IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ガピ バイオ カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ ドンバン フューチャー テック アンド ライフ カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116769
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】エドキサバンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 513/04 20060101AFI20230815BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C07D513/04 301
A61P7/02
A61K31/444
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101357
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2018175006の分割
【原出願日】2018-09-19
(31)【優先権主張番号】10-2018-0065951
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518334956
【氏名又は名称】ガピ バイオ カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521154693
【氏名又は名称】ドンバン フューチャー テック アンド ライフ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フンスク チュン
(72)【発明者】
【氏名】ネエラサ ジャヤプラカッシュ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エドキサバンの改善された製造方法を提供する。
【解決手段】例えば下記式で示される製造方法による。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1:
【化16】
で表される化合物を製造する方法であって、
下記式3又は3a:
【化17】
で表される化合物と、
下記式11:
【化18】
で表される化合物と、
を塩基及び溶媒の存在下で混合して、前記式1で表される化合物を生成すること
を含む、方法。
【請求項2】
下記式1:
【化19】
で表される化合物を製造する方法であって、
下記式3又は3a:
【化20】
で表される化合物と、
下記式2:
【化21】
で表される化合物と、
を溶媒中で塩基及び下記式9:
【化22】
で表される1,1-カルボニルジイミダゾール(CDI)の存在下で混合して、前記式1で表される化合物を生成すること
を含む、方法。
【請求項3】
下記式3:
【化23】
で表される化合物を製造する方法であって、
ジクロロメタン溶媒中で、下記式6:
【化24】
で表される化合物をトリフルオロ酢酸で処理すること
を含む、方法。
【請求項4】
下記式6:
【化25】
で表される化合物を製造する方法であって、
下記式10:
【化26】
で表される化合物から得られた下記式5a:
【化27】
で表される化合物と、
下記式4:
【化28】
で表される化合物と、
を塩基及び溶媒の存在下で混合して、前記式6で表される化合物を生成すること
を含む、方法。
【請求項5】
下記式6:
【化29】
で表される化合物を製造する方法であって、
下記式5:
【化30】
で表される化合物と、
下記式4:
【化31】
で表される化合物と、
を溶媒中で塩基及び下記式9:
【化32】
で表される1,1-カルボニルジイミダゾール(CDI)の存在下で混合して、前記式6で表される化合物を生成すること
を含む、方法。
【請求項6】
前記塩基は三級アミン又は複素環式アミンである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記塩基は、トリ(C1~C4アルキル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、1-メチルピロリジン、1-メチルピペリジン、4-メチルモルホリン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、ルチジン又はコリジンである、請求項1又は6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記溶媒は、塩素化溶媒又は有機非プロトン性溶媒である、請求項1、6及び7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム又はテトラヒドロフランである、請求項1、6、7及び8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
前記塩基は三級アミン又は複素環式アミンである、請求項2に記載の製造方法。
【請求項11】
前記塩基は、トリ(C1~C4アルキル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、1-メチルピロリジン、1-メチルピペリジン、4-メチルモルホリン又はピリジンである、請求項2又は10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記溶媒は、アミド溶媒又は非プロトン性有機溶媒である、請求項2、10及び11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
前記溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、クロロホルム又はテトラヒドロフランである、請求項2、10、11及び12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記塩基は三級アミンである、請求項4に記載の製造方法。
【請求項15】
前記塩基は、トリ(C1~C4アルキル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、1-メチルピロリジン、1-メチルピペリジン、4-メチルモルホリン、ピリジン又はルチジンである、請求項4又は14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記溶媒は、有機非プロトン性溶媒である、請求項4、14及び15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
前記溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム又はテトラヒドロフランである、請求項4、14、15及び16のいずれかに記載の製造方法。
【請求項18】
前記塩基は、三級アミン、複素環式アミン又は無機塩基である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項19】
前記塩基はトリ(C1~C4アルキル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、1-メチルピロリジン、1-メチルピペリジン、4-メチルモルホリン、ピリジン、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウムである、請求項5又は18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、クロロホルム又はテトラヒドロフランである、請求項5、18及び19のいずれかに記載の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エドキサバンの改善された製造方法に関する。本発明は、低コスト、高反応効率、消費時間短縮、及び高い生成物の純度を有し、大規模な工業生産に適している。
【背景技術】
【0002】
下記化合物1a、薬理学的に許容されるその塩又は水和物は、特許文献1~5に開示されているように、FXa阻害作用を示し、血栓性疾患及び/又は塞栓性疾患の予防薬及び/又は治療薬として有用な化合物である。
【0003】
【化1】
【0004】
下記スキームはエドキサバン1の一般的な合成を示しており、tert-ブチル((1R,2S,5S)-2-アミノ-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメートオキサレート4を、2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソ酢酸5と反応させることによって、重要中間体であるtert-ブチル((1R,2S,5S)-2-(2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセトアミド)-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメート6が生成する。その後、酸性条件下で中間体6を処理すると、N1-((1S,2R,4S)-2-アミノ-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサルアミド3が得られ、3は、5-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-カルボン酸2とカップリングして、エドキサバン1を生成する。カップリング反応には一般にHOBt及びEDCIカップリング試薬が使用される。
【0005】
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/058715号
【特許文献2】国際公開第2003/016302号
【特許文献3】国際公開第2003/000680号
【特許文献4】国際公開第2005/047296号
【特許文献5】国際公開第2007/032498号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
エドキサバン1を合成するための既知の方法は、2つのカップリング反応及び1つのboc脱保護反応を含む。カップリング反応の試薬にはEDCI及びHOBtが使用される。tert-ブチル((1R,2S,5S)-2-(2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセトアミド)-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメート6は、エドキサバンの合成のための重要中間体である。
【0008】
国際公開第2003/000680号には、式6で表される化合物、tert-ブチル((1R,2S,5S)-2-(2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセトアミド)-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメートが記載されている。上記特許文献においては、下記スキームに示すように、tert-ブチル((1R,2S,5S)-2-アミノ-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメートオキサレート4が、リチウム2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセテート5と反応して、tert-ブチル((1R,2S,5S)-2-(2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセトアミド)-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメート6が得られる。
【0009】
【化3】
【0010】
国際公開第2010/104078号は、tert-ブチル((1R,2S,5S)-2-アミノ-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメートオキサレート4を、エチル-2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセテートハイドロクロライド7で処理することによる化合物6の製造方法を開示している。
【0011】
【化4】
【0012】
後に、酸(H)条件下で6をboc脱保護してN1-((1S,2R,4S)-2-アミノ-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサルアミド3を得る。化合物3を、リチウム5-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-カルボキシレート2a(国際公開第2003/00680号)又は5-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-カルボン酸ハイドロクロライド2と反応させて、エドキサバン1を生成する(国際公開第2003/00680号)。
【0013】
【化5】
【0014】
国際公開第2003/000680号はまた、下記一般式3で表されるアミン化合物を、活性エステル化合物8と、リン酸(トリ)アルカリ金属塩の存在下でカップリングさせて、エドキサバン1を製造する方法を開示している。この方法の欠点は、エステル8の製造、並びに高価なパラジウム触媒及びホスフィンリガンドの組合せの使用が大量生産を困難にすることである。
【0015】
【化6】
【0016】
特許文献のほとんどは、カップリング反応(工程)におけるカルボキシル活性化剤として、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)を使用している。EDC試薬は有機合成の分野で多用されているが、高価で反応性が低く、大量生産には適さないという欠点がある。HOBT試薬は量産時において爆発性試薬であり、これらの試薬を取り扱う上で重大な危険がある。また長い反応時間を要する。上記のようなカップリング反応を実施すると、化合物6又はエドキサバン1を80~85%の収率で得ることができる。これに対して、本発明の改善された製造方法によれば、99.9%以上の比較的高い純度、短い反応時間、及び90~95%の収率を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の工程を含むエドキサバンの製造方法に特徴を有する。本発明は、中間体3及び2のカップリングを含むエドキサバン1の製造方法に関する。中間体3は、酸性条件下で化合物6から調製する。中間体6は、中間体4及び5のカップリングによって合成する。穏和な反応条件下における現場での(on-site;「その場での」ともいう。)製造のための反応性を最大限にするために、本発明は、エドキサバン1の改善された製造方法を提供するための以下の4つの技術を説明する。
【0018】
a)1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)9を使用する化合物6のためのプロセス
b)新規な中間体5aを使用する化合物6のためのプロセス
c)CDI9を使用して化合物2を化合物3とカップリングすることによるエドキサバン1の製造方法
d)新規なクロロ中間体11を使用するエドキサバン1の製造方法
【0019】
a)本発明は、中間体6の製造方法に関し、カップリング試薬である1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)9、アミン塩基であるピリジン又はトリエチルアミン、溶媒であるジクロロメタン(DCM)又はジメチルホルムアミド(DMF)の存在下で、tert-ブチル((1R,2S,5S)-2-アミノ-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメートオキサレート4及び2-((5-クロロピリジン-2-イル)2-オキサ酢酸5をカップリングして、中間体6を生成する。化合物6を生成するために、CDI9及びアミン塩基は、モル比でCDI:アミン塩基=1:1~1.5:2.0~4.0とすることができ、1:1~1.2:2.0~3.0が最適条件である。この方法で使用される塩基は、ジイソプロピルエチルアミンなどのような三級アミン、ピリジンなどのような複素環式アミン、又は炭酸ナトリウムなどのような無機塩基であってもよい。この方法で使用される溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、クロロホルム又はテトラヒドロフランであってもよい。
【0020】
【化7】
【0021】
b)本発明は中間体6の製造方法にも関する。塩化オキサリルを用いてアミン10から新規な塩化物中間体5aを生成する。次いで、アミン4をトリエチルアミン又はピリジンの存在下でクロロ化合物5aと反応させて化合物6を生成する。この方法で使用される塩基は、トリ(C1~C4アルキル)アミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのような三級アミン、又は1-メチルピロリジン、1-メチルピペリジン、4-メチルモルホリン、ピリジン、若しくはルチジンなどのような複素環式アミンである。この方法で使用される溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム又はテトラヒドロフランなどのような有機非プロトン性溶媒であってもよい。
【0022】
【化8】
【0023】
c)本発明は、エドキサバン1の製造方法にも関する。重要な中間体3を、酸性条件下で6から生成する。次いで、カップリング試薬である1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)9、アミン塩基であるピリジン又はトリエチルアミン、溶媒であるジクロロメタンの存在下で、N1-((1S,2R,4S)-2-アミノ-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサルアミド3及び5-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-カルボン酸2をカップリングして、エドキサバン1を生成する。この方法で使用される塩基は、トリ(C1~C4アルキル)アミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのような三級アミン、又は1-メチルピロリジン、1-メチルピペリジン、4-メチルモルホリン、ピリジンなどのような複素環式アミンであってもよい。この方法で使用される溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドなどのようなアミド溶媒、又はジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフランなどのような非プロトン性有機溶媒であってもよい。従来はEDCI及びHOBtカップリング試薬が使用されていたが、これらは高価で反応性が低い傾向があり、長時間反応させる必要があった。これに対して、CDI9の使用は、その良好な反応性、高い反応収率及び短い反応時間のために、より効率的である。
【0024】
【化9】
【0025】
d)本発明は、エドキサバン1の製造方法にも関する。重要な中間体3は、酸性条件下で6から生成する。塩化チオニルを用いてアミン2から新規な塩化物中間体11を生成する。その後、N1-((1S,2R,4S)-2-アミノ-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサルアミド3を、トリエチルアミン又はピリジンの存在下で、5-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-カルボニルクロライド11と反応させて、エドキサバン1を生成する。この方法で使用される塩基は、トリ(C1~C4アルキル)アミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのような三級アミン、又は1-メチルピロリジン、1-メチルピペリジン、4-メチルモルホリン、4-(N、N-ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、ルチジン、コリジンなどのような複素環式アミンであってもよい。この方法で使用される溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルムなどのような塩素化溶媒、又はテトラヒドロフランなどのような有機非プロトン性溶媒であってもよい。
【0026】
【化10】
【0027】
a)及びc)により合成されるエドキサバン1及び中間体6
出発物質とアミン塩基との間の化学量論的反応モル比は、1.0:2~4である。また、カップリング反応は20℃~35℃の範囲で円滑に進行する。商業的な量産化を考慮すると、室温付近(およそ20℃~30℃)で反応を行うことが好ましい。上記反応条件下でカップリング反応を行う場合、反応は3時間以内に終えることができる。反応性をさらに向上させる目的で、アミン塩基を使用することができる。アミン塩基としては、トリ(C1~C6アルキル)アミン、N-(C1~C6アルキル)モルホリン、ピリジン、キノリンなどから選択される少なくとも1つが挙げられる。アミン塩基の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンなどのようなトリアルキルアミン;N-メチルモルホリン、N-プロピルモルホリンなどのようなモルホリン;ピリジン、キノリンなどのような芳香族アミンが挙げられる。
【0028】
a)、b)、c)及びd)により合成されるエドキサバン1及び中間体6は、下記溶媒を用いた再結晶によって精製することができる。再結晶に用いられる溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのようなアルコール、ジクロロメタンなどのようなハロゲン化炭化水素、ヘキサンなどのような脂肪族炭化水素、アセトニトリルなどのようなニトリル、テトラヒドロフランなどのようなエーテルなどから選択することができる。再結晶溶媒は、上記の群から選択される少なくとも1種であり、好ましくはアルコール溶媒であり、特に好ましくはイソプロピルアルコールである。また、結晶化の方法は、当業者が一般的に用いる方法で行うことができる。
【実施例0029】
以上に説明した本発明の内容は、実施形態における製造方法を詳細に説明したものである。なお、以下の実施例は、本発明の理解を助けるためのものであり、これらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1:tert-ブチル((1R,2S,5S)-2-(2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセトアミド)-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメート6の生成
フラスコ中でジクロロメタン(50ml)に2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソ酢酸5(2.67g,13.32mmol)を添加した。次いで、このフラスコにCDI9(2.16g,13.32mmol)を室温で添加した。これにピリジン(1.07ml、13.32mmol)を20~25℃で添加した。次いで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。その後、アミン3(5g、13.32mmol)を室温で添加し、続いてピリジン(2.15ml、26.64mmol)を添加した。次いで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。TLCで反応の完了を確認した後、精製水(50mL)を添加した。次いで、ジクロロメタン(2×25ml)によって、有機相を分離し、水相を抽出した。各有機相を合わせたものをMgSOで乾燥させ、真空下で濃縮して白色固体を得た。得られた標題化合物を40~45℃のオーブンで15時間乾燥させた(5.6g、90%)。
1H-NMR (CDCl3) : 1.25-1.55 (2H,m), 1.45 (9H, s), 1.60-2.15 (5H,m), 2.56-2.74 (1H,brs), 2.95(3H,s), 3.06(3H,s), 3.90-4.01(1H,m), 4.18-4.27 (1H,m), 4.70-4.85 (1H, brs), 5.70-6.00(1H, brs), 7.70(1H,m), 7.75-8.00(1H,brs), 8.16(1H, m), 8.30(1H, d), 9.73 (1H,s)
【0031】
【化11】
【0032】
実施例2:tert-ブチル((1R,2S,5S)-2-(2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセトアミド)-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメート6の生成
ジクロロメタン(100ml)に5-クロロピリジン-2-アミン10(10.0g、77.78mmol)を添加した。0℃に冷却し、これにオキサリルクロライド(11.84g、93.34mmol)をゆっくりと添加した。反応混合物を2時間撹拌した。その後、反応混合物を回転下で濃縮した。得られた固体をジクロロメタン100mlに添加した。次に0~5℃に冷却した。これにtert-ブチル((1R,2S,5S)-2-アミノ-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメートオキサレート4(29.2g,77.78mmol)を添加し、続いてEtN(19.74g、195.45mmol)を同じ温度で添加した。1時間撹拌した後、冷却浴を除去し、室温で2時間撹拌した。TLCで反応の完了を確認した後、ジクロロメタン(50mL)及び精製水(100mL)を添加した。室温で30分間撹拌した後、有機相を分離した。有機相を無水硫酸ナトリウム(1g)で乾燥し、減圧濃縮した後、イソプロピルアルコール(125mL)で結晶化させて標題化合物6を得た(32.75g、90%)。
【0033】
【化12】
【0034】
実施例3:N1-((1S,2R,4S)-2-アミノ-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサルアミド2,2,2-トリフルオロアセテート3a又はN1-((1S,2R,4S)-2-アミノ-4-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)-N2-(5-クロロピリジン-2-イル)オキサルアミド3の酸性条件下での合成
ジクロロメタン(30ml)にtert-ブチル((1R,2S,5S)-2-(2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセトアミド)-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメート6(10.0g,21.3mmol)を添加した。これにトリフルオロ酢酸(19.5g,170mmol)を室温で添加した。次いで、混合物を室温で4時間撹拌した。TLCで反応の完了を確認した後、反応混合物を回転下で蒸留処理し、TFA塩アミン3aを得た。この塩を水に添加し、室温にてNaHCO(50ml)で処理して固溶体を得、これを濾過して遊離アミン3を得た(7.07g、90%)。
【0035】
【化13】
【0036】
実施例4:エドキサバン1の生成
フラスコ中で、ジクロロメタン(40ml)に5-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-カルボン酸2(4.0g,17.04mmol)を添加した。次いで、このフラスコにCDI9(2.76g,17.04mmol)を室温で添加した。これにピリジン(1.37ml,17.04mmol)を20~25℃で添加した。次いで、反応混合物を室温で1時間撹拌した。その後、アミン3(6.26g,17.04mmol)を室温で添加し、続いてピリジン(2.75ml,34.08mmol)を添加した。次いで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。TLCで反応の完了を確認した後、精製水(40mL)を添加した。次いで、ジクロロメタン(2×20ml)によって、有機相を分離し、水相を抽出した。各有機相を合わせたものをMgSOで乾燥させ、真空下で濃縮して白色固体を得た。得られた標題化合物をオーブン下で40℃、15時間乾燥させた(8.85g、95%)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.62-1.69(1H), 1.78-1.84(m,1H), 1.90-1.96(m,1H), 2.06-2.14(m,3H), 2.52(s,3H), 2.79-2.89(m,3H), 2.95(s,3H), 2.93-2.96(m,2H), 3.06(s,3H), 3.70(d, 1H, J=16.0 Hz), 3.73(d, 1H, J=16.0Hz), 4.09-4.13(m,1H), 4.67-4.70(m,1H), 7.39(d, 1H, J=8.5Hz), 7.68(dd, 1H, J=9.0, 2.5Hz), 8.03(d, 1H, J=8.5Hz), 8.17(dd, 1H, J=9.0,0.5 Hz), 8.30(dd, 1H, J=2.5, 0.5Hz), 9.72(s,1H).
【0037】
【化14】
【0038】
実施例5:エドキサバン1の生成
フラスコ中で、ジクロロメタン(25ml)に5-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-カルボン酸2(5.0g,21.3mmol)を添加した。これに触媒量のN,N-ジメチルホルムアミドを添加した。次いで、このフラスコに塩化チオニル(5.07g,42.6mmol)を室温でゆっくりと添加した。次いで、反応混合物を加熱して1時間還流させ、溶媒を回転真空下で留去した。得られた固体である5-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-カルボニルクロライド11をジクロロメタン25mlに添加した。次に0~5℃に冷却した。これに、アミン3(7.83g、21.3mmol)を添加し、続いてEtN(8.6g、85.21mmol)を同じ温度で添加した。1時間撹拌した後、冷却浴を除去し、室温で2時間撹拌した。TLCで反応の完了を確認した後、ジクロロメタン(15mL)及び精製水(50mL)を添加した。室温で30分間撹拌した後、有機相を分離した。有機相を無水硫酸ナトリウム(1g)で乾燥し、減圧濃縮した後、イソプロピルアルコール(25mL)で結晶化させて標題化合物1を得た(10.5g、90%)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.62-1.69(1H), 1.78-1.84(m,1H), 1.90-1.96(m,1H), 2.06-2.14(m,3H), 2.52(s,3H), 2.79-2.89(m,3H), 2.95(s,3H), 2.93-2.96(m,2H), 3.06(s,3H), 3.70(d, 1H, J=16.0 Hz), 3.73(d, 1H, J=16.0Hz), 4.09-4.13(m,1H), 4.67-4.70(m,1H), 7.39(d, 1H, J=8.5Hz), 7.68(dd, 1H, J=9.0, 2.5Hz), 8.03(d, 1H, J=8.5Hz), 8.17(dd, 1H, J=9.0,0.5 Hz), 8.30(dd, 1H, J=2.5, 0.5Hz), 9.72(s,1H).
【0039】
【化15】
【0040】
比較例1:tert-ブチル((1R,2S,5S)-2-(2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセトアミド)-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメート6の生成
国際公開第2003/000680号(実施例68)
化合物(3.0g)のN,N-ジメチルホルムアミド(10ml)溶液に、酸(2.88g)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(2.08g)及び1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドハイドロクロライド(2.95g)を室温で添加した。3日間撹拌後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物に塩化メチレン(30ml)、飽和炭酸水素ナトリウム(150ml)及び水(150ml)を加えた。生成した無色の沈殿物を濾過により集めた後、沈殿物を乾燥させて、標題化合物を得た(5.21g)。
【0041】
比較例2:tert-ブチル((1R,2S,5S)-2-(2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセトアミド)-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメート6の生成
国際公開第2010/104078号(実施例3)
アセトニトリル(550ml)中にtert-ブチル{(1R、2S、5S)-2-アミノ-5-[(ジメチルアミノ)カルボニル]シクロヘキシル}カルバメートシュウ酸塩(100.0g)を含む懸濁液に、トリエチルアミン(169ml)を60℃で添加した。この温度で、{5-クロロピリジン-2-イル}アミノ](オキソ)アセテートモノハイドロクロライド(84.2g)を加えて6時間撹拌した後、16時間撹拌した。反応液に水を加え、10℃で1.5時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、乾燥して標題化合物を得た(106.6g、85.4%)。
【0042】
比較例3:エドキサバン1の生成
国際公開第2003/000680号(実施例310)
1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドハイドロクロライド EDCI(155mg)と1-ヒドロキシベンゾトリアゾールものハイドレート(90mg)から得られたコンパウンドを、このコンパウンド(117mg)がN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)に溶解するように溶液に添加し、この混合物を室温で一晩撹拌した。真空ポンプを用いて溶媒を減圧留去し、残留物に塩化メチレン及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて分液した。得られた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で留去して、標題化合物を得た。
【0043】
比較例4:エドキサバン1の生成
国際公開第2010/104078号(参考例4)
アセトニトリル(1900ml)中にtert-ブチル[(1R,2S,5S)-2-({(5-クロロピリジン-2-イル)アミノ}(オキソ)アセチル)アミノ]-5-ジメチルアミノカルボニル)シクロヘキシル]カーバメート(95.1g)を含む懸濁液に、メタンスルホン酸(66ml)を室温で添加し、この混合物を室温で2時間撹拌し、これに反応溶液であるトリメチルアミン(155ml)、5-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ[1,3]チアゾ[5,4-c]ピリジン-2-カルボン酸ハイドロクロライド(46.8g)を氷冷下で添加し、この混合物を室温で16時間撹拌した。これにトリエチルアミンと水を加え、氷冷下で1時間撹拌した。その後、結晶を濾取し、標題化合物を得た(103.2g)。
【0044】
比較例5:エドキサバン1の生成
国際公開第2015/125710号(実施例10)
50mlのフラスコに、化合物であるアミン(1.0g、2.16mmol)、活性化エステル(1.18g、4.31g)、KPO(1.83g、8.64mmol)及びDMF(10ml)を加え、混合物を室温で3日間撹拌した。反応液にHO(20mL)を加え、得られたスラリーを室温で1時間撹拌した後、0~5℃に冷却し、さらに1時間撹拌した後、固体をろ過した。得られた固体をHO(10ml)で洗浄し、減圧乾燥して標題化合物(0.99g、83.9%)を白色固体として得た。
【0045】
実施例1、2及び比較例1、2に示したカップリング反応によって生成したtert-ブチル((1R,2S,5S)-2-(2-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2-オキソアセトアミド)-5-(ジメチルカルバモイル)シクロヘキシル)カーバメート6の収率、反応時間及び純度を下記表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例4、5及び比較例3~5のカップリング反応によって生成したエドキサバン1の収率、反応時間及び純度を下記表2に示す。
【0048】
【表2】

【手続補正書】
【提出日】2023-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1:
【化16】
で表される化合物を製造する方法であって、
下記式3又は3a:
【化17】
で表される化合物と、
下記式11:
【化18】
で表される化合物と、
を塩基及び溶媒の存在下で混合して、前記式1で表される化合物を生成すること
を含む、方法。