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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116705
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】灰色水の測定
(51)【国際特許分類】
   B28C 5/42 20060101AFI20230815BHJP
   G01N 33/38 20060101ALI20230815BHJP
   G01N 11/00 20060101ALN20230815BHJP
【FI】
B28C5/42
G01N33/38
G01N11/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023098218
(22)【出願日】2023-06-15
(62)【分割の表示】P 2020530434の分割
【原出願日】2018-08-09
(31)【優先権主張番号】62/544,028
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515150265
【氏名又は名称】ジーシーピー・アプライド・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】トレガー,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,スティーブン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回転するコンクリートミキサードラムミキサートラック中の灰色水含量を測定およびモニターするための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】コンクリートミキサードラムの内部に、ミキサードラムの回転中に、センサーが内部の水に水没している状態および非水没状態の両方に別々に到達し、そして各状態を示す信号を生成するように、ミキサードラムの内部容積内の場所に取り付けられた少なくとも1つのセンサーを備える。前記センサーを使用して、強度およびレオロジーという意味でバッチ処理される投入物の期待される性能を維持するために、バッチ処理が行われる前に灰色水含量を測定することによりバッチ水(およびセメント含量および混和剤の種類および含量)を改変することができ、幾らかの、または全ての灰色水がバッチ処理前にコンクリートミキサードラムから排出できる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新しいコンクリート投入物のミキサードラムへの正確なバッチングを提供するために、前記ミキサードラムから排出された事前のコンクリート投入物から前記ミキサードラム中に残る灰色水含量を決定する方法であって:
(A)内部容積および回転軸を有するコンクリートドラムミキサーを備え;
(B)前記ミキサードラムの回転中に、センサーが前記内部の水に水没している状態および非水没状態の両方に別々に到達し、そして前記各状態を示す信号を生成するように、前記ミキサードラムの前記内部容積内の場所に取り付けられた少なくとも1つのセンサーを備え;
(C)センサーが前記内部の水に水没している状態および非水没状態の両方に別々に到達するように、コンクリートミキサードラムを回転し;
(D)コンクリートミキサードラムの回転軸と水平との間の角度を決定し;
(E)工程(C)の回転に基づき、センサーが到達する水没画分または逆画分を決定し;(F)水没画分または逆画分を、前記ミキサードラムに実質的に幾何学的に類似する容器内の対応する水の体積に相関させるデータを提供し;
(G)工程(E)で決定した水没画分を、工程(F)の前記データおよび工程(D)で決定したコンクリートミキサードラムの回転軸と水平との間の角度と比較することにより前記ミキサードラム中の灰色水含量を決定し、そして
(H)検出された灰色水含量が事前に決定した限界より大きければ警報を作成する、工程(G)で決定した灰色水含量に基づき前記新しいコンクリート投入物中の水の割合を改変する、工程(G)で決定した灰色水含量に基づき前記ミキサードラムから灰色水の少なくとも一部を排出する、またはそれらを組み合わせるいずれかを行う、
ことを含んでなる前記方法。
【請求項2】
前記のコンクリートミキサードラムが、トラックに取り付けられている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサーが、電気抵抗センサー、静電容量センサー、音響センサー、マイクロ波センサー、核共鳴センサーまたは光センサーである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ミキサードラムが前記ミキサードラムを回転させるための長さおよびモーターを有し、そして前記少なくとも1つのセンサーがミキサードラムの長さに沿って底から1/3で、前記モーターの最も近くに位置する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサーが、ミキサードラムの内面から8インチ未満に位置する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサーが、ミキサードラムの内面から2インチ未満に位置する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサーが、ミキサードラムの内面から1/2インチ未満に位置する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサーが、毎分2回転以下のドラム回転速度に関して、毎秒少なくとも5回の測定を行う請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサーが、毎分6回転以下だが、毎分2回転より高いドラム回転速度に関して、毎秒少なくとも15回の測定を行う請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサーが、毎分6回転より高いドラム回転速度に関して、毎秒少なくとも50回の測定を行う請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(D)で定めた角度が、ドラムに取り付けられた加速度計により提供される
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
工程(E)で決定する水没画分または逆画分が、センサー出力の変動性に基づく請求項1に記載の方法。
【請求項13】
工程(E)で決定する水没画分または逆画分が、ドラムの回転を完了するための全時間に対して比較される、センサーが灰色水を検出する時間に基づく請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記回転を完了するための全時間が、ミキサードラムの回転速度に基づく請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(E)で決定する水没画分が、ドラムの回転を完了するために移動する全距離に対して比較される前記少なくとも1つのセンサーが灰色水を検出しながら移動する距離に基づく請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのセンサーの位置が、ミキサードラムに取り付けられた加速度計により決定される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程(F)で作成されるデータが、三次元でのミキサードラムの形状および前記少なくとも1つのセンサーの場所を表すデータの収集に基づく請求項1に記載の方法。
【請求項18】
工程(F)で作成されるデータが、前記実質的に幾何学的に類似の容器中の水の少なくとも2つの測定される体積に対応するセンサー出力に基づく請求項1に記載の方法。
【請求項19】
灰色水含量が、ミキサードラムの少なくとも3回の連続的回転に基づき決定される請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ミキサードラムが内面を有し、前記方法がさらに前記ミキサードラムの前記内面に付いている水の量を決定し、そして工程(G)で決定した灰色水含量の量を前記決定に基づき改変することを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項21】
さらに前記ミキサードラム内で形成された硬化コンクリートの量を決定し、そして工程(G)で決定する灰色水含量の量を前記決定に基づき改変することを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記新しいコンクリート投入物が水およびセメントを含んでなり、そして前記新しいコンクリート投入物中の水の前記割合が、水分量、セメント量または両方を調整することにより改変される請求項1に記載の方法。
【請求項23】
内部容積および回転軸を有する容器に残る灰色水の体積を、第1のセメント投入物が前記容器から排出された後に決定する方法であって:
前記容器を少なくとも1回、完全に回転し、そして水平に対する前記容器の回転軸の角度を決定し;
前記1回の完全な回転中の第1部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没するように、および前記1回の完全な回転中の第2部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没しないよ
うに配置された前記内部容積中に少なくとも1つのセンサーを備え、前記少なくとも1つのセンサーは水没した時に第1信号を生成し、そして水没しない時に第2信号を生成し;
前記1回の完全な回転に対する前記第1部分または前記第2部分のいずれかの比率を決定し;
前記容器中の灰色水の体積を示す予め決定した比率に対して前記比率を比較し;そして
前記比較に基づき前記容器に投入されることになる第2セメント投入物中の水の割合を改変する、
ことを含んでなる前記方法。
【請求項24】
内部容積および回転軸を有する容器から、第1のセメント投入物が排出された後に前記容器に残る灰色水の体積を決定する方法であって:
前記容器を少なくとも1回、完全に回転し、そして水平に対する前記容器の回転軸の角度を決定し;
前記1回の完全な回転中の第1部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没するように、および前記1回の完全な回転中の第2部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没しないように配置された前記内部容積中に少なくとも1つのセンサーを備え、前記少なくとも1つのセンサーは水没した時に第1信号を生成し、そして水没しない時に第2信号を生成し;
前記1回の完全な回転に対する前記第1部分または前記第2部分のいずれかの比率を決定し;
前記容器中の灰色水の体積を示す予め決定した比率に対して前記比率を比較し;そして
前記容器から前記灰色水の少なくとも一部を排出する、
ことを含んでなる前記方法。
【請求項25】
内部容積および回転軸を有する容器から、第1のセメント投入物が排出された後に前記容器に残る灰色水の体積を決定するシステムであって:
水平に対する前記容器の回転軸の角度を決定できるように、前記容器を少なくとも1回、完全に回転するためのモーター;
前記1回の完全な回転中の第1部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没するように、および前記1回の完全な回転中の第2部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没しないように配置された前記容器の内部容積中の少なくとも1つのセンサー、前記少なくとも1つのセンサーは水没した時に第1信号を生成し、そして水没しない時に第2信号を生成し;
センサーが水没する完全回転の部分である水没画分、またはセンサーが水没しない完全回転の部分を決定するための位置決定装置または時間決定装置;
前記少なくとも1つのセンサーと通信して前記第1および前記第2信号を受信し、そして前記位置決定装置または前記時間決定装置と通信し、そして前記1回の完全な回転に対する前記第1部分または前記第2部分の比を計算し、そして前記の比に基づき前記容器中の灰色水の体積を決定するように構成されたプロセッサ、
を含んでなる前記システム。
【請求項26】
さらに前記プロセッサと通信するメモリーを含んでなり、前記メモリーが水の各体積に対する水没画分の比を相関させるカリブレーションカーブを含み、前記プロセッサは前記カリブレーションカーブを使用して前記比に基づき前記容器中の灰色水の前記体積を決定する請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
さらに前記プロセッサと通信するメモリーを含んでなり、前記メモリーが前記容器の幾何学的表示を含み、前記プロセッサは前記幾何学的表示を使用して灰色水の前記体積を決定する請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記容器がコンクリートミキサードラムである請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
内部容積および回転軸を有する容器から、第1のセメント投入物が排出された後に前記容器に残る灰色水含量を決定するシステムであって:
内部容積を有する回転可能なコンクリートミキサードラム;
前記回転可能なコンクリートミキサードラム内の前記内部容積内で、前記回転可能なコンクリートミキサードラムの回転中に、少なくとも1つのセンサーが前記内部容積内の水に水没する状態、および非水没状態の両方に別々に到達し、そしてそのような各状態を示す信号を生成するように配置された少なくとも1つのセンサー;
センサーが水没する完全回転の部分である水没画分、またはセンサーが水没しない完全回転の部分を決定する位置決定装置または時間決定装置;および
指令を含むメモリーを有するプロセッサ、指令は前記プロセッサにより実行された場合にシステムが:前記センサーが前記水没状態の間に、前記回転可能なコンクリートミキサードラムの回転の水没画分を決定するか、または前記センサーが前記非水没状態の間に、前記回転可能なコンクリートミキサードラムの回転の逆水没画分を決定し;水没画分または逆水没画分を、前記コンクリートミキサードラムに実質的に幾何学的に類似する容器中の対応する水の体積に相関させ;そして前記相関に基づき前記コンクリートミキサードラム中の灰色水の体積を決定できるようにする、
を含んでなる前記システム。
【請求項30】
前記メモリーが、前記プロセッサにより実行された場合に、前記回転可能なコンクリートミキサードラムの回転軸と水平との間の角度を使用して、前記相関に基づき前記コンクリートミキサードラム中の灰色水の体積を決定する指令をさらに含む請求項30に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されるのは、回転するミキサードラム中の灰色水(grey wate
r)の測定に関し、そしてより詳細にはコンクリートミキサードラムのミキサートラック中に残る灰色水を自動的に明らかにし、そしてバッチ処理を調整して続くコンクリートのバッチ処理投入物(batched load)への正しい水分量を提供する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
水分量、より具体的には水―対―セメント質比(w/cm)はコンクリートおよび他のセメント質材料の強度増進に重要な因子である(非特許文献1:“Generalization of the Abrahms’Law-Prediction of strength development of concrete from cement properties,”を参照にされたい)。一般に、強度はw/cmの立方根に従い減少する。水源には、粗骨材、細骨材、セメントおよび他のセメント質材料(例えばフライアッシュ、スラグ)および化学混和剤と一緒にバッチ処理中に意図的に加えるバッチ処理するための水を含む。また水は骨材の孔および表面にも含まれ、そして総水分量にも有意に貢献することになる。さらに水はコンクリートミキサートラックのドライバーにより「スランプラック(slump rack)」で加えることができ、スランプラックはミキサートラックが洗浄されるコンクリート生産プラントの領域であり、そしてスランプはコンクリートミキサートラックのドライバーにより調整されることができる。同様に、作業現場では請負業者がドライバーに水の追加を指示することができる。現在、スランプを水または混和剤で調整するだけでなく、製造中および運搬サイクル中にも加えたすべての水を記録する自動化スランプモニタリングおよび管理システムが存在する(例えば特許文献1を参照にされたい)。これらのシステムは製造工程での人的要因を最少とし、そしてまた全ての水源についても正しく記録することを意図している。しかし現実的な方法では未だに定量できない別の水源はミキサートラックのドライバーに由来するものであり、彼らは灰色水、すなわちコンクリートミキサードラムから事前のコンクリート投入物をすすいだ後に残る水(水は未だにセメントペーストを含むので灰色である)を放置してドラム中に残り、自動化スランプモニタリングおよび管理システムを逃れることになる。この余分な水はより高いスランプ(および請負業者によっては好ましいより容易な置き去り)を提供するが、正しい水分量を含まなければ強度は低くなる。
【0003】
水または湿度メーターは、水の存在または所定材料の実際の水分量のいずれかを決定することができる測定装置である。第1の種類に関してはメーターがあり、例えばこれは湯沸かし器のような家庭器具の周りで水漏れが検出された場合に、家主に警報を送ることができる(例えば特許文献2を参照にされたい)。第2の種類には例えば骨材湿度(aggregate moisture)メーターが存在し、これは骨材サンプルの水分量を測定することができる。いずれの種類の水メーターも、幾つかの異なる種類の技術、例えば(限定するわけではないが)電気抵抗を測定すること(例えば特許文献3を参照にされたい)、マイクロ波を測定すること(例えば特許文献4を参照にされたい)、核共鳴を測定すること(例えば特許文献5を参照にされたい)および赤外線波を測定すること(例えば特許文献6を参照にされたい)を採用することができる。
【0004】
Berman(センソクリート社/ジーシーピーアプライドテクノロジーズ:Sensocrete Inc./GCP Applied Technologies)の特許文献7および特許文献8では、コンクリートミキサードラムの内部へ伸びるセンサーに湿度メーターを装備することができると教示する(カラム3、35行を参照にされたい)。
このメーターはドラムに含まれるコンクリートの水分量を決定するために使用されるが、バッチ処理前にドラムに残る水を決定することには言及していない。水分含量メーターとして、これはカリブレーションカーブに基づきコンクリートの水分量を測定する。次にこれは水―対―セメント比に関連付けることができる。改良無しに使用する場合、湿度メーターはドラムに残る水の量を決定せず、単純に水の湿度を測定し、これはほぼ100%と読める。また特許文献7および8は両方がトラックの角度およびデータ収集の影響には言及していない;両方が正確でしかも意味のある灰色水測定を達成することを必要としている。
【0005】
したがって本明細書に開示する態様の目的は、ミキサードラム中の灰色水の量を測定する方法およびシステムを提供し、そして続くバッチ処理を調整して、バッチ処理したコンクリート投入物に適切な水分量を提供することである。
【0006】
別の目的は、灰色水がミキサードラム中に存在するかどうかを測定して、存在する場合には、次のバッチがドラムに投入される前に灰色水を除去することができるように、操作者に警告する方法を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第8,118,473号明細書
【特許文献2】米国特許第8,922,379号明細書
【特許文献3】米国特許第4,780,665号明細書
【特許文献4】米国特許第4,104,584号明細書
【特許文献5】米国特許第2,999,381号明細書
【特許文献6】米国特許第8,727,608号明細書
【特許文献7】米国特許第8,858,061号明細書
【特許文献8】米国特許第9,625,891号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Popovics,S.,in ACI Materials Journal,v.78,pp123-129,1981
【発明の概要】
【0009】
従来技術の取り組みの欠点を乗り越えるために、本明細書に開示する態様はコンクリートミキサートラックに含まれる灰色水含量を測定および/または管理するための新規方法を提供する。次のバッチ処理が起こる前に、1もしくは複数の事前のバッチから持ち越されたミキサードラム中に残る灰色水含量を測定することにより、その次のバッチ処理用のバッチ水(および/またはセメント含量、および/または混和物の種類および含量)を、強度およびレオロジーという両方の意味でバッチ処理される投入物に期待される性能を維持するために改変することができ、すなわち簡単に言えば次のバッチ処理が起こる前にミキサードラム中に存在すると決定された灰色水をコンクリートミキサードラムから排出できる。違った言い方をすれば、次のコンクリートバッチの様々な成分の1もしくは複数の含量は、例えばより少ない水を加えることにより、またはより多いセメントを加えることによりミキシングドラムに存在すると決定された灰色水量に基づき改変することができる。
【0010】
現在、所定のコンクリート投入物の水分量は、請負業者のために記録されることができ、そしてバッチ処理中に加えられる水(骨材内に含まれる水を含む)を含み、そして場合により運搬中または排出場所で加えられる水を含む。一般にスランプラックで加えられる水は記録されない。しかし米国特許第9,466,203号明細書では記録されていない
水が加えられた場合の決定法を示すが、コンクリート投入物の排出後にドラムに放置された水は現在でも説明されないままである。
【0011】
Berman(センソクリート社/ジーシーピーアプライドテクノロジーズ)の特許文献7および8では、コンクリートミキサードラムの内部に付けられたプローブは、湿度メーターを含むことができ(カラム3、35行を参照にされたい)、さらにコンクリートの水分量を測定するための手段として電気抵抗を使用すると教示する。すなわち湿度メーターはコンクリートミキサードラムがコンクリートを含む場合に使用されることを教示している:バッチ処理前のドラムに残る水がある場合の状況には言及していない。
【0012】
またBerman(センソクリート社/ジーシーピーアプライドテクノロジーズ)の特許文献7では、コンクリートミキサードラムの内部に付けられたプローブが、プローブがコンクリート内に埋没または非埋没するようになる時にプローブにかかる力の変化に基づき、プローブがコンクリート内に埋没する時間を測定することによりコンクリートの体積を予測できると教示する。またBeaupreの米国特許第9,199,391号明細書も、プローブがコンクリート内に入り、そしてプローブがコンクリートから出る間のドラムの位置に基づき、コンクリート体積を決定するための力プローブ(カラム5、53行を参照にされたい)を使用するための方法を教示する。しかし同じ装置が水の存在を決定するために十分な感度でありそうもなく(特に少容量、例えば5ガロンでは)、それというのも水の粘度はコンクリートよりも桁違いに低く、そしていずれの力プローブ上の力にも実質的な変化を与えないからである。例えばコンクリートの粘度は一般に10から100Pa・sの間の範囲であるが、水の粘度は約0.001Ps・sであり、これは4~5桁の規模で低い。
【0013】
特定の態様に従い、コンクリートミキサードラムの内側に位置する水メーターのような1もしくは複数のセンサーを使用して、コンクリートミキサートラック中の灰色水の量を自動的に検出し、そして測定するための方法およびシステムが提供される。幾つかの態様では、コンクリートミキサードラムの内部に付けられた1もしくは複数のセンサーが使用される。水メーターのようなセンサー(1もしくは複数)は、(限定するわけではないが)電気抵抗を測定すること(例えば例えば特許文献3を参照にされたい)、静電容量を測定すること(例えば米国特許第4,438,480号明細書を参照にされたい)、マイクロ波を測定すること(例えば特許文献4を参照にされたい)、核共鳴を測定すること(例えば特許文献5を参照にされたい)、赤外線波を測定すること(特許文献6をされたい)、音波を測定すること(例えば米国特許第7,033,321号明細書を参照にされたい)、光散乱を測定すること(例えば米国特許第4,263,511号明細書を参照にされたい)、または特に濁度測定の光散乱を測定すること(例えば米国特許第2,324,304号明細書を参照にされたい)のような1もしくは複数の技術を使用することができる。特定の態様では、コンクリートドラムが回転する時、ドラム内部に固定され得るセンサー(1もしくは複数)は灰色水の中または外で回転することになる(それぞれ入っている(entry)および出ている(exit)事象と呼ぶ)。センサー(1もしくは複数)が灰色水と接触している(水没画分(submersion fraction)と呼ぶ)時間画分または容器回転の画分、あるいはセンサー(1もしくは複数)が灰色水と接触していない(逆画分(inverse fraction)と呼ぶ)時間画分または容器回転の画分のいずれか、または両方を追跡することにより、容器(例えばドラム容積)中の灰色水の体積を決定することができる。例えば幾つかの態様では、水没画分(または逆画分)を灰色水の体積に関連させるlブレーションカーブを使用することができる。このカリブレーションカーブはドラムの形状から誘導することができ、または実証試験に基づき作成することができる。特定の態様では、十分な正確さを達成するために、サンプリング速度とトラックの角度の両方のデータを確認することができる。この情報を使用して、ミキサードラムに投入されることになる次のバッチのために設計された水分量を、所望する
レオロジーおよび強度増進を維持するために、水分量、セメント含量および/または混和剤含量という意味で調整することができる。あるいは灰色水の存在の検出に応答して、ミキサードラムに投入されることになる次のバッチの特性に灰色水が影響を及ぼさないように、灰色水をコンクリートミキサードラムから排出することができ、あるいは全部ではないが灰色水を排出することができ、そして残りはミキサードラムに投入される次のバッチに使用することができる。
【0014】
特定の態様では、ミキサードラムのような容器の水分量を決定する方法およびシステムが提供され、これによりコンクリートのような投入物の正確な投入物材料のバッチ処理を可能にし、または操作者に水の存在を警告することを可能にして、彼に次のバッチを投入する前に容器からその幾らかまたは全てを排出するように促す。幾つかの態様では、この方法には内部および回転軸を有するコンクリートミキサードラムを備え;ミキサードラムの回転中にセンサー(1もしくは複数)が別々にドラム内部の水中に水没状態、および非水没状態の両方に到達し、そして各状態を示す信号を生成するように、ドラムの内壁またはドラムのハッチのようなミキサードラムの内部容積中の場所に取り付けられた1もしくは複数のセンサーを備え;センサー(1もしくは複数)が前記内部の水中に水没状態、および非水没状態の両方に別々に到達するように、コンクリートミキサードラムを回転し;コンクリートミキサードラムの回転軸と水平との間の角度を決定し;センサー(1もしくは複数)が水没状態(または非水没状態)に到達し、そしてミキサードラム中の水の存在(または水の不存在)を検出する回転の画分を決定し;センサー(1もしくは複数)が水の存在を検出したミキサードラムに類似するか同一の形状の容器の完全回転の画分を、容器中の水の体積と関連付けるデータを提供し;決定した水の存在をセンサーが検出する完全回転の画分を、データおよびコンクリートミキサードラムの回転軸と水平との間の角度と比較することにより、ミキサードラム中の水分量を決定し;そして測定された灰色水量が事前に決定した限界より多い警告を作成し、決定された量の水分量を占めるように次のバッチ処理を調整するか、または次のバッチ処理前にドラムから水を排出してミキシングドラム中の水が次のバッチを妨害しないようにすることを含む。
【0015】
幾つかの態様では、新しいコンクリート投入物のミキサードラムへの正確なバッチングを提供するために、すでにミキサードラムから排出された前のコンクリート投入物に由来するミキサードラム中に残る灰色水含量を決定する方法が提供される。この方法は:
(A)内部容積および回転軸を有するコンクリートドラムミキサーを備え;
(B)前記ミキサードラムの回転中に、センサーが前記内部の水に水没している状態および非水没状態の両方に別々に到達し、そして前記各状態を示す信号を生成するように、前記ミキサードラムの前記内部容積内の場所に取り付けられた少なくとも1つのセンサーを備え;
(C)センサーが前記内部の水に水没している状態および非水没状態の両方に別々に到達するように、コンクリートミキサードラムを回転し;
(D)コンクリートミキサードラムの回転軸と水平との間の角度を決定し;
(E)工程(C)の回転に基づき、センサーが到達する水没画分または逆画分を決定し;(F)水没画分または逆画分を、前記ミキサードラムに実質的に幾何学的に類似する容器内の対応する水の体積に相関させるデータを提供し;
(G)工程(E)で決定した水没画分を、工程(F)の前記データおよび工程(D)で決定したコンクリートミキサードラム回転軸と水平との間の角と比較することにより、前記ミキサードラム中の灰色水含量を決定し、そして
(H)検出した灰色水含量が事前に決定した限界より大きければ警報を作成する、工程(G)で決定した灰色水含量に基づき前記新しいコンクリート投入物中の水の割合を改変する、工程(G)で決定した灰色水含量に基づき前記ミキサードラムから灰色水の少なくとも一部を排出する、またはそれらを組み合わせるいずれかを行う、
ことを含んでなる。
【0016】
特定の態様では、前記方法ならびに本明細書に開示する他の方法では、灰色水は好ましくは1.61未満、より好ましくは1.36未満、そして最も好ましくは1.2未満の比重を有する。これは大雑把にそれぞれ2.5、5および10の水―対―セメント質比に対応する。すなわち灰色水は好ましくは2.5より高い、より好ましくは5より高い、そして最も好ましくは10より高い水―対―セメント質比を有するとも言える。これらの基準に合う灰色水は0.001-1.00Pa-s;そしてより好ましくは0.001-0.100Pa.sの範囲の粘度を有することになる。幾つかの態様では、前述の方法ならびに本明細書に開示する他の方法では、センサー(1もしくは複数)が、光散乱センサー、音響センサー、赤外線センサー、マイクロ波センサー、またはそれらの混合から選択される。例えば1より多くのセンサーを使用する場合、センサーは電気抵抗センサー、静電容量センサー、音響センサー、マイクロ波センサー、核共鳴センサー、または光センサーの任意の組み合わせであることができる。特定の態様では、前述の方法ならびに本明細書に開示する他の方法では、ドラム上に3軸加速度計が備えられてドラム中の灰色水の計算にドラムの角度の傾きを考慮する。
【0017】
特定の態様では、水没画分(または逆水没画分)は、加速度計のような位置決定装置を使用して決定することができ、そしてセンサーが水没(または水没しない)ドラム回転の画分を計算する。特定の態様では、水没画分(または逆画分)は、時計のような時間決定装置を使用して、完全なドラム回転のための時間量に対して、センサーが水没(または水没していない)時間量を決定することにより決定することができる。例えば第1時間のスタンプ(stamp)は、センサーが灰色水に入った時に記録することができ、そして第2時間のスタンプはセンサーが灰色水から出た時に記録することができる。これら2つの時間スタンプの間の差異を、全ドラム回転の時間と関係させることにより、水没画分を算出することができる。時計または他のタイミング機構、例えばセンサーおよび/またはプロセッサと通信する時計を使用して、このような様々な時間を決定することができる。
【0018】
特定の態様では、内部容積および回転軸を有する容器中に、第1のセメント投入物が容器から排出された後に残る灰色水の体積を決定するシステムが開示され、このシステムは:
水平に対する容器の回転軸の角度を決定できるように、容器を少なくとも1回、完全に回転するためのモーター;
1回の完全な回転中の第1部分の間に、容器内の灰色水中に水没するように、および1回の完全な回転中の第2部分の間に、容器内の灰色水中に水没しないように配置された容器の内部容積中の少なくとも1つのセンサー、この少なくとも1つのセンサーは水没した時に第1信号を生成し、そして水没しない時に第2信号を生成し;
センサーが水没する完全回転の部分(またはセンサーが水没しない完全回転の部分)である水没画分(または逆画分)を決定するための加速度計のような位置決定装置;または水没画分または逆画分を決定するための時計のような時間決定装置;
少なくとも1つのセンサーと通信して第1および第2信号を受信し、そして位置決定装置または時間決定装置と通信し、そして1回の完全な回転に対する第1部分または第2部分の比を計算し、そしてその比に基づき容器中の灰色水の体積を決定するように構成されたプロセッサ、
を含んでなる。
【0019】
またシステムは、プロセッサと通信するメモリーを含んでなることができ、ここでメモリーは例えば灰色水が決定される容器に実質的に幾何学的に類似する容器内の水の各体積に対して水没画分の比を相関させるカリブレーションカーブを含み、ここでプロセッサはこの比に基づく容器中の灰色水の体積の決定にカリブレーションカーブを使用する。メモリーは追加で、または別に容器の幾何学的表示を含むことができ、ここでプロセッサはそ
の幾何学的表示を使用して灰色水の体積を決定する。幾つかの態様では、容器がコンクリートミキサードラムである。
【0020】
特定の態様では、開示するのは内部容積および回転軸を有する容器から、第1のセメント投入物が排出された後に容器に残る灰色水含量を決定するシステムであって:このシステムは:
内部容積を有する回転可能なコンクリートミキサードラム;
回転可能なコンクリートミキサードラム内の内部容積内で、回転可能なコンクリートミキサードラムの回転中に、少なくとも1つのセンサーが内部容容積内の水に水没した状態、および非水没状態の両方に別々に到達し、そしてそのような各状態を示す信号を生成するように配置された少なくとも1つのセンサー;
センサーが水没する完全回転の部分(またはセンサーが水没しない完全回転の部分)である水没画分(または逆画分)を決定するための加速度計のような位置決定装置;または水没画分または逆画分を決定するための時計のような時間決定装置;および
指令を含むメモリーを有するプロセッサ、指令はプロセッサにより実行された場合にシステムが:センサーが水没状態の間に、回転可能なコンクリートミキサードラムの回転の水没画分を決定するか、またはセンサーが非水没状態の間に、回転可能なコンクリートミキサードラムの回転の逆水没画分を決定し;水没画分または逆水没画分を、コンクリートミキサードラムに実質的に幾何学的に類似する容器中の対応する水の体積に相関させ;そしてその相関に基づきコンクリートミキサードラム中の灰色水の体積を決定できるようにする。幾つかの態様では、メモリーはまたプロセッサにより実行された場合に、回転可能なコンクリートミキサードラムの回転軸と水平との間の角度を使用し、相関に基づくコンクリートミキサードラム中の灰色水の体積を決定する指令を含むことができる。
【0021】
本明細書に開示する態様のさらなる利点および特徴を、これから詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書に開示する態様の利点および特徴の真価は、以下に記載する好適な態様の説明が図面と一緒に考察される時により容易に理解され得る。
図1】ハッチおよびモーターを含む例示のコンクリートドラムの形状を示すグラフである。
図2】従来技術に従う同じ混合設計に関して、初期スランプ測定 対 投入回数のグラフである。
図3】従来技術に従いドラム水体積を変動させて生じる水圧差のグラフである。
図4】特定の態様による工程のブロック図である。
図5】5aおよび5bはそれぞれ、ドラム角度がコンクリートミキサードラム内の水の分布にどのように影響を及ぼすかを示すグラフである。
図6】特定の態様に従うセンサーの場所を示すグラフである。
図7】特定の態様に従いドラムハッチに付けられた多数のセンサーの平面図を表すグラフである。
図8】特定の態様に従い回転するドラム上に取り付けられた加速度計の出力を示す時間 対 加速度のグラフである。
図9】特定の態様に従い、センサーが回転するドラム中の灰色水に水没および非水没し始める出力を、加速度計の出力と一緒に示す時間 対 センサーのアナログ信号のグラフである。
図10】特定の態様に従い、システムの特定の構成要素のブロック図である。
図11図11aおよび11bは、それぞれプローブがコンクリートミキサードラム内の水に接している特定態様の例示的工程を示すグラフである。
図12図12aは、完全回転の水没画分 対 流体体積のグラフであり、特定の態様に従うドラムの形状に基づき、コンクリートミキサードラム内で検出される水の体積と、プローブが水に接触している容器の回転画分との間の関係を示す。 図12bは、水没画分 対 流体体積のグラフであり、特定の態様に従うドラムの形状に基づき、コンクリートミキサードラム内で検出される水の体積と、トラックの角度と、プローブが水に接触している容器の回転画分との間の関係を示す。
図13図13は、完全回転の水没画分 対 流体体積のグラフであり、特定の態様に従い1つのドラム角度に関するドラムの形状に基づき、コンクリートミキサードラム内で検出される水の体積と、プローブが水に接触している容器の回転画分との間の関係を示す。
図14図14aは、流体体積 対 データ収集速度のグラフであり、特定の態様に従い2rpmのドラム速度で2ガロンの精度の2つのドラム角度について、流体体積に基づくデータ収集速度の関係を表す。 図14bは、流体体積 対 データ収集速度のグラフであり、特定の態様に従い6rpmのドラム速度で2ガロンの精度の2つのドラム角度について、流体体積に基づくデータ収集速度の関係を表す。 図14cは、流体体積 対 データ収集速度のグラフであり、特定の態様に従い20rpmのドラム速度で2ガロンの精度の2つのドラム角度について、流体体積に基づくデータ収集速度の関係を表す。
図15】特定の態様に従い、検出されるトラックの角度 対 最少体積のグラフである。
図16】実際の水体積 対 予想される水体積のグラフであり、ここで水分量は特定の態様に従い、ドラムの形状に基づきプローブが水と接触している場合を使用して決定される。
図17】実際の水体積 対 予想される水体積のグラフであり、ここで水分量と水メーターの読み取りとの間の経験的関係は、特定の態様に従いコンクリートミキサードラム内に残る水分量を決定するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
例示的態様の詳細な説明
用語「コンクリート」は、セメント(これはしばしば石灰石、フライアッシュ、粉砕高炉スラグのようなポラゾン材料を含む)および骨材(例えば砂、砂利)および場合により1もしくは複数の化学混和剤(コンクリートが可塑的でも硬化した状態であっても、例えばワーカビリティを増すための可塑剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、空気連行剤、空気排除剤、可塑的収縮低減混和剤、防錆材(鉄筋用)、またはコンクリートの特性を改変する他の混和剤)を指す。
【0024】
本明細書で使用する用語「セメント」は、ポルトランドセメントのような水和性セメントを含み、ポルトランドセメントは水硬性ケイ酸カルシウム、アルミネートおよび鉄アルミン酸塩からなるクリンカ、および相互粉砕添加剤(interground additive)として硫酸カルシウム(例えば石膏)の1もしくは複数の形態を粉砕することにより生成される。一般にポルトランドセメントは1もしくは複数の補助的セメント質材料、例えばフライアッシュ、粉砕高炉スラグ、石灰石、天然ポラゾン、またはそれらの混合物と合わせられ、そしてブレンドとして提供される。すなわち「セメント」および「セメントバインダー」は、製造中にポルトランドセメントと相互粉砕された補助的なセメント質材料も含むことができる。用語「セメント質」とは本明細書ではポルトランドセメントを含んでなる材料を指すか、またはそうではなくコンクリートを構成するために使用される細骨材(例えば砂)および粗骨材(例えば砕石砂利、石)を一緒に保持するためのバインダーとして機能する材料を指す。
【0025】
本明細書で使用する「水和性」という用語は、水との化学的相互作用により硬化されるセメントまたはセメント質材料を指す。ポルトランドセメントクリンカは、水和性ケイ酸カルシウムを主に含む部分的に融合した塊である。ケイ酸カルシウムは本質的にケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2またはセメント化学の表示では“C3S”)およびケイ酸
二カルシウム(2CaO・SiO2,“C2S”)の混合物であり、ここで前者が主要な形態であり、アルミン酸三カルシウム(3CaO・Al23,“C3A”)および鉄アルミ
ン酸四石灰(4CaO・Al23・Fe23,“C4AF”)の量はより少ない。例えば
Dodson,Vance H.,Concrete Admixtures(Van Nostrand Reinhold,New York,NY 1990),第1ページを参照にされたい。
【0026】
本明細書で使用する「骨材」という用語は、コンクリート、モルタルおよびアスファルトのような建築材料に使用される砂または石の粒子を意味し、そして指すものであり、そしてこれには一般に0から50mmの間の平均サイズの粒状粒子を含む。骨材は石灰質、珪質または珪質石灰石材料を含んでなることができる。そのような骨材は天然の砂(例えば一般に粒子が滑らかな表面を有するような風化した氷河、沖積または海洋堆積物に由来する)でよく、あるいは機械的破砕機または粉砕装置を使用して作られた「製造された」種類のものでよい。
【0027】
用語「水メーター」および「湿度メーター」は、水の存在、またはさらに所定材料中の実際の水分量のいずれかを決定することができる測定装置を指すものである。最初の種類のものに関しては、例えば給湯器のように器具の周りで漏水が検出された場合に、家主に警告を送ることができる計器がある(例えば米国特許第8,922,379号明細書を参照にされたい)。第2の種類のものには、例えば骨材サンプルの水分量を測定することができる骨材湿度メーターが存在する。どちらの種類の水メーターも例えば(限定するわけではないが)、電気抵抗を測定すること(例えば特許文献3を参照にされたい)、電気誘電率を測定すること(例えば米国特許第4,438,480号明細書を参照にされたい)、マイクロ波を測定すること(例えば特許文献4を参照にされたい)、核共鳴を測定すること(例えば特許文献5を参照にされたい)、赤外線波を測定すること(例えば特許文献6を参照にされたい)、音波を測定すること(例えば米国特許第7,033,321号明細書を参照にされたい)、および光散乱を測定すること(例えば米国特許第4,263,511号明細書を参照にされたい)、特に濁度の光散乱を測定すること(例えば米国特許第2,324,304号明細書を参照にされたい)のような幾つか異なる種類の技術を使用することができる。前述のそれぞれの開示は、引用により本明細書に編入する。いずれの種類もかなり少なくてもセンサーが水または灰色水に接触した時に検出することができる。
【0028】
スランプまたは他の流動的特性を管理するための自動化コンクリートスランプ管理(モニタリング)システムは、例えば米国、マサチューセッツ州、ケンブリッジ、ウィットモア通り、62のヴェリファイ エルエルシー(Verifi LLC)から市販されており、これは特許文献、例えば米国特許第8,020,431;8,118,473;8,311,678;8,491,717;8,727,604;8,746,954;8,764,273;8,818,561,8,989,905,9,466,803,9,550,312号明細書;PCT/US2015/025054(公開番号WO 2015/160610 A1);およびPCT/US2014/065709(公開番号WO
2015073825 A1)に、様々な自動化コンクリートモニタリング法およびシステムを開示している。前述の各文献は引用により本明細書に編入する。
【0029】
あるいはスランプモニタリングシステムは、Berman(センソクリート社/ジーシーピーアプライドテクノロジーズ)の米国特許第8,848,061および特許文献8、Denis Beaupre et al(アイビービー レオロジー社:I.B.B.Rheologie Inc.)の米国特許第9,199,391号明細書、またはBenegasの米国特許公開第2009/0171595号明細書および国際公開第2007/060272号パンフレットに教示されているようにドラム内に取り付けられた力セ
ンサーの使用に基づくことができる。前記の各開示は、引用により本明細書に編入する。
【0030】
用語「バッチ処理(batch process)」とはミキサードラムへのコンクリート材料成分、例えばセメント、細および粗骨材、水、繊維、および化学混和剤の投入工程を指す。一般に成分調合済みのコンクリートプラント(ready-mix concrete plant)では、細および粗骨材は計量ホッパーに運ばれてコンクリートトラックに搭載またはバッチ処理するために必要な材料の量を計る。計量後、細および粗骨材はコンベアベルトにどさりと降ろされ、そしてコンクリートトラックのミキサードラムに投入される。セメントおよびフライアッシュのような微細な粉末は、一般にコンクリートトラック上のサイロから直接ミキサードラムへ供給される。水および化学混和剤が液体分配器を通して送られる。添加順序はプラントに依存して大変大きく変動する可能性がある。一般に粗骨材はコンベアベルトに乗せられ、そして細骨材が上に乗せられる。これがミキサードラムに入れられている間、大部分の水が加えられる。ほとんどの骨材が投入された時、微細粉末が同時に添加され始める。すべての乾燥材料がバッチされた後、一般に残りの水が化学混和剤と一緒に最後に加えられる。この工程中、コンクリートミキサートラックは一般にドラムを10から20rpmの間の高速で回転して、バッチ成分の混合を促進する。
【0031】
用語「灰色水」はコンクリート投入物の輸送および排出後にミキサードラムまたは他の類似容器中に持ち越された材料、そしてより多くはコンクリート投入物を輸送および排出した後のドラムのすすぎ後に持ち越された材料を指す。こうした場合、材料は水、セメントおよび混和剤を主に含んでなるが、少量の骨材、例えば砂および石がドラム内に留まることになる。洗浄工程により灰色水の粘度および比重はコンクリートとはかなり異なる。特にコンクリートは一般に10から100Pa.sの桁の粘度を有するが、灰色水は一般に0.001から1Pa.sの桁の粘度を有する。さらにコンクリートの比重は一般に2.3より上だが、灰色水の比重は一般に1.8未満である。これは1.68より高い水―対―セメント質比に相当し、これはいかなる実際のコンクリートの水―対―セメント質比よりも大変高い。
【0032】
用語「水没画分」は、灰色水の存在を検出するように設計されたセンサーが灰色水内に水没する容器の完全な回転(a full vessel rotation)の画分を指す。用語「逆画分」は、センサーが水没しない容器の完全な回転の画分を指すことになる。
【0033】
「実質的に類似の」ミキサードラムまたは容器、あるいは「実質的に幾何学的に類似する」ミキサードラムまたは容器という句は、同じ灰色水体積 対 水没画分の関係が、少なくとも10ガロン、そしてより好ましくは5ガロンの精度内で別のミキサードラム内の灰色水体積を決定するために使用できるミキサードラムまたは容器を意味するものとする。ミキサードラムは、McNeilus,Beck,Kimble,Contech,Continential,Schwing等を含む異なる数社で製造されている。内容物の混合を補助するためにドラム内にあるハネを含め、ミキサードラムは手で一緒に溶接されることが多い。そのような場合、2つの同一ドラムを見つけることは稀である。しかし同じ製造元のミキサードラムモデル内の差異は、本明細書の目的に関しては一般に無視でき、そして同じ灰色水の体積 対 水没画分の関係をそのようなドラム間で使用することができる。従って一旦1つのドラムに関して灰色水の体積 対 水没画分のデータが得られれば、そのようなデータは、実質的に幾何学的に類似する他のドラム中の灰色水の体積を決定するための参照として使用することができる。しかし異なる製造元の2つのドラムには別のカリブレーションが必要となるか、またはドラムの形状の差異を考慮する因子を含めることが必要になるかもしれない。
【0034】
用語「ドラム長」は、回転軸に沿ったドラム[2]の長さを表す。ドラム[2]の「ヘッド」[4]は、大気に開放されている回転軸に沿ったドラム側(side)を意味する。この開口部はコンクリート成分がバッチ投入(batched through)される場所である。ドラム[2]の「テイル(tail)」[6]は、ヘッド[4]に向かい合った回転軸に沿った側を意味する。図1に示す態様では、回転軸はx-軸として示され、ドラムのヘッド[4]ははるか右であり、そしてドラムのテイル[6]ははるか左でモーター[10]の隣である。ドラム[2]を回転するモーター[10]は、0のx-位に位置する。2重Xを含む長方形はコンクリートのドラムハッチ[8]を表す。ハッチ[8]は、管理目的でドラムに近づけるようにするドラム[2]の取り外し可能な区分である。
【0035】
図2では、同じ配合設計について時間をかけて自動化スランプモニタリングシステムにより測定される目的の初期スランプからの偏差を示す。この特定のプラントでは、スランプラックは取られ、そして骨材の湿度メーターが機能する状態で考察された。示された高い変動性は、すなわちコンクリート投入物が運搬され、そして排出された後に、あるいはコンクリート投入物が運搬され、そして排出された後にドラムがすすがれた後のいずれかで完全に空にされなかったドラムの結果であり、すなわちドラムへの次の投入物またはバッチの投入前にドラム中に灰色水の存在が生じている。残るドラム水によるスランプ中のこのような変動は、生じる強度が高度に変動性であることも意味する。
【0036】
現在の自動化スランプモニタリングシステムを使用して、残る水がスランプを測定するために現在使用されているセンサーの信号に影響を及ぼし得るかどうかを見ることを試みた。図3では、例えば米国特許第8,020,431号および同第8,746,954号明細書に教示されるようにスランプを計算するために使用される水圧が水分量に対してプロットされる。これは3つの異なるドラム速度について行った:5,11および19rpm。最低の速度については、水の体積と水圧との間の関係が単調ではないと分かる。したがって約36psiの水圧で、水の体積は37ガロンまたは90ガロンになる可能性があった;したがってこれは水体積の予測として使用できない。より速い速度で、関係は単調となる。しかし圧には感知できる変化が大変少ない。11rpmのドラム速度については、1.1%の圧の変化(125~126psi)が102%の体積変化をもたらす。同様に19rpmのドラム速度について、2.0%の圧の変化(289~294psi)が102%の体積変化をもたらす。この方法の感度は、したがって極めて限定的である。
【0037】
図4では、例示的態様の工程を提示する。ブロック12では、回転可能な容器に付けられたセンサーが灰色水中、および外を回転する時に監視される。容器は回転してセンサーが少なくとも一回、水没および非水没状態の両方に到達しなければならない(ブロック14)。特定の態様では、回転する容器はコンクリートミキサードラム、例えば成分調合済のコンクリートトラックのようなトラックに付けられたミキサードラムである。あるいは湿式バッチプラントまたはセントラルミックスプラントとして知られているものの一部であることができ、ここでは大きいドラムが成分を混合し、次いで材料を成分調合済トラックまたは単純なダンプトラックに降ろし、作業現場に運ばれることになる。ブロック14では、追加の回転でセンサー信号からの測定の精度および再現性が改善され得る。容器の回転軸と水平との間のドラム角も、この段階中に記録される。例えばこれは回転にわたって平均角度として記録される。あるいは容器とトラックとの間の角度は固定しており、そして既知であるか、または測定可能なので(これは一般に13度である)、水平に対するトラックの角度を記録することができる。容器の回転軸と水平との間の絶対角度を得るためには、容器とトラックとの間の角度を差し引く簡単な計算が必要である。したがって水平に対する角度を測定できる装置を、加速度計のようにミキサードラムに付けるか、またはトラックの枠のいずれかに取り付けることができる。
【0038】
ブロック14では、ミキサードラムの内壁またはハッチ上のようなコンクリートミキサ
ードラムの内部に取り付けられた水検出センサーからの信号の変化が、時間または回転にわたって監視される。特定の態様では、センサーはドラム長に沿った位置に配置されて、所望する灰色水の最少体積(例えば5ガロン)の検出を可能にすることができる。図5aおよび図5bは、異なる2つのドラム角を持つドラムを示す。ハッチは[8]のように設計され、ハネの断面は[32]のように設計され、そして灰色水は[34]と表される。ホイールベースが平らで、そして水平に対して13°のドラム角(これは典型的なドラム角を表す)のトラックについて、これは約50のx-位置で図5aに表れるだろう。幾ら
かのコンクリート生産プラントでは、コンクリートトラックに投入するバッチホッパーの下に傾斜を見出だすことが通常である(一般に4°の傾斜)。この傾斜は、バッチ処理されている材料を受けるためにコンクリートドラムの開口部の角度に役立つ。すなわち後部投入コンクリートトラック(ドラムのヘッド、またはドラムの開口部が後面である)では、図5bでは約23のx-位置に示されるように、センサーの場所はドラムのテイルにより近いだろう(ここでドラムはドラムを回転するモーターに付いている)。いずれの例でも、他の因子もセンサーの場所に貢献する:例えばセンサーの設置の容易さ、ドラムのハネに対する相対的位置、およびコンクリートのビルドアップ(build up)(ドラムのメンテナンスの悪さから生じることが多いコンクリートドラム内の硬化コンクリート)の可能性。最も好ましくは、センサーはドラム長の下1/3(図1のx-軸に沿って)で、テイル(例えば図1[4]ではドラムの下部左側に示される)に最も近くにあるべきである。例示の図1に示すコンクリートドラムの形状について、センサーの好適な場所は、約55未満のx-位置でドラム表面に付けられる。最も好ましくはセンサーの場所は、ハッチ(図1[6]、図4a[8]および図4b[8]に二重Xを含む長方形として表す)の上となり、容易な設置およびメンテナンスを可能にする。ドラム長に沿った場所を別にすると、センサーの高さも重要となる。図6はセンサー[40]の場所の例を示し、ここで高さはドラムの内面から測定され、これは2つの矢印の間の距離である[42]。理想的にはセンサーは最低レベルの水を検出するために、ドラムの内面に近くなるべきである(すなわち内部のドラム面と同一面にある、高さ0)。しかしセンサーがドラムの内部容積に延びることができるように、電子機器用の空間のような機械的限界が存在する可能性がある。結果としてセンサーの高さは、ドラム表面から放射状に測定して8インチ未満、より好ましくは2インチ未満、そして最も好ましくは0.5インチ未満である。コンクリートのビルドアップがセンサーを覆う可能性も想像できる。しかしこの場合、センサーからの出力は変化せず、センサーが清浄化される必要があることを示す。
【0039】
適切なセンサーには、センサーが水没した時とセンサーが水没していない時との間を識別する能力が必要である。換言すればセンサーが灰色水と接触する時、生じた出力はセンサーが灰色水に接触していない時の出力と識別される必要がある。すなわち水との接触を決定するためにバイナリ信号が適切である。例えば水没した時、電気抵抗に基づくセンサーは灰色水が伝導性媒体であるならば抵抗が顕著に下がることを示すことになる。絶対的測定は重要ではなく、むしろ2つの状態の間の差が重要となる。電気誘電率に基づくセンサーは、センサーが灰色水と接触すると誘電率の上昇を示すことになる。そして濁度を測定するために設計されたセンサーは、センサーが灰色水と接触すると濁度に顕著な上昇を測定することになる。したがって適切なセンサーは、電気抵抗(例えば特許文献3を参照にされたい)、電気誘電率(例えば米国特許第4,438,480号明細書を参照にされたい)、マイクロ波(例えば特許文献4を参照にされたい)、核共鳴(例えば特許文献5を参照にされたい)、赤外線波(例えば特許文献6を参照にされたい)、音波(例えば米国特許第7,033,321号明細書を参照にされたい)、光散乱(例えば米国特許第2,324,304号および同第4,263,511号明細書を参照にされたい)を利用することができる。信号から、水没画分または逆画分を幾つかの方法で計算することができる。前述の特許の開示は、引用により本明細書に編入する。測定の精度を上げるために、または1つのセンサーが誤作動した場合の余分(redundancy)を提供するために、多数のセンサーを使用することも想像される。余分なセンサーが故障すれば、システ
ムはこの誤作動を検出し、そして別のセンサーに代わり、そして誤作動に対しても警報することができる。これらのセンサー[46および48]は、例えば図7に示す配置でハッチ[8]上に取り付けることができる。図7に示す例のセンサー[46]および[48]は、同じ種類のセンサーまたは異なる種類のセンサーのいずれでもよい。異なる種類のセンサーを使用する場合、センサーはそれぞれのセンサーが互いの測定に及ぼす影響を最少にするために離して配置することができる。例えばセンサーは異なる物理現象を測定するために影響がなければ、センサーの間隔は近づけてもよい。さらにそのようなセンサーは電池(これは充電可能であり得る)またはソーラーパネル、またはそれら両方の組み合わせによるように、様々な手段で電力を供給されることができる。
【0040】
例えば特定の態様では、センサーから決定された灰色水含量の情報は、ミキサードラムの表面に付けられたデコーダーまたは加速度計のような位置検出装置と対合して、センサーが灰色水と接触している完全回転の画分 対 センサーが灰色水と接触していない完全回転の画分を確認することができる。垂直加速度(重力の効果を説明する)は、ドラムが回転すれば自然に連続的となる。図8では、1回の回転についてミキサードラムの表面に固定された加速度計の垂直方向の加速が、時間に対してプロットされている。この図では回転中に加速度計が、上、下、および最大および最小点に動く場所が明らかに分かる。この図面では、観察者がドラムをのぞき込む時にドラムは時計回りに動いている。0の垂直加速度で(時間=0秒)、加速度計はドラムの最上部で右方向にのみに加速している(そして下方向ではない)。時間=0.05秒で、加速度計はドラムの最も右の点にあり、1gよりも少し高い重力で純粋に下方向に加速している。約0.078秒に等しい時間で、加速度計は再度、上または下方向に移動していないが、純粋に左に向かって移動している。約0.115秒に等しい時間で、加速度計は純粋に上に移動し、(重力とは反対)、そして最終的に約0.15に等しい時間で、加速度計は回転の完了を示す。コンクリートドラムの回転中、加速度計はドラムの位置を監視することになる。ドラム上の加速度計の場所は固定されているので、回転で物理的センサーが移動する距離も固定されている。ドラムの回転中、加速度計は灰色水検出センサーが灰色水へ入り、そして出る両方を発信する時にドラムの位置を報告することができる。1回の完全回転で加速度計が移動する距離を知り、そしてドラム位置の2つの状態を比較することにより、灰色水センサーが灰色水と接触している(または接触していない)完全回転の画分を直接決定することができる。加速度計は灰色水検出センサーと必ずしも同じ場所にある必要はないことに留意されたい。それというのも重要な因子は、センサーが灰色水に入り、そして入る事象と出る事象に対応するドラム状態間の相対的差異を取るものだからである。さらにドラム速度はこの工程中、一定である必要はない。平均値が使用できるように、水没画分または逆画分を多数回の回転にわたり測定することが好ましい。
【0041】
幾つかの態様では、センサーが灰色水と接触している時間 対 センサーが灰色水と接触していない時間を測定することができる。センサーが水没している時間を計算し、そしてそれをドラムの回転の全時間と比較することにより、例えば水没因子を計算することができる(図4、ブロック16に戻る)。図9では、50ガロンの灰色水を含む成分調合済のコンクリートトラック中の水に入り、そして出る時間にわたるセンサーの読み取りを示す。時間0で始まる第1回転について、センサーは水から出始める。約22秒で、センサーは水に入り、センサーの出力の読み取りが変わる(この例では濁度センサー)。センサーは水から約28秒で出て、ドラムの回転が完了する。したがって入る、および出る時間を使用すると、水との接触の割合は(28-22)/(28-0)=21.4%である。この例では、回転の全時間を知らなければならない。これは1回の入る事象(センサーが灰色水に入る時)から次に入る事象(あるいは同様に1回の出る事象(センサーが灰色水から出る時)から次に出る事象)の時間のいずれかを決定することにより決定することができる。あるいはドラムが一定の速度で動くことが分かっており、そして回転速度が分かっていれば、各回転に関する全時間は一定である(そしてドラム速度については1と計算
することができる)。図9では、一旦センサーが水中にあれば読み取りにかなりの変動が存在する。これは流体を通るセンサーにより作られる波によるものである。数回の回転について結果を平均することにより、水のより正確な予測を得ることができる。またセンサーが流体を通る時の伴流を最少にするように設計されたセンサーは、信号の変動を下げることができる。あるいは信号の変動を利点として使用でき、この例の変動性は空気に比べて灰色水で有意に上昇することに注目する。すなわち標準偏差のような変動性の測定を使用することは、所定のセンサーが水没または非水没している時を決定するための表示を提供できると想定される。この態様では、ドラムが一定速度で移動することが最も好ましいことに留意されたい。
【0042】
幾つかの態様では、一旦水没画分(または逆画分)が分かったら、水没画分(または逆画分)と水の体積を関係させるカリブレーションカーブを使用して、ミキサードラム中の水の体積を決定することができる(図4、ブロック18に戻る)。このカリブレーション
カーブは、幾つかの方法で誘導することができる。1つはコンクリートミキサードラムの形状およびドラム内のプローブの場所(ドラムの表面に対するセンサーの高さを含む)を使用して回転の画分に直接基づきドラム内の灰色水の体積を誘導することであり、ここでセンサーはコンクリートミキサードラムの所定の点および水平に対するドラム角度で灰色水と接触している。例えばコンクリートミキサードラムのサイズおよび形を反映する三次元コンピューター支援設計(CAD)モデルを作成することができる。ドラムの外殻に加えて、混合を補助するためにドラム内に存在し得るハネも含むことができる。これは実際のドラム設計(製造元から入手可能)からの設計図を使用することにより、ドラムの物理的測定を行うことにより、またはドラムを計測するためにレーザースキャナーを使用することにより行うことができる。三次元モデル内に、センサーのモデルを特別な場所および高さで挿入することができる。全モデル(ドラムおよびセンサー)は、異なるドラム角(回転軸と水平との間の角度)を表すために傾けることができる。この傾斜に基づき、水準面をモデルに挿入し、灰色水の表面を表す。ドラムのモデル内の特定面の高さに関する灰色水の体積を、CADソフトウェアにより多くは提供される標準体積法を使用して算出することができる。所定の体積の水に関して、モデルをドラムの回転軸で回転させることができる(例えばモデルは1°の回転毎に再描写され得る)。センサーの場所は回転を通して追跡されることができ、そしてドラムの回転位置はセンサーが灰色水面と接した時に確認することができる。この情報を使用して、センサーが灰色水面下に水没する完全回転の画分を決定することができる。これは複数の灰色水の体積について繰り返して、体積 対
完全回転の画分のカリブレーションカーブを、従来の曲線近似法を使用して作成することができる。あるいはルックアップテーブルも作成できる。
【0043】
灰色水の体積を決定するためのカリブレーションカーブを構築するための別の方法は、水没画分(または逆画分)および対応する既知の水体積のデータベースを作成することであり、そしてこのデータベースから経験的関係を作成して、センサーが灰色水と接触している(または接触していない)回転の割合に基づき水体積を予想することができる。例えばコンクリートミキサードラムに一連の既知の異なる体積の水を充填することができる(これはコンクリート生産施設で容易に供給することができる)。水の各体積について、ミキサードラムを好ましくは1回より多く回転させ、この間にセンサー出力を記録することができる。この後、データを分析して既知の各体積に対応する完全回転の画分を決定することができる。この情報を用いて、任意の
従来の曲線近似法を使用してカリブレーションカーブを作成することができる。あるいはルックアップテーブルも作成することができる。
【0044】
センサーの測定を水の体積と相関させるこれらの方法のいずれかに、ドラムの表面積に関する情報を補充することができる。すなわち、最初のバッチ処理後に一旦ドラムが濡れたら、水がドラムの内面に存在する可能性がある。これは調合済トラックの表面積が大き
いので無視することはできないだろう。実際に、単純な濡れ(simple wet)または乾燥状態は、湿潤化(wetting)前および後のトラックまたはドラムの重量測定、あるいは単に金属の単位表面積に付く水量の予測(例えば平方メートルあたり200g)のいずれかを介して測定される湿潤状態に関する水を用いて使用することができる。表面に付くこの水は、表面に留まり、そして排出はされないことに留意されたい。したがってこれは「灰色水」の一部ではなく、そして乾燥ドラムでバッチ処理される最初の投入物に関する因子以上である。これを補うために余分な水が加えられなければならないだろう。これが何故、所定のトラックが最初の投入物の日に低いスランプを有することが多いのかの理由である。例えば、図1のコンクリートミキサードラムの表面積は、約302平方フィートの表面積を有する。内面が平方フィートあたり0.05ポンドの付着水を有すると仮定すると、ドラムの内面は約2ガロンの水を含む。このようにコンクリートの最初のバッチには、ドラムの内面が乾燥していれば追加で2ガロンの水が加えられるべきである。別の考察はドラム内の硬化コンクリートの形成(ビルドアップ)である。これは良くないメンテナンス、高温気象(コンクリートの硬化を早める)、または水和加速剤を含む配合設計により起こることが多い。ドラム内の硬化コンクリートの形成が、特定のドラムについて著しいと決定されれば(例えばドラムの目視点検が著しいビルドアップを明らかにすることができる)、灰色水センサーからの情報は、改変または無視することができる。灰色水センサーが硬化コンクリートにより覆われていれば、たとえドラムに意図的に水またはコンクリートを充填した時でも回転全体を通して出力は劇的に変化しないだろう。この信号はコンクリートの形成が起こり、そして灰色水センサーが清浄化される必要があるということを警告するために使用できる。あるいはビルドアップの測定は、ビルドアップが予め定めた限界を越えたら灰色水測定を切ることができる。実際の灰色水含量が分かれば、測定された灰色水含量が前もって決定した限界、例えば20ガロンの水、またはより好ましくは10ガロン、または最も好ましくは5ガロンの水を越えた場合に警告を送ることができる。警告の代わりに、またはそれに加えて同じ現行のコンクリートミキサードラムのミキサートラックへの次の即座の投入物のためにバッチ処理されることになる水分量を正しく調整することができる(ブロック20)。この後、バッチ処理する人(batch man)、品質管理マネージャーまたは他のコーディネーターは、この変化を知らされることができる。あるいは、またはそれに加えて、現行のコンクリートミキサードラムへの次のコンクリート投入物用のバッチ処理材料は、灰色水含量に基づき調整することができる。例えばバッチ処理される水は測定された量により減少することができる。あるいはセメント量は、例えば水とセメントとの間の意図された配合比を維持するために上げることができる。混和剤を加えて灰色水センサーにより検出された追加の水を補うこともできると想定される。あるいは灰色水はコンクリートミキサードラムから排出されることができる。
【0045】
幾つかの態様では、記憶素子を有する処理装置を備えることができる。処理装置は、マイクロプロセッサのような一般目的の計算装置でよい。あるいはそれはプログラマブルロジックコントローラー(PLC)のような特化した処理装置であることができる。記憶素子は任意の記憶技術、例えばRAM,DRAM,ROM,Flash ROM,EEROM,NVRAM,磁気媒体、またはコンピューター可読性データおよび指令を保持するために適する任意の他の媒体を利用することができる。処理装置は、センサーが水に水没している時を示す信号、およびセンサーが水に水没していない時を示す異なる信号を生成することができるセンサーと電気的に通信することができる(例えば有線、無線で)。また処理装置は、コンクリートミキサードラムのような容器の位置を示す信号を生成することができる加速度計のような位置決定装置と電気的に通信することができる(例えば有線、無線で)。またプロセッサは容器中の決定された灰色水の体積を操作者に表示するか、または別法で示すヒューマンマシーンインターフェースまたはHMIと関連付けられることができる。記憶素子は、処理装置により実行された時にシステムが本明細書に記載する機能を行うことができるようにする指令を含むことができる。幾つかの態様では、カリブレ
ーションカーブが記憶データに保存され得る。例えばこれは表、式または式の組として保存され得る。幾つかの態様では、ミキサードラムの形状は記憶データに保存されることができる。幾つかの態様では、例えばセンサーが水に水没している時を示す信号、およびセンサーが水に水没していない時を示す異なる信号を生成することができるセンサーと通信するプロセッサ、および位置決定装置と通信する別のプロセッサのような1より多くのプロセッサを使用することができる。
【0046】
データが収集される速度も、許容され得る精度を達成するために考慮することができる。本明細書に開示する態様に従い構築されるような流体の体積 対 回転の水没画分の傾斜は、回転の水没画分が上がれば上昇する。換言すると、低い画分では、水没画分の比較的大きい変化について流体体積に比較的小さい変化が起こる。一方、高い画分では、水没画分の比較的小さい変化について体積に大きな変化が経験される(流体体積-水没画分の曲線の傾斜はより急となる)。実際にはセンサーの出力は所定の間隔で記録される。現実的な測定間で、センサーの水没状態に変化が起こったのかどうかは分からない。1つの改善策は、測定をより小さい時間間隔で行うことである。センサーに基づき、これは出力要求を劇的に上げることになる。したがって所定の精度には最低のデータ収集速度を有することが望ましい。ミキサードラム速度を使用して、所定の時間間隔でドラムが回転する角度を算出することができる。例えば2rpmのドラム速度で、ドラムは毎秒12度回転する。データが毎秒収集されるならば、センサーが水の中であるか外であるか分からない12度が存在する。これは全回転の3.33%である。20rpmのドラム速度で、ドラムは毎秒120度回転する。データが毎秒収集されるならば、センサーが灰色水の中であるか外であるか分からない完全回転の1/3が存在する。このように毎分2回転以下のドラムの回転速度について、センサーは好ましくは毎秒少なくとも5回の測定、そしてより好ましくは毎秒10回の測定、そして最も好ましくは毎秒20回の測定を行う。毎分6回転以下であるが、毎分2回転より高いドラムの回転速度について、センサーは毎秒少なくとも15回の測定、そしてより好ましくは毎秒30回の測定、そして最も好ましくは毎秒60回の測定を行う。毎分6回転より高いが、毎分6回転より高いドラムの回転速度について、センサーは毎秒少なくとも50回の測定、そしてより好ましくは毎秒100回の測定、そして最も好ましくは毎秒200回の測定を行う。
【0047】
図10では例示的態様のシステムを示す。ブロック52で、灰色水センサーからの測定はブロック54のプロセッサ/レシーバーへ送られる。このプロセッサ/レシーバーは、次いでブロック56のデータベースからカリブレーションカーブを検索する。測定の読み取りおよびカリブレーションカーブから、灰色水体積を算出する。この値は次いでブロック58に示すディスプレイまたは他の警報メカニズムに送られることができる。あるいはまたはそれに加えて、灰色水体積はバッチ処理システムに送られる。ここで水量、セメント量、混和剤量またはそれらの組み合わせが、現行のコンクリートミキサードラム中での次のバッチのために調整されることができる。
【0048】
態様は限られた数の態様を使用して本明細書に記載するが、これらの具体的態様は他に記載し、そして本明細書で特許請求する本発明の範囲を限定しないものとする。記載した態様からの修飾および変化も存在する。より具体的には以下の実施例を特許請求する発明の態様の具体的説明として与える。本発明は実施例に説明される具体的詳細に限定されないと理解されるべきである。
【実施例0049】
三次元ミキサードラムのモデルは、実際のコンクリートドラムの測定を使用して作成された。モデルのセンサーは、ミキサードラムのハッチの中央に位置するように、ミキサードラムモデルに導入された。全モデル(ドラムおよびセンサー)は、水平から最初に13°傾けられ、これは現場で一般に見られるものを表す。この傾斜に基づき、ドラムに含ま
れる灰色水の表面を表す面が、ミキサードラムの最低の点に対して様々な高さで導入された。様々な高さのそれぞれに、水準面とコンクリートドラムの表面との間の体積を、三次元リーマン和法(Riemann sum method)を使用して算出できた。各表面高で、ミキサードラムを計算的に回転し、表面高に関するセンサーの場所を追跡した。この方法で、センサーが表面の下に水没する時のドラムの位置を決定できた。その結果、センサーが表面下にある完全回転の画分を、各表面高について決定し、これを次いで体積と関連付けた。このように体積と、センサーが灰色水と接触している完全回転の画分との間の関係を作成できた。この工程を異なるドラム角度で繰り返した。図11aおよび11bでは、コンクリートミキサードラム内で既知の体積の水(15ガロンの灰色水)と接触している例示センサーの場所が示される。コンクリートドラムの外形は図11aに示すが、三次元モデルは図11bに示す。この例では、センサーはコンクリートミキサ―ドラムハッチの中央に6インチの高さで付けられている。センサーはドラムのハッチに位置する必要はないが、この場所はメンテナンス目的でセンサーに容易に近づける。またしばしば、少量の体積の灰色水にとって、ハッチは、センサーが水に入って、または出て回転することを確保するために適切な場所である(すなわちセンサーがドラムの開口部付近にあれば、少量の体積の灰色水に入って(そして出て)回転することはないだろう)。コンクリートミキサードラムの回転軸を傾けると、灰色水の外形(profile)は変化するだろう。図12aでは、ドラムの形状をコンクリートミキサードラムの回転軸と水平との間の角度と一緒に使用して、センサーが図12aおよび12bに表す場所に取り付けられた完全回転の画分と、ドラム中の灰色水の体積との間の関係を決定した。結果は一列(a single line)ではなく、図11bに示すトラックの角度の効果による領域がある。この角度が分かれば、体積と完全回転の画分との間の関係は、図13に示すように一列で示される。
【実施例0050】
図14a,14bおよび14cでは、データ収集速度が、図13に見出される流体体積―水没画分の関係を使用することにより算出される。図13では、例えば実際の水没画分が0.15であり、そして測定が1秒間に1回行われるならば、測定される水没画分は0.12から0.18の間のいずれかとなるだろう。図13を使用して、0.12から0.18の間の範囲の水没画分は、24.5ガロンと69ガロンとの間の流体体積と訳される。異なる全流体体積に関して、水没画分の目標(resolution)は、例えば2ガロンの精度を達成するように誘導される。次にこのデータをドラム速度と組み合わせ、水没画分の目標を達成するために必要な読み取り数を算計算する。図14aから分かるように、2ガロンの目標を達成するためには、2rpmのドラム速度について毎秒ほぼ25回の読みが取られる必要がある。図14bで、2ガロンの目標を達成するためには、6rpmのドラム速度について毎秒ほぼ75回の読みが取られる必要がある。図14cから分かるように、20rpmのドラム速度について毎秒の読み取り数はほぼ250回である。ドラム角度はこれらのいかなる例にも大きな効果はない。現実的な観点から、所定の望む精度、例えば2ガロンについてデータ収集速度が1つの値(例えば毎秒250回の読み取り)になるように設定すれば十分である。
【実施例0051】
ミキサードラム内にプローブをつける場所は、トラックの角度と一緒にセンサーにより検出可能な最少体積を決定する。センサーがドラムの内面上に位置する高さも最少体積を記録させる(センサーが高いほど、最少体積は大きくなる)。図15はこの所定のドラム形状について、ミキサードラムハッチの中央に付けられたプローブ、およびドラムの内部から6インチのセンサー高について、検出された最少体積に及ぼすトラック角度の効果を示す。この情報の知見は灰色水の測定に含めることができる:例えばセンサーにより水が検出されなくても、最少体積は、バッチ処理されることになる次のコンクリート投入量を調整する保守的見積もりに使用することができる。しかしコンクリート形成の問題なしに
センサー高をできる限り低くすることがより好ましくなる。
【実施例0052】
濁度センサーからなる水メーター(ISO 7027:1999に基づく)は、ドラムの内面から1インチの高さでコンクリートミキサードラムの内部に付けられた。また水に入っている、および出ている時間も、ドラム速度を知ることにより算出した。図11aに示すドラムの形状、および水平に対するコンクリートミキサードラムの回転軸の13°の傾きに基づき、水の体積は図13に提示したものに類似して水メーターおよび時間画分からの結果に基づき算出できた。使用した実際の数式はV=-8.76-166×F+0.11.1×exp(10.774×F)であり、式中Vは灰色水の体積であり、Fは水没画分の時間であり、そしてexpは指数関数である。水の体積は数回、増やされ、一方、画分は少なくとも3回の回転の平均から算出され、そして図16に示した。1回の回転からの結果ならびに数回の回転の平均からの結果の両方をプロットして、灰色水の体積の予想に改善を表す。見れば分かるように、時間画分法から予想される水の体積は、実際の水の体積と合致する。
【実施例0053】
実施例5では、コンクリーミキサードラムの形状が未知であると予想され、そして実施例4の結果が2つの群に分けられた:実験的カリブレーションを作るための6データ点、およびカリブレーションを試験するための5データ点。二次多項式を使用した回帰分析を使用して、センサーが水中にある時間の画分と実際の水の体積との間のカリブレーションカーブを作成した。この式はV=35.5-620×F+3530×F2となることが分
かり、式中、Vは灰色水の体積であり、そしてFは水没画分の時間である。次いでこの最適適合を残る5点に適用して図17の結果を得、カリブレーションに基づく予想 対 実際の水の体積を示す。ここでも予想は実際の水の体積と合うことができる。この実施例では、多項式関数(2次)を使用したが、実施例4では指数関数を使用したことに留意すべきである。これは適切な関数係数を用いて双方が体積と水没画分との間の関係を作り上げるデータの形に合うことができると説明している。他の関数もデータの形に合う可能性がある。
【0054】
本態様は、他のようにも記載され、そして本明細書に特許請求するように、範囲を限定することを意図せずに限定された数の具体的説明態様を使用して本明細書に記載されている。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図13
図14a
図14b
図14c
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-06-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新しいコンクリート投入物のミキサードラムへの正確なバッチングを提供するために、前記ミキサードラムから排出された事前のコンクリート投入物から前記ミキサードラム中に残る灰色水含量を決定する方法であって:
(A)内部容積および回転軸を有するコンクリートドラムミキサーを備え;
(B)前記ミキサードラムの回転中に、センサーが前記内部の水に水没している状態および非水没状態の両方に別々に到達し、そして前記各状態を示す信号を生成するように、および前記センサーが水没と非水没の両方であり得るように、ドラム中に十分な灰色水が存在するように、前記ミキサードラムの前記内部容積内の場所に取り付けられた少なくとも1つのセンサーを備え;
(C)センサーが前記内部の水に水没している状態および非水没状態の両方に別々に到達するように、コンクリートミキサードラムを回転し;
(D)コンクリートミキサードラムの回転軸と水平との間の角度を決定し;
(E)工程(C)の回転に基づき、センサーが到達する水没画分または逆画分を決定し;(F)水没画分または逆画分を、前記ミキサードラムに実質的に幾何学的に類似する容器内の対応する水の体積に相関させるデータを提供し;
(G)工程(E)で決定した水没画分を、工程(F)の前記データおよび工程(D)で決定したコンクリートミキサードラムの回転軸と水平との間の角度と比較することにより前記ミキサードラム中の灰色水含量を決定し、そして
(H)検出された灰色水含量が事前に決定した限界より大きければ警報を作成すること、工程(G)で決定した灰色水含量に基づき前記新しいコンクリート投入物中の水の割合を改変すること、または工程(G)で決定した灰色水含量に基づき前記ミキサードラムから灰色水の少なくとも一部を排出すること、またはそれらを組み合わせること、
のいずれかを行う、
ことを含んでなる、
前記方法。
【請求項2】
前記ミキサードラムが前記ミキサードラムを回転させるための長さおよびモーターを有し、そして前記少なくとも1つのセンサーがミキサードラムの前記長さに沿って底から1/3で、前記モーターの最も近くに位置し、ドラムの前記長さは前記ドラムの回転軸にわ
たる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサーの高さは、ドラムの内面から測定され、そこから8インチ未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサーが、毎分2回転以下のドラム回転速度に関して、毎秒少なくとも5回の測定を行う請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサーが、毎分6回転以下だが、毎分2回転より高いドラム回転速度に関して、毎秒少なくとも15回の測定を行う請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(D)で定めた角度が、ドラムに取り付けられた加速度計により提供される
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(E)で決定する水没画分または逆画分が、ドラムの回転を完了するための全時間に対して比較される、センサーが灰色水を検出する時間に基づく請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(E)で決定する水没画分が、ドラムの回転を完了するために移動する全距離に対して比較される前記少なくとも1つのセンサーが灰色水を検出しながら移動する距離に基づく請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(F)で作成されるデータが、三次元でのミキサードラムの形状および前記少なくとも1つのセンサーの場所を表すデータの収集に基づく請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ミキサードラムが内面を有し、前記方法がさらに、前記ミキサードラムの内面に付いている水の量を決定することと、そして工程(G)で決定した灰色水含量の量を前記ミキサードラムの内面に付いている水の量の決定に基づきより少ない水を加えることかまたはより多いセメントを加えることにより改変することとを含んでなり、水の量は、表面に付く水量を予測することを通してか、またはドラムの湿潤化の前及び後の計量によりそれを測定することを通して決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
さらに前記ミキサードラム内で形成された硬化コンクリートの量を決定し、そして工程(G)で決定する灰色水含量の量を前記決定に基づき改変することを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記新しいコンクリート投入物が水およびセメントを含んでなり、そして前記新しいコンクリート投入物中の水の前記割合が、水分量、セメント量または両方を調整することにより改変される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
内部容積および回転軸を有する容器に残る灰色水の体積を、第1のセメント投入物が前記容器から排出された後に決定する方法であって:
前記容器を少なくとも1回、完全に回転し、そして水平に対する前記容器の回転軸の角度を決定し;
前記1回の完全な回転中の第1部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没するように、および前記1回の完全な回転中の第2部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没しないように配置された前記内部容積中に少なくとも1つのセンサーを備え、前記少なくとも1つのセンサーは水没した時に第1信号を生成し、そして水没しない時に第2信号を生成し;
前記1回の完全な回転に対する前記第1部分または前記第2部分のいずれかの比率を決定し;
前記容器中の灰色水の体積を示す予め決定した比率に対して前記比率を比較し;そして
前記比較に基づき前記容器に投入されることになる第2セメント投入物中の水の割合を改変する、
ことを含んでなる前記方法。
【請求項14】
内部容積および回転軸を有する容器から、第1のセメント投入物が排出された後に前記容器に残る灰色水の体積を決定する方法であって:
前記容器を少なくとも1回、完全に回転し、そして水平に対する前記容器の回転軸の角度を決定し;
前記1回の完全な回転中の第1部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没するように、および前記1回の完全な回転中の第2部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没しないように配置された前記内部容積中に少なくとも1つのセンサーを備え、前記少なくとも1つのセンサーは水没した時に第1信号を生成し、そして水没しない時に第2信号を生成し;
前記1回の完全な回転に対する前記第1部分または前記第2部分のいずれかの比率を決定し;
前記容器中の灰色水の体積を示す予め決定した比率に対して前記比率を比較し;そして
前記容器から前記灰色水の少なくとも一部を排出する、
ことを含んでなる前記方法。
【請求項15】
内部容積および回転軸を有する容器から、第1のセメント投入物が排出された後に前記容器に残る灰色水の体積を決定するシステムであって:
水平に対する前記容器の回転軸の角度を決定できるように、前記容器を少なくとも1回、完全に回転するためのモーター;
前記1回の完全な回転中の第1部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没するように、および前記1回の完全な回転中の第2部分の間に、前記容器内の灰色水中に水没しないように配置された前記容器の内部容積中の少なくとも1つのセンサー、前記少なくとも1つのセンサーは水没した時に第1信号を生成し、そして水没しない時に第2信号を生成し;
センサーが水没する完全回転の部分またはセンサーが水没しない完全回転の部分である水没部分を決定するための、位置決定装置または時間決定装置;
前記少なくとも1つのセンサーと通信して前記第1および前記第2信号を受信し、そして前記位置決定装置または前記時間決定装置と通信し、そして前記1回の完全な回転に対する前記第1部分または前記第2部分の比を計算し、そして前記の比に基づき前記容器中の灰色水の体積を決定するように構成されたプロセッサ、
を含んでなる、
前記システム。
【外国語明細書】