(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116614
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】心血管パラメータを決定するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20230815BHJP
A61B 5/02 20060101ALN20230815BHJP
【FI】
A61B5/022 400F
A61B5/022 400M
A61B5/02 310B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023093707
(22)【出願日】2023-06-07
(62)【分割の表示】P 2022519477の分割
【原出願日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/908,758
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522120059
【氏名又は名称】リヴァ ヘルス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RIVA HEALTH,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シンハ,トゥヒン
(72)【発明者】
【氏名】レジット,アラン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】心血管パラメータを決定するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】心血管パラメータを決定するためのシステム及び方法は、プレチモグラム(PG)データセットを受け取るステップと、PGデータセットからノイズを除去するステップと、PGデータセットをセグメント化するステップと、PGデータセットから基準のセットを抽出するステップと、基準のセットを変換して心血管パラメータを決定するステップと、を含み得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血圧を決定する方法であって、
ユーザの身体領域の複数の画像を受信するステップであって、前記画像は、前記患者に関連付けられたユーザデバイスの画像記録装置を使用して記録され、前記画像記録装置は前記ユーザの前記身体領域に接触している、受信するステップと、
前記複数の画像からフォトプレチモグラム(PPG)データセットを生成するステップと、
前記PPGデータセットから0.5Hz未満の信号を除去するように構成されたローパスフィルタを使用して前記PPGデータセットをフィルタリングするすることと、
拡張された経験的モード分解を使用して前記PPGデータセットをモードのセットに分解することと、
前記モードのセットから固定モードを抽出することと、
前記固定モードを集計して、ノイズ除去されたPPGデータセットを生成すること、によって前記PPGデータセットのノイズを減少させて、ノイズ除去されたPPGデータセットを生成するステップと、
移動平均セグメンテーションを使用して、前記ノイズ除去されたPPGデータセットを、セグメント化されたPPGデータセットにセグメント化するステップと、
前記セグメント化されたPPGデータセットの既定の数のセグメントを平均化することによって、処理されたPPGデータセットを決定するステップと、
前記処理されたPPGデータセットから基準のセットを抽出するステップと、
前記基準のセットに基づいて患者の心血管多様体上の位置を決定するステップと、
前記患者の心血管多様体上の位置を、共通の心血管多様体上の位置に変換するステップと、
前記共通の心血管多様体上の位置から血圧値へのマッピングに基づいて前記患者の血圧を決定するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記既定の数のセグメントは、前記PPGデータセットの少なくとも10のセグメントを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共通の心血管多様体又は前記変換のうちの少なくとも1つは、
較正患者のグループの各患者について、
血圧計、デジタル血圧モニタ、撓骨動脈圧力測定法、動脈カテーテル又は心電図のうちの少なくとも1つを使用して血圧を測定し、
血圧を測定することと同時に、前記較正患者に対応する基準のセットを決定し、
測定された前記血圧と前記基準のセットとの間の関係を決定するステップと、
各患者についての前記関係を組み合わせて、前記共通の心血管多様体又は前記変換のうちの少なくとも1つを決定するステップと、によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理されたPPGデータセットから前記基準のセットを抽出するステップは、前記処理されたPPGデータセットをフィッティング関数に当てはめるステップを含み、前記基準のセットは、前記フィッティング関数の1以上のフィットパラメータを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フィッティング関数は複数のガウス分布を備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記フィットパラメータは超平面の値に拘束される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
患者の心血管状態を決定するための方法であって、
前記患者に関連付けられたプレチモグラム(PG)データセットを受け取るステップと、
前記PGデータセットに対応する固定モードのセットを集計することによって前記PGデータセットからノイズを除去するステップと、
前記ノイズ除去されたPGデータセットを、セグメント化されたPGデータセットにセグメント化するステップであって、各セグメントは前記患者の心周期に対応する、ステップと、
前記セグメント化されたPGデータセットの基準のセットを抽出するステップであって、前記基準のセットは、
前記セグメント化されたPGデータセット、
前記セグメント化されたPGデータセットの1次導関数、
前記セグメント化されたPGデータセットの2次導関数、又は
前記セグメント化されたPGデータセットの3次導関数、のうちの少なくとも1つの値に基づいて決定される、ステップと、
前記基準のセットに変換を適用することによって前記患者の心血管状態を決定するステップと、を含む方法。
【請求項8】
前記PGデータセットのデータポイントの間を補間して前記PGデータセットのギャップを埋めるステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記患者の心血管状態は、前記患者の血圧、心イベント、心血管ドリフト及び薬物反応のうちの1以上を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
基準のセットを抽出するステップは、前記セグメント化されたPGデータセットの各セグメントについて基準のセットを抽出するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記セグメントについて前記基準のセットを抽出するステップは、
前記セグメントの前記1次、2次及び3次導関数を計算するステップと、
前記1次、2次及び3次導関数のゼロに対応する時点を決定するステップと、
前記時点の前記セグメントの値を決定するステップと、
前記時点の前記セグメントの前記1次、2次及び3次導関数の値を決定するステップと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基準のセットは、
前記第1及び第2導関数の最初の4つのゼロに対応する時点の前記セグメント化されたPGデータセットの値と、
前記1次及び2次導関数の最初の4つのゼロに対応する時点の前記処理されたPGデータセットの前記第1導関数の値と、
前記1次及び2次導関数の最初の4つのゼロに対応する時点の前記処理されたPGデータセットの前記第2導関数の値と、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記PGデータセットのノイズを減少させるステップは、ロングパスフィルタを使用して前記PGデータセットをフィルタリングするステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記固定モードのセットは、拡張された経験的モード分解を使用して決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記PGデータセットからノイズを除去するステップは、前記固定モードのセットの最初の6つのモードを集計するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ノイズ除去されたPGデータセットをセグメント化するステップは、移動平均クロスオーバを検出することによって前記ノイズ除去されたPGデータセットをセグメント化するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記セグメント化されたデータの既定の数のセグメントを平均化することによって平均PGデータセットを決定するステップをさらに含み、前記基準のセットは、前記平均化されたPGデータセットに基づいて決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記基準のセットに基づいて患者の心血管多様体を決定するステップと、
前記患者の心血管多様体を共通の心血管多様体に変換する多様体変換を決定するステップと、をさらに含み、
前記変換は前記多様体変換を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
前記変換は、較正患者の群から導出された心血管状態測定に基づいて生成された較正データセットに基づいて決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項20】
前記変換は線形変換である、請求項7に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に開示された方法を実行するように構成されたシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2019年10月1日に出願された米国仮出願第62/908,758号の利益を主張し、当該出願の全体がこの参照によって組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、概して、心血管パラメータの分野に関し、より具体的には、心血管パラメータの分野における新規で有用なシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 人間の心血管系は、心臓及び血管を含み、かつ、恒常性を維持して病気と闘うために栄養素、ホルモン及び血球を全身に分配する中心的な役割を果たしている。
【0004】
[0004] 心血管系の測定及びモニタリングは人類の歴史において重要であった。心血管系の多くのバイオマーカは予後及び診断の目的で識別されてきた。心拍数及び血圧を含むこれらの測定の多くは一般的である。医療専門家及び消費者にとって、心拍数変動、脈波伝播速度及び動脈硬化などの他のものの有用性が同様に進展してきている。
【0005】
[0005] 多くの場合、これらのバイオマーカを直接測定することは困難であり又は禁止されている(例えば、侵襲的)。動脈内圧すなわち血圧は、直接測定に主要な動脈の1つ内に挿入された圧力変換器の使用を必要とする一例である。動脈カニューレ挿入に関連するリスクがあるので、血圧の非侵襲的評価は膨張可能カフを使用して評価される。これらの器具は通常、上腕に巻き付けられた空気袋を膨張させて動脈の血流を一時的に妨げ、すべての流れを遮断するために必要とされる最大の力と、流れが戻るときの力とを記録する(コロトコフ法)。この方法の欠点は、リアルタイムの心拍ごとの血圧を生成することができないことである。
【0006】
[0006] したがって、心血管検出の分野において新規で有用な方法を作成する必要がある。本発明はそのような新規で有用な方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007] 本システムの一例の概略図である。
【
図2】[0008] 本方法の一実施形態の応用フローである。
【
図3】[0009] 本方法の一実施形態の応用フローである。
【
図4】[0010] データセットを処理する一例の概略図である。
【
図5】[0011] 心血管多様体の一例の概略図である。
【
図6A】[0012] 患者対照群の心血管多様体を決定し、かつ、共通の心血管多様体を生成する一例の概略図である。
【
図6B】[0013] 個人の心血管多様体から
図6Aの共通の心血管多様体への変換に基づいて、個人の心血管状態を決定し、かつ、共通の心血管多様体上の位置(「x」)から心血管状態にマッピングする一例の概略図である。
【
図7A】[0014] 対照群の各メンバーの基準のセットを測定し、対照群(例えば、CV
1、CV
2、…、CV
N、例えば、血圧、動脈硬化など)の1以上の心血管パラメータを同時に測定し、及び、心血管パラメータに基準を関連させる変換(T)を決定することによって、変換を決定する一例の概略図である。
【
図7B】[0015]
図7Aの変換及び個人の基準に基づいて個人の心血管状態を決定する一例の概略図である。
【
図8】[0016] 処理されたデータセット、処理されたデータセットの1次導関数、処理されたデータセットの2次導関数及び処理されたデータセットの3次導関数に関連付けられたあり得る基準(例えば、丸で囲まれた点の一部又は全部)の一例の概略図である。
【
図9】[0017] PPGデータセットのセグメントに対応する当てはめに基づいて患者の心血管多様体を決定する一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0018] 本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、これらの好ましい実施形態に本発明を限定することを意図するものではなく、むしろ当業者が本発明を作成及び使用することを可能にすることを意図している。
【0009】
1.概要
[0019]
図2に示すように、方法200は、動脈圧データセットを測定することS210と、動脈圧データセットを処理することS220と、動脈圧データセットを分析することS230と、分析を提示することS240と、を含み得る;ただし、本方法は任意の適切なステップを含み得る。動脈データセットを処理することは、データセットを補間することS221と、データセットをフィルタリングすることS223と、データセットをセグメント化することS225と、データセットのノイズ除去をすることS226と、分析用のデータセットのサブセットを決定することS228と;及び/又は、任意の適切なステップと、を含み得る。
【0010】
[0020] 本方法は、好ましくは、個人の1以上の心血管パラメータ(及び/又は、生理学的パラメータ)を決定するように機能する。ただし、本方法は、追加又は代替として、個人の心血管パラメータに対する既定の活動の影響を予測するように機能し得る、及び/又は、他の方法で機能し得る。心血管パラメータの例には、血圧、動脈硬化、一回拍出量、心拍数、血液量、脈波伝播時間、収縮期、脈波伝播速度、心拍数変動、血圧変動、薬物相互作用(例えば、血管拡張剤、血管収縮剤などの影響)、心血管ドリフト、心イベント(例えば、血栓、脳卒中、心臓発作など)、心拍出量、心係数、全身血管抵抗、酸素運搬、酸素消費量、圧反射感受性、ストレス、交感神経/副交感神経緊張、及び/又は、任意の適切な心血管パラメータ及び/又は特性が含まれる。既定の活動の例には、瞑想、運動管理療法(例えば、軽度、中等度、激しいなどの運動)、薬物治療(例えば、種類、投与量など)、呼吸運動、薬物摂取(例えば、アルコール、カフェインなど)、及び/又は、任意の適切な活動が含まれ得る。
【0011】
[0021] 方法200は、好ましくは、個人の心血管パラメータを決定するために較正される;ただし、本方法は較正されなくてもよい。第1変形例では、本方法は、各個人(例えば、患者、ユーザなど)に対して独立して較正され得る。この変形例では、本方法を較正することには、個人について、かつ、同時に又は実質的に同時に(例えば、15秒、30秒、60秒、2分、5分、10分以内など)、(例えば、血圧カフ、血圧計、橈骨動脈圧力測定法、動脈カテーテル、心電図(ECG)などを使用して)較正された心血管パラメータを測定すること、本方法及び/又はそのサブステップに従って個人の心血管パラメータを測定すること、が含まれ得る。この変形例では、本方法はさらに、個人の動脈圧測定から抽出された基準と心血管パラメータとに基づいて個人の多様体(manifold)を生成することを含み、個人のその後の動脈圧測定から抽出された基準は、個人の多様体を使用して心血管状態(例えば、1以上の心血管パラメータついての値を含む)にマッピングされ得る。
【0012】
[0022] 第2変形例では、本方法は、(例えば、彼らが以前に本方法を使用して心血管パラメータを決定したか否かに関わらず)任意の個人について較正され得る。第2変形例では、本方法を較正することには:対照群の各個人について、(例えば、血圧カフ、血圧計、橈骨動脈圧力測定法、動脈カテーテル、心電図(ECG)などを使用して)較正された心血管パラメータを測定すること、本方法及び/又はそのサブステップに従って対照群の各個人の心血管パラメータを同時に又は実質的に同時に(例えば、15秒、30秒、60秒、2分、5分、10分以内などに)測定すること、及び、共通の心血管多様体及び/又は一般変換を決定すること、が含まれる。第2変形例では、共通の心血管多様体及び/又は一般変換が使用されて、任意の個人に関連付けられたデータセットを1以上の心血管パラメータに変換し得る。例えば、一般変換は、個人の基準セットを心血管パラメータセットに変換し得る(例えば、基準ベクトルを心血管パラメータベクトル又は心血管状態に変換する)。第2例では、共通の心血管多様体が使用されて、基準値のセットを対応の心血管パラメータ値にマッピングし得る。ただし、本方法は、物理的関係に従って、モデリング及び/又はシミュレーションに基づいて較正され得る、及び/又は、他の方法で較正され得る。
【0013】
[0023] 本方法を較正することは、好ましくは、対照群の一個人及び/又は複数の個人が休息している(例えば、リラックスしている)間に行われる;ただし、較正プロセスは、対照群の一個人及び/又は複数の個人が活動している間(例えば、運動に関与している、頭の体操に関与しているなど)、及び/又は、任意の適切なユーザ状態について、行われ得る。本方法を較正することは、好ましくは、1回だけ実行される必要がある(例えば、所定のユーザについて、ユーザのグループについて、すべてのユーザについてなど);ただし、較正は、毎時、毎日、毎週、毎月、毎年及び/又は任意の適切なタイミングで実行され得る。本方法は、好ましくは、個体群全体に対して較正されるが、代替又は追加として、(例えば、年齢、人口統計、併存疾患、バイオマーカの組み合わせ及び/又は他のパラメータに基づいてセグメント化される)個体群サブセットに対して較正され得る。本方法を較正することは、好ましくは、データセット(及び/又は、データセットの基準)から心血管パラメータを決定するために使用可能な変換(例えば、較正、方程式、ルックアップテーブル、アルゴリズム、パラメータ化など)を生成する。ただし、本方法は任意の適切な方法で較正され得る。
【0014】
2.利点
[0024] 本技術の変形例はいくつかの利益及び/又は利点を与え得る。
【0015】
[0025] 第1に、本技術の変形例は、個人の心血管パラメータのロバストで長期的な測定を可能にし得る。特定の例では、本技術は、本技術を再較正することなく較正プロセスの数か月後に個人の心血管パラメータを決定し得る。
【0016】
[0026] 第2に、本技術の変形例は、個人の心血管パラメータの非侵襲的決定を可能にし得る。特定の例では、本技術は、個人のデバイスを用いて個人の動脈圧を測定し得る。
【0017】
[0027] 第3に、本技術の変形例は、個人の心血管パラメータを迅速に捕捉して決定し得る。特定の例では、本技術は、計算効率を利用して、ほぼ心拍ごとに個人の心血管パラメータを決定し得る。
【0018】
[0028] 第4に、本技術の変形例は、モバイルコンピューティングデバイスが、関連の心血管パラメータを決定する際に高い特異性を有する生体信号検出器に変換され得るので、方法200の1以上の部分を実施しているモバイルコンピューティングデバイス自体に改善を与え得る。例では、本技術は、より少ないデータソースを使用して(例えば、心電図データなしで)心血管パラメータの評価を可能にし得るので、コンピューティングシステムが処理するデータのタイプはより少なくて済む。
【0019】
[0029] 第5に、本技術の変形例は、画像から導出された信号処理技術を利用して、心血管パラメータを具体的に決定及び評価し得る。本技術の特定の例では、心血管パラメータは、治療提供の自動的な促進を可能にし、治療提供には、投薬提供を調整すること、個人の健康を促進するための個人の環境側面を自動的に調整すること、調整された医療推奨を提供すること、患者と医療提供者との間のデジタル通信を促進すること、及び/又は、心血管の健康を管理するための任意の適切な治療提供が含まれる。
【0020】
[0030] 第6に、本発明者らは、各個人について、個人の基準と様々な心血管パラメータとの間の関係がほぼ一定であること;個人の生理学的状態の変化が基準と心血管のパラメータとを共にシフトさせること、を見出した。これにより、静的変換(個人に合わせて較正される)を使用して、個人の現在の生理学的状態に関わらず、個人の基準値を考慮して、個人の心血管パラメータ値を決定することを可能にする。本発明者らはさらに、所定の個人についての基準-心血管パラメータの関係(例えば、多様体;より高次元の多様体)がオフセット及び/又は共通の多様体のスケーリングされたバージョン(例えば、個人の基準変換)として表現され得るように、個人の基準-心血管パラメータの関係はすべて個体群全体とほぼ同じであることを見出した。これにより、個人の心血管状態の全範囲をサンプリングすることなく、個人の多様体(及び/又は、心血管状態)を決定することを可能にする。
【0021】
[0031] ただし、本技術の変形例は任意の他の適切な利益及び/又は利点を与え得る。
【0022】
3.システム
[0032]
図1に示すように、システム100は、1以上の、データ収集モジュール110と、データ処理モジュール120と、データ分析モジュール130と、任意選択的に、インタフェースデバイス140と、及び/又は、任意の適切なコンポーネントと、を含み得る。システム100は、動脈圧データセット(例えば、1以上の動脈圧波形)を測定し、かつ、前記動脈圧データセットを1以上の心血管パラメータに(例えば、リアルタイムで、脈拍ごとになど)変換するように機能し得る。システムは、好ましくは、上述した方法の一実施形態、変形例又は例を可能にし、及び/又は、他の方法で実行するが、追加及び/又は代替として、経時的な心血管パラメータ変化の決定を包含する任意の適切な方法の実行を容易にし得る。本システムは、「心血管疾患の評価及び管理のための方法及びシステム」の発明の名称で2019年8月12日に出願された米国特許出願第16/538,206号、及び/又は、「心血管疾患の評価のためのデータを取得するための方法及びシステム」の発明の名称で2019年8月12日に出願された米国特許出願第16/538,361号に開示されているような1以上のモジュール(例えば、データ収集モジュール、カメラモジュール、信号生成モジュール、データ処理モジュール、データ分析モジュール、出力モジュールなど)を含み得、上記出願の各々の全体がこの参照によって本明細書に組み込まれる。
【0023】
[0033] システム100は、ユーザデバイス(例えば、スマートフォン、ラップトップ、スマートウォッチなど)、リモートコンピューティングデバイス(例えば、クラウド、サーバなど)、医療提供者デバイス(例えば、専用機器、医療提供者スマートフォンなど)、及び/又は、任意の適切なデバイスのうちの1以上を含み得る及び/又は1以上に実装され得る。特定の例では、個人のスマートフォンは、複数の画像をキャプチャし、かつ、処理及び/又は分析されるためにクラウドコンピューティングサーバに複数の画像を伝送する。
【0024】
[0034] データ収集モジュール110は、好ましくは、個人の心血管パラメータに関する1以上のデータセット(例えば、画像のセット、動脈圧データセット、生データセット、動脈圧波形、フォトプレチスモグラム(PPG)データセット、プレチスモグラムデータセットなど)を測定するように機能する。データ収集モジュールは、好ましくは、データ処理モジュール及びデータ分析モジュールに結合されている;ただし、データ収集モジュールは、データ処理モジュールと通信し得る、データ分析モジュールと通信し得る、及び/又は、任意の適切な方法で構成され得る。
【0025】
[0035] 動脈圧データセットは、好ましくは、個人の指の表面で測定される(例えば、橈骨動脈からの動脈圧波形を検出する);ただし、追加又は代替として、個人の手首の表面(例えば、尺骨動脈から)、上腕の表面(例えば、上腕動脈)、胸の表面(例えば、大動脈)、大腿部の表面(例えば、大腿動脈)、足首の表面(例えば、脛骨動脈)、及び/又は、個人の任意の適切な身体領域で測定され得る。動脈圧データセットは、好ましくは、一連の動脈圧データポイントである(例えば、15秒、30秒、45秒、1分、2分、5分などの既定の時間の長さで、30Hz、60Hz、120Hz、240Hzなどの既定の周波数で収集される);ただし、動脈圧データセットは、単一のデータポイント、及び/又は、任意の適切なデータセットであり得る。動脈圧データセットは、好ましくは、生データ(例えば、1次データ)である;ただし、動脈圧データセットは任意の適切なデータであり得る。
【0026】
[0036] 動脈圧データセットは、好ましくは、個人の身体領域に接触しているデータ収集モジュールを用いて測定されるが、個人の身体領域に接触していないデータ収集モジュールを用いて測定され得る。データ収集モジュールは、好ましくは、実質的に一定の圧力(例えば、データ取得中にせいぜい5%、10%、20%などの圧力変化)で個人の身体領域に接触しているが、可変又は変化する圧力(例えば、接触圧が動脈圧データセットと同時に測定されるとき)、及び/又は、任意の適切な圧力で接触させられ得る。データ収集モジュールは、好ましくは、データ取得中、実質的に固定された向きに保持される(例えば、100μm、1mm、1cm、5cmなど未満の位置変化;個人の身体領域及びデータ収集モジュールによって規定される1以上の基準軸線に対して、0.1°、1°、2°、5°、10°など未満の向きの変化など)。ただし、データ収集モジュールは、(データの品質を向上させるなどのため)データ取得中に移動、再配置及び/又は方向転換させられ得る。ある実施形態では、データ収集モジュールは、ユーザが既定の接触圧及び/又は向きを維持及び/又は設定するのを助けるように機能し得るトラッカ及び/又はガイドを含み得る。
【0027】
[0037] データ収集モジュール110は、好ましくは、光学センサ(例えば、カメラ)を含む;ただし、データ収集モジュールは、生体信号センサ(例えば、心拍数モニタ、脈拍計、動脈圧センサなど)、ひずみゲージ、及び/又は、任意の適切なセンサを含み得る。
【0028】
[0038] 光学センサを含む変形例では、光学センサは、好ましくは、PPGデータなどの動脈圧データセットに関する個人の身体領域からの光信号(例えば、画像、強度など)を測定するように機能する。光学センサは、好ましくは、ユーザデバイスに関連付けられている;ただし、光学センサは、保護者デバイス、臨床医デバイス、クライアントデバイス、医療提供者デバイス、及び/又は、任意の適切なエンティティに関連付けられ得る。ただし、光学デバイスは、別個のデバイス及び/又はその構成要素であり得る、及び/又は、任意の適切な形態を有し得る。
【0029】
[0039] 光学センサは、任意選択的に、光源を含み得る。光源は、動脈圧データセットの収集のための照明(例えば、均一な照明、低光条件用、特定の波長の光用、特定の照明強度など)を提供するように機能し得る。ただし、光源は、周囲光(例えば、太陽光、屋内照明など)、及び/又は、任意の適切な光源であり得る。
【0030】
[0040] データ処理モジュール120は、好ましくは、動脈圧データセットを、処理されたデータセットに処理するように機能する(例えば、外れ値除去、ノイズ除去、セグメント化、フィルタリングなどのクリーン化);ただし、データ処理モジュールは、任意の適切なデータセット(例えば、較正データセット、ECGデータセット、PPGデータセット、プレチスモグラムデータセットなど)を処理し得る。データ処理モジュールは、データセットに対して以下のプロセスの1以上を実行し得る:正規化、背景削除、平滑化、クリーニング、変換、フィッティング、補間、外挿、セグメント化、分解(例えば、モード分解)、ノイズ除去、及び/又は、任意の適切なステップ。データ処理モジュールは、好ましくは、データ分析モジュールに結合される;ただし、データ処理モジュールは、データ分析モジュールと通信し得る、及び/又は、他の方法で適切に配列され得る。
【0031】
[0041] データ分析モジュール130は、好ましくは、1以上のデータセット(例えば、動脈圧データセット、処理されたデータセットなど)を分析して、個人の1以上の心血管パラメータを決定するように機能する。データ分析モジュールは、データセットに対して以下の分析の1以上を実行し得る:フィッティング(例えば、スプライン、曲線など)、数学演算(例えば、スケーリング、微分、積分、フーリエ変換などの変換など)、ルート検出、相関分析、及び/又は、任意の適切な分析。データ分析モジュールは、方程式、ルックアップテーブル、条件文、学習モジュール(例えば、ニューラルネットワーク)、及び/又は、任意の適切な分析ツールを含み得る。
【0032】
[0042] システムは、任意選択的に、個人、医療提供者及び/又は任意の適切なエンティティに対して、心血管パラメータ、データセット(例えば、分析されたデータセット、処理されたデータセット、動脈圧データセットなど)、分析(例えば、基準、心血管多様体、診断など)、及び/若しくは、任意の適切なデータ又は情報を提示するためのインタフェースデバイス140(例えば、ディスプレイ)を含み得る。ただし、データ/情報は任意の適切な方法で提示され得る。
【0033】
[0043] ただし、システム100は、1以上の個人の心血管の健康の評価又は管理を促進するため、データを受信、処理及び/又は分析するように構成された任意の他の適切な要素を含み得る。
【0034】
4.方法
[0044] 方法200は、好ましくは、動脈圧データセットに基づいて個人の心血管パラメータを決定するように機能する。本方法は、好ましくは、上述したようなシステムなどのシステムによって実行されるが、任意のシステムによって実行され得る。本方法の1以上の過程は、順番に(例えば、連続して)及び/又は並列に(例えば、同時に)実行され得る。本方法全体を通じて、信号は、好ましくは、時間領域で処理及び分析されるが、代替として、周波数領域で、異なるステップの異なる領域で、又は、任意の他の適切な領域で処理及び分析され得る。
【0035】
[0045] 動脈圧データセットを測定することS210は、好ましくは、個人の身体領域でデータセット(例えば、動脈圧データセット、生データセット、PPGデータセット、プレチスモグラムデータセットなど)を収集するように機能する。S210は、好ましくは、データセットを処理することS220の前に行われる;ただし、S210及びS220は同時に及び/又は任意の適切なタイミングで行われ得る。S210は、好ましくは、データ収集モジュール(例えば、データ収集モジュールの光学センサ、ひずみゲージなど)によって実行される;ただし、任意の適切なコンポーネントが使用され得る。ある変形例では、1以上のデータセットが(例えば、データベースに)保存及び/又は(例えば、データベースから)取り出され得る。データセットは、生データセットとして、及び/若しくは、処理又は分析されたデータセットとして保存され得る。データセットは、好ましくは、30~240Hz(例えば、60Hz)のその既定の周波数又は範囲で測定される;ただし、30Hz未満の周波数で、240Hzを超える周波数で、可変周波数で、及び/又は、任意の適切な周波数で測定され得る。データセットは、好ましくは、既定の時間の長さ(例えば、30秒、45秒、1分、2分、5分、10分など)にわたって測定される;ただし、時間の長さは、個人(例えば、ユーザの心拍数、個人の活動状態など)、及び/又は、任意の適切な時間の長さに基づき得る。
【0036】
[0046] S210は、任意選択的に、補足データセットを受信すること、取得すること及び/又は生成することを含み得る。補足データセットの例には、個人の特性(例えば、身長、体重、年齢、性別、人種、民族性など)、個人(及び/又は、個人の家族)の薬歴、個人の活動レベル(例えば、最近の活動、過去の活動など)、医療上の懸念、医療専門家のデータ(例えば、個人の医療専門家からのデータ)、及び/又は、任意の適切な補足データセットが含まれ得る。
【0037】
[0047] 特定の例では、S210は、(例えば、個人の身体領域に)データ収集モジュールを位置決めすること、(例えば、光源を使用して、周囲光を使用してなど)個人の身体領域を照明すること、光散乱パラメータ(例えば、反射、吸収など)を測定すること、及び、一連の光散乱パラメータを記録して動脈圧データセットを生成すること、を含み得る。光散乱パラメータは、好ましくは、約60Hz以上のデータ収集周波数で測定されるが、任意の適切なデータ収集周波数が使用され得る。ただし、動脈圧データセットを生成することは任意の適切な方法で実行され得る。
【0038】
[0048] 第2の特定の例では、S210は、データ収集モジュールを(例えば、個人の身体領域に)位置決めすること、(例えば、光源を使用して、周囲光を使用してなど)個人の身体領域を照明すること、身体領域の複数の画像を測定すること、及び、複数の画像からフォトプレチモグラム(PPG)データセットを生成することを含み得る。PPGデータセットは、画像から1以上の特徴を抽出し、画像間のオプティカルフロー深度マップを決定し、画像全体のピクセル特性の変化を記録することによって複数の画像から生成され得る、及び/又は、他の方法で複数の画像から生成され得る。
【0039】
[0049] 第3の特定の例では、S210は、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第16/538,361号に開示されるようなデータ取得の1以上のステップを含み得る。
【0040】
[0050] ただし、S210は、任意の適切なステップを含み得る、及び/又は、任意の方法で実行され得る。
【0041】
[0051] データセットを処理することS220は、好ましくは、データセット(例えば、生データセット、動脈圧データセットなど)を、処理されたデータセット(例えば、信号対雑音比の改善、データセットのセグメント化、データセットからの外れ値削除など)に変換するように機能する。特定の例では、生データセットは、(例えば、測定期間中の、身体領域とデータ収集モジュールとの間の接触圧の変動、身体領域とデータ収集モジュールとの間の向きの変動、ランダムノイズなどからの)大きな非定常背景を含み得る。この特定の例では、データセットを処理することによって非定常的背景が取り除かれ得る。ただし、動脈圧データセットを処理することによって、任意の適切なデータセットが生成され得る、及び/又は、任意の適切な機能が実行され得る。
【0042】
[0052] データセットの処理は、好ましくは、データセットの測定後に行われる;ただし、データセットの処理は、データセットの任意のサブセットが測定された後に行われ得る。S220は、好ましくは、データセットを分析することS230の前に行われる;ただし、S220は、S230と同時に、S230の後で(例えば、データ分析中にエラーが発生した場合にデータを処理する)、及び/又は、任意の適切なタイミングで行われ得る。S220は、好ましくは、データ処理モジュールによって実行され得る;ただし、S220は任意の適切なコンポーネントによって実行され得る。データセットは、好ましくは、クラウドコンピューティングシステムで処理されるが、ユーザデバイス、ローカルコンピューティングシステム及び/又は任意の適切な場所で処理され得る。
【0043】
[0053] 例えば、
図3及び
図4に示すように、S220は、データセットをサンプリングしなおすことS221;データセットをフィルタリングすることS223;データをセグメント化することS225;データセットのノイズ除去をすることS226;分析するためのデータのサブセットを決定することS228;及び/又は、任意の適切なステップを含み得る。
【0044】
[0054] S221は、好ましくは、データセット(例えば、生データセット、動脈圧データセット、PPGデータセット、プレチスモグラムデータセットなど)に新しいデータポイントを挿入する及び/又は(例えば、既存のデータポイントの間の)無関係なデータポイントを削除するように機能し、その結果、データセット(補間されたデータセット、補間された生データセットなど)には、既定の頻度/期間の間隔で配置されたデータポイントが含まれる。S221は、好ましくは、S226の前に行われる;ただし、S221はS226と同時に及び/又はS226の後に行われ得る。既定の周波数は、好ましくは、60Hzの倍数(例えば、120Hz、240Hzなど)である;ただし、既定の周波数は、データセット内のデータポイントの数(例えば、データポイントの総数)に基づいて選択され得る、変化し得る(例えば、データセットの数が少ないデータセットをサンプリングするためなど、データがまばらな領域では低くなる;データポイントの数が多いデータセットをサンプリングするためなど、データが豊富な領域では高くなる)、及び/又は、任意の適切な周波数が使用され得る。新しいデータポイントは、好ましくは、最も近い隣接データポイント間を補間することによって決定されるが、追加又は代替として、任意の適切な隣接するデータポイント間を補間することによって、機械学習を使用することによって、データを曲線に適合させることによって、シミュレーションを使用することによって、及び/又は、他の方法で追加データを生成することによって、生成され得る。補間は、好ましくは、線形である;ただし、非線形補間及び/又は任意の適切な補間が使用され得る。データポイントは、好ましくは、データポイント間の時間間隔が一定になるように(例えば、既定の周波数に基づいて)削除されるが、追加又は代替として、不良データ(例えば、外れ値、アーチファクトなど)を除去するために削除され得る、及び/又は、他の方法で削除され得る。
【0045】
[0055] S223は、好ましくは、1以上のフィルタを適用してフィルタリングされたデータセットを生成することによって、データセット(例えば、動脈圧データセット、生データセット、補間されたデータセット、補間された生データセットなど)の信号対雑音比(SNR)を改善するように機能する。S223は、好ましくは、S225の前に行われる;ただし、S223はS225と同時に及び/又はS225の後に行われ得る。フィルタは、ショートパスフィルタ(例えば、0.1Hz未満、0.1、0.5、1、10、20、30、60、100、200、500、1000、1000Hz超などのカットオフ周波数を有する)、ロングパスフィルタ(例えば、0.1Hz未満、0.1、0.5、1、10、20、30、60、100、200、500、1000、1000Hz超などのカットオフ周波数を有する)、バンドパスフィルタ(例えば、ロングパスフィルタ及びショートパスフィルタを組み合わせることによって)、ノッチ又はバンドストップフィルタ、及び/若しくは、任意の適切なフィルタであり得る。特定の例では、フィルタは、データセットから0.5Hz未満の信号を除去することができるロングパスフィルタであり得る;ただし、任意の適切なカットオフフィルタが使用され得る。フィルタは、時間領域及び/又は周波数領域でデータセットに適用され得る。データセット全体が、好ましくは、同時にフィルタリングされる;ただし、データセットの1以上のサブセットが一度にフィルタリングされ得る、及び/又は、データセットのフィルタリングが適切な方法で実行され得る。説明する例では、セグメント化されたデータセット(例えば、ステップS225、S226又はS228で生成されるようなセグメント化されたデータセット)の各セグメントが(例えば、同じ又は異なるフィルタを使用して)フィルタリングされ得る。第2の説明する例では、生データセット及び/又は補間されたデータセットがフィルタリングされ得る。ただし、任意の適切なデータセット又は複数のセットがフィルタリングされ得る。
【0046】
[0056] S225は、好ましくは、各々別個の生理学的サイクル(例えば、心拍、心周期、呼吸サイクル、消化サイクルなど)及びデータセット(例えば、動脈圧データセット、補間されたデータセット、フィルタリングされたデータセットなど)内のその対応の動脈圧波形を識別し、かつ、セグメント化されたデータセットを生成するように機能する。セグメント化されたデータセットは、好ましくは、個々の心拍にセグメント化される;ただし、セグメント化されたデータセットは、心拍のセット(例えば、動脈圧波形がほとんど変化しない心拍、時間的近接性の高い心拍など)にセグメント化され得る、個々の動脈圧波形成分(例えば、直接伝達;腸骨動脈、腎動脈などからの反射された動脈圧信号など)にセグメント化され得る、及び/又は、任意の適切な形式にセグメント化され得る。S225は、好ましくは、S226の前に行われる;ただし、S225はS226と同時に及び/又はS226の後に行われ得る。各セグメントは、好ましくは、同じサイズ(例えば、同じ時間ウィンドウ、同じ周波数ウィンドウなど)である;ただし、セグメントは任意の適切なサイズを有し得る。セグメントは、好ましくは、別個である(例えば、重複しない);ただし、セグメントは、重複し得る、及び/又は、他のセグメントと任意の適切な関係を有し得る。
【0047】
[0057] セグメント化されたデータセットは、好ましくは、低速及び高速移動平均(例えば、移動平均クロスオーバ)を使用してセグメント化される;ただし、セグメント化されたデータセットは、誘導法、積分法、閾値法、変分法、機械学習(例えば、訓練されたニューラルネットワークを使用する)、パターンマッチング(例えば、ディップが検出されるたびにセグメント化される)を使用してセグメント化され得る、及び/又は、任意の適切な方法でセグメント化され得る。特定の例では、低速移動平均及び高速移動平均を使用したビートセグメンテーションが、補間されたデータセットの各ポイントに適用される。
【0048】
[0058] S226は、好ましくは、データセット(例えば、生データセット、補間されたデータセット、フィルタリングされたデータセット、セグメント化されたデータセットなど)をノイズ除去してデータセットのSNRを改善し、かつ、ノイズ除去されたデータセット(例えば、ノイズ除去されたセグメント化されたデータセット)を生成するように機能する。S226は、好ましくは、S228の前に行われる;ただし、S226はS228と同時に及び/又はS228の後に行われ得る。S226は、好ましくは、S225の後に実行されるが、S225の前及び/又はS225と同時に実行され得る。
【0049】
[0059] 特定の変形例では、S226は、データセットを固有モードに分解することを含み得る。これらの変形例では、データを固有モードに分解することによって、処理を高速化し、処理リソースを削減し、及び/又は、任意の適切な機能を実行し得る。セグメント化されたデータセットの各セグメントは、好ましくは、独立して固有モードに分解される。ただし、データセット(例えば、セグメント化されたデータセット、フィルタリングされたデータセット、生データセットなど)は、全体として固有モードに分解され得る、複数のセグメントが一緒に分解され得る、及び/又は、データセットは任意の適切な方法で固有モードに分解され得る。固有モードは、離散モード及び/又は連続モード(例えば、連続変換の周波数など)に対応し得る。
【0050】
[0060] この特定の変形例の特定の例では、各固有モードは、異なる容量の信号データ(例えば、心血管パラメータに関するデータ)及びノイズデータを符号化し得る。信号データを符号化する(例えば、主に、1次、2次、3次、4次、5次、6次、7次、8次、9次、10次、15次、20次などの信号データを符号化する)特定の固有モードは、ノイズ除去されたデータに含まれ得る、及び、ノイズデータを符号化する(例えば、主に、1次、2次、3次、4次、5次、6次、7次、8次、9次、10次、15次、20次などのモードの後の任意のモードなどのノイズデータを符号化する)モードは、ノイズ除去されたデータから除外される。ノイズ除去されたデータセットにモードを含めることは、好ましくは、データセットに含めるためにモードの各々を追加することを含むが、追加又は代替として、含まれることとなるモードの平均を計算すること、及び/又は、他の方法で固有モードを組み合わせることを含み得る。主にデータを符号化する固有モードは、最初のモード、最初の2つのモード、最初の3つのモード、最初の4つのモード、最初の5つのモード、最初の10のモード、2番目から4番目のモード、2番目から6番目のモード、最初の半分のモード、最後の半分のモード、最初の3分の1のモード、2番目の3分の1のモード、最後の3分の1のモード、最初の4分の1のモード、最初の10分の1のモード、そのサブセット、及び/又は、任意の適切なモードであり得る。ただし、ノイズ除去されたデータは任意の適切な方法で生成され得る。
【0051】
[0061] 固有モードは、好ましくは、拡張された経験的モード分解(EEMD)を使用して決定される;ただし、固有モードは、経験的モード分解(EMD)、ヒルベルト変換、機械学習、主成分分析(PCA)、データセットの任意の適切な基底セット(直交基底セット、正規直交基底セットなど)、データセットのフィッティング(例えば、多項式フィット、ノイズモデル、方程式へのなど)、及び/又は、任意の適切な方法を使用して決定され得る。固有モードは周波数領域及び/又は時間領域で決定され得る。固有モードは、好ましくは、各セグメント(例えば、所定の心拍に関連する動脈圧データ)に対して別個に決定される;ただし、固定モード分析はデータセットのその全体に対して実行され得る、及び/又は、データセットの任意の適切なサブセットが使用され得る。
【0052】
[0062] 特定の例では、データセットのEEMD分析は、データセットを約20の固有モード(例えば、±5モード、±10モード、±20モードなど)に分解し得る。この例では、固有モード1~6が選択されて、ノイズ除去されたデータセットを生成し得る;ただし、任意の適切なモードが使用され得る。ノイズ除去されたデータセットは、固有モード1~6を合計する(例えば、残りの固有モードを除外する)ことによって生成され得る。ただし、データセットのノイズ除去は任意の適切な方法で実行され得る。
【0053】
[0063] S228は、好ましくは、データセット(例えば、ノイズ除去されたデータセット、セグメント化されたデータセット、フィルタリングされたデータセット、補間されたデータセット、生データセットなど)の1以上のサブセットを決定し、処理されたデータセットを含むように機能する。データセットのサブセットは、サブセット内のSNRに基づいて決定される;ただし、データの完全性、中程度の精度及び/又は任意の適切なデータ品質メトリックに基づいて決定される。
【0054】
[0064] 処理されたデータセットは、好ましくは、30セグメントなどの1~1000の間の任意の適切な数及び/又は範囲のセグメントを含む;ただし、データセット(例えば、ノイズ除去されたデータセット、セグメント化されたデータセット、フィルタリングされたデータセット、補間されたデータセット、生データセットなど)全体は、処理されたデータセットに含まれ得る、及び/又は、任意の適切な数のセグメントが含まれ得る。処理されたデータセットに含まれるセグメントは、好ましくは、連続的である(例えば、いかなる心拍もスキップしない);ただし、処理されたデータセットは、任意の数の適切なセグメントをスキップし得る、及び/又は、任意の適切なデータを含み得る。データセットに含まれるセグメントの数は、較正方法、決定するための心血管パラメータ、ターゲット及び/又は閾値の期間に依存し得る、及び/又は、他の方法で決定され得る。説明する例では、決定するための心血管パラメータが血圧を含む場合、処理されたデータセットは、好ましくは、約10の連続セグメントを含む(例えば、連続した心拍などの約10の心周期を離散的に検出し得る)。ただし、任意の数の連続セグメントが使用され得る。
【0055】
[0065] S228の特定の一実施形態では、データセットのサブセットは、移動時間ウィンドウSNRに基づいて決定され得る。時間ウィンドウは、任意の適切な時間ウィンドウ又は0~120秒、例えば15秒のその範囲であり得る;ただし、任意の時間ウィンドウが使用され得る。時間ウィンドウは、好ましくは、データセットのうちの1つのセグメント(例えば、1つの心拍)で始まるが、追加又は代替として、複数の心拍又はその一部を包含し得る。時間ウィンドウ内のSNRをSNR閾値(例えば、1、2、10、20など)と比較した後、時間ウィンドウ内のSNRがSNR閾値以上である場合、時間ウィンドウ内のセグメントは、処理されたデータセットに含まれ得る、かつ、後続の時間ウィンドウが調べられ得る(例えば、調べられることとなる時間ウィンドウが1以上のセグメントだけシフトされて分析が繰り返され得る)。ただし、時間ウィンドウ内のSNRがSNR閾値よりも小さい場合、セグメントは拒否され得る。データセットの適切なサブセットが決定不可能である(例えば、多くのセグメントが拒否される)場合、(例えば、S210を繰り返すことによって)新しいデータセットが測定され得る、(例えば、ステップS221~S226などのS220の1以上のステップを繰り返すことによって)データセットが再処理され得る、及び/又は、任意の適切なプロセスが行われ得る。ただし、処理されたデータセットに含まれるセグメントは任意の適切な方法で決定され得る。
【0056】
[0066] データセットを分析することS230は、好ましくは、データセット(例えば、処理されたデータセット、ノイズ除去されたデータセット、セグメント化されたデータセット、フィルタリングされたデータセット、補間されたデータセット、生データセットなど)から個人の1以上の心血管パラメータを決定するように機能する。S230は、追加又は代替として、個人の心血管パラメータに関連する基準(及び/又は、任意の他の適切なパラメータ)を決定するように機能し得る。データセットは、セグメントごとに(例えば、心血管パラメータは各セグメントに対して決定される)、データセット全体について、平均化されたデータセット(例えば、S228で識別されたデータセットのサブセットに関連付けられたセグメントを時間ステップごとのベースで他のセグメントで平均化する)について分析され得る、及び/又は、他の方法で分析され得る。S230は、好ましくは、データ分析モジュールによって実行される;ただし、任意の適切なコンポーネントが使用され得る。S230は、好ましくは、クラウドコンピューティングシステムで実行されるが、ユーザデバイスで、ローカルコンピューティングシステムで及び/又は任意のコンピューティングシステムによって実行され得る。S230は、好ましくは、データセットの各セグメントに対して独立して実行される;ただし、S230はデータセット全体に対して実行され得る、1つのセグメントの分析は他のセグメントの結果に依存し得る、及び/又は、データセットの任意の適切なサブセットが分析され得る。分析は、好ましくは、ユーザデバイス及び/又はインタフェースデバイスに伝送されるが、追加又は代替として、医療提供者、保護者、データベース及び/又は任意の適切なエンドポイントに伝送され得る。
【0057】
[0067] 心血管パラメータは、データセット、基準、及び/又は、回帰型モデリング(例えば、線形回帰、非線形回帰など)、学習(例えば、訓練されたニューラルネットワーク、機械学習アルゴリズムなど)を使用した心血管多様体、方程式、ルックアップテーブル、条件付きステートメント、変換(例えば、線形変換、非線形変換など)に基づいて決定され得る、及び/又は、任意の適切な方法で決定され得る。
【0058】
[0068] 基準及び/又は心血管多様体と心血管パラメータとの間の変換(例えば、相関)は、好ましくは、較正データセット(例えば、血圧カフからのような較正データセット、分析データセットとほぼ同時に生成されるECG測定値など;個人の異なる身体領域、異なる個人、異なる活動状態の個人などの第2動脈圧データセット;対応の測定された心血管パラメータを有する対照群の各個人の分析データセットを含む較正データセットなど)に基づいて決定される;ただし、変換は、モデル(例えば、個人の心血管系のモデル、任意のユーザに適用可能なモデルなどのグローバルモデルなど)に基づいて決定され得る、及び/又は、任意の適切な方法で決定され得る。
【0059】
[0069] S230は、基準を決定することS232と、心血管パラメータを決定することS236と、心血管パラメータを保存することS239と、を含み得る。ただし、S230は任意の適切なプロセスを含み得る。
【0060】
[0070] S232は、好ましくは、データセット(例えば、処理されたデータセット、ノイズ除去されたデータセット、セグメント化されたデータセット、フィルタリングされたデータセット、補間されたデータセット、生データセットなど)のための基準を決定するように機能する。S232は、好ましくは、S236の前に行われる;ただし、S232はS236と同時に及び/又はS236の後に行われ得る。基準のセットは、心血管パラメータ、個人の特性、補足データセット及び/又は任意の適切な情報に依存し得る。ある変形例では、異なる基準が異なる心血管パラメータに使用され得る;ただし、2以上の心血管パラメータが同じ基準のセットから決定され得る。
【0061】
[0071] S232の第1変形例では、基準を決定することは、任意選択的に、処理されたデータセットにスプライン当てはめ(fitting)すること、スプラインフィットデータセットの導関数(例えば、1次、2次、3次、高次など)を計算すること、及び、導関数の1以上においてルート(例えば、ゼロ)を決定することを含み得る。基準は、導関数のルート、データセットの値及び/又は導関数のルートで評価される他の導関数のうちの1以上であり得、及び/又は、他の方法で決定され得る。特定の第1例では、基準は、2次導関数の2つのルート、及び、3次導関数の1つのルートを含み得る;ただし、基準は、データセットの振幅(例えば、ルートの1つで評価される)、データセットの任意の適切な導関数の振幅(例えば、ルートの1つで評価される)、並びに/又は、任意の適切なルート及び/若しくはデータセットの値であり得る。特定の第2例では、基準は、処理されたデータセットの値、並びに、処理されたデータセットの1次及び2次導関数の最初の4つのゼロ(例えば、セグメントの開始に対して、処理されたデータのピークに対して、前の心周期に対してなど)に対応する時点で評価された処理されたデータセットの1次及び2次導関数に対応し得る。特定の第3例では、
図8に示すように、基準は、処理されたデータセット(及び/又は、その1以上のセグメント)の振幅、処理されたデータセット(及び/又は、その1以上のセグメント)の1次導関数の振幅、処理されたデータセット(及び/又は、その1以上のセグメント)の2次導関数の振幅、並びに、1次導関数、2次導関数及び/又は3次導関数のルートで評価された処理されたデータセット(及び/又は、その1以上のセグメント)の3次導関数の振幅のセット及び/又は任意のそのサブセットに対応し得る。
図8において、それぞれの導関数のゼロは、対象のある時点として識別され(
図8に黒丸で図示される)、対象のある時点の各々での各導関数の値は基準候補である。特定の第4例では、基準は以下の値のいずれかから選択され得る及び/又はいずれかを含み得る。
[0072] p(g)、p’’(g)、p’’’(g)、p(h)、p’(h)、p’’’(h)、p(k)、p’(k)、p’’(k)
[0073] p(a)が、時間aの処理されたデータセット(及び/又は、そのセグメント)である場合、p’は時間に関するpの1次導関数であり、p’’は時間に関するpの2次導関数pであり、p’’’は時間に関するpの3次導関数であり、gは、p’(g)=0となる一連の時間に対応し、hは、p’’(h)=0となる1以上の時間に対応し、及び、kは、p’’’(k)=0となる1以上の時間に対応する。
【0062】
[0074] S232の第2変形例では、基準を決定することは、処理されたデータセット(例えば、分析データセットの各セグメントについて)を任意の適切な基底関数に分解することを含み得る。特定の例では、処理されたデータセットを分解することは、離散フーリエ変換、高速フーリエ変換、離散コサイン変換、ハンケル変換、多項式分解、レイリー、ウェーブレット及び/又は処理されたデータセットに対する任意の適切な分解及び/又は変換を実行することを含み得る。基準は、分解の重み、位相及び/又は分解の任意の適切な出力のうちの1以上であり得る。ただし、基準は、データセットから任意の適切な方法で決定され得る。
【0063】
[0075] S232の第3変形例では、基準を決定することは、処理されたデータセットを既定の関数形式に当てはめることを含み得る。関数形式は、ガウス分布、ローレンツ、指数、スーパーガウス、レヴィ分布、双曲線セカント、多項式、畳み込み、関数の線形及び/又は非線形の組み合わせ、及び/又は、任意の適切な関数を含み得る。当てはめは拘束付きであり得る又は拘束付きでない。特定の例では、5つの拘束付きガウス分布の線形結合(例えば、ユーザの心血管の状態及び/又は位相に基づく)が使用されてデータの各セグメントを当てはめ得る。ただし、任意の適切な当てはめが実行され得る。基準は、好ましくは、フィットパラメータの1以上である(例えば、半値全幅(FWHM)、中心位置、振幅、周波数など);ただし、基準は、順序統計量情報(例えば、平均、分散、スキューなど)及び/又は任意の適切な情報を含み得る。
【0064】
[0076] 心血管パラメータを決定することS236は、好ましくは、ユーザの心血管状態(例えば、心血管パラメータ値のセット)を決定するように機能する。心血管パラメータは、基準に基づいて、心血管多様体に基づいて決定され得る、及び/又は、他の方法で決定され得る。S236は、好ましくは、データセットの各セグメント(例えば、各心拍)に関する心血管パラメータを決定する;ただし、S236は、データセット全体の単一の心血管パラメータ値(例えば、平均、分散、範囲など)、単一の心血管パラメータ、及び/又は、任意の適切な情報を決定し得る。S236は、好ましくは、S239の前に行われる;ただし、S236はS239と同時に及び/又はS239の後に行われ得る。
【0065】
[0077] S236の第1変形例では、例えば
図7Bに示すように、心血管パラメータは、(例えば、S232で決定された)基準のセットに基準変換を適用することによって決定され得る。基準変換は、モデル(例えば、個人のモデル、人体解剖学のモデル、物理モデルなど)に基づいて、較正データセットから決定され得る(例えば、
図7Aに示すように、異なる個人の基準変換のセットが、心血管パラメータにそれぞれの基準の逆行列を掛けることによって決定される)、機械学習(例えば、ニューラルネットワーク)を使用して生成される、フィット(例えば、最小二乗フィット、非線形最小二乗フィットなど)に基づいて多様体から生成される(例えば、基準値セットを心血管パラメータ値に関連付ける)、及び/又は、他の方法で決定され得る。基準変換は、共通の変換であり得る、所定の心血管パラメータ又はそれらの組み合わせに固有であり得る、個人のパラメータ(例えば、年齢、人口統計、併存疾患、バイオマーカ、投薬、推定又は測定された生理学的状態など)に固有であり得る、個人に固有であり得る、測定コンテキスト(例えば、時刻、周囲温度など)に固有であり得る、又は、他の方法で包括的又は固有であり得る。基準変換は、対照群のサブセット(例えば、個人の特性に類似した又は一致した1以上の特性を有する対照群のサブセット)に基づいて、平均、中央値、最も正確(例えば、最小残差、最小誤差など)であり得る、投票に基づいて選択され得る、ニューラルネットワークによって選択され得る、ランダムに選択され得る、及び/又は、他の方法で較正データセットから決定され得る。
【0066】
[0078] 基準変換(例えば、線形回帰係数)は線形変換又は非線形変換であり得る。各心血管パラメータは、異なる基準変換に関連付けられ得る、及び/又は、1以上の心血管パラメータは、同じ基準変換に関連付けられ得る(例えば、2以上の心血管パラメータは、相関され得る又は共変数であり得る)。特定の例の第1変形例では、心血管パラメータは以下に従って決定され得、
[0079] AT=B
[0080] Aは基準のセットに対応し、Tは基準変換に対応し、及び、Bは心血管パラメータに対応する。
【0067】
[0081] 特定の例では、本方法は、個人の基準変換を決定することと、その後の心血管測定及び基準変換に基づいて個人の心血管パラメータ値を決定することと、を含む。基準変換は、好ましくは、個人からサンプリングされた較正データのセットから決定され、較正データのセットは、較正心血管測定から抽出された基準(例えば、PPGデータ、プレチスモグラムデータ)(A)、及び、較正心血管パラメータ測定(例えば、血圧、O2レベルなど;決定される心血管パラメータの測定値)(B)を含み得る。個人の基準変換(T)はAT=Bから決定される。その後、Tは、続いてサンプリングされた心血管測定から抽出された基準の心血管パラメータ値を決定するために使用される。
【0068】
[0082] S236の第2変形例では、例えば
図6Bに示すように、心血管パラメータは、個人が個人の心血管多様体上のどこにあるか、個人の心血管多様体から共通の心血管多様体への多様体変換、及び任意選択的に、共通の心血管多様体上の個人の位置から心血管パラメータ値へのマッピング変換に基づいて決定され得る。心血管パラメータは、追加又は代替として、個人が心血管多様体上にある場所の変化、共通の心血管多様体上の個人の有効な位置、共通の心血管多様体上の個人の有効な位置の変化に依存し得る、及び/又は、そうでなければ心血管多様体に対する個人の関係に依存し得る。共通の心血管多様体は、較正データセット(例えば、
図6Aに示す)から決定され得る、モデルから決定され得る、機械学習(例えば、ニューラルネットワーク)を使用して生成され得る、及び/又は、他の方法で決定され得る。共通の心血管多様体は、較正データセットの平均であり得る、較正データセットの極値を含み得る、較正データセットから学習され得る(例えば、機械学習アルゴリズムを使用して決定する)、較正データセットから選択され得る、及び/又は、他の方法で較正データセットに基づいて決定され得る。共通の心血管多様体は、好ましくは、1以上の基準の値を心血管パラメータの値にマッピングするが、他の方法で構築され得る。共通の心血管多様体は、好ましくは、個体群のあり得る基準値及び/又は心血管パラメータ値の少なくとも大部分を包含するが、個体群の他の適切な帯状範囲(swath)を包含し得る。共通の心血管多様体は、1以上の心血管パラメータに固有であり得る(例えば、システムは、血圧及び酸素レベル用の異なる共通の多様体を含み得る)が、代替として、対象の複数又はすべての心血管パラメータを包含し得る。多様体変換は、1以上のアフィン変換(例えば、変換、スケーリング、相似、類似性変換、反射、回転及び剪断マッピングのうちの1以上の任意の組み合わせ)及び/又は任意の適切な変換を含み得る。第2変形例の説明する例では、個人の心血管位相が、決定され、及び、(例えば、変換を使用して)個人の心血管位相を共通の心血管位相(例えば、共通の心血管多様体に関連付けられる)に整列させ得、共通の心血管位相と心血管パラメータとの間の関係が知られている。
【0069】
[0083] 特定の例では、本方法は、個体群の較正データから共通の多様体を生成すること、個人の較正データから個人の多様体を生成すること、及び、個人の多様体と共通の多様体との間の変換を決定することを含む。共通の多様体は、好ましくは、有限領域であり、かつ、すべての(又は大部分の)摂動及び対応の心血管パラメータ値(例えば、応答)を包含するが、他の任意の適切な空間を包含し得る。共通の多様体は、好ましくは、基準の組み合わせ(異なる値を有する)を様々な心血管パラメータの値に関連させるが、他の変数を関連させ得る。個人の較正データは、好ましくは、心血管パラメータ測定値(例えば、血圧)に対応する心血管測定値(例えば、PPGデータ、プレチスモグラムデータ)を含むが、他のデータを含み得る。個体群較正データは、好ましくは、個人の較正データと同様であるが、複数の個人にわたる(例えば、1以上の生理学的状態にある)データを含む。変換は、計算され(例えば、方程式として、定数として、行列としてなど)、推定され、又は、他の方法で決定され得る。変換は、好ましくは、個人の多様体と共通の多様体との間の変換を表すが、追加又は代替として、共通の多様体上の基準位置(例えば、共通領域に変換された特定の基準値のセット)の心血管パラメータ値(例えば、共通領域内)へのマッピングを表し得る。代替として、本方法は、第2変換を適用して、普遍的に変換された基準値を心血管パラメータ値(例えば、共通の領域における)に変換し得る。その後、変換は、個人からのその後の心血管測定から抽出された基準に適用され、個人の心血管パラメータ値を決定する。
【0070】
[0084] S236の実施形態は、個人の心血管多様体を決定することを含み得る。例えば、
図5に示すように、個人の心血管多様体は、個人の心臓機能、神経系及び血管の変化に関する表面に対応し得る。ただし、心血管多様体は、追加又は代替として、個人の内分泌系、免疫系、消化器系、腎臓系及び/又は身体の任意の適切な系に依存し得る。心血管多様体は、追加又は代替として、ボリューム、ラインであり得る、及び/又は、他の方法で任意の適切な形状によって表され得る。個人の心血管多様体は、好ましくは、個人の寿命全体にわたって実質的に一定である(例えば、日ごと、週ごと、月ごと、年ごとなど、ゆっくりと変化する)。したがって、個人の心血管多様体が保存されてアクセスされ、個人の心血管パラメータを後で分析するために使用され得る。ただし、個人の心血管多様体は変動可能であり得る、及び/又は、大幅に変化し得る(例えば、薬物療法などの副作用としての重大な失血の結果)、及び/又は、経時的に任意の他の特性を有し得る。
【0071】
[0085] ある変形例では、心血管多様体は、既定の関数形式に対応し及び/又は既定の関数形式から導出され得る(例えば、S232の第3変形例から)。ただし、心血管多様体は、他の方法で基準に関連付けられ得る及び/又は関連付けられない。
【0072】
[0086] 心血管多様体は、好ましくは、超平面に対応するが、追加又は代替として、三角多様体、シグモイド多様体、超曲面、高次多様体に対応し、及び/又は、任意の適切な位相空間によって記述され得る。
【0073】
[0087] 例えば
図9に示すように、個人の心血管多様体を決定することは、データセットの複数のセグメント(例えば、セグメント化されたデータセット、処理されたデータセット、データセットのサブセットなど)の各々を、以下のような複数のガウス関数に当てはめることを含み得る、
[0088]
[0089]
はデータセットのセグメント、tは時間、Nはフィットである関数の総数、iはフィットの各関数のインデックスであり;a、b及びcはフィットパラメータであり、p
xiは心血管位相<φ>の関数であり、フィットパラメータはp
xiの値に拘束される。拘束関数は、フィットパラメータごとに同じであり得る又は異なり得る。拘束関数は、好ましくは、連続的に微分可能であるが、既定の時間ウィンドウにわたって連続的に微分可能であり得、及び/又は、連続的に微分可能ではない。拘束関数の例には、定数、線形項、多項式関数、三角関数、指数関数、ラジカル関数、有理関数、それらの組み合わせ及び/又は任意の適切な関数が含まれる。
【0074】
[0090] 第3変形例では、心血管パラメータを決定することは、補足データに基づいて心血管パラメータを決定することを含み得る。例えば、基準変換及び/又は多様体変換は補足データに基づいて修正され得る(個人の性別又は人種に関する既知のバイアス又はオフセットを説明するためなど)。
【0075】
[0091] 第4変形例では、心血管パラメータは複数の方法で決定され得る。例えば、心血管パラメータは、上記変形例のうちの2以上に従って決定され得る。第4変形例では、個人の心血管パラメータは、平均心血管パラメータ、投票に基づいて選択された最も可能性の高い心血管パラメータ、最も極端な心血管パラメータ(例えば、最高、最低など)であり得る、以前に決定された心血管パラメータに依存する、及び/又は、他の方法で選択され得る。
【0076】
[0092] ただし、心血管パラメータは任意の適切な方法で決定され得る。
【0077】
[0093] 本方法は、任意選択的に、心血管状態の分類を決定することを含み得る。心血管状態分類(CSC)の例には、安静、運動、深呼吸、浅呼吸、交感神経活性化、副交感神経活性化、低酸素、高酸素及び/又は他の分類が含まれる。CSCは、好ましくは、心血管パラメータのセットの値に基づいて決定されるが、追加又は代替として、補助データ(例えば、時刻、周囲温度、服用された薬物などのコンテキストデータ;生理学的測定値など)、及び/又は、他のデータに基づいて決定され得る。CSCは、分類子(例えば、RNN、CNN、オートエンコーダ、KNNなど)、相関、ルール、ヒューリスティック(例えば、既定の心血管パラメータのセットがそれぞれの範囲のセット内の値を有する場合に、CSCに所定の分類のラベルが付されるなど)を使用して決定され得る、及び/又は、他の方法で決定され得る。
【0078】
[0094] ある実施形態では、S236は、個人の心血管パラメータに対する1以上の既定の活動の効果を予測することを含み得る。予測される効果は、個人が既定の活動を実行する場合の一連の予測される基準のセット、個人の心血管多様体上の予測される位置、共通の心血管多様体上の予測される有効な位置、シミュレーションされたデータセット(例えば、生データセット、処理されたデータセット、ステップS210~S228によって生成されたデータセットに類似したシミュレーションされたデータセットなど)に基づいて決定され得る、及び/又は、他の方法で予測され得る。
【0079】
[0095] S239は、好ましくは、クライアントデータベース、臨床医データベース、ユーザデータベース及び/又は適切な場所/コンポーネントに、心血管パラメータ(及び/又は、任意の適切なデータセット)を保存するように機能する。S239は、任意選択的に、経時的に(例えば、1時間、1日、1週間、1か月、1年、10年及び/又はそれらの間の任意の時間)心血管パラメータを追跡することを含み得る。例えば、個人の心血管パラメータが既定の時間追跡されて、心血管パラメータに対する安定性、活動(例えば、既定の活動)への関与が心血管パラメータにどのように影響するか、及び/又は、他の方法で個人の心血管パラメータを追跡し得る。ただし、S239は他の方法で使用され得る。
【0080】
[0096] S240は、好ましくは、個人、臨床医、医療提供者、保護者及び/又は任意の適切な個人に心血管パラメータ(及び/又は、任意の適切なデータセット又はその分析)を提示する(例えば、表示する)ように機能する。S240は、好ましくは、(例えば、ユーザデバイスの、医療提供者デバイスの、保護者デバイスの、臨床医デバイスのなど)インタフェースデバイスで実行される;ただし、任意の適切なコンポーネントが使用されて分析を提示し得る。心血管パラメータは、以前の測定値に対する変化として、インジケータ(例えば、「良い」又は「悪い」)を使用して、テーブルに視覚的に数値的に(例えば、パーセンタイルとして、絶対値としてなど)表示され得る、及び/又は、他の方法で表示され得る。S240は、S230より前、S230中及び/又はS230より後に行われ得る。
【0081】
[0097] 変形例では、S240は、1以上の既定の活動を個人(及び/又は、臨床医、医療提供者、保護者など)に提示し得る。これらの変形例では、既定の活動は、好ましくは、ユーザの心血管パラメータの正の変化を誘発するように選択されるが、追加又は代替として、負の変化を提示し得る(例えば、個人が既定の活動に参加するのを思いとどまらせることを試みる)、及び/又は、変化を与えない。既定の活動は、既定の活動の予測される影響(例えば、S236の変形例で予測されるように)、既定の活動が影響を与える確率に基づいて選択され得る。
【0082】
[0098] 関連の変形例では、S240は、個人の心血管パラメータの分析を経時的に提示することを含み得、これは、個人が関与する1以上の活動が個人の心血管パラメータにどのように影響するかを示し得る。時間は、数分、数時間、数日、数週間、数か月、数年、数十年、及び/又は、それらの間の任意の適切な時間であり、個人の心血管パラメータに対する長期又は短期(例えば、即時)の影響を示し得る。
【0083】
[0099] S250は、任意選択的に、生理学的パラメータのセットの値を決定するように機能し得る生理学的状態を決定することを含み得る。決定され得る生理学的パラメータの例には、心血管パラメータ、体温、ホルモンパラメータ(例えば、レベル、変化率など)、免疫学的機能及び/又は他のパラメータが含まれる。生理学的状態は、心血管パラメータ値、基準値、補助情報(例えば、時刻、周囲温度、投薬スケジュールなど)、及び/又は、他の情報に基づいて決定され得る。生理学的状態は、所定の時間ウィンドウ、複数の時間枠にわたる(例えば、生理学的状態は、経時的なパラメータ変化に基づいて決定され得る)、及び/又は、他の時間的なデータセットについての情報に基づいて決定され得る。生理学的状態は、ニューラルネットワーク(例えば、履歴データに基づいて訓練される)、相関関係、ルックアップテーブル、入力を生理学的状態にマッピングする2次的に共通の多様体を使用して決定され得る、又は、他の方法で決定され得る。
【0084】
[00100] 特定の例では、方法200は:(例えば、60Hzのフレームレートで)生PPGデータセットを測定すること;生PPGデータセットを標準のフレームレート(例えば、240Hz)に補間することによって、補間された生データセットを生成すること;補間された生データセットをフィルタリングすることによって、フィルタリングされたデータセットを生成すること(例えば、0.5Hz以下の信号を削除するためのロングパスフィルタ);補間された生データセットを(例えば、低速及び高速移動平均に基づいて、個人の心拍に対応する動脈圧波形などに)セグメント化することによって、セグメント化された生データセットを生成すること;セグメント化された生データセットを(例えば、EEMDを使用して)固有モードのセットに分解し、かつ、固有モードのサブセット(最初の6つの固有モードなど)を合計すること;によって、ノイズ除去されたセグメント化されたデータセットを生成すること;ノイズ除去されたセグメント化されたデータセットの移動時間ウィンドウの信号対雑音比に基づいて、処理されたデータセット(例えば、ノイズ除去されたセグメント化されたデータセットのサブセット)を決定すること;処理されたデータセットから基準を決定すること(例えば、分析データセットの各セグメントの基準);基準に基づいて個人の心血管パラメータを決定すること、を含み得る。この特定の例では、分析データセットから基準を決定することは、分析データセットをスプライン関数に当てはめること;当てはめられた分析データセットの1次、2次及び3次導関数を計算すること;1次、2次及び3次導関数のルートを決定することを含み得る。ただし、心血管パラメータは任意の適切な方法で決定され得る。
【0085】
[00101] システム及び/又は方法の実施形態は、様々なシステム構成要素及び様々な方法プロセスのすべての組み合わせ及び順列を含み得、本明細書に記載の方法及び/又はプロセスの1以上の実例は、非同期的に(例えば、連続して)、同時に(例えば、並行して)実行され得る、又は、本明細書に記載のシステム、要素及び/又はエンティティの1以上の実例によって及び/又は使用して他の任意の適切な順序で、実行され得る。
【0086】
[00102] 当業者は、前述の詳細な説明及び図面及び特許請求の範囲から認識し、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に修正及び変更が加えられ得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心血管状態を決定するための方法であって、
コンピューティングシステムが、前記患者に関連付けられたプレチモグラム(PG)データセットを受け取るステップと、
前記コンピューティングシステムが、前記PGデータセットに対応する固定モードのセットを集計することによって前記PGデータセットからノイズを除去するステップと、
前記コンピューティングシステムが、前記ノイズ除去されたPGデータセットを、セグメント化されたPGデータセットにセグメント化するステップであって、各セグメントは前記患者の心周期に対応する、ステップと、
前記コンピューティングシステムが、前記セグメント化されたPGデータセットの基準のセットを抽出するステップであって、
前記セグメント化されたPGデータセット、
前記セグメント化されたPGデータセットの1次導関数、
前記セグメント化されたPGデータセットの2次導関数、および
前記セグメント化されたPGデータセットの3次導関数、のうちの少なくとも1つの値に基づいて抽出するステップと、
前記コンピューティングシステムが、前記基準のセットに変換を適用することによって前記患者の心血管状態を決定するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記コンピューティングシステムが、前記PGデータセットのデータポイントの間を補間して前記PGデータセットのギャップを埋めるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者の心血管状態は、前記患者の血圧、心イベント、心血管ドリフト及び薬物反応のうちの1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
基準のセットを抽出するステップは、前記セグメント化されたPGデータセットの各セグメントについて基準のセットを抽出するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記セグメントについて前記基準のセットを抽出するステップは、
前記セグメントの前記1次、2次及び3次導関数を計算するステップと、
前記1次、2次及び3次導関数のゼロに対応する時点を決定するステップと、
前記時点の前記セグメントの値を決定するステップと、
前記時点の前記セグメントの前記1次、2次及び3次導関数の値を決定するステップと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基準のセットは、
前記第1及び第2導関数の最初の4つのゼロに対応する時点の前記セグメント化されたPGデータセットの値と、
前記1次及び2次導関数の最初の4つのゼロに対応する時点の前記処セグメント化されたPGデータセットの前記第1導関数の値と、
前記1次及び2次導関数の最初の4つのゼロに対応する時点の前記セグメント化されたPGデータセットの前記第2導関数の値と、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記PGデータセットからノイズを除去するステップは、前記固定モードのセットの最初の6つのモードを集計するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ノイズ除去されたPGデータセットをセグメント化するステップは、移動平均クロスオーバを検出することによって前記ノイズ除去されたPGデータセットをセグメント化するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記セグメント化されたPGデータセットの既定の数のセグメントを平均化することによって平均PGデータセットを決定するステップをさらに含み、前記基準のセットは、前記平均化されたPGデータセットに基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基準のセットに基づいて患者の心血管多様体を決定するステップと、
前記患者の心血管多様体を共通の心血管多様体に変換する多様体変換を決定するステップと、をさらに含み、
前記変換は前記多様体変換を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記変換は、較正患者の群から導出された心血管状態測定に基づいて生成された較正データセットに基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記変換は線形変換である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記セグメント化されたPGデータセットの基準のセットを抽出するステップが、前記セグメント化されたPPGデータセットをフィッティング関数に当てはめるステップを含み、前記基準のセットは、前記フィッティング関数の1以上のフィットパラメータを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記セグメント化されたPGデータセットの基準のセットを抽出するステップが、さらに、前記フィッティング関数の1次導関数、前記フィッティング関数の2次導関数、および前記フィッティング関数の3次導関数、のうちの少なくとも1つに基づく、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フィッティング関数が複数のガウス分布を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記フィットパラメータは超平面の値に拘束される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記フィッティング関数の前記フィットパラメータが、半値全幅、中心位置、振幅および、周波数のうちの1つ以上を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記変換は、
較正患者のグループの各患者について、
血圧計、デジタル血圧モニタ、撓骨動脈圧力測定法、動脈カテーテルおよび心電図のうちの少なくとも1つを使用して血圧を測定し、
血圧を測定することと同時に、前記較正患者に対応する基準のセットを決定し、
測定された前記血圧と前記基準のセットとの間の関係を決定するステップと、
各患者についての前記関係を組み合わせて、前記変換を決定するステップと、によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
測定された前記血圧と前記基準のセットとの間の前記関係が、測定された前記血圧と前記基準のセットにおける基準の組み合わせとの関係を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に開示された方法を実行するように構成されたシステムであって、前記コンピューティングデバイスを含むことを特徴とするシステム。
【外国語明細書】