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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116759
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】培養肉組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20230815BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20230815BHJP
   A23J 3/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C12N5/071
A23L13/00 Z
A23J3/00 502
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100983
(22)【出願日】2023-06-20
(62)【分割の表示】P 2020523846の分割
【原出願日】2018-07-15
(31)【優先権主張番号】62/532,998
(32)【優先日】2017-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520015988
【氏名又は名称】アレフ ファームス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ベン-アリー,トム
(72)【発明者】
【氏名】レーベンバーグ,シュラミット
(57)【要約】      (修正有)
【課題】筋管を含む食用組成物、および食用組成物を製造するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、三次元多孔性足場と、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞、少なくとも1種の細胞外(ECM)分泌細胞および内皮細胞またはそれらの前駆細胞を含む複数の細胞型とをインキュベートすることと、筋芽細胞の筋管への分化を誘導することと、を含む、食用組成物を製造するための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用組成物を製造するための方法であって、
a.三次元多孔性足場ならびに(i)筋芽細胞またはそれらの前駆細胞;および(ii)少なくとも1種の細胞外マトリックス(ECM)分泌細胞、または(iii)内皮細胞またはそれらの前駆細胞のうちの少なくとも1つを含む複数の細胞型をインキュベートすることであって、前記筋芽細胞またはそれらの前駆細胞および前記内皮細胞またはそれらの前駆細胞は、10:1~1:10の範囲の比でインキュベートされる、インキュベートすることと、
b.筋芽細胞またはそれらの前駆細胞を筋管への分化に誘導することであって、
それによって、前記食用組成物が産生される、誘導することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の細胞型が、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞、少なくとも1種の細胞外マトリックス(ECM)分泌細胞、および内皮細胞またはそれらの前駆細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ECM分泌細胞が、間質細胞、線維芽細胞、周皮細胞、平滑筋細胞およびそれらの前駆細胞からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の細胞型が、筋芽細胞、ECM分泌細胞および内皮細胞を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記筋芽細胞の前駆細胞が衛星細胞である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記内皮細胞が、骨格微小血管内皮細胞、大動脈平滑筋細胞、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の細胞型が、衛星細胞、ECM分泌細胞、および内皮細胞を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記筋芽細胞またはそれらの前駆細胞およびECM分泌細胞が、10:1~1:1の範囲の比でインキュベートされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ECM分泌細胞および内皮細胞が、1:10~1:1の範囲の比でインキュベートされる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記衛星細胞、前記ECM分泌細胞、および前記内皮細胞が、10:1:1~2:1:10の範囲の比でインキュベートされる、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ECM分泌細胞が、線維芽細胞、その前駆細胞、またはその組み合わせである、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記三次元多孔性足場が、テクスチャ加工タンパク質、非テクスチャ加工タンパク質、および多糖類からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記テクスチャ加工タンパク質が、テクスチャ加工大豆タンパク質である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記三次元多孔性足場が、20~1,000マイクロメートルの範囲の平均直径を有する細孔を含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の細胞型が非ヒト細胞である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の細胞が家畜哺乳類に由来する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記筋芽細胞またはそれらの前駆細胞および前記三次元多孔性足場は、前記筋芽細胞またはそれらの前駆細胞が、前記三次元多孔性足場10mgに10~10の範囲の比でインキュベートされる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記三次元多孔性足場が細胞外マトリックスをさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
a.三次元多孔性足場と、
b.前記三次元多孔性足場1mmあたり10,000~250,000個の筋管核を含む筋管と、
c.複数の細胞型であって、(i)筋芽細胞またはそれらの前駆細胞;および(ii)少なくとも1種のECM分泌細胞;または(iii)前記複数の細胞の15%未満を構成する、内皮細胞またはそれらの前駆細胞のうちの少なくとも1つからなる群から選択される複数の細胞型と、を含む、組成物。
【請求項20】
前記複数の細胞型が、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞、少なくとも1種の細胞外マトリックス(ECM)分泌細胞、および内皮細胞またはそれらの前駆細胞を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記筋芽細胞の前駆細胞が衛星細胞である、請求項19または20に記載の組成物。
【請求項22】
前記複数の細胞型が、衛星細胞、ECM分泌細胞、および内皮細胞を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記ECM分泌細胞が、線維芽細胞、その前駆細胞、またはその組み合わせである、請求項19~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記三次元多孔性足場が、テクスチャ加工タンパク質、非テクスチャ加工タンパク質、および多糖類からなる群から選択される、請求項19~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記テクスチャ加工タンパク質が、テクスチャ加工大豆タンパク質である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記三次元多孔性足場が、20~1,000マイクロメートルの範囲の平均直径を有する細孔を含む、請求項19または25に記載の組成物。
【請求項27】
前記複数の細胞型が非ヒト細胞である、請求項19~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記複数の細胞が家畜哺乳類に由来する、請求項19~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記三次元多孔性足場が細胞外マトリックスをさらに含む、請求項19~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が食用である、請求項19~29のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年7月15日に出願された米国仮特許出願第62/532,998号の優先権の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、とりわけ、培養肉の組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人工食肉またはクリーンミートとしても知られる培養肉は、組織工学技術を使用して、細胞培養から生産され、生きた動物を使用する従来の食肉生産の重要な代替物である。過去10年間に、この概念は、特に最初の人工培養ビーフバーガーの生産後、世論、有力メディア、投資家、科学界において一層注目を集めた。動物が生涯を通じて大量の食物を消費するため、動物を用いての食物の生産は、非効率的であると考えられている。この生産では、カロリーの80~90%が、動物の代謝および非食用組織の生産において浪費される。様々な業界を比較したときに、食肉は最大の環境影響を有するが、一般に、動物ベースのすべての製品は、土壌および水の需要、ならびに温室効果ガス(GHG)の排出に関して、植物ベースの製品と比較してより大きい環境フットプリントを有する。国連食糧農業機関の報告書によれば、家畜部門はGHG排出量の18%の原因であり、地球の地形の30%または耕地の70%、および世界の淡水の8%を使用している。さらに、世界の食肉需要は2050年までに倍増することが予想されており、これは、従来の食肉生産システムが持続可能でないことを意味する。いくつかの肉源と比較して、培養肉では、エネルギー使用の7~45%、GHG排出の78~96%、土地使用の99%、および水使用の82~96%を減少させると推定される。
【0004】
集中的な工場農業および十分でない動物福祉条件は、豚および鳥インフルエンザなどの食品由来疾患、および食肉内で見つけることのできる大腸菌、サルモネラ菌、およびカンピロバクターの拡散の原因である。無菌管理環境で食肉を生産することは、食品の安全性を改善する助けとなり得る。さらに、米国で使用されている全抗生物質の70%は、抗菌剤耐性株の選択を助長し、多剤耐性菌の可能性を高める食品添加物として家畜に与えられる。抗生物質の過剰使用は、抗生物質耐性菌の出現の主な原因であり、米国のみで年間550億ドルの経済的負担、200万件の感染、250,000件の入院、少なくとも23,000件の死亡の原因となっている。近年、抗生物質の最後の手段であるコリスチンに耐性のある細菌が中国の養豚場で出現した。
【0005】
現在の培養肉技術では、衛星細胞培養に焦点が当てられている。細胞は、二次元(2D)フラスコまたは懸濁液中のマイクロキャリア上で成長し、分離し、分化し、かつ採取される。しかし、組織は細胞のみで構成されているのではない。糖タンパク質およびオリゴ糖などの巨大分子で構成され、かつ組織に生化学的特性および生体力学的特性を付与する細胞外マトリックス(ECM)は、組織の大部分である。ECMは、細胞の挙動を調節し、その組成に影響を及ぼす。したがって、ECM産生細胞は培養肉に必須であり、細胞採取などのプロセスは回避する必要がある。さらに、三次元(3D)細胞培養は、自然の細胞環境を模倣しており、かつ細胞の生化学的内容物に影響を及ぼす正確な細胞の挙動にとって重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いくつかの実施形態では、本発明は、筋管を含む食用組成物、および食用組成物を製造するための方法に関する。
【0007】
本発明は、複数の細胞型(例えば、衛星細胞、ECM分泌細胞および内皮細胞)を含む細胞培養が、三次元多孔性足場で成長したときなどに、対照と比較して、良好な生存、増殖および筋管形成を示したという発見に一部基づく。
【0008】
本発明は、非ヒト衛星細胞などの衛星細胞が、高内皮細胞(EC)濃度ではなく低内皮細胞(EC)濃度で共培養されたときに、より良好な分化活性を有したという驚くべき発見にさらに一部基づく。
【0009】
一態様によれば、食用組成物を製造するための方法を提供し、本方法は、以下のステップを含む:(a)三次元多孔性足場ならびに(i)筋芽細胞またはそれらの前駆細胞;および(ii)少なくとも1種の細胞外マトリックス(ECM)分泌細胞、または(iii)内皮細胞もしくはそれらの前駆細胞のうちの少なくとも1つを含む複数の細胞型をインキュベートすることであって、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞および内皮細胞またはそれらの前駆細胞が、10:1から1:10の範囲の比でインキュベートされる、インキュベートすることと、(b)筋芽細胞またはそれらの前駆細胞の筋管への分化を誘導し、それにより食用組成物を産生することと、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞、少なくとも1種の細胞外マトリックス(ECM)分泌細胞、および内皮細胞またはそれらの前駆細胞を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、ECM分泌細胞は、間質細胞、線維芽細胞、周皮細胞、平滑筋細胞およびそれらの前駆細胞からなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞、ECM分泌細胞および内皮細胞を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、筋芽細胞の前駆細胞は、衛星細胞である。
【0014】
いくつかの実施形態では、内皮細胞は、骨格微小血管内皮細胞、大動脈平滑筋細胞、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、衛星細胞、ECM分泌細胞、および内皮細胞を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞およびECM分泌細胞は、10:1~1:1の範囲の比でインキュベートされる。
【0017】
いくつかの実施形態では、ECM分泌細胞および内皮細胞は、1:10~1:1の範囲の比でインキュベートされる。
【0018】
いくつかの実施形態では、衛星細胞、ECM分泌細胞、および内皮細胞は、10:1:1~2:1:10の範囲の比でインキュベートされる。
【0019】
いくつかの実施形態では、ECM分泌細胞は、線維芽細胞、その前駆細胞、またはその組み合わせである。
【0020】
いくつかの実施形態では、三次元多孔性足場は、テクスチャ加工タンパク質、非テクスチャ加工タンパク質、および多糖類からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、テクスチャ加工タンパク質は、テクスチャ加工大豆タンパク質である。いくつかの実施形態では、三次元多孔性足場は、20~1,000マイクロメートルの範囲の平均直径を有する細孔を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、非ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、複数の細胞は、家畜哺乳類に由来する。
【0022】
いくつかの実施形態では、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞および三次元多孔性足場は、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞が、三次元多孔性足場10mgに10~10の範囲の比でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、三次元多孔性足場は、細胞外マトリックスをさらに含む。
【0023】
別の態様によれば、(a)三次元多孔性足場;(b)三次元多孔性足場1mmあたり100,000~250,000の筋管核を含む筋管;および(c)複数の細胞型であって、(i)筋芽細胞またはそれらの前駆細胞;および(ii)少なくとも1種のECM分泌細胞、または、(iii)複数の細胞の15%未満を構成する、内皮細胞またはそれらの前駆細胞のうちの少なくとも1つからなる群から選択される、複数の細胞型を含む組成物が提供される。
【0024】
いくつかの実施形態では、組成物は食用である。
【0025】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似のまたは同等の方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験に使用できるが、例示的な方法および/または材料を以下に記載する。一致しない場合、定義を含む特許明細書が優先される。さらに、材料、方法、および例は単なる例示であり、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0026】
本発明のさらなる実施形態および適用可能性の全範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、発明を実施するための形態から本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正が当業者に明らかになるため、例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1A図1C。市販のTSPを示す写真である。(A)TSPの大、中、小のチャンク製品を示す。(B)および(C)は、TVP(左)およびArcon(右)の注釈が付いた2つの他の市販のTSPフレーク製品を示す。
図2図2A図2B。TSP足場の調製(A)、および細胞を含むTSP足場(B)を示す写真である。
図3図3A図3B。大きいTSP(A)および中程度のTSP(B)の倍率100倍のSEM画像である。
図4図4A図4B。大きいTSP(A)および中程度のTSP(B)の2x10倍率のSEM画像である。
図5図5A図5C。線維芽細胞の播種後の8日目(A)、18日目(B)、および21日目(C)に、線維芽細胞(赤)および内皮細胞(緑)が取り込まれたTSP足場の共焦点顕微鏡の画像である。
図6】大、中、小、90°から中として示される異なる供給源から得た足場の三つの異なるサンプル(サンプル1~3)に20万線維芽細胞(赤)を播種して14日後に撮影した共焦点顕微鏡の画像である。90°から中と示される足場は、足場調製手順TSP足場のTSPの細孔側から切り取ったものである。スケールバー=1mm。
図7】14日間TSP足場で培養した筋芽細胞の共焦点顕微鏡の画像(青ーDAPI、緑ーデスミン)である。
図8】14日間TSP足場で培養したウシ骨格筋細胞の共焦点顕微鏡の画像(青-DAPI、緑-ファロイジン)である。
図9図9A図9E。異なる培地に播種されたウシ大動脈平滑筋細胞(BAOSMC)(8継代)の顕微鏡写真である。(A)基礎培地、(B)市販の培地、(C)胎児ウシ血清(15%)添加、(D)非必須アミノ酸添加、および(E)ピルビン酸塩添加。スケールバー=100μm。
図10図10A図10B。培養の3日後の継代9(A)および継代10(B)でのウシ大動脈平滑筋細胞の増殖について、異なる培地での比較を示す縦棒グラフである。
図11図11A図11B。ウシ真皮線維芽細胞(BDF)(A)およびウシ大動脈平滑筋細胞(BAOSMC;B)の成長速度を実証するグラフである。
図12図12A図12L。2日目(A、D、GおよびJ)、6日目(B、E、HおよびK)、および8日目(C、F、IおよびL)に支持細胞との共培養において播種された、蛍光標識ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)細胞の画像である。BAEC細胞(緑)には、ウシ大動脈平滑筋細胞(SMC;A~F)、またはウシ真皮線維芽細胞(BDF;G~L)(両方とも赤である)のいずれかを播種した。A~CおよびG~Iは、5倍率での3x3のタイルスキャンである。D~FおよびJ~Lは、倍率20倍である。スケールバー=100μm。
図13図13A図13L。2日目(A、D、GおよびJ)、6日目(B、E、HおよびK)、および8日目(C、F、IおよびL)での支持細胞との共培養で播種された蛍光標識ウシ骨格筋微小血管内皮細胞(BSkMVEC)細胞の画像である。BSkMVEC細胞(緑)には、ウシ大動脈平滑筋細胞(SMC A~F)、またはウシ真皮線維芽細胞(BDF;G~L)(両方とも赤である)のいずれかを播種した。A~CおよびG~Iは、5倍率での3x3のタイルスキャンである。D~FおよびJ~Lは、倍率20倍である。スケールバー=100μm。
図14図14A図14F。異なる比でBAECおよびSMCを含む蛍光標識細胞の共培養物の画像である。(AおよびD)BAEC対SMC5:1;(BおよびE)BAEC対SMC1:1(CおよびF)は、それぞれ、BおよびEのより高倍率のものである。A~Cは、2日目に撮影した画像であり、D~Fは、6日目に撮影した。BAECは赤である。スケールバー=100μm。
図15図15A図15E。異なる比でBAECおよびBDFを含む蛍光標識細胞の共培養物の画像である。(AおよびC)BAEC対SMC5:1、(BおよびD)BAEC対SMC1:1。(E)は、Dのより高い倍率のものである。AおよびBは、2日目に撮影した画像である。CおよびDは、6日目に撮影した。BAECは赤である。スケールバー=100μm。
図16図16A図16L。異なる比でBAECおよびSMCを含む蛍光標識細胞の共培養物の画像である。(A~D)BAEC対SMC1:3;(E~H)BAEC対SMC1:1;および(I~LおよびF)BAEC対SMC5:1。(B、D、F、H、JおよびL)は、それぞれ(A、C、E、G、IおよびK)のより倍率が高いものである。(A、B、E、F、IおよびJ)は、2日目に撮影した画像であり、(C、D、G、H、KおよびL)は、6日目に撮影したものである。BAECは赤である。スケールバー=100μm。
図17図17A図17G。ウシ衛星細胞(BSC)の分化および筋管の形成を示す図である。(A~C)は、分化前BSC細胞の画像である。(D~F)は、分化後BSC細胞の画像である。(G)は、サンプルの融合指数(FI)を示す縦棒グラフである。(AおよびD)光学顕微鏡、(BおよびE)ヘキスト、ならびに(CおよびF)ミオゲニン。自動FIと手動FIとの間の差はなかったが、分化前と分化後の自動FIの差は、(P値=0.00003)統計的に有意であることが見出された。
図18図18A図18G。分化の0日目でのBSCの明視野顕微鏡写真である。(A)対照、(B)ウシ線維芽細胞成長因子(bFGF)、(C)上皮成長因子(EGF)、(D)IGF-1(インスリン様成長因子1)、(E)Pro-LIF(成長因子LIF(白血病阻害因子)非含有増殖培地)、(F)ウィーニング、および(G)Dil。スケールバー=300μm。
図19図19A図19G。分化の4日目でのBSCの明視野顕微鏡写真である。(A)対照;(B)ウシ線維芽細胞成長因子(bFGF);(C)上皮成長因子(EGF);(D)IGF-1(インスリン様成長因子1);(E)Pro-LIF;(F)ウィーニング;および(G)Dil。スケールバー=300μm。
図20図20A図20H。分化の7日目でのBSCの筋管形成を実証する図である。(A~G)は、(A)対照、(B)ウシ線維芽細胞成長因子(bFGF)、(C)上皮成長因子(EGF)、(D)IGF-1(インスリン様成長因子1)、(E)Pro-LIF、(F)ウィーニング、および(G)Dilの明視野顕微鏡写真である。スケールバー=300μm。(H)は、異なる拡張条件のそれぞれについて定量化した筋管面積%の縦棒グラフである。
図21】成長培地またはPro-LIF培地の多孔性足場での、7日目の細胞被覆の定量値を示す縦棒グラフである。
図22図22A図22L。多孔性足場で分化し、蛍光標識されたBSCの共焦点顕微鏡の画像である。拡張期:(A~D)成長培地で培養した細胞、(E~H)Pro-LIF培地上で培養した細胞、(I~L)Pro-LIF-bFGF培地で培養した細胞である。分化期:(A、EおよびI)いずれの成長因子(GF)も分化培地に添加しなかった。(B、FおよびJ)IGF-1を分化培地に添加した。(C、GおよびK)EGFを分化培地に添加した。(D、HおよびL)IGF-1およびEGFを分化培地に添加した。Dil(赤)、デスミン(緑)、スケールバー=100μm。
図23図23A図23O。播種14日後に撮影した、PLLA/PLGA足場で成長させた三培養の免疫蛍光顕微鏡の写真である。BSC、SMCおよびBAECは、異なる細胞密度(A~E)2:1:1および(F~J)2:1:5でPLLA/PLGA足場に播種した。(K~O)は、(A~E)の倍率である。足場は、DAPI(A、FおよびK)、ミオゲニン(B、GおよびL)、DiI(C、HおよびM)、CD31(D、IおよびN)で染色した。(E、JおよびO)は、合体させた画像である。スケールバー=100μm(A~J);10μm(K~O)。
図24図24A図24F。播種14日後、PLLA/PLGA足場の免疫蛍光顕微鏡の写真である。BSC、SMCおよびBECは、異なる細胞密度(A~C)2:1:1および(D~F)2:1:5でPLLA/PLGA足場に播種した。(AおよびD)BSCおよびSMC(2:1)、(BおよびE)BSCおよびBEC(2:1)、ならびに(CおよびF)BSCのみの単一培養。足場は、DAPI(青)、ミオゲニン(灰色)、DiI(赤)、およびCD31(緑)で染色した。スケールバー=100μm。
図25図25A図25H。播種14日後のテクスチャ加工大豆タンパク質足場でSMCと共培養したBSCの免疫蛍光顕微鏡の写真である。異なる細胞密度(A~D)2:1:1および(E~H)2:1:5の試験を行った。足場は、DAPI(AおよびE)、ミオゲニン(BおよびF)、DiI(CおよびG)で染色した。(D)および(H)は、それぞれの(A~C)および(E~G)の合体させた画像である。スケールバー=100μm。
図26図26A図26E。播種14日後に、テクスチャ加工大豆タンパク質足場で三培養したBSC、SMCおよびBECの免疫蛍光顕微鏡の写真である。足場は、(A)DAPI、(B)ミオゲニン、(C)のDiI、および(D)CD31で染色した。(E)は、(A~D)の合体させた画像である。
図27図27A図27B。播種14日後、2:1:1の比でPLLA/PLGA足場に播種したBSC、SMCおよびBECの三培養のトリクローム染色の顕微鏡写真である。(A)5倍率のタイルスキャンおよび(B)10倍率のタイルスキャン。足場は、トリクローム染色した。陽性細胞外マトリックス(ECM)染色は、丸で囲んでいる。スケールバー=100μm。
図28図28A図28C。筋原性分化および培養内の異なる細胞比の重要性に及ぼす支持細胞の効果を示す縦棒グラフである。筋原性分化は、細胞密度(A)2:1:1、(B)PLLA/PLGA足場での2:1:5、(C)テクスチャ加工大豆タンパク質での2:1:1での三培養(BSC:SMC:BEC)および対照(共培養または単一培養)について、統計分析により示されている。
図29図29A図29N。テクスチャ加工タンパク質足場での三培養の分化について記載している図である。(A~L)は、14日播種後、免疫染色されたテクスチャ加工大豆タンパク質足場の蛍光画像である。細胞をテクスチャ加工大豆タンパク質足場(A、E、およびI)BSC、(B、F、およびJ)BSC+BEC、(C、G、およびK)BSC+SMC、および(D、H、およびL)BSC+SMC+BECの三培養に播種した。(A~D)x20倍率、(E~H)x20のタイルスキャン、および(I~L)ミオゲニン染色、x63倍率。足場は、DAPI(青)、ミオゲニン(灰色)、DiI(赤)、およびCD31(緑)で染色した。スケールバー=100μm。(M)は、単一培養(BSCのみ)、共培養(BSC+BEC;またはBSC+SMC)、および三培養(BSC+SMC+BEC)におけるTSP足場でのミオゲニン発現定量化の縦棒グラフである。(N)は、単一培養およびSMCとの共培養におけるTSP足場でのBSC被覆定量化の縦棒グラフである。
図30】播種の14日後、Gelfoam足場にゲルなしで播種された免疫染色されたBSCの蛍光画像である。足場は、DAPI(青)、ミオゲニン(灰色)、DiI(赤)、およびCD31(緑)で染色した。スケールバー=50μm。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、食物の消費のための培養肉を製造するための組成物、キットおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、多孔性テクスチャ加工タンパク質と、それに付着した筋芽細胞と、1つ以上の細胞型を含む三次元多型細胞組織とを含む食用組成物に関する。本発明は、特定の条件下で筋芽細胞および1つ以上の細胞型を三次元多孔性足場(例えば、多孔性テクスチャ加工タンパク質)と共にin-vitro培養することによる組成物の製造方法にさらに関する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、ヒト、非ヒト動物、またはその両方による消費を目的とし得る。いくつかの実施形態では、培養肉製品は、ヒトが消費するための食品である。他の実施形態では、培養肉製品は、家畜用飼料、水産養殖用飼料、または家庭用ペット用飼料などの動物飼料に使用される。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明は、以下を含む食用組成物を製造するための方法に関する:
a.三次元多孔性足場、ならびに筋芽細胞、および脂肪細胞、線維芽細胞、およびそれらの前駆細胞からなる群から選択される少なくとも1つのECM分泌細胞型、ならびに内皮細胞またはその前駆細胞を含む複数の細胞型をインキュベートすることと、
b.複数の細胞型が三次元多孔性足場で拡張できるようにすることと、
c.筋芽細胞の筋管への分化を誘導することと、を含み、
これにより、細胞が、筋肉細胞および多孔性テクスチャ加工タンパク質を含む三次元多型細胞組織を含む食用組成物を形成できるようになる。
【0031】
本明細書で使用される「筋管」という用語は、複数の筋芽細胞および/または筋細胞の融合から形成される多核繊維を指す。本明細書で使用される「筋肉細胞」という用語は、筋肉組織に寄与する任意の細胞を指し、筋芽細胞、衛星細胞(SC)、筋管、筋繊維、および筋原線維組織を包含し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、この方法には、in vitroまたはex vivoで筋芽細胞を培養すること、これらの細胞を骨格筋細胞または平滑筋細胞などの特定の型の筋肉細胞に分化させることを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明は、多孔性テクスチャ加工タンパク質、および筋肉細胞を含む三次元多型細胞組織を含む食用組成物に関し、ここで、三次元多型細胞組織は、多孔性テクスチャ加工タンパク質に付着し、かつ、三次元多型細胞組織は、筋芽細胞、ならびに脂肪細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞およびそれらの前駆細胞から選択される1つ以上の細胞型を含む複数の細胞型を多孔性テクスチャ加工タンパク質と共にin-vitroで培養することに由来する。
【0034】
以下に例示するように、組成物は、細胞にさらなる構造的および機械的支持をもたらす細胞外マトリックス(ECM)を形成するなどの細胞外分子を分泌する線維芽細胞を含んでもよい。
【0035】
以下にさらに例示されるように、組成物は、組織支持を提供するため、シグナル伝達を提供するため、および/または毛細血管内皮を形成するための内皮細胞(EC)または内皮前駆細胞(EPC)を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、三次元多型細胞組織は、骨格筋細胞、平滑筋細胞、および衛星細胞などの筋肉細胞を含む。いくつかの実施形態では、三次元多型細胞組織は、脂肪細胞(fat cell)(例えば、脂肪細胞(adipocyte))を含む。いくつかの実施形態では、三次元多型細胞組織は、特殊な細胞(例えば、線維芽細胞)によって分泌される余分な細胞マトリックスを含む。いくつかの実施形態では、三次元多型細胞組織は、これらに限定されないが、大動脈内皮細胞および骨格微小血管内皮細胞などの内皮細胞または内皮細胞により形成された毛細血管内皮を含む。いくつかの実施形態では、三次元多型細胞組織は、余分な細胞マトリックスをさらに含む。いくつかの実施形態では、三次元多型細胞組織は、脂肪細胞をさらに含む。いくつかの実施形態では、三次元多型細胞組織は、毛細管をさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明は、多孔性テクスチャ加工タンパク質および細胞培養培地を含む細胞増殖に好適である組成物に関する。別の実施形態では、細胞増殖に好適である組成物は、増殖因子、サイトカイン、生物活性剤、栄養素、アミノ酸、抗生物質化合物、抗炎症性化合物、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。細胞の生存率および成長に好適である好適な培地および化合物は、当業者に公知である。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明は、筋芽細胞、ならびに脂肪細胞、線維芽細胞内皮細胞、平滑筋細胞、およびそれらの前駆細胞から選択される1つ以上の細胞型を含み、多孔性テクスチャ加工タンパク質に付着する複数の細胞型を含む組成物に関する。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明は、三次元多孔性足場(例えば、多孔性テクスチャ加工タンパク質)、ならびに、筋芽細胞ならびに脂肪細胞、線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、およびそれらの前駆細胞から選択される1つ以上の細胞型を含む、複数の細胞型を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、食用組成物を製造するためのものである。いくつかの実施形態では、キットは、細胞培養培地、成長因子、分化培地、分化誘導剤から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、細胞培養培地をさらに含む。別の実施形態では、細胞培養培地は、乾燥粉末培地、顆粒調製物、水性液体または培地濃縮物から選択される。いくつかの実施形態では、複数の細胞型が凍結されている。いくつかの実施形態では、キットは、使用説明書をさらに含む。
複数の細胞型
【0040】
当業者に理解されるように、多数の細胞型または細胞集団を三次元多孔性足場と共に培養でき、これにより、三次元多型細胞組織アーキテクチャを形成できるようになる。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞型は、筋芽細胞、ECM分泌細胞、内皮細胞から選択される。
【0041】
いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞型は、筋芽細胞の前駆細胞である。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞型は、ECM分泌細胞の前駆細胞である。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞型は、内皮細胞の前駆細胞である。
【0042】
本明細書で使用される前駆細胞は、間葉系幹細胞(MSc)、胚性幹細胞(ESc)、成体幹細胞、分化ESc、分化成体幹細胞、および人工多能性幹細胞(iPSc)を含む。本明細書で使用される「前駆細胞」という用語は、筋芽細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、間質細胞、線維芽細胞、周皮細胞、平滑筋細胞、および内皮細胞など、複数の系統で分化細胞を生じさせ得る細胞を指す。「前駆細胞」は、典型的には、広範な自己複製能力を有さないという点で幹細胞とは異なる。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明の複数の細胞型の細胞は、前駆細胞である。いくつかの実施形態では、前駆細胞は、単一培養で培養される。いくつかの実施形態では、前駆細胞は、単一培養で分化される。いくつかの実施形態では、前駆細胞は単一培養で分化され、次いで、本発明の方法に従って複数の細胞と共に三次元多孔性足場でインキュベートされる。非限定的な例としては、これらに限定されないが、間葉系幹細胞を培養して、分化させて筋芽細胞とし、その後、分化した筋芽細胞を三次元多孔性足場に播種し、その後インキュベートすることが挙げられる。前駆細胞を培養し、成熟細胞への分化を誘導する方法は、当業者には明らかであろう。
【0044】
いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞および線維芽細胞を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞、線維芽細胞および/または線維芽細胞前駆細胞を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞、線維芽細胞、および脂肪細胞を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、ならびに/または線維芽細胞前駆細胞および/もしくは脂肪細胞前駆細胞を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞、線維芽細胞および内皮細胞を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞、線維芽細胞および内皮細胞、ならびに/または線維芽細胞前駆細胞、および/もしくは内皮前駆細胞を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞および平滑筋細胞を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞、平滑筋細胞および内皮細胞を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、および脂肪細胞を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞、線維芽細胞、内皮細胞、および脂肪細胞を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、筋芽細胞、線維芽細胞、内皮細胞、脂肪細胞および/または線維芽細胞前駆細胞、および/または脂肪細胞前駆細胞、および/または内皮前駆細胞を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、生きている動物から得られ、初代細胞株として培養される。非限定的な例として、細胞は生検によって得られてもよく、またex vivoで培養されてもよい。別の非限定的な例では、細胞は、商業的供給源から入手され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、多能性胚性幹細胞などの幹細胞に由来する。別の実施形態では、間葉系幹細胞(MSC)が使用される。当業者に公知であるように、MSCは、筋肉細胞、脂肪細胞、骨細胞、および軟骨細胞となり得る。別の実施形態では、細胞は、人工多能性幹細胞(iPSまたはiPSC)である。別の実施形態では、細胞は、これらの動物の胚盤胞期、受精卵、胎盤、または臍帯からの細胞などの全能性胚性幹細胞に由来する。
【0047】
いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、非ヒト細胞に由来する。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、哺乳類、鳥類、魚類、無脊椎動物、爬虫類、両生類、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される非ヒト細胞に由来する。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、哺乳類に由来する。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、非ヒト哺乳類に由来する。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、家畜哺乳類に由来する。本明細書で使用される「家畜」は、飼いならされた哺乳類、半分飼いならされた哺乳類または捕獲飼育下の野生哺乳類を含む。非ヒト哺乳類の非限定的な例としては、アンテロープ、クマ、ビーバー、バイソン、イノシシ、ラクダ、トナカイ、ウシ、シカ、ゾウ、エルク、キツネ、キリン、ヤギ、ウサギ、ウマ、アイベックス、カンガルー、ライオン、ラマ、ムース、ペッカリー、ブタ、ウサギ、アザラシ、ヒツジ、リス、トラ、クジラ、ヤク、およびシマウマ、またはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、鳥細胞に由来する。鳥の非限定的な例としては、ニワトリ、アヒル、エミュー、ガチョウ、ライチョウ、ダチョウ、キジ、ハト、ウズラ、およびシチメンチョウ、またはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、魚類に由来する。魚の非限定的な例としては、バス、ナマズ、コイ、タラ、ウナギ、ヒラメ、フグ、ハタ、ハドック、オヒョウ、ニシン、サバ、マヒ、カジキ、オレンジラフィー、パーチ、カワカマス、スケトウダラ、サーモン、サーディン、サメ、フエダイ、ヒラメ、メカジキ、ティラピア、マス、マグロ、およびウォールアイ、またはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、無脊椎動物に由来する。無脊椎動物の非限定的な例としては、ロブスター、カニ、エビ、アサリ、カキ、ムール貝、およびウニが挙げられる。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、爬虫類に由来する。爬虫類の非限定的な例としては、ヘビ、ワニ、およびカメが挙げられる。いくつかの実施形態では、複数の細胞型は、両生類に由来する。両生類の非限定的な例としては、カエルが挙げられる。
細胞の播種および培養
【0048】
当業者によって理解されるように、本明細書に記載の組成物および方法において使用される細胞の各型は、細胞密度の好ましいまたは最適な範囲を有し得、細胞の生存率に好適である培地または成長因子を優先し得る。いくつかの実施形態では、各細胞型は、特定の細胞密度で播種される。いくつかの実施形態では、細胞は、同時にまたは連続して播種される。
【0049】
いくつかの実施形態では、筋芽細胞は、10mgの多孔性テクスチャ加工タンパク質に10~10細胞の細胞密度で播種される。いくつかの実施形態では、異なる細胞型が、特定の比で播種される。いくつかの実施形態では、播種された筋芽細胞対播種された線維芽細胞の比は、1:1,000~1,000:1の範囲である。いくつかの実施形態では、播種された筋芽細胞および播種された線維芽細胞対播種された内皮細胞の比は、1:20~20:1の範囲である。いくつかの実施形態では、播種された筋芽細胞および播種された線維芽細胞対播種された脂肪細胞の比は、1:5000~5000:1の範囲である。いくつかの実施形態では、播種された衛星細胞対播種された平滑筋細胞の比は、5:1~1:5の範囲である。いくつかの実施形態では、播種された衛星細胞対播種された骨格微小血管内皮細胞の比は、10:1~1:10の範囲である。いくつかの実施形態では、播種された平滑筋細胞対播種された骨格微小血管内皮細胞の比は10:1~1:10の範囲である。いくつかの実施形態では、播種された衛星細胞対播種された平滑筋細胞対播種された骨格微小血管内皮細胞の比は、10:1:1~2:1:10の範囲である。一実施形態では、播種された衛星細胞対播種された平滑筋細胞対播種された骨格微小血管内皮細胞の比は、2:1:1~2:1:5、またはその間の任意の比である。一実施形態では、播種された衛星細胞対播種された平滑筋細胞対播種された骨格微小血管内皮細胞の比は、2:1:1~2:1:2、またはその間の任意の比である。一実施形態では、播種された衛星細胞対播種された平滑筋細胞対播種された骨格微小血管内皮細胞の比は、2:1:1~2:1:3、またはその間の任意の比である。一実施形態では、播種された衛星細胞対播種された平滑筋細胞対播種された骨格微小血管内皮細胞の比は、2:1:1~2:1:4、またはその間の任意の比である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0050】
いくつかの実施形態では、播種された細胞密度およびインキュベートされた細胞密度はほぼ同じである。
【0051】
一実施形態では、「被覆率%」は、細胞または筋管と接触している多孔性足場の面積または体積を指す。別の実施形態では、被覆率%は、細胞または筋管によって占められている多孔性足場の面積または体積を指す。本明細書で使用されるとき、足場と接触している細胞は、その上、内部、またはそれらの組み合わせにある。
【0052】
いくつかの実施形態では、複数の細胞の被覆率%は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90、または少なくとも99%である。いくつかの実施形態では、複数の細胞の被覆率%は5~20%、15~30%、25~40%、35~50%、45~60%、55~70%、65~80%、75~90%、85~100%、またはそれらの間の任意の範囲である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0053】
いくつかの実施形態では、衛星細胞の被覆率%は、少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90、または少なくとも99%である。いくつかの実施形態では、衛星細胞の被覆率%は、25~40%、35~50%、45~60%、55~70%、65~80%、75~90%、85~100%、またはそれらの間の任意の範囲である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0054】
いくつかの実施形態では、内皮細胞の被覆率%は、最大で2%、最大で5%、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、または最大で50%である。いくつかの実施形態では、内皮細胞の被覆率%は5~15%、10~25%、20~35%、30~50%、またはそれらの間の任意の範囲である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0055】
いくつかの実施形態では、内皮細胞は、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞の増殖を増加させるために使用される。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞の筋管への分化を阻害する。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞の成長および増殖を補助する。いくつかの実施形態では、内皮細胞は、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞の分化には不要である。いくつかの実施形態では、本発明の方法によれば、内皮細胞活性(例えば、筋原性物質の分泌、筋芽細胞の成長、生存、またはその両方を補助する)は、定義された期間維持される。いくつかの実施形態では、内皮活性の定義された期間とは、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞が、三次元多孔性足場の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも99%の被覆率を達成するために必要な期間である。いくつかの実施形態では、内皮活性の定義された期間は、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞が少なくとも30%の被覆率を達成するために必要な期間である。
【0056】
いくつかの実施形態では、筋管の被覆率%は、少なくとも5%、少なくとも20%、少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも90%、または少なくとも99%である。いくつかの実施形態では、筋管の被覆率%は1~10%、5~20%、15~35%、30~50%、40~65%、60~85%、80~90%、90~100%、またはその間の任意の範囲である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0057】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物の筋管は、三次元多孔性足場の1mmあたり10,000~100,000の核、三次元多孔性足場の1mmあたり10,000~100,000の核、三次元多孔性足場の1mmあたり15,000~200,000の核、三次元多孔性足場の1mmあたり50,000~500,000の核、三次元多孔性足場の1mmあたり5,000~1,000,000の核、三次元多孔性足場の1mmあたり100,000~250,000の核、三次元多孔性足場の1mmあたり10,000~1,500,000の核、またはそれらの間の任意の範囲の核を含む。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0058】
当業者には明らかであるように、ECMは、筋管への筋芽細胞の分化に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って利用されるECM分泌細胞により、筋芽細胞の分化が改善される。いくつかの実施形態では、ECM分泌細胞は、組織の物理的特性をシミュレートすることにより、筋芽細胞の分化を改善した。
【0059】
本明細書において定義されるように、「改善された」および「増加した」という用語は同義である。
【0060】
いくつかの実施形態では、改善は、少なくとも5%、少なくとも20%、少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも250%、少なくとも500%、少なくとも750%、少なくとも1,000%、少なくとも2,500%、または少なくとも5,000%である。いくつかの実施形態では、改善は、5~15%、10~35%、25~45%、40~70%、65~90%、85~150%、100~500%、または250~1,000%である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0061】
組織の物理的特性の非限定的な例としては、これらに限定されないが、頑強性、多孔性、柔軟性、剛性などが挙げられる。組織は、そのヤング率、粘度率、または他のパラメータに従って物理的に定義でき、それらはすべて当業者には明らかであろう。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、多孔性テクスチャ加工タンパク質を滅菌するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、多孔性テクスチャ加工タンパク質は、複数の細胞型を播種またはインキュベートする前に滅菌される。いくつかの実施形態では、滅菌はガンマ線照射による。別の実施形態では、滅菌は、エタノールベースの滅菌である。滅菌の手順は、当業者には明らかであろう。
【0063】
当業者であれば、細胞の播種および/または培養が細胞培養培地の存在下で行われることを理解するであろう。別の実施形態では、細胞培養培地は、成長因子、サイトカイン、生物活性剤、栄養素、アミノ酸、抗生物質化合物、抗炎症性化合物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。細胞の生存率および成長に好適である好適な培地および化合物は、当業者に公知である。
【0064】
本発明の方法および組成物で使用できる成長因子としては、これらに限定されないが、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF-1)が挙げられる。PDGFおよびIGF-1は、分裂促進、走化性、および増殖(分化)細胞応答を刺激することが知られている。成長因子は、これらに限定されないが、次の1つ以上であり得る:PDGF、例えば、PDGF AA、PDGF BB;IGF、例えば、IGF-I、IGF-II;線維芽細胞成長因子(FGF)、例えば、酸性FGF、塩基性FGF、β-内皮細胞成長因子、FGF 4、FGF 5、FGF 6、FGF 7、FGF 8、およびFGF 9;トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えば、TGF-P1、TGF β1.2、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β5;骨形成タンパク質(BMP)、例えば、BMP 1、BMP 2、BMP 3、BMP 4;血管内皮成長因子(VEGF)、例えば、VEGF、胎盤成長因子;上皮成長因子(EGF)、例えば、EGF、アンフィレグリン、ベータセルリン、ヘパリン結合EGF;インターロイキン、例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、CSF-G、CSF-GM、CSF-M;神経成長因子(NGF);幹細胞因子;肝細胞成長因子、および毛様体神経栄養因子。
【0065】
以下に例示するように、ウシ由来細胞の場合、最適化された衛星細胞(SC)拡張培地(すなわち、Pro-LIF培地)は、ウシSC(BSC)成長培地(99%)、アムホテリシンB(AB/AM;1%1x)、ZnCl(50μM)、EGF(62ng/ml)、IGF-1(100ng/ml)、およびbFGF(10ng/ml)を含む。
【0066】
以下に例示するように、ウシ由来細胞の場合、最適化されたSC成長培地は、DMEM/HEPES(43.5%)、HamのF-10栄養素ミックス(43.5%)、胎児ウシ血清(10%)、MEM NEAA(1%1x)、GlutaMAX(1%)、およびAB/AM(1%1x)を含む。
【0067】
以下に例示されるように、ウシ由来細胞の場合、最適化されたSC分化培地は、DMEM/HEPES(97%)、ドナーウマ血清(2%)、AB/AM(1%1x)、IGF-1(100ng/ml)、およびEGF(62ng/ml)を含む。
多孔性足場
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明の複数の細胞は、多孔性足場と共にインキュベートされる。本明細書で使用される「足場」という用語は、細胞の固着/付着、成熟、分化、および増殖に好適である表面を提供する物質を含む構造を指す。足場により、機械的安定性および補助がさらにもたらされ得る。足場は、増殖する細胞の集団によって想定される三次元の形状または形態に影響を与えるまたは範囲を定めるために、特定の形状または形態であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明の多孔性足場は、三次元である。
【0069】
いくつかの実施形態では、多孔性足場の平均孔径は、20マイクロメートル(μm)~1000μm、20μm~900μm、20μm~800μm、20μm~700μm、20μm~600μm、20μm~500μm、20μm~400μm、20μm~300μm、20μm~200μm、20μm~100μm、50μm~1000μm、50μm~900μm、50μm~800μm、50μm~700μm、50μm~600μm、50μm~500μm、50μm~400μm、50μm~300μm、50μm~200μm、50μm~100μm、100μm~1000μm、100μm~900μm、100μm~800μm、100μm~700μm、100μm~600μm、100μm~500μm、100μm~400μm、100μm~300μm、100μm~200μm、500μm~1000μm、500μm~900μm、500μm~800μm、500μm~700μm、または500μm~600μmの範囲である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態では、多孔性足場の平均孔径は、20μm~1000μmの範囲である。
【0070】
いくつかの実施形態では、多孔性足場は食用である。いくつかの実施形態では、多孔性足場は、テクスチャ加工タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、多孔性足場は、多糖類を含む。いくつかの実施形態では、テクスチャ加工タンパク質は、テクスチャ加工された植物性タンパク質である。いくつかの実施形態では、テクスチャ加工タンパク質は、テクスチャ加工大豆タンパク質(TSPなど)である。
【0071】
本明細書では、用語「テクスチャ」は、様々なサイズ、形状、および構成に容易に形成でき、かつ水に非分散性である個々の細胞の剛性の塊、または柔軟な塊を指すために使用される。
【0072】
本明細書で使用するのに好適である粒子状テクスチャ加工タンパク質物質は、乾燥重量基準において30%~100%のタンパク質、およびタンパク質源物質または添加されたアジュバント物質に関連する0%~70%の物質から構成され得る。アジュバント物質の例としては、炭水化物、ビタミン、香料、着色料などである。いくつかの実施形態では、タンパク質粒子は、乾燥重量で50%~100%のタンパク質、または50%~80%のタンパク質で構成されている。
【0073】
テクスチャ加工粒子状タンパク質物質を形成するためにテクスチャ加工可能な好適な非テクスチャ加工タンパク質は、様々な供給源から入手できる。非限定的な例として、こうしたタンパク質の供給源は、植物性タンパク質および特定の真菌タンパク質であるが、動物性タンパク質を使用してもよい。好適な動物性タンパク質の例としては、カゼイン、コラーゲン、および卵白である。好適な植物性タンパク質源の例は、大豆、ベニバナ種子、トウモロコシ、ピーナッツ、小麦、小麦グルテン、エンドウ豆、ヒマワリ種子、ヒヨコマメ、綿実、ココナッツ、ナタネ、ゴマ種子、葉タンパク質、グルテン、酵母などの単細胞タンパク質などである。
【0074】
好適なタンパク質源の別の例は、キノコである。いくつかの実施形態では、キノコタンパク質源は、乾燥重量で、15~20%(w/w)、20~30%(w/w)、28~45%(w/w)、または10~40%(w/w)のタンパク質の量である。
【0075】
一般に、タンパク質源が植物性タンパク質である場合、使用前のタンパク質は比較的純粋な形態で置かれる。したがって、例えば、タンパク質源が大豆である場合、大豆をヘキサンなどで溶媒抽出して、そこから油を除去してもよい。得られた油分非含有大豆ミールには、約50%のタンパク質が含まれている。
【0076】
大豆ミールは、既知の方法で加工して、炭水化物を除去し、より高レベルのタンパク質を含む製品、例えば、約70%のタンパク質を含む大豆タンパク質濃縮物または約90%以上のタンパク質を含む大豆タンパク質分離物を得ることができる。次に、大豆ミール、濃縮物、分離物、および他の食用タンパク質担持物質を、好適なテクスチャ加工された粒子状タンパク質物質に変換するために、様々な好適な先行技術プロセスを用いることができる。
【0077】
テクスチャ加工されていない動物性および植物性タンパク質担持物質を粒子状テクスチャ加工タンパク質に変換するための好適な方法は、例えば、1954年6月29日にBoyerに付与された米国特許第2,682,466号、1964年7月28日にKitchelに付与された米国特許第3,142,571号、1970年1月6日にAtkinsonに付与された米国特許第3,488,770号、1970年3月3日にCalvertらに付与された米国特許第3,498,794号、1973年9月18日にLoepiktieらに付与された米国特許第3,759,715号、1973年12月11日にStrommerに付与された米国特許第3,778,522号、1974年2月26日にDannertらに付与された米国特許第3,794,731号、1974年6月4日にYangらに付与された米国特許第3,814,823号、および1972年4月28日に出願され、共通譲渡された米国特許出願番号248,581号、現在は、1974年10月8日にLiepaらに付与された米国特許第3,840,679号に開示され、これらの特許は、すべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
代替的実施形態では、多孔性テクスチャ加工タンパク質は、摂取可能な食用であると共に咀嚼可能な他の多孔性組成物で置き換えることができる。本明細書で使用される「摂取可能な」および「食用」という用語は、体内に安全に摂取され得る組成物を指す。これらの組成物としては、吸収されるもの、および吸収されないもの、ならびに消化可能であるおよび消化不可能なものが挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「咀嚼可能な」とは、嚥下する前に咀嚼することにより、より小さい片に破壊する/破砕することができる組成物を指す。当業者は、好適な食用組成物が、所望の用途(例えば、ヒト成人による消費)に対する物理的特性(例えば、ヤング率、粘度率、頑強性など)に従って選択され得ることを理解するであろう。
【0079】
本発明の方法によれば、複数の細胞型は、それ自体が、三次元多孔性足場に播種されている。いくつかの実施形態では、三次元多孔性足場に播種された複数の細胞型は、いかなる固化剤も必要としない。いくつかの実施形態では、三次元多孔性足場に播種された複数の細胞型は、固化剤を必要とする。いくつかの実施形態では、固化剤により、三次元多孔性足場に対する複数の細胞型の固着または付着が増加する。固化剤の非限定的な例としては、トロンビンまたはフィブリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本明細書で使用される場合、「ゲル化剤」および「固化剤」という用語は同義である。
【0081】
特に明記しない限り、本議論において、本発明の実施形態の特徴または複数の特徴の条件または関係特性を修飾する「実質的に」および「約」などの形容詞は、その条件または特性が、意図された用途のための実施形態の動作に対して受け入れ可能である許容範囲内で定義されることを意味すると理解される。特に明記しない限り、明細書および請求項の「または」という用語は、包括的な「または」ではなく排他的な「または」とみなされ、結合する項目のうちの少なくとも1つまたは任意の組み合わせを示す。
【0082】
上記および本明細書の他の場所で使用される「a」および「an」という用語は、列挙された構成要素のうちの「1つ以上」を指すことを理解されたい。特に明記しない限り、単数形の使用が複数形を含むことは当業者には明らかであろう。このため、「a」、「an」、および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では同じ意味で使用される。
【0083】
本教示をよりよく理解する目的で、特に教示の範囲を限定することなく、特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される量、百分率または割合、および他の数値を表すすべての数値は、すべての場合、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでないことが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、各数値パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、および通常の四捨五入法を適用して、少なくとも解釈されるべきである。
【0084】
本出願の説明および特許請求の範囲において、動詞「含む(comprise)」、「含む(include)」および「有する(have)」およびそれらの活用形のそれぞれは、動詞の目的語(複数可)が必ずしも動詞の主語(複数可)の構成要素、要素または部分を完全に列挙していないことを示すために使用される。
【0085】
本明細書で使用される他の用語は、当技術分野におけるそれらの周知の意味によって定義されることを意味する。
【0086】
本発明の追加の目的、利点、および新規の特徴は、限定することを意図するものではなく、以下の実施例を検討するときに、当業者にとって明らかになるであろう。加えて、本明細書中上記で詳述され、以下の特許請求の範囲で請求される本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、以下の実施例で実験的裏付けを見出す。
【0087】
明確にするために別個の実施形態の文脈に記載されている本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態に組み合わせて提供され得ることは認識されるであろう。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈に記載される本発明の様々な特徴は、別個に、または任意の好適な下位の組み合わせで、または本発明の任意の他の記載された実施形態において好適であるものとして提供されてもよい。様々な実施形態の文脈に記載されている特定の特徴は、実施形態がそれらの構成要素なく動作できない場合を除き、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
実施例
【0088】
一般に、本明細書で使用される命名法、および本発明で利用される実験室手順としては、分子、生化学、微生物学および組換えDNA技術が挙げられる。こうした技術は、文献内で徹底的に説明されている。例えば、「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら、(1989年);「Current Protocols in Molecular Biology」第I-III巻、Ausubel,R.M.,編(1994年);Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、Baltimore、Maryland(1989年);Perbal、「A Practical Guide to Molecular Cloning」、John Wiley&Sons、New York(1988年);Watsonら、「Recombinant DNA」、Scientific American Books、New York;Birrenら、(編)「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」、第1-4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York(1998年);米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号および同第5,272,057号に記載の方法、「Cell Biology:A Laboratory Handbook」、Volumes I-III Cellis,J.E.,編集(1994年);「Culture of Animal Cells-A Manual of Basic Technique」Freshney、Wiley-Liss、N.Y.(1994年)、第3版;「Current Protocols in Immunology」Volumes I-III Coligan J.E.,編(1994年);Stitesら、(編)、「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton&Lange、Norwalk、CT(1994年);Mishell and Shiigi(編)、「Strategies for Protein Purification and Characterization-A Laboratory Course Manual」CSHL Press(1996年);「Bacteriophage Methods and Protocols」第1巻:Isolation、Characterization、and Interactionsを参照されたい。これはすべて参照によって組み込まれる。他の一般的な参照は、本文書全体で提供される。
材料および方法
テクスチャ加工大豆タンパク質
【0089】
テクスチャ加工大豆タンパク質(TSP)は、いくつかの異なる製品として市販されている。TSP足場は、市販のTSPの5つの異なる供給源から調製した-3つのTSPチャンク(図1A)は、地元の健康食品店から得て、2つのTSPフレーク(図1B~1C)は、ADMから得た。TSPは、25~40kGyのガンマ線照射で3.5時間滅菌し、滅菌環境で保管するか、70%(v/v)エタノールを15分間使用した。続いて、PBSで3回洗浄した。
TSP足場の調製
【0090】
TSPフレーク(ArconまたはTVP)は、グレーフェピンセットを使用して、約200~400μm(1層あたり)の類似の厚さになるように選択した。フレークを5~10mlの滅菌DDWで37℃で一晩(50mlファルコン)インキュベートした。翌日、フレークを、フード内で非TC 10cmプレート上にて6mm生検パンチを使用して6mm足場に切断した。パスツールピペットを使用して、足場を生検パンチから取り出し、5mlの成長培地を含むファルコンに移した。TSPチャンクをDDWで37℃で一晩インキュベートした。次に、生検パンチを使用してチャンクをシリンダー状(図2Aの挿入図)に切断し、ナイフを使用して厚さ1mmの円板に切断した(図2A)。その後、足場を5mlの成長培地に入れた。
足場播種
【0091】
1つの足場につき、2x10BSCをエッペンドルフに移し、1,500rcfで4分間遠心分離した。一方、各足場は、成長培地を含む50μlで非TC 6ウェルプレートのウェルに入れた。遠心分離後、培地をエッペンドルフ管から吸引し、細胞のペレットを残した。次に、エッペンドルフごとに、次の手順を実行した:(1)ピンセットを使用して足場から培地を完全に吸引し、足場をゆっくり圧絞し、培地残留物を吸引した。(2)7μlのトロンビン(PBS中20MHU/ml sigma)および7μlのフィブリノゲン(PBS中15mg/ml sigma)を加えた。(3)次に、細胞を足場に播種した。(4)足場を、乾燥するまで37℃で30分間インキュベートし、その後、2mlの拡張培地をウェルに加えた。(5)翌日、足場を滅菌グレーフェピンセットを使用して新しい容器(例えば、カバースリップ底付き24非TCウェル)に移し、2mlの拡張培地を加えた。(6)足場は37℃および5%COでインキュベートした。(7)足場は7日間拡張培地で維持した。(8)培地は、2日ごとに交換した(2ml)。(9)7日後、拡張培地をBSC分化培地に交換した。(10)5日間、2日ごとに分化培地を交換した。
細胞培養
【0092】
ウシ衛星細胞(BSC)は、BSC増殖培地(43.5%DMEM/HEPES(Gibco)、43.5%F-10 Nut Mix(Gibco)、10%FBS(HyClone)、1%NEAA(Gibco)、1% GlutaMAX(Gibco)、および1%ペニシリン-ストレプトマイシン-アムホテリシンB溶液(Biological Industries(Ab/Am,BI)、以下を添加、50μM ZnCl(Millipore)、62ng/ml EGF(R&D Systems)、100ng/ml IGF-1(R&D Systems)、10ng/ml LIF(R&D Systems)および10ng/ml bFGF(R&D Systems))で培養した。BSC分化培地は、2%FBSおよび1%Ab/Amを添加したDMEM/HEPESで構成した。赤色蛍光タンパク質(RFP)発現真皮線維芽細胞(Lonza、USA)は、10%FBS(HyClone;Thermo Fisher Scientific)、1%非必須アミノ酸(Biological Industries)、0.2%βメルカプトエタノール(Biological Industries)、および100単位/mlペニシリンおよび0.1mg/mlストレプトマイシン(Pen-Strep Solution、Biological Industries、Israel)を添加したダルベッコ最小必須培地(DMEM;Gibco Life Technologies)で培養される。筋芽細胞(American Type Culture Collection)は、10%FBS、2.5%HEPESバッファー(Biological Industries)および1%Pen-strep溶液を添加したDMEMで培養する。筋芽細胞分化培地は、2%FBS、2.5%HEPESバッファー、および1%Pen-strep溶液が添加されたDMEMで構成されている。すべてのインキュベーションは、37℃の5%(v/v)CO加湿雰囲気で行う。ウシ平滑筋細胞(SMC;CellAplications)は、表3に記載のとおり培養した。ウシ大動脈内皮細胞(BAEC;CellApplications)は、市販の培地(CellApplications)で培養した。ウシ骨格筋微小血管EC(BSkMVEC;AngioProteomie)は、10%総FBSを含むECM市販培地(ScienCell)で培養した。ウシ真皮線維芽細胞(BDF;Sciencell)は、市販の培地(FM-2;ScienCell)または15%FBSを添加したDMEM高グルコース培地で培養した。
免疫組織化学
【0093】
足場をPBSで2回すすぎ、その後シェーカーで20分間4%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定する。足場をシェーカー上でPBSにより5分間3回洗浄し、次いで0.3%トリトンX-100(Bio Lab Ltd)で10分間透過処理する。次に、足場をPBSにより5分間3回洗浄し、次いで、5%ウシ血清アルブミン(BSA;Millipore)を含むPBSに一晩4℃で浸漬する。足場を室温で3時間、250μlの一次抗体(5%BSAを含むPBS)と共にインキュベートする。インキュベーション後、足場をPBSにより5分間4回洗浄する。次に、細胞を室温で3時間、シェーカーで、二次抗体(PBS中)および4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI、PBSで1:1000;Vector Laboratories)と共に、スズ箔で覆ったプレートでインキュベートする。足場をシェーカー上でPBSにより5分間洗浄し、共焦点顕微鏡(LSM 700、Zeiss)で撮像する。
ウシ大動脈平滑筋細胞(BAMSC)
【0094】
4つの異なる培地配合物の細胞増殖に対する効果を、市販の培地(BSM)と比較した(表3)。実験開始時、細胞は8継代で、6ウェルプレートにおいて4,000細胞/cmで播種した。3日目に、細胞をトリプシン処理し、血球計でカウントし、4,000細胞/cmで再播種した。各条件に同じ細胞を使用して、実験を2回実行した。一元配置分散分析を使用して、統計的有意性の試験を行った。
細胞成長動態
【0095】
およそ4x10細胞/cmが播種され、6日間にわたって血球計で毎日数を数えた。数えた値をプロットした。
細胞染色
【0096】
支持細胞(BDFまたはBASMC)は、15μlの親油性トレーサーDiD(無水エタノールで希釈した1mg/ml;#D7757、Molecular Probes(登録商標)、USA)を含む3mlの新鮮培地で染色した。ウシ内皮細胞(BEC;BAECまたはBSkMVEC)は、5μlの親油性トレーサーDiI(無水エタノールで希釈した3mg/ml;#D、Molecular Probes(登録商標)、USA)を含む3mlの新鮮培地で染色し、30分間37℃でインキュベートした。培地で1回洗浄し、次にPBSでさらに2回洗浄した後、細胞をトリプシン処理し、以下に記載するように播種の準備を行った。
多孔性足場上の細胞の播種
【0097】
ウシEC(1.25x10)および支持細胞(0.25x10)を、5mg/mlフィブリノゲン(Sigma Aldrich)と20 NIHu/mlトロンビン(Sigma Aldrich)の1:1混合液5μlに再懸濁した。フィブリノゲン溶液は、40mMグリシン-トリスバッファー中で凍結乾燥ヒトフィブリノゲン(Sigma Chemical)を希釈することにより調製した。トロンビン溶液は、トロンビン(Sigma Aldrich)を40mM塩化カルシウムで希釈することにより調製した。次に、共培養懸濁液を直径4mmの円形PLLA-PLGA多孔性足場に播種し、インキュベーター(37℃、5%CO)で12ウェルの非組織プレート内で30分間固化させた。固化後、追加の5%FBSおよび2nM VEGFを添加した2mlの内皮培養培地(ECM、ScienCell)を各ウェルに添加した。培地は、一日ごとに交換した。
【0098】
多孔性足場に播種された細胞の比をさらに調整するために、細胞は以下の変更を加えて、上記のように播種した:細胞は、最初に1:1培地(bEBM、AngioProteomie:支持細胞の市販培地)で播種し、また、15mg/mlフィブリノゲン(Johnson and Johnson)および2U/mlトロンビン(Johnson and Johnson)の1:1混合液5μlに再懸濁した。
2Dでのウシ衛星細胞(BSC)の分化
【0099】
5x10BSC(4継代)は、カバースリップ底部を備えたTC24ウェルプレート上に3回播種した。細胞は、次のように筋管形成プロトコルに従って成長した。成長培地で4日間、分化培地で7日間(t=0は、分化培地を使用時の開始時点を指す)。その後、細胞は-1日目および7日目にヘキストおよびミオゲニンで染色した。
2DでのBSC分化の最適化
【0100】
BSC(4継代)は、異なるGF(下記に記載)を含む拡張培地で4日間成長させ、その後、分化培地(DMEM-HEPES+2%HS)で7日間成長させた。0日目は、培地が分化培地に交換された日として定義した。
拡張培地配合物には、以下を含む:(1)対照-成長培地(GF添加なし);(2)ウシ線維芽細胞成長因子(bFGF;10ng/ml);(3)上皮成長因子(EGF;62ng/ml);(3)インスリン様成長因子1(IGF-1;100ng/ml);(4)Pro-LIF;bFGF 10ng/ml、EGF62ng/ml、IGF-1 100ng/ml、およびZnCl 50μM);(6)GFウィーニング:Pro-LIF培地で3日間、その後成長培地で3回洗浄(5分ごと)し、その後成長培地で1日。(7)細胞は、DiIで染色し、成長培地で成長させ、細胞を追跡するために追加された蛍光色であるDiIが細胞分化に影響を及ぼすかを確認した。
【0101】
本発明者らは、分化期中のGF:IGF-1、EGFおよびそれらの組み合わせの効果をさらに確認した。BSC(4継代)は、成長培地で4日間成長させ、その後、異なるGFを含む分化培地で7日間成長させた(以下に記載)。分化培地配合物には、以下を含む:(1)対照-元の分化培地(DMEM-HEPES+2%HS)、(2)IGF-1(100ng/ml);(3)EGF(62ng/ml);および(4)IGF-1(100ng/ml)+EGF(62ng/ml)。上記のすべての場合について、明視野顕微鏡を使用して細胞を可視化した。
3D足場でのBSC拡張の最適化
【0102】
この目的のために、次のように、二重要素実験(播種量および拡張培地配合物)を重複して設定した。(1)播種量および細胞数:(a)10μl播種量および1x10BSC;(b)10μl播種量および2x10BSC;ならびに(c)20μl播種量および2x10BSC。(2)拡張培地:(a)成長培地;および(b)Pro-LIF培地(成長培地+bFGF+EGF+IGF-1+ZnCl)。BSC(4継代)はDiIを使用して染色した後、Arcon播種プロトコルに従って多孔性足場(Arcon)に播種した。
3D足場でのBSC分化の最適化
【0103】
この目的のために、次のように二重要素実験(1週目の拡張培地および2週目の分化培地)を設定した。(1)拡張培地:(a)対照(成長培地);(b)Pro-LIF;および(c)Pro-LIF-bFGF。(2)分化培地は単独であるか、または次のとおり添加した:(a)対照(2%ウマ血清を含む分化培地);(b)+IGF-1;(c)+EGF;および(d)+IGF-1+EGF。BSC(4継代)は、DiIを使用して染色した。4mmの多孔性足場に、5μlのフィブリンに0.5x10BSC(4継代)を播種した。細胞は、播種後2日目、7日目および14日目に撮像した。次に、足場をデスミンで染色した。染色は、一次ポリクローナル抗体1:100ヤギαデスミン(Santa Cruz Cat.No.sc-7559)および二次抗体Alexa 1:200 488ロバαヤギ(Invitrogen Cat.No.A11055)を使用したホールマウント染色プロトコルに従って行った。
播種前のウシ衛星細胞(BSC)の染色
【0104】
BSCは、5μlの親油性トレーサーDiI(無水エタノール、Molecular Probes(登録商標)、USAで希釈した3mg/ml)を含む1mlの新鮮培地で染色し、37℃で30分間インキュベートした。培地で1回洗浄し、その後、PBSで2回洗浄し、その後、細胞をトリプシン処理し、記載したとおり播種の準備をした。
PLLA-PLGAでの細胞の播種
【0105】
ウシ衛星細胞(BSC)(ウシEC(BEC)を含む場合、および含まない場合、ならびに支持細胞を含む場合、および含まない場合)は、15mg/mlフィブリノゲン(Sigma Aldrich)と20NIHU/mlトロンビン(Sigma Aldrich)との1:1混合液6μlに再懸濁した。フィブリノゲン溶液は、40mMグリシン-トリスバッファー中で凍結乾燥ヒトフィブリノゲン(Sigma Chemical)を希釈することにより調製した。トロンビン溶液は、トロンビン(Sigma Aldrich)を40mM塩化カルシウムで希釈することにより調製した。次に、細胞懸濁液を直径4mmの円形PLLA-PLGA足場に播種し、インキュベーター(37℃、5%CO)内で12ウェルの非組織プレートで30分間固化させた。固化後、内皮培養培地とBSC成長培地(Pro-LIF)の1:1混合液1mlを各ウェルに加えた。培地は、一日ごとに交換した。1週間後、培地をさらに1週間BSC分化培地(IGF-1およびEGFを添加)に交換した。
テクスチャ加工大豆タンパク質足場での細胞の播種
【0106】
ウシ衛星細胞(BSC)(ウシECを含む場合、および含まない場合、ならびに支持細胞を含む場合、および含まない場合)は、15mg/mlフィブリノゲン(Sigma Aldrich)と20NIHU/mlトロンビン(Sigma Aldrich)との1:1混合液15μlに再懸濁した。フィブリノゲン溶液は、40mMグリシン-トリスバッファー中で凍結乾燥ヒトフィブリノゲン(Sigma Chemical)を希釈することにより調製した。トロンビン溶液は、トロンビン(Sigma Aldrich)を40mM塩化カルシウムで希釈することにより調製した。次に、細胞懸濁液を直径6mmの円形のテクスチャ加工大豆タンパク質足場の両側に播種し、インキュベーター(37℃、5%CO)内で12ウェルの非組織プレートで45分間固化させた。固化後、内皮培養培地とBSC成長培地(Pro-LIF)の1:1混合液1mlを各ウェルに加えた。培地は、一日ごとに交換した。1週間後、培地をさらに1週間BSC分化培地(IGF-1およびEGFを添加)に交換した。
【0107】
以下の表に記載されているように、2つの播種比および2種類の内皮細胞(および適切な培地)の試験を行った:
【表1】
【表2】
【0108】
ウシ衛星細胞(BSC)を15μlのBSC成長培地に再懸濁した。次に、細胞懸濁液を直径6mmのセリンダーGelfoam(c)足場の両側に播種し、インキュベーター(37℃、5%CO2)内で12ウェルの非組織プレートで30分間固化させた。固化後、1mlのBSC増殖培地(Pro-LIF)を各ウェルに加えた。培地は、一日ごとに交換した。1週間後、培地をさらに1週間BSC分化培地(IGF-1およびEGFを添加)に交換した。
足場での細胞成長
【0109】
播種の1週間後および2週間後、細胞成長を評価するために共焦点顕微鏡を使用して、PLLA/PLGAおよびArcon足場に播種したDiI標識BSCを撮像した。
ホールマウント免疫蛍光染色
【0110】
播種の2週間後、足場を4%パラホルムアルデヒド(PFA;Electron Microscopy Sciences)で20分間固定した後、PBS(Gibco(登録商標)Life Technologies)で3回洗浄した。0.3%トリトンX-100(Bio Lab Ltd)で、室温(RT)で15分間足場をインキュベートすることにより、透過処理を行った。PBSで3回洗浄した後、足場をブロッキングバッファー(10%FBS、1%(w/v)グリシンおよび0.01%トリトン、PBS中)で一晩4℃でインキュベートした。その後、足場を一次抗体と共に一晩4℃でインキュベートした:1:50ヤギ抗CD31(Santa Cruz)、1:50マウス抗MYH(Santa Cruz)の有無にかかわらず、ブロッキングバッファーで希釈。PBSで数回洗浄した後、サンプルを1:400ロバ抗ヤギAlexa Fluor(登録商標)488(Jackson ImmunoResearch)、1:50 Alexa Flour 647共役マウス抗ミオゲニン(Santa Cruz)および1:1,000 DAPI(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール、Sigma-Aldrich)(1:300 Alexa Flour 647抗マウスを含む場合、または含まない場合)RTで3時間、インキュベートした。PBSで数回洗浄した後、Zenソフトウェアを使用して、Zeiss LSM700共焦点顕微鏡(Carl Zeiss)で足場を直ちに撮像した。FIJIソフトウェアを使用して、画像処理およびさらなる分析を行った。PLLA/PLGA足場もまた、播種後1週間にホールマウント免疫蛍光染色した。
凍結切断および三色染色
【0111】
各実験の最後に、足場を30%(w/v)スクロース溶液で一晩4℃でインキュベートした。その後、足場を最適な切断温度(OCT)化合物(Tissue-Tec、米国)に埋め込み、その後の凍結切断のために凍結した。OCTを埋め込んだ足場は、凍結切断を行って、厚さ5μmおよび10μmの切片にした。次に、5μm厚の切片を、トリクローム標準染色プロトコルに従って染色した。
実施例1
TSP多孔性足場の三次元構造解析
【0112】
TSP足場は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して検査し、ミクロンスケールおよびナノスケールの両方で三次元(3D)構造を解析した。100倍の画像は、TSPが100~1,000μmの孔径の多孔性であり、細胞培養に使用できることを示した。大きいTSPの壁は、中程度の供給源のTSPと比較して厚いことが示された(図3Aおよび図3B)。大きいTSPのSEM画像(倍率2x10)は、TSPが30nmのボール形状のタンパク質クラスターを含むことを示した。中程度のTSPの解析では、これらのクラスターの間に、より非晶質の接着剤様の物質が示された(図4Aおよび図4B)。
実施例2
多孔性足場で培養した線維芽細胞の成長および増殖
【0113】
TSP足場での線維芽細胞の付着および増殖を調べた。まず、RFPで標識した50,000の真皮線維芽細胞をTSP足場に播種し、培養した。14日間のインキュベーション後、真皮線維芽細胞が取り込まれたTSP足場は、さらに200,000内皮細胞が播種され、さらに7日間インキュベートした。細胞を取り込んだTSPのサンプルを免疫染色し、共焦点顕微鏡を使用して、線維芽細胞の播種から8日後、18日後、および21日後に撮像した。これらの結果は、低細胞数50,000細胞で播種された場合でも、線維芽細胞が増殖して、TSP足場を覆ったことを示した(図5A)。内皮細胞の播種後(図5B)、内皮細胞が集まってクラスターとなった(図5C)。次に、各足場源の足場およびTSPの面方向に対して90°から切断した足場を調べた。足場の各々には、20万線維芽細胞を播種し、14日間インキュベートした。これらの結果は、線維芽細胞が、大きいTSP足場および中程度のTSP足場で成長し、増殖することを実証した(図6)。これらの結果は、細胞が、培養14日後に足場を埋めることができることを示している。
実施例3
多孔性足場で培養された筋芽細胞の成長
【0114】
筋肉組織の生成の適用性を評価するために、実験を実施して、筋肉細胞がTSP足場で成長できるか否かを調べる。
【0115】
この目的のために、0.5x10筋芽細胞は、TSP足場に播種し、血清では低く、従って培養肉の生産のためにより良く適合している分化培地の存在下で培養した。14日目(図7)の筋芽細胞の画像により、TSP足場で筋芽細胞が増殖したことが示され、これにより、細胞は、培養の14日後に足場を埋めることができることが示された。
実施例4
TSPで培養されたウシ骨格筋細胞の増殖
【0116】
ヒトの消費のための適用性を評価するために、ウシ骨格筋細胞(bSkMC)をTSP足場に播種した。具体的には、0.5x10bSkMC細胞は、各足場に播種され、分化培地の存在下で培養した。14日目に、細胞を、共焦点顕微鏡を使用して撮像した。画像(図8)は、bSkMCがTSP足場で増殖することが示され、これは、TSPが培養肉の生産に適用可能であることを示している。
実施例5
ウシ大動脈平滑筋細胞(SMC)の増殖
【0117】
本発明者らは、市販の培地(BSM;表3)と比較して、以下に記載の培地中において播種されたSMCの増殖に及ぼす4つの異なる培地配合物の効果を調べた(図9A図9E)。
【表3】
【0118】
3日目に、5つの異なる培地(図10A)では、細胞数の有意差は検出できなかった。以下の実験(図10エラー!参照元が見つかりません。B)の3日目には、4つの異なる処理で有意差が観察され(P<0.01)、事後分析では、NEAA添加培地および15%FBS添加培地(P値は、それぞれ<0.05、および<0.01)と比較して、ピルビン酸塩添加培地に供された細胞の数が有意に高いことが明らかになった。市販の培地とピルビン酸ナトリウム添加培地との差がわずかに有意であった(P=0.052)。したがって、本発明者らは、BAOSMC培養のためのピルビン酸ナトリウム添加培地(1ミリモル)で進めた。
実施例6
定義された条件下でのBDFおよびSMCの成長特性
【0119】
カスタム培地配合物を定義後に、本発明者らは、これらの条件(実施例5)下で、それらの成長速度を調べた。BDF(図11A)およびBAOSMCの成長速度は、非常に類似している(図11B)ことが見出された。
実施例7
血管新生に対するECおよび支持細胞の効果
【0120】
支持細胞との共培養において播種されたウシ内皮細胞(EC;BAEC-ウシ大動脈内皮細胞またはBSkMVEC-ウシ骨格筋微小血管内皮細胞)により、血管新生および足場被覆率を向上させるか否かの試験を行うために、BAECが、BDFまたはBASMCのいずれかと共同播種された。実際に、筋芽細胞および内皮細胞と共に線維芽細胞を共培養することにより、経時的に、操作された筋肉構築物の血管新生が増え、かつ血管構造の安定化が向上していることがわかっている。細胞は、足場全体を覆うことがわかった(図12)。さらに、本発明者らは、BASMCとの共培養でBAECを播種したときに(図12エラー!参照元が見つかりません。A)、ECの染色が経時的に減少していることに気付いた。また、この組み合わせにおいて2日目に、血管様構造が明らかであった。BDFとの共培養でBAECを播種したときは(図12B)、発明者らは、血管様構造に気付かなかった。BASMCとの共培養でBSkMVECを播種したときに(図13A)、本発明者らは、BASMCがBSkMVECよりはるかに多いことに気付いた。また、全実験期間を通して、BASMC(図13A)およびBDF(図13B)を用いた場合に、血管様構造が明らかであった。
実施例8
特定の細胞比により、血管網形成が改善
【0121】
さらに、血管網を改善するために、本発明らは、ウシBAECと支持細胞(BDFまたはBASMC)とを異なる比で播種した。発明者らは、3つの異なる比、EC対支持細胞1:3、1:1および5:1を調べた。本発明者らは、2日目などの早期に、BASMC(図14および図16)の存在下において、血管が形成されたBAEC細胞(図14図16)の自己集合を明確に観察した。本発明者らはまた、6日目までにECが2日目よりも少なくなり、かつBAECにより、BAEC対BASMCの比が1:1である血管網の領域が形成されたことにも気づいた。BAECは、BDFの存在下では、血管を形成しないと考えられた(図15)。
実施例9
細胞培養におけるウシ衛星細胞(BSC)の分化
【0122】
次に、本発明者らは、BSCからの筋管形成の前後にミオゲニン発現を調べ、融合指数(FI)の測定のためにDAPI-ミオゲニンを使用する能力をさらに評価した。本発明者らは、未分化BSCにおけるミオゲニン発現のエビデンスをほとんど発見しなかった(図17)。ミオゲニンの発現は、主に筋管の核および筋管周辺のいくつかの核で生じた。融合指数(FI)は、ミオゲニン/ヘキスト核数の比によって自動的に計算できることが示され、これにより、手動のFI計算に匹敵することがわかった。このプロトコルは、筋管形成の定量化でさらに使用された。
実施例10
細胞培養におけるBSC分化の最適化
【0123】
次に、発明者らは、2DでのBSC分化の最適化を望んだ。発明者らは、(1)分化段階で筋管形成を阻害しない拡張期、および(2)筋管のサイズおよびFIを増加させる分化期の終わりに、いずれの成長因子(GF)を追加できるかを確認した。
【0124】
拡張期の後、および分化期の前に、bFGFを含まないサンプルに自発性筋管が出現していることは(図18)、bFGFが筋管形成を阻害することを示唆するものである。EGF、IGF-1およびDiIは、筋管形成に影響を与えないと考えられた。IGF-1、Pro-LIF、ウィーニングで細胞密度が増加した。分化の4日目に、本発明者らは、bFGFおよびPro-LIF培養条件下で総筋管の増加を観察している。bFGFは、BSCの幹細胞性を維持し、一旦細胞を除去させると、分化状態になる(図19)。分化の7日目に、本発明者らは、他の試験条件と比較して、対照、ウィーニングおよびDiIにおいて筋管面積が高いことを観察した(図20)。本発明者らは、筋管形成と細胞死とは紙一重であると結論付けた。従って、細胞は、集密度に達するまでbFGF(単独で、またはPro-LIFと共に)を含有する拡張培地で成長させ、その後2~5日の短い期間に、分化培地に移す必要がある。さらに、IGF-1またはIGF-1およびEGFを細胞培養培地に添加した場合の筋管の豊富さが示された。
実施例11
多孔性足場でのBSC拡張の最適化
【0125】
次に、発明者らは、以前の実験が多孔性足場での低い細胞被覆率を示したため、TSP足場でBSC被覆率を60%超に増加させることを試みた。したがって、GFが拡張期に追加され、播種時の初期細胞数が増加した。細胞被覆面積の定量化により、GF添加成長培地(すなわち、Pro-LIF)で培養された細胞は、足場の72±15%を被覆し、成長培地のみで培養された細胞は、足場の約18%を被覆した(図21)ことが示された。2つの処置間で統計的に有意であることが判明した差(P値=0.0009)。
実施例12
多孔性足場でのBSC分化の最適化
【0126】
3D足場における筋管形成の最適条件を見つけるために、発明者らは、拡張培地とその後の分化培地との複数の組み合わせを走査した。分化培地にGFを含まずに形成された筋管(図22A、EおよびI)は小さく、丸形であった。IGF-1を分化培地に添加することで、筋管が生じた。これは、成長培地ではほとんど観察されず(図22B)、Pro-LIF-bFGFでは一般的であり(図22J)、Pro-LIF培地では豊富であった(図22F)。EGFを分化培地に添加することにより、すべての拡張培地に筋管が形成された(図22C、G、K)。IGF-1+EGFを加えると、成長培地(図22D)およびPro-LIF-bFGF(図22L)に筋管が生じ、Pro-LIFに豊富な筋管(図22H)が生じた。
実施例13
三培養による、多孔性足場でのBSCの増殖、伸長、および被覆の増加
【0127】
次に、発明者らは、一定量の平滑筋細胞(SMC)および異なる量の骨格微小血管内皮(SkMVEC)(それぞれ2:1:1および2:1:5)とのBSCの三培養のBSCの生存、増殖、および筋管分化(分化マーカー-ミオゲニンに陽性)に対する効果を調べることにした。本発明者らは、低SkMVEC濃度(2:1:1)では、より高い濃度のSkMVEC(2:1:5;図28)とインキュベートした場合の外観と比較して、BSCがより伸長するように見えることを観察した。本発明者らはまた、BSCが多孔性足場に対する被覆を増加させ、単一培養またはBSCを含む共培養(対照)のいずれかと比較してより分化しているように見えることも観察した。本発明者らは、三培養が、両方のインキュベーション比において他の試験群と比較してBSCの増殖および分化をよりよく支持すると結論付け、BSC分化能を以下のようにまとめた:BSCのみ<BSC+EC<BSC+SMC<BSC+EC+SMC(図23図26および図28)。本発明者らは、BSC+SMC+SkMVEC(2:1:1)の三培養において細胞外マトリックス(ECM)分泌も観察した(図27A図27B)。
実施例14
三培養により、テクスチャ加工大豆タンパク質足場でのBSC分化が増加する。
【0128】
次に、発明者らは、一定量の平滑筋細胞(SMC)および骨格微小血管内皮(SkMVEC)を用いたBSCの三培養(それぞれ2:1:1)が、BSCの生存、増殖、および筋管分化(分化マーカー-ミオゲニンに陽性)に及ぼす効果を調べることにした。本発明者らは、SMCとの共培養またはSMCとBECとの三培養のいずれかで播種するときに、BSCがTSP足場の被覆を増加させるのみでなく、単一培養(BSCのみ)または共培養(BSCおよびBEC;図29)のいずれかと比較して、より分化しているように見えることを観察した。
実施例15
固化ゲルを添加せずにBSCを播種
【0129】
次に、発明者らは、固化剤(例えば、フィブリン)を添加せずに、FDA承認のコラーゲンベースの足場(Gelfoam(登録商標))にBSCを播種する効果を調べることにした。本発明者らは、筋管形成によって実証されるように、BSC分化の成功を観察した(図30)。
【0130】
本明細書では、本発明の特定の特徴を例示および説明してきたが、多くの修正、置換、変更、および同等物が当業者に生じるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲内にあるこうしたすべての修正および変更を網羅することを意図していることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20-1】
図20-2】
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29-1】
図29-2】
図30
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用組成物を製造するための方法であって、
a.三次元多孔性足場ならびに(i)筋芽細胞またはそれらの前駆細胞;および(ii)少なくとも1種の細胞外マトリックス(ECM)分泌細胞、または(iii)内皮細胞またはそれらの前駆細胞、のうちの少なくとも1つを含む複数の非ヒト細胞の細胞型をインキュベートすることであって、前記筋芽細胞またはそれらの前駆細胞および前記内皮細胞またはそれらの前駆細胞は、10:1~1:10の範囲の比でインキュベートされる、インキュベートすることと、
b.筋芽細胞またはそれらの前駆細胞を筋管への分化に誘導することを含み
それによって、前記食用組成物が産生される、方法。
【請求項2】
前記複数の細胞型が、筋芽細胞ま
たはそれらの前駆細胞、少なくとも1種の細胞外マトリックス(ECM)分泌細胞、および内皮細胞またはそれらの前駆細胞を含前記内皮細胞またはそれらの前駆細胞は、前記複数の細胞の15%未満を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ECM分泌細胞が、間質細胞、線維芽細胞、周皮細胞、平滑筋細胞およびそれらの前駆細胞からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記筋芽細胞の前駆細胞が衛星細胞である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ECM分泌細胞が、線維芽細胞、その前駆細胞、またはその組み合わせである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記三次元多孔性足場が、テクスチャ加工タンパク質、非テクスチャ加工タンパク質、および多糖類からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記テクスチャ加工タンパク質が、テクスチャ加工大豆タンパク質である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記三次元多孔性足場が、20~1,000マイクロメートルの範囲の平均直径を有する細孔を含む、請求項またはに記載の方法。
【請求項9】
前記複数の非ヒト細胞が家畜哺乳類に由来する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記筋芽細胞またはそれらの前駆細胞および前記三次元多孔性足場は、前記筋芽細胞またはそれらの前駆細胞が、前記三次元多孔性足場10mgに10~10の範囲の比でインキュベートされる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
a.三次元多孔性足場と
.複数の細胞型であって、(i)筋芽細胞またはそれらの前駆細胞;および(ii)少なくとも1種のECM分泌細胞;または(iii)内皮細胞またはそれらの前駆細胞からなる群から選択される、複数の非ヒト細胞の細胞型を含み、記内皮細胞またはそれらの前駆細胞は、前記複数の細胞の15%未満を構成し前記複数の細胞の被覆率は少なくとも10%である、食用組成物。
【請求項12】
前記複数の細胞型が、筋芽細胞またはそれらの前駆細胞、少なくとも1種の細胞外マトリックス(ECM)分泌細胞、および内皮細胞またはそれらの前駆細胞を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記筋芽細胞の前駆細胞が衛星細胞である、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
前記ECM分泌細胞が、線維芽細胞、その前駆細胞、またはその組み合わせである、請求項1113のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記三次元多孔性足場が、テクスチャ加工タンパク質、非テクスチャ加工タンパク質、および多糖類からなる群から選択される、請求項1114のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記テクスチャ加工タンパク質が、テクスチャ加工大豆タンパク質である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記三次元多孔性足場が、20~1,000マイクロメートルの範囲の平均直径を有する細孔を含む、請求項11~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記複数の非ヒト細胞が家畜哺乳類に由来する、請求項1218のいずれか一項に記載の組成物。