(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116737
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】改善された性能を有する浸水型鉛蓄電池、改良された電池セパレータ、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/463 20210101AFI20230815BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20230815BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20230815BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20230815BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20230815BHJP
H01M 50/411 20210101ALI20230815BHJP
H01M 10/06 20060101ALI20230815BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230815BHJP
【FI】
H01M50/463 B
H01M50/417
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/446
H01M50/411
H01M10/06 Z
H01M50/403 B
H01M50/403 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100048
(22)【出願日】2023-06-19
(62)【分割の表示】P 2021121833の分割
【原出願日】2016-01-11
(31)【優先権主張番号】62/238,373
(32)【優先日】2015-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505458359
【氏名又は名称】ダラミック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,エリック エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ゴロヴィン,エム.ニール
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナムルズィー,アヒラ
(72)【発明者】
【氏名】ハワード,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,ジェームス,ピー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】成層化の低減及び/又は酸混合の改善がなされた浸水型鉛蓄電池、システム、及び強化浸水型鉛蓄電池用セパレータ、並びにそれらの製造、検査、及び/又は使用方法を提供する。
【解決手段】改良されたストップ/スタート浸水型鉛蓄電池であって、セレーテッドリブ、断続リブ、ディンプル又はそれらの組合せを含む微多孔性ポリオレフィン電池セパレータを備え、前記ストップ/スタート浸水型鉛蓄電池は、従来のストップ/スタート又はISS浸水型鉛蓄電池と比較して強化又は改善された酸混合を有する及び/又は成層化を低減させる電池である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良されたストップ/スタート浸水型鉛蓄電池であって、
セレーテッドリブ、断続リブ、ディンプル又はそれらの組合せを含む微多孔性ポリオレフィン電池セパレータを備え、
前記ストップ/スタート浸水型鉛蓄電池は、従来のストップ/スタート又はISS浸水型鉛蓄電池と比較して強化又は改善された酸混合を有する及び/又は成層化を低減させる電池。
【請求項2】
前記微多孔性ポリオレフィン電池セパレータは、ポリエチレンを含む請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記電池セパレータは、さらに充填材を含む請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記電池セパレータは、さらに界面活性剤又は添加剤を含む請求項1~3の何れか一項に記載の電池。
【請求項5】
複数行のセレーテッドリブ、断続リブ、ディンプル、又はそれらの組合せを有するセパレータを備え、
前記行は、0.1~20mm離れて置かれる請求項1~4の何れか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記電池は動いており、
前記動きは、前記強化又は改善された酸混合のためのエネルギーを提供する請求項1~5の何れか一項に記載の電池。
【請求項7】
電池における成層化を低減させるための方法であって、
正負極の交互シーケンスを提供する工程と、
各前記電極間にセパレータを提供する工程であって、前記セパレータが微多孔性ポリオレフィン電池セパレータを含み、前記セパレータがセレーテッドリブ、断続リブ、ディンプル又はそれらの組合せを有する工程と、
液体電解質に前記電極を沈める工程と、
を備える方法。
【請求項8】
強化浸水型電池において、前記改良が請求項1~6の何れか一項に記載の電池を含む強化浸水型電池。
【請求項9】
請求項1~6の何れか一項に記載のセパレータを備える強化浸水型電池。
【請求項10】
固体リブセパレータであって、ニップ点で折り目を付けること又はカレンダー処理により機械的に誘発されるセレーションを備えるセパレータ。
【請求項11】
加減速の動きを誘発して酸混合セパレータの存在下で酸混合を促進し、その結果成層化を低減させることにより電池を検査する方法。
【請求項12】
酸の置換を減少させた結果生ずる質量の減少を伴うセパレータであって、前記電極間の電解質をより使用に適したものにするセパレータ。
【請求項13】
前記電池の前記伝導性を改善するセパレータであって、健康状態の改善及び/又は車両又はハンドヘルドモニタリング装置に配置されるような前記電池モニタリングシステム又は電池管理システムにおける電子装置との通信を可能にするセパレータ。
【請求項14】
浸水型鉛蓄電池のような改良された鉛蓄電池、鉛蓄電池及び電池セパレータを含む改良されたシステム、改良された電池セパレータ、このようなシステムを含む改良された車両、及び/又は製造及び/又は使用方法;このような電池用の改良された浸水型鉛蓄電池及び/又は改良された電池セパレータ、及び/又はこのような改良された浸水型鉛蓄電池を製造、検査、及び/又は使用する方法;浸水型鉛蓄電池において成層化を低減させ、電池寿命及び性能を伸ばすための方法、システム、電池、及び電池セパレータ;及び/又は使用中に成層化を経ない強化浸水スタート/ストップ電池のような改良又は強化された浸水型鉛蓄電池、これまで入手可能なものと比較して均一性及び性能が改善された改良、強化された浸水型鉛蓄電池、及び/又は少なくとも特定のVRLA・AGM電池に匹敵又は超える性能を有する改良、強化された浸水型鉛蓄電池。
【請求項15】
改良された浸水型鉛蓄電池であって、
微多孔性ポリオレフィン電池セパレータを備え、
前記セパレータは、セレーテッドリブ、断続リブ、ディンプル又はそれらの組合せを有し、
前記ストップ/スタート浸水型鉛蓄電池は、従来の浸水、ストップ/スタート又はISS浸水型鉛蓄電池と比較して酸混合が強化又は改良された及び/又は成層化が低減された電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年10月7日に出願された同時係属米国仮特許出願番号62/238373の優先権及び利益を主張し、その全体が参照により本明細書中に組み込まれている。
【0002】
少なくとも選択された実施形態に従って、本開示又は発明は、浸水型鉛蓄電池のような、改良された鉛蓄電池、鉛蓄電池及び電池セパレータを含む改良されたシステム、改良された電池セパレータ、このようなシステムを含む改良された車両、及び/又は製造及び/又は使用方法を対象にする。少なくとも特定の実施形態に従って、本開示又は発明は、改良された浸水型鉛蓄電池及び/又はこのような電池用の改良された電池セパレータ、及び/又はこのような改良された浸水型鉛蓄電池の製造、検査、及び/又は使用方法を対象にする。加えて、本明細書中には、浸水型鉛蓄電池における成層化を低減させ、電池寿命及び性能を伸ばすための方法、システム、電池、及び電池セパレータが開示されている。
【背景技術】
【0003】
燃料消費及び排気管放出物の生成を減らすため、自動車メーカーは、様々な程度の電気ハイブリダイゼーションを実装してきた。ハイブリッド電気自動車(HEV)の一形態は、「マイクロHEV」又は「マイクロハイブリッド」と呼ばれることもある。このようなマイクロHEV又は同様な車両において、自動車は、アイドリングスタート/ストップ(ISS)機能を有してもよく、この機能において、エンジンは、アイドリングスタート/ストップ及び/又は回生制動中の様々な時点で停止してもよい。これにより車両燃料効率は向上するが、車両の停止中、(空調、メディア・プレーヤー等の)補助装置に動力を提供しなければならない電池にかかる負担も増大する。
【0004】
従来の車両(スタート/ストップ性能を持たない自動車等)は、SLI鉛蓄電池のような従来の浸水型鉛蓄電池を使用してもよい。エンジンが決して停止しないため、動力が電池から引き出されるのは、エンジンがクランキングされたときだけである。そのような時、電池は、典型的には部分充電の状態ではなく、過充電の状態にある。例えば、このような従来の浸水型鉛蓄電池は、95%より多く充電された、96%より多く、97%より多く、98%より多く、99%より多く、又はしばしば過充電の状態であるような、100%より多くさえ充電された、充電状態であってもよい。過充電においては、従来の鉛蓄電池内でガス気泡(例えば、水素ガス気泡)が生成され、これらの循環ガス気泡は、電池内で液体電解質(酸)を混合する働きをする。
【0005】
一方、スタート/ストップ車両は、連続的に電池から動力を引き出し、それ故、常に部分充電の状態にある。部分充電においては、ガス気泡は生成されず、電解質内の混合は大幅に減少し、電池内の成層化につながる。このように、成層化は、スタート/ストップ浸水型鉛蓄電池及び様々な強化浸水型電池内で問題になるが、過充電又は完全な(又は完全に近い)充電の状態で作動する、より従来的で伝統的な浸水型鉛蓄電池では、全く問題にはならなかった。
【0006】
成層化は、濃厚な硫酸が電池の底部で濃縮され、電池の頂部ではそれに対応して高い水濃度が導かれる過程に関する用語である。成層化は、強化浸水型鉛蓄電池又はスタート/ストップ浸水型鉛蓄電池等の浸水型鉛蓄電池内では好ましくない。電極の頂部で酸のレベルが減少すると、電池システム内の均一性及び電荷受容性が阻害され、電池の高さに沿っ
た頂部から底部への内部抵抗のばらつきが増加するかもしれない。電池の底部で酸のレベルが増加すると、電池管理システムを妨げ得る、電池の電圧が人工的に上昇し、電池管理システムに意図しない/誤った健康状態信号が送信される恐れがある。概して、成層化は、電池の部位に沿って高い抵抗を引き起こし、それが電極の問題や電池の短命化につながるかもしれない。スタート/ストップ電池及び/又は他の強化浸水型鉛蓄電池が、ハイブリッド及び完全な電気自動車と共にますます普及し、車両燃料効率を増加させ、CO2排出を低減させるために期待されているとすれば、成層化の低減及び/又は酸混合の改善のための解決手段が大いに求められている。
【0007】
場合によっては、成層化は、酸がゲル電解質及び/又はグラスマット吸収式(AGM)電池セパレータシステムのどちらかにより固定化される制御弁式鉛蓄電池(VRLA)技術を使用すれば回避できる。浸水型鉛蓄電池内の自由流体電解質と対照的に、VRLA電池においては、電解質は、繊維又はガラス繊維マット、高分子繊維マット、ゲル電解質等の繊維性材料に吸収される。しかし、VRLA電池システムの製造費用は、浸水型電池システムよりも大幅に高い。VRLA・AGM技術は、場合によっては、過充電により敏感で、高熱で干上がり、容量の段階的な低下を経験し、より低い比エネルギーを有するかもしれない。同様に、場合によっては、ゲルVRLA技術は、高い内部抵抗を有し、電荷受容性が減少しているかもしれない。
【0008】
よって、使用中に成層化を経ることのない、強化浸水型スタート/ストップ電池等の強化浸水型鉛蓄電池の更なる開発が求められている。これまで使用されてきたものに比べて改良された均一性及び性能を有し、特定のVRLA・AGM電池で見られるものに匹敵する性能を有する、改良された強化浸水型鉛蓄電池が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
少なくとも選択された実施形態に従って、本開示又は発明は、上述及び他のニーズに対処してもよい。例えば、少なくとも特定の実施形態に従って、本開示又は発明は、新規で、改良又は最適化された浸水型鉛蓄電池、システム、及び強化浸水型鉛蓄電池用セパレータ、及びそれらの製造、検査、及び/又は使用方法を対象にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書中で開示されるものは、特定の種類のセパレータを有する、新規で、改良又は最適化された強化浸水型鉛蓄電池である。驚くべきことに、セパレータの表面特性を適切に選択することにより、成層化を低減させる及び/又は予防することができ、これに対応して電池性能の増加が確認でき、性能は、特定のVRLA・AGM電池の性能に近い、一致、又はより優れてさえいることが判明した。さらに、驚くべきことに、本明細書中に説明されている電池と共に本明細書中に説明されているセパレータを使用すること、及びそれらを動かして使用することにより、発明の電池及びセパレータのこのような動きが、何らかの機械的手段又は(酸混合用ポンプ等の)何らかの酸混合用の道具を必要とすることなく、酸混合又は循環の改善及び/又は成層化の低減又は同時に防止を促進することが判明した。様々な実施形態が以下、さらに詳細に説明される。
【0011】
少なくとも選択された実施形態、態様又は目的に従って、本開示又は発明は、浸水型鉛蓄電池等の改良された鉛蓄電池、鉛蓄電池及び電池セパレータを含む改良されたシステム、改良された電池セパレータ、このようなシステムを含む改良された車両、及び/又は製造及び/又は使用方法を対象にする。
【0012】
少なくとも選択された実施形態、態様又は目的に従って、本開示又は発明は、使用中に成層化を経ることのない、強化浸水型スタート/ストップ電池等の強化浸水型鉛蓄電池、
これまで使用されてきたものと比較して改良された均一性及び性能を有する改良された強化浸水型鉛蓄電池及び/又は少なくとも特定のVRLA・AGM電池に匹敵又は超える性能を有する改良された強化浸水型鉛蓄電池を提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1には、本発明に係るセレーテッドリブ付セパレータ(これらのセレーションは、エンバトルメントリブ又はエンバトルメントと呼ばれてもよい)を有するセル(上の行)を、セパレータに沿って垂直に延びている従来の固体リブ付きのセパレータを有するセル(下の行)と比較している一連の写真が含まれる。上の行に示されるセパレータに対するエンバトルメントリブの間隔(リブの先からリブの先)は、約11mmであった。
図1は、典型的に(部分充電の状態の浸水型鉛蓄電池等の)浸水型鉛蓄電池の正極に面する、電池セパレータの面を示す。ただし、このようなリブは、セパレータの両面に含まれてもよい(例えば、浸水型鉛蓄電池の負極に面するように設計されたセパレータの面に含まれていてもよい)。
図1に示されるセルは、90回のスタート/ストップイベント又はサイクルを受けた。
図1に示されるように、30、60、及び90回のスタート/ストップイベント又はサイクル後、セレーテッドリブ付セパレータを有するセルが示している成層化は、従来のセパレータを有するセルよりも大幅に少ない。
【
図2】
図2には、本発明に係るセレーテッドリブ付セパレータを有する
図1と同タイプのセル(上の行)を、従来の固体リブ付きの従来のセパレータを有するセル(下の行)と比較している一連の写真が含まれる。セルは、一晩の静止後、時速25マイルで走行している車両内で60回のスタート/ストップイベント又はサイクルを受けた。
図2に示されるように、セレーテッドリブ付セパレータを有するセルが示している成層化は、従来のセパレータを有するセルより大幅に少ない。このような検査により、
図1の写真に示される実験結果が実証された。
【
図3】
図3には、本発明に係るより近い間隔のセレーテッドリブ付セパレータを有するセル(上の行)を、セパレータに沿って垂直である従来の固体リブ付きのセパレータを有するセル(下の行)と比較している一連の写真が含まれる。上の行に示されるセパレータに対するエンバトルメントリブの間隔は、約7mmであった。セルは、90回のスタート/ストップイベント又はサイクルを受けた。
図3に示されるように、30、60、及び90回のスタート/ストップイベント又はサイクル後、セレーテッドリブ付セパレータを有するセルが示している成層化は、従来のセパレータを有するセルよりも大幅に少ない。
【
図4】
図4には、本発明に係るディンプルのあるセパレータを有するセル(上の行)を、セパレータに沿って垂直に延びている固体大及び固体小リブを含む従来のセパレータを有するセル(下の行)と比較している一連の写真が含まれる。セルは、90回のスタート/ストップイベント又はサイクルを受けた。
図4に示されるように、30、60、及び90回のスタート/ストップイベント又はサイクル後、ディンプルのあるセパレータを有するセルが示している成層化は、従来のセパレータを有するセルより大幅に少ない。このように、(例えば、
図4の下の行の写真に示すような)固体リブは、スタート/ストップ鉛蓄電池内のセパレータに対する酸混合を実際に阻害している。
【
図5】
図5には、本発明に係るディンプルのあるセパレータを有するセル(上の行)を、ディンプルと結合したセパレータに沿って垂直に延びている固体リブを含むセパレータを有するセル(下の行)と比較している一連の写真が含まれる。セルは、90回のスタート/ストップイベント又はサイクルを受けた。
図5に示されるように、ディンプルのあるセパレータを有するセル(上の行)が示している成層化は、ディンプルと固体リブの結合体を含むセパレータを有する下の行のスタート/ストップ鉛蓄電池セルよりも少ない。しかし、(例えば、
図1~4の写真の下の行と比較して)下の行にいくらかの酸混合が示されている。例えば、下の行の写真のいくつかにおいては、酸濃度が低い明確な領域又はポケットが見られるが、酸混合も見られる。下の行の写真により、セレーション及び固体リブの組合せ又はディンプル及び固体リブの組合せが、本発明に係る様々な電池、システム、及び方法に有用であることが判明するかもしれないということがわかる。
【
図6】
図6には、本発明に係るディンプルのあるセパレータを有するセル(上の行)を、(セパレータの垂直方向に対してわずかな角度で)セパレータに沿って斜めに延びている固体リブを含むセパレータを有するセルと比較している一連の写真が含まれる。セルは、90回のスタート/ストップイベント又はサイクルを受けた。
図6に示されるように、ディンプルのあるセパレータを有するセル(上の行)が示している成層化は、
図1~4の下の行に示されるもののような写真のスタート/ストップ鉛蓄電池セルより少ない。
図6の写真の下の行に関しては、60回のサイクル又は60回のスタート/ストップイベントで、いくらかの成層化がまだ存在しているのがわかるが、成層化は90回のサイクルで改善する。
【
図7】
図7(A)及び7(B)には、混合されている1.28比重の酸で満たされたジャー内の従来の固体リブセパレータ(A)及び全くセパレータなし(B)の比較写真が含まれる。
図7(A)には、従来のリブ付セパレータの写真が含まれ、ジャーの底部の赤い酸の集中及びジャーの頂部へ向けての透明な液体により成層化が示されている。
図7(B)には、セパレータがない鉛格子電極のみの写真が含まれ、ジャーにわたって赤色が示されているように、成層化の発生はずっと少ない。
図7(A)及び7(B)は、固体リブ付きの従来のセパレータが、スタート/ストップ浸水型鉛蓄電池内部の酸混合を妨げ、成層化を促すかもしれないことを説明するのに役立つ。同様に、
図7(B)は、様々なセパレータがそれに対して比較対照できる、セパレータを含まない、一種のベンチマークを提供する。
【
図8】
図8には、成層化に対する検査前の本発明に係るセレーテッドリブ付セパレータを使用して構成されたセルの写真が含まれる。
【
図9】
図9には、成層化検査のためのケースにまとめられた
図8のセルの写真が含まれる。電極+セパレータのグループに亘って、リードストラップが設置される。一旦酸がケースに追加されると、酸のレベルがこれらのリードストラップの上、数mmとなるかもしれない(ほんの一例として、場合によっては、リードストラップ上、約3mm)。電極及びセパレータを含むこのケースがセル内の成層化に関して検査される際、特定の実施形態においては、検査の動きの方向が、スタート/ストップ電気自動車の動きを模倣し、車両が動かされ、加速され、減速され、停止されるように酸が電極の表面に亘って動かされるように、
図9の写真のy方向にあることが好ましい。当該図は、
図9の写真の頂部がスタート/ストップ性能を有する電気自動車のフロントバンパーへ向かって延びている一方、
図9の写真の底部が同電気自動車のリアバンパーへ向かって延び、まもなく成層化検査用の酸で満たされる、電極+セパレータ+リードストラップのグループが見下ろされているように見えてもよい。
【
図10】
図10には、本明細書中に説明されている様々な実施形態に従って利用されるセパレータ上のセレーション又はセレーテッドリブの断面図の写真が含まれる。
【
図11】
図11には、本明細書中に説明されている様々な実施形態に従って利用されるセレーテッドセパレータの輪郭の2つの図が含まれる。
【
図12】
図12には、25℃での硫酸溶液の伝導率のグラフが示される。当該グラフは、成層化がセル及び/又は電池の高い及び低い酸領域における伝導率の差に起因する不均一な電流に繋がり得ることを理解する助けになる。
【
図13】
図13には、
図6に示されるセルと同様に構成されたセルの写真が含まれる。ただし、
図13に示されるセルに関しては、セパレータは、車両の動きの方向と垂直なシステムに挿入された(一方、
図6に示されるセルに関しては、セパレータは、上記の
図9の方向の説明と同様に、動きの方向と平行なシステムに挿入された)。様々な実施形態において、セパレータが車両及び電池システムに対する動きの方向に平行に位置付けられることが好ましい。これは、
図13に示される写真が、良好な酸混合を伴わず、60回のスタート/ストップイベント又はサイクル後に成層化がなお起こっていることを明らかにしているからである。例として
図13の上の行を使用すると、そこでは、ディンプルのあるセパレータが本発明の様々な実施形態に従って利用されているが、全てシステム内の電池及びセパレータの配置が原因で、成層化がなお発生しており、酸混合が最適ではなかった。
【
図14】
図14には、本明細書中に説明されている様々な実施形態に係るセレーテッドリブを含む電池セパレータの写真が含まれる。このセパレータは、検査用のスタート/ストップ自動車用浸水型鉛蓄電池を作るための電極を包むために利用された。その検査の結果は後述される。
【
図15A】
図15A(A)及び(B)には、本明細書中の様々な実施形態に係るセパレータ用の複数のセレーションの輪郭の図が含まれる。酸混合を改善し強化するためのセパレータ用の様々な最適な輪郭は、本明細書中に開示される。
図15A(A)及び(B)に示される図は、単にこのような最適な輪郭の例であり、多数の他の最適な輪郭が本明細書中で説明され、主張される改良されたセパレータ、電池、システム、及び方法の適用範囲内に含まれる。
【
図15B】
図15B(C)及び(D)には、本明細書中の様々な実施形態に係るセパレータ用の複数のセレーションの輪郭の図が含まれる。酸混合を改善し強化するためのセパレータ用の様々な最適な輪郭は、本明細書中に開示される。
図15B(C)及び(D)に示される図は、単にこのような最適な輪郭の例であり、多数の他の最適な輪郭が本明細書中で説明され、主張される改良されたセパレータ、電池、システム、及び方法の適用範囲内に含まれる。
【
図16】
図16には、強化浸水型電池(又は強化モードで作動している浸水型電池)の一例に対するサイクル試験を示すグラフが含まれる。今日のより新しい電池アプリケーションにおいては、強化浸水型電池が、(過充電又は100%より多い充電状態で作動されることが多い)これまで知られてきた浸水型鉛蓄電池よりも低い充電状態で作動している。よって、このような強化浸水型電池は、95%未満、場合によっては90%未満、場合によっては85%未満、場合によっては80%未満、さらに場合によっては70%未満、場合によっては60%未満、場合によっては50%未満、場合によっては25%未満、場合によってはさらに10%未満の充電状態(SoC)で作動していてもよい。この特定のグラフにおいて、サイクル試験は、17.5%の放電深度(DoD)の電池に対して実施され、利用されたセパレータは、
図1の写真の下の行に示されるもののような従来のリブ付セパレータであった。この特定の電池は、部分的に放出される充電状態における高いサイクル条件の下、エネルギーを届け、硫酸鉛が豊富な環境でうまく働く能力を示した。
図16に関して検査され、スタート/ストップアプリケーションで利用されたもののような電池は、(EN50342のような規格で示されたもののような)標準SLI電池に比べてエネルギーのスループットを劇的に増加させた。このようなスタート/ストップアプリケーション用の強化浸水型電池及び/又は浸水型電池は部分充電状態で作動しているため、より高い充電効率を有する及び/又はより迅速に充電を受ける必要がある。場合によっては、強化浸水型電池は、1以上の電極と共に様々な添加剤を用いて、充電効率を上げる及び/又はより迅速に充電を受ける電池を作成する。ただし、本明細書中に説明されている強化セパレータは、同一のゴールを達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中に説明されている様々な実施形態において、浸水型鉛蓄電池における電解質混合及び/又は循環を高めるセパレータが用いられている。特定の実施形態においては、成層化を低減させるセパレータが用いられている。様々な実施形態において、酸混合のため及び成層化防止のために改良又は強化されたセパレータシステムのために、既知の電池に比べて成層化が大幅に低減される電池が開示されている。このような電池は、例えば、電池を有する移動中の車両で利用されてもよい。また、様々な実施形態において、実際に酸又は電解質を混合するための車両(例えば、スタート/ストップ鉛蓄電池を含む電気自動車)の動きは、本明細書中に説明されている強化電池セパレータと相まって、スタート/ストップ浸水型鉛蓄電池及び/又は強化浸水型鉛蓄電池又は強化モードで作動している電池内において、本明細書中に示されている酸混合の大幅な改善と同様に本明細書中に示
されている成層化の大幅な低減を予想外にもたらす。例えば、スタート/ストップ電気自動車の停止及び出発は、本明細書中の様々な実施形態においてエネルギーを供給しており、強化浸水型鉛蓄電池内の酸/電解質を混合し、酸混合を改善し、成層化を低減又は完全に防止する。
【0015】
少なくとも特定の実施形態に従って、ポリオレフィンセパレータは、1以上のその表面に、セレーテッドリブ、突起、エンバトルメント、ディンプル、エンボス、及びそれらの組合せを有するポリオレフィンのシートであり得る。他の実施形態においては、ポリオレフィンセパレータは、特定の添加剤と結合して、1以上のその表面にセレーテッドリブ、突起、エンバトルメント、ディンプル、エンボスを有するポリオレフィンのシートであり得る。
【0016】
セパレータは、ポリオレフィン製が好ましく、例えば、ポリプロピレン、エチレン-ブテン共重合体、好ましくはポリエチレン、より好ましくは高分子量ポリエチレン、すなわち、少なくとも600,000の分子量を有するポリエチレン、又は高密度ポリエチレン、例えば、少なくとも500,000の分子量を有するポリエチレンである。実施形態によっては、1以上の超高分子量ポリエチレンが利用される。すなわち、少なくとも1,000,000の分子量を有するポリエチレン、特に4,000,000より多く、場合によっては(粘度測定により測定され、マーゴリーズの方程式により算出された)5,000,000~8,000,000、(2,160gの標準的負荷を使用したASTM D1238(条件E)で指定され測定された)実質0の標準的負荷メルトインデックス及び600ml/g以上の粘度数、好ましくは1,000ml/g以上、より好ましくは2,000ml/g以上、及び最も好ましくは(130℃の100gのデカリンにおける0.02gのポリオレフィンの溶液で決定された)3,000ml/g以上である。
【0017】
少なくとも一実施形態に従って、セパレータは、プロセス油及びシリカ、例えば、沈降シリカ及び/又はヒュームドシリカと混合された超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から成る。少なくとも他の一実施形態に従って、セパレータは、プロセス油、添加剤及びシリカ、例えば、沈降シリカと混合された超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から成る。セパレータは、好ましくは、8~100体積%のポリオレフィン、0~40体積%の可塑剤及び0~92体積%の不活性充填材の均一混合物を備える。場合によっては、好適な充填材は、乾いて、微細に分割されたシリカである。しかし、充填材は、シリカ、雲母、モンモリロナイト、カオリナイト、アスベスト、タルク、ケイソウ土、バーミキュライト、天然及び合成ゼオライト、セメント、ケイ酸カルシウム、クレー、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、アルミニウムポリシリケート、アルミナシリカゲル、ガラス粒子、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、炭、黒鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化鉛、タングステン、酸化アンチモン、ジルコニア、マグネシア、アルミナ、二硫化モリブデン、硫化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、など、及びそれらの様々な組合せからなる群より選ばれてもよい。
【0018】
好適な可塑剤は、石油及び/又はワックスである。可塑剤はポリマー-充填材-可塑剤混合物から最も取り除きやすい成分であるため、電池セパレータに多孔度を付与するのに役立つ。
【0019】
セパレータは、直径1μm未満の平均細孔サイズを有する。好ましくは、細孔の50%より多くは、直径0.5μm以下である。細孔の少なくとも90%は0.9μm未満の径を有するのが好ましい。微孔セパレータは、0.05~0.9μm、場合によっては、0.1~0.3μmの範囲内の平均細孔サイズを有するのが好ましい。
【0020】
細孔サイズは、場合によっては、リッター、H.L.、及びドレイク、L.C.、産業・技術化学分析17版、787(1945)に記載の水銀圧入方法を使用して測定されてもよい。当該方法によれば、ポロシメーター(ポロシメーターモデル2000、カルロ・エルバ社)を用いて水銀にかかる圧力を変化させることにより、水銀を異なるサイズの細孔へ入れる。細孔分布は、MILESTONE200ソフトウェアでの未分析データの評価により決定されてもよい。
【0021】
セパレータの厚さは、好ましくは0.1mmより大きく、5.0mm以下である。セパレータの厚さは、0.15~2.5mm、0.25~2.25mm、0.5~2.0mm、0.5~1.5mm、又は0.75~1.5mmの範囲内とすることができる(このような厚さは、任意のセレーテッドリブ、突起、ディンプル等を含むセパレータ全体の厚さを考慮している)。場合によっては、セパレータは、約0.8mm又は1.1mmの厚さであり得る。セパレータは、1以上のその表面に付着する薄板を有しても有さなくてもよい。
【0022】
様々な実施形態において、微多孔性ポリオレフィンセパレータ層は、セレーテッドリブのようなリブを含む。好適なリブは、0.008mm~1mmの高さで、0.001mm~20mm離れて置かれてもよい。一方、セレーテッドリブ又はエンボスがない微多孔性ポリオレフィンセパレータ層の好適なバックウェブの厚さは、約0.05mm~約0.500mm(例えば、特定の実施形態においては、約0.25mm)でもよい。例えば、リブは、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、2.0mm、2.25mm、2.5mm、2.75mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mm離れ得る。実施形態によっては、リブは、相互の関係が0~90度で、セパレータ層の一面、又はポリオレフィンセパレータの両面にあるようなパターンであってもよい。セパレータ層の両面にリブを含む様々なパターンは、セパレータの第2の面又は背面に負の横リブを含んでもよい。このような負の横リブは、場合によっては、0.025mm~約0.1mmの高さを有してもよい。
【0023】
リブは、特定の好適な実施形態においては、セレーションを有してもよい。セレーションは、0.05mm~1mmの平均チップ長を有してもよい。例えば、平均チップ長は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下であり得る。
【0024】
セレーションは、0.05mm~1mmの平均基線長を有してもよい。例えば、平均基線長は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下であり得る。
【0025】
セレーションは、0.05mm~4mmの平均高さを有してもよい。例えば、平均高さは、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下であり得る。セレーションの高さがリブの高さと同一な実施形態に関しては、セレーテッドリブは、突起と呼ばれてもよい。このような範囲は、工業用のスタート/ストップ主電池用セパレータに適用してもよく、そのセパレータの全体の厚さは、典型的に約1~約4mmであってもよい。同様に、自動車用スタート/ストップ電池は、そのセパレータの全体の厚さが、少し薄くてもよい(例えば、典型的には約0.3mm~約1mm)。
【0026】
セレーションは、0.1mm~50mmの平均中心間ピッチを有し得る。例えば、平均中心間ピッチは、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.25mm、又は1.5mm以上、及び/又は1.5mm、1.25mm、1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、又は0.2mm以下であり得る。
【0027】
セレーションは、0.1:1~500:1の平均高さ底幅比率を有し得る。例えば、平均高さ底幅比率は、0.1:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、又は450:1以上、及び/又は500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、又は25:1以下であり得る。
【0028】
セレーションは、1000:1~0.1:1の平均底幅チップ幅比率を有し得る。例えば、平均底幅チップ幅比率は、0.1:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1以上、及び/又は1000:1、950:1、900:1、850:1、800:1、750:1、700:1、650:1、600:1、550:1、500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、又は1:1以下であり得る。
【0029】
実施形態によっては、セパレータは、ディンプルがあり得る。ディンプルは、典型的にセパレータの1以上の表面における突起型特性である。ディンプルの厚さは、セパレータの厚さの1~99%であり得る。例えば、ディンプルの平均厚さは、セパレータの平均厚さの95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、又は5%未満であり得る。ディンプルは、セパレータに沿って行方向に配置されてもよい。行又は線は、0.001mm~10mm離れて配置されてもよい。例えば、行は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、2.0mm、2.25mm、2.5mm、2.75mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mm離れ得る。一方、ディンプルは、ランダム配列で又はランダムに配置されてもよい。
【0030】
ディンプルは、0.05mm~1mmの平均ディンプル長を有してもよい。例えば、平均ディンプル長は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下であり得る。
【0031】
ディンプルは、0.01mm~1mmの平均ディンプル幅を有してもよい。例えば、平均ディンプル幅は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1
.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下であり得る。
【0032】
ディンプルは、0.1mm~50mmの平均中心間ピッチを有し得る。例えば、平均中心間ピッチは、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.25mm、又は1.5mm以上、及び/又は1.5mm、1.25mm、1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、又は0.2mm以下であり得る。
【0033】
ディンプルは、例えば、正方形及び長方形の四角形であり得る。ディンプルは、0.1:1~100:1の平均ディンプル長ディンプル幅比率を有し得る。例えば、平均長底幅比率は、0.1:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1以上、及び/又は1000:1、950:1、900:1、850:1、800:1、750:1、700:1、650:1、600:1、550:1、500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、又は1:1以下であり得る。
【0034】
実施形態によっては、ディンプルは、実質的に円状であり得る。円状ディンプルは、約0.05~1.0mmの径を有し得る。例えば、平均ディンプル径は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下であり得る。
【0035】
ディンプルの他の様々な形状も同様に含まれてもよい。ほんの一例として、このようなディンプルは、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形等かもしれない。
【0036】
実施形態によっては、セパレータは、セレーション及び/又はディンプルの組合せを特色にし得る。例えば、セパレータは、セパレータに沿って頂部~底部に延びている一連のセレーテッドリブ、及びセパレータに沿って水平に延びている第2の一連のセレーテッドリブを有し得る。他の実施形態においては、セパレータは、セレーテッドリブ、ディンプル及び/又は連続的及び/又は断続固体リブの交互シーケンスを有し得る。
【0037】
直下の表1は、浸水型鉛蓄電池(強化浸水型電池と呼ばれる場合もある)における成層化を防止し、酸混合を高めるためのセパレータを形成する際に利用される、セレーション及び/又はディンプル及び様々なパラメータを有するセパレータの複数の具体的な実施形態を含む。
【0038】
【0039】
本明細書中に開示されるセパレータは、好ましくは、従来のセパレータに比べて強化された電解質混合及び/又は酸循環を提供する。特定の実施形態においては、セパレータは、セルの頂部及び底部における電解質濃度により測定されるような、より少ない成層化を提供する。濃度差は、セルが30、60又は90回のスタート/ストップイベント又はサイクルを経た後、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、2.5%又は1%未満であってもよい。特定の選択された実施形態においては、濃度差は、セルが24、48、又は72時間静止したままであった後、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、2.5%又は1%未満であってもよい。
【0040】
本明細書中の様々な実施形態において利用されるセパレータは、1以上の添加剤を備えていてもよい。このような場合には、添加剤が特定の車両用の特定のストップ/スタート浸水型鉛蓄電池用のセパレータを強化するかもしれないからである。ポリオレフィンに存在するこのような添加剤の1つは界面活性剤である。一方、他のこのような添加剤は、1以上のラテックス添加剤を含んでもよい。適切な界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルアリールスルホネート塩、アルキルフェノール-アルキレンオキシド付加生成物、せっけん、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩のジアルキルエステル、第四級アミン、エチレンオキシド及び酸化プロピレンのブロック共重合体、及びモノ及びジアルキルホスフェートエステルの塩等の界面活性剤を含む。添加剤は、ポリオール脂肪酸エ
ステル、ポリエトキシル化エステル、ポリエトキシル化脂肪アルコール、アルキルポリグリコシド及びそのブレンド等のアルキル多糖類、アミンエトキシレート、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート、オルガノシリコーン系界面活性剤、エチレンビニルアセテートターポリマー、エトキシル化アルキルアリールリン酸エステル及びショ糖脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤であり得る。
【0041】
特定の実施形態において、添加剤は、式(I)の化合物により表すことができる。
R(OR1)n(COOMx+
1/x)m (I)
ここでは、
Rは、酸素原子により遮られ得る、10~4200の炭素原子、好ましくは13~4200の炭素原子を有する非芳香族炭化水素基である。
R1は、H、-(CH2)kCOOMx+
1/x又は-(CH2)k-SO3MX+
1/X、好ましくはH、ここでkは1又は2である。
Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H+又はNH4
+、ここで、全ての変数Mが同時にH+の意味を有しているわけではない。
nは、0又は1である。
mは、0又は10~1400の整数である。
xは、1又は2である。
式(I)に従った化合物における酸素原子炭素原子比率は1:1.5~1:30の範囲であり、m及びnは同時に0となることはできない。ただし、好ましくは、変数n及びmの1つのみが0ではない。
【0042】
非芳香族炭化水素基により、芳香族基を含まない、又はそれ自体を表す基が意図される。炭化水素基は、酸素原子により遮られ得る、すなわち1以上のエーテル基を含む。
【0043】
Rは、好ましくは、酸素原子により遮られ得る直鎖又は分岐脂肪族炭化水素基である。飽和、未架橋炭化水素基が、非常に好適である。
【0044】
本明細書中に説明されている様々な電池セパレータ用添加剤の製造に式(I)の化合物を使用するにより、このようなセパレータに酸化破壊に対する有効な保護が提供されてもよい。実施形態によっては、式(I)に従った化合物を含有する添加剤を含む電池セパレータが好適である。ここでは、
Rは、1~60、好ましくは1~20及び非常に好ましくは1~8の酸素原子により遮られ得る10~180、好ましくは12~75及び非常に好ましくは14~40の炭素原子を有する炭化水素基、特に好ましくは式R2-[(OC2H4)p(OC3H6)q]-の炭化水素基である。ここでは、
R2は、10~30の炭素原子、好ましくは12~25、特に好ましくは14~20の炭素原子を有するアルキル基である。
Pは、0~30、好ましくは0~10、特に好ましくは0~4の整数である。
qは、0~30、好ましくは0~10、特に好ましくは0~4の整数である。
化合物は、p及びqの合計が0~10、特に0~4であると特に好適である。
nは、1である。
mは、0である。
式R2-[(OC2H4)p(OC3H6)q]-には、これらの化合物ではあるが、角括弧内の基のシーケンスが示されているものとは異なるものも含まれているとして理解される。例えば、本発明によれば、括弧内の基が(OC2H4)基と(OC3H6)基を置換することにより成る化合物も適切である。
【0045】
R2が10~20、好ましくは14~18の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基である添加剤は、特に有利であることが証明されている。OC2H4は、好ましくは、O
CH2CH2を表し、OC3H6は、OCH(CH3)CH2及び/又はOCH2CH(CH3)を表す。
【0046】
好適な添加剤として、特にアルコール(p=q=0、m=0)が言及されてもよい。第一アルコールが特に好適であり、脂肪アルコールエトキシレート(p=1~4、q=0)、脂肪アルコールプロポキシレート(p=0、q=1~4)及び脂肪族アルコールアルコキシレート(p=1~2、q=1~4)第一アルコールのエトキシレートが好適である。脂肪族アルコールアルコキシレートは、例えば、対応するアルコールのエチレンオキシド又は酸化プロピレンとの反応を通じて入手できる。
【0047】
水及び硫酸に溶けない、又は部分的にのみ溶けるm=0型の添加剤は、特に有利であることが証明されている。
【0048】
式(I)に従った化合物を含む添加剤も好適である。ここでは、
Rは、20~4200、好ましくは50~750及び非常に好ましくは80~225の炭素原子を有するアルカン基である。
Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H+又はNH4
+、特に、Li+、Na+及びK+又はH+等のアルカリ金属イオンであり、全ての変数Mが同時にH+の意味を有するわけではない。
nは、0である。
mは、10~1400の整数である。
xは、1又は2である。
【0049】
適切な添加剤としては、特に、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びアクリル酸-メタクリル酸共重合体が言及されてもよく、その酸基は、少なくとも一部は、すなわち、好ましくは40%、特に好ましくは80%、中和されている。割合は、酸基の数を参照する。塩形態において全体的に存在するポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)が非常に好適である。ポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)により、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びアクリル酸-メタクリル酸共重合体が意図される。ポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)、特に1,000~100,000g/mol、特に好ましくは1,000~15,000g/mol及び非常に好ましくは1,000~4,000g/molの平均モル質量Mwを有するポリアクリル酸が好適である。ポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)重合体及び共重合体の分子量は、重合体の水酸化ナトリウム溶液で中和された1%水溶液の粘度を計測することにより確認される(フィケンチャーの定数)。
【0050】
アクリル酸(メタクリル酸)の共重合体、特に、アクリル酸(メタクリル酸)に加えて、エチレン、マレイン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及び/又はアクリル酸エチルヘキシルをコモノマーとして含む共重合体も適切である。少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも80重量%のアクリル酸(メタクリル酸)単量体を含む共重合体が好適であって、割合は、単量体又は重合体の酸性型に基づく。
【0051】
ポリアクリル酸重合体及び共重合体を中和するためには、アルカリ金属及び水酸化カリウム及び特に水酸化ナトリウム等のアルカリ土類金属水酸化物が特に適切である。
【0052】
微多孔性ポリオレフィンは、様々な方法で添加剤又は複数の添加剤を含み得る。添加剤は、例えば、仕上がった際(すなわち、抽出後)又はポリオレフィンを製造するために利用される混合体に追加される際にポリオレフィンに塗布できる。好適な実施形態によれば、添加剤又は添加剤の溶液は、ポリオレフィンの表面に塗布される。このバリアントは、非熱安定性添加剤及び後に続く抽出のために利用される溶剤に溶けやすい添加剤の塗布に特に適している。本発明に係る添加剤に対する溶剤として特に適しているのが、メタノール及びエタノール等の低分子量アルコールと同様に、これらのアルコールと水の混合体である。塗布は、セパレータの負極に面する側、正極に面する側、又は両側に施され得る。
【0053】
添加剤は、少なくとも0.5g/m2、1.0g/m2、1.5g/m2、2.0g/m2、2.5g/m2、3.0g/m2、3.5g/m2、4.0g/m2、4.5g/m2、5.0g/m2、5.5g/m2、6.0g/m2、6.5g/m2、7.0g/m2、7.5g/m2、8.0g/m2、8.5g/m2、9.0g/m2、9.5g/m2又は10.0g/m2の濃度で存在し得る。添加剤は、0.5~10g/m2、1.0~10.0g/m2、1.5~10.0g/m2、2.0~10.0g/m2、2.5~10.0g/m2、3.0~10.0g/m2、3.5~10.0g/m2、4.0~10.0g/m2、4.5~10.0g/m2、5.0~10.0g/m2、5.5~10.0g/m2、6.0~10.0g/m2、6.5~10.0g/m2、7.0~10.0g/m2、7.5~10.0g/m2、5.0~10.5g/m2、5.0~11.0g/m2、5.0~12.0g/m2、又は5.0~15.0g/m2間の濃度でセパレータに存在し得る。
【0054】
塗布は、また、ポリオレフィンを添加剤又は添加剤の溶液に浸し、続いて任意に溶剤を除去する、例えば乾燥させることにより施されてもよい。このようにして、添加剤の塗布を、例えば、ポリオレフィン製造中に実施されることが多い抽出と組み合わせることができる。
【0055】
本明細書中に説明されているセパレータ、方法、電池、及び電池システムは、長い期間をかけて、成層化を低減させ、電解質の循環及び混合を改善してもよい。このことは、成層化が電池性能を大幅に低減させ得る、深さがある循環及び/又は強化浸水型鉛蓄電池にとって特に重要である。様々な浸水型鉛蓄電池、強化浸水型鉛蓄電池、及びその適用は、本明細書中に説明されている改良されたセパレータ、方法、電池、及びシステムから恩恵を受けてもよい。様々な電気自動車、自動車、ハイブリッド自動車、フォークトラック、ゴルフカート、ネイバーフッド・エレクトリック・ビークル等を含むがこれらに限られない様々なスタート/ストップ車両、特に、十分充電されない又は100%充電(又は過充電)状態に達せず、部分充電状態にある車両及び/又は電池は、本明細書中に説明されている改良されたセパレータ、電池、電池システム、及び方法から恩恵を受けてもよい。
【0056】
強化浸水型電池、特に移動する電池で使用するための本明細書中に説明されている(酸混合セパレータとも呼ばれる)強化浸水型セパレータは、驚くべきことに、また予想外に、このような強化浸水型電池に酸混合及び/又は酸循環の大幅な改善をもたらし、その結果、強化浸水型電池内の成層化を大幅に低減又は完全に予防する。このようなことは、セパレータ全体に沿った酸の流れ及び循環が、電池全体が使用中の電池のいくつかのより小さい部位に対して利用されていることを意味するため、極めて重要かもしれない。すなわち、本発明の強化されたセパレータ、電池、システム、及び方法を使用すると、電解質(例えば、硫酸)がセパレータの全て又はほぼ全ての部分へ、及び全て又はほぼ全ての部分に沿って自由に流れ、それ故、電極の正極活物質及び負極活物質の全て又はほぼ全ての部分へ、及び全て又はほぼ全ての部分に沿って自由に流れている。一方、成層化(ほんの一例として、
図1~4の写真の下の行にある成層化を参照。ここでは、赤色の指標が酸に追加されている。透明な液体、すなわち、水が明確に視認でき、テストセルの上半分当たりに存在するのに対し、酸は、明確に視認でき、テストセルの下半分当たりに存在する。)により、セパレータの全体、それ故、このようなセパレータのどちらかの側における正極活物質及び負極活物質の全体が、完全に酸を欠いているため、最大限の可能性を使用して、基礎を成す装置/車両に電池を使って動力を供給することができない。よって、本明細書中に説明されている改良されたセパレータ、電池、システム、及び方法は、浸水型鉛蓄電池、例えば、強化浸水型電池における成層化を大いに低減させる。
【0057】
成層化への懸念の理由は、結果として正負板又は正負極の表面に亘る電流密度不均一性を生じさせることである。
図12に示されるグラフは、濃度に対するH
2SO
4の伝導率を示す。
【0058】
本発明の好適な実施形態によっては、セパレータの1以上の表面に存在するセレーションは、不均一に分散されている。さらに、好適な実施形態によっては、セパレータの1以上の表面に存在するディンプルは、不均一に分散されている。例えば、セレーション及びディンプルそれら自身は、大きさが不均一でもよく、(例えば、ランダムに形成されてもよく)、セレーション及び/又はディンプルの間隔は、ランダム及び/又は不均一でもよい。例として、本明細書中で利用されている様々なセレーション及び/又はディンプルは、規則配列又は不規則配列でセパレータの一面又は両面に存在してもよい。さらに、本明細書中で利用されている様々なリブ、例えば、セレーテッドリブは、非線形でもよい。例えば、セレーテッドリブによっては、波状パターン又は非線形パターンであってもよい。
【0059】
様々な実施形態において、本明細書中に説明されている強化浸水型電池用の強化浸水型セパレータの効果が際立つのは、セパレータに対する強化が移動中の電池が進んでいる動きの方向と平行に延びるように、セパレータが強化浸水型電池内に置かれた場合である。このような効果は、
図6の望ましい結果と
図13のあまり望ましくない結果を比較することにより理解され得る。
図13の写真では、酸混合用の強化された輪郭を有するセパレータが利用されているにも関わらず、成層化がなお観測される。これは、
図13のセルが、セパレータ及び電極における強化が車両内で電池が進んでいる動きの方向と垂直であるように位置付けられているためである。スタート及びストップ慣性と平行な電極及びセパレータを有する車内の電池の配置により、垂直な位置決めよりも良好な酸の混合が可能になる。垂直な場合、電極及びセパレータは、酸の乱流及び酸混合を促すというよりも、むしろ妨げる。
【0060】
本明細書中に説明されている様々な強化セパレータ、例えば、酸混合及び酸循環を改善するためのセレーションを有する強化セパレータは、様々な間隔及び/又は様々なパターンを有してもよい。ほんの一例として、
図15A~15Dは、本発明において効果的な可能性があるセレーテッドリブの例を示す。このようなパターン、及び他のパターン(均一及び不均一の両方、及び規則的及び不規則の両方)により、電池の電気的特性における他の主要な改善と同様、浸水型鉛蓄電池内のコールドクランキングアンペア数(CCA)の改善も可能としてもよい。(ほんの一例として、)
図15A~15Dにおけるもののようなセレーテッドパターンでは、結果としてCCA性能を改善させる正極活物質(PAM)に接触しているリブを減らすことを可能にする固体リブ(制御手段)を有するセパレータに比べて、表面積が約53%削減されている。
図15A~15Dに示されるもののような、このようなパターンでは、酸利用率を高め、性能の改善できる固体リブ輪郭(制御手段)に比べて、リブの質量が33%削減されてもよい。さらに、正極活物質(PAM)圧縮を酸混合及び酸利用率のためのリブの質量及び開口のバランスで維持することが重要かもしれない。
【0061】
さらに、(ディンプル、セレーション等のような)突起の配置及び設計は、好ましくは、PAM排出を促進しないように圧縮用に最適化され、好ましくは、正格子フレーム又は電流コレクタとの親密な関係からペレットを押し出さないように格子フレームに亘って支持される。
【0062】
本発明の電池は、PAMの利用の増加から生じる優れた性能のために必要な鉛を減らしてコスト削減するために提供されてもよい。また、このようなことにより、自動車メーカーが求める電池のコスト削減、及びこれもまた自動車メーカーが求める電池の重量削減が可能になるかもしれない。
【0063】
場合によっては、本発明で利用される強化セパレータは、従来のリブの表面積の10~90%、好ましくは従来のリブの表面積の30~70%、より好ましくは、場合によっては、従来のリブの表面積の40~60%である固形の垂直リブ輪郭のような、従来のリブ輪郭のリブ表面積と比較して、リブの表面積を有する最適化された輪郭を有してもよい。この全ては、リブ形状、リブ間隔、及び酸混合を改善し、成層化を予防する最終目標によって決まり、これら全ては最適化される。
【0064】
[例]
図8及び
図9は、セル容器内で実施された電池実験を示す。白いケース及び鉛電極のグループと共にこれらの写真に示される電池テストセルは、以下の一般的特性を有していた。
【0065】
【0066】
以下に示す追加例において、商業グループ31 19プレート/グループCa/Caの拡張された電池検査データが示されている。この表において、「新規」と記されたセパレータは、
図14のエンベロープに示されるセレーションの輪郭を有する。一方、「制御」と記された結果は、セパレータに垂直に沿った固体リブを有する。これらの結果により、本発明に係る強化セパレータを使用したスタート/ストップ強化浸水型鉛蓄電池に対する電池性能の改善に関して、予想外の及び/又は驚くべき結果が明らかになった。以下の表の結果は、電池が車内で大きく動いて設置されておらず、むしろ検査用の設備内であちこちに移動しながら一般的な動きでいる場合でさえ、著しい改善を示した。このように、車両からの動き及び/又は様々なスタート/ストップイベントからのエネルギーと結合して、電池性能結果は、さらにいっそう著しく改善するかもしれない。
【0067】
【0068】
このミドトロニクスCCAテストの重要性は、グローバル・スタンダード・テストではないが、アルゴリズムを使用して迅速に及び簡単に電池の性能を計算するハンドヘルドデバイスであることである。酸混合セパレータを使用して酸に露出された正格子の表面積を増加させることにより、伝導性の改善と電極性能の改善が可能となる。業界標準ではないが、使い勝手の良さのため、今日、世界中の購買決定において利用されている。このアルゴリズムテスターの性能を改善することは、顧客満足のキーとなり、酸混合セパレータの改良は、表3#に示されたようにその結果を促進する。
【0069】
添付の請求項の組成及び方法は、本明細書中に説明されている特定の組成及び方法による適用範囲に限定されず、本明細書中に説明されている特定の組成及び方法は、請求項の数少ない態様の説明を意図している。機能的に同等な任意の組成及び方法は、請求項の適用範囲内にあることを意図している。本明細書中に示されている及び説明されているものに加えて、様々な組成及び方法の変形例が、添付の請求項の適用範囲内にあることを意図している。さらに、本明細書中に開示されている特定の代表的組成及び方法工程のみが具体的に説明されているが、組成及び方法工程の他の組合せも、たとえ具体的に列挙されていないにしても、添付の請求項の適用範囲内にあることが意図されている。このように、工程、要素、成分、又は構成の組合せは、本明細書中に明示的に又はそれ以下で言及されているが、工程、要素、成分、及び構成の他の組合せも明示的に述べられていないが、含
まれる。
【0070】
本明細書中に利用されているような、「を備えている」という用語及びその変化形は、「を含んでいる」という用語及びその変化形の同意語として利用され、オープンで非限定的な用語である。「を備えている」及び「を含んでいる」という用語が本明細書中で様々な実施形態を説明するために利用されているが、「基本的に~から成る」及び「から成る」という用語は、本発明のより特定の実施形態に対して提供されるために「を備えている」及び「を含んでいる」の代わりに利用でき、これもまた開示される。記されている以外に、明細書及び請求項で利用されている形状、寸法等を表す全ての数字は、少なくとも、請求項の適用範囲への同等物の原則の適用を制限する試みとしてではないとして理解されるべきであり、有効数字の数及び通常の丸み付けアプローチの観点から解釈されるべきである。
【0071】
別途定義されない限り、本明細書中に利用されている全ての技術及び科学用語は、開示されている発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されているものと同一の意味を有する。本明細書中に引用された出版物及びそれらが引用されている資料は、参照により具体的に組み込まれている。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良されたストップ/スタート浸水型鉛蓄電池であって、
1.5mmを超える平均中心間ピッチを有する複数の列のリブを含む微多孔性ポリオレフィン電池セパレータを備え、
前記リブの各列は、より短い長さを有するリブによって切断されたより長い長さを有するリブを有しており、
前記ストップ/スタート浸水型鉛蓄電池が30~90回の95%未満の充電状態で作動するスタート/ストップサイクルを経た後の前記セパレータの頂部における電解質濃度と前記セパレータの底部における電解質濃度との差が50%未満であり、
前記電池は動いており、前記動きは、前記強化又は改善された酸混合のためのエネルギーを提供する、ストップ/スタート浸水型鉛蓄電池。
【請求項2】
前記微多孔性ポリオレフィン電池セパレータは、ポリエチレンを含む請求項1に記載のストップ/スタート浸水型鉛蓄電池。
【請求項3】
前記微多孔性ポリオレフィン電池セパレータは、さらに充填材を含む請求項1又は2に記載のストップ/スタート浸水型鉛蓄電池。
【請求項4】
前記微多孔性ポリオレフィン電池セパレータは、さらに界面活性剤又は添加剤を含む請求項1~3の何れか一項に記載のストップ/スタート浸水型鉛蓄電池。
【請求項5】
ストップ/スタート浸水型鉛蓄電池における成層化を低減させるための方法であって、
正負極の交互シーケンスを提供する工程と、
各前記電極間に請求項1~4のいずれか一項に記載のセパレータを提供する工程と、
液体電解質に前記電極を沈める工程と、
を備える方法。