実
施形態では、本明細書に記載の抗体を発現するための細胞は、ヒト細胞、例えばヒト細胞
株である。特定の実施形態では、哺乳動物発現ベクターはpOptiVEC(商標)また
はpcDNA3.3である。特定の実施形態では、特に全長の組換え抗体分子の発現のた
めに、大腸菌などの細菌細胞または真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)が組換え抗体分子
の発現に使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類
細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な中間初期遺伝子プロモーター要素などの
ベクターと組み合わせると、抗体の効果的な発現システムである(Foecking M
K&Hofstetter H(1986)Gene 45:101-5;およびCoc
kett MI et al.,(1990)Biotechnology 8(7):
662-7)。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、CHO細胞またはNS0
細胞によって産生される。特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、
またはヒトおよびマウスの両方のMERTK)に免疫特異的に結合し、内皮細胞のMER
TKシグナル伝達を作動する本明細書に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列の発現
は、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは組織特異的により調節される。
【0310】
細菌系では、発現される抗体分子の用途に応じて、多くの発現ベクターを有利に選択で
きる。例えば、抗体分子の医薬組成物の製造のために、そのような抗体を大量に生産する
場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ま
しい場合がある。このようなベクターとしては、以下に制限されないが、大腸菌発現ベク
ターpUR278(Ruether U&Mueller-Hill B(1983)E
MBO J 2:1791-1794)(ここで抗体コード配列は、lacZコード領域
とインフレームになるように個別にベクターにライゲーションすることができ、これによ
り融合タンパク質が産生される);pINベクター(Inouye S&Inouye
M(1985)Nuc Acids Res 13:3101-3109;Van He
eke G&Schuster SM(1989)J Biol Chem 24:55
03-5509)などが挙げられる。例えば、pGEXベクターを使用して、外来ポリペ
プチドをグルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現
させることもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックス
グルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合と、それに続く遊離グルタチオンの存
在下での溶出により溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターはトロ
ンビンまたはXa因子によるプロテアーゼ切断部位を含むように設計されているため、ク
ローニングされた標的遺伝子産物はGST部分から放出される。
【0311】
昆虫系では、例えば、オートグラファ・カリフォルニア核多角体病ウイルス(AcNP
V)をベクターとして使用して外来遺伝子を発現させることができる。ウイルスはスポド
プテラ・フルギプルダの細胞で増殖する。抗体をコードする配列は、ウイルスの非必須領
域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローニングし、AcNPVプロモーター(
例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
【0312】
哺乳動物宿主細胞では、多くのウイルスベースの発現システムを利用できる。アデノウ
イルスを発現ベクターとして使用する場合には、目的の抗体をコードする配列をアデノウ
イルス転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロモーターおよび三分節リーダー配列に連結
することができる。次いで、このキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボでの組換え
によりアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領
域E1またはE3)に挿入すると、生存可能であり感染宿主で抗体分子を発現し得る組換
えウイルスが得られる(例えば、Logan J&Shenk T(1984)PNAS
81(12):3655-9を参照)。挿入された抗体コーディング配列の効率的な翻
訳には、特定の開始シグナルも必要になる場合がある。これらのシグナルとしては、AT
G開始コドンおよび隣接配列が挙げられる。さらに、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を
確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと同相でなければならない
。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方のさまざ
まな起源のものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネ
ーターなどを含めることによって高めることができる(例えば、Bitter G et
al.,(1987)Methods Enzymol.153:516-544を参
照)。
【0313】
加えて、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の特定の様式で遺伝子産物を
修飾およびプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物のその
ような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、タンパク
質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞には、タンパク質および遺伝子産物の
翻訳後プロセシングおよび修飾のための特徴的かつ特定のメカニズムがある。適切な細胞
株または宿主システムを選択して、発現された外来タンパク質の正しい修飾および処理を
保証することができる。この目的のために、遺伝子産物の一次転写物の適切なプロセシン
グ、グリコシル化、およびリン酸化のための細胞機構を保有する真核生物宿主細胞を使用
することができる。そのような哺乳動物宿主細胞としては、以下に限定されないが、CH
O、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK293、NIH3T3、W138、
BT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47D、NS0(免疫グロブリ
ン鎖を内因的に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、COS(例えば、C
OS1またはCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T
、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/
20、BMT10およびHsS78Bst細胞が挙げられる。特定の実施形態では、本明
細書に記載のMERTKアゴニスト抗体は、CHO細胞などの哺乳動物細胞で産生される
【0314】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、フコース含量
が低いか、またはフコースを含有しない。そのような抗体は、当業者に知られている技術
を使用して産生することができる。例えば、当該抗体は、フコシル化する能力を欠損して
いるかまたは欠如している細胞で発現され得る。特定の例では、α1,6-フコシルトラ
ンスフェラーゼの両方の対立遺伝子のノックアウトを有する細胞株を使用して、フコース
含量が低下した抗体またはその抗原結合断片を産生することができる。ポテリジェント(
登録商標)システム(ロンザ)は、フコース含量が減少した抗体またはその抗原結合断片
を作製するのに使用することができるシステムの一例である。
【0315】
組換えタンパク質の長期にわたる高収量での生産のために、安定した発現細胞を作製す
ることができる。例えば、本明細書に記載のMERTKアゴニスト抗体またはその抗原結
合断片を安定して発現する細胞株を作製することができる。特定の実施形態では、本明細
書に記載の細胞は、会合して本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片を形成する軽
鎖/軽鎖可変ドメインおよび重鎖/重鎖可変ドメインを安定に発現する。
【0316】
特定の形態では、ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを使用するのではなく、適切
な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネータ
ー、ポリアデニル化部位など)、および選択可能なマーカーによって制御されたDNAで
宿主細胞を形質転換することができる。外来DNA/ポリヌクレオチドの導入後、作製さ
れた細胞を濃縮培地で1~2日間増殖させ、その後選択培地に切り替える。組換えプラス
ミドの選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドを染色体に安定し
て組み込み、増殖して増殖巣を形成することを可能にし、この増殖巣はその後にクローニ
ングされ細胞株で増殖し得る。この方法は、本明細書に記載のMERTKアゴニスト抗体
またはその抗原結合断片を発現する細胞株を作製するために有利に使用され得る。そのよ
うな作製された細胞株は、抗体分子と直接または間接的に相互作用する組成物のスクリー
ニングおよび評価に特に有用であり得る。
【0317】
これらに限定されないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler M
et al.,(1977)Cell 11(1):223-32)、ヒポキサンチン
グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska EH&Szybal
ski W(1962)PNAS 48(12):2026-2034)およびアデニン
ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy I et al.,(1980)Cel
l 22(3):817-23)の遺伝子などの多くの選択システムが、それぞれtk細
胞、hgprt細胞、またはaprt細胞で用いられ得る。また、代謝拮抗剤耐性は、以
下の遺伝子の選択の基礎として用いられ得る:メトトレキサートに対する耐性を付与する
dhfr(Wigler M et al.,(1980)PNAS 77(6):35
67-70;O’Hare K et al.,(1981)PNAS 78:1527
-31);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan RC&
Berg P(1981)PNAS 78(4):2072-6);アミノグリコシドG
-418に対する耐性を付与するneo(Wu GY&Wu CH(1991)Biot
herapy 3:87-95;Tolstoshev P(1993)Ann Rev
Pharmacol Toxicol 32:573-596;Mulligan R
C(1993)Science 260:926-932;およびMorgan RA&
Anderson WF(1993)Ann Rev Biochem 62:191-
217;Nabel GJ&Felgner PL(1993)Trends Biot
echnol 11(5):211-5);およびハイグロマイシンに対する耐性を付与
するhygro(Santerre RF et al.,(1984)Gene 30
(1-3):147-56)。組換えDNA技術の分野で一般的に知られている方法は、
所望の組換えクローンを選択するために日常的に適用でき、そのような方法は、例えば、
その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Ausubel FM et al.,
(eds.),Current Protocols in Molecular Bi
ology、John Wiley&サンズ、ニューヨーク(1993);Kriegl
er M、Gene Transfer and Expression、A Labo
ratory Manual、Stockton Press、NY(1990);Dr
acopoli NC et al.(eds.),Current Protocol
s in Human Genetics,John Wiley&Sons、NY(1
994)の第12章および第13章;Colbere-GarapinF et al.
,(1981)J Mol Biol 150:1-14に開示されている。
【0318】
抗体分子の発現レベルは、ベクターの増幅によって増加させることができる(レビュー
については、Bebbington CR&Hentschel CCG、DNAクロー
ニングにおける哺乳動物細胞でのクローン化遺伝子の発現のための遺伝子増幅に基づくベ
クターの使用、Vol.3(アカデミックプレス、ニューヨーク、1987年))。抗体
を発現するベクター系のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在する
阻害剤のレベルが増加すると、マーカー遺伝子のコピー数が増加する。増幅領域は抗体遺
伝子に関連しているため、抗体の産生も増加する(Crouse GF et al.,
(1983)Mol Cell Biol 3:257-66)。
【0319】
宿主細胞は、本明細書に記載の2つ以上の発現ベクターである、重鎖由来ポリペプチド
をコードする第1ベクターおよび軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2ベクターで同時
トランスフェクトすることができる。2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの
同等の発現を可能にする同一の選択マーカーを含むことができる。宿主細胞は、異なる量
の2つ以上の発現ベクターで同時トランスフェクトすることができる。例えば、宿主細胞
は、以下の比率のいずれかで第1の発現ベクターと第2の発現ベクターとをトランスフェ
クトすることができる:1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1
:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:3
5、1:40、1:45、または1:50。
【0320】
あるいは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、発現すること
ができる単一のベクターを使用することができる。このような発現ベクターでは、両方の
遺伝子の転写が共通のプロモーターによって駆動され、その一方で、第1の遺伝子からの
mRNAの翻訳はキャップ依存性のスキャン機構によることができ、第2の遺伝子からの
mRNAの翻訳はキャップに依存しないメカニズム、例えば、IRESによることができ
る。
【0321】
特定の実施形態では、薬物部分は、抗体部分の1つまたは複数の鎖のN末端またはC末
端に(直接または、ペプチドもしくはタンパク質であるリンカーを介して)融合したペプ
チドまたはタンパク質である。例えば、抗体部分がscFvである場合、薬物部分はsc
FvのN末端またはC末端で(直接または、ペプチドもしくはタンパク質であるリンカー
を介して)融合することができる。特定の実施形態では、抗体部分が多鎖抗体またはその
抗原結合断片である場合、薬物部分は抗体部分の鎖の1つに(直接または、ペプチドもし
くはタンパク質であるリンカーを介して)融合することができる。免疫グロブリンである
抗体の場合、特定の実施形態では、両方の重鎖を薬物部分に(直接または、ペプチドもし
くはタンパク質であるリンカーを介して)融合することができ、および/または両方の軽
鎖を薬物部分に(直接または、ペプチドもしくはタンパク質であるリンカーを介して)融
合することができる。そのような特定の実施形態においては、宿主細胞、好ましくは哺乳
動物細胞での組換え発現のために、薬物部分および抗体部分またはその鎖、および薬物部
分と抗体部分との間のリンカー(存在する場合)から構成される融合タンパク質をコード
するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクター(例えば発現ベクター)が
本明細書で提供される。また、薬物部分および抗体部分またはその鎖、および薬物部分と
抗体部分との間のリンカー(存在する場合)から構成される融合タンパク質を組換えによ
り発現するためのそのようなベクターを含むエクスビボ宿主細胞も本明細書により提供さ
れる。そのようなベクターおよびエクスビボ宿主細胞の特徴および作製方法は、抗MER
TK抗体について上述したものと同じであり得る。また、本明細書では、融合タンパク質
をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが当該エクスビボ宿主細胞によっ
て発現されて融合タンパク質を産生するような条件下でこのようなエクスビボ宿主細胞を
培養することを含む、薬物部分および抗体部分またはその鎖、および薬物部分と抗体部分
との間のリンカー(存在する場合)から構成される融合タンパク質を製造する方法もまた
提供される。
【0322】
5.3.抗体薬物コンジュゲートの機能特性
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体薬物コンジュゲートは、インビトロで
MERTK発現内皮細胞の細胞死を引き起こす。いくつかの特定の実施形態では、インビ
トロで細胞死を測定するための当業者に公知の方法により評価したときに、本明細書に記
載の抗体薬物コンジュゲートの存在下で一定期間培養されたMERTK発現内皮細胞の少
なくとも10%、20%、30%、35%、40%、50%、または60%が当該期間の
終点で死滅している。他の特定の実施形態では、細胞死を受けるMERTK発現内皮細胞
の百分率は、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートの存在下で一定期間培養したとき
に、抗体薬物コンジュゲートなしで培養した場合(例えば、一切の抗体薬物コンジュゲー
トなしで培養した場合、または無関係の抗体(例えば、MERTKに免疫特異的に結合し
ない抗体)を含む抗体薬物コンジュゲートとともに培養した場合、または本明細書に記載
の非コンジュゲート抗MERTK抗体もしくは非コンジュゲート抗MERTK抗原結合断
片とともに培養した場合)と比較して、少なくとも50%、100%、2倍、3倍、5倍
、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、または1000倍高い。上
記期間は、例えば、およそ1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、1日
、2日、3日、4日、5日、6日、または1週間であり得る。
【0323】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートは、腫瘍内の血管新生
を阻害する。いくつかの実施形態では、血管新生の阻害は少なくとも10%、20%、3
0%、40%、50%、55、60%、65%、70%、または75%である。特定の実
施形態では、血管新生の阻害は少なくとも50%、55%、60%、65%、または70
%である。血管新生の阻害は、本明細書に記載のおよび/または当業者に知られている方
法によって評価することができる。阻害は、抗体薬物コンジュゲートなし(例えば、一切
の抗体薬物コンジュゲートなしで培養した場合、または無関係の抗体(例えば、MERT
Kに免疫特異的に結合しない抗体)を含む抗体薬物コンジュゲートとともに培養した場合
、または本明細書に記載の非コンジュゲート抗MERTK抗体もしくは非コンジュゲート
抗MERTK抗原結合断片とともに培養した場合)の血管新生のレベルに対する相対的な
ものであってもよい。特定の実施形態では、インビボで血管新生を評価するために使用さ
れるアッセイは、後述する実施例6に記載されている通りである。
【0324】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートは、腫瘍(例えば、ヒ
ト乳癌腫瘍)の進行を阻害する。腫瘍進行の阻害は、少なくとも10%、20%、30%
、40%、50%、60%、70%、または80%である。腫瘍の進行は、本明細書に記
載のおよび/または当業者に知られている方法によって評価することができる。腫瘍の進
行は、抗体-薬物コンジュゲートなし(例えば、一切の抗体薬物コンジュゲートなしで培
養した場合、または無関係の抗体(例えば、MERTKに免疫特異的に結合しない抗体)
を含む抗体薬物コンジュゲートとともに培養した場合、または本明細書に記載の非コンジ
ュゲート抗MERTK抗体もしくは非コンジュゲート抗MERTK抗原結合断片とともに
培養した場合)の腫瘍の状態に対する相対的なものであってもよい。特定の実施形態では
、腫瘍の進行を評価するために使用されるアッセイは、後述する実施例5および実施例8
に記載されているマウス腫瘍移植モデルである。
【0325】
5.4 薬物部分およびリンカー
抗体薬物コンジュゲートで使用される細胞毒性剤は、ペイロードまたは弾頭と称される
こともよくある。抗体薬物コンジュゲートにおいて使用される細胞毒性剤のほとんどはD
NAまたは微小管を標的とし細胞毒性の高い効力を有する(約10-10~10-12
のIC50範囲)(Beck A et al.,(2017)、Nat Rev Dr
ug Discov 16:315-337)。細胞毒性剤は、小分子、ヌクレオチド、
ペプチド、または非抗体タンパク質であり得る。特定の実施形態では、細胞毒性剤は小分
子である。別の特定の実施形態では、細胞毒性剤は非抗体タンパク質である。本発明によ
る抗体薬物コンジュゲートに使用できる非限定的かつ例示的な細胞毒性剤は、Beck
A et al.,(2017)Nat Rev Drug Discov 16:31
5-337;Peters C and Brown S、(2015)Biosci
Rep 35:art:e00225;McCombs JR and Owen SC
(2015)The AAPS Journal 17:339-351;Jackso
n DY(2016)Org Process Res Dev 20:852-866
;Olivier KJ and Hurvitz SA ed.,(2016)Ant
ibody-Drug Conjugates:Fundamentals, Drug
Development, and Clinical,Wileyに開示されている
。特定の実施形態では、抗体薬物コンジュゲートで使用される細胞毒性剤は、アウリスタ
チン(モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMA
F)、Aur0101、PF06380101、アウリスタチンW、またはアウリスタチ
ンFなど)またはその誘導体、メイタンシノイド(DM1またはDM4など)、ピロロベ
ンゾジアゼピン(PBD)(SGD1882またはSG3199など)、インドリノベン
ゾジアゼピン(DGN462またはDGN549など)、カリケアマイシン(オゾガマイ
シン)(CM1など)、カンプトテシン類似体(SN38、DX-8951f、またはD
X-8951f誘導体)、デュオカルマイシン(セコ-デュオカルマイシン-ヒドロキシ
-ベンズアミド-アザインドール(セコ-DUBA)、マイナーグルーブ結合アルキル化
剤(MGBA)、またはMED-2460など)、チューブリン阻害剤(クリプトフィシ
ンなど)、チューブリシンまたはチューブリシン類似体(AZ13599185など)、
アンベルスタチン269、ドキソルビシン、抗生物質(リファローグなど)、アントラサ
イクリン(PNU-159682など)、微小管阻害剤(リゾキシンなど)、スプライセ
オスタチン、またはタイランスタチンである。特定の実施形態では、抗体薬物コンジュゲ
ートで使用される細胞毒性剤はMMAEまたはMMAFである。別の特定の実施形態では
、抗体薬物コンジュゲートで使用される細胞傷害剤はDM1またはDM4である。
【0326】
本明細書で使用される「小分子」という用語は、モル当たり約10,000グラム未満
の分子量を有する有機化合物または無機化合物(例えば、ヘテロ有機化合物または有機金
属化合物であり得る)を意味する。特定の実施形態において、小分子は、モル当たり約5
,000グラム未満、またはモル当たり約2,000グラム未満、またはモル当たり約1
,000グラム未満、またはモル当たり約500グラム未満、またはモル当たり約100
グラム未満の分子量を有する。
【0327】
いくつかの実施形態では、細胞毒性剤は抗体部分に直接結合している。他の実施形態に
おいて、細胞毒性剤は、リンカーを介して抗体部分に結合している。本発明において用い
られる適切なリンカーは、オフターゲットの毒性を制限すべく血流中で安定であり、細胞
毒性剤の放出を可能とするために癌の部位では不安定である(Peters C and
Brown S,(2015)Biosci Rep 35:art:e00225を
参照)。本発明において使用することができる非限定的かつ例示的なリンカーは、Bec
k A et al.,(2017)Nat Rev Drug Discov 16:
315-337;Peters C and Brown S,(2015)Biosc
i Rep 35:art:e00225;McCombs JR and Owen
SC(2015)The AAPS Journal 17:339-351;Jack
son DY(2016)Org Process Res Dev 20:852-8
66;Olivier KJ and Hurvitz SA ed.,(2016)A
ntibody-Drug Conjugates:Fundamentals, Dr
ug Development, and Clinical,Wileyに開示されて
いる。いくつかの実施形態では、リンカーは、例えば、リソソームプロテアーゼに感受性
のモチーフ(例えば、カテプシンB)、酸性pHに感受性のモチーフ(例えば、ヒドラゾ
ン)、またはグルタチオンによって減らすことができるジスルフィド架橋を含むモチーフ
を有する切断可能なリンカーである。他の実施形態では、リンカーは非切断性リンカーで
ある。限定ではなく例として、リンカーは、小分子、ヌクレオチド、ペプチド、または非
抗体タンパク質であり得る。特定の実施形態では、リンカーは小分子である。特定の実施
形態では、抗体薬物コンジュゲートで使用されるリンカーは、カテプシンB、ヒドラゾン
、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレ
ート(SMCC)、マレイミドカプロン酸(mc)、バリン-シトルリン(vc)、N-
ヒドロキシスクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(ス
ルホSPDB)、N-ヒドロキシスクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエ
ート(SPDB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ペンタノエート(
SPP)、バリン-アラニン(va)、ポリエチレングリコール8-バリン-シトルリン
(PEG8-va)、mb-vc、CL2A、切断可能なvcベースのリンカー、または
フレキシマーポリマーリンカーである。
【0328】
本発明において使用することができる非限定的かつ例示的なリンカー-薬物部分のペア
は、Beck A et al.,(2017)Nat Rev Drug Disco
v 16:315-337;Peters C and Brown S,(2015)
Biosci Rep 35:art:e00225;McCombs JR and
Owen SC(2015)The AAPS Journal 17:339-351
;Jackson DY(2016)Org Process Res Dev 20:
852-866;Olivier KJ and Hurvitz SA ed.,(2
016)Antibody-Drug Conjugates:Fundamental
s, Drug Development, and Clinical,Wileyに
開示されている。特定の実施形態では、抗体薬物コンジュゲートのリンカー-薬物部分の
ペアは、vc-MMAE、mc-MMAF、SMCC-DM1、スルホSPDB-DM4
、SPDB-DM4、SPP-DM1、va-SGD1882、ポリエチレングリコール
8(PEG8)-va-SG3199、スルホSPDB-DGN462、ヒドラゾン-C
M1、vc-seco-DUBA、mb-vc-MGBA、CL2A-SN38、DX-
8951誘導体を伴うペプチドリンカー、ヒドラゾン-ドキソルビシン、切断可能なvc
ベースのリンカー-Aur0101、vc-PF06380101、アウリスタチンFを
伴うフレキシマーポリマーリンカー、切断可能なリンカー-チューブリン阻害剤、または
vc-リファローグである。
【0329】
5.5.抗体薬物コンジュゲートの製造
別の形態では、リンカーが存在しない、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートの製
造方法であって、(a)前記細胞毒性剤を前記抗体部分に直接共役させて、抗体薬物コン
ジュゲートを製造し、(b)前記抗体薬物コンジュゲートを精製することを含む製造方法
が、本明細書により提供される。
【0330】
別の形態では、リンカーを含む、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートの製造方法
であって、(a)前記リンカーを前記抗体部分に直接共役させて、リンカー抗体部分を製
造することと、(b)前記リンカー抗体部分の前記リンカーを前記細胞毒性剤に直接共役
させて、抗体薬物コンジュゲートを製造することと、(c)前記抗体薬物コンジュゲート
を精製することと、をこの順に含む製造方法が、本明細書により提供される。
【0331】
別の形態では、リンカーを含む、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートの製造方法
であって、(a)前記リンカーを前記細胞毒性剤に直接共役させて、リンカー細胞毒性剤
部分を製造することと、(b)前記リンカー細胞毒性剤部分の前記リンカーを前記抗体部
分に直接共役させて、抗体薬物コンジュゲートを製造することと、(c)前記抗体薬物コ
ンジュゲートを精製することと、をこの順に含む製造方法が本明細書により提供される。
【0332】
共役および精製ステップは、Beck A et al.,(2017)Nat Re
v Drug Discov 16:315-337;Peters C and Br
own S,(2015)Biosci Rep 35:art:e00225;McC
ombs JR and Owen SC(2015)The AAPS Journa
l 17:339-351;Jackson DY(2016)Org Process
Res Dev 20:852-866;または、Olivier KJ and H
urvitz SA ed.,(2016)Antibody-Drug Conjug
ates:Fundamentals, Drug Development, and
Clinical,Wileyに記載の方法などの、抗体薬物コンジュゲートの製造に
使用される当技術分野で知られている方法によって実施することができる。いくつかの実
施形態において、薬物部分は、抗体部分(例えば、抗体部分がscFvである場合、また
は抗体部分が多鎖抗体である場合には、免疫グロブリン(四量体である)またはその抗原
結合断片など)の1つの鎖に結合している。他の実施形態では、薬物部分は、抗体部分(
抗体部分が多鎖抗体である場合には、免疫グロブリンまたはその抗原結合断片など)の2
つ以上の鎖に結合している。特定の実施形態では、薬物部分は、免疫グロブリンの2つの
同一の鎖、例えば重鎖または軽鎖に結合している。他の実施形態において、薬物部分は、
抗体部分(抗体部分が多鎖抗体である場合には、免疫グロブリンまたはその抗原結合断片
など)のすべての鎖に結合している。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体薬物コ
ンジュゲートはクロマトグラフにより精製される。別の特定の実施形態では、本明細書に
記載の抗体薬物コンジュゲートは遠心分離により精製される。限定ではなく例として、抗
体薬物コンジュゲートの生成に使用できる共役化学は、チオールとマレイミド、チオール
と自己加水分解マレイミド、チオールとフェニルオキサジアゾールスルホン、オキシムラ
イゲーション、アルコキシアミンからケト基への反応、ひずみ促進アジド-アルキン環化
付加(SPAAC)、銅を含まないクリックケミストリー、ホルミルグリシンに酸化され
たシステイン、ヒドラジノ-イソ-ピクテ-シュペングラー(HIPS)ライゲーション
、グルタミン残基と第一級アミンからのγ-カルボキシアミド基のライゲーション、ライ
ゲーションLPETGとポリグリシンモチーフの第一級アミン、マレイミドと6-チオフ
コース、ヒドラジドのフコース特異的共役、過ヨウ素酸塩酸化(アルデヒド)とアミノオ
キシペイロード、ひずみ促進アルキンアジド環状付加、C2-ケト-galオキシム化、
部位選択性アルデヒド酸化とオキシムライゲーション、オキシムライゲーションNH2と
インドールベースの5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン誘導体、チオールとビス
スルホン、チオールとジブロモマレイミド、チオールとマレイミドの後にpH9.2処理
(45℃、48時間)、またはチオールとアリールプロピオニトリル(Beck A e
t al.,(2017)Nat Rev Drug Discov 16:315-3
37を参照)。
【0333】
本明細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片は、セクション5.2に記
載のように生成することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗MERTK
抗体またはその抗原結合断片は、薬物部分との結合を促進するため、特に薬物部分との部
位特異的な結合を促進するために、当技術分野で知られている方法によって、例えば、B
eck A et al.,(2017)Nat Rev Drug Discov 1
6:315-337;Peters C and Brown S,(2015)Bio
sci Rep 35:art:e00225;McCombs JR and Owe
n SC(2015)The AAPS Journal 17:339-351;Ja
ckson DY(2016)Org Process Res Dev 20:852
-866;または、Olivier KJ and Hurvitz SA ed.,(
2016)Antibody-Drug Conjugates:Fundamenta
ls, Drug Development, and Clinical,Wiley
に記載の方法によって、作製または改変される。薬物部分との結合を促進するために本明
細書に記載の抗MERTK抗体またはその抗原結合断片を作製または改変するのに使用す
ることができる非限定的かつ例示的な方法としては、1つまたは複数の追加のシステイン
またはセレノシステインの追加、非天然アミノ酸工学、結合を支援できる特定の酵素によ
って認識可能な1つまたは複数のアミノ酸タグの追加、グリカンのリモデリング、アミノ
末端セリンの追加、および天然のシステイン架橋が挙げられる。
【0334】
リンカーおよび細胞毒性剤は、それぞれリンカーおよび細胞毒性剤を生成するための当
技術分野で知られている任意の方法によって生成することができる。
【0335】
5.6.医薬組成物
本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組
成物が本明細書により提供される。特定の実施形態では、抗体薬物コンジュゲートは精製
されている。特定の実施形態では、抗体薬物コンジュゲートは、治療的有効量で医薬組成
物中に存在する。
【0336】
特定の実施形態では、医薬組成物に含まれる抗体薬物コンジュゲートの集団は、1~2
0の薬物対抗体比(DAR)を有する。DARは、抗体に結合された細胞毒性剤の平均数
である。別の特定の実施形態では、医薬組成物に含まれる抗体薬物コンジュゲートの集団
は1~15のDARを有する。別の特定の実施形態では、医薬組成物に含まれる抗体薬物
コンジュゲートの集団は1~12のDARを有する。別の特定の実施形態では、医薬組成
物に含まれる抗体-薬物コンジュゲートの集団は1~8のDARを有する。別の特定の実
施形態では、医薬組成物に含まれる抗体薬物コンジュゲートの集団は3~5のDARを有
する。別の特定の実施形態では、医薬組成物に含まれる抗体薬物コンジュゲートの集団は
、3.5~4のDARを有する。
【0337】
賦形剤または安定剤であり得る許容される担体は、使用される用量および濃度で受容者
に対して無毒であり、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン
酸およびメチオニンなどの抗酸化剤;保存料(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモ
ニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノー
ル、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール、メチルパラベンまたはプロピルパラベ
ンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペ
ンタノール、m-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清
アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの
親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、また
はリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、またはデキ
ストリンなどの他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレ
ハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(
例えば、Zn-タンパク質錯体);および/または、例えばTWEEN(商標)、PLU
RONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活
性剤が挙げられるが、これらに限定されない。。
【0338】
特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体中に、本明細書に記載の
抗体薬物コンジュゲート、および任意に1つまたは複数の追加の予防薬または治療薬を含
む。特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体中に、本明細書に記載
の抗体薬物コンジュゲートの有効量、および任意に1つまたは複数の追加の予防薬または
治療薬を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物および/または抗体薬
物コンジュゲートを、本明細書に記載の追加の治療薬のいずれかの治療有効量と組み合わ
せることができる(後述するセクション5.7.2を参照)。
【0339】
いくつかの実施形態では、抗体薬物コンジュゲートは、医薬組成物に含まれる唯一の有
効成分である。
【0340】
本明細書に記載の医薬組成物を使用して、癌を治療することができる。
【0341】
非経口製剤で使用される薬学的に許容される担体としては、水性ビヒクル、非水性ビヒ
クル、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁剤および分散剤、乳化剤、
金属イオン封鎖剤またはキレート剤、および他の薬学的に許容される物質が挙げられる。
水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロ
ース注射液、滅菌水注射液、デキストロースおよび乳酸加リンゲル注射液が挙げられる。
非水性の非経口ビヒクルとしては、植物起源の固定油、綿実油、コーン油、ゴマ油、落花
生油が挙げられる。静菌性または静真菌性の濃度の抗菌剤は、フェノールまたはクレゾー
ル、水銀、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキ
シ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムを
含む複数回投与容器に包装された非経口製剤に追加され得る。等張剤としては、塩化ナト
リウムおよびデキストロースが挙げられる。緩衝剤としては、リン酸塩およびクエン酸塩
が挙げられる。酸化防止剤としては、重硫酸ナトリウムが挙げられる。局所麻酔薬として
は塩酸プロカインが挙げられる。懸濁剤および分散剤としては、カルボキシメチルセルロ
ースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが
挙げられる。乳化剤は、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)。金属イオ
ンの金属イオン封鎖剤またはキレート剤としては、EDTAが挙げられる。医薬用担体と
しては、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレン
グリコールや、pH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸も含まれ
る。
【0342】
医薬組成物は、対象への投与のあらゆる経路のために製剤化されてもよい。投与経路の
具体例としては、鼻腔内、経口、肺、経皮、皮内、および非経口が挙げられる。本明細書
では、皮下、筋肉内、または静脈内注射のいずれかを特徴とする非経口投与も企図されて
いる。注射剤は、液体溶液または懸濁液、注射前の液体中の溶液または懸濁液に適した固
体形態、またはエマルジョンのいずれかとして、従来の形態で調製することができる。注
射剤、液剤、および乳剤には、1つ以上の賦形剤も含まれる。適切な賦形剤は、例えば、
水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールである。さらに、必要
に応じて、投与される医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解度
向上剤、および他のそのような薬剤、例えば酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン
、オレイン酸トリエタノールアミンおよびシクロデキストリンなどの少量の非毒性補助物
質も含むことができる。
【0343】
抗体薬物コンジュゲートの非経口投与用製剤としては、注射の準備ができた無菌溶液、
使用直前に溶媒と混合する準備ができた、皮下注射錠等の凍結乾燥粉末などの無菌乾燥可
溶性製品、注射の準備ができた無菌懸濁液、使用直前にビヒクルと混合する準備ができた
滅菌乾燥不溶性製品、および滅菌エマルジョンが挙げられる。溶液は水性でも非水性でも
よい。
【0344】
静脈内投与する場合、適切な担体としては、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PB
S)、並びに増粘剤および可溶化剤(グルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコールなど)およびそれらの混合物を含む溶液が挙げられる。
【0345】
抗体薬物コンジュゲートを含む局所混合物は、局所および全身投与について記載されて
いるように調製される。得られる混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得、
クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ
剤、ペースト、フォーム、エアロゾル、潅注、スプレー、座薬、包帯、皮膚パッチまたは
局所投与に適した他の製剤として製剤化され得る。
【0346】
本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートは、インハレーションなどの局所適用用のエ
アロゾルとして製剤化することができる(例えば、炎症性疾患、特に喘息、の治療に有用
なステロイドの送達のためのエアロゾルを記載する米国特許第4,044,126号、第
4,414,209号および第4,364,923号を参照)。気道への投与のためのこ
れらの製剤は、単独のまたはラクトースなどの不活性担体と組み合わせた、噴霧器用のエ
アロゾルまたは溶液の形で、または吹送用の微粉末であり得る。そのような場合、製剤の
粒子は、一実施形態では、50ミクロン未満、一実施形態では10ミクロン未満の直径を
有する。
【0347】
本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートは、眼中などの皮膚または粘膜への局所塗布
といった部分または局所塗布用に、ゲル、クリーム、およびローションの形で、または眼
への塗布用に、または嚢内もしくは脊髄内への塗布用に製剤化することができる。局所投
与としては、経皮送達のため、眼または粘膜への投与のため、または吸入療法のためのも
のが考えられる。抗体薬物コンジュゲートの点鼻液を単独で、または他の薬学的に許容さ
れる賦形剤と組み合わせて投与することもできる。
【0348】
イオン導入装置および電気泳動装置を含む経皮パッチは、当業者に周知であり、抗体薬
物コンジュゲートを投与するために使用することができる。例えば、そのようなパッチは
、米国特許第6,267,983号、第6,261,595号、第6,256,533号
、第6,167,301号、第6,024,975号、第6,010715号、第5,9
85,317号、第5,983,134号、第5,948,433号、および第5,86
0,957号に開示されている。
【0349】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、
凍結乾燥粉末であり、溶液、エマルジョンおよび他の混合物として投与するために再構成
することができる。また、固体またはゲルとして再構成および処方することもできる。凍
結乾燥粉末は、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートまたはその薬学的に許容される
誘導体を適切な溶媒に溶解することにより調製される。いくつかの実施形態では、凍結乾
燥粉末は無菌である。溶媒は、粉末または粉末から調製された再構成溶液の安定性または
他の薬理学的成分を改善する賦形剤を含んでもよい。使用できる賦形剤としては、デキス
トロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、
グルコース、スクロースまたは他の適切な薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
溶媒はまた、一実施形態ではほぼ中性のpHで、クエン酸塩、リン酸ナトリウムまたはリ
ン酸カリウムなどの緩衝液、または当業者に知られている他のそのような緩衝液を含んで
もよい。溶液のその後の当業者に公知の標準条件下での滅菌濾過とそれに続く凍結乾燥に
より、所望の製剤が提供される。一実施形態において、得られた溶液は、凍結乾燥のため
にバイアルに分配される。各バイアルには、化合物の単回の用量または複数回の用量が含
まれる。凍結乾燥粉末は、約4℃~室温などの適切な条件下で保存できる。
【0350】
この凍結乾燥粉末を注射用水で再構成すると、非経口投与で使用するための製剤が提供
される。再構成のために、凍結乾燥粉末を滅菌水または他の適切な担体に加える。正確な
量は、選択した化合物によって異なる。そのような量は経験的に決定できる。
【0351】
本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートおよび本明細書により提供される他の組成物
は、特定の組織、受容体、または治療対象の身体の他の領域を標的とするように製剤化す
ることもできる。多くのそのような標的化方法は、当業者に周知である。そのような標的
化方法はすべて、本組成物で使用するために本明細書で企図される。標的化方法の非限定
的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、6,274,552、6
,271,359、6,253,872、6,139,865、6,131,570、6
,120,751、6,071,495、6,060,082、6,048,736、6
,039,975、6,004,534、5,985,307、5,972,366、5
,900,252,5,840,5および5,709,874を参照。特定の実施形態で
は、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートは腫瘍を標的とする。
【0352】
インビボ投与に使用される組成物は無菌であり得る。これは、例えば、滅菌ろ過膜によ
るろ過により容易に達成される。
【0353】
5.7 用途および方法
5.7.1.治療上の用途および方法
5.7.1.1.癌
一形態では、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲート、または本明細書に記載の抗体
薬物コンジュゲートを含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、
対象の癌を治療する方法が本明細書により提供される。特定の実施形態では、本明細書に
記載の抗体薬物コンジュゲートを含む医薬組成物をそれを必要とする対象に投与すること
を含む、対象の癌を治療する方法が本明細書により提供される。特定の実施形態では、本
明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートを含む医薬組成物をそれを必要とする対象に投与
することを含む、血管新生を阻害するために内皮細胞のMERTKシグナル伝達を作動す
ることが望ましい、癌を治療する方法が本明細書に提示される。
【0354】
特定の実施形態において、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートまたは本明細書に
記載の医薬組成物の、癌を有する対象への投与は、以下の効果の少なくとも1つ、2つ、
3つ、4つまたはそれ以上を達成する:(i)癌の1つ以上の症状の重症度の減少または
改善;(ii)癌に関連する1つ以上の症状の持続期間の短縮;(iii)癌に関連する
症状の再発の予防;(iv)対象の入院の減少;(v)入院期間の短縮;(vi)対象の
生存率の増加;(vii)別の治療の治療効果の強化または改善;(viii)癌に関連
する1つ以上の症状の進行または発症の抑制;(ix)癌に関連する症状の数の減少;(
x)当該分野で周知の方法により評価される生活の質の改善;(x)腫瘍の再発の抑制;
(xi)腫瘍および/またはそれに関連する1つ以上の症状の退縮(xii)腫瘍および
/またはそれに関連する1つ以上の症状の進行の抑制;(xiii)腫瘍の成長の減少;
(xiv)腫瘍サイズ(例えば、体積または直径)の減少;(xv)新たに形成される腫
瘍の形成の減少;(xvi)原発腫瘍、局所腫瘍、および/または転移性腫瘍の予防、根
絶、除去、または制御;(xvii)転移の数またはサイズの減少;(xviii)死亡
率の減少;(xix)無再発生存期間の増加;(xx)磁気共鳴画像法(MRI)、ダイ
ナミック造影MRI(DCE-MRI)、X線、コンピューター断層撮影(CT)スキャ
ン、または陽電子放出断層撮影(PET)スキャンなどの当業者に利用可能な従来の方法
によって測定したときに、腫瘍のサイズは維持されて増加しないか、または、標準治療の
投与後の腫瘍の増加未満の増加を示す、および/または(xxi)患者の寛解期間の延長
【0355】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される癌は、肺、乳房、
骨、卵巣、胃、膵臓、喉頭、食道、精巣、肝臓、耳下腺、胆道、結腸、直腸、子宮頸部、
子宮、子宮内膜、腎臓、膀胱、前立腺または甲状腺の癌である。いくつかの実施形態では
、癌は肉腫、扁平上皮癌、黒色腫、神経膠腫、膠芽腫、神経芽腫またはカポジ肉腫である
。いくつかの実施形態では、これらの方法に従って治療される癌は転移性である。
【0356】
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される癌は乳癌である。特定
の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療される癌は、トリプルネガティブ乳
癌である。トリプルネガティブ乳癌とは、遺伝子Her2(Neuとも称される)、エス
トロゲン受容体(ERとも称される)、またはプロゲステロン受容体(PRとも称される
)の遺伝子を発現しない乳房組織に由来するかまたは当該乳房組織で成長する腫瘍または
細胞を意味する。
【0357】
本明細書で使用される場合、「対象」および「患者」との用語は互換的に使用される。
いくつかの実施形態において、対象は、霊長類(例えば、サルまたはヒト)などの哺乳動
物であり、最も好ましくはヒトである。
【0358】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートは対象に投与される。
特定の実施形態では、本明細書に記載の2つ以上の異なる抗体薬物コンジュゲートが対象
に投与される。いくつかの実施形態では、抗体薬物コンジュゲートは、本明細書に記載さ
れる1つ以上の他の治療と組み合わされて対象に投与される(上記セクション5.7.2
)。
【0359】
5.7.1.2 投与経路および用量
本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートまたは組成物は、様々な経路で対象に送達さ
れ得る。これらの経路としては、以下に制限されないが、非経口、鼻腔内、気管内、経口
、皮内、局所、筋肉内、腹腔内、経皮、静脈内、腫瘍内、結膜および皮下経路が挙げられ
る。例えば、インヘラーまたはネブライザーの使用、およびスプレーとして使用するため
のエアロゾル化剤を含む製剤による肺投与も使用できる。一実施形態において、本明細書
に記載の抗体薬物コンジュゲートまたは組成物は、対象に非経口投与される。特定の実施
形態では、前記非経口投与は静脈内、筋肉内、または皮下である。特定の実施形態では、
抗体薬物コンジュゲートは、対象に静脈内投与される。
【0360】
症状の治療および/または予防に有効となる抗体薬物コンジュゲートまたは組成物の量
は、疾患の性質に依存し、標準的な臨床技術により決定することができる。
【0361】
組成物で使用される正確な用量は、投与経路、および癌の種類にも依存し、医師の判断
および各対象の状況に従って決定されるべきである。例えば、有効用量は、投与手段、標
的部位、患者の生理学的状態(年齢、体重、健康など)、患者がヒトか動物か、投与され
た他の薬物、または治療が予防的か治療的かによって変動し得る。治療用量は、安全性と
有効性を最適化するために最適に調整される。
【0362】
特定の実施形態では、最適な用量範囲の特定を支援するために、インビトロアッセイが
使用される。有効用量は、インビトロまたは動物モデルの試験系から得られた用量反応曲
線から推定できる。
【0363】
抗体薬物コンジュゲートの場合、投与量は患者の体重に対して、約0.0001~10
0mg/kg、より一般的には0.01~15mg/kgの範囲であり得る。例えば、投
与量は1mg/kg体重、10mg/kg体重、または1~10mg/kgの範囲内、7
0kgの患者についてそれぞれ言い換えれば、70mgまたは700mgまたは70~7
00mgの範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、患者に投与される用量は、患者
の体重1kg当たり約1mg~約20mgである。一般的に、外来ポリペプチドに対する
免疫応答のため、ヒト抗体は他の種由来の抗体よりも人体内での半減期が長い。したがっ
て、ヒト抗体を含む抗体-薬物コンジュゲートの投与量を減らし、投与頻度を減らすこと
が可能な場合が多い。
【0364】
例示的な治療計画は、1年または数年以上、または数年の間隔にわたって、2週間に1
回または月に1回または3~6か月に1回の投与を伴う。いくつかの方法では、2つ以上
の抗体薬物コンジュゲートが対象に同時に投与される。抗体薬物コンジュゲートは、通常
複数回投与される。単回投与の間隔は、毎週、毎月、3か月ごと、6か月ごと、または1
年ごとである。
【0365】
5.7.2.併用療法
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートを含む医薬組成物をそ
れを必要とする対象に投与することを含む、対象の癌を治療するための本明細書で提供さ
れる方法は、対象に1つ以上の追加の治療薬を投与することをさらに含む。特定の実施形
態では、追加の治療薬は癌を治療するためのものである。特定の実施形態では、追加の治
療薬は、本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートによる治療の副作用を治療するための
ものである。
【0366】
特定の実施形態では、追加の薬剤は、乳癌の治療に使用される薬剤、黒色腫の治療に使
用される薬剤、免疫療法、または血管新生阻害剤である。
【0367】
特定の実施形態では、追加の治療薬は、タモキシフェン、ラロキシフェン、パクリタキ
セル(TAXOL(登録商標))、シクロホスファミド、ドセタキセル、ビンブラスチン
、フルオロウラシル、エベロリムス、トラスツズマブ、トラスツズマブ-エムタンシン、
ペルツズマブ、およびラパチニブジトシレートからなる群から選択される乳癌の治療に使
用される薬剤である。
【0368】
特定の実施形態では、追加の治療薬は、BRAF阻害薬、MEK阻害薬、およびダカル
バジンからなる群から選択される黒色腫を治療するために使用される薬剤である。
【0369】
特定の実施形態では、追加の治療薬は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、または
PD-L1阻害剤である抗体である。
【0370】
特定の実施形態では、追加の治療薬は、VEGF阻害剤、VEGFR2阻害剤、スニチ
ニブ、およびソラフェニブからなる群から選択される血管新生阻害剤である。
【0371】
他の実施形態では、追加の治療薬は表10に列挙された薬剤である。
【0372】
【表10-1】
【0373】
【表10-2】
【0374】
【表10-3】
【0375】
【表10-4】
【0376】
【表10-5】
【0377】
【表10-6】
【0378】
【表10-7】
【0379】
本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートは、追加の治療薬と同時にまたは連続して(
前および/または後に)投与することができる。抗体薬物コンジュゲートおよび追加の治
療薬は、同じまたは異なる組成物中で、そして同一または異なる投与経路によって投与す
ることができる。(本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートまたは追加の治療薬である
)第1の治療は、癌患者への(本明細書に記載の抗体薬物コンジュゲートまたは追加の治
療薬である)第2の治療の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、
2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間
、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、同時または
その後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、1
2時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、
5週間、6週間、8週間、または12週間後)に投与され得る。特定の実施形態では、抗
体薬物コンジュゲートと組み合わせて対象に投与される追加の治療薬は、同じ組成物(医
薬組成物)で投与される。他の実施形態では、抗体薬物コンジュゲートと組み合わされて
投与される追加の治療薬は、抗体薬物コンジュゲートとは異なる組成物中で対象に投与さ
れる(例えば、2つ以上の医薬組成物が使用される)。
【0380】
5.8.キット
また、本明細書に記載の1つ以上の抗体薬物コンジュゲートを含むキットも本明細書に
より提供される。特定の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の抗体薬物コンジュゲ
ートなどの本明細書に記載の医薬組成物の成分の1つ以上で満たされた1つ以上の容器を
含む医薬パックまたはキットが本明細書により提供される。いくつかの実施形態では、キ
ットは、本明細書に記載の医薬組成物および予防薬または治療薬を含む。
【0381】
そのような容器に随意的に関連付けられるのは、医薬品または生物学的製品の製造、使
用または販売を規制する政府機関によって規定された形態の通知、剤形、および/または
それらの使用説明書である。特定の実施形態では、キットに含まれる説明書は、医薬組成
物の投与のための投与量および/または投与計画に関するガイダンスを提供する。
【0382】
医薬品包装材料の例には、ブリスターパック、ボトル、パケット、サシェ、チューブ、
吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、および選択された医薬組成物およ
び意図された投与および治療の方法に適した包装材料が含まれるが、これらに限定されな
い。
【0383】
本明細書で提供されるキットは、活性成分を投与するために使用される装置をさらに含
むことができる。そのような装置の例には、シリンジ、無針注射器、点滴バッグ、パッチ
および吸入器が含まれるが、これらに限定されない。
【0384】
本明細書で提供されるキットは、成分を投与するために使用できる薬学的に許容される
ビヒクルをさらに含むことができる。例えば、成分が非経口投与のために再構成されなけ
ればならない固体形態で提供される場合、キットは、成分が溶解して非経口投与に適した
粒子状物質を含まない滅菌溶液を形成できるか、または経口投与用の懸濁液として再構成
され得る適切なビヒクルの密封容器を含むことができる。薬学的に許容されるビヒクルの
例としては、注射用水USP、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース
注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、および乳酸加リンゲル注射液を含
むがこれに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコールを含むがこれらに限定されない水混和性ビヒクル;コーン油、綿
実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安
息香酸ベンジルを含むがこれらに限定されない非水性ビヒクルが挙げられる。
【0385】
以下の実施例は、限定の目的ではなく例示として提供される。
【実施例0386】
6.実施例
6.1.実施例1:高親和性MERTK結合モノクローナル抗体の作製
本実施例では、MERTKに結合し、そのリン酸化を活性化することによって、転移性
乳癌細胞による内皮動員を阻害するモノクローナル抗体について記載する。本実施例に記
載の抗体を作製するためにマウスを免疫化するのに使用されるペプチド抗原は、R&Dシ
ステムから購入した(Recombinant Human Mer Fc Chime
ra、#CF891-MR-100)。これは、間に介在する小さな連結ペプチド(IE
GRMD)でヒトIgG1タンパク質(Pro100-Lys330)のFc領域の一部
に融合したMERTKの細胞外ドメインの大部分(Arg26からAla499;配列番
号58)から構成されるキメラペプチドである。当該キメラペプチドの概略については、
図1Aを参照。マウスをこのキメラペプチドで免疫した後、免疫したマウスから単離した
B細胞を骨髄腫細胞株に融合させることにより、ハイブリドーマライブラリーを作製した
。次に、これらのハイブリドーマの上清を単離し、後述するセクション6.1.1に記載
されているように、抗体捕捉競合ELISAアッセイ(図2)を使用してMERTKに結
合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した。これを同定した後、後述するセク
ション6.1.2に記載されているように、抗体捕捉競合ELISAアッセイ(図2)を
使用して、MERTKのGas-6への結合を阻害できる抗体を産生するハイブリドーマ
を同定するために、MERTKに高い親和性を持つ抗体を産生するハイブリドーマをスク
リーニングした。単一クローンの(モノクローナル)ハイブリドーマ細胞を単離するため
に、ハイブリドーマライブラリーで分離およびスクリーニングを実施した。このライブラ
リーから960個の単一ハイブリドーマクローン(モノクローナル)をスクリーニングし
、高い親和性でMERTKに結合してGas-6の結合を中和するモノクローナル抗体を
産生するクローンを同定した。
【0387】
6.1.1。MERTK結合のELISA捕捉アッセイ:
MERTKに結合するモノクローナル抗体を同定するために、ELISA抗体捕捉アッ
セイを使用して、組換えMERTKタンパク質で免疫化したマウスから作製された各ハイ
ブリドーマクローンから産生された分泌抗体をスクリーニングした。最初に、ポリスチレ
ンプレートをコーティング抗体(ヤギ抗マウスIgG(Fc);ロット番号:Jacks
on 98959;抗体濃度10μg/mL)でコーティングした。次いで、各モノクロ
ーナルハイブリドーマクローンからの一次抗体を含む上清をプレートの各ウェルに加えた
。次に、タグ付き抗原(組換えヒトMer-Fc;RnDシステム#891-MR;ロッ
ト番号:CXK0211051;濃度300ng/mL)を各ウェルに添加した。次いで
、検出抗体(ホースラディッシュペルオキシダーゼ[HRP]共役ヤギ抗ヒトIgG(F
c);ロット番号:Jackson 86954;希釈度:1/5000)を各ウェルに
添加した。これに続いて、HRP基質を添加し、その後停止溶液を添加して反応を完了さ
せた。各ウェルからのシグナル(OD)を、分光光度計を使用して読み取った。試験した
960個のハイブリドーマクローンのうち、20個が1より大きいOD値を示し、ヒトM
ERTKへの有意な結合親和性を示した。OD読み取り値が1であると、陰性対照(抗体
のない空の培地)で観察されたシグナル(OD値は0.22であった)の少なくとも4倍
であることを示す。これらの20個のクローンを、M1からM20まで任意に命名し、図
2に列挙している。図2の2番目の列(見出し「Mer」)は、各クローンのOD測定値
(結合親和性を示す)を示している。
【0388】
6.1.2.競合的Gas- 6結合ELISAアッセイ
MERTKへのGas-6の結合を阻害する抗体を同定するために、上記20個のME
RTK結合抗体(M1~M20)について、Gas-6競合的結合ELISAアッセイを
行った。最初に、ポリスチレンプレートを組換えヒトGas-6(RnDシステム、rh
Gas6、#885-GS-050、濃度7μg/mL)でコーティングした。次に、各
モノクローナルハイブリドーマクローンからの一次抗体を含む上清をプレートの各ウェル
に添加した。同時に、組換えヒトMERTK(Mer-Fc RnDシステム、#891
-MR;ロット番号:CXK0211051;濃度300ng/mL)を各ウェルに添加
した。次いで、検出抗体(ホースラディッシュペルオキシダーゼ[HRP]共役ヤギ抗ヒ
トIgG(Fc);ロット番号:Jackson 86954;希釈度:1/5000)
を各ウェルに添加した。これに続いて、HRP基質および停止溶液を添加して反応を完了
させた。シグナル(OD)を、分光光度計を使用して各プレートから測定した。このアッ
セイで試験したすべてのハイブリドーマクローンのうち、11個のOD値は2.4未満で
あり、MERTKへのGas-6の結合を阻害したことが示された。陰性対照(抗体のな
い空の培地)で観察されたシグナルが2.43であったことから、OD読み取り値が2.
4であることはMERTKへのGas-6の結合を阻害したことを示す。これらの20個
のクローンを図2に示す。図2の3番目の列(見出し「(Mer+Clone)」)は、
各クローンのOD測定値(Gas-6結合の阻害の量を示す)を示す。
【0389】
2つのモノクローナル抗体(M6およびM19)を、トランスウェル内皮遊走アッセイ
を使用した転移細胞による内皮動員を阻害できるかどうかなどの、さらなる研究のために
選択した。
【0390】
6.2.実施例2:M19およびM6抗体は、インビトロでトリプルネガティブ乳癌細
胞による内皮細胞の動員を阻害することができる
MERTKの活性化による内皮動員を阻害できるモノクローナル抗体を同定するために
、上記実施例1に記載のスクリーニングで作製された高親和性のGas-6競合モノクロ
ーナル抗体を、トランスウェルを使用したインビトロでの内皮動員アッセイで試験した。
転移性であるMDA-MB-231ヒト乳癌細胞を、多孔質のトランスウェルインサート
を通してHUVECSを動員する能力をアッセイ可能なボイデンチャンバーの底部に配置
した。上記スクリーニングからのMERTK結合抗体(高親和性抗体と低親和性抗体との
両方を含む)を生理的濃度でトランスウェルに個別に添加した。試験したすべての抗体の
中で、M19およびM6が、陰性対照の抗体IgG(図3)に対してHUVEC細胞の動
員(遊走細胞/フィールド)を最も有意に阻害した(遊走細胞の50%減少)。このこと
は、モノクローナル抗体M19およびM6の、ヒト転移性癌細胞によるヒト内皮細胞の動
員を阻害する能力を示している(図3)。
【0391】
6.3.実施例3:M19およびM6抗体は、内皮細胞でのMERTKのリン酸化を活
性化する
M19およびM6が実際にMERTKを活性化する抗体であることを確認するために、
ウエスタンブロット分析を実施して、M19またはM6抗体処理の有無による、内皮細胞
(HUVEC)が発現しているリン酸化(活性化)MERTKのレベルを定量化した(図
4、図5)。
【0392】
ウエスタンブロット分析を行うために、HUVEC細胞(またはLM2乳癌細胞)を、
10%FBSを含むEGM-2培地(Lonza、cat#CC-3162)で80%コ
ンフルエンスまで増殖させた。所定の条件下で16時間インキュベートした後、細胞をP
BSで洗浄し、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤(Roche、それぞれのCa
t#11836170001および04906845001)を含む1mL RIPA緩
衝液(G-Biosceince、Cat#786-490)で溶解させた。次いで、細
胞溶解物からのタンパク質をSDS-PAGEで分離し、PVDF膜に転写した。タンパ
ク質の検出には、次の一次抗体を使用した:リン酸化-MERTK(FabGennix
、cat#PMKT-140AP)、MERTK(Abcam、cat#ab52968
)、リン酸化-Akt(Santa Cruz Biotechnology、cat#
sc-7985R)、およびAkt(Santa Cruz Biotechnolog
y、cat#sc-1618)。適切なHRP共役二次抗体(Life Technol
ogies)を使用して、一次抗体を検出した。
【0393】
特定の抗体で処理した培養細胞は、慢性(16時間)および急性(30分)の両方の抗
体処理中に用量依存的に内皮細胞上のMERTKの活性化を増加させた(図4図5)。
興味深いことに、M19抗体での処理はLM2乳癌細胞のMERTKの活性化を増加させ
なかった(図6)。
【0394】
6.4.実施例4:M19はヒトおよびマウスの両方のMERTKに高い親和性で結合
する
本実施例は、M19抗体がヒトおよびマウスの両方のMERTKに高い親和性(~0.
3nMのK)で結合することを示している。組換えヒトおよびマウスMERTKに対す
るM19抗体の結合親和性を特徴付けるために、バイオレイヤー干渉法を用いて生体分子
相互作用分析を実施した(図7および図8)。M19とマウスおよびヒトの両方のMER
TKとの間に結合が観察された。全体的なグローバルフィットから、ヒトおよびマウスの
MERTKへのM19の結合の結合親和性(K)は同等である(K=~0.3nM)
と算出された(図7図8)。
【0395】
6.5.実施例5:M19の治療的投与は、インビボでのヒト乳癌の腫瘍進行を阻害す

本実施例は、MERTKを活性化する抗体であるM19が、ヒト乳癌のマウスモデルに
おいてインビボで腫瘍の進行および腫瘍の転移を阻害できることを実証している。モノク
ローナル抗体M19がインビボで腫瘍の負荷を軽減し、腫瘍の進行を阻害できるかどうか
を試験するために、成長因子を低減させたマトリゲルと2000 MDA-MB-231
または5000 Lm1a1細胞とを1:1の比率で混合し、NOD-SCIDマウスの
乳腺脂肪体に両側から注入した。この手術後、M19抗体またはコントロールIgG抗体
の250μgの腹腔内注射を行い、その後週に2回注射した。触知可能な腫瘍の腫瘍サイ
ズを、口径を使用して毎週測定した。M19抗体を用いた治療により、インビボでのトリ
プルネガティブ乳癌の原発腫瘍の増殖(図9A)および転移(図9B)の両方が有意な治
療的阻害を示した。
【0396】
6.6.実施例6:M19はインビボで腫瘍の血管新生を阻害する
M19抗体による治療的処置がインビボで血管新生の阻害をもたらすかどうかを調べる
ために、M19で処置したマウスおよび未処置マウスの腫瘍内の血管密度を定量化した。
2000 MDA-MB-231を、NOD-SCIDマウスの乳腺体に両側から注射し
た。250μgのM19抗体またはコントロールIgG抗体で処置してから58日後に、
腫瘍を切除し、血管密度を定量した(図10)。実際、M19抗体による治療的処置は、
インビボでの血管新生の有意な阻害(>50%)をもたらした(図10)。
【0397】
6.7.実施例7:M6は両方のヒトMERTKに高い親和性で結合する
本実施例は、M6抗体が組換えヒトMERTKに高い親和性(~4.6ピコモルのK
)で結合することを示している。M6抗体の結合親和性を特徴付けるために、バイオレイ
ヤー干渉法を使用して生体分子相互作用分析を実施した(図11)。M6とヒトMERT
Kとの間で結合が観察された。全体的なグローバルフィットはから、ヒトMERTKへの
M6の結合の結合親和性(K)は約4.6ピコモルと算出された(図11)。
【0398】
6.8.実施例8:M6の治療的投与はインビボでのヒト乳癌の腫瘍の進行を阻害する
本実施例は、MERTKを活性化する抗体M6が、ヒト乳癌のマウスモデルにおいてイ
ンビボで腫瘍の進行を阻害できることを示している。モノクローナル抗体M6がインビボ
で腫瘍の負荷を軽減し、腫瘍の進行を阻害できるかどうかを試験するために、成長因子を
低減させたマトリゲル(BD Biosciences)と2000 MDA-MB-2
31乳癌細胞とを1:1の比率で混合し、NOD-SCIDマウスの乳腺脂肪体の両側に
注射した。この手術後、M6抗体またはコントロールIgG抗体を腹腔内に注射し、続い
て週2回注射した。触知可能な腫瘍の腫瘍サイズを、口径を使用して毎週測定した。実際
、週2回のM6抗体による治療は、腫瘍サイズの有意な減少をもたらした(図12)。
【0399】
6.9.実施例9:M6およびM19の抗体配列
M19およびM6をさらに特徴付けるために、これらの抗体の重鎖および軽鎖の可変領
域の配列を決定した。M6の重鎖および軽鎖の可変領域の両方のアミノ酸配列を表5に示
す。M6の重鎖および軽鎖の可変領域の両方の核酸配列を表7に示す。M6のCDRのア
ミノ酸配列を表1(VHの場合)および表2(VLの場合)に示す。
【0400】
M19の重鎖および軽鎖の可変領域の両方のアミノ酸配列を表6に示す。M6の重鎖お
よび軽鎖の可変領域の両方の核酸配列を表8に示す。M19のCDRのアミノ酸配列は表
3(VHの場合)および表4(VLの場合)に示されている。
【0401】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるものではな
い。実際、記載されたものに加えて、本発明の様々な修正が、前述の説明および添付の図
面から当業者に明らかになるであろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に含
まれることが意図されている。
【0402】
6.10.実施例10:抗MERTKアゴニスト抗体薬物コンジュゲートを用いた転移
性トリプルネガティブ乳癌の治療
実施例1(セクション6.1)に記載のモノクローナル抗体M6はヒト化されており、
マレイミドカプロン酸(mc)(すなわち、リンカー)を介して細胞毒性剤であるモノメ
チルアウリスタチンF(MMAF)に結合されている。抗MERTK抗体-薬物コンジュ
ゲートは精製され、転移性トリプルネガティブ乳がんを呈する患者に静脈内投与される。
この患者は、臨床評価による応答について、抗体薬物コンジュゲート投与の前、投与の間
、および投与の後にモニタリングされる。
【0403】
本明細書に引用されている全ての文献(例えば、刊行物または特許または特許出願)は
、それぞれの個々の文献(例えば、刊行物または特許または特許出願)がすべての目的の
ためにその全体が参照により引用されていることが具体的かつ個別的に明記されているの
と同程度に、その全体が参照により、すべての目的で本明細書に引用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
2023116554000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ヒトMerチロシンキナーゼ(MERTK)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である抗体部分と、
(b)それぞれが細胞毒性剤である1つまたは複数の薬物部分と、
(c)任意のリンカーと、
を含み、
前記細胞毒性剤は、前記抗体部分に直接共役されているか、または、前記リンカーを介して前記抗体部分に共役されており
前記抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、
(i)前記VHは、配列番号25の相補性決定領域(CDR)1、配列番号30のCDR2、および配列番号35のCDR3を含み、前記VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、および配列番号46のCDR3を含む;
(ii)前記VHは、配列番号26のCDR1、配列番号31のCDR2、および配列番号36のCDR3を含み、前記VLは、配列番号40のCDR1、配列番号44のCDR2、および配列番号47のCDR3を含む;
(iii)前記VHは、配列番号27のCDR1、配列番号32のCDR2、および配列番号35のCDR3を含み、前記VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、および配列番号46のCDR3を含む;
(iv)前記VHは、配列番号28のCDR1、配列番号33のCDR2、および配列番号37のCDR3を含み、前記VLは、配列番号41のCDR1、配列番号45のCDR2、および配列番号48のCDR3を含む;
(v)前記VHは、配列番号29のCDR1、配列番号34のCDR2、および配列番号38のCDR3を含み、前記VLは、配列番号42のCDR1、配列番号44のCDR2、および配列番号46のCDR3を含む;または
(vi)前記VHは、配列番号27のCDR1、配列番号30のCDR2、および配列番号35のCDR3を含み、前記VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、および配列番号46のCDR3を含む、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項2】
前記抗体が免疫グロブリンである、請求項1に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項3】
前記抗体またはその抗原結合断片がヒト化されている、請求項1または2に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項4】
前記抗体または抗原結合断片がヒト由来定常領域を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項5】
前記抗体が二重特異性抗体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項6】
前記VHは、配列番号51のアミノ酸配列を含み、前記VHは、配列番号52のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項7】
前記リンカーを含み、前記リンカーが切断可能なリンカーである、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項8】
前記リンカーを含み、前記リンカーが切断不能なリンカーである、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項9】
前記細胞毒性剤がモノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはモノメチルアウリスタチンF(MMAF)である、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項10】
前記細胞毒性剤がSN38である、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項11】
前記リンカーを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲートの製造方法であって、
(a)前記リンカーを前記細胞毒性剤に直接共役させて、リンカー細胞毒性剤部分を製造することと、(b)前記リンカー細胞毒性剤部分の前記リンカーを前記抗体部分に直接共役させて、抗体薬物コンジュゲートを製造することと、(c)前記抗体薬物コンジュゲートを精製することと、をこの順に含む、製造方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の抗体薬物コンジュゲートの治療的有効量、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項13】
癌の治療方法において使用するための請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記癌が、肺、乳房、骨、卵巣、胃、膵臓、喉頭、食道、精巣、肝臓、耳下腺、胆道、結腸、直腸、子宮頸部、子宮、子宮内膜、腎臓、膀胱、前立腺または甲状腺の癌である、または前記癌が、肉腫、扁平上皮癌、黒色腫、神経膠腫、膠芽腫、神経芽腫またはカポジ肉腫である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記癌が乳癌、任意選択にトリプルネガティブ乳癌である、請求項14に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】