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特開2023-116756置換キノキサリン型架橋ピペリジン化合物の多形形態
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116756
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】置換キノキサリン型架橋ピペリジン化合物の多形形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/08 20060101AFI20230815BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 31/498 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C07D487/08 CSP
A61P25/20
A61K31/498
A61K9/20
A61K9/48
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023100897
(22)【出願日】2023-06-20
(62)【分割の表示】P 2021544362の分割
【原出願日】2020-01-30
(31)【優先権主張番号】62/799,710
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504238781
【氏名又は名称】パーデュー ファーマ エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オーティス ロニー
(72)【発明者】
【氏名】イゴ デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】津野 真樹
(72)【発明者】
【氏名】福田 麻由
(72)【発明者】
【氏名】三宅 直樹
(57)【要約】      (修正有)
【課題】睡眠障害の治療等に有用な、ORL-1受容体を調節する化合物の新規結晶形態を提供する。
【解決手段】粉末X線回折スペクトルにおいて、18.5及び19.3の回折角(2θ±0.2°)にピークを持つ、式(I)の結晶性化合物を提供する。

【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の結晶性化合物であって、
【化1】
18.5及び19.3の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する、前記結晶性化合物。
【請求項2】
21.1及び22.2の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含む、請求項1に記載の結晶性化合物。
【請求項3】
7.4、9.6、14.7、及び16.7の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含む、請求項1または2に記載の結晶性化合物。
【請求項4】
7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する、請求項1に記載の結晶性化合物。
【請求項5】
式(I)の結晶性化合物であって、
【化2】
7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する、前記結晶化合物。
【請求項6】
式(I)の結晶性化合物であって、
【化3】
式(I)の前記結晶性化合物の総量の少なくとも約90重量%が、7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する結晶形態Aである、前記結晶性化合物。
【請求項7】
式(I)の前記結晶性化合物の少なくとも約95重量%が、結晶形態Aである、請求項6に記載の結晶性化合物。
【請求項8】
式(I)の前記結晶性化合物の少なくとも約98重量%が、結晶形態Aである、請求項6に記載の結晶性化合物。
【請求項9】
式(I)の前記結晶性化合物が、実質的に純粋な結晶形態Aである、請求項6に記載の結晶性化合物。
【請求項10】
前記結晶性化合物が、15μmの粒径D90を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の結晶性化合物。
【請求項11】
前記結晶性化合物が、8μmの粒径D90を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の結晶性化合物。
【請求項12】
式(I)の結晶性化合物であって、
【化4】
図3Aに示されるように、粉末X線回折スペクトルを生成する、前記結晶性化合物。
【請求項13】
式(I)の結晶性化合物であって、
【化5】
約241℃でピーク温度を有する吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、前記結晶性化合物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の結晶性化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項15】
式(I)の結晶性化合物であって、
【化6】
7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する、前記結晶性化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか一項に記載の約0.16mg~約8.0mgの結晶性化合物を含む、投与単位。
【請求項17】
約0.16mg~約8.0mgの式(I)の結晶性化合物を含む投与単位であって、
【化7】
式(I)の前記結晶性化合物は、7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する、前記投与単位。
【請求項18】
前記投与単位が、固体経口剤形である、請求項16または17に記載の投与単位。
【請求項19】
前記固体経口剤形が、錠剤またはカプセルである、請求項18に記載の投与単位。
【請求項20】
前記投与単位が、約0.5mg~約6.0mgの式(I)の前記結晶性化合物を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の投与単位。
【請求項21】
前記投与単位が、約0.5mg~約3.0mgの式(I)の前記結晶性化合物を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の投与単位。
【請求項22】
結晶形態Aの式(I)の結晶性化合物を生成するプロセスであって、
【化8】
式(I)の化合物をギ酸に溶解して溶液を形成するステップと、
前記溶液を酢酸エチル溶媒で希釈して希釈溶液を形成するステップと、
前記希釈溶液中にスラリーを形成するステップと、
前記スラリーを濾過して、式(I)形態の前記結晶形態Aを単離し、前記結晶形態Aが、7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成するステップと、を含む、前記プロセス。
【請求項23】
p-トルエンスルホン酸を前記溶液に添加するステップをさらに含む、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
障害を治療、予防、または管理する方法であって、それを必要とする動物に、有効量の、請求項1~13のいずれか一項に記載の結晶性化合物を投与することを含み、前記障害が睡眠障害である、前記方法。
【請求項25】
前記睡眠障害が、不眠症、アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害、過眠症、既日リズム睡眠覚醒障害、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項24に記載の障害を治療、予防、または管理する方法。
【請求項26】
睡眠障害の治療、予防、または管理のための医薬の製造における、請求項1~13のいずれか一項に記載の結晶性化合物の使用。
【請求項27】
前記睡眠障害が、不眠症、アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害、過眠症、既日リズム睡眠覚醒障害、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
睡眠障害の治療、予防、または管理に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の結晶性化合物。
【請求項29】
前記睡眠障害が、不眠症、アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害、過眠症、既日リズム睡眠覚醒障害、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項28に記載の使用のための結晶性化合物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ORL-1受容体を調節する能力は、疼痛などの特定の疾患の治療、予防または管理のためにこのクラスの化合物を投与するための新薬発見における機会を提示する。米国特許第8,476,271号、同第8,846,929号、同第9,145,408号、同第9,278,967号、及び同第9,527,840号、ならびに米国特許出願公開第2016/0009717 A1号はそれぞれ、ORL-1受容体に対する親和性を有する置換キノキサリン型架橋ピペリジン化合物を開示する。
【0002】
塩、結晶形態、例えば化合物の多形形態などの固体形態は、化合物の溶解性、安定性、流動性、分画性、及び圧縮性、ならびに化合物に基づく薬物製品の安全性及び有効性に影響を与えることが医薬技術分野で既知である。したがって、米国食品医薬品局が固体形態、例えば、米国で市販されている各薬物製品で使用される各化合物の固体、例えば結晶形態の同定及び制御を要求する、それぞれの薬物生成物の安全性及び有効性に対する単一の薬物生成物中の固体形態の潜在的な効果が非常に重要である。したがって、新たな結晶形態の薬物化合物は、疼痛などの特定の疾患の治療、予防または管理のための薬物製剤の開発をさらに促進することができる。
【0003】
本出願の背景技術の節における任意の参照の引用は、かかる参照が本出願の先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、置換キノキサリン型架橋ピペリジン化合物の結晶形態を提供する。1つのかかる化合物は、式(I)に記載される以下の化学構造を有する。
【化1】
【0005】
特に、式(I)の化合物の結晶形態は、疼痛及び睡眠障害の治療、予防または管理に有用である。加えて、本発明は、存在する式(I)の化合物の全ての結晶形態の総量に対して、約90%を超える単結晶形態の結晶純度を有する式(I)の化合物の結晶形態を提供する。
【0006】
特定の実施形態において、本発明は、大量の式(I)の化合物の結晶または非晶質形態
を提供する。かかる大量は、約1kg超、約10kg超、または約100kg超を含み得る。
【0007】
特定の実施形態において、本明細書に提供される式(I)の結晶形態は、粉末X線回折(「PXRD」または「XRPD」)結晶学によって特徴付けられる。本発明の一態様において、本明細書において形態Aと称される式(I)の化合物の非溶媒和結晶形態は、図3Aに示されるものと実質的に類似した(例えば、2Θ±0.2°)XRPDパターンを有する。本発明の別の態様において、本明細書において形態Bと称される式(I)の化合物の結晶形態は、図1に示されるものと実質的に類似した(例えば、2Θ±0.2°)XRPDパターンを有する。本発明の別の態様において、本明細書において形態Cと称される式(I)の化合物の水和物結晶形態は、図4Aに示されるものと実質的に類似した(例えば、2Θ±0.2°)XRPDパターンを有する。本発明の別の態様において、本明細書において形態Dと称される式(I)の化合物の非溶媒和結晶形態は、図5Aに示されるものと実質的に類似した(例えば、2Θ±0.2°)XRPDパターンを有する。本発明の別の態様において、本明細書において形態Eと称される式(I)の化合物の水和物結晶形態は、図7Aに示されるものと実質的に類似した(例えば、2Θ±0.2°)XRPDパターンを有する。
【0008】
本発明の特定の実施形態は、式(I)の化合物の結晶形態及び薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体を含む薬学的組成物及び剤形を提供する。本発明は、睡眠障害の治療、予防または管理のためのそれらの使用方法をさらに提供する。式(I)の化合物のかかる結晶形態は、ヒトORL-1受容体に対する親和性を示す。特定の実施形態において、本発明は、式(I)の結晶形態または式(I)の非晶質形態を製造、単離及び/または特徴付ける方法を提供する。本発明の結晶形態は、動物またはヒトで使用するための製剤の調製のための活性薬学的構成成分として有用である。したがって、本発明は、薬学的組成物及び剤形におけるこれらの結晶形態の使用を包含する。本発明の薬学的組成物及び剤形における式(I)の結晶形態は、例えば、本明細書に記載の疾患の治療、予防、または管理のために有用である。薬学的組成物及び剤形は、式(I)の結晶形態及び1つ以上の薬学的担体または賦形剤とともに形成され得る。
【0009】
本発明の化合物形態及び薬学的組成物は、対象、例えばヒトにおける睡眠障害を治療または予防するのに有用である。一実施形態において、有効量の式(I)の結晶形態またはそれを含む薬学的組成物を使用して、不眠症(例えば、「成人」不眠症、小児不眠症、及び夜中の不眠症)、アルコール誘発性睡眠障害(例えば、不眠症型アルコール誘発性睡眠障害、日中不眠型アルコール誘発性睡眠障害、睡眠随伴型アルコール誘発性睡眠障害、及び混合型アルコール誘発性睡眠障害)、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害(例えば、アルコール中止に関連する不眠症)、過眠症(睡眠不足症候群など)、概日リズム睡眠覚醒障害(例えば、遅延睡眠覚醒期、進行性睡眠覚醒期、不規則な睡眠覚醒リズム、非24時間睡眠覚醒リズム、シフトワーク症候群、及び時差ボケ)、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない睡眠障害を治療または予防することができる。上記に含まれるものなどの睡眠障害を治療または予防するために使用される場合、有効量の式(I)の結晶形態またはそれを含む組成物を、中毒性アルコール使用障害を治療または予防するための1つ以上の同時療法を受けている患者に投与することができる。
【0010】
別の実施形態において、有効量の式(I)の結晶形態またはそれを含む薬学的組成物は、不眠症障害(例えば、「成人」不眠症、小児不眠症、及び夜中不眠症)を含むがこれらに限定されない睡眠障害を治療または予防するために使用され得る。
【0011】
本開示の別の実施形態において、有効量の式(I)の結晶形態またはそれらを含む薬学
的組成物は、アルコールに関連する不眠症、例えば、不眠症型アルコール誘発性睡眠障害及び混合型アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する不眠症、またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない睡眠障害を治療または予防するために使用され得る。
【0012】
本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、様々な改変及び変形が本発明で行われ得ることは当業者に明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示される本発明の明細書及び実践の考慮から当業者に明らかであろう。出願人は、範囲を限定するものではなく、本明細書及び実施例を例示とみなすことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】強度(カウント)(y軸)及び2シータ(2Θ)(x軸)を示す、実施例1で調製した式(I)の形態BのXRPDパターンを示す。
図2】強度(カウント)(y軸)及び2シータ(2Θ)(x軸)を示す、実施例1で調製した式(I)の形態AのXRPDパターンを示す。
図3A】強度(カウント)(y軸)及び2シータ(2Θ)(x軸)を示す、実施例3で調製された式(I)の形態AのXRPDパターンを示す。
図3B】熱流(W/g)(y軸)及び重量(%)(y軸)ならびに温度(℃)(x軸)を示す、実施例3で調製した式(I)の形態Aの組み合わされたDSC(A)及びTGA-IR(B)サーモグラムを示す。
図3C】強度(カウント)(y軸)及びラマンシフト(cm-1)(x軸)を示す、実施例3で調製した式(I)の形態AのFTIRスペクトルを示す。
図4A】強度(カウント)(y軸)及び2シータ(2Θ)(x軸)を示す、実施例3で調製された式(I)の形態CのXRPDパターンを示す。
図4B】熱流(W/g)(y軸)及び重量(%)(y軸)ならびに温度(℃)(x軸)を示す、実施例3で調製した式(I)の形態Cの組み合わされたDSC(A)及びTGA-IR(B)サーモグラムを示す。
図4C】強度(カウント)(y軸)及びラマンシフト(cm-1)(x軸)を示す、実施例3で調製した式(I)の形態CのFTIRスペクトルを示す。
図5A】強度(カウント)(y軸)及び2シータ(2Θ)(x軸)を示す、実施例3で調製された式(I)の形態DのXRPDパターンを示す。
図5B】熱流(W/g)(y軸)及び重量(%)(y軸)ならびに温度(℃)(x軸)を示す、実施例3で調製した式(I)の形態Dの組み合わされたDSC(A)及びTGA-IR(B)サーモグラムを示す。
図5C】強度(カウント)(y軸)及びラマンシフト(cm-1)(x軸)を示す、実施例3で調製した式(I)の形態DのFTIRスペクトルを示す。
図6】強度(カウント)(y軸)及び2シータ(2Θ)(x軸)を示す、実施例3で調製された式(I)の形態A、C、及びDのXRPDパターンのオーバーレイを示す。
図7A】強度(カウント)(y軸)及び2シータ(2Θ)(x軸)を示す、実施例3で調製された式(I)の形態EのXRPDパターンを示す。
図7B】熱流(W/g)(y軸)及び重量(%)(y軸)ならびに温度(℃)(x軸)を示す、実施例3で調製した式(I)の形態Eの組み合わされたDSC(A)及びTGA-IR(B)サーモグラムを示す。
図7C】重量(%)(y軸)及び温度(℃)(x軸)を示す、実施例3で調製した式(I)の形態C(A)及び形態E(B)の比較のTGA-IRサーモグラムを示す。
図7D】強度(カウント)(y軸)及びラマンシフト(cm-1)(x軸)を示す、実施例3で調製した式(I)の形態EのFTIRスペクトルを示す。
図8A】DMSO(A)中の形態A、C、及びD、MeOH(B)中の形態A、C、及びD、77%DMSO/水(C)中の形態A、C、及びD、91%アセトン/水(D)中の形態A、C、及びD、ならびに83%水/DMSO(E)中の形態A、C、及びD、の強度(カウント)(y軸)及びラマンシフト(cm-1)(x軸)を示す、実施例5の成熟研究の結果を示す複数のFTIRスペクトルを提供し、黒い矢印は、DMSOのピークを示す。
図8B】DMSO(F)中の形態A及び形態E、MeOH(G)中の形態A及び形態E、77%DMSO/水(H)中の形態A及び形態E、91%アセトン/水(I)中の形態A及び形態E、ならびに83%水/DMSO(J)中の形態A及び形態E、の強度(カウント)(y軸)及びラマンシフト(cm-1)(x軸)を示す、実施例5の成熟研究の結果を示す複数のFTIRスペクトルを提供し、黒い矢印はDMSOのピークを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
式(I):
【化2】
の化合物の新規の結晶形態を、本明細書に提供する。
【0015】
式(I)の化合物は、本明細書に記載の方法等によって調製できる。式(I)の結晶形態は、例えば、溶媒和物、水和物(例えば、一水和物、二水和物等)、及び式(I)の非溶媒和物または無水形態を含み得る。式(I)の結晶形態は、例えば、本明細書に提供される結晶形態A、B、C、D、及びEを含み得る。
【0016】
一実施形態において、本発明は、式(I)の形態A結晶形を提供する。いくつかの実施形態において、形態Aは、本明細書中で以下に記載の結晶化及び再結晶化方法によって得られ得る。
【0017】
式(I)の形態Aの代表的なXRPDパターンを図3Aに提供する。いくつかの実施形態において、式(I)の形態Aは、図3Aに表示されるパターンと実質的に類似したXRPDパターンを有する。
【0018】
式(I)の形態Aの代表的な熱特性を図3Bに示す。図3BにAとして提示される代表的なDSCサーモグラムは、分解とともに生じる約239.9℃の複合吸熱を示す。図3BにおいてBとして提示される代表的なTGAサーモグラムは、25~150℃での質量損失が約0.2%未満である重量損失を示す。これらの熱的データは、式(I)の形態Aが結晶格子中に相当量の水または溶媒のいずれも含有しないことを示す。
【0019】
実施形態において、本発明は、18.5及び19.3の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する式(I)の結晶形態を提供する。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、21.1及び22.2の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含み得る。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、7.4、9.6、14.7、16.7、及び17.1の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含み得る。別の実施形態において、本発明は、7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する式(I)の結晶形態を提供する。
【0020】
実施形態において、本発明は、6.8及び7.0の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する、式(I)の結晶形態を提供する。別の実施形態において、式(I)の結晶形は、20.7及び20.9の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含み得る。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、17.2、19.6、及び27.8の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含み得る。別の実施形態において、本発明は、6.8、7.0、13.7、15.5、17.1、17.2、18.5、18.6、19.5、19.6、20.7、20.9、27.8、28.0の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する、式(I)の結晶形態を提供する。
【0021】
実施形態において、本発明は、16.0及び19.2の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する式(I)の結晶形態を提供する。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、3.9と7.6の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含み得る。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、18.0、26.7、27.0、及び28.4の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含み得る。別の実施形態において、本発明は、3.9、7.6、16.0、18.0、19.2、26.7、27.0、28.4の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する式(I)の結晶形態を提供する。
【0022】
実施形態において、本発明は、7.1及び20.8の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する式(I)の結晶形態を提供する。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、17.2及び19.6の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含み得る。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、13.9、15.5、及び27.9の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含み得る。別の実施形態において、本発明は、7.1、13.9、15.5、17.2、19.6、19.9、20.8、27.9の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する、式(I)の結晶形態を提供する。
【0023】
実施形態において、本発明は、10.1及び16.3の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する、式(I)の結晶形態を提供する。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、18.7及び22.0の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含み得る。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、12.5、14.8、23.4、及び26.2の回折角(2Θ±0.2°)にピークをさらに含み得る。別の実施形態において、本発明は、10.1、12.5、14.8、16.3、16.6、18.7、22.0、23.4、26.2の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する、式(I)の結晶形態を提供する。
【0024】
実施形態において、本発明は、少なくとも約90重量%の式(I)の結晶性化合物が、7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する結晶形態Aである、式(I)の結晶性化合物を提供する。
別の実施形態において、少なくとも約95重量%の結晶式(I)は、結晶形態Aである。
【0025】
実施形態において、本発明は、少なくとも約90重量%の式(I)の結晶性化合物が、6.8、7.0、13.7、15.5、17.1、17.2、18.5、18.6、19.5、19.6、20.7、20.9、27.8、及び28.0から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する結晶形態Bである、式(I)の結晶性化合物を提供する。別の実施形態において、少なくとも約95重量%の結晶式(I)は、結晶形態Bである。
【0026】
実施形態において、本発明は、式(I)の結晶性化合物の総量の少なくとも約90重量%が、3.9、7.6、16.0、18.0、19.2、26.7、27.0、及び28.4から選択される回折角(2θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する結晶形態Cである、式(I)の結晶性化合物を提供する。別の実施形態において、式(I)の結晶形態の総量の少なくとも約95重量%が、特許請求される結晶形態Cとして存在する。
【0027】
実施形態において、本発明は、少なくとも約90重量%の式(I)の結晶性化合物が、7.1、13.9、15.5、17.2、19.6、19.9、20.8、及び27.9から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する結晶形態Dである、式(I)の結晶性化合物を提供する。別の実施形態において、式(I)の結晶性化合物の総量の少なくとも約95重量%は、結晶形態Dである。
【0028】
実施形態において、本発明は、少なくとも約90重量%の式(I)の結晶性化合物が、10.1、12.5、14.8、16.3、16.6、18.7、22.0、23.4、及び26.2から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する結晶形態Eである、式(I)の結晶性化合物を提供する。別の実施形態において、式(I)の結晶性化合物の総量の少なくとも約95重量%は、結晶形態Eである。
【0029】
特定の実施形態において、本発明は、大量の量の式(I)の化合物の結晶または非晶質形態を提供する。実施形態において、大量の式(I)の結晶性化合物は、約1kg超、約10kg超、または約100kg超を含み得る。別の実施形態において、大量の式(I)の結晶性化合物は、約1kg~約1000kg、約10kg~約1000kg、約100kg~約1000kg、約1kg~約100kg、約10kg~約100kg、または約1kg~約10kgを含み得る。
【0030】
定義
「約」は、記載される値の±0.5%の値などの概略値を指す。例えば、約90重量%の結晶純度を有する結晶形態は、約89.5重量%~90.5重量%である。
【0031】
本開示で使用される場合、「担体」は、担体、賦形剤、及び希釈剤を包含し、ある臓器、または身体の一部から別の臓器、または対象の身体の一部、例えば、ヒトへの薬剤の運搬または輸送に関与する、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材料等の材料、組成物、またはビヒクルを意味する。
【0032】
対象、例えばヒトに関して「治療すること」は、対象の障害の少なくとも1つの症状を改善することを指す。治療は、障害を治癒させること、改善すること、または少なくとも部分的に改善することを含む。
【0033】
「障害」は、別段の指示がない限り、疾患、状態、または疾患という用語を意味するために本開示で使用され、これらと互換的に使用される。
【0034】
本開示で使用される場合、「投与する」、「投与すること」、または「投与」という用語は、開示される化合物またはその薬学的組成物を対象、例えばヒトに直接投与するかのいずれかを指す。
【0035】
「有効量」という用語は、開示される化合物を投与することによって障害を治療または予防する方法と関連して使用する場合、対象、例えば、ヒトに投与される、治療効果を提供する化合物の量を指す。
【0036】
本明細書で使用される「結晶性」という用語及び関連する用語は、物質、成分または生成物を説明するために使用される場合、物質、成分または生成物が、X線回折、顕微鏡法、偏光顕微鏡法、または当業者に既知の他の既知の分析手順によって決定されるように実質的に結晶性であることを意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「多形」は、様々な分子立体構造及び分子充填に由来する、結晶中で異なる単位細胞構造を有する化合物の結晶形態を指す。単一の化合物の多形体は、互いに1つ以上の異なる化学的、物理的、機械的、電気的、熱力学的、及び/または生物学的特性を有し得る。多形によって示される物理的特性の違いは、貯蔵安定性、圧縮性、密度(組成物及び製品製造において重要)、溶解速度(生物学的利用可能性を決定する上で重要な因子)、溶解度、融点、化学的安定性、物理的安定性、粉末流動性、水分吸収、締固め、及び粒子形態等の製薬パラメータに影響を及ぼし得る。安定性の違いは、化学反応性の変化(例えば、剤形がある多形体から構成されるときに、別の多形体から構成されるときよりも速く変色するような示差酸化)、または機械的変化(例えば、速度論的に好ましい多形体が熱力学的により安定な多形体に変換する際の貯蔵時の結晶変化)、またはその両方(例えば、一方の多形体は他方よりも吸湿性が高い)に起因し得る。溶解度/溶解の差の結果、いくつかの変化は、効力及び/または毒性に影響を及ぼす。加えて、結晶の物理的特性は、処理において重要であり得、例えば、ある多形体は、溶媒和物を形成する可能性が高くなり得るか、または不純物を含まずに濾過及び洗浄することが困難であり得る(すなわち、粒子形状及びサイズ分布は、ある多形体と他の多形体とを比較して異なる場合がある)。本明細書で使用される場合、「非晶質」は、化合物の固体形態または化合物の可溶性形態であり得る化合物の非結晶形態を指す。例えば、「非晶質」は、分子または外部面の規則的な反復配置を有しない化合物を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「無水」という用語は、組成物の総重量に対して約0.1、0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10重量%以下の水分を有する結晶形態を指す。場合によっては、無水結晶形態は、非溶媒和物と称され得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、結晶格子が結晶化の1つ以上の溶媒を含む、化合物の多形体形態などの式(I)の化合物の結晶形態を指す。溶媒の例としては、水、MeOH、EtOH、及びAcOHが挙げられるが、これらに限定されない。水が溶媒分子である溶媒和物は、典型的には「水和物」と称される。水和物は、化学量論量の水を含有する組成物、ならびに可変量の水を含有する組成物が挙げられる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋な結晶形態」という用語は、NiフィルタリングされたCu Kα(45kV/40mA)放射線を使用してPANalytical X’Pert Pro回折計または当業者に知られている同等の器具を使用して他の結晶形態が検出できない、結晶純度を有する結晶形態を意味する。
【0041】
本発明の結晶形態は、単結晶データ、粉末X線回折(「PXRD」または「XRPD」)、示差走査熱量測定(「DSC」)、熱重量分析(「TGA」)、及びラマン分光法を使用して特徴付けることができる。本明細書に記載され、特許請求される数値は概略値であることを理解されたい。値内のばらつきは、とりわけ機器の較正、機器の誤差、材料の純度、結晶サイズ、及びサンプルサイズなどの要因に起因する場合がある。加えて、同じ結果を得ながらも、ばらつきが可能であり得る。例えば、X線回折値は概して±0.2度以内で正確であり、X線回折パターンにおける強度(相対強度を含む)は、用いられる測定条件に応じて変動し得る。同様に、DSCの結果は、典型的には、約2℃以内に正確である。したがって、本発明の結晶形態は、本明細書に開示される添付の図面に示される特徴付けパターンと完全に同一の特徴付けパターン(すなわち、PXRD、DSC、及びTGAのうちの1つ以上)を提供する結晶形態に限定されないことを理解されたい。添付の図に記載されるものと実質的に同じ(例えば、2Θ±0.2°)特徴付けパターンを提供する任意の結晶形態は、本発明の範囲内に入る。実質的に同一の特徴付けパターンを確認する能力は、当業者の範囲内である。
【0042】
本発明の結晶形態を含む薬学的組成物及び単一単位剤形もまた、本発明によって包含される。本発明の個々の剤形は、経口、粘膜(舌下、口腔、直腸、鼻、または膣を含む)、非経口(皮下、筋肉内、ボーラス注射、動脈内、または静脈内を含む)、経皮、または局所投与に好適であり得る。
【0043】
本発明の単一の単位剤形は、患者への経口、粘膜(例えば、鼻、舌下、膣、口腔、または直腸)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内、または動脈内)、または経皮投与に好適である。
【0044】
典型的には、本発明の剤形の組成物、形状、及び種類は、それらの使用に応じて変化するであろう。本発明によって包含される特定の剤形の方法及び他の方法は互いに異なることは、当業者には容易に明らかになるであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18 th ed.,Mack Publishing,Easton Pa(1995)を参照されたい。
【0045】
典型的な薬学的組成物及び剤形は、1つ以上の担体、賦形剤または希釈剤を含む。好適な賦形剤は、薬学の分野の当業者に周知であり、好適な賦形剤の非限定的な例が本明細書に提供される。特定の賦形剤が薬学的組成物または剤形への組み込みに適しているかどうかは、剤形が患者に投与されるであろう方法が含まれるがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の様々な要因に依存する。例えば、錠剤などの経口剤形は、非経口剤形での使用に適していない賦形剤を含有し得る。特定の賦形剤の適合性はまた、剤形中の特定の活性成分に依存し得る。
【0046】
結晶形態
形態A
式(I)のかかる結晶形態の1つは、形態Aとして知られている。いくつかの実施形態において、形態Aは、式(I)の非溶媒和結晶形態である。いくつかの実施形態において、形態Aは式(I)の無水結晶形態である。
【0047】
特定の実施形態において、形態Aは、7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも2つまたは3つのピークを含む、NiフィルタリングされたCu Kα(45kV/40mA)放射線で得られるX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、図3Aを参照されたい。
【0048】
いくつかの実施形態において、形態Aは、18.5及び19.3の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、18.5、19.3、及び21.1の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、18.5、19.3、及び22.2の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、17.1、18.5及び19.3の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、16.7、18.5及び19.3の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、14.7、18.5及び19.3の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、9.6、18.5及び19.3の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、18.5、19.3、21.1、及び22.2の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、いくつかの実施形態において、形態Aは、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.2、21.1、及び22.2の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0049】
特定の実施形態において、形態Aは、NiフィルタリングされたCu Kα(45kV/40mA)放射線で得られるX線粉末回折パターンによって特徴付けられ、12.0、9.2、6.0、5.3、5.2、4.8、4.6、4.2、及び4.0から選択される少なくとも2つまたは3つのd間隔値(d間隔±0.2Å)を含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、形態Aは、少なくとも4.8及び4.6にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、少なくとも4.8、4.6、及び4.2にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、少なくとも4.8、4.6、及び4.0にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、少なくとも5.2、4.8及び4.6にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、少なくとも5.3、4.8及び4.6にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、少なくとも6.0、4.8及び4.6にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、少なくとも9.6、4.8及び4.6にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、少なくとも4.8、4.6、4.2、及び4.0にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、少なくとも6.0、5.3、5.2、4.8、及び4.6にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、いくつかの実施形態において、形態Aは、少なくとも9.2、6.0、5.3、5.2、4.8、4.6、4.2、及び4.0にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0051】
いくつかの実施形態において、形態Aは、約241℃のピーク温度を有する約235℃~約250℃の温度範囲の吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、吸熱事象は分解とともに生じる。いくつかの実施形態において、15℃/分の走査速度を使用するときに吸熱が観察される。
【0052】
いくつかの実施形態において、形態Aは、約25~約150℃の温度の範囲で約0.2%の重量減少事象を有する熱重量分析(TGA-IR)サーモグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、体重減少は、15℃/分の走査速度を使用するときに観察される。
【0053】
驚くべきことに、形態Aが式(I)の化合物の最も安定した結晶形態であることが見出された。これは熟成研究で確認された。したがって、より安定した式(I)の化合物の結晶形態を薬学的組成物または剤形で使用することが好ましい場合がある。該形態を使用することにより、薬学的組成物または剤形の分解または改変を回避することができる。
【0054】
形態B
式(I)の別の結晶形態は、形態Bとして知られている。
【0055】
特定の実施形態において、形態Bは、6.8、7.0、13.7、15.5、17.1、17.2、18.5、18.6、19.5、19.6、20.7、20.9、27.8、及び28.0から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも2つまたは3つのピークを含む、Cu Kα(50kV/300mA)放射線で得られるX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、図1を参照されたい。
【0056】
いくつかの実施形態において、形態Bは、6.8及び7.0の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、6.8、7.0、及び20.7の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、6.8、7.0、及び20.9の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、6.8、7.0、及び19.6の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、6.8、7.0、及び17.2の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、6.8、7.0、及び27.8の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、6.8、7.0、20.7、及び20.9の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、6.8、7.0、19.6、20.7、及び20.9の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、6.8、7.0、17.2、19.6、20.7、及び20.9の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、いくつかの実施形態において、形態Bは、6.8、7.0、13.7、15.5、17.1、17.2、18.5、18.6、19.5、19.6、20.7、20.9、27.8、及び28.0の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0057】
特定の実施形態において、形態Bは、Cu Kα(50kV/300mA)放射線で得られるX線粉末回折パターンによって特徴付けられ、12.9、12.6、6.4、5.7、5.2、5.1、4.8、4.7、4.6、4.5、4.3、4.2、及び3.2から選択される少なくとも2つまたは3つのd間隔値(d間隔±0.2Å)を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、形態Bは、少なくとも12.9及び12.6のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、少なくとも12.9、12.6、及び4.3のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、少なくとも12.9、12.6、及び4.2のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、少なくとも12.9、12.6、及び5.1のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、少なくとも12.9、12.6、及び3.2のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、12.9、12.6、4.3及び4.2に少なくともd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、少なくとも12.9、12.6、4.5及び5.1にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、少なくとも12.9、12.6、4.3、4.2、及び5.1にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、いくつかの実施形態において、形態Bは、少なくとも12.9、12.6、6.4、5.7、5.2、5.1、4.8、4.7、4.6、4.5、4.3、4.2、及び3.2にd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0059】
形態C
式(I)の別の結晶形態は、形態Cとして知られている。形態Cは、式(I)の一水和物結晶形態である。
【0060】
特定の実施形態において、形態Cは、3.9、7.6、16.0、18.0、19.2、26.7、27.0、及び28.4から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも2つまたは3つのピークを含む、NiフィルタリングされたCu Kα(45kV/40mA)放射線で得られるX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、図4Aを参照されたい。
【0061】
いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも16.0及び19.2の回折角(2Θ±0.2°)に特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも3.9及び19.2の回折角(2Θ±0.2°)に特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも3.9、16.0、及び19.2の回折角(2Θ±0.2°)に特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも3.9、7.6、16.0、及び19.2の回折角(2Θ±0.2°)に特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも3.9、7.6、16.0、18.4及び19.2の回折角(2Θ±0.2°)に特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも7.6、16.0、18.0、19.2、及び28.4の回折角(2Θ±0.2°)に特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも7.6、16.0、18.0、
19.2、26.7、及び28.4の回折角(2Θ±0.2°)に特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも3.9、7.6、16.0、18.0、19.2、26.7、27.0、及び28.4の回折角(2Θ±0.2°)に特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0062】
特定の実施形態において、形態Cは、22.9、5.6、5.0、4.8、4.6、3.3、及び3.2から選択される少なくとも2つまたは3つのd間隔値(d間隔±0.2Å)を含む、NiフィルタリングされたCu Kα(45kV/40mA)放射線で得られるX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0063】
いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも5.6及び4.6のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも22.9及び4.6のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも22.9、5.6、及び4.6のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも22.9、5.6、4.6、及び3.2の間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも5.3、4.8、4.6、及び3.2のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも22.9、5.3、4.8、4.6、及び3.2のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも11.6、5.3、4.8、4.6、及び3.2のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、いくつかの実施形態において、形態Cは、少なくとも22.9、5.6、5.0、4.8、4.6、3.3、及び3.2のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0064】
いくつかの実施形態において、形態Cは、約50℃~約125℃の温度で、ピーク温度が約105℃の吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、約225~約255℃の範囲の追加の吸熱事象は、約242℃及び約255℃のピーク温度で観察される。いくつかの実施形態において、吸熱は、15℃/分の走査速度を使用するときに観察される。
【0065】
いくつかの実施形態において、形態Cは、約25~約175℃の温度の範囲の水の約3.2%の段階的な減量事象を有する熱重量分析(TGA-IR)サーモグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、水の段階的な重量減少事象は、一水和物塩の脱水に対応する。いくつかの実施形態において、形態Cは、冷却後にFTIRによって確認すると、観察される分解なしで最大255℃まで加熱され得る。いくつかの実施形態において、15℃/分の走査速度を使用する場合、水の段階的な重量減少が観察される。
【0066】
形態D
式(I)の別の結晶形態は、形態Dとして知られている。いくつかの実施形態において、形態Dは、式(I)の非溶媒和結晶形態である。いくつかの実施形態において、形態Dは式(I)の無水結晶形態である。
【0067】
特定の実施形態において、形態Dは、7.1、13.9、15.5、17.2、19.6、19.9、20.8、及び27.9から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも2つまたは3つのピークを含む、NiフィルタリングされたCu Kα(45kV
/40mA)放射線で得られるX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、図5Aを参照されたい。
【0068】
いくつかの実施形態において、形態Dは、7.1及び20.8の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dは、7.1及び19.6の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dは、7.1、19.6、及び20.8の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dは、7.1、17.2、19.6、及び20.8の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dは、7.1、15.5、17.2、19.6、及び20.8の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dは、7.1、15.5、17.2、19.6、20.8、及び27.9の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dは、7.1、17.2、19.6、20.8、及び27.9の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、いくつかの実施形態において、形態Dは、7.1、13.9、15.5、17.2、19.6、19.9、20.8、及び27.9の回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0069】
特定の実施形態において、形態Dは、12.5、6.4、5.7、5.2、4.5、4.4、4.3、及び3.2から選択される少なくとも2つまたは3つのd間隔値(d間隔±0.2Å)を含む、NiフィルタリングされたCu Kα(45kV/40mA)放射線で得られるX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0070】
いくつかの実施形態において、形態Dは、少なくとも12.5及び4.3のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dは、少なくとも12.5及び4.5のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dは、少なくとも12.5、4.5、及び4.3のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dは、少なくとも12.5、5.2、4.5、及び4.3のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dは、少なくとも12.5、6.4、5.2、4.5、及び4.3のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dは、少なくとも12.5、5.2、4.5、4.3、及び3.2のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、いくつかの実施形態において、形態Dは、少なくとも12.5、6.4、5.7、5.2、4.5、4.4、4.3、及び3.2のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0071】
いくつかの実施形態において、形態Dは、約245℃~約280℃の温度範囲の吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、及び約266℃のピーク温度によって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、吸熱事象は分解とともに生じる。いくつかの実施形態において、15℃/分の走査速度を使用するときに吸熱が観察される。
【0072】
いくつかの実施形態において、形態Dは、約25℃~約150℃の温度の範囲の約0.
6%の重量減少事象を有する、熱重量分析(TGA-IR)サーモグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、体重減少事象は、15℃/分の走査速度を使用するときに観察される。
【0073】
形態E
式(I)の別の結晶形態は、形態Eとして知られている。形態Eは、一水和物結晶形態である。
【0074】
特定の実施形態において、形態Eは、10.1、12.5、14.8、16.3、16.6、18.7、22.0、23.4、及び26.2から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも2つまたは3つのピークを含む、NiフィルタリングされたCu Kα(45kV/40mA)放射線で得られるX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、図7Aを参照されたい。
【0075】
いくつかの実施形態において、形態Eは、回折角(2Θ±0.2°)10.1及び16.3の少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eは、回折角(2Θ±0.2°)16.3及び18.7の少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eは、回折角(2Θ±0.2°)16.3及び22.0の少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eは、回折角(2Θ±0.2°)10.1、16.3、及び18.7の少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eは、回折角(2Θ±0.2°)10.1、16.3、及び22.0の少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eは、回折角(2Θ±0.2°)10.1、16.3、18.7、及び22.0の少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eは、回折角(2Θ±0.2°)10.1、14.8、16.3、18.7、及び22.0の少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、いくつかの実施形態において、形態Eは、回折角(2Θ±0.2°)10.1、12.5、14.8、16.3、16.6、18.7、22.0、23.4、及び26.2の少なくとも特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0076】
特定の実施形態において、形態Eは、NiフィルタリングされたCu Kα(45kV/40mA)放射線で得られるX線粉末回折パターンによって特徴付けられ、8.8、7.1、6.0、5.5、5.4、4.8、4.6、4.1から選択される少なくとも2つまたは3つのd間隔値(d間隔±0.2Å)を含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、形態Eは、少なくとも8.8及び5.5のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eは、少なくとも5.5及び4.1のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eは、少なくとも5.5及び4.8のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eは、少なくとも8.8、5.5、及び4.1のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eは、少なくとも8.8、5.5、及び4.8のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eは、少なくとも8.8、5.5、4.8、及び4.1のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。例えば、いくつかの実施形態において、形態Eは、少なくとも
8.8、7.1、6.0、5.5、5.4、4.8、4.6、及び4.1のd間隔値(d間隔±0.2Å)を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
【0078】
いくつかの実施形態において、形態Eは、約85℃~約150℃の範囲の温度、及び約136℃のピーク温度の吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、約200~約225℃の温度の範囲の追加の吸熱事象は、約221℃のピーク温度とともに観察される。いくつかの実施形態において、追加の吸熱事象は分解とともに生じる。いくつかの実施形態において、15℃/分の走査速度を使用するときに吸熱が観察される。
【0079】
いくつかの実施形態において、形態Eは、約85℃~約150℃の温度の範囲において水の約3.1%の段階的重量損失事象を有する熱重量分析(TGA-IR)サーモグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、水の段階的な重量損失は、一水和物塩の脱水に対応する。いくつかの実施形態において、約7.1%の二酸化炭素の追加の段階的重量損失事象は、約175℃~約210℃の温度の範囲で観察される。いくつかの実施形態において、二酸化炭素の事象の付加の重量損失は、分解とともに生じる。いくつかの実施形態において、重量損失事象は、15℃/分の走査速度を使用するときに観察される。
【0080】
いくつかの実施形態において、実験的粉末回折パターンは、NiフィルタリングされたCu Kα(45kV/40mA)放射線ならびに0.02°の2Θステップサイズ及びX’celerator(商標)RTMS(リアルタイムマルチストリップ)検出器を使用したPANalytical X’Pert Pro回折計における粉末上のX線の回折によって得られる。いくつかの実施形態において、試料は粉砕せずにガラスプレート上に置かれ、周囲温度及び湿度で分析される。いくつかの実施形態において、入射ビーム側の構成は、固定発散スリット(0.25°)、0.04rad Sollerスリット、散乱防止スリット(0.25°)、及び10mmビームマスクを含む。いくつかの実施形態において、回折ビーム側の構成は、固定発散スリット(0.25°)及び0.04rad Sollerスリットを含む。いくつかの例では、相対強度が約10%を超えるピークは、特徴的なピークとみなされる。
【0081】
当業者は、X線粉末回折によって得られるピークの相対強度及び位置が、試料調製技術、試料取り付け手順、及び用いられる特定の器具等の要因に応じて変化し得ることを理解するであろう。例えば、追加の実施形態において、列挙される式(I)の結晶形態のX線粉末回折パターンピークは、2Θ±0.2度であってもよく、d間隔±0.2Åであってもよい。
【0082】
測定条件(使用する機器など)に応じて1つ以上の測定誤差を有するX線粉末回折パターンを得ることができることが知られている。X線粉末回折パターンにおける強度は、測定条件によって変動し得る。したがって、本発明の結晶形態は、本出願に記載されるX線粉末回折パターンと同一のX線粉末回折パターンを提供する結晶に限定されず、本出願に記載されるものと実質的に同じ(例えば、2Θ±0.2°)X線粉末回折パターンを提供する任意の結晶が、本発明の範囲内に入ることを理解されたい。例えば、ピークの相対強度は、サイズが30ミクロンを超え、非単一アスペクト比を有する粒によって影響され得、これは、試料の分析に影響を及ぼし得る。当業者は、回折計に試料が置かれる正確な高さ及び回折計のゼロ較正によって反射の位置が影響を受け得ることを認識するであろう。試料の表面平面性はまた、小さな影響を及ぼし得る。したがって、本明細書に記載の回折パターンデータは、絶対値とみなされるべきではない。(例えば、Jenkins,R&Snyder,R.L.‘Introduction to X-Ray Powder
Diffractometry’John Wiley&Sons 1996、Bun
n,C.W.(1948),Chemical Crystallography,Clarendon Press,London、Klug,H.P.&Alexander,L.E.(1974),X-Ray Diffraction Procedures、を参照されたい)。
【0083】
いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の結晶性化合物に存在する結晶形態の総量に対して、少なくとも約50重量%の形態A、少なくとも約60重量%の形態A、少なくとも約70重量%の形態A、または少なくとも約80重量%の形態Aを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の結晶形態Aは、実質的に純粋な結晶形態(例えば、式(I)の1つ以上の他の結晶形態を実質的に含まない)で単離される。いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、少なくとも約90%の形態A、少なくとも約91%の形態A、少なくとも約92%の形態A、少なくとも約93%の形態A、少なくとも約94%の形態A、少なくとも約95%の形態A、少なくとも約96%の形態A、少なくとも約97%の形態A、少なくとも約98%の形態A、少なくとも約99%の形態A、または約100%の形態Aを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、約80%、約85%、または約90%の形態A~約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99.9%の形態A、例えば、約80%の形態A~約99.9%の形態A、約85%の形態A~~約99%の形態A、約90%の形態A~~約99%の形態A、または約90%の形態A~~約95%の形態Aを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、大部分が結晶形態Aであり、式(I)の他の結晶形態、例えば、形態B、C、D、及びEを、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%以下有する。式(I)の形態Aの結晶純度は、XRPDによって決定され得る。いくつかの実施形態において、形態Aの結晶純度は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、形態Aの結晶純度が、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または約99%超となり得ないように、回折計の検出限界によって制限され得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、少なくとも約50重量%の形態B、少なくとも約60%重量の形態B、少なくとも約70重量%の形態B、または少なくとも約80重量%の形態Bを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の形態Bは、実質的に純粋な結晶形態(例えば、1つ以上の式(I)の他の結晶形態を実質的に含まない)で単離される。いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、少なくとも約90%の形態B、少なくとも約91%の形態B、少なくとも約92%の形態B、少なくとも約93%の形態B、少なくとも約94%の形態B、少なくとも約95%の形態B、少なくとも約96%の形態B、少なくとも約97%の形態B、少なくとも約98%の形態B、少なくとも約99%の形態B、または約100%の形態Bを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、約80%、約85%、または約90%の形態B~約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99.9%の形態B、例えば、約80%の形態B~約99.9%の形態B、約85%の形態B~約99%の形態B、約90%の形態B~約99%の形態B、または約90%の形態B~約95%の形態Bを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、大部分が結晶形態Bであり、式(I)の他の結晶形態、例えば、形態A、C、D、及びEを約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%以下有する。式(I)の形態Bの結晶純度は、XRPDによって決定され得る。いくつかの実施形態において、形態Bの結晶純度は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、形態Bの結晶純度が、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または99%超となり得ないように、回折計の検出限界によって制限され得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の結晶性化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、少なくとも約50重量%の形態C、少なくとも約60重量%の形態C、少なくとも約70重量%の形態C、または少なくとも約80重量%の形態Cを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の形態Cは、実質的に純粋な結晶形態(例えば、1つ以上の式(I)の他の結晶形態を実質的に含まない)で単離される。いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、少なくとも約90%の形態C、少なくとも約91%の形態C、少なくとも約92%の形態C、少なくとも約93%の形態C、少なくとも約94%の形態C、少なくとも約95%の形態C、少なくとも約96%の形態C、少なくとも約97%の形態C、少なくとも約98%の形態C、少なくとも約99%の形態C、または約100%の形態Aを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、約80%、約85%、または約90%の形態C~約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99.9%の形態C、例えば、約80%の形態C~約99.9%の形態C、約85%の形態C~約99%の形態C、約90%の形態C~約99%の形態C、または約90%の形態C~約95%の形態Cを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、大部分が結晶形態Cであり、(I)の他の結晶形態、例えば、形態A、B、D、及びEを約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%以下有する。式(I)の形態Cの結晶純度は、XRPDによって決定され得る。いくつかの実施形態において、形態Cの結晶純度は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、形態Cの結晶純度が、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または約99%超となり得ないように、回折計の検出限界によって制限され得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の結晶性化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、少なくとも約50重量%の形態D、少なくとも約60重量%の形態D、少なくとも約70重量%の形態D、または少なくとも約80重量%の形態Dを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の形態Dは、実質的に純粋な結晶形態(例えば、1つ以上の式(I)の他の結晶形態を実質的に含まない)で単離される。いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、少なくとも約90%の形態D、少なくとも約91%の形態D、少なくとも約92%の形態D、少なくとも約93%の形態D、少なくとも約94%の形態D、少なくとも約95%の形態D、少なくとも約96%の形態D、少なくとも約97%の形態D、少なくとも約98%の形態D、少なくとも約99%の形態D、または約100%の形態Dを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、約80%、約85%、または約90%の形態D~約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99.9%の形態D、例えば、約80%の形態D~約99.9%の形態D、約85%の形態D~約99%の形態D、約90%の形態D~約99%の形態D、約90%の形態D~約95%の形態Dを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、大部分が結晶形態Dであり、式(I)の他の結晶形態、例えば、形態A、B、C、及びEを約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%以下有する。式(I)の形態Dの結晶純度は、XRPDによって決定され得る。いくつかの実施形態において、形態Dの結晶純度は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、形態Dの結晶純度が、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または約99%超となり得ないように、回折計の検出限界によって制限され得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の結晶性化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、少なくとも約50重量%の形態E、少なくとも約60重量%の形態E、少なくとも約70重量%の形態E、または少なくとも約80重量%の
形態Eを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の形態Eは、実質的に純粋な結晶形態(例えば、1つ以上の式(I)の他の結晶形態を実質的に含まない)で単離される。いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、少なくとも約90%の形態E、少なくとも約91%の形態E、少なくとも約92%の形態E、少なくとも約93%の形態E、少なくとも約94%の形態E、少なくとも約95%の形態E、少なくとも約96%の形態E、少なくとも約97%の形態E、少なくとも約98%の形態E、少なくとも約99%の形態E、または約100%の形態Eを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の結晶性化合物は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、約80%、約85%、または約90%の形態E~約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99.9%の形態E、例えば、約80%の形態E~約99.9%の形態E、約85%の形態E~約99%の形態E、約90%の形態E~約99%の形態E、または約90%の形態E~約95%の形態Eを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、大部分が結晶形態Eであり、式(I)の他の結晶形態、例えば、形態A、B、C、及びDを約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%以下有する。式(I)の形態Eの結晶純度は、XRPDによって決定され得る。いくつかの実施形態において、形態Eの結晶純度は、式(I)の化合物中に存在する結晶形態の総量に対して、形態Eの結晶純度が約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または約99%超となり得ないように、回折計の検出限界によって制限され得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、式(I)の形態A~Eは結晶性固体である。他の実施形態において、式(I)の形態A~Eは、非晶質の式(I)を実質的に含まない結晶性固体である。実施形態において、非晶質の式(I)の存在は、XRPDによって決定され得る。
【0089】
特定の実施形態において、実質的に純粋な式(I)の結晶形態(例えば、形態A~E)は、様々な結晶化または再結晶化方法によって得ることができる。いくつかの実施形態において、実質的に純粋な式(I)の結晶形態は、水、MeOH、2-メトキシエタノール、1-プロパノール、ニトロメタン:DMSO(80:20)、MeCN、DMSO、アセトン、2-ブタノン、DCM、酢酸メチル、4-メチル-2-ペンタノン、クロロホルム、EtOAc、クロロベンゼン:DMSO(80:20)、THF、1,4-ジオキサン、イソプロピルエーテル、トルエン:DMSO(80:20)、シクロヘキサン、ヘプタン、1-ブタノール、IPA、トリフルオロエタノール、ジメチルカーボネート、MTBE、酢酸イソプロピル、エタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、シクロヘキサン、DMF、2-メトキシエチルエーテル、MeOH:水(95:5)、MeCN:水(95:5)、アセトン:水(95:5)、THF:水(95:5)、IPA:水(95:5)、MeOH:水(90:10)、MeCN:水(90:10)、アセトン:水(90:10)、1-4ジオキサン:水(90:10)、2-プロパノール:水(90:10)、アセトン:水(80:80)、THF:水(90:10)、エタノール:水(20:80)、2-プロパノール:DMSO(80:20)、MeCN:DMSO(80:20)を含む溶媒から結晶化または再結晶化することができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、再結晶化溶媒は、0.1~1の範囲の水活性を有することができる。
【0090】
特定の実施形態において、本明細書で提供される結晶形態は、粒径を含むように粉砕条件に供される。式(I)の粒径を記述する命名法は、一般に「D90」と称され、本明細書でもそうである。例えば、8のD90(またはD90=8)は、粒子の少なくとも90%(粒子の総質量、総体積、及び/または総数に対して決定される)が、8ミクロン未満の粒径を有することを意味する。いくつかの実施形態において、粒子サイズ分布は、レーザー回折乾燥粒子サイズ分析器によって決定され、総体積に対する粒子サイズ分布の決定
をもたらし、すなわち、8のD90(またはD90=8)は、少なくとも90体積%(または体積%)の粒子が8ミクロン未満の粒子サイズを有することを意味する。いくつかの実施形態において、本明細書で提供する結晶形態は、約1μm~20μm、例えば、約2、3、4、または5μm~15、16、17、18、または19μmの粒径(D90)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される結晶形態は、約10、11、12、13、14、または15μmの粒径(D90)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される結晶形態は、約5、6、7、または8μmの粒径(D90)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される結晶形態は、約15μmの粒径(D90)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される結晶形態は、約8μmの粒径(D90)を含む。
【0091】
治療的/予防的投与及び本開示の組成物
本明細書に提供される式(I)の結晶形態は、医薬において有利に有用である。上述のように、式(I)の結晶形態は、不眠症障害の治療または予防を必要とする対象、例えばヒトにおける不眠症障害を治療または予防するのに有用である。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、不眠症障害の治療を必要とする対象、例えばヒトの不眠症障害を治療するために有用である。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、不眠症障害の予防を必要とする対象、例えばヒトにおける不眠症障害を予防するために有用である。別の実施形態において、本開示の式(I)の結晶形態は、オピオイド及び/またはORL-1受容体の調節を必要とする任意の動物に投与され得る。別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、アルコール中止に関連する不眠症の治療を必要とする対象、例えば、ヒトにおけるアルコール中止に関連する不眠症の治療に有用である。特定の実施形態において、式(I)の有用な結晶形態は、形態Aである。
【0092】
対象、例えばヒトに投与される場合、式(I)の結晶形態は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含む組成物の成分として投与され得る。
【0093】
投与方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、非経口、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、経粘膜、口腔内、歯肉、舌下、眼内、脳内、膣内、経皮(例えば、パッチを介して)、直腸、吸入または局所によって、特に耳、鼻、眼、または皮膚が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態において、投与方法としては、静脈内、経口、または吸入が挙げられるが、これらに限定されない。投与方法は、開業医の裁量に任される。場合によっては、投与は、式(I)の結晶形態の血流中への放出をもたらす。他の事例において、投与は、式(I)の結晶形態の局所放出のみをもたらす。
【0094】
さらに別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、制御放出システムまたは持続放出システムにおいて送達され得る。制御放出または持続放出薬学的組成物は、それらの非制御または非持続放出の対応物によって達成されるものよりも薬物療法を改善するという共通の目標を有し得る。一実施形態において、制御放出または持続放出組成物は、不眠症障害またはその症状を長時間にわたって治療または予防するための最小量の式(I)の結晶形態を含む。制御放出または持続放出組成物の利点としては、薬物の活性の延長、投薬頻度の減少、及びコンプライアンスの増加が挙げられる。加えて、制御または持続放出組成物は、作用の開始時間または式(I)の結晶形態の血中レベルなどの他の特徴に好ましく影響を与え得、したがって、有害な副作用の発生を低減し得る。
【0095】
かかる剤形を使用して、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透系、多層コーティング、微粒子、多微粒子、リポソーム、微小球、またはそれらの組み合わせを使用して、1つ以上の活性成分の制御放出または持続放出を提供して、様々な割合で所望の放出プロファイルを提供することができる。本明細書に記載のものを含む当業者に公知の好適な制御または持続
放出製剤は、本開示の活性成分とともに使用するために容易に選択することができる。したがって、本開示は、制御放出または持続放出に適合される錠剤、カプセル、ゲルキャップ、及びカプレットなどであるが、これらに限定されない、経口投与に好適な単一の単位剤形を包含する。
【0096】
組成物は、対象、例えばヒトに適切に投与するための形態を提供するために、任意選択で、しかし好ましくは、好適な量の薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。かかる薬学的賦形剤は、希釈剤、懸濁剤、可溶化剤、結合剤、崩壊剤、防腐剤、着色剤、潤滑剤等であり得る。薬学的賦形剤は、水などの液体、または石油、動物、植物、または合成由来のもの、例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油などを含む油であり得る。薬学的賦形剤は、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、尿素などであり得る。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤、及び着色剤を使用することができる。一実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、対象、例えばヒトに投与される場合、滅菌されている。式(I)の結晶形態が静脈内投与される場合、水は特に有用な賦形剤である。生理食塩水ならびに水性デキストロース及びグリセロール水溶液も、特に注射用溶液のために、液体賦形剤として使用することができる。また、好適な薬学的賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、サッカロース、ゼラチン、麦芽、コメ、コムギ粉、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなども含む。組成物は、所望される場合、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含有することができる。経口剤形を製剤化するために使用することができる薬学的に許容される担体及び賦形剤の具体例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients,(Amer.Pharmaceutical Ass’n,Washington,DC,1986)に記述され、参照により本明細書に組み込まれる。好適な薬学的賦形剤の他の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences Vol.2中のRadebough et al.,“Preformulation”pp.1447-1676(Gennaro,ed.,19th Ed.,Mack Publishing,Easton,PA,1995)に記述され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、経口崩壊錠(ODT)などの錠剤、舌下錠、または飲み込まれるままの錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体を含有するカプセル、粉末、持続放出製剤、座薬、乳剤、エアロゾル、スプレー、懸濁液、微粒子、多微粒子、経口もしくは粘膜投与のための迅速溶解フィルムもしくは他の形態、または使用に好適な任意の他の形態の形態をとることができる。一実施形態において、組成物は、ODTの形態である(例えば、米国特許第7,749,533号及び同第9,241,910号を参照されたい)。別の実施形態において、組成物は、舌下錠剤の形態である(例えば、米国特許第6,572,891号及び同第9,308,175号を参照されたい)。別の実施形態において、組成物は、カプセルの形態である(例えば、米国特許第5,698,155号を参照されたい)。別の実施形態において、組成物は、例えば、従来の方法で製剤化される錠剤、ロゼンジ、ゲル、パッチ、またはフィルムとしての口腔投与に好適な形態である(例えば、Pather et al.,“Current status and the
future of buccal drug delivery systems,”Drug Deliv.5(5):531-542(2008)を参照されたい)。別の実施形態において、組成物は、例えば、Padula et al.,“In Vitro Evaluation of Mucoadhesive Films for Gingival Administration of Lidocaine,”AAPS PharmSciTech 14(4):1279-1283(2013)に開示されるようなポリビニルアルコール、キトサン、ポリカルボフィル、ヒドロキシプロピル
セルロース、またはEudragit S-100を含む高分子フィルムのような、歯肉投与に適した形態である。別の実施形態において、組成物は、は飲み込まれるままの経口剤形の形態である。別の実施形態において、組成物は、眼内投与に好適な形態である。
【0098】
一実施形態において、式(I)の結晶形態は、ヒトへの経口投与に適した組成物として、日常的手順に従って製剤化される。経口送達される式(I)の結晶形態は、例えば、錠剤、カプセル、ゲルキャップ、カプレット、ロゼンジ、水溶液または油性溶液、懸濁液、顆粒、微粒子、多微粒子、粉末、乳剤、シロップ、またはエリキシル剤の形態であり得る。経口剤形は、錠剤、カプセル剤、またはゲルキャップなど飲み込まれるままの経口剤形であり得る。式(I)の結晶形態が経口錠剤に組み込まれるとき、かかる錠剤は、圧縮、錠剤粉砕、腸溶性コーティング、糖コーティング、フィルムコーティング、多重圧縮、または多重層化され得る。固体経口剤形を作製するための技術及び組成物は、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(Lieberman et al.,eds.,2nd Ed.,Marcel Dekker,Inc.,1989 and 1990を参照)。錠剤(圧縮及び成形)、カプセル(硬質及び軟質ゼラチン)、ならびに丸薬を作製するための技法及び組成物は、Kingらによって、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Osol,ed.,16th Ed.,Mack Publishing,Easton,PA,1980)中に“Tablets,Capsules,and Pills”pp.1553-1593として記述される。
【0099】
液体経口剤形としては、水溶液及び非水溶液、エマルション、懸濁液、ならびに任意選択で1つ以上の好適な溶媒、防腐剤、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味料、着色剤、香味剤等を含有する、非発泡性顆粒から再構成された溶液及び/または懸濁液が挙げられる。液体経口剤形を作製するための技術及び組成物は、Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems(Lieberman et al.,eds.,2nd Ed.,Marcel Dekker,Inc.,1996
and 1998)に記載されている。
【0100】
経口投与される式(I)の結晶形態は、薬学的に口当たりの良い調製物を提供するために、1つ以上の薬剤、例えば、甘味剤、例えば、フルクトース、アスパルテーム、またはサッカリン、香味剤、例えば、ペパーミント、ウィンターグリーン油、またはチェリー、着色剤、及び防腐剤を含有してもよい。さらに、錠剤または丸薬形態では、組成物をコーティングして、胃腸管内の崩壊及び吸収を遅らせることにより、長期間にわたって持続的な作用を提供することができる。浸透圧活性のある駆動化合物を取り囲む選択的に透過性の膜もまた、経口投与される組成物に好適である。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルを取り囲む環境からの流体は、駆動化合物によって吸収され、これは、薬剤または薬剤組成物を開口部を通して置換するように膨張する。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤のスパイクプロファイルとは対照的に、本質的にゼロオーダーの送達プロファイルを提供することができる。グリセロールモノステアリン酸塩またはステアリン酸グリセロール等の時間遅延材料も使用することができる。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、及び炭酸マグネシウム等の標準的な賦形剤を含み得る。一実施形態において、賦形剤は、薬学的グレードのものである。
【0101】
式(I)の結晶形態が非経口注射される場合、それは、例えば、等張無菌溶液の形態であり得る。あるいは、式(I)の結晶形態を吸入する場合、それを乾燥エアロゾルに製剤化することができ、または水溶液もしくは部分的に水溶液に製剤化することができる。
【0102】
別の実施形態において、式(I)の結晶形態は、静脈内投与のために製剤化することが
できる。特定の実施形態において、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張性緩衝水溶液を含む。必要に応じて、組成物は、可溶化剤を含み得る。静脈内投与のための式(I)の結晶形態は、注射部位における疼痛を軽減するために、ベンゾカインまたはプリロカイン等の局所麻酔剤を任意選択的に含み得る。一般に、成分は別個に供給されるか、または単位剤形で一緒に混合されるかのいずれかであり、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェット等の密閉容器内で、乾燥凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給される。式(I)の結晶形態が注入によって投与される場合、それは、例えば、滅菌された薬学的グレードの水または生理食塩水を含有する注入ボトルで分配され得る。式(I)の結晶形態が注射によって投与される場合、投与前に成分を混合することができるように、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【0103】
不眠症障害の治療または予防に有効な式(I)の結晶形態の量は、標準的な臨床技術によって決定することができる。加えて、in vitro及び/またはin vivoアッセイを任意選択的に用いて、最適な用量範囲を特定する一助とすることができる。使用される正確な用量はまた、例えば、投与経路及び不眠症障害の重症度に依存し、開業医の判断及び/または各動物の状況に従って決定することができる。その他の例では、とりわけ、治療される動物の体重及び身体状態(例えば、肝機能及び腎機能)、治療される障害、症状の重症度、投与間隔の頻度、任意の有害な副作用の存在、ならびに利用される特定の化合物に応じて、不可避的な変動が生じるであろう。
【0104】
示される効果のために使用される場合、式(I)の開示される結晶形態の有効投薬量は、特定の障害の治療、予防または管理のために必要に応じて、開示される約0.1mg~約5000mgの結晶形態の範囲である。例えば、インビボまたはインビトロで使用するための薬学的組成物は、約0.1、0.5、5、20、50、75、100、150、250、500、750、1000、1250、2500、3500、もしくは5000mgの開示された結晶形態を含有することができるか、または上記用量の列挙内のある量から別の量の範囲で含有することができる。一実施形態において、ヒトに1日用量として投与される式(I)の結晶形態の好適な有効用量は、約0.16mg~約8.0mgである。一実施形態において、ヒトに投与される式(I)の結晶形態の好適な有効な1日用量は、約0.16mgである。他の実施形態において、ヒトに投与される式(I)の結晶形態の好適な有効な1日用量は、約0.20mg、約0.30mg、約0.33mg、約0.35mg、約0.40mg、約0.45mg、約0.46mg、約0.47mg、約0.48mg、約0.49mg、約0.50mg、約0.525mg、約0.55mg、約0.575mg、約0.60mg、約0.625mg、約0.65mg、約0.675mg、約0.70mg、約0.725mg、約0.75mg、約0.775mg、約0.80mg、約0.825mg、約0.85mg、約0.875mg、約0.90mg、約0.925mg、約0.95mg、約0.975mg、約1.00mg、約1.10mg、約1.20mg、約1.30mg、約1.40mg、約1.50mg、約1.60mg、約1.70mg、約1.80mg、約1.90mg、約2.00mg、約2.10mg、約2.20mg、約2.30mg、約2.40mg、約2.50mg、約2.60mg、約2.70mg、約2.80mg、約2.90mg、約3.00mg、約3.25mg、約3.50mg、約3.75mg、約4.0mg、約4.5mg、約5.0mg、約5.5mg、約6.0mg、約6.5mg、約7.0mg、約7.5mg、または約8.0mgである。これらの実施形態のいずれにおいても、1日用量は、任意選択で単回の1日用量である。これらの実施形態のうちのいずれかにおいて、1日用量は、任意選択で、分割された1日用量であり、例えば、上記用量のうちの67%、60%、50%、40%、または33%のいずれかが、意図された就寝時間の前に投与され、残りの33%、40%、50%、60%、または67%それぞれが、毎日の期間の後半、例えば、夜中に覚醒し、その後容易に睡眠に戻ることができないときに投与される。
【0105】
「毎日」という用語は、式(I)の結晶形態の投与時に開始される24時間のサイクルを意味することが理解されるべきである。例えば、通常の一晩の睡眠サイクルについて、式(I)の結晶形態が午後9時30分に投与される場合、その「日」は、翌暦日の午後9時29分に終了する。別の例では、シフトワーカーの睡眠サイクルについて、式(I)の結晶形態が午前8時15分に投与される場合、その「日」は、翌暦日の午前8時14分に終了する。
【0106】
当業者に知られているように、ヒトに関して、1日の用量(mg)は、mg用量を当技術分野で認識されるヒトの平均質量である60kgで割ることによってmg/kg/日の用量に変換することができる。例えば、1.25mgの1日のヒト用量は、約0.021mg/kg/日の投薬量に変換される。
【0107】
本明細書に記載される有効投薬量は、投与される総量を指し、すなわち、2つ以上の式(I)の結晶形態が投与される場合、有効投薬量は、投与される総量に対応する。
【0108】
投与は、単回用量として、または分割用量として、であり得る。一実施形態において、有効用量または投薬量は、必要に応じて(必要になったら)、例えば、睡眠が容易に達成できない場合、または夜中に覚醒し、その後容易に睡眠に戻ることができない場合にのみ投与される。別の実施形態において、有効用量または投薬量は、例えば、意図される就寝時間の約24時間ごとに、不眠症障害が軽減されるまで投与される。別の実施形態において、有効用量または投薬量は、不眠症障害を軽減するために、意図される就寝時間の前に投与される。他の実施形態において、有効用量または投薬量は、不眠症疾患を緩和するために、2、3、4、5、6、7、8、9、10、最大12、12、少なくとも12、最大14、14、少なくとも14、最大21、21、少なくとも21、最大28、28、少なくとも28、最大34、34、少なくとも34、最大40、40、少なくとも40、最大50、50、少なくとも50、最大60、60、少なくとも60、最大75、75、少なくとも75、最大90、90、少なくとも90、最大120、120、少なくとも120、最大150、150、少なくとも150、最大180、180、少なくとも180、最大270、270、少なくとも270、最大360、360、または少なくとも360の連続する日に、意図される就寝時間の前に投与される。他の実施形態において、有効用量または投薬量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、最大12、12、少なくとも12、最大16、16、少なくとも16、最大26、26、少なくとも26、最大52、52、少なくとも52週間、毎日意図される就寝時間の前に投与される。他の実施形態において、有効用量または投薬量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、最大12、12、少なくとも12ヶ月間、毎日意図される就寝時間の前に投与される。これらの実施形態のいずれにおいても、1日用量は、任意選択で単回の1日用量である。
【0109】
一実施形態において、有効用量または投薬量は、睡眠の準備において投与され、これは、例えば、意図される就寝時間の約90分前であり得る。他の実施形態において、有効用量または投薬量は、睡眠の準備中に投与され、睡眠の準備は、意図される就寝時間の約75分前、約60分前、約45分前、約30分前、約20分前、約20分前以下、約15分前、約15分前以下、約10分前、約10分前以下、約5分前、約5分前以下、約2分前、約2分前以下、または意図される就寝時間の約1分前、または意図される就寝時間であり得る。
【0110】
一実施形態において、アルコール中止に関連する不眠症を治療または予防するために、有効用量または投薬量が毎日投与される。別の実施形態において、アルコール中止に関連する不眠症を治療または予防するために、有効用量または投薬量が意図される就寝時間の前に投与される。別の実施形態において、有効用量または投薬量は、アルコール摂取が中
止された後(例えば、対象、例えば、アルコール使用障害を有するヒトがアルコール摂取を中止し始めた後)に開始して投与される。別の実施形態において、アルコール摂取が中止された後に開始して投与される有効用量または投薬量は、アルコール摂取後も継続して投与され得る(例えば、アルコールを控えていたがアルコールを摂取する対象、例えばヒト)。別の実施形態において、有効用量または投薬量は、アルコール摂取が中止される前に投与される(例えば、アルコール使用障害を有する対象、例えばヒトが継続して消費する間)。他の実施形態において、有効用量または投薬量は、アルコール摂取を中止する、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、最大12日、12日、少なくとも12日、最大14日、14日、少なくとも14日、最大21日、21日、少なくとも21日、最大28日、28日、少なくとも28日、最大34日、34日、少なくとも34日、最大40日、40日、少なくとも40日、最大50日、50日、少なくとも50日、最大60日、60日、少なくとも60日、最大75日、75日、少なくとも75日、最大90日、90日、少なくとも90日、最大120日、120日、少なくとも120日、最大150日、150日、少なくとも150日、最大180日、180日、少なくとも180日、最大270日、270日、少なくとも270日、最大360日、360日、または少なくとも360日後に開始して投与される。他の実施形態において、有効用量または投薬量は、アルコール摂取を中止する、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、最大12、12、少なくとも12、最大16、16、少なくとも16、最大26、26、少なくとも26、最大52、52、少なくとも52週間後に開始して投与される。他の実施形態において、有効用量または投薬量は、アルコール摂取を中止する、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、最大12、12、少なくとも12ヶ月後に開始して投与される。これらの実施形態のいずれにおいても、1日用量は、任意選択で単回の1日用量である。
【0111】
式(I)の結晶形態は、アルコールを摂取した対象、例えば、ヒトに投与することができ、または対象、例えば、ヒトは、化合物の投与後にアルコールを摂取し得る。実施形態において、摂取されるエタノールの量は、約0.05g/kg~約5.0g/kg、約0.05g/kg~約2.0g/kg、約0.05g/kg~約1.0g/kg、約0.05g/kg~約0.5g/kg、約0.05g/kg~約0.2g/kg、約0.2g/kg~約5.0g/kg、約0.2g/kg~約2.0g/kg、約0.2g/kg~約1.0g/kg、約0.2g/kg~約0.8g/kg、約0.2g/kg~約0.5g/kg、約0.5g/kg~約5.0g/kg、約0.5g/kg~約2.0g/kg、約0.5g/kg~約1.0g/kg、または約0.5g/kg~約0.8g/kgである。
【0112】
一実施形態において、本開示による式(I)の結晶形態を含む組成物は医薬として使用される。別の実施形態において、該組成物を含有する医薬を調製するために使用することができる式(I)の結晶形態を含む組成物が開示される。
【0113】
別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、睡眠障害の治療または予防の医薬として有用である。別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、睡眠障害が不眠症障害、過眠障害、概日リズム睡眠覚醒障害、アルコール誘発性睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである睡眠障害の治療または予防の医薬として有用である。
【0114】
別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、睡眠障害の治療の医薬として有用である。別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、睡眠障害が不眠症障害、過眠障害、概日リズム睡眠覚醒障害、アルコール誘発性睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである睡眠障害の治療の医薬として有用である。
【0115】
別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、睡眠障害の予防の医薬として有用である。別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、睡眠障害が不眠症障害、過眠障害、概日リズム睡眠覚醒障害、アルコール誘発性睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである睡眠障害の予防の医薬として有用である。
【0116】
別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、不眠症障害の治療または予防の医薬として有用である。別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、不眠症障害の治療の医薬として有用である。別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、不眠症障害の予防の医薬として有用である。
【0117】
別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、アルコール誘発性睡眠障害の治療または予防の医薬として有用である。別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、アルコール誘発性睡眠障害の治療の医薬として有用である。別の実施形態において、式(I)の結晶形態を含む組成物は、アルコール誘発性睡眠障害の予防の医薬として有用である。
【0118】
本開示の組成物は、式(I)の結晶形態を薬学的に許容される担体または賦形剤と混合することを含む方法によって調製される。混合は、化合物(または誘導体)及び薬学的に許容される担体または賦形剤を混合するために既知の方法を使用して達成することができる。一実施形態において、式(I)の結晶形態は、有効量で組成物中に存在する。
【0119】
別の態様では、本開示は、有効量の本明細書に開示される結晶性化合物をそれを必要とする動物に投与することを含み、障害が睡眠障害である、障害を治療、予防、または管理するための方法を対象とする。
【0120】
該態様の実施形態において、睡眠障害は、不眠症、アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害、過眠症、概日リズム睡眠覚醒障害、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0121】
別の態様において、本開示は、睡眠障害の治療、予防、または管理のための医薬の製造における、本明細書に開示される結晶性化合物の使用を対象とする。
【0122】
該態様の実施形態において、睡眠障害は、不眠症、アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害、過眠症、概日リズム睡眠覚醒障害、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0123】
別の態様において、本開示は、睡眠障害の治療、予防、または管理に使用される、本明細書に開示される結晶性化合物を対象とする。
【0124】
該態様の実施形態において、睡眠障害は、不眠症、アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害、過眠症、概日リズム睡眠覚醒障害、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0125】
結晶形態を調製するための方法
式(I)の結晶形態を調製する方法が本明細書に提供される。
【0126】
いくつかの実施形態において、結晶性の式(I)の製造方法は、粗形態の式(I)を結晶化または再結晶化条件に供することを含む。いくつかの実施形態において、粗の式(I)は、まず、ある温度(例えば、25℃)で好適な溶液溶媒(例えば、ギ酸)中に溶解され得る。場合によっては、次いで、溶解された式(I)の溶液をその後濾過して固体微粒
子を除去することができる。いくつかの実施形態において、溶解された式(I)の溶液に、好適な貧溶媒(例えば、EtOAc)を添加する。貧溶媒は、式(I)が溶液溶媒中よりも溶解性が低い溶媒を含み得る。貧溶媒は、約10℃~約60℃の温度で反応の規模に応じて変化する時間量にわたって迅速またはゆっくりと溶液に添加することができる。いくつかの実施形態において、溶液を含む貧溶媒は、スラリーを形成するために一定期間(例えば、1~48時間)、約10℃~約60℃の温度で撹拌して熟成される。いくつかの実施形態において、熟成溶液はスラリーを形成する。いくつかの実施形態において、熟成溶液に式(I)の結晶形態(例えば、形態A)を播種してスラリーを形成する。特定の実施形態において、スラリーは、好適な溶媒(例えば、エタノール)中でp-トルエンスルホン酸(p-TsOH)でさらに処理される。次いで、スラリーを任意選択で冷却し、濾過して、濾過されたケーキを形成することができる。いくつかの実施形態において、プロセスは、減圧下、ある温度(例えば、50℃)で、及び約2時間~約24時間の時間、または式(I)の結晶形態の移動可能な固体が達成されるまで、濾過ケーキを乾燥させることをさらに含み得る。特定の実施形態において、式(I)の結晶形態は、粉末X線回折によって決定される形態Aである。場合によっては、形態Aは、実質的に純粋な結晶形態で得られる。いくつかの実施形態において、再結晶化プロセスを繰り返して、形態Aの実質的に純粋な結晶形態を得ることができる。
【実施例0127】
装置及び分析方法
FT-Raman分光法(FTIR)。ラマンスペクトルを、1064nm Nd:YVO励起レーザー、InGaAs及び液体-N冷却Ge検出器、ならびにMicroStageを装備したNicolet NXR9650またはNXR960分光計(Thermo Electron)で収集した。全てのスペクトルを、Happ-Genzelアポダイゼーション機能及びガラスカバーを通じた2レベルのゼロフィリングを使用して、4cm-1分解能、64スキャンで取得した。
【0128】
偏光顕微鏡法(PLM)。Olympus DP70カメラを備えたOlympus BX60偏光顕微鏡を使用して顕微鏡写真を収集した。
【0129】
粉末X線回折(PXRD)。PXRD回折図は以下で取得した:
(1)NiフィルタリングされたCu Kα(45kV/40mA)放射線、ならびに0.02°の2Θステップサイズ及びX’celerator(商標)RTMS(リアルタイムマルチストリップ)検出器を使用したPANalytical X’Pert Pro回折計、入射ビーム側の構成:固定発散スリット(0.25°)、0.04rad Sollerスリット、散乱防止スリット(0.25°)、及び10mmビームマスク、回折ビーム側の構成:固定発散スリット(0.25°)及び0.04rad Sollerスリット、または
(2)Cu Kα(50kV/300mA)放射線を用いたRigaku RINT TTR III回折計。
【0130】
示差走査熱量測定(DSC)。DSCは、40mL/分のNパージ下で、オートサンプラー及び冷蔵冷却システムを備えたTA Instruments Q100示差走査熱量計を用いて行った。特に断りのない限り、Alパン中でDSCサーモグラムを圧着Alパン中で15℃/分で得た。DSC分析によって記録された遷移温度を開始値として報告する。
【0131】
熱重量分析(TGA)。特に断りのない限り、TGAサーモグラムは、TA Instruments Q500熱重量分析器を用いて、40mL/分のNパージ下、Alパン中で15℃/分で得た。
【0132】
IRオフガス検出(TGA-IR)による熱重量分析。TGA-IRは、ガスフローセル及びDTGS検出器を備えた外部TGA-IRモジュールを備えたNicolet 6700FT-IR分光計(Thermo Electron)に接続されたTA Instruments Q5000熱重量分析器を用いて行った。特に断りのない限り、TGAをPtまたはAlパン中で60mL/分のN流量及び15℃/分の加熱速度で行った。IRスペクトルを4cm -1の分解能で収集し、各時点で32回のスキャンを行った。
【0133】
実施例1:式(I)の合成
【化3】
【0134】
ステップ1.ABKE(15kg)、o-フェニレンジアミン、テトラエトキシシラン、テトラヒドロフラン、及び酢酸の混合物を一定時間撹拌し、次いでTHF中のNaBH(OAc)と混合した。反応物が許容可能な変換に達したとき、反応混合物を水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)中に注ぎ入れた。相分離後、有機層をNaOH水溶液で洗浄し、次いで塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層に、メタノール及び水、続いてABDA種結晶を添加した。水を滴下添加した後、形成したスラリーを濾過し、濾過ケーキを
冷メタノールで洗浄した。得られたケーキを乾燥させて、固体としてABDA(15.68kg、77.3%)を得た。ABKE出発物質は、例えば、米国特許第8,476,271号の実施例1に従って調製され得る。
【0135】
ステップ2.トルエン中のABDA(15.5kg)及びジエチルケトマロネートの溶液を熱酢酸と混合して、ABESを形成した。反応混合物をトルエンで希釈し、トリエチルアミンでクエンチした。混合物を水で洗浄し相分離した後、有機相を減圧下で濃縮し、2-プロパノールを充填した。溶媒交換のために2-プロパノールの濃縮及び充填を繰り返した。スラリーを濾過し、濾過ケーキを2-プロパノールで洗浄した。乾燥により、ABES(18.48kg、90.9%)を固体として得た。
【0136】
ステップ3.エタノール及び精製水中のABESのスラリー(18kg)にNaOH水溶液を加えた。混合物を加熱で撹拌して、対応する中間カルボキシレートナトリウム塩を形成した。反応混合物に、精製水中のp-トルエンスルホン酸(p-TsOH)の溶液を添加して、中間体カルボン酸ナトリウム塩を中和し、式(I)を形成した。スラリーを濾過し、式(I)の濾過ケーキを精製水で洗浄した。式(I)の同一性は、H NMR及びLC/MSを使用して確認した。PXRDによって観察された多形形態を形態Bと命名した。図1は、式(I)のPXRDパターンを形態Bとして示す。X線粉末回折パターンのピークを以下の表1に示す。
表1.式(I)の形態BのPXRDピーク
【表1】
【0137】
ステップ3からの式(I)をさらに乾燥させ、次いでギ酸中に溶解させ、濾過によって浄化した。溶液に、酢酸エチル及び式(I)(形態A)種結晶を添加して、結晶化速度を
増加させ、式(I)のスラリーをもたらした。形態(A)は、種結晶を使用せずにゆっくりと結晶化するであろう。熟成後、追加の酢酸エチル及び少量のp-TsOHを添加した。スラリーを濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。乾燥により、精製された式(I)が結晶性固体として得られた。粉砕後、式(I)(API)21.14kgを、ABESから89.6%収率で得た。式(I)の同一性は、H NMR及びLC/MSを使用して確認した。PXRDによって観察される多形形態を形態Aと命名した。図2は、式(I)のPXRDパターンを形態Aとして示す。PXRDパターンのピークを以下の表2に示す。形態Bとしての残りの式(I)は全て再結晶を繰り返すことによって除去することができる。
表2.式(I)の形態AのPXRDピーク

【表2】
【0138】
実施例1で得られたPXRDパターンを、Cu Kα(50kV/300mA)放射線を使用したRigaku RINT TTR III回折計で得た。
【0139】
実施例2:式(I)の溶解度研究
溶解度を多様な溶媒のアレイにおいて評価し、その後の結晶形態スクリーニング実験のための溶媒系の選択及び対応する投薬戦略を容易にした。式(I)の形態Aの溶解度を、溶解点または最大体積1.8mLに達するまで、少量の溶媒のアリコートを一定量のAPI(10.0mg)に投与することによって、室温で、かつ適用可能な場合、40℃で、12種の溶媒中で視覚的に推定した。表3に示されるように、式(I)は、DMSO中で中程度の溶解度(21~52mg/mL)、及び評価される全ての他の溶媒中で低溶解度(7mg/mL以下)を示す。
表3.溶解度試験結果
【表3】
n/a=該当なし
【0140】
実施例3:式(I)の多形スクリーニング研究
概要
式(I)の多形スクリーニング研究は、約156の結晶化実験を伴い、これらは、新規/重要な結晶形態の再現及び/または特徴付けを目的とした集中実験によって補完された。
【0141】
溶媒選択
60個の溶媒系を、多様なセットの極性、誘電率、双極子モーメント、及び水素結合ドナー/アクセプター属性を提供するために、ニート及び2成分混合物として利用した。様
々な水活性を有する水含有溶媒も含まれ、例えば、G.M.Wilson,J.Am.Chem.Soc.1964,86(2)pp.127-133、及びBell G.et
al.、Enzyme Microb.Technol.,1997,20(6),pp.471-477を参照されたい.
【0142】
結晶化モード
多形スクリーニング研究は、式(I)(API)の形態Aを投入材料として使用して、以下の結晶化モードを使用した。
a)サーモサイクル(TC):APIをHPLCバイアルに添加し、溶媒(1mL)を添加した。試料を1時間室温で撹拌し、溶解に関する観察を行った。試料を50℃で1時間撹拌し、溶解に関する観察を再び行った。試料を50~5℃で96時間TCした。固体を収集し、濾過プレート上で4時間空気乾燥させた。(TC、n=48)
b)再結晶(RC):TCからの試料バイアルを撹拌し、50℃に加熱した。清澄濾過を50℃で行い、濾液を清潔な2mLバイアルに加えた。バイアルを-20℃で3~4日間冷凍庫に入れ、次いで5℃の冷蔵庫に16~24時間移動させた。固体を上記のように回収した。(RC、n=48)
c)蒸発(EV):RC実験からの溶液を10日間にわたってドラフト内でゆっくりと蒸発させた。RCから固体を得た実験物を再濾過し、濾液を上記のように蒸発させた。
d)貧溶媒添加(ASA):貧溶媒を、室温でAPIの飽和し、澄んだ溶液に添加した(ASA、n=12)。
【0143】
スクリーニング生成物の分析
FT-ラマン分光法を、試料の分析及びグループ化のための第1の方法として選択した。グループ化からの代表的な試料をPXRDによって分析して、それらの一意性を検証した。可能な場合/実用的な場合、固有群の代表的な試料をPLM、DSC、及びTGA-IRによってさらに特徴付けられた。
【0144】
結果
表4及び表5に示されるように、式(I)の多形スクリーニングは、3つの結晶形態:・形態A-スクリーニングの主なアウトプット
・形態C-一水和物形態
・形態D-いくつかのEV実験において観察された非溶媒和形態、を生成した
【0145】
実施例Iの式(I)の初期沈殿中に形成された結晶である形態Bは、実施例3内に記載されるスクリーニング中に観察されなかった。別の一水和物結晶形態である形態Eは、再結晶化されない式(I)のバッチ中で同定されたが、実施例3内に記載されるスクリーニング中に観察されなかった。表4及び5に示されるように、式(I)の親遊離酸形態(「親」)も、スクリーンの過程にわたっていくつかの溶液相実験において観察された。
表4.スラリー、冷却、蒸発結晶化の生成物

【表4】
表5.貧溶媒添加の生成物
【表5】
表6.表4と表5の凡例
【表6】
【0146】
多形形態の説明
形態A
形態Aは、多形スクリーニングの主なアウトプットであった非溶媒和形態である。上述のように調製した式(I)の形態Aを、FTIR、TGA、DSC、PXRD、及びPLMによって分析した(図3A~3C)。PXRDパターンを図3Aに示す。X線粉末回折パターンのピークを以下の表7に示す。DSCは、分解とともに生じる239.9℃の複合吸熱を示し、TGA-IRは、25~150℃からの0.2%の重量損失を示す(図3B)。FTIRスペクトルを図3Cに示す。形態Aは、PXRD及びPLM分析によって結晶性である。
表7.式(I)の形態AのPXRDピーク
【表7】
【0147】
形態C
形態Cは、多形スクリーニングから特定される一水和物結晶形態である。形態Cは、TCモードでの2つのTHF/水実験において、形態Aとの混合物として観察された。2つのRC実験において相純度が、及び2つのEV実験において混合物として観察された。上述のように調製した式(I)の形態Cを、FTIR、TGA、DSC、PXRD、及びPLMによって分析した(図4A~4C)。PXRDパターンを図4Aに示す。X線粉末回
折パターンのピークを以下の表8に示す。DSCは、50~125℃の広い吸熱、続いて225~255℃の2つの広い浅い吸熱を示し、TGA-IRは、25~175℃の水の3.2%の段階的な重量損失を示す(図4B)。FTIRスペクトルを図4Cに示す。形態Cは、PXRD及びPLM分析によって結晶性である。
表8.式(I)の形態CのPXRDピーク
【表8】
【0148】
形態D
形態Dは、いくつかのEV実験から観察された非溶媒和形態である。上述のように調製した式(I)の形態Dを、FTIR、TGA-IR、DSC、PXRD、及びPLMによって分析した(図5A~5C)。X線粉末回折パターンを図5Aに示す。PXRDパターンのピークを以下の表9に示す。DSCは、248.0℃で吸熱を示し、TGA-IRは、25~150℃の無視できる重量損失(約0.6%)を示す(図5B)。FTIRスペクトルを図5Cに示す。形態Dは、PXRD及びPLM分析によって結晶性である。
表9.式(I)の形態DのPXRDピーク
【表9】
【0149】
式(I)の多形形態A、C、及びDのPXRDパターンのオーバーレイを図6に示す。
【0150】
形態E
形態Eは、再結晶化されない式(I)のバッチにおいて同定された一水和物形態である。式(I)の形態Eを、FTIR、TGA-IR、DSC、PXRD、及びPLMによって分析した(図7A~7D)。X線粉末回折パターンを図7Aに示す。PXRDパターンのピークを以下の表10に示す。DSCは、85~150℃の広い吸熱を示し、続いて215.4℃の吸熱を示し、TGA-IR分析は、広いDSC吸熱で生じる3.1%の水(1当量)の段階的な重量損失を示す(図7B)。第2の段階的な重量損失である7.1%の二酸化炭素(分解)が175~210℃で観察される。形態E及び形態Cは共に一水和物形態であるが、TGA-IRデータは、図7Cに示されるように、形態E中の水が形態Cよりもより密接に結合している(より高い脱水温度)ことを示唆する。FTIRスペクトルを図7Dに示す。形態Eは、PXRD及びPLM分析によって結晶性である。
表10.式(I)の形態EのPXRDピーク

【表10】
【0151】
実施例3で得られたPXRDパターンを、NiフィルタリングされたCu Kα(45kV/40mA)放射線を用いたPANalytical X’Pert Pro回折計で得た。
【0152】
実施例4:粉砕
21.98kgの結晶形態Aの式(I)を、15,000rpm及び0.6MPaの窒素下で8kg/時の供給速度で流動床対向ジェットミル(型番100AFG、Hosokawa Micron)中で処理した。粉砕後、20.9kg(回収率94.6%)を収集し、レーザー回折乾燥粒子サイズ分析器(HELOS&RODOS)によって分析した。粒子サイズ分布結果を表11に報告する。
表11.粒径分布結果
【表11】
【0153】
実施例5:相対安定性試験
相対安定性試験を25℃で実施し、a=0~a=0.94の範囲の様々な水活性レベルにおける熱力学的結晶安定性を決定した。非溶媒和形態(形態A及びD)及び水和物形態(形態C及びE)の両方を、試験中に熟成させた。
【0154】
式(I)の飽和懸濁液を、指定された溶媒系中で過剰量のAPIを撹拌することによって調製した。懸濁液を25℃で一晩撹拌した。清澄濾過を行い、濾液を種または少量の関連形態を含有する2mLバイアルに添加した。得られた懸濁液を25℃で7日間撹拌した。固体を単離し、45分間空気乾燥させ、FTIRによって分析した。
【0155】
FTIRスペクトルを図8A及び図8Bに示し、形態Aが成熟試験後に残った唯一の結晶形態であったことを示す。試験の結果を表12に要約する。
表12.成熟試験結果
【表12】
【0156】
本出願で引用される全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の文書は、各個々の刊行物、特許、特許出願、または他の文書が全ての目的のため参照により組み込まれることが個々に示されるかのように、同じ程度に全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
様々な特定の実施形態が例示及び説明されているが、本発明(複数可)の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることが理解されるであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の結晶性化合物であって、
【化1】
7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2の回折角(2Θ±0.2°)にピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する、前記結晶性化合物。
【請求項2】
式(I)の結晶性化合物であって、
【化2】
式(I)の前記結晶性化合物の総量の少なくとも約90重量%が、7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成する結晶形態Aである、前記結晶性化合物。
【請求項3】
式(I)の前記結晶性化合物の少なくとも約95重量%が、結晶形態Aである、請求項に記載の結晶性化合物。
【請求項4】
式(I)の前記結晶性化合物の少なくとも約98重量%が、結晶形態Aである、請求項に記載の結晶性化合物。
【請求項5】
前記結晶性化合物が、15μmの粒径D90を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の結晶性化合物。
【請求項6】
前記結晶性化合物が、8μmの粒径D90を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の結晶性化合物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の結晶性化合物と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の約0.16mg~約8.0mgの結晶性化合物を含む、投与単位。
【請求項9】
前記投与単位が、固体経口剤形である、請求項に記載の投与単位。
【請求項10】
前記固体経口剤形が、錠剤またはカプセルである、請求項に記載の投与単位。
【請求項11】
前記投与単位が、約0.5mg~約6.0mgの式(I)の前記結晶性化合物を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の投与単位。
【請求項12】
前記投与単位が、約0.5mg~約3.0mgの式(I)の前記結晶性化合物を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の投与単位。
【請求項13】
結晶形態Aの式(I)の結晶性化合物を生成するプロセスであって、
【化3】
式(I)の化合物をギ酸に溶解して溶液を形成するステップと、
前記溶液を酢酸エチル溶媒で希釈して希釈溶液を形成するステップと、
前記希釈溶液中にスラリーを形成するステップと、
前記スラリーを濾過して、式(I)形態の前記結晶形態Aを単離し、前記結晶形態Aが、7.4、9.6、14.7、16.7、17.1、18.5、19.3、21.1、及び22.2から選択される回折角(2Θ±0.2°)に少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折スペクトルを生成するステップと、を含む、前記プロセス。
【請求項14】
p-トルエンスルホン酸を前記溶液に添加するステップをさらに含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
睡眠障害治療、予防、または管理のための医薬の製造における、請求項1~のいずれか一項に記載の結晶性化合物の使用
【請求項16】
前記睡眠障害が、不眠症、アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害、過眠症、既日リズム睡眠覚醒障害、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の使用
【請求項17】
睡眠障害の治療、予防、または管理に使用するための、請求項1~のいずれか一項に記載の結晶性化合物。
【請求項18】
前記睡眠障害が、不眠症、アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害、過眠症、既日リズム睡眠覚醒障害、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の使用のための結晶性化合物。
【外国語明細書】