(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116663
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】亜鉛分を有する抗微生物不織ポリアミド
(51)【国際特許分類】
D04H 1/4334 20120101AFI20230815BHJP
D04H 3/009 20120101ALI20230815BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20230815BHJP
D01F 6/90 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
D04H1/4334
D04H3/009
D04H3/16
D01F6/90 301
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023096786
(22)【出願日】2023-06-13
(62)【分割の表示】P 2021535015の分割
【原出願日】2019-12-18
(31)【優先権主張番号】62/781,233
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509354042
【氏名又は名称】アセンド・パフォーマンス・マテリアルズ・オペレーションズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ASCEND PERFORMANCE MATERIALS OPERATIONS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン,スコット・イー
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ワイ-シン
(72)【発明者】
【氏名】オルテガ,アルバート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】繊維強度を維持し、加工に効率的でありつつ、例えば低い相対粘度を有し、かつ/または低いダイ圧力を使用しつつ、複数回の洗浄後に抗微生物性を確保する抗微生物繊維を提供する。
【解決手段】抗微生物性を有する不織ポリアミド構造であって、不織ポリアミド繊維を含み、繊維が、不織ポリアミド繊維内に分散した4000ppm未満の亜鉛、および2000ppm未満のリンを含む、不織ポリアミド構造に関する。繊維は、25ミクロン未満の平均繊維直径を有し、ポリアミド構造は、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗微生物性を有する不織ポリアミド構造であって:
不織ポリアミド繊維を含み、繊維が、
不織ポリアミド繊維内に分散した4000ppm未満の亜鉛、および
2000ppm未満のリンを含み、
繊維が、25ミクロン未満の平均繊維直径を有し、
ポリアミド構造が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、不織ポリアミド構造。
【請求項2】
亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1である、請求項1に記載の不織ポリアミド構造。
【請求項3】
ポリアミド組成物の相対粘度が100未満である、請求項1に記載の不織ポリアミド構造。
【請求項4】
ポリアミド組成物が、3100ppm未満の亜鉛を含み、ポリアミド組成物が、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み、ポリアミドが、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、請求項1に記載の不織ポリアミド構造。
【請求項5】
不織ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸または遠心紡糸される、請求項1に記載の不織ポリアミド構造。
【請求項6】
20%以下の繊維が、700ナノメートル超の直径を有する、請求項1に記載の不織ポリアミド構造。
【請求項7】
ポリアミドが、ナイロン66またはナイロン6/66を含む、請求項1に記載の不織ポリアミド構造。
【請求項8】
抗微生物性を有する抗微生物繊維であって、
不織ポリアミド繊維内に分散した4000ppm未満の亜鉛、および
2000ppm未満のリンを含み、
繊維が、25ミクロン未満の平均繊維直径を有し、
ポリアミド構造が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、抗微生物繊維。
【請求項9】
亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1である、請求項8に記載の抗微生物繊維。
【請求項10】
繊維が、20ミクロン未満の平均直径を有する、請求項8に記載の抗微生物繊維。
【請求項11】
不織ポリアミドが、3100ppm未満の亜鉛を含む、請求項8に記載の抗微生物繊維。
【請求項12】
抗微生物繊維が、染浴テストにより測定して、70%超の亜鉛の保持率を有する、請求項8に記載の抗微生物繊維。
【請求項13】
不織ポリアミドが、3200ppm未満の亜鉛を含み、ポリマーが、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み、抗微生物繊維が、ISO20743-13により測定して
、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、請求項8に記載の抗微生物繊維。
【請求項14】
不織ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸または遠心紡糸される、請求項8に記載の抗微生物繊維。
【請求項15】
ポリアミドが、ナイロン66またはナイロン6/66を含む、請求項8に記載の抗微生物繊維。
【請求項16】
恒久的な抗微生物性を有する抗微生物不織ポリアミド構造を調製するための方法であって、
モノマー水溶液を任意選択で含む前駆体ポリアミドを調製するステップ、
前駆体ポリアミド内に4000ppm未満の亜鉛を分散させるステップ、
前駆体ポリアミド内に2000ppm未満のリンを分散させるステップ、
前駆体ポリアミドを重合して、ポリアミド組成物を形成するステップ、
ポリアミド組成物を紡糸して、抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップ、および
抗微生物ポリアミド繊維を、25ミクロン未満の繊維直径を有する抗微生物不織構造に成形するステップを含む、方法。
【請求項17】
抗微生物不織ポリアミドが、染浴テストにより測定して、70%超の亜鉛の保持率を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ポリアミドが、ダイを通して高速ガス状ストリーム中にメルトブローすることにより溶融紡糸される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
不織布が、繊維に溶融紡糸され、前記不織布に成形されるナイロン66ポリアミドを含み、20%以下の繊維が、25ミクロン超の直径を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸または遠心紡糸される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
抗微生物性を有する不織ポリアミド構造であって、
25ミクロン未満の平均繊維直径を有する不織ポリアミド繊維、
不織ポリアミド繊維内に分散した4000ppm未満の亜鉛を含み、
ポリアミド組成物が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、不織ポリアミド構造。
【請求項23】
抗微生物性を有する抗微生物不織ポリアミド構造を調製するための方法であって、
ポリアミド、ポリアミド内に分散した4000ppm未満の亜鉛、およびポリアミド内に分散した2000ppm未満のリンを含む配合物を調製するステップ、
配合物を紡糸して、25ミクロン未満の繊維直径を有する抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップ、ならびに
抗微生物ポリアミド繊維を、抗微生物不織ポリアミド構造に成形するステップを含み、
繊維が、275psig未満のダイ圧力を使用して紡糸された、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2018年12月18日に出願された米国仮特許出願第62/781,233号に関し、またそれに対する優先権を主張し、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、恒久的な抗微生物性を有する不織ポリアミドに関する。詳細には、本開示は、特有の抗微生物成分を含む抗微生物不織ポリアミドに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]抗微生物性を有する布帛への関心が高まっている。いくつかの例では、抗微生物性を布帛にもたらすために、いくつかの処理またはコーティングが繊維に適用される。銅、銀、金または亜鉛を含有する化合物が、個々に、または組み合わされて、病原体、例えば細菌、カビ、白カビ、ウイルス、胞子および真菌に効率的に対処するために、これらの用途に使用されている。
【0004】
[0004]これらのタイプの抗微生物繊維および布帛は、とりわけヘルスケア、接客、軍事および運動競技を含む多くの産業に使用され得る。しかし、従来の抗微生物繊維および布帛には、これらの用途の他の要件の多くを満たすには困難がある。さらに、多くの抗微生物と称する布帛は、十分な抗微生物性を有さず、これらの性質も、製品の利用寿命の間に確保されない。いくつかの例では、抗微生物添加剤は、布帛から浸出することにより、有害な環境的結果を有し得る。
【0005】
[0005]例えばヘルスケアおよび接客産業では、特定の布帛が、常に衛生的であるために必要とされる。これらの衛生基準に対応するために、布帛は、日常的な洗浄、また多くの場合ブリーチにさらされる。別の例として、運動競技用衣類は、内的および外的要因の両方のため細菌成長の影響を受けやすく、皮膚を介して伝わる汗および細菌は、衣料繊維中で細菌成長を引き起こし得る。いくつかのケースでは、これらの細菌は、不快な匂い、染み、布帛の劣悪化、さらに物理的刺激、例えば皮膚アレルギーおよび皮膚感染症を引き起こす。このように、多くの用途で使用および洗浄が繰り返されるサイクルは、ごく普通である。残念ながら、従来の布帛は、繰り返される使用および/または洗浄のサイクル中に劣悪化し、抗微生物性を失うと見出されている。
【0006】
[0006]従来の抗微生物糸および布帛の一例として、米国特許第6,584,668号は、糸および織物に適用される耐久性非導電性金属処理を開示する。耐久性非導電性金属処理は、糸および織物に適用されるコーティングまたは仕上げである。金属処理は、銀および/または銀イオン、亜鉛、鉄、銅、ニッケル、コバルト、アルミニウム、金、マンガン、マグネシウムなどを含み得る。金属処理は、糸または布帛の外面にコーティングまたはフィルムとして適用される。
【0007】
[0007]さらに、米国特許第4,701,518号は、亜鉛化合物(ZnO)およびリン化合物と、水中で調製されてカーペット繊維を形成する、抗微生物ナイロンを開示する。この方法は、フィラメント当たり18デニール(dpf)を有するカーペット用ナイロン繊維を生成し、従来の溶融重合により調製される。そのようなカーペット繊維は、典型的には30ミクロンを優に超える平均直径を有し、この直径は、一般的に皮膚に触れる用途に好適ではない。
【0008】
[0008]従来のポリマー配合物、例えば前述のナイロン配合物は、とりわけ、例えば不織布の用途において細い繊維(および低いデニール)が望ましいケースにおいて加工することが困難であると公知である。例えばナイロンおよび様々な他の添加剤を含む従来の配合物は、直径が小さい繊維を形成するために高いダイ圧力を必要とし得、続いてこれにより、不利益な繊維の中断が引き起こされるおそれがある。いくつかのケースでは、典型的なポリマー配合物は、効率的に加工するには高過ぎ、調整を必要とし得る相対粘度を有し、このため、全体の効率は低下するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009]いくつかの参考文献は抗微生物繊維および布帛の使用を教示していることがあるが、繊維強度を維持し、加工に依然効率的でありつつ、例えば低い相対粘度を有し、かつ/または低いダイ圧力を使用しつつ、複数回の洗浄後に抗微生物性を確保する抗微生物繊維および布帛の必要性は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]いくつかの実施形態によれば、本開示は、恒久的な抗微生物性を有する不織ポリアミド組成物であって、25ミクロン未満の平均繊維直径を有する不織ポリアミド、不織ポリアミド内に分散した2000ppm未満の亜鉛、および2000ppm未満のリンを含み、亜鉛対リンの重量比が少なくとも1.3:1、または0.64未満:1である、不織ポリアミド組成物に関する。いくつかの態様では、亜鉛対リンの重量比は、少なくとも2:1である。ポリアミド組成物の相対粘度は、10から100、例えば20から100に及び得る。いくつかの態様では、ポリアミド組成物は、500ppm未満の亜鉛を含み得る。ポリアミド組成物は、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み得る。いくつかの態様では、ポリアミド組成物は、リンを含まない。亜鉛は、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸アンモニウム亜鉛、アジピン酸アンモニウム亜鉛、ステアリン酸亜鉛、フェニルホスフィン酸亜鉛、ピリチオン亜鉛および/またはそれらの組合せを含む亜鉛化合物を経由して得られる。いくつかの態様では、亜鉛化合物は、フェニルホスフィン酸亜鉛および/またはフェニルホスホン酸亜鉛を含まない。いくつかの態様では、リンは、リン酸、ベンゼンホスフィン酸、ベンゼンホスホン酸、次亜リン酸マンガン、次亜リン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、次亜リン酸、亜リン酸および/またはそれらの組合せを含むリン化合物を経由して得られる。いくつかの態様では、ポリアミド組成物は、500ppm未満の亜鉛を含み、ポリアミド組成物は、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み、ポリアミド組成物は、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus
Aureusの少なくとも90%の減少を実証する。いくつかの態様では、ポリアミドは、ナイロンを含み、亜鉛は、酸化亜鉛および/またはピリチオン亜鉛を経由して得られ、ポリアミド組成物の相対粘度は10から100、例えば20から100に及ぶ。いくつかの態様では、ポリアミドは、ナイロン-6,6を含み、亜鉛は、酸化亜鉛を経由して得られ、亜鉛対リンの重量比は、少なくとも2:1であり、ポリアミド組成物は、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する。不織布は、銀、スズ、銅および金、ならびに合金、酸化物ならびに/またはそれらの組合せを含む1種または複数の追加の抗微生物剤をさらに含み得る。不織布の融点は、225℃以上であり得る。不織ポリアミドは、溶融、溶液、遠心または電界紡糸することにより形成され得る。いくつかの態様では、不織ポリアミドの平均繊維直径は、1000ナノメートル以下である。いくつかの態様では、20%以下の繊維は、700ナノメートル超の直径を有する。いくつかの態様では、ポリアミドは、ナイロン66またはナイロン6/66を含む。いくつかの態様では、ポリアミドは、高温ナイロン(high temperature nylon)を含む。いくつかの態様では、ポリアミドは、N6、N66、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11および/またはN12を含み、「N」は、ナイロンを意味する
。いくつかの態様では、不織ポリアミドは、600CFM/ft2未満の空気透過率値を有する。いくつかの態様では、不織ポリアミドは、200GSM以下の目付を有する。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、本開示は、抗微生物性を有する不織ポリアミド、例えばナイロン66またはナイロン6/66構造であって、不織ポリアミド繊維を含み、繊維が、不織ポリアミド繊維内に分散した4000ppm未満の亜鉛、例えば3200ppm未満または3100ppm未満、および2000ppm未満のリンを含む、不織ポリアミド構造に関する。繊維は、25ミクロン未満、例えば20ミクロン未満の平均繊維直径を有する。ポリアミド構造は、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する。亜鉛対リンの重量比は、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1であり得る。ポリアミド組成物の相対粘度は、100未満であり得る。構造および/または繊維は、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み得る。不織ポリアミドは、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸または遠心紡糸され得る。いくつかのケースでは、20%以下の繊維は、700ナノメートル超の直径を有する。抗微生物繊維は、染浴テストにより測定して、70%超の亜鉛の保持率を有し得る。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態では、本開示は、恒久的な抗微生物性を有する抗微生物不織ポリアミド構造を調製するための方法であって、モノマー水溶液を任意選択で含む前駆体ポリアミドを調製するステップ、前駆体ポリアミド内に4000ppm未満の亜鉛を分散させるステップ、前駆体ポリアミド内に2000ppm未満のリンを分散させるステップ、前駆体ポリアミドを重合して、ポリアミド組成物を形成するステップ、ポリアミド組成物を紡糸して、抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップ、および抗微生物ポリアミド繊維を、25ミクロン未満の繊維直径を有する抗微生物不織構造に成形するステップを含む、方法に関する。抗微生物繊維は、染浴テストにより測定して、70%超の亜鉛の保持率を有し得る。亜鉛対リンの重量比は、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1であり得る。ポリアミドは、ダイを通して高速ガス状ストリーム中にメルトブローすることにより溶融紡糸され得る。不織ポリアミドは、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸または遠心紡糸され得る。不織布は、繊維に溶融紡糸され、前記不織布に成形されるナイロン66ポリアミドを含み得、20%以下の繊維は、25ミクロン超の直径を有する。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態によれば、本開示は、恒久的な抗微生物性を有する抗微生物繊維であって、25ミクロン未満の平均繊維直径を有する不織ポリアミド、不織ポリアミド内に分散した2000ppm未満の亜鉛、および2000ppm未満のリンを含む抗微生物繊維に関する。いくつかの態様では、亜鉛対リンの重量比は、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1である。いくつかの態様では、亜鉛対リンの重量比は、少なくとも2:1である。いくつかの態様では、繊維が、20ミクロン未満の平均直径を有する。不織ポリアミドは、500ppm未満の亜鉛を含み得る。不織ポリアミドは、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み得る。抗微生物繊維は、染浴テストにより測定して、70%超の亜鉛の保持率を有し得る。亜鉛は、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸アンモニウム亜鉛、アジピン酸アンモニウム亜鉛、ステアリン酸亜鉛、フェニルホスフィン酸亜鉛、ピリチオン亜鉛および/またはそれらの組合せを含む亜鉛化合物であり得る。リンは、リン酸、ベンゼンホスフィン酸、ベンゼンホスホン酸、次亜リン酸マンガン、次亜リン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、次亜リン酸、亜リン酸および/またはそれらの組合せを含むリン化合物であり得る。不織ポリアミドは、500ppm未満の亜鉛を含み得、ポリマーは、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み、抗微生物繊維は、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する。不織ポリアミドは、ナイロンを含み得、亜鉛は、酸化亜鉛および/またはピリチオン亜鉛の形態で得られ、ポリマー樹脂組成物の相対粘度は10から10
0、例えば20から100に及び、抗微生物繊維は、染浴テストにより測定して80%超の亜鉛の保持率を有し、繊維は、18ミクロン未満の平均直径を有する。不織ポリアミドは、ナイロン-6,6を含み得、亜鉛は、酸化亜鉛の形態で得られ、亜鉛対リンの重量比は、少なくとも2:1であり、抗微生物繊維は、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証し、抗微生物繊維は、染浴テストにより測定して、95%超の亜鉛の保持率を有し、抗微生物繊維が、10ミクロン未満の平均直径を有する。不織ポリアミドは、銀、スズ、銅および金、ならびに合金、酸化物ならびに/またはそれらの組合せを含む1種または複数の追加の抗微生物剤をさらに含み得る。不織布の融点は、225℃以上であり得る。不織ポリアミドは、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸または遠心紡糸され得る。いくつかの態様では、不織ポリアミドの平均繊維直径は、1000ナノメートル以下であり得る。いくつかの態様では、20%以下の繊維は、700ナノメートル超の直径を有する。ポリアミドは、ナイロン66またはナイロン6/66を含み得る。ポリアミドは、高温ナイロンを含み得る。ポリアミドは、N6、N66、N6T/66、N612、N6/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11、および/またはN12を含み得、「N」は、ナイロンを意味する。不織ポリアミドは、600CFM/ft2未満の空気透過率値を有し得る。不織ポリアミドは、200GSM以下の目付を有し得る。目付は、ASTM D-3776により判定され得、GSM(g/m2)で報告され得る。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態によれば、本開示は、恒久的な抗微生物性を有する抗微生物不織ポリアミドを調製するための方法であって、ポリアミドを形成するためのモノマー水溶液を調製するステップ、モノマー水溶液内に分散した1000ppm未満の亜鉛を添加するステップ、2000ppm未満のリンを添加するステップ、モノマー水溶液を重合して、ポリアミドを形成するステップ、ポリアミドを紡糸して、抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップ、および抗微生物ポリアミド繊維を、25ミクロン未満の繊維直径を有する抗微生物不織ポリアミドに成形するステップを含み、亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1である方法に関する。ポリアミドは、2000ppm未満の亜鉛を含み得る。抗微生物繊維は、染浴テストにより測定して、70%超の亜鉛の保持率を有し得る。リンを添加するステップは、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を添加するステップを含み得る。ポリアミドは、ダイを通して高速ガス状ストリーム中にメルトブローすることにより溶融紡糸され得る。ポリアミドは、液体形態のポリアミド組成物を、繊維形成チャネルを通して加圧ガスにより押し出すステップを含む2相噴射剤ガス紡糸により溶融紡糸され得る。不織布は、繊維を移動ベルト上で収集することにより形成され得る。いくつかの態様では、不織布におけるポリアミドの相対粘度は、紡糸および不織布形成前のポリアミドと比較して、低下し得る。いくつかの態様では、不織布におけるポリアミドの相対粘度は、紡糸および不織布形成前のポリアミドと比較して、同一または上昇する。不織布は、溶融紡糸され、前記不織布に成形されるナイロン66ポリアミドを含み得、不織布は、少なくとも20ppmのTDIおよび少なくとも1ppmのODIを有する。不織布は、繊維に溶融紡糸され、前記不織布に成形されるナイロン66ポリアミドを含み得、20%以下の繊維は、25ミクロン超の直径を有する。いくつかの態様では、ポリアミドは、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸または遠心紡糸される。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態では、本開示は、抗微生物性を有する不織ポリアミド構造であって、25ミクロン未満の平均繊維直径を有する不織ポリアミド繊維、不織ポリアミド繊維内に分散した4000ppm未満の亜鉛を含む不織ポリアミド構造に関する。ポリアミド組成物は、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus
Aureusの少なくとも90%の減少を実証し得る。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態では、本開示は、抗微生物性を有する抗微生物不織ポリアミ
ド構造を調製するための方法であって、ポリアミド、ポリアミド内に分散した4000ppm未満の亜鉛、およびポリアミド内に分散した2000ppm未満のリンを含む配合物を調製するステップ、配合物を紡糸して、25ミクロン未満の繊維直径を有する抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップ、ならびに抗微生物ポリアミド繊維を、抗微生物不織ポリアミド構造に成形するステップを含む、方法に関する。繊維は、275psig未満のダイ圧力を使用して紡糸され得る。
【0017】
[0017]本開示は、図に関して、以下に詳細に記載されており、同じ数字は、同様の部分を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】[0018]本開示に関連する有用な2相噴射剤ガス紡糸系の個別の概略図である。
【
図2】[0018]本開示に関連する有用な2相噴射剤ガス紡糸系の個別の概略図である。
【
図3】[0019]7.3のRVを有する不織布に溶融紡糸されたナノファイバーナイロン66の、倍率50×での顕微鏡写真である。
【
図4】[0020]7.3のRVを有する不織布に溶融紡糸されたナイロン66の、
図3のグレードのナノファイバーの、倍率8000×での顕微鏡写真である。
【
図5】[0021]本開示の実施形態に関連するメルトブロー方法の概略図である。
【
図6】[0022]36のRVを有するナイロン66のナノファイバーの、倍率100×での顕微鏡写真である。
【
図7】[0023]ダイ温度に応じたナノファイバー試料に対する熱劣化指数および酸化劣化指数の値を比較するグラフである。
【
図8】[0024]メーターポンプ速度に応じたナノファイバー試料に対する熱劣化指数および酸化劣化指数の値を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
序論
[0025]上で論じたように、いくつかの従来の抗微生物繊維および布帛は、抗微生物化合物を利用して、病原体を阻害する。例えばいくつかの布帛は、局所処理を経由してフィルムとして外層に適用される抗微生物添加剤、例えば銀を含み得る。しかし、これらの処理は、布帛から(急速に)浸出することが多いと見出された。同じく、抗微生物添加剤が繊維の成分であるいくつかの非コーティング用途では、抗微生物添加剤は、通常約10回以内の洗浄サイクルで洗い流され、添加剤を環境に浸出させることが公知である。
【0020】
[0026]しかし開示されている不織繊維および布帛は、有利なことに、局所処理に対する必要性を排除して、被服用の抗微生物剤を作る。本抗微生物繊維および布帛は、「組込み」抗微生物性を有する。また、これらの性質は、有益なことに、著しい洗浄または洗浄サイクルの後でも、洗い落とさない。さらに、抗微生物繊維は、色堅牢度(材料の色落ちまたは色滲みに対する耐性に関する特性)および耐久性を維持できる。従来の抗微生物布帛とは異なり、本繊維および布帛は、繰り返される使用および洗浄のサイクル後でも、浸出および抽出により抗微生物活性を失わない。
【0021】
[0027]また、カーペット繊維に関する基準は、高いデニール(例えば12dpf超)および/または大きい繊維直径(例えば20ミクロン超)の繊維/フィラメントに関する。これらのカーペット繊維は、完全に異なる、似ていないプロセス/設備(フィラメント紡糸vs.繊維ブロー)を経由して形成され、これにより、完全に異なる生成物(単一の長く太いフィラメントvs.複数の細く絡み合った繊維)を生じる。これらの顕著な差に関して、そのようなカーペット繊維の参考文献の教示は、典型的には、例えば不織布のブロ
ー作業に関連性があるとはみられない。より具体的には、カーペット繊維製品では、ポリマーの相対粘度を上昇させる能力のために、異なる量、例えばより多い量のリン化合物(任意選択で亜鉛化合物を有する)を有する配合物が用いられる。
【0022】
[0028]しかし、リン化合物は、典型的には、カーペット以外のもの、例えばテキスタイル、ポリマー配合物に使用されないが、その理由は、使用および付随する相対粘度上昇が、加工性の問題に寄与し得るためである。換言すれば、不織布設備およびプロセスは、カーペット配合物を加工できない(相対粘度が上昇している)が、その理由は、配合物が加工性を妨げるおそれがあり、不可能でないにせよ生成を困難にするためである。カーペット配合物と対照的に、本明細書で開示されている(不織)ポリアミド組成物は、亜鉛、および任意選択でリンの特有の組合せを、それぞれ好ましくは、従来のカーペット繊維配合物に関連する粘度上昇を妨害する、または排除する(また、追加の相乗利益も得られる)特定の量、例えば少ない量で含む。結果として、本明細書で開示されている不織布配合物は、抗微生物性を有するはるかに細い繊維を、例えば不織ウエブの形態で、前述の加工の問題なしで形成することが意外にも可能である。従来の配合物は、そのような細い直径の繊維、例えばナノファイバー不織ウエブに効率的に紡糸できなかった。
【0023】
[0029]さらになお、抗微生物剤を用いる従来のナイロン配合物は、直径が小さい繊維の不織布マットを形成するために、高いダイ圧力の使用を必要とすることがある。これらの高いダイ圧力は、不利益な繊維の中断を引き起こすことが多い。
【0024】
[0030]また、いくつかの参考文献は、抗微生物剤と繊維、皮革またはプラスチックを直接混合するが、そのようなプロセスは、熱分解、色堅牢度の損失、または抗微生物物質の溶出による問題のため抗微生物能力が失われたので、生成物の品質劣悪化の問題を解決しなかった。さらに他の従来の抗微生物布帛、例えば不織布帛は、被服用途に不十分な、例えば著しい洗浄に持ちこたえることが不能な、かつ製品寿命にわたり抗微生物性を確保することができない強度を有すると見出された。
【0025】
[0031]さらに、亜鉛(亜鉛化合物)、および任意選択でリンが、それぞれ好ましくは不織ポリアミド組成物中に特定の量で存在すると、抗微生物不織繊維、例えば永続的な抗微生物性を確保することが可能なナノファイバーの有効な生成物を得ることが可能と今般発見された。これらの繊維の生成は、有利なことに、低いダイ圧力での操作を使用して達成され得る。いくつかのケースでは、組成物は、より低い相対粘度(RV)を有し、これは、低いダイ圧力での操作に寄与し得る。理論に束縛されないが、いくつかの実施形態では、リン化合物の特定の量での使用は、亜鉛をポリマーおよび/または繊維中でより安定的に配置することを可能にし、したがって、例えば洗浄中に亜鉛が繊維/布帛から浸出することを妨害できる。換言すれば、ポリアミド組成物は、ポリアミド中に包埋されているある量の亜鉛およびリンを有し得、その結果これらが、恒久的な抗微生物性を保つ。さらに、不織ポリアミド、とりわけ溶融紡糸、溶液紡糸、遠心紡糸または電界紡糸プロセスにより形成された不織ポリアミドのポリマー樹脂としての使用は、改善された耐久性を有すると見出された。本明細書にさらに記載されているメルトブローまたは紡糸された不織ポリアミドを使用することには、さらなる多大な利益がある。
【0026】
[0032]有益なことに、亜鉛化合物および任意選択でリン化合物を、繊維の生成プロセス中、ポリマー組成物に例えばモノマー水溶液に、またはマスターバッチを経由して供与すると、繊維全体に均等に分散した抗微生物剤を有する繊維が生成されることも見出された。従来のプロセスでは、抗微生物性を布帛にもたらすために、銀コーティングが布帛の外面に適用される。しかし、銀コーティングは、布帛全体に分散せず、成分、例えば銀の環境への浸出にさらに影響を受けやすい。有利なことに、本ポリマー組成物は、抗微生物剤を溶出せず、毒性成分、例えば銀も一切含まないため、毒性を生じない。さらに、本ポリ
マー組成物を使用して形成された抗微生物繊維は、抗微生物剤がポリマーおよび/または繊維中に恒久的に配置されるので、個別の適用ステップを必要としない。
【0027】
[0033]他の実施形態では、組成物は、リンをほとんど含まない、または含まない。開示されている亜鉛化合物は、任意選択で開示されている量で、有益な性質を、抗微生物ポリアミド組成物、およびそれらを用いるプロセス、例えば低いダイ圧力での操作に与える。
【0028】
[0034]上述のように、追加の利益として、不織ポリアミド配合物/組成物を使用して形成された繊維は、有利な物理的特徴、例えば小さい平均繊維直径を有し、これにより繊維は、大きい繊維直径が好適ではない様々な用途、例えば被服または他の皮膚に触れる用途、ならびに太い繊維が好適ではない濾過で使用されることが可能になる。
【0029】
[0035]一態様では、本開示は、ポリアミド構造を形成するように任意選択で配列される抗微生物繊維(ナノファイバー)を形成するために、いくつかのケースで使用され得るポリアミド配合物/組成物に関する。不織ポリアミド組成物は、効果的で、洗浄または繊維からの損耗に著しく耐性である特定の抗微生物剤を含む。重要なことには、配合物により、加工の利点、例えば細い直径の繊維を形成する能力、低いダイ圧力での操作に使用される能力、および/または好ましい相対粘度(RV)パラメーターを有する能力が得られる。一態様では、抗微生物繊維は、布帛または布帛のある一部を形成する。いくつかの実施形態では、配合物は、ポリアミドまたはポリアミド混合物、および亜鉛化合物を含む。いくつかのケースでは、配合物は、リン化合物をさらに含む。成分(およびその組成量)、それらから形成される品目、およびそれらの性能特性の詳細は、本明細書で開示されている。
【0030】
[0036]いくつかの実施形態では、本開示は、抗微生物性を有する不織ポリアミド構造、例えばマットに関する。構造は、例えば25ミクロン未満の平均繊維直径を有する細い直径のポリアミド繊維(いくつかのケースでは不織繊維)を含む。繊維は、亜鉛化合物を特定の量で含み、亜鉛は、抗微生物コーティングを自らの表面に有することがある従来の繊維または構造と対照的に、繊維内に分散する(繊維/ポリマーの成分として)。
【0031】
[0037]構造(および/または構造を形成する繊維)は、改善された抗微生物性能を実証し、例えば構造は、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%、例えば少なくとも99%の減少、またはKlebsiella pneumonia成長の少なくとも90%、例えば少なくとも99%の減少を実証する。
抗微生物成分
[0038]上述のように、ポリアミド配合物は、亜鉛および任意選択でリンを、好ましくは特定の量で、ポリアミド組成物中に含み、これにより、前述の抗微生物的な利益および/または物理的な/性能の利益が得られる。本明細書で使用されている、「亜鉛化合物」は、少なくとも1個の亜鉛分子またはイオンを有する化合物を指す。本明細書で使用されている「リン化合物」は、少なくとも1個のリン分子またはイオンを有する化合物を指す。
【0032】
[0039]ポリアミド配合物(またはそれから作られた構造もしくは繊維)は、亜鉛(成分)を含み、例えば亜鉛は、ポリアミド配合物内に分散する。いくつかの実施形態では、ポリアミド配合物における亜鉛の濃度は、100ppbから4000ppm、例えば500ppbから3500ppm、1ppmから3500ppm、200ppmから3000ppm、275ppmから3100ppm、200ppmから1500ppm、100ppmから2000ppm、200ppmから700ppm、250ppmから550ppm、1ppmから1000ppm、例えば25ppmから950ppm、50ppmから900ppm、100ppmから800ppm、150ppmから700ppm、175p
pmから600ppm、200ppmから500ppm、215ppmから400ppm、225ppmから350ppmまたは250ppmから300ppmの範囲である。下限に関しては、ポリアミド配合物は、亜鉛を100ppb超、例えば500ppb超、1ppm超、5ppm超、10ppm超、25ppm超、50ppm超、75ppm超、100ppm超、150ppm超、175ppm超、200ppm超、215ppm超、225ppm超、250ppm超、または275ppm超含む。上限に関しては、ポリアミド配合物は、亜鉛を4000ppm未満、例えば3500ppm未満、3000ppm未満、3100ppm未満、2000ppm未満、亜鉛を1500ppm未満、亜鉛を1000ppm未満、950ppm未満、900ppm未満、800ppm未満、700ppm未満、600ppm未満、550ppm未満、500ppm未満、400ppm未満、または300ppm未満含む。いくつかの態様では、亜鉛は、ポリアミド配合物から形成されたポリマー中に包埋される。
【0033】
[0040]亜鉛がポリアミド配合物に供与される手段は、幅広く変更させてよい。ポリアミド配合物中に亜鉛を供与するための多くの技術は、本開示の想定内であり、好適であろう。一例として、亜鉛化合物は、ポリアミドの成分として添加され得る。一実施形態では、亜鉛化合物は、マスターバッチとして添加され得る。マスターバッチは、ポリアミド、例えばナイロン6またはナイロン6,6を含み得る。さらに他の実施形態では、亜鉛化合物は、粉をペレットに振りかけることにより添加され得る。さらに別の実施形態では、亜鉛は、ナイロン6,6ペレット上に(粉末として)添加され得、ツインスクリュー押出機を通して加工して、ポリマー中に材料をより均等に分布させ、布帛全体の添加剤の均一性を向上させることができる。一実施形態では、亜鉛化合物は、ポリアミド形成中に塩溶液に添加され得る。
【0034】
[0041]いくつかの実施形態では、配合物、構造および/または繊維は、リン(成分)を含む。どのようにリンが得られるか(以下の考察を参照されたい)に関係なく、リンは亜鉛と同じく、ポリアミド配合物に存在する。いくつかの実施形態では、ポリアミド配合物中のリンの濃度は、10ppmから1000ppm、例えば20ppmから950ppm、30から900、50ppmから850ppm、100ppmから800ppm、150ppmから750ppm、200ppmから600ppm、250ppmから550ppm、300ppmから500ppmまたは350ppmから450ppmに及ぶ。上限に関しては、ポリアミド配合物中のリンの濃度は、1000ppm未満、例えば950ppm未満、900ppm未満、800ppm未満、700ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、400ppm未満、300ppm未満、または200ppm未満であり得る。下限に関しては、ポリアミド配合物中のリンの濃度は、10ppm超、例えば20ppm超、40ppm超、60ppm超、80ppm超、100ppm超、150ppm超または180ppm超であり得る。いくつかの態様では、リンは、ポリアミド配合物のポリマー中に包埋される。
【0035】
[0042]リンがポリアミド配合物に供与される手段は、幅広く変更させてよい。リンをポリアミド配合物中に供与するための多くの技術は、本開示の想定内であり、好適であろう。一例として、リンまたはリン化合物は、樹脂の成分として、例えば亜鉛と同様の手段で添加され得る。
【0036】
[0043]一実施形態では、リンは、別の添加剤の成分として得られる。例えばリンは、ポリマー組成物に添加されるつや消し剤の成分であり得る。具体的には、リンは、つや消し剤のコーティング添加剤/成分であり得る。いくつかの態様では、つや消し剤は、二酸化チタンを含む。二酸化チタンは、リン含有表面コーティング、例えばマンガンでコーティングされている二酸化チタンを含み得る。いくつかの態様では、ポリアミド組成物に存在するリンは、添加剤、例えばつや消し剤により全体に供給される。いくつかの態様では、
ポリアミド組成物に存在するリンは、添加剤により部分的に、またリン添加剤として部分的に供給される。
【0037】
[0044]いくつかの態様では、ポリアミド配合物に存在するリンは、つや消し剤、例えば二酸化チタン添加剤により全体に供給され、リンがないと、例えばリン添加剤が、ポリアミド組成物に個別に添加される。例えば二酸化チタン添加剤は、ポリマー配合物に存在し得、二酸化チタンは、ポリアミド配合物の合計重量に対して、2000ppm未満のリンを含む。いくつかの実施形態では、ポリアミド配合物は、二酸化チタン添加剤およびリン添加剤を含み得、これと共に、ポリアミド配合物の合計重量に対して2000ppm未満のリンを供給する。
【0038】
[0045]いくつかの実施形態では、無機顔料のような材料は、つや消し剤として利用され得る。つや消し剤は、二酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、チタン酸亜鉛、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、二酸化ジルコニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化トリウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、滑石、マイカのうち1種または複数を含み得る。着色材料、例えばカーボンブラック、銅フタロシアニン顔料、クロム酸鉛、酸化鉄、酸化クロムおよびウルトラマリン青も、使用され得る。いくつかの態様では、つや消し剤は、非フェノール系多環式化合物、例えばトリフェニルベンゼン、ジフェニル、置換ジフェニル、置換ナフタレン、ならびに芳香族および多環式タイプの塩化化合物、例えば塩化ジフェニルを含む。
【0039】
[0046]本発明者らは、いくつかのケースでは、亜鉛対リンの特定の重量比の使用が、リンのポリアミド配合物に対する悪影響を最小化することを見出した。例えばポリアミド組成物中に多すぎるリンは、ポリマードリップ(polymer drip)、ポリマー粘度の上昇および生成プロセスにおける非効率性を引き起こし得る。
【0040】
[0047]一実施形態では、ポリアミド配合物中における亜鉛対リンの重量比は、1.3超:1、例えば1.4超:1、1.5超:1、1.6超:1、1.7超:1、1.8超:1、または2超:1であり得る。範囲に関しては、ポリアミド配合物中における亜鉛対リンの重量比は、1.3:1から30:1、例えば1.4:1から25:1、1.5:1から20:1、1.6:1から15:1、1.8:1から10:1、2:1から8:1、3:1から7:1または4:1から6:1に及び得る。上限に関しては、ポリアミド組成物中における亜鉛対リンの重量比は、30未満:1、例えば28未満:1、26未満:1、24未満:1、22未満:1、20未満:1、または15未満:1であり得る。いくつかの態様では、ポリアミド配合物中にリンは存在しない。他の態様では、きわめて低い量のリンが存在する。いくつかのケースでは、リンは、亜鉛と一緒に繊維/ポリマー中に保たれる。
【0041】
[0048]一実施形態では、ポリアミド配合物中における亜鉛対リンの重量比は、0.64未満:1、例えば0.62未満:1、0.6未満:1、例えば0.5未満:1、0.45未満:1、0.4未満:1、0.3未満:1、または0.25未満:1であり得る。範囲に関しては、ポリアミド配合物中における亜鉛対リンの重量比は、0.001:1から0.64:1、例えば0.01:1から0.6:1、0.05:1から0.5:1、0.1:1から0.45:1、0.2:1から0.4:1、0.25:1から0.35:1または0.2:1から0.3:1に及び得る。下限に関しては、ポリアミド配合物中における亜鉛対リンの重量比は、0.001超:1、例えば0.005超:1、0.01超:1、0.05超:1、0.1超:1、0.15超:1、または0.2超:1であり得る。
【0042】
[0049]いくつかのケースでは、特定の量の亜鉛およびリンが、ポリアミド配合物、例え
ばポリアミド樹脂組成物中に、微粉化形態で、例えば顆粒、フレークの形態で混合されて、ポリアミド配合物を得ることができ、これはその後、従来の方法により繊維に成形されて、例えば押し出されて、そうでなければ延伸されて、実質的に改善した抗微生物活性を有する繊維を生成すると判定された。亜鉛およびリンは、恒久的な抗微生物活性を有する繊維を得るために、ポリアミド配合物中に前述の量で用いられる。
【0043】
[0050]本明細書において述べられているように、前述の亜鉛濃度、リン濃度、および任意選択で相対粘度の範囲およびまたは他の特性を有するポリアミド配合物を利用することにより、結果として生じた抗微生物繊維は、高いパーセンテージの亜鉛を確保することが可能である。生じた不織布は、(恒久的または永続的な)抗微生物性を有する。
【0044】
[0051]いくつかの実施形態では、抗微生物繊維は、染浴テストにより測定して、70%超、例えば75%超、80%超、90%超、95%超、または99%超の亜鉛の保持率を有するポリアミド配合物から形成される。上限に関しては、抗微生物繊維は、100%未満、例えば99.9%未満、98%未満、95%未満または90%未満の亜鉛保持率を有する。範囲に関しては、抗微生物繊維は、70%から100%、例えば75%から99.9%、80%から99%または90%から98%の範囲において亜鉛保持率を有する。
【0045】
[0052]ポリアミド配合物から形成される繊維の亜鉛保持率は、染浴テストにより、以下の標準手順に従って、測定され得る。試料は、研磨プロセスにより浄化される(すべての油が除去される)。研磨プロセスは、例えば71℃にて15分実施される加熱浴を用いることがある。繊維の重量に対して(「owf」)0.25%のSterox(723 Soap)非イオン性界面活性剤および0.25% owfのTSP(リン酸三ナトリウム)を含む研磨溶液は、使用され得る。試料を、次いで水ですすぎ、次いで冷水ですすいだ。
【0046】
[0053]浄化された試料は、化学染料レベル測定手順に従ってテストされ得る。この手順は、試料を1.0% owfのC.I.アシッドブルー45、4.0% owfのMSP(リン酸一ナトリウム)および十分な% owfのリン酸二ナトリウムまたはTSPを含む染浴中に入れて、リカー対繊維比が28:1、pH6.0を達成することを用いることがある。例えばpH6未満が望ましい場合、望ましい酸の10%溶液は、望ましいpHが達成されるまで、目薬容器を使用して添加され得る。染浴は、浴を100℃にて沸騰させるように予めセットしてよい。試料は、浴に1.5時間入れる。一例として、沸騰に達するのにおよそ30分かかることがあり、次いで浴を沸騰で1時間保つ。次いで試料を浴から除去し、すすぐ。試料は、次いで水を抽出するために移して遠心分離する。水を抽出した後で、試料をレイアウトし、空気乾燥させる。手順前後の成分量を、次いで測定し、記録する。
【0047】
[0054]いくつかの実施形態では、亜鉛は、亜鉛化合物として得られる。亜鉛化合物は、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸アンモニウム亜鉛、アジピン酸アンモニウム亜鉛、ステアリン酸亜鉛、フェニルホスフィン酸亜鉛、ピリチオン亜鉛およびそれらの組合せを含み得る。いくつかの態様では、亜鉛は、酸化亜鉛の形態で得られる。いくつかの態様では、亜鉛は、フェニルホスフィン酸亜鉛および/またはフェニルホスホン酸亜鉛を経由して得られない。有益には、本発明者らは、これらの特定の亜鉛化合物が、容易に解離してさらなる亜鉛イオンを形成するため、特に適正に働くことを見出した。
【0048】
[0055]いくつかの実施形態では、リンは、リン化合物として得られる。態様では、リン化合物は、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸ナトリウム、亜リン酸、ベンゼンホスホン酸、フェニルホスフィン酸カルシウム、B-ペンチルホスフィン酸カリウム、メチルホスフィン酸、次亜リン酸マンガン、次亜リン酸ナトリ
ウム、リン酸一ナトリウム、次亜リン酸、ジメチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸マグネシウム、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルルネチル(diphenylrnethyl phosphite)、亜リン酸ジメチルフェニル、亜リン酸エチルジフェニル、フェニルホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸カリウム、メチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カルシウムおよびそれらの組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、リン化合物は、リン酸、ベンゼンホスフィン酸、ベンゼンホスホン酸およびそれらの組合せを含み得る。リンまたはリン化合物も、亜鉛と一緒にポリマー中に分散させることができる。
【0049】
[0056]いくつかの実施形態では、抗微生物剤、例えば亜鉛は、抗微生物剤を、ポリアミド組成物の繊維/ポリマー中へと組み込むことを促進するために、リンと添加される。この手順は、有利なことに、抗微生物剤を、最終的な繊維の全体により均一に分散させることを可能にする。さらに、この組合せは、活性な抗微生物原料が繊維から洗浄されることの防止または限定を助けるために、抗微生物剤をポリアミド組成物内に「内蔵する」。
【0050】
[0057]いくつかの実施形態では、ポリアミド組成物は、亜鉛以外の追加の抗微生物剤を含み得る。追加の抗微生物剤は、金属形態、例えば微粒子、合金および酸化物、塩、例えば硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩および塩化物、ならびに/またはイオン形態の好適な抗微生物剤、例えば銀、銅および/または金のいずれかであり得る。いくつかの態様では、さらなる添加剤、例えば追加の抗微生物剤が、ポリアミド組成物に添加される。
抗微生物性能
[0058]いくつかの実施形態では、配合物、構造および/または繊維は、例えば24時間後に、改善した抗微生物性能を実証する。例えば配合物、構造および/または繊維は、ISO20743-13により測定して、少なくとも90%、例えば少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも99.98、少なくとも99.99、少なくとも99.997、少なくとも99.999または少なくとも99.9999のStaphylococcus Aureus減少(成長の阻害)を実証し得る。
【0051】
[0059]いくつかの実施形態では、配合物、構造および/または繊維は、改善した抗微生物性能を実証する。例えば配合物、構造および/または繊維は、ISO20743-13により測定して、少なくとも90%、例えば少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも99.98、少なくとも99.99、少なくとも99.999、少なくとも99.9998または少なくとも99.9999のKlebsiella pneumoniae減少(成長の阻害)を実証し得る。
【0052】
[0060]対数減少(Staphylococcus Aureus)の観点から、配合物、構造および/または繊維は、2.0超、例えば3.0超、3.5超、4.0超、4.5超、4.375超、または5.0超の対数減少を実証し得る。
【0053】
[0061]対数減少(Klebsiella pneumoniae)の観点から、配合物、構造および/または繊維は、3.0超、例えば3.75超、4.0超、4.0超、4.5超、4.75超、5.0超、5.5超、または6.0超の対数減少を実証し得る。
繊維の寸法および分布
[0062]本明細書で開示されている繊維は、マイクロファイバー、例えば25ミクロン未満の平均繊維直径を有する繊維またはナノファイバー、例えば1000nm(1ミクロン)未満の平均繊維直径を有する繊維。
【0054】
[0063]いくつかの実施形態では、繊維は、一般的に皮膚に触れる用途に好適ではないカーペットに関連した用途のために形成された繊維の直径未満の平均繊維直径を有し、例え
ば、この繊維は、25ミクロン未満、例えば20ミクロン未満、18ミクロン未満、17ミクロン未満、15ミクロン未満、12ミクロン未満、10ミクロン未満、7ミクロン未満、5ミクロン未満、3ミクロン未満、または2ミクロン未満の平均繊維直径を有し得る。
【0055】
[0064]いくつかのケースでは、不織布(の繊維層)におけるナノファイバーの平均繊維直径は、1ミクロン未満、例えば950ナノメートル未満、925ナノメートル未満、900ナノメートル未満、800ナノメートル未満、700ナノメートル未満、600ナノメートル未満、または500ナノメートル未満であり得る。下限に関しては、ナノファイバーの平均繊維直径は、少なくとも100ナノメートル、少なくとも110ナノメートル、少なくとも115ナノメートル、少なくとも120ナノメートル、少なくとも125ナノメートル、少なくとも130ナノメートルまたは少なくとも150ナノメートルであり得る。範囲に関しては、ナノファイバーの平均繊維直径は、100から1000ナノメートル、例えば110から950ナノメートル、115から925ナノメートル、120から900ナノメートル、125から800ナノメートル、125から700ナノメートル、130から600ナノメートルまたは150から500ナノメートルであり得る。そのような平均繊維直径から、本明細書で開示されている紡糸方法により形成されたナノファイバーは、電界紡糸方法により形成されたナノファイバーと区別できる。電界紡糸方法は、典型的には、100ナノメートル未満、例えば50から100ナノメートル未満までの平均繊維直径を有する。理論に束縛されないが、そのような小さいナノファイバー直径は、繊維強度の低下およびナノファイバーを取り扱う困難さの増大を引き起こし得ると考えられている。とはいえ、いくつかの電界紡糸方法が想定され得る。
【0056】
[0065]いくつかのケースでは、不織布におけるマイクロファイバーの平均繊維直径は、25ミクロン未満、例えば24ミクロン未満、22ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、10ミクロン未満、または5ミクロン未満であり得る。下限に関しては、不織布におけるマイクロファイバーの平均繊維直径は、少なくとも1ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、少なくとも5ミクロン、少なくとも7ミクロンまたは少なくとも10ミクロンであり得る。範囲に関しては、不織布の繊維層におけるナノファイバーの平均繊維直径は、1から25ミクロン、例えば2から24ミクロン、3から22ミクロン、5から20ミクロン、7から15ミクロン、2から10ミクロンまたは1から5ミクロンであり得る。そのような平均繊維直径により、本明細書で開示されている紡糸方法により形成されたマイクロファイバーは、電界紡糸方法により形成された繊維と区別できる。
【0057】
[0066]開示されている方法および配合物の使用は、繊維直径の特定の、および有益な分布を引き起こす。例えばナノファイバーのケースでは、ナノファイバーの20%未満、例えば17.5%未満、15%未満、12.5%未満、または10%未満は、700ナノメートル超からの繊維直径を有し得る。下限に関しては、ナノファイバーの少なくとも1%、例えば少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%または少なくとも5%は、700ナノメートル超の繊維直径を有する。範囲に関しては、ナノファイバーの1から20%、例えば2から17.5%、3から15%、4から12.5%または5から10%は、700ナノメートル超の繊維直径を有する。そのような分布により、本明細書に記載されているナノファイバー不織布生成物が、電界紡糸により形成されたもの(小さい平均直径(50~100ナノメートル)およびはるかに狭い分布を有する)、および非ナノファイバー溶融紡糸(はるかに大きい分布を有する)により形成されたものと区別できる。例えば遠心紡糸された非ナノファイバー不織布は、WO2017/214085で開示され、2.08から4.4ミクロンの繊維直径について報告するが、WO2017/214085の
図10Aではきわめて広い分布が報告されている。しかし電界紡糸は、望ましい繊維直径および分布に応じてそれでも使用できる。
【0058】
[0067]マイクロファイバーのケースでは、繊維直径は、マイクロファイバーの大きさに応じて、望ましくは狭い分布も有し得る。例えばマイクロファイバーの20%未満、例えば17.5%未満、15%未満、12.5%未満、または10%未満は、平均繊維直径を超える2ミクロン超の繊維直径を有し得る。下限に関しては、マイクロファイバーの少なくとも1%、例えば少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%または少なくとも5%は、平均繊維直径を超える2ミクロン超の繊維直径を有する。範囲に関しては、マイクロファイバーの1から20%、例えば2から17.5%、3から15%、4から12.5%または5から10%は、平均繊維直径を超える2ミクロン超の繊維直径を有する。さらなる例では、上の挙げられた分布は、1.5ミクロン以内、例えば1.25ミクロン以内、1ミクロン以内または500ナノメートル以内の平均繊維直径であり得る。
【0059】
[0068]いくつかの態様では、異なる平均繊維直径を有する繊維の組合せが使用され得る。例えばナノファイバーおよびマイクロファイバーの組合せ、例えば1ミクロン未満の平均繊維直径を有する繊維、および1から25ミクロンの平均繊維直径を有する繊維の組合せが使用され得る。さらなる態様では、異なる平均繊維直径を有するナノファイバーの組合せが使用され得る。なおさらなる態様では、異なる繊維直径を有するマイクロファイバーの組合せが使用され得る。さらなる追加の態様では、異なる繊維直径を有する3、4、5種またはそれ超の繊維の組合せが使用され得る。
【0060】
[0069]ある実施形態では、利点は、望ましい性質のためにブレンドされた、異なるRV値を有する2つの関連したポリマー(両方とも330未満、また、1ミクロン未満の平均繊維直径の両方を有する)を有することと予想される。例えばポリアミドの融点を上昇でき、RVを調整でき、または他の性質を調整できる。
【0061】
[0070]ある実施形態では、利点は、望ましい性質のためにブレンドされた、異なるRV値を有する2つの関連したポリマー(両方とも330未満、また本明細書で論じられている平均繊維直径を有する)を有することと予想される。例えばポリアミドの融点を上昇でき、RVを調整でき、または他の性質を調整できる。
【0062】
[0071]抗微生物繊維および布帛は、有利なことに、耐久性がある抗微生物性を有する。いくつかの態様では、抗微生物繊維は、ポリアミド、ポリエステルおよびそれらのブレンドから形成され得る。抗微生物繊維は、有利な抗微生物性をテキスタイル、例えば被服、例として運動競技用衣類または他の皮膚に触れる被服にもたらす不織布を形成するように紡糸され得る。
【0063】
[0072]いくつかの実施形態では、ポリアミド組成物は、恒久的な抗微生物性を有する、抗微生物成型品および加工品を生成するために使用される。いくつかの態様では、抗微生物ポリアミド組成物を含む成型品および加工品が生成される。いくつかの態様では、ポリアミド組成物は、添加剤、例えばEBSおよびポリエチレンワックスをさらに含み得、これらは、添加剤の2つの非限定的な例である。
【0064】
[0073]いくつかの実施形態では、ポリアミド組成物は、プラスチックの成型プロセス中に直接添加した後で、射出成型、押出成型、ブローまたはラミネート処理方法に利用され得る。他の実施形態では、ポリアミド組成物は、マスターバッチを形成するために添加され得、マスターバッチは、成型品を形成するために使用される。
【0065】
[0074]いくつかの実施形態は、ポリアミド組成物を含む成型品および加工品に関する。いくつかの態様では、成型品および加工品は、産業用品、様々な包装材、消費者用品または医療用品であり、成型品および加工品は、インテリア材料、例えばブラインド、壁紙お
よび床材;食品関連製品、例えば包装用フィルム、保存容器およびまな板;電化製品、例えば加湿器、洗浄機および食器洗い機;エンジニアリング材料、例えば水道および排水管、ならびにコンクリート;医療分野におけるコア材料と;産業目的の生成物、例えばコーティングに適用され得る。成型品および加工品は、医療用品、すなわち人体へと挿入するための医療デバイス/製品、例えば医療目的のカテーテル、人工装具および骨修復材または医療目的の輸血バッグに特に有用である。
ポリアミドのRV、配合物、構造および繊維
[0075]ポリアミドのRVおよび配合物(ならびに結果として生じた構造および生成物)は、一般的に、25℃にて毛細管粘度計で測定される溶液または溶媒粘度の比である(ASTM D 789)(2015)。この目的に関して、溶媒は、10重量%の水、および90重量%のギ酸を含有するギ酸である。溶液は、溶媒に溶解した8.4重量%のポリマーである。
【0066】
[0076]開示されているポリマーおよび生成物に関して使用されるRV(ηr)は、ポリマー溶液の絶対粘度対ギ酸の絶対粘度の比である:
ηr=(ηp/ηf)=(fr×dp×tp)/ηf
式中:dp=25℃でのギ酸-ポリマー溶液の密度
tp=ギ酸-ポリマー溶液の平均流出時間、
ηf=ギ酸の絶対粘度、kPa×s(E+6cP)および
fr=粘度計管係数、mm2/s(cSt)/s=ηr/t3。
【0067】
[0077]50RVの被検査物に対する典型的な計算:
ηr=(fr×dp×tp)/ηf
式中:
fr=粘度計管係数、典型的には0.485675cSt/s
dp=ポリマー-ギ酸溶液の密度、典型的には1.1900g/ml
tp=ポリマー-ギ酸溶液の平均流出時間、典型的には135.00s
ηf=ギ酸の絶対粘度、典型的には1.56cP
ηr=(0.485675cSt/s×1.1900g/ml×135.00s)/1.56cP=50.0のRVが導かれる。t3の項は、ASTM D789(2015)で、必要に応じてギ酸の絶対粘度の判定に使用されるS-3較正油の流出時間である。
【0068】
[0078]有利なことには、亜鉛および任意選択でリンの上で同定された比率を超える添加は、有益な相対粘度のポリアミド配合物、構造および/または繊維を引き起こし得ると発見されている。いくつかの実施形態では、RVは1から100、例えば10から100、20から100、25から80、30から60、40から50、1から40、10から30、15から20、20から35または25から32に及ぶ。下限に関しては、RVは、1超、例えば10超、15超、20超、25超、30超、35超、または40超であり得る。上限に関しては、RVは、100未満、例えば80未満、60未満、40未満、35未満、32未満、30未満、または20未満であり得る。
【0069】
[0079]いくつかの実施形態では、(前駆体)ポリアミドのRVは、少なくとも2、例えば少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5の下限を有する。上限に関しては、ポリアミドは、330以下、300以下、275以下、250以下、225以下、200以下、150以下、100以下または60以下のRVを有する。範囲に関しては、ポリアミドは、2から330、例えば2から300、2から275、2から250、2から225、2から200、2から100、2から60、2から50、2から40、10から40または15から40、およびその間の任意の値のRVを有し得る。
【0070】
[0080]いくつかの実施形態では、不織構造のRVは、少なくとも2、例えば少なくとも
3、少なくとも4または少なくとも5の下限を有する。上限に関しては、ナノファイバー不織布生成物は、330以下、300以下、275以下、250以下、225以下、200以下、150以下、100以下または60以下のRVを有する。範囲に関しては、不織布は、2から330、例えば2から300、2から275、2から250、2から225、2から200、2から100、2から60、2から50、2から40、10から40または15から40、およびその間の任意の値のRVを有し得る。
【0071】
[0081](前駆体)ポリアミド組成物のRVと、不織構造またはその繊維のRVとの間の関係は、変更させてよい。いくつかの態様では、不織布のRVは、ポリアミド組成物のRVより低くなり得る。RVの低下は、ナイロン66を紡糸する場合、従来は望ましい慣習ではなかった。しかし本発明者らは、マイクロファイバーおよびナノファイバーの生成において、これが利点となることを発見した。RVが低いポリアミドナイロン、例えばRVが低いナイロン66を、溶融紡糸方法において使用すると、想定外に小さいフィラメント直径を有するマイクロファイバーおよびナノファイバーフィラメントが得られることが意外にも見出された。
【0072】
[0082]RVを低下させる方法は、幅広く変更させてよい。いくつかのケースでは、方法の温度を上昇させて、RVを低下させることができる。しかしいくつかの実施形態では、温度は、反応の動力学に影響を与えるが、反応平衡定数には与えないため、温度上昇は、RVをわずかに低下させるだけのことがある。本発明者らは、有益なことに、ポリアミド、例えばナイロン66のRVは、水分を添加してポリマーの解重合により低下できることを発見した。5%まで、例えば4%まで、3%まで、2%までまたは1%までの水分が、ポリアミドが加水分解し始めるまでに含まれていてよい。この技術により、他のポリマー、例えばポリプロピレンをポリアミドに添加する(RVを低下させる)従来の方法を上回る意外な利点が得られる。
【0073】
[0083]いくつかの態様では、RVは、例えば温度を低下させること、亜鉛量を操作すること、および/または水分を減少させることにより調整され得る。また、温度は、含水率と比較して、RVの調整に対して比較的穏当な効果を有する。含水率は、1ppm以上、例えば5ppm以上、10ppm以上、100ppm以上、500ppm以上、1000ppm以上または2500ppm以上ほどの低さに低下させることができる。含水率の低下は、本明細書でさらに論じられているTDIおよびODI値の低下にも有利である。触媒の包含は、動力学に影響を与え得るが、実際の平衡定数には与え得ない。
【0074】
[0084]いくつかの態様では、不織布のRVは、紡糸前のポリアミドのRVの少なくとも20%低く、例えば少なくとも25%低く、少なくとも30%低く、少なくとも35%低く、少なくとも40%低く、少なくとも45%低く、または少なくとも90%低い。
【0075】
[0085]他の態様では、不織布のRVは、紡糸前のポリアミドのRVの少なくとも5%高く、例えば少なくとも10%高く、少なくとも15%高く、少なくとも20%高く、少なくとも25%高く、少なくとも30%高くまたは少なくとも35%高い。
【0076】
[0086]なおさらなる態様では、ポリアミドのRVおよび不織布のRVは、実質的に同一、例えば互いに5%以内であってよい。
[0087]本開示の追加の実施形態は、25ミクロン未満の平均繊維直径を有し、2から330のRVを有するポリアミドナノファイバーおよび/またはマイクロファイバーを含む抗微生物構造の生成に関与する。この別の実施形態では、好ましいRV範囲は、2から330、例えば2から300、2から275、2から250、2から225、2から200、2から100、2から60、2から50、2から40、10から40または15から40を含む。ナノファイバーおよび/またはマイクロファイバーは、その後不織ウエブに変
換される。RVが約10から30、例えば20から30を超えて上昇するにつれて、操作温度は、考慮すべきより大きいパラメーターになる。約10から30、例えば20から30の範囲を超えたRVで、温度は、ポリマーが加工目的で溶融するように、慎重にコントロールされなければならない。溶融技術の方法または例、ならびに繊維生成デバイスの温度を独立してコントロールするために装置に使用され得る加熱源および冷却源は、米国特許第8,777,599号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。非限定的な例は、抵抗加熱器、放射加熱器、冷却ガスまたは加熱ガス(空気または窒素)または伝導、対流または放射熱伝達機構を含む。
不織ポリアミド特性
[0088]本明細書に記載されている紡糸プロセスは、比較的低い酸化劣化指数(「ODI」)値を有する抗微生物不織ポリアミド構造(および繊維)を形成できる。低いODIは、製造中の酸化劣化がさほどひどくないことを指し示す。いくつかの態様では、ODIは、10から150ppmの範囲であり得る。ODIは、蛍光検出器を用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定され得る。機器は、外部標準のキニーネで較正される。0.1グラムのナイロンを、10mLの90%ギ酸に溶解する。溶液は、次いで蛍光検出器を用いてGPCにより分析する。ODIに対する検出器の波長は、励起で340nm、発光で415nmである。上限に関しては、抗微生物不織ポリアミドのODIは、200ppm以下、例えば180ppm以下、150ppm以下、125ppm以下、100ppm以下、75ppm以下、60ppm以下または50ppm以下であり得る。下限に関しては、抗微生物不織ポリアミドのODIは、1ppm以上、5ppm以上、10ppm以上、15ppm以上、20ppm以上または25ppm以上であり得る。範囲に関しては、抗微生物不織ポリアミドのODIは、1から200ppm、1から180ppm、1から150ppm、5から125ppm、10から100ppm、1から75ppm、5から60ppmまたは5から50ppmであり得る。
【0077】
[0089]さらに、本明細書に記載されている紡糸プロセスは、比較的低い熱劣化指数(「TDI」)を引き起こし得る。低いTDIは、製造中のポリアミドの熱履歴がさほどひどくないことを指し示す。TDIは、TDI検出器の波長が励起で300nm、および発光で338nmであることを除いて、ODIと同じように測定される。上限に関しては、ポリアミドナノファイバー不織布のTDIは、4000ppm以下、例えば3500ppm以下、3100ppm以下、2500ppm以下、2000ppm以下、1000ppm以下、750ppm以下または700ppm以下であり得る。下限に関しては、ポリアミドナノファイバー不織布のTDIは、20ppm以上、100ppm以上、125ppm以上、150ppm以上、175ppm以上、200ppm以上または210ppm以上であり得る。範囲に関しては、ポリアミドナノファイバー不織布のTDIは、20から400ppm、100から4000ppm、125から3500ppm、150から3100ppm、175から2500ppm、200から2000ppm、210から1000ppm、200から750ppmまたは200から700ppmであり得る。
【0078】
[0090]TDIおよびODIテスト方法も、米国特許第5,411,710号でも開示されている。低いTDIおよび/またはODI値は、抗微生物不織ポリアミドが、高いTDIおよび/またはODIを有する生成物より耐久性があることを指し示すため、有益である。上で説明されているように、TDIおよびODIは劣化の測定であり、劣化が大きな生成物は、適正に機能しないことがある。例えばそのような生成物は、一定しない染料吸収量、低い熱安定性、繊維が、加熱、圧力、酸素またはこれらのいずれかの組合せに曝露される濾過用途において短い寿命、および産業用繊維用途においてより低い靱性を有し得る。
【0079】
[0091]TDIおよび/またはODIが低い抗微生物不織ポリアミドの形成に使用され得る、考えられる一方法は、本明細書に記載されている添加剤、とりわけ抗酸化剤を含むこ
とである。そのような抗酸化剤は、従来のプロセスに必須ではないが、劣化を阻害するために使用され得る。有用な抗酸化剤の例は、ハロゲン化銅、およびClariantから入手できるNylostab(登録商標)S-EED(登録商標)を含む。
【0080】
[0092]本明細書に記載されている紡糸方法は、600CFM/ft2未満、例えば590CFM/ft2未満、580CFM/ft2未満、570CFM/ft2未満、560CFM/ft2未満、または550CFM/ft2未満の空気透過率値を有する抗微生物不織ポリアミド構造(または繊維)も引き起こし得る。下限に関しては、抗微生物不織ポリアミドは、少なくとも50CFM/ft2、少なくとも75CFM/ft2、少なくとも100CFM/ft2、少なくとも125CFM/ft2、少なくとも150CFM/ft2または少なくとも200CFM/ft2の空気透過率値を有し得る。範囲に関しては、抗微生物不織ポリアミドは、50から600CFM/ft2、75から590CFM/ft2、100から580CFM/ft2、125から570CFM/ft2、150から560CFM/ft2または200から550CFM/ft2の空気透過率値を有し得る。
【0081】
[0093]本明細書に記載されている紡糸方法は、TSI 3160自動フィルターテスターにより測定して、1から99.999%、例えば1から95%、1から90%、1.5から85%または2から80%の濾過効率を有する抗微生物不織ポリアミドも引き起こし得る。TSI 3160自動フィルターテスターを使用して、フィルター材料の効率をテストする。粒子透過率および圧力降下は、この機器を使用して測定される2つの重要なパラメーターである。効率は、100%-透過率である。公知の粒径を有するチャレンジ溶液が使用される。TSI 3160を使用して、Hepaフィルターを測定し、DOP溶液を使用する。これは、静電分級器を二重凝縮粒子計数器(CPC)と組み合わせて、単分散粒子を使用して、15から800nmの最大透過粒径(MPPS)を測定し、99.999999%までの効率をテストできる。
配合物
[0094]一実施形態では、配合物、構造および/または繊維は、3100ppm未満の亜鉛、およびリンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも95%の減少を実証し得る。
【0082】
[0095]一実施形態では、配合物、構造および/または繊維は、275ppmから3100ppmの亜鉛を含み、リンをほとんど含まず、または含まず、ポリアミドとしてナイロン-6,6は、1ミクロン未満の平均繊維直径を有し得、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも95%の減少を実証し得、Klebsiella pneumoniaの少なくとも99%の減少を実証し得る。
【0083】
[0096]一実施形態では、配合物、構造および/または繊維は、3100ppm未満の亜鉛を含み、リンをほとんど含まず、または含まず、ポリアミドとしてナイロン-6,6は、1ミクロン未満の平均繊維直径を有し得、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも95%の減少を実証し得、Klebsiella pneumoniaの少なくとも99%の減少を実証し得る。
【0084】
[0097]一実施形態では、配合物、構造および/または繊維は、200から1500ppmの亜鉛(任意選択で酸化亜鉛および/またはステアリン酸亜鉛として得られる)を含み、リンをほとんど含まず、または含まず、10から30に及ぶRVを有し得、1ミクロン未満の平均繊維直径を有し得、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも99%の減少を実証し得、Klebsiel
la pneumoniaの少なくとも99.9%の減少を実証し得る。
【0085】
[0098]別の実施形態では、ポリマーは、ナイロンベースのポリマーを含み、亜鉛は、酸化亜鉛および/またはピリチオン亜鉛を経由して得られ、ポリアミド組成物の相対粘度は10から100、例えば20から100に及ぶ。
【0086】
[0099]さらに別の実施形態では、ポリマーは、ナイロン-6,6を含み、亜鉛は、酸化亜鉛を経由して得られ、亜鉛対リンの重量比は、少なくとも2:1であり、ポリアミド組成物は、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも95%の減少を実証し得る。
【0087】
[00100]一実施形態では、抗微生物繊維は、500ppm未満の亜鉛、リンの少なくと
も一部を含むつや消し剤を含むポリマーを含み、抗微生物繊維は、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する。
【0088】
[00101]別の実施形態では、抗微生物繊維は、ナイロンを含むポリマーを含み、亜鉛は
、酸化亜鉛および/またはピリチオン亜鉛の形態で得られ、ポリアミド組成物の相対粘度は10から100、例えば20から100に及び、繊維は、染浴テストにより測定して、80%超の亜鉛の保持率を有し、繊維は、18ミクロン未満の平均直径を有する。
【0089】
[00102]さらに別の実施形態では、抗微生物繊維は、ナイロン-6,6を含むポリマー
を含み、亜鉛は、酸化亜鉛の形態で得られ、亜鉛対リンの重量比は、少なくとも2:1であり、繊維は、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus
Aureusの少なくとも95%の減少を実証し得、繊維は、染浴テストにより測定して、90%超の亜鉛の保持率を有し、抗微生物繊維は、10ミクロン未満の平均直径を有する。
繊維の不織構造を形成する方法
[00103]本明細書に記載されているように、抗微生物不織ポリアミド構造は、配合物を
紡糸して、構造を形成するように配列される繊維を形成するステップにより形成される。
【0090】
[00104]いくつかの実施形態では、本開示は、恒久的な抗微生物性を、不織繊維および
構造、ならびに本明細書に記載されているポリアミド配合物から作られた布帛にもたらすための方法を提供する。いくつかの態様では、繊維、例えばポリアミド繊維は、溶融重合プロセスで形成されたポリアミドの紡糸により作られる。ポリアミド組成物の溶融重合プロセス中に、モノマー水溶液、例えば塩溶液は、水を蒸発させ、モノマーの重合を達成する温度、時間および圧力のコントロールされた条件下で加熱され、ポリマーの溶融を引き起こす。溶融重合プロセス中に、十分な量の亜鉛、および任意選択でリンが、モノマー水溶液中で用いて、重合前にポリアミド混合物を形成する。モノマーは、望ましいポリアミド組成物に基づいて選択される。亜鉛およびリンがモノマー水溶液に存在してから、ポリアミド組成物を重合できる。重合されたポリアミドは、その後、例えば溶融、溶液、遠心または電界紡糸により繊維に紡糸できる。
【0091】
[00105]いくつかの実施形態では、恒久的な抗微生物性を有する抗微生物繊維を、ポリ
アミド組成物から調製するための方法は、モノマー水溶液を調製するステップ、モノマー水溶液内に分散した2000ppm未満、例えば1500ppm未満、1000ppm未満、750ppm未満、500ppm未満、または400ppm未満の亜鉛を添加するステップ、および2000ppm未満、例えば1500ppm未満、1000ppm未満、750ppm未満、500ppm未満、または400ppm未満のリンを添加するステップ、モノマー水溶液を重合して、ポリマー溶融物を形成するステップ、ならびにポリマー溶融物を紡糸して、抗微生物繊維を形成するステップを含む。この実施形態では、ポリア
ミド組成物は、亜鉛およびリンが添加された後で、結果として生じたモノマー水溶液を含む。
【0092】
[00106]いくつかの実施形態では、方法は、モノマー水溶液を調製するステップを含む
。モノマー水溶液は、アミドモノマーを含み得る。いくつかの実施形態では、モノマー水溶液中のモノマーの濃度は、60wt%未満、例えば58wt%未満、56.5wt%未満、55wt%未満、50wt%未満、45wt%未満、40wt%未満、35wt%未満、または30wt%未満である。いくつかの実施形態では、モノマー水溶液中のモノマーの濃度は、20wt%超、例えば25wt%超、30wt%超、35wt%超、40wt%超、45wt%超、50wt%超、55wt%超、または58wt%超である。いくつかの実施形態では、モノマー水溶液中のモノマーの濃度は、20wt%から60wt%、例えば25wt%から58wt%、30wt%から56.5wt%、35wt%から55wt%、40wt%から50wt%または45wt%から55wt%の範囲である。モノマー水溶液の平衡は、水および/または追加の添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、モノマーは、二酸およびジアミンを含むアミドモノマー、すなわち、ナイロン塩を含む。
【0093】
[00107]いくつかの実施形態では、モノマー水溶液は、ナイロン塩溶液である。ナイロ
ン塩溶液は、ジアミンおよび二酸と水を混合することにより形成され得る。例えば水、ジアミンおよびジカルボン酸モノマーは混合されて、塩溶液を形成し、例えばアジピン酸およびヘキサメチレンジアミンと水を混合する。いくつかの実施形態では、二酸はジカルボン酸であり得、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸(dodecandioic acid)、マレイン酸、グルタコン酸、トラウマチン酸およびムコン酸、1,2-または1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-または1,3-フェニレン二酢酸(1,2- or 1,3-phenyl enediacetic acids)、1,2-または1,3-シクロヘキサン二酢酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’-オキシビス安息香酸、4,4-ベンゾフェノンジカルボン酸、2,6-ナプタレンジカルボン酸(2,6-napthalene dicarboxylic acid)、p-t-ブチルイソフタル酸および2,5-フランジカルボン酸ならびにそれらの混合物からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、ジアミンは、エタノールジアミン、トリメチレンジアミン、プトレシン、カダベリン、ヘキサメチエレンジアミン(hexamethyelene diamine)、2-メチルペンタメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、2-メチルヘキサメチレンジアミン、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,2-ジメチルペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、5-メチルノナンジアミン、イソホロンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、1個または複数のC1からC4アルキル基で、任意選択で置換されているC2-C16脂肪族ジアミン、脂肪族ポリエーテルジアミンおよびフランジアミン、例えば2,5-ビス(アミノメチル)フランならびにそれらの混合物からなる群から選択され得る。好ましい実施形態では、二酸はアジピン酸であり、ジアミンは、重合されてナイロン6,6を形成するヘキサメチレンジアミンである。
【0094】
[00108]ジアミンおよび二酸からポリアミドを生成するという概念は、他の好適なモノ
マー、例えばアミノ酸またはラクタムの概念も包含することは理解されるべきである。範囲を限定せずに、アミノ酸の例は、6-アミノハキサン酸(6-aminohaxanoic acid)、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノド
デカン酸またはそれらの組合せを含み得る。本開示の範囲を限定することなく、ラクタムの例は、カプロラクタム、エナントラクタム、ラウリルラクタムまたはそれらの組合せを含み得る。開示されているプロセスに好適な供給は、ジアミン、二酸、アミノ酸およびラクタムの混合物を含み得る。
【0095】
[00109]モノマー水溶液が調製された後で、亜鉛は、ポリアミド組成物を形成するため
にモノマー水溶液に添加される。いくつかの実施形態では、2000ppm未満の亜鉛が、モノマー水溶液内に分散している。いくつかの態様では、さらなる添加剤、例えば追加の抗微生物剤が、モノマー水溶液に添加される。任意選択で、リンは、モノマー水溶液に添加される。
【0096】
[00110]いくつかのケースでは、ポリアミド組成物は、従来の溶融重合プロセスを使用
して重合される。一態様では、モノマー水溶液は、水を蒸発させ、モノマーの重合を達成し、ポリマー溶融物を得る時間、温度および圧力のコントロールされた条件下に加熱する。いくつかの態様では、特定の亜鉛対リンの重量比は、有利なことに、ポリマー内の亜鉛の結合、ポリマーの熱劣化の低下、およびその染色性の向上を促進し得る。
【0097】
[00111]いくつかの態様では、抗微生物ナイロンは、従来のナイロン塩の溶融重合によ
り調製される。典型的には、ナイロン塩溶液は、圧力下(例えば250psig/1825×103n/m2)で、例えば約245℃の温度に加熱される。次いで水蒸気は、圧力を大気圧に低下させることにより放出される一方、温度は、例えば約270℃に上昇する。重合の前に、亜鉛、および任意選択でリンは、ナイロン塩溶液に添加される。生じた溶融ナイロンは、この温度にて一定期間保って、繊維へと押し出される前に平衡にする。いくつかの態様では、プロセスは、バッチまたは連続したプロセスで実行され得る。
【0098】
[00112]いくつかの実施形態では、溶融重合中、亜鉛、例えば酸化亜鉛は、モノマー水
溶液に添加される。抗微生物繊維は、溶融重合プロセスで作られ、マスターバッチプロセスではないポリアミドを含み得る。いくつかの態様では、生じた繊維は、恒久的な抗微生物性を有する。生じた繊維は、例として靴下、厚手のホーザリーおよび靴のような用途に使用され得る。
【0099】
[00113]抗微生物剤は、溶融重合中、例えばマスターバッチとして、またはポリアミド
ペレットに添加される粉末として、ポリアミドに添加され得、その後、繊維は、紡糸から形成され得る。繊維は、次いで不織布に成形される。
【0100】
[00114]いくつかの態様では、抗微生物不織構造は、メルトブローされる。メルトブロ
ーは、有利なことに、電界紡糸より高価ではない。メルトブローは、マイクロファイバーおよび不織ウエブを形成するために開発されたプロセスタイプである。最近まで、マイクロファイバーは、メルトブローすることにより生成されてきた。今般、ナノファイバーも、メルトブローすることにより形成できる。ナノファイバーは、複数の小さい穴を通して溶融した熱可塑性ポリマー性材料またはポリアミドを押し出すことにより形成される。生じた溶融スレッドまたはフィラメントは、収束高速ガスストリームに移行させ、これにより溶融したポリアミドのフィラメントを細めて、または延伸して、直径を減少させる。その後、メルトブローされたナノファイバーを、高速ガスストリームによって運び、収集面または形成するワイヤー上で堆積させて、無作為に分配したメルトブローされたナノファイバー不織ウエブを形成する。メルトブローすることによるナノファイバーおよび不織ウエブの形成は、当業界で周知である。例として、米国特許第3,704,198号;第3,755,527号;第3,849,241号;第3,978,185号;第4,100,324号;および第4,663,220号を参照されたい。
【0101】
[00115]選択肢の1つ「海島」は、少なくとも2つのポリマー成分を1つの紡糸ダイか
ら押し出すことにより形を成す、複合紡糸とも呼ばれる繊維を指す。
[00116]周知のように、電界紡糸は、ある材料の紡糸を限定し得る多くの製作パラメー
ターを有する。これらのパラメーターは:紡糸材料および紡糸材料溶液の電荷;溶液送達(多くはシリンジから射出される材料の流れ);ジェットにおける電荷;収集器における繊維膜の放電;紡糸ジェット上の電場からの外力;放出されるジェットの密度;ならびに電極の(高)電圧および収集器の形状を含む。対照的に、前述のナノファイバーおよび生成物は、有利なことに、電界紡糸プロセスに必要とされる主排出力として印可される電場を使用せずに形成される。したがって、ポリアミドは荷電せず、紡糸プロセスのいかなる構成要素も荷電しない。重要なことには、電界紡糸プロセスに必須の危険な高電圧は、ここで開示されているプロセス/生成物に関して必要とされない。いくつかの実施形態では、プロセスは、非電界紡糸プロセスであり、結果として生じた生成物は、非電界紡糸プロセスを経由して生成される非電界紡糸生成物である。
【0102】
[00117]本発明のナノファイバー不織布を作る実施形態は、米国特許第8,668,8
54号で全般的に記載されている、紡糸チャネルを通した噴射剤ガスでの2相紡糸またはメルトブローによる。このプロセスは、細く、好ましくは収束するチャネルへのポリマーまたはポリマー溶液および加圧された噴射剤ガス(典型的には空気)の2相の流れを含む。チャネルは、通常および好ましくは、環状構造である。ポリマーは、細く、好ましくは収束するチャネル内において、ガス流によりせん断され、チャネルの両側面にポリマーフィルム層を生み出すと考えられる。これらのポリマー性フィルム層は、噴射剤ガス流によりナノファイバーにさらにせん断される。また、ここで、移動収集ベルトが使用され得、ナノファイバー不織布の目付は、ベルトの速度を調節することによりコントロールされる。収集器の距離は、ナノファイバー不織布の繊度をコントロールするためにも使用できる。プロセスは、
図1を参照するとより良好に理解される。
【0103】
[00118]有益なことには、前述のポリアミド前駆体を溶融紡糸プロセスにおいて使用す
ると、生成速度に著しい利益が得られる、例えば少なくとも5%速く、少なくとも10%速く、少なくとも20%速く、少なくとも30%速く、少なくとも40%速くなる。改善は、従来のプロセス、例えば本明細書に記載されている特徴を用いない別のプロセスに対する、時間当たりの面積の改善として観察され得る。いくつかのケースでは、一定した時間にわたる生成の増加が改善される。例えば所定の生成時間、例として1時間にわたり、開示されているプロセスは、従来のプロセスまたは電界紡糸されるプロセスより少なくとも5%多く、例えば少なくとも10%多く、少なくとも20%多く、少なくとも30%多くまたは少なくとも40%多く生成物を生成する。
【0104】
[00119]
図1は、ポリアミド供給アセンブリ110、空気供給1210、紡糸シリンダ
ー130、収集ベルト140および巻取リール150を含むナノファイバー不織布を紡糸するための系の操作を概略的に例証する。操作中、ポリアミド溶融物または溶液は、紡糸シリンダー130に供給され、そこでは溶融物または溶液が、高圧空気によりシリンダー中の細いチャネルを通して流れ、ポリアミドをナノファイバーにせん断する。詳細は、前述の米国特許第8,668,854号で示されている。処理速度および目付は、ギアポンプの速度およびベルトの速度によりコントロールされる。任意選択で、機能性添加剤、例えば木炭、銅などは、望ましければ空気供給で添加してよい。
【0105】
[00120]
図1の系に使用される紡糸口金の別の構成では、微粒子材料は、米国特許第8
,808,594号で見られる別の注入口を用いて添加され得る。
[00121]用いられ得るさらになお別の方法論は、本明細書で開示されているポリアミド
ナノファイバーウエブをメルトブローすることである(
図2)。メルトブローは、ポリアミドを、比較的高速の、典型的には高温のガスストリーム中へと押し出すことを伴う。好
適なナノファイバーを生成するために、Hassanら、J Membrane Sci.、427、336~344頁、2013年、およびEllisonら、Polymer、48(11)、3306~3316頁、2007年、およびInternational Nonwoven Journal、2003年夏号、pg21~28で見られるように、オリフィスおよび毛管形状、ならびに温度の慎重な選択が必要とされる。
【0106】
[00122]米国特許第7,300,272号は、溶融した材料を押し出して、積層として
配列されているいくつかの分割分布プレートを含み、その結果各分割分布プレートが、繊維押出パック内で層を形成する、ナノファイバーのアレイを形成するための繊維押出パックについて開示しており、分割分布プレートに対する特徴は、溶融した材料を繊維押出パックにおけるオリフィスに送達する分布ネットワークを形成する。分割分布プレートのそれぞれは、隣接するプレートセグメント間に配置されたギャップを有する1組のプレートセグメントを含む。プレートセグメントの隣接する縁は、ギャップに沿ってリザーバーを形成するように形作られ、封止栓がリザーバーに配置されて、溶融した材料がギャップから漏出するのを防止する。封止栓は、ギャップ中に漏出し、リザーバーに集まり、固化する溶融した材料により、またはパックアセンブリにおいてリザーバーに栓材料を置くことにより、形成され得る。このパックを使用して、以前に言及された特許に記載されているメルトブロー系を用いてナノファイバーを作ることができる。
【0107】
[00123]一実施形態では、抗微生物不織ポリアミド構造を調製するための方法が開示さ
れる。例えばモノマー水溶液を調製することにより、(前駆体)ポリアミドを形成するステップを含むプロセス(モノマー溶液の調製は周知である)。前駆体の調製中に、亜鉛が添加される(本明細書で論じられている)。いくつかのケースでは、亜鉛は、モノマー水溶液に添加される(また、そこで分散される)。
【0108】
[00124]リンも添加してよい。いくつかのケースでは、前駆体を重合して、ポリアミド
組成物を形成する。プロセスは、ポリアミドを紡糸して、抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップ、および抗微生物ポリアミド繊維を抗微生物不織構造に成形するステップをさらに含む。いくつかのケースでは、ポリアミド組成物が、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸または遠心紡糸される。
【0109】
[00125]有益なことに、紡糸は、ウエブ構造に欠陥を生み出す有害な繊維形成の中断を
減少または排除すると見出された低ダイ圧力で行うことができる。いくつかの実施形態では、紡糸は、300psig未満、例えば275psig未満、272psig未満、250psig未満、240psig未満、200psig未満、190psig未満、175psig未満、160psig未満、または155psig未満のダイ圧力で実施され得る。範囲に関しては、紡糸は、10psigから300psig、例えば25psigから275psig、35psigから272psig、50psigから250psig、75psigから240psig、75psigから200psigまたは90psigから155psigに及ぶダイ圧力で実施され得る。
【0110】
[00126]いくつかの実施形態では、任意選択で、上で論じた構造で、抗微生物不織繊維
を調製するための方法が開示されている。方法は、ポリアミド、ポリアミド内に分散した亜鉛、およびポリアミド内に分散した2000ppm未満のリンを含む配合物を調製するステップを含む。方法は、配合物を紡糸して、本明細書に記載されている組成物および特性を有する抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップを含む。方法は、抗微生物ポリアミド繊維を、抗微生物不織ポリアミド構造に成形するステップをさらに含む。紡糸は、上で論じられている低ダイ圧力で実施される。
【0111】
[00127]布帛は、不織繊維から作ることができる。これらの布帛から作られた衣服は、
正常の損耗を持ちこたえることができ、編みおよび織り中に摩耗する傾向があるコーティング、ドープまたは局所処理のいずれもなしである。摩耗のプロセスは、機械および布帛上に粉塵をもたらし、正常な損耗および洗濯での衣服の有効使用時間を短縮する。
ポリアミド
[00128]本明細書に記載されているように、抗微生物ポリアミド組成物は、不織布のた
めのポリマーとして使用される。本明細書で使用されている「ポリアミド組成物」などの専門用語は、ポリアミドのコポリマー、ターポリマー、ポリマーブレンド、アロイおよび誘導体を含むポリアミドを含有する組成物を指す。さらに、本明細書で使用されている「ポリアミド」は、ある分子のアミノ基および別の分子のカルボン酸基の結び付きを有するポリマーを、成分として有するポリマーを指す。いくつかの態様では、ポリアミドは、最大量で存在する成分である。例えば、40wt.%のナイロン6、30wt.%のポリエチレンおよび30wt.%のポリプロピレンを含有するポリアミドは、ナイロン6の成分が最大量で存在するので、本明細書においてポリアミドと呼ばれる。さらに、20wt.%のナイロン6、20wt.%のナイロン66、30wt.%のポリエチレンおよび30wt.%のポリプロピレンを含有するポリアミドも、ナイロン6およびナイロン66成分が、全体において最大量で存在する成分なので、本明細書においてポリアミドと呼ばれる。
【0112】
[00129]模範的なポリアミドおよびポリアミド組成物は、Kirk-Othmer,E
ncyclopedia of Chemical Technology、第18巻、328~371頁(Wiley、1982年)に記載されており、その開示は、参照により組み込まれる。
【0113】
[00130]簡潔には、ポリアミドは、一般的に、主ポリマー鎖の不可欠な部分として繰り
返しアミド基を含有する化合物として公知である。直鎖状ポリアミドは特に注目され、二官能性モノマーの縮合から形成され得る。ポリアミドは、度々ナイロンと呼ばれる。これらは一般的には縮合ポリマーと考えられるが、ポリアミドは、開環重合によっても形成され得る。この調製方法は、モノマーが環状ラクタムであるいくつかのポリマー、例えばナイロン6にとりわけ重要である。特定のポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらの調製は、以下の特許:米国特許第4,760,129号;第5,504,185号;第5,543,495号;第5,698,658号;第6,011,134号;第6,136,947号;第6,169,162号;第7,138,482号;第7,381,788号;および第8,759,475号で見られる。
【0114】
[00131]商用用途では、ポリアミドを使用する多数の利点がある。ナイロンは、一般的
に耐化学薬品性および耐熱性であり、他のポリマーよりも優れた性能を生じる。これらは、他のポリマーと比較して改善した強度、伸びおよび耐摩耗性を有することも公知である。ナイロンもきわめて多目的であり、多彩な用途における使用が可能となる。
【0115】
[00132]高温ナイロン(HTN’s)を含むいくつかの用途に特に好ましいポリアミド
の分類は、Glasscockら、High Performance Polyamides Fulfill Demanding Requirements for Automotive Thermal Management Components,
(DuPont),http://www2.dupont.com/Automotive/en_US/assets/downloads/knowledg e%20center/HTN-whitepaper-R8.pdf、オンラインで入手可能、2016年6月10日に記載されている通りである。そのようなポリアミドは、典型的には、以下で見られる1種または複数の構造を含む:
【0116】
【0117】
[00133]ポリアミドに含まれるポリマーの非限定的な例は、他のポリマーの組合せを有
するポリアミド、例えばポリプロピレンおよびコポリマー、ポリエチレンおよびコポリマー、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタンならびにそれらの組合せを含む。熱可塑性ポリマーおよび生分解性ポリマーも、本開示のナノファイバーへのメルトブローまたは溶融紡糸に好適である。本明細書で論じられているように、ポリマーは、溶融紡糸またはメルトブローされ得、好ましくは、2相噴射剤ガス紡糸により溶融紡糸またはメルトブローすることは、液体形態のポリアミド組成物を、繊維形成チャネルを通して加圧ガスで押し出すステップを含む。スパンボンド、溶液紡糸および遠心紡糸を含む、不織構造を形成する他のプロセスも、使用してよい。
【0118】
[00134]コポリマーおよびターポリマーを含む本明細書に記載されているナイロンナノ
ファイバー生成物の融点は、223℃から390℃の間、例えば223から380または225℃から350℃であり得る。さらに、融点は、添加される任意の追加のポリマー材料に応じて、従来のナイロン66の融点を超えていてよい。
【0119】
[00135]本開示の抗微生物ナノファイバー不織布に使用され得る他のポリマー材料は、
付加ポリマーおよび縮合ポリマー材料、例えばポリオレフィン、ポリアセタール、ポリア
ミド(以前に論じられている)、ポリエステル、セルロースエーテルおよびエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、修飾ポリスルホンポリマーならびにそれらの混合物の両方を含む。これらの包括的な分類に入る好ましい材料は、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン、ポリ(ビニルクロリド)、ポリメタクリル酸メチル(および他のアクリル樹脂)、ポリスチレンならびにそれらのコポリマー(ABAタイプのブロックコポリマーを含む)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(ビニリデンクロリド)、様々な加水分解度(87%から99.5%)での、架橋および非架橋形態のポリビニルアルコールを含む。付加ポリマーは、ガラス状(室温を超えるTg)になる傾向がある。これは、ポリ塩化ビニルおよびポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンポリマー組成物もしくはアロイでのケースであり、またはポリフッ化ビニリデンおよびポリビニルアルコール材料では結晶化度が低い場合のケースである。本明細書で具体化されるナイロンコポリマーは、様々なジアミン化合物、様々な二酸化合物および様々な環状ラクタム構造を、反応混合物中で組み合わせる、次いで、ポリアミド構造において無作為に位置させたモノマー材料でナイロンを形成することによって、作ることができる。例えばナイロン66-6,10材料は、ヘキサメチレンジアミン、ならびに二酸のC6およびC10ブレンドから製造されたナイロンである。ナイロン6-66-6,10は、イプシロンアミノカプロン酸、ヘキサメチレンジアミン、ならびにC6およびC10二酸材料のブレンドの共重合により製造されたナイロンである。
【0120】
[00136]例えば米国特許第5,913,993号に記載されているいくつかの実施形態
では、少量のポリエチレンポリマーは、望ましい特性を有するナノファイバー不織布帛を形成するために使用されるナイロン化合物とブレンドできる。ポリエチレンをナイロンに添加すると、特定の性質、例えば柔軟性が向上する。ポリエチレンの使用は、生成コストも低下させ、さらなる下流加工、例えば他の布帛への、またはそれ自体の結合を楽にする。改善した布帛は、少量のポリエチレンを、ナノファイバーのメルトブロー布帛の生成に使用されるナイロン供給材料に添加することにより作ることができる。より具体的には、布帛は、ポリエチレンおよびナイロン66のブレンドを形成すること、複数の連続したフィラメントの形態でブレンドを押し出すこと、フィラメントをダイに通してフィラメントをメルトブローすること、フィラメントを収集面上で、ウエブが形成されるように堆積させることにより生成できる。
【0121】
[00137]本開示のこの実施形態のプロセスに有用なポリエチレンは、好ましくは、約5
グラム/10minから約200グラム/10minの間、また、例えば約17グラム/10minから約150グラム/10minの間の溶融指数を有し得る。ポリエチレンは、好ましくは約0.85グラム/ccから約1.1グラム/ccの間、また、例えば約0.93グラム/ccから約0.95グラム/ccの間の密度を有すべきである。最も好ましくは、ポリエチレンの溶融指数は約150であり、密度は約0.93である。
【0122】
[00138]本開示のこの実施形態のプロセスに使用されるポリエチレンは、約0.05%
から約20%の濃度で添加され得る。好ましい実施形態では、ポリエチレンの濃度は、約0.1%から約1.2%の間である。最も好ましくは、ポリエチレンは、約0.5%で存在する。記載されている方法に従って生成された布帛中のポリエチレンの濃度は、製造プロセス中に添加されるポリエチレンのパーセンテージにおよそ等しい。したがって、本開示のこの実施形態の布帛中におけるポリエチレンのパーセンテージは、典型的には約0.05%から約20%の範囲であり、好ましくは約0.5%である。したがって、布帛は、典型的には約80から約99.95重量パーセントの間のナイロンを含む。フィラメント押出ステップは、約250℃から約325℃の間で実行できる。好ましくは、温度範囲は、約280℃から約315℃であるが、ナイロン6が使用される場合は、より低いことが
ある。
【0123】
[00139]ポリエチレンおよびナイロンのブレンドまたはコポリマーは、任意の好適な手
段で形成できる。典型的には、ナイロン化合物は、ナイロン66であるが、ナイロンファミリーの他のポリアミドを使用できる。また、ナイロンの混合物を使用できる。一具体例では、ポリエチレンは、ナイロン6およびナイロン66の混合物とブレンドされる。ポリエチレンおよびナイロンポリマーは、典型的にはペレット、チップ、フレークなどの形態で供給される。望ましい量のポリエチレンペレットまたはチップは、好適な混合デバイス、例えばロータリードラムタンブラー等において、ナイロンペレットまたはチップとブレンドでき、生じたブレンドは、従来の押出機の供給ホッパーまたはメルトブローライン中に導入できる。ブレンドまたはコポリマーは、適切な混合物を連続した重合紡糸系中に導入することによっても生成できる。
【0124】
[00140]さらに、一般的なポリマーの種類の異なる化学種をブレンドできる。例えば、
高分子量スチレン材料は、低分子量耐衝撃性ポリスチレンとブレンドできる。ナイロン-6材料は、ナイロンコポリマー、例えばナイロン-6;66;6,10コポリマーとブレンドできる。さらに、低い加水分解度を示すポリビニルアルコール、例えば87%加水分解されたポリビニルアルコールは、98から99.9%の間、およびより高い加水分解度を示す完全または超加水分解ポリビニルアルコールとブレンドできる。これらの材料のすべては、混和において、適切な架橋機構を使用して架橋できる。ナイロンは、アミドの結び付きにおける窒素原子と反応性の架橋剤を使用して架橋できる。ポリビニルアルコール材料は、ヒドロキシル反応性材料、例えばモノアルデヒド、例としてホルムアルデヒド、尿素、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂およびその類似体、ホウ酸および他の無機化合物、ジアルデヒド、二酸、ウレタン、エポキシおよび他の公知の架橋剤を使用して架橋できる。架橋技術は周知であり、架橋試薬が反応し、ポリマー鎖の間に共有結合を形成して、分子量、耐化学薬品性、全体の強度および機械的劣化に対する耐性を実質的に改善する、理解されている現象である。
【0125】
[00141]好ましい一様式は、上昇温度で調整または処理された第1のポリマーおよび第
2の、但し異なるポリマー(ポリマータイプ、分子量または物理的性質が異なる)を含むポリアミドである。ポリマーブレンドは、単一の化学種へと反応および成形できる。好ましい材料は、示差走査熱量計(DSC)分析が、高温、多湿および困難な作用条件と接触した場合に改善した安定性が得られる単一のポリマー性材料を明らかにするように、単一のポリマースピーシーへと化学的に反応させる。ブレンドしたポリマー系における使用に好ましい材料は、ナイロン6;ナイロン66;ナイロン6,10;ナイロン(6-66-6,10)コポリマーおよび他の直鎖状の、一般的に脂肪族のナイロン組成物を含む。
【0126】
[00142]好適なポリアミドは、例えば20%のナイロン6、60%のナイロン66およ
び20重量%のポリエステルを含み得る。ポリアミドは、相溶性ポリマーの組合せ、または非相溶性ポリマーの組合せを含み得る。
【0127】
[00143]いくつかの態様では、ポリアミドは、ナイロン6を含み得る。下限に関しては
、ポリアミドは、ナイロン6を少なくとも0.1wt.%、例えば少なくとも1wt.%、少なくとも5wt.%、少なくとも10wt.%、少なくとも15wt.%または少なくとも20wt.%の量で含み得る。上限に関しては、ポリアミドは、ナイロン6を、99.9wt.%以下、99wt.%以下、95wt.%以下、90wt.%以下、85wt.%以下または80wt.%以下の量で含み得る。範囲に関しては、ポリアミドは、ナイロン6を、0.1から99.9wt.%、例えば1から99wt.%、5から95wt.%、10から90wt.%、15から85wt.%または20から80wt.%の量で含み得る。
【0128】
[00144]いくつかの態様では、ポリアミドは、ナイロン66を含み得る。下限に関して
は、ポリアミドは、ナイロン66を、少なくとも0.1wt.%、例えば少なくとも1wt.%、少なくとも5wt.%、少なくとも10wt.%、少なくとも15wt.%または少なくとも20wt.%の量で含み得る。上限に関しては、ポリアミドは、ナイロン66を、99.9wt.%以下、99wt.%以下、95wt.%以下、90wt.%以下、85wt.%以下または80wt.%以下の量で含み得る。範囲に関しては、ポリアミドは、ナイロン66を0.1から99.9wt.%、例えば1から99wt.%、5から95wt.%、10から90wt.%、15から85wt.%または20から80wt.%の量で含み得る。
【0129】
[00145]いくつかの態様では、ポリアミドは、ナイロン6Iを含み得、Iは、イソフタ
ル酸を意味する。下限に関しては、ポリアミドは、ナイロン6Iを、少なくとも0.1wt.%、例えば少なくとも0.5wt.%、少なくとも1wt.%、少なくとも5wt.%、少なくとも7.5wt.%または少なくとも10wt.%の量で含み得る。上限に関しては、ポリアミドは、ナイロン6Iを、50wt.%以下、40wt.%以下、35wt.%以下、30wt.%以下、25wt.%以下または20wt.%以下の量で含み得る。範囲に関しては、ポリアミドは、ナイロン6Iを、0.1から50wt.%、例えば.5から40wt.%、1から35wt.%、5から30wt.%、7.5から25wt.%または10から20wt.%の量で含み得る。
【0130】
[00146]いくつかの態様では、ポリアミドは、ナイロン6Tを含み得、Tは、テレフタ
ル酸を意味する。下限に関しては、ポリアミドは、ナイロン6Tを、少なくとも0.1wt.%、例えば少なくとも1wt.%、少なくとも5wt.%、少なくとも10wt.%、少なくとも15wt.%または少なくとも20wt.%の量で含み得る。上限に関しては、ポリアミドは、ナイロン6Tを、50wt.%以下、47.5wt.%以下、45wt.%以下、42.5wt.%以下、40wt.%以下または37.5wt.%以下の量で含み得る。範囲に関しては、ポリアミドは、ナイロン6Tを、0.1から50wt.%、例えば1から47.5wt.%、5から45wt.%、10から42.5wt.%、15から40wt.%または20から37.5wt.%の量で含み得る。
【0131】
[00147]ブロックコポリマーも、本開示の方法に有用である。そのようなコポリマーに
関して、溶媒膨張剤の選択は重要である。選択された溶媒は、両方のブロックが溶媒中で可溶性になるようにする。一例は、塩化メチレン溶媒中のABA(スチレン-EP-スチレン)またはAB(スチレン-EP)ポリマーである。ある成分が溶媒中に可溶性でなければ、これはゲルを形成する。そのようなブロックコポリマーの例は、スチレン-b-ブタジエンおよびスチレン-b-水素化ブタジエン(エチレンプロピレン)のKraton(登録商標)タイプ、e-カプロラクタム-b-エチレンオキシドのPebax(登録商標)タイプ、Sympatex(登録商標)ポリエステル-b-エチレンオキシド、ならびにエチレンオキシドおよびイソシアネートのポリウレタンである。
【0132】
[00148]ポリフッ化ビニリデン、シンジオタクチックポリスチレン、フッ化ビニリデン
およびヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルのような付加ポリマー、非晶質付加ポリマー、例えばポリ(アクリロニトリル)およびアクリル酸およびメタクリルレートとのそのコポリマー、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)およびその様々なコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)およびその様々なコポリマーは、低い圧力および温度で可溶性であるため、比較的容易に溶液紡糸されることが公知である。これらは、ナノファイバーを作る一方法としての本開示により溶融紡糸できると予想される。
【0133】
[00149]ポリマー混和アロイフォーマットにおいて、または架橋化学結合構造において
、2つ以上のポリマー性材料を含むポリマー性組成物を形成することはかなり利点がある。筆者らは、そのようなポリマー組成物が、ポリマーの特質を変化させること、例えばポリマー鎖のフレキシビリティまたは鎖の移動度を改善すること、全体の分子量を増加させること、およびポリマー性材料のネットワーク形成により強化することで、物理的性質を改善すると考える。
【0134】
[00150]この概念の一実施形態では、2つの関連したポリマー材料は、有益な性質のた
めにブレンドできる。例えば高分子量ポリ塩化ビニルは、低分子量ポリ塩化ビニルとブレンドできる。同様に、高分子量ナイロン材料は、低分子量ナイロン材料とブレンドできる。
【0135】
[00151]これらのポリアミドでは、前述の亜鉛および/またはリン添加剤と利用され、
布帛に成形される場合、匂いをコントロールする特徴が得られると意外にも見出された。いくつかのケースでは、ポリエステルポリマー樹脂を利用する従来のポリマー樹脂は、ナイロンのものと比較して、様々なタイプの細菌を抱え、繁殖させることが見出された。例えばmicrococcus細菌は、ポリエステルベースの布帛において繁殖することが見出された。したがって、ポリアミドベースのポリマー、具体的にはナイロンベースのポリマーを、前述の添加剤と一緒に使用すると、ポリエステルを利用した同様の布帛と比較して匂いのレベルが著しく低いことを実証する布帛が得られると意外にも見出された。
【実施例0136】
実施例1~6および比較例A~E
[00152]前駆体ポリアミド組成物は、表1aで列挙されている成分を使用して調製した
。酸化亜鉛試料では、ナイロン6における酸化亜鉛のマスターバッチを、ナイロン6,6フレークとブレンドして、望ましい亜鉛量を実現した。ステアリン酸亜鉛試料では、ステアリン酸亜鉛は、粉末としてナイロン6,6フレーク上に添加し、ツインスクリュー押出機を通して加工して、望ましい亜鉛量を実現し、材料をポリマー中に分布させた。酢酸銅試料では、酢酸銅を塩溶液に添加して、銅の量を実現した。
【0137】
【0138】
[00153]従来のメルトブロー系を利用して、前駆体組成物を繊維へとブローした。繊維
は、移動ベルトに位置させたスクリムの上に位置させた。不織ウエブは、このように形成
された。プロセスは、高圧縮スクリューを有する押出機を用いた。(前駆体)ポリアミドダイの温度は、およそ323℃であり、空気をガスとして使用した。
【0139】
[00154]上述のように、繊維はスクリム上で紡糸され、これを用いて、本発明の(ナノ
)繊維ウエブに一体性を付加する。ポリアミドは、表1で列挙されているRVを有していた(紡糸前に)。
【0140】
[00155]ウエブは、抗微生物効能についてテストした(ISO20743-13:20
13に従って)。結果は、表1bで示されている。
【0141】
【0142】
[00156]表1aで示されているように、開示されている量の亜鉛を含んでいたウエブは
、すべてのケースにおいて、Staphylococcus AureusおよびKlebsiella pneumoniaeの両方で意外にも高い減少(24時間後)、例えば99.97%超の減少を実証した。対照的に、亜鉛化合物(または亜鉛成分)をほとんど用いなかった、または用いなかった比較例A~Eは、Staphylococcus Aureusで95%未満、また、Klebsiella pneumoniaeで98.9%未満の減少を実証し、大半のケースで、80%を優に下回った。
【0143】
[00157]詳細には、ウエブは、比較例A~Dに対して、Klebsiella pne
umoniaeの特に良好な減少、例えば少なくとも99.999%を実証した(比較例Cで98.8%のみ、また比較例A、BおよびDで50%を優に下回る。重要なことには、開示されているウエブは、他の金属、例えば比較例Eでの銅より優れた性能を実証した(比較例Eで31.0%のみに対して、実施例1~6で99.999+)。
【0144】
[00158]対数減少数は、これらの数が、減少パーセンテージの上限、例えば99.9%
を超える減少パーセンテージでの差別化を強調するため、効能の測定として産業に使用されることが多い。
【0145】
[00159]微生物成長の観点から、対数減少は、生成物がどれほど有効かを知らせる。対
数減少が大きいほど、微生物成長のコントロールにおいて生成物は有効になる。いくつかのケースでは、生成物の効能テスト中、コロニー形成単位(CFU)の数は、テストの開始時に計数される。減少は、次いで既定の時間、例えば24時間かけて測定される。対照
とテスト生成物との間における差の結果は、次いで対数減少として表現される。
【0146】
[00160]表1bで示されているように、Klebsiella pneumoniae
で、開示されているウエブは、2を優に上回る、例えば大半のケースで4.5超の対数減少を実証した。対照的に、銅化合物を抗微生物剤として用いた比較例Eを含む比較例A~Eは、2未満、例えば大半のケースで1.0未満の対数減少を実証した。
【0147】
[00161]Staphylococcus Aureusの性能も、想定外に良好であっ
た。ウエブは、比較例A~Dに対して、Staphylococcus Aureusの少なくとも99.98%の減少を実証した(比較例Eで94.5%のみ、また比較例A~Dで80%を優に下回る。重要なことには、開示されているウエブは、他の金属、例えば比較例Eでの銅より優れた性能を実証した(比較例Eで94.5%のみに対して、実施例1~6で99.98+)。
【0148】
[00162]また、開示されているウエブは、2を優に超える、例えば大半のケースでは3
.5超の対数減少を実証した。対照的に、銅化合物を抗微生物剤として用いた比較例Eを含む比較例A~Eは、1.5未満、例えば大半のケースで1.0未満の対数減少を実証した。
【0149】
[00163]これらの例および比較例は、他の抗微生物剤に対する、また対照試料に対する
、開示されている亜鉛化合物(任意選択で開示されている量)の重要度を実証する。
実施例7および8、ならびに比較例FおよびG
[00164]不織ウエブは、マスターバッチとして添加される酸化亜鉛を用いて、上記のプ
ロセスを使用して作った。いくつかの特定の試料の性質および性能特性は、表2aで示されている。
【0150】
【0151】
[00165]比較例FおよびGを同様に調製したが、亜鉛化合物を用いなかった。
[00166]ウエブを抗微生物効能についてテストした(ISO20743-13:201
3による)。結果は、表2bで示されている。
【0152】
【0153】
[00167]表2bで示されているように、開示されている量の亜鉛を含んだウエブ(実施
例7および9)は、すべてのケースにおいて、Staphylococcus AureusおよびKlebsiella pneumoniaeの両方で高い減少(24時間後)、例えば99.990%超の減少を意外にも実証した。対照的に、亜鉛化合物(または亜鉛成分)を用いなかった比較例FおよびGは、Staphylococcus Aureusで50%未満、また、Klebsiella pneumoniaeで99.99%未満の減少を実証した。
【0154】
[00168]詳細には、ウエブは、比較例FおよびGに対して、Klebsiella p
neumoniaeの特に良好な、例えば少なくとも99.9999%の減少を実証した(比較例Fで99.9802%のみ、また比較例Gで99.7467。
【0155】
[00169]表2bで示されているように、Klebsiella pneumoniae
で、開示されているウエブは、3.7を優に超える、例えば4超または5超の対数減少を実証した。対照的に、比較例FおよびGは、4未満の対数減少を実証した。
【0156】
[00170]Staphylococcus Aureusの性能も、想定外に良好であっ
た。ウエブは、比較例FおよびGに対して、Staphylococcus Aureusの少なくとも99.990%の減少を実証した(比較例Fで43.68%のみ、また、比較例Gで25%を優に下回る)。
【0157】
[00171]また、開示されているウエブは、3.5を超える、例えば4超の対数減少を実
証した。対照的に、比較例FおよびGは、1.5未満、例えば大半のケースにおいて1.0未満の対数減少を実証した。
【0158】
実施例1~4および6、ならびに比較例AおよびC(ダイ圧力の低下)
[00172]抗微生物的な利益に加えて、開示されている量の亜鉛の使用は、プロセス効率
、例えばダイ圧力の低下および/またはRVの改善に想定外に寄与すると示されている。
【0159】
[00173]実施例1~4および6の前駆体ポリアミド組成物、ならびに比較例AおよびC
は、上記のようにウエブにメルトブローした。使用されたダイ圧力は、表3に示されている。残りのプロセスパラメーターは、本質的に一定に保持され、試料Aは、わずかに高い処理量のみを示した。
【0160】
【0161】
[00174]示されているように、開示されている組成物の使用により、ダイ圧力および/
またはRVの著しい低下、例えば272psig未満が可能となる(同一または同様の特性を有するウエブを実現するために。低いダイ圧力は、繊維形成の中断の排除または減少に寄与し得るため、これは生成の著しい利点である。いくつかのケースでは、高いダイ圧力、例えば272超psigは、さらに繊維形成を中断させると見出され、これはウエブの品質に有害である。繊維形成の中断により、ウエブに欠陥が生み出され、これは多くの性質、例えば濾過効率および撥水性性能に有害である。示されているように、比較例AおよびCは、高いダイ圧力、例えば272psigおよび605psigで生成された。同一または同様の特性を有するウエブは、これらの高いダイ圧力を使用して、このように実現された。また、高いダイ圧力は、他の欠陥、例えば繊維中断に寄与することが公知である。亜鉛分を有する開示されている組成物の使用により、より高い処理量で低いダイ圧力を実現するプロセスが可能となり、これにより、プロセスの生成速度および生産性が上昇する。
【0162】
実施例10および11、ならびに比較例H~M(ダイ圧力の低下)
[00175]実施例10および11の前駆体ポリアミド組成物、ならびに比較例H~Mを、
表4で示されているように調製した。実施例10および11は、ステアリン酸亜鉛を亜鉛化合物として用いて、上記のプロセスを使用して調製した。比較例H~Mを同様に調製したが、亜鉛化合物を用いなかった。
【0163】
[00176]これらの前駆体ポリアミド組成物を、上記のようにウエブにメルトブローした
。使用されたダイ圧力も、表4に示されている。残りのプロセスパラメーターは、本質的に一定に保持された。
【0164】
【0165】
[00177]示されているように、開示されている配合物の使用により、ダイ圧力の著しい
低下、例えば260psig未満が可能となる(同一または同様の特性を有するウエブを実現するために。比較例H~Mは、例えば260psig以上、大半のケースでは、350psigを優に超える高いダイ圧力で生成された。同一または同様の特性を有するウエブは、これらの高いダイ圧力を使用して、このように実現した。
実施形態
[00178]以下の実施形態が想定される。特徴および実施形態のすべての組合せが想定さ
れる。
【0166】
[00179]実施形態1:恒久的な抗微生物性を有する不織ポリアミド組成物であって、2
5ミクロン未満の平均繊維直径を有する不織ポリアミド、ポリアミド内に分散した2000ppm未満の亜鉛、および2000ppm未満のリンを含み、亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1である、不織ポリアミド組成物。
【0167】
[00180]実施形態2:亜鉛対リンの重量比が少なくとも2:1である、実施形態1の実
施形態。
[00181]実施形態3:ポリアミド組成物の相対粘度が10から100、例えば20から
100に及ぶ、実施形態1および2のいずれか1つの実施形態。
【0168】
[00182]実施形態4:ポリアミド組成物が、500ppm未満の亜鉛を含む、実施形態
1~3のいずれか1つの実施形態。
[00183]実施形態5:ポリアミド組成物が、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を
含む、実施形態1~4のいずれか1つの実施形態。
【0169】
[00184]実施形態6:ポリアミド組成物が、リンを含まない、実施形態1~5のいずれ
か1つの実施形態。
[00185]実施形態7:亜鉛が、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸アンモニウム亜鉛、アジピン
酸アンモニウム亜鉛、ステアリン酸亜鉛、フェニルホスフィン酸亜鉛、ピリチオン亜鉛および/またはそれらの組合せを含む亜鉛化合物を経由して得られる、実施形態1~6のいずれか1つの実施形態。
【0170】
[00186]実施形態8:亜鉛化合物が、フェニルホスフィン酸亜鉛および/またはフェニ
ルホスホン酸亜鉛ではない、実施形態7の実施形態。
[00187]実施形態9:リンが、リン酸、ベンゼンホスフィン酸、ベンゼンホスホン酸、
次亜リン酸マンガン、次亜リン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、次亜リン酸、亜リン酸および/またはそれらの組合せを含むリン化合物を経由して得られる、実施形態1~8のいずれか1つの実施形態。
【0171】
[00188]実施形態10:ポリアミド組成物が、500ppm未満の亜鉛を含み、ポリマ
ー樹脂組成物が、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み、ポリマー樹脂組成物が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの90%超の成長を阻害する、実施形態1~9のいずれか1つの実施形態。
【0172】
[00189]実施形態11:ポリアミドが、ナイロンを含み、亜鉛が、酸化亜鉛および/ま
たはピリチオン亜鉛を経由して得られ、ポリアミド組成物の相対粘度が10から100、例えば20から100に及ぶ、実施形態1~10のいずれか1つの実施形態。
【0173】
[00190]実施形態12:ポリアミドが、ナイロン-6,6を含み、亜鉛が、酸化亜鉛を
経由して得られ、亜鉛対リンの重量比が、少なくとも2:1であり、ポリアミド組成物が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの95%超の成長を阻害する、実施形態1~11のいずれか1つの実施形態。
【0174】
[00191]実施形態13:銀、スズ、銅および金、ならびに合金、酸化物ならびに/また
はそれらの組合せを含む1種または複数の追加の抗微生物剤をさらに含む、実施形態1~12のいずれか1つの実施形態。
【0175】
[00192]実施形態14:不織布の融点が225℃以上である、実施形態1~13のいず
れか1つの実施形態。
[00193]実施形態15:不織ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液
紡糸または遠心紡糸される、実施形態1~14のいずれか1つの実施形態。
【0176】
[00194]実施形態16:不織ポリアミドの平均繊維直径が、1000ナノメートル以下
である、実施形態1~15のいずれか1つの実施形態。
[00195]実施形態17:20%以下の繊維が、700ナノメートル超の直径を有する、
実施形態16の実施形態。
【0177】
[00196]実施形態18:ポリアミドが、ナイロン66またはナイロン6/66を含む、
実施形態1~17のいずれか1つの実施形態。
[00197]実施形態19:ポリアミドが、高温ナイロンを含む、実施形態1~18のいず
れか1つの実施形態。
【0178】
[00198]実施形態20:ポリアミドが、N6、N66、N6T/66、N612、N6
/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11および/またはN12を含み、「N」がナイロンを意味する、実施形態1~19のいずれか1つの実施形態。
【0179】
[00199]実施形態21:不織ポリアミドが、600CFM/ft2未満の空気透過率値
を有する、実施形態1~20のいずれか1つの実施形態。
[00200]実施形態22:不織ポリアミドが、200GSM以下の目付を有する、実施形
態1~21のいずれか1つの実施形態。
【0180】
[00201]実施形態23:恒久的な抗微生物性を有する抗微生物繊維であって、25ミク
ロン未満の平均繊維直径を有する不織ポリアミド、ポリマー内に分散する2000ppm未満の亜鉛、および2000ppm未満のリンを含む、抗微生物繊維。
【0181】
[00202]実施形態24:亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.6
4未満:1である、実施形態23の実施形態。
[00203]実施形態25:亜鉛対リンの重量比が、少なくとも2:1である、実施形態2
3または24のいずれか1つの実施形態。
【0182】
[00204]実施形態26:繊維が、20ミクロン未満の平均直径を有する、実施形態23
~25のいずれか1つの実施形態。
[00205]実施形態27:ポリマーが、2000ppm未満の亜鉛を含む、実施形態23
~26のいずれか1つの実施形態。
【0183】
[00206]実施形態28:ポリマーが、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含む、
実施形態23~27のいずれか1つの実施形態。
[00207]実施形態29:抗微生物繊維が、染浴テストにより測定して、70%超の亜鉛
の保持率を有する、実施形態23~28のいずれか1つの実施形態。
【0184】
[00208]実施形態30:亜鉛が、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸アンモニウム亜鉛、アジピ
ン酸アンモニウム亜鉛、ステアリン酸亜鉛、フェニルホスフィン酸亜鉛、ピリチオン亜鉛
および/またはそれらの組合せを含む亜鉛化合物である、実施形態23~29のいずれか1つの実施形態。
【0185】
[00209]実施形態31:リンが、リン酸、ベンゼンホスフィン酸、ベンゼンホスホン酸
、次亜リン酸マンガン、次亜リン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、次亜リン酸、亜リン酸および/またはそれらの組合せを含むリン化合物である、実施形態23~30のいずれか1つの実施形態。
【0186】
[00210]実施形態32:ポリアミドが、500ppm未満の亜鉛を含み、ポリマーが、
リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み、抗微生物繊維が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの90%超の成長を阻害する、実施形態23~31のいずれか1つの実施形態。
【0187】
[00211]実施形態33:ポリアミドが、ナイロンを含み、亜鉛が、酸化亜鉛および/ま
たはピリチオン亜鉛の形態で得られ、ポリマー樹脂組成物の相対粘度が、10から100、例えば20から100に及び、抗微生物繊維が、染浴テストにより測定して、80%超の亜鉛の保持率を有し、繊維が、18ミクロン未満の平均直径を有する、実施形態23~32のいずれか1つの実施形態。
【0188】
[00212]実施形態34:ポリアミドが、ナイロン-6,6を含み、亜鉛が、酸化亜鉛の
形態で得られ、亜鉛対リンの重量比が、少なくとも2:1であり、抗微生物繊維が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの95%超の成長を阻害し、抗微生物繊維が、染浴テストにより測定して、90%超の亜鉛の保持率を有し、抗微生物繊維が、10ミクロン未満の平均直径を有する、実施形態23~33のいずれか1つの実施形態。
【0189】
[00213]実施形態35:ポリマーが、銀、スズ、銅および金、ならびに合金、酸化物な
らびに/またはそれらの組合せを含む1種または複数の追加の抗微生物剤をさらに含む、実施形態23~34のいずれか1つの実施形態。
【0190】
[00214]実施形態36:不織布の融点が225℃以上である、実施形態23~35のい
ずれか1つの実施形態。
[00215]実施形態37:不織ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液
紡糸または遠心紡糸される、実施形態23~36のいずれか1つの実施形態。
【0191】
[00216]実施形態38:不織ポリアミドの平均繊維直径が、1000ナノメートル以下
である、実施形態23~37のいずれか1つの実施形態。
[00217]実施形態39:20%以下の繊維が、700ナノメートル超の直径を有する、
実施形態38の実施形態。
【0192】
[00218]実施形態40:ポリアミドが、ナイロン66またはナイロン6/66を含む、
実施形態23~39のいずれか1つの実施形態。
[00219]実施形態41:ポリアミドが、高温ナイロンを含む、実施形態23~40のい
ずれか1つの実施形態。
【0193】
[00220]実施形態42:ポリアミドが、N6、N66、N6T/66、N612、N6
/66、N6I/66、N66/6I/6T、N11および/またはN12を含み、「N」がナイロンを意味する、実施形態23~41のいずれか1つの実施形態。
【0194】
[00221]実施形態43:不織ポリアミドが、600CFM/ft2未満の空気透過率値
を有する、実施形態23~42のいずれか1つの実施形態。
[00222]実施形態44:不織ポリアミドが、200GSM以下の目付を有する、実施形
態23~43のいずれか1つの実施形態。
【0195】
[00223]実施形態45:恒久的な抗微生物性を有する抗微生物不織ポリアミドを調製す
るための方法であって、ポリアミドを形成するモノマー水溶液を調製するステップ、モノマー水溶液内に分散した2000ppm未満の亜鉛を添加するステップ、2000ppm未満のリンを添加するステップ、モノマー水溶液を重合して、ポリアミドを形成するステップ、ポリアミドを紡糸して、抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップ、および抗微生物ポリアミド繊維を、25ミクロン未満の繊維直径を有する抗微生物不織ポリアミドに成形するステップを含み、亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1である、方法。
【0196】
[00224]実施形態46:ポリマーが、2000ppm未満の亜鉛を含む、実施形態45
の実施形態。
[00225]実施形態47:抗微生物繊維が、染浴テストにより測定して、70%超の亜鉛
の保持率を有する、実施形態45または46のいずれか1つの実施形態。
【0197】
[00226]実施形態48:リンを添加するステップが、リンの少なくとも一部を含むつや
消し剤を添加するステップを含む、実施形態45~47のいずれか1つの実施形態。
[00227]実施形態49:ポリアミドが、ダイを通して高速ガス状ストリーム中にメルト
ブローすることにより溶融紡糸される、実施形態45~48のいずれか1つの実施形態。
【0198】
[00228]実施形態50:ポリアミドが、液体形態のポリアミド組成物を、繊維形成チャ
ネルを通して加圧ガスで押し出すステップを含む2相噴射剤ガス紡糸により溶融紡糸される、実施形態45~49のいずれか1つの実施形態。
【0199】
[00229]実施形態51:不織布が、繊維を移動ベルト上で収集することにより形成され
る、実施形態45~50のいずれか1つの実施形態。
[00230]実施形態52:不織布におけるポリアミドの相対粘度が、紡糸および不織布形
成前のポリアミドと比較して低下する、実施形態45~51のいずれか1つの実施形態。
【0200】
[00231]実施形態53:不織布におけるポリアミドの相対粘度が、紡糸および不織布形
成前のポリアミドと比較して同一または上昇する、実施形態45~52のいずれか1つの実施形態。
【0201】
[00232]実施形態54:不織布が、溶融紡糸され、前記不織布に成形されるナイロン6
6ポリアミドを含み、不織布が、少なくとも20ppmのTDI、および少なくとも1ppmのODIを有する、実施形態45~53のいずれか1つの実施形態。
【0202】
[00233]実施形態55:不織布が、繊維に溶融紡糸され、前記不織布に成形されるナイ
ロン66ポリアミドを含み、20%以下の繊維が、25ミクロン超の直径を有する、実施形態45~54のいずれか1つの実施形態。
【0203】
[00234]実施形態56:ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸
または遠心紡糸される、実施形態45~49のいずれか1つの実施形態。
[00235]実施形態57:抗微生物性を有する不織ポリアミド構造であって、不織ポリア
ミド繊維を含み、繊維が、不織ポリアミド繊維内に分散した4000ppm未満の亜鉛、および2000ppm未満のリンを含み、繊維が、25ミクロン未満の平均繊維直径を有し、ポリアミド構造が、ISO20743-13により測定して、Staphyloco
ccus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、不織ポリアミド構造。
【0204】
[00236]実施形態58:亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.6
4未満:1である、実施形態57の実施形態。
[00237]実施形態59:ポリアミド組成物の相対粘度が100未満である、実施形態5
7または58のいずれか1つの実施形態。
【0205】
[00238]実施形態60:ポリアミド組成物が、3100ppm未満の亜鉛を含み、ポリ
アミド組成物が、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み、ポリアミドが、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、実施形態57~59のいずれか1つの実施形態。
【0206】
[00239]実施形態61:不織ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液
紡糸または遠心紡糸される、実施形態57~60のいずれか1つの実施形態。
[00240]実施形態62:20%以下の繊維が、700ナノメートル超の直径を有する、
実施形態57~61のいずれか1つの実施形態。
【0207】
[00241]実施形態63:ポリアミドが、ナイロン66またはナイロン6/66を含む、
実施形態57~62のいずれか1つの実施形態。
[00242]実施形態64:抗微生物性を有する抗微生物繊維であって、不織ポリアミド繊
維内に分散した4000ppm未満の亜鉛、2000ppm未満のリンを含み、繊維が、25ミクロン未満の平均繊維直径を有し、ポリアミド構造は、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、抗微生物繊維。
【0208】
[00243]実施形態65:亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.6
4未満:1である、実施形態64の実施形態。
[00244]実施形態66:繊維が、20ミクロン未満の平均直径を有する、実施形態64
または65のいずれか1つの実施形態。
【0209】
[00245]実施形態67:不織ポリアミドが、3100ppm未満の亜鉛を含む、実施形
態64~66のいずれか1つの実施形態。
[00246]実施形態68:抗微生物繊維が、染浴テストにより測定して、70%超の亜鉛
の保持率を有する、実施形態64~67のいずれか1つの実施形態。
【0210】
[00247]実施形態69:不織ポリアミドが、3200ppm未満の亜鉛を含み、ポリマ
ーが、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み、抗微生物繊維が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、実施形態64~68のいずれか1つの実施形態。
【0211】
[00248]実施形態70:不織ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液
紡糸または遠心紡糸される、実施形態64~69のいずれか1つの実施形態。
[00249]実施形態71:ポリアミドが、ナイロン66またはナイロン6/66を含む、
実施形態64~70のいずれか1つの実施形態。
【0212】
[00250]実施形態72:恒久的な抗微生物性を有する抗微生物不織ポリアミド構造を調
製するための方法であって、モノマー水溶液を任意選択で含む前駆体ポリアミドを調製するステップ、前駆体ポリアミド内に4000ppm未満の亜鉛を分散させるステップ、前駆体ポリアミド内に2000ppm未満のリンを分散させるステップ、前駆体ポリアミドを重合して、ポリアミド組成物を形成するステップ、ポリアミド組成物を紡糸して、抗微
生物ポリアミド繊維を形成するステップ、および抗微生物ポリアミド繊維を、25ミクロン未満の繊維直径を有する抗微生物不織構造に成形するステップを含む、方法。
【0213】
[00251]実施形態73:抗微生物不織ポリアミドが、染浴テストにより測定して、70
%超の亜鉛の保持率を有する、実施形態72の実施形態。
[00252]実施形態74:亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.6
4未満:1である、実施形態72または73のいずれか1つの実施形態。
【0214】
[00253]実施形態75:ポリアミドが、ダイを通して高速ガス状ストリーム中にメルト
ブローすることにより溶融紡糸される、実施形態72~74のいずれか1つの実施形態。
[00254]実施形態76:不織布が、繊維に溶融紡糸され、前記不織布に成形されるナイ
ロン66ポリアミドを含み、20%以下の繊維が、25ミクロン超の直径を有する、実施形態72~75のいずれか1つの実施形態。
【0215】
[00255]実施形態77:ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸
または遠心紡糸される、実施形態72~76のいずれか1つの実施形態。
[00256]実施形態78:抗微生物性を有する不織ポリアミド構造であって、25ミクロ
ン未満の平均繊維直径を有する不織ポリアミド繊維、不織ポリアミド繊維内に分散した4000ppm未満の亜鉛を含み、ポリアミド組成物が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、不織ポリアミド構造。
【0216】
[00257]実施形態79:抗微生物性を有する抗微生物不織ポリアミド構造を調製するた
めの方法であって、ポリアミド、ポリアミド内に分散した4000ppm未満の亜鉛、およびポリアミド内に分散した2000ppm未満のリンを含む配合物を調製するステップ、配合物を紡糸して、25ミクロン未満の繊維直径を有する抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップ、ならびに抗微生物ポリアミド繊維を、抗微生物不織ポリアミド構造に成形するステップを含み、繊維が、275psig未満のダイ圧力を使用して紡糸される、方法
[00258]本発明は詳細に記載されているが、本発明の精神および範囲内の改変は、当業
者に容易に明らかになる。先述の考察、当業界で関連性がある知識、ならびに背景技術および発明を実施するための形態に関連する上で論じられている参考文献に関して、それらの開示はすべて参照により本明細書に組み込む。さらに、本発明の実施形態、ならびに様々な実施形態の一部、ならびに以下および/または添付の特許請求の範囲で挙げられている様々な特徴が、組み合わせられ得る、または全体的もしくは部分的に互換され得ることは理解されるべきである。様々な実施形態の先述の説明では、別の実施形態を参照する実施形態は、当業者により認識される他の実施形態と適切に組み合わせられ得る。
[00257]実施形態79:抗微生物性を有する抗微生物不織ポリアミド構造を調製するための方法であって、ポリアミド、ポリアミド内に分散した4000ppm未満の亜鉛、およびポリアミド内に分散した2000ppm未満のリンを含む配合物を調製するステップ、配合物を紡糸して、25ミクロン未満の繊維直径を有する抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップ、ならびに抗微生物ポリアミド繊維を、抗微生物不織ポリアミド構造に成形するステップを含み、繊維が、275psig未満のダイ圧力を使用して紡糸される、方法
[00258]本発明は詳細に記載されているが、本発明の精神および範囲内の改変は、当業者に容易に明らかになる。先述の考察、当業界で関連性がある知識、ならびに背景技術および発明を実施するための形態に関連する上で論じられている参考文献に関して、それらの開示はすべて参照により本明細書に組み込む。さらに、本発明の実施形態、ならびに様々な実施形態の一部、ならびに以下および/または添付の特許請求の範囲で挙げられている様々な特徴が、組み合わせられ得る、または全体的もしくは部分的に互換され得ることは理解されるべきである。様々な実施形態の先述の説明では、別の実施形態を参照する実施形態は、当業者により認識される他の実施形態と適切に組み合わせられ得る。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)抗微生物性を有する不織ポリアミド構造であって:
不織ポリアミド繊維を含み、繊維が、
不織ポリアミド繊維内に分散した4000ppm未満の亜鉛、および
2000ppm未満のリンを含み、
繊維が、25ミクロン未満の平均繊維直径を有し、
ポリアミド構造が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、不織ポリアミド構造。
(2)亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1である、(1)に記載の不織ポリアミド構造。
(3)ポリアミド組成物の相対粘度が100未満である、(1)に記載の不織ポリアミド構造。
(4)ポリアミド組成物が、3100ppm未満の亜鉛を含み、ポリアミド組成物が、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み、ポリアミドが、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、(1)に記載の不織ポリアミド構造。
(5)不織ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸または遠心紡糸される、(1)に記載の不織ポリアミド構造。
(6)20%以下の繊維が、700ナノメートル超の直径を有する、(1)に記載の不織ポリアミド構造。
(7)ポリアミドが、ナイロン66またはナイロン6/66を含む、(1)に記載の不織ポリアミド構造。
(8)抗微生物性を有する抗微生物繊維であって、
不織ポリアミド繊維内に分散した4000ppm未満の亜鉛、および
2000ppm未満のリンを含み、
繊維が、25ミクロン未満の平均繊維直径を有し、
ポリアミド構造が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、抗微生物繊維。
(9)亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1である、(8)に記載の抗微生物繊維。
(10)繊維が、20ミクロン未満の平均直径を有する、(8)に記載の抗微生物繊維。
(11)不織ポリアミドが、3100ppm未満の亜鉛を含む、(8)に記載の抗微生物繊維。
(12)抗微生物繊維が、染浴テストにより測定して、70%超の亜鉛の保持率を有する、(8)に記載の抗微生物繊維。
(13)不織ポリアミドが、3200ppm未満の亜鉛を含み、ポリマーが、リンの少なくとも一部を含むつや消し剤を含み、抗微生物繊維が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、(8)に記載の抗微生物繊維。
(14)不織ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸または遠心紡糸される、(8)に記載の抗微生物繊維。
(15)ポリアミドが、ナイロン66またはナイロン6/66を含む、(8)に記載の抗微生物繊維。
(16)恒久的な抗微生物性を有する抗微生物不織ポリアミド構造を調製するための方法であって、
モノマー水溶液を任意選択で含む前駆体ポリアミドを調製するステップ、
前駆体ポリアミド内に4000ppm未満の亜鉛を分散させるステップ、
前駆体ポリアミド内に2000ppm未満のリンを分散させるステップ、
前駆体ポリアミドを重合して、ポリアミド組成物を形成するステップ、
ポリアミド組成物を紡糸して、抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップ、および
抗微生物ポリアミド繊維を、25ミクロン未満の繊維直径を有する抗微生物不織構造に成形するステップを含む、方法。
(17)抗微生物不織ポリアミドが、染浴テストにより測定して、70%超の亜鉛の保持率を有する、(16)に記載の方法。
(18)亜鉛対リンの重量比が、少なくとも1.3:1、または0.64未満:1である、(16)に記載の方法。
(19)ポリアミドが、ダイを通して高速ガス状ストリーム中にメルトブローすることにより溶融紡糸される、(16)に記載の方法。
(20)不織布が、繊維に溶融紡糸され、前記不織布に成形されるナイロン66ポリアミドを含み、20%以下の繊維が、25ミクロン超の直径を有する、(16)に記載の方法。
(21)ポリアミドが、溶融紡糸、スパンボンド、電界紡糸、溶液紡糸または遠心紡糸される、(16)に記載の方法。
(22)抗微生物性を有する不織ポリアミド構造であって、
25ミクロン未満の平均繊維直径を有する不織ポリアミド繊維、
不織ポリアミド繊維内に分散した4000ppm未満の亜鉛を含み、
ポリアミド組成物が、ISO20743-13により測定して、Staphylococcus Aureusの少なくとも90%の減少を実証する、不織ポリアミド構造。
(23)抗微生物性を有する抗微生物不織ポリアミド構造を調製するための方法であって、
ポリアミド、ポリアミド内に分散した4000ppm未満の亜鉛、およびポリアミド内に分散した2000ppm未満のリンを含む配合物を調製するステップ、
配合物を紡糸して、25ミクロン未満の繊維直径を有する抗微生物ポリアミド繊維を形成するステップ、ならびに
抗微生物ポリアミド繊維を、抗微生物不織ポリアミド構造に成形するステップを含み、
繊維が、275psig未満のダイ圧力を使用して紡糸された、方法。