IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アムジェン インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116783
(43)【公開日】2023-08-22
(54)【発明の名称】ヒトCGRP受容体結合タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20230815BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230815BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20230815BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
A61P43/00 111
A61P9/00
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/06
A61K39/395 D
A61K39/395 N
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023101810
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2020196689の分割
【原出願日】2009-12-18
(31)【優先権主張番号】61/203,569
(32)【優先日】2008-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/264,622
(32)【優先日】2009-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.PLURONIC
3.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】500203709
【氏名又は名称】アムジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シー. ブーン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ダブリュー. ブランコウ
(72)【発明者】
【氏名】コリン ブイ. ゲーグ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ショー-フェン シルビア フー
(72)【発明者】
【氏名】チャドウィック ティー. キング
(72)【発明者】
【氏名】シェン セン ルー
(72)【発明者】
【氏名】リーチェン シー
(72)【発明者】
【氏名】セン スー
(57)【要約】
【課題】ヒトCGRP受容体結合タンパク質の提供。
【解決手段】ヒトCGRP受容体(CGRP R)に結合する抗原結合タンパク質を提供する。抗原結合タンパク質をコードする核酸、ベクター、および抗原結合タンパク質をコードする細胞も提供される。本抗原結合タンパク質は、CGRP RのCGRPへの結合を阻害することができ、片頭痛の治療および/または予防を含む、多数のCGRP R関連疾患において有用である。したがって、CGRP Rに対する所定の抗原結合タンパク質の結合は、以下の活性のうちの1つまたは複数を有し得る:CGRP Rの阻害、干渉、または調節、血管拡張の阻害、神経性炎症の減少、および慢性疼痛または片頭痛の症状の緩和、改善、治療、予防、または軽減。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖と軽鎖とを含むヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体に特異的に結合する組み換え抗体であって、前記抗体は、配列番号242~258から選択される配列を含む重鎖核酸と配列番号224~241から選択される配列を含む軽鎖核酸とを発現する宿主細胞から単離される、組み換え抗体。
【請求項2】
前記宿主細胞が前記抗体を分泌し、前記抗体が前記宿主細胞の培地から単離される、請求項1に記載の組み換え抗体。
【請求項3】
(a)前記重鎖核酸が配列番号244の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号226の配列を含む;
(b)前記重鎖核酸が配列番号257の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号239の配列を含む;
(c)前記重鎖核酸が配列番号248の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号230の配列を含む;
(d)前記重鎖核酸が配列番号246の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号228の配列を含む;
(e)前記重鎖核酸が配列番号249の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号231の配列を含む;
(f)前記重鎖核酸が配列番号255の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号237の配列を含む;
(g)前記重鎖核酸が配列番号242の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号224の配列を含む;
(h)前記重鎖核酸が配列番号247の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号229の配列を含む;
(i)前記重鎖核酸が配列番号250の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号232の配列を含む;
(j)前記重鎖核酸が配列番号256の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号238の配列を含む;
(k)前記重鎖核酸が配列番号252の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号234の配列を含む;
(l)前記重鎖核酸が配列番号253の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号235の配列を含む;
(m)前記重鎖核酸が配列番号254の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号236の配列を含む;
(n)前記重鎖核酸が配列番号243の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号225の配列を含む;
(o)前記重鎖核酸が配列番号251の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号233の配列を含む;
(p)前記重鎖核酸が配列番号245の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号227の配列を含む;
(q)前記重鎖核酸が配列番号258の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号240の配列を含む;または
(r)前記重鎖核酸が配列番号258の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号241の配列を含む、
請求項1または2に記載の組み換え抗体。
【請求項4】
前記重鎖核酸が配列番号247の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号229の配列を含む、請求項3に記載の組み換え抗体。
【請求項5】
前記重鎖核酸が配列番号251の配列を含み、前記軽鎖核酸が配列番号233の配列を含む、請求項3に記載の組み換え抗体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体を含む、処置を必要とする患者においてCGRP受容体媒介性の血管拡張または神経炎症と関連付けられる症状を処置するための薬学的組成物。
【請求項8】
前記症状が頭痛である、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記症状が片頭痛である、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記抗体が、片頭痛発作の頻度を低減させるために前記患者に対して周期的に投与される、請求項9に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、EFS-Webを介して提出された配列表を含み、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。2009年12月14日に作成された該ASCIIコピーは、A1472PCT.txtと命名され、サイズは312,447バイトである。
【0002】
ペプチドのカルシトニンスーパーファミリーには、カルシトニン、アミリン、アドレノメデュリン、ならびに2つのカルシトニン遺伝子関連ペプチド(「CGRP」)である、CGRP1(ctCGRPまたはCGRPとしても知られる)およびCGRP2(βCGRPとしても知られる)の少なくとも5つの既知のメンバーが含まれる。CGRPは、中枢および末梢神経系の両方で発現する37個のアミノ酸の血管作動性神経ペプチドであり、CGRP含有ニューロンが血管と密接に関連する、末梢における強力な血管拡張薬であることが示されている。CGRP媒介性血管拡張薬は、血漿の溢出および微小血管系の拡張をもたらす事象の連鎖の一部として、神経性炎症とも関連付けられ、片頭痛に見られる。アミリンも、CNSにおいて特定の結合部位を有し、胃内容排出を調節し、炭水化物の代謝において役割を果たすと考えられている。アドレノメデュリンは、強力な血管拡張薬である。アドレノメデュリンは、星状細胞上に特定の受容体を有し、そのメッセンジャーRNAは、虚血になりやすいCNS細胞において上方調節される(Zimmermann,et al.,Identification of adrenomedullin receptors in cultured rat astrocytes and in neuroblastoma glioma hybrid cells(NG108-15),Brain Res.,724:238-245(1996)(非特許文献1)、Wang et al.,Discovery of adrenomedullin in rat ischemic cortex and evidence for its role in exacerbating focal brain ischemic damage,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:11480-11484(1995))。
【0003】
カルシトニンは、骨代謝の制御に関与し、中枢神経系(CNS)においても活性である。CGRPの生物活性は、神経筋接合部の調節、免疫系内の抗原提示の調節、感覚神経伝達の血管緊張の調節を含む(Poyner,D.R.,Calcitonin gene-related peptide:multiple actions,multiple receptors,Pharmacol.Ther.,56:23-51(1992)、Muff et al.,Calcitonin,Calcitonin gene related peptide,adrenomedullin and amylin homologous peptides separate receptors and overlapping biological actions,Eur.J.Endocrinol.,133:17-20(1995))。3つのカルシトニン受容体刺激ペプチド(CRSP)も、多数の哺乳類種において同定され、CRSPは、CGRPファミリーにおいて新しいサブファミリーを形成し得る(Katafuchi,T and Minamino,N,Structure and biological properties of three calcitonin receptor-stimulating peptides,novel members of the calcitonin gene-related peptide family,Peptides,25(11):2039-2045(2004))。
【0004】
カルシトニンスーパーファミリーペプチドは、7つの膜貫通ドメインGタンパク質共役受容体(GPCR)を介して作用する。カルシトニン受容体(「CT」、「CTR」、または「CT受容体」)およびCGRP受容体は、II型(「ファミリーB」)GPCRであり、このファミリーは、調節ペプチド、例えば、セクレチン、グルカゴン、および血管活性腸管ポリペプチド(VIP)を認識する他のGPCRを含む。最良に特性化されたヒトカルシトニン受容体のスプライス変異は、第1の細胞内ループにおける16個のアミノ酸の存在(以前はCTRII+またはCTR1、現在はCT(b)として知られる)または不在(主要なスプライス変異、以前はCTRIIまたはCTR、現在はCT(a)として知られる)によって異なる(Gorn et al.,Expression of two human skeletal calcitonin receptor isoforms cloned from a giant cell tumor of bone:the first intracellular domain modulates ligand binding and signal transduction,J.Clin.Invest.,95:2680-2691(1995)、Hay et al.,Amylin receptors:molecular composition and pharmacology,Biochem.Soc.Trans.,32:865-867(2004);Poyner et al.,2002)。少なくとも2つのCGRP受容体サブタイプの存在が、様々なインビボおよびインビトロバイオアッセイにおいて、特異的なアゴニスト親和性およびアゴニスト効力から提案されていた(Dennis et al.,CGRP8-37,A calcitonin gene-related peptide antagonist revealing calcitonin gene-related peptide receptor heterogeneity in brain and periphery,J.Pharmacol.Exp.Ther.,254:123-128(1990)、Dennis et al.,Structure-activity profile of calcitonin gene-related peptide in peripheral and brain tissues.Evidence for multiplicity,J.Pharmacol.Exp.Ther.,251:718-725(1989)、Dumont et al.,A potent and selective CGRP2 agonist,[Cys(Et)2,7]hCGRP:comparison in prototypical CGRP and CGRP2 in vitro assays,Can.J.Physiol.Pharmacol.,75:671-676(1997))。
【0005】
CGRP受容体サブタイプは、アンタゴニスト断片CGRP(8-37)に対して敏感であることが分かっている(Chiba et al.,calcitonin gene-related peptide receptor antagonist human CGRP-(8-37),Am.J.Physiol.,256:E331-E335(1989)、Dennis et al.(1990)、Mimeault et al.,Comparative affinities and antagonistic potencies of various human calcitonin gene-related peptide fragments on calcitonin gene-related peptide receptors in brain and periphery,J.Pharmacol.Exp.Ther.,258:1084-1090(1991))。対照的に、CGRP受容体は、線形ヒトCGRP(hCGRP)類似体に敏感であり、2位および7位におけるシステイン残基が、(例えば、アセトアミノメチル[Cys(ACM)2,7]またはエチルアミド[Cys(Et)2,7])により誘導体化されたが、CGRP受容体は、断片CGRP(8-37)に対して敏感でなかった(Dennis et al.(1989)、Dennis et al.(1990)、Dumont et al.(1997))。
【0006】
カルシトニン受容体およびカルシトニン様受容体(「CL」、「CLR」、または「CRLR」)のリガンド特異性は、受容体活性調節タンパク質(eceptor ctivity odifying rotein(RAMP))と呼ばれる付属タンパク質ファミリーメンバーの共発現に依存する。RAMPファミリーは、カルシトニンファミリーメンバーの受容体のリガンド特異性を決定する受容体モジュレータとして作用する、3つのポリペプチド(RAMP1、RAMP2、およびRAMP3)を含む。RAMPは、短細胞質C末端と1つの膜貫通ドメイン、および特異性に関与する大きい細胞外N末端と、約30%のアミノ酸配列同一性および共通の予測トポロジーを共有する、I型膜貫通タンパク質である(McLatchie et al.,(1998)RAMPs regulate the transport and ligand specificity of the calcitonin-receptor-like receptor,Nature,393:333-339、Fraser et al.,(1999)The amino terminus of receptor activity modifying proteins is a critical determinant of glycosylation state and ligand binding of calcitonin receptor-like receptor,Molecular Pharmacology,55:1054-1059)。
【0007】
1998年、CGRP受容体は、新規の単一膜貫通ドメイン付属タンパク質、受容体活性調節タンパク質1(RAMP1)、およびCRLRで構成される、ヘテロ二量体として同定された(McLatchie et al.,上記参照)。架橋実験は、CGRP受容体が、CRLRおよびRAMP1の1対1化学量論配置から成ることを示唆し(Hilairet et al.JBC276,42182-42190(2001))、BRETおよびBiFC等のいくつかの方法を使用した最近の研究では、機能的CGRP受容体複合体が、CRLRの非対称ホモオリゴマーおよびRAMP1のモノマーで構成され得ることが明らかになった(Heroux et al.JBC282,31610-31620(2007))。
【0008】
精製したCRLR N末端ドメインは、125I-CGRPと特異的に結合することが示されており(Chauhan et al.Biochemistry 44,782(2005))、CRLRとCGRPリガンドとの間の重要な直接相互作用が確認されている。特に、CRLRのLeu24およびLeu34が、CGRPのC末端Phe37のドッキング部位を構成すると考えられている(Banerjee et al.BMC Pharmacol.6,9(2006))。さらに、Kollerら(FEBS Lett.531,464-468(2002))は、CRLRのN末端18アミノ酸残基が、CGRPまたはアドレノメデュリンとの選択的相互作用に寄与するという証拠を得、Ittnerら(Biochemistry 44,5749-5754(2005))は、CRLRのN末端アミノ酸残基23-60が、RAMP1との関連を媒介することを示唆した。
【0009】
RAMP1の構造機能分析は、「ヘリックス3」と相関する残基91-103が(Simms et al.Biophys.J.91,662-669(2006))、CRLRとの相互作用において潜在的に重要であることを同定し、残基Trp74およびPhe92が、CGRP受容体複合体へのその結合に関連して、CGRPリガンドと潜在的に相互作用することを同定した。ヒト/ラットRAMP1キメラを使用するリガンド結合研究は、CGRP Rのある種の小分子阻害剤の結合部位(例えば、BIBN4096BS)が、RAMP1のアミノ酸66-102を含む領域内に位置することを示唆する(Mallee et al.JBC277,14294-14298(2002))。
【0010】
CRLRは、CTRと55%の全体アミノ酸配列同一性を有するが、膜貫通ドメインは、約80%同一である(McLatchie et al.(1998)、Poyner et al.,International union of pharmacology.XXXII.The mammalian calcitonin gene-related peptides,adrenomedullin,amylin and calcitonin receptors,Pharmacol.Rev.,54:233-246(2002))。
【0011】
CRLRは、RAMP1と会合されると、CGRPに対する高親和性受容体を形成するか、またはRAMP2あるいはRAMP3と会合されると、アドレノメデュリンを選択的に結合することが示されている(McLatchie et al.(1998)、Sexton et al.,Receptor activity modifying proteins,Cellular Signaling,13:73-83(2001)、Conner et al.,Interaction of calcitonin-gene-related peptide with its receptors,Biochemical Society Transactions 30(Part 4):451-454(2002))。CRLRのグリコシル化状態は、その薬物動態と関連する。RAMP1、2、および3は、同様の効率でCRLRを細胞膜に輸送する。しかしながら、RAMP1は、CRLRを末端グリコシル化成熟糖タンパク質およびCGRP受容体として提示する一方で、RAMP2および3は、CRLRを未成熟のコアグリコシル化アドレノメデュリン受容体として提示する(「AM」または「AMR」または「AM受容体」(Fraser et al.(1999))。放射性リガンド結合(放射性リガンドとしての125I-アドレノメデュリン)、機能検定(cAMP測定)、または生化学分析(SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)による、HEK293T細胞におけるCRLR/RAMP2およびCRLR/RAMP3受容体の特性化は、RAMP2および3が30%のアミノ酸配列同一性しか共有しない場合であっても、それらが区別できないことを明らかにした(Fraser et al.1999))。しかしながら、RAMP2と3により発現されたCRLRの薬理学において、差異が認められた。CGRPおよびCGRP8-37、ならびにアドレノメデュリンおよびアドレノメデュリン由来ペプチドAM22-52はともに、RAMP3ヘテロ二量体において活性であり、この複合体が、CGRPおよびAM受容体の両方として作用し得ることを示している(Howitt et al.,British Journal of Pharmacology,140:477-486(2003)、Muff et al.,Hypertens.Res.,26:S3-S8(2003))。ラットRAMP1によるヒトCRLRの共発現、およびその逆は、RAMP1種が、試験したいくつかの小分子CGRP受容体アンタゴニストに関して、CRLR/RAMP1の薬理学的特徴を決定することを示唆した(Mallee et al.,Receptor Activity-Modifying Protein 1 determines the species selectivity of non-peptide CGRP receptor antagonists,J.Biol.Chem.,277(16):14294-14298(2002))。RAMPと会合されない限り、CRLRは、いかなる内因性リガンドと結合することも知られておらず、現在、CRLRがこのように振舞うと考えられている唯一のGPCRである(Conner et al.,A key role for transmembrane prolines in calcitonin receptor-like agonist binding and signaling:implications for family B G-protein-coupled receptors,Molec.Pharmacol.,67(1):20-31(2005))。
【0012】
カルシトニン受容体(CT)も、RAMPとヘテロ二量体複合体を形成することが証明されており、これはアミリン受容体として知られている(「AMY」、「AMY R」または「AMY受容体」)。一般的に、CT/RAMP1受容体(「AMY」または「AMY1」と称される)は、サケカルシトニン、アミリン、およびCGRPに対して高い親和性を有し、哺乳類カルシトニンに対して低い親和性を有する。CT/RAMP2受容体(「AMY」または「AMY2」)およびCT/RAMP3受容体(「AMY」または「AMY3」)の場合、主として同様のパターンが認められるが、CGRPに対する親和性はより低く、生理的に適切なリガンド濃度において有意となり得ない。正確な受容体発現型は、受容体細胞型およびCTRスプライス変異(CT(a)またはCT(b))に依存し、特にRAMP2生成アミリンについてそれがあてはまる。例えば、破骨細胞様細胞の純粋集団は、RAMP2、CTR、およびCRLRを発現したが、RAMP1またはRAMP3を発現しなかったことが報告されている(Hay et al.(2004)、Christopoulos et al.,Multiple amylin receptors arise from receptor activity-modifying protein interaction with the calcitonin receptor gene product,Molecular Pharmacology,56:235-242(1999)、Muff et al.,An amylin receptor is revealed following co-transfection of a calcitonin receptor with receptor activity modifying proteins-1 or -3,Endocrinology,140:2924-2927(1999)、Sexton et al.(2001)、Leuthauser et al.,Receptor-activity-modifying protein 1 forms heterodimers with two G-protein-coupled receptors to define ligand recognition,Biochem.J.,351:347-351(2000)、Tilakaratne et al.,Amylin receptor phenotypes derived from human calcitonin receptor/RAMP co-expression exhibit pharmacological differences dependent on receptor isoform and host cell environment,J.Pharmacol.Exp.Ther.,294:61-72(2000)、Nakamura et al.,Osteoclast-like cells express receptor activity modifying protein 2:application of laser capture microdissection,J.Molec.Endocrinol.,34:257-261(2005))。
【0013】
以下の表1は、上述の受容体成分の関係を要約する。
【0014】
【表1】
【0015】
CGRPアンタゴニストの治療的使用が提案されている。Nodaらは、血小板凝集を阻害するため、および動脈硬化または血栓症の治療または予防のためのCGRPまたはCGRP誘導体の使用について説明した(欧州特許第EP0385712 B1号)。Liuらは、カルシトニンおよびヒトαCGRP等の媒体共役ペプチドを含む、CTRの活性を調節する治療薬を開示した(国際公開第WO01/83526 A2号、第US2002/0090646 A1号)。血管作用CGRPペプチドアンタゴニスト、およびCGRPがCGRP受容体に結合することを阻害するための方法におけるそれらの使用が、Smithらによって開示され、そのようなCGRPペプチドアンタゴニストは、CGRPが冠動脈膜に結合することを阻害し、カプサイシン処置したブタ冠動脈を弛緩させることが示された(米国特許第6,268,474 B1号、および米国特許第6,756,205 B2号)。Ristらは、CGRP受容体アンタゴニスト活性を有するペプチド類似体、および多様な疾患の治療および予防のための薬物におけるそれらの使用を開示した(独国特許第DE 19732944 A1号)。
【0016】
CGRPは、多数の血管運動症状、例えば、片頭痛(前兆の有無にかかわらず)および群発頭痛を含む血管性頭痛のすべての形態の病理において関連があるとされている、強力な血管拡張因子である。Durham,N.Engl.J.Med.350:1073-1075,2004。片頭痛の病態生理は、CGRPが位置する三叉神経節の活性化を伴い、CGRPレベルは、片頭痛発作中に有意に増加する。これは、次いで、頭蓋血管拡張、神経原性炎症および感作を促進する(Doods,H.,Curr.Opin.Investig.Drugs,2:1261-1268(2001))。さらに、外部頸静脈中のCGRP血清レベルが、片頭痛中の患者において上昇する。Goadsby et al.,Ann.Neurol.28:183-7,1990。ヒトci-CGRPの静脈内投与は、前兆のない片頭痛を患う患者において、頭痛および片頭痛を誘発し、CGRPが、片頭痛の原因となる働きがあるという見解を支持している(Lassen et al,Cephalalgia 22:54-61,2002)。
【0017】
片頭痛は、複雑で、よく発症する神経学的状態であり、重度の一時的頭痛発作、および吐き気、嘔吐、光、音、または運動への過敏症を含む、それに伴う症状により特徴付けられる。一部の患者において、頭痛には前兆が先行するか、または前兆を伴う。頭痛は重度であり得、特定の患者においては片側性でもあり得る。片頭痛発作は、日常生活に悪影響を及ぼす。米国および西欧諸国では、片頭痛患者の全体罹患率は、人口の11%である(男性6%、女性15~18%)。さらに、個人の発作頻度の中央値は、1.5/月である。症状を緩和または軽減するために使用可能な治療は多数あるが、1ヶ月当たり3~4回を超える発作を経験する患者に対しては、予防療法が推奨されている。Goadsby,et al.New Engl.J.Med.346(4):257-275,2002。一部の片頭痛患者は、電位依存性ナトリウムチャネルおよびある種のグルタミン酸塩受容体(AMPA-カイニン酸)を遮断し、GABA-A受容体活性を増強し、炭酸脱水酵素を遮断する抗けいれん剤である、トピラマートにより治療されている。一部の患者における、スマトリプタン等のセロトニン5HT-I B/IDおよび/または5HT-1a受容体アゴニストの比較的最近の成功により、研究者による疾患のセロトニン作動性の病因の提案が導かれた。残念ながら、この治療に対して良好に応答する患者もいれば、その効果に対して比較的耐性がある患者もいる。
【0018】
片頭痛におけるCGRP関与の可能性が、CGRPの放出を阻害するか(例えば、スマトリプタン)、CGRP受容体において拮抗するか(例えば、ジペプチド誘導体BIBN4096BS(Boehringer Ingelheim)、CGRP(8-37))、または受容体関連タンパク質のうちの1つもしくは複数、例えば、RAMP1と相互作用する、多数の化合物の開発および試験の基礎となっている。Brain,S.et al.,Trends in Pharmacological Sciences 23:51-53,2002。α-2アドレノセプターサブタイプおよびアデノシンA1受容体も、CGRPの放出および三叉神経の活性化を制御(阻害)する(Goadsby et al.,Brain 125:1392-401,2002)。一方、神経原性炎症の活性化のみを阻害(例えば、タキキニンNKI受容体アンタゴニスト)または三叉神経の活性化のみを阻害(例えば、5HT10受容体アゴニスト)する化合物による治療は、片頭痛の急性治療として比較的有効ではないと見られ、一部研究者は、CGRPの放出を阻害することが、有効な抗片頭痛治療の基礎となるか否かについて疑問視するようになっている。Arulmani et al.,Eur.J.Pharmacol.500:315-330,2004。
【0019】
片頭痛の正確な病態生理は、未だ十分理解されていないが、CGRPアンタゴニストおよびCGRP標的アプタマーの治療的使用が、片頭痛および他の疾患の治療に対して提案されている(例えば、Olesen et al.,calcitonin gene-related peptide receptor antagonist BIBN 4096 BS for the acute treatment of migraine,New Engl.J.Med.,350:1104-1110(2004)、Perspective:CGRP-receptor antagonists―― a fresh approach to migraine,New Engl.J.Med.,350:1075(2004)、Vater et al.,Short bioactive Spiegelmers to migraine-associated calcitonin gene-related peptide rapidly identified by a novel approach:tailored-SELEX,Nuc.Acids Res.,31(21 e130):1-7(2003)、国際公開第WO96/03993号)。さらに、強力な小分子CGRPアンタゴニストが、最近の第3相臨床試験において、片頭痛および片頭痛関連症状を含む、中度から重度の片頭痛発作を緩和することが示された(Connor,et al.Efficacy and Safety of telcagepant(MK-0974),a Novel Oral CGRP Receptor Antagonist,for Acute Migraine Attacks.Poster,European Headache and Migraine Trust International Congress,London,England,September 2008)。
【0020】
CGRPは、片頭痛以外の慢性疼痛症候群にも関与し得る。齧歯類において、髄腔内送達されたCGRPは、重度の疼痛を誘発し、多数の疼痛モデルにおいてCGRPレベルが増強される。さらに、CGRPアンタゴニストは、齧歯類において、急性膵炎の痛覚を部分的に遮断する(Wick,et al.,(2006)Surgery,Volume 139,Issue 2,Pages 197-201)。併せて、これらの観察は、強力で選択的なCGRP受容体アンタゴニストが、片頭痛を含む慢性疼痛の治療のための有効な治療薬となり得ることを示唆している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Zimmermann,et al.,Identification of adrenomedullin receptors in cultured rat astrocytes and in neuroblastoma glioma hybrid cells(NG108-15),Brain Res.,724:238-245(1996)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本明細書では、CGRP R、特に霊長類CGRP R、例えば、ヒトCGRP Rに結合する単離抗体、その抗原結合断片、および他の単離抗原結合タンパク質について説明する。そのような単離抗原結合タンパク質は、(霊長類AM1、AM2、CT、またはアミリン受容体と比較して)選択的にCGRP Rを阻害し得、CGRP RのCRLRおよびRAMP1成分の両方に結合し得る。CGRP R結合タンパク質は、CGRP Rに関連する生物学的反応のうちの少なくとも1つを阻害するか、干渉するか、または調節することが分かっており、したがって、CGRP R関連疾患または障害の影響を改善するために有用である。したがって、CGRP Rに対する所定の抗原結合タンパク質の結合は、以下の活性のうちの1つまたは複数を有し得る:CGRP Rの阻害、干渉、または調節、血管拡張の阻害、神経性炎症の減少、および慢性疼痛または片頭痛の症状の緩和、改善、治療、予防、または軽減。
【0023】
典型的な一態様において、単離抗原結合タンパク質は、(AM1、AM2、CTまたはアミリン受容体と比較して)ヒトCGRP受容体を選択的に阻害する。一部の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、選択比50以上、75以上、100以上、150以上、200以上、250以上、300以上、400以上、500以上、750以上、または1000以上で、ヒトCGRP受容体を選択的に阻害する。選択的阻害の程度は、任意の適切な方法を使用して、例えば、本明細書の実施例に記載されるようなcAMP検定を使用して決定することができる。一部の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、ヒトCRLRおよびヒトRAMP1の両方に特異的に結合し、ヒトAM1、ヒトAM2、またはヒトアミリン受容体(例えば、AMY1またはAMY2)に対して特異的に結合しない。例えば、単離抗原結合タンパク質は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、または5nM以下のKで、ヒトCGRP Rと特異的に結合し得る。一部の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、FACS結合検定を使用して決定され、例えば、Rathanaswami,et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 334(2005)1004-1013に記載される方法を使用して分析して、100nM以下、10nM以下、または5nM以下のKで、ヒトCGRP Rと特異的に結合する。一部の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、CGRP結合競合検定において、Kiが100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.5nM以下、または0.1nM以下である。一部の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、ヒトCGRP Rを発現する細胞から膜への放射性標識125I-CGRP結合競合検定、例えば、本明細書の実施例5に記載される検定において、Kiが100nM以下、50nM以下、20nM以下、10nM以下、1nM以下、0.5nM以下、または0.1nM以下である。
【0024】
別の典型的な態様において、単離抗原結合タンパク質は、ヒトCGRP R、例えば、CGRP Rの細胞外部分への結合に対して、配列番号158~170から成る群から選択される配列を含む重鎖可変領域、および配列番号137~153から成る群から選択される配列を含む軽鎖可変領域を含む基準抗体と競合する。一部の実施形態において、結合競合は、ビニング検定を使用して、例えば、本明細書の実施例7に記載されるようなBiacore検定を使用して評価される。一部の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、ヒトCGRP Rへの結合に対して、(i)配列番号161、163、164、166、および168から成る群から選択される配列を含む重鎖可変領域、および(ii)配列番号140、143、146、148、および150から成る群から選択される配列を含む軽鎖可変領域を含む、基準抗体と競合する。所定の実施形態において、基準抗体は、(i)配列番号32、34、35、37、および39から成る群から選択される配列によって定義される重鎖、および(ii)配列番号15、18、21、23、および25から成る群から選択される配列によって定義される軽鎖を含む。一部の特定実施形態において、基準抗体は、以下の配列対:(i)配列番号32および配列番号15、(ii)配列番号34および配列番号18、(iii)配列番号35および配列番号21、(iv)配列番号37および配列番号23、ならびに(v)配列番号39および配列番号25のうちの1つによって定義される重鎖および軽鎖を含む。そのような一実施形態において、基準抗体は、配列番号32を含む重鎖と、配列番号15を含む軽鎖とを含む。別のそのような実施形態において、基準抗体は、配列番号34を含む重鎖と、配列番号18を含む軽鎖とを含む。別のそのような実施形態において、基準抗体は、配列番号35を含む重鎖と、配列番号21を含む軽鎖とを含む。別のそのような実施形態において、基準抗体は、配列番号37を含む重鎖と、配列番号23を含む軽鎖とを含む。別のそのような実施形態において、基準抗体は、配列番号39を含む重鎖と、配列番号25を含む軽鎖とを含む。
【0025】
所定の実施形態において、ヒトCGRP Rへの結合に対して競合する単離抗原結合タンパク質は、選択率100以上、250以上、500以上、750以上、1,000以上、2,500以上、5,000以上、または10,000で、ヒトCGRP受容体も選択的に阻害し、そのような選択性は、例えば、本明細書の実施例に記載されるようなcAMP検定を使用して決定され得る。関連実施形態において、ヒトCGRP Rへの結合に対して競合する単離抗原結合タンパク質は、FACS結合検定を使用して決定し、例えば、Rathanaswami,et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 334(2005)1004-1013に記載される方法を使用して分析して、Kが1μM以下、100nM以下、10nM以下、または5nM以下で、ヒトCGRP Rと特異的に結合する。関連実施形態において、ヒトCGRP Rへの結合に対して競合する単離抗原結合タンパク質は、CGRP結合競合検定、例えば、ヒトCGRP Rを発現する細胞からの膜への放射性標識125I-CGRP結合競合検定、例えば、本明細書の実施例5に記載される検定において、Kiが100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.5nM以下、または0.1nM以下である。
【0026】
上述の実施形態のうちのいずれにおいても、ヒトCGRP Rへの結合に対して競合する単離抗原結合タンパク質は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト(例えば、完全ヒト)抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多特異的抗体、またはその抗原結合断片であってもよい。さらに、ヒトCGRP Rへの結合に対して競合する単離抗原結合タンパク質の抗体断片は、Fab断片およびFab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、二特異性抗体または単鎖抗体分子であり得、例えば、ヒトモノクローナル抗体、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4型抗体であってもよい。ある実施形態において、ヒトCGRP Rへの結合に対して競合する単離抗原結合タンパク質は、中和抗原結合タンパク質であり得る。
【0027】
所定の典型的な態様において、記載される単離抗原結合タンパク質、例えば、単離抗体またはその断片は、(A)(i)配列番号134を有するCDRH1、(ii)配列番号135を有するCDRH2、(iii)配列番号136を有するCDRH3、および任意で(iv)1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、保存アミノ酸置換)、欠失、またはアミノ酸の挿入を含み、それが全体で4つのアミノ酸を超えない、(i)、(ii)、および(iii)のCDRHから成る群から選択される、1つまたは複数の重鎖相補性決定領域(CDRH)、(B)(i)配列番号107、111、および118から成る群から選択されるCDRL1、(ii)配列番号108、112、および119から成る群から選択されるCDRL2、(iii)配列番号109、113、および120から成る群から選択されるCDRL3、および任意で(iv)1つまたは複数、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ以上のアミノ酸置換(例えば、保存アミノ酸置換)、欠失、またはアミノ酸の挿入を含み、それが全体で4つのアミノ酸を超えない、(i)、(ii)、および(iii)のCDRLから成る群から選択される、1つまたは複数の軽鎖相補性決定領域(CDRL)、または(C)(A)の1つまたは複数の重鎖CDRHおよび(B)の1つまたは複数の軽鎖CDRLを含む。
【0028】
一部の実施形態において、CDRHは、(i)配列番号131を有するCDRH1、(ii)配列番号132を有するCDRH2、(iii)配列番号133を有するCDRH3、および任意で(iv)1つまたは複数の、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ以上のアミノ酸置換基(例えば、保存アミノ酸置換)、欠失、またはアミノ酸の挿入を含み、それが全体で3つのアミノ酸を超えない、(i)、(ii)および(iii)のCDRHから成る群からさらに選択される。関連実施形態において、CDRHは、(i)配列番号76、88、100、121、125、および128から成る群から選択されるCDRH1、(ii)配列番号89、101、122、124、126、および129から成る群から選択されるCDRH2、(iii)配列番号78、90、102、123、127、および130から成る群から選択されるCDRH3、および任意で(iv)1つまたは複数の、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ以上のアミノ酸置換基(例えば、保存アミノ酸置換)、欠失、またはアミノ酸の挿入を含み、それが全体で2つのアミノ酸を超えない、(i)、(ii)および(iii)のCDRHから成る群からさらに選択される。他の関連実施形態において、CDRHは、(i)配列番号73、76、79、82、85、88、92、97、および100から成る群から選択されるCDRH1、(ii)配列番号74、77、80、83、86、89、91、93、95、98、101、および129から成る群から選択されるCDRH2、(iii)配列番号75、78、81、84、87、90、96、99、102、および123から成る群から選択されるCDRH3、および任意で(iv)1つまたは複数の、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ以上のアミノ酸置換基(例えば、保存アミノ酸置換)、欠失、またはアミノ酸の挿入を含み、それが全体で2つのアミノ酸を超えない、(i)、(ii)および(iii)のCDRHから成る群からさらに選択される。
【0029】
一部の実施形態において、CDRLは、(i)配列番号107、111、および115から成る群から選択されるCDRL1、(ii)配列番号108、112、および116から成る群から選択されるCDRL2、(iii)配列番号109、113、および117から成る群から選択されるCDRL3、および任意で(iv)1つまたは複数の、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ以上のアミノ酸置換基(例えば、保存アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む、(i)、(ii)および(iii)のCDRLから成る群からさらに選択される。一部の実施形態において、アミノ酸置換(例えば、保存アミノ酸置換)、欠失、または挿入は、CDRL当たりまとめて合計3つのアミノ酸を超えることはない。一部の実施形態において、アミノ酸置換、欠失、または挿入は、CDRL当たりまとめて合計2つのアミノ酸を超えることはない。関連実施形態において、CDRLは、(i)配列番号42、45、51、57、62、69、103、および110から成る群から選択されるCDRL1、(ii)配列番号43、52、55、58、63、70、104、108、および114から成る群から選択されるCDRL2、(iii)配列番号44、47、53、56、59、64、105、および106から成る群から選択されるCDRL3、および任意で(iv)1つまたは複数の、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ以上のアミノ酸置換基(例えば、保存アミノ酸置換)、欠失、またはアミノ酸の挿入を含み、それが全体で2つのアミノ酸を超えない、(i)、(ii)および(iii)のCDRLから成る群からさらに選択される。追加の関連実施形態において、CDRLは、(i)配列番号42、45、48、51、54、57、62、65、66、および69から成る群から選択されるCDRL1、(ii)配列番号43、46、49、52、55、58、61、63、67、および70から成る群から選択されるCDRL2、(iii)配列番号44、47、50、53、56、59、64、68、71、および72から成る群から選択されるCDRL3、および任意で(iv)1つまたは複数の、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ以上のアミノ酸置換基(例えば、保存アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む(i)、(ii)、および(iii)のCDRLから成る群からさらに選択される。一実施形態において、アミノ酸置換、欠失、または挿入の総数は、CDR当たり2つ以下のアミノ酸である。別の実施形態において、アミノ酸置換は、保存置換である。
【0030】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、上述の(A)および上述の(B)のうちのいずれかの少なくとも1つまたは2つのCDRHを含む。さらに別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)上述の(A)のうちのいずれかの少なくとも3つのCDRHであって、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む、3つのCDRHと、(ii)上述の(B)のうちのいずれかの少なくとも3つのCDRLを含み、3つのCDRLは、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。さらなる実施形態において、上述の単離抗原結合タンパク質は、少なくとも1つのCDRHを含む第1のアミノ酸と、少なくとも1つのCDRLを含む第2のアミノ酸とを含む。一実施形態において、第1および第2のアミノ酸配列は、相互に共有結合する。
【0031】
別の態様において、単離抗原結合タンパク質は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む。一実施形態において、CDRH1は、配列番号73を含み、CDRH2は、配列番号74を含み、CDRH3は、配列番号75を含む。別の実施形態において、CDRH1は、配列番号76を含み、CDRH2は、配列番号77を含み、CDRH3は、配列番号78を含む。別の実施形態において、CDRH1は、配列番号79を含み、CDRH2は、配列番号80を含み、CDRH3は、配列番号81を含む。別の実施形態において、CDRH1は、配列番号82を含み、CDRH2は、配列番号83を含み、CDRH3は、配列番号84を含む。別の実施形態において、CDRH1は、配列番号85を含み、CDRH2は、配列番号86を含み、CDRH3は、配列番号87を含む。別の実施形態において、CDRH1は、配列番号88を含み、CDRH2は、配列番号89を含み、CDRH3は、配列番号90を含む。別の実施形態において、CDRH1は、配列番号76を含み、CDRH2は、配列番号91を含み、CDRH3は、配列番号78を含む。別の実施形態において、CDRH1は、配列番号92を含み、CDRH2は、配列番号93を含み、CDRH3は、配列番号94を含む。別の実施形態において、CDRH1は、配列番号76を含み、CDRH2は、配列番号95を含み、CDRH3は、配列番号78を含む。別の実施形態において、CDRH1は、配列番号73を含み、CDRH2は、配列番号74を含み、CDRH3は、配列番号96を含む。別の実施形態において、CDRH1は、配列番号97を含み、CDRH2は、配列番号98を含み、CDRH3は、配列番号99を含む。別の実施形態において、CDRH1は、配列番号100を含み、CDRH2は、配列番号101を含み、CDRH3は、配列番号102を含む。
【0032】
別の態様において、単離抗原結合タンパク質は、CDRL1配列、CDRL2配列、およびCDRL3配列を含む。一実施形態において、CDRL1は、配列番号42を含み、CDRL2は、配列番号43を含み、CDRL3は、配列番号44を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号45を含み、CDRL2は、配列番号46を含み、CDRL3は、配列番号47を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号48を含み、CDRL2は、配列番号49を含み、CDRL3は、配列番号50を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号51を含み、CDRL2は、配列番号52を含み、CDRL3は、配列番号53を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号54を含み、CDRL2は、配列番号55を含み、CDRL3は、配列番号56を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号57を含み、CDRL2は、配列番号58を含み、CDRL3は、配列番号59を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号60を含み、CDRL2は、配列番号55を含み、CDRL3は、配列番号56を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号45を含み、CDRL2は、配列番号61を含み、CDRL3は、配列番号47を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号62を含み、CDRL2は、配列番号63を含み、CDRL3は、配列番号64を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号65を含み、CDRL2は、配列番号55を含み、CDRL3は、配列番号56を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号66を含み、CDRL2は、配列番号67を含み、CDRL3は、配列番号68を含む、別の実施形態において、CDRL1は、配列番号69を含み、CDRL2は、配列番号70を含み、CDRL3は、配列番号71を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号69を含み、CDRL2は、配列番号70を含み、CDRL3は、配列番号72を含む。
【0033】
別の態様において、単離抗原結合タンパク質は、CDRL1配列、CDRL2配列、CDRL3配列、CDRH1配列、CDRH2配列、およびCDRH3配列を含む。一実施形態において、CDRL1は、配列番号42を含み、CDRL2は、配列番号43を含み、CDRL3は、配列番号44を含み、CDRH1は、配列番号73を含み、CDRH2は、配列番号74を含み、CDRH3は、配列番号75を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号45を含み、CDRL2は、配列番号46を含み、CDRL3は、配列番号47を含み、CDRH1は、配列番号76を含み、CDRH2は、配列番号77を含み、CDRH3は、配列番号78を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号48を含み、CDRL2は、配列番号49を含み、CDRL3は、配列番号50を含み、CDRH1は、配列番号79を含み、CDRH2は、配列番号80を含み、CDRH3は、配列番号81を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号51を含み、CDRL2は、配列番号52を含み、CDRL3は、配列番号53を含み、CDRH1は、配列番号82を含み、CDRH2は、配列番号83を含み、CDRH3は、配列番号84を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号54を含み、CDRL2は、配列番号55を含み、CDRL3は、配列番号56を含み、CDRH1は、配列番号85を含み、CDRH2は、配列番号86を含み、CDRH3は、配列番号87を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号57を含み、CDRL2は、配列番号58を含み、CDRL3は、配列番号59を含み、CDRH1は、配列番号88を含み、CDRH2は、配列番号89を含み、CDRH3は、配列番号90を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号60を含み、CDRL2は、配列番号55を含み、CDRL3は、配列番号56を含み、CDRH1は、配列番号85を含み、CDRH2は、配列番号86を含み、CDRH3は、配列番号87を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号45を含み、CDRL2は、配列番号61を含み、CDRL3は、配列番号47を含み、CDRH1は、配列番号76を含み、CDRH2は、配列番号91を含み、CDRH3は、配列番号78を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号62を含み、CDRL2は、配列番号63を含み、CDRL3は、配列番号64を含み、CDRH1は、配列番号92を含み、CDRH2は、配列番号93を含み、CDRH3は、配列番号94を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号45を含み、CDRL2は、配列番号61を含み、CDRL3は、配列番号47を含み、CDRH1は、配列番号76を含み、CDRH2は、配列番号95を含み、CDRH3は、配列番号78を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号65を含み、CDRL2は、配列番号55を含み、CDRL3は、配列番号56を含み、CDRH1は、配列番号85を含み、CDRH2は、配列番号86を含み、CDRH3は、配列番号87を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号42を含み、CDRL2は、配列番号43を含み、CDRL3は、配列番号44を含み、CDRH1は、配列番号73を含み、CDRH2は、配列番号74を含み、CDRH3は、配列番号96を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号66を含み、CDRL2は、配列番号67を含み、CDRL3は、配列番号68を含み、CDRH1は、配列番号97を含み、CDRH2は、配列番号98を含み、CDRH3は、配列番号99を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号69を含み、CDRL2は、配列番号70を含み、CDRL3は、配列番号71を含み、CDRH1は、配列番号100を含み、CDRH2は、配列番号101を含み、CDRH3は、配列番号102を含む。別の実施形態において、CDRL1は、配列番号69を含み、CDRL2は、配列番号70を含み、CDRL3は、配列番号72を含み、CDRH1は、配列番号100を含み、CDRH2は、配列番号101を含み、CDRH3は、配列番号102を含む。
【0034】
上述の配列定義実施形態のうちのいずれかおいても、単離抗原結合タンパク質は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト(例えば、完全ヒト)抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多特異的抗体、またはその抗原結合断片であり得る。さらに、単離抗原結合タンパク質の抗原断片は、Fab断片およびFab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、二特異性抗体、または単鎖抗体分子であり得る。例えば、単離抗原結合タンパク質は、ヒトモノクローナル抗体であり得、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4型抗体であり得る。さらに、単離抗原結合タンパク質は、中和抗原結合タンパク質であり得る。
【0035】
上述の配列定義実施形態のうちのいずれにおいても、単離抗原結合タンパク質は、ヒトCRLRおよびヒトRAMP1の両方に特異的に結合し得、AM1、AM2、またはヒトアミリン受容体(例えば、AMY1)に特異的に結合せず、例えば、単離抗原結合タンパク質は、FACS結合検定を使用して決定し、例えば、Rathanaswami,et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 334(2005)1004-1013に記載の方法を使用して分析して、K1μM以下、100nM以下、10nM以下、または5nM以下でヒトCGRP Rに特異的に結合し得る。上述の配列が定義される実施形態のうちのいずれにおいても、単離抗原結合タンパク質は、ヒトAM1、AM2、またはAM1受容体に対して、例えば、100以上、250以上、500以上、750以上、1,000以上、2,500以上、5,000以上、または10,000以上の選択比で、ヒトCGRP Rを選択的に阻害し得、選択的阻害の程度は、例えば、本明細書の実施例に記載されるようなcAMP検定を使用して、任意の適切な方法を使用して決定することができる。上述の配列定義実施形態のうちのいずれにおいても、単離抗原結合タンパク質は、ヒトCGRP Rを発現する細胞から膜への放射性標識125I-CGRP結合競合検定、例えば、本明細書の実施例5に記載される検定において、Kiが100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.5nM以下、または0.1nM以下であり得る。
【0036】
別の一連の実施形態は、以下に記載されるコンセンサス配列を有するCDRのうちの1つまたは組み合わせを含み、任意で、ヒトCGRP Rに結合する、単離抗原結合タンパク質を含む。コンセンサス配列は、系統発生的に関連するCDR配列に由来する。一態様において、様々な群からのCDRは、ヒトCGRP Rと結合する任意の特定単離抗原結合タンパク質において混合および一致され得る。別の態様において、抗原結合タンパク質は、同一の系統発生的に関連する抗体クローン群に由来する、重鎖および軽鎖CDRを含む。典型的なCDRコンセンサス配列は以下のとおりである。
【0037】
K1コンセンサス
CDR1 RASQGIRXDLG(配列番号103)、式中、Xは、NおよびKから成る群から選択される。
CDR2 XASSLQS(配列番号104)、式中、Xは、AおよびGから成る群から選択される。
CDR3 LQYNXPWT(配列番号105)、式中、Xは、IおよびSから成る群から選択され、Xは、YおよびFから成る群から選択される。
K4コンセンサス
CDR3 QQYGNSLXR(配列番号106)、式中、Xは、SおよびCから成る群から選択される。
K1,4コンセンサス
CDR1 RASQXGXLX(配列番号107)、式中、Xは、SおよびGから成る群から選択され、Xは、VおよびIから成る群から選択され、Xは、SおよびRから成る群から選択され、Xは、S、NおよびKから成る群から選択され、Xは、YおよびDから成る群から選択され、Xは、TおよびGから成る群から選択される。
CDR2 XASSX(配列番号108)、式中、Xは、GおよびAから成る群から選択され、Xは、RおよびLから成る群から選択され、Xは、AおよびQから成る群から選択され、Xは、TおよびSから成る群から選択される。
CDR3 XQYX(配列番号109)、式中、Xは、QおよびLから成る群から選択され、Xは、GおよびNから成る群から選択され、Xは、NおよびTから成る群から選択され、Xは、S、YおよびFから成る群から選択され、Xは、LおよびPから成る群から選択され、Xは、C、W、およびSから成る群から選択され、Xは、RおよびTから成る群から選択される。
K3コンセンサス
CDR1 KSSQSLLHSXGXYLY(配列番号110)、式中、Xは、DおよびAから成る群から選択され、Xは、RおよびKから成る群から選択され、Xは、NおよびTから成る群から選択される。
K2,3コンセンサス
CDR1 XSSQSLLHSXGXYLX(配列番号111)、式中、Xは、RおよびKから成る群から選択され、Xは、F、D、およびAから成る群から選択され、Xは、Y、R、およびKから成る群から選択され、Xは、NおよびTから成る群から選択され、Xは、DおよびYから成る群から選択される。
CDR2 XSNRXS(配列番号112)、式中、Xは、LおよびEから成る群から選択され、Xは、GおよびVから成る群から選択され、Xは、AおよびFから成る群から選択される。
CDR3 MQXPXT(配列番号113)、式中、Xは、AおよびSから成る群から選択され、Xは、LおよびFから成る群から選択され、Xは、QおよびPから成る群から選択され、Xは、TおよびLから成る群から選択され、Xは、FおよびLから成る群から選択される。
Lm3コンセンサス
CDR2 RXNQRPS(配列番号114)、式中、Xは、NおよびSから成る群から選択される。
Lm1,2,3コンセンサス
CDR1 SGSSSNIGXNXVX(配列番号115)、式中、Xは、NおよびSから成る群から選択され、Xは、YおよびTから成る群から選択され、Xは、S、N、およびYから成る群から選択される。
CDR2 XNXRPS(配列番号116)、式中、Xは、D、T、およびRから成る群から選択され、Xは、NおよびSから成る群から選択され、Xは、KおよびQから成る群から選択される。
CDR3 XDXLXVV(配列番号117)、式中、Xは、GおよびAから成る群から選択され、Xは、TおよびAから成る群から選択され、Xは、WおよびRから成る群から選択され、Xは、SおよびDから成る群から選択され、Xは、RおよびSから成る群から選択され、Xは、SおよびNから成る群から選択され、Xは、AおよびGから成る群から選択される。
LmAllコンセンサス
CDR1 XGXSX1011(配列番号118)、式中、Xは、SおよびQから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合はSであり、Xは、SおよびDから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合はNであり、Xは、IおよびLから成る群から選択され、Xは、GおよびRから成る群から選択され、Xは、NおよびSから成る群から選択され、Xは、NおよびFから成る群から選択され、Xは、YおよびTから成る群から選択され、X10は、VおよびAから成る群から選択され、X11は、S、N、およびYから成る群から選択される。
CDR2 XNXRPS(配列番号119)、式中、Xは、D、G、T、およびRから成る群から選択され、Xは、N、K、およびSから成る群から選択され、Xは、K、N、およびQから成る群から選択される。
CDR3 XDXV(配列番号120)、式中、Xは、G、N、およびAから成る群から選択され、Xは、T、S、およびAから成る群から選択され、Xは、WおよびRから成る群から選択され、Xは、SおよびDから成る群から選択され、Xは、RおよびSから成る群から選択され、Xは、LおよびVから成る群から選択され、Xは、S、Y、およびNから成る群から選択され、Xは、A、H、およびGから成る群から選択され、Xは、VおよびLから成る群から選択される。
HC1コンセンサス
CDR1 XYYMX(配列番号121)、式中、Xは、GおよびDから成る群から選択され、Xは、HおよびYから成る群から選択される。
CDR2 WIXPNSGGTNYAQKFQG(配列番号122)、式中、Xは、NおよびSから成る群から選択される。
CDR3 XSXGX101112YYX13GMDV(配列番号123)、式中、Xは、DおよびGから成る群から選択され、Xは、QおよびGから成る群から選択され、Xは、MおよびYから成る群から選択され、Xは、IおよびGから成る群から選択され、Xは、IおよびYから成る群から選択され、Xは、MおよびAから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合はLであり、Xは、存在または不在であって、存在する場合はRであり、Xは、VおよびLから成る群から選択され、X10は、FおよびYから成る群から選択され、X11は、PおよびSから成る群から選択され、X12は、PおよびHから成る群から選択され、X13は、存在または不在であって、存在する場合はYである。
HC2コンセンサス
CDR2 RIKSXTDGGTTDYXAPVKG(配列番号124)、式中、Xは、KおよびTから成る群から選択され、Xは、TおよびAから成る群から選択される。
HC3コンセンサス
CDR1 XYXMX(配列番号125)、式中、Xは、TおよびSから成る群から選択され、Xは、SおよびAから成る群から選択され、Xは、NおよびSから成る群から選択される。
CDR2 XISXSXYYADSVKG(配列番号126)、式中、Xは、SおよびAから成る群から選択され、Xは、SおよびGから成る群から選択され、Xは、SおよびGから成る群から選択され、Xは、SおよびGから成る群から選択され、Xは、YおよびRから成る群から選択され、Xは、RおよびTから成る群から選択される。
CDR3 XPYSXWYDYYYGMDV(配列番号127)、式中、Xは、EおよびDから成る群から選択され、Xは、GおよびQから成る群から選択され、Xは、VおよびRから成る群から選択され、Xは、SおよびEから成る群から選択され、Xは、GおよびVから成る群から選択され、Xは、SおよびGから成る群から選択され、Xは、存在または不在であり、存在する場合はSであり、Xは、IおよびSから成る群から選択され、Xは、SおよびGから成る群から選択される。
HC4コンセンサス
CDR1 SXGMH(配列番号128)、式中、Xは、FおよびYから成る群から選択される。
CDR2 VISXDGSXKYXDSVKG(配列番号129)、式中、Xは、FおよびYから成る群から選択され、Xは、IおよびHから成る群から選択され、Xは、SおよびYから成る群から選択され、Xは、VおよびAから成る群から選択される。
CDR3 XRXSXYYX1011YYGX1213V(配列番号130)、式中、Xは、DおよびEから成る群から選択され、Xは、LおよびKから成る群から選択され、Xは、NおよびRから成る群から選択され、Xは、YおよびVから成る群から選択され、Xは、YおよびTから成る群から選択され、Xは、DおよびMから成る群から選択され、Xは、SおよびTから成る群から選択され、Xは、GおよびLから成る群から選択され、Xは、HおよびYから成る群から選択され、X10は、存在または不在であって、存在する場合はYであり、X11は、KおよびFから成る群から選択され、X12は、MおよびLから成る群から選択され、X13は、AおよびDから成る群から選択される。
HCAコンセンサス
CDR1 XMX(配列番号131)、式中、Xは、NおよびSから成る群から選択され、Xは、A、Y、およびFから成る群から選択され、Xは、W、A、およびGから成る群から選択され、Xは、SおよびHから成る群から選択される。
CDR2 XIXGX1011121314VKG(配列番号132)、式中、Xは、R、A、およびVから成る群から選択され、Xは、K、S、およびWから成る群から選択され、Xは、S、G、F、およびYから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、KおよびTから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合はTであり、Xは、DおよびSから成る群から選択され、Xは、GおよびSから成る群から選択され、Xは、T、R、I、N、およびHから成る群から選択され、Xは、TおよびKから成る群から選択され、X10は、DおよびYから成る群から選択され、X11は、YおよびSから成る群から選択され、X12は、T、A、およびVから成る群から選択され、X13は、AおよびDから成る群から選択され、X14は、PおよびSから成る群から選択される。
CDR3 X1011121314151617GX1819V(配列番号133)、式中、Xは、D、A、およびEから成る群から選択され、Xは、R、Q、およびGから成る群から選択され、Xは、T、R、L、G、およびKから成る群から選択され、Xは、G、E、N、I、およびRから成る群から選択され、Xは、Y、V、およびAから成る群から選択され、Xは、S、G、Y、AおよびTから成る群から選択され、Xは、I、P、D、AおよびMから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、SおよびYから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、W、S、およびTから成る群から選択され、X10は、S、G、およびLから成る群から選択され、X11は、S、G、L、およびYから成る群から選択され、X12は、存在または不在であって、存在する場合は、WおよびYから成る群から選択され、X13は、YおよびHから成る群から選択され、X14は、存在または不在であって、存在する場合は、YおよびDから成る群から選択され、X15は、Y、KおよびFから成る群から選択され、X16は、存在または不在であって、存在する場合はYであり、X17は、存在または不在であって、存在する場合はYであり、X18は、MおよびLから成る群から選択され、X19は、DおよびAから成る群から選択される。
HCBコンセンサス
CDR1 X(配列番号134)、式中、Xは、N、G、D、S、およびAから成る群から選択され、Xは、A、F、およびYから成る群から選択され、Xは、W、Y、A、およびGから成る群から選択され、Xは、MおよびLから成る群から選択され、Xは、SおよびHから成る群から選択される。
CDR2 XIX1011121314151617G(配列番号135)、式中、Xは、R、W、A、V、SおよびFから成る群から選択され、Xは、K、N、S、W、およびRから成る群から選択され、Xは、S、P、G、F、およびYから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合、K、T、およびRから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合、TおよびAから成る群から選択され、Xは、D、N、H、S、およびYから成る群から選択され、Xは、GおよびSから成る群から選択され、Xは、GおよびSから成る群から選択され、Xは、T、G、R、I、N、H、およびYから成る群から選択され、X10は、T、K、R、およびPから成る群から選択され、X11は、D、N、Y、およびEから成る群から選択され、X12は、YおよびSから成る群から選択され、X13は、T、A、およびVから成る群から選択され、X14は、A、Q、およびDから成る群から選択され、X15は、P、K、およびSから成る群から選択され、X16は、VおよびFから成る群から選択され、X17は、KおよびQから成る群から選択される。
CDR3 XSX10111213141516GX1718V(配列番号136)、式中、Xは、D、G、A、およびEから成る群から選択され、Xは、R、G、およびQから成る群から選択され、Xは、T、M、Y、R、L、G、およびKから成る群から選択され、Xは、G、S、E、N、IおよびRから成る群から選択され、Xは、Y、I、G、V、およびAから成る群から選択され、Xは、S、I、Y、G、AおよびTから成る群から選択され、Xは、I、M、A、PおよびDから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、S、L、およびYから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、W、R、S、およびTから成る群から選択され、X10は、S、G、およびLから成る群から選択され、X11は、S、V、L、G、およびYから成る群から選択され、X12は、存在または不在であって、存在する場合、F、Y、およびWから成る群から選択され、X13は、Y、P、S、およびHから成る群から選択され、X14は、存在または不在であって、存在する場合は、Y、P、D、およびHから成る群から選択され、X15は、Y、K、およびFから成る群から選択され、X16は、存在または不在であって、存在する場合はYであり、X17は、存在または不在であって、存在する場合はYであり、X18は、MおよびLから成る群から選択される。
【0038】
上述のコンセンサス配列定義実施形態のうちのいずれにおいても、単離抗原結合タンパク質は、例えば、AVIMERポリペプチド、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト(例えば、完全ヒト)抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多特異的抗体、またはその抗原結合断片であり得る。さらに、単離抗原結合タンパク質の抗体断片は、Fab断片およびFab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、二特異性抗体または単鎖抗体分子であり得る。例えば、単離抗原結合タンパク質は、ヒトモノクローナル抗体であり得、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4型抗体であってもよい。さらに、単離抗原結合タンパク質は、中和抗原結合タンパク質であり得る。
【0039】
上述のコンセンサス配列定義実施形態のうちのいずれにおいても、単離抗原結合タンパク質は、ヒトCRLRおよびヒトRAMP1の両方に特異的に結合し得、AM1、AM2、またはヒトアミリン受容体(例えば、AMY1)に特異的に結合せず、例えば、単離抗原結合タンパク質は、FACS結合検定を使用して決定し、例えば、Rathanaswami,et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 334(2005)1004-1013に記載の方法を使用して分析して、K1μM以下、100nM以下、10nM以下、または5nM以下でヒトCGRP Rに特異的に結合し得る。上述のコンセンサス配列定義実施形態のうちのいずれにおいて、単離抗原結合タンパク質は、ヒトAM1、AM2、またはAM1受容体に対して、例えば、100以上、250以上、500以上、750以上、1,000以上、2,500以上、5,000以上、または10,000以上の選択比で、ヒトCGRP Rを選択的に阻害し得、選択的阻害の程度は、例えば、本明細書の実施例に記載されるようなcAMP検定を使用して、任意の適切な方法を使用して決定することができる。上述の配列定義実施形態のうちのいずれにおいても、単離抗原結合タンパク質は、ヒトCGRP Rを発現する細胞から膜への放射性標識125I-CGRP結合競合検定、例えば、本明細書の実施例5に記載される検定において、Kiが100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.5nM以下、または0.1nM以下であり得る。
【0040】
記載される単離抗原結合タンパク質のいくつかは、配列番号158~170から成る群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、および90%または95%の配列同一性を有する、重鎖可変領域(V)を含む。記載される単離抗原結合タンパク質のいくつかは、配列番号137~153から成る群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、および90%または95%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域(V)を含む。記載される単離抗原結合タンパク質のいくつかは、配列番号158~170から成る群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、および90%または95%の配列同一性を有する、V配列と、配列番号137~153から成る群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、および90%または95%の配列同一性を有する、Vと、を含む。いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号158~170から成る群から選択されるか、または(ii)(i)によって定義されるとおりであり、1つまたは複数(例えば、5個、10個、15個、または20個)のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列を含む、重鎖可変領域(V)、(B)(iii)配列番号137~153から成る群から選択されるか、または(iv)(iii)によって定義されるとおりであり、1つまたは複数(例えば、5個、10個、15個、または20個)のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列を含む、配列を含むV、または(C)(A)のVおよび(B)のVを含む。一部の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号158~170から成る群から選択される配列を含む、重鎖可変領域(V)および配列番号137~153から成る群から選択される配列を含む、Vを含む。
【0041】
一実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号158、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(V)を含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号159、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号160、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号161、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号162、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号163、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号164、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号165、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号166、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号167、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号168、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号169、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号170、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。
【0042】
一実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号137、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域(V)を含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号138、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号139、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号140、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号141、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号142、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号143、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号144、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号145、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号146、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号147、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号148、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号149、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号150、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号151、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号152、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(i)配列番号153、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、Vを含む。
【0043】
上述のVおよびV配列定義実施形態のうちのいずれにおいても、単離抗原結合タンパク質は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト(例えば、完全ヒト)抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多特異的抗体、またはその抗原結合断片であり得る。さらに、単離抗原結合タンパク質の抗体断片は、Fab断片およびFab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、二特異性抗体または単鎖抗体分子であり得る。例えば、単離抗原結合タンパク質は、ヒトモノクローナル抗体であり得、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4型抗体であってもよい。さらに、単離抗原結合タンパク質は、中和抗原結合タンパク質であり得る。
【0044】
上述のVおよびV配列定義実施形態のうちのいずれにおいて、単離抗原結合タンパク質は、ヒトCRLRおよびヒトRAMP1の両方に特異的に結合し得、AM1、AM2、またはヒトアミリン受容体(例えば、AMY1)に特異的に結合せず、例えば、単離抗原結合タンパク質は、FACS結合検定を使用して決定し、例えば、Rathanaswami,et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 334(2005)1004-1013に記載の方法を使用して分析して、K1μM以下、100nM以下、10nM以下、または5nM以下でヒトCGRP Rに特異的に結合し得る。上述のVおよびV配列定義実施形態のうちのいずれかにおいて、単離抗原結合タンパク質は、ヒトAM1、AM2、またはAM1受容体に対して、例えば、100以上、250以上、500以上、750以上、1,000以上、2,500以上、5,000以上、または10,000以上の選択比で、ヒトCGRP Rを選択的に阻害し得、選択的阻害の程度は、例えば、本明細書の実施例に記載されるようなcAMP検定を使用して、任意の適切な方法を使用して決定することができる。上述のVおよびV配列定義実施形態のうちのいずれにおいて、単離抗原結合タンパク質は、CGRP結合競合検定において、例えば、ヒトCGRP Rを発現する細胞から膜への放射性標識125I-CGRP結合競合検定、例えば、本明細書の実施例5に記載される検定において、Kiが100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.5nM以下、または0.1nM以下であり得る。
【0045】
一態様において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号29~41から成る群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する重鎖配列を含む。記載される単離抗原結合タンパク質のいくつかは、配列番号12~28から成る群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する軽鎖配列を含む。単離抗原結合タンパク質のいくつかは、配列番号29~41から成る群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する重鎖配列と、配列番号12~28から成る群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する軽鎖配列と、を含む。いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号29~41から成る群から選択されるか、または(ii)(i)によって定義されるとおりであり、1つまたは複数(例えば、5個、10個、15個、または20個)のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む、配列を含む重鎖、(B)(iii)配列番号12~28から成る群から選択されるか、または(iv)(iii)によって定義されるとおりであり、1つまたは複数(例えば、5個、10個、15個、または20個)のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む、配列を含む軽鎖、または(C)(A)の重鎖および(B)の軽鎖を含む。一部の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号29~41から成る群から選択される配列を含む重鎖と、配列番号12~28から成る群から選択される配列を含む軽鎖と、を含む。
【0046】
一実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号29、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号12、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0047】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号30、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号13、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0048】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号31、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号14、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0049】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号32、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号15、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0050】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号33、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号16、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0051】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号29、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号17、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0052】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号34、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号18、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0053】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号33、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号19、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0054】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号29、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号20、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0055】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号35、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号21、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0056】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号36、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号22、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0057】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号37、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号23、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0058】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号38、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号23、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0059】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号33、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号24、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0060】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号39、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号25、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0061】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号40、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号26、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0062】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号41、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号27、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0063】
別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号41、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖と、(B)(i)配列番号28、(ii)(i)によって定義される配列と、少なくとも90%または95%同一である配列、および(iii)(i)によって定義されるとおりであり、最大10個のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)、欠失、または挿入を含む配列、から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖と、を含む。
【0064】
上述の軽鎖および重鎖配列が定義された実施形態のうちのいずれにおいても、単離抗原結合タンパク質は、特定された重鎖および/または軽鎖配列を含み得るが、異なるシグナルペプチドを有するか、またはシグナルペプチドを有しない。上述の軽鎖および重鎖配列が定義された実施形態のうちのいずれにおいても、単離抗原結合タンパク質は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト(例えば、完全ヒト)抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多特異性抗体、またはその抗体結合断片であり得る。さらに、単離抗原結合タンパク質の抗体断片は、Fab断片、およびFab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、二特異性抗体、または単鎖抗体分子であり得る。例えば、単離抗原結合タンパク質は、ヒトモノクローナル抗体であってもよく、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4型抗体であり得る。さらに、単離抗原結合タンパク質は、中和抗原結合タンパク質であり得る。
【0065】
上述の軽鎖および重鎖配列が定義された実施形態のうちのいずれにおいても、単離抗原結合タンパク質は、ヒトCRLRおよびヒトRAMP1の両方に特異的に結合し得、AM1、AM2、またはヒトアミリン受容体(例えば、AMY1)に特異的に結合しない。例えば、単離抗原結合タンパク質は、例えば、FACS結合検定を使用して決定および分析して、例えば、Rathanaswami,et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications334(2005)1004-1013に記載される方法を使用して、1μM以下、100nM以下、10nM以下、または5nM以下のKで、ヒトCGRP Rに特異的に結合する。上述の軽鎖および重鎖配列が定義された実施形態のうちのいずれにおいても、単離抗原結合タンパク質は、ヒトAM1、AM2、またはAMY1受容体に関して、100以上、250以上、500以上、750以上、1、000以上、2,500以上、5,000以上、または10,000以上の選択率で、ヒトCGRP Rを選択的に阻害し得、選択的阻害の程度は、任意の適切な方法を使用して、例えば、本明細書の実施例において記載されるようなcAMP検定を使用して、決定することができる。上述の軽鎖および重鎖配列が定義された実施形態のうちのいずれにおいて、単離抗原結合タンパク質は、例えば、ヒトCGRP Rを発現する細胞から膜への放射性標識125I-CGRP結合競合検定、例えば、本明細書の実施例5に記載される検定においてのような、CGRP結合競合検定において、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.5nM以下、または0.1nM以下のKiであり得る。
【0066】
さらなる態様において、上で要約されるCGRP R抗原結合タンパク質のうちのいずれかをコード化する、単離核酸ポリヌクレオチドも提供される。一実施形態において、単離ポリヌクレオチドは、配列番号175、176、178、179、180、181、182、183、186、187、188、189、191、192、193、194、195、196、197、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、および210から成る群から選択される配列を含む。別の実施形態において、単離ポリヌクレオチドは、配列番号224~258から成る群から選択される配列を含む。別の実施形態において、単離ポリヌクレオチドは、厳しいハイブリダイゼーション条件下で、配列番号224~258から成る群から選択される配列とハイブリダイズすることができる配列を含む。別の実施形態において、単離ポリヌクレオチドは、配列番号224~258から成る群から選択される配列に対して、約80%、85%、90%または95%以上同一である配列を含む。一部の例において、単離核酸分子は、制御配列に対して操作可能に結合される。関連実施形態において、単離ポリヌクレオチドは、発現ベクターに組み込まれる。
【0067】
上述のような単離ポリヌクレオチドを含む発現ベクターによって形質転換される細胞株も含まれる。関連態様において、上述のCGRP R抗原結合タンパク質をコード化する、前述の単離核酸分子を含む、発現ベクターによって形質転換またはトランスフェクトされる発現ベクターおよび宿主細胞も提供される。
【0068】
別の態様において、抗原結合タンパク質を分泌する宿主細胞から、抗原結合タンパク質を調製するステップを含む、抗原結合タンパク質を調製するための方法も提供される。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、可溶性CGRP受容体を含む免疫原を使用して生成される。一部の実施形態において、そのような可溶性CGRP受容体は、ヒトCRLRのN末端細胞外ドメイン(ECD)およびヒトRAMP1のECD、例えば、本明細書の実施例1および2に記載されるように、例えば、配列番号6を含むヒトCRLRのECDおよび配列番号8を含むRAMP1のECDを共発現および精製することによって得られる。
【0069】
さらに別の態様において、上で要約される抗原結合タンパク質および薬学的に許容される賦形剤のうちの少なくとも1つを含む、薬学的組成物が提供される。一実施形態において、薬学的組成物は、放射性同位体、放射性ヌクリド、毒素、または治療薬および化学療法薬群から成る群から選択される、追加の活性薬剤を含んでもよい。
【0070】
一態様において、単離抗原結合タンパク質は、患者に投与されると、血管拡張を阻害し、および/または神経性炎症を減少させるのに有効である。一実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、例えば、片頭痛等の頭痛の頻度および/または重度を低減するのに有効である。例えば、抗原結合タンパク質は、片頭痛の急性治療として、および/または症状、特に片頭痛発作と関連付けられる疼痛症状の頻度および/または重度を予防または低減させるための予防的処置として使用されてもよい。
【0071】
他の態様は、患者においてCGRP Rと関連付けられる状態を治療または予防するための方法をさらに提供し、上で要約される少なくとも1つの単離抗原結合タンパク質を有効量で患者に投与することを含む。一実施形態において、状態は頭痛であり、例えば、片頭痛または群発頭痛、あるいは別の種類の疼痛、例えば、慢性疼痛であり、別の実施形態において、それは糖尿病(II型)であり、別の実施形態において、それは炎症、特に神経性炎症であり、別の実施形態において、それは心血管疾患であり、別の実施形態において、それは内毒素血および敗血症と関連付けられる血行動態異常であり、別の実施形態において、それは血管拡張である。
【0072】
別の態様において、患者におけるヒトCGRP R、例えば、CGRP Rの細胞外部分へのCGRPの結合を阻害する方法も提供され、本明細書において提供される、および/または上で要約される、有効量の少なくとも1つの抗原結合タンパク質を投与することを含む。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
単離抗原結合タンパク質であって、ヒトCGRP受容体を選択的に阻害する、単離抗原結合タンパク質。
(項目2)
前記単離抗原結合タンパク質は、前記ヒトCGRP受容体を、100以上の選択率で選択的に阻害する、項目1に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目3)
前記単離抗原結合タンパク質は、前記ヒトCGRP受容体を、500以上の選択率で選択的に阻害する、項目2に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目4)
前記単離抗原結合タンパク質は、100nM以下のKで、ヒトCGRPに特異的に結合する、項目1に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目5)
前記単離抗原結合タンパク質は、FACS結合検定を使用して決定して、10nM以下のKで、ヒトCGRPに特異的に結合する、項目4に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目6)
前記単離抗原結合タンパク質は、CGRP結合競合検定において、10nM未満のKiを有する、項目1に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目7)
前記単離抗原結合タンパク質は、ヒトCGRP Rを発現する細胞からの膜に対する放射性標識125I-CGRP結合競合検定において、1nM未満のKiを有する、項目6に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目8)
前記単離抗原結合タンパク質は、ヒトCGRP Rへの結合に対して基準抗体と競合し、前記基準抗体は、(i)配列番号161、163、164、166、および168から成る群から選択される配列を含む重鎖可変領域と、(ii)配列番号140、143、146、148、および150から成る群から選択される配列を含む軽鎖可変領域と、を含む、項目1に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目9)
前記基準抗体は、(i)配列番号32、34、35、37、および39から成る群から選択される配列によって定義される重鎖と、(ii)配列番号15、18、21、23、および25から成る群から選択される配列によって定義される軽鎖と、を含む、項目8に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目10)
前記基準抗体は、以下の配列対のうちの1つによって定義される、重鎖および軽鎖を含む、項目9に記載の単離抗原結合タンパク質:
配列番号32および配列番号15、
配列番号34および配列番号18、
配列番号35および配列番号21、
配列番号37および配列番号23、ならびに
配列番号39および配列番号25。
(項目11)
(A)(i)配列番号134を有するCDRH1と、(ii)配列番号135を有するCDRH2と、(iii)配列番号136を有するCDRH3と、(iv)1つ、2つ、3つ、または4つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含む(i)、(ii)、または(iii)のCDRHとから成る群から選択される、1つまたは複数の重鎖相補性決定領域(CDRH)、
(B)(i)配列番号107、111、および118から成る群から選択されるCDRL1と、(ii)配列番号108、112、および119から成る群から選択されるCDRL2と、(iii)配列番号109、113、および120から成る群から選択されるCDRL3と、任意で(iv)1つ、2つ、3つ、または4つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含む(i)、(ii)、および(iii)のCDRLとから成る群から選択される、1つまたは複数の軽鎖相補性決定領域(CDRL)、
または(C)(A)の1つまたは複数の重鎖CDRHおよび(B)の1つまたは複数の重鎖CDRL、
を含む、単離抗原結合タンパク質。
(項目12)
前記CDRHは、(i)配列番号131を有するCDRH1と、(ii)配列番号132を有するCDRH2と、(iii)配列番号133を有するCDRH3と、(iv)1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含む(i)、(ii)、および(iii)のCDRHとから成る群からさらに選択される、項目11に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目13)
前記CDRHは、(i)配列番号76、88、100、121、125、および128から成る群から選択されるCDRH1と、(ii)配列番号89、101、122、124、126、および129から成る群から選択されるCDRH2と、(iii)配列番号78、90、102、123、127、および130から成る群から選択されるCDRH3と、(iv)1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含む(i)、(ii)、および(iii)のCDRHとから成る群からさらに選択される、項目12に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目14)
前記CDRHは、(i)配列番号73、76、79、82、85、88、92、97、および100から成る群から選択されるCDRH1と、(ii)配列番号74、77、80、83、86、89、91、93、95、98、101、および129から成る群から選択されるCDRH2と、(iii)配列番号75、78、81、84、87、90、96、99、102、および123から成る群から選択されるCDRH3と、(iv)1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含む(i)、(ii)、および(iii)のCDRHとから成る群からさらに選択される、項目13に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目15)
前記CDRLは、(i)配列番号107、111、および115から成る群から選択されるCDRL1と、(ii)配列番号108、112および116から成る群から選択されるCDRL2と、(iii)配列番号109、113および117から成る群から選択されるCDRL3と、(iv)1つ、2つ、3つ、または4つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含む(i)、(ii)、および(iii)のCDRLとから成る群からさらに選択される、項目11に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目16)
前記CDRLは、(i)配列番号42、45、51、57、62、69、103、および110から成る群から選択されるCDRL1と、(ii)配列番号43、52、55、58、63、70、104、108、および114から成る群から選択されるCDRL2と、(iii)配列番号44、47、53、56、59、64、105、および106から成る群から選択されるCDRL3と、(iv)1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含む(i)、(ii)、および(iii)のCDRLとから成る群からさらに選択される、項目15に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目17)
前記CDRLは、(i)配列番号42、45、48、51、54、57、62、65、66、および69から成る群から選択されるCDRL1と、(ii)配列番号43、46、49、52、55、58、61、63、67、および70から成る群から選択されるCDRL2と、(iii)配列番号44、47、50、53、56、59、64、68、71、および72から成る群から選択されるCDRL3と、(iv)1つ、2つ、または3つのアミノ酸置換、欠失、または挿入を含む(i)、(ii)、および(iii)のCDRLとから成る群からさらに選択される、項目16に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目18)
前記単離抗原結合タンパク質は、少なくとも1つのCDRHおよび少なくとも1つのCDRLを含む、項目11~17のうちのいずれかに記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目19)
前記単離抗原結合タンパク質は、少なくとも2つのCDRHおよび少なくとも2つのCDRLを含む、項目18に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目20)
前記単離抗原結合タンパク質は、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む、項目11~19のうちのいずれかに記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目21)
配列番号158~170から成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域(V)配列を含む、単離抗原結合タンパク質。
(項目22)
配列番号137~153から成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域(V)配列を含む、単離抗原結合タンパク質。
(項目23)
配列番号158、159、および162~172から成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するV配列と、配列番号137、138、140~145、148~151、および153~157から成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するV配列と、を含む、単離抗原結合タンパク質。
(項目24)
前記単離抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗体、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、二重特異性抗体、および単鎖抗体から成る群から選択される、項目1~23のうちのいずれかに記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目25)
前記単離抗原結合タンパク質は、完全なヒト抗体、ヒト化抗体、およびキメラ抗体から成る群から選択される、モノクローナル抗体である、項目24に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目26)
前記モノクローナル抗体は、IgG1型、IgG2型、IgG3型、またはIgG4型抗体である、項目25に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目27)
前記モノクローナル抗体は、IgG1またはIgG2抗体である、項目26に記載の単離抗原結合タンパク質。
(項目28)
項目1~27のうちのいずれかに記載の抗原結合タンパク質をコードする、単離核酸ポリヌクレオチド。
(項目29)
前記ポリヌクレオチドは、配列番号175、176、178、179、180、181、182、183、186、187、188、189、191、192、193、194、195、196、197、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、および210から成る群から選択される配列と80%以上同一である配列を含む、項目28に記載の単離核酸ポリヌクレオチド。
(項目30)
前記ポリヌクレオチドは、配列番号224~258から成る群から選択される配列と80%以上同一である配列を含む、項目28に記載の単離核酸ポリヌクレオチド。
(項目31)
前記ポリヌクレオチドは、配列番号224~258から成る群から選択される配列と、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリッド形成可能な配列を含む、項目28に記載の単離核酸ポリヌクレオチド。
(項目32)
項目28~31のうちのいずれかに記載の単離ポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
(項目33)
項目32に記載の発現ベクターで形質転換された、細胞株。
(項目34)
前記抗原結合タンパク質を分泌する宿主細胞から前記抗原結合タンパク質を調製することを含む、項目1~27のうちのいずれかに記載の抗原結合タンパク質を形成する方法。
(項目35)
前記抗原結合タンパク質は、可溶性CGRP受容体を含む免疫原を使用して生成される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記可溶性CGRP受容体は、ヒトCRLRおよびヒトRMAP1のN末端細胞外ドメイン(ECD)を共発現および精製することによって得られる、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記ヒトCRLRのECDは、配列番号6を含み、前記RAMP1のECDは、配列番号8を含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
項目1~27のうちのいずれかに記載の抗原結合タンパク質および薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物。
(項目39)
患者において、CGRP Rと関連付けられる状態を治療するための方法であって、項目1~27のうちのいずれかに記載の有効量の単離抗原結合タンパク質を患者に投与することを含む、方法。
(項目40)
前記状態は頭痛である、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記状態は片頭痛である、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記方法は、予防的処置を含む、項目39~41のうちのいずれかに記載の方法。
【0073】
これらおよび他の態様は、本明細書において詳細に説明される。提供される態様のそれぞれは、本明細書において提供される様々な実施形態を包含することができる。したがって、1つの要素または要素の組み合わせを含む実施形態のそれぞれは、記載される各態様に含まれ得ることが予期され、上記態様および実施形態のそのような組み合わせは、すべて明示的に考慮される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明において明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】ヒト、カニクイザル、およびラットからのRAMP1配列の整列を示す。
図2】ヒト、カニクイザル、およびラットからのCRLR配列の整列を示す。
図3A図3Aおよび3B。κ軽鎖を有する表示される抗CGRP受容体抗体クローンからの軽鎖CDRの系統発生ベースの配列の整列、および所定の対応するコンセンサス配列を示す。
図3B図3Aおよび3B。κ軽鎖を有する表示される抗CGRP受容体抗体クローンからの軽鎖CDRの系統発生ベースの配列の整列、および所定の対応するコンセンサス配列を示す。
図4】λ軽鎖を有する表示される抗CGRP受容体抗体クローンからの軽鎖CDRの系統発生ベースの配列の整列、および所定の対応するコンセンサス配列を示す。
図5A図5A、5B、5C、5Dおよび5E。表示される抗CGRP受容体抗体クローンからの重鎖CDRの系統発生ベースの配列の整列、および所定の対応するコンセンサス配列を示す。
図5B図5A、5B、5C、5Dおよび5E。表示される抗CGRP受容体抗体クローンからの重鎖CDRの系統発生ベースの配列の整列、および所定の対応するコンセンサス配列を示す。
図5C図5A、5B、5C、5Dおよび5E。表示される抗CGRP受容体抗体クローンからの重鎖CDRの系統発生ベースの配列の整列、および所定の対応するコンセンサス配列を示す。
図5D図5A、5B、5C、5Dおよび5E。表示される抗CGRP受容体抗体クローンからの重鎖CDRの系統発生ベースの配列の整列、および所定の対応するコンセンサス配列を示す。
図5E図5A、5B、5C、5Dおよび5E。表示される抗CGRP受容体抗体クローンからの重鎖CDRの系統発生ベースの配列の整列、および所定の対応するコンセンサス配列を示す。
図5F】本明細書に開示される典型的な抗CGRP受容体抗体重鎖CDRのコンセンサス配列を示す。
図6】1092抗体CGRP Rハイブリドーマ上清(菱形)および68陰性対照上清(正方形)による、CGRP Rに結合する標識リガンドの阻害率を示す、2つの実験からのデータのプロットを示す。
図7A図7A-D。3つの示される抗CGRP R mAbに対する、hCGRP受容体(図7A)、hAM1(図7B)、hAM2(図7C)、およびヒトアミリン受容体(図7D)を発現する細胞からの典型的なcAMP検定IC50データを示す。
図7B図7A-D。3つの示される抗CGRP R mAbに対する、hCGRP受容体(図7A)、hAM1(図7B)、hAM2(図7C)、およびヒトアミリン受容体(図7D)を発現する細胞からの典型的なcAMP検定IC50データを示す。
図7C図7A-D。3つの示される抗CGRP R mAbに対する、hCGRP受容体(図7A)、hAM1(図7B)、hAM2(図7C)、およびヒトアミリン受容体(図7D)を発現する細胞からの典型的なcAMP検定IC50データを示す。
図7D図7A-D。3つの示される抗CGRP R mAbに対する、hCGRP受容体(図7A)、hAM1(図7B)、hAM2(図7C)、およびヒトアミリン受容体(図7D)を発現する細胞からの典型的なcAMP検定IC50データを示す。
図8】ヒトCGRP受容体に対するmAbのKiを決定するために用い得るような、125I-CGRP結合データの実施例を示す。
図9A図9A-D。本明細書に開示される選択された抗体に関するBiacore競合データを示す。
図9B図9A-D。本明細書に開示される選択された抗体に関するBiacore競合データを示す。
図9C図9A-D。本明細書に開示される選択された抗体に関するBiacore競合データを示す。
図9D図9A-D。本明細書に開示される選択された抗体に関するBiacore競合データを示す。
図10】mAb 12G8のFACS Kd決定を示す。
図11】カニクイザル、ヒトキメラ、ラット、およびアカゲザルRAMP1配列の整列を示す。
図12A図12A-B。ヒト、カニクイザル、アカゲザル、ラット、ヒトキメラ、およびコンセンサスCRLR配列の整列を示す。
図12B図12A-B。ヒト、カニクイザル、アカゲザル、ラット、ヒトキメラ、およびコンセンサスCRLR配列の整列を示す。
図13A図13A-13C。抗CGRP R抗体に結合する異なるキメラCGRP受容体の代表的なFACSデータを示す。
図13B図13A-13C。抗CGRP R抗体に結合する異なるキメラCGRP受容体の代表的なFACSデータを示す。
図13C図13A-13C。抗CGRP R抗体に結合する異なるキメラCGRP受容体の代表的なFACSデータを示す。
図14】CGRP RのAspN消化のみ、(クロマトグラムA)およびCGRP Rモノクローナル抗体12G8を含む対照試料の消化(クロマトグラムB)に由来するペプチドマップを示す。
図15】異なる濃度のCGRP R中和抗体の存在下のCGRP RのAspN消化を示す。
図16】異なる濃度のCGRP R中和抗体、4E4の存在下のCGRP RのAspN消化を示す。
図17】抗体32H7により様々な受容体成分を発現する細胞の免疫組織化学染色強度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本明細書で使用される節の表題は、単に構成上の目的のためであり、記載される主題を制限するものとして見なされるものではない。
【0076】
本明細書において特に定義されない限り、本出願との関連で使用される科学的および技術的用語は、当業者によって一般に理解される意味を有する。さらに、文脈上必要とされない限り、単数形の用語は、複数を含み、複数形の用語は、単数を含む。
【0077】
一般に、本明細書に記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微小生物学、遺伝子学、およびタンパク質ならびに核酸化学およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法および技術は、該技術分野においてよく知られ、一般に使用されるものである。本出願の方法および技術は、一般に、該技術分野においてよく知られている従来の方法に従って、特に明記されない限り、本明細書全体で引用および論考される、様々な一般的および特定の参考文献に記載されるように行われる。例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)、およびHarlow and Lane Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)を参照されたい。酵素反応および精製技術は、製造者の仕様に従って、該技術分野において一般に達成されるように、または本明細書に記載されるように行われる。本明細書に記載される分析的化学、合成有機化学、および医療ならびに薬化学の研究室手順および技術と関連して使用される用語は、該技術分野においてよく知られ、一般に使用されるものである。標準技術を、化学合成、化学分析、医薬調製、製剤、および送達、ならびに患者の治療に使用することができる。
【0078】
本発明は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、および試薬等に限定されないこと、およびそれらは異なり得ることを理解されたい。本明細書において使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、請求項によってのみ定義される、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0079】
操作の実施例、または別様に示される場合を除いて、本明細書において使用される成分または反応状態の量を表すすべての数字は、すべての例において「約」という用語によって修正されるものと理解されたい。用語「約」は、パーセンテージに関して使用される場合、±1%を意味する。
【0080】
定義
「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、単鎖および二重鎖ヌクレオチドポリマーの両方を含む。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド、またはいずれかの種類のヌクレオチドの修飾形態であり得る。該修飾は、ブロモウリジンおよびイノシン誘導体等の塩基修飾、2’,3’-ジデオキシリボース等のリボース修飾、およびホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホルアニラデート、およびホスホロアミデート等のヌクレオチド間結合修飾を含む。
【0081】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、200個以下のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、10~60塩基長である。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17、18、19、または20~40ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドは、例えば、変異遺伝子の構築に使用する場合、単鎖または二重鎖であってもよい。オリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、検出検定のための放射性標識、蛍光標識、ハプテンまたは抗原性標識を含み得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、PCRプライマ、クローニングプライマ、またはハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。
【0082】
「単離核酸分子」は、ゲノム、mRNA、cDNA、または合成起源あるいはそのある種の組み合わせのDNAまたはRNAを意味し、単離ポリヌクレオチドは、単離ポリヌクレオチドが自然界において見出されるか、またはそれが自然界で結合されないポリヌクレオチドに結合される、ポリヌクレオチドのすべてまたは一部と関連付けられないものである。この開示の目的で、特定のヌクレオチド配列「を含む核酸分子」は、処理されていない完全な染色体を包含しないことを理解されたい。特定の核酸配列「を含む」単離核酸分子は、特定の配列に加えて、最大10または最大20もの他のタンパク質またはその部分に対するコーディング配列を含み得るか、または列挙される核酸配列のコーディング領域の発現を制御する、操作可能に結合された調節配列を含み得るか、および/またはベクター配列を含み得る。
【0083】
特に明記されない限り、本明細書において論じられる任意の単鎖ポリヌクレオチド配列の左端は、5’末端であり、二重鎖ポリヌクレオチド配列の左方向は、5’方向と称される。初期RNA転写の5’から3’の添加の方向は、転写方向と称され、RNA転写の5’から5’末端である、RNA転写と同一配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上方配列」と称され、RNA転写の3’から3’末端である、RNA転写と同一配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下方配列」と称される。」
【0084】
「制御配列」という用語は、それが結紮されるコーディング配列の発現および処理に影響を及ぼし得るポリヌクレオチドを意味する。そのような制御配列の性質は、宿主生物に依存し得る。特定の実施形態において、原核生物の制御配列は、プロモータ、リボソーム結合部位、および転写末端配列を含み得る。例えば、真核生物の制御配列は、転写因子、転写エンハンサ配列、および転写終結配列のための1つまたは複数の認識部位を含むプロモータを含み得る。「制御配列」は、リーダー配列および/または融合パートナー配列を含み得る。
【0085】
「ベクター」という用語は、タンパク質コーディング情報を宿主細胞に移行するために使用される、任意の分子または実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ、またはウイルス)を意味する。
【0086】
「発現ベクター」または「発現コンストラクトコンストラクト」という用語は、宿主細胞の形質転換に適切なベクターを意味し、そこに操作可能に結合される1つまたは複数の異種コーディング領域の発現を(宿主細胞と併せて)指示および/または制御する核酸配列を含む。発現コンストラクトには、転写、翻訳に影響するか、または制御する配列、およびイントロンが存在する場合は、そこに操作可能に結合されるコーディング領域のRNAスプライシングに影響する配列が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
本明細書で使用する、「操作可能に結合された」とは、用語が適用される成分が、適切な条件下で、それらの本来の機能を行うことができるようにする関係にあることを意味する。例えば、タンパク質コーディング配列に「操作可能に結合された」ベクターにおける制御配列は、タンパク質コーディング配列の発現が、制御配列の転写活動と適合する条件下で、タンパク質コーディング配列の発現が達成されるように、そこに結紮される。
【0088】
「宿主細胞」という用語は、核酸配列により形質転換されているか、または形質転換でき、それによって関心対象の遺伝子を発現する細胞を意味する。用語は、関心対象の遺伝子が存在する限り、起源の親細胞と形態学または遺伝的構成において同一であるか否かにかかわらず、親細胞の子孫を含む。
【0089】
「形質導入」という用語は、通常、バクテリオファージによって、一方のバクテリアから別のバクテリアへの遺伝子の移行を意味する。「形質導入」は、複製欠陥レトロウイルスによる真核細胞配列の取得および移行も意味する。
【0090】
「トランスフェクション」という用語は、細胞による外来または外因性DNAの摂取を意味し、細胞は、外因性DNAが細胞膜内に導入されると、「トランスフェクト」されたこととなる。多数のトランスフェクション技術が、該技術分野においてよく知られており、本明細書に開示される。例えば、Graham et al.,1973,Virology 52:456、Sambrook et al.,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual上記、Davis et al.,1986,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier、Chu et al.,1981,Gene 13:197を参照されたい。そのような技術を使用して、1つまたは複数の外因性DNA部分を適切な宿主細胞に導入することができる。
【0091】
「形質転換」という用語は、細胞の遺伝的特徴の変更を意味し、細胞は、新しいDNAまたはRNAを含むように修飾されると、形質転換されたこととなる。例えば、細胞は、トランスフェクション、形質導入、または他の技術を介して、新しい遺伝子物質を導入することにより、その生来の状態から遺伝子的に修飾される場合に形質転換される。トランスフェクションまたは形質導入に続いて、形質転換DNAは、細胞の染色体に物理的に一体化することによって、細胞のそれと組み換えし得るか、または複製されることなく、エピソーム要素として一時的に維持され得るか、またはプラスミドとして独立して複製し得る。細胞は、形質転換DNAが、細胞の分割をと共に複製される場合、「安定して形質転換された」と見なされる。
【0092】
用語「ポリペプチド」または「タンパク質」は、本明細書において同義的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを意味する。これらの用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する自然発生アミノ酸、ならびに自然発生するアミノ酸ポリマーの類似体または模倣体である、アミノ酸ポリマーにも適用される。これらの用語は、例えば、炭水化物残基を追加して、糖タンパク質を形成するか、またはリン酸化することによって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含し得る。ポリペプチドおよびタンパク質は、自然発生および非組み換え細胞によって生成され得るか、または遺伝子組み換えまたは組み換え細胞によって生成され、天然タンパク質のアミノ酸配列を有する分子、または天然配列の1つまたは複数のアミノ酸からの欠失、追加、および/または置換を有する分子を含む。「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、抗原結合タンパク質、例えば、CGRP R抗原結合タンパク質、CGRP R結合タンパク質、抗体、または抗原結合タンパク質の1つまたは複数のアミノ酸からの欠失、それへの追加、および/または置換を有する配列を特定的に包含する。「ポリペプチド断片」という用語は、全長タンパク質と比較して、アミノ末端欠失、カルボキシル末端欠失、および/または内部欠失を有するポリペプチドを意味する。そのような断片は、全長タンパク質と比較して、修飾アミノ酸も含み得る。所定の実施形態において、断片は、約5~500アミノ酸長である。例えば、断片は、少なくとも5、6、8、10、14、20、50、70、100、110、150、200、250、300、350、400、または450アミノ酸長であり得る。有用なポリペプチド断片は、結合ドメインを含む、免疫的に機能する断片を含む。CGRP R結合抗体の場合において、有用な断片には、CDR領域、重鎖または軽鎖の可変領域、抗体鎖の部分、または2つのCDRを含むその可変ドメイン等が挙げられるが、これらに限定されない。「CGRP受容体」または「CGRP R」は、RAMP1およびCRLRを含むことが理解される。
【0093】
「単離タンパク質」(例えば、単離抗原結合タンパク質)、「単離ポリペプチド」または「単離抗体」という用語は、対象のタンパク質、ポリペプチド、または抗体が、(1)通常は共に見出される少なくとも一部の他のタンパク質を含まないこと、(2)同一の源、例えば、同一の種からの他のタンパク質を本質的に含まないこと、(3)異なる種からの細胞によって発現されること、(4)自然界において付随するポリヌクレオチド、脂質、または他の物質の少なくとも約50%から分離されていること、(5)自然界において付随しないポリペプチドと(共役または非共役相互作用によって)操作可能に関連付けられること、または(6)自然界において発生しないことを意味する。通常、「単離タンパク質」、「単離ポリペプチド」または「単離抗体」は、所与の試料の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、または少なくとも約50%を構成する。合成起源のゲノムDNA、cDNA、mRNA、または他のRNA、あるいはそれらの任意の組み合わせは、そのような単離タンパク質をコード化し得る。好ましくは、単離タンパク質ポリペプチドまたは抗体は、その治療、診断、予防、研究、または他の用途に干渉する、その自然環境において見出される他のタンパク質または他のポリペプチド、あるいは他の汚染物質を実質的に含まない。
【0094】
ポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質、または抗体)の「変異型」は、1つまたは複数のアミノ酸残基が別のポリペプチド配列に対するアミノ酸配列に挿入、欠失および/または置換される、アミノ酸配列を含む。変異型は、融合タンパク質を含む。
【0095】
ポリペプチドの「誘導体」は、挿入、欠失、または置換変異型とは異なる何らかの方法で、例えば、別の化学部分に対する共役を介して、化学的に修飾されたポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質、または抗体)である。
【0096】
「自然発生する」という用語は、ポリペプチド、核酸、宿主細胞等の生物学的物質と関連して、本明細書全体で使用される場合、自然界で見出される物質を意味する。
【0097】
本明細書で使用する、「抗原結合タンパク質」は、CGRP R等、特に霊長類、例えば、ヒトCGRP Rの特定の標的抗原と特異的に結合するタンパク質を意味する。CGRP R抗原結合タンパク質は、ヒトCGRP受容体と特異的に結合する。
【0098】
抗原結合タンパク質は、解離定数(K)が10-6以下である場合に、その標的を「特異的に結合する」と言われる。抗体は、Kが1x10-8M以下である場合、「高い親和性」で標的抗原と特異的に結合する。一実施形態において、抗体は、CGRP R、またはヒトCGRP Rに5x10-7以下のKで結合し、別の実施形態において、抗体は、1x10-7以下のKで結合し、別の実施形態において、抗体は、5x10-8以下のKで結合し、別の実施形態において、抗体は、1x10-8以下のKで結合し、別の実施形態において、抗体は、5x10-9以下のKで結合し、別の実施形態において、抗体は、1x10-9以下のKで結合し、別の実施形態において、抗体は、5x10-10以下のKで結合し、別の実施形態において、抗体は、1x10-10以下のKで結合する。
【0099】
抗体、その抗原結合断片、または抗原結合タンパク質は、特定の受容体の阻害検定において、抗体、その抗体結合断片、または抗原結合タンパク質のIC50が、別の「基準」受容体の阻害検定におけるIC50よりも少なくとも50倍低い場合、他の受容体に対して、特定の受容体を「選択的に阻害する」。「選択率」は、基準受容体のIC50を特定の受容体のIC50で割ったものである。抗体、その抗原結合断片、または抗原結合タンパク質は、cAMP検定、例えば、本明細書の実施例4に記載されるようなcAMP阻害検定における抗体、その抗原結合断片、または抗原結合タンパク質のIC50が、ヒトAM1、AM2、またはアミリン受容体(例えば、AMY1)の阻害検定における同一抗体、その抗原結合断片、または抗原結合タンパク質のIC50よりも少なくとも50倍低い場合、ヒトCGRP受容体を選択的に阻害する。非限定例として、hCGRP RのcAMP検定における特定の抗CGRP R抗体のIC50が、例えば、0.1nMから20nMの間であり、hAM1、hAM2、またはヒトAMY1受容体のcAMP検定における同一抗体のIC50が、1000nM以上である場合、該抗体は、hCGRP受容体を選択的に阻害する。特定の受容体を選択的に阻害する抗原結合タンパク質は、該受容体に関する中和抗原結合タンパク質となることも理解される。
【0100】
「抗原結合領域」は、特定された抗原と特異的に結合する、タンパク質またはタンパク質の部分を意味する。例えば、抗原と相互作用し、抗原結合タンパク質にその特異性および抗原に対する親和性を付与するアミノ酸残基を含む、抗原結合タンパク質の該部分は、「抗原結合領域」と称される。抗原結合領域は、通常、1つまたは複数の「相補性結合領域」(「CDR」)を含む。ある抗原結合領域は、1つまたは複数の「フレームワーク」領域も含む。「CDR」は、抗原結合特異性および親和性に寄与するアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域は、CDRの適切な構成を維持することを支援して、抗原結合領域と抗原との間の結合を促進することができる。
【0101】
ある態様において、CGRP Rタンパク質またはヒトCGRP Rに結合する組み換え抗原結合タンパク質が提供される。この文脈において、「組み換えタンパク質」は、組み換え技術を使用して形成される、すなわち、本明細書に記載される組み換え核酸の発現を通じて形成されるタンパク質である。組み換えタンパク質を生成するための方法および技術は、該技術分野においてよく知られている。
【0102】
用語「抗体」は、任意のアイソタイプの正常な免疫グロブリン、または無傷の抗体と標的抗原への特異的な結合に対して競合し得る、その抗原結合断片を意味し、例えば、キメラ、ヒト化、完全ヒト、および二特異性抗体を含む。そのような「抗体」は、抗原結合タンパク質の一種である。無傷の抗体は、一般に、少なくとも2つの全長重鎖および2つの全長軽鎖を含むが、いくつかの例において、重鎖のみを含み得るラクダ化動物において自然発生する抗体等のように、それより少ない鎖を含む場合がある。抗体は、単一の源のみに由来し得るか、または「キメラ」であり得、つまり、抗体の異なる部分が、以下でさらに詳述されるように、2つの異なる抗体に由来し得る。抗原結合タンパク質、抗体、または結合断片は、ハイブリドーマにおいて、組み換えDNA技術、または正常抗体の酵素または化学的開裂によって、生成されてもよい。特に指定されない限り、用語「抗体」は、2つの全長重鎖および2つの全長軽鎖を含む抗体に加えて、その誘導体、変異型、断片、および変異体を含み、その実施例が以下に記載される。
【0103】
用語「軽鎖」は、結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有する全長軽鎖およびその断片を含む。全長軽鎖は、可変領域ドメインVおよび定常領域ドメインCを含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端に位置する。軽鎖は、κ鎖およびλ鎖を含む。
【0104】
用語「重鎖」は、結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有する全長重鎖およびその断片を含む。全長重鎖は、可変領域ドメインVおよび3つの定常領域ドメインC1、C2、およびC3を含む。Vドメインは、ポリペプチドのアミノ末端に位置し、Cドメインは、カルボキシル末端に位置し、C3がポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い。重鎖は、任意のアイソタイプであってもよく、IgG(IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1およびIgA2サブタイプを含む)、IgM、およびIgEを含む。
【0105】
「シグナル配列」、「リーダー配列」、または「シグナルペプチド」用語は、タンパク質の輸送を指示する、短い(3~60アミノ酸長)ペプチド鎖を意味する。シグナルペプチドは、標的シグナル、シグナル配列、輸送ペプチド、または局在化シグナルとも呼ばれ得る。いくつかのシグナルペプチドは、タンパク質が輸送された後、シグナルペプチダーゼによって、タンパク質から開裂され、タンパク質(例えば、本明細書に記載されるような抗原結合タンパク質)の生物学的活性形態は、開裂された短い形態である。したがって、「重鎖…を含む抗体」、「軽鎖…を含む抗体」等の用語は、抗体が特定の同定された配列の、重および/または軽鎖を有するものとして特徴づけられる場合、特定の同定された配列を有する抗体、シグナル配列が、異なるシグナル配列によって置換されることを除いて、特定の同定された配列を有する抗体、ならびに任意のシグナル配列を差し引いて、同定される配列を有する抗体を含むことが理解される。
【0106】
本明細書で使用する、抗体または免疫グロブリン鎖(重または軽鎖)の「抗原結合断片」(または単に「断片」)という用語は、少なくとも全長鎖で存在するいくつかのアミノ酸を欠失するが、抗原に特異的に結合することができる抗体の部分(該部分が、どのように入手または合成されるかにかかわらず)を含む。そのような断片は、それらが特異的に標的抗原に結合し、無傷の抗体を含む他の抗原結合タンパク質と所与のエピトープへの特異的な結合に対して競合することができるという点で、生物学的に活性である。一態様において、そのような断片は、全長軽または重鎖に存在する、少なくとも1つのCDRを維持し、いくつかの実施形態において、単一の重鎖および/または軽鎖またはその部分を含む。これらの生物学的に活性な断片は、組み換えDNA技術によって生成され得るか、または無傷の抗体を含む、抗原結合タンパク質の酵素または化学的開裂によって生成され得る。免疫学的に機能する免疫グロブリン断片には、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、ドメイン抗体および単鎖抗体が挙げられるが、これらに限定されず、ヒト、マウス、ラット、ラクダ、またはウサギを含むが、これらに限定されない任意の哺乳類源に由来し得る。さらに、本明細書に開示される抗原結合タンパク質の機能部分、例えば、1つまたは複数のCDRは、第2のタンパク質または小分子に共役結合されて、体内の特定標的に向けられる治療薬剤を形成することができ、二官能性治療特性を有するか、または長い血清半減期を有することが企図される。
【0107】
「Fab断片」は、1つの軽鎖および1つの重鎖のC1および可変領域で構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とのジスルフィド結合を形成することができない。
【0108】
「Fc」領域は、抗体のC1およびC2ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合およびC3ドメインの疎水性相互作用によって一緒に保持される。
【0109】
「Fab’断片」は、1つの軽鎖およびVドメインおよびC1ドメイン、およびC1とC2ドメインの間に領域を含む1つの重鎖の部分を含み、鎖間ジスルフィド結合が、2つのFab’断片の2つの重鎖間に形成されて、F(ab’)分子を形成できるようにする。
【0110】
「F(ab’)断片」は、2つの軽鎖およびC1とC2ドメインの間の定常領域の一部分を含む2つの重鎖を含み、鎖間ジスルフィド結合が、2つの重鎖間に形成されるようにする。F(ab’)断片は、したがって、2つの重鎖間のジスルフィド結合によって一緒に保持される2つのFab’断片で構成される。
【0111】
「Fv領域」は、重鎖および軽鎖の両方からの可変領域を含むが、定常領域を欠失する。
【0112】
「単鎖抗体」は、重鎖および軽鎖可変領域が、可撓性リンカーによって接続され、抗原結合領域を形成する、単一のポリペプチド鎖を形成するFv分子である。単鎖抗体は、国際特許出願公開第WO88/01649号および米国特許第4,946,778号および第5,260,203号において詳細に論じられ、それらの開示は、参照することにより組み込まれる。
【0113】
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含む、免疫的に機能する免疫グロブリン断片である。いくつかの例において、2つ以上のV領域が、ペプチドリンカーで共役結合され、二価ドメイン抗体を形成する。二価ドメイン抗体の2つのV領域は、同一または異なる抗原を標的とし得る。
【0114】
「二価抗原結合タンパク質」または「二価抗体」は、2つの抗原結合部位を含む。いくつかの例において、2つの結合部位は、同一の抗原特異性を有する。二価抗原結合タンパク質および二価抗体は、二特異性であり得る。以下を参照されたい。
【0115】
「多特異性抗原結合タンパク質」または「多特異性抗体」は、複数の抗原またはエピトープを標的するものである。
【0116】
「二特異性」、「二重特異性」、または「二官能性」抗原結合タンパク質または抗体は、それぞれハイブリッド抗原結合タンパク質または抗体であり、2つの異なる抗原結合部位を有する。二特異性抗原結合タンパク質および抗体は、多特異性抗原結合タンパク質の種または多特異性抗体の一種であり、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の結合を含むが、これらに限定されない多様な方法によって生成することができる。例えば、Songsivilai and Lachmann,1990,Clin.Exp.Immunol.79:315-321、Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547-1553を参照されたい。二特異性抗原結合タンパク質または抗体の2つの結合部位は、2つの異なるエピトープに結合し、それらのエピトープは、同一または異なるタンパク質標的上に存在し得る。
【0117】
「中和抗原結合タンパク質」または「中和抗体」という用語は、それぞれ、リガンドに結合し、その結合パートナーへのリガンドの結合を妨げ、そうでなければリガンドがその結合パートナーに結合することから生じるであろう生物反応を妨害する、抗原結合タンパク質または抗体を意味する。抗原結合タンパク質、例えば、抗体またはその免疫的に機能する抗原結合断片の結合および特異性を評価する際に、抗体または断片は、過剰な抗体が、リガンドに結合される結合パートナーの量を、(インビトロ競合結合検定において測定して)少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%以上低減する場合、その結合パートナーに対するリガンドの結合を大幅に阻害する。CGRP R結合タンパク質の場合において、そのような中和分子は、CGRP RがCGRPと結合する能力を減退させる。
【0118】
「競合する」という用語は、標的抗原上の同一領域と結合し得る抗原結合タンパク質の文脈において使用される場合、抗原結合タンパク質間の競合が、検定によって決定されることを意味し、そこでは、試験される抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的に機能する抗原結合断片)が、共通の抗原(例えば、CGRP Rまたはその抗原結合タンパク質)に対する基準抗原結合タンパク質(例えば、リガンドまたは基準抗体)の特異的な結合を妨げるか阻害する。多数の競合結合検定のうちのいずれをも使用することができ、例えば、固相直接または間接放射性免疫測定(RIA)、固相直接または間接酵素免疫測定(EIA)、サンドウィッチ競合検定(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology :242-253を参照)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614-3619を参照)、固相直接標識検定、固相直接標識サンドウィッチ検定(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照)、I-125標識を使用する固相直接標識RIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7-15を参照)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheung,et al.,1990,Virology 176:546-552を参照)、および直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77-82)である。そのような検定は、これらの非標識試験抗原結合タンパク質および標識基準抗原結合タンパク質のうちのいずれかを担持する固体表面または細胞に結合される精製抗原の使用を伴い得る。競合阻害は、試験抗原結合タンパク質の存在下で、固体表面に結合される標識の量を決定することによって測定することができる。競合検定により同定される抗原結合タンパク質(競合抗原結合タンパク質)は、基準抗原結合タンパク質と同一のエピトープに結合する抗原結合タンパク質、およびステアリン障害が起こるだけ充分に、基準抗原結合タンパク質によって結合されるエピトープに十分に近接する隣接するエピトープに結合する抗原結合タンパク質を含む。通常、競合抗原結合タンパク質が、過剰に存在する場合、共通の抗原に対する基準抗原結合タンパク質の特異的な結合を、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%阻害する。いくつかの例において、結合は、少なくとも80%、85%、90%、95%、または97%以上阻害される。競合阻害は、基準抗原結合タンパク質を、基質、例えば、「センサーチップ」に固定し、基準抗体に結合することによって基質上の抗原を捕捉して、異なる高原結合タンパク質(競合抗原結合タンパク質)が、追加で抗原に結合することができるか否かを検定することによって測定することができる。後者の競合結合検定の実施例は、Biacore分析を用い、本明細書の実施例7に記載される。
【0119】
「抗原」または「免疫原」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫的機能抗原結合断片を含む)等の選択的結合剤によって結合され得、さらに、動物において使用されて該抗原に結合可能な抗体を生成することができる分子またはその部分を意味する。抗原は、異なる抗原結合タンパク質、例えば、抗体と相互作用できる1つまたは複数のエピトープを有し得る。
【0120】
用語「エピトープ」は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体)によって結合される分子の部分である。この用語は、抗原結合タンパク質、例えば、抗体またはT細胞受容体に特異的に結合できる任意の決定因子を含む。エピトープは、隣接または非隣接し得る(例えば、(i)単鎖ポリペプチドにおいて、ポリペプチド配列において相互に隣接しないが、分子の文脈において、抗原結合タンパク質によって結合されるアミノ酸残基、または(ii)マルチマー受容体において、例えば、2つ以上の個別の成分、例えば、個別の成分のうちの2つ以上に存在するRAMP1およびCRLR、アミノ酸残基を含むが、マルチマー受容体の文脈では、抗原結合タンパク質によって結合される、CGRP R)。ある実施形態において、エピトープは、それらが、抗原結合タンパク質の生成に使用されたエピトープに類似する3次元構造を含むが、抗原結合タンパク質の生成に使用された該エピトープにおいて見出されるアミノ酸残基は含まないか、またはわずかに含むという意味で、模倣体であり得る。ほとんどの場合、エピトープは、タンパク質上に存在するが、いくつかの例において、他の種類の分子、例えば、核酸に常駐し得る。エピトープ決定因子は、分子の化学的に活性な表面分類、例えば、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニル群を含み得、特定の3次元構造特性、および/または特定の電荷特性を有し得る。一般に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質および/またはマクロ分子の複合混合物において、標的抗原上のエピトープを選択的に認識する。
【0121】
「同一性」という用語は、配列を配置および比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド分子または2つ以上の核酸分子の間の関係を意味する。「同一性パーセント」は、比較される分子におけるアミノ酸またはヌクレオチド間の同一残基のパーセントを意味し、比較される分子の最小のサイズに基づいて計算される。これらの計算のために、配列整列におけるギャップ(存在する場合)を、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処する必要がある。整列される核酸またはポリペプチドの同一性を計算するために使用できる方法は、Computational Molecular Biology,(Lesk,A.M.,ed.),1988,New York:Oxford University Press、Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York:Academic Press;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey:Humana Press、von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press;Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York:M.Stockton Press、Carillo et al.,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073に記載されるものを含む。
【0122】
同一性パーセントを計算する際に、比較されている配列は、配列間に最大の一致をもたらすように整列される。同一性パーセントを決定するために使用されたコンピュータプログラムは、GCGプログラムパッケージであり、GAPを含む(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)。コンピュータアルゴリズムGAPを使用して、2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドを整列し、配列同一性のパーセントが決定される。配列は、それらそれぞれのアミノ酸またはヌクレオチドを最適に整合させるために整列される(アルゴリズムによって決定される「整合スパン」)。ギャップ開口ペナルティ(3x平均ダイアゴナルで計算され、「平均ダイアゴナル」は、使用されている比較マトリクスのダイアゴナルの平均であり、「ダイアゴナル」は、特定の比較マトリクスによって、各完全アミノ酸整合に割り当てられるスコアまたは数である)およびギャップ拡張ペナルティ(通常、ギャップ開口ペナルティの10分の1倍)、ならびに比較マトリクス、例えば、PAM250またはBLOSUM62を、アルゴリズムと併せて使用する。ある実施形態において、標準比較マトリクス(PAM250比較マトリクスの場合、Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure :345-352、BLOSUM62比較マトリクスの場合、Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915-10919を参照)も、アルゴリズムによって使用される。
【0123】
GAPプログラムを使用して、ポリペプチドまたはヌクレオチド配列の同一性パーセントを決定するために推奨されるパラメータは、以下のとおりである。
アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443-453
比較マトリクス:上記Henikoff et al.,1992からのBLOSUM62
ギャップペナルティ:12(但し、末端ギャップのペナルティはない)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の閾値:0
【0124】
2つのアミノ酸配列を整列するためのいくつかの整列スキームは、2つの配列の短領域のみの整合をもたらし得、この小さな整列領域は、2つの全長配列間に有意な関係がないとしても、極めて高い配列同一性を有し得る。したがって、選択される整列方法(GAPプログラム)を調整して、所望される場合に、標的ポリペプチドの少なくとも50個の隣接アミノ酸に渡る整列をもたらすことができる。
【0125】
本明細書で使用する、「実質的に純粋」は、記載される分子の種が、存在する優勢種であること、つまり、モル基準で、同一混合物において他のいかなる個別の種よりも豊富にあることを意味する。ある実施形態において、実質的に純粋な分子は、対象の種が、存在する全マクロ分子種の少なくとも50%(モル基準で)を成す組成物である。他の実施形態において、実質的に純粋な組成物は、組成物に存在する全マクロ分子種の少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%を成す。他の実施形態において、対象の種は、本質的な均質性まで精製され、汚染種は、従来の検出方法によって、組成物中で検出することができず、したがって、組成物は、単一の検出可能なマクロ分子種で構成される。
【0126】
用語「治療する」は、傷害、病理、または状態の治療または軽減における任意の成功の現れを指し、それには、症状の軽減、寛解、減退、または傷害、病理、または状態を患者が耐えられるようにすること、悪化または消耗の速度を遅延させること、悪化の最終点の消耗性を低下させること、患者の身体的または精神的健康を向上させること等の任意の客観的または主観的パラメータを含む。症状の治療または軽減は、客観的または主観的パラメータに基づき得、身体検査、神経精神検査および/または精神鑑定の結果を含む。例えば、本明細書に提示されるある方法は、予防的または急性治療のいずれかとして、片頭痛を成功裏に治療し、片頭痛の頻度を減少させ、片頭痛の重度を低下させ、および/または片頭痛に伴う症状を緩和する。
【0127】
「有効量」は、概して、症状の重度および/または頻度を低減し、症状および/または根本原因を排除し、症状および/またはそれらの根本原因の発生を予防し、および/または片頭痛に起因するか、またはそれに伴う損傷を改善または修復するのに十分な量である。いくつかの実施形態において、有効量は、治療上有効な量または予防的に有効な量である。「治療上有効な量」は、疾患状態(例えば、片頭痛)または症状、特に、疾患状態に伴う状態または症状を治療するか、またはそうでなければ、任意の何らかの方法で、疾患状態または疾患と関連付けられる他の望ましくない症状の進行を予防、妨害、遅延または反転させるのに十分な量である。「予防上有効な量」は、対象に投与されると、意図される予防効果を有する、例えば、片頭痛の発生(または再発)を予防または遅延させるか、または片頭痛または片頭痛症状の発生(または再発)の可能性を低減する医薬組成物の量である。完全な治療または予防効果は、1用量の投与によって必ずしも発生するとは限らず、一連の用量の投与後に起こり得る。したがって、治療上または予防上有効な量は、1回または複数の投与において投与されてもよい。
【0128】
「アミノ酸」は、該技術分野におけるその通常の意味を含む。20個の自然発生するアミノ酸およびそれらの省略形は、従来の慣行に従う。任意の目的で参照することにより本明細書に組み込まれる、Immunology-A Synthesis,2nd Edition,(E.S.Golub and D.R.Green,eds.),Sinauer Associates:Sunderland,Mass.(1991)を参照されたい。20個の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D-アミノ酸)、非天然アミノ酸、例えば、α-、α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、および他の非従来のアミノ酸は、ポリペプチドに適した成分であり得、「アミノ酸」という語句に含まれる。非従来のアミノ酸の例には、4-ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、ε-N,N,N-トリメチルリシン、ε-N-アセチルリシン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリシン、σ-N-メチルアルギニン、および他の類似アミノ酸およびイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書で使用されるポリペプチド表記において、標準の慣行および慣例に従って、左方向は、アミノ末端方向であり、右方向は、カルボキシル末端方向である。
【0129】
概要
ヒトCGRP R(hCGRP R)タンパク質を含む、CGRP Rタンパク質に結合する抗原結合タンパク質が、本明細書において提供される。抗原結合タンパク質は、1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)が、本明細書に記載されるように、組み込まれ、および/または結合される、ポリペプチドである。いくつかの抗原結合タンパク質において、CDRは、「フレームワーク」領域に組み込まれ、それはCDRを配向し、CDRの適切な抗原結合特性が達成されるようにする。一般に、提供される抗原結合タンパク質は、CGRPとCGRP Rとの間の相互作用を干渉、遮断、低減、または調節することができる。
【0130】
本明細書に記載される所定の抗原結合タンパク質は、抗体であるか、または抗体に由来する。ある実施形態において、抗原結合タンパク質のポリペプチド構造は、モノクローナル抗体、二特異性抗体、小体、ドメイン抗体、合成抗体(「抗体模倣体」と呼ばれる場合もある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合(本明細書では「抗体共役」と称される場合がある)、およびそれらの断片を含むが、これらに限定されない抗体に基づく。様々な構造が、本明細書において以下でさらに説明される。
【0131】
本明細書において提供される抗原結合タンパク質は、CGRP R、特に、ヒトCGRP Rに結合することが証明されている。以下の実施例においてさらに説明されるように、所定の抗原結合タンパク質を試験したところ、CGRP Rの成分の一方または他方に対して配向される多数の他の抗体によって結合されるものとは異なるエピトープに結合することが分かった。提供される抗原結合タンパク質は、CGRPと競合し、それによってCGRPがその受容体に結合するのを防ぐ。結果として、本明細書に提供される抗原結合タンパク質は、CGRP R活性を阻害することができる。特に、これらのエピトープに結合する抗原結合タンパク質は、以下の活性のうちの1つまたは複数を有し得る:、特に、CGRP Rシグナル変換経路誘発の阻害、血管拡張の阻害、血管萎縮の誘発、炎症、例えば、神経性炎症、およびCGRP結合の際にCGRP Rによって誘発される他の生理的効果の減少。
【0132】
本明細書に開示される抗原結合タンパク質は、多様な用途を有する。抗原結合タンパク質の一部は、例えば、特定の結合検定、CGRP R、特に、hCGRP Rまたはそのリガンドの親和性精製、およびCGRP R活性の他のアンタゴニストを同定するスクリーニング検定において有用である。抗原結合タンパク質のいくつかは、CGRP Rに対するCGRPの結合を阻害するために有用である。
【0133】
抗原結合タンパク質は、本明細書において説明されるように、多様な治療適用において使用することができる。例えば、あるCGRP R抗原結合タンパク質は、CGRP R媒介性シグナル伝達と関連付けられる状態を治療する、例えば、片頭痛の頻度および/または重度を軽減、緩和、または治療する、群発頭痛を軽減、緩和、または治療する、慢性疼痛を軽減、緩和、または治療する、糖尿病(II型)を緩和または治療する、心血管疾患を軽減、緩和、または治療する、および患者における内毒素血および敗血症に伴う血行動態異常を軽減、緩和、または治療するために有用である。抗原結合タンパク質の他の用途は、例えば、CGRP R関連疾患または状態の診断、およびCGRP Rの存在または不在を決定するためのスクリーニング検定を含む。本明細書に記載される抗原結合タンパク質のいくつかは、CGRP R活性と関連付けられる結果、症状、および/または病理を治療する際に有用である。これらには様々な種類の片頭痛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
CGRP受容体
本明細書に開示される抗原結合タンパク質は、CGRP R、特に、ヒトCGRP Rに結合する。CGRP Rは、CRLRおよびRAMP1の両方を含む多量体である。ヒトCRLRのヌクレオチド配列は、本明細書において、配列番号1として提供される。ヒトCRLRのアミノ酸配列は、本明細書において、配列番号2として提供される。ヒトRAMP1のヌクレオチド配列は、本明細書において、配列番号3として提供される。ヒトRAMP1のアミノ酸配列は、本明細書において、配列番号4として提供される。本明細書に記載される抗原結合タンパク質は、CGRP Rの細胞外部分に結合し、それはCRLRおよびRAMP1の細胞外部分を含む。典型的なヒトCRLRの細胞外ドメイン(「ECD」)は、配列番号5として提示されるヌクレオチド配列によってコード化され、配列番号6として提示されるアミノ酸配列を有する。この配列は、シグナルペプチドを含み、典型的な成熟(シグナルペプチドを差し引いた)CRLR ECDは、配列番号10として提示されるアミノ酸配列を有する。ヒトRAMP1の典型的なECDは、配列番号7として提示されるヌクレオチド配列によってコード化され、配列番号8として提示されるアミノ酸配列を有する。この配列は、シグナルペプチドを含み、典型的な成熟(シグナルペプチドを差し引いた)RAMP1 ECDは、配列番号11として提示されるアミノ酸配列を有する。以下に記載されるように、CGRP Rタンパク質は、断片を含んでもよい。本明細書で使用するそれらの用語は、同義的に使用されて、受容体、特に、指定されない限り、CGRPに特異的に結合するヒト受容体を意味する。
CGRP Rという用語は、CGRP Rアミノ酸配列の翻訳後修飾、例えば、可能なN結合グリコシル化部位も含む。したがって、抗原結合タンパク質は、1つまたは複数の位置においてグリコシル化されるタンパク質に結合するか、またはそこから生成されてもよい。
【0135】
CGRP受容体結合タンパク質
CGRP Rの活性を調節するために有用な多様な選択的結合剤が提供される。これらの薬剤は、例えば、抗原結合タンパク質ドメインを含む抗原結合タンパク質(例えば、単鎖抗体、ドメイン抗体、免疫接着、および抗原結合領域を有するポリペプチド)を含み、CGRP R、特にヒトCGRP Rに特異的に結合する。それらの薬剤のいくつかは、例えば、CGRP Rに対するCGRPの結合を阻害する際に有用であり、CGRP Rシグナル伝達と関連付けられる1つまたは複数の活性を阻害、干渉、または調節するために用いることができる。
【0136】
一般に、提供される抗原結合タンパク質は、通常、本明細書に記載されるような1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5または6個)のCDRを含む。いくつかの例において、抗原結合タンパク質は、(a)ポリペプチド構造および(b)ポリペプチド構造に挿入される、および/または結合される1つまたは複数のCDRを含む。ポリペプチド構造は、多様な異なる形態を取り得る。例えば、自然発生する抗体、またはその断片または変異型のフレームワークであり得るか、またはそれを含み、あるいは本質的に完全に合成のもので得る。様々なポリペプチド構造の実施例は、以下でさらに説明される。
【0137】
所定の実施形態において、抗原結合タンパク質のポリペプチド構造は抗体であるか、または抗体に由来し、モノクローナル抗体、二特異性抗体、小体、ドメイン抗体、合成抗体(「抗体模倣体」と呼ばれる場合もある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合(本明細書では「抗体共役」と称される場合がある)、およびそれぞれの部分または断片を含むが、これらに限定されない。一部の例において、抗原結合タンパク質は、抗体の免疫学的断片である(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、またはscFv)。様々な構造は、本明細書においてさらに説明および定義される。
【0138】
本明細書において提供されるある種の抗原結合タンパク質は、ヒトCGRP Rに特異的に結合する。特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を有するヒトCRLRを含むヒトCGRP Rタンパク質および配列番号4のアミノ酸配列を有するヒトRAMP1を含む、ヒトCGRP Rタンパク質に特異的に結合する。
【0139】
抗原結合タンパク質が治療用途に使用される実施形態において、抗原結合タンパク質は、CGRP Rの1つまたは複数の生物活性を阻害、干渉、または調節することができる。この例において、抗原結合タンパク質は、過剰な抗体が、CGRPに結合するヒトCGRP Rの量を少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%以上減少させる場合(例えば、インビトロ競合結合検定において結合を測定することによって)、CGRPに対するヒトCGRP Rと特異的に結合し、および/またはその結合を実質的に阻害する。
【0140】
自然発生する抗体構造
提供される抗原結合タンパク質のいくつかは、通常、自然発生する抗体に伴う構造を有する。これらの抗体の構造単位は、通常、1つまたは複数の四量体を含み、それぞれ2つの同一のポリペプチド鎖のカプレットで構成されるが、ある種の哺乳類種は、単一の重鎖のみを有する抗体も生成する。通常の抗体において、各対またはカプレットは、1つの全長「軽」鎖(所定の実施形態において、約25kDa)および1つの全長「重」鎖(所定の実施形態において、約50~70kDa)を含む。各個別の免疫グロブリン鎖は、いくつかの「免疫グロブリンドメイン」で構成され、それぞれ約90~110個のアミノ酸で構成され、特徴的な折り畳みパターンを発現する。これらのドメインは、抗体ポリペプチドが構成される基本単位である。各鎖のアミノ末端部分は、通常、抗原認識に関与する可変ドメインを含む。カルボキシ末端部分は、鎖の他の末端よりも進化的に保存され、「定常領域」または「C領域」と称される。ヒト軽鎖は、一般に、κおよびλ軽鎖として分類され、これらのそれぞれは、1つの可変ドメインおよび1つの定常ドメインを含む。重鎖は、通常、μ、δ、γ、α、またはε鎖として分類され、これらは、抗体のアイソタイプを、それぞれIgM、IgD、IgG,IgA、およびIgEと定義する。IgGは、いくつかのサブタイプを有し、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むが、これらに限定されない。IgMサブタイプは、IgM1、およびIgM2を含む。IgAサブタイプは、IgA1およびIgA2を含む。ヒトにおいて、IgAおよびIgDアイソタイプは、4つの重鎖および4つの軽鎖を含み、IgGおよびIgEアイソタイプは、2つの重鎖および2つの軽鎖を含み、IgMアイソタイプは、5つの重鎖および5つの軽鎖を含む。重鎖C領域は、通常、エフェクタ機能に関与し得る1つまたは複数のドメインを含む。重鎖定常領域ドメインの数は、アイソタイプに依存する。IgG重鎖は、例えば、C1、C2、およびC3として知られている、それぞれ3つのC領域ドメインを含む。提供される抗体は、これらのアイソタイプおよびサブタイプのうちのいずれかを有し得る。所定の実施形態において、CGRP R抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4サブタイプである。
【0141】
全長軽鎖および重鎖において、可変および定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって結合され、重鎖は、約10個以上のアミノ酸の「D」領域も含む。例えば、Fundamental Immunology,2nd ed.,Ch.7(Paul,W.,ed.)1989,New York:Raven Pressを参照されたい(あらゆる目的で、参照することによりその全体が組み込まれる)。各軽/重鎖対の可変領域は、通常、抗原結合部位を形成する。
【0142】
典型的なCGRP Rモノクローナル抗体のIgG2重定常ドメインの一例は、以下のアミノ酸配列を有する。
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号29として示される配列の最後の326個の残基)
【0143】
典型的なCGRP Rモノクローナル抗体のκ軽定常ドメインの一例は、以下のアミノ酸配列を有する。
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号14として示される配列の最後の107個の残基)
【0144】
免疫グロブリン鎖の可変領域は、概して、同一の全体構造を呈し、「相補性決定領域」またはCDRと呼ばれる場合がより多い3つの超可変領域によって結合された比較的保存的なフレームワーク領域(FR)を含む。上述の各重鎖/軽鎖対の2つの鎖からのCDRは、通常、フレームワーク領域によって整列され、標的タンパク質(例えば、CGRP R)上の特定のエピトープと特異的に結合する構造を形成する。N末端からC末端まで、自然発生する軽鎖および重鎖可変領域は、いずれも通常、以下の順序の要素に従う:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4。付番システム、これらのドメインのそれぞれにおいて位置を占めるアミノ酸に番号を割り当てるために考案されている。この付番システムは、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(1987および1991,NIH,Bethesda,MD)またはChothia & Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917、Chothia et al.,1989,Nature342:878-883において定義される。
【0145】
本明細書において提供される、様々な重鎖および軽鎖可変領域は、表3に表される。これらの可変領域のそれぞれは、上記重鎖および軽鎖定常領域に付着されて、それぞれ完全な抗体重鎖および軽鎖を形成し得る。さらに、そのように生成された重鎖および軽鎖配列のそれぞれを組み合わせて、完全な抗体構造を形成することができる。本明細書において提供される重鎖および軽鎖可変領域は、上に列挙される典型的な配列とは異なる配列を有する他の定常領域にも付着され得ることを理解されたい。
【0146】
提供される抗体の全長重鎖および軽鎖のいくつか、およびそれらの対応するアミノ酸配列の特定の実施例が、表2Aおよび2Bに要約される。表2Aは、典型的な軽鎖配列を示し、表2Bは、典型的な重鎖配列を示す。
【0147】
【表2A-1】
【0148】
【表2A-2】
【0149】
【表2A-3】
【0150】
【表2A-4】
【0151】
【表2B-1】
【0152】
【表2B-2】
【0153】
【表2B-3】
【0154】
【表2B-4】
【0155】
【表2B-5】
【0156】
表2Aの軽鎖配列のそれぞれの最初の22アミノ酸は、32H7および32HCSを除いて、シグナル配列である。32H7および32H7CSの場合において、シグナル配列は、20アミノ酸である。同様に、表2Bにおける重鎖配列の最初の22アミノ酸は、シグナル配列である。シグナルペプチドは、例えば、ある宿主細胞においてより最適な発現のために、異なる配列を有するシグナルペプチドに変更されてもよい。したがって、本発明は、表2Aおよび2Bに特定されるような軽および/または重鎖配列を有するが、異なるシグナル配列の抗体も含むことを理解されたい。
【0157】
さらに、表2Bに列挙される典型的な重鎖(H1、H2、H3等)のそれぞれは、表2Aに示される典型的な軽鎖のうちのいずれかと組み合わせて、抗体を形成することができる。そのような組み合わせの実施例には、L1~L17のうちのいずれかと組み合わされるH1、L1~L17のうちのいずれかと組み合わされるH2、L1~L17のうちのいずれかと組み合わされるH3等が挙げられる。いくつかの例において、抗体は、表2Aおよび2Bに列挙されるものから、少なくとも1つの重鎖および1つの軽鎖を含む。いくつかの例において、抗体は、表2Aおよび2Bに列挙される2つの異なる重鎖および2つの異なる軽鎖を含む。他の例において、抗体は、2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖を含む。実施例として、抗体または免疫的に機能する断片は、2つのH1重鎖および2つのL1軽鎖、または2つのH2重鎖および2つのL2軽鎖、または2つのH3重鎖および2つのL3軽鎖、および表2Aおよび2Bに列挙されるような軽鎖対および重鎖対の他の類似する組み合わせを含み得る。
【0158】
提供される他の抗原結合タンパク質は、表2Aおよび2Bに示される重鎖および軽鎖の組み合わせによって形成される抗体の変異型であり、これらの鎖のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99%の同一性を有する、軽鎖および/または重鎖を含む。一部の例において、そのような抗体は、少なくとも1つの重鎖および1つの軽鎖を含むが、他の例において、変異型は、2つの同一軽鎖および2つの同一重鎖を含む。
【0159】
抗体の可変ドメイン
以下の表3に示される、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、およびV13から成る群から選択される抗体重鎖可変領域、および/またはV1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V16、およびV17から成る群から選択される抗体軽鎖可変領域、およびこれらの軽鎖および重鎖可変領域の免疫的に機能する断片、誘導体、変異体、および変異型を含む抗原結合タンパク質も提供される。
【0160】
様々な重鎖および軽鎖可変領域の配列整列は、それぞれ図1Aおよび1Bに提供される。
【0161】
この種類の抗原結合タンパク質は、概して、式「Vx/Vy」によって指定することができ、式中、「x」は、重鎖可変領域の数に対応し、「y」は、軽鎖可変領域の数に対応する。
【0162】
【表3-1】
【0163】
【表3-2】
【0164】
【表3-3】
【0165】
【表3-4】
【0166】
【表3-5】
【0167】
【表3-6】
【0168】
表3に列挙される重鎖可変領域のそれぞれは、表3に示される軽鎖可変領域のうちのいずれかと組み合わされて、抗原結合タンパク質を形成し得る。そのような組み合わせの例には、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V16、またはV17のうちのいずれかと組み合わされるV1、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V16、またはV17のうちのいずれかと組み合わされるV2、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V16、またはV17のうちのいずれかと組み合わされるV3等が挙げられる。
【0169】
いくつかの例において、抗原結合タンパク質は、表3に列挙されるものとは異なる少なくとも1つの重鎖可変領域および/または1つの軽鎖可変領域を含む。いくつかの例において、抗原結合タンパク質は、表3に列挙されるものとは異なる少なくとも2つの重鎖可変領域および/または1つの軽鎖可変領域を含む。そのような抗原結合タンパク質の例は、(a)1つのV1、および(b)V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、またはV13のうちの1つを含む。別の例は、(a)1つのV2および(b)V1、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、またはV13のうちの1つを含む。さらに別の例は、(a)1つのV3および(b)V1、V2、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、またはV13のうちの1つを含む。そのような抗原結合タンパク質のさらに別の例は、(a)1つのV1および(b)V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V16、V17、V18、V19、V20、またはV21のうちの1つを含む。そのような抗原結合タンパク質のさらに別の例は、(a)1つのV2および(b)V1、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V16、V17、V18、V19、V20、またはV21のうちの1つを含む。そのような抗原結合タンパク質のさらに別の例は、(a)1つのV3および(b)V1、V2、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V16、V17、V18、V19、V20、またはV21のうちの1つを含む等である。
【0170】
重鎖可変領域の様々な組み合わせは、当業者には明らかなように、軽鎖可変領域の様々な組み合わせのうちのいずれかと組み合わせてもよい。
【0171】
他の例において、抗原結合タンパク質は、2つの同一の軽鎖可変領域および/または2つの同一の重鎖可変領域を含む。実施例として、抗原結合タンパク質は、表3に列挙される、2つの軽鎖可変領域および2つの重鎖可変領域を、軽鎖可変領域の対および重鎖可変領域の対と併せて含む、抗体または免疫学的に機能する断片であってもよい。
【0172】
提供されるいくつかの抗原結合タンパク質は、わずか1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個のアミノ酸残基において、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、およびV13から選択される重鎖可変ドメインの配列とは異なるアミノ酸の配列を含む、重鎖可変ドメインを含み、そのような配列差異のそれぞれは、独立して、1つのアミノ酸の欠失、挿入、または置換のいずれかであり、欠失、挿入、および/または置換は、前述の可変ドメイン配列に対して15個を超えるアミノ酸変化をもたらすことはない。一部の抗原結合タンパク質における重鎖可変領域は、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、およびV13の重鎖可変領域のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
【0173】
所定の抗原結合タンパク質は、わずか1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個のアミノ酸残基において、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V16、またはV17から選択される軽鎖可変ドメインの配列とは異なるアミノ酸の配列を含む、軽鎖可変ドメインを含み、そのような配列差異のそれぞれは、独立して、1つのアミノ酸の欠失、挿入、または置換のいずれかであり、欠失、挿入、および/または置換は、前述の可変ドメイン配列に対して15個を超えるアミノ酸変化をもたらすことはない。一部の抗原結合タンパク質における軽鎖可変領域は、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V16、またはV17の軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99%の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
【0174】
追加の例において、抗原結合タンパク質は、以下の軽鎖および重鎖可変ドメインの対を含む。VL1とVH1、VL2とVH2、VL3とVH3、VL4とVH4、VL5とVH5、VL6とVH1、VL7とVH6、VL8とVH5、VL9とVH1、VL10とVH7、VL11とVH8、VL12とVH9、VL12とVH10、VL13とVH5、VL14とVH11、VL15とVH12、VL16とVH13、およびVL17とVH13。いくつかの例において、上記対における抗原結合タンパク質は、特定の可変ドメインと70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列同一性を有する、アミノ酸配列を含み得る。
【0175】
さらに他の抗原結合タンパク質、例えば、抗体または免疫学的に機能する断片は、上で説明された変異型可変重鎖および変異型可変軽鎖の変異型を含む。
【0176】
CDR
本明細書に開示される抗原結合タンパク質は、ポリペプチドであり、1つまたは複数のCDRが移植、挿入、および/または結合される。抗原結合タンパク質は、1、2、3、4、5または6個のCDRを有し得る。抗原結合タンパク質は、したがって、例えば、1つの重鎖CDR1(「CDRH1」)、および/または1つの重鎖CDR2(「CDRH2」)、および/または1つの重鎖CDR3(「「CDRH3」)、および/または1つの軽鎖CDR1(「CDRL1」)、および/または1つの軽鎖CDR2(「CDRL2」)、および/または1つの軽鎖CDR3(「CDRL3」)を含む。いくつかの抗原結合タンパク質は、CDRH3およびCDRL3の両方を含む。特定の重鎖および軽鎖CDRは、表4Aおよび4Bにおいてそれぞれ特定される。
【0177】
所与の抗体の相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)は、Kabat et al.in Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,US Dept.of Health and Human Services,PHS,NIH,NIH Publication no.91-3242,1991によって説明されるシステムを使用して、特定することができる。本明細書において開示されるある種の抗体は、表4A(CDRH)および表4B(CDRL)に提示されるCDRのうちの1つまたは複数のアミノ酸配列に対して同一であるか、または高い配列同一性を有する、1つまたは複数のアミノ酸配列を含む。
【0178】
【表4A-1】
【0179】
【表4A-2】
【0180】
【表4A-3】
【0181】
【表4B-1】
【0182】
【表4B-2】
【0183】
【表4B-3】
【0184】
自然発生する抗体内のCDRの構造および特性について上で述べた。簡潔に述べると、伝統的な抗体において、CDRは、重鎖および軽鎖可変領域においてフレームワーク内に組み込まれ、それらは、抗原結合および認識に関与する領域を構成する。可変領域は、上記(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Public Health Service N.I.H.,Bethesda,MD、Chothia and Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917、Chothia et al.,1989,Nature 342:877-883も参照)に参照される、少なくとも3つの重鎖または軽鎖CDRを、フレームワーク領域(指定フレームワーク領域1~4、FR1、FR2、FR3、およびFR4、上記Kabat et al.,1991、上記Chothia and Lesk,1987も参照)に含む。本明細書において提供されるCDRは、しかしながら、伝統的な抗体構造の抗原結合ドメインを定義するように使用されるだけでなく、本明細書に記載されるように、多様な他のポリペプチド構造に組み込むことができる。
【0185】
一態様において、提供されるCDRは、(a)(i)配列番号73、76、79、82、85、88、92、97、および100から成る群から選択されるCDRH1と、(ii)配列番号74、77、80、83、86、89、91、93、95、98、101、および129から成る群から選択されるCDRH2と、(iii)配列番号75、78、81、84、87、90、96、99、102、および123から成る群から選択されるCDRH3と、(iv)5、4、3、2、または1個を超えないアミノ酸の1つまたは複数、例えば、1、2、3、4個以上のアミノ置換(例えば、保存アミノ酸置換)、削除、または挿入を含む、(i)、(ii)および(iii)のCDRHから成る群から選択されるCDRH、(B)(i)配列番号42、45、48、51、54、57、62、65、66、および69から成る群から選択されるCDRL1と、(ii)配列番号43、46、49、52、55、58、61、63、67、および70から成る群から選択されるCDRL2と、(iii)配列番号44、47、50、53、56、59、64、68、71、および72から成る群から選択されるCDRL3と、(iv)5、4、3、2、または1個を超えないアミノ酸の1つまたは複数、例えば、1、2、3、4個以上のアミノ置換(例えば、保存アミノ酸置換)、削除または挿入を含む、(i)、(ii)および(iii)のCDRH、から成る群から選択されるCDRL、を含む。
【0186】
別の態様において、抗原結合タンパク質は、表4Aおよび4Bに列挙されるCDRの1、2、3、4、5、または6個の変異型を含み、それぞれ表4Aおよび4Bに列挙されるCDR配列と少なくとも80%、85%、90%または95%の配列同一性を有する。一部の抗原結合タンパク質は、表4Aおよび4Bに列挙されるCDRの1、2、3、4、5、または6個の変異型を含み、それぞれこれらの表に列挙されるCDRと1、2、3、4、または5個を超えないアミノ酸が異なる。
【0187】
さらに別の態様において、本明細書に開示されるCDRは、関連モノクローナル抗体の群に由来するコンセンサス配列を含む。本明細書に記載される、「コンセンサス配列」は、いくつかの配列間で共通する保存アミノ酸、および所与のアミノ酸配列内で変化する可変アミノ酸を有するアミノ酸配列を意味する。提供されるCDRコンセンサス配列は、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3のそれぞれに対応するCDRを含む。
【0188】
さらに別の態様において、抗原結合タンパク質は、以下のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3の関連を含む:配列番号42、43、および44、配列番号45、46、および47、配列番号48、49、および50、配列番号51、52、および53、配列番号54、55、および56、配列番号57、58、および59、配列番号60、55、および56、配列番号45、61、および47、配列番号62、63、および64、配列番号65、55、および56、配列番号66、67、および68、配列番号69、70、および71、および配列番号69、70、および72。
【0189】
追加の態様において、抗原結合タンパク質は、以下のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3の関連を含む:配列番号73、74、および75、配列番号76、77、および78、配列番号79、80、および81、配列番号82、83、および84、配列番号85、86、および87、配列番号88、89、および90、配列番号76、91、および78、配列番号92、93、および94、配列番号76、95、および78、配列番号73、74、および96、配列番号97、98、および99、配列番号100、101、および102。
【0190】
別の態様において、抗原結合タンパク質は、以下のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3とCDRH1、CDRH2、およびCDRH3との関連を含む:配列番号42、43、および44と、配列番号73、74、および75;配列番号45、46、および47と配列番号76、77、および78;配列番号48、49、および50と配列番号79、80、および81;配列番号51、52、および53と配列番号82、83、および84;配列番号54、55、および56と配列番号85、86、および87;配列番号57、58、および59と配列番号88、89、および90;配列番号60、55、および56と配列番号85、86、および87;配列番号45、61、および47と配列番号76、91、および78;配列番号62、63、および64と配列番号92、93、および94;配列番号45、61、および47と配列番号76、95、および78;配列番号65、55、および56と配列番号85、86、および87;配列番号42、43、および44と配列番号73、74、および96;配列番号66、67、および68と配列番号97、98、および99;配列番号69、70、および71と配列番号100、101、および102;配列番号69、70、および72と配列番号100、101、および102。
【0191】
コンセンサス配列は、抗CGRP R抗体のVおよびVに対応するCDRの標準系統発生分析を使用して決定した。コンセンサス配列は、VまたはVに対応する同一配列内でCDRを隣接するように保持することによって決定した。
【0192】
図3A、3B、4、5A、5B、5C、5D、および5Eに示されるように、本明細書において提供される多様な抗原結合タンパク質の系統解析は、関連配列の群をもたらし、軽鎖CDR群K1、K2、K3、およびK4(図3Aおよび3B)、軽鎖CDR群L1、L2、L3、およびL4(図4)、および重鎖CDR群HC1(図5A)、HC2(図5B)、HC3(図5C)、HC4(図5C)、HC5(図5D)およびHC6(図5E)と指定命名される。上記群のうちのいくつかを使用して、図3A、3B、4、および5Fに示される、追加のコンセンサス配列を生成し、軽鎖CDR群K1,4(図3A)、K2,3(図3B)、L1,2,3(図4)、およびLAll(図4)、および重鎖CDR群HCAおよびHCB(図5F)を生じた。
【0193】
様々なCDR領域群のコンセンサス配列は、以下に提供される。
K1コンセンサス
CDR1 RASQGIRXDLG(配列番号103)、式中、Xは、NおよびKから成る群から選択される。
CDR2 XASSLQS(配列番号104)、式中、Xは、AおよびGから成る群から選択される。
CDR3 LQYNXPWT(配列番号105)、式中、Xは、IおよびSから成る群から選択され、Xは、YおよびFから成る群から選択される。
K4コンセンサス
CDR3 QQYGNSLXR(配列番号106)、式中、Xは、SおよびCから成る群から選択される。
K1,4コンセンサス
CDR1 RASQXGXLX(配列番号107)、式中、Xは、SおよびGから成る群から選択され、Xは、VおよびIから成る群から選択され、Xは、SおよびRから成る群から選択され、Xは、S、NおよびKから成る群から選択され、Xは、YおよびDから成る群から選択され、Xは、TおよびGから成る群から選択される。
CDR2 XASSX(配列番号108)、式中、Xは、GおよびAから成る群から選択され、Xは、RおよびLから成る群から選択され、Xは、AおよびQから成る群から選択され、Xは、TおよびSから成る群から選択される。
CDR3 XQYX(配列番号109)、式中、Xは、QおよびLから成る群から選択され、Xは、GおよびNから成る群から選択され、Xは、NおよびTから成る群から選択され、Xは、S、YおよびFから成る群から選択され、Xは、LおよびPから成る群から選択され、Xは、C、WおよびSから成る群から選択され、Xは、RおよびTから成る群から選択される。
K3コンセンサス
CDR1 KSSQSLLHSXGXYLY(配列番号110)、式中、Xは、DおよびAから成る群から選択され、Xは、RおよびKから成る群から選択され、Xは、NおよびTから成る群から選択される。
K2,3コンセンサス
CDR1 XSSQSLLHSXGXYLX(配列番号111)、式中、Xは、RおよびKから成る群から選択され、Xは、F、DおよびAから成る群から選択され、Xは、Y、RおよびKから成る群から選択され、Xは、NおよびTから成る群から選択され、Xは、DおよびYから成る群から選択される。
CDR2 XSNRXS(配列番号112)、式中、Xは、LおよびEから成る群から選択され、Xは、GおよびVから成る群から選択され、Xは、AおよびFから成る群から選択される。
CDR3 MQXPXT(配列番号113)、式中、Xは、AおよびSから成る群から選択され、Xは、LおよびFから成る群から選択され、Xは、QおよびPから成る群から選択され、Xは、TおよびLから成る群から選択され、Xは、FおよびLから成る群から選択される。
Lm3コンセンサス
CDR2 RXNQRPS(配列番号114)、式中、Xは、NおよびSから成る群から選択される。
Lm1,2,3コンセンサス
CDR1 SGSSSNIGXNXVX(配列番号115)、式中、Xは、NおよびSから成る群から選択され、Xは、YおよびTから成る群から選択され、Xは、S、NおよびYから成る群から選択される。
CDR2 XNXRPS(配列番号116)、式中、Xは、D、TおよびRから成る群から選択され、Xは、NおよびSから成る群から選択され、Xは、KおよびQから成る群から選択される。
CDR3 XDXLXVV(配列番号117)、式中、Xは、GおよびAから成る群から選択され、Xは、TおよびAから成る群から選択され、Xは、WおよびRから成る群から選択され、Xは、SおよびDから成る群から選択され、Xは、RおよびSから成る群から選択され、Xは、SおよびNから成る群から選択され、Xは、AおよびGから成る群から選択される。
LAllコンセンサス
CDR1 XGXSX1011(配列番号118)、式中、Xは、SおよびQから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合はSであり、Xは、SおよびDから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合はNであり、Xは、IおよびLから成る群から選択され、Xは、GおよびRから成る群から選択され、Xは、NおよびSから成る群から選択され、Xは、NおよびFから成る群から選択され、Xは、YおよびTから成る群から選択され、X10は、VおよびAから成る群から選択され、X11は、S、NおよびYから成る群から選択される。
CDR2 XNXRPS(配列番号119)、式中、Xは、D、G、TおよびRから成る群から選択され、Xは、N、KおよびSから成る群から選択され、Xは、K、NおよびQから成る群から選択される。
CDR3 XDXV(配列番号120)、式中、Xは、G、NおよびAから成る群から選択され、Xは、T、SおよびAから成る群から選択され、Xは、WおよびRから成る群から選択され、Xは、SおよびDから成る群から選択され、Xは、RおよびSから成る群から選択され、Xは、LおよびVから成る群から選択され、Xは、S、YおよびNから成る群から選択され、Xは、A、HおよびGから成る群から選択され、Xは、VおよびLから成る群から選択される。
HC1コンセンサス
CDR1 XYYMX(配列番号121)、式中、Xは、GおよびDから成る群から選択され、Xは、HおよびYから成る群から選択される。
CDR2 WIXPNSGGTNYAQKFQG(配列番号122)、式中、Xは、NおよびSから成る群から選択される。
CDR3 XSXGX101112YYX13GMDV(配列番号123)、式中、Xは、DおよびGから成る群から選択され、Xは、QおよびGから成る群から選択され、Xは、MおよびYから成る群から選択され、Xは、IおよびGから成る群から選択され、Xは、IおよびYから成る群から選択され、Xは、MおよびAから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合はLであり、Xは、存在または不在であって、存在する場合はRであり、Xは、VおよびLから成る群から選択され、X10は、FおよびYから成る群から選択され、X11は、PおよびSから成る群から選択され、X12は、PおよびHから成る群から選択され、X13は、存在または不在であって、存在する場合はYである。
HC2コンセンサス
CDR2 RIKSXTDGGTTDYXAPVKG(配列番号124)、式中、Xは、KおよびTから成る群から選択され、Xは、TおよびAから成る群から選択される。
HC3コンセンサス
CDR1 XYXMX(配列番号125)、式中、Xは、TおよびSから成る群から選択され、Xは、SおよびAから成る群から選択され、Xは、NおよびSから成る群から選択される。
CDR2 XISXSXYYADSVKG(配列番号126)、式中、Xは、SおよびAから成る群から選択され、Xは、SおよびGから成る群から選択され、Xは、SおよびGから成る群から選択され、Xは、SおよびGから成る群から選択され、Xは、YおよびRから成る群から選択され、Xは、RおよびTから成る群から選択される。
CDR3 XPYSXWYDYYYGMDV(配列番号127)、式中、Xは、EおよびDから成る群から選択され、Xは、GおよびQから成る群から選択され、Xは、VおよびRから成る群から選択され、Xは、SおよびEから成る群から選択され、Xは、GおよびVから成る群から選択され、Xは、SおよびGから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合はSであり、Xは、IおよびSから成る群から選択され、Xは、SおよびGから成る群から選択される。
HC4コンセンサス
CDR1 SXGMH(配列番号128)、式中、Xは、FおよびYから成る群から選択される。
CDR2 VISXDGSXKYXDSVKG(配列番号129)、式中、Xは、FおよびYから成る群から選択され、Xは、IおよびHから成る群から選択され、Xは、SおよびYから成る群から選択され、Xは、VおよびAから成る群から選択される。
CDR3 XRXSXYYX1011YYGX1213V(配列番号130)、式中、Xは、DおよびEから成る群から選択され、Xは、LおよびKから成る群から選択され、Xは、NおよびRから成る群から選択され、Xは、YおよびVから成る群から選択され、Xは、YおよびTから成る群から選択され、Xは、DおよびMから成る群から選択され、Xは、SおよびTから成る群から選択され、Xは、GおよびLから成る群から選択され、Xは、HおよびYから成る群から選択され、X10は、存在または不在であって、存在する場合はYであり、X11は、KおよびFから成る群から選択され、X12は、MおよびLから成る群から選択され、X13は、AおよびDから成る群から選択される。
HCAコンセンサス
CDR1 XMX(配列番号131)、式中、Xは、NおよびSから成る群から選択され、Xは、A、Y、およびFから成る群から選択され、Xは、W、A、およびGから成る群から選択され、Xは、SおよびHから成る群から選択される。
CDR2 XIXGX1011121314VKG(配列番号132)、式中、Xは、R、A、およびVから成る群殻選択され、Xは、K、S、およびWから成る群から選択され、Xは、S、G、F、およびYから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、KおよびTから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合はTであり、Xは、DおよびSから成る群から選択され、Xは、GおよびSから成る群から選択され、Xは、T、R、I、NおよびHから成る群から選択され、Xは、TおよびKから成る群から選択され、X10は、DおよびYから成る群から選択され、X11は、YおよびSから成る群から選択され、X12は、T、A、およびVから成る群から選択され、X13は、AおよびDから成る群から選択され、X14は、PおよびSから成る群から選択される。
CDR3 X1011121314151617GX1819V(配列番号133)、式中、Xは、D、AおよびEから成る群から選択され、Xは、R、QおよびGから成る群から選択され、Xは、T、R、L、GおよびKから成る群から選択され、Xは、G、E、N、IおよびRから成る群から選択され、Xは、Y、V、およびAから成る群から選択され、Xは、S、G、Y、AおよびTから成る群から選択され、Xは、I、P、D、AおよびMから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、SおよびYから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、W、SおよびTから成る群から選択され、X10は、S、GおよびLから成る群から選択され、X11は、S、G、LおよびYから成る群から選択され、X12は、存在または不在であって、存在する場合は、WおよびYから成る群から選択され、X13は、YおよびHから成る群から選択され、X14は、存在または不在であって、存在する場合は、YおよびDから成る群から選択され、X15は、Y、KおよびFから成る群から選択され、X16は、存在または不在であって、存在する場合はYであり、X17は、存在または不在であって、存在する場合はYであり、X18は、MおよびLから成る群から選択され、X19は、DおよびAから成る群から選択される。
HCBコンセンサス
CDR1 X(配列番号134)、式中、Xは、N、G、D、SおよびAから成る群から選択され、Xは、A、FおよびYから成る群から選択され、Xは、W、Y、AおよびGから成る群から選択され、Xは、MおよびLから成る群から選択され、Xは、SおよびHから成る群から選択される。
CDR2 XIX1011121314151617G(配列番号135)、式中、Xは、R、W、A、V、SおよびFから成る群から選択され、Xは、K、N、S、WおよびRから成る群から選択され、Xは、S、P、G、FおよびYから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、K、TおよびRから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、TおよびAから成る群から選択され、Xは、D、N、H、SおよびYから成る群から選択され、Xは、GおよびSから成る群から選択され、Xは、GおよびSから成る群から選択され、Xは、T、G、R、I、N、HおよびYから成る群から選択され、X10は、T、K、RおよびPから成る群から選択され、X11は、D、N、YおよびEから成る群から選択され、X12は、YおよびSから成る群から選択され、X13は、T、AおよびVから成る群から選択され、X14は、A、QおよびDから成る群から選択され、X15は、P、KおよびSから成る群から選択され、X16は、VおよびFから成る群から選択され、X17は、KおよびQから成る群から選択される。
CDR3 XSX10111213141516GX1718V(配列番号136)、式中、Xは、D、G、AおよびEから成る群から選択され、Xは、R、GおよびQから成る群から選択され、Xは、T、M、Y、R、L、GおよびKから成る群から選択され、Xは、G、S、E、N、IおよびRから成る群から選択され、Xは、Y、I、G、VおよびAから成る群から選択され、Xは、S、I、Y、G、AおよびTから成る群から選択され、Xは、I、M、A、PおよびDから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、S、LおよびYから成る群から選択され、Xは、存在または不在であって、存在する場合は、W、R、SおよびTから成る群から選択され、X10は、S、GおよびLから成る群から選択され、X11は、S、V、L、GおよびYから成る群から選択され、X12は、存在または不在であって、存在する場合は、F、YおよびWから成る群から選択され、X13は、Y、P、SおよびHから成る群から選択され、X14は、存在または不在であって、存在する場合は、Y、P、DおよびHから成る群から選択され、X15は、Y、KおよびFから成る群から選択され、X16は、存在または不在であって、存在する場合はYであり、X17は、存在または不在であって、存在する場合はYであり、X18は、MおよびLから成る群から選択される。
【0194】
いくつかの例において、抗原結合タンパク質は、上記コンセンサス配列のうちの1つを有する、少なくとも1つの重鎖CDR1、CDR2、またはCDR3を含む。一部の例において、抗原結合タンパク質は、上記コンセンサス配列のうちの1つを有する、少なくとも1つの軽鎖CDR1、CDR2、またはCDR3を含む。他の例において、抗原結合タンパク質は、上記コンセンサス配列に従う少なくとも2つの重鎖CDRおよび/または上記コンセンサス配列に従う少なくとも2つの軽鎖CDRを含む。さらに他の例において、抗原結合タンパク質は、上記コンセンサス配列に従う少なくとも3つの重鎖CDRおよび/または上記コンセンサス配列に従う少なくとも3つの軽鎖CDRを含む。
【0195】
典型的な抗原結合タンパク質
一態様に従って、(A)(i)配列番号73、76、79、82、85、88、92、97、および100から成る群から選択されるCDRH1、(ii)配列番号74、77、80、83、86、89、91、93、95、98、101、および129から成る群から選択されるCDRH2、(iii)配列番号75、78、81、84、87、90、96、99、102、および123から成る群から選択されるCDRH3、および(iv)5個、4個、3個、2個、または1個を超えないアミノ酸の、1つまたは複数、例えば、1個、2個、3個、4個以上のアミノ酸置換、欠失、または挿入を含む(i)、(ii)および(iii)のCDRH、から成る群から選択される、1つまたは複数の重鎖相補性決定領域(CDRH)、(B)(i)配列番号42、45、48、51、54、57、62、65、66、および69から成る群から選択されるCDRL1、(ii)配列番号43、46、49、52、55、58、61、63、67、および70から成る群から選択されるCDRL2、(iii)配列番号44、47、50、53、56、59、64、68、71、および72から成る群から選択される、CDRL3、および(iv)5個、4個、3個、2個、または1個を超えないアミノ酸の、1つまたは複数の、例えば、2個、3個、4個以上のアミノ酸置換、欠失、または挿入を含む、(i)、(ii)および(iii)のCDRLから成る群から選択される、1つまたは複数の軽鎖相補性決定領域(CDRL)、または(C)(A)の1つまたは複数の重鎖CDRHおよび(B)の1つまたは複数の軽鎖CDRLを含む、CGRP Rと結合する、単離結合タンパク質が提供される。
【0196】
さらに別の実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)(i)配列番号73、76、79、82、85、88、92、97、および100から成る群から選択されるCDRH1、(ii)配列番号74、77、80、83、86、89、91、93、95、98、101、および129から成る群から選択されるCDRH2、および(iii)配列番号75、78、81、84、87、90、96、99、102、および123から成る群から選択されるCDRH3から成る群から選択されるCDRH、(B)(i)配列番号42、45、48、51、54、57、62、65、66、および69から成る群から選択されるCDRL1、(ii)配列番号43、46、49、52、55、58、61、63、67、および70から成る群から選択されるCDRL2、および(iii)配列番号44、47、50、53、56、59、64、68、71、および72から成る群から選択されるCDRL3、から成る群から選択されるCDRL、または(C)(A)の1つまたは複数の重鎖CDRHおよび(B)の1つまたは複数の軽鎖CDRLを含んでもよい。一実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、(A)配列番号73、76、79、82、85、88、92、97、および100のCDRH1、配列番号74、77、80、83、86、89、91、93、95、98、101、および129のCDRH2、および配列番号75、78、81、84、87、90、96、99、102、および123のCDRH3、ならびに(B)配列番号42、45、48、51、54、57、62、65、66、および69のCDRL1、配列番号43、46、49、52、55、58、61、63、67、および70のCDRL2、および配列番号44、47、50、53、56、59、64、68、71、および72のCDRL3を含んでもよい。
【0197】
別の実施形態において、重鎖可変領域(V)は、配列番号158~170から成る群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99%の配列同一性を有し、および/またはVは、配列番号137~153から成る群から選択されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%または99%の配列同一性を有する。さらなる実施形態において、Vは、配列番号158~170から成る群から選択され、および/またはVは、配列番号137~153から成る群から選択される。
【0198】
別の態様において、CGRP RのCRLRおよびRAMP1成分の両方からのアミノ酸残基で形成されたエピトープに特異的に結合する、単離抗原タンパク質も提供される。
【0199】
さらに別の実施形態において、上述の単離抗原結合タンパク質は、本明細書に開示されるCDRHコンセンサス配列のうちの少なくとも1つを含む、第1のアミノ酸配列と、本明細書に開示されるCDRLコンセンサス配列のうちの少なくとも1つを含む、第2のアミノ酸配列と、を含む。一態様において、第1のアミノ酸配列は、CDRHコンセンサス配列のうちの少なくとも2つを含み、および/または第2のアミノ酸配列は、CDRLコンセンサス配列のうちの少なくとも2つを含む。
【0200】
所定の実施形態において、第1および第2のアミノ酸配列は、相互に共有結合する。
【0201】
さらなる実施形態において、単離抗原結合タンパク質の第1のアミノ酸配列は、配列番号75、78、81、84、87、90、96、99、102、および123のCDRH3、配列番号74、77、80、83、86、89、91、93、95、98、101、および129のCDRH2、ならびに配列番号73、76、79、82、85、88、92、97、および100のCDRH1を含み、ならびに/または単離抗原結合タンパク質の第1のアミノ酸配列は、配列番号44、47、50、53、56、59、64、68、71、および72のCDRH3、配列番号43、46、49、52、55、58、61、63、67、および70のCDRH2、および配列番号42、45、48、51、54、57、62、65、66、および69のCDRH1を含む。
【0202】
さらなる実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、表5Aに示される、重鎖配列H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、またはH13の少なくとも2つのCDRH配列を含む。さらに、さらなる実施形態において、抗原結合タンパク質は、表5Bに示される、軽鎖配列L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、L12、L13、L14、L15、L16、またはL17の少なくとも2つのCDRL配列を含む。さらに、さらなる実施形態において、抗原結合タンパク質は、表5Aに示される、重鎖配列H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、またはH13の少なくとも2つのCDRH配列を含み、表5Bに示される、軽鎖配列L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、L12、L13、L14、L15、L16、またはL17の少なくとも2つのCDRL配列を含む。
【0203】
さらに、別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、表5Aに示される、重鎖配列H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、またはH13のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3配列を含む。さらに別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、表5Bに示される、軽鎖配列L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、L12、L13、L14、L15、L16、またはL17のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含む。
【0204】
さらに別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、表5Aおよび表5Bに示される、L1およびH1、またはL2およびH2、またはL3およびH3、またはL4およびH4、またはL5およびH5、またはL6およびH1、またはL7およびH6、またはL8およびH5、またはL9およびH1、またはL10およびH7、またはL11およびH8、またはL12およびH9、またはL12およびH10、またはL13およびH5、またはL14およびH11、またはL15およびH12、またはL16およびH13、またはL17およびH13の6つのCDRをすべて含む。
【0205】
【表5A-1】
【0206】
【表5A-2】
【0207】
【表5B-1】
【0208】
【表5B-2】
【0209】
一態様において、本明細書において提供される単離抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多特異性抗体、またはその抗体抗原結合断片であり得る。
【0210】
別の実施形態において、本明細書において提供される単離抗原結合タンパク質の抗体断片は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、二重特異性抗体、または単鎖抗体分子であり得る。
【0211】
さらなる実施形態において、本明細書において提供される単離抗原結合タンパク質は、ヒト抗体であり、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4型であり得る。
【0212】
別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、表5A-5Bに記載される軽鎖または重鎖ポリペプチドのみで構成される。一部の実施形態において、抗原結合タンパク質は、表5A-5Bに列挙される軽鎖可変または重鎖可変ドメインのみで構成される。そのような抗原結合タンパク質は、1つまたは複数のPEG分子によりPEG化され得る。
【0213】
さらに別の態様において、本明細書において提供される単離抗原結合タンパク質は、標識群に結合することができ、ヒトCGRP Rの細胞外部分への結合に対して、本明細書において提供される単離抗原結合タンパク質のうちの1つの抗原結合タンパク質と競合し得る。一実施形態において、本明細書において提供される単離抗原結合タンパク質は、患者に投与されると、単球走化を低減させ、腫瘍への単球移行を阻害するか、腫瘍における腫瘍関連マクロファージの蓄積および機能を阻害することができる。
【0214】
当業者に理解されるように、描写される配列から複数のCDRを有するいかなる抗原結合タンパク質の場合も、描写される配列から独立して選択されるCDRの組み合わせが有用である。したがって、独立して選択される1、2、3、4、5、または6個のCDRを有する抗原結合タンパク質を生成することができる。しかしながら、当業者に理解されるように、特定の実施形態は、一般に、非反復的なCDRの組み合わせを利用し、例えば、抗原結合タンパク質は、一般に、2つのCDRH2領域で形成されない。
【0215】
提供される抗原結合タンパク質のいくつかが、以下で詳細に論じられる。
【0216】
抗原結合たんぱく質および結合エピトープおよび結合ドメイン
抗原結合たんぱく質が、エピトープ例えば、CGRP Rの一方または両方の成分、またはCGRP Rの細胞外ドメインと結合すると言われる場合、これは、抗原結合タンパク質が、CGRP Rの特定部分に特異的に結合することを意味し、CRLR、RAMP1、またはCRLRおよびRAMP1の両方にわたる部分上であってもよい。抗原結合タンパク質が、(RAMP1ではなく)CRLRのみと結合する場合において、抗原結合タンパク質は、CRLRが特にAM1およびAM1受容体と共有されるため、CGRP Rを選択的に結合することが予期されない。同様に、抗原結合タンパク質が、(CRLRではなく)RAMP1のみと結合する場合において、抗原結合タンパク質は、RAMAP1が特にAMY1受容体と共有されるため、CGRP Rを選択的に結合することが予期されない。抗原結合タンパク質が、CRLRおよびRAMP1の両方と相互作用する場合において、抗原結合タンパク質は、残基または残基の配列、あるいはCRLRおよびRAMP1の両方における領域と結合することが予期される。前述の実施形態のいずれにおいても、抗原結合タンパク質は、CRLRまたはRAMP1内のすべての残基と接触することが予期されない。同様に、CRLR、RAMP1、またはその細胞外ドメイン内のすべてのアミノ酸置換または欠失が、結合親和性に有意に影響することが予期されるわけではない。
【0217】
例えば、実施例10において詳述される方法を使用して、多量体受容体、例えばCGRP Rのどの領域が、選択された抗原結合タンパク質に結合する際に関与し得るかを評価することができる。
【0218】
競合抗原結合タンパク質
別の態様において、CGRP Rへの特異的な結合に対して、上述のエピトープに結合する、例証または「基準」抗体または機能断片のうちの1つと競合する、抗原結合タンパク質が提供される。そのような抗原結合タンパク質は、本明細書で例証される抗原結合タンパク質のうちの1つ、または重複するエピトープと同一のエピトープに結合し得る。例証または基準抗原結合タンパク質と同一のエピトープと競合するか、または結合する抗原結合タンパク質および断片は、同様の機能特性を示すことが予期される。例証される抗原結合タンパク質および断片は、重鎖および軽鎖、可変領域ドメインV1-V17およびV1-V13、および表2A、2B、3、4A、4B、5A、および5Bに含まれるCDRを有するものを含む。したがって、具体的な実施例として、提供される抗原結合タンパク質は、(a)表5Aおよび5Bに列挙される抗体に対して列挙される6つのCDRすべて、(b)V1-V17およびV1-V13から選択され、表5Aおよび5Bに列挙される抗体に対して列挙されるVおよびV、または(c)表5Aおよび5Bに列挙される抗体に対して特定される2つの軽鎖および2つの重鎖を有する抗体と競合するものを含む。適切な基準抗体の一実施例には、配列番号158~170として同定される配列のうちのいずれかに対応する配列を有する重鎖可変領域、および配列番号137~153として同定される配列のうちのいずれかに対応する配列を有する、軽い鎖可変領域を有するものが挙げられる。
【0219】
結合競合は、例えば、以下の実施例7に記載されるBiacore検定等のビニング検定を使用して評価することができる。該実施例において、本明細書に記載される19個の抗体を、5つの中和抗体(11D11、3B6、4H6、12G8、および9F5)および1つの非中和抗体(34E3)を含む、6つの「基準」抗体のそれぞれに対して試験した。表13に示されるように、検定結果は、試験したすべての中和抗体(1E11、1H7、2E7、3B6、3C8、4E4、4H6、5F5、9D4、9F5、10E4、11D11、11H9、12E8、12G8、13H2および32H7)が、本質的にCGRP Rの同一領域に結合することを示し、これは、試験した非中和抗体(32H8、33B5、33E4および34E3)によって結合される、CGRP Rの領域とは異なる。これらのデータに基づいて、中和抗体のうちいずれも、特に、実施例7-11D11、3B6、4H6、12G8、および9F5に記載される検定において不死化された中和抗体のうちのいずれかも、競合検定において、典型的な基準抗原結合タンパク質となる。
【0220】
モノクローナル抗体
提供される抗原結合タンパク質は、CGRP Rに結合するモノクローナル抗体を含む。モノクローナル抗体は、該技術分野において知られている任意の技術を使用して、例えば、免疫付与スケジュールの完了後、トランスジェニック動物から採取された膵臓細胞を不死化することによって生成され得る。膵臓細胞は、該技術分野において知られている任意の技術を使用して、例えば、それらを骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマを生成することによって不死化することができる。ハイブリドーマ生成融合手順において使用するための骨髄腫細胞は、好ましくは、非抗体生成であり、高い融合効率および酵素欠損を有し、それらが所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの成長を支持する所定の選択的媒体において成長できないようにする。マウス融合に使用するのに適した細胞株の実施例には、Sp-20、P3-X63/Ag8、P3-X63-Ag8.653、NS1/1.Ag4 1、Sp210-Ag14、FO、NSO/U、MPC-11、MPC11-X45-GTG 1.7およびS194/5XXO Bulが挙げられ、ラット融合に使用される細胞の実施例には、R210.RCY3、Y3-Ag1.2.3、IR983Fおよび4B210が挙げられる。細胞融合に有用な他の細胞株は、U-266、GM1500-GRG2、LICR-LON-HMy2およびUC729-6である。モノクローナル抗体を調製する典型的な方法は、以下の実施例2に記載される。
【0221】
一部の例において、ハイブリドーマ細胞株は、動物(例えば、ヒト免疫グロブリン配列を有するトランスジェニック動物)にCGRP R免疫原を免疫付与し、免疫付与した動物から膵臓細胞を採取し、採取した膵臓細胞を骨髄腫細胞株に融合し、それによって、ハイブリドーマ細胞を生成し、ハイブリドーマ細胞株をハイブリドーマ細胞から確立し、(例えば、以下の実施例1~3に記載されるように)CGRP Rと結合する抗体を生成するハイブリドーマ細胞株を特定することによって生成される。そのようなハイブリドーマ細胞株、およびそれらによって生成される抗CGRP Rモノクローナル抗体は、本出願の態様である。
【0222】
ハイブリドーマ細胞株によって分泌されるモノクローナル抗体は、該技術分野において知られる任意の技術を使用して生成することができる。ハイブリドーマまたはmAbをさらにスクリーニングして、特定の特性、例えば、CGRPを発現する細胞に結合する能力、CGRPリガンドまたはCGRP8-37ペプチドの結合を遮断または干渉する能力、または例えば、以下に記載されるように、cAMP検定を使用して、受容体を機能的に遮断する能力を有するmAbを特定。
【0223】
キメラおよびヒト化抗体
前述の配列に基づくキメラおよびヒト化抗体も提供される。治療薬として使用するためのモノクローナル抗体は、使用前に様々な方法で修飾され得る。一実施例は、キメラ抗体であり、これは、機能的免疫グロブリン軽鎖または重鎖、あるいはその免疫学的機能部分を生成するように、共役結合される、異なる抗体からのタンパク質切片で構成される抗体である。一般に、重鎖および/または軽鎖の部分は、特定の種に由来する抗体における対応する配列と同一または相同であるか、または特定の抗体クラスまたはサブクラスに属するが、鎖の残りは、別の種に由来する抗体における対応する配列と同一または相同であるか、または別の抗体クラスまたはサブクラスに属する。キメラ抗体に関連する方法については、例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第4,816,567号、およびMorrison et al.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855を参照されたい。CDR移植は、例えば、米国特許第6,180,370号、第5,693,762号、第5,693,761号、第5,585,089号、および第5,530,101号に記載されている。
【0224】
一般に、キメラ抗体を形成する目的は、意図された患者の種からのアミノ酸の数を最大化するキメラを形成することである。一実施例は、「CDR移植された」抗体であり、抗体は、特定の種から、または特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含むが、抗体鎖の残りは、別の種に由来するか、または別の抗体クラスまたはサブクラスに起因する対応配列と同一または相同である。ヒトにおいて使用する場合、齧歯類抗体からの可変領域または選択されたCDRがヒト抗体に移植される場合が多く、ヒト抗体の自然発生する可変領域またはCDRを置換する。
【0225】
キメラ抗体の1つの有用な型は、「ヒト化」抗体である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト動物において最初に産生されるモノクローナル抗体から生成される。このモノクローナル抗体における、通常、抗体の非抗原認識部分からのある種のアミノ酸残基が、対応するアイソトープのヒト抗体において対応する残基に相同するように修飾される。ヒト化は、例えば、齧歯類可変領域の少なくとも一部分をヒト抗体の対応する領域と置換することによって、様々な方法を使用して行うことができる(例えば、米国特許第5,585,089号、および第5,693,762号、Jones et al.,1986,Nature 321:522-525、Riechmann et al.,1988,Nature 332:323-27、Verhoeyen et al.,1988,Science 239:1534-1536を参照)。
【0226】
一態様において、本明細書において提供される抗体の軽鎖および重鎖可変領域のCDR(表4を参照)は、同一または異なる系統種の抗体からのフレームワーク領域(FR)に移植される。例えば、重鎖および軽鎖可変領域V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、およびV13および/またはV1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V16、およびV17のCDRは、コンセンサスヒトFRに移植することができる。コンセンサスヒトFRを形成するために、いくつかのヒト重鎖または軽鎖アミノ酸配列からのFRを整列させて、コンセンサスアミノ酸配列を特定することが。他の実施形態において、本明細書に開示される重鎖または軽鎖のFRは、異なる重鎖または軽鎖からのFRと置き換えられる。一態様において、抗CGRP R抗体の重鎖および軽鎖のFRにおける希少アミノ酸は置換されないが、FRアミノ酸の残りは、置換される。「希少アミノ酸」は、この特定のアミノ酸が、通常、FRにおいて見出されない位置にある特定のアミノ酸である。代替として、ある重鎖または軽鎖から移植された可変領域は、本明細書に開示されるような特定の重鎖または軽鎖の定常領域とは異なる定常領域と併用されてもよい。他の実施形態において、移植された可変領域は、単鎖Fv抗体の一部である。
【0227】
所定の実施形態において、ヒト以外の種からの定常領域を、ヒト可変領域とともに使用して、ハイブリッド抗体を生成することができる。
【0228】
完全ヒト抗体
完全ヒト抗体も提供される。ヒトを抗原に曝露させることなく、所定の抗原に特異的な完全ヒト抗体を形成するための方法が使用可能である(「完全ヒト抗体」)。完全ヒト抗体の生成を実装するために提供される1つの具体的な手段は、マウス液性免疫系の「ヒト化」である。内因性Ig遺伝子が不活性化されたマウスへのヒト免疫グロブリン(Ig)位置の導入は、任意の所望の抗原により免疫付与され得る動物である、マウスにおいて、完全ヒトモノクローナル抗体(mAb)を生成する1つの手段である。完全ヒト抗体の使用は、マウスまたはマウス由来mAbを治療薬としてヒトに投与することによってもたらされ得る場合がある、免疫原性およびアレルギー性反応を最小化することができる。
【0229】
完全ヒト抗体は、内因性免疫グロブリン生成の不在下で、一連のヒト抗体を生成することができる、トランスジェニック動物(通常はマウス)を免疫付与することによって生成することができる。この目的のための抗原は、通常、6個以上の隣接するアミノ酸を有し、任意で、ハプテン等の担体に共役される。例えば、Jakobovits et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551-2555、Jakobovits et al.,1993,Nature 362:255-258、およびBruggermann et al.,1993,Year in Immunol.:33を参照されたい。そのような方法の一実施例において、トランスジェニック動物は、そこでマウス重および軽免疫グロブリン鎖をコード化する内因性マウス免疫グロブリン位置を機能しないようにし、ヒト重および軽鎖タンパク質をコード化する、ヒトゲノムDNA位置の大きい断片をマウスゲノムに挿入することによって生成される。部分的に修飾される動物は、ヒト免疫グロブリン位置の総数よりも少なく、次に、所望の免疫系修飾のすべてを有する動物を得るために交配される。免疫原を投与されると、これらのトランスジェニック動物は、免疫原に免疫特異的であるが、マウスアミノ酸配列ではなく、可変領域を含むヒトアミノ酸配列を有する抗体を生成する。そのような方法のさらなる詳細については、例えば、PCT公開第WO96/33735号および第WO94/02602号を参照されたい。ヒト抗体を形成するためのトランスジェニックマウスに関連する追加の方法は、米国特許第5,545,807号、第6,713,610号、第6,673,986号、第6,162,963号、第5,545,807号、第6,300,129号、第6,255,458号、第5,877,397号、第5,874,299号、および第5,545,806、PCT公開第WO91/10741号、WO90/04036、および欧州特許第EP546073B1号および欧州特許第EP546073A1号において記載されている。
【0230】
上述のトランスジェニックマウスは、本明細書において「HuMab」マウスと称され、内因性[μ]および[κ]鎖遺伝子座を不活性化する標的された変異とともに、再配列されていないヒト重([μ]および[γ])および[κ]軽鎖免疫グロブリン配列をコード化する小遺伝子座を有するヒト免疫グロブリン遺伝子を含む(Lonberg et al.,1994,Nature 368:856-859)。したがって、マウスは、免疫付与に応答して、マウスIgMまたは[κ]の低い発現を呈し、導入されたヒト重鎖トランス遺伝子は、クラススイッチングおよび体細胞変異を経て、高親和性のヒトIgG[κ]モノクローナル抗体を生成する(Lonberg et al.,上記、Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65-93、Harding nd Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536-546)。HuMabマウスの調製は、Taylor et al.,1992,Nucleic Acids Research 20:6287-6295、Chen et al.,1993,International Immunology :647-656、Tuaillon et al.,1994,J.Immunol.152:2912-2920、Lonberg et al.,1994,Nature 368:856-859、Lonberg,1994,Handbook of Exp.Pharmacology 113:49-101、Taylor et al.,1994,International Immunology :579-591、Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65-93、Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y Acad.Sci.764:536-546、Fishwild et al.,1996,Nature Biotechnology 14:845-851において詳述され、前述の参考文献は、あらゆる目的でそれら全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。さらに、米国特許第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,789,650号、第5,877,397号、第5,661,016号、第5,814,318号、第5,874,299号、および第5,770,429号、ならびに米国特許第5,545,807号、国際公開第WO93/1227号、第WO92/22646号、および第WO92/03918号を参照し、それらすべての開示は、あらゆる目的でそれら全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。これらのトランスジェニックマウスにおいて、ヒト抗体を生成するために利用される技術は、国際公開第WO98/24893号およびMendez et al.,1997,Nature Genetics 15:146-156においても開示され、参照することにより本明細書に組み込まれる。例えば、HCo7およびHCo12トランスジェニックマウス株を使用して、抗CGRP R抗体を生成することができる。トランスジェニックマウスを使用するヒト抗体の生成に関するさらなる詳細は、以下の実施例において提供される。
【0231】
ハイブリドーマ技術を使用して、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトmAbを生成し、上述のもの等のトランスジェニックマウスから選択することができる。そのような抗体は、適切なベクターおよび宿主細胞を使用して、クローン化および発現され得る、または抗体は、培養されたハイブリドーマ細胞から採取することができる。
【0232】
完全ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリから得ることもできる(Hoogenboom et al.,1991,J.Mol.Biol.227:381、およびMarks et al.,1991,J.Mol.Biol.222:581において開示されるとおり)。ファージ表示技術は、糸状バクテリオファージの表面上に抗体レパートリー、および選択した抗原に結合することによって、ファージの後次選択を表示することによって、免疫選択を模倣する。そのような技術の1つは、PCT公開第WO99/10494号(参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載され、そのようなアプローチを使用する、MPLおよびmsk受容体の高親和性および機能性アゴニスト抗体の単離について説明する。
【0233】
二特異性または二機能性抗原結合タンパク質
提供される抗原結合タンパク質は、上述のように、1つまたは複数のCDRあるいは1つまたは複数の可変領域を含む、二特異性および二機能性抗体も含む。二特異性または二機能性抗体は、いくつかの例において、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の結合が挙げられるが、これに限定されない、多様な方法によって生成することができる。例えば、Songsivilai and Lachmann,1990,Clin.Exp.Immunol.79:315-321、Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547-1553を参照されたい。
【0234】
様々な他の形態
提供される抗原結合タンパク質のいくつかは、上で開示される抗原結合タンパク質(例えば、表2-5に列挙される配列を有するもの)の変異型である。例えば、抗原結合タンパク質のいくつかは、表2-5に列挙される重鎖または軽鎖、可変領域、またはCDRの1つ以上において、1つまたは複数の保存アミノ酸置換を有する。
【0235】
自然発生するアミノ酸は、共通する側鎖特性に基づいて、以下のクラスに分割され得る。
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln
3)酸性:Asp、Glu
4)塩基性:His、Lys、Arg
5)鎖配向に影響する残基:Gly、Proおよび
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
【0236】
保存アミノ酸置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを、同一クラスの別のメンバーと交換することを含み得る。保存アミノ酸置換は、非自然発生アミノ酸残基を包含してもよく、通常、生物系における合成ではなく、化学的ペプチド合成によって組み込まれる。これらは、アミノ酸部分のペプチド模倣体および他の反転または逆転形態を含む。
【0237】
非保守的置換は、上記クラスのうちの1つのメンバーを別のクラスからのメンバーと交換することを含み得る。そのような置換残基は、ヒト抗体と相同である抗体の領域、または分子の非相同領域に導入されてもよい。
【0238】
そのような変更を形成する際に、所定の実施形態に従うと、アミノ酸のヒドロパシー指標が考慮され得る。タンパク質のヒドロパシープロファイルは、各アミノ酸に数値を割り当て(「ヒドロパシー指標」)、次に、これらの値をペプチド鎖に沿って繰り返し平均化することによって計算される。各アミノ酸は、その疎水性および電荷特性に基づいて、ヒドロパシー指標が割り当てられている。それらは、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(-0.4)、トレオニン(-0.7)、セリン(-0.8)、トリプトファン(-0.9)、チロシン(-1.3)、プロリン(-1.6)、ヒスチジン(-3.2)、グルタミン酸塩(-3.5)、グルタミン(-3.5)、アスパラギン酸塩(-3.5)、アスパラギン(-3.5)、リシン(-3.9)、およびアルギニン(-4.5)である。
【0239】
タンパク質に対する相互作用生物機能の付与におけるヒドロパシープロファイルの重要性は、該技術分野において理解されている(例えば、Kyte et al.,1982,J.Mol.Biol.157:105-131を参照)。ある種のアミノ酸は、類似するヒドロパシー指標またはスコアを有する他のアミノ酸と置換されてもよく、依然として同様の生物活性を維持することが知られている。ヒドロパシー指標に基づいて変更を行う際に、ある実施形態において、そのヒドロパシー指標が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれる。いくつかの態様において、±1以内のものが含まれ、他の態様において、±0.5のものが含まれる。
【0240】
該技術分野において、類似するアミノ酸の置換は、特に、本例のように、生物学的に機能するタンパク質またはそれによって形成されるペプチドが、免疫的実施形態における使用が意図される場合、親水性に基づいて効果的に形成され得ることも理解される。ある実施形態において、タンパク質の最大局所平均親水性は、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配され、その免疫原性および抗原結合または免疫原性、つまり、タンパク質の生物特性と相関する。
【0241】
以下の親水性値は、これらのアミノ酸残基に割り当てられている。アルギニン(+3.0)、リシン(+3.0)、アスパラギン酸塩(+3.0±1)、グルタミン酸塩(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、トレオニン(-0.4)、プロリン(-0.5±1)、アラニン(-0.5)、ヒスチジン(-0.5)、システイン(-1.0)、メチオニン(-1.3)、バリン(-1.5)、ロイシン(-1.8)、イソロイシン(-1.8)、チロシン(-2.3)、フェニルアラニン(-2.5)、およびトリプトファン(-3.4)。類似する親水性値に基づいて変更を行う際に、ある実施形態において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれ、他の実施形態において、±1以内であるものが含まれ、さらに他の実施形態において、±0.5以内であるものが含まれる。いくつかの例において、親水性に基づいて、主要なアミノ酸配列からエピトープを特定してもよい。これらの領域は、「エピトープコア領域」とも称される。
【0242】
典型的な保存アミノ酸置換が、表6に記載される。
【表6】
【0243】
熟練者であれば、周知の技術を使用して、本明細書に説明されるようなポリペプチドの適切な変異型を決定することができるであろう。当業者は、活性に重要であると考えられない領域を標的することによって、活性を破壊することなく、変更され得る分子の適切な領域を特定し得る。当行者は、類似ポリペプチドの中で保存される分子の残基および部分を特定することもできるであろう。さらなる実施形態において、生物活性または構造に重要であり得る領域であっても、生物活性を破壊しないか、またはポリペプチド構造に悪影響を及ぼさずに保存アミノ酸置換に供され得る。
【0244】
追加として、当業者は、活性または構造に重要な類似ポリペプチドにおいて残基を特定する構造機能研究を検討することができる。そのような比較を参照して、類似タンパク質における活性または構造に重要なアミノ酸残基に対応するタンパク質におけるアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、そのような予測された重要なアミノ酸残基に対して、化学的に類似するアミノ酸置換を選択し得る。
【0245】
当業者は、3次元構造および類似ポリペプチドにおいて該構造に関連するアミノ酸配列を分析することもできる。そのような情報を考慮して、当業者は、その3次元構造に関する抗体のアミノ酸残基の配列を予測することができる。当業者は、タンパク質の表面上にあると予測されるアミノ酸残基に対するラジカル変更を行わないことを選択し得る。それは、そのような残基が、他の分子との重要な相互作用に関与し得るためである。さらに、当業者は、それぞれ所望されるアミノ酸残基において、単一のアミノ酸置換を含む試験変異型を生成することができる。次に、これらの変異型は、CGRP R中和活性に関する検定を使用してスクリーニングすることができ(以下の実施例を参照)、どのアミノ酸を変更することができ、どれを変更してはならないかに関する情報が得られる。言い換えれば、そのようなルーチン実験から収集された情報に基づいて、当業者は、単独または他の変異との組み合わせで、さらなる置換を回避する必要があるアミノ酸位を容易に決定することができる。
【0246】
多数の科学出版物が、二次構造の予測をテーマにしている。Moult,1996,Curr.Op.in Biotech.:422-427、Chou et al.,1974,Biochem.13:222-245、Chou et al.,1974,Biochemistry 113:211-222、Chou et al.,1978,Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.47:45-148、Chou et al.,1979,Ann.Rev.Biochem.47:251-276、およびChou et al.,1979,Biophys.J.26:367-384を参照されたい。さらに、二次構造の予測を支援するコンピュータプログラムが現在使用可能である。二次構造を予測する1つの方法は、ホモロジーモデリングに基づく。例えば、30%を超える配列同一性または40%を超える類似性を有する2つのポリペプチドまたはタンパク質は、類似する構造トポロジーを有し得る。タンパク質構造データベース(PDB)の最近の成長は、ポリペプチドまたはタンパク質構造内の潜在的な折り返し数を含む、二次構造の予測可能性を高めている。Holm et al.,1999,Nucl.Acid.Res.27:244-247を参照されたい。所与のポリペプチドまたはタンパク質において、限定数の折り畳みが存在し、臨界数の構造が解決されると、構造予測は劇的により正確になることが示唆されている(Brenner et al.,1997,Curr.Op.Struct.Biol.:369-376)。
【0247】
二次構造を予測する追加の方法には、「スレッディング」(Jones,1997,Curr.Opin.Struct.Biol.:377-387、Sippl et al.,1996,Structure :15-19)、「プロファイル分析」(Bowie et al.,1991,Science 253:164-170、Gribskov et al.,1990,Meth.Enzym.183:146-159、Gribskov et al.,1987,Proc.Nat.Acad.Sci.84:4355-4358)、および「進化的結合」(Holm,1999、上記、およびBrenner,1997、上記を参)が挙げられる。
【0248】
いくつかの実施形態において、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減し、(2)酸化に対する感受性を低減し、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変更し、(4)リガンドまたは抗原結合親和性を改変し、および/または(5)そのようなポリペプチドに関する他の物理化学的または機能的特性を付与または改変する、アミノ酸置換がなされる。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(所定の実施形態において、保存アミノ酸置換)は、自然発生する配列において形成されてもよい。置換は、分子間接触を形成するドメインの外側にある抗体の部分において形成することができる。そのような実施形態において、親配列の構造特徴を大幅に変更しない保存アミノ酸置換を使用することができる(例えば、親または天然抗原結合タンパク質を特徴化する二次構造を妨害しない1つまたは複数の置換アミノ酸)。該技術分野で認識されているポリペプチド二次および三次構造の実施例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.),1984,W.H.New York:Freeman and Company、Introduction to Protein Structure(Branden and Tooze,eds.),1991,New York:Garland Publishing、およびThornton et al.,1991,Nature 354:105において説明され、それぞれ参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0249】
追加の好適な抗体変異型には、親または天然アミノ酸配列における1つまたは複数のシステイン残基が別のアミノ酸(例えば、セリン)から削除されるか、または置換される、システイン変異型が挙げられる。システイン変異型は、特に、抗体を生物学的に活性な配座に再折り畳みをしなければならない場合に有用である。システイン変異型は、天然抗体よりも少ないシステイン残基を有してもよく、通常、非対システインから生じる相互作用を最小化するように、偶数個を有する。
【0250】
開示される重鎖および軽鎖、可変領域ドメイン、およびCDRを使用して、CGRP Rに特異的に結合することができる抗原結合領域を含むポリペプチドを調製することができる。例えば、表4および5に列挙されるCDRのうちの1つまたは複数は、共役的または非共役的に分子(例えば、ポリペプチド)に組み込まれ、免疫接着を形成することができる。免疫接着は、大きいポリペプチド鎖の一部としてCDRを組み込み得るか、CDRを別のポリペプチド鎖に共役結合し得るか、またはCDRを非共役的に組み込み得る。CDRは、免疫接着によって、関心対象の特定抗原(例えば、CGRP Rまたはそのエピトープ)に対して特異的に結合できるようにする。
【0251】
本明細書に記載される可変領域ドメインおよびCDRに基づく模倣体(例えば、「ペプチド模倣体(peptide mimeticsまたはpeptidomimetics)」)も提供される。これらの類似体は、ペプチド、非ペプチド、またはペプチドおよび非ペプチド領域の組み合わせであり得る。Fauchere,1986,Adv.Drug Res.15:29、Veber and Freidinger,1985,TINS p.392、およびEvans et al.,1987,J.Med.Chem.30:1229は、任意の目的で参照することにより本明細書に組み込まれる。治療上有効なペプチドと構造的に類似するペプチド模倣体を使用して、同様の治療または予防効果をもたらすことができる。そのような化合物は、コンピュータ化された分子モデリングの援助を受けて開発される場合が多い。一般に、ペプチド模倣体は、所望の生物活性、例えば、ここではCGRP Rと特異的に結合する能力を示すが、該技術分野において知られている方法によって、-CHNH-、-CHS-、-CH-CH-、-CH-CH-(cisおよびtrans)、-COCH-、-CH(OH)CH-、および-CHSOから選択される結合によって任意で置換される1つまたは複数のペプチド結合を有する、抗体と構造的に類似するタンパク質である。コンセンサス配列の1つまたは複数のアミノ酸を同一種のDアミノ酸と系統的に置換することは(例えば、Lリシンに換えてDリシン)、ある実施形態において使用され、より安定したタンパク質を生成し得る。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列変型例を含む制限ペプチドは、該技術分野において知られている方法によって、例えば、ペプチドを環化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を追加することによって生成され得る(参照することにより本明細書に組み込まれる、Rizo and Gierasch,1992,Ann.Rev.Biochem.61:387)。
【0252】
本明細書に記載される抗原結合タンパク質の誘導体も提供される。誘導体化抗原結合タンパク質は、所望の特性、例えば、特定用途における長い半減期を抗体または断片に付与する任意の分子または物質を含むことができる。誘導体化抗原結合タンパク質は、例えば、検出可能な(または標識)部分(例えば、放射性、比色、抗原または酵素分子、検出可能なビーズ(磁気または電子密度の高い(例えば、金)ビーズ)、または別の分子に結合する分子(例えば、ビオチンまたはストレプトアビジン))、治療または診断部分(例えば、放射性、細胞毒性、または薬学的に活性な部分)、または特定の用途に対する抗原結合タンパク質の適切性を高める分子(例えば、ヒト対象等の対象に対する投与、インビボまたはインビトロ用途におけるその他)を含むことができる。抗原結合タンパク質を誘導体化するために使用することができる分子の実施例には、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。抗原結合タンパク質のアルブミン結合およびPEG化誘導体は、該技術分野においてよく知られている技術を使用して調製することができる。所定の抗原結合タンパク質は、本明細書に記載されるPEG化単鎖ポリペプチドを含む。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、トランスサイレチン(TTR)またはTTR変異型に共役されるか、または他の方法で結合される。TTRまたはTTR変異型は、例えば、デキストラン、ポリ(n-ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、酸化ポリプロピレン/酸化エチレンコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリビニルアルコールから成る群から選択される化学物質により化学的に修飾することができる。
【0253】
他の誘導体は、例えば、CGRP R結合タンパク質のN末端またはC末端に融合される異種ポリペプチドを含む組み換え融合タンパク質の発現による、CGRP R結合タンパク質と、他のタンパク質またはポリペプチドとの共役または凝集結合を含む。例えば、共役ペプチドは、異種シグナル(またはリーダー)ポリペプチド、例えば、イーストα因子リーダー、またはエピトープタグ等のペプチドである。CGRP抗原結合タンパク質含有融合タンパク質は、CGRP R結合タンパク質(例えば、ポリHis)の精製または特定を促進するように追加されるペプチドを含むことができる。CGRP R結合タンパク質は、Hopp et al.,1988,Bio/Technology :1204、および米国特許第5,011,912号に記載されるようにFLAGペプチドに結合することもできる。FLAGペプチドは、抗原性が高く、特定のモノクローナル抗体(mAb)によって逆結合されるエピトープを提供して、発現した組み換えタンパク質の急速検定および簡易精製を可能にする。FLAGペプチドが所定のポリペプチドに融合される融合タンパク質を調製するために有用な試薬は、商業的に入手可能である(Sigma,St.Louis,MO)。
【0254】
1つまたは複数のCGRP R結合タンパク質を含むオリゴマーを、CRRP Rアンタゴニストとして用いることができる。オリゴマーは、共役結合または非共役結合二量体、三量体、またはより高次のオリゴマーの形態であってもよい。2つ以上のCGRP R結合タンパク質を含むオリゴマーは、ホモダイマーである一実施例との併用が意図される。他のオリゴマーは、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体等を含む。
【0255】
一実施形態は、CGRP R結合タンパク質に融合されるペプチド部分間の共役または非共役相互作用を介して結合される複数のCGRP R結合ポリペプチドを含むオリゴマーを対象とする。そのようなペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサ)またはオリゴマー化を促進する特性を有するペプチドであってもよい。抗体に由来するロイシンジッパーおよび所定のポリペプチドは、以下に詳述されるように、そこに付着されるCGRP R結合タンパク質のオリゴマー化を促進することができるペプチドである。
【0256】
特定の実施形態において、オリゴマーは、2~4個のCGRP R結合タンパク質を含む。オリゴマーのCGRP R結合タンパク質部分は、上述の形態、例えば、変異型または断片のうちのいずれかであり得る。好ましくは、オリゴマーは、CGRP R結合活性を有する、CGRP R結合タンパク質を含む。
【0257】
一実施形態において、オリゴマーは、免疫グロブリンに由来するポリペプチドを使用して調製される。抗体由来ポリペプチドの様々な部分(Fcドメインを含む)に融合される、ある種の異種ポリペプチドを含む融合タンパク質の調製は、例えば、Ashkenazi et al.,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535、Byrn et al.,1990,Nature 344:677、およびHollenbaugh et al.,1992 ″Construction of Immunoglobulin Fusion Proteins″,in Current Protocols in Immunology,Suppl.4,pages10.19.1-10.19.11.によって説明されている。
【0258】
一実施形態は、CGRP R結合タンパク質を抗体のFc領域に融合することによって形成される、2つの融合タンパク質を含む二量体を対象とする。二量体は、例えば、融合タンパク質をコード化する遺伝子融合を、適切な発現ベクターに挿入すること、組み換え発現ベクターにより形質転換された宿主細胞において遺伝子融合を発現させること、および発現された融合タンパク質を抗体分子のように組み立てさせることによって形成され得、そこで、鎖間ジスルフィド結合がFc部分の間に形成され、二量体を産生する。
【0259】
本明細書で使用する、「Fcポリペプチド」という用語は、抗体のFc領域に由来する天然および変異型のポリペプチドを含む。二量化を促進するヒンジ領域を含有する、そのようなポリペプチドの切断形態も含まれる。Fc部分を含む融合タンパク質(およびそこから形成されるオリゴマー)は、タンパク質Aおよびタンパク質Gカラムに渡る、親和性クロマトグラフィによる簡易精製の利点を提供する。
【0260】
PCT国際出願題WO93/10151号および米国特許第5,426,048号および第5,262,522号において説明される1つの適切なFcポリペプチドは、ヒトIgG1抗体のFc領域のN末端ヒンジ領域から天然C末端まで延在する単鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチドは、米国特許第5,457,035号およびBaum et al.,1994,EMBO J.13:3992-4001において記載されるFc突然変異タンパク質である。この突然変異タンパク質のアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに変更され、アミノ酸20がLeuからGluに変更され、アミノ酸22がGlyからAlaに変更されたことを除いて、国際公開第WO93/10151号において提示される天然Fc配列のそれと同一である。突然変異タンパク質は、Fc受容体に対して低い親和性を呈する。
【0261】
他の実施形態において、本明細書に開示されるようなCGRP R結合タンパク質の重鎖および/または軽鎖の可変領域は、抗体重鎖および/または軽鎖の可変部分と置換されてもよい。
【0262】
代替として、オリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサペプチド)を有し、または有さず、複数のCGRP R結合タンパク質を含む融合タンパク質である。適切なペプチドリンカーは、米国特許第4,751,180号および第4,935,233号に記載されるものである。
【0263】
オリゴマーCGRP R結合タンパク質誘導体を調製するための別の方法は、ロイシンジッパーの使用を伴う。ロイシンジッパードメインは、それらが見出されるタンパク質のオリゴマー化を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは、最初にいくつかのDNA結合タンパク質において同定され(Landschulz et al.,1988 Science 240:1759)、それ以来、多様な異なるタンパク質において見出されている。特に知られているロイシンジッパーは、自然発生するペプチドおよび二量化または三量化するその誘導体である。可溶性オリゴマータンパク質を生成するのに適したロイシンジッパードメインの実施例は、PCT出願第WO94/10308号において記載され、肺サーファクタントタンパク質D(SPD)に由来するロイシンジッパーは、Hoppe et al.,1994,FEBS Letters 344:191において説明され、参照することにより本明細書に組み込まれる。そこに融合される異種タンパク質の安定した三量化を可能にする、修飾ロイシンジッパーの使用は、Fanslow et al.,1994,Semin.Immunol.:267-278において説明される。1つのアプローチにおいて、ロイシンジッパーペプチドに融合されるCGRP R結合タンパク質断片または誘導体を含む、組み換え融合タンパク質は、適切な宿主細胞において発現され、形成する可溶性オリゴマーCGRP R結合タンパク質断片または誘導体は、培養上清から回復される。
【0264】
ある実施形態において、抗原結合タンパク質は、1pM、10pM、100pM、1nM、2nM、5nM、10nM、25nMまたは50nM未満のK(平衡結合親和性)を有する。
【0265】
別の態様は、インビトロまたはインビボで(例えば、ヒト対象に投与される場合)、少なくとも1日の半減期を有する抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、少なくとも3日の半減期を有する。別の実施形態において、抗体またはその部分は、4日以上の半減期を有する。別の実施形態において、抗体またはその部分は、8日以上の半減期を有する。別の実施形態において、抗体またはその抗原結合部分は、非誘導体化または非修飾抗体と比較して、長い半減期を有するように誘導体化または修飾される。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、点変異を含み、血清半減期を増加させ、例えば、参照することにより組み込まれる、2000年2月24日公開の国際公開第WO00/09560号において説明される。
【0266】
グリコシル化
抗原結合タンパク質は、天然種において見出されるものとは異なるか、または変更されたグリコシル化パターンを有し得る。該技術分野において知られるように、グリコシル化パターンは、タンパク質の配列(例えば、以下で論じられる、特定のグリコシル化アミノ酸残基の有無)、またはタンパク質が生成される宿主細胞または生物の両方に依存し得る。特定の発現系は、以下で論じられる。
【0267】
ポリペプチドのグリコシル化は、通常、N結合またはO結合のいずれかである。N結合は、アスパラギン残基の側鎖に対する炭水化物部分の付着を意味する。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-トレオニン(式中、Xはプロリンを除く任意のアミノ酸である)アスパラギン側鎖に対する炭水化物部分の酵素付着のための認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のうちのいずれかの存在が、潜在的なグリコシル化部位を形成する。O結合グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的なセリンまたはトレオニンに対する、糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシローズのうちの1つの付着を意味するが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリシンを使用してもよい。
【0268】
抗原結合タンパク質に対するグリコシル化部位の追加は、簡便に、上述のトリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含むように、アミノ酸配列を変更することによって達成される(N結合グリコシル化部位の場合)。変更は、開始配列に対する1つまたは複数のセリンまたはトレオニン残基の追加または置換によって形成されてもよい(O結合グリコシル化部位の場合)。容易にするために、抗原結合タンパク質アミノ酸配列は、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生成されるように、事前選択した塩基において、標的ポリペプチドをコード化するDNAを変異させることによるDNAレベルでの変化により変更されてもよい。
【0269】
抗原結合タンパク質の炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、タンパク質に対するグリコシドの化学または酵素結合による。これらの手段は、N結合およびO結合グリコシル化に対する、グリコシル化能力を有するタンパク質を宿主細胞において生成することを必要としないという利点がある。使用される結合モードに応じて、糖は、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)システイン等の遊離スルヒドリル基、(d)セリン、トレオニン、またはヒドロキシプロリン等の遊離ヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファン等の芳香族残基、または(f)グルタミンのアミド基に付着させることができる。これらの方法は、1987年9月11日に公開された国際公開第WO87/05330号、およびAplin and Wriston,1981,CRC Crit.Rev,Biochem.,pp.259-306において説明されている。
【0270】
開始抗原結合タンパク質上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的または酵素的に達成され得る。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン酸、または相当する化合物に対するタンパク質の曝露を必要とする。この処理は、結合する糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除いて、大部分またはすべての糖の開裂をもたらす一方で、ポリペプチドを無傷に保つ。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddin et al.,1987,Arch.Biochem.Biophys.259:52およびEdge et al.,1981,Anal.Biochem.118:131によって説明されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素開裂は、Thotakura et al.,1987,Meth.Enzymol.138:350によって説明されるように、多様な内因性および外因性グリコシダーゼを使用することによって達成することができる。潜在的グリコシル化部位におけるグリコシル化は、Duskin et al.,1982,J.Biol.Chem.257:3105によって説明されるように、化合物ツニカマイシンの使用によって回避され得る。ツニカマイシンは、タンパク質-N-グリコシド結合の形成を遮断する。
【0271】
したがって、態様は、抗原結合タンパク質のグリコシル化変異型を含み、そこではグリコシル化の数および/または種類が、親ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して変更されている。ある実施形態において、抗体タンパク質変異型は、天然抗体よりも多数または少数のN結合グリコシル化部位を含む。N結合グリコシル化部位は、Asn-X-SerまたはAsn-X-Thrの配列によって特徴付けられ、式中、Xとして指定されるアミノ酸残基は、プロリンを除く任意のアミノ酸残基であり得る。この配列を形成するためのアミノ酸残基の置換は、N結合炭水化物鎖の追加のための潜在的な新規部位を提供する。代替として、この配列を排除または変更する置換は、天然のポリペプチドに存在するN結合炭水化物鎖の追加を回避する。例えば、グリコシル化は、Asnを削除するか、またはAsnを異なるアミノ酸と置換することによって、低減させることができる。他の実施形態において、1つまたは複数の新規N結合部位が形成される。通常、抗体は、Fc領域にN結合グリコシル化部位を有する。
【0272】
標識およびエフェクタ基
一部の実施形態において、抗原結合は、1つまたは複数の標識を含む。「標識基」または「標識」という用語は、任意の検出可能な標識を意味する。適切な標識基の実施例には、以下の放射性アイソトープまたは放射性ヌクリド(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光基(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素基(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリンホスファターゼ)、化学発光基、ビオチニル群、または二次レポータにより認識される事前決定したポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、標識基は、様々な長さのスペーサアームを介して抗原結合タンパク質に結合され、潜在的な立体障害を低減する。タンパク質を標識するための様々な方法が、該技術分野において知られており、適合するとみなされるように使用することができる。
【0273】
用語「エフェクタ基」は、細胞毒性剤として作用する、抗原結合タンパク質に結合される任意の基を意味する。適切なエフェクタ群の実施例は、放射性アイソトープまたは放射性ヌクリド(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)である。他の適切な基には、毒素、治療薬基、または化学療法薬基が挙げられる。適切な基の実施例には、カリケアマイシン、アウリスタチン、ゲルダナマイシン、およびマイタンシンが挙げられる。一部の実施形態において、エフェクタ基は、様々な長さのスペーサアームを介して、抗原結合タンパク質に結合されて、潜在的な立体障害を低減する。
【0274】
一般に、標識は、それらが検出される検定に応じて、多様な群、すなわち、a)放射性または重同位体であり得る同位体標識、b)磁気標識(例えば、磁気粒子、c)レドックス活性部分、d)光学染色、酵素群(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリンホスファターゼ)、e)ビオチニル化群、およびf)二次レポータにより認識される事前決定したポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ等)に分類される。一部の実施形態において、標識基は、様々な長さのスペーサアームを介して、抗原結合タンパク質に結合されて、潜在的な立体障害を低減する。タンパク質を標識するための様々な方法は、該技術分野において知られている。
【0275】
特定の標識は、光学染色を含み、クロモフォア、ホスフォア、およびフルオロフォアが挙げられるが、これらに限定されず、後者は、多くの例において特異的である。フルオロフォアは、「小分子」フルオレ、またはタンパク性フルオレのいずれかであり得る。
【0276】
「蛍光標識」とは、その生来の蛍光特性を介して検出され得る任意の分子を意味する。適切な蛍光標識には、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、Malaciteグリーン、スチルベン、Lucifer Yellow、Cascade BlueJ、Texas Red、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、LC Red640、Cy5、Cy5.5、LC Red705、Oregon green、Alexa-Fluor染色(Alexa Fluor350、Alexa Fluor430、Alexa Fluor488、Alexa Fluor546、Alexa Fluor568、Alexa Fluor594、Alexa Fluor633、Alexa Fluor647、Alexa Fluor660、Alexa Fluor680)、Cascade Blue、Cascade YellowおよびR-フィコエリスリン(PE)(Molecular Probes,Eugene,OR)、FITC、ローダミン、およびTexas Red(Pierce,Rockford,IL)、Cy5、Cy5.5、Cy7(Amersham Life Science,Pittsburgh,PA)が挙げられるが、これらに限定されない。フルオロフォアを含む適切な光学染色は、MOLECULAR PROBES HANDBOOK by Richard P.Hauglandにおいて説明され、参照することにより本明細書に明示的に組み込まれる。
【0277】
適切なタンパク性蛍光標識には、GFPのRenilla、Ptilosarcus、またはAequorea種(Chalfie et al.,1994,Science 263:802-805)、EGFP(Clontech Labs.,Inc.,Genbank Accession Number U55762)、青色蛍光タンパク質(BFP,Quantum Biotechnologies,Inc.,Quebec,Canada、Stauber,1998,Biotechniques 24:462-471、Heim et al.,1996,Curr.Biol.:178-182)、強化黄色蛍光タンパク質(EYFP,Clontech Labs.,Inc.)、ルシフェラーゼ(Ichiki et al.,1993,J.Immunol.150:5408-5417)、βガラクトシダーゼ(Nolan et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2603-2607)およびRenilla(国際公開第WO92/15673号、第WO95/07463号、第WO98/14605号、第WO98/26277号、第WO99/49019号、米国特許第5292658号、第5418155号、第5683888号、第5741668号、第5777079号、第5804387号、第5874304号、第5876995号、第5925558号)も含まれるが、これらに限定されない。
【0278】
CGRP抗原結合タンパク質をコード化する核酸配列
本明細書に記載される抗原結合タンパク質をコード化する核酸、またはその部分も提供され、抗体の一方または両方の鎖をコード化する核酸、またはその断片、誘導体、変異体、または変型、重鎖可変領域またはCDRのみをコード化するポリヌクレオチド、ハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドを同定、分析、変異、または増幅させるためのPCRプライマまたは配列決定プライマ、ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸、および前述の相補配列を含む。核酸は、任意の長さであり得る。それらは、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1,000、1,500、またはそれ以上のヌクレオチド長であり得、および/または1つまたは複数の追加の配列、例えば、調節配列を含み得、および/または大きい核酸、例えば、ベクターの一部であり得る。核酸は、単鎖または二重鎖であり得、RNAおよび/またはDNAヌクレオチド、およびそれらの人工変異体(例えば、ペプチド核酸)を含むことができる。
【0279】
表7は、IgG2重鎖定常領域、κ軽鎖定常領域、およびλhCL-1軽鎖定常領域をコード化する典型的な核酸配列を示す。本明細書において提供される任意の可変領域は、これらの定常領域に付着されて、完全な重鎖および軽鎖配列を形成することができる。しかしながら、これらの定常領域配列は、単なる特定の実施例として提供されることを理解する必要があり、当業者は、IgG1重鎖定常領域、IgG3またはIgG4重鎖定常領域を含む他の定常領域、hCL-1、hCL-2、hCL-3およびhCL-7を含む7つのλ軽鎖定常領域のいずれも、および安定性、発現、製造可能性、または他の所望される特性を向上させるために修飾された定常領域を含んでもよい。いくつかの実施形態において、可変領域配列は、該技術分野において知られる他の定常領域配列に結合される。重鎖および軽鎖可変領域をコード化する典型的な核酸配列は、表8に提供される。
【0280】
【表7】
【0281】
表8は、重鎖および軽鎖可変領域をコード化する典型的な核酸配列を示し、様々なCDRL1、CDRL2およびCDRL3、またはCDRH1、CDRH2およびCDRH3配列が組み込まれる。
【0282】
【表8-1】
【0283】
【表8-2】
【0284】
【表8-3】
【0285】
【表8-4】
【0286】
【表8-5】
【0287】
【表8-6】
【0288】
【表8-7】
【0289】
【表8-8】
【0290】
表9は、完全な重鎖および軽鎖、ならびに、典型的な単離抗原結合タンパク質、特に、本明細書に開示されるhCGRP R結合タンパク質の重鎖および軽鎖可変領域をコード化する典型的な核酸配列の配列番号を示す。
【0291】
【表9-1】
【0292】
【表9-2】
【0293】
ある抗原結合タンパク質をコード化する核酸、またはその部分(例えば、全長抗体、重または軽鎖、可変ドメイン、またはCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、またはCDRL3)は、例えば、全長CGRP R(CRLRおよびRAMP1の両方を含む)、CGRP Rの細胞外ドメイン(CRLRおよびRAMP1の両方を含む)、CGRP Rの細胞外ドメイン(CRLRおよびRAMP1の細胞外ドメインを含む)、CGRP Rを発現する細胞全体、CGRP Rを発現する細胞から調製された膜、融合タンパク質、例えば、Fcに融合されたCRLR、RAMP1(またはその細胞外ドメイン)を含むFc融合、および例えば、本明細書における実施例1~3に記載されるような該技術分野において知られている他の方法で免疫付与することによって、CGRP Rで免疫付与されたマウスのB細胞、またはその免疫原性成分から単離することができる。核酸は、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)等の従来手順によって単離することができる。ファージディスプレイは、抗体の誘導体および他の抗原結合タンパク質を調製することができる、周知の技術の別の実施例である。1つのアプローチにおいて、関心対象の抗原結合タンパク質の成分であるポリペプチドが、任意の適切な組み換え発現系において発現され、発現されたポリペプチドを組み合わせて、抗原結合タンパク質分子を形成することができる。
【0294】
表7~9において提供される核酸は、単なる例証である。遺伝子コードの縮退に起因して、表2~5に列挙されるか、またはそうでなければ本明細書に表されるポリペプチド配列のそれぞれは、提供されるもの以外に、多数の他の核酸配列によってもコード化される。当業者であれば、本出願が、したがって、各抗原結合タンパク質をコード化する縮重ヌクレオチド配列に対する適切な記述および使用可能性を提供することを理解されたい。
【0295】
1つの態様は、特定のハイブリダイゼーション条件下で、他の核酸(例えば、表7、表8、表9および/または配列番号224~258において列挙されるヌクレオチド配列を含む核酸)に対してハイブリダイズする核酸をさらに提供する。核酸をハイブリダイズするための方法は、該技術分野においてよく知られている。例えば、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6を参照されたい。本明細書において定義される、中度に厳しいハイブリダイゼーション条件は、5x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)、約50%ホルムアミドのハイブリダイゼーション緩衝液、6xSSC、および55℃のハイブリダイゼーション温度を含有する事前洗浄液(または他の同様のハイブリダイゼーション溶液、例えば、約50%のホルムアミドを含有するもの、42℃のハイブリダイゼーション温度)および60℃、0.5x SSC、0.1% SDSの洗浄条件を使用する。厳しいハイブリダイゼーション条件は、6x SSC中45℃でハイブリダイズし、続いて、0.1xSSC、0.2% SDS中68℃で1回または複数回洗浄する。さらに、当業者は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を操作して、ハイブリダイゼーションの厳密性を増減させて、相互に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸が、通常、相互にハイブリダイズされた状態であるようにすることができる。
【0296】
適切な条件を設定するためのハイブリダイゼーション条件およびガイダンスの選択に影響する基本パラメータは、例えば、Sambrook,Fritsch,and Maniatis(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,上記、およびCurrent Protocols in Molecular Biology,1995,Ausubel et al.,eds.,John Wiley & Sons,Inc.,2.10および6.3-6.4節)によって説明され、例えば、核酸の長さおよび/または塩基組成物に基づいて、当業者によって容易に決定され得る。
【0297】
核酸への変異によって変化を導入することができ、それによって、それがコード化するポリペプチドのアミノ酸配列(例えば、抗体または抗体誘導体)の変化をもたらす。変異は、当該技術分野において知られている任意の技術を使用して導入することができる。一実施形態において、1つまたは複数の特定のアミノ酸残基は、例えば、部位特異的な突然変異誘発プロトコルを使用して変えられる。別の実施形態において、1つまたは複数のランダムに選択された残基が、例えば、ランダム突然変異誘発プロトコルを使用して変えられる。どのように生成されても、変異ポリペプチドを発現させ、所望の特性についてスクリーニングすることができる。
【0298】
変異は、それがコード化するポリペプチドの生物活性を有意に変更することなく、核酸に導入することができる。例えば、ヌクレオチド置換を行って、非必須アミノ酸残基においてアミノ酸置換をもたらすことができる。代替として、1つまたは複数の変異は、それがコード化するポリペプチドの生物活性を選択的に変更する核酸に導入させることができる。例えば、変異は、量的または質的に生物活性を変えることができる。量的変化の実施例には、活性を増加、低減、または排除することが挙げられる。質的変化の実施例には、抗体の抗原特異性を変えることを含む。一実施形態において、本明細書に記載される任意の抗原結合タンパク質をコードする核酸を変異させて、当該技術分野において十分に確立された分子生物学的技術を使用して、アミノ酸配列を変更することができる。
【0299】
別の態様は、核酸配列の検出のためのプライマまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに適した核酸分子を提供する。核酸分子は、全長ポリペプチドをコード化する核酸配列の一部のみ、例えば、プローブまたはプライマとして使用することができる断片またはポリペプチドの活性部分(例えば、CGRP R結合部分)をコード化する断片を含むことができる。
【0300】
核酸の配列に基づくプローブを使用して、核酸または同様の核酸、例えば、ポリペプチドをコード化する転写を検出することができる。プローブは、標識基、例えば、放射性アイソトープ、蛍光化合物、酵素、または酵素共因子を含むことができる。そのようなプローブを使用して、ポリペプチドを発現する細胞を特定することができる。
【0301】
別の態様は、ポリペプチドまたはその部分(例えば、1つまたは複数のCDRを含有する断片、または1つまたは複数の可変領域ドメイン)をコード化する核酸を含む、ベクターを提供する。ベクターの実施例には、プラスミド、バイアルベクター、非エピソーム哺乳類ベクター、および発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。組み換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適した形態で核酸を含むことができる。組み換え発現ベクターは、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択され、発現される核酸配列に操作可能に結合される、1つまたは複数の調節配列を含む。調節配列は、多くの種類の宿主細胞において、ヌクレオチド配列の構成的発現を指示するもの(例えば、SV40早期遺伝子エンハンサ、ラウス肉腫ウイルスプロモータおよびサイトメガロウイルスプロモータ)、ある種の宿主細胞において、ヌクレオチド配列の発現のみを指示するもの(例えば、組織特異的調節配列、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Voss et al.,1986,Trends Biochem.Sci.11:287,Maniatis et al.,1987,Science 236:1237)、および特定の治療または状態に応答してヌクレオチド配列の誘導発現を指示するもの(例えば、哺乳類細胞におけるメタロチオニンプロモータ、および原核および真核系の両方におけるtet応答性および/またはストレプトマイシン応答性プロモータ(同文献を参照)を含む)。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞、所望されるタンパク質の発現レベル等、そのような因子に依存し得ることは、当業者によって理解されるであろう。発現ベクターは、宿主細胞に導入することができ、それによって本明細書に記載されるような核酸によってコード化される、融合タンパク質またはペプチドを含むタンパク質またはペプチドを生成する。
【0302】
別の態様は、組み換え発現ベクターが導入された宿主細胞を提供する。宿主細胞は、任意の原核細胞(例えば、大腸菌)または真核細胞(例えば、イースト菌、昆虫、または哺乳類細胞(例えば、CHO細胞))であり得る。ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術を介して、原核または真核細胞に導入することができる。哺乳類細胞の安定したトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、細胞の小断片のみが、外来DNAをそれらのゲノムに統合し得ることが知られている。これらの成分を同定および選択するために、(例えば、抗生物質に対する耐性に対する)選択可能マーカーをコード化する遺伝子は、一般に、関心対象の遺伝子に沿って、宿主細胞に導入される。好適な選択可能マーカーには、G418、ヒグロマイシン、およびメトトレキセート等の薬物に対する耐性を付与するものが挙げられる。導入された核酸によって安定してトランスフェクトされる細胞は、他の方法の中でも、薬物選択によって特定することができる(例えば、選択可能マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存するが、他の細胞は死滅する)。
【0303】
抗原結合タンパク質の調製
提供される非ヒト抗体は、例えば、任意の抗体生成動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ロバ、または非ヒト霊長類(例えば、サル(例えば、カニクイザルまたは赤毛サル)または類人猿(例えば、チンパンジー)に由来し得る。非ヒト抗体は、例えば、インビトロ細胞培養および細胞培養ベースの適用、または抗体への免疫反応が起こらないか、または有意でない、回避できる、関心事でないか、または所望される任意の他の適用において使用することができる。ある実施形態において、抗体は、上述のように、および/または以下の実施例1~3において記載されるように、該技術分野において知られている方法を使用して、動物に免疫付与することによって生成することができる。それらの実施例は、3つの異なる免疫原調製-(i)CGRP R-RAMP1およびCRLRの2つの主要成分の全長版を発現する全体細胞、(ii)そのような細胞からの膜抽出物、および(iii)CRLRおよびRAMP1のN末端細胞外ドメインを共発現および精製することによって得られる可溶性CGRP Rを使用して、抗CGRP R抗体の生成について説明する。抗体は、ポリクローナル、モノクローナルであり得、または組み換えDNAを発現することによって宿主細胞において合成され得る。完全ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン位を含有する形質転換動物に免疫付与するか、または一連のヒト抗体を発現しているファージ表示ライブラリを選択することによって、上述のように調製することができる。
【0304】
モノクローナル抗体(mAb)は、従来のモノクローナル抗体方法、例えば、Kohler and Milstein,1975,Nature 256:495の標準体細胞ハイブリダイゼーション技術を含む、多様な技術によって生成することができる。代替として、モノクローナル抗体を生成するための他の技術、例えば、Bリンパ球のウイルス性または発癌性形質転換を用いることができる。ハイブリドーマを調製するために適した動物系の1つは、マウス系であり、非常に良く確立された手順である。免疫付与プロトコルおよび融合用の免疫付与した脾細胞の単離技術は、該技術分野において知られており、例示的アプローチを、以下の実施例において記載する。そのような手順の場合、免疫付与されたマウスからのB細胞が、通常、適切な不死化融合パートナー、例えば、マウス骨髄腫細胞株と融合される。所望される場合、ラットまたはその他の哺乳類を、マウスの代わりに免疫付与することができ、そのような動物からのB細胞を、マウス骨髄腫細胞株と融合して、ハイブリドーマを形成することができる。代替として、マウス以外の源からの骨髄腫細胞株を使用してもよい。ハイブリドーマを形成するための融合手順もよく知られている。
【0305】
提供される単鎖抗体は、重鎖および軽鎖可変領域(Fv領域)断片を、アミノ酸架橋(短いペプチドリンカー)を介して結合することによって形成されてもよく、単一のポリペプチド鎖をもたらす。そのような単鎖Fv(scFv)は、2つの可変ドメインポリペプチド(VおよびV)をコード化するDNA間でペプチドリンカーをコード化するDNAを融合することによって調製されてもよい。得られるポリペプチドは、折り畳み返して抗原結合モノマーを形成することができるか、または2つの可変ドメイン間の可撓性リンカーの長さに応じて、多量体(例えば、二量体、三量体、または四量体)を形成することができる(Kortt et al.,1997,Prot.Eng.10:423、Kortt et al.,2001,Biomol.Eng.18:95-108)。ポリペプチドを含む異なるVおよびVを組み合わせることによって、異なるエピトープに結合する多量体scFvを形成することができる(Kriangkum et al.,2001,Biomol.Eng.18:31-40)。単鎖抗体の生成のために開発された技術は、米国特許第4,946,778号、Bird,1988,Science 242:423、Huston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:5879、Ward et al.,1989,Nature 334:544,de Graaf et al.,2002,Methods Mol Biol.178:379-387において説明されるものが挙げられる。本明細書において提供される抗体に由来する単鎖抗体には、表3に表される重鎖および軽鎖可変領域の組み合わせを含むscFv、または表4Aおよび4Bに表されるCDRを含む、軽および重鎖可変領域ドメインの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0306】
1つのサブクラスである本明細書において提供される抗体は、サブクラス交換方法を使用して、異なるサブクラスから抗体に変更することができる。したがって、IgG抗体は、例えば、IgM抗体から得ることができ、その逆も同様であり得る。そのような技術は、所与の抗体(親抗体)の抗原結合特性を有するが、親抗体とは異なる抗体アイソタイプまたはサブクラスに伴う生物学的特性も呈する、新しい抗体の調製を可能にする。組み換えDNA技術を用いてもよい。特定の抗体ポリペプチドをコード化するクローニングDNA、例えば、所望のアイソタイプの抗体の定常ドメインをコード化するDNAを、そのような手順に用いてもよい。例えば、Lantto et al.,2002,Methods Mol.Biol.178:303-316。
【0307】
したがって、提供される抗体は、例えば、上述の可変ドメインの組み合わせを含み、所望のアイソタイプ(例えば、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、およびIgD)ならびにそのFabまたはF(ab’)断片を含むものを含むものを含む。さらに、IgG4が所望される場合、Bloom et al.,1997,Protein Science :407,本明細書において参照することにより組み込まれる)に記載されるように、ヒンジ領域において、点変異(CPSCP→CPPCP)を導入して、IgG4抗体における不均質性に至り得る、H鎖内ジスルフィド結合を形成する傾向を軽減させることも所望され得る。
【0308】
さらに、異なる特性を有する抗体を得る(すなわち、それらが結合する抗原の親和性を変える)ための技術も知られている。鎖シャッフリングと称されるそのような技術の一つは、ファージ提示法と称される場合が多い、糸状バクテリオファージの表面に、免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーを表示することを伴う。鎖シャッフリングは、Marks et al.,1992,Bio Technology 10:779によって記載されるように、ハプテン2-フェニルオキサゾール-5-oneに対する高親和性抗体を調製するように使用されている。
【0309】
保存修飾を、表3に記載される重鎖および軽鎖可変領域、または表4Aおよび4Bに記載されるCDRに対して(およびコード化する核酸に対応する修飾)行って、所定の所望される機能的および生化学的特徴を有するCGRP R結合タンパク質を生成することができる。そのような修飾を達成するための方法は、上に記載される。
【0310】
CGRP抗原結合タンパク質は、様々な方法でさらに修飾され得る。例えば、治療目的で使用される場合、血清半減期を延長するか、またはタンパク質送達を強化するように、ポリエチレングリコールと共役(ペギル化)されてもよい。代替として、対象の抗体またはその断片のV領域は、異なる抗体分子のFc領域と融合されてもよい。この目的で使用されるFc領域は、相補体と結合しないように修飾されてもよく、したがって、融合タンパク質が治療薬剤として使用される場合、患者において細胞融解を誘発する可能性を低減する。さらに、対象の抗体またはその機能的断片は、抗体またはその抗原結合断片を強化するように、ヒト血清アルブミンと共役されてもよい。抗原結合タンパク質またはその断片の別の有用な融合パートナーは、トランスサイレチン(TTR)である。TTRは、テトラマーを形成する能力を有し、したがって、抗体-TTR融合タンパク質は、その結合親和力を増加させ得る多価抗体を形成することができる。
【0311】
代替として、本明細書に記載される抗原結合タンパク質の機能的および/または生化学的特徴における大幅な修飾は、(a)置換の領域における分子骨格の構造、例えば、シートまたはらせん構造、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖のかさ高性を維持することに対するそれらの影響が有意に異なる、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列の置換を形成することによって達成され得る。「保存アミノ酸置換」は、その位置におけるアミノ酸残基の極性または電荷にほとんど影響しないか、またはまったく影響しない非天然残基による天然アミノ酸残基の置換を含み得る。上記の表4を参照されたい。さらに、ポリペプチドにおけるいかなる天然残基も、アラニンと置換されてもよく、それはアラニン走査変異に関して前述されるとおりである。
【0312】
対象抗体のアミノ酸置換(保存的または非保存的にかかわらず)は、ルーチン技術を適用することによって、当業者により実現され得る。アミノ酸置換を使用して、本明細書に提供される抗体の重要な残基を同定するか、またはヒトCGRP Rに対するこれらの抗体の親和性を増減させるか、または本明細書に記載される他の抗原結合タンパク質の結合親和性を改変することができる。
【0313】
抗原結合タンパク質を発現する方法
上述のような少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、プラスミド、発現ベクター、転写または発現カセットの形態の発現系および構造物、ならびにそのような発現系および構造物を含む宿主細胞も、本明細書において提供される。
【0314】
本明細書において提供される抗原結合タンパク質は、多数の従来技術のうちのいずれかによって調製され得る。例えば、CGRP R抗原結合タンパク質は、該技術分野において知られている任意の技術を使用して、組み換え発現系により生成することができる。例えば、Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Kennet et al.(eds.)Plenum Press,New York(1980)、およびAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Lane(eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1988)を参照されたい。
【0315】
抗原結合タンパク質は、ハイブリドーマ細胞株(例えば、特に抗体は、ハイブリドーマにおいて発現し得る)またはハイブリドーマ以外の細胞株において発現することができる。抗体をコード化する発現コンストラクトを使用して、哺乳類、昆虫、または微生物宿主細胞を形質転換させることができる。形質転換は、ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための任意の知られている方法を使用して行うことができ、米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号、第4,959,455号により例証されるように、例えば、ポリヌクレオチドをウイルスまたはバクテリオファージにおいて包装すること、および該技術分野において知られているトランスフェクション手順により宿主細胞をコンストラクトにより形質導入することを含む。使用される最適な形質転換手順は、どの種類の宿主細胞が形質転換されているかに依存する。異種ポリヌクレオチドを哺乳類細胞に導入するための方法は、該技術分野においてよく知られており、デキストラン媒介性トランスフェクション、カルシウムリン酸沈降、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔、リポソーム中のポリヌクレオチドのカプセル化、核酸と正荷電脂質との混合、および核へのDNAの直接微小注入が挙げられるが、これらに限定されない。
【0316】
組み換え発現コンストラクトは、通常、本明細書において提供される1つまたは複数のCDR、軽鎖定常領域、軽鎖可変領域、重鎖定常領域(例えば、C1、C2および/またはC3)、および/またはCGRP R抗原結合タンパク質の別の足場部分のうちの1つまたは複数を含む、ポリペプチドをコード化する核酸分子を含む。これらの核酸配列は、標準結紮技術を使用して、適切な発現ベクターに挿入される。一実施形態において、重または軽鎖定常領域は、抗CGRP R特異的重または軽鎖可変領域のC末端に付加され、発現ベクターに共役される。ベクターは、通常、用いられる特定の宿主細胞において機能的となるように選択される(すなわち、ベクターは、宿主細胞機構と適合性があり、遺伝子の増幅および/または発現が起こり得るようにする)。一部の実施形態において、ジヒドロ葉酸還元酵素等のタンパク質レポータを使用する、タンパク質断片相補性検定を用いる、ベクターが使用される(例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第6,270,964号を参照)。適切な発現ベクターは、例えば、Invitrogen Life TechnologiesまたはBD Biosciences(前「Clontech」)から購入することができる。抗体および断片をクローニングおよび発現するための他の有用なベクターは、参照することにより本明細書に組み込まれる、Bianchi and McGrew,2003,Biotech.Biotechnol.Bioeng.84:439-44に記載されるものを含む。追加の適切な発現ベクターは、例えば、Methods Enzymol.,vol.185(D.V.Goeddel,ed.),1990,New York:Academic Pressにおいて論じられる。
【0317】
通常、宿主細胞のうちのいずれかに使用される発現ベクターは、プラスミド維持および外因性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を含む。ある実施形態において、集合的に「フランキング配列」と称されるそのような配列は、通常、プロモータ、1つまたは複数のエンハンサ、複製の起源、転写終結配列、ドナーおよびアクセプタスプライス部位を含む完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコード化する配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるポリペプチドをコード化する核酸を挿入するためのポリリンカー領域、および選択可能なマーカー要素のうちの1つまたは複数のヌクレオチド配列を含む。これらの配列のそれぞれは、以下に論じられる。
【0318】
任意で、ベクターは、「タグ」コード化配列、すなわち、CGRP R結合タンパク質コード化配列の5’または3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含んでもよく、オリゴヌクレオチド配列は、ポリHis(例えば、ヘキサHis)、または別の「タグ」、例えば、FLAG(登録商標)、HA(ヘマグルチニンインフルエンザウイルス)、またはmycをコード化し、それらには市販の抗体が存在する。このタグは、通常、ポリペプチドの発現時にポリペプチドに融合され、宿主細胞からCGRP R結合タンパク質の親和精製または検出のための手段として機能することができる。親和精製は、例えば、親和性マトリクスとして、タグに対する抗体を使用し、カラムクロマトグラフィによって達成することができる。任意で、タグは、後に開裂のための所定のペプチダーゼを使用する等、様々な手段によって、精製されたCGRP R結合タンパク質から除去することができる。
【0319】
フランキング配列は、同種(すなわち、宿主細胞と同一種および/または株から)、異種(すなわち、宿主細胞種または株以外の種から)、ハイブリッド(すなわち、複数の源からのフランキング配列の組み合わせ)、合成または天然であり得る。したがって、フランキング配列の源は、フランキング配列が、宿主細胞機構において機能的であり、それによって活性化され得る限り、任意の原核または真核生物、任意の脊椎または無脊椎生物、あるいは任意の植物であってもよい。
【0320】
ベクターにおいて有用なフランキング配列は、該技術分野においてよく知られているいくつかの方法のうちのいずれかによって得ることができる。通常、本明細書において有用なフランキング配列は、マッピングおよび/または制限エンドヌクレアーゼ消化によって既に同定されているため、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して、適切な組織源から単離することができる。いくつかの例において、フランキング配列の完全ヌクレオチド配列が知られている場合がある。ここで、フランキング配列は、核酸合成またはクローニングのための、本明細書に記載される方法を使用して合成され得る。
【0321】
フランキング配列のすべてまたは一部のみが知られている場合、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)を使用して、および/または同一または別の種からのオリゴヌクレオチドおよび/またはフランキング配列断片等の適切なプローブにより、ゲノムライブラリをスクリーニングすることによって得ることができる。フランキング配列が知られていない場合、フランキング配列を含むDNAの断片を、例えば、コーディング配列または別の1つまたは複数の遺伝子をも含み得るDNAの大きい断片から単離することができる。単離は、制限エンドヌクレアーゼ消化によって適切なDNA断片を生成した後、アガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィ(Chatsworth,CA)、または熟練者に知られている他の方法を使用して単離することにより達成され得る。この目的を達成するために適切な酵素の選択は、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0322】
複製の起源は、通常、商業的に購入された原核発現ベクターの一部であり、起源は、宿主細胞におけるベクターの増幅を助ける。選択したベクターが、複製部位の起源を含まない場合は、既知の配列に基づいて化学的に合成し、ベクターに共役させてもよい。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs,MA)からの複製の起源は、大部分のグラム陰性菌に適切であり、様々なウイルス起源(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、またはHPVまたはBPV等のパピローマウイルス)は、哺乳類細胞においてベクターをクローニングするために有用である。一般に、複製成分の起源は、哺乳類発現ベクターに必要ではない(例えば、SV40起源が、ウイルス早期プロモータも含むという理由だけで使用される場合が多い)。
【0323】
転写終結配列は、通常、ポリペプチドコーディング領域の3’~末端に位置し、転写を終結させる。通常、原核細胞における転写終結配列は、G-Cを多く含む断片であり、ポリT配列が続く。配列は、ライブラリから容易にクローン化されるか、ベクターの一部として商業的に購入することもできるが、本明細書に記載されるもの等の核酸合成の方法を使用して、容易に合成することもできる。
【0324】
選択可能なマーカー遺伝子は、選択的培地において成長される宿主細胞の生存および成長に必須のタンパク質をコード化する。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)原核宿主細胞に対して、抗生物質または他の毒素、例えば、アンピリシン、テトラシクリン、またはカナマイシンに対する耐性を付与するか、(b)細胞の栄養要求性欠陥を相補するか、または(c)複合体または定義された培地から得られない重要な栄養素を補給する、タンパク質をコード化する。具体的な選択可能なマーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピリシン耐性遺伝子、およびテトラシクリン耐性遺伝子である。有利に、ネオマイシン耐性遺伝子は、原核および真核宿主細胞の両方における選択に使用することができる。
【0325】
他の選択可能な遺伝子を、発現される遺伝子を増幅するように使用することができる。増幅は、成長または細胞生存に不可欠なタンパク質の生成に必要とされる遺伝子が、組み換え細胞の連続世代のクロモソーム内で並んで繰り返される、過程である。哺乳類細胞に適切な選択可能マーカーの実施例には、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)およびプロモータレスチミジンキナーゼ遺伝子が挙げられる。哺乳類細胞形質転換細胞は、選択圧力下に置かれ、形質転換細胞のみが固有に適合されて、ベクターに存在する選択可能遺伝子によって生存する。選択圧力は、培地中の選択薬剤の濃度が漸増する条件下で、形質転換された細胞を培養することによって印加され、それによって、選択可能遺伝子および別の遺伝子をコード化するDNA、例えば、CGRP Rに結合する抗原結合タンパク質の両方の増幅をもたらす。結果として、増量したポリペプチド、例えば、抗原結合タンパク質が、増幅したDNAから合成される。
【0326】
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、Shine-Dalgarno(原核)またはKozak配列(真核)によって特徴付けられる。要素は、通常、発現されるポリペプチドのプロモータに対して3’およびコーディング配列に対して5’に位置する。
【0327】
真核宿主細胞の発現系においてグリコシル化が所望される場合等の、いくつかの例において、様々なプレまたはプロ配列を操作して、グリコシル化または収率を向上させることができる。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ開裂部位を変更するか、またはグリコシル化にも影響し得るプロ配列を添加してもよい。最終タンパク質性生物は、(成熟タンパク質の第1アミノ酸に対する)-1位において、発現から起こる1つまたは複数の追加アミノ酸を有し得、完全に除去されていない場合がある。例えば、最終タンパク質生成物は、ペプチダーゼ開裂部位において認められ、アミノ末端に付着する、1つまたは2つのアミノ酸残基を有し得る。代替として、一部の酵素開裂部位の使用は、成熟ポリペプチド内のそのような領域において酵素が切断される場合、所望のポリペプチドのわずかに切断された形態をもたらし得る。
【0328】
発現およびクローニングは、通常、宿主生物によって認識され、CGRP R結合タンパク質をコード化する分子に操作可能に結合されるプロモータを含む。プロモータは、構造遺伝子の転写を制御する構造遺伝子(一般に、約100~1000bp)の開始コドンに対して上流(すなわち、5’)に位置する未転写配列である。プロモータは、慣行として、2つの群、誘導プロモータおよび構成的プロモータのうちの1つに分類される。誘導プロモータは、培養条件の一部変更、例えば、栄養素の有無または温度の変化に応答して、それらの制御下で、増加したレベルの転写をDNAから開始する。一方、構成的プロモータは、それらが操作可能に結合される遺伝子を均一に転写する、すなわち、遺伝子発現に対する制御がほとんどまたはまったくない。多様な潜在的宿主細胞により認識される、多数のプロモータがよく知られている。適切なプロモータは、制限酵素消化によりソースDNAからプロモータを除去し、所望のプロモータ配列をベクターに挿入することによって、CGRP R結合タンパク質を含む、DNAコード化重鎖または軽鎖に操作可能に結合される。
【0329】
イースト菌宿主細胞と併用するために適したプロモータも、該技術分野においてよく知られている。イーストエンハンサは、イーストプロモータと有利に併用される。哺乳類宿主細胞と併用するために適したプロモータは、よく知られており、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、およびシミアンウイルス40(SV40)等のウイルスのゲノムから得られるものが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な哺乳類プロモータには、例えば、熱衝撃プロモータおよびアクチンプロモータ等の異種哺乳類プロモータが挙げられる。
【0330】
関心対象となり得る追加のプロモータには、SV40早期プロモータ(Benoist and Chambon,1981,Nature 290:304-310)、CMVプロモータ(Thornsen et al.,1984,Proc.Natl.Acad.U.S.A.81:659-663)、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端リピートに含まれるプロモータ(Yamamoto et al.,1980,Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモータ(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A78:1444-1445)、メタロチオニン遺伝子からのプロモータおよび調節配列(Prinster et al.,1982,Nature 296:39-42)、およびβラクタマーゼプロモータ等の原核生物プロモータ(Villa-Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727-3731)、またはtacプロモータ(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21-25)が挙げられるが、これらに限定されない。組織特異性を呈し、トランスジェニック動物において利用されている、以下の動物転写制御領域も関心対象となり得る。膵臓細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell 38:639-646、Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399-409、MacDonald,1987,Hepatology :425-515)、膵臓β細胞において活性であるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115-122)、リンパ細胞において活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647-658、Adames et al.,1985,Nature 318:533-538、Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.:1436-1444)、睾丸、乳房、リンパ細胞およびマスト細胞において活性であるマウス哺乳類腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485-495)、肝臓において活性であるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.:268-276)、肝臓において活性であるα-フェトタンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.:1639-1648、Hammer et al.,1987,Science 253:53-58)、肝臓において活性であるα1-アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.:161-171)、骨髄性細胞において活性であるβグロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature 315:338-340、Kollias et al.,1986,Cell 46:89-94)、脳のオリゴ樹状細胞において活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987,Cell 48:703-712)、骨格筋において活性であるミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283-286)、および副甲状腺において活性である性腺刺激ホルモン放出遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science 234:1372-1378)。
【0331】
エンハンサ配列をベクターに挿入して、高等真核生物による、ヒトCGRP R結合タンパク質を含むDNAコード化軽鎖または重鎖の転写を増加させてもよい。エンハンサは、DNAのcis作用要素であり、通常、長さが約10~300bpであって、プロモータに作用して転写を増加させる。エンハンサは、配向および位置に関して比較的独立であり、転写単位に対する5’および3’の両方の位置において認められている。哺乳類遺伝子から入手可能ないくつかのエンハンサ配列が知られている(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェト-タンパク質およびインスリン)。しかしながら、通常、ウイルスからのエンハンサが使用される。該技術分野において知られているSV40エンハンサ、サイトメガロウイルス早期プロモータエンハンサ、ポリオーマエンハンサ、およびアデノウイルスエンハンサは、真核生物プロモータの活性のための典型的な強化要素である。エンハンサは、ベクターにおいてコーディング配列に対して5’または3’に位置し得るが、通常、プロモータから5’の部位に位置する。適切な天然または異種シグナル配列をコード化する配列(リーダー配列またはシグナルペプチド)は、発現ベクターに組み込まれて、抗体の細胞外分泌を促進することができる。シグナルペプチドまたはリーダーの選択は、抗体が生成される宿主細胞の種類に依存し、異種シグナル配列が、天然シグナル配列を置換することができる。哺乳類宿主細胞において機能的なシグナルペプチドの実施例には、米国特許第4,965,195号に記載されるインターロイキン-7(IL-7)のシグナル配列、Cosman et al.,1984,Nature 312:768に記載されるインターロイキン-2受容体のシグナル配列、欧州特許第0367566号に記載されるインターロイキン-4受容体シグナルペプチド、米国特許第4,968,607号に記載されるI型インターロイキン-1受容体シグナルペプチド、欧州特許第0460846号に記載されるII型インターロイキン-1受容体シグナルペプチドが挙げられる。
【0332】
提供される発現ベクターは、市販のベクター等の開始ベクターから構築されてもよい。そのようなベクターは、所望のフランキング配列のすべてを含んでも、含まなくてもよい。本明細書に記載される1つまたは複数のフランキング配列がベクター中に既存しない場合、それらは、個別に取得しベクター中に結紮してもよい。フランキング配列のそれぞれを得るために使用される方法は、当業者によく知られている。
【0333】
ベクターが構成され、核酸分子コード軽鎖、重鎖、またはCGRP R抗原結合配列を含む軽鎖および重鎖が、ベクターの特定部位に挿入された後、増幅および/またはポリペプチド発現のために、完全なベクターを適切な宿主細胞に挿入することができる。抗原結合タンパク質の発現ベクターの、選択された宿主細胞への変換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈降、電気穿孔、微量注入、リポフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、または他の知られている技術を含む、よく知られている方法によって達成され得る。選択される方法は、部分的に使用される宿主細胞の種類の関数となり得る。これらの方法および他の適切な方法は、当業者によく知られており、例えば、上記のSambrook et al.,2001に説明されている。
【0334】
宿主細胞は、適切な条件下で培養されると、抗原結合タンパク質を合成し、それを続いて、培地から(宿主細胞が培地に分泌する場合)またはそれを生成する宿主細胞から直接(分泌しない場合)、収集することができる。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性に望ましいか、または必要であり、生物活性分子への折り畳みが容易なポリペプチド修飾(例えば、グリコシル化またはホスホリル化)、および様々な要因に依存する。
【0335】
発現の宿主細胞として使用可能な哺乳類細胞株は、該技術分野においてよく知られており、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、幼ハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、および多数の他の細胞株を含むが、これらに限定されない、アメリカンタイプカルチャーコレクションから入手可能な不死細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、細胞株は、どの細胞株が高い発現レベルを有し、CGRP R結合特性を有する抗原結合タンパク質を構造的に産生するかを決定することによって選択することができる。別の実施形態において、その独自の抗体を形成しないが、異種抗体を形成および分泌する能力を有するB細胞系からの細胞株を選択することができる。
【0336】
診断および治療目的でのヒトCGRP抗原結合タンパク質の使用
抗原結合タンパク質は、生物試料中のCGRP Rを検出し、CGRP Rを生成する細胞または組織の特定に有用である。例えば、CGRP R抗原結合タンパク質は、診断分析、例えば、組織または細胞中で発現したCGRP Rを検出および/または定量するための結合分析において使用することができる。CGRP Rに特異的に結合する抗原結合タンパク質は、必要とする患者において、CGRP Rに関連する疾患の治療に使用することもできる。さらに、CGRP R抗原結合タンパク質を使用して、そのリガンドCGRPと複合体を形成するのを阻害し、それによって、細胞または組織におけるCGRP Rの生物活性を調節することができる。調整され得る活性の実施例には、血管拡張の阻害および/または神経性炎症が挙げられるが、これらに限定されない。CGRP Rに結合する抗原結合タンパク質は、したがって、他の結合化合物との相互作用を調整および/または遮断することができ、そのようにして、CGRP Rに関連する疾患を緩和する際の治療用途を有し得る。
【0337】
適応症
ヒトCGRP Rに関連する疾患または状態には、患者において、CGRP RとそのリガンドCGRPの相互作用によって少なくとも部分的に発症する、任意の疾患または状態を含む。疾患または状態の重度も、CGRP RとCGRPの相互作用によって増減し得る。本明細書に記載される抗原結合タンパク質によって治療され得る疾患および状態の実施例には、頭痛、例えば、群発頭痛、片頭痛による頭の痛みを含む偏頭痛、慢性疼痛、II型糖尿病、炎症、例えば、神経性炎症、心血管疾患、および内毒素血および敗血症に伴う血行動態異常が挙げられる。
【0338】
特に、本明細書に記載される抗原結合タンパク質は、片頭痛を治療するために、片頭痛発作が開始した後に始まる急性治療として、および/または例えば、1日1回、週1回、隔週、月1回、隔月、隔年等に投与される、例えば、片頭痛発作に関連付けられる疼痛症状等の症状の頻度および/または重度を予防または低減するために、予防的処置としてのいずれかで使用することができる。
【0339】
診断方法
本明細書に記載される抗原結合タンパク質は、CGRP Rと関連付けられる疾患および/または状態を検出、診断、または監視する診断目的で使用することができる。当業者に知られている標準的な免疫組織学的方法を使用して、試料中のCGRP Rの存在を検出するための方法も提供される(例えば、Tijssen,1993,Practice and Theory of Enzyme Immunoassays,Vol 15(Eds R.H.Burdon and P.H.van Knippenberg,Elsevier,Amsterdam)、Zola,1987,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147-158(CRC Press,Inc.)、Jalkanen et al.,1985,J.Cell.Biol.101:976-985、Jalkanen et al.,1987,J.Cell Biol.105:3087-3096を参照)。CGRP Rの検出は、インビボまたはインビトロで行うことができる。
【0340】
本明細書に提供される診断的適用は、CGRP Rの発現およびCGRP Rへのリガンドの結合を検出するための抗原結合タンパク質の使用を含む。CGRP Rの存在の検出に有用な方法の実施例には、酵素結合免疫吸着法(ELISA)および放射免疫測定(RIA)等の免疫測定が挙げられる。
【0341】
診断的適用の場合、抗原結合タンパク質は、通常、検出可能な標識基により標識される。適切な標識基には、以下の放射性同位体または放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光群(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素群(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリンホスファターゼ)、化学発光群、ビオチニル群、または二次レポータにより認識される事前決定されたポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、標識基は、潜在的な立体障害を減少させるように、様々な長さのスペーサアームを介して、抗原結合タンパク質に結合される。タンパク質を標識するための様々な方法が、該技術分野において知られており、使用することができる。
【0342】
別の態様において、抗原結合タンパク質はCGRP Rを発現する1つまたは複数の細胞を特定するように使用することができる。特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、標識基により標識され、CGRP Rへの標識化抗原結合タンパク質の結合が検出される。さらに特定の実施形態において、CGRP Rへの抗原結合タンパク質の結合はインビボで検出される。さらに特定の実施形態において、CGRP R抗原結合タンパク質は、該技術分野において知られている技術を使用して単離および測定される。例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies:A Laboratory Manual,New York:Cold Spring Harbor(ed.1991および定期補刊)、John E.Coligan,ed.,1993,Current Protocols In Immunology New York:John Wiley & Sonsを参照されたい。
【0343】
別の態様はCGRP Rへの結合に対して、提供される抗原結合タンパク質と競合する試験分子の存在を検出することを提供する。そのような検定の一例は、試験分子の存在または不在下で、ある量のCGRP Rを含む溶液中の遊離抗原結合タンパク質の量を検出することを含む。遊離抗原結合タンパク質(すなわち、CGRP Rに結合されない抗原結合タンパク質)の量の増加は、CGRP R結合に対して抗原結合タンパク質と競合できるあることを示すこととなる。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、標識基により標識される。代替として、試験分子が標識され、遊離試験分子の量が、抗原結合タンパク質の存在および不在下で監視される。
【0344】
治療方法:医薬製剤、投与経路
抗原結合タンパク質を使用する方法も提供される。いくつかの方法において、抗原結合タンパク質は、患者に提供される。抗原結合タンパク質は、ヒトCGRP RへのCGRPの結合を阻害する。
【0345】
治療上有効寮の1つまたは複数の抗原結合タンパク質および薬学的に許容される希釈剤、担体、溶解剤、乳化剤、保存剤、および/またはアジュバントを含む、薬学的組成物も提供される。さらに、例えば、片頭痛に対して、そのような薬学的組成物を投与することによって患者を治療する方法が含まれる。「患者」という用語は、ヒト患者を含む。
【0346】
許容される製剤材料は、用いられる用量および濃度において、受容者に対して非毒性である。特定の実施形態において、治療上有効量のヒトCGRP R抗原結合タンパク質を含む薬学的組成物が提供される。
【0347】
ある実施形態において、許容される製剤材料は、好ましくは、用いられる用量および濃度において、受容者に対して非毒性である。ある実施形態において、薬学的組成物は、例えば、組成物のpH、浸透圧、粘度、透明度、色、等張性、臭い、滅菌性、安定性、溶解率または放出率、吸収または貫通を改変、維持、または保持するための製剤材料を含有し得る。そのような実施形態において、適切な製剤材料は、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリシン)、抗菌剤、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウム)、緩衝剤(例えば、ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris-HCl、クエン酸塩、リン酸塩、または他の有機酸)、増量剤(例えば、マンニトールまたはグリシン)、キレート剤(例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA))、錯化剤(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β-シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)、充填剤、単糖、二糖、および他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、またはデキストリン)、タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン)、着色剤、香味剤、および希釈剤、乳化剤、疎水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)、低分子量ポリペプチド、塩形成対イオン(例えば、ナトリウム)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または過酸化水素)、溶媒(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール)、糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール)、懸濁剤、界面活性剤、または湿潤剤(例えば、プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパル)、安定性増強剤(例えば、スクロースまたはソルビトール)、等張化増強剤(例えば、アルカリ金属ハライド、好ましくは、塩化ナトリウムまたはカリウム、マンニトールソルビトール)、送達媒体、希釈剤、賦形剤、および/または薬学的アジュバントを含むが、これらに限定されない。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18″Edition,(A.R.Genrmo,ed.),1990,Mack Publishing Companyを参照されたい。
【0348】
所定の実施形態において、最適医薬組成物は、例えば、意図される投与経路、送達形態および所望の用量に応じて、当業者により決定される。例えば、上記のREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCESを参照されたい。ある実施形態において、そのような組成物は、開示される抗原結合タンパク質の物理的状態、安定性、インビボ放出率およびインビボクリアランス率に影響を及ぼし得る。所定の実施形態において、医薬組成物中の一次媒体または担体は、性質が水性または非水性のいずれかであり得る。例えば、適切な媒体または担体は、注入用の水、生理学的食塩水、または人工脳脊髄液であってもよく、場合によって、非経口投与のための組成物に広く用いられる他の材料によって補充される。中性緩衝食塩水または血清アルブミンと混合した食塩水は、さらに典型的な媒体である。特定の実施形態において、医薬組成物は、約pH7.0-8.5のトリス緩衝液または約pH4.0-5.5の酢酸緩衝液を含み、ソルビトールまたは適切な代替物質をさらに含んでもよい。所定の実施形態において、ヒトCGRP R抗原結合タンパク質組成物は、所望の純度を有する選択組成物を、任意の製剤(上記のREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCESを参照)と混合することによって、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態で、保存用に調製されてもよい。さらに、所定の実施形態において、ヒトCGRP R抗原結合タンパク質は、スクロース等の適切な賦形剤を使用して、凍結乾燥体として製剤されてもよい。
【0349】
医薬組成物は、非経口送達用に選択することができる。代替として、組成物は、消化管を通じて、例えば、経口的に吸入または送達するために選択されてもよい。そのような薬学的に許容される組成物の調製は、当該技術分野の範囲内である。
【0350】
製剤成分は、好ましくは、投与の部位に許容される濃度で存在する。所定の実施形態において、緩衝液は、生理学的pHまたはそれよりもわずかに低いpH、通常、約5~約8のpH範囲内で組成物を維持するように使用される。
【0351】
非経口投与が意図される場合、治療組成物は、ピロゲンを含まず、薬学的に許容される媒体中に所望のヒトCGRP R結合タンパク質を含む、非経口的に許容される水溶液の形態で提供され得る。非経口注入に特に適した媒体は、滅菌蒸留水であり、ヒトCGRP R抗原結合タンパク質は、滅菌等張液として製剤され、適切に保存される。ある実施形態において、調製は、注入可能な微小球、生物分解性粒子、ポリマー化合物(ポリ乳酸またはポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソームを含む、所望の分子の製剤を伴い得、デポー注入によって送達され得る生成物の制御または持続放出を提供してもよい。ある実施形態において、循環における持続期間を促進する効果を有するヒアルロン酸を使用してもよい。所定の実施形態において、埋め込み型薬物送達装置を使用して、所望の抗原結合タンパク質を導入してもよい。
【0352】
ある医薬組成物は、吸入用に製剤される。一部の実施形態において、ヒトCGRP R抗原結合タンパク質は、吸入可能な乾燥粉末として製剤される。特定の実施形態において、ヒトCGRP R抗原結合タンパク質吸入溶液は、エアロゾル送達のために噴射剤とともに製剤されてもよい。所定の実施形態において、溶液は、噴霧されてもよい。肺投与および製剤方法は、参照することにより組み込まれ、化学修飾されたタンパク質の肺送達について説明している国際特許出願番号第PCT/US94/001875号においてさらに説明される。いくつかの製剤は、経口投与することができる。この様式で投与されるヒトCGRP R抗原結合タンパク質は、錠剤およびカプセル等の固体投与形態の化合物において、慣習的に使用される担体と共に、またはそれを含まずに製剤することができる。ある実施形態において、カプセルは、バイオアベイラビリティが最大化され、プレシステミック分解が最小化される時点で、胃腸管において、製剤の活性成分を放出するように設計することができる。追加の薬剤を含めて、ヒトCGRP R抗原結合タンパク質の吸収を促進させることができる。希釈剤、香味剤、低融点ワックス、野菜油、滑沢剤、懸濁剤、錠剤分解剤、および結合剤を用いることができる。
【0353】
いくつかの医薬組成物は、錠剤の製造に適した非毒性賦形剤との混合物中に、有効量の1つまたは複数のヒトCGRP R抗原結合タンパク質を含む。滅菌水、または別の適切な媒体に錠剤を溶解させることによって、溶液を単位用量形態で調製することができる。適切な賦形剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、または重炭酸、ラクトース、または燐酸カルシウム等の不活性希釈剤、またはスターチ、ゼラチン、またはアラビアゴム等の結合剤、またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルク等の滑沢剤を含むが、これらに限定されない。
【0354】
持続または制御送達製剤中に、ヒトCGRP R抗原結合タンパク質を伴う製剤を含む、さらなる医薬組成物は、当業者に明らかとなるであろう。様々な他の持続または制御送達手段、例えば、リポソーム担体、生体内分解性微粒子、または多孔ビーズおよびデポー注射等を製剤するための技術も当業者に知られている。例えば、参照することによって組み込まれ、医薬製剤の送達のための多孔ポリマー微粒子の制御放出について説明する、国際特許出願番号第PCT/US93/00829を参照されたい。持続放出調製物は、半透過性ポリマーマトリクスを、造形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態で含んでもよい。持続放出マトリクスは、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号および欧州特許出願公開第EP058481号において開示され、それぞれ参照することによって組み込まれる)、L-グルタミン酸およびγエチル-L-グルタミン酸のコポリマー(Sidman et al.,1983,Biopolymers :547-556)、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)(Langer et al.,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167-277およびLanger,1982,Chem.Tech.12:98-105)、酢酸ビニルエチレン(Langer et al.,1981、上記参照)またはポリ-D(-)-3-ヒドロキシブチル酸(欧州特許出願公開第EP133,988号)を含んでもよい。持続放出組成物は、当該技術分野において知られているいくつかの方法のうちのいずれによっても調製することができる、リポソームを含んでもよい。例えば、参照することにより組み込まれる、Eppstein et al.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:3688-3692、欧州特許出願公開第EP036,676号、第EP088,046号、および第EP143,949号を参照されたい。
【0355】
インビボ投与に使用される医薬組成物は、通常、滅菌調製物として提供される。滅菌は、滅菌ろ過膜を通るろ過によって達成することができる。組成物を凍結乾燥する場合、この方法を使用する滅菌は、凍結乾燥および復元の前または後に行ってもよい。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥形態で、または溶液中で保存することができる。非経口組成物は、一般に、滅菌アクセス口を有する容器、例えば、静脈注射溶液バッグ、または皮下注射によって穿孔可能なストッパを有するバイアルの中に置かれる。
【0356】
ある実施形態において、本明細書に開示されるような組み換え抗原結合タンパク質を発現する細胞は、送達用に被嚢される(Invest.Ophthalmol Vis Sci43:3292-3298,2002およびProc.Natl.Acad.Sciences103:3896-3901,2006を参照)。
【0357】
ある製剤において、抗原結合タンパク質は、少なくとも10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、または150mg/mLの濃度を有する。一部の製剤は、緩衝剤、スクロース、および多糖を含有する。製剤の実施例は、50~100mg/mLの抗原結合タンパク質、5~20mM酢酸ナトリウム、5~10% w/vスクロース、および0.002~0.008% w/v多糖を含むものである。ある製剤は、例えば、9~11mM酢酸ナトリウム緩衝液中に65~75mg/mLの抗原結合タンパク質、8~10% w/vスクロース、および0.005~0.006% w/v多糖を含有する。所定のそのような製剤のpHは、4.5~6の範囲である。他の製剤は、pHが5.0~5.5である(例えば、pH5.0、5.2、または5.4)。
【0358】
一旦、薬学的組成物が製剤されると、溶液、懸濁液、ゲル、乳化剤、固体、結晶として、または脱水または凍結乾燥した粉末として、滅菌バイアルに保存することができる。そのような製剤は、すぐに使用できる形態、または投与前に再構築される形態(例えば、凍結乾燥)のいずれかで保存されてもよい。単回投与単位を生成するためのキットも提供される。あるキットは、乾燥タンパク質を有する第1の容器と、水性製剤を有する第2の容器とを含む。ある実施形態において、単一および複数室の事前に充填されたシリンジ(例えば、液体シリンジおよびリオシリンジ)が提供される。用いられる治療上有効量のヒトCGRP R抗原結合タンパク質含有医薬組成物は、例えば、治療内容および目的に依存する。当業者であれば、治療のための適切な用量レベルが、部分的に、送達される分子、ヒトCGRP R抗原結合タンパク質が使用される適応症、投与経路、および患者の体格(体重、体表面、または器官サイズ)および/または状態(年齢および一般健康状態)に応じて異なることを理解するであろう。ある実施形態において、医師は、用量を滴定してもよく、最適な治療効果を得るように投与形態を修正してもよい。
【0359】
通常用量は、上述の要因に応じて、約1μg/kg~最大約30mg/kg以上の範囲であり得る。特定の実施形態において、用量は、10μg/kg~最大約30mg/kg、任意で0.1mg/kg~最大約30mg/kg、代替として、0.3mg/kg~約20mg/kgの範囲であり得る。いくつかの適用において、用量は、0.5mg/kg~20mg/kgであり得る。いくついかの例において、抗原結合タンパク質は、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg、または20mg/kgで投与される。幾つかのの治療投与計画における投与スケジュールは、0.3mg/kg(週1回)、0.5mg/kg(週1回)、1mg/kg(週1回)、3mg/kg(週1回)、10mg/kg(週1回)、または20mg/kg(週1回)の用量である。
【0360】
投与頻度は、使用される製剤中の特定のヒトCGRP R抗原結合タンパク質の薬物動態パラメータに依存する。通常、医師は、所望の効果を達成する用量に到達するまで、組成物を投与する。組成物は、したがって、単回投与として、または時間をかけて2回以上の投与として(同一量の所望の分子を含有しても、しなくてもよい)、または埋め込み装置またはカテーテルを介した連続注入として投与されてもよい。適切な用量は、適切な用量反応データの使用を通じて確認することができる。ある実施形態において、抗原結合タンパク質は、長期間に渡って患者に投与することができる。抗原結合タンパク質の長期投与は、完全にヒトでない抗原結合タンパク質、例えば、非ヒト動物中のヒト抗原に対する抗体、例えば、非ヒト種において生成された不完全ヒト抗体または非ヒト抗体に一般に伴う免疫またはアレルギー性服作用を最小限にする。
【0361】
薬学的組成物の投与経路は、既知の方法、例えば、経口的、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、または病巣内経路、持続放出システム、または埋め込み型装置による。所定の実施形態において、組成物は、ボーラス注射、または注入によって連続的に、あるいは埋め込み型装置によって投与されてもよい。
【0362】
組成物は、膜、スポンジ、または所望の分子が吸収または包含された別の適切な材料を埋め込むことによって、局所的に投与されてもよい。ある実施形態において、埋め込み型装置が使用される場合、装置は、任意の適切な組織または器官の中に埋め込まれてもよく、所定の分子の送達は、分散、徐放性ボーラス、または連続投与を介してもよい。
【0363】
ヒトCGRP R抗原結合タンパク質医薬組成物をエクスビボで使用することも望ましい場合がある。そのような例において、患者から除去された細胞、組織、または器官が、ヒトCGRP R抗原結合タンパク質医薬組成物に曝露され、その後、細胞、組織、および/または器官は、続いて患者の体内に戻される。
【0364】
特に、ヒトCGRP R抗原結合タンパク質は、本明細書に記載されるような方法を使用して、遺伝子操作されたある種の細胞を埋め込むことによって送達し、ポリペプチドを発現および分泌させることができる。所定の実施形態において、そのような細胞は、動物またはヒト細胞であってもよく、自己、ヘテロ、または異種であり得る。ある実施形態において、細胞は、不死化されてもよい。他の実施形態において、免疫反応の可能性を減少させるために、細胞を被嚢して、周囲組織の浸潤を回避してもよい。さらなる実施形態において、被嚢材料は、通常、生体適合性の半透過性ポリマー筐体または膜であり、タンパク質生成物の放出を可能にするが、患者の免疫系または周囲組織からの他の有害因子による細胞の破壊を回避する。
【0365】
行った実験および得られた結果を含む、以下の実施例は、単なる例示目的で提供され、添付の請求項の範囲を制限するものとして見なされるものではない。
【実施例0366】
抗原としてのCGRP受容体の生成
A. ヒトCRLRおよびRMAP1の分子クローニング
ヒトCRLR cDNA(GenBank受入番号U17473、配列番号1)およびRAMP1 cDNA(GenBank受入番号AJ001014、配列番号3)を、下記の通り、HEK293EBNA細胞(Invotrogen)のトランスフェクションのために、哺乳類細胞発現ベクターpcDNA3.1-ZeoおよびpcDNA3.1-Hyg(Invitrogen,Carlsbad,CA)にそれぞれクローニングした。hCRLR cDNAおよびhRAMP1 cDNAも、AM-1CHO細胞(米国特許第6,210,924)のトランスフェクションのために、pDSRα24ベクター(Kim,H.Y.et al.J.Inv.Derm.Symp.Proc.(2007)12:48-49)にクローニングした。
【0367】
B. 安定してトランスフェクトされた細胞株
1.293EBNA細胞におけるヒトCGRP Rの安定発現
HEK293EBNA細胞(ATCCまたはInvitrogenから入手可能)を、100mm皿当たり1.5x10細胞の密度で播種した。24時間後、Invitrogenにより提供される指示に従って、huRAMP1/pcDNA3.1―HygおよびhuCRLR/pcDNA3.1―Zeoの線形化DNA6μgと、FuGene6(Invitrogen,Carlsbad,CA)により、細胞を共トランスフェクトした。2日後、細胞をトリプシン化し、400μg/mLヒグロマイシン+250μg/mLゼオシンを含有する成長培地に二次培養した。2週間後、得られた薬物耐性コロニーをトリプシン化し、結合してプールにした。プールは、4回のFACSに供し、Alexa647標識化CGRP8―37ペプチドアナログ(下記)を分類した。各回で、発現する細胞の最も高い5%を収集した。
【0368】
2.AM-1CHO細胞におけるヒトCGRP Rの安定発現
AM-1CHO細胞(UrlaubおよびChasinのProc.Natl.Acad.Sci.77,4216(1980))に記載されるCHO DHFR欠損細胞株からの無血清成長培地に適合した変異体を、100mm皿当たり、1.5x10細胞の密度で播種した。24時間後、Invitrogenにより提供される指示に従って、pDSRα24/huRAMP1およびpDSRα24/huCRLRそれぞれの線形化したDNA4μgと、FuGene6(Invitrogen,Carlsbad,CA)により、細胞を共トランスフェクトした。トランスフェクションから2日後に、トランスフェクトした細胞をトリプシン化し、10%の透析したFBSを含有するCHO DHFR選択的成長培地に、ヒポキサンチン/チミジン補充なしに播種した。2週間後、得られたトランスフェクト化コロニーをトリプシン化し、プールした。プールは、FACS分類検定に供した。
【0369】
3.HEK293EBNA細胞におけるヒトアドレノメデュリン(AM1)の安定発現
293EBNA細胞を、100mm皿に1.5x10細胞/皿の密度で、DMEM(高グルコース)+5%FBS+1%MEM非必須アミノ酸+1%ピルビン酸ナトリウム中で播種した。翌日、FuGENE6トランスフェクション試薬(Roche)と、pcDNA3.1/ゼオシン/huCRLRプラスpcDNA3.1/ヒグロマイシン/huRAMP2を使用して、細胞を共トランスフェクトした。両方のDNA組成物をFspIで線形化した。48時間後、100mm皿に移し、3つの細胞密度で(8x10、3.2x10、および8x10細胞/皿)、200μg/mLゼオシンを含有する成長培地中で、細胞を二次培養した。培地は、週に2回交換した。1週間後、200μg/mLヒグロマイシン+200μg/mLゼオシンを含有する培地をプレートに与えた。2週間後、96コロニーを、クローニングリングを用いて単離した。残りのコロニーは、単一のプール培地に収集した。クローンおよびプールは、受容体アゴニストまたはホルスコリンによる刺激に対するそれらの応答について検定した。いくつかのクローンは、良好な応答を示し、後次実験で使用するために1つを選択した。
【0370】
4.HEK293EBNA細胞におけるcynoCGRP Rの安定発現
293EBNA細胞を、100mm皿に1.5x10細胞/皿の密度で、DMEM(高グルコース)+5%FBS+1%MEM非必須アミノ酸+1%ピルビン酸ナトリウム中で播種した。翌日、FuGENE6と、pcDNA3.1/ゼオシン/cynoCRLRプラスpcDNA3.1/ヒグロマイシン/cynoRAMP1を使用して、細胞を共トランスフェクトした。両方の組成物をFspIで線形化した。48時間後、200μg/mLゼオシン+400μg/mLヒグロマイシンを1:20、1:40、1:100、および1:200の希釈で含有する成長培地中で、細胞を二次培養した。培地は、週に2回交換した。2週間後、96個のトランスフェクトしたコロニーを、クローニングリングを用いて単離した。クローンは、CGRPリガンドによる刺激に対するそれらの応答について検定した。いくつかのクローンが、同様の高レベルの応答を示し、後次実験に使用するために1つを選択した。
【0371】
C. 高発現CGRP受容体細胞の単離
CGRP8-37ペプチドアナログを、以下の配列により合成した(Midwest Bio-Tech Inc.Fishers,IN)。
Ac-WVTHRLAGLLSRSGGVVRCNFVPTDVGPFAF-NH2(配列番号9)
【0372】
ペプチドは、製造者の指示に従って、Alexa647-NHSで標識した(Molecular Probes,Inc.カタログA2006)。Alexa647標識CGRP8-37は、CGRP受容体トランスフェクト細胞の特異的な染色を示し、非トランスフェクト親細胞では示さず、FACS試薬として使用した。
【0373】
huCGRP受容体トランスフェクト293EBNAおよびAM-1CHO細胞プール(上記のように生成された)は、Alexa647標識CGRP8-37ペプチドを使用して、最大4回繰り返しプールを分類した。高発現細胞を各分類で収集し、拡大して、最終分類後にバイアル中で凍結させた。AM-1CHO/huCGRP R細胞は、下記のように免疫付与に使用し、293EBNA/huCGRP R細胞は、免疫付与後にマウス血清を滴定するために、ハイブリドーマ上清の結合スクリーンにおいて使用した。
【0374】
D. 可溶性CGRP受容体の生成
ヒトCRLR(配列番号6)およびヒトRAMP1(配列番号8)のN末端細胞外ドメイン(ECD)を含有する可用性CGRP受容体ポリペプチドを、下記のような対応するcDNA(配列番号5または配列番号7を含有するベクターと、293 6E細胞を一時的に共トランスフェクトすることによって生成した(Durocher,et al.,Nucleic Acids Res.30:E9(2002))。一般に使用されるタグ(polyHis、Flag、HAおよび/またはFc)を、分泌および/または後次精製を促進するように用いた。
【0375】
Fcに融合した可溶性ヘテロ二量体CGRP R ECDを、適切なプライマを用いて、一時的発現ベクターpTT5へのPCRクローニングによって調製した(Durocher,et al.,上記参照)。CRLR N末端ECD-Fcは、ヒトIgG1 Fcに融合したCRLR(配列番号6)のN末端細胞外ドメインから成っていた。RAMP1ECD-Fcは、ヒトIgG1 Fcに融合したRAMP1(配列番号8)の細胞外ドメインを含む。いずれの場合においても、ECDドメインとFcとの間に5つの連続するグリシンから成るリンカーが存在した。
【0376】
可溶性ヘテロ二量体CGRP受容体は、以下のような2つのコンストラクトを共トランスフェクトすることによって発現させた。攪拌フラスコ中1x10細胞/mLの293-6E細胞を、0.5mg/L DNA(hCRLR N-ter ECD-Fc/pTT5およびhuRAMP1 ECD-Fc/pTT5)と、FreeStyle293倍地(Invitrogen)中の3mL PEI/mg DNAでトランスフェクトした。0.1% Pluronic F68および50μg/mL Geneticinを補充したFreeStyle293発現培地において懸濁させて、7日間、細胞を成長させ、精製のために採取した。
【0377】
馴化培地(「CM」)からの精製は、50mM Tris、400mM クエン酸ナトリウムの添加によってCMを緩衝し、pHを8.5に調整することによって行った。次に、緩衝化CMを、50mM Tris、400mM クエン酸ナトリウム中で平衡化し、pHをpH8.5に調整したタンパク質A親和性カラム上を通過させた。タンパク質AカラムをPBSで洗浄し、Fc融合タンパク質を、0.1N HOAcで溶出した。溶出したピークは、CRLRまたはRAMP1のいずれかに特異的な個別の抗体を使用するウェスタンブロットによって試験した際、CRLRおよびRAMP1成分の両方を含有した。さらに、LC-MSおよびN末端配列決定により、CRLR:RAMP1ヘテロ二量体およびCRLR:CRLRホモ二量体の両方が、約(2:3)の比率で存在することを確認した。この「可溶性CGRP受容体」は、FMAT分析において、CGRP受容体発現組み換え細胞に結合するAlexa647標識CGRP8-37中で競合することを示したが、Biacore試験を使用して決定されるように、CGRPリガンドへの結合には失敗した。材料は、特にその不均質性およびCGRPリガンド結合の欠如にもかかわらず、実施例に記載のとおり、免疫原として使用した。
【0378】
E. 組み替えCGRP受容体発現細胞からの膜抽出の生成
膜抽出は、Bosse,R.et al.,(Journal of Biomolecular Screening,3(4):285-292(1998))によって記載される方法を使用して、CGRP受容体発現細胞から調製した。簡潔に述べると、約5gの細胞ペーストを、50mLのPBS中、3,000rpmで10分間、4℃でペレット化し、30mLの冷溶解バッファ(25mM HEPES、pH7.4、3mM MgClプラス1Rocheプロテアーゼ阻害剤カクテル錠/50mL)中で再懸濁させた。溶解物は、Glas-Col(テフロン(登録商標)-ガラスホモジナイザ)を用いて、約20ストローク、5,000rpmで均質化し、JA21中、20,000rpmで15分間、4℃で回転させた。このプロセスを再度繰り返し、最終ペレットを約1~5mLの「最終ペレット」バッファ(25mM HEPES、pH7.4、3mM MgCl、10%(w/v)スクロースプラス1Rocheプロテアーゼ阻害剤カクテル錠/50mL)中で再懸濁させた。膜抽出物を、16Gおよび25Gニードルを2-3回通過させることによってせん断した。総膜タンパク質濃度は、マイクロプレートBCAタンパク質測定(Pierce)を用いて決定した。
【実施例0379】
CGRP受容体に対する抗体の生成
A. 免疫付与
免疫付与は、実施例1に記載のとおり調製した、以下の形態のCGRP受容体抗原を使用して行なった。
(i)細胞表面において全長ヒトCRLRおよびRAMP1を発現し、CHO細胞を、配列番号2を有するポリペプチドをコード化するヒト全長CRLR cDNA(配列番号1)および配列番号4を有するポリペプチドをコード化するRAMP1 cDNA(配列番号3)で共トランスフェクトすることによって得られる、AM-1 CHOトランスフェクタント、
(ii)上記(i)に記載される細胞からの膜抽出、および
(iii)実施例1に記載されるようなCRLRのN末端ECD(配列番号6)およびRAMP1の細胞外ドメイン(ECD)(配列番号8)を共発現および精製することによって得られる、可溶性CGRP受容体。
【0380】
XENOMOUSE動物に、精製した可溶性CGRP受容体タンパク質、およびCGRP Rを安定して発現するAM-1 CHO細胞から調製した精製CGRP R膜を、それぞれ10μg/マウスおよび150μg/マウスの用量を使用して同一の方法で免疫付与した。
【0381】
その後の追加免疫付加は、10μg/マウスの可溶性CGRP Rまたは75μgの精製CGRP R膜の用量で投与した。XENOMOUSE動物は、3.4x10CGRP Rトランスフェクト細胞/マウスの用量を使用して、CGRP受容体発現細胞でも免疫付与し、その後の追加免疫付加は、1.7x10CGRP Rトランスフェクト細胞/マウスであった。使用される注入部位は、皮下尾基底部および腹腔内の組み合わせであった。免疫付与は、2002年2月19日に提出された米国特許第7,064,244号に開示される方法に従って行い、その開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。アジュバントTiterMax Gold(Sigma、カタログ番号T2684)、Alum(E.M.Sergent Pulp and Chemical Co.,Clifton,NJ、カタログ番号1452-250)は、製造者の指示に従って調製し、アジュバント乳剤:抗原溶液を1:1の比率で混合した。
【0382】
血清を、最初の注入から4~6週間後に収集し、特異的抗体価を、組み換えCGRP受容体発現293EBNA細胞のFAC染色によって決定した。
【0383】
マウスは、全長CGRP R細胞を発現する細胞/膜または可溶性CGRP R細胞外ドメインのいずれかにより、約1~3ヶ月半の期間をかけて、11~17回の範囲で免疫付与した。最高の血清力価を有するマウスを特定し、ハイブリドーマ生成のために準備した。免疫付与は、複数のマウス、通常10匹の群において行った。膝窩および鼠径リンパ節ならびに脾臓組織を、通常、融合を生成するために、各群からプールした。
【0384】
B. モノクローナル抗体の調製
適切な力価を呈する動物を特定し、リンパ球を排出リンパ節から得て、必要に応じて、各群にプールした。リンパ球は、適切な培地中(例えば、Dulbecco’s Modified Eagle Medium;DMEM、Invitrogen,Carlsbad,CAから入手可能)で、リンパ組織から解離し、細胞を組織から放出して、DMEM中に懸濁させた。適切な方法を使用して、B細胞を選択および/または拡大し、適切な融合パートナー、例えば、非分泌性骨髄腫P3X63Ag8.653細胞と融合させた(American Type Culture Collection CRL 1580、Kearney et al,J.Immunol.123,1979,1548-1550)。
【0385】
リンパ球は、1:4の比率で融合パートナー細胞と混合した。細胞混合物は、400xgで4分間、遠心分離によって徐々にペレット化し、上清を移して、細胞混合物を、1mLピペットを使用して徐々に混合した。融合は、PEG/DMSO(ポリエチレングリコール/ジメチルスルホキシド、Sigma-Aldrich,St.Louis MOから入手可能、リンパ球100万個当たり1mL)により誘発した。PEG/DMSOを徐々に添加した後、1分かけてやさしく攪拌し、1分間混合した後、グルタミンを含まないDMEM(B細胞100万個当たり2mL)を、2分かけてやさしく攪拌しながら添加した後、追加のIDMEM(B細胞100万個当たり8mL)を、3分かけて添加した。
【0386】
融合細胞を徐々にペレット化し(400xg、6分)、B細胞100万個当たり20mLの選択培地中(例えば、アザセリンおよびヒポキサンチン[HA]および必要に応じて他の補足物質を含有するDMEM)で再懸濁させた。細胞は、20~30分間、37℃で培養した後、200mLの選択培地中で再懸濁させて、96ウェルプレートに載置する前に、T175フラスコ中で3~4日間培養した。
【0387】
得られたコロニーのクローン性を最大化するために、標準技術を使用して、細胞を96ウェルプレートに分配した。数日培養した後、ハイブリドーマ上清を収集し、以下の実施例に詳述されるように、ヒトCGRP受容体に対する結合の確認、リガンド結合競合検定およびCGRP受容体に関連する他の受容体(例えば、ヒトアドレノメデュリン受容体)との交差反応の評価による遮断抗体の特定を含む、スクリーニング検定に供した。さらに陽性細胞を選択し、標準クローニングおよびサブクローニング技術に供した。クローン株をインビトロで拡大し、分泌されたヒト交代を分析用に取得した。
【0388】
C. 選択したモノクローナル抗体の配列分析
選択したサブクローニングモノクローナル抗体を、標準RT-PCR法を使用して配列決定した。表2Aは、本明細書に開示される典型的な抗体の軽鎖のアミノ酸配列を示す。表2Bは、本明細書に開示される典型的な抗体の重鎖のアミノ酸配列を示す。
【0389】
配列決定された抗体のCDR領域に対応するアミノ酸配列を整列させ、整列を使用して、類似性によりクローンを分類した。
【0390】
κ軽鎖を有するクローンからの軽鎖CDRの配列の整列、およびいくつかの対応するコンセンサス配列を、図3Aおよび3Bに示す。
【0391】
λ軽鎖を有するクローンからの軽鎖CDRの配列の整列、およびいくつかの対応するコンセンサス配列を、図4に示す。
【0392】
本明細書に開示される典型的な抗体の重鎖CDRの配列の整列、およびいくつかの対応するコンセンサス配列を、図5A、5B、5C、5Dおよび5Eに示す。
【0393】
本明細書に開示される典型的な重鎖CDRの所定のコンセンサス配列を、図5Fに示す。
【実施例0394】
CGRP受容体特異的抗体の特定
A. FMATによるCGRP受容体特異的抗体の選択
14日の培養後、ハイブリドーマ上清を、CGRP R特異的モノクローナル抗体について、Fluorometric Microvolume Assay Technology(FMAT)(Applied Biosystems,Foster City,CA)によってスクリーニングした。上清は、AM-1 CHO huCGRP R細胞またはヒトCGRP Rでトランスフェクトした組み換えHEK293細胞のいずれかに対してスクリーニングし、親HEK293細胞(実施例1に記載されるように調製)に対して逆スクリーニングした。
【0395】
簡潔に述べると、Freestyle培地(Invotrogen,Carlsbad,CA)中の細胞を、384ウェルのFMATプレートに、50μL/ウェルの量で、安定したトランスフェクタントの場合は約4000細胞/ウェルの密度で、親細胞の場合は約16,000細胞/ウェルの密度で播種し、細胞を一晩37℃で培養した。次に、10μL/ウェルの上清を添加し、プレートを約1時間、4℃で培養した後、10μL/ウェルの抗ヒトIgG-Cy5二次抗体(Jackson Immunoresearch,West Grove,PA)を、2.8μg/mLの濃度(最終濃度400ng/mL)で添加した。次に、プレートを1時間4℃で培養し、FMATマクロ共焦点スキャナ(Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用して蛍光を読み取った。
【0396】
逆スクリーニングの場合、親AM1 CHO細胞またはHEK293細胞を同様に播種し、これらの細胞上で上清をFMATによりスクリーニングすると同時に、細胞性タンパク質に結合するが、CGRP受容体には結合しないハイブリドーマを分化および排除した。
【0397】
B. FMATを通じたリガンド結合競合検定による遮断抗体の特定
リガンド結合競合方法を、CGRP受容体に結合し、CGRPリガンド結合を遮断する抗体を(ハイブリドーマ上清中で)特定するために開発した。384ウェルプレート(Corning Costar、カタログ番号3712)を、5,000AM1 huCGRP R プール2細胞および20,000個の非トランスフェクトCHO-S細胞により各ウェルで調製した。20μLの抗CGRP Rハイブリドーマ上清を各ウェルに添加し、プレートを1時間室温で培養した。次に、10μLの2.8μg/mLのAlexa647-CGRP8-37ペプチドを各ウェルに添加し、プレートをさらに3時間、室温で培養した。細胞に結合したAlexa647-CGRP8-37の量を、FMAT8200細胞検出システム(Applied Biosystems)上で測定した。出力データは、シグナル強度のFL1数値(高いFL1値は、高いシグナル強度を示す)および細胞の画像の両方であった。
【0398】
実験は、陰性対照のハイブリドーマ上清を含んだ。これらの陰性対照実験において認められた平均FL1値を、測定の最大可能シグナルとして採用した。実験上清をこの最大シグナルと比較し、各ウェルに対して阻害パーセントを計算した(阻害%=(1-(抗CGRP Rハイブリドーマ上清のFL1/最大FL1シグナル))。
【0399】
データの概要を、図6に示す。この実験において、1092の抗CGRP R上清を、受容体リガンド検定を使用して試験した。データは、平均阻害%を使用して、ランク付けした。90例の上清が、25%を超える平均阻害率を有し、これらのうちの31例は、50%、7例は70%を超える平均阻害率であった。
【0400】
省略したデータセットを、以下の表10に示す。試料識別番号1~5は、CGRP受容体に対するAlexa647-CGRP8-37ペプチドの結合を阻害した抗CGRP Rハイブリドーマ上清の試料を示し、試料識別番号536~540は、CGRP受容体に対するAlexa647-CGRP8-37ペプチドの結合を阻害しなかった抗CGRP
Rハイブリドーマ上清の実施例を示す。
【0401】
【表10】
【0402】
これらの結合競合検定に基づいて、さらなる特性化のために約30の上清を選択した。
【実施例0403】
cAMP機能検定におけるCGRP受容体特異的遮断モノクローナル抗体の活性
A.CGRP受容体抗体活性
選択されたCGRP受容体抗体を、インビトロCGRP受容体媒介性cAMP検定においてスクリーニングし、本来の能力を決定した。インビトロcAMP検定は、ATCC(ATCC番号HTB-10、「HTB-10細胞」)から取得したヒト神経芽細胞腫由来の細胞株(SK-N-MC、Spengler,et al.,(1973)In Vitro 8:410)を用いた。HTB-10細胞は、CRLRおよびRAMP1を発現し、CGRP受容体を形成する(L.M.McLatchie et al,1998)。組み換えカニクイザルCGRP Rを発現する293EBNA細胞株を、実施例1に記載されるように生成し、ラットCGRP受容体を発現するラットL6細胞株を、ATCC(CRL-1458)から取得した。
【0404】
LANCE cAMP検定キット(PerkinElmer,Boston,MA)をスクリーニングに使用した。検定は、白い96ウェルプレートにおいて、総量60μLで行った。簡潔に述べると、検定の日に、凍結したHTB-10細胞を37℃で解凍し、検定バッファで細胞を1回洗浄し、Alexa標識された抗cAMP抗体と混合される10000個の細胞を含む12μLの細胞懸濁液を、96半領域の白いプレートに添加した。12μL CGRP受容体抗体を添加した後、混合物を30分間室温で培養した。次に、12μL CGRP受容体アゴニストヒトα-CGRP(最終濃度1nM)を添加し、さらに15分間室温で培養した。ヒトα-CGRP刺激の後、24μLの検出混合物を添加し、60分間室温で培養して、プレートをEnVision器具(PerkinElmer,Boston,MA)上で、Em665nMで読み取った。Prizm(GraphPad Software Inc.)またはActivityBase(IDBS)によってデータを処理および分析した。
【0405】
図7Aは、3つの抗体3C8、13H2および1E11に対して、hCGRP受容体発現細胞株HTB-10を使用して、上述のように得られた典型的なデータを示す。データは、抗体(3C8、13H2および1E11)濃度の関数として、対照(「POC」)に対するパーセンテージとしてプロットされ、標準非線形後退曲線と適合されて、図の下に示されるIC50値を得る。
【0406】
B.関連受容体における抗体活性の欠落
関連受容体AM1(hCRLR+hRAMP2を発現するHEK293細胞、D.R.Poyner,et al,Pharmacological review,54:233-246,2002)、AM2(hCRLR+hRAMP3を発現するCHO細胞、D.R.Poyner,et al,Pharmacological review,54:233-246,2002)またはヒトアミリンAMY1受容体(hCTR+hRAMP1を発現するMCF-7細胞、Wen-Ji Chen,et al,Molecular pharmacology,52:1164-1175,1997)を発現する細胞を使用して、試験した抗体の選択性を決定した。AM1発現HEK293細胞株は、上記の実施例1に記載されるように生成した。AM2発現CHO細胞株は、EuroScreen(現在のPerkinElmer,Inc.)から購入し、ヒトアミリンAMY1受容体発現MCF-7細胞株(Zimmermann,et al,Journal of Endocrinology,423-431,1997)は、ATCC(HTB-22)から取得した。上述のようにプロットされた典型的な結果を、図7B(hAM1-HEK細胞)、7C(hAM2-CHO細胞)および7D(hAMY-MCF-7細胞)に示す。試験した抗体のいずれも、試験した範囲において、hAM1、hAM2またはhAMY1受容体に対して有意な阻害活性を有しなかったことに留意されたい。
【0407】
カニクイザルCGRP受容体を発現する組み換えHEK細胞およびラットCGRP受容体を発現するラットL6細胞(ATCC)を使用して、類似する実験を行った。これらの研究から得られたデータ、ならびに本実施例のパートAに記載されるように得られた追加のIC50データは、以下の表11の「cAMP」の列に示される。ヒトおよびカニクイザルCGRP受容体に対するIC50は、ナノモル範囲内であるが、ラットCGRP受容体、ヒトAM1、AM2、およびAMY1受容体、ならびにカルシトニンを発現するMCF7細胞(データ図示せず)に対する活性は、すべて1マイクロモルより大きいことに留意されたい。ヒトCGRP受容体とヒトAM1、AM2、アミリンおよびカルシトニン受容体の間のIC50の差異は、同一の受容体成分の一部において形成される関連受容体と比較して、CGRP受容体に対するこれらの抗体の高い選択性を示す。ヒトおよびカニクイザルCGRP受容体を使用して得られたIC50は類似しているが、試験した抗体は、ラットCGRP受容体と交差反応するように見られなかった。
【0408】
【表11】
【実施例0409】
Ki決定受容体遮断抗体のための放射性リガンドCGRP結合検定
125I標識化CGRP(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)およびHTB-10細胞からの細胞膜(PerkinElmer Inc.,Waltham,Massachusetts)を、試験抗体の様々な濃度の存在下で、放射性リガンド結合実験に使用し、対応するKi値を決定した。CGRP結合検定は、室温で、110μL結合緩衝液(20mM Tris-HCl、pH7.5、5.0mM MgSO4、0.2% BSA(Sigma)、1錠のCompleteTM/50mL緩衝液(プロテアーゼ阻害剤))、20μL試験化合物(10X)、20μL125I-hαCGRP(Amersham Biosciences、10X)、および50μLヒト神経芽細胞腫細胞(HTB-10)膜懸濁液(10μg/ウェル、PerkinElmer)を含有する96ウェルプレートにおいて行った。プレートを、60rpmで振動させながら室温で2時間培養し、次いで、各ウェルの内容物を0.5%ポリエチレンイミン(PEI)処理した(少なくとも1時間)GF/C96ウェルフィルタプレートによりろ過した。GF/Cフィルタプレートを、氷冷50mM Tris、pH7.5で6回洗浄し、55℃のオーブンで1時間乾燥させた。次に、GF/Cプレートの底部を密閉した。40μL MicroscintTM 20を各ウェルに添加し、GF/Cプレートの上部をTopSealTM-A(プレスオン接着密閉フィルム)で密閉し、GF/Cプレーを、TopCount NXT(Packard)で計数した。データは、Prizmを使用して分析した(GraphPad Software Inc.)
【0410】
抗体3C8、12H2、および1E11を使用して得られる典型的なデータおよびKi値を、図8に示す。
【0411】
上記の表11の右端の列は、HTB-10細胞膜に対する放射性標識125I-CGRP競合結合検定において表示されるmAbsのKi値を列挙する。データは、CGRP受容体抗体が、CGRP結合に対して(すべてのサブナノモル範囲で)競合性が高かったことを証明する。
【実施例0412】
CGRP受容体遮断抗体のKD決定のためのFACS結合検定
細胞上で発現されるCGRP受容体に対する抗CGRP R mAbの親和性は、FACS法を使用して決定した。簡潔に述べると、上述のとおり調製されたAM-1 CHO huCGRP R発現細胞を、10%FBS、NEAA、PS、L Glut、NaPyrおよび0.05%アジ化ナトリウムを含有するDMEM培地において、ウェル当たり16,000または160,000細胞の密度で96ウェルプレートに播種した。CGRP受容体抗体を、50nM~1pMの同一培地において滴定し、細胞とともに培養した。総容量120μL中、プレートシェーカ上で、一晩4℃で培養した後、細胞をPBS+2%FBSで2回洗浄し、遠心分離して、その都度上清を破棄した。7AAD(5μL/ウェル)を含有する100μL/ウェルのG抗-Hu Fc Cy5(5μg/mL、Jackson ImmunoResearch Laboratories Inc.,West Grove,PA,USA)を、次に添加し、4℃で40分間培養した。細胞をPBS+2%FBSで2回洗浄し、遠心分離して、その都度上清を破棄した。次に100μL PBS+2% FBS緩衝液を添加し、FACSによって分析して、結合幾何平均を決定した。Kdは、KinExAソフトウェアを使用して、各抗体濃度における負の幾何平均を、存在する遊離Abの量とすることによって計算した。Rathanaswami,et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 334(2005)1004-1013。2つの異なる細胞濃度において得られたデータを、n曲線分析によって解析し、Rathanaswami,et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 334(2005)1004-1013に記載されるように、Kdおよび95%信頼区間を決定した。
【0413】
対応する曲線適合を有する典型的なデータを、抗体12G8.2について図10に示す。本開示を支持する、生成された8つの遮断抗体に関するデータを、表12に示す。抗体のうちの1つ(3B6)は、2つの異なる日に解析した。16Kの細胞を用いる実験で得られた0.9という比率は、抗原濃度が、Kdの0.9倍であると予測され、したがって、実験により得られた曲線は、Kd制御曲線であることを示す。この方法で得られるKd値は、すべての試験した抗体について、低い一桁ナノモル範囲であったことが理解できる。
【0414】
【表12】
【実施例0415】
BICORE結合競合によるCGRP受容体遮断抗体のビニング
Biacore分析(Karlsson,R.et al.,Methods;A Companion to Methods in Enzymology,6:99-110(1994)は、以下のように行った。製造者の指示に従い、10mM HEPES、0.15M NaCl、3.4mM EDTA、0.005% P-20、pH7.4(HBS-EPバッファ)の連続フローを使用して、抗CGRP受容体抗体をCM5センサーチップ表面に固定した。センサーチップ表面上のカルボキシル基を、0.2M N-エチル-N’(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)および0.05M N-ヒドロキシスクシニミド(NHS)を含有する60μLの混合液を注入することによって活性化した。特定の表面を、10mM酢酸中に希釈された180μLの抗CGRP受容体抗体を、pH4.0、濃度30μg/mLで注入することによって取得した。表面上の過剰な反応基を、60μLの1Mエタノールアミンを注入することによって不活性化した。別個の抗体に対する最終固定レベルは、以下のとおりであった。
【0416】
【表12-2】
ブランクの擬似結合基準表面も、センサーチップ上で調製した。100nMの濃度において、上で参照される6つの固定された抗体(11D11、3B6、4H6、12G8、9F5または34E3)のうちの1つを有する、可溶性huCGRP受容体が、センサーチップ上で捕捉された。次に、20の試験抗CGRP R抗体のそれぞれを、huCGRP受容体にわたって注入した。注入した抗体が、固定された抗体によって認識されたものに対して、個別のエピトープを認識した場合、二次結合事象が認められることとなる。抗体が、同一または極めて類似するエピトープを認識する場合、huCRP受容体の結合のみが認められることとなる。
【0417】
固定された抗体3B6により被覆されるセンサーチップを使用して得られた典型的なデータを、図9Aに示す。4つのトレースは、注入溶液中の抗体1E11、4E4、2E7、および12G8を使用して得られたデータである。実験中の事象は、huCGRP R-Fcの注入に対応して「A」、huCGRP R-Fc注入の末端に対応して「B」、第2のmAbの注入に対応して「C」、および第2のmAb注入の終了およびバッファ洗浄の開始に対応して「D」とともに、文字によって表される。固定された抗体表面上に注入された抗体のうちのいずれかからも、いかなる結合シグナルの表示もなく、4つの注入された抗体が、同一または極めて類似するエピトープを固定された抗体として明らかに認識することを示していることに留意されたい。本質的に、5つの固定された中和抗体表面のそれぞれにおいて洗浄されたすべての試験遮断抗体に関して、同一の結果が認められ、すべての試験抗huCGRP受容体遮断抗体が、同一または極めて類似し、強く重複するエピトープを認識することを示している。
【0418】
対照的に、図9B、9Cおよび9Dの一部に示されるように、4つの試験した非遮断CGRP受容体特異的抗体32H8、33B5、33E4および34E3は、11D11(データ図示せず)、3B6(図9B)、12G8(図9C)および9F5(データ図示せず)との競合に失敗したが、34E3は、4H6(図9D)と競合することができ、32H7(データ図示せず)と弱く競合した。32H8は、3B6、4H6、12G8、9F5または非遮断抗体34E3との競合に失敗したが、33B5および33E4は、非遮断抗体34E3と競合することができた。すべての遮断および非遮断抗体に関するデータを、以下の表13に要約する。「NB」は、結合がないことを示し、「+」は、有意な結合を示し、「弱」は弱い結合を示す。
【0419】
【表13】
【0420】
データから理解され得るように、試験した遮断または中和抗体のすべては、5つの固定された遮断抗体として同一領域に結合し、すなわち、試験した中和抗体のすべてが、CGRP R分子の同一領域に結合する。一方、非遮断抗体は、概して、固定された遮断抗体と競合せず、非遮断抗体が、主にCGRP Rの異なる領域に結合することを示している。
【実施例0421】
ウェスタンブロットにおける可溶性CGRP受容体に対するCGRP受容体抗体の結合
ウェスタンブロットを使用して、可溶性CGRP受容体-muFc融合タンパク質に対する結合について、3つの代表的なCGRP受容体遮断抗体を試験した。
【0422】
100ngの精製CGRP R-muFc(マウスFcが使用され、RAMP1またはCRLR ECDとmuFcとの間のリンカーが、「GGGGGVDGGGGGV」(配列番号213)に変更されたことを除いて、CGRP R-huFcに関して上述のように生成および精製される)を、β-メルカプトエタノール(βME)を伴う(還元)か、または伴わずに(非還元)、13.3%の濃度でPAGE試料バッファを含むPBS中で希釈した。次に、βMEを含む試料を4分間沸騰させた。還元および非還元試料を、個別の4~20%のTris-グリシンゲル(Invitrogen)上に、CGRP R-Fcタンパク質と分子重量マーカ(Invitrogen)の交互のレーンとともに載置した。ゲルを0.2μmのニトロセルロースフィルター上に電気ブロットした。ブロットを、Tris緩衝生理食塩水+1% Tween20(TBST)で洗浄した後、TBST+5%粉末乾燥ミルクで30分間遮断した。分子重量マーカーレーンに沿って、ブロットをストリップに切断した。それぞれ還元および非還元CGRP R-muFcを有する1つのストリップを、精製されたhuCGRP R抗体4E4、9F5、または3B6(TBST+5%ミルク中1:500希釈)、ヤギ抗huRAMP1 N-20(1:500、Santa Cruz Biotechnology,Inc)、ウサギ抗マウスIgG-Fc-HRP(1:10,000)(Pierce)、またはヤギ抗ヒトIgG-Fc-HRP(1:10,000)(Pierce)で培養した。ブロットを抗体で1時間培養した後、TBST+1%ミルクで3x10分洗浄した。次に、huCGRP Rで処理したブロットを、ヤギ抗マウスIgG-Fc-HRP(TBST+1%ミルク中1:10,000)で培養し、抗huRAMP1(N-20抗RAMP1ヤギポリクローナル抗体、Santa Cruz Biotech,CA)で処理したブロットを、ウサギ抗ヤギIgG-Fc-HRP(1:10,000)で20分間培養した。ブロットを、TBSTで3x15分洗浄した。huCGRP Rおよび抗huRAMP1抗体ブロットは、Pierce Supersignal West Pico検出試薬で処理し、抗マウスおよび抗ヒトIgG-Fc-HRPブロットは、Pierce標準検出試薬で処理した(1分)。次に、ブロットをKodak Biomax MS X線フィルムに曝露した。
【0423】
3つのCGRP受容体抗体、4E4、9F5および3B6はすべて、可溶性CGRP R-muFc(RAMP1-ECDおよびCRLR ECDを含む)を、非還元条件下で検出することがでたが、還元条件下ではできず、これらのCGRP R抗体の結合エピトープが立体配座であり、ジスルフィド結合(RAMP1-ECDにおける3つの対、およびCRLR N-terECDにおける3つの対)に敏感であったことを示した。対照的に、市販の抗RAMP1抗体N-20(Santa Cruz Biotech)は、還元および非還元条件の両方でRAMP1と結合し、N-20抗体の結合部位が、主に線形であり、ジスルフィド結合に敏感でないことを示している。
【実施例0424】
キメラ受容体に対するCGRP受容体遮断抗体の結合
天然RAMP1とキメラCRLR、または天然CRLRとキメラRAMP1のいずれかで形成されるCGRP受容体を使用して、抗体結合に関与するCGRP受容体配列を特定した。試験したヒトCGRP受容体遮断交代のすべてが、ラットCGRP受容体に対する機能的活性を示すことができなかったため、キメラ成分は、ヒト配列バックグラウンドにおいて、ラット配列の領域を含んでいた。以下のキメラを、FACSによる結合分析用に生成した。
RAMP1キメラ番号1(Q28~A34)、配列番号217
ヒトRAMP1におけるアミノ酸残基Q28~A34を、ラットRAMP1からの対応する配列で置換した。この範囲は、ヒトとラットRAMP1との間で異なる5つのアミノ酸残基を含んだ。
RAMP1キメラ番号2(Q43~E53)、配列番号218
ヒトRAMP1におけるアミノ酸残基Q43~E53を、ラットRAMP1からの対応する配列で置換した。この範囲は、ヒトとラットRAMP1との間で異なる6つのアミノ酸残基を含んだ。
RAMP1キメラ番号3(R67~E78)、配列番号219
ヒトRAMP1におけるアミノ酸残基R67~E78を、ラットRAMP1からの対応する配列で置換した。この範囲は、ヒトとラットRAMP1との間で異なる7つのアミノ酸残基を含んだ。
CRLRキメラ番号1(L24~Q33)、配列番号223
ヒトCRLRにおけるアミノ酸残基L24~Q33を、ラットCRLRからの対応する配列で置換した。この範囲は、ヒトCRLRとラットCRLRとの間で異なる8つのアミノ酸残基を含んでいた。
【0425】
図11は、カニクイザル(配列番号215)、ヒト(配列番号4)、ラット(配列番号214)、およびアカゲザル(配列番号216)からのRAMP1アミノ酸配列の整列を、RAMP1キメラ番号1(配列番号217)、キメラ番号2(配列番号218)およびキメラ番号3(配列番号219)の配列とともに示す。図12Aおよび12Bは、ヒト(配列番号2)、カニクイザル(配列番号221)、アカゲザル(配列番号222)、ラット(配列番号220)からのCRLRアミノ酸配列の整列、ならびにCRLRキメラ番号1(配列番号223)のアミノ酸配列を示す。
【0426】
293-6E細胞を、CGRP RキメラDNA組成(CRLR wt+RAMP1 Q28-A34、CRLR wt+RAMP1 Q43-E53、CRLR wt+RAMP1 R67-E78、CRLR L24-Q33+RAMP wt、CRLR wt+RAMP1 wt、pTT5ベクター対照)により一時的にトランスフェクトした。72時間後に細胞を収集し、PBS+0.5%BSAで洗浄して、計数した。各トランスフェクトした細胞株は、100μL PBS/BSA当たり5x10細胞の希釈で再懸濁した。100μLの細胞懸濁液は、96ウェルの丸底プレート(Falcon)中のウェル当たりのアリコートであった。細胞を1200rpmで5分間ペレットした。上清を除去し、0.5μgの精製ヒトCGRP R抗体1H7、2E7、3B6、9F5、4H6、12G8、3C8、10E4、11D11、32H8、または33B5を含有する100μLで置き換えた。対照ウェルを抗DNA huIgG2(0.5μg)、Alexa647-CGRPペプチド(0.5μg)、またはPBS/BSA単独で処理した。細胞は、氷上で1時間培養した後、PBS/BSAで2回洗浄した。細胞を抗hug-Fc-FITC(0.5μg)を含有する100μL/ウェルのPBS/BSA中に再懸濁した。(Alexa647-CGRP処理した細胞を除く)。細胞を氷上で1時間、暗所で培養した後、PBS/BSAで2回洗浄した。細胞を200μLのPBS/BSA中に再懸濁し、FACS較正器を使用して分析した。
【0427】
10個の代表的な遮断抗体(3B6、9F5、4H6、12G8、3C8、10E4、32H7、4E4、11D11および1H7)および2つの非遮断抗体(32H8および33B5)を試験した。代表的なデータ(9F5抗体)を、図13A、13B、および13Cに示す。図13Aは、野生型のCGRP受容体に対する結合を示し、図13Bは、CRLR L24-Q33キメラを含むCGRP受容体に対する結合を示し、図13Cは、RAMP1 Q28-A34キメラを含むCGRP受容体に対する結合を示す。FACS分析は、予想されたとおり、12個の抗体すべてが、野生型ヒトCGRP受容体対照に結合することを示した。12個の抗体すべては、3つのRAMP1キメラRAMP1(Q28-A34)、(Q43-E53)および(R67-E78)のうちのいずれに対しても、有意に減少した結合を示した。これは、(1)キメラ受容体の発現レベルがはるかに低かったこと、(2)RAMP1キメラが、ヒトCRLRの折り畳みに失敗し、受容体複合体の構成を変更したこと、および/または(3)RAMP1上のこれら3つの選択された領域が、CGRP受容体に対するこれらの抗体の結合に直接関与することに起因する。
【0428】
FACS追跡をゲートコントロールして、極めて小さい「発現」細胞集団のみを含めた場合、非遮断抗体33B5および32H8は、遮断抗体と比較して、RAMP1 Q43-E53キメラに対して絶えず良好に結合していないようであり、RAMP1 Q43-E53領域に対する結合が、非遮断抗体に対してより重要であり得ることを示唆する。一方、33B5および32H8は、絶えず遮断抗体よりも良好にRAMP1 R67-E78キメラに結合し、RAMP1 R67-E78配列が、遮断抗体に対してより重要であり得ることを示唆する。
【0429】
試験したすべてのCGRP受容体抗体は、CRLRキメラ(L24-Q33)に対して適度に良好に結合し、この部位は、遮断抗体の結合に必須でないことを示唆する。
【0430】
要約すると、データは、RAMP1(Q28-A34)、(Q43-E53)および(R67-E78)上の3つの不連続領域が、CGRP受容体への抗体の結合に関与し得、(R67-E78)が遮断抗体に対してより重要であることを示す。CRLRのN末端配列(L24-Q33)は、本方法によって分析すると、CGRP受容体抗体の結合に強く関与するようではなかった。本アプローチは、この分析において標的とされたヒトとラットCGRP受容体との間での同一または類似する配列を共有する、追加の結合部位を除外するものではない。
【実施例0431】
プロテアーゼ保護検定による抗CGRP R中和抗体のヒトCGRP Rエピトープの特定
CRLR-Fc融合分子の成熟形態におけるCRLR部分(シグナルペプチドが除去されている、配列番号10として本明細書に開示)は、116個のアミノ酸(グリシンリンカーに先行する)を含み、3つのジスルフィド結合の形成によって形成される3つの大きいループ構造を有する。CRLRにおける3つのジスルフィド結合は、配列位置26におけるCys1であり(このパラグラフに列挙されるすべてのCRLR配列位置は、配列番号10として提示される成熟配列に関する)、配列位置52においてCys3に結合され(CRLR C1-C3と称される)、配列位置43におけるCys2は、配列位置83におけるCys5に結合され(CRLRC2-C5と称される)、配列位置66におけるCys4は、配列位置105におけるCys6に結合される(C4-C6と称される)。RAMP1-Fc融合分子の成熟形態におけるRAMP1部分は、グリシンリンカーに先行して91個のアミノ酸(配列番号11)を含み、これも3つの分子内ジスルフィド結合を形成する。RAMP1における3つのジスルフィド結合は、配列位置1においてCys1であり(このパラグラフに列挙されるすべてのRAMP1配列位置は、配列番号11として提示される成熟配列に関する)、配列位置56におけるCys5に結合され(RAMP1 C1-C5と称される)、配列位置14におけるCys2は、配列位置46におけるCys4に結合され(RAMP1 C2-C4に参照される)、配列位置31におけるCys3は、配列位置78におけるCys6に結合される(RAMP1 C3-C6と称される)。
【0432】
抗CGRP中和モノクローナル抗体によって結合されるヒトCGRP受容体タンパク質の領域を、hCGRP Rを特定のプロテアーゼを有するペプチドへ断片化すること、および得られたhCGRP Rペプチド(すなわち、CRLRおよびRAMP1部分のジスルフィドおよび非ジスルフィド含有ペプチド断片の両方)の配列を決定することによって特定した。次に、プロテアーゼ保護検定を行って、結合モノクローナル抗体の存在下でのhCGRP Rのタンパク質分解消化を決定した。この検定の一般原理は、CGRP Rに対するmAbの結合が、ある特定のプロテアーゼ開裂部位の保護をもたらし得るということであり、この情報を使用して、mAbが結合する領域または部分を決定することができる。
【0433】
簡潔に述べると、ペプチド消化物は、HPLCペプチドマッピングに供され、個別のピークが収集され、オンライン電気スプレーイオン化LC-MS(ESI-LC-MS)分析および/またはN末端配列決定によって、ペプチドが特定およびマップされた。これらの試験に対するすべてのHPLC分析は、オフライン分析の場合は、狭孔逆相C18カラム(2.1mm i.d.x15cm長、Zorbax300SB、5μm、Agilent Technologies)を使用して行い、LC-MSの場合は毛細血管逆相C18カラム(0.5mm i.d.x25cm、Vydac C18 MS、5μm、The Separation Group)を使用して行った。HPLCペプチドマッピングは、0.05%トリフルオロ酢酸(移動相A)から0.05%トリフルオロ酢酸中の90%アセトニトリルへの線形勾配を用いて行った。カラムは、90分かけて、オフラインまたはオンラインLC-MS分析の場合、狭孔HPLCに対して0.25mL/分の流速で、オンラインLC-MS分析の場合、毛細血管HPLCに対して0.018mL/分で展開した。
【0434】
成熟型のヒトCGRP Rを、AspN(アミノ末端におけるアスパラギン酸およびいくつかのグルタミン酸残基の後に開裂する)によって、約100μgのCGRP Rを、0.1Mリン酸ナトリウム(pH6.5)中1.0mg/mLで、20時間、37℃で、2μgのAspNを用いて培養することによって消化した。
【0435】
AspN消化のHPLCクロマトグラフィは、図14に示されるようなペプチドプロファイル(各試料に30μgを注入)、CGRP R単独の場合のクロマトグラム標識A(濃度1mg/mL)を生成し、一方、同様の量のCGRP R中和抗体による対照消化、クローン12G8は、抗体が、AspNエンドプロテイナーゼ(クロマトグラム標識B、CGRP R:抗体比率、それぞれ重量比で100:2、100:7、100:20)に対して本質的に耐性があることを示す。配列分析は、HPLCから回復されたペプチドピークにに対するオンラインLC-MS/MSおよびEdman配列決定によって行った。ペプチド消化のオンラインESI LC-MS分析を行って、HPLCによって分離されたペプチドの正確な質量および配列を決定した。したがって、AspN消化からのペプチドピークに存在するいくつかのペプチドが何であるかを決定した(図14において番号付きピークとして表示される)。以下の表14は、hCGRP Rの対応する成分(CRLRまたはRAMP1)におけるこれらのペプチド配列の位置を示す。数字またはXが続く大文字のCは、CRLRペプチドとして特定されたペプチドを表し、数字またはXが続く大文字のRは、RAMP1ペプチドであり、「Fc」は、CRLR-FcおよびRAMP1-Fc融合分子から放出される大きい未消化のFc断片を表す。
【0436】
【表14】
【0437】
図15は、CGRP R単独(クロマトグラム標識A)によるAspN消化実験(各試料に30μgを注入)と、中和抗体12G8(クロマトグラム標識B)の存在下で行われたものとの比較を示す。CGRP R:抗体の重量比は、1:1であった。いくつかのピーク(C5、C6、およびC7)は、クロマトグラムAに対してクロマトグラムBのピーク高の減少を示すが、2つの他のピーク(C-XおよびR-X)は、クロマトグラムAに対してクロマトグラムBのピーク高の増加を示す。同様のペプチドマップパターンが、同様の量において異なる中和抗CGRP抗体(10E4、3B6、3C8、または4E4)が、クロマトグラム標識Cに見られるように、消化試料に存在した場合にも認められた。C6およびC7はいずれも、ジスルフィド結合ペプチドであり、CRLR分子の主要部分をカバーするが、C5は、分子のN末端に存在するCRLR非ジスルフィド含有ペプチドであり、C7ジスルフィドペプチドに対して最後から二番目である。ピークC-Xは、複数の配列との3つのCRLRジスルフィド結合を含み、少なくとも2~3個のペプチドが、ジスルフィド結合によって一緒に結合されることを示す。ピークC-Xが、CGRP中和抗体の存在下で、CGRP R消化におけるピーク高を増加させたという事実は、抗体が、Glu25およびAsp55に関連するいくつかの開裂部位において、AspN消化からCGRP Rを保護したことを示す。抗体は、ペプチドC2およびC4のピーク強度が全く減少しなかったため、Asp33およびAsp72に対して有意な保護効果を有するとは考えられない。したがって、抗体は、Cys53とCys66との間のループ領域と一緒に、CRLR C1~C3およびCRLR C4~C6ジスルフィド領域を含む、CRLRの領域に結合すると考えられる。
【0438】
CGRP RのAspNマッピングは、RAMP1ジスルフィドペプチド(R2)およびRAMP1非ジスルフィドペプチド(R1)も特定した(表14および図14を参照)。上述の中和抗体(12G8、10E4、4E4、3B6または3C8)のうちのいずれの存在下でも、ペプチドR-Xは、試料中に抗体を有しない消化から得られたものよりも有意に高いピーク強度で回復した。質量および配列分析は、R-xが、Cys1とArg86との間のRAMP1配列に対応する単一のポリペプチド鎖を含むことを示した。これらの実験は、CGRP R中和抗体が、AspNタンパク質分解消化からRAMP1の有意領域を保護することができることを示す。
【0439】
CGRP R AspNタンパク質分解の保護効果が、(抗CGRP R非中和抗体と比較して)CGRP R中和(遮断)抗体に特異的であるか否かを評価するために、CGRP R活性を中和しない、非関連制御モノクローナル抗体の存在下で、CGRP RのAspN消化を行った。結果を、図15のクロマトグラムDに示す。非中和抗体は、CGRP R AspNタンパク質分解に対して、有意な遮断効果を全く示さず、実際に、ペプチドマッププロファイル(クロマトグラムD)は、CGRP R単独の消化に由来するプロファイル(クロマトグラムA)に対する関連態様とほぼ区別不可能である。
【0440】
タンパク質分解保護効果は、消化試料に添加される濃度に依存した。図16に示されるように、可変量の抗CGRP R中和抗体4E4(CGRP R:抗体のマイクログラム比率、それぞれ100:2、100:7、100:20重量別)を伴う試料(100μg)中の固定CGRP R定量を、Adpenタンパク質分解について行った。保護プロファイルを認めることができ、保護は、抗体濃度に依存する。
【0441】
まとめると、これらのデータは、本明細書に開示される抗CGRP R抗体を遮断または中和することが、CGRP R(CRLRおよびRAMP1成分の両方において)をAspNタンパク質分解から遮断し得ることを証明し、これらの抗体がCGRP受容体に結合する場合、遮断抗体は、CRLRおよびRAMP1の両方に結合することを示唆する。さらに、保護効果は、抗体濃度に依存する。これらの結果は、CGRP R中和抗体が、AspN開裂部位に近いヒトCGRP R上の共通領域に結合することも示す。
【実施例0442】
cAMP機能検定における市販の抗RAMP1および抗CRLR抗体
ヒトCGRP受容体の1つまたは他の成分(RAMP1またはCRLR)に対する市販の抗体を、上記実施例4に記載されるようなHTB-10細胞を使用して、CGRP受容体媒介性cAMP検定においてスクリーニングし、抗体が生物活性を有するか否かを決定した。データを、以下の表15に提示する。それらの抗体は、本明細書に開示される典型的な抗体が強い生物活性を有する濃度範囲において、検出不可能(「ND」)、非常に弱い(「VW」)、または弱い(「W」)生物活性のいずれかを有した。
【0443】
【表15】
【実施例0444】
異なる受容体成分を発現する細胞の免疫組織化学染色
2-4x10個の細胞を、コラプラグ(Integra LifeSciences Co.,Plainsboro,NJ)ごとに注入した。コラプラグをOCT培地(Sakura Finetek Inc.,Torrance,CA)に埋め込み、-20℃で凍結させ、クリオスタットを使用して、20μmの切片に切断した。切片を4%パラホルムアルデヒドで1時間、室温(RT)で固定し、続いて、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。内因性ペルオキシダーゼを3% H/PBSで15分間遮断し、続いて、切片を遮断溶液(3%正常ヤギ血清(Vector Labs,Burlingame,CA)および0.3%トリトンX-100を含むPBS)中で1時間培養した。続いて、切片をヒト抗CGRP受容体一次抗体(32H7、0.03-0.1μg/mL)中、4℃で一晩培養し、PBS中で洗浄して、1%正常ヤギ血清中の二次抗体(ビオチン化ヤギ抗ヒトIgG Fc断片、1:800、Jackson Immunoresearch,West Grove,PA)において1時間、室温で培養した。Vector Eliteキットを使用し、製造者(Vector Labs,Burlingame CA)に従って、免疫反応を増幅させ、色原体として3,3’-ジアミノベンジジン-ニッケル(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)を使用して、染色を展開させた。切片をキシレンでクリアし、Permountにより(Fisher Chemicals,Fair Lawn,NJ)カバースリップした。免疫反応は、Nikon E-800顕微鏡および関連ソフトウェア(Nikon,Melville,NY)を使用して分析した。
【0445】
上述のように抗体32H7を使用した、異なる受容体成分(以下に同定)を発現する細胞からのデータは、組み換えヒトCGRP受容体(CRLR+RAMP1、「CHO/CGRP R細胞」)を発現するCHO細胞の顕著な発現およびCGRP(はるかに低い受容体密度に起因して)受容体を内因的に発現するSK-N-MC細胞の弱い染色を明らかにした。親CHO細胞株、未関連の組み換えタンパク質(TRPM8)を発現するCHO細胞、対応する32H7抗原による事前吸収後のCHO/CGRP R細胞、組み換えヒトアドレノメデュリン受容体2(CRLR+RAMP3)を発現するCHO細胞、アミリン受容体を内因的に発現するMCF-7細胞、ヒトアドレノメデュリン受容体1(CRLR+RAMP2)を発現するHEK細胞、または親HEK細胞において染色は認められなかった。これらの実験からのデータを、以下の表16に要約す。
【0446】
【表16】
【0447】
特定されるすべての特許および他の発行物は、例えば、本明細書に開示される主題との関連で使用され得るそのような発行物に記載される方法を説明および開示する目的で、参照することにより本明細書に明示的に組み込まれる。これらの発行物は、本出願の提出日に先行しする、開示についてのみ提供される。この点において、発明者が、先行発明であるというだけで、または任意の他の理由で、そのような開示に先行することを認められないことを承認するものとして見なされるべきではない。これらの文書の内容に関する日付または表現に関するすべての陳述は、出願人が入手可能な情報に基づき、これらの文書の日付または内容の正当性に関して、何らかの承認をもたらすものではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17
【配列表】
2023116783000001.app
【外国語明細書】