(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116623
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】自動試料処理のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20230815BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230815BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
G01N35/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094260
(22)【出願日】2023-06-07
(62)【分割の表示】P 2020536921の分割
【原出願日】2018-09-14
(31)【優先権主張番号】62/559,173
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/688,861
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.ケブラー
3.トワロン
4.ANDROID
5.ザイロン
6.リルサン
7.テクノーラ
8.ベクトラン
9.バイトン
(71)【出願人】
【識別番号】520089107
【氏名又は名称】バイオミーム インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】デジョン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】コックス,クリストファー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】分析手順のための試料取り扱いおよび試料調製プロセスを自動化する。
【解決手段】場合によっては、分析装置によるアッセイ(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、および免疫蛍光ベースの標的検出)のための調製で試料が処理される。場合によっては、処理は自動化される。場合によっては、処理は実質的に自動化される。本明細書で提供されるシステムは、カートリッジ(例えば、一回限り使用)と、カートリッジを受け入れるためのドック(例えば、再使用可能)とを備えることができる。場合によっては、本明細書で提供される装置およびシステムは携帯型である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料処理のためのシステムであって、
内部の試料から1つ以上の核酸分子を捕捉するように構成されたフィルタを備える試料
チャンバと、
第1の導管によって前記試料チャンバに流体連結され、試薬を含むように構成されたウ
ェルと、
前記第1の導管と流体連通し、前記ウェルから前記試料チャンバに前記試薬を流すよう
に構成された流体流ユニットと、
1つ以上のアッセイチューブと、ここで前記1つ以上のアッセイチューブのうちの所定
のアッセイチューブは、第2の導管を介して前記試料チャンバに流体連結され、
前記流体流ユニットに連結されたコントローラと、を備え、前記コントローラが、前記
試料の処理のために携帯型電子装置から命令を受け取り、前記命令に従って、(i)前記
ウェルから前記第1の導管に沿って前記試料チャンバに前記試薬を流すように前記流体流
ユニットを誘導して、前記試料チャンバ内に前記試薬および前記1つ以上の核酸分子を含
む溶液を提供し、(ii)前記試料チャンバから前記第2の導管に沿って前記1つ以上の
アッセイチューブに前記溶液を流すように前記流体流ユニットを誘導して、前記所定のア
ッセイチューブが前記溶液の少なくとも一部を受け取るようにするように構成されるシス
テム。
【請求項2】
前記1つ以上のアッセイチューブに流体連結され、前記1つ以上のアッセイチューブの
下流に配置された第2の流体流ユニットをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の流体流ユニットが、第3の導管によって前記1つ以上のアッセイチューブに
流体接続される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記所定のアッセイチューブがキャップを備え、前記所定のアッセイチューブと前記第
2の流体流ユニットとの間の前記第3の導管が前記キャップに配置される、請求項3に記
載のシステム。
【請求項5】
前記第2の流体流ユニットが、負圧を供給して、前記試料チャンバから前記1つ以上の
アッセイチューブのうちの少なくとも1つに流体を引き込むように構成される、請求項2
に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の流体流ユニットが、前記試料チャンバに正圧を供給して前記試料中に気泡を
生成し、それにより前記試料を混合するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の流体流ユニットが、大気に流体連結される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
第4の導管によって前記試料チャンバに流体連結された廃棄物チャンバをさらに備える
、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記廃棄物チャンバと前記試料チャンバとの間に、前記第4の導管に沿って配置された
第3の流体流ユニットをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第3の流体流ユニットが、前記試料チャンバから前記廃棄物チャンバに前記試料を
引き込むように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記試料が、前記フィルタを通して前記試料チャンバから前記廃棄物チャンバに引き込
まれ、それにより、前記フィルタ内の前記試料から前記1つ以上の核酸を捕捉する、請求
項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ウェルと前記試料チャンバとの間に、前記第1の導管に沿って配置された弁をさら
に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記弁が、前記第1の導管に沿って前記流体流ユニットの上流に配置される、請求項1
2に記載のシステム。
【請求項14】
前記ウェルを含む複数のウェルをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
複数の弁をさらに備え、前記複数の弁のうちの所定の弁が、前記複数のウェルと前記試
料チャンバとの間に、前記第1の導管に沿って配置される、請求項14に記載のシステム
。
【請求項16】
前記試薬が、溶解緩衝液、洗浄緩衝液、乾燥剤および溶出緩衝液からなる群から選択さ
れる緩衝液である、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記試料チャンバ、前記ウェルおよび前記廃棄物チャンバのうちの少なくとも1つがシ
ールを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記シールが少なくとも1つの層を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの層が、ポリプロピレン、接着剤またはアルミニウムを含む、請求
項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記所定のアッセイチューブがキャップを備え、前記試料チャンバと前記所定のアッセ
イチューブとの間の前記第2の導管の少なくとも一部が前記キャップに配置される、請求
項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記キャップの内面に沿った前記第2の導管の端部が先端を備える、請求項20に記載
のシステム。
【請求項22】
前記第2の導管の少なくとも一部が前記先端に配置される、請求項21に記載のシステ
ム。
【請求項23】
前記第2の導管の断面積が、前記先端の軸方向長さに沿って減少する、請求項22に記
載のシステム。
【請求項24】
前記1つ以上のアッセイチューブが複数のアッセイチューブを備え、前記先端では、前
記第2の導管の一部の断面積が、前記複数のアッセイチューブのうちの少なくとも2つで
異なる、請求項21または23に記載のシステム。
【請求項25】
前記キャップの内面に沿った前記第3の導管の端部が分子篩を備える、請求項24に記
載のシステム。
【請求項26】
前記分子篩が多孔質である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記分子篩が気体に対して透過性である、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記分子篩が疎水性である、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記キャップが前記所定のアッセイチューブ内に延びる、請求項20に記載のシステム
【請求項30】
前記キャップが、前記アッセイチューブの最大作業容積を決定する深さまで前記所定の
アッセイチューブ内に延びる、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記キャップの前記深さが、前記1つ以上のアッセイチューブのうちの別のアッセイチ
ューブ内に延びる別のキャップの別の深さとは異なる、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記キャップが、前記所定のアッセイチューブに取り外し可能に連結される、請求項2
0に記載のシステム。
【請求項33】
前記所定のアッセイチューブが、標的核酸分子を検出するためのアッセイを行うための
プライマーの1つ以上の対を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項34】
前記アッセイがポリメラーゼ連鎖反応である、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記試料チャンバと熱的に連通するヒータをさらに備え、前記ヒータが、前記所定のア
ッセイチューブ内の試料を加熱するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項36】
前記ヒータが、1つ以上の加熱および冷却サイクルの一部として前記試料を加熱するよ
うに構成される、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記流体流ユニットがポンプまたは圧縮機である、請求項1に記載のシステム。
【請求項38】
前記流体流ユニットが1つ以上のポンプを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項39】
前記1つ以上のポンプが、第1のポンプおよび第2のポンプを含み、前記第1のポンプ
が、前記ウェルから前記試料チャンバに前記試薬を流すように構成され、前記第2のポン
プが、前記試料チャンバから前記1つ以上のアッセイチューブに前記溶液を流すように構
成される、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記流体流ユニットが1つ以上の圧縮機を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項41】
ドックを備える試料処理ユニットをさらに備え、前記試料処理ユニットが前記流体流ユ
ニットを備え、前記ウェルおよび前記試料チャンバが試料処理カートリッジに含まれ、前
記ドックが、前記ウェルおよび前記試料チャンバを前記流体流ユニットと流体連通させる
ように、前記カートリッジを受け入れるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項42】
前記コントローラが、前記携帯型電子装置と無線通信するように構成される、請求項1
に記載のシステム。
【請求項43】
前記流体流ユニットが、圧力センサを含むか、圧力センサに連結される、請求項1に記
載のシステム。
【請求項44】
試料処理のための方法であって、
(a)i.内部の試料から1つ以上の核酸分子を捕捉するように構成されたフィルタを
備える試料チャンバと、
ii.第1の導管によって前記試料チャンバに流体連結され、試薬を含むように構成さ
れたウェルと、
iii.前記第1の導管と流体連通し、前記ウェルから前記試料チャンバに前記試薬を
流すように構成された流体流ユニットと、
iv.1つ以上のアッセイチューブと、ここで前記1つ以上のアッセイチューブのうち
の所定のアッセイチューブは、第2の導管を介して前記試料チャンバに流体連結され、
v.前記流体流ユニットに連結され、前記試料の処理のために前記携帯型電子装置から
命令を受け取るように構成されたコントローラと、
を備えるシステムを作動させることと、
(b)前記コントローラを使用して、前記携帯型電子装置から前記命令を受け取ること
と、
(c)前記命令に従って、前記コントローラを使用して、(i)前記ウェルから前記第
1の導管に沿って前記試料チャンバに前記試薬を流すように前記流体流ユニットを誘導し
て、前記試料チャンバ内に前記試薬および前記1つ以上の核酸分子を含む溶液を提供し、
(ii)前記試料チャンバから前記第2の導管に沿って前記1つ以上のアッセイチューブ
に前記溶液を流すように前記流体流ユニットを誘導して、前記所定のアッセイチューブが
前記溶液の少なくとも一部を受け取るようにすること、を含む方法。
【請求項45】
前記システムが、少なくとも1つの加熱ユニットをさらに備え、前記少なくとも1つの
加熱ユニットが、前記所定のアッセイチューブを含む前記1つ以上のアッセイチューブと
熱的に連通しており、前記コントローラが、前記命令に従って、前記溶液を加熱するよう
に前記少なくとも1つの加熱ユニットを誘導する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記コントローラが、1つ以上の加熱および冷却サイクルに前記溶液を供するように前
記少なくとも1つの加熱ユニットを誘導する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記システムが、ドックを備える試料処理ユニットを備え、前記試料処理ユニットが前
記流体流ユニットを備え、前記ウェルおよび前記試料チャンバが試料処理カートリッジに
含まれ、(a)が、前記ウェルおよび前記試料チャンバを前記流体流ユニットと流体連通
させるように前記カートリッジを受け入れる前記ドックを備える、請求項44に記載の方
法。
【請求項48】
(b)では、前記コントローラが、前記携帯型電子装置と無線通信するように構成され
る、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
試料処理カートリッジであって、
内部の試料から1つ以上の核酸分子を捕捉するように構成されたフィルタを備える試料
チャンバと、
第1の導管によって前記試料チャンバに流体連結され、試薬を含むように構成されたウ
ェルと、
1つ以上のアッセイチューブと、ここで前記1つ以上のアッセイチューブのうちの所定
のアッセイチューブは、第2の導管を介して前記試料チャンバに流体連結され、
前記第1の導管に流体接続された第1の開口部と、を備え、前記第1の開口部が、前記
第1の導管に流体流ユニットを流体接続するように構成され、前記流体流ユニットが、前
記試料の処理のために携帯型電子装置から命令を受け取り、前記命令に従って、(i)前
記ウェルから前記第1の導管に沿って前記試料チャンバに前記試薬を流すように前記流体
流ユニットを誘導して、前記試料チャンバ内に前記試薬および前記1つ以上の核酸分子を
含む溶液を提供し、(ii)前記試料チャンバから前記第2の導管に沿って前記1つ以上
のアッセイチューブに前記溶液を流すように前記流体流ユニットを誘導して、前記所定の
アッセイチューブが前記溶液の少なくとも一部を受け取るようにするように構成されたコ
ントローラに連結される試料処理カートリッジ。
【請求項50】
前記1つ以上のアッセイチューブに流体連結され、前記1つ以上のアッセイチューブの
下流に配置された第2の流体流ユニットをさらに備える、請求項49に記載の試料処理カ
ートリッジ。
【請求項51】
前記第2の流体流ユニットが、第3の導管によって前記1つ以上のアッセイチューブに
流体接続される、請求項50に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項52】
第4の導管によって前記試料チャンバに流体連結された廃棄物チャンバをさらに備える
、請求項49に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項53】
前記試料チャンバに接続されたシュノーケルをさらに備える、請求項49に記載の試料
処理カートリッジ。
【請求項54】
前記廃棄物チャンバが、第3の流体流ユニットにさらに接続される、請求項52に記載
の試料処理カートリッジ。
【請求項55】
前記第3の流体流ユニットが、前記廃棄物チャンバと前記試料チャンバとの間に、前記
第4の導管に沿って配置される、請求項54に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項56】
前記第3の流体流ユニットが、前記廃棄物チャンバの下流に配置される、請求項54に
記載の試料処理カートリッジ。
【請求項57】
覆いをさらに備える、請求項49に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項58】
前記流体流ユニットがポンプである、請求項49に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項59】
前記ポンプが多方向ポンプである、請求項58に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項60】
前記流体流ユニットが圧力センサに連結される、請求項49に記載の試料処理カートリ
ッジ。
【請求項61】
試料処理システムであって、
第1の流体流路と、
前記第1の流体流路と流体連通する第1のポンプおよび第2のポンプと、ここで前記第
1のポンプおよび前記第2のポンプは多方向ポンプであり、前記第1のポンプおよび前記
第2のポンプは、第1の方向、および前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って前記
第1の流体流路内の流体を流すように構成され、
1つ以上の試薬と流体連通する第2の流体流路を備えるカートリッジと可逆的に係合す
るように構成されたドックとを備え、前記ドックが、前記カートリッジとの係合後に前記
第1の流体路を前記第2の流体流路と流体連通させるように構成される試料処理システム
。
【請求項62】
前記第1の流体流路が弁を含まない、請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
前記少なくとも2つの多方向ポンプに動作可能に連結されたコントローラをさらに備え
、前記コントローラが、前記第1の方向および前記第2の方向に沿って前記第1の流体流
路内の前記流体を流すように前記少なくとも2つの多方向ポンプのそれぞれを誘導するよ
うに構成される、請求項61に記載のシステム。
【請求項64】
前記ドックが前記カートリッジと可逆的に係合した際に前記カートリッジと接触するよ
うに構成された本体を備える蓋をさらに備え、前記蓋が、前記第1の流体流路と前記少な
くとも2つの多方向ポンプとを備えるハウジングに連結され、前記蓋が、(i)前記本体
が前記カートリッジと接触する第1の位置から、(ii)前記第1の流体路が前記第2の
流体流路と流体連通する第2の位置まで、前記ハウジングに向かって移動するように構成
される、請求項61に記載のシステム。
【請求項65】
前記蓋が、前記ハウジングに対して回転するように構成される、請求項64に記載のシ
ステム。
【請求項66】
前記少なくとも2つの多方向ポンプのそれぞれが、前記第1の流体流路に正圧および負
圧を供給するように構成される、請求項61に記載のシステム。
【請求項67】
前記少なくとも2つの多方向ポンプのそれぞれが、第1の方向および第2の方向に沿っ
て前記第1の流体流路内の前記流体を流すように構成される、請求項61に記載のシステ
ム。
【請求項68】
前記ドックが前記カートリッジと可逆的に係合した際に前記第2の流体流路と流体連通
するように構成された第3のポンプをさらに備える、請求項61に記載のシステム。
【請求項69】
試料を処理する方法であって、
(a)(i)第1の流体流路と、(ii)前記第1の流体流路と流体連通する第1のポ
ンプおよび第2のポンプと、ここで前記第1のポンプおよび第2のポンプは多方向ポンプ
であり、前記第1のポンプおよび前記第2のポンプは、第1の方向、および前記第1の方
向とは異なる第2の方向に沿って前記第1の流体流路内の流体を流すように構成され、(
iii)ドックとを備えるシステムを作動させることと、
(b)1つ以上の試薬と流体連通する第2の流体流路を備えるカートリッジと前記ドッ
クを係合させることと、ここで前記ドックと前記カートリッジとの係合後に前記第1の流
体路は前記第2の流体流路と流体連通し、
(c)前記システムおよび前記1つ以上の試薬を使用して、前記試料を処理すること、
を含む方法。
【請求項70】
前記試料の処理の後に前記ドックから前記カートリッジを取り外すことをさらに含む、
請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記試料が生体試料である、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
試料を処理するためのシステムであって、前記試料を処理するための流体流路と流体連
通する少なくとも2つの多方向ポンプを備え、流体流路が弁を含まず、前記流体流路に沿
った流体の流れの方向が、前記少なくとも2つの多方向ポンプによる前記流体流路内の圧
力の調節時に制御されるシステム。
【請求項73】
前記少なくとも2つの多方向ポンプが3つの多方向ポンプを備える、請求項72に記載
のシステム。
【請求項74】
試料を処理する方法であって、(a)前記試料を処理するための流体流路と流体連通す
る少なくとも2つの多方向ポンプを備えるシステムを作動させることと、ここで流体流路
は弁を含まず、(b)前記少なくとも2つの多方向ポンプの第1の多方向ポンプによる第
1の圧力降下および前記少なくとも2つの多方向ポンプの第2の多方向ポンプによる第2
の圧力降下の適用時に、第1の方向に沿って前記流体流路内の流体を流すことと、(c)
前記第1の多方向ポンプによる第3の圧力降下および前記第2の多方向ポンプによる第4
の圧力降下の適用時に、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って前記流体流路内の
流体を流すこととを含み、
前記第1の圧力降下が前記第2の圧力降下とは異なり、
前記第3の圧力降下が前記第4の圧力降下とは異なり、
(i)前記第1の圧力降下が前記第3の圧力降下とは異なるか、(ii)前記第2の圧
力降下が前記第4の圧力降下とは異なる方法。
【請求項75】
(i)前記第1の圧力降下が前記第3の圧力降下とは異なり、(ii)前記第2の圧力
降下が前記第4の圧力降下とは異なる、請求項74に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月15日に出願された米国仮特許出願第62/559,173
号および2018年6月22日に出願された米国仮特許出願第62/688,861号に
対する優先権を主張するものであり、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組
み込まれる。
【背景技術】
【0002】
臨床検査は著しく変化し、改善されてきたが、一部のアッセイでは試料調製のために手
作業が必要になる場合がある。試料調製には、試料または試薬を含む容器のキャップの取
り外し、試料を処理するために必要な試薬の種類の決定または量の測定、および1つ以上
の試薬を一緒にピペッティングすることが含まれ得る。
【0003】
例えば、被験体から生体試料(例えば、唾液または血液)を得、生体試料に対するアッ
セイを行う前に処理して、生体試料中の1つ以上の標的を同定してもよい。そのようなア
ッセイは、生体試料から得られた核酸分子に対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行
うことを含み得る。特定の標的を対象とするプライマーセットを使用して、PCRを行っ
てもよい。
【0004】
そのようなアッセイの結果は、被験体などのユーザを対象とし得る。次いで、ユーザは
、疾患(例えば、感染症または癌)の特定など、様々な目的のためにアッセイの結果を使
用してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書では、試料調製のためのいくつかの方法に関連する様々な限界が認識される。
試料調製は、多くの人手を要し、多くの工程および操作者の関与を必要とする場合がある
。多くの人手を要するいくつかの工程は、アッセイごとに異なり、操作者のミスおよび操
作者による試料のコンタミネーションにつながる可能性がある。試料を手動で処理すると
、潜在的に危険な生物学的化学物質に操作者が曝露されるリスクを伴う場合がある。
【0006】
本明細書では、試料調製のための現在の方法の特定の限界を考慮して、分析手順のため
の試料取り扱いおよび試料調製プロセスを自動化することができるシステムに対する必要
性が認識される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの態様では、本開示は、試料処理のためのシステムを提供する。いくつかの実
施形態では、システムは試料チャンバを備えることができる。いくつかの実施形態では、
試料チャンバはフィルタを備えることができる。いくつかの実施形態では、フィルタは、
試料チャンバ内の試料から1つ以上の核酸分子を捕捉するように構成され得る。いくつか
の実施形態では、システムは、第1の導管によって試料チャンバに流体連結されたウェル
を備えることができる。いくつかの実施形態では、ウェルは試薬を含むように構成され得
る。いくつかの実施形態では、第1の導管と流体連通する流体流ユニット。いくつかの実
施形態では、流体流ユニットは、ウェルから試料チャンバに試薬を流すように構成される
。いくつかの実施形態では、システムは1つ以上のアッセイチューブを備えることができ
る。いくつかの実施形態では、1つ以上のアッセイチューブのうちの所定のアッセイチュ
ーブが、第2の導管を介して試料チャンバに流体連結され得る。いくつかの実施形態では
、システムは、流体流ユニットに連結されたコントローラを備えることができる。いくつ
かの実施形態では、コントローラは、試料の処理のために携帯型電子装置から命令を受け
取るように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、命令に従って、ウ
ェルから第1の導管に沿って試料チャンバに試薬を流すように流体流ユニットを誘導する
ように構成され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、命令に従って、試料チ
ャンバ内に試薬および1つ以上の核酸分子を含む溶液を提供するように構成され得る。い
くつかの実施形態では、コントローラは、命令に従って、試料チャンバから第2の導管に
沿って1つ以上のアッセイチューブに溶液を流すように流体流ユニットを誘導するように
構成され得、その結果、所定のアッセイチューブが溶液の少なくとも一部を受け取る。い
くつかの実施形態では、システムは、1つ以上のアッセイチューブに流体連結され、1つ
以上のアッセイチューブの下流に配置された第2の流体流ユニットをさらに備えることが
できる。いくつかの実施形態では、第2の流体流ユニットは、第3の導管によって1つ以
上のアッセイチューブに流体接続される。いくつかの実施形態では、第2の流体流ユニッ
トは、負圧を供給して、試料チャンバから1つ以上のアッセイチューブのうちの少なくと
も1つに流体を引き込むように構成される。いくつかの実施形態では、第2の流体流ユニ
ットは、試料チャンバに正圧(例えば、周囲圧力などの基準圧力よりも高い圧力)を供給
して試料中に気泡を生成し、それにより試料を混合するように構成される。いくつかの実
施形態では、第2の流体流ユニットは、大気に流体連結される。いくつかの実施形態では
、システムは、第4の導管によって試料チャンバに流体連結された廃棄物チャンバをさら
に備える。いくつかの実施形態では、システムは、廃棄物チャンバと試料チャンバとの間
の第4の導管に沿って配置された第3の流体流ユニットをさらに備える。いくつかの実施
形態では、第3の流体流ユニットは、試料チャンバから廃棄物チャンバに試料を引き込む
ように構成される。いくつかの実施形態では、試料は、フィルタを通して試料チャンバか
ら廃棄物チャンバに引き込まれ、それにより、フィルタ内の試料から1つ以上の核酸を捕
捉する。いくつかの実施形態では、システムは、ウェルと試料チャンバとの間において第
1の導管に沿って配置された弁をさらに備える。いくつかの実施形態では、弁は、第1の
導管に沿って流体流ユニットの上流に配置される。いくつかの実施形態では、システムは
、前述のウェルを含む複数のウェルをさらに備える。いくつかの実施形態では、システム
は、複数の弁をさらに備え、複数の弁のうちの所定の弁は、複数のウェルと試料チャンバ
との間において第1の導管に沿って配置される。いくつかの実施形態では、試薬は、溶解
緩衝液、洗浄緩衝液、乾燥剤および溶出緩衝液からなる群から選択される緩衝液である。
いくつかの実施形態では、溶解緩衝液は、塩、洗剤、界面活性剤またはそれらの任意の組
合せを含有する。いくつかの実施形態では、溶解緩衝液は、塩、洗剤および界面活性剤を
含有する。いくつかの実施形態では、溶解緩衝液はエタノールを含有しない。いくつかの
実施形態では、溶解緩衝液はエタノールを含有する。いくつかの実施形態では、溶解緩衝
液は、第1の部分および第2の部分を有する2つの別個の部分を含み、第1の部分は塩、
洗剤および界面活性剤を含有し、第2の部分はエタノールを含有する。いくつかの実施形
態では、試料チャンバ、ウェルおよび廃棄物チャンバのうちの少なくとも1つはシールを
備える。いくつかの実施形態では、シールは少なくとも1つの層を備える。いくつかの実
施形態では、少なくとも1つの層は、ポリプロピレン、接着剤またはアルミニウムを含む
。いくつかの実施形態では、所定のアッセイチューブはキャップを備え、試料チャンバと
所定のアッセイチューブとの間の第2の導管の少なくとも一部はキャップに配置される。
いくつかの実施形態では、キャップの内面に沿った第2の導管の端部は、先端を備える。
いくつかの実施形態では、第2の導管の少なくとも一部は先端に配置される。いくつかの
実施形態では、第2の導管の断面積は、先端の軸方向長さに沿って減少する。いくつかの
実施形態では、1つ以上のアッセイチューブは複数のアッセイチューブを備え、先端では
、第2の導管の一部の断面積は複数のアッセイチューブのうちの少なくとも2つで異なる
。いくつかの実施形態では、所定のアッセイチューブはキャップを備え、所定のアッセイ
チューブと第2の流体流ユニットとの間の第3の導管はキャップに配置される。いくつか
の実施形態では、キャップの内面に沿った第3の導管の端部は、分子篩を備える。いくつ
かの実施形態では、分子篩は多孔質である。いくつかの実施形態では、分子篩はガスに対
して透過性である。いくつかの実施形態では、分子篩は疎水性である。いくつかの実施形
態では、キャップは、所定のアッセイチューブ内に延びる。いくつかの実施形態では、キ
ャップは、アッセイチューブの最大作業容積を決定する深さまで所定のアッセイチューブ
内に延びる。いくつかの実施形態では、キャップの深さは、1つ以上のアッセイチューブ
のうちの別のアッセイチューブ内に延びる別のキャップの別の深さとは異なる。いくつか
の実施形態では、キャップは、所定のアッセイチューブに取り外し可能に連結される。い
くつかの実施形態では、所定のアッセイチューブは、標的核酸分子を検出するためのアッ
セイを行うためのプライマーの1つ以上の対を備える。いくつかの実施形態では、アッセ
イはポリメラーゼ連鎖反応である。いくつかの実施形態では、システムは、試料チャンバ
と熱的に連通するヒータをさらに備え、ヒータは、所定のアッセイチューブ内の試料を加
熱するように構成される。いくつかの実施形態では、ヒータは、バネ荷重式プレートをさ
らに備える。いくつかの実施形態では、バネ荷重式プレートは、当該バネ荷重式プレート
のないヒータと比較して、試料チャンバとの熱接触を改善する。いくつかの実施形態では
、ヒータは、1つ以上の加熱および冷却サイクルの一部として試料を加熱するように構成
される。いくつかの実施形態では、流体流ユニットはポンプまたは圧縮機である。いくつ
かの実施形態では、流体流ユニットは、1つ以上のポンプを備える。いくつかの実施形態
では、1つ以上のポンプは第1のポンプおよび第2のポンプを含み、第1のポンプはウェ
ルから試料チャンバに試薬を流すように構成され、第2のポンプは試料チャンバから1つ
以上のアッセイチューブに溶液を流すように構成される。いくつかの実施形態では、流体
流ユニットは、1つ以上の圧縮機を備える。いくつかの実施形態では、システムは、ドッ
クを備える試料処理ユニットをさらに備え、試料処理ユニットは流体流ユニットを備え、
ウェルおよび試料チャンバは試料処理カートリッジに含まれ、ドックは、ウェルおよび試
料チャンバを流体流ユニットと流体連通させるようにカートリッジを受け入れるように構
成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、携帯型電子装置と無線通信するよ
うに構成される。いくつかの実施形態では、流体流ユニット(例えば、ポンプ)は、圧力
センサを含むか、圧力センサに連結される。
【0008】
いくつかの態様では、本開示は、システムを作動させることを含む、試料処理のための
方法を提供する。いくつかの実施形態では、システムは、試料チャンバ内の試料から1つ
以上の核酸分子を捕捉するように構成されたフィルタを備える試料チャンバを備えること
ができる。いくつかの実施形態では、システムは、第1の導管によって試料チャンバに流
体連結されたウェルを備えることができ、ウェルは試薬を含むように構成される。いくつ
かの実施形態では、システムは、第1の導管と流体連通する流体流ユニットを備えること
ができ、流体流ユニットは、ウェルから試料チャンバに試薬を流すように構成される。い
くつかの実施形態では、システムは1つ以上のアッセイチューブを備えることができ、1
つ以上のアッセイチューブのうちの所定のアッセイチューブは、第2の導管を介して試料
チャンバに流体連結される。いくつかの実施形態では、システムは、流体流ユニットに連
結されたコントローラを備えることができ、コントローラは、試料の処理のために携帯型
電子装置から命令を受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、方法は、コン
トローラを使用して、携帯型電子装置から命令を受け取ることを含む。いくつかの実施形
態では、方法は、命令に従って、コントローラを使用して、(i)ウェルから第1の導管
に沿って試料チャンバに試薬を流すように流体流ユニットを誘導して、試料チャンバ内に
試薬および1つ以上の核酸分子を含む溶液を提供することと、(ii)試料チャンバから
第2の導管に沿って1つ以上のアッセイチューブに溶液を流すように流体流ユニットを誘
導して、所定のアッセイチューブが溶液の少なくとも一部を受け取るようにすることとを
含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも1つの加熱ユニッ
トをさらに備え、少なくとも1つの加熱ユニットは、所定のアッセイチューブを含む1つ
以上のアッセイチューブと熱的に連通しており、コントローラは、命令に従って、溶液を
加熱するように少なくとも1つの加熱ユニットを誘導する。いくつかの実施形態では、コ
ントローラは、1つ以上の加熱および冷却サイクルに溶液を供するように少なくとも1つ
の加熱ユニットを誘導する。いくつかの実施形態では、システムは、ドックを備える試料
処理ユニットを備え、試料処理ユニットは流体流ユニットを備え、ウェルおよび試料チャ
ンバは試料処理カートリッジに含まれ、(a)は、ウェルおよび試料チャンバを流体流ユ
ニットと流体連通させるようにカートリッジを受け入れるドックを備える。いくつかの実
施形態では、コントローラは、携帯型電子装置と無線通信するように構成される。
【0009】
いくつかの態様では、本開示は、試料チャンバを備える試料処理カートリッジを提供す
る。いくつかの実施形態では、試料チャンバは、試料チャンバ内の試料から1つ以上の核
酸分子を捕捉するように構成されたフィルタを備えることができる。いくつかの実施形態
では、カートリッジは、第1の導管によって試料チャンバに流体連結されたウェルを備え
ることができ、ウェルは試薬を含むように構成される。いくつかの実施形態では、カート
リッジは、1つ以上のアッセイチューブを備えることができ、1つ以上のアッセイチュー
ブのうちの所定のアッセイチューブは、第2の導管を介して試料チャンバに流体連結され
る。いくつかの実施形態では、カートリッジは、第1の導管に流体接続された第1の開口
部を備えることができ、第1の開口部は、第1の導管に流体流ユニットを流体接続するよ
うに構成され、流体流ユニットはコントローラに連結され、コントローラは、試料の処理
のために携帯型電子装置から命令を受け取り、命令に従って、(i)ウェルから第1の導
管に沿って試料チャンバに試薬を流すように流体流ユニットを誘導して、試料チャンバ内
に試薬および1つ以上の核酸分子を含む溶液を提供し、(ii)試料チャンバから第2の
導管に沿って1つ以上のアッセイチューブに溶液を流すように流体流ユニットを誘導して
、所定のアッセイチューブが溶液の少なくとも一部を受け取るようにするように構成され
る。いくつかの実施形態では、試料処理カートリッジは、1つ以上のアッセイチューブに
流体連結され、1つ以上のアッセイチューブの下流に配置された第2の流体流ユニットを
さらに備える。いくつかの実施形態では、第2の流体流ユニットは、第3の導管によって
1つ以上のアッセイチューブに流体接続される。いくつかの実施形態では、試料処理カー
トリッジは、第4の導管によって試料チャンバに流体連結された廃棄物チャンバをさらに
備える。いくつかの実施形態では、試料処理カートリッジは、試料チャンバに接続された
シュノーケルをさらに備える。いくつかの実施形態では、廃棄物チャンバは、第3の流体
流ユニットにさらに接続される。いくつかの実施形態では、第3の流体流ユニットは、廃
棄物チャンバと試料チャンバとの間の第4の導管に沿って配置される。いくつかの実施形
態では、第3の流体流ユニットは、廃棄物チャンバの下流に配置される。いくつかの実施
形態では、試料処理カートリッジは覆いをさらに備える。いくつかの実施形態では、流体
流ユニットはポンプである。いくつかの実施形態では、ポンプは多方向ポンプである。い
くつかの実施形態では、流体流ユニットは圧力センサに連結される。
【0010】
いくつかの態様では、本開示は試料処理システムを提供する。いくつかの実施形態では
、試料処理システムは第1の流体流路を備える。いくつかの実施形態では、試料処理シス
テムは、第1の流体流路と流体連通する第1のポンプおよび第2のポンプを備える。いく
つかの実施形態では、第1のポンプおよび第2のポンプは多方向ポンプである。いくつか
の実施形態では、第1のポンプおよび第2のポンプは、第1の方向、および第1の方向と
は異なる第2の方向に沿って第1の流体流路内の流体を流すように構成される。いくつか
の実施形態では、試料処理システムは、1つ以上の試薬と流体連通する第2の流体流路を
備えるカートリッジと可逆的に係合するように構成されたドックをさらに備える。いくつ
かの実施形態では、ドックは、カートリッジとの係合後に第1の流体路を第2の流体流路
と流体連通させるように構成される。いくつかの実施形態では、第1の流体流路は弁を含
まない。いくつかの実施形態では、試料処理システムは、少なくとも2つの多方向ポンプ
に動作可能に連結されたコントローラをさらに備える。いくつかの実施形態では、コント
ローラは、第1の方向および第2の方向に沿って第1の流体流路内の流体を流すように少
なくとも2つの多方向ポンプのそれぞれを誘導するように構成される。いくつかの実施形
態では、試料処理システムは、ドックがカートリッジと可逆的に係合した際にカートリッ
ジと接触するように構成された本体を備える蓋をさらに備える。いくつかの実施形態では
、蓋は、第1の流体流路と少なくとも2つの多方向ポンプとを備えるハウジングに連結さ
れる。いくつかの実施形態では、蓋は、(i)本体がカートリッジと接触する第1の位置
から、(ii)第1の流体路が第2の流体流路と流体連通する第2の位置まで、ハウジン
グに向かって移動するように構成される。いくつかの実施形態では、蓋は、ハウジングに
対して回転するように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの多方向ポ
ンプのそれぞれは、第1の流体流路に正圧および負圧(例えば、真空)を供給するように
構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの多方向ポンプのそれぞれは、第
1の方向および第2の方向に沿って第1の流体流路内の流体を流すように構成される。い
くつかの実施形態では、試料処理システムは、ドックがカートリッジと可逆的に係合した
際に第2の流体流路と流体連通するように構成された第3のポンプをさらに備える。
【0011】
いくつかの態様では、本開示は試料を処理する方法を提供する。いくつかの実施形態で
は、方法は、第1の流体流路を備えるシステムを作動させることを含む。いくつかの実施
形態では、システムは、第1の流体流路と流体連通する第1のポンプおよび第2のポンプ
を備える。いくつかの実施形態では、第1のポンプおよび第2のポンプは多方向ポンプで
ある。いくつかの実施形態では、第1のポンプおよび第2のポンプは、第1の方向、およ
び第1の方向とは異なる第2の方向に沿って第1の流体流路内の流体を流すように構成さ
れる。いくつかの実施形態では、システムはドックをさらに備える。いくつかの実施形態
では、方法は、ドックと、1つ以上の試薬と流体連通する第2の流体流路を備えるカート
リッジとを係合させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、ドックとカートリッ
ジとの係合に続いて、第1の流体路は第2の流体流路と流体連通する。いくつかの実施形
態では、方法は、システムおよび1つ以上の試薬を使用して試料を処理することをさらに
含む。いくつかの実施形態では、方法は、試料の処理の後にドックからカートリッジを取
り外すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、試料は生体試料である。
【0012】
いくつかの態様では、本開示は、試料を処理するためのシステムを提供する。いくつか
の実施形態では、システムは、試料を処理するために流体流路と流体連通する少なくとも
2つの多方向ポンプを備え、流体流路は弁を含まない。いくつかの実施形態では、流体流
路に沿った流体の流れの方向は、少なくとも2つの多方向ポンプによる流体流路内の圧力
の調節時に制御される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの多方向ポンプは、3
つの多方向ポンプを備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、試料を処理する方法を提供する。いくつかの実施
形態では、方法は、試料を処理するために流体流路と流体連通する少なくとも2つの多方
向ポンプを備えるシステムを作動させることを含み、流体流路は弁を含まない。いくつか
の実施形態では、方法は、少なくとも2つの多方向ポンプの第1の多方向ポンプによる第
1の圧力降下および少なくとも2つの多方向ポンプの第2の多方向ポンプによる第2の圧
力降下の適用時に、第1の方向に沿って流体流路内の流体を流すことをさらに含む。いく
つかの実施形態では、方法は、第1の多方向ポンプによる第3の圧力降下および第2の多
方向ポンプによる第4の圧力降下の適用時に、第1の方向とは異なる第2の方向に沿って
流体流路内の流体を流すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の圧力降下は
第2の圧力降下とは異なる。いくつかの実施形態では、第3の圧力降下は、第4の圧力降
下とは異なる。いくつかの実施形態では、第1の圧力降下は第3の圧力降下とは異なるか
、第2の圧力降下は第4の圧力降下とは異なる。いくつかの実施形態では、第1の圧力降
下は第3の圧力降下とは異なり、第2の圧力降下は第4の圧力降下とは異なる。
【0014】
本開示の別の態様は、1つ以上のコンピュータプロセッサによる実行時に、本明細書の
上記または他の場所の方法のいずれかを実施する機械実行可能コードを備える非一時的コ
ンピュータ可読媒体を提供する。
【0015】
本開示の別の態様は、1つ以上のコンピュータプロセッサと、それに連結されたコンピ
ュータメモリとを備えるシステムを提供する。コンピュータメモリは、1つ以上のコンピ
ュータプロセッサによる実行時に、本明細書の上記または他の場所の方法のいずれかを実
施する機械実行可能コードを備える。
【0016】
本開示のさらなる態様および利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され説明され
る以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本
開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、いずれも本開示から
逸脱することなく、様々な明白な点で変更可能である。したがって、図面および説明は、
本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【0017】
参照による組み込み
本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許
または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程
度に参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許また
は特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する限り、本明細書は、そのようないかなる
矛盾する資料よりも優先され、および/または上位にあることが意図される。
【0018】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴
および利点の良好な理解は、本発明の原理を利用した例示的な実施形態を説明している以
下の詳細な説明、および添付の図面(同じく本明細書中の「図(Figure)」および
「図(FIG)」)を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】自動試料調製システムの例の概略図を示す。
【
図1B】自動試料調製システムの例の概略図を示す。
【
図1C】自動試料調製システムの例の概略図を示す。
【
図1D】自動試料調製システムの例の概略図を示す。
【
図2A】本開示の例示的な試料調製カートリッジの上面図を示す。
【
図2B】本開示の例示的な試料調製カートリッジの側面図を示す。
【
図3】試料調製カートリッジの試料チャンバの断面図を示す。
【
図4A】試料チャンバから引き込まれた試料によって滴状に充填されているアッセイチューブの断面図を示す。
【
図4B】試料チャンバから引き込まれた試料によって充填されたアッセイチューブの断面図を示す。
【
図5A】様々な長さ(例えば、アッセイチューブの縦軸に沿った)を有するアッセイチューブキャップのストリップを示し、各キャップは、それを通って試料がアッセイチューブに引き込まれ得るチャネルを備える。
【
図5B】様々な長さ(例えば、アッセイチューブの縦軸に沿った)を有するアッセイチューブキャップのストリップを示し、各キャップは、それを通って試料がアッセイチューブに引き込まれるチャネルを備える。
【
図6】
図1A~Bのシステムなど、本開示の試料調製装置またはシステムを使用して試料を調製する例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図7】自動試料調製装置にドッキングされた試料調製カートリッジを示す。
【
図8】アッセイチューブ内の試料に対してアッセイ(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応および/または標的核酸の検出)を行うことができる分析装置にドッキングされたアッセイチューブを有する試料調製カートリッジを示す。
【
図9】本明細書で提供される方法を実施するようにプログラムまたは構成されるコンピュータ制御システムを示す。
【
図12A】経時的な緩衝液ポンプ圧力、廃棄物ポンプ圧力および反応ポンプ圧力の例示的なグラフを示す。丸で囲まれた領域は圧力降下を示す。中央パネルは、左パネルの経時的なポンプ圧力のフィルタリングされたデータを示す。右パネルは、本明細書に記載の装置のヒータボードの経時的な温度のプロットを示す。
【
図12B】経時的な緩衝液ポンプ圧力、廃棄物ポンプ圧力および反応ポンプ圧力の例示的なグラフを示す。丸で囲まれた領域は圧力増加を示す。中央パネルは、左パネルの経時的なポンプ圧力のフィルタリングされたデータを示す。右パネルは、本明細書に記載の装置のヒータボードの経時的な温度のプロットを示す。
【
図13】アッセイチューブおよびキャップの例示的な断面図を示す。
【
図14】シュノーケルに接続された試料チャンバの例示的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書では本発明の様々な実施形態を示し説明してきたが、そのような実施形態は例
としてのみ提供されていることが当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明か
ら逸脱することなく、多数の変形例、変更および置換を思い浮かべることができる。本明
細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替物を使用することができることを理解さ
れたい。
【0021】
本明細書で使用される用語「流体流ユニット」は、一般に、流体を流すように構成され
た1つ以上の装置を指す。流体流ユニットは、1または複数のポンプを含んでもよい。代
替または追加として、流体流ユニットは、1または複数の圧縮機を含んでもよい。流体流
ユニットは、作動時にチャネルに流体を流すように構成される変形可能な膜など、流体を
流すように構成される他の要素を含んでもよい。
【0022】
本明細書で使用される用語「試料」は、一般に、処理用の試料を指す。試料は生体試料
であってよい。試料は、1つ以上の核酸分子、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、リ
ボ核酸(RNA)および/またはタンパク質を含んでもよい。RNAはメッセンジャーR
NAであってよい。DNAはゲノムDNAであってよい。DNAは、さらに大きなDNA
試料の断片であってよい。
【0023】
試料は土壌試料であってよい。試料は、被験体から得られた組織または流体試料、例え
ば、唾液、精液、血液(例えば、全血)、血清、滑液、涙液、尿または血漿であってよい
。試料は、組織試料、例えば、皮膚試料または腫瘍試料であってよい。試料は、被験体の
臓器の一部から得られてもよい。試料は細胞試料であってよい。試料は無細胞試料であっ
てよい。
【0024】
本明細書で使用される用語「被験体」は、一般に、処理のためにそこから試料が得られ
る個体を指す。被験体は患者であってよい。被験体は患者でなくてもよい。被験体は、治
療を必要とする個体であってよい。被験体は、疾患状態を有するか呈する個体、または疾
患状態を有する疑いのある個体であってよい。被験体は、疾患状態を有しないか、呈しな
いか、疾患状態を有する疑いのない個体であってよい。
【0025】
本明細書で使用される用語「導管」は、一般に、ある点から別の点に流体を導くように
構成される流体流路を指す。導管は、1または複数のチャネルであってよい。導管は、1
または複数のマイクロ流体チャネルであってよい。導管の断面積は、約0.01mm2、
約0.05mm2、約0.1mm2、約0.2mm2、約0.3mm2、約0.4mm2
、約0.5mm2、約0.6mm2、約0.7mm2、約0.8mm2、約0.9mm2
、約1.0mm2、約1.1mm2、約1.2mm2、約1.3mm2、約1.4mm2
、約1.5mm2、約1.6mm2、約1.7mm2、約1.8mm2、約1.9mm2
、約2.0mm2、約3.0mm2、約4.0mm2、約5.0mm2、約10mm2、
約15mm2、約20mm2、約25mm2、または約25mm2超であってよい。導管
の断面の形状は、三角形(例えば、正三角形、二等辺三角形、不等辺三角形、直角三角形
、鋭角三角形または鈍角三角形)、正方形、長方形、ダイヤモンド形、菱形、平行四辺形
、凧形、台形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、10辺超を有する形
状、円、楕円、卵形または液滴形状であってよい。
【0026】
用語「少なくとも」、「を超える」または「以上」が一連の2つ以上の数値のうちの最
初の数値の前にある場合はいつでも、用語「少なくとも」、「を超える」または「以上」
は、その一連の数値のうちの各数値に適用される。例えば、1、2または3以上は、1以
上、2以上または3以上に相当する。
【0027】
用語「以下(no more than)」、「未満(less than)」または
「以下(less than or equal to)」が一連の2つ以上の数値のう
ちの最初の数値の前にある場合はいつでも、用語「以下(no more than)」
、「未満(less than)」または「以下(less than or equa
l to)」は、その一連の数値のうちの各数値に適用される。例えば、3、2または1
以下は、3以下、2以下または1以下に相当する。
【0028】
生体試料由来の材料の分析は、試料が多数の前分析工程を経て処理されるまで行われな
いことがある。多くの場合、調製プロセスは時間がかかり、労力を要し、人為的ミスが発
生する可能性がある。例えば、血液または組織細胞などの臨床試料に対する免疫および分
子生物学的診断アッセイでは、細胞を破壊または溶解して目的のタンパク質および核酸(
すなわちDNAおよびRNA)を含むそのような分子を放出し、続いて、そのようなタン
パク質および/または核酸を精製することによる粗試料からの目的の分子の分離が必要と
される場合がある。処理工程を行って初めて、目的の分子の分析を開始することができる
。さらに、試料の実際の分析に使用されるプロトコルでは、有用なデータを取得する前に
さらに数多くの工程が必要とされる。本開示は、生体試料の自動処理または実質的に自動
化された処理のための装置、システム、方法およびキットを提供する。
【0029】
本開示はまた、試料調製および処理のための装置、システム、方法およびキットを提供
する。そのような装置、システム、方法およびキットは、実験室のない環境での生体試料
の自動処理を可能にし得る。本開示の装置およびシステムは、携帯型であり得、例えば、
ユーザがそのような装置を遠隔地で使用することを可能にする。
【0030】
図1A~
図1Dは、試料調製および/または分析のためのシステムの例を概略的に示す
。
【0031】
図1Aは、試料調製のためのシステムを概略的に示す。システムは、引き込み圧力(ま
たは圧力降下)を加えて試薬チャンバから試料チャンバ104に流体を移送することがで
きる第1のポンプ103に導管102によって流体接続された試薬チャンバ101を含む
。試薬チャンバとポンプとの間の導管に沿って配置された弁105を開くことによって、
1つ以上のチャンバに引き込み圧力が選択的に加えられてもよい。試料チャンバからの流
体は、第2のポンプ108または第3のポンプ109を使用して、その後の分析のために
廃棄物チャンバ106または1つ以上のアッセイチューブ107に移送されてもよい。
【0032】
図1Bは、試料調製のための別のシステムを概略的に示す。システムは、正圧(例えば
、周囲圧力などの基準圧力よりも高い圧力)を加えて試薬チャンバから試料チャンバ10
4に流体を押し出すことができる第1のポンプ103に導管102によって流体接続され
た試薬チャンバ101を含む。この配置では、
図1Aのシステムと比較して、第1のポン
プは試薬チャンバ内の流体と接触しない。試薬チャンバとポンプとの間の導管に沿って配
置された弁105を開くことによって、1つ以上のチャンバに正圧が選択的に加えられて
もよい。試料チャンバからの流体は、第2のポンプ108を使用して、その後の分析のた
めに廃棄物チャンバ106または1つ以上のアッセイチューブ107に移送されてもよい
。
図1Aに示すような第1のポンプ(例えば、試薬チャンバから流体を引き込むように構
成された)と
図1Bに示すような第2のポンプ(例えば、試料チャンバから流体を引き込
むように構成された)とを備えるさらに別のシステムも考えられる。
【0033】
図1Cは、試料調製のための別のシステムを概略的に示す。システムは、正圧を加えて
試薬チャンバから試料チャンバ104に流体を押し出すことができる第1のポンプ103
に導管102によって流体接続された試薬チャンバ101を含む。この配置では、カート
リッジは6つの試薬チャンバを備えている。
図1Aおよび
図1Bに示すシステムと同様の
5つの試薬チャンバに加えて、追加の試薬、例えばエタノール用の追加の試薬チャンバが
含まれている。この追加の試薬チャンバは、例えば、溶出緩衝液を含み得る。また、この
配置では、第1のポンプ103は試薬チャンバ内の流体と接触しない。試薬チャンバとポ
ンプとの間の導管に沿って配置された弁105を開くことによって、1つ以上のチャンバ
に正圧が選択的に加えられてもよい。試料チャンバ104は、1つ以上の導管を介して試
薬チャンバに接続され得る。ここで
図1Cに示すように、試料チャンバと試薬チャンバと
を接続する主導管は、シュノーケルをさらに備えることができる。試料チャンバ104か
らの流体は、第2のポンプ108を使用して廃棄物チャンバ106に、または分析のため
に第3のポンプ109を使用して1つ以上のアッセイチューブ107に移送されてもよい
。代替として、単一のポンプおよび1つ以上の弁を使用して、試料チャンバ104から廃
棄物チャンバ106または1つ以上のアッセイチューブ107に流体を引き込んでもよい
(例えば、
図1Bを参照)。シュノーケル1402に接続された試料チャンバ1401の
例を
図14に示す。シュノーケル1402は換気機能を有することができ、試料チャンバ
1401を周囲空気に接続することができる。この図に示す部品1403は、フィルタス
タックを捕捉するためのポンプである。フィルタスタックの例には、限定するものではな
いが、親水性多孔質支持体、多孔質ガラスフィルタまたは疎水性多孔質支持体が挙げられ
る。
【0034】
図1Dは、試料調製のための別のシステムを概略的に示す。システムは、正圧を加えて
試薬チャンバから試料チャンバ104に流体を押し出すことができる第1のポンプ103
に導管102によって流体接続された試薬チャンバ101を含む。
図1Cに示すシステム
と同様に、この配置では、カートリッジは、
図1Aおよび
図1Bに示すシステムと同様の
5つの試薬チャンバと、追加の試薬チャンバとを含む6つの試薬チャンバを備える。この
配置では、第1のポンプ103は試薬チャンバ内の流体と接触しない。試薬チャンバとポ
ンプとの間の導管に沿って配置された弁105を開くことによって、1つ以上のチャンバ
に正圧が選択的に加えられてもよい。試料チャンバ104は、1つ以上の導管を介して試
薬チャンバに接続され得る。試料チャンバと試薬チャンバとを接続する主導管は、シュノ
ーケルをさらに備えることができる。試料チャンバ104からの流体は、第2のポンプ1
08を使用して廃棄物チャンバ106に、または分析のために第3のポンプ109を使用
して1つ以上のアッセイチューブ107に移送されてもよい。代替として、単一のポンプ
および1つ以上の弁を使用して、試料チャンバ104から廃棄物チャンバ106または1
つ以上のアッセイチューブ107に流体を引き込んでもよい。
【0035】
図1A~
図1Dは、ポンプおよび弁構成の例を示しているが、様々なポンプおよび/ま
たは弁構成が使用されてもよく、例えば、「ウェットポンプ」(例えば、流体と接触する
ように構成されたポンプ)および/または「ドライポンプ」(例えば、流体と接触しない
ように構成されたポンプ)などが本開示のシステムに使用されてもよい。さらに、1つ以
上の圧縮機および/または1つ以上のポンプと一緒の1つ以上の圧縮機など、流体の流れ
をもたらす他のユニットが使用されてもよい。
【0036】
ポンプ103、108および109は、負圧(例えば、真空)を供給するように構成さ
れてもよい。代替として、ポンプ103、108および109は、正圧を供給するように
構成されてもよい。別の代替として、ポンプ103、108および109は、第1の方向
に沿って、続いて第1の方向とは異なる(例えば第1の方向の反対)第2の方向に沿って
流体を流すために使用され得る別の動作モードで負圧および正圧の両方を供給するように
構成されてもよい。ポンプ103、108および109は、負圧が流体流路に加えられる
第1のモードおよび正圧が流体流路に加えられる第2のモードでそれぞれ動作するように
構成された多方向(例えば、双方向)ポンプであってよい。このようなポンプは、様々な
圧力(または圧力降下)が加えられる他のモードを有してもよい。
【0037】
本明細書に記載のシステムは、様々な数のポンプを備えてもよい。場合によっては、図
1A~
図1Dに示すように、システムは2つまたは3つのポンプを備えている。他のいく
つかの場合には、システムは1つのポンプを備えている。他のいくつかの場合には、シス
テムは4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のポンプを備えている。場合によっ
ては、システムは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なく
とも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、
少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40またはそれ以上のポンプを備えている
。
【0038】
弁105は、様々な手法によって作動させることができる。そのような手法には、それ
ぞれ正圧源または負圧源からの正圧または負圧の補助によるものなどの空気圧作動が含ま
れる。正圧は、1つ以上の圧縮機を使用して供給されてもよい。負圧は、1つ以上のポン
プを使用して供給されてもよい。別の手法では、電熱加熱を使用して弁を作動させてもよ
い。例えば、弁は形状記憶弁であってよい。形状記憶弁とは、その元の形状を「記憶」し
、加熱されるとその変形前の形状に戻ることができる材料を含む任意のタイプの弁を指し
得る。場合によっては、形状記憶弁は、電熱加熱時の収縮中にシールを作動させるニチノ
ールまたはニッケルチタンワイヤを備えることができる。場合によっては、形状記憶弁は
、電熱加熱時の収縮中にシールを作動させる銅-アルミニウム-ニッケルワイヤを備える
ことができる。さらに別の手法では、電気機械ユニットを使用して弁を作動させてもよい
。例えば、弁は電磁弁であってよい。電気機械弁とは、電流によって(例えば、電磁を介
して)制御される任意のタイプの弁を指し得る。場合によっては、電磁弁はラッチ式電磁
弁であってよい。2ポート弁の場合、流れはオンまたはオフに切り替えられ得る。3ポー
ト弁の場合、流出は1つ以上の出口ポートのいずれかまたは両方の間で切り替えられ得る
。
図1A~
図1Dに示す弁の数は、非限定的な例である。システムは、様々な数の弁を備
えてもよい。場合によっては、システムは弁を備えない。場合によっては、システムは図
1A~
図1Dに示すシステムよりも多くの弁を備える。例えば、システムは、少なくとも
1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なく
とも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも3
0、少なくとも40またはそれ以上の弁を備え得る。
【0039】
導管は様々な寸法を有し得る。いくつかの例では、導管102は数マイクロメートル程
度の寸法を有する。そのような場合、導管102はマイクロ流体装置の一部であってよい
。
【0040】
図1A~
図1Dのシステムは特定の数の試薬チャンバを含むが、本開示のシステムは、
試薬チャンバであり得る少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、
20またはそれ以上のチャンバを含んでもよい。所定のチャンバは、試薬を含み得る。代
替として、またはそれに加えて、反応または混合を行うために所定のチャンバが使用され
てもよい。
【0041】
図6は、
図1A~Dのシステムを使用するための例示的なプロセスフローを示す。第1
の動作601では、弁105が開かれ、溶解緩衝液が試薬チャンバ101から試料チャン
バ104に圧送される。第2の動作602では、分析対象の試料が、溶解緩衝液をその時
点で含む試料チャンバ104に加えられる。試料を加える前に緩衝液(例えば、溶解緩衝
液)によって試料チャンバ104を充填することにより、試料内の標的核酸の損失(例え
ば、試料チャンバの壁に沿った付着による)を防ぐことができる。第3の動作603では
、溶解緩衝液と試料とが試料チャンバ104内で混合される。混合は様々な方法で行うこ
とができる。一例では、ポンプ(例えば、第1のポンプ103、第2のポンプ108また
は第3のポンプ109)から試料チャンバへの正圧によって気泡を生成することができる
。装置の任意のポンプを使用して試料チャンバ104内に気泡を生成してもよいが、ポン
プ109を使用して、例えば、第2のポンプ108(例えば、廃棄物ポンプ)の流れが逆
転して試料チャンバ104内の試料が廃棄物チャンバ106からの廃棄物によって汚染さ
れるリスクを増大させ得る状況を回避してもよい。チャンバ101または装置全体を撹拌
するなど、試料チャンバ104内で溶解緩衝液と試料とを混合するために、他の技術を使
用してもよい。
【0042】
続く動作604では、試料と溶解緩衝液との混合物が第2のポンプ108によってフィ
ルタ302を通して引き込まれ、それにより、フィルタ302内で標的(例えば、核酸)
が捕捉され、廃棄物が廃棄物チャンバ106に移送される。続く動作605では、1つ以
上の洗浄緩衝液(例えば、
図1A~D、標識W
1およびW
2)および/または乾燥緩衝液
(例えば、
図1A~D、標識D)が、試料チャンバ104に連続的に圧送され、フィルタ
302内で捕捉された標的と混合される。続いて、動作606では、緩衝液と標的との混
合物がポンプ108によりフィルタ302を通して引き込まれ、それにより、フィルタ3
02内で標的(例えば、核酸)が捕捉され、廃棄物が廃棄物チャンバ106に移送される
。場合によっては、動作607では、フィルタ302内で捕捉された標的を乾燥緩衝液(
例えば、アセトンなどの揮発性化学物質)によって洗浄した後、試料チャンバを加熱して
(例えば、試料チャンバの外面に沿って配置された加熱パッドを使用して)、残留乾燥緩
衝液を除去してもよい(例えば、蒸発などにより)。これにより、乾燥剤による標的の汚
染を低減させることができる。続く動作608では、溶出緩衝液が試料チャンバに圧送さ
れ、それにより、フィルタから溶出緩衝液に標的(例えば、核酸)が抽出される。別の動
作609では、ポンプから試料チャンバへの正圧によって気泡を生成して、試料チャンバ
全体に溶出緩衝液を分配し、フィルタからの標的の抽出を強化することができる。さらに
別の動作610では、溶出緩衝液(例えば、
図1A~C、標識E)と標的との混合物が、
その後の処理および/または分析のために、第3のポンプ109によって試料チャンバ1
04から1つ以上のアッセイチューブ107に圧送される。
【0043】
試料
様々な試料(例えば、生体試料)を処理することができる。試料は、侵襲的に(例えば
、組織生検)または非侵襲的に(例えば、静脈穿刺)得ることができる。いくつかの実施
形態では、環境から試料を得てもよい(例えば、河川もしくは小川から得られた水試料、
または土壌試料)。いくつかの実施形態では、試料は固体試料または液体試料であり得る
。いくつかの実施形態では、試料は生体試料または非生体試料であり得る。いくつかの実
施形態では、試料は、インビトロ試料またはエクスビボ試料を含むことができる。試料の
非限定的な例には、羊水、胆汁、細菌試料、母乳、バフィーコート、細胞、脳脊髄液、ク
ロマチンDNA、射精液、核酸、植物由来材料、RNA、唾液、精液、血液、血清、土壌
、滑液、涙液、組織、尿、水、全血または血漿、および/またはその任意の組合せおよび
/または任意の一部が挙げられる。一例では、試料は血漿試料であり得、血漿試料はDN
A、RNAおよび/またはタンパク質を含み得る。別の例では、試料は細胞試料を含み得
、細胞試料はDNA、RNAおよび/またはタンパク質を含み得る。試料は、細胞試料ま
たは無細胞試料(例えば、血液中のDNAおよびRNA)であり得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、試料は哺乳動物試料であり得る。いくつかの実施形態では、
試料はヒト試料であり得る。いくつかの実施形態では、試料は非ヒト動物試料であり得る
。非ヒト試料の非限定的な例には、ネコ試料、イヌ試料、ヤギ試料、モルモット試料、ハ
ムスター試料、マウス試料、ブタ試料、非ヒト霊長類試料(例えば、ゴリラ試料、類人猿
試料、オランウータン試料、キツネザル試料またはヒヒ試料)、ラット試料、ヒツジ試料
、ウシ試料またはゼブラフィッシュ試料が挙げられる。
【0045】
本明細書に開示される方法は、一般に、核酸(例えば、循環および/または無細胞DN
A断片)の分析に有用である。核酸は、真核細胞、原核細胞または非細胞源(例えば、ウ
イルス粒子)に由来し得る。当業者であれば、核酸とは一般に、その分子が長鎖で連結さ
れた多くのヌクレオチドからなる物質を指し得ることを理解するであろう。核酸は、リボ
核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)であり得る。核酸は、ヘリックス、ル
ープ、ステムループまたはヘアピンループ、バルジおよびジャンクションなどの1つ以上
の二次構造を含み得る。核酸の非限定的な例には、人工核酸類似体(例えば、ペプチド核
酸、モルホリノオリゴマー、ロックド核酸、グリコール核酸またはトレオース核酸)、修
飾された核酸(例えば、メチル化核酸)、クロマチン、cDNA、ゲノムDNA、プラス
ミドDNA、メッセンジャーRNA(mRNA)、リボソームRNA(rRNA)、転移
RNA(tRNA)、小核RNA(snRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)
、ガイドRNA(gRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(si
RNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)およびウイルスRNAが挙げられる。
いくつかの実施形態では、核酸は二本鎖または一本鎖であり得る。いくつかの実施形態で
は、試料は核酸を含み得、核酸は細胞内にあり得る。いくつかの実施形態では、試料は核
酸を含み得、核酸は細胞外にあり得る(例えば、無細胞)。いくつかの実施形態では、試
料は核酸(例えば、クロマチン)を含み得、核酸は断片化され得る。
【0046】
試料処理
本開示は、アッセイチューブ内で試料を処理するための方法およびシステムを提供する
。核酸試料などの試料をアッセイチューブに入れ、同時にまたは別個に処理することがで
きる。試料は同時に処理することができるが、互いに独立している。例えば、第1のアッ
セイチューブ内の第1の試料は、第2のアッセイチューブ内の第2の試料とは異なる処理
条件に供される。あるいは、第1の試料および第2の試料は、同じまたは実質的に同じ処
理条件に供されてもよい。
【0047】
試料は、様々なアッセイを使用して処理され得る。アッセイには、核酸増幅が含まれ得
る。例えば、任意のタイプの核酸増幅反応を使用して、標的核酸を増幅し、増幅産物を生
成してもよい。さらに、核酸の増幅は、線形、指数関数的またはそれらの組合せであり得
る。増幅はエマルジョンベースでも非エマルジョンベースでもよい。核酸増幅法の非限定
的な例には、逆転写、プライマー伸長、ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、不斉
増幅、ローリングサークル増幅および多置換増幅(MDA)が挙げられる。いくつかの実
施形態では、増幅産物はDNAであり得る。標的RNAを増幅する場合、RNAの逆転写
によりDNAを得ることができ、DNAのその後の増幅を使用して、増幅されたDNA産
物を生成することができる。増幅されたDNA産物は、生体試料中の標的RNAの存在を
示し得る。DNAを増幅する場合、様々なDNA増幅法を使用することができる。DNA
増幅法の非限定的な例には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、PCRの変形例(例えば
、リアルタイムPCR、アレル特異的PCR、アセンブリPCR、非対称PCR、デジタ
ルPCR、エマルジョンPCR、ダイヤルアウトPCR(dial-out PCR)、
ヘリカーゼ依存性PCR(helicase-dependent PCR)、ネステッ
ドPCR、ホットスタートPCR、逆PCR、メチル化特異的PCR、ミニプライマーP
CR、マルチプレックスPCR、ネステッドPCR、重複伸長PCR、熱非対称交差PC
R、タッチダウンPCR)およびリガーゼ連鎖反応(LCR)が挙げられる。場合によっ
ては、DNA増幅は線形である。場合によっては、DNA増幅は指数関数的である。場合
によっては、ネステッドPCRを用いてDNA増幅を達成し、これにより、増幅されたD
NA産物の検出感度を改善することができる。場合によっては、核酸増幅は等温である。
等温核酸増幅法の非限定的な例には、ヘリカーゼ依存性増幅、ニッキング酵素増幅、リコ
ンビナーゼポリメラーゼ増幅、ループ介在等温増幅および核酸配列ベース増幅が挙げられ
る。
【0048】
核酸増幅反応は、並行してアッセイチューブ内で行うことができる。核酸増幅反応は、
例えば、各核酸増幅反応に必要な試薬を反応容器に入れて反応混合物を得、反応混合物を
各核酸増幅反応に必要な条件にさらすことにより行うことができる。逆転写増幅およびD
NA増幅は、例えば、RNAに対して逆転写増幅を行って相補的DNA(cDNA)を生
成し、続いてcDNAをDNA増幅(例えば、PCR)に供してcDNAを増幅するなど
、連続して行うことができる。
【0049】
場合によっては、例えば標的配列と配列相補性を有するプライマーなど、所定の標的に
向けられた試薬を使用して核酸試料が増幅される。複数の加熱および冷却サイクルの後、
例えば、フルオロフォアを使用して、任意の増幅産物を光学的に検出してもよい。フルオ
ロフォア標識プライマーまたはハイブリダイゼーションプローブ、および/またはDNA
に結合する蛍光色素を励起し、放出された蛍光を検出してもよい。いくつかの実施形態で
は、本開示の方法は、色素からの蛍光発光を検出することも含み、フルオロフォア放出と
色素放出との比を計算することを含む。いくつかの実施形態では、プライマーはフルオロ
フォアおよびクエンチャーを含むことができる。場合によっては、非結合プライマーの三
次構造とは、フルオロフォアの励起および/またはフルオロフォアからの発光シグナルの
検出を防ぐためにクエンチャーがフルオロフォアに十分に近接しているようなものである
。
【0050】
一実施形態では、標的核酸および少なくとも1つの増幅プライマーを含有する混合物に
、SYBR Green Iなどの蛍光DNA色素を加えてもよい。いくつかの実施形態
では、増幅プライマーは、DNAポリメラーゼによって伸長可能であり、励起可能なフル
オロフォアによって標識された直鎖一本鎖オリゴヌクレオチドであってよい。例えば、標
識プライマーのアニーリングおよび伸長を含むPCR反応などの増幅反応を行うと、フル
オロフォアが励起され、増幅中(リアルタイム検出)または増幅の完了後(増幅反応の終
了時またはその後の熱分析(融解曲線)中のエンドポイント検出)のいずれかに発光を検
出することができる。非組み込みプライマーは蛍光を発しない場合がある。
【0051】
本開示によるプライマーでは、広範囲のフルオロフォアおよび/または色素を使用する
ことができる。利用可能なフルオロフォアには、クマリン、フルオレセイン、テトラクロ
ロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、ルシファーイエロー、ローダミン、B
ODIPY、テトラメチルローダミン、Cy3、Cy5、Cy7、エオシン、テキサスレ
ッド、SYBR Green I、SYBR Gold、5-FAM(5-カルボキシフ
ルオレセインとも呼ばれる;スピロ(イソベンゾフラン-1(3H),9’-(9H)キ
サンテン)-5-カルボン酸、3’,6’-ジヒドロキシ-3-オキソ-6-カルボキシ
フルオレセインとも呼ばれる);5-ヘキサクロロ-フルオレセイン([4,7,2’,
4’,5’,7’-ヘキサクロロ-(3’,6’-ジピバロイル-フルオレセイニル)-
6-カルボン酸]);6-ヘキサクロロ-フルオレセイン([4,7,2’,4’,5’
,7’-ヘキサクロロ-(3’,6’-ジピバロイルフルオレセイニル)-5-カルボン
酸]);5-テトラクロロ-フルオレセイン([4,7,2’,7’-テトラ-クロロ-
(3’,6’-ジピバロイルフルオレセイニル)-5-カルボン酸]);6-テトラクロ
ロ-フルオレセイン([4,7,2’,7’-テトラクロロ-(3’,6’-ジピバロイ
ルフルオレセイニル)-6-カルボン酸]);5-TAMRA(5-カルボキシテトラメ
チルローダミン;キサンチリウム、9-(2,4-ジカルボキシフェニル)-3,6-ビ
ス(ジメチル-アミノ);6-TAMRA(6-カルボキシテトラメチルローダミン;キ
サンチリウム、9-(2,5-ジカルボキシフェニル)-3,6-ビス(ジメチルアミノ
);EDANS(5-((2-アミノエチル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸);
1,5-IAEDANS(5-((((2-ヨードアセチル)アミノ)エチル)アミノ)
ナフタレン-1-スルホン酸);DABCYL(4-((4-(ジメチルアミノ)フェニ
ル)アゾ)安息香酸)Cy5(インドジカルボシアニン-5)Cy3(インド-ジカルボ
シアニン-3);およびBODIPY FL(2,6-ジブロモ-4,4-ジフルオロ-
5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸
)、Quasar-670(Bioreseach Technologies)、Ca
lOrange(Bioresearch Technologies)、Rox、なら
びにその好適な誘導体が挙げられる。フルオレセイン-ローダミン二量体などのフルオロ
フォアの組合せも適している。フルオロフォアは、可視スペクトルまたは可視スペクトル
外、例えば、紫外または赤外領域などで吸収および発光するように選択され得る。好適な
クエンチャーには、DABCYLおよびその変異体、例えば、DABSYL、DABMI
およびメチルレッドも含まれ得る。フルオロフォアはまた、特定の他のフルオロフォアに
触れると蛍光を消光する傾向があるため、クエンチャーとしても使用することができる。
好ましいクエンチャーは、DABCYLもしくはマラカイトグリーンなどの発色団、また
はプローブが開いた立体構造にある場合に検出範囲内の蛍光を発し得ないフルオロフォア
のいずれかである。
【0052】
本発明に従って有用な対立遺伝子識別プローブにはまた、標的配列と比較して、標的様
配列にそれほど効果的に結合しないプローブが含まれる。標的様配列の存在下または非存
在下での蛍光レベルの変化と比較して、標的配列の存在下または非存在下での蛍光レベル
の変化は、標的または標的様配列に対するプローブの結合の有効性の尺度を提供すること
ができる。
【0053】
RNAの逆転写から生成されたDNAを増幅して、増幅されたDNA産物を生成しても
よい。任意の好適な数の核酸増幅反応を行ってもよい。場合によっては、少なくとも1、
2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、
18、19、20またはそれ以上の核酸増幅反応が行われる。
【0054】
例えば、核酸増幅の加熱段階中に、生体試料から標的核酸(例えば、標的RNA、標的
DNA)が抽出または放出され得る。例えば、標的RNAの場合、標的RNAを含む生体
試料を加熱し、生体試料から標的RNAを放出させることができる。放出された標的RN
Aは逆転写を開始して(逆転写増幅を介して)、相補的DNAを生成することができる。
次いで、相補的DNAを増幅することができる。
【0055】
様々な態様のいずれでも、標的核酸に向けられたプライマーセットを利用して、核酸増
幅反応を行うことができる。プライマーセットは一般に1つ以上のプライマーを含む。例
えば、プライマーセットは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10また
はそれ以上のプライマーを含んでもよい。場合によっては、プライマーセットは、異なる
増幅産物または異なる核酸増幅反応に向けられたプライマーを含んでもよい。例えば、プ
ライマーセットは、標的核酸の少なくとも一部に相補的な核酸産物の第1の鎖を生成する
のに必要な第1のプライマーと、核酸産物の第1の鎖の少なくとも一部に相補的な核酸産
物の第2の鎖を生成するのに必要な核酸鎖産物に相補的な第2のプライマーとを含んでも
よい。
【0056】
複数のアッセイチューブが使用される場合、複数のアッセイチューブは、同じプライマ
ーもしくはプライマーセット、または異なるプライマーもしくはプライマーセットを含む
ことができる。各アッセイチューブを異なる標的に向けることができるか、アッセイチュ
ーブの少なくともサブセットを同じ標的に向けることができる。
【0057】
例えば、プライマーセットは標的RNAに向けられてもよい。プライマーセットは、標
的RNAの少なくとも一部に相補的な核酸産物の第1の鎖を生成するために使用すること
ができる第1のプライマーを含んでもよい。逆転写反応の場合、核酸産物の第1の鎖はD
NAであってよい。プライマーセットはまた、核酸産物の第1の鎖の少なくとも一部に相
補的な核酸産物の第2の鎖を生成するために使用することができる第2のプライマーを含
んでもよい。DNA増幅を用いて行われる逆転写反応の場合、核酸産物の第2の鎖は、R
NA鋳型から生成されたDNAの鎖に相補的な核酸(例えば、DNA)産物の鎖であり得
る。
【0058】
所望により、任意の好適な数のプライマーセットを使用してもよい。例えば、少なくと
も約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のプライマーセットを使
用してもよい。複数のプライマーセットを使用する場合、1つ以上のプライマーセットが
それぞれ特定の核酸増幅反応または増幅産物に対応してもよい。
【0059】
場合によっては、DNAポリメラーゼが使用される。市販のDNAポリメラーゼを含め
、任意の好適なDNAポリメラーゼが使用され得る。DNAポリメラーゼとは、一般に、
ヌクレオチドをDNAの鎖に鋳型結合様式で組み込むことができる酵素を指す。DNAポ
リメラーゼの非限定的な例には、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、Tliポリ
メラーゼ、Pfuポリメラーゼ、VENTポリメラーゼ、DEEPVENTポリメラーゼ
、EX-Taqポリメラーゼ、LA-Taqポリメラーゼ、Expandポリメラーゼ、
Ssoポリメラーゼ、Pocポリメラーゼ、Pabポリメラーゼ、Mthポリメラーゼ、
Phoポリメラーゼ、ES4ポリメラーゼ、Truポリメラーゼ、Tacポリメラーゼ、
Tneポリメラーゼ、Tmaポリメラーゼ、Tihポリメラーゼ、Tfiポリメラーゼ、
Platinum Taqポリメラーゼ、Hi-Fiポリメラーゼ、Tbrポリメラーゼ
、Tflポリメラーゼ、Pfutuboポリメラーゼ、Pyrobestポリメラーゼ、
Pwoポリメラーゼ、KODポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、Sacポリメラーゼ、
クレノウ断片、ならびにその変異体、修飾産物および誘導体が挙げられる。特定のホット
スタートポリメラーゼでは、94℃~95℃で2分~10分間の変性工程が必要になる場
合があり、これにより、様々なポリメラーゼに基づいて熱プロファイルが変化する場合が
ある。
【0060】
場合によっては、溶解剤が使用される。溶解剤は、例えば、細胞またはウイルス粒子な
どの生物学的粒子から、DNAおよび/またはRNAなどの核酸分子を放出するために使
用され得る。市販の溶解剤を含め、任意の好適な溶解剤が使用され得る。溶解剤の非限定
的な例には、Tris-HCl、EDTA、洗剤(例えば、Triton X-100、
SDS)、リゾチーム、グルコラーゼ、プロテイナーゼE、ウイルスエンドリシン、エキ
ソリシンザイモロース(exolysins zymolose)、リチカーゼ、プロテ
イナーゼK、バクテリオファージ由来のエンドリシンおよびエキソリシン(exolys
ins)、バクテリオファージPM2由来のエンドリシン、B.ズブチリス(B.sub
tilis)バクテリオファージPBSX由来のエンドリシン、ラクトバチルス(Lac
tobacillus)プロファージLj928、Lj965、バクテリオファージ15
Phiadh由来のエンドリシン、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Strept
ococcus pneumoniae)バクテリオファージCp-I由来のエンドリシ
ン、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalact
iae)バクテリオファージB30の二官能性ペプチドグリカンリシン、プロファージ細
菌由来のエンドリシンおよびエキソリシン、リステリア(Listeria)バクテリオ
ファージ由来のエンドリシン、ホリン-エンドリシン、細胞20溶解遺伝子、ならびにそ
れらの組合せが挙げられる。場合によっては、緩衝液は溶解剤(例えば、溶解緩衝液)を
含んでもよい。溶解緩衝液の例は、水酸化ナトリウム(NaOH)である。
【0061】
試料調製カートリッジ
本開示は、試料調製カートリッジを提供する。一般に、試料調製カートリッジは、(i
)各ウェルが試料の処理に必要な試薬を含む1つ以上のウェルと、(ii)緩衝液を試料
と反応させるための試料チャンバと、(iii)試料チャンバからの廃棄物を堆積させる
ためのチャンバと、(iv)処理済み試料を収集し、アッセイを行うための1つ以上のア
ッセイチューブとを備えることができる。一般に、チャンバとアッセイチューブとは導管
によって接続することができる(例えば、あるチャンバから別のチャンバに流体を移送す
ることができる接続)。これらの導管はいずれも、導管に沿った液体(例えば、緩衝液ま
たは試料)の流れを調節するためにポンプまたは弁と接続するための開口部を備えること
ができる。例示的な試料調製カートリッジの上面斜視図(
図2A)および側面斜視図を図
2に示す。
【0062】
図10は、試料調製カートリッジ1000の一例を示す。試料調製カートリッジ100
0は、第1のマニホールド1001および第2のマニホールド1002を備える。第2の
マニホールド1002は、試薬チャンバ1003および廃棄物チャンバ1006を備える
。カートリッジ1000は、アッセイチューブ1007および試料チャンバ1004をさ
らに備える。第1のマニホールド1001は、覆い(例えば、カバー)であり得る。カー
トリッジ1000はまた、キャップ1005を備える。カートリッジ1000は、本開示
の方法およびシステムとともに使用され得る。
【0063】
図11は、試料調製カートリッジ1100の別の例を示す。試料調製カートリッジ11
00は、第1のマニホールド1101および第2のマニホールド1102を備える。第2
のマニホールド1102は、試薬チャンバ1103および廃棄物チャンバ1106を備え
る。カートリッジ1100は、アッセイチューブ1107および試料チャンバ1104を
さらに備える。第1のマニホールド1101は覆いであり得る。カートリッジ1100は
また、試料チャンバ1104用の追加のカバー片1105を備える。追加のカバー片11
05は、折り畳み式ゴムキャップ1109をさらに備える。折り畳み式ゴムキャップ11
09は、流体およびエアロゾルの流出を防ぐことができるが、空気が折り畳み式ゴムキャ
ップを通過することを可能にする多孔質ディスク1108をさらに備える。
【0064】
材料
試料調製カートリッジは、様々な材料から形成され得る。場合によっては、試料調製カ
ートリッジは単一の材料(例えば、ポリプロピレン)から形成され得る。場合によっては
、試料調製カートリッジは2つ以上の材料から形成され得る。場合によっては、試料調製
カートリッジの製造に有用な材料には、3次元(3D)印刷、射出成形、または区画間の
流体移送のための3次元区画および/または埋め込み導管を有する装置を形成することが
できる他の方法に適した材料が含まれる。試料調製カートリッジの製造に使用され得る材
料の非限定的な例には、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、低密度ポリエチレン(ld
pe)、高密度ポリエチレン(hdpe)、ポリプロピレン(pp)、ポリ塩化ビニル(
pvc)、ポリスチレン(ps)、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6,6、テフロン(
登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)、熱可塑性ポリウレタン(tpu)、ポリク
ロロトリフルオロエチレン(pctfe)、ベークライト、ケブラー、トワロン、マイラ
、ネオプレン、ナイロン、ノメックス、オーロン、リルサン、テクノーラ、テフロン(登
録商標)、ウルテム、ベクトラン、バイトン、ザイロン、ポリアミド、ポリカーボネート
、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン(pvdc)、アクリロニトリルブ
タジエンスチレン(abs)、ポリエポキシド、ポリメチルメタクリレート、マレイミド
、ポリエーテルイミド、ポリ乳酸、フラン、シリコーンまたはポリスルホンが挙げられる
。場合によっては、試料調製カートリッジは、熱可塑性プラスチック、熱硬化性ポリマー
、非晶質プラスチック、結晶性プラスチック、導電性ポリマー、生分解性プラスチックま
たはバイオプラスチックを含む材料から形成することができる。一例では、試料調製カー
トリッジは、ポリプロピレンを含む材料から形成されてもよい。別の例では、試料調製カ
ートリッジは、ポリプロピレンを含む第1の材料およびポリカーボネートを含む第2の材
料から形成されてもよい。
【0065】
チャンバ
いくつかの態様では、試料調製カートリッジは1つ以上のチャンバを備えることができ
る。チャンバは、(i)試料処理用の緩衝液/試薬を保管する、(ii)試料を緩衝液ま
たは試薬と連続的に混合して試料を処理する、および(iii)廃棄物を保管するのに有
用であり得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、試料調製カートリッジは1つのチャンバを備えることができ
る。いくつかの実施形態では、試料調製カートリッジは複数のチャンバを備えることがで
きる。いくつかの実施形態では、試料調製カートリッジは、2つのチャンバ、3つのチャ
ンバ、4つのチャンバ、5つのチャンバ、6つのチャンバ、7つのチャンバ、8つのチャ
ンバ、9つのチャンバ、10のチャンバ、15のチャンバ、20のチャンバ、25のチャ
ンバ、30のチャンバ、35のチャンバ、40のチャンバ、45のチャンバ、50のチャ
ンバ、100のチャンバまたは100超のチャンバを備えることができる。一例では、試
料調製カートリッジは5つのチャンバを備えることができる。
【0067】
チャンバ(例えば、試料チャンバ、緩衝液チャンバまたは廃棄物チャンバ)のサイズは
様々であり得る。いくつかの実施形態では、チャンバは、少なくとも約0.1ミリリット
ル(mL)の流体を保持することができる。いくつかの実施形態では、チャンバは少なく
とも約0.2mLの流体を保持することができる。いくつかの実施形態では、チャンバは
少なくとも約0.3mLの流体を保持することができる。いくつかの実施形態では、チャ
ンバは少なくとも約0.4mLの流体を保持することができる。いくつかの実施形態では
、チャンバは少なくとも約0.5mLの流体を保持することができる。いくつかの実施形
態では、チャンバは少なくとも約0.6mLの流体を保持することができる。いくつかの
実施形態では、チャンバは少なくとも約0.7mLの流体を保持することができる。いく
つかの実施形態では、チャンバは少なくとも約0.8mLの流体を保持することができる
。いくつかの実施形態では、チャンバは少なくとも約0.9mLの流体を保持することが
できる。いくつかの実施形態では、チャンバは少なくとも約1mLの流体を保持すること
ができる。いくつかの実施形態では、チャンバは、少なくとも約1mL、約2mL、約3
mL、約4mL、約5mL、約6mL、約7mL、約8mL、約9mL、約10mLまた
はそれ以上の流体、例えば、液体を保持することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、チャンバのうちの1つ以上が密閉されてもよい。いくつかの
実施形態では、シール201は、取り外し可能または破壊可能であってよい(例えば、ユ
ーザは、チャンバ上のシールを破壊して、チャンバに試料を加えてもよい)。シールは、
単一の材料(例えば、アルミニウム)、または2つ以上の材料の組成物から形成されても
よい。一例では、試料調製カートリッジは、ポリプロピレンを含む材料から形成されても
よく、シールは、アルミニウム、接着剤層およびポリプロピレン層の三層を含む材料から
形成されてもよい。場合によっては、シール材は、プラスチック製シリンジがシールを貫
通するのを可能にしてもよい。シール材は、箔積層体であってよい。場合によっては、シ
ールは、少なくとも10°C以上54°C以下の温度で試料調製カートリッジに接着し、
少なくとも約1カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約12カ月、少なくとも約24カ
月、少なくとも約36カ月、少なくとも約48カ月または少なくとも約60カ月にわたり
シールを維持してもよい。場合によっては、チャンバは恒久的に密閉されてもよい。例え
ば、試料調製カートリッジは廃棄物チャンバを備えることができ、廃棄物チャンバは恒久
的に密閉されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、チャンバのうちの1つ以上が覆いによって覆われ得る。例え
ば、
図10および
図11に示すように、1つ以上のチャンバを有するマニホールドは覆い
によって覆われている。
【0070】
いくつかの実施形態では、チャンバは、アッセイを行うための試薬(例えば、溶解緩衝
液、洗浄緩衝液、乾燥剤または溶出緩衝液)を備えることができる。緩衝液の非限定的な
例は、NP-40溶解緩衝液、放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)溶解緩衝液、ドデシ
ル硫酸ナトリウム(SDS)溶解緩衝液、塩化アンモニウム-カリウム(ACK)溶解緩
衝液、揮発性化学物質(例えば、アセトンおよびエタノール)、EDTA、Tris-H
Clおよび水を含むことができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、チャンバは、ブーム法に従って試料を分析するのに有用な1
つ以上の緩衝液を備えることができる。ブーム法によれば、タンパク質分解酵素の存在下
で生体試料を洗剤と混合することにより、生体試料が溶解および/または均質化される。
カオトロピック剤およびシリカまたはシリカ被覆ビーズが、溶解した生体試料と混合され
る。カオトロピック剤は、例えば、水素結合、ファンデルワールス力および疎水性相互作
用などの非共有結合力によって媒介される高分子相互作用を妨げることにより、核酸の構
造を破壊および変性させる。カオトロピック剤の存在下で、核酸のリン酸基から水が除去
され、リン酸基が露出され、シリカまたはシリカ被覆ビーズなどのシリカへの疎水性結合
が可能になる。生体試料中のタンパク質、細胞片および他の物質はシリカに結合せず、溶
液中に保持される。シリカビーズを数回洗浄して、タンパク質、脂質、細胞分子などの細
胞成分、および生体試料に見出される他の物質などの非核酸物質を除去する。シリカ被覆
磁気ビーズを使用して、磁場または磁石を介して、溶液からシリカ被覆に結合した核酸を
分離するのを補助してもよい。次いで、カオトロピック剤の濃度を低下させることにより
、シリカまたはシリカ被覆ビーズから緩衝液に核酸を溶出する。溶出緩衝液は、例えば、
純水またはTris-EDTA(「TE」)緩衝液であり得る。
【0072】
いくつかの態様では、試料調製カートリッジは試料チャンバを備えることができる。一
般に、試料チャンバに試料を加え、その後、試料チャンバに緩衝液を連続的に加えて試料
を処理する。導管に沿って配置されたポンプが試料チャンバに緩衝液を自動的に移送する
ことができるように、(例えば、導管を介して)緩衝液チャンバに試料チャンバが流体接
続されてもよい。試料を所定の緩衝液と混合した後、混合物は試料チャンバ内に配置され
たフィルタを通して引っ張られ、フィルタは試料内の標的(例えば、核酸)を捕捉するよ
うに構成される。試料チャンバに溶出緩衝液を加えて、フィルタから標的を放出させても
よい。試料チャンバおよびフィルタは、流体が試料チャンバ(例えば、フィルタの周囲)
に迅速に圧送され、フィルタを通って試料チャンバから圧送され得る(例えば、試料中の
標的を捕捉するために)ように構成することができる。場合によっては、フィルタは、流
体が試料チャンバに迅速に入ることを可能にするように移動可能(例えば、第1の位置と
第2の位置との間の移動)であってよい。場合によっては、例えば、参照によりその全体
が本明細書に組み込まれる米国特許第9,926,553号に記載されているように、フ
ィルタは屈曲または移動可能であってよい。例示的な試料チャンバを
図3に示す。ポンプ
301から生じた圧力を使用して、試料チャンバ104内に試薬(例えば、溶解緩衝液、
洗浄緩衝液)が圧送され得る。充填段階(例えば、試薬が試料チャンバに加えられている
時)では、試薬がフィルタ302の周りを流れることにより試料チャンバに入り得る。こ
れにより、ポンプが受ける抵抗を低下させ、試料チャンバに試薬をさらに迅速に充填する
ことが可能になり得る。試薬を試料と混合した後、追加のポンプ303を使用して、試料
中の標的(例えば、核酸)304を捕捉するように構成されたフィルタを通して廃棄物チ
ャンバに混合物を移送してもよい。標的を処理し、フィルタに結合させた後、溶出緩衝液
を試料チャンバに圧送して、フィルタから標的を捕捉してもよい。第3のポンプ305を
使用して、その後の分析のためにアッセイチューブに試料を移送してもよい。いくつかの
実施形態では、試料チャンバはキャップによって覆われている。いくつかの実施形態では
、試料チャンバは折り畳み式ゴムキャップによって覆われている。いくつかの実施形態で
は、折り畳み式ゴムキャップは多孔質ディスクを備える。多孔質ディスクは、流体および
エアロゾルの流出を防ぐことができるが、空気がキャップを通過することを可能にする。
【0073】
いくつかの実施形態では、試料を加熱することが有益であり得る。したがって、試料お
よび/または試料チャンバに熱を提供するために、試料チャンバに隣接して(例えば、試
料チャンバの下に)ヒータが設けられてもよい。例えば、フィルタから標的を抽出する前
に、揮発性溶媒(例えば、エタノールまたはアセトン)を用いて試料チャンバおよび/ま
たはフィルタを洗浄してもよい。続いて、ヒータを使用して、試料および/または試料チ
ャンバに熱を加えて、残っている揮発性溶媒を蒸発させてもよい。高温(例えば、プライ
マーのアニーリング温度よりも高い温度)で試料または反応混合物を調製することにより
、生成物の収量およびPCRの特異性をともに改善することも可能である。増幅前加熱は
、標的核酸へのプライマーのアニーリング、その後の伸長を促進するとともに、プライマ
ー二量体、またはプライマーの自己アニーリングの形成を最小限に抑え得る。2つ以上の
アッセイチューブに試料を分割することができ、試料の増幅前加熱が各アッセイチューブ
の生成物の収量を増加させ得るため、増幅前加熱工程は、核酸含有量が低い試料を処理す
るのに特に有用であり得る。したがって、本開示の実施形態のいずれでも、増幅前加熱工
程を実施することができる。例えば、試料チャンバから1つ以上のアッセイチューブに試
料を移送する前に、ヒータを使用して試料を加熱してもよい。別の例では、試料チャンバ
に溶解緩衝液を圧送し、その後加熱してもよい。熱は、試料を変性させるのに役立つか、
試料からの沈殿物の形成を減少させるか、沈殿した固形物を試料溶液に戻すのに役立ち得
る。熱を使用して溶液を均質化する(例えば、試料からの固形物の沈殿を減少させる)と
、試料が導管を通して移送される際の導管内の蓄積および詰まりを減少させることができ
る。加熱工程は、任意の所定の温度で任意の期間にわたり行われてもよい。いくつかの実
施形態では、試料を70℃に加熱してもよい。いくつかの実施形態では、試料を10分間
70℃で加熱してもよい。いくつかの実施形態では、試料は、その後の処理のために1つ
以上のアッセイチューブに移送されるまで、70℃で無期限に加熱され得る。いくつかの
実施形態では、試料は単一の温度で加熱され得る。いくつかの実施形態では、試料は、あ
る温度範囲(例えば、ある温度上昇範囲またはある温度低下範囲)にわたって加熱され得
る。ヒータは、バネ荷重式プレートをさらに備えてもよい。バネ荷重式プレートは、その
ようなバネ荷重式プレートのないヒータと比較して、試料チャンバとの熱接触を改善する
ことができる。
【0074】
一般に、フィルタは、試料から標的(例えば、核酸)を捕捉することができる任意の材
料を含むことができる。フィルタは、例えば、有機または無機であってよく、金属(例え
ば、銅または銀)または非金属であってよく、ポリマーであってもポリマーでなくてもよ
く、導電性、半導電性または非導電性(絶縁性)であってよく、反射しても反射しなくて
もよく、多孔質または非多孔質であってよい。上記のフィルタは、金属、金属酸化物、半
導体、ポリマー(特に、織布、不織布、成形、押出成形、キャストなどを含む任意の好適
な形態の有機ポリマー)、ケイ素、酸化ケイ素およびその複合体を含む任意の好適な材料
から形成することができる。本発明では、フィルタとして使用するのに適した多くの材料
(例えば、ポリマー)を使用することができる。フィルタとして使用するのに適した材料
には、限定するものではないが、ポリカーボネート、金、ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケ
イ素、インジウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、チタン、酸化チタン、白金、イリジウム
、酸化インジウムスズ、ダイヤモンドまたはダイヤモンド状フィルム、アクリル、スチレ
ン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸、アクリロニトリル-ブタジエ
ン-スチレン(ABS)、ABS/ポリカーボネート、ABS/ポリスルホン、ABS/
ポリ塩化ビニル、エチレンプロピレン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ニトロセルロー
ス、ナイロン(ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン6/6-6、ナイロン6/9、ナ
イロン6/10、ナイロン6/12、ナイロン11およびナイロン12を含む)、ポリア
クリロニトリル(PAN)、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフ
タレート(PBT)、ポリ(エチレン)(PE)(低密度、線状低密度、高密度、架橋お
よび超高分子量グレードを含む)、ポリ(プロピレン)(PP)、ポリブタジエン(PB
)のシスおよびトランス異性体、ポリイソプレンのシスおよびトランス異性体、ポリエチ
レンテレフタレート)(PET)、ポリプロピレン単独重合体、ポリプロピレン共重合体
、ポリスチレン(PS)(汎用グレードおよび高衝撃グレードを含む)、ポリカーボネー
ト(PC)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PECLまたはPCL)、ポリ(メタクリル
酸メチル)(PMMA)およびその同族体、ポリ(アクリル酸メチル)およびその同族体
、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)、ポリオルトエステル、ポリ(無水物
)、ナイロン、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリブタジエン(P
B)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミドおよびその同族体、例えば
、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、フッ素化ポリアクリレート(PFOA)、
ポリ(エチレン-ブチレン)(PEB)、ポリ(スチレン-アクリロニトリル)(SAN
)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびその誘導体、ポリオレフィンプラス
トマー、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン
(ETFE)、ペルフルオロアルコキシエチレン(PFA)、ポリフッ化ビニル(PVF
)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE
)、ポリエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、スチレン無水マレイン
酸(SMA)、金属酸化物、ガラス、グラスウール、酸化ケイ素または他の無機材料もし
くは半導体材料(例えば、窒化ケイ素)、化合物半導体(例えば、ヒ化ガリウムおよびヒ
化インジウムガリウム)、ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0075】
フィルタの例には、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナ
イロン、アミラーゼ、ガラス、天然および修飾セルロース(例えば、ニトロセルロース)
、ポリアクリルアミド、アガロースおよびマグネタイトが挙げられる。いくつかの例では
、フィルタは、溶媒に対するその優れた化学的耐性、その機械的安定性、その低い固有の
蛍光特性、および容易に官能化されるその柔軟性のために、シリカまたはガラスであり得
る。一例では、フィルタは酸化ケイ素(例えば、ガラス)から形成される。
【0076】
フィルタ材料は、望ましい方法で表面の特性を修飾するのに役立つ化合物またはコーテ
ィングの1つ以上の異なる層によって修飾されてもよい。例えば、フィルタは、フィルタ
の表面の全体または一部の上にコーティング材料をさらに含んでもよい。例えば、コーテ
ィング材料は、ニトロセルロース、シラン、チオール、ジスルフィドまたはポリマーであ
り得る。材料がチオールである場合、フィルタは金被覆表面を含んでもよく、および/ま
たはチオールは疎水性および親水性部分を含んでもよい。コーティング材料がシランであ
る場合、フィルタはガラスを含み、シランは、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基
、リン酸基、グリシドキシ基、スルホン酸基、イソシアナト基、チオール基またはアミノ
基を含む末端部分を提示してもよい。別の実施形態では、コーティング材料は、共有結合
したリンカー部分を有する誘導体化された単層または多層であってよい。例えば、単層コ
ーティングは、フィルタへの化学的または物理化学的結合を生成するチオール基(例えば
、チオアルキル酸(例えば、16-メルカプトヘキサデカン酸)、チオアルキルアルコー
ル、チオアルキルアミンおよびハロゲン含有チオアルキル化合物からなる群から選択され
るチオアルキル)、ジスルフィド基またはシラン基を有してもよい。フィルタへの単層の
付着は、非共有相互作用または共有反応によっても達成され得る。
【0077】
フィルタへの付着後、コーティングは少なくとも1つの官能基を含んでもよい。単層コ
ーティング上の官能基の例には、限定するものではないが、カルボキシル基、イソシアネ
ート基、ハロゲン基、アミン基またはヒドロキシル基が挙げられる。一実施形態では、コ
ーティング上のこれらの反応性官能基は、単層コーティング上の対応する活性化官能基に
対する標準的な化学技術(例えば、無水物または酸ハロゲン化物へのカルボキシル基の変
換など)により活性化され得る。末端アミノ基への共有結合のためのフィルタ上のコーテ
ィングの活性化官能基の例には、無水物、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルまたは
他の一般的な活性化エステルまたは酸ハロゲン化物が挙げられ、フィルタ上のコーティン
グの活性化官能基の例には、末端ヒドロキシル基と結合するための無水物誘導体;リンカ
ー化合物の酸化糖残基に結合するためのヒドラジン誘導体;またはリンカー化合物のチオ
ール基への共有結合のためのマレイミド誘導体が挙げられる。誘導体化されたコーティン
グを生成するために、コーティング上の少なくとも1つの末端カルボキシル基を無水物基
に活性化し、次いで、例えばリンカー化合物と反応させることができる。あるいは、コー
ティング上の反応性アミノ基への共有結合のために、コーティング上の官能基を活性化官
能基(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、酸ハロゲン化物、無水物および
イソシアネート)を有するリンカーと反応させてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、試料調製カートリッジはまた、廃棄物チャンバを備えること
ができる。場合によっては、試料が試料チャンバにフィルタを通して引き込まれ、廃棄物
チャンバに廃棄物が移送され得るように、廃棄物チャンバが試料チャンバに(例えば、導
管を介して)流体接続されてもよい。
【0079】
導管
試料調製カートリッジの任意の区画(例えば、チャンバまたはアッセイチューブ)は、
1つ以上の導管によって試料調製カートリッジの1つ以上の他の区画に流体接続されても
よい。試料調製カートリッジは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
13、14、15、16またはそれ以上の導管を備えてもよい。一般に、2つの区画間を
試料または試薬が通過することができるように、導管を使用して2つの区画を接続しても
よい。例えば、試料チャンバが廃棄物チャンバに流体接続されて、流体が試料チャンバか
ら廃棄物チャンバに圧送されるのを可能にしてもよい。
【0080】
本明細書に記載の試料調製カートリッジの構造は、適切に嵌合または接合されると本明
細書に記載の導管を形成する2つ以上の別個の層の集合体を備えることができる。例えば
、最上層の底面および最下層の上面はそれぞれ、嵌合されると導管を形成するトレンチ(
例えば、チャネルまたは溝)を備えることができる。典型的には、本明細書に記載の試料
調製カートリッジは、上部、底部および内部を備え、内部はカートリッジの導管を実質的
に画定する。例えば、本体構造は、カートリッジの導管ネットワーク、例えば内部を画定
するために嵌合される少なくとも2つの基材層から製造される。場合によっては、カート
リッジの上部は、チャンバ(例えば、試料チャンバ、緩衝液チャンバおよび廃棄物チャン
バ)を備えることができる。場合によっては、カートリッジの底部は、アッセイチューブ
が連結され得る1つ以上のアダプタまたはキャップを備える。
【0081】
上記のように、様々な材料を使用して、試料調製カートリッジの最上層および/または
最下層を製造してもよい。場合によっては、フォトリソグラフィ、湿式化学エッチング、
レーザーアブレーション、エアアブレーション技術、LIGA、反応性イオンエッチング
(RIE)、射出成形、エンボス加工および他の技術などの様々な製造技術との適合性に
基づいて材料を選択することができる。材料はまた、一般に、極端なpH、温度、塩濃度
、および電界の印加など、試料調製カートリッジがさらされ得るあらゆる条件との適合性
に合わせて選択することもできる。したがって、いくつかの態様では、材料は、例えば、
ガラス、石英、ケイ素またはポリシリコンなどのシリカベースの基材を含んでもよい。半
導体材料の場合、特にカートリッジまたはその内容物に電界が印加される用途では、材料
の上に酸化ケイ素などの絶縁コーティングまたは層を設けることが望ましいことが多い。
【0082】
いくつかの態様では、材料は、高分子材料、例えば、プラスチック、例えば、ポリメチ
ルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(TE
FLON(登録商標))、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリジメチルシロキサン(PDM
S)、ポリスルホンなどを含む。そのような高分子基材は、製造技術を使用して、射出成
形、エンボス加工もしくは押印などの成形技術を使用して、または金型内で高分子前駆体
材料を重合することによって、容易に製造することができる。そのような高分子材料は、
製造が容易であり、低コストであり、かつ使い捨て可能であるとともに、最も極端な反応
条件に対して一般に不活性である。繰り返しになるが、これらの高分子材料は、試料調製
カートリッジでのそれらの有用性を高めるために、例えば、流体の方向性を高めるために
、処理表面、例えば、誘導体化またはコーティングされた表面を含んでもよい。
【0083】
試料調製カートリッジは、例えば、創薬、免疫アッセイ、診断、核酸分析、例えば、遺
伝子分析などでのハイスループットスクリーニングアッセイの実行など、様々な用途に使
用することができる。したがって、本明細書に記載のカートリッジは、多くの場合、1つ
以上の導管開口部を含む。導管開口部とは、一般に、それを通して、導管、および導管が
接続される対応するチャンバにアクセスし得る任意の開口部を指すことができる。導管開
口部は、様々な理由のために有用であり得る。まず、導管開口部は、導管に沿ったポンプ
または弁の挿入を可能にすることができる。これは、以下で説明するように、使い捨ての
試料調製カートリッジの作製に特に有用である。試料調製カートリッジの導管開口部によ
り、カートリッジを再使用可能な試料調製装置(例えば、ポンプ、弁および/または電子
部品を備える再使用可能な装置)とドッキングすることができる。試料調製カートリッジ
の導管開口部により、比較的高価な部品を用いることなくカートリッジを製造することが
できる。
【0084】
次に、導管開口部により、行われるアッセイに応じて、それぞれの導管を介して、試料
調製カートリッジの異なるチャンバを流体接続することが可能になり得る。いくつかの実
施形態では、試料調製カートリッジは、複数セットの試薬を備えることができ、各セット
の試薬は、行われる特定のアッセイのために試料を処理するためのものである。例えば、
試料調製装置に試料調製カートリッジをドッキングすると、チャンバ1~5内の試薬が試
料チャンバに連続的に移送されるように、試料調製装置が構成されてもよい。別の例では
、試料調製装置に試料調製カートリッジをドッキングすると、チャンバ6~10内の試薬
が試料チャンバに連続的に移送されるように、試料調製装置が構成されてもよい。さらに
別の例では、試料調製装置に試料調製カートリッジをドッキングすると、チャンバ1内の
試薬がチャンバ2内の試薬と混合され、その後、2つの試薬の混合物が試料チャンバに連
続的に移送されるように、試料調製装置が構成されてもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、試料調製カートリッジは、カートリッジ上の各チャンバに流
体接続された別個の導管を備えることができる。いくつかの実施形態では、試料調製カー
トリッジは、別個の二次導管を介して共通または一次導管に接続される2つ以上のチャン
バを備えることができる。例えば、第1のチャンバに流体接続された第1の導管および第
2のチャンバに流体接続された第2の導管は、ともに一次導管に流体接続し得る。それぞ
れがチャンバまたはアッセイチューブに流体接続されてもよい任意の数の二次導管が、一
次導管に流体接続されてもよい。場合によっては、複数の二次導管が単一の一次導管に流
体接続される場合、弁を使用して、1つ以上の特定の二次導管への流れを制限してもよい
。
【0086】
複数の試料の並行または連続導入および分析には、複数の試料導入ポートまたは試料チ
ャンバが考えられる。あるいは、分析のために複数の試料をカートリッジに連続的に導入
する試料導入ポート、例えばピペットにカートリッジが連結されてもよい。
【0087】
アッセイチューブおよびキャップ
いくつかの実施形態では、本開示の試料調製カートリッジは、試料チャンバに流体接続
されたアッセイチューブキャップをそれぞれ有する1つ以上のアッセイチューブを備える
ことができる(例えば、
図4を参照)。本開示の任意の実施形態では、アッセイチューブ
はチャンバと交換され得ることを理解されたい。一般に、試料の処理に続いて、試料チャ
ンバに溶出緩衝液を加えて、フィルタから標的(例えば、核酸)を抽出し、アッセイチュ
ーブに標的を移送してもよい。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公
開第2017/0183713号に記載されているように、アッセイチューブは、アッセ
イチューブ内の試料から、分析装置801(例えば、
図8を参照)によって検出すること
ができる光信号を伝送することができるように透明であってよい。様々なPCRチューブ
を使用してもよい。例えば、アッセイチューブは、0.1mlもしくは0.2mlのPC
Rチューブ、または他の薄壁の市販のPCRチューブであってよい。好適なPCRチュー
ブは、例えば、Phenix Research Products,Candler,
North Carolina,BIOplasticsから入手することができる。い
くつかの実施形態では、アッセイチューブキャップは試料調製カートリッジに取り外し可
能に連結され得る(例えば、分離可能)。アッセイチューブはキャップに直接連結されて
もよい。例えば、試料調製カートリッジは、アッセイチューブが圧入またはスナップ嵌め
され得るアッセイチューブキャップのストリップに(例えば、穿孔により)取り外し可能
に取り付けられてもよい。試料調製カートリッジに1つ以上のアッセイチューブキャップ
を取り外し可能に取り付けることは、アッセイチューブ(試料を含む)およびキャップを
試料調製カートリッジから迅速に分離し、分析装置(サーマルサイクラーなど)に装填す
ることができるため、有利であり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、アッセイチューブキャップ401は1つ以上の導管402を
備えることができ、1つ以上の導管402を通して(i)アッセイチューブに試料403
を移送してもよく、および/または(ii)(例えば、アッセイチューブに流体を引き込
むために)圧力404を加えてもよい。一般に、導管はアッセイチューブキャップを通過
することができ、それにより、アッセイチューブと導管(例えば、試料チャンバから延び
る導管)との間に流体接続を提供する。アッセイチューブ(1301)およびキャップ(
1302)の例示的な断面図を
図13に示す。
【0089】
アッセイチューブキャップは、アッセイチューブに試薬または試料を供給するために、
キャップを通過する1つ以上の第1の導管を有することができる。いくつかの実施形態で
は、導管の端部は、導管からの試薬または試料の流れを制御するために、先端またはノズ
ル405を有することができる。当業者であれば、流れの様々な異なる側面が制御され得
ることを理解するであろう。非限定的な例には、流量、流れの種類(例えば、層流または
乱流)、および形成される液滴の大きさが挙げられる。ノズルを介した液体送達の2つの
懸念事項には、(i)液滴がノズルの端部に垂れたままにならないように液滴をきれいに
射出する方法、および(ii)液体の流れがアッセイチューブに送達される際にアッセイ
チューブの内容物が飛散しないようにする方法が含まれる。さらに、ノズルからの液体の
射出速度は、反応チャンバ内の第1および第2の送達液体間の混合を引き起こすのに十分
でなければならない。非常に小さい液滴は、高い射出速度できれいに射出することができ
るが、混合を引き起こすために、ウェル内に既に存在する液体の表面張力に打ち勝つのに
十分な運動エネルギーを有しない。対照的に、比較的大きな液滴も高い射出速度できれい
に射出するが、隣接するウェルに内容物を飛散させる傾向がある。比較的低い射出速度で
は、液体はノズル先端から垂れる最後の液滴を残す傾向があり、これは先端の断面積の関
数でもある。さらに、導管を通る液体の流量は、送達圧力に正比例し、導管の長さに反比
例し、直径に反比例する。ノズル先端から垂れる残留液滴を残すことなく液体がきれいに
排出され得るように、送達圧力および先端形状、ならびに構成材料を開発する際に、これ
らの変数をいずれも考慮しなければならない。場合によっては、ノズルまたは先端を使用
して、導管の断面積を増加させてもよい。場合によっては、導管の断面積は、ノズルまた
は先端の長さに沿って徐々に増加してもよい。場合によっては、ノズルまたは先端を使用
して、導管の断面積を減少させてもよい。場合によっては、導管の断面積は、ノズルまた
は先端の長さに沿って徐々に減少してもよい。ノズルは任意の形状であり得る。いくつか
の実施形態では、ノズルの形状は円錐形であってよい。場合によっては、ノズルの形状は
円筒形であってよい。場合によっては、ノズルの形状は半球であってよい。ノズルの形状
は、液体に応じて選択してもよく、連続した流れ、一連の拍動、または液滴形態で液体を
分配する方が有益な場合がある。
【0090】
場合によっては、アッセイチューブキャップは、キャップを通過する1つ以上の第2の
導管406を有することができる。これらの1つ以上の第2の導管は、ポンプに連結され
、アッセイチューブを通して引き込み圧力を発生させて、チャンバ(例えば、試料チャン
バ)からアッセイチューブに試料または試薬を引き込むために使用することができる。疎
水性および/または多孔質材料407を使用して、試料がアッセイチューブを満たす際に
液体が第2の導管に入るのを防ぎ得ることが考えられる。例えば、第2の導管の端部に分
子篩(例えば、気体に対して透過性であるが液体に対しては透過性でない材料)を配置し
得、その結果、篩を通して引き込み圧力を加えて、アッセイチューブに試料を引き込むこ
とができる。分子篩は、空気などの1つ以上の気体に対して透過性であってよい。しかし
、試料がアッセイチューブを満たすと(例えば、
図4Bを参照)、分子篩は試料が第2の
導管に流入するのを防いでもよい。本開示の任意の実施形態で使用される分子篩は、微多
孔性分子篩、メソ多孔性分子篩またはマクロ多孔性分子篩であり得る。分子篩の非限定的
な例には、ゼオライト、アルミノシリケート材料、多孔質ガラス、活性炭、粘土、モンモ
リロナイト、ハロイサイト、二酸化ケイ素およびシリカが挙げられる。場合によっては、
分子篩はフィルタ、例えばピペットチップフィルタである。フィルタは、液体に接触する
と自己シールすることができる。フィルタ材料は、疎水性、例えば、ポリテトラフルオロ
エチレンおよびポリエチレンであり得る。場合によっては、フィルタは、小さな細孔径、
例えば、10~12μm、12~15μm、15~20μmまたは20~25μmを有す
る。
【0091】
いくつかの実施形態では、2つ以上のキャップは、アッセイチューブ内にキャップを延
ばし、それによりアッセイチューブの最大作業容積に影響を与える様々な厚さを有するこ
とができる。例示的なアッセイチューブキャップおよびアッセイチューブを
図5A~Bに
示す。
図5Aは、
図5Bに示す比較的厚い厚さを有するアッセイチューブキャップ502
よりも薄い厚さを有するアッセイチューブキャップ501を示す。一般に、キャップの厚
さが厚いほど(例えば、アッセイチューブ内にキャップをさらに延ばす)、アッセイチュ
ーブの最大作業容積は小さくなる。これは、少量の試料に有益であり得る。場合によって
は、アッセイチューブキャップの厚さは、少なくとも約0.1mm、約0.2mm、約0
.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、
約0.9mm、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、
約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2.0m
m、約2.5mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約
9mm、約10mmまたは約10mm超であってよい。場合によっては、アッセイチュー
ブの作業容積が減少しないことがある。場合によっては、アッセイチューブの作業容積は
、少なくとも約1%約2%、約3%約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約
25%、約50%、約75%または約75%超減少し得る。キャップの厚さを厚くすると
、アッセイチューブの底部と、それを通って試料がアッセイチューブに堆積する導管の端
部との間の距離が短くなる。これは、上記のように、液滴がアッセイチューブ内に既に存
在する液体に落ちると、試料の混合に影響を与える可能性がある。
【0092】
試料調製装置
試料調製カートリッジは、あるチャンバから別のチャンバまたはアッセイチューブに流
体を移送するための試料調製装置と、装置を制御し、および/または装置から得られたデ
ータを解釈するためのコンピュータベースのインターフェースとを備え得る比較的大きな
システムの1つの構成要素であり得る。試料調製装置は、様々な機械的要素(例えば、ポ
ンプおよび/または弁)と、他のコンピュータ制御されるシステムとを含むことができる
。例示的なシステムを
図7に示す。試料調製カートリッジは、様々なチャンバを備えるハ
ウジングを含む。試料調製カートリッジ701は、
図2Aに示すように、ポンプ103、
108および109および/または弁(図示せず)を有する試料調製装置702にドッキ
ングされて、試薬チャンバ101、試料チャンバ104および廃棄物チャンバ106を含
む2つ以上のチャンバ間の流体の移送を(例えば、試薬チャンバから試料チャンバまで)
制御する。1つ以上の試料チャンバから続く導管は、ドッキングされると、1つ以上のポ
ンプおよび/または弁に(例えば、配管またはチャネルを介して)流体接続され(704
)、それによりポンプおよび/または弁が、あるチャンバから別のチャンバへの流体の流
れを制御することが可能になる。ポンプおよび/または弁は、ワイヤレスで、または
図9
に示すように、1つ以上のコンピュータ制御システムによる電気接続705を使用して制
御され得る。
【0093】
試料調製カートリッジは、電波識別(RFID)ユニットまたはメモリに記憶された情
報を含んでもよい。情報は、処理中の試料、試料を処理するためのルーチン、またはカー
トリッジのユーザに関する情報を一意に識別し得るバーコードを含んでもよい。あるいは
、試料調製カートリッジは、RFIDユニットまたはメモリを含まなくてもよい。いくつ
かの実施形態では、試料調製は、処理中の試料、試料を処理するためのルーチン、または
カートリッジのユーザに関する情報を一意に識別し得る印刷バーコードまたは英数字コー
ドを含んでもよい。
【0094】
試料調製装置は、1つ以上の流体流ユニットを備えてもよい。流体流ユニットは、導管
と流体連通することができ、あるチャンバ(またはウェル)から別のチャンバ(またはウ
ェル)に試薬を流すように構成することができる。試料調製装置は、少なくとも1、少な
くとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、
少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少な
くとも40またはそれ以上の流体流ユニットを備えてもよい。流体流ユニットは、ポンプ
または圧縮機を備えることができる。場合によっては、流体流ユニットはポンプまたは圧
縮機である。場合によっては、流体流ユニットは、少なくとも1、少なくとも2、少なく
とも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少
なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40または
それ以上のポンプまたは圧縮機を備えることができる。
【0095】
ポンプを使用して導管内に圧力を発生させて、あるチャンバから別のチャンバに流体を
引き込むか、チャンバ内に気泡を生成してチャンバ内の液体の混合を誘発してもよい。ポ
ンプは、導管に沿って、またはある導管開口部を別の導管開口部に接続する配管に沿って
配置することができる。ポンプによって加えられる圧力は、断続的(例えば、蠕動ポンプ
)または連続的(例えば、動的ポンプまたは速度ポンプ)であり得る。様々な装置を使用
してもよい。使用され得るポンプの非限定的な例には、容積型ポンプ、ギアポンプ、スク
リュポンプ、回転ベーンポンプ、往復ポンプ、プランジャポンプ、ダイアフラムポンプ、
ピストンポンプ、回転ローブポンプ、プログレッシブキャビティポンプ、回転ギアポンプ
、ピストンポンプ、油圧ポンプ、蠕動ポンプ、ロープポンプ、可撓性インペラポンプ、イ
ンパルスポンプ、速度ポンプ、ラジアルフローポンプ、斜流ポンプ、エデュケータージェ
ットポンプ(educator-jet pump)、重力ポンプ、蒸気ポンプおよび無
弁ポンプが挙げられる。
【0096】
場合によっては、ポンプは多方向ポンプである。多方向ポンプを使用して、2つ以上の
方向またはもう2つの動作モード(例えば、各モードが異なる圧力または圧力降下を提供
する)で流体の流れを制御することができる。例えば、ポンプは双方向ポンプであってよ
い。双方向ポンプは、正圧または負圧(または圧力降下)を供給し得る。双方向ポンプは
、2つの反対方向の流体の流れを制御することができる。ポンプ圧力は、システムの動作
中または本明細書に記載の方法の実行中に、経時的に制御または変更することができる。
別の例として、ポンプは、第1の圧力降下が適用される第1のモードおよび第2の圧力降
下が適用される第2のモードなどの複数の動作モードで動作することができる。第1の圧
力降下および/または第2の圧力降下は、それぞれ正圧を生じさせ得る。代替として、第
1の圧力降下および/または第2の圧力降下は、それぞれ負圧を生じさせ得る。別の代替
として、第1の圧力降下は正圧を生じさせ得、第2の圧力降下は負圧を生じさせ得る。
【0097】
多方向ポンプは、基準(例えば、周囲圧力)に対して増加または減少した圧力を供給す
ることができる。
図12A~
図12Bは、経時的なポンプ圧力変化の例示的なグラフを示
す。本明細書で提供されるシステムは、ポンプに含まれるか、ポンプに接続された圧力セ
ンサをさらに備えることができる。圧力センサは、ポンプに連結された導管を流れる気体
または液体の圧力を測定することができる。このような測定を使用してポンプを調節する
ことができる。例えば、圧力が変化すると、圧送を終了させてもよい。場合によっては、
ポンプ圧力センサは、廃棄物ポンプ(例えば、
図1DのP2)の圧力を監視する。場合に
よっては、ポンプ圧力センサは、緩衝液ポンプ(または試薬ポンプ、例えば
図1DのP1
)の圧力を監視する。場合によっては、ポンプ圧力センサは、反応ポンプ(または試料ポ
ンプ、例えば
図1DのP3)の圧力を監視する。
【0098】
本開示のポンプは、様々な圧力または圧力降下を供給するように構成されてもよい。圧
力は正圧でも負圧でもよい。いくつかの例では、ポンプ(例えば、多方向ポンプ)は、-
50kPa~50kPa、-40kPa~40kPa、-20kPa~20kPa、-1
0kPa~10kpa、-5kPa~5kPaまたは-2kPa~2kPaの範囲の圧力
降下を供給してもよい。圧力は、約0.01kPa以上、0.1kPa、1kPa、2k
Pa、5kPa、10kPa、20kPa、30kPa、40kPa、50kPa、10
0kPa以上であってよい。圧力は、約100kPa以下、50kPa、40kPa、3
0kPa、20kPa、10kPa、5kPa、2kPa、1kPa、0.1kPa、0
.01kPa以下であってよい。
【0099】
場合によっては、単一のポンプが単一の導管に流体連結されてもよい(または単一の導
管内に圧力を発生させることができてもよい)。例えば、試料チャンバと廃棄物チャンバ
との間の導管に沿ってポンプを配置して、試料チャンバから廃棄物チャンバに試料を圧送
することができる。別の例では、アッセイチューブの下流の導管に沿ってポンプを配置し
て、試料チャンバからアッセイチューブに試料を引き込むことができる(例えば、追加の
導管を介して試料チャンバにアッセイチューブを流体接続することができる。場合によっ
ては、単一のポンプが複数の導管に同時に流体連結されてもよい(または複数の導管内に
圧力を発生させることができてもよい)。例えば、一次導管に沿ってポンプを配置するこ
とができ、一次導管の一端は複数の二次導管に分岐し、それらのそれぞれがチャンバに流
体接続される。
【0100】
別の態様では、本開示は、第1の流体流路と流体連通する第1のポンプおよび第2のポ
ンプを備えるシステムを提供する。第1のポンプおよび第2のポンプは、多方向ポンプ(
例えば、双方向ポンプ)であり得る。第1のポンプおよび第2のポンプは、第1の方向お
よび第2の方向に沿って第1の流体流路内の流体を流すように構成することができる。第
2の方向は、第1の方向とは異なっていてもよい。
【0101】
例えば、第1のポンプは、正圧を供給して、第1の方向に沿って流体を流すことができ
る。そのような場合、第2のポンプは負圧を供給して、第1の方向に沿って流体を駆動す
ることができる。次に、第1のポンプは負圧を供給することができ、第2のポンプは正圧
を供給して、第1の方向とは反対であり得る第2の方向に沿って流体を流すことができる
。
【0102】
そのようなシステムは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20
、30、40、50またはそれ以上の多方向ポンプを含むことができる。場合によっては
、流体流路は、弁、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20または
それ以上の弁を含んでもよい。代替として、流体流路は、流体流路内に弁を含まなくても
よい。
【0103】
流体流路は、チャネルまたは導管であり得る。例えば、流体流路は、高分子、金属また
は複合基材のチャネルであり得る。
【0104】
特に、単一のポンプを使用して複数のチャンバに引き込み圧力を加える場合、1つ以上
の弁が使用されてもよい。上記の例では、一次導管に沿ってポンプを配置することができ
、一次導管の一端は複数の二次導管に分岐し、それらのそれぞれがチャンバに流体接続さ
れる。1つ以上の二次分岐に沿って弁を配置することができ、それにより、ポンプによっ
てチャンバに加えられる圧力を調節する。当業者であれば、様々な弁が使用され得ること
を理解するであろう。使用され得る弁の非限定的な例には、ボール弁、バタフライ弁、セ
ラミックディスク、クラッパ弁、チェック弁、チョーク弁、ダイアフラム弁、ゲート弁、
グローブ弁、ナイフ弁、ニードル弁、ピンチ弁、ピストン弁、プラグ弁、ポペット弁、ス
プール弁、温度膨張弁、減圧弁、サンプリング弁および安全弁が挙げられる。いくつかの
実施形態では、弁は一方向弁であり得る。いくつかの実施形態では、弁は二方向弁であり
得る。いくつかの実施形態では、弁は三方弁であり得る。いくつかの実施形態では、弁は
四方弁であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムは弁を備えてい
なくてもよい。
【0105】
また、試料調製カートリッジおよびシステムの性能を監視するためにセンサが実装され
てもよい。例えば、圧力センサを使用して、試料調製カートリッジの1つ以上の導管を通
る流体の動きを検出してもよい。別の例では、圧力センサーは、漏れまたはコンタミネー
ションを検出するために使用され得る。さらに別の例では、光学センサまたは電気的セン
サを使用して、チャンバまたは導管内の流体のレベルまたは量を検出してもよい。使用さ
れ得るセンサの非限定的な例には、圧力センサ、水分センサ、磁気センサ、歪みゲージ、
力センサ、誘導性センサ、抵抗センサ、容量式センサ、光学センサおよびそれらの任意の
組合せが挙げられる。
【0106】
キット
本明細書では、試料を処理するためのキットが提供される。キットは、1つ以上の試料
処理カートリッジおよび/または1つ以上の試薬を含んでもよい。キットは、試料を処理
するための説明書を含んでもよい。カートリッジは、本開示のシステムとインターフェー
スするように構成されてもよい。
【0107】
1つ以上の試薬は、溶解緩衝液、洗浄緩衝液、乾燥剤および溶出緩衝液を含んでもよい
。例えば、1つ以上の試薬は、NP-40溶解緩衝液、放射性免疫沈降アッセイ(RIP
A)溶解緩衝液、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶解緩衝液、塩化アンモニウム-カ
リウム(ACK)溶解緩衝液、揮発性化学物質(例えば、アセトンおよびエタノール)、
EDTA、Tris-HCl、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ヘキサメチルジシラザ
ン(HMDS)、トリクロロトリフルオロエタン(Freon 113)、テトラメチル
シラン(TMS)、PELDRI IIおよび水を含むことができる。1つ以上の試薬は
、室温で保存した際に安定であり得る。1つ以上の試薬は、室温で保存した際に、少なく
とも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年またはそ
れ以上にわたり安定であり得る。
【0108】
1つ以上の試薬は乾燥剤を含んでもよい。乾燥剤は、室温で保存した際に安定であり得
る。乾燥剤は、室温で保存した際に、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年
、少なくとも4年、少なくとも5年またはそれ以上にわたり安定であり得る。
【0109】
説明書は、物理的な形態(例えば、印刷された形態)または電子的な形態であってよい
。説明書は印刷媒体に含まれていてもよい。代替として、インターネット上のユーザが、
ユニフォームリソースロケータなどを介して説明書にアクセス可能であってよい。
【0110】
コンピュータ制御システム
本開示は、本開示の方法を実施するようにプログラムされたコンピュータ制御システム
を提供する。
図9は、試料を処理するようにプログラムまたは構成されたコンピュータシ
ステム901を示す。コンピュータシステム901は、例えば、あるチャンバから別のチ
ャンバに試薬または試料を移送するための弁またはポンプの作動など、本開示の試料調製
装置の様々な態様を調節することができる。いくつかの態様では、コンピュータシステム
は、どの試薬もしくは試料が一緒に混合されるか、または試料もしくは試薬があるチャン
バから別のチャンバに移送される速度を調節することができる。コンピュータシステム9
01は、ユーザの電子装置、または電子装置に対して遠隔に位置するコンピュータシステ
ムを含むことができる。電子装置は、携帯型電子装置であり得る。
【0111】
コンピュータシステム901は、中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」
および「コンピュータプロセッサ」)905を含み、中央処理装置はシングルコアもしく
はマルチコアプロセッサ、または並列処理のための複数のプロセッサであり得る。コンピ
ュータシステム901はまた、メモリまたはメモリ位置910(例えば、ランダムアクセ
スメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶ユニット915(例えば
、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムとの通信のための通信インターフェース9
20(例えば、ネットワークアダプタ)、および周辺装置925、例えば、キャッシュ、
他のメモリ、データ記憶および/または電子ディスプレイアダプタを含む。メモリ910
、記憶ユニット915、インターフェース920および周辺装置925は、マザーボード
などの通信バス(実線)を介してCPU905と通信する。記憶ユニット915は、デー
タを記憶するためのデータ記憶ユニット(またはデータリポジトリ)であり得る。コンピ
ュータシステム901は、通信インターフェース920の助けを借りて、コンピュータネ
ットワーク(「ネットワーク」)930に動作可能に連結され得る。ネットワーク930
は、インターネット、インターネットおよび/またはエクストラネット、またはインター
ネットと通信するイントラネットおよび/またはエクストラネットであり得る。場合によ
っては、ネットワーク930は電気通信および/またはデータネットワークである。ネッ
トワーク930は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能に
することができる1つ以上のコンピュータサーバを含むことができる。場合によっては、
ネットワーク930は、コンピュータシステム901の助けを借りて、ピアツーピアネッ
トワークを実装することができ、これにより、コンピュータシステム901に連結された
装置がクライアントまたはサーバとして動作できるようになり得る。
【0112】
CPU905は、一連の機械可読命令を実行することができ、機械可読命令はプログラ
ムまたはソフトウェアで具体化することができる。命令は、メモリ910などのメモリ位
置に記憶されてもよい。命令は、CPU905に向けられ得、命令は、その後、本開示の
方法を実施するようにCPU905をプログラムまたは構成し得る。CPU905によっ
て実行される動作の例には、フェッチ、デコード、実行およびライトバックが挙げられ得
る。
【0113】
CPU905は、集積回路などの回路の一部であり得る。システム901の1つ以上の
他の構成要素が回路に含まれ得る。場合によっては、回路は特定用途向け集積回路(AS
IC)である。
【0114】
記憶ユニット915は、ドライバ、ライブラリおよび保存されたプログラムなどのファ
イルを記憶することができる。記憶ユニット915は、ユーザデータ、例えば、ユーザ嗜
好およびユーザプログラムを記憶することができる。場合によっては、コンピュータシス
テム901は、イントラネットまたはインターネットを介してコンピュータシステム90
1と通信するリモートサーバ上に位置するなど、コンピュータシステム901の外部にあ
る1つ以上の追加のデータ記憶ユニットを含むことができる。
【0115】
コンピュータシステム901は、ネットワーク930を介して1つ以上のリモートコン
ピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム901は、ユ
ーザのリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシ
ステムの例には、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレートもしく
はタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsu
ng(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple
(登録商標)iPhone(登録商標)、Android対応装置、Blackberr
y(登録商標))または携帯情報端末が挙げられる。ユーザは、ネットワーク930を介
してコンピュータシステム901にアクセスすることができる。
【0116】
本明細書に記載の方法は、例えば、メモリ910または電子記憶ユニット915など、
コンピュータシステム901の電子記憶位置に記憶された機械(例えば、コンピュータプ
ロセッサ)実行可能コードによって実施することができる。機械実行可能コードまたは機
械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供され得る。使用中、プロセッサ905によっ
てコードを実行することができる。場合によっては、コードは、プロセッサ905による
容易なアクセスのために、記憶ユニット915から検索され、メモリ910に記憶され得
る。いくつかの状況では、電子記憶ユニット915を除外することができ、機械実行可能
命令がメモリ910に記憶される。
【0117】
コードは、コードを実行するように構成されたプロセッサを有する機械を用いて使用す
るために事前コンパイルおよび構成することができるか、実行時にコンパイルすることが
できる。コードは、事前コンパイルまたはアズコンパイル(as-compiled)の
様式でコードを実行可能にするように選択され得るプログラミング言語で供給されてもよ
い。
【0118】
コンピュータシステム901など、本明細書で提供されるシステムおよび方法の態様は
、プログラミングで具体化することができる。この技術の様々な態様は、典型的には、機
械(またはプロセッサ)実行可能コードおよび/またはあるタイプの機械可読媒体に搭載
または具体化される関連データの形態で、「製品」または「製造品」と考えられ得る。機
械実行可能コードは、メモリ(例えば、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、
フラッシュメモリ)またはハードディスクなどの電子記憶ユニットに記憶することができ
る。「記憶」タイプの媒体には、コンピュータ、プロセッサなど、またはその関連モジュ
ールの有形メモリのいずれかまたは全部、例えば、ソフトウェアプログラミングに対して
任意の時点で非一時的記憶を提供し得る様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスク
ドライブなどが含まれ得る。ソフトウェアの全部または一部は、時に、インターネットま
たは他の様々な電気通信ネットワークを介して通信されてもよい。そのような通信は、例
えば、あるコンピュータまたはプロセッサから別のコンピュータまたはプロセッサ、例え
ば管理サーバまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラ
ットフォームへのソフトウェアのローディングを可能にし得る。したがって、ソフトウェ
ア要素を搭載し得る別のタイプの媒体には、ローカル装置間の物理的インターフェース、
有線および光固定電話ネットワークならびに様々なエアリンクを介して使用されるような
光波、電波および電磁波も含まれる。例えば、有線リンクまたは無線リンク、光学式リン
クなど、そのような波を運ぶ物理的要素もまた、ソフトウェアを搭載した媒体と考えられ
得る。本明細書で使用される場合、非一時的な有形の「記憶」媒体に限定されない限り、
コンピュータまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を提
供することに関与する任意の媒体を指す。
【0119】
したがって、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、限定するものではな
いが、有形の記憶媒体、搬送波媒体または物理的伝送媒体を含む多くの形態を取り得る。
不揮発性記憶媒体には、例えば、図面に示されるデータベースなどを実装するために使用
され得るような、任意の(1または複数の)コンピュータなどの記憶装置のいずれかなど
の光学または磁気ディスクが含まれる。揮発性記憶媒体には、そのようなコンピュータプ
ラットフォームのメインメモリなどの動的メモリが含まれる。有形伝送媒体には、同軸ケ
ーブル、すなわち、コンピュータシステム内のバスを構成する配線を含む銅線および光フ
ァイバが含まれる。搬送波伝送媒体は、無線周波数(RF)および赤外(IR)データ通
信中に生成されるものなど、電気信号もしくは電磁信号、または音波もしくは光波の形態
を取り得る。したがって、一般的な形態のコンピュータ可読媒体には、例えば、フロッピ
ーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体
、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、他の任意の光学媒体、パンチカード紙
テープ、穴のパターンを有する他の任意の物理記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよ
びEPROM、FLASH-EPROM、他の任意のメモリチップもしくはカートリッジ
、データもしくは命令を運ぶ搬送波、そのような搬送波を運ぶケーブルもしくはリンク、
またはコンピュータがそこからプログラミングコードおよび/またはデータを読み取り得
る他の任意の媒体が含まれる。これらの形態のコンピュータ可読媒体の多くは、実行のた
めにプロセッサに1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを運ぶことに関与し得る。
【0120】
コンピュータシステム901は、例えば、試料の処理の現在の段階(例えば、行われて
いる溶解工程などの特定の工程)を提供するためのユーザインターフェース(UI)94
0を備える電子ディスプレイ935を含むか、それと通信することができる。UIの例に
は、限定するものではないが、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、および
Webベースのユーザインターフェースが挙げられる。
【0121】
本開示の方法およびシステムは、1つ以上のアルゴリズムによって実施することができ
る。アルゴリズムは、中央処理装置905による実行時にソフトウェアによって実施する
ことができる。
【0122】
例示のために、例示的なアプリケーションを参照していくつかの態様を説明する。特に
明記しない限り、任意の実施形態は、他の任意の実施形態と組み合わせることができる。
本明細書に記載される特徴の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細、関係およ
び方法が記載されていることを理解されたい。しかし、当業者であれば、本明細書に記載
される特徴が、特定の詳細のうちの1つ以上を伴うことなく、または他の方法を用いて実
施することができることを容易に認識するであろう。いくつかの行為は異なる順序で、お
よび/または他の行為または事象と同時に行うことができるため、本明細書に記載される
特徴は、行為または事象の例示された順序に限定されない。さらに、例示された行為また
は事象のすべてが、本明細書に記載される特徴に従って方法を実施するために必要とされ
るわけではない。
【0123】
本明細書のいくつかの発明の実施形態は、数値範囲を企図している。範囲が存在する場
合、範囲は、この範囲の端点を含む。さらに、この範囲内のすべての下位範囲および値が
、あたかも明確に書き出されているように存在する。用語「約」または「およそ」は、当
業者によって決定される特定の値の許容誤差範囲内であることを意味し得、値が測定また
は決定される方法、例えば、測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は
、当技術分野の慣例に従って、1以内または1を超える標準偏差を意味し得る。あるいは
、「約」は、所定の値の最大20%、最大10%、最大5%または最大1%の範囲を意味
し得る。あるいは、特に、生物学的な系またはプロセスに関して、この用語は、値の1桁
以内、5倍以内または2倍以内を意味し得る。本出願および特許請求の範囲に特定の値が
記載されている場合、他に断りがなければ、その特定の値の許容誤差範囲内を意味する用
語「約」を想定することができる。
【0124】
[実施例]
実施例1.PCRを使用して水系病原体を検出するための水試料の処理
水試料中の水系細菌を検出するために、試料調製システムを開始し、それにより、ポン
プが試薬チャンバから試料チャンバに、RNase Aを含有する0.5mLのTris
-EDTA緩衝液を移送する。試料チャンバがトリス緩衝液によって満たされると、1m
Lシリンジを使用して水試料を得、これを試料チャンバ内に堆積させてトリス緩衝液と混
合する。トリス緩衝液に曝露される細菌細胞の数を最大にするために、水試料から得られ
た細菌を混合物中に完全に懸濁させる。周囲空気に接続された第2のポンプを使用して試
料チャンバに正圧を供給し、それにより、試料およびトリス緩衝液を混合するために混合
物中に気泡を生成する。NaOH/SDS(溶解緩衝液)を含む第2の試薬チャンバに流
体接続された弁が開き、ポンプが試料チャンバに0.5mLのNaOH/SDSを移送す
る。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、細胞膜のリン脂質およびタンパク質成分を可
溶化し、細胞内容物の溶解および放出をもたらす。NaOHは、染色体DNAおよびプラ
スミドDNAならびにタンパク質を変性させる。RNase Aの存在により、遊離した
細胞RNAが溶解中に確実に消化される。溶解緩衝液は、試料およびトリス緩衝液混合物
と5分以内に混合される。酢酸カリウム(中和剤)を含む第3の試薬チャンバに流体接続
された弁が開き、ポンプを使用して試料チャンバに0.5mLの酢酸カリウムを移送する
。高塩濃度により、ドデシル硫酸カリウム(KDS)が沈殿し、変性したタンパク質、染
色体DNA、および細胞片が不溶性の塩-洗剤複合体に共沈殿する。プラスミドDNAは
環状で共有結合的に閉じており、正しく再生し、溶液中に残る。廃棄物ポンプを使用して
、試料チャンバの底部近くに配置されたフィルタを通して溶液を引き込み、それにより、
フィルタ内のプラスミドDNAを捕捉し、廃棄物チャンバに溶液の残部を移送する。捕捉
されたDNAから残留中和剤および/または溶解緩衝液を除去するために、試料チャンバ
に1mLのアセトンを圧送し、フィルタを通して廃棄物チャンバに引き出す。アセトン洗
浄により、試料チャンバ内の不純物を希釈し除去する。残留アセトンを残らず除去するた
めに、試料チャンバの下に配置された加熱パッドを作動させて試料チャンバを加熱し、そ
れにより残留アセトンを蒸発させる。水(溶出緩衝液)を含むチャンバに流体接続された
弁が開き、ポンプが試料チャンバに0.3mLの水を移送する。DNAを水に溶出し、ポ
ンプを使用して、3本のアッセイチューブのそれぞれに0.1mLの試料(例えば、DN
Aを含有する水)を引き込み、各アッセイチューブは、細菌またはウイルス病原体(例え
ば、e.コリ(e.Coli)、シゲラ(shigella)、S.チフィ(S.Typ
hi)、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス)のDNAを検出するための一対のPCR
プライマーを含む。
【0125】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、そのような実施形態が
例としてのみ提供されていることは当業者には明らかであろう。本発明が本明細書内で提
供される特定の例によって限定されることは意図されない。上記明細書を参照して本発明
を説明してきたが、本明細書での実施形態の説明および例示は、限定の意味で解釈される
ことを意図していない。ここで、本発明から逸脱することなく、多数の変形例、変更およ
び置換が当業者に思い浮かぶであろう。さらに、本発明のすべての態様は、様々な条件お
よび変数に依存する本明細書に記載の特定の図、構成または相対比率に限定されないこと
を理解されたい。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発
明を実施する際に使用され得ることを理解されたい。したがって、本発明が、任意のその
ような代替物、修正、変形例または均等物も包含することが企図される。以下の特許請求
の範囲が本発明の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそ
れらの均等物が特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料処理カートリッジであって、
内部の試料から1つ以上の核酸分子を捕捉するように構成されたフィルタを備える試料チャンバと、
第1の導管によって前記試料チャンバに流体連結され、試薬を含むように構成されたウェルと、
1つ以上のアッセイチューブと、ここで前記1つ以上のアッセイチューブのうちの所定のアッセイチューブは、第2の導管を介して前記試料チャンバに流体連結され、
前記第1の導管に流体接続された第1の開口部と、を備え、前記第1の開口部が、前記第1の導管に流体流ユニットを流体接続するように構成され、前記流体流ユニットが、前記試料の処理のために携帯型電子装置から命令を受け取り、前記命令に従って、(i)前記ウェルから前記第1の導管に沿って前記試料チャンバに前記試薬を流すように前記流体流ユニットを誘導して、前記試料チャンバ内に前記試薬および前記1つ以上の核酸分子を含む溶液を提供し、(ii)前記試料チャンバから前記第2の導管に沿って前記1つ以上のアッセイチューブに前記溶液を流すように前記流体流ユニットを誘導して、前記所定のアッセイチューブが前記溶液の少なくとも一部を受け取るようにするように構成されたコントローラに連結される試料処理カートリッジ。
【請求項2】
前記1つ以上のアッセイチューブに流体連結され、前記1つ以上のアッセイチューブの下流に配置された第2の流体流ユニットをさらに備える、請求項1に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項3】
前記第2の流体流ユニットが、第3の導管によって前記1つ以上のアッセイチューブに流体接続される、請求項2に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項4】
第4の導管によって前記試料チャンバに流体連結された廃棄物チャンバをさらに備える、請求項1に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項5】
前記試料チャンバに接続されたシュノーケルをさらに備える、請求項1に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項6】
前記廃棄物チャンバが、第3の流体流ユニットにさらに接続される、請求項4に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項7】
前記第3の流体流ユニットが、前記廃棄物チャンバと前記試料チャンバとの間に、前記第4の導管に沿って配置される、請求項6に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項8】
前記第3の流体流ユニットが、前記廃棄物チャンバの下流に配置される、請求項6に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項9】
覆いをさらに備える、請求項1に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項10】
前記流体流ユニットがポンプである、請求項1に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項11】
前記ポンプが多方向ポンプである、請求項10に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項12】
前記流体流ユニットが圧力センサに連結される、請求項1に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項13】
前記流体流ユニットが1つ以上のポンプである、請求項1に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項14】
前記流体流ユニットが圧縮機である、請求項1に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項15】
前記コントローラは、前記携帯型電子装置と無線通信するように構成されている、請求項1に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項16】
第5の導管によって前記試料チャンバに流体的に連結された緩衝チャンバをさらに備える、請求項1に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項17】
前記緩衝チャンバがさらに第4の流体流ユニットに連結されている、請求項16に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項18】
前記第4の流体流ユニットは、前記緩衝チャンバと前記試料チャンバの間の前記第5の導管に沿って配置される、請求項17に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項19】
前記アッセイチューブに取り外し可能に結合されたキャップをさらに含み、
前記キャップの少なくとも一部が前記アッセイチューブ内に延び、前記アッセイチューブ内に最大作業容量を提供する、請求項1に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項20】
前記第2の導管が前記キャップを通って延びる、請求項19に記載の試料処理カートリッジ。
【請求項21】
前記キャップが、前記キャップを通って延びる追加の導管の端部に向かって配置された自己シール可能なフィルタを備え、
前記自己シール可能なフィルタは、前記自己シール可能なフィルタが前記アッセイチューブ内の液体と接触するとき、前記追加の導管への真空の適用下で、前記アッセイチューブからの液体が前記第2の導管及び前記追加の導管に入ることを防止するように構成されている、請求項20記載の試料処理カートリッジ。
【外国語明細書】