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特開2023-116668アガロイド構造及び関連する使用方法と製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116668
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】アガロイド構造及び関連する使用方法と製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/20 20060101AFI20230815BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20230815BHJP
   A61L 27/32 20060101ALI20230815BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20230815BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20230815BHJP
   A61L 27/44 20060101ALI20230815BHJP
   A61L 27/46 20060101ALI20230815BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20230815BHJP
   A61L 31/12 20060101ALI20230815BHJP
   A61L 31/16 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
A61L27/20
A61L31/04 120
A61L27/32
A61L31/02
A61L27/36 110
A61L27/36 311
A61L27/44
A61L27/46
A61L27/54
A61L31/12 100
A61L31/12
A61L31/16
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096846
(22)【出願日】2023-06-13
(62)【分割の表示】P 2020514137の分割
【原出願日】2018-05-16
(31)【優先権主張番号】62/507,302
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519409202
【氏名又は名称】アドバンスド エステティック テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED AESTHETIC TECHNOLOGIES,INC.
【住所又は居所原語表記】One Brookline Place,Suite 427 Brookline,Massachusetts 02445,USA
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】プローボーンチー リチャード
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アガロイド構造を哺乳動物身体の中又は上に使用する方法を提供する。
【解決手段】骨サプリメントとアガロイドマトリックスを含む組成物とを接触させて、アガロイドマトリックス-骨サプリメント混合物を形成することと、骨空隙又は骨移植部位を前記アガロイドマトリックス-骨サプリメント混合物と接触させることとを含む骨間隙又は骨移植部位で骨サプリメントを安定化する方法である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨サプリメントとアガロイドマトリックスを含む組成物とを接触させて、アガロイドマトリックス-骨サプリメント混合物を形成することと、
骨空隙又は骨移植部位を前記アガロイドマトリックス-骨サプリメント混合物と接触させることとを含む
骨間隙又は骨移植部位で骨サプリメントを安定化する方法。
【請求項2】
前記骨サプリメントは、ヒドロキシアパタイトで形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記骨サプリメントは、破砕骨で形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記骨サプリメントとアガロイドマトリックスを含む組成物とを接触させることは、沈殿の前に溶解したアガロイドを含む溶液に前記骨サプリメントを組み込むことを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記骨サプリメントとアガロイドマトリックスを含む組成物とを接触させることは、前記アガロイドマトリックス内の孔に、前記骨サプリメントを含む懸濁液をロードすることを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アガロイドマトリックス-骨サプリメント混合物は、造影剤、鎮痛剤、及び麻酔剤からなる群から選択される薬剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
この出願は、2017年5月17日に出願された「アガロイド構造及びその使用方法」と題された米国仮出願第62/507,302号から優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
アガロースは、D-ガラクトースと3,6-アンヒドロ-L-ガラクトピラノースから形成される二糖であるアガロビオースの繰り返し単位で構成された直鎖多糖ポリマーである。アガロースは、寒天の2つの主要成分の1つであり、寒天の他の成分であるアガロペクチンを除去することにより寒天から精製される。アガロースは、電気泳動による大分子、特にDNAの分離のために分子生物学で頻繁に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の実施形態では、この開示は、アガロイドマトリックス、マット、繊維、ビーズ、球、マイクロビーズ、及びマイクロ粒子を含むアガロイド構造に関する。従来のアガロイドと比較して、開示されたアガロイド構造は、全体に相互接続された孔を有するモノリシック構造を生成する独特の技法を使用して形成されることがある。開示されたアガロイドの一部の多孔性の性質により、これらのアガロイドは多少スポンジ状になり、存在する場合に水を容易に吸収し、絞られると吸収された水を放出する。開示されたアガロイド構造はまた、幾つかの実施形態では、化学的に架橋されてもよいし、焼結されてもよいし、及び/又は1つ以上の孔形成剤を含んでもよい。開示されたアガロイド構造は、所望の用途のために選択された様々な形状を採用してもよい。
【0004】
幾つかの実施形態では、開示されたアガロイドは、アガロイドの所望の用途に基づいて選択された1つ以上の有益な薬剤を含んでもよい。アガロイド構造に関連して使用され得る有益な薬剤は、造影剤、放射線不透剤、色素沈着剤、抗色素沈着剤、保湿剤、テンション剤、抗アクネ剤、抗酸化剤、かゆみ止め剤、抗セルライト剤、抗瘢痕剤、抗炎症剤、鎮痛剤、麻酔剤、及び活性医薬成分を含むが、それらに限定されない。存在する場合、アガロイド構造に含まれる1つ又は複数の有益な薬剤は、快速放出又は経時放出のために構成されてもよい。
【0005】
また、本開示は、開示されたアガロイドを製造する方法に関する。例示的な製造方法は、水とグリコールを含む溶液の調製、アガロースの添加、溶液の加熱によるアガロース混合物の形成、混合物の冷却によるアガロース沈殿物の形成(本明細書では「アガロイド構造」とも呼ばれる)、及び混合物からの沈殿物の除去を含むが、これらに限定されない。アガロイド構造の形成後、該構造は、従来のアガロイドによって示される溶解特性を有するようにアガロイド構造を変換することによりさらに処理され得る。開示されたアガロイド構造の追加の任意の処理は、アガロイド構造の化学的な架橋及び/又はアガロイド構造の焼結が含んでもよい。
【0006】
他の態様では、本開示は、開示されたアガロイド構造を哺乳動物身体の中又は上に使用する方法にも関する。開示されたアガロイド構造は、例えば、対象の創傷又は皮膚損傷を処置するために使用されてもよい。幾つかの特定の実施形態では、アガロイド構造は、患者の活動性出血部位を処置するために使用されてもよい。幾つかの実施形態では、開示されたアガロイド構造は、例えば、骨サプリメントを含むアガロイド構造を含む組成物を骨空隙又は骨移植部位に送達することにより、骨空隙又は骨移植部位で骨サプリメントを安定化するために使用されてもよい。他の実施形態では、アガロイド構造は、対象における軟組織を充填及び/又はバルク化するために使用されてもよい。更なる態様において、本開示は、例えば、本明細書に開示されるようなアガロイド構造を含む製剤を組織又はボディボイドに投与することにより、対象の組織又はボディボイドに塊を作り出す方法を提供する。
【0007】
幾つかの実施形態では、哺乳動物身体の中又は上に1つ以上の有益な薬剤を送達する方法が開示される。この方法は、有益な薬剤をアガロイドマトリックスに取り込んで、前記アガロイドマトリックスを哺乳動物身体の中又は上に適用することを含む。選択された実施形態では、開示された方法は、1つ以上の有益な薬剤をアガロイドマトリックスに吸収させて、前記アガロイドマトリックスを哺乳動物身体の中又は上に適用することを含む。アガロイド構造に関連して使用できる有益な薬剤は、活性医薬品を含む本明細書に記載の任意のタイプ、又は哺乳動物患者に有用な他の任意のタイプの治療薬又は化粧用剤であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1A~1Cは、本開示の幾つかの実施形態による例示的なアガロイド構造を示す。
図2図2は、本開示の幾つかの実施形態による、アガロイド構造を形成する例示的な方法を示す。
図3図3は、本開示の幾つかの実施形態による、アガロイド構造を返還する例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、様々なアガロイド構造が開示され、開示されたアガロイド構造を含む製剤を含む。哺乳動物身体の上又は中に適用するための可能な使用方法とともに、生産の例示的な方法も説明される。理解されるように、幾つかの例示的な製剤は、アガロイド構造に分散された1つ以上の有益な薬剤を含み、哺乳動物を処置するために製剤が適用されると治療的利益をもたらし得る。
【0010】
例示的なアガロイド構造及び製剤
図1A~1Cは、幾つかの例示的なアガロイド構造を示す。図1A~1Cに示す特定のアガロイド構造は、参照番号100a~100dを使用して識別され、これら及びその他のアガロイド構造は、本明細書中では一般に「アガロイド構造100」と呼ばれる。図1Aは、例えば、複数のアガロイドビーズ100aを示す。アガロイドビーズ100aは、略球状であってもよく、幾つかの実施形態では、10mm、5mm、2mm、1mm、又は0.5mm未満の直径を有してもよい。幾つかの実施形態では、アガロイドビーズ100aは、マイクロビーズであってもよく、100ミクロン、50ミクロン、40ミクロン、30ミクロン、25ミクロン、20ミクロン、10ミクロン、又は1ミクロン未満の直径を有してもよい。幾つかの実施形態では、アガロイドビーズ100aは実質的に平滑な表面を有してもよい。一方、他の実施形態では、アガロイドビーズ100aは粗い表面を有してもよい。アガロイドビーズ100aは多孔性であってもよく、幾つかの実施形態では、その内部に形成された孔の相互接続ネットワークを有するモノリシックアガロイド材料から形成されてもよい。
【0011】
図1Bは、例示的なアガロイド繊維100bを示す。図1Bに示すように、アガロイド繊維100bは一緒にアガロイドマット100cを形成する。アガロイド繊維100bは、中空又は非中空であってもよい。幾つかの実施形態では、アガロイド繊維100bは多孔性であってもよい。以下で詳述されるように、繊維100bを一緒に焼結して(例えば、変換プロセスの前又は最中に水への制御された露出を通して)融合させて、アガロイドマット100cを形成してもよい。
【0012】
図1Cは、例示的なアガロイドマトリックス100dを示す。図1Cには示されていないが、アガロイドマトリックス100dは、その構造全体に複数の孔を含み得る。幾つかの実施形態では、アガロイドマトリックス100dの孔は、直径が1から20ミクロンの間であってもよい。選択された実施形態では、アガロイドマトリックス100dは、構造全体に形成された複数の相互接続された孔を有するモノリシックアガロイド材料であってもよい。アガロイドマトリックスの多孔性及びスポンジ状の性質により、体液を容易に吸収できることがある。幾つかの実施形態では、アガロイドマトリックスが乾燥すると、それ自体がある程度崩壊し、水性環境に露出されると元のサイズの100%に膨張しない可能性がある。乾燥の程度及び保湿剤などの添加は、アガロイドマトリックスの再膨張率に影響を与える可能性がある。
【0013】
任意のタイプの適切なアガロイドは、開示されたアガロイド構造を形成するために使用されてもよい。例えば、現在開示されたアガロイド構造は、幾つかの実施形態では、1つ以上の粗製、精製、又は修飾された寒天又はアガロースを含んでもよい。例えば、特定の実施形態では、アガロイドは寒天、アガロース、精製されたアガロース、及び誘導体化アガロースから選択されてもよい。アガロイドは、カラギーナン、キトサン、アルギン酸塩、ゼラチン、ヒアルロン酸、及び/又はコラーゲンなどの他の適合性ポリマー及び添加剤との混合物として使用されてもよい。選択された実施形態では、アガロイド構造を形成するために使用されるアガロイドは、寒天、アガロース、誘導体化寒天、及び誘導体化アガロースからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、誘導体化カルボキシメチルアガロースは、開示されたアガロイド構造を形成するために使用されてもよい。特定の実施形態では、アガロイドはオゴノリ由来のアガロースである。オゴノリ由来のアガロースは、他のソース(例えば、テングサ)由来のアガロースよりも高いメトキシ含有量を有する。特定の実施形態では、2つ以上のアガロイドの組み合わせは、アガロイド構造を形成するために使用されてもよい。他の海藻類、例えば、プテロクラディア(Pterocladia)又はゲリディエラ(Gelidiella)からのアガロイドは使用されてもよい。
【0014】
必要に応じて、1つ以上の有益な薬剤はアガロイド構造に取り込まれてもよい。開示されたアガロイド構造に取り込まれ得る例示的な有益な薬剤は、造影剤、放射線不透剤、色素沈着剤、抗色素沈着剤、保湿剤、テンション剤、抗アクネ剤、抗酸化剤、かゆみ止め剤、抗セルライト剤、抗瘢痕剤、抗炎症剤、鎮痛剤、麻酔剤、及び活性医薬成分を含むが、それらに限定されない。幾つかの実施形態では、1つ以上の有益な薬剤は、アガロイドの総重量に対して少なくとも1%、5%、又は10%の重量パーセントで存在してもよい。
【0015】
幾つかの実施形態では、1つ以上の添加物がアガロイド構造100に存在してもよい。例えば、使用される形成又は追加の処理の方法に応じて、開示されたアガロイド構造100は、以下の添加剤の1つ以上を含んでもよい:孔形成剤、化学架橋剤、及び/又はリガンド。アガロイド構造体100に存在し得る例示的な孔形成剤は、塩化ナトリウムを含むが、これに限定されない。アガロイド構造100に存在し得る例示的な化学架橋剤の例は、エピクロロヒドリン、2,3-ジブロモプロパノール、ビスエポキシド、ジビニルスルホン、および二官能性イソシアネートを含む。開示されたアガロイド構造に存在し得る例示的なリガンドは、単座及び多座(例えば、二座及び三座)リガンドを含む。主題の開示を考慮すると、多数の構成及び変形が当業者には明らかであろう。
【0016】
製造方法
【0017】
開示されたアガロイド構造は、任意の適切な技術を使用して生成され得る。図2は、アガロイド構造100を生成する例示的な方法200を示す。図2に示すように、方法200は、グリコール及び水を含む溶液の調製202を含む。溶液の調製202に使用され得る例示的なグリコールは、1つ以上のC-Cアルキレングリコールを含む。該アルキレングリコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコール(1,2-ブタンジオール)を含むが、これらに限定されない。トリエチレングリコールなどのポリエチレングリコールは、他のグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコールなど)を含み、水とグリコールを含む溶液の調製202に使用され得ることがよく知られている。水とグリコールは、溶液中に任意の適切な重量比、例えば、1:99~30:70(水対グリコール)、5:95~25:75(水対グリコール)、10:90~20:80(水対グリコール)、又は約15:85(水対グリコール)などで存在してもよい。
【0018】
方法200は、アガロース混合物を形成するために溶液にアガロースを添加204することに続く。溶液に添加204されるアガロースの量は、溶液の総重量に基づいて1%から25%の間であり得る。幾つかの実施形態では、溶液が室温以下である間に、アガロースを溶液に添加204してもよい。例えば、幾つかの実施形態では、アガロースを添加204する間に、グリコールと水の溶液は30℃、25℃、20℃、15℃、又は10℃未満であってもよい。
【0019】
方法200は、1つ以上の有益な薬剤をアガロース混合物にオプションで追加206することに続く。アガロース混合物に添加206され得る例示的な有益な薬剤は、造影剤、放射線不透剤、色素沈着剤、抗色素沈着剤、保湿剤、テンション剤、抗アクネ剤、抗酸化剤、かゆみ止め剤、抗セルライト剤、抗瘢痕剤、抗炎症剤、鎮痛剤、麻酔剤、及び活性医薬成分を含むが、それらに限定されない。
【0020】
方法200は、予め決められた温度にアガロース混合物を加熱208することに続く。幾つかの実施形態では、アガロース混合物は、少なくとも70℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、又は150℃に加熱208され得る。幾つかの実施形態では、アガロース混合物は、100℃から120℃の間の温度に加熱208され得る。アガロース混合物は、存在するすべてのアガロースが溶解するまで加熱され得る。ホットプレート又は別のタイプの加熱装置への暴露を含む、任意の適切な加熱技術を使用してアガロース混合物を加熱208してもよい。
【0021】
方法200は、アガロース沈殿物を形成するようにアガロース混合物を冷却210することに続く。冷却210は、予め決められた期間(例えば、5分から5時間、10分から4時間、15分から3時間、及び30分から2時間)にわたって行われてもよい。幾つかの実施形態では、アガロース混合物の緩冷却により、比較的滑らかな表面を有するアガロイド構造が得られ、一方、より速い冷却は、比較的粗い表面を有するアガロイド構造が得られる場合がある。アガロース混合物は、アガロースの沈殿を引き起こすために任意の適切な温度に冷却されてもよい。幾つかの実施形態では、例えば、アガロースをほぼ室温まで冷却してもよい。これによりアガロース沈殿物が引き起こされる可能性がある。
【0022】
冷却210中に、アガロース混合物はオプションで撹拌されてもよい。幾つかのこのような実施形態では、アガロース混合物は、冷却210中に穏やかに、適度に、又は急速に撹拌されてもよい。アガロース混合物の撹拌は、手動で又は自動的に装置(例えば、磁石)によって推進される撹拌機で実行されてもよい。場合によっては、アガロース混合物が冷却中に受ける撹拌の程度が、得られるアガロイド構造に影響を与える可能性がある。
【0023】
幾つかの実施形態では、アガロース混合物が冷却210される方法は、得られるアガロイド構造を決定し得る。例えば、幾つかの実施形態では、アガロイドマトリックスは、例えば、熱いアガロース混合物を冷たい非水性液体に押し出し、ほとんど又はまったく撹拌せずに沈殿させることにより、糸状構造として形成されてもよい。別の例では、熱いアガロース混合物は冷却された部分を有する管を通してポンプで送られてもよく、それにより、管の内径に近い棒状にアガロイドを沈殿させる。このようにして、プラスチックチューブの形成方法と同様のチューブとしてアガロイドマトリックスを形成することができる。他の実施形態では、アガロイドマトリックスは、例えば、熱いアガロース混合物を冷たい非水性液体(例えば、イソプロピルアルコール)に滴下し、撹拌せずにビーズを冷却することによって、ビーズに形成することができる。非常に小さなアガロイドマトリックスビーズは、例えば、熱いアガロース混合物の微細な液滴を冷却塔に噴霧し、それらを沈殿させることにより形成することができる。アガロイドマットを形成するために、熱いアガロース混合物は、グリコール溶液中のアガロイドが冷却されターゲット表面に到達する前又はターゲット表面に到達する直前に沈殿する条件の下で、紡糸口金を通して表面上に流されてもよく、それにより、不織マット構造が作成される。他の実施形態では、アガロースマトリックスは、例えば、熱いアガロース混合物を型に流し込み、アガロイドを静止状態で沈殿させ、それによってアガロイドマトリックスが型の形態を有するようにすることにより、キャストすることができる。多数の可能性とバリエーションが可能であり、考えられる。
【0024】
方法200は、アガロース混合物からアガロース沈殿物を除去212することに続く。アガロース沈殿物は、濾過技術、遠心分離、又は別の適切な分離方法を使用して除去212され得る。方法200は、アガロース沈殿物をオプションで洗浄214し乾燥させることに続く。必要に応じて、アガロース沈殿物は、イソプロパノールアルコールで洗浄214されて乾燥(例えば、熱風オーブンで)してもよい。
【0025】
アガロース沈殿プロセスの性質により(図2の方法200に記載)、独特の構造特性を有するアガロイドが生成される場合がある。具体的には、相互接続された孔ネットワークを有する本質的に固体のアガロイドからなるアガロイド構造は、開示された方法を使用して形成され得る。さらに、形成されたアガロイド構造は、ビーズ、球、マイクロビーズ、マイクロ粒子、マトリックス、マット、中空及び非中空繊維、ならびに相互接続された孔ネットワークを含む又は含まない他の可能な形状及び構造を含む、多数の有用な形状の形態をとってもよい
【0026】
1つ以上の有益な薬剤がアガロイド構造に取り込まれる実施形態では、1つ以上の有益な薬剤は、アガロース混合物の冷却210の前にアガロース混合物に導入されてもよい。1つ以上の有益な薬剤が粒子である実施形態では、粒子は、グリコール溶液からのアガロースの沈殿中に捕捉され得る。有益な薬剤が液体であるか、又は十分に微細な懸濁液に分散される場合、有益な薬剤は、使用前の任意の時点での沈殿後にアガロイド構造にロードされてもよい。有益な薬剤をゲル化剤又は結合剤などに取り込むか、あるいは可能であれば有益な薬剤自体をゲル化又は固化することにより、有益な薬剤はまた、アガロイド構造にある程度固定され得る。幾つかの実施形態では、有益な薬剤は、アガロイド構造に化学的に(例えば、共有結合的又はイオン的に)結合することもできる。
【0027】
方法200に従って生成された結果のアガロース/アガロイド構造は、場合によっては、哺乳動物身体の中又は上での使用に適さないようにする溶解特性を有することがある。したがって、所望であれば、アガロイド構造をさらに処理して、より適切な溶解特性(例えば、40℃を超える溶解点)を付与し得る。アガロイド構造をより望ましい溶解特性を有するものに「変換」するために使用され得る例示的な方法は、図3の方法300で詳述されている。本明細書で使用される用語「変換されたアガロイド」とは、グリコール溶液から沈殿され、例えば方法300に従ってさらに変換されて従来のアガロイド溶解特性を有するアガロイド材料を意味する。選択された実施形態では、「変換されたアガロイド」は、水中で40℃を超える溶解点を持つことで識別できる。方法300は、水と、アガロイドが不溶性である水混和性溶媒を含む溶液を調製302することを含む。アガロイドが不溶性である例示的な水混和性溶媒は、アルコール(例えば、イソプロパノール)及びアセトンを含むが、これらに限定されない。アガロイドが不溶性である水混和性溶媒は、本明細書では「非溶媒」と呼ばれることがある。水及び水混和性の非溶媒は、溶液中に様々な比率で存在し得る。例えば、溶液は、水と水混和性非溶媒を1:5~1:1の重量比で含んでもよい。
【0028】
方法300は、変換されたアガロイド構造形成するように溶液にアガロイド構造を添加304することに続く。溶液に添加304され得る例示的なアガロイド構造は、方法200を使用して形成されたアガロイド構造を含む、任意の前述のアガロイド構造100を含む。幾つかの実施形態では、溶液は、アガロイド構造が添加304される前又はその間に、オプションで冷却304されてもよい。完全に変換するために、含水量が溶液とアガロイド構造の間で平衡するまで、アガロイド構造は溶液中に残る。方法300は、変換されたアガロイド構造を溶液から除去306することに続く。変換されたアガロイド構造は、遠心分離又は濾過を含む任意の適切な分離技術を使用して、溶液から除去306され得る。
【0029】
アガロイド構造(例えば、方法200に従うグリコール溶液での沈殿による、且つ実行される場合、方法300に従うアガロイド構造の変換の前又は後)の形成後、必要に応じて、アガロイド構造はオプションでさらに処理されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、アガロイド構造は、より小さい不規則な形状の粒子が形成されるように、カット、チョップ、又は粉砕されてもよい。
【0030】
幾つかの実施形態では、アガロイドは架橋されてもよい。開示されたアガロイド構造を架橋するために使用できる例示的な化学架橋剤は、エピクロロヒドリン、2,3-ジブロモプロパノール、ビスエポキシド、ジビニルスルホン、及び/又は二官能性イソシアネートを含むが、これらに限定されない。アガロイド構造が化学的に架橋される実施形態では、方法200での形成後及び方法300による変換の前又は後に架橋剤をアガロイド構造に導入してもよい。化学的に架橋されたアガロイドマトリックスは、架橋されていないアガロイドマトリックスよりもある程度堅牢であるように見える。また、乾燥した化学架橋アガロイドマトリックスは、水性溶液にさらされると、ほぼ100%の元のサイズに再膨張し得る。場合によっては、化学的に架橋されたアガロイドマトリックスは、乾燥するとそれ自体がある程度崩壊することがあるが、架橋されていないが同様に乾燥されて水性環境にさらされたアガロイドマトリックスよりも明らかに多く膨張し得る。
【0031】
特定の実施形態では、変換されたアガロイド(例えば、方法200及び300を使用して形成されたアガロイド構造)は、変換されたアガロイドに形成された後に誘導体化されてもよい。同様に、変換されたアガロイド(例えば、方法200及び300を使用して形成されたアガロイド構造)は、1つ以上のリガンドをアガロイド構造に結合することによりさらに修飾されてもよい。
【0032】
幾つかの実施形態では、1つ以上の孔形成剤(あるいは、本明細書では「ポロゲン」とも呼ばれる)は、得られるアガロイド構造の多孔率を制御するために使用されてもよい。使用する場合、孔形成剤は、アガロース混合物(沈殿前、沈殿中、又は沈殿後)に添加されてもよい。使用され得る例示的な孔形成剤は、塩化ナトリウム結晶を含むが、これに限定されない。繊維又は物理的に除去された(溶解ではなく)他の固体形状の周りにアガロイド構造(例えば、アガロイドマトリックス又は他の構造)をキャストすることにより、アガロイド構造に孔又は間隙を形成することができる。
【0033】
幾つかの実施形態では、例えば、分離したアガロイド構造が互いに融合する条件にアガロイド構造がさらされることにより、アガロイド構造は焼結されてもよい。幾つかの実施形態では、アガロイド繊維及び/又はアガロイドビーズは、次のような条件にさらされることにより一緒に焼結されてもよい。該条件は、繊維又はアガロイドビーズ又はアガロイド構造の表面がわずかに溶解しそしてゲル化し、それにより、構造が一緒に融合してマット又は他の種類の融合アガロイド構造が得られることを可能にする。これは、例えば、アガロイド構造を、方法300に使用されるものよりある程度高い水分含有量の水及び非溶媒水混和性溶媒にさらすことにより達成できる。
【0034】
必要に応じて、1つ以上の有益な薬剤は、本明細書に開示されたアガロイド構造に含まれてもよい。幾つかの実施形態では、有益な薬剤はアガロイド構造の形成中に添加されてもよく、他の実施形態では、有益な薬剤はアガロイド構造の形成後に添加されてもよい。例えば、アガロイドの沈殿前又は沈殿中に1つ以上の有益な薬剤を含め、それによりその構造内に混入された有益な薬剤とともにアガロイドマトリックスを形成することにより、アガロイドマトリックスの構造内に取り込まれた有益な薬剤を有するアガロイドマトリックスが形成され得る。次に、有益な薬剤を有するアガロイド構造は、必要に応じて方法300に従って変換されてもよい。
【0035】
他の実施形態では、有益な薬剤は、形成後にアガロイドマトリックスに添加されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、一部のアガロイドマトリックスの多孔性でスポンジ状の性質により、望ましいローディング剤を含む液体にさらすことでスポンジをロードできるのと同じ方法で、使用前に有益な溶液、懸濁液、又は粒子をロードすることができる。幾つかの実施形態では、アガロイドマトリックスの孔構造内に溶液、懸濁液、又は粒子の形態で有益な薬剤を固定化することが有利であることが証明され得る。これは、例えば、有益な薬剤とともにゲル化剤を含めることにより達成することができる。場合によっては、有益な薬剤自体はゲル化されてもよい。
【0036】
幾つかの実施形態では、複合アガロイド構造を形成するために、アガロイド構造は、別の構造内に形成されてもよいし、又は形成後に別の構造内に取り込まれてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、アガロイドマトリックスは、可撓性又は剛性のガーゼ、織物、連続気泡フォーム、別のマトリックス、又はスカフォールドに結合されてもよい。幾つかのそのような実施形態では、熱いアガロース混合物は、所望の結合構造にロードされてもよく、アガロース混合物は、アガロイド構造を沈殿させるように冷却されてもよい。場合によっては、得られる複合アガロイド構造は、追加の強度、構造、及び/又は改善された取り扱いの容易さを所有することがある。
【0037】
幾つかの実施形態では、アガロイド構造にはヒドロゲルがロードされてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、アガロイドマトリックスには、液体形態のヒドロゲルが単独で、又は添加物とともにロードされてもよい。幾つかの実施形態では、ヒドロゲルをアガロイドマトリックスに吸収させ、続いてアガロイド構造内に存在する場合にヒドロゲルをゲル化することにより、アガロイドマトリックスにはヒドロゲルがロードされてもよい。ヒドロゲルは、幾つかの実施形態では、アガロイド又は任意の他の種類のヒドロゲル材料であってもよい。
【0038】
必要に応じて、1つ以上の有益な薬剤は焼結アガロイド構造に取り込まれてもよい。有益な薬剤が粒子である場合、焼結プロセス中にそれらを捕捉することができる。又は、アガロイドマトリックスが使用される場合、有益な薬剤はアガロイドマトリックスの形成中に捕捉され得る。有益な薬剤が液体又は十分に微細な固体又は懸濁液である場合、それらは使用前の任意の時点で焼結アガロイド構造又はアガロイドマトリックスにロードされてもよい。ゲル化剤又は結合剤などを取り込むか、あるいは可能であれば有益な薬剤自体をゲル化又は固化することにより、有益な薬剤はまた、焼結アガロイド構造にある程度固定することができる。有益な薬剤はまた、焼結アガロイド構造に化学的に結合されてもよい。これら及び他の実施形態では、所望であれば、焼結プロセス中に孔形成剤を焼結アガロイド構造に取り込んで、所望のサイズ及び形状の孔又は間隙を作成することができる。詳細に説明されたこれらの例示的なアガロイド構造は、例示を目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0039】
実験例
第1の実験例では、以下の方法でアガロイド構造を生成した。プロピレングリコール(100mL)を250mLのフラスコに入れ、蒸留水(15mL)をグリコールに加えた。4gの市販グレードのアガロース(SeaKem(登録商標)LEアガロース、FMCBioProducts、Rockland、Me.)を撹拌しながら混合物にゆっくりと加えた。この撹拌された懸濁液を、すべてのアガロースが溶解するまで、120℃で20分間加熱した。次に、加熱を停止し、穏やかから中程度の撹拌をしながら、2時間かけて混合物をゆっくりと室温まで冷却させた。冷却を開始してから20分後に、アガロースが溶液から沈殿し始めた。混合物の温度が室温に達したら、それを遠心分離して沈殿物を収集した。固体を100mLの99%イソプロピルアルコールで2回洗浄した後、55℃の強制空気オーブンで乾燥させました。固体の検査により、固体は小さく均一な球形の粒子で構成され、その大部分は直径1~5ミクロンであることが分かった。この固体の精製アガロースの一部を、室温で撹拌水中に入れた。すぐに、粒子は水に溶解し始めたが、溶解が完了する前に、粒子の表面にゲルが形成され始めた。これらのゲル被覆粒子の凝集が続き、それ以上の溶解を防いだ。
【0040】
第2の実験例では、以下の方法でアガロイド構造を生成した。120グラムのSeaKem(登録商標)LEアガロース(FMCBioProducts、Rockland、Me、U.S.A.の製品)を4Lのビーカーに75mlの水と3000mlのプロピレングリコールを含む溶液に懸濁した。次に、ビーカーを加熱マントルに入れて覆い、Tラインミキサー(Tlinemixer)を懸濁液に挿入した。加熱マントルを約65%の出力に設定し、ミキサーを約45%の出力に設定した。懸濁液を約110℃に達するまで混合しながら加熱し、その時点でアガロースは完全に溶解した。混合を約45%に維持し、加熱マントルをオフにした。混合溶液を加熱マントルで一晩冷却させた。翌朝(約18時間後)、溶液を約30℃に冷却し、アガロースは1~5ミクロンの回転楕円体状マイクロ粒子として沈殿した。
【0041】
別の実験例では、構造化されたアガロイド材料(例えば、実験例1及び2に生成されたアガロイドミクロスフェア構造)を、約50%の水と50%のアガロース又はアガロイドの水混和性非溶媒とを含む混合物に懸濁した。非溶媒はアルコールであってもよく、例えば、イソプロパノール又は別の種類のアルコール又はアセトンも使用されてもよく、他の非溶媒の混合物も使用できる。約30分以上の適切な期間、撹拌しながら、又は撹拌せずに放置した後、アガロイド構造は水中でより高い溶解温度を持つように変換された。変換されたアガロイド構造は、オプションでアルコールで洗浄し、乾燥するか、又は必要に応じて水に希釈してもよい。
【0042】
アガロイド構造を変換する別のオプションは、アルコール又は別の非水性非溶媒で洗浄されたアガロイド構造を取り、すべてのグリコールを除去し、アガロイド構造をアルコールで再懸濁し、約5℃に冷却することである。10℃以下に冷却された水は、混合又は拡散により、冷却されたアガロイド-アルコール懸濁液にゆっくりと添加されてもよい。可能な添加速度は、1時間の間に1体積の水である。例えば、冷却された懸濁液に氷を添加してもよい。変換反応の進行は、アガロイド構造の小さなサンプルを数体積の水と混合し、アガロイド構造が溶解するかどうかを観察することにより、便利に監視できる。
【0043】
溶液から回収すると、この方式で処理されたアガロイド構造は、従来のアガロイドの溶解特性(例えば、水中で少なくとも40℃、50℃、60℃、70℃、又は80℃の溶解点)を有することがわかった。
【0044】
例示的な使用方法
開示されたアガロイド構造は、哺乳動物身体の中又は上で任意の適切な目的に使用されてもよい。幾つかの特定の例を詳細に説明するが、開示されたアガロイド構造(有益な薬剤の有無にかかわらず)は、他の追加の治療又は美容目的に使用されてもよい。幾つかの実施形態では、開示されたアガロイド構造は、対象のターゲット部位に適用されてもよい。例示的なターゲット部位は、組織、臓器、体腔、骨、髄膜、及び/又は脊柱を含む。開示されてアガロイド構造を使用する例示的な方法は、例示目的のために以下に提供される。開示されたアガロイド構造の追加の方法及び使用も可能であることを理解されたい。
【0045】
創傷処置
開示されたアガロイド構造の特性、例えば、多孔性、スポンジ状、生体適合性、生分解性、及び天然性は、創傷処置の分野で有用であり得る。例えば、創傷表面又は他の組織損傷に接触すると、開示されたアガロイドマトリックス組成物は、組織再生のための適切な湿潤環境を提供しながら創傷表面との密接な接触を維持する形状充填及び適合表面を提供し得る。さらに、アガロイドマトリックス組成物はまた、創傷からの滲出液を吸収及び含有し得る。開示されたアガロイドマトリックス組成物はまた、創傷を乾燥させないことにより創傷に利益をもたらし、したがって包帯又は創傷ドレッシングが創傷又は周囲組織に接着するのを防ぐ。湿った環境を維持できるため、創傷ドレッシングの除去は、創傷床又は創傷周囲に損傷を与えることはない。
【0046】
特定の実施形態では、開示されたアガロイド構造で処置される創傷又は皮膚損傷は、褥瘡、熱傷、癌創傷、潰瘍、手術部位、皮膚創傷、傷部外傷、糖尿病創傷、慢性創傷、又は急性創傷であってもよい。本明細書で使用される用語「創傷」とは、熱傷を含む手術及び外傷、ならびに粥状動脈硬化、血管疾患、又は糖尿病などの慢性医学的状態による損傷を含むすべての種類の組織損傷を意味する。本明細書に記載のアガロイドマトリックス組成物は、内部組織及び外部組織への創傷を含むすべての種類の創傷の処置に有用であり得る。開示された創傷ドレッシングは、皮膚の3つの層(表皮、真皮、及び皮下層)に影響を及ぼす創傷の様々な病因を処置することを意図する。
【0047】
幾つかの特定の実施形態では、創傷又は皮膚損傷は、活動性の出血部位であることがある。そのような実施形態では、適用されるアガロイドマトリックス組成物は、出血部位に止血効果を有し得る。止血用途に使用されるアガロイドマトリックス組成物は、止血機能を提供する1つ以上の材料、例えば、凝固誘導剤を含んでもよい。組成物は、薬剤や治療薬、又は痛み軽減剤を更に含んでもよい。凝固誘導剤は、トロンビン、ヘビ毒、血小板活性化剤、トロンビン受容体活性化ペプチド、及びフィブリノーゲン沈殿剤から選択されてもよい。
【0048】
場合によっては、アガロイドマトリックス又は別の種類のアガロイド構造の創傷を創傷に適用すると、瘢痕の形成又は出現が減少することがある。アガロイドマトリックスの創傷への適用は、激臭の除去、生体脂肪細胞の維持、及び/又は過剰顆粒形成(hypergranulation)の停止及び逆転など、他の治療効果をもたらす可能性がある。
【0049】
また、アガロイドマトリックス組成物の多孔性スポンジ状の性質により、それらは、創傷部位に送達し創傷部位と接触した状態に維持することができる有益な薬剤を含むのによく適したものとなる。これらの薬剤は、製造時にアガロイドマトリックスに添加することができ、又は使用の直前に添加することができる。特定の実施形態では、創傷又は皮膚損傷の処置に使用される組成物は、ステロイド外用薬、レチノイド、抗微生物剤、凝固剤、鎮痛剤、及び麻酔剤からなる群から選択される治療剤を更に含む。選択された実施形態では、治療剤は、抗微生物剤、凝固剤、鎮痛剤、及び麻酔剤から選択される。
【0050】
幾つかの実施形態では、アガロイドマトリックス組成物は、包帯や湿布に取り込まれるか又はその上に堆積されてもよい。これら及び他の実施形態では、アガロイドマトリックス組成物は、例えば、シート形態、粒子形態、ビーズ、又は別の形態であってもよい。アガロイドマトリックスは、創傷部位に適用する前に部分的又は完全に乾燥させてもよく、それにより創傷部位から液体を吸収する能力が向上する。また、乾燥前にアガロイドマトリックスを化学的に架橋すると、創傷部位から液体を吸収する能力が向上する場合がある。
【0051】
骨移植適用
本明細書に記載のアガロイドマトリックス組成物の特性は、骨移植及び骨間隙充填、ならびに他の骨サプリメント療法の分野にも適用可能である。骨のサプリメントは、外傷、病理学的疾患、外科的介入、又は骨の手術などで欠損を管理する必要がある他の状況によって引き起こされる可能性のある外科的欠損を修正するために使用される。骨サプリメントは、骨材料の欠損や間隙を充填したり、骨移植材料を所望の位置に保持したりする際にも有用である。
【0052】
本明細書に記載のアガロイドマトリックス組成物の多孔性、スポンジ状、生体適合性、生分解性、及び天然の特性は、そのターゲット部位内で骨サプリメントを安定化するのに有用な組成物となり、骨サプリメント及び周囲組織に位置安定性を付与する。組み合わされたアガロイドマトリックス組成物と骨サプリメント材料は、手術部位又は骨移植部位に適合可能であってもよく、多くの場合、形状又は深さが不均一である。さらに、アガロイドマトリックス組成物の成分は、細胞の増殖、遊走、及び接着を強化し得る。
【0053】
ある特定の態様では、本開示は、骨間隙又は骨移植部位で骨サプリメントを安定化する方法を提供する。この方法は、骨サプリメントとアガロイドマトリックスを含む組成物とを接触させて、アガロイドマトリックス-骨サプリメント混合物を形成することと、骨空隙又は骨移植部位をアガロイドマトリックス-骨サプリメント混合物と接触させることとを含む。本明細書で使用される用語「骨サプリメント」とは、骨の成長、再成長、又は移植を促進、強化、増進、又は開始する材料を意味する。骨サプリメントは、当技術分野で公知であり、固体(例えば、粉末)又は液体、又はそれらの組み合わせであってもよい。骨サプリメントに関して本明細書で使用される用語「安定化」とは、ターゲット部位における骨サプリメントの保持を増加させることを意味する。骨サプリメントの保持は、粒子状の骨サプリメントをより粘着性のある塊に結合することにより、接着性を改善することにより、骨サプリメントの制御送達のためのマトリックスを提供することにより、又はそれらの任意の組み合わせにより強化され得る。
【0054】
例えば、骨サプリメント材料が固体、破砕骨、又はヒドロキシアパタイトである場合、骨補足材料は、アガロイドマトリックスを形成する際にアガロイドマトリックス組成物に組み込まれてもよい。即ち、それらは、沈殿ステップの前又は間にグリコールに溶解したアガロイドの溶液に導入され、それにより、形成される際にアガロイドマトリックス内に含まれ得る。これにより、骨サプリメントの製造、包装、及び配送の便利な方法が実現する。
【0055】
内部に固形骨サプリメントが取り込まれたアガロイドマトリックス組成物をさらに乾燥させると、それらは、水又は体液にさらされたときにある程度膨張する。この膨張は、骨の空洞又は空隙を完全に満たすことが望ましい場合、又はターゲット部位へのアクセスが制限される場合に有益であることが判明する可能である。膨張を引き起こす水は、体液によって提供するか、外部源から提供するか、又はそれらの組み合わせから提供することができる。乾燥前にアガロイドマトリックス-骨サプリメントを化学的に架橋することにより、水にさらされるとアガロイド構造の膨張がさらに強化されることがある。
【0056】
骨サプリメントが液体又は懸濁液である場合、スポンジをロードするのと同じように、それらはアガロイドマトリックスにロードされ得る。液体又は懸濁液の骨サプリメントの場合、ロードされるアガロイドマトリックスは固体の骨サプリメントを更に含有してもよい。骨サプリメントは、アガロイドマトリックス内に骨サプリメントと共にゲル化材料を含み、ゲル化材料内に骨サプリメントを捕捉することにより、アガロイドマトリックス内にさらに拘束され得る。
【0057】
特定の実施形態では、本明細書に記載のアガロイド構造組成物は、出血している骨と接触して使用されてもよい。この状態は、外傷、あるいは出血状態に達する骨の穿孔、のこぎり、研削、又は削り取りを伴う外科手技いずれかから生じる。手術では、骨は外傷又は外科的に切断され、毛細血管、バーズ管(骨におけるマイクロチャネル)、骨膜(骨の周りにある保護組織)、筋肉、及び手術部位の他の構造物が露出する。骨サプリメント材料と組み合わせたアガロイドマトリックス組成物は、骨誘導性マトリックスとして機能してもよく、患者の組織及び細胞に信号を送って、新しい骨の成長(骨誘導)を開始させてもよい。
【0058】
アガロイドマトリックス組成物は、骨サプリメントの安定性を高めることができる1つ以上の追加の活性及び非活性材料を含んでもよい。これらの材料は、患者への不快感を軽減し、放射線不透過性を高め、画像コントラストを改善し、ターゲット部位に薬剤や治療剤を導入し、及び/又は組成物の取り扱いを改善するためにアガロイドマトリックスに含まれてもよい。したがって、特定の実施形態では、骨間隙又は骨移植部位で骨サプリメントを安定化するのに使用される組成物は、造影剤、鎮痛剤、及び麻酔剤からなる群から選択される薬剤をさらに含む。
【0059】
皮膚充填及び組織バルク化
本明細書に記載の変換されたアガロイド組成物は、組織を充填又はバルク化するための用途にも使用されてもよい。このような適用は、化粧品的又は治療的であってもよい。本開示の変換されたアガロイド組成物は、薬物送達用途にも有用である。変換されたアガロイド組成物の幾つかの多孔性でスポンジ状の特性により、それらを対応の形態で対象に適用(例えば、対象に注射)することが可能になる。本明細書で使用される用語「組織充填」及び「組織バルク化」及び「軟組織を充填又はバルク化する」は、美的皮膚の平滑化及びバルク化、瘢痕の充填、皮膚及び組織の間隙の充填、あるいは組織又は身体の間隙の塊の形成を含む。用語「皮膚充填」はまた、これらのプロセスのいずれかを説明するためにも使用されてもよい。
【0060】
皮膚充填又は組織バルク化のための変換されたアガロイド組成物は、皮内又は皮下を含む多くの方法でターゲット部位に導入することができ、あるいは組成物は移植又は局所適用することができる。特定の実施形態では、本開示は、対象の軟組織を充填又はバルク化する方法を提供し、この方法は、変換されたアガロイドを含む組成物を軟組織に投与することを含む。特定の実施形態では、本開示は、対象の軟組織を充填又はバルク化する方法を提供し、この方法は、アガロイドマイクロビーズを含む組成物を軟組織に投与することを含む。グリコール溶液の冷却速度と撹拌の種類と量に注意すると、得られるアガロイドマイクロビーズのサイズと形状をある程度制御することができる。強く撹拌しながらゆっくりと冷却すると、1~5ミクロンのサイズ範囲の回転楕円体状粒子を生成することができる。強く撹拌しながら急速に冷却すると、同様のサイズ範囲で粗い高表面積粒子を生成することができる。強い撹拌によって、より小さな粒子が生成される。一方、より低い撹拌によって、より大きな粒子が生成される。アガロイドマイクロビーズは、小口径の針を通して容易に送達されるのに十分なほど小さくすることができる。
【0061】
特定の実施形態では、本開示は、対象の軟組織を充填又はバルク化する方法を提供し、この方法は、ヒドロゲルに懸濁したアガロイドマイクロビーズを含む組成物を軟組織に投与することを含む。特定の実施形態では、本開示は、対象の軟組織を充填又はバルク化する方法を提供し、この方法は、糸の形態の変換されたアガロイドを含む組成物を軟組織に投与することを含む。
【0062】
乾燥したアガロイドマトリックス組成物の膨張特性は、組織又は身体の間隙に比較的大きな塊を導入することが望ましい場合に特に有益であることが判明する可能である。アガロイドマトリックスは、乾燥状態又は部分乾燥状態で導入することができ、体液中の水又は外部ソースから供給される水にさらされると膨張する。アガロイドマトリックスが適用中にサイズが小さくなるという事実は、適用の外傷を緩和することができる。例えば、アガロイドマトリックスは小さな開口から挿入され得る。アガロイドマトリックス組成物は、単一の形成されたピース又はより小さな粒子又はビーズであることができる。アガロイドマトリックスを化学的に架橋すると、乾燥したアガロイドマトリックスの膨張特性が向上することがある。
【0063】
幾つかの実施形態では、アガロイド構造は、造影剤、放射線不透剤、色素沈着剤、抗色素沈着剤、保湿剤、テンション剤、抗アクネ剤、抗酸化剤、かゆみ止め剤、抗セルライト剤、抗瘢痕剤、抗炎症剤、鎮痛剤、及び麻酔剤からなる群から選択された薬剤を更に含む。これらの薬剤は、以前にアガロイドマトリックスに液体と固体を含めるために提示された方法で、アガロイドマトリックスに含めることができる。
【0064】
薬物送達
本明細書に記載のアガロイドマトリックス組成物の多孔性、生体適合性、生分解性、及び自然特性により、これらのアガロイドマトリックス組成物は、哺乳動物の体の上又は体内での活性医薬成分の制御された送達のための方法において有用となる場合がある。アガロイドマトリックスは、それ自体で医薬成分を含有及び保護及び送達するためのスカフォールド(scaffold)として機能することができ、あるいは医薬成分は、アガロイドマトリックスに吸収又はその全体に分布されるゲル又はゲル状材料内にさらに拘束されてもよい。アガロイドマトリックス医薬組成物は、哺乳動物身体における組織部位又は間隙内の医薬成分の短期又は長期送達のためのボーラス(bolus)として作用する可能性がある。特定の実施形態では、アガロイドマトリックスに存在する活性医薬成分は、ステロイド外用薬、レチノイド、抗微生物剤、凝固剤、鎮痛剤、化学療法剤及び麻酔薬から選択される。
【0065】
塞栓
本明細書に記載のアガロイドマトリックス組成物のスポンジ状、生体適合性、生分解性、及び自然特性、特に体液にさらされる時に膨張する能力により、組成物は止血用インプラントなどを作製するための候補となる。これらの特性により、組成物は導管閉塞の良好な候補となる。導管は、体内のチューブ又は管などの自然に発生する導管であってもよく、あるいは医療機器又は外科的手段により身体に導入された導管であってもよい。
【0066】
特定の実施形態では、アガロイドマトリックス組成物を、単に閉塞部位に挿入するか、又は閉塞部位に適用して、閉塞部位を本質的に充填することができる。アガロイドマトリックスの適合性は、それ自体が不規則な空間に適合するのに役立ち得る。特定の実施形態では、アガロイドマトリックスは、閉塞部位に挿入又は適用される前にスポンジのように圧迫され、挿入又は適用後に、アガロイドマトリックスが膨張して閉塞部位を本質的に充填する。膨張は、体液、外部ソースからの液体、又はその両方の存在によって向上する。アガロイドマトリックスの化学架橋は、アガロイドマトリックスの堅牢性と再膨張を向上させ得る。
【0067】
特定の実施形態では、アガロイドマトリックスは、部分的又は本質的に完全な乾燥によって総体積が減少し、この減少した体積状態で閉塞部位に挿入又は適用され、体液、外部ソースからの液体、又はその両方との接触によって、閉塞部位を本質的に充填するように膨張する。乾燥又は部分的に乾燥したアガロイドマトリックスの膨張は、乾燥前にアガロイドマトリックスが化学的に架橋されている場合に向上する。
【0068】
化学的に架橋されたアガロイドマトリックスの向上した堅牢性により、アガロイドマトリックスは、ほとんどの場合、止血用インプラント又は導管閉塞を所定の位置又は破片又は脱落ピースから移動させないことが望ましいため、止血用インプラント及び導管閉塞に特に有益である。この堅牢性は、止血インプラント又は導管閉塞を除去することが望ましい場合にも有益であることが証明されている。テザーが取り付けられたコンプライアントメッシュタイプのバッグ又はコンテナに入れることでテザー(tether)することができる。または、テザーを単にアガロイドマトリックスに結び付けることもできる。または、アガロイドマトリックスが形成されるときに、テザーの取り付けをアガロイドマトリックスに取り込むことができる。例えば、アガロイドマトリックスがテザーの周囲に形成されてもよく、又はテザーの端を多孔性構造にし、その多孔性構造内及び周囲にアガロイドマトリックスを形成することにより、取り付けをより堅牢にすることができ、それによりテザーとの機械的結合が形成される。一部の実施形態では、アガロイドマトリックスはテザーに化学的に結合することもできる。
【0069】
三次元スカフォールド
本明細書に記載のアガロイドマトリックス組成物は、その多孔性、スポンジ状、生体適合性、生分解性、及び自然特性により、スカフォールド用途に特に適したものになる。例えば、アガロイドマトリックスは、顎顔面、整形外科、口腔、及び/又は形成外科手術において、組織増強、誘導再生、及び/又は組織工学アプローチの材料として使用され得る。
【0070】
組織工学アプローチの開発は、損傷した組織又は失われた組織を修復、再構築、及び再生するための細胞活動のテンプレートとして機能する三次元スカフォールドの使用を中心とすることが多い。三次元スカフォールドとして選択する幾つかの生体材料があるが、組織工学で使用される生体材料は生体適合性、適切な表面化学、相互接続された多孔性、所望の機械的特性、及び生分解性などの特定の材料特徴を持つ必要があることについては一般的に合意されている。三次元スカフォールドとしての天然由来ポリマーの使用は、生体適合性、低コスト、及び加工の容易さという有利な属性により、広く注目を集めている。アガロイドマトリックスは、細胞の成長と遊走及び栄養素の輸送に適したマクロ多孔性構造を提供し得る。アガロイドマトリックスは、必要に応じて、アガロイドマトリックスの形成の沈殿ステップ中に犠牲体、孔形成剤を含め、そして、アガロイドマトリックスが形成された後、これらの体を除去又は溶解又は破壊することにより、通常の間隙又は孔よりも大きく形成され得る。より剛性のあるスカフォールドが望ましい場合、焼結したアガロイド構造が使用されてもよい。これらの構造は、骨や関節の再生など、スカフォールドに耐荷重性が必要な場合に特に有用である。
【0071】
焼結したアガロイド構造は、必要に応じて、焼結したアガロイド構造の形成の焼結ステップ中に犠牲体、孔形成剤を含め、そして、アガロイド構造が形成された後、これらの体を除去又は溶解又は破壊することにより、通常の間隙又は孔より大きく形成することができる。より開放的な構造が望ましい特定の実施形態では、アガロイドマットの特性は、アガロイドマット構造内の繊維のサイズと密度を調整し、マットの形成中に孔形成剤を含めることにより調整することができる。
【0072】
更なる例示的実施形態
幾つかの態様では、相互接続された複数の孔と1つ以上の有益な薬剤を有する本質的に固体のアガロイドからなるアガロイド構造を含む組成物が開示される。幾つかの実施形態では、1つ以上の有益な薬剤は、アガロイド構造の孔に分散される。他の実施形態では、1つ以上の有益な薬剤は、本質的に固体のアガロイドに分散される。幾つかの実施形態では、1つ以上の有益な薬剤は、ヒアルロン酸、コラーゲン、及びヒドロキシアパタイトからなる群から選択されてもよい。幾つかの場合、アガロイド構造は、グリコール溶液からの沈殿によって形成されてもよい。これら及び他の実施形態では、アガロイド構造は、40℃未満で水に不溶性になるように変換される。幾つかの実施形態では、1つ以上の有益な薬剤は、グリコール溶液からのアガロイドの沈殿中にアガロイド構造に取り込まれる。アガロイドは、グリコール溶液からのアガロイドの沈殿中に、1つ以上の孔形成剤と組み合わされてもよい。存在する場合、1つ以上の孔形成剤はグリコールに不溶性であり、水に可溶性であることが可能である。アガロイド構造は、アガロイドマトリックス、焼結したアガロイド、又はアガロイドマットの形態であってもよい。幾つかの実施形態では、化学的に架橋されたアガロイド、誘導体化アガロイド、及び/又は1つ以上のリガンドと結合されたアガロイドが含まれる。幾つかの実施形態では、アガロイド構造は乾燥してもよい。
【0073】
他の態様では、哺乳動物の状態を処置する方法が開示される。該方法は、哺乳動物身体の領域を、相互接続された複数の孔を有する本質的に固体のアガロイドからなるアガロイド構造を含む組成物と接触させることを含む。これら及び他の実施形態では、組成物は1つ以上の有益な薬剤を含む。幾つかの実施形態では、組成物は、抗微生物剤、凝固剤、鎮痛剤、及び麻酔剤からなる群から選択された治療剤を更に含む。組成物は、哺乳動物身体の創傷又は皮膚損傷に適用されてもよい。これら及び他の実施形態では、組成物は、包帯又は湿布内に取り込まれるか又は包帯又は湿布上に堆積される。選択された実施形態では、哺乳動物身体の領域を接触させることは、組成物を骨サプリメントと組み合わせてアガロイド構造-骨サプリメント組成物を形成し、骨間隙又は骨移植部位をアガロイド構造-骨サプリメント組成物と接触させることを含む。幾つかの実施形態では、活性医薬成分は組成物に含まれてもよい。組成物は、哺乳動物身体にインプラントされてもよい。あるいは、幾つかの実施形態では、組成物は、哺乳動物身体の軟組織を充填又はバルク化するのに使用されてもよい。幾つかの実施形態では、組成物の哺乳動物身体へのインプラントにより、薬剤デポ又はボーラスが形成される。選択された実施形態では、哺乳動物身体の領域を組成物と接触させることにより、組織再生のためのスカフォールドが提供される。組織は、軟組織、骨、及び/又は神経組織である。
【0074】
さらに別の態様では、本開示は、変換されたアガロイド組成物を哺乳動物身体内にインプラントすることによって哺乳動物身体における組織を充填又はバルク化する方法を提供する。幾つかの実施形態では、組成物は変換されたアガロイドマイクロビーズ及び/又は変換されたアガロイド粒子を含む。選択した実施形態では、組成物はキャリア組成物を更に含んでもよい。幾つかの実施形態では、キャリア組成物は液体又はゲルであってもよい。
図1
図2
図3