(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116568
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】分析物データを用いた健康及び栄養の監視及び管理のためのシステム、デバイス、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1473 20060101AFI20230815BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230815BHJP
G16H 10/60 20180101ALI20230815BHJP
【FI】
A61B5/1473
A61B5/00 102E
G16H10/60
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090718
(22)【出願日】2023-06-01
(62)【分割の表示】P 2019547626の分割
【原出願日】2018-02-27
(31)【優先権主張番号】62/468,843
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.FACEBOOK
(71)【出願人】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ピエール コール
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ジェイ フェルドマン
(72)【発明者】
【氏名】ウド ホス
(72)【発明者】
【氏名】ナムヴァル キアイー
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ティー アーボガスト
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生体内分析物センサからの分析物データを用いた、個人の健康及び栄養の監視及び管理のための、システム、デバイス、及び方法が提供される。
【解決手段】一般に、身体に装着するためのセンサ制御デバイスが提供される。上記センサ制御デバイスは:体液中の分析物レベルを測定するための生体内分析物センサ;被験者の身体活動レベルを測定するための加速度計;及びデータをリーダデバイスに無線で送信するための通信回路構成を含むことができる。更に、本明細書では、リーダデバイス上に分析物メトリクスを表示し、様々な食物及び/又は食事の分析物応答を比較し、分析物メトリクス及び身体活動レベル測定値並びに本明細書に記載の他の特徴に基づいて、毎日の栄養素の推奨値を修正するための、様々なグラフィカルユーザインタフェースの実施形態が開示される。更に、本明細書で開示される実施形態は、様々なタイプの分析物の監視に使用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物メトリクスを表示する方法であって、前記方法は、
被験者の身体に装着されるように構成されたセンサ制御デバイスから、ケトンレベルを反映した1つ以上の測定値を受信するステップであって、前記センサ制御デバイスは、少なくとも一部が皮下に位置し前記被験者の間質液に接するように構成されたセンサを含むものであるステップ;
複数の分析物メトリクスを計算するステップであって、前記複数の分析物メトリクスは、前記ケトンレベルを反映した前記1つ以上の測定値に関連する少なくとも1つのケトンメトリクスを含むものであるステップ;
リーダデバイスにより前記複数の分析物メトリクスを受信するステップであって、前記センサ制御デバイスは、無線通信プロトコルを用いて前記リーダデバイスと無線通信するものであるステップ;
間質液中の前記ケトンレベルを反映した前記1つ以上の測定値とケトーシス閾値との比較に基づいて、前記被験者がケトーシスの状態にあるかどうか決定するステップ、
前記少なくとも1つのケトンメトリックスを含む前記複数の分析物メトリクスの少なくとも一部および前記ケトーシス閾値が満たされたかどうかの表示を、前記リーダデバイスのディスプレイ上のグラフィカルユーザインタフェースに出力するステップ;および
前記少なくとも1つのケトンメトリックスに基づいて前記ケトーシスの状態に到達するための推奨値を出力するステップであって、前記推奨値が、栄養素の推奨値を含むステップ、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題は、一般に、生体内分析物センサからの分析物データに少なくとも部分的に基づいて、個人の健康及び栄養を監視及び管理するための、システム、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個人の健康及び栄養の監視及び管理は、慢性的な健康問題のリスクがあるか又は慢性的な健康問題を現在抱えている人々、及び全身の健康を改善しようとする人々に、大きな便益をもたらすことができる。これらの努力は、個人にとって、及び広くは公衆にとって、複数の健康上の及び経済的な便益を生み出すことができる。例えばCDCによると、米国では毎年10人に7人が慢性疾患で死亡し、成人の2人に約1人が少なくとも1つの慢性疾患を患っている。同様に、米国では小児の3人に約1人が過剰体重又は肥満であり、慢性疾患に罹りやすくなっている。これらの慢性疾患の多くは予防可能であり、又は早期に診断されれば良好に治療できる。これに関して、個人の健康及び栄養の監視及び管理により、慢性疾患の確率を大幅に低減でき、その結果として将来の医療費を軽減できる。健康及び栄養の監視の更なる便益としては、トレーニング中、回復中、又は運動イベント中の、運動能力の向上が挙げられる。
【0003】
これらの目標を促進するために、ウェアラブル技術(例えばFitbit)を利用できる。例えば、個人の心拍数又は身体活動レベルを監視するために、小型電子デバイスを手首の周り等の身体に装着してよい。医師の訪問が稀になる(例えば年1回になる)ため、ウェアラブル技術は、医師の訪問を必要とすることなく、生理学的情報を個人に適時提供するという有用な機能を果たすことができ、これは最終的には健康の改善につながり得る。しかしながら、これらの利点にもかかわらず、多くの人々は、提示されるデータの複雑さ、ウェアラブルデバイスの使用に関連する学習曲線、データに関する不正確さ等を含む様々な理由から、ウェアラブル技術の使用に消極的である。最近のいくつかの研究は、既存のウェアラブルデバイスが個人の心拍数又は燃焼カロリー数を正確に測定しないと主張している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、より正確で、個人が簡単に使用できる、健康及び栄養の監視及び管理のためのシステム、デバイス、及び方法に対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において提供されるのは、生体内分析物センサから受信した分析物データに少なくとも部分的に基づいて、個人の健康及び栄養を監視及び管理するための、システム、デバイス、及び方法の例示的実施形態である。一般に、フォームファクタが小さなセンサ制御デバイスを、身体に装着するために個人に提供できる。上記センサ制御デバイスは、単一のハウジング内に:被験者の分析物レベル(又は複数の分析物レベル)を測定するための生体内分析物センサ;及び上記被験者の活動レベルを測定するための加速度計を含むことができる。上記生体内分析物センサは、上記センサの少なくとも一部分が上記被験者の体液に接触するよう構成できる。上記センサ制御デバイスはまた、データをリーダデバイスに無線送信するための通信回路構成も含むことができる。上記センサ制御デバイスは、消費者グレード製品として設計できる。これらの実施形態では、プライバシー、セキュリティ及び規制上の理由から、生の分析物レベル測定値を上記センサ制御デバイスのメモリには保管せず、これらのデータは暗号化されるか、又は上記個人にとってアクセス可能なものとされる。
【0006】
上記センサ制御デバイスからデータを受信する上記リーダデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、又は専用若しくは非専用移動体計算プラットフォームとすることができる。1つ以上のアプリケーションをリーダデバイスにインストールでき、これは、上記センサ制御デバイスから送信されたデータを分析して、健康及び栄養に関する情報を上記個人に対して表示する。いくつかの実施形態では、例えば、簡単な炭水化物グラフを、元になる分析物データの値を示すことなく表示する。その代わりに、異なる色の複数のバーが、様々な分析物レベルを示すことができる。他の実施形態では、摂取した食物又は食事に対する分析物の応答を表す数値スコアを表示する。更に他の実施形態では、身体活動レベルデータに基づく毎日の栄養素の推奨値を、上記個人に対して表示できる。これらの実施形態及び本明細書に記載の他の実施形態は、従来の又は既存のウェアラブルデバイスを上回る、コンピュータベースの健康及び栄養の監視の分野における改善である。他の改善及び利点も提供され、これらは当業者には明らかであろう。これらのデバイスの様々な構成を、単なる例に過ぎない複数の実施形態によって説明する。
【0007】
本明細書に記載の主題の他のシステム、デバイス、方法、特徴及び利点は、以下の図面及び「発明を実施するための形態」を精査すれば、当業者には明らかであるか、又は明らかになる。このような追加のシステム、デバイス、方法、特徴及び利点は、本記載に含まれ、本明細書に記載の主題の範囲内であり、添付の請求項によって保護されることが意図されている。例示的実施形態の特徴は、請求項中にこれらの特徴が明示的に列挙されていない場合、添付の請求項を限定するものとして解釈してはならない。
【0008】
本明細書に記載の主題の、構造及び動作に関する詳細は、添付の図面を検討することによって明らかになる場合があり、これらの図面中では、類似の参照番号は類似の部分を指す。図面中の構成部品は縮尺が必ずしも正確ではなく、主題の原理を説明する際に強調が施される。更に、全ての図は、概念を伝達することを意図したものであり、ここでは、相対的なサイズ、形状、及び他の詳細な属性は、誇張されずに又は正確にではなく、概略的に図示される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】センサ制御デバイス、リーダデバイス、ネットワーク、ローカルコンピュータシステム、及び信頼できるコンピュータシステムのシステム概要
【
図2】リーダデバイスのある例示的実施形態を示すブロック図
【
図3A】センサ制御デバイスの例示的実施形態のブロック図
【
図3B】センサ制御デバイスの例示的実施形態のブロック図
【
図4】経時的な複数の分析物曲線を示す例示的なグラフ
【
図5】経時的な複数の分析物曲線を示す別の例示的なグラフ
【
図6】分析物メトリクスをリーダデバイス上に表示するためのグラフィカルユーザインタフェースのある例示的実施形態
【
図7】食物の影響を分析するためのグラフィカルユーザインタフェースのある例示的実施形態
【
図8】個人の耐糖能を表示するためのグラフィカルユーザインタフェースのある例示的実施形態
【
図9】被験者の炭水化物摂取を監視するためのグラフを示すグラフィカルユーザインタフェースの別の例示的実施形態
【発明を実施するための形態】
【0010】
本主題を詳細に説明する前に、本開示が本明細書に記載の特定の実施形態に限定されず、従って当然変化し得ることを理解されたい。また、本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図したものではないことも理解されたい。なぜなら、本開示の範囲は添付の請求項のみによって限定されるためである。
【0011】
本明細書及び添付の請求項中で使用される場合、単数形「ある(a、an)」及び「上記/前記(the)」は、文脈によってそうでないことが明確に規定されていない限り、複数の指示対象を含む。
【0012】
本明細書中で議論される刊行物は、本出願の出願日以前のこれらの開示に関してのみ提供されている。本明細書中のいかなる部分も、これらの刊行物が以前に開示されているという理由で、本開示がこれらの刊行物に対して先行する権利を有しないことの承認として解釈してはならない。更に、ここで提供される刊行物の日付は、実際の刊行日とは異なる場合があり、個別に確認する必要があり得る。
【0013】
一般に、本開示の実施形態は、生体内分析物センサからの分析物データに少なくとも部分的に基づいて、個人の健康及び栄養を監視及び管理するための、システム、デバイス、及び方法を含む。従って、多数の実施形態は生体内分析物センサを含み、これは、上記センサの少なくとも一部分がユーザの身体に位置決めされる又は位置決めできるように構成され、これにより、体液中の(例えば皮下の間質液(「ISF」)若しくは血液中の、真皮層の真皮液中の、又はその他の)上記身体の少なくとも1つの分析物、例えばグルコースに関する情報を取得する。いくつかの実施形態では例えば、上記センサは、グルコースレベルを測定するよう構成される。他の実施形態では、上記センサは、グルコースレベルの測定の代わりに、又はこれに加えて、ケトンレベルを測定するよう構成できる。更に、他の分析物の検出も本開示の範囲内であり、他の分析物としては、例えば乳酸、酸素、ヘモグロビンA1C、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛性ゴナドトロピン、クレアチンキナーゼ(例えばCK‐MB)、クレアチン、DNA、フルクトサミン、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ペルオキシド、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン、トロポニン等が挙げられる。本明細書で開示される実施形態は、試験管内における機能性を組み込んだ生体内分析物監視システム、及び純粋に試験管内又は生体外の分析物監視システム(完全に非侵襲性のシステムを含む)と併用することもできる。
【0014】
更に、本明細書で開示される方法の各実施形態全てに関して、これらの実施形態それぞれを実施できるシステム及びデバイスが、本開示の範囲に包含される。例えば、センサ制御デバイスの実施形態が開示され、これらのデバイスは、1つ以上のセンサ、加速度計、分析物監視回路(例えばアナログ回路)、(例えば命令及びデータを保存するための)非一時的メモリ、電源、通信回路、トランスミッタ、レシーバ、プロセッサ、並びに/又はいずれのあらゆる方法ステップを実施できる、若しくはいずれのあらゆる方法ステップの実行を促進できる、(例えばメモリに保存された命令を実行するための)コントローラを有することができる。
【0015】
本開示の多数の実施形態は、生体内分析物センサから受信した分析物データを用いて、ウェアラブル技術に関する精度及び使用しやすさを改善するよう、設計される。いくつかの実施形態では、例えば、センサ制御デバイスが身体に装着され、上記センサ制御デバイスは、生体内分析物センサ及び加速度計を含む。分析物メトリクスは、上記センサ制御デバイスの1つ以上のプロセッサによって決定され、身体活動レベル測定値と共にリーダデバイスに送信される。上記センサ制御デバイス上の分析物レベル測定値は、後で破棄できる。換言すれば、上記センサ制御デバイスは、分析物レベル測定値を送信しないよう、特に構成できる。上記リーダデバイスでは、様々な情報がディスプレイ上に提示される。いくつかの実施形態では、例えば、簡単な炭水化物グラフをユーザに表示でき、ここでは、複数の色付きのバーが異なる複数の範囲の分析物レベルを示す。他の実施形態では、数値スコアをユーザに提示でき、ここでは上記スコアは、摂取した食物又は食事に対する分析物応答を反映している。更に他の実施形態では、分析物メトリクスを身体活動レベル測定値と共に分析して、毎日の栄養素の推奨値を調整する必要があるかどうかを決定できる。従って、これらの実施形態は、生体内分析物センサから受信した分析物データに基づいて、被験者に、健康及び/又は栄養に関する、正確で、カスタマイズ可能な、使用が容易な、そして理解が容易な情報を提供できる。本開示の実施形態は、実際の分析物レベル測定値が利用される点、及びいくつかの実施形態では加速度計からの物理的な分析物レベル測定値によって裏付けられる点において、従来のシステムの精度を改善できる。更に本開示の実施形態は、簡単で使用しやすいインタフェースを提示することによって、健康及び栄養の監視レジメンに対するユーザの追従を改善できる。本開示の実施形態の他の特徴及び利点について、以下で更に議論する。
【0016】
しかしながら、実施形態のこれらの態様を詳細に説明する前に、内部に存在し得るデバイスの例、例えば生体内分析物センサからデータを送信するセンサ制御デバイスについて、及び上記デバイスの動作の例について、最初に説明することが望ましく、これらの例は全て、本明細書に記載の実施形態と共に使用できる。
【0017】
生体内分析物センサを利用する様々なタイプのシステムが存在する。例えば、「連続分析物監視(Continuous Analyte Monitoring)」システム(例えば、「連続グルコース監視(Continuous Glucose Monitoring)」システム)は、例えばスケジュールに従って自動的に、プロンプトの有無に関わらず、連続的に又は繰り返し、データをセンサ制御デバイスからリーダデバイスに送信できる。別の例として、「フラッシュ分析物監視(Flash Analyte Monitoring)」システム(例えば、「フラッシュグルコース監視(Flash Glucose Monitoring)」システム又は単に「フラッシュ(Flash)」システム)は、例えばニアフィールド通信(Near Field Communication:NFC)又は無線周波数識別(Radio Frequency Identification:RFID)プロトコル等を用いて、リーダデバイス(例えばスキャン)によってユーザが開始したデータに対するリクエストに応答して、データをセンサ制御デバイスから送信できる。生体内分析物監視システムは、フィンガー・スティック較正(finger stick calibration)の必要なしに動作することもできる。
【0018】
生体内分析物監視システムは、「試験管内(in vitro)」システムと区別でき、これは、身体の外部の(又は「生体外(ex vivo)」)生体試料に接触し、また典型的には、ユーザの体液を担持した分析物試験ストリップを受承するためのポートを有する測定デバイスを含み、上記体液を分析することによってユーザの血糖値を決定できる。
【0019】
生体内監視システムはセンサを含むことができ、上記センサは、生体内に位置決めされている間、ユーザの体液に接触し、体液中に含有された分析物レベルを感知する。上記センサは、ユーザの身体上に存在し、分析物の感知を実現及び制御する電子部品及び電源を内包する、上記センサ制御デバイスの一部とすることができる。センサ制御デバイス及びそのバリエーションは、いくつかの例を挙げると、「センサ制御ユニット」、「身体上電子部品」デバイス若しくはユニット、又は「センサデータ通信」デバイス若しくはユニットと呼ばれる場合もある。
【0020】
生体内監視システムはリーダデバイスも含むことができ、上記リーダデバイスは、上記センサ制御デバイスから、感知された分析物データを受信し、この感知された分析物データを、処理し、及び/又は多数の形式のうちのいずれかでユーザに表示する。このデバイス及びそのバリエーションは、いくつかの例を挙げると、「ハンドヘルドデバイス」、「リーダデバイス」(若しくは単に「リーダ」)、「ハンドヘルド電子部品」(又は単に「ハンドヘルド」)、「携帯型データ処理」デバイス若しくはユニット、「データレシーバ」、「レシーバ」デバイス若しくはユニット(若しくは単に「レシーバ」)、又は「リモート」デバイス若しくはユニットと呼ばれる場合もある。パーソナルコンピュータ、スマートフォン及び同様のデバイスといった他のデバイスも、生体内及び試験管内監視システムと共に利用されている、又はこれらに組み込まれている。
【0021】
個人の健康及び栄養の監視システムの例示的実施形態
図1は、センサ制御デバイス102及びリーダデバイス120を含む健康及び栄養監視システム100のある例示的実施形態を示す概念図である。システム100はセンサアプリケータ150も含むことができ、これは、センサ104が接着パッチ105によってユーザの身体の所定の位置にある期間にわたって維持されるように、センサ制御デバイス102をユーザの皮膚上の監視位置に適用するために使用できる。センサ制御デバイス102は、
図3A及び3Bに関連して更に説明され、これは、有線又は無線技法を用いた通信経路140を介してリーダデバイス120と通信できる。例示的な無線プロトコルとしては、Bluetooth、Bluetooth Low Energy(BLE、BTLE、Bluetooth SMART等)、ニアフィールド通信(NFC)、Wi‐Fi等が挙げられる。
【0022】
個人は、リーダデバイス120上のメモリにインストールされた1つ以上の健康及び栄養アプリケーションを、スクリーン122及び入力121を用いて監視及び使用でき、リーダデバイスのバッテリを、電源ポート123を用いて再充電できる。リーダデバイス120に関する更なる詳細は、
図2に関連して以下に記載される。リーダデバイス120は、有線又は無線技法を用いた通信経路141を介して、ローカルコンピュータシステム170と通信できる。ローカルコンピュータシステム170としては、ラップトップ、デスクトップ、タブレット、ファブレット、スマートフォン、セットトップボックス、ビデオゲームコンソール、又は他の計算デバイスが挙げられ無線通信としては、Bluetooth、Bluetooth Low Energy (BTLE)、Wi‐Fi等を含む多数の適用可能な無線ネットワーキングプロトコルのうちのいずれかが挙げられる。ローカルコンピュータシステム170は、上述のようにリーダデバイス120が有線又は無線技法によって通信経路142を介してネットワーク190と通信できる方法と同様に、通信経路143を介してネットワーク190と通信できる。ネットワーク190は、プライベートネットワーク及び公共ネットワーク、ローカルエリアネットワーク又は広域ネットワーク等といった多数のネットワークのいずれとすることができる。ネットワーク190はクラウドとすることができる。信頼できるコンピュータシステム180は、サーバを含むことができ、認証サービス及び/又は保護されたデータストレージを提供でき、また有線又は無線技法を用いた通信経路144を介してネットワーク190と通信できる。信頼できるコンピュータシステム180は、デバイス102、120、及び170から見た場合、ネットワーク190(又はクラウド)の一部とみなすことができる。
【0023】
リーダデバイスの例示的実施形態
図2は、スマートフォンとして構成されたリーダデバイス120のある例示的実施形態を示すブロック図である。ここでは、リーダデバイス120は:ディスプレイ122;入力用構成部品121;及び非一時的メモリ223に連結された通信プロセッサ222と、非一時的メモリ225に連結されたアプリケーションプロセッサ224とを含む処理回路構成206を含むことができる。また:非一時的メモリ230;アンテナ229を備えたRFトランシーバ228;及び電力管理モジュール238を備えた電源226を含むことができる。更に、多機能トランシーバ232を含むことができ、これは、Wi‐Fi、NFC、Bluetooth、BTLE、ANT+、及びGPSネットワークを介して、アンテナ234と通信できる。当業者であれば理解できるように、これらの構成部品は、1つの機能性デバイスを形成するように、電気的に、かつ通信可能に連結される。
【0024】
更に、本明細書ではスマートフォンとして説明されているものの、リーダデバイス120は、ユーザの眼の上から又は眼に隣接して装着される光学組立体(例えば、移動体通信デバイスであるGoogleグラス等の片眼用又は両眼用スマートグラス)といった、移動体スマートウェアラブル電子部品組立体とすることもできる。この光学組立体は、透明ディスプレイを有することができ、これは、ユーザの全体的な視覚を最小限しか阻害しないよう、ユーザによる上記ディスプレイを通した視認を可能としながら、同時に、(上述のような)ユーザの分析物レベルに関する情報をユーザに対して表示する。上記光学組立体は、スマートフォンと同様の無線通信か可能であってよい。ウェアラブル電子部品の他の例としては、ユーザの手首(例えば時計等)、首(例えばネックレス等)、頭部(例えばヘッドバンド、ハット等)、胸部等の周囲又は付近に装着されるデバイスが挙げられる。同様に、リーダデバイス120は、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、ラップトップ、又は他のいずれの移動体計算デバイス若しくは個人用計算デバイスとすることもできる。リーダデバイス120は、パワー、ケイデンス、ペース、心拍数、速度を測定及び/又は表示するよう構成されたデバイス等の、活動又はスポーツのパフォーマンスを監視するために使用されるデバイスに対する、拡張及び/又はアドオンとすることもできる。このようなデバイスを、分析物メトリクスの表示に適合させることができることは、完全に、本明細書に記載の実施形態の範囲内である。
【0025】
センサ制御デバイスの例示的実施形態
図3A及び3Bは、センサ制御デバイス102の例示的実施形態を示すブロック図であり、センサ制御デバイス102はそれぞれ、分析物センサ104、加速度計175、及び(分析物監視回路構成を含む)センサ電子部品160を含み、これらは合わせて、ユーザへの表示に好適な分析物メトリクス等の最終結果データをレンダリングするための処理能力の大半を有することができる。
図3Aでは、単一の半導体チップ161が図示されており、これは専用の特定用途向け集積回路(ASIC)とすることができる。ASIC161内に示されているのは、アナログフロントエンド(AFE)162)、電力管理(又は制御)回路構成164、プロセッサ166、及び(通信プロトコルに応じて、トランスミッタ、レシーバ、トランシーバ、パッシブ回路、又はその他として実装できる)通信回路構成168を含む、特定の高次機能ユニットである。この実施形態では、AFE162及びプロセッサ166の両方を、生体内分析物監視及び加速度計監視回路構成として使用するが、他の実施形態では、いずれかの回路が監視機能を実施できる。プロセッサ166としては、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、及び/又はマイクロコントローラが挙げられ、これらはそれぞれ、ディスクリート構成のチップとすることができ、又は多数の異なるチップにわたって分散させる(若しくは多数の異なるチップの一部とする)こともできる。
【0026】
加速度計175は、1つ以上の圧電材料、ピエゾ抵抗材料、及び/又は容量性材料(例えばチタン酸ジルコン酸鉛、石英、若しくはトルマリン)を含むことができ、これらを用いて、機械的運動及び/又は速度の変化を電気信号に変換する。加速度計175はまた、小型の微小電気機械システム(MEMS)も含むことができ、単軸構成、又は3軸構成を含む多軸構成を有することができる。
【0027】
非一時的メモリ163もまた、ASIC161に含まれており、これはASIC161内に存在する様々な機能ユニットによって共有でき、又はこれらのうちの2つ以上にわたって分散させることができる。メモリ163は、別個のチップとすることもできる。メモリ163は、揮発性及び/又は不揮発性メモリとすることができる。この実施形態では、ASIC161は、コイン型電池等であってよい電源170に連結される。AFE162は、生体内分析物センサ104及び加速度計175とインタフェース接続され、これらから測定データを受信し、上記データをデジタル形式でプロセッサ166に出力する。プロセッサ166は続いて、メモリ163に保存された1つ以上の命令を実行でき、上記命令は、プロセッサ166に上記データを処理させて、1つ以上の分析物メトリクス(例えば分析物曲線、分析物曲線プロファイル(例えば面積、勾配及び/又は長さ)、分析物の変化率)、並びに身体活動レベル値、傾向値等を決定させることができる。次にこのデータを、アンテナ171によって例えばリーダデバイス120(図示せず)に送るために、通信回路構成168に供給でき、ここでは、上記データを表示するために、常駐ソフトウェアアプリケーションによる追加の処理が必要になる場合がある。(集計データ及び/又は平均データを含む)分析物メトリクスだけがメモリ163に保存され、その一方で、生の分析物レベル測定値は後で破棄される。例えばいくつかの実施形態では、グルコースレベルを反映した生の分析物データは、センサ上の永続的なメモリ163には保存されず、従っていかなる手段によっても(例えばリーダデバイスによって)アクセスできなくなる。他の実施形態では、グルコースレベルを反映した生の分析物データは、RAM(ランダムアクセスメモリ)、又は別の類似のタイプの揮発性メモリに一時的に保存できる。これらの実施形態では、生の分析物レベル測定値を用いて、分析物メトリクス、例えば過去48時間にわたる移動平均グルコースレベルを計算でき、その後、この生の分析物測定値を削除又は破棄できる。
【0028】
図3Bは
図3Aと同様であるが、2つのディスクリート構成の半導体チップ162及び174を含み、これらは一体にパッケージ化されていても、別個にパッケージ化されていてもよい。ここでは、AFE162はASICS161上に常駐する。ここで示されているように、AFE162は、分析物センサ104及び加速度計175の両方に連結される。チップ174を参照すると、プロセッサ166は、チップ174上に、電力管理回路構成164及び通信回路構成168と共に集積されている。AFE162はメモリ163を含み、チップ174はメモリ165を含み、これらは内部で隔離しても分散させてもよい。ある例示的実施形態(図示せず)では、AFE162を1つのチップ上で電力管理回路構成164及びプロセッサ166と組み合わせ、その一方で通信回路構成168を別個のチップ上とする。別の例示的実施形態(これも図示せず)では、AFE162及び通信回路構成168の両方が1つのチップ上にあり、プロセッサ166及び電力管理回路構成164が別の1つのチップ上にある。なお、3個以上のチップを含み、それぞれが上述の別個の機能を担っている、又はフェイルセーフ冗長性のために1つ以上の機能を共有している、他のチップの組み合わせも可能である。
【0029】
いくつかの実施形態では、センサ制御デバイス102は、生の測定データを身体から収集し、装着者の分析物レベルを表す形式への更なるアルゴリズム処理のために、上記生のデータを(信号の調整を伴って又は伴わずに、及び温度データ等の他のデータを伴って伴わずに)リーダデバイス120に送信し、続いてこれをリーダデバイス120によって表示できる(又は表示可能とすることができる)。他の実施形態では、上記アルゴリズム処理は、リーダデバイス120への送信前に、センサ制御デバイス102によって実施される。
【0030】
分析物レベルの測定値及びメトリクスの例
上述のように、生体内分析物センサ104は、被験者の体液(例えば上皮液、間質液、皮下液、又は血液)中の1つ以上の分析物(例えばグルコース)のレベルを測定するよう構成できる。健康な被験者の典型的なグルコースプロファイルは、食事に関連する「ピーク」又は分析物曲線を伴う、比較的平坦なグルコースレベルを示す。分析物曲線のサイズ及び形状は、摂取した食物の量及びタイプに関連し得る。
【0031】
一例として、
図4は、分析物センサ104によって得られた分析物レベル測定値のグラフ表示であり、非糖尿病被験者の経時的なグルコースレベルを示す。特に
図4は、24時間の期間にわたる、3回の食事(例えば朝食、昼食及び夕食)に応答する典型的な被験者の分析物レベルを表すグラフ200である。水平な破線は、絶食時血中グルコースレベル等の、被験者の基準分析物レベルを示す。分析物曲線AC1は、被験者が朝食を摂取したことに応答した、およそ午前7時30分における血糖値の上昇を示す。同様に、分析物曲線AC2及びAC3はそれぞれ、被験者が昼食及び夕食を摂取したことに応答した、正午及び午後6時における血糖値の上昇を示す。各分析物曲線AC1、AC2及びAC3は、分析物曲線プロファイルを有することができ、ここで各プロファイルは少なくとも:
図4では分析物レベル測定値と基準分析物レベル(例えば絶食時血中グルコースレベル)との間に限定された網掛け領域によって示される、分析物曲線の下側の面積;分析物曲線の勾配;及び分析物曲線の長さを含む。
【0032】
図5は、3日間にわたって分析物センサ104によって得られた分析物レベル測定値の別のグラフ表示である。特に、
図5のグラフ250は、非糖尿病被験者が装着したLIBREセンサ(ABBOTT DIABETES CARE INC.製)からの、72時間の期間にわたるグルコースレベルを反映しており、14日間のLIBREセンサの装着のうち8日目~10日目を示している。9日目(グラフに示されている72時間のうちの、真ん中の24時間の期間)において、非糖尿病被験者は、低炭水化物規定食を消費し、総摂取炭水化物は約10gであった。その前後の日(8日目及び10日目)に関しては、炭水化物が比較的多い、通常の規定食を消費した。分析物曲線が小さいことから明らかであるように、9日目のグルコース変動性は小さく、生のグルコース値の大半が90~110mg/dLである。
【0033】
分析物メトリクスを表示するためのグラフィカルユーザインタフェースの例示的実施形態
本明細書に記載されているのは、リーダデバイス120上で分析物メトリクスを表示するためのグラフィカルユーザインタフェースの例示的実施形態である。
図4に関して上述したように、生体内分析物センサ104は、被験者の体液中の分析物レベルを測定でき、また1つ以上のセンサ電子部品プロセッサによって、1つ又は複数の分析物メトリクスを決定できる。その後、センサ制御デバイス102の通信回路構成は、上記分析物メトリクスをリーダデバイス120に無線送信できる。
図3A及び3Bに関して上述したように、その後、生の分析物レベル測定値は、センサ制御デバイス102から破棄される。しかしながら、いくつかの実施形態では、分析物メトリクスを、センサ制御デバイス102上のメモリに、集計されたフォーマットで保存できる。例えばいくつかの実施形態では、所定の時間量(例えば過去4時間)にわたる1つ以上の分析物レベルの移動平均を、センサ制御デバイス102のメモリに保存してよい。他の実施形態では、所定の時間量(例えば48時間)にわたるピーク分析物レベルを、センサ制御デバイス102のメモリに保存できる。他のタイプ及びフォーマットの集計された分析物メトリクスが本開示の実施形態の範囲内であることは、当業者には容易に理解されるため、これらの例は例示を意図したものであり、いずれの意味での限定を意図したものではない。
【0034】
リーダデバイス120は、その通信回路構成によって、分析物メトリクスを無線で受信する。リーダデバイス120のメモリに命令として保存されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を、1つ以上のリーダデバイスプロセッサによって実行して、分析物メトリクスを、リーダデバイス120のディスプレイに、視覚的に出力できる。以下で説明するように、特定の例では、GUIはインタラクティブであり、被験者は、入力デバイス(例えばタッチスクリーン、キーボード又はマウス)を用いて、GUIを通してリーダデバイス120に情報を入力できる。
【0035】
図6は、リーダデバイス120上に分析物メトリクスを表示するためのGUI300のある例示的実施形態である。一般に、GUI300は、
図4に関して説明したもの(例えばAC1、AC2、AC3)のような、被験者が摂取した食事に関連する分析物曲線を表す、簡単で読み取りが容易な数値スコアを表示できる。
図6に示すように、参照が容易になるように、日時表示310はリーダデバイス120の上部に示されている。日時表示310の下には、水平に配向された3つの数値スコア320が示されており、これらは被験者が摂取する3回の食事、即ち朝食、昼食及び夕食を表す。いくつかの実施形態では、食事の発生は、リーダデバイス120のメモリに保存され、センサ制御デバイス102から受信した分析物メトリクス中でパターンを検出するよう構成された、ルーチン及び/又はアルゴリズムによって決定できる。食事イベントの検出は、該ユーザにおける所望の許容可能な(例えば医学的に推奨される)標的範囲外の、分析物エピソード又はエクスカーションの検出を含むことができ、これらのうちの一方又は両方が検出されたことを、ソフトウェアによってユーザに通知できる。分析物エクスカーションの例としては、低グルコース閾値への抵触、高グルコース閾値への抵触、変化(例えば増加又は減少)率閾値への抵触、グルコース中央値閾値への抵触、グルコース変動性閾値への抵触等が挙げられる。他の実施形態では、食事の発生は更に、特定の時刻に分析物メトリクスの検出されたパターンを裏付けるよう構成されたルーチンによって確認できる。食事及びそのバリエーションを検出するためのアルゴリズム、ルーチン又は他の命令のセットの他の例は、米国公開特許第2013/0085358号明細書、米国公開特許第2014/0350369号明細書若しくは米国公開特許第2014/0088393号明細書、又は国際公開第2015/153482号に記載されており、これらは全てその全体があらゆる目的のために本出願に援用される。これらの援用される参考文献に記載されているアルゴリズム、ルーチン又は命令のセットの一部は、所望の標的範囲外の分析物エクスカーションの識別に関してのみ説明されている。これらの実施形態を、これらの援用される参考文献のうちの他の1つ(例えば国際公開第2015/153482号)に内包されている教示に基づいて、食事イベントの検出に拡張できる。またこれらの実施形態を、グルコース値がある期間にわたって上限と下限との間に維持される標的範囲内エピソードの特定による、食事イベントの検出に拡張できる。これらのエピソードの検出は、閾値ベースのエピソード検出アルゴリズムの拡張によって実施できる。
【0036】
更に他の実施形態では、食事の発生は、例えばセンサ制御デバイス102から受信した分析物メトリクス中であるパターンが検出された時に入力を行うようにユーザを促すことにより、ユーザが手動で決定及び/又は確認できる。例えばいくつかの実施形態では、ユーザは、
図7に関して更に説明するように、リーダデバイス120の入力デバイスを用いて、摂取した食事のテキストベースの説明を、テキスト入力ボックスに入力できる。各数値スコアは、
図4に示されているもの(例えばAC1、AC2、AC3)のような対応する分析物曲線の下側の面積に比例する。しかしながら、簡単にするため、及び参照を容易にするために、分析物曲線ではなく数値スコアをGUI300に表示する。
【0037】
再び
図6を参照すると、数値スコアは、1~5のスケール上の整数とすることができ、この整数は、分析物曲線の下側の面積に比例する。例えば数値スコア「3」は、標準的な初期設定の食事に対する分析物の応答を表す、「初期設定(初期設定の)」分析物曲線の面積を反映できる。対照的に、数値スコア「5」は、比較的大きな分析物応答をもたらす食物又は食事を示すことができ、この場合分析物曲線は、初期設定の食事に比べて大きな面積を有する。反対に、数値スコア「1」は、比較的小さな分析物応答をもたらす、摂取された食物又は食事を示すことができ、この場合分析物曲線は、初期設定の食事に比べて小さな面積を有する。更に、
図6に示すように、多くの実施形態では、数値スコアは、1つ以上の対応する分析物曲線の下側の面積を反映する。しかしながら他の実施形態では、数値スコアは、分析物曲線の勾配及び/又は分析物曲線の長さといった分析物曲線プロファイルの他のメトリクスの関数とすることもできる。いくつかの実施形態では、例えば、数値スコアは、分析物曲線の長さの関数とすることができ、ここで、分析物曲線の長さは、分析物応答の持続時間に関連する。数値スコアは、特定のタイプの食物及び/又は食事に関する分析物曲線プロファイルを反映することもできる。例えばいくつかの実施形態では、比較的高い数値スコアは、精製された炭水化物を含む食物又は食事(例えば精白粉のパスタ)を反映している可能性がある急峻なスパイクを特徴とする分析物曲線を反映できる。他の実施形態では、比較的低い数値スコアは、繊維又は複合糖質を多く含む食物又は食事(例えば全粒粉のパスタ)を反映している可能性がある緩やかな勾配を特徴とする分析物曲線を反映できる。同様に、他の実施形態では、数値スコアは分析物レベルの変化率の関数とすることもできる。
【0038】
引き続き
図6を参照すると、数値スコア320の下方には、朝食、昼食及び夕食に関する3つの概要メトリクス330、340、350が表示されている。本日のスコア330は、当日に摂取した食事に関する数値スコアの合計を示すことができる。今週のスコア340は、その週のうち当日までの数値スコアの合計を示すことができる。目標週間スコア350は、被験者がそれを下回ったままでいようとする目標数値スコアを示すことができる。更に、これらの概要メトリクスの下方に示されているように、被験者が自身の目標週間スコアを満たすのを支援するために、毎日の助言又は命令352を提供できる。よって、この簡単なGUI300は、センサ104が取得した、基礎となっている分析物レベル測定値を、被験者が理解又は解釈する必要なしに、理解が容易な分析物メトリクスをユーザに提示する。
【0039】
図6に示すように、多くの実施形態では、数値スコアは、1~5のスケール上の整数として示すことができる。しかしながら他の実施形態では、数値スコアを、標準的な初期設定の食物又は食事に応答した分析物曲線の下側の面積より大きな又は小さなパーセンテージの数値(例えば標準の30%上、又は標準の30%下)として表現できる。更に、いくつかの実施形態では、本日のスコア330、今週のスコア340、又は目標週間スコア350といった特定の分析物メトリクスを、
図6に示すような合計ではなく平均として表現できる。いくつかの実施形態では、上述の数値スコアに加えて、又はその代わりに、他の非数値表現を使用できる。例えば、異なる色のインジケータ(例えば赤色光、黄色光、又は緑色光)、テキストインジケータ(例えば「良い(good)」、「中間(neutral)」、「悪い(bad)」)、図形インジケータ(親指を立てる、親指を下げる、幸せそうな顔、悲しい顔、又は他の顔文字)、文字による等級(例えばA、B、C、D、又はF)は全て、本開示の範囲内である。
【0040】
更に、分析物曲線と、摂取した食物又は食事との間の関係は、各個人に固有のものであり得るため、本システムを各個人のために、較正用特徴部分(図示せず)を用いて、標準的な初期設定の食事に関する分析物曲線に対して較正することもできる。いくつかの実施形態では、較正は、較正用特徴部分によって、例えば標準的な初期設定の食事から開始して、経時的な初期設定の分析物曲線を、個人の平均分析物曲線に対して調整することによって、実施できる。いくつかの実施形態では、被験者は、標準的な食事を代表する食事を決定して、この食事に対する初期設定の応答を手動で設定してよい。
【0041】
更に、GUI300は、被験者に、自身の目標週間スコア350に到達するためのインセンティブを与えるための特徴部分を含むことができる。例えば特定の実施形態では、GUI300は、被験者の友人に被験者のステータスを通知し続けるために、又は目標週間スコアの達成後に、ソーシャルメディアプラットフォーム(例えばFacebook)を通して被験者の友人にメッセージを送るための、特徴部分を含むことができる。他の実施形態では、GUI300の使用を奨励するために、最初のサインアップに関して、又はこのGUIを使用するためにサインアップする友人の紹介に関して、金銭的なインセンティブ(例えば会員割引)を提供できる。他の実施形態では、目標週間スコアが達成されると、GUI300は被験者に、割引コード、クーポン、又はアプリ内報酬といった1つ以上の金銭的報酬を提供できる。
【0042】
食物の影響を分析するためのグラフィカルユーザインタフェースの例示的実施形態
図7は、リーダデバイス120上に分析物メトリクスを表示するためのGUIの、別の例示的実施形態である。より具体的には、GUI400は、初期設定の標準的な食物又は食事と比較した場合の、ある特定の個人に関する、ある特定の食物又は食事の生理学的影響を決定して表示できる。規定食及び栄養は、各個人に対してカスタマイズしなければならないことが認識される。全ての人々に共通のガイドラインが存在することは事実であるが、食物に対する個々の応答には、個々の生理学に基づく幅広いばらつきがある。更に、食物の選択は、地域的な入手可能性、文化的受容性、食物アレルギー等に基づいて制限される場合がある。GUI400は、入手可能な食物のうち、どの食物が栄養面で最も有益であり、また体重増加といった因子に対する悪影響が最も少ないかに関して、個人に固有の情報を提示できる。
【0043】
この実施形態の一態様によると、リーダデバイス120は、センサ制御デバイス102から分析物メトリクスを無線で受信する。上述のように、受信される分析物メトリクスは、摂取した食物又は食事に関する分析物曲線プロファイルを含むことができ、ここで、上記分析物曲線プロファイルは、分析物曲線の下側の面積、分析物曲線の勾配、及び分析物曲線の長さのうちの1つ以上を含むことができる。次に、リーダデバイス120のメモリに保存された命令の形態のアプリケーションを、1つ以上のリーダデバイスプロセッサによって実行でき、これにより、上記プロセッサに、摂取した食物又は食事に関する特定の分析物曲線プロファイルを、データベース内の食物エントリと関連付けさせ、上記分析物曲線プロファイルと、関連付けられたメトリクスとを、データベースに保存させることができる。上記アプリケーションを更に実行することにより、摂取した食物又は食事に関する分析物曲線プロファイルと、標準的な初期設定の食物又は食事に関する初期設定の分析物曲線プロファイルとの間の比較を実施でき、またこの比較の結果を、リーダデバイス120のディスプレイに、視覚的に出力できる。
【0044】
図7に示すように、GUI400は、標準的な初期設定の食物と比較して、ある特定の食物又は食事の生理学的影響を示す、グラフ360を含む。特に、摂取した食事又は食物に関する分析物曲線362、即ちAC1が、標準的な初期設定の食事又は食物に対する被験者の分析物応答を反映した初期設定の分析物曲線364、即ちAC0と重ねて、示されている。日時表示310はここでも、リーダデバイス120の上部に含めることができる。
図6を参照して説明した数値スコアと同様の、標準的な初期設定の食事又は食物に関する数値スコア370、及び現在摂取している食事に関する数値スコア375を、GUI400上に表示できる。更に、いくつかの実施形態では、GUI400は、テキスト入力ボックス380及び/又は図像入力ボックス385も含むことができる。被験者は、摂取した食事のテキストベースの説明を、リーダデバイス120の入力デバイスを用いて、テキスト入力ボックス380に入力できる。次に、入力された情報を、食物エントリとしてデータベースに入力できる。同様に、いくつかの実施形態はまた、図像入力ボックス385も含み、被験者はこれを通して、例えばリーダデバイス上のカメラを用いて、食事又は食物の写真を提供できる。次にこの写真を食物エントリと関連付けて、データベースに保存できる。
【0045】
いくつかの実施形態では、食物データベースは、リーダデバイス120上のメモリ内に存在できる。他の実施形態では、データベースは、リーダデバイス120から離間した、ローカルネットワーク、広域ネットワーク又はインターネットを介してアクセスされる、信頼できるコンピュータシステム上に保存できる。更に、GUI400は、食物摂取データの入力を促進するサードパーティ製アプリケーション、及びそれに関連するサードパーティ製食物データベースを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、GUI400は、ある個体群又はある個体群の一部分に対する特定の食物又は食事の影響の指標であるデータを含むことができる分析物メトリクスデータを、データベースに保存及び/又は集計することもできる。同様に、いくつかの実施形態では、GUI400は、食物データベースから、ある個体群又はある個体群の一部分に対する特定の食物又は食事の影響に関するデータを引き出すことができる。上記個体群データは、例えば、ある個体群(又はその一部分)に対する特定の食物又は食事の影響を反映できる分析物メトリクスに関する、平均又は中央値、加重平均、標準偏差、及び他の統計的パラメータを反映でき、また、この特定の食物又は食事に対するある個人の応答の正規化に使用でき、及び/又はこの特定の食物又は食事に対するある個人の応答と比較できる。更に、複数の個別のユーザから収集された個体群データを、認証済みの個人、グループ、公衆衛生当局、及び/又は課金者にとってアクセス可能とすることができる。
【0046】
更に、いくつかの実施形態では、GUI400を、
図6に関して上述したソーシャルメディア特徴部分と同様の1つ以上のソーシャルメディアプラットフォームと、インタフェース接続することもできる。例えば、この実施形態の一態様によると、GUI400は、摂取した食事に関する被験者のステータス、摂取した食事に関連する数値スコア、又は特定の摂取した食事の影響を反映した1つ以上のインジケータを、被験者の友人に通知し続けるために、被験者の友人にメッセージ又は通知を送る、特徴部分を含むことができる。更に、いくつかの実施形態では、最初のサインアップに関して、又はこのGUIを使用するためにサインアップする友人の紹介に関して、金銭的なインセンティブ(例えば会員割引、割引コード、アプリ内報酬)を提供できる。
【0047】
この実施形態の別の態様によると、GUI450は、糖尿病前症の検出を支援することもできる。
図8に示すように、チャート390は初め、以下の3つの分析物曲線を含むことができる:(1)糖尿病被験者のグルコース応答を表す、分析物曲線392;(2)糖尿病前症被験者のグルコース応答を表す、分析物曲線394;及び(3)正常な(糖尿病でなく、また糖尿病前症でもない)被験者のグルコース応答を表す、分析物曲線398。破線の分析物曲線396は、4週間の平均グルコース応答を表すことができ、これは分析物曲線392、394、398と重ねられる。これに関して、被験者は、自身の分析物耐容性を、正常な被験者、糖尿病前症の被験者、及び/又は糖尿病の被験者に対して視覚的に近似できる。更に、チャート390に表示された情報に関する更なるガイダンスを提供するために、テキスト表示395をチャート390の下に設けることができる。
【0048】
この実施形態の他の態様によると、本明細書に記載のGUIは、被験者の健康の評価を提供するために、他のタイプのセンサからのデータを受信して処理することもできる。例えばいくつかの実施形態では、他のタイプのセンサデータとして、センサ制御デバイス102上の加速度計からの身体活動レベル測定値が挙げられる。他の実施形態では、他のセンサデータとして、センサ制御デバイス102に組み込むことができる、又はセンサ制御デバイス102から離間させて配備できる、心拍数センサからのデータが挙げられる。GUIと共に、リーダデバイス120のメモリに保存された命令により、1つ以上のリーダデバイスプロセッサに、これら複数のタイプのセンサデータを分析させて、被験者の健康の包括的評価を生成及び表示させることができる。
【0049】
炭水化物を監視するためのグラフィカルユーザインタフェースの例示的実施形態
図9は、分析物メトリクスをリーダデバイス120上に表示するためのGUIの別の例である。特に、
図9は、被験者の炭水化物摂取量を監視するための炭水化物グラフを含む、GUI500を示す。一般に、生体内分析物センサ104によって取得される信号等といった生のグルコース信号に由来する分析物メトリクスは、被験者の炭水化物摂取量を表すことができる。例えば、変化率、又は特定の閾値グルコース値を超える積分値を反映する分析物メトリクスは、生のグルコース値よりも生の炭水化物摂取量をより反映したものとなり得る。これに関して、
図9の炭水化物のグラフは、センサ制御デバイス102から受信した1つ以上の分析物メトリクスに基づいてグラフ表示を表示することにより、被験者の炭水化物摂取量を反映する。
図9に示すように、このグラフ表示は、プロット線516とすることができる。しかしながら他の実施形態では、このグラフ表示は、不連続な一連のドット、外挿線若しくは曲線、スキャッターショット、網掛け領域、又は受信した分析物メトリクスの他の表示とすることもできる。更に、
図9において更に確認できるように、水平軸520は、72時間(例えば2016年1月15日0時00分から2016年1月18日0時00分まで)の時間窓にわたる、時間単位の増分を反映する。例えば8~10時間、又は5~15時間といった、他の所定の時間窓を利用することもできることを理解されたい。垂直軸はラベルが付されておらず、値を表示しない。GUI500は、例えば
図5のグラフ250よりも被験者にとって直感的であり、理解が容易である。というのは、被験者は、生の分析物値の解釈に必要な、数値による分析物レベルの技術的理解を有しない場合があるためである。
【0050】
引き続き
図9を参照すると、プロット線516は、センサ制御デバイス102から受信したメトリクスのうちの1つ以上に関連する、一連のプロットされた分析物値を含むことができる。更に、プロットされた分析物値それぞれを、高範囲、中範囲又は低範囲といった1つ以上の範囲に割り当てることができ、ここで各範囲は、グラフの底部の水平軸から、プロットされた値まで延在する、色付きのバンドといったインジケータによって表すことができる。例えば、赤色バンド514は、高範囲に割り当てられた分析物値を示すことができ、黄色バンド510は、中範囲に割り当てられた分析物を示すことができ、緑色バンド512は、低範囲に割り当てられた分析物値を示すことができる。
図9には、3つの範囲(高、中、及び低)並びに対応する3つの色(赤、緑、及び黄)が示されているが、他の範囲、インジケータ、色、視覚的パターン、及びグラデーションを使用することもでき、従ってこれらは本開示の範囲内である。
【0051】
いくつかの実施形態では、プロットされた分析物値はそれぞれ、生体内分析物センサ104によって取得された1つの分析物レベル測定値を反映できる。しかしながら他の実施形態では、プロットされた分析物値は、分析物レベルの異なる複数の変化率を反映できる。従って、異なる色のバンドは、ある指定された期間にわたって積分した変化率に基づいて割り当てることができる。例えば分析物レベルが比較的迅速に変化している場合、色付きバンドを赤色とすることができる。同様に、変化率が低下すると、色付きバンドを緑色にすることができる。
【0052】
いくつかの実施形態の別の態様によると、ある特定の範囲及び/又は色付きバンドに対する、プロットされた分析物値の割り当ては、過去の複数の分析物値(又は変化率)の積分も含むことができる。例えばいくつかの実施形態では、先行する所定の個数のプロットされた分析物値が全て高範囲に割り当てられる場合、又は同様に、全てのプロットされた分析物値が高範囲に割り当てられる所定の期間が存在する場合、次の1つのプロットされた分析物値もまた、高範囲に割り当てることができる。対照的に、同一の例示的実施形態によると、先行する所定の個数のプロットされた分析物値が全て低範囲に割り当てられる場合、又は同様に、全てのプロットされた分析物値が低範囲に割り当てられる所定の期間が存在する場合、次の1つのプロットされた分析物値もまた、低範囲に割り当てることができる。これに関して、GUI500は「慣性抵抗(inertial resistance)」アルゴリズムを含むことができ、このアルゴリズムでは、例えば低炭水化物消費の期間が長い場合、GUI500が、比較的長い低炭水化物消費の積分期間を「記憶している(remember)」ため、高炭水化物消費の短い期間によって、対応する色付きバンドが必ずしも赤色にならない。いくつかの実施形態では、この「慣性抵抗」アルゴリズムは、GUI500の設定インタフェース(図示せず)により、ユーザが起動又は終了できる。同様に、いくつかの実施形態では、慣性抵抗のレベル、即ち先行する連続した複数の低範囲(又は高範囲)分析物値の閾値持続時間又は個数は、GUI500の設定インタフェース(図示せず)により、ユーザが入力デバイスを介して設定できる。
【0053】
この実施形態の別の態様によると、GUI500は、プロットされた分析物値をある特定の及び/又は色付きバンドに割り当てるプロセスの「寛容さ(leniency)」を制御するために、複数のユーザ選択レベルを含むことができる。特に、被験者は、リーダデバイス120の入力デバイスを通してアクセスできる設定インタフェース(図示せず)によって、「イージー」、「ミディアム」又は「ハード」レベルを選択できる。リーダデバイス120上のメモリに保存された命令は、1つ以上のリーダデバイスプロセッサに、上記ユーザ選択レベルに基づいて、低範囲、中範囲又は高範囲それぞれに関する値の範囲を決定させる。換言すれば、イージーレベルを選択する場合、低範囲は、中範囲又は高範囲よりも広い値の範囲を含むことができる。ミディアムレベルを選択する場合、中範囲は、低範囲又は高範囲よりも広い値の範囲を含むことができる。ハードレベルを選択する場合、高範囲は、中範囲又は高範囲よりも広い値の範囲を含むことができる。これに関して、被験者は、プロットされた分析物値のうちの多くが低範囲に割り当てられ、従って緑色を有する、イージー設定で、GUI500の使用を開始できる。その後、被験者は、低範囲に割り当てられるプロットされた分析物値がより少なく、「赤色」のプロットされた分析物値がより優勢である、ミディアム又はハード設定に進むことを決定できる。これらの設定により、ユーザは、ユーザに建設的なインセンティブを与えながら、低炭水化物規定食と高炭水化物規定食とを区別する能力も提供する、フィードバックのレベルを決定できる。
【0054】
この実施形態の別の態様によると、センサ制御デバイス102及び/又はリーダデバイス120上のメモリに保存された命令を、各デバイスの1つ以上のプロセッサが実行することによって、ある特定のユーザに関する炭水化物摂取プロファイルを確立するための炭水化物摂取の周期的監視(例えば毎日、毎週、毎月)を実施できる。例えばいくつかの実施形態では、これらの命令により、1つ以上のプロセッサは、ユーザの炭水化物摂取のパターンを識別し、保存し、認識できる。特定の食物及び/又は食事に関連するユーザの炭水化物摂取の識別されたパターンに基づいて、炭水化物摂取プロファイルを確立できる。いくつかの実施形態では、これらの命令は、確立された炭水化物摂取プロファイルと矛盾する分析物のエクスカーションも検出でき、これに続いて、ユーザに、ユーザが摂取した食物及び食事のタイプ及び量に関する追加情報を入力するように促す。これらの命令により、プロセッサは、上記エクスカーション及び関連する食物摂取量を分析して、様々なタイプ及び量の食物及び食事の影響を決定できる。他の実施形態では、上記命令により、プロセッサは、食物又は食事の摂取毎に、炭水化物のタイプ及び/又は量に関する情報を入力するように、ユーザに促すことができる。これらの実施形態の一態様によると、上記命令は、食物又は食事の各摂取後に、ユーザの炭水化物摂取プロファイルのパターンを識別及び/又は保存できる。十分な数のパターンが検出された場合、又は所定の期間後、上記命令は、食物又は食事の摂取毎にユーザ入力を要求するのを停止できる。これに関して、この実施形態の別の態様によると、センサ制御デバイス及び/又はリーダデバイスは、ある特定のユーザの炭水化物摂取パターンを「学習(learn)」して、ある特定の食物又は食事に対する分析物応答を予測できる。
【0055】
毎日の栄養素の推奨値を修正するためのインタフェースの例示的実施形態
別の例示的実施形態では、毎日の栄養素の推奨値を生成及び修正するためのGUIが設けられる。米国保健福祉省の国立衛生食品栄養委員会は、適切な食物摂取の原則及びガイドラインを確立するために、食物摂取基準(Dietary Reference Intake:DRI)文書を発行した。特に、食品栄養委員会は、食物摂取と栄養と健康との間の関係に関する、権威ある判断を行う。U.S.D.A.が提供する保健専門家のためのインタラクティブDRIといった、複数のインタラクティブツールを用いて、DRIに基づく毎日の栄養素の推奨値を計算できる。上記ツールは、性別、年齢、BMI及び活動レベルを考慮して:(1)推定カロリー必要量;(2)炭水化物、繊維、タンパク質、脂質及び水といった多量養素;並びに(3)ビタミン及びミネラルを計算できる。
【0056】
以下の表は、身長6フィート1インチ(185.42cm)及び体重170ポンド(77.1107kg)の51歳の男性被験者に関する、毎日の栄養素の推奨値の例として提供される。いくつかの実施形態では、以下に示す毎日の栄養素の推奨値を、リーダデバイス120上に視覚的に表示できる。特に、リーダデバイスのメモリに保存された命令は、1つ以上のリーダデバイスプロセッサによって実行されると、1つ以上のリーダデバイスプロセッサに、以下の情報をリーダデバイス120のディスプレイへと出力させることができる。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
この実施形態の一態様によると、GUIは:(1)個々の被験者の活動レベルを監視することによって、個人別の毎日の栄養素の推奨値を確実に正確なものとし;また(2)個人の分析物応答を監視することによって、炭水化物摂取と相関させるために、提供できる。上述のように、生体内分析物センサ104に加えて、センサ制御デバイス102は、被験者の身体活動レベルを測定するための加速度計175も含むことができる。更に、センサ制御デバイス102は、1つ以上の分析物メトリクス及び身体活動レベル測定値をリーダデバイス120に無線で送信できる。続いて、いくつかの実施形態では、リーダデバイス120のメモリに保存された命令は、1つ以上のリーダデバイスプロセッサによって実行されると、プロセッサに、上記1つ以上の分析物メトリクス及び身体活動レベル測定値に基づいて、毎日の栄養素の推奨値を調整するかどうかを決定させることができる。
【0062】
この実施形態の別の態様によると、被験者の心拍数及び毎日の心拍数パターンを、例えばセンサ制御デバイス102に組み込まれた又はセンサ制御デバイス102とは別個に配備された心拍数モニタであるデバイスによって測定して、リーダデバイス120に無線で送信できる。その後、上記分析物メトリクス及び身体活動レベル測定値と同様に、毎日の栄養素の推奨値を、1つ以上の心拍数測定値に基づいて更に修正できる。
【0063】
同様に、この実施形態の更に別の態様によると、被験者の水分補給レベルを、例えばセンサ制御デバイス102に組み込まれた又はセンサ制御デバイス102とは別個に配備されたセンサデバイスによって測定して、リーダデバイス120に無線で送信できる。その後、他の生理学的データと同様に、毎日の栄養素の推奨値を、1つ以上の水分補給レベル測定値に基づいて更に修正できる。
【0064】
同様に、これらの実施形態の更に別の態様によると、
図9を参照して説明したように、被験者のグルコース応答を、被験者の炭水化物摂取量と相関させることができる。従って、他の生理学的データと同様に、毎日の栄養素の推奨値を、被験者の炭水化物摂取量に基づいて更に修正できる。
【0065】
更に、これらの実施形態の別の態様によると、推定1日カロリー摂取量推奨値、1日炭水化物摂取量推奨値、1日繊維摂取量推奨値、1日タンパク質摂取量推奨値、1日脂質摂取量推奨値、1日水分摂取量推奨値、1日ビタミン摂取量推奨値、及び1日ミネラル摂取量推奨値を含む、毎日の栄養素の推奨値の他のパラメータを、上述のセンサデバイスのうちのいずれからのフィードバックに基づいて、アプリケーションによって修正できる。
【0066】
ケトン監視のためのグラフィカルユーザインタフェースの例示的実施形態
本明細書で開示されている全ての実施形態に関して、分析物レベル測定値、分析物メトリクス、分析物曲線及び/又は分析物曲線プロファイルに関する言及は、被験者の体液中に見られる、生体内分析物センサ104によって感知できる多数の分析物のうちのいずれを指すことができる。いくつかの実施形態では、ケトン監視に関する分析物メトリクスを、リーダデバイス120上で被験者に対して表示できる。特に、被験者がダイエット又は医療上の理由でケトーシスの状態を維持するのを支援するために、ケトーシス閾値が満たされていない時点を検出するための、及びケトーシス目標閾値を達成するために被験者に1つ以上の推奨値を表示するための、GUIを提供できる。
【0067】
例えば複数の公知のダイエットが、炭水化物摂取の低減に関連する(例えばアトキンス、パレオ、ケトジェニック、断食)。被験者が炭水化物及び/又はタンパク質制限ダイエット中である場合、身体は、脂質貯蔵分を使用したエネルギの生成にシフトしなければならない。このプロセス中、身体は、3つの化合物(即ちアセトン、アセト酢酸、及び最も優勢なβ‐ヒドロキシ酪酸)を含むケトン体を体液中に検出できる状態である、栄養学的ケトーシスに入る。ゆっくりとした代謝のために設計された複合糖質を、このダイエットに導入でき、これはケトーシスの状態を引き続き維持することが、一般に理解されている。更に、ケトンの監視は、ダイエットの必要がある個人又はてんかんに罹患した個人にとって重要となり得る。ケトジェニックダイエットは、てんかんに罹患した人々の発作の発生を減少させる又はなくすために効果的なダイエットであることが知られている。
【0068】
被験者が栄養学的なケトーシスの状態にあるかどうかを決定する従来の又は既存の方法は、糖尿病性ケトアシドーシスの同定において糖尿病患者が使用する方法と同様である。これら両方の場合において、尿ストリップ(例えばKetostix)又は血液ベースのストリップ(例えばAbbott Diabetes Care Ketone Test Strips)を用いて、身体中のケトンのレベルを決定できる。しかしながら、尿ベースの試験は、現在の状態から大幅に遅れたケトンレベルの履歴ビューが提供される。血液ベースの試験は、よりリアルタイムに近い結果を提供するものの、データセットは偶発的であり、被験者が試験ストリップを使用する頻度に依存する。これにより、食物及び運動がある人の栄養学的ケトーシスの状態にどのように影響するかを理解するために重要な情報が失われる場合がある。
【0069】
以上の実施形態は全て、単独で、又はグルコース監視と組み合わせて、ケトン監視のために使用できる。いくつかの実施形態では、例えば、ケトンメトリクスに関する目標習慣スコアに到達するため(
図6)、又はある特定の食事、食物、サプリメント若しくは医薬品に関するケトン応答を決定するため(
図7)の、GUIを提供できる。同様に、ケトーシスの所望の状態に到達してこれを維持するための毎日の栄養素の推奨値を:(1)被験者の体液中のケトンレベルを反映した分析物メトリクス;及び(2)センサ制御デバイス102上の加速度計からの身体活動レベル測定値に基づいて決定(又は修正)できる。ある実施形態の別の態様によると、ケトーシス目標閾値が満たされていない1つ以上の時刻を決定して表示するため、及びケトーシス目標閾値を達成するための1つ以上の推奨値を表示するための、GUIを提供できる。これらの実施形態及び他の実施形態に関して、命令をリーダデバイス120のメモリに保存でき、これらの命令は、1つ以上のリーダデバイスプロセッサによって実施されると、被験者がケトーシスの状態に到達してこれを維持するのを支援するために、1つ以上のプロセッサに特定のケトンメトリクスを分析及び表示させる。
【0070】
本明細書で提供したいずれの実施形態に関して記載された全ての特徴、要素、構成部品、機能及びステップは、他のいずれの実施形態からの特徴、要素、構成部品、機能及びステップによる組み合わせ及び置換が自由に可能であることが意図されていることに留意されたい。ある特定の特徴、要素、構成部品、機能又はステップが1つの実施形態に関してしか記載されていない場合、該特徴、要素、構成部品、機能又はステップは、特段の記載がない限り、本明細書に記載の全ての他の実施形態と共に使用できることを理解されたい。従って、本段落は、いかなる時点においても、異なる複数の実施形態からの特徴、要素、構成部品、機能及びステップを組み合わせる、又はある実施形態からの特徴、要素、構成部品、機能及びステップを別の実施形態からのもので置換する請求項を、ある特定の例においてこのような組み合わせ又は置換が可能であることを以下の記述が明記していない場合であっても導入するための、先行基礎及び明文化されたサポートとして機能する。全ての可能な組み合わせ及び置換の明示的な列挙が、特にこのような組み合わせ及び置換の全てがそれぞれ許容可能であることを当業者が容易に認識する場合に、過度な負担になることは、明らかに認められる。
【0071】
本明細書で開示されている実施形態が、メモリ、ストレージ、及び/又はコンピュータ可読媒体を含む、あるいはこれらと関連して動作する限りにおいて、該メモリ、ストレージ、及び/又はコンピュータ可読媒体は、非一時的なものである。従って、メモリ、ストレージ、及び/又はコンピュータ可読媒体が1つ以上の請求項によって包含される限りにおいて、該メモリ、ストレージ、及び/又はコンピュータ可読媒体は、非一時的なもののみである。
【0072】
これらの実施形態は、様々な修正及び代替形態を許容するものであり、その具体例を図面に図示し、また本明細書中で詳細に説明している。しかしながら、これらの実施形態は、開示されている特定の形態に限定されるものではなく、反対にこれらの実施形態は、本開示の精神の範囲内にある全ての修正、均等物、及び代替物を包含できることを理解されたい。更に、これらの実施形態のいずれの特徴、機能、ステップ又は要素を、請求項中に列挙又は追加でき、また、請求項の発明の範囲を該範囲内ではない特徴、機能、ステップ又は要素によって定義する負の限定も、請求項中に列挙又は追加できる。
【符号の説明】
【0073】
100 健康及び栄養監視システム
102 センサ制御デバイス
104 センサ、分析物センサ
105 接着パッチ
120 リーダデバイス
121 入力
122 スクリーン、ディスプレイ
123 電源ポート
140、142、143、144 通信経路
150 センサアプリケータ
160 センサ電子部品
161 半導体チップ、ASIC
162 アナログフロントエンド、AFE、半導体チップ
163、223、225 非一時的メモリ
164 電力管理(又は制御)回路構成
166 プロセッサ
168 通信回路構成
170 ローカルコンピュータシステム、電源
174 チップ
175 加速度計、半導体チップ
180 信頼できるコンピュータシステム
190 ネットワーク
200、250、360 グラフ
206 処理回路構成
222 通信プロセッサ
224 アプリケーションプロセッサ
226 電源
228 RFトランシーバ
229 アンテナ
230 非一時的メモリ
232 多機能トランシーバ
234 アンテナ
238 電力管理モジュール
300、400、450、500 GUI
310 日時表示
320 数値スコア
330 概要メトリクス、本日のスコア
340 概要メトリクス、今週のスコア
350 概要メトリクス、目標週間スコア
362、364、AC1、AC2、AC3 分析物曲線
370、375 数値スコア
380 テキスト入力ボックス
385 図像入力ボックス
390 チャート
392、394、396、398 分析物曲線
395 テキスト表示
510 黄色バンド
512 緑色バンド
514 赤色バンド
516 プロット線