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特開2023-116645フリー体のクリサボロールの結晶形ならびにそれらの調製方法および使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116645
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】フリー体のクリサボロールの結晶形ならびにそれらの調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20230815BHJP
   A61K 31/69 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C07F5/02 C
A61K31/69
A61P17/06
A61P17/04
A61P37/08
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096006
(22)【出願日】2023-06-12
(62)【分割の表示】P 2021107201の分割
【原出願日】2017-05-09
(31)【優先権主張番号】201610301832.6
(32)【優先日】2016-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】505465841
【氏名又は名称】アナコール ファーマシューティカルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】ミンファ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンフェン チャン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ ルー
(72)【発明者】
【氏名】ナン シャー
(72)【発明者】
【氏名】シャンユー チャン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フリー体のクリサボロールの結晶形ならびにそれらの調製方法および使用を提供する。
【解決手段】以下の一般式:

を有し、Cu-Kα照射により、X線粉末回析パターンが、回析角2θ:15.3°±0.2°、26.1°±0.2°、14.1°±0.2°において特徴的なピークを示すことを特徴とする、フリー体のクリサボロールの結晶形Iとする。乾癬およびアレルギー性皮膚炎を治療するための医薬製剤の製造における前記結晶形Iの使用も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式:
【化1】
を有し、Cu-Kα照射により、X線粉末回析パターンが、回析角2θ:15.3°±0.2°、26.1°±0.2°、14.1°±0.2°において特徴的なピークを示すことを特徴とする、フリー体のクリサボロールの結晶形I。
【請求項2】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:18.1°±0.2°、24.8°±0.2°、16.0°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項1に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形I。
【請求項3】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:28.4°±0.2°、21.4°±0.2°、6.0°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項1に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形I。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形Iを調製する方法であって、該方法は
1)フリー体のクリサボロールの固体を、単一の揮発性溶媒中に、生成混合物が清澄になるまで溶解させ、生成混合物に対して揮発結晶化を行って、結晶形Iの固体を産生し、この場合、単一の揮発性溶媒は、アルキルニトリル、アルキルエーテル、ハロゲン化炭化水素およびエステルから選択される、様式か、または、
2)フリー体のクリサボロールの固体を単一溶媒もしくは混合溶媒中に懸濁させて、懸濁液を産生し、懸濁液を撹拌し、分離に付し、乾燥させて、結晶形Iの固体を産生し、この場合、単一溶媒は、水および芳香族炭化水素から選択され;混合溶媒は、水とアルコール、アルキルニトリル、エステル、ケトン、アミド、環状エーテルもしくはジメチルスルホキシドの群から選択されるさらなる溶媒との混合溶媒であり、ここで、水のさらなる溶媒に対する体積比は、4:3~5:1の間の範囲であるか、もしくは混合溶媒は、飽和脂肪族炭化水素とケトン、エステル、環状エーテル、ハロゲン化炭化水素もしくはアルコールとの混合溶媒であるか、もしくは混合溶媒は、芳香族炭化水素とハロゲン化炭化水素との混合溶媒である、様式
で実施されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形Iを調製する方法であって、単一の揮発性溶媒が、アセトニトリル、メチルtert-ブチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、エチルアセテートの群から選択され;混合溶媒が、水とメタノール、アセトニトリル、イソプロピルアセテート、1,4-ジオキサン、アセトン、ジメチルホルムアミドもしくはジメチルスルホキシドとの混合溶媒であるか、または混合溶媒が、n-ヘプタンとメチルイソブチルケトン、エチルアセテート、2-メチルテトラヒドロフラン、クロロホルムもしくはエタノールとの混合溶媒であるか、または混合溶媒が、トルエンとジクロロメタンとの混合溶媒であることを特徴とする方法。
【請求項6】
以下の一般式:
【化2】
を有し、Cu-Kα照射により、X線粉末回析パターンが、回析角2θ:20.8°±0.2°、16.6°±0.2°、22.6°±0.2°において特徴的なピークを示すことを特徴とする、フリー体のクリサボロールの結晶形II。
【請求項7】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:27.9°±0.2°、21.8°±0.2°、17.6°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項6に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形II。
【請求項8】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:18.4°±0.2°、21.4°±0.2°、23.1°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項6に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形II。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIを調製する方法であって、
1)フリー体のクリサボロールの固体を、水とアルコールとの混合溶媒中に懸濁させて、懸濁液を産生し、懸濁液を撹拌し、遠心分離による分離に付し、乾燥させて、結晶形IIの固体をもたらし、ここで、水のアルコールに対する体積比は、1:1である、様式か、または
2)フリー体のクリサボロールの固体を正溶媒中に溶解させ、次いで、それにリバース溶媒を添加し;生成混合物を撹拌しながら結晶化させ、分離し、乾燥させて、結晶形IIの固体を産生し、ここで、正溶媒は、アルコール、ケトン、環状エーテル、アミドおよびジメチルスルホキシドの群から選択され、リバース溶媒は水である、様式
により実施されることを特徴とする方法。
【請求項10】
フリー体のクリサボロールの結晶形IIを調製する請求項9に記載の方法であって、正溶媒が、イソプロパノール、アセトン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフランおよびジメチルホルムアミドの群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項11】
以下の一般式:
【化3】
を有し、Cu-Kα照射により、X線粉末回析パターンが、回析角2θ:20.6°±0.2°、27.8°±0.2°、18.6°±0.2°において特徴的なピークを示すことを特徴とする、フリー体のクリサボロールの結晶形III。
【請求項12】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:13.6°±0.2°、19.5°±0.2°、21.7°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項11に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形III。
【請求項13】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:21.3°±0.2°、16.3°±0.2°、22.5°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項11に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形III。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIIを調製する方法であって、フリー体のクリサボロールの固体を、ケトン溶媒中に、生成混合物が清澄になるまで溶解させるステップと、生成混合物を揮発結晶化に付して、結晶形IIIの固体を産生するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
ケトン溶媒がアセトンであることを特徴とする、フリー体のクリサボロールの結晶形IIIを調製する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
以下の一般式:
【化4】
を有し、Cu-Kα照射により、X線粉末回析パターンが、回析角2θ:20.0°±0.2°、18.6°±0.2°、26.4°±0.2°において特徴的なピークを示すことを特徴とする、フリー体のクリサボロールの結晶形IV。
【請求項17】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:5.3°±0.2°、24.9°±0.2°、23.2°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項16に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IV。
【請求項18】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:17.2°±0.2°、21.4°±0.2°、13.0°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項16に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IV。
【請求項19】
請求項16から18のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IVを調製する方法であって、フリー体のクリサボロールの固体、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶形I、請求項6から8のいずれか一項に記載の結晶形IIまたは請求項11から13のいずれか一項に記載の結晶形IIIを、130℃~145℃の温度まで加熱して、結晶形IVの固体を産生するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1から3のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形Iもしくは請求項6から8のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIもしくは請求項11から13のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIIもしくは請求項16から18のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IVのうちの1つもしくは複数またはこれらの結晶形の組合せの治療有効用量および/または予防有効用量、ならびに少なくとも1つの薬学的に許容できる担体またはビヒクルを含む医薬組成物。
【請求項21】
乾癬およびアレルギー性皮膚炎を治療するための医薬製剤の製造における、請求項1から3のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形Iもしくは請求項6から8のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIもしくは請求項11から13のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIIもしくは請求項16から18のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IVまたはこれらの結晶形の組合せの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的結晶の技術分野に関し、特に、フリー体のクリサボロールの結晶形ならびにそれらの調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶形または多結晶現象は、一部の分子または分子組成に内在する属性である。同じ分子が、異なる配置に起因して、異なる結晶を形成する場合があり、これらの結晶は、異なる結晶構造、ならびに異なる物理的特性、例えば、溶解性、安定性、熱特性、機械特性、精製能、X線回析パターン、IR吸収パターン、ラマンスペクトルおよび固体NMR等を示す。分析または検出のための1つまたは複数の方法を使用して、同じ分子または分子組成の異なる結晶形を識別することができる。
【0003】
薬学的活性成分の(無水物、水和物および溶媒和化合物を含めた)新規の結晶形は、実用性を高めるより多くの利点をもたらすことができ、より良好な物理的および化学的な特徴(例えば、より良好な生物学的利用能、より良好な貯蔵安定性、加工や処理の容易さ、および精製の容易さ)を有する材料、もしくはその他の結晶形に容易に変換することができる中間体結晶形としての材料を提供することができることが見出されている。また、薬学的に有用な化合物の新規の結晶形は、医薬の特性を改善するのに役立つ場合もある。したがって、新規の結晶形によって、医薬品において、原材料の形態の選択の幅が広がって、例えば、溶解を改善したり、貯蔵期限を改善したり、加工をより容易にしたりすることができる。
【0004】
乾癬およびアレルギー性皮膚炎は、非感染性の炎症性疾患であり、疾患の経過は、慢性および再発性である。現在、いくつかの療法を使用して、これらの疾患を制御することができるが、その他の療法は、依然として研究中である。適切な療法により、症状を緩和し、発作の間隔を延長させることができる。クリサボロール(AN-2728ともまた呼ばれている)は、Anacor Pharmaceuticals Inc.が開発した一種の局所投与型ホウ素含有化合物であり、PDE4の活性を阻害し、それにより、TNFアルファ、IL-12、IL-23およびその他のサイトカインの放出を阻害することができる。クリサボロールは、皮膚症、例として、乾癬、アレルギー性皮膚炎等に対して良好な治療効果を示し、2016年12月14日に米国FDAにより承認されている。クリサボロールは、4-[(1,3-ジヒドロ-1-ヒドロキシル-2,1-ベンゾオキサボロラン-5-イル)オキシ]ベンゾニトリルの化学名を有し、以下の化学式(I)により示される。
【0005】
【化1】
【0006】
現在、先行技術において、クリサボロールの結晶形に関する報告はない。したがって、クリサボロール製品の開発のために使用することができる有益な特性を有する結晶形を選択するために、クリサボロールの多結晶形成を包括的かつ体系的にスクリーニングする必要がある。
【0007】
驚くべきことに、発明者らは、研究の間に、クリサボロールの4つの結晶形を見出すに至った。クリサボロールの本発明で提供する結晶形は、良好な安定性、低い水分吸収、均質な粒子サイズ分布、および医学上の要件と合致する溶解性を示しており、安定に貯蔵することができ、それにより、開発中の医薬の結晶転移が回避されている。したがって、これらの結晶形には、開発する大きな意義がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先行技術における不足に向け、本発明は、クリサボロールの結晶形ならびにそれらの調製方法および使用を提供することを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的によれば、本発明は、フリー体のクリサボロールの結晶形I(以下、「結晶形I」と呼ぶ)を提供する。
【0010】
Cu-Kα照射により、結晶形IのX線粉末回析は、回析角2θ:15.3°±0.2°、26.1°±0.2°、14.1°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0011】
本発明に従う好ましい実施形態では、結晶形IのX線粉末回析は、回析角2θ:18.1°±0.2°、24.8°±0.2°、16.0°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0012】
本発明に従う別の好ましい実施形態では、結晶形IのX線粉末回析は、回析角2θ:28.4°±0.2°、21.4°±0.2°、6.0°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0013】
本発明に従うさらなる好ましい実施形態では、結晶形IのX線粉末回析は、回析角2θ:15.3°±0.2°、26.1°±0.2°、14.1°±0.2°、18.1°±0.2°、24.8°±0.2°、16.0°±0.2、28.4°±0.2°、21.4°±0.2°、6.0°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0014】
非限定的に、本発明に従う具体的な実施形態では、結晶形IのX線粉末回析パターンを、図1に示す。
【0015】
本発明の目的によれば、本発明は、結晶形Iを調製する方法であって、
1)フリー体のクリサボロールの固体を、単一の揮発性溶媒中に、生成混合物が清澄になるまで溶解させるステップと、生成混合物に対して揮発結晶化を行って、結晶形Iの固体を産生するステップとを含む方法であって、
ここで、単一の揮発性溶媒は、アルキルニトリル、アルキルエーテル、ハロゲン化炭化水素およびエステルから選択され、
アルキルニトリル溶媒は、アセトニトリルであり、
アルキルエーテル溶媒は、メチル(t-ブチル)エーテルであり、
ハロゲン化炭化水素溶媒は、塩素化炭化水素であり、好ましくは、塩素化炭化水素は、クロロホルムおよびジクロロメタンから選択され、
エステル溶媒は、エチルアセテートであり、
揮発結晶化は室温で実施する、方法または、
2)フリー体のクリサボロールの固体を単一溶媒もしくは混合溶媒中に懸濁させて、懸濁液を産生するステップと、懸濁液を撹拌し、遠心分離による分離に付し、乾燥させて、結晶形Iの固体を産生するステップとを含む方法であって、
ここで単一溶媒は、これらに限定されないが、水および芳香族炭化水素、好ましくは、水およびトルエンを含み、
混合溶媒は、水とアルコール、アルキルニトリル、エステル、ケトン、アミド、環状エーテルもしくはジメチルスルホキシドの群から選択されるさらなる溶媒との混合溶媒であり、ここで、水のさらなる溶媒に対する体積比は、4:3~5:1の間の範囲であるか、もしくは
混合溶媒は、飽和脂肪族炭化水素とケトン、エステル、環状エーテル、ハロゲン化炭化水素もしくはアルコールとの混合溶媒であり、ここで、飽和脂肪族炭化水素のケトン、エステル、環状エーテル、ハロゲン化炭化水素もしくはアルコールに対する体積比は、好ましくは、5:4~7:1の範囲であるか、もしくは
混合溶媒は、芳香族炭化水素とハロゲン化炭化水素との混合溶媒であり、ここで、芳香族炭化水素のハロゲン化炭化水素に対する体積比は、好ましくは、5:4である、方法
をさらに提供する。
【0016】
好ましくは、混合溶媒は、水とメタノール、アセトニトリル、イソプロピルアセテート、1,4-ジオキサン、アセトン、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドとの混合溶媒である。
【0017】
好ましくは、混合溶媒は、n-ヘプタンとメチルイソブチルケトン、エチルアセテート、2-メチルテトラヒドロフラン、クロロホルムまたはエタノールとの混合溶媒である。
【0018】
好ましくは、混合溶媒は、トルエンとジクロロメタンとの混合溶媒である。
【0019】
温度は、好ましくは、室温~50℃である。
【0020】
本発明の目的によれば、本発明は、フリー体のクリサボロールの結晶形II(以下、「結晶形II」と呼ぶ)を提供する。
【0021】
Cu-Kα照射により、結晶形IIのX線粉末回析は、回析角2θ:20.8°±0.2°、16.6°±0.2°、22.6°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0022】
本発明に従う好ましい実施形態では、結晶形IIのX線粉末回析は、回析角2θ:27.9°±0.2°、21.8°±0.2°、17.6°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0023】
本発明に従う別の好ましい実施形態では、結晶形IIのX線粉末回析は、回析角2θ:18.4°±0.2°、21.4°±0.2°、23.1°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0024】
本発明に従うさらなる好ましい実施形態では、結晶形IIのX線粉末回析は、回析角2θ:20.8°±0.2°、16.6°±0.2°、22.6°±0.2°、27.9°±0.2°、21.8°±0.2°、17.6°±0.2°、18.4°±0.2°、21.4°±0.2°、23.1°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0025】
非限定的に、本発明に従う具体的な実施形態では、結晶形IIのX線粉末回析パターンを、図4に示す。
【0026】
本発明の目的によれば、本発明は、結晶形IIを調製する方法であって、
1)フリー体のクリサボロールの固体を、水とアルコールとの混合溶媒中に懸濁させて、懸濁液を産生するステップと、懸濁液を撹拌し、遠心分離による分離に付し、乾燥させて、結晶形IIの固体をもたらすステップとを含む方法であって、ここで、水のアルコールに対する体積比は、1:1であり、アルコールは、好ましくは、メタノールであり、
撹拌および分離の工程はそれぞれ、室温で実施する、方法または
2)フリー体のクリサボロールの固体を正溶媒中に溶解させ、次いで、それにリバース溶媒を添加するステップと;生成混合物を撹拌しながら結晶化させ、分離し、乾燥させて、結晶形IIの固体を産生するステップとを含む方法であって、ここで、フリー体のクリサボロールの固体は、正溶媒中に、溶解して生成混合物が清澄になっている状態または完全に溶解している状態で存在し、リバース溶媒は、固体が産生されるまで添加し、
正溶媒は、これらに限定されないが、アルコール、ケトン、環状エーテル、アミドおよびジメチルスルホキシドを含み、リバース溶媒は、好ましくは、水であり、
アルコール溶媒は、イソプロパノールであり、
ケトン溶媒は、アセトンであり、
環状エーテル溶媒は、テトラヒドロフランおよび1,4-ジオキサンから選択され、
アミド溶媒は、ジメチルホルムアミドであり、
撹拌結晶化工程および分離工程の両方は、室温で実施する、方法
をさらに提供する。
【0027】
本発明の目的によれば、本発明は、フリー体のクリサボロールの結晶形III(以下、「結晶形III」と呼ぶ)を提供する。
【0028】
Cu-Kα照射により、結晶形IIIのX線粉末回析は、回析角2θ:20.6°±0.2°、27.8°±0.2°、18.6°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0029】
本発明に従う好ましい実施形態では、結晶形IIIのX線粉末回析は、回析角2θ:13.6°±0.2°、19.5°±0.2°、21.7°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0030】
本発明に従う別の好ましい実施形態では、結晶形IIIのX線粉末回析は、回析角2θ:21.3°±0.2°、16.3°±0.2°、22.5°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0031】
本発明に従うさらなる好ましい実施形態では、結晶形IIIのX線粉末回析は、回析角2θ:20.6°±0.2°、27.8°±0.2°、18.6°±0.2°、13.6±0.2°、19.5°±0.2°、21.7°±0.2°、21.3°±0.2°、16.3°±0.2°、22.5°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0032】
非限定的に、本発明に従う具体的な実施形態では、結晶形IIIのX線粉末回析パターンを、図7に示す。
【0033】
本発明の目的によれば、本発明は、結晶形IIIを調製する方法であって、フリー体のクリサボロールの固体を、ケトン溶媒中に、生成混合物が清澄になるまで溶解させるステップと、生成混合物を揮発結晶化に付して、結晶形IIIの固体を産生するステップとを含み、この場合、
ケトン溶媒は、好ましくは、アセトンであり、
揮発結晶化は、室温で実施する、
方法をさらに提供する。
【0034】
本発明の目的によれば、本発明は、フリー体のクリサボロールの結晶形IV(以下、「結晶形IV」と呼ぶ)を提供する。
【0035】
Cu-Kα照射により、結晶形IVのX線粉末回析は、回析角2θ:20.0°±0.2°、18.6°±0.2°、26.4°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0036】
本発明に従う好ましい実施形態では、結晶形IVのX線粉末回析は、回析角2θ:5.3°±0.2°、24.9°±0.2°、23.2°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0037】
本発明に従う別の好ましい実施形態では、結晶形IVのX線粉末回析は、回析角2θ:17.2°±0.2°、21.4°±0.2°、13.0°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0038】
本発明に従うさらなる好ましい実施形態では、結晶形IVのX線粉末回析は、回析角2θ:20.0°±0.2°、18.6°±0.2°、26.4°±0.2°、5.3°±0.2°、24.9°±0.2°、23.2°±0.2°、17.2°±0.2°、21.4°±0.2°、13.0°±0.2°において特徴的なピークを示す。
【0039】
非限定的に、本発明に従う具体的な実施形態では、結晶形IVのX線粉末回析パターンを、図10に示す。
【0040】
本発明の目的によれば、本発明は、結晶形IVを調製する方法であって、フリー体のクリサボロールの固体、結晶形I、結晶形IIまたは結晶形IIIを、120℃~150℃の温度まで加熱して、結晶形IVの固体を産生するステップを含む方法をさらに提供する。好ましくは、温度は、130℃~145℃である。
【0041】
本発明の目的によれば、本発明は、治療有効用量および/または予防有効用量の上記のフリー体のクリサボロールの結晶形Iもしくはフリー体のクリサボロールの結晶形IIもしくはフリー体のクリサボロールの結晶形IIIもしくはフリー体のクリサボロールの結晶形IVまたはこれらの結晶形の組合せと、少なくとも1つの薬学的に許容できる担体またはビヒクルとを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0042】
本発明は、乾癬およびアレルギー性皮膚炎を治療するための医薬製剤の製造における、フリー体のクリサボロールの結晶形Iもしくはフリー体のクリサボロールの結晶形IIもしくはフリー体のクリサボロールの結晶形IIIもしくはフリー体のクリサボロールの結晶形IVまたはこれらの結晶形の組合せの使用に関する。
【0043】
本発明では、用語「室温」は、15~25℃の温度を指す。
【0044】
本発明では、「2θ」は、「2シータ」の意味と同じ意味を表す。
【0045】
「撹拌」は、当技術分野の従来法、例えば、磁気撹拌または機械撹拌を使用することによって行い、撹拌スピードは、50~1800r/m、好ましくは、300~900r/m、最も好ましくは、500r/mである。
【0046】
「分離」は、当技術分野の従来法、例えば、遠心分離またはろ過を使用することによって行う。「遠心分離」は、以下の操作を含む:分離しようとする試料を、遠心分離チューブ中に入れ、10000r/mのスピードで、その中の全ての固体が遠心分離チューブの底部に堆積するまで遠心分離する。
【0047】
特段の記載がない限り、「乾燥」は、室温またはより高い温度で実施することができる。乾燥温度は、室温~約60℃、または室温~40℃、または室温~50℃の範囲である。乾燥時間は、2~48時間の範囲であるか、または乾燥を一晩継続する。乾燥は、ドラフト、強制換気型オーブンまたは真空オーブン中で実施する。
【0048】
本発明では、「結晶」または「結晶形」は、X線回析パターンにより確認されるものを指す。したがって、当業者であれば、ここで論じる物理的および化学的な特性を特徴付けることができ、この場合、実験誤差は、装置の条件、試料の調製および試料の純度に依存することを理解することができるであろう。特に、当業者であれば、X線回析パターンは通常、関連する装置の条件が変化するのに伴って変化することを十分理解することができるであろう。X線回析パターンの相対強度もまた、実験条件が変化するのに伴って変化することは、特に指摘すべきである。したがって、ピーク強度の順番は、ユニークかつ極めて重要な因子として使用することはできない。さらに、回析角2θは通常、±0.2°の誤差を許容する。さらに、実験の因子、例として、試料の高さの効果に起因して、ピーク角度も概して逸れ、特定の逸脱は通常許容され得る。したがって、本発明では、結晶形のX線回析パターンは、ここで示す実施例中のX線回析パターンと合致する必要はないことを当業者は理解することができる。これらのパターン中のピークと同じまたはそれらに類似するピークを有する結晶形はいずれも、本発明の範囲に属する。当業者であれば、本発明で列挙するパターンと、任意の未知の結晶形のパターンとを比較して、これら2つのパターンにより、結晶形が同じであるかまたは異なるかを証明することができるであろう。
【0049】
本発明では、用語「結晶形」および「多結晶形」ならびにその他の関連の用語は、固体化合物が特定の結晶形を有する結晶構造をとって存在することを指す。多結晶形における物理的および化学的な特性の差は、貯蔵安定性、圧縮性、密度および溶解速度の性状に反映させることができる。極端な事例では、溶解性および溶解速度の差は、薬物の非効率性をもたらし、毒性さえもたらすであろう。
【0050】
本発明で言及する値または数値範囲を値または数値範囲そのものとして狭く理解してはならず、種々の特定の技術的状況に従って当業者はそれらを理解すべきであることを示さなければならない。本発明の精神および規則から逸脱しない場合であれば、特定の値は変化し得る。本発明では、当業者にとって予測可能であるそのような流動的範囲は通常、単語「約」により表される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の実施例1で調製した結晶形IのX線粉末回析パターンを示す図である。
図2】本発明の実施例1で調製した結晶形IのDSCパターンを示す図である。
図3】本発明の実施例1で調製した結晶形IのTGAパターンを示す図である。
図4】本発明の実施例4で調製した結晶形IIのX線粉末回析パターンを示す図である。
図5】本発明の実施例4で調製した結晶形IIのDSCパターンを示す図である。
図6】本発明の実施例4で調製した結晶形IIのTGAパターンを示す図である。
図7】本発明の実施例6で調製した結晶形IIIのX線粉末回析パターンを示す図である。
図8】本発明の実施例6で調製した結晶形IIIのDSCパターンを示す図である。
図9】本発明の実施例6で調製した結晶形IIIのTGAパターンを示す図である。
図10】本発明の実施例8で調製した結晶形IVのX線粉末回析パターンを示す図である。
図11】本発明の実施例9で調製した結晶形IVのDSCパターンを示す図である。
図12】本発明の実施例9で調製した結晶形IVのTGAパターンを示す図である。
図13】本発明の実施例2で調製した結晶形IのX線粉末回析パターンを示す図である。
図14】本発明の実施例3で調製した結晶形IのX線粉末回析パターンを示す図である。
図15】本発明の実施例7で調製した結晶形IIIのX線粉末回析パターンを示す図である。
図16】本発明の実施例9で調製した結晶形IVのX線粉末回析パターンを示す図である。
図17】本発明の結晶形IのDVSパターンを示す図である。
図18】本発明の結晶形IIのDVSパターンを示す図である。
図19】本発明の結晶形IIIのDVSパターンを示す図である。
図20】本発明の結晶形IVのDVSパターンを示す図である。
図21】本発明に従う結晶形Iについて、XRPDパターンを粉砕した前と後とで比較して示すための図表である。
図22】本発明に従う結晶形IVについて、XRPDパターンを粉砕した前と後とで比較して示すための図表である。
図23】本発明に従う結晶形Iについて、XRPDパターンをより長期の安定性と加速安定性との間で比較して示すための図表である。
図24】本発明に従う結晶形IIについて、XRPDパターンをより長期の安定性と加速安定性との間で比較して示すための図表である。
図25】本発明に従う結晶形IIIについて、XRPDパターンをより長期の安定性と加速安定性との間で比較して示すための図表である。
図26】本発明の結晶形IのPSDパターンを示す図である。
図27】本発明の結晶形IIのPSDパターンを示す図である。
図28】本発明の結晶形IVのPSDパターンを示す図である。
図29】本発明の結晶形IのPLMパターンを示す図である。
図30】本発明の結晶形IIのPLMパターンを示す図である。
図31】本発明の結晶形IVのPLMパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明をさらに、以下の実施例を参照することによって定義する。実施例は、本発明に従う結晶形を調製する方法および前記を使用する方法を詳細に記載する。本発明の範囲から逸脱しない場合には、材料および方法に対する変更形態を作製することができることは、当業者に明らかである。
【0053】
データを収集するために使用する装置および方法
本発明で使用する略語を、以下に説明する。
XRPD:X線粉末回析、
DSC:示差走査熱量測定分析、
TGA:熱重量分析、
DVS:動的水蒸気吸着、
PSD:粒子サイズ分布、
PLM:偏光顕微鏡
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
【0054】
本発明に記載するX線粉末回析パターンは、Panalytical Empyrean X線粉末回析計上で収集した。X線粉末回析の方法は、以下のパラメータを有する:
X線反射パラメータ:Cu、Kα、
Kα1(Å):1.540598;Kα2(Å):1.544426、
Kα2/Kα1強度比:0.50、
電圧:45キロボルト(kV)、
電流:40ミリアンペア(mA)、
走査範囲:3.0°~40.0°。
【0055】
本発明に記載する示差走査熱量測定(DSC)パターンは、TA Q2000上で収集した。示差走査熱量測定(DSC)の方法は、以下のパラメータを有する:
走査スピード:10℃/分、
保護ガス:窒素ガス。
【0056】
本発明に記載する熱重量分析(TGA)パターンは、TA Q500上で収集した。熱重量分析(TGA)の方法は、以下のパラメータを有する:
走査スピード:10℃/分、
保護ガス:窒素ガス。
【0057】
本発明に記載する動的水蒸気吸着(DVS)パターンは、Surface Measurement Systems Ltd.製のintrinsic動的水蒸気吸着計上で収集した。動的水蒸気吸着の方法は、以下のパラメータを有する:
温度:25℃、
充填ガス、流動スピード:N、200ml/分、
時間当たりの質量の変動:0.002%/分、
相対湿度範囲:0%RH~95%RH。
【0058】
本発明に記載する粒子サイズ分布(PSD)の結果は、Microtrac Company製のS3500型レーザー粒子サイズ分析計上で収集した。Microtrac S3500は、SDC(試料送達制御装置)による供給システムを備えている。試験は、湿潤過程により実施し、試験において使用する分散媒は、Isopar Gであった。レーザー粒子サイズ分析計は、以下のパラメータを有する。
【0059】
【表1】
【0060】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のデータは、Agilent 1260中で収集し、使用する検出器は、ダイオードアレイ検出器(DAD)であった。本発明に記載するHPLCの方法は、以下のパラメータを有する。
1.クロマトグラフィーカラム:Waters Xbridge C18、150×4.6mm、5μm
2.流動相:A:0.1%のトリフルオロ酢酸水溶液
B:アセトニトリル中の0.1%のトリフルオロ酢酸溶液
溶出勾配を、以下の表に示す。
【0061】
【表2】
3.流速:1.0mL/分
4.注入体積:5μL
5.検出波長:254nm
6.カラム温度:40℃
7.希釈液:50%のアセトニトリル
【0062】
以下の実施例では、特段の記載がない限り、用語「室温」は、15~25℃の温度範囲を指す。
【0063】
以下の実施例で使用したフリー体のクリサボロールの固体は、商業的に入手することができる。
【実施例0064】
(実施例1)
202.5mgのフリー体のクリサボロールの固体を、6mLの混合溶媒系(メタノール:水、体積比は、1:5であった)に添加し、生成混合物を、50℃で5日間撹拌した。反応物混合物を、遠心分離による分離に付し、室温で真空乾燥させて、白色固体の結晶を産生した。
【0065】
検出により、生成した固体の結晶は本発明に記載する結晶形Iであることが見出された。結晶形のX線粉末回析パターンを、図1に示し、対応するX線粉末回析データを、表1に示す。
【0066】
示差走査熱量測定分析を実施すると、結晶形Iは、123℃付近の温度まで加熱すると、熱吸収ピークを示し、そのDSCを、図2に示す。熱重量分析を実施すると、結晶形Iは、120℃まで加熱すると、約4.2%の質量損失勾配を示し、そのTGAを、図3に示す。本発明に従う結晶形Iは、水和物である。
【0067】
【表3】
【0068】
(実施例2)
51.4mgのフリー体のクリサボロールの固体を、1mLのアセトニトリル溶媒に添加した。固体を溶媒中に溶解させてから、溶媒を、空気に曝露させて室温で完全に揮発させて、白色固体の結晶を産生した。
【0069】
検出により、生成した固体の結晶は本発明に記載する結晶形Iであることが見出され、X線粉末回析データを、図13および表2に示す。
【0070】
【表4】
【0071】
実施例2に記載した方法と同じ方法を使用することによって、表3のデータを得た。特定の質量の分量のフリー体のクリサボロールの固体を、特定の体積の溶媒に添加した。固体を溶媒中に溶解させてから、溶媒を、空気に曝露させて室温で完全に揮発させて、白色固体の結晶を産生した。XRPDにより、固体が結晶形Iであることを調べた。
【0072】
【表5】
【0073】
(実施例3)
30.7mgのフリー体のクリサボロールの固体を、1.5mLの水溶媒に添加し、生成混合物を、室温で2日間磁気撹拌した。反応物混合物を、遠心分離による分離に付し、室温で真空乾燥させて、白色固体の結晶を産生した。
【0074】
検出により、生成した固体の結晶は本発明に記載する結晶形Iであることが見出され、結晶形のX線粉末回析データを、図14および表4に示す。
【0075】
【表6】
【0076】
実施例3に記載した方法と同じ方法を使用することによって、表5のデータを得た。特定の質量の分量のフリー体のクリサボロールの固体を、特定の体積の溶媒に添加し、生成混合物を、室温で磁気撹拌した。反応物混合物を、遠心分離による分離に付し、室温で真空乾燥させて、白色固体の結晶を産生した。XRPDにより、生成した固体が結晶形Iであることを決定した。
【0077】
【表7】
【0078】
(実施例4)
34.5mgのフリー体のクリサボロールの固体を、1.6mLの混合溶媒系(メタノール:水、体積比は、1:1であった)に添加した。生成混合物を、室温で磁気撹拌し、次いで、遠心分離による分離に付し、室温で真空乾燥させて、白色固体の結晶を産生した。
【0079】
検出により、生成した固体の結晶は本発明に記載する結晶形IIであることが見出された。結晶形のX線粉末回析パターンを、図4に示し、対応するX線粉末回析データを、表6に示す。
【0080】
示差走査熱量測定分析を実施すると、結晶形IIは、134℃の付近の温度まで加熱すると、熱吸収ピークを示し、そのDSCを、図5に示す。熱重量分析を実施すると、結晶形IIは、115℃まで加熱すると、約4.2%の質量損失勾配を示し、そのTGAを、図6に示す。本発明に従う結晶形IIは、水和物である。
【0081】
【表8】
【0082】
(実施例5)
30.3mgのフリー体のクリサボロールの固体を、0.4mLのイソプロパノール溶媒に添加し、それに、リバース溶媒である0.6mLの水を、室温で磁気撹拌しながら滴下により添加した。生成混合物を、5日間撹拌しながら結晶化させ、次いで、遠心分離による分離に付し、室温で真空乾燥させて、白色固体の結晶を産生した。
【0083】
検出により、生成した固体の結晶は本発明に記載する結晶形IIであることが見出され、結晶形のX線粉末回析データを、表7に示す。
【0084】
【表9】
【0085】
実施例に記載した方法と同じ方法を使用することによって、表8のデータを得た。特定の質量の分量のフリー体のクリサボロールの固体を、特定の体積の正溶媒に添加し、それに、特定の体積のリバース溶媒を、室温で磁気撹拌しながら滴下により添加した。生成混合物を、撹拌しながら結晶化させ、次いで、遠心分離による分離に付し、真空乾燥させて、白色固体の結晶を産生した。XRPDにより、固体は結晶形IIであることを決定した。
【0086】
【表10】
【0087】
(実施例6)
200.5mgのフリー体のクリサボロールの固体を、溶媒である5mLのアセトンを充填した20mLのガラス製の瓶内に加え、生成混合物が清澄になるまで溶解させた。瓶の開口部を、密封用の膜を用いて密封し、針を用いて、膜に穴を設けて、いくつかの小さな穴を形成した。瓶を室温で放置して、溶媒を緩慢に揮発させ、それにより、白色固体の結晶を産生した。
【0088】
検出により、生成した固体の結晶は本発明に記載する結晶形IIIであることが見出された。結晶形のX線粉末回析パターンを、図7に示し、対応するX線粉末回析データを、表9に示す。
【0089】
示差走査熱量測定分析を実施すると、結晶形IIIは、136℃の付近の温度まで加熱すると、熱吸収ピークを示し、そのDSCを、図8に示す。熱重量分析を実施すると、結晶形IIIは、145℃まで加熱すると、約2.5%の質量損失勾配を示し、そのTGAを、図9に示す。本発明に従う結晶形IIIは、水和物である。
【0090】
【表11】
【0091】
(実施例7)
11.5mgのフリー体のクリサボロールの固体を、0.2mLのアセトン溶媒に添加し、溶媒を、室温で完全に揮発させて、白色固体の結晶を産生した。
【0092】
検出により、生成した固体の結晶は本発明に記載する結晶形IIIであることが見出された。結晶形のX線粉末回析データを、図15および表10に示す。
【0093】
【表12】
【0094】
(実施例8)
約5mgのフリー体のクリサボロールを、DSC(Q2000)のトレイ中に入れ、加熱プログラムを、以下に従って設定した:固体を、10℃/分の速度で90℃の温度まで加熱し;固体を、5℃/分の速度で130℃の温度まで加熱した。固体を、5分間平衡させて、白色固体の結晶を産生した。
【0095】
検出により、生成した固体の結晶は本発明に記載する結晶形IVであることが見出された。結晶形のX線粉末回析データを、図10および表11に示す。
【0096】
【表13】
【0097】
(実施例9)
約11.5mgのフリー体のクリサボロールを、秤量し、0.2mLのアセトン溶媒を充填したガラス製の瓶内に加え、生成混合物を、空気に曝露させて、溶媒が完全に揮発するまで室温で揮発させた。沈殿した固体を、DSC(Q2000)のトレイ中に入れ、加熱プログラムを、以下に従って設定した:固体を、10℃/分の速度で90℃の温度まで加熱し;固体を、5℃/分の速度で145℃の温度まで加熱した。固体を、5分間平衡させて、白色固体の結晶を産生した。
【0098】
生成した固体の結晶は本発明に記載する結晶形IVであることが見出された。結晶形のX線粉末回析パターンを、図16に示し、結晶形のX線粉末回析データを、表12に示す。
【0099】
示差走査熱量測定分析を実施すると、結晶形IVは、172℃の付近の温度まで加熱すると、熱吸収ピークを示し、そのDSCを、図11に示す。熱重量分析を実施すると、結晶形IVは、150℃まで加熱すると、約1.4%の質量損失勾配を示し、そのTGAを、図12に示す。本発明に従う結晶形IVは、無水物である。
【0100】
【表14】
【0101】
試験の部
(実験実施例1)
水分吸収の研究
本発明に従う結晶形I、結晶形II、結晶形IIIおよび結晶形IVの約10mgをそれぞれ用いて、動的水蒸気吸着(DVS)試験を行った。得られた結果を、表13に示した。
【0102】
【表15】
【0103】
結晶形I、結晶形II、結晶形IIIおよび結晶形IのVDVSパターンをそれぞれ、図17図18図19および図20に示す。
【0104】
水分吸収の特徴についての記載および水分吸収の重量増加についての定義(中国薬局方(2015年)の別表にある薬物の水分吸収試験についてのガイドラインの実験条件:25℃±1℃、80%の相対湿度)に基づくと、
潮解:液体を形成するのに十分な水分が吸収される;
高い水分吸収:水分を吸収することによって引き起こされる重量増加が、15.0%以上である;
水分吸収:水分を吸収することによって引き起こされる重量増加が、15.0%未満であるが、2.0%以上である;
軽微な水分吸収:水分を吸収することによって引き起こされる重量増加が、2.0%未満であるが、0.2%以上である;
水分吸収がないかまたはほとんどない:水分を吸収することによって引き起こされる重量増加が、0.2%未満である。
【0105】
結果から、中国薬局方(2015年)中の標準に従うと、本発明の結晶形I、結晶形IIおよび結晶形IIIは、水分吸収をほとんど示さず、結晶IVは、軽微な水分吸収を示すことが示されている。したがって、上記の結晶形はいずれも容易には、高い水分の影響を受けて、潮解を起こすことはないであろう。特に、最大95%の相対湿度の条件下でさえ、本発明の結晶形I、結晶形IIおよび結晶形IIIはいずれも、水分を吸収することによって引き起こされる重量増加は依然として少なく、したがって、より優れた潮解抵抗性を示す。
【0106】
(実験実施例2)
機械的安定性の研究
本発明の結晶形Iおよび結晶形IVをそれぞれ、乳鉢中に入れ、手動で5分間粉砕した。粉砕した固体について、XRPDを試験し、結果を、表14に示す。
【0107】
【表16】
【0108】
結果から、本発明の結晶形Iおよび結晶形IVは、特定の機械的ストレスが作用する下で変化せず、安定した物理的および化学的な特性を依然として維持することができることが示されている。結晶形Iおよび結晶形IVについて、XRPDパターンを粉砕した前と後とで比較して示すための図表をそれぞれ、図21および図22示す(上方の数値が、粉砕前のXRPDパターンであり、下方の数値が、5分間の粉砕後のXRPDパターンである)。
【0109】
(実験実施例3)
動的溶解性の研究
6.5のpHを有する絶食時擬似腸液(FaSSIF)、5.0のpHを有する摂食状態擬似腸液(FeSSIF)、1.8のpHを有する擬似胃液(SGF)、および水を用いて、本発明の結晶形I、結晶形II、結晶形IIIおよび結晶形IVの試料をそれぞれ調合して、飽和溶液を得、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、溶液中の化合物の量をそれぞれ、1時間、4時間および24時間の時点で測定した。結果を、表15に示す。
【0110】
【表17】
【0111】
本発明の結晶形I、結晶形II、結晶形IIIおよび結晶形IVはいずれも、医薬上の要件と合致する溶解性を示す。
【0112】
(実験実施例4)
長期安定性および加速安定性の研究
本発明の結晶形I、結晶形IIおよび結晶形IIIの試料をそれぞれ、25℃および60%の相対湿度の条件下ならびに40℃および75%の相対湿度の条件下に置き、結晶形の変化の結果を、表16に示す。
【0113】
【表18】
【0114】
結果から、2種類の湿度中に3カ月間置いた、本発明の結晶形I、結晶形IIおよび結晶形IIIは、それらの安定性を依然として維持することができることが示されている。本発明の結晶形I、結晶形IIおよび結晶形IIIについて、長期安定性と加速安定性とを比較して示すためのXRPDの図表をそれぞれ、図23図24および図25に示す(それぞれの図において、上方のパターンが、保管前の結晶形のXRPDパターンを示し、中央のパターンが、25℃および60%の相対湿度の保管条件下に置いて3カ月が経過した結晶形のXRPDパターンを示し、下方のパターンが、40℃および75%の相対湿度の条件下に置いて3カ月が経過した結晶形のXRPDパターンを示す)。
【0115】
(実験実施例5)
粒子サイズ分布の研究
粒子サイズの比較試験:
本発明の結晶形I、結晶形II、結晶形IIIおよび結晶形IVの試料を用いて、粒子サイズ分布の試験を実施した。
【0116】
粒子サイズ分布の結果を、表17に示す。
【0117】
【表19】
【0118】
結晶形I、結晶形IIおよび結晶形IVのPSDパターンをそれぞれ、図26図27および図28に示し、これらの図から、結晶形I、結晶形IIおよび結晶形IVの粒子サイズ分布は均質であることを認めることができる。
【0119】
さらに、結晶形I、結晶形IIおよび結晶形IVのPLMパターンをそれぞれ、図29図30および図31にも示し、これらの図からも、結晶形I、結晶形IIおよび結晶形IVの粒子の粒子サイズは均質であることを認めることができる。
【0120】
均質な粒子サイズは、処理後の製剤化のプロセスを単純化したり、分量の制御を向上させたりするのに役立ち得る。
【0121】
当業者であれば、記載する教示の下で、本発明のいくつかの変更形態または変化形態が許容され得ることを理解することができるであろう。また、これらの変更形態および変化形態は、本発明の特許請求の範囲により定義される範囲内でなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式:
【化1】

を有し、Cu-Kα照射により、X線粉末回析パターンが、回析角2θ:15.3°±0.2°、26.1°±0.2°、14.1°±0.2°において特徴的なピークを示すことを特徴とする、フリー体のクリサボロールの結晶形I。
【請求項2】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:18.1°±0.2°、24.8°±0.2°、16.0°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項1に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形I。
【請求項3】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:28.4°±0.2°、21.4°±0.2°、6.0°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項1に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形I。
【請求項4】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:15.3°±0.2°、26.1°±0.2°、14.1°±0.2°、18.1°±0.2°、24.8°±0.2°、16.0°±0.2°、28.4°±0.2°、21.4°±0.2°、6.0°±0.2°において特徴的なピークを示すことを特徴とする、請求項1に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形I
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形Iを調製する方法であって、該方法は
1)フリー体のクリサボロールの固体を、単一の揮発性溶媒中に、生成混合物が清澄になるまで溶解させ、生成混合物に対して揮発結晶化を行って、結晶形Iの固体を産生し、この場合、単一の揮発性溶媒は、アルキルニトリル、アルキルエーテル、ハロゲン化炭化水素およびエステルから選択される、様式か、または、
2)フリー体のクリサボロールの固体を単一溶媒もしくは混合溶媒中に懸濁させて、懸濁液を産生し、懸濁液を撹拌し、分離に付し、乾燥させて、結晶形Iの固体を産生し、この場合、単一溶媒は、水および芳香族炭化水素から選択され;混合溶媒は、水とアルコール、アルキルニトリル、エステル、ケトン、アミド、環状エーテルもしくはジメチルスルホキシドの群から選択されるさらなる溶媒との混合溶媒であり、ここで、水のさらなる溶媒に対する体積比は、4:3~5:1の間の範囲であるか、もしくは混合溶媒は、飽和脂肪族炭化水素とケトン、エステル、環状エーテル、ハロゲン化炭化水素もしくはアルコールとの混合溶媒であるか、もしくは混合溶媒は、芳香族炭化水素とハロゲン化炭化水素との混合溶媒である、様式
で実施されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形Iを調製する方法であって、単一の揮発性溶媒が、アセトニトリル、メチルtert-ブチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、エチルアセテートの群から選択され;混合溶媒が、水とメタノール、アセトニトリル、イソプロピルアセテート、1,4-ジオキサン、アセトン、ジメチルホルムアミドもしくはジメチルスルホキシドとの混合溶媒であるか、または混合溶媒が、n-ヘプタンとメチルイソブチルケトン、エチルアセテート、2-メチルテトラヒドロフラン、クロロホルムもしくはエタノールとの混合溶媒であるか、または混合溶媒が、トルエンとジクロロメタンとの混合溶媒であることを特徴とする方法。
【請求項7】
以下の一般式:
【化2】
を有し、Cu-Kα照射により、X線粉末回析パターンが、回析角2θ:20.8°±0.2°、16.6°±0.2°、22.6°±0.2°において特徴的なピークを示すことを特徴とする、フリー体のクリサボロールの結晶形II。
【請求項8】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:27.9°±0.2°、21.8°±0.2°、17.6°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形II。
【請求項9】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:18.4°±0.2°、21.4°±0.2°、23.1°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形II。
【請求項10】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:20.8°±0.2°、16.6°±0.2°、22.6°±0.2°、27.9°±0.2°、21.8°±0.2°、17.6°±0.2°、18.4°±0.2°、21.4°±0.2°、23.1°±0.2°において特徴的なピークを示すことを特徴とする、請求項7に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形II。
【請求項11】
請求項から10のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIを調製する方法であって、
1)フリー体のクリサボロールの固体を、水とアルコールとの混合溶媒中に懸濁させて、懸濁液を産生し、懸濁液を撹拌し、遠心分離による分離に付し、乾燥させて、結晶形IIの固体をもたらし、ここで、水のアルコールに対する体積比は、1:1である、様式か、または
2)フリー体のクリサボロールの固体を正溶媒中に溶解させ、次いで、それにリバース溶媒を添加し;生成混合物を撹拌しながら結晶化させ、分離し、乾燥させて、結晶形IIの固体を産生し、ここで、正溶媒は、アルコール、ケトン、環状エーテル、アミドおよびジメチルスルホキシドの群から選択され、リバース溶媒は水である、様式
により実施されることを特徴とする方法。
【請求項12】
フリー体のクリサボロールの結晶形IIを調製する請求項11に記載の方法であって、正溶媒が、イソプロパノール、アセトン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフランおよびジメチルホルムアミドの群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項13】
以下の一般式:
【化3】
を有し、Cu-Kα照射により、X線粉末回析パターンが、回析角2θ:20.6°±0.2°、27.8°±0.2°、18.6°±0.2°において特徴的なピークを示すことを特徴とする、フリー体のクリサボロールの結晶形III。
【請求項14】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:13.6°±0.2°、19.5°±0.2°、21.7°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項13に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形III。
【請求項15】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:21.3°±0.2°、16.3°±0.2°、22.5°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項13に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形III。
【請求項16】
X線粉末回析パターンが、回析角2θ:20.6°±0.2°、27.8°±0.2°、18.6°±0.2°、13.6°±0.2°、19.5°±0.2°、21.7°±0.2°、21.3°±0.2°、16.3°±0.2°、22.5°±0.2°において特徴的なピークをさらに示すことを特徴とする、請求項13に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形III。
【請求項17】
請求項13から16のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIIを調製する方法であって、フリー体のクリサボロールの固体を、ケトン溶媒中に、生成混合物が清澄になるまで溶解させるステップと、生成混合物を揮発結晶化に付して、結晶形IIIの固体を産生するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
ケトン溶媒がアセトンであることを特徴とする、フリー体のクリサボロールの結晶形IIIを調製する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1からのいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形Iもしくは請求項から10のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIもしくは請求項13から16のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIIのうちの1つもしくは複数またはこれらの結晶形の組合せの治療有効用量および/または予防有効用量、ならびに少なくとも1つの薬学的に許容できる担体またはビヒクルを含む医薬組成物。
【請求項20】
乾癬およびアレルギー性皮膚炎を治療するための、請求項1からのいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形Iもしくは請求項から10のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIもしくは請求項13から16のいずれか一項に記載のフリー体のクリサボロールの結晶形IIIまたはこれらの結晶形の組合せを含む医薬組成物
【請求項21】
アレルギー性皮膚炎を治療するための、請求項20に記載の医薬組成物。