(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011682
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】水素豊富水を生成するための組成物及び他の製品
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20230117BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230117BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20230117BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20230117BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20230117BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230117BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230117BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L2/02 A
A23L2/52 101
A61K8/19
A61K8/36
A61K8/34
A61Q19/10
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】51
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022167997
(22)【出願日】2022-10-19
(62)【分割の表示】P 2019523197の分割
【原出願日】2017-07-17
(31)【優先権主張番号】62/362,841
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519012529
【氏名又は名称】エイチツー ウォーター テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】H2 WATER TECHNOLOGIES LTD
【住所又は居所原語表記】David Smalley Law Office 2300-1066 W Hastings St. Vancouver, British Columbia V6E 3X2 (CA)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ターナバ, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ホーランド, リチャード, ジェームス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、水素豊富水、栄養補助食品、化粧品、医薬品、及び他の製品を生成するための組成物を提供する。
【解決手段】一つの実施形態において、本発明は、マグネシウム金属、少なくとも1種類の水溶性酸、及び結合剤を含む組成物、例えば、錠剤を提供する。マグネシウム金属及び少なくとも1種類の水溶性酸は、7未満のpHを、例えば、反応の特定の期間後に、維持するのに十分な量で、且つ容器、例えば、密封容器又は開放容器中の50mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2、例えば、100mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2、又は500mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2の濃度を維持するのに十分な量で、存在し得る。組成物はまた、滑沢剤を含んでよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム金属;
少なくとも1種類の酸;及び
結合剤
を含む、組成物であって、
前記組成物が5分未満で崩壊し、大気圧及び室温で、容器中の50mLの水と接触した後に、少なくとも0.5mMのH2を生成する、
組成物。
【請求項2】
前記組成物が摩損度の製剤試験に合格する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が2分未満で崩壊する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が水と接触した後少なくとも10分間、水のpHが7未満のままである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記マグネシウム金属がフレークを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記マグネシウム金属が-325メッシュフレークを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記マグネシウム金属が粉砕される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記マグネシウム金属が200メッシュ以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
マグネシウム金属の量が5-500mgである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種類の酸が食用酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種類の食用酸が、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、ギ酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、及び酒石酸、又はそれらの混合からなる群より選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種類の食用酸が酒石酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種類の食用酸がリンゴ酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種類の食用酸が60メッシュ以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種類の酸が、化粧品的に又は医薬的に許容される酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
化粧品的に又は医薬的に許容される酸が、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、グルコへプトン酸、グリセロリン酸、ヘミ硫酸、ヘプトン酸、ヘキサン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチン酸、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸、それらの立体異性体、アルファ酸のすべての形態(例えば、α-ルプリン酸)、ポリカルボン酸、ルイス酸、又はそれらの組み合わせである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1種類の酸の量が30-4000mgである、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記結合剤が、マンニトール、キシリトール、マルトース、デキストロース、又はラクトースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記結合剤がデキストロースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記結合剤がラクトースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
水溶性滑沢剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記水溶性滑沢剤が、フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記水溶性滑沢剤がフマル酸ステアリルナトリウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記容器が大気に開放される、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記容器が密閉される、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、水との接触の7日後に、7未満のpHを維持する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、水と接触して崩壊するにつれて、反応しH2を生成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記マグネシウム金属及び少なくとも1種類の酸が、少なくとも2mMのH2を生成するのに十分な量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
栄養補給剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記栄養補給剤がマグネシウム塩である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
甘味料又は香味剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
着色剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
香料をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
精油をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
多糖類をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
前記多糖類が、セルロース及びその誘導体、デンプン、リンゴ粉末、レモン粉末、ライム粉末、グレープフルーツ粉末、サイリウムハスク、及びペクチンからなる群より選択される、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
マグネシウム金属;
少なくとも1種類の水溶性酸;及び
結合剤
を含む組成物であって、
前記組成物が、大気圧及び室温で、容器中の50mLの水と接触した後に、少なくとも0.5mMのH2を生成し、前記少なくとも1種類の水溶性酸が少なくとも0.01g/mLの溶解性を有する、
組成物。
【請求項38】
前記組成物が摩損度の製剤試験に合格する、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記組成物が2分未満で崩壊する、請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記マグネシウム金属がフレークを含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
前記マグネシウム金属が-325メッシュフレークを含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項42】
前記マグネシウム金属が粉砕される、請求項37に記載の組成物。
【請求項43】
前記マグネシウム金属が200メッシュ以下である、請求項37に記載の組成物。
【請求項44】
マグネシウム金属の量が5-500mgである、請求項37に記載の組成物。
【請求項45】
前記少なくとも1種類の水溶性酸が、水において少なくとも0.05g/mLの溶解性を有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項46】
前記少なくとも1種類の水溶性酸が、水において少なくとも0.1g/mLの溶解性を有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項47】
前記少なくとも1種類の酸、水溶性酸が、水において少なくとも1g/mLの溶解性を有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項48】
前記少なくとも1種類の酸、水溶性酸が食用酸を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項49】
前記少なくとも1種類の水溶性食用酸が、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、ギ酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、及び酒石酸、又はそれらの混合からなる群より選択される、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記少なくとも1種類の水溶性食用酸が酒石酸である、請求項37に記載の組成物。
【請求項51】
前記少なくとも1種類の水溶性食用酸がリンゴ酸である、請求項37に記載の組成物。
【請求項52】
前記少なくとも1種類の水溶性食用酸が60メッシュ以下である、請求項37に記載の組成物。
【請求項53】
前記少なくとも1種類の水溶性酸が、化粧品的に又は医薬的に許容される酸である、請求項37に記載の組成物。
【請求項54】
化粧品的に又は医薬的に許容される酸が、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、グルコへプトン酸、グリセロリン酸、ヘミ硫酸、ヘプトン酸、ヘキサン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチン酸、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸、それらの立体異性体、アルファ酸のすべての形態(例えば、α-ルプリン酸)、ポリカルボン酸、ルイス酸、又はそれらの組み合わせである、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
前記少なくとも1種類の水溶性酸の量が30-4000mgである、請求項37に記載の組成物。
【請求項56】
前記結合剤が、マンニトール、キシリトール、マルトース、デキストロース、又はラクトースである、請求項37に記載の組成物。
【請求項57】
前記結合剤がデキストロースである、請求項37に記載の組成物。
【請求項58】
前記結合剤がラクトースである、請求項37に記載の組成物。
【請求項59】
水溶性滑沢剤をさらに含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項60】
前記水溶性滑沢剤が、フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項61】
前記水溶性滑沢剤がフマル酸ステアリルナトリウムである、請求項37に記載の組成物。
【請求項62】
前記容器が大気に開放される、請求項37に記載の組成物。
【請求項63】
前記容器が密閉される、請求項37に記載の組成物。
【請求項64】
前記組成物が、水との接触の7日後に、7未満のpHを維持する、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
前記組成物が、水と接触して崩壊するにつれて、反応しH2を生成する、請求項39に記載の組成物。
【請求項66】
前記マグネシウム金属及び少なくとも1種類の水溶性酸が、500mLの水において少なくとも2mMのH2を生成するのに十分な量で存在する、請求項37に記載の組成物。
【請求項67】
栄養補給剤をさらに含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項68】
前記栄養補給剤がマグネシウム塩である、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
甘味料又は香味剤をさらに含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項70】
着色剤をさらに含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項71】
香料をさらに含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項72】
精油をさらに含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項73】
多糖類をさらに含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項74】
前記多糖類が、セルロース及びその誘導体、デンプン、リンゴ粉末、レモン粉末、ライム粉末、グレープフルーツ粉末、サイリウムハスク、及びペクチンからなる群より選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項75】
マグネシウム金属;
少なくとも1種類の酸;及び
結合剤
を含む組成物であって、
前記組成物が、大気圧及び室温で、容器中の50mLの水と接触した後に、少なくとも0.5mMのH2を生成し、接触後10分間7未満のpHを維持する、
組成物。
【請求項76】
前記組成物が摩損度の製剤試験に合格する、請求項75に記載の組成物。
【請求項77】
7未満のpHが、水との接触の30分後に維持される、請求項75に記載の組成物。
【請求項78】
7未満のpHが、水との接触の1時間後に維持される、請求項75に記載の組成物。
【請求項79】
前記マグネシウム金属がフレークを含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項80】
前記マグネシウム金属が-325メッシュフレークを含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項81】
前記マグネシウム金属が粉砕される、請求項75に記載の組成物。
【請求項82】
前記マグネシウム金属が200メッシュ以下である、請求項75に記載の組成物。
【請求項83】
マグネシウム金属の量が5-500mgである、請求項75に記載の組成物。
【請求項84】
前記少なくとも1種類の酸が食用酸を含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項85】
前記食用酸が、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、ギ酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、及び酒石酸、又はそれらの混合からなる群より選択される、請求項84に記載の組成物。
【請求項86】
前記少なくとも1種類の酸が酒石酸である、請求項75に記載の組成物。
【請求項87】
前記少なくとも1種類の酸がリンゴ酸である、請求項75に記載の組成物。
【請求項88】
前記少なくとも1種類の酸が60メッシュ以下である、請求項75に記載の組成物。
【請求項89】
前記少なくとも1種類の酸が、化粧品的に又は医薬的に許容される酸である、請求項75に記載の組成物。
【請求項90】
化粧品的に又は医薬的に許容される酸が、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、グルコへプトン酸、グリセロリン酸、ヘミ硫酸、ヘプトン酸、ヘキサン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチン酸、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸、それらの立体異性体、アルファ酸のすべての形態(例えば、α-ルプリン酸)、ポリカルボン酸、ルイス酸、又はそれらの組み合わせである、請求項89に記載の組成物。
【請求項91】
前記結合剤が、マンニトール、キシリトール、マルトース、デキストロース、又はラクトースである、請求項75に記載の組成物。
【請求項92】
水溶性滑沢剤をさらに含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項93】
前記マグネシウム金属及び酸が、4-6のpHを生成するのに十分な量で存在する、請求項75に記載の組成物。
【請求項94】
前記マグネシウム金属及び酸が、少なくとも2mMのH2を生成するのに十分な量で存在する、請求項75に記載の組成物。
【請求項95】
栄養補給剤をさらに含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項96】
前記栄養補給剤がマグネシウム塩である、請求項75に記載の組成物。
【請求項97】
甘味料又は香味剤をさらに含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項98】
着色剤をさらに含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項99】
香料をさらに含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項100】
精油をさらに含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項101】
多糖類をさらに含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項102】
前記多糖類が、セルロース及びその誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、リンゴ粉末、レモン粉末、ライム粉末、グレープフルーツ粉末、サイリウムハスク、及びペクチンからなる群より選択される、請求項101に記載の組成物。
【請求項103】
請求項1-102のいずれか一項に記載の組成物及び100mL-2Lの水を保持することができる密封可能な容器を含む、キット。
【請求項104】
前記容器が二重壁である、請求項103に記載のキット。
【請求項105】
前記容器が、250-750mLの水を保持することができる、請求項103に記載のキット。
【請求項106】
水素豊富水を生成する方法であって、前記方法が、
請求項1-102のいずれか一項に記載の組成物を容器中の水と接触させるステップであって、その結果前記組成物が崩壊し、前記マグネシウム金属及び少なくとも1種類の酸が反応してH2を生成する、ステップを含む、方法。
【請求項107】
7未満のpHが少なくとも1時間維持される、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
pHが4-6である、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記水が果物ジュースを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項110】
H2の濃度が少なくとも0.5mMである、請求項106に記載の方法。
【請求項111】
水素を被験体に投与する方法であって、前記方法が、請求項1-102のいずれか一項に記載の組成物から生成された水素を含有する組成物を被験体に提供するステップを含む、方法。
【請求項112】
水素を含有する前記組成物が栄養補助食品又は局所製剤である、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記栄養補助食品が飲料である、請求項111又は112に記載の方法。
【請求項114】
水素で富化された組成物であって、前記組成物が、少なくとも0.5mMの濃度で担体中に溶解した水素を含み、前記組成物のpHが7未満である、組成物。
【請求項115】
前記担体が、食用であるか又は化粧品又は医薬品グレードである、請求項114に記載の組成物。
【請求項116】
前記担体が、水性液体、クリーム、ローション、フォーム、ペースト、又はゲルである、請求項114又は115に記載の組成物。
【請求項117】
飲料である、請求項114に記載の組成物。
【請求項118】
水素の最大濃度が20mMである、請求項114に記載の組成物。
【請求項119】
pHが4-6である、請求項114に記載の組成物。
【請求項120】
pHが4.6である、請求項114に記載の組成物。
【請求項121】
栄養補給剤をさらに含む、請求項114に記載の組成物。
【請求項122】
前記栄養補給剤がマグネシウムイオンを含む、請求項121に記載の組成物。
【請求項123】
甘味料、香味剤、着色剤、香料、精油、多糖類、結合剤、又は水溶性滑沢剤をさらに含む、請求項114に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
分子状水素は、様々な疾患傷害に対して潜在的な治療用途があることが分かっている。例えば、H2は、皮膚のしわを減少させる方法(J. Photochem. Photobiol. B. 2012; 106:24-33)、アトピー性皮膚炎の処置(Evid. Based Complement. Alternat. Med. 2013; 2013:538673)、及び放射線療法の処置後レジメン(Biochem. J., 2012, 442(1); 49-56)としての用途を有することが知られている。水素豊富水は、分子状水素を被験体に投与することのできる1つの方法を表す。水素豊富水を生成する一般的な電解法及び卑金属法は、典型的には、低H2濃度のアルカリ性溶液を生じる。
【0002】
H2(及びそれ故に水素豊富水)のすぐに飲むことのできる容器を作製することには、技術的課題がある。十分な量で水をH2ガスで飽和させるためにしばしば使用される器材は、高価であり且つ大部分は効果がない。利用される場合、H2は、ヘンリーの法則のとおりに、SATP条件下で、0.8mM又は1.6ppmの最大濃度で溶解させることができる。H2のこの濃度を、任意の期間保持するためには、容器はヘッドスペースを有することができない、又はヘッドスペースへのH2放散が平衡に達することを可能にするために飲料を過飽和にしなければならない。ヘッドスペースが存在しない場合であっても、市場の他の商業製品に見られるように、容器中のH2のレベルは約1ppmまで迅速に低下し、格納技術、ヘッドスペースのレベル、及び初期濃度に応じて、0ppmに向かって低下し続ける。いくつかの製品は、それらが消費者に届く時まで、H2をほぼ保持していない。例えば、日本政府は最近、H2を含有する消費財を評価し、そのほとんどにおいて検出可能なレベルのH2が存在していなかったことを見出した(http[[://]]www.kokusen.go.jp/news/data/n-20161215_2.html)。
【0003】
したがって、溶存水素濃度を最大化する、水素豊富水を生成するための新規の組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の概要
本発明は、水素豊富水、栄養補助食品、化粧品、医薬品、及び他の製品を生成するための組成物を提供する。一つの実施形態において、本発明は、マグネシウム金属、少なくとも1種類の水溶性酸、及び結合剤を含む組成物、例えば、錠剤を提供する。マグネシウム金属及び少なくとも1種類の水溶性酸は、7未満のpHを、例えば、反応の特定の期間後に、且つ容器、例えば、密封容器又は開放容器中の50mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2、例えば、100mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2、又は500mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2の濃度を維持するのに十分な量で、存在し得る。組成物はまた、滑沢剤を含んでよい。
【0005】
別の態様において、本発明は、マグネシウム金属、少なくとも1種類の水溶性酸、及び結合剤を含有する組成物を提供し、ここで少なくとも1種類の水溶性酸が、水において少なくとも0.01g/mLの溶解性を有する。ある実施形態において、組成物は、5分未満で、具体的には2分未満で崩壊する。ある実施形態において、組成物は、大気圧及び室温で、容器中の50mLの水と接触した後に、少なくとも0.5mMのH2、例えば、100mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2、又は500mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2を生成する。組成物はまた、滑沢剤を含んでよい。
【0006】
上記の態様のある実施形態において、組成物は、5分未満で、例えば、2分未満で崩壊する。ある実施形態において、崩壊した組成物は、水と接触して10分後に、7未満のpHを維持し、大気圧及び室温で、容器中の50mLの水と接触した後に、少なくとも0.5mMのH2、例えば、100mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2、又は500mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2を生成する。
【0007】
別の態様において、本発明は、マグネシウム金属、少なくとも1種類の酸、及び結合剤を含有する組成物を提供し、ここで、組成物が5分未満で崩壊して、崩壊後10分間7未満のpHを維持し、大気圧及び室温で、容器中の50mLの水と接触した後に、少なくとも0.5mMのH2、例えば、100mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2、又は500mLの水における反応後に少なくとも0.5mMのH2を維持する。
【0008】
上記の態様のうち任意のある実施形態において、組成物が摩損度の製剤試験に合格する。ある実施形態において、組成物が水と接触して10、15、20、30、又は45分後に、水のpHが7未満である。ある実施形態において、組成物が水と接触して少なくとも1時間後に、水のpHが7未満である。ある実施形態において、容器が大気に開放される。ある実施形態において、容器が密閉される。ある実施形態において、容器が密閉された場合、水との接触の7日後にpHが7未満のままである。ある実施形態において、組成物が水中で崩壊するにつれて組成物中のマグネシウムが反応して、H2を生成する、すなわち、その崩壊の速度及びマグネシウムの消費の速度が実質的に同じである。
【0009】
マグネシウム金属の量は、例えば、5-500mg、例えば、5-100mgである。酸の量は、例えば、30-4000mg、例えば、200-400mgである。ある実施形態において、マグネシウム金属及び酸が、4-6のpHを維持するのに十分な量で存在する、及び/又はマグネシウム金属及び酸が、容器、例えば、密封容器又は開放容器中の50mLの水において少なくとも2mMのH2、例えば、100mLの水における反応後に少なくとも2mMのH2、又は500mLの水における反応後に少なくとも2mMのH2の濃度を生成するのに十分な量で存在する。ある実施形態において、マグネシウム金属が、フレーク、例えば、-325メッシュフレークを含む。他の実施態様において、マグネシウム金属が、例えば、200メッシュ以下に粉砕される。いくつかの実施形態において、少なくとも1種類の酸が食用酸である。食用酸は、例えば、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、ギ酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、酒石酸、又はそれらの組み合わせである。例示的な食用酸は酒石酸及びリンゴ酸である。いくつかの実施形態において、酸が、化粧品的に又は医薬的に許容される酸である。化粧品的に又は医薬的に許容される酸は、例えば、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、グルコへプトン酸、グリセロリン酸、ヘミ硫酸、ヘプトン酸、ヘキサン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチン酸、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸、又はそれらの組み合わせである。他の酸としては、アセチルサリチル酸及び5-アミノサリチル酸が含まれる。結合剤の例は、マンニトール、キシリトール、マルトース、デキストロース、及びラクトースである。例示的な結合剤はデキストロース及びラクトースである。ある実施形態において、酸が酒石酸、クエン酸、又はアスコルビン酸である場合、マグネシウムの量は20mgより多く、例えば、少なくとも50mgであり、あるいは酸がアセチルサリチル酸及び5-アミノサリチル酸である場合、マグネシウムの量は20mgより多く、例えば、少なくとも50mgである。
【0010】
組成物は、栄養補給剤、例えば、マグネシウム塩、甘味料、香味剤、着色剤、香料、精油、水溶性滑沢剤、又は多糖類をさらに含んでよい。例示的な多糖類としては、セルロース及びその誘導体、例えば、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、リンゴ粉末、レモン粉末、ライム粉末、グレープフルーツ粉末、サイリウムハスク、及びペクチンが含まれる。例示的な滑沢剤としては、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸、具体的にはフマル酸ステアリルナトリウムが含まれる。
【0011】
本発明はまた、本発明の組成物及び100mL-2Lの水、例えば、150-750mLの水を保持することができる密封可能な容器を含む、キットを提供する。ある実施形態において、容器が二重壁である。
【0012】
本発明は、本発明の組成物を容器中の水と接触させることによって水素豊富水を生成する方法をさらに提供し、接触の結果組成物が崩壊し、マグネシウム金属及び少なくとも1種類の酸が反応して、例えば、少なくとも0.5mM H2の濃度で、水中でH2を生成し、崩壊の10分後に、大気圧及び室温で、7未満のpHを維持する。ある実施形態において、水が、果物ジュース、例えば、ペクチンを含有するジュースを含む。他の実施態様において、H2の濃度が少なくとも1mMである。ある実施形態において、崩壊の1時間後に7未満のpHが存在する。
【0013】
本発明は、本発明の組成物、例えば、錠剤から生成された水素を含有する組成物を被験体に提供することによって、水素を被験体に投与する方法をさらに提供する。いくつかの実施形態において、水素を含有する組成物が栄養補助食品又は局所製剤である。一つの実施形態において、栄養補助食品が飲料である。
【0014】
本発明は、例えば、7未満のpHで、少なくとも0.5mMの濃度で担体中に溶解した水素ガスを含む、水素で富化された組成物をさらに提供する。いくつかの実施形態において、担体が、食用、化粧品、又は医薬品グレードである。いくつかの実施形態において、担体が、水性液体、クリーム、ローション、フォーム、ペースト、又はゲルである。いくつかの実施形態において、組成物が飲料である。ある実施形態において、水素の最大濃度が20mMである。いくつかの実施形態において、組成物が4-6のpHを有する。一つの実施形態において、pHが4.6以下である。いくつかの実施形態において、組成物が栄養補給剤を含有する。一つの実施形態において、栄養補給剤が、マグネシウムイオン、カリウムイオン、又はカルシウムイオンを含有する。いくつかの実施形態において、組成物が、甘味料、香味剤、着色剤、香料、精油、又は多糖類を含有する。いくつかの実施形態において、組成物が、結合剤又は水溶性滑沢剤を含有する。
【0015】
本発明は、酸性水素豊富水を生成するための組成物をさらに提供する。一つの実施形態において、本発明は、マグネシウム金属、食用酸、及び結合剤を含む、組成物、例えば、錠剤を提供する。一般に、マグネシウム金属及び食用酸が、密封容器中の500mLの水における反応後に、7未満のpH及び少なくとも0.5mMのH2を生成するのに十分な量で存在する。本発明はまた、本発明のこの組成物、例えば、錠剤、及び200mL-2Lの水、例えば、250-750mLの水を保持することができる密封可能な容器を含む、キットを提供する。ある実施形態において、容器が二重壁である。本発明は、本発明のこの組成物、例えば、錠剤を、密封可能な容器中の水と接触させることによって水素豊富水を生成する方法をさらに提供し、接触の結果組成物、例えば、錠剤、が崩壊し、マグネシウム金属及び酸が反応して、少なくとも0.5mM H2の濃度で、7未満のpH、例えば、pHが4-6で、水中でH2を生成する。ある実施形態において、水が果物ジュース、例えば、ペクチンを含有するジュースを含む。他の実施態様において、H2の濃度が少なくとも1mMである。マグネシウム金属の量は、例えば、5-100mgである。ある実施形態において、マグネシウム金属及び食用酸が、4-6のpHを生成するのに十分な量で存在し、及び/又はマグネシウム金属及び食用酸が、密封容器中の500mLの水において少なくとも2mMのH2を生成するのに十分な量で存在する。ある実施形態において、マグネシウム金属が、例えば、200メッシュ以下の粉末状である。他の実施態様において、マグネシウム金属が、フレーク、例えば、-325メッシュフレークを含む。食用酸は、例えば、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、ギ酸、クエン酸、アスコルビン酸、及びシュウ酸からなる群より選択される。結合剤の例は、マンニトール、キシリトール、マルトース、及びラクトースである。組成物は、ビタミン、ミネラル、例えば、マグネシウム塩、甘味料、香味剤、水溶性滑沢剤、又は多糖類をさらに含んでよい。例示的な多糖類としては、メチルセルロース、デンプン、リンゴ粉末、レモン粉末、ライム粉末、グレープフルーツ粉末、サイリウムハスク、及びペクチンが含まれる。
【0016】
定義
本明細書で使用される場合、用語「化粧品」は、クレンジング、美化、魅力の促進、又は外見の変更のために、人体の全部又は一部、例えば、手、顔、腕、又は脚に適用される組成物を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「化粧品的に許容される」は、ヒトの局所使用に許容される成分を有する組成物を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「栄養補助食品」は、少なくともヒトの摂取に適した成分を有する組成物を指す。例えば、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy" (22nd ed.), ed. L.V. Allen, Jr., 2013, Pharmaceutical Press, Philadelphia, PA」に記載されているような、医薬品グレード成分を任意選択的に使用してよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「摩損度の製剤試験に合格する」は、例えばCopley Scientificの、摩損度試験装置の回転ドラム内で100回転した後に、最大で1%質量が減少する組成物を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「医薬的に許容される」は、米国食品医薬品局の医薬純度基準の対象であり、米国薬局方によって設定された基準(この基準は特定の成分の99.9%純度である)によりさらに規制される成分を有する組成物を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」は、H2を含有する又はH2を発生させるために使用される組成物で、局所的に、経口的に、吸入的に、又は静脈内的に処置することのできる任意の動物を指す。動物には、魚類、爬虫類、鳥類(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ)、及び哺乳動物が含まれる。本発明の組成物で処置することのできる哺乳動物には、霊長類(例えば、ヒト、類人猿)、家畜(例えば、雌牛、ブタ、ヒツジ)、荷物運搬用動物(例えば、雄牛、ウマ、ラマ)、及びコンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコ)が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、水中で崩壊して水素豊富水を生成する組成物、例えば、錠剤を提供する。本発明の組成物を、例えば、すぐに飲むことのできる容器中で使用することによって、純粋なH2ガスの添加によって達成され得るよりもかなり高い、H2の過飽和レベルを達成することができる。従来の組成物とは対照的に、本発明の利点は、開放容器において、すなわち大気圧で、過飽和量のH2を含有する水素富化組成物を生成することができることである。加えて、本発明は、製剤摩損度試験に合格するが、依然として高いレベルのH2を生成する組成物を提供する。本発明のさらなる利点は、組成物が、迅速に、例えば、2分未満で反応して、従来の組成物よりも顕著に高いH2レベルを有する、使用可能な、例えば、飲むことができる、水素富化製品を生成することができることである。
【0023】
組成物は、マグネシウム金属、すなわち、元素状マグネシウム、酸、及び典型的には結合剤及び/又は滑沢剤を含有する。水又は含水担体中で、マグネシウム金属及び酸が反応して、水に溶解するH2及びマグネシウムイオンを生成する。本発明の利点は、組成物が、H2生成の間に酸性pHを維持するのに十分な酸を含有することである。不十分な酸を使用すると、反応のpHが、例えば、溶液がアルカリ性になるまで増加し、H2の高いレベルに達する前に反応が停止する。理論に縛られることを望むものではないが、高いpHでは、H2の生成は、未反応のマグネシウム粒子との配位子として作用する水酸化物及び炭酸による不動態化に起因して、停止する。これが起こると、より少ないマグネシウム金属が反応し、これにより、生成される利用可能なH2が減少し、組成物由来の許容できないレベルの残留固形物が後に容器内に残る。酸の使用はまた、低いpH、例えば、4.6以下のpHが、微生物の増殖を減少させ、それ故に汚染の可能性を減少させるのを助けるため、有利である。したがって、ある実施形態において、本発明は、使用又は保存中に酸性pHを有する水素富化製品を生成する組成物を提供する。
【0024】
マグネシウム金属
各組成物は、それが添加される水の量において、十分な量のH2を生成するのに十分な質量のマグネシウムを含有する。したがって、ある実施形態において、組成物は、少なくとも0.1mmolのH2、例えば、少なくとも0.5mmol、1mmol、2mmol、3mmol、5mmol、又は10mmolのH2を、例えば少なくとも50、75、100、125、150、175、200、225、250、500、750、1000、1500、又は2000mLの適切な担体、例えば水中で、生成するのに十分な質量のマグネシウムを含有する。マグネシウム金属の適切な質量には、5-1000mg、例えば、5-500mg、5-450mg、10-400mg、20-350mg、30-300、40-250mg、50-200mg、60-100mg、又は約70mg又は80mgのマグネシウムが含まれる。
【0025】
マグネシウムの物理的形態、例えば、サイズ及び形状は、反応の速度を制御するために使用され得る。粒子は、球状、回転楕円体状、粒状、又はフレーク状であってよい。より小さい粒子及びより大きい表面積対体積比を有する粒子は、より速い速度で反応する。様々なサイズの混合物を使用してもよい。フレーク状マグネシウムは、粒状マグネシウムよりも大きい表面積対体積比を有する。ある実施形態において、-325メッシュのフレーク状マグネシウムを組成物に使用してよい。代替的に、又は組み合わせて、フレーク状マグネシウムと比較してより大きいサイズのマグネシウム又はより小さい表面積対体積比を有するマグネシウムを使用してよい。例えば、-200メッシュのマグネシウムを使用してよい。他の実施態様において、+100、-100、+200、-200(例えば、-200、+325)、-325、又はより小さいメッシュのマグネシウムが使用される。ある実施形態において、マグネシウムは、2つのサイズ、例えば、-200及び-325で供給され、小さい方のサイズは全体の20-50%であり、大きい方のサイズは残りである。
【0026】
酸
本発明において、任意の水溶性酸を使用してよい。酸は、食用であってよく、又はそうでなければ化粧品又は医薬品グレードのものであってよい。食用酸の例には、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、ギ酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、酒石酸、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。化粧品又は医薬品グレードの酸の例には、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、グルコへプトン酸、グリセロリン酸、ヘミ硫酸、ヘプトン酸、ヘキサン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチン酸、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸、それらの立体異性体、アルファ酸のすべての形態(例えば、α-ルプリン酸)、ポリカルボン酸、ルイス酸、例えば、AlCl3、及びそれらの組み合わせが含まれる。他の酸には、アセチルサリチル酸及び5-アミノサリチル酸が含まれる。酸は、組成物が水中に置かれたときに、マグネシウム金属と反応し、任意選択的に7未満のpHを維持する量で、存在するだろう。選択される酸の量が、6未満、例えば、4-6のpHを、典型的な飲料摂取の持続時間、例えば、少なくとも30分間又は1時間、維持するのに十分であることが好ましい。ある実施形態において、酸中の酸プロトンのモル数は、存在するマグネシウム金属のモル数よりも少なくとも10、20、30、40、50、75、又は100%大きい。酸の適切な質量には、30-4000mg、例えば、100-1000mg、50-900mg、100-800mg、150-700mg、200-600mg、250-500mg、300-400mg、又は約340mgの酸が含まれる。例示的な食用酸はリンゴ酸である。本発明の組成物に使用するための別の例示的な食用酸は酒石酸である。酒石酸は非常に水溶性であり、水において0.125g/mLの溶解性を有する。約0.01-1g/mL、例えば、約0.02-0.9g/mL、約0.03-0.8g/mL、約0.04-0.7g/mL、約0.05-0.6g/mL、約0.06-0.5g/mL、約0.07-0.4g/mL、約0.08-0.3g/mL、約0.09-0.2g/mL、約0.1-0.2g/mL、約0.11-0.5g/mL、又は約0.12-0.3g/mLの溶解性を有する酸が、本発明の組成物に使用するのに適している。非常に水溶性の酸が本発明の組成物に使用される場合、組成物は、水と接触すると迅速に崩壊することができ、例えば、マグネシウムとのより完全な反応をもたらす。この速い溶解は、飲料摂取に見合った時間尺度で、例えば、1-2時間、pHを7未満に維持できるという利益を有する。食用、及び化粧品及び/又は医薬品グレードの両方の、他のこのような酸が、本分野において既知である。
【0027】
酸の物理的形態、例えば、サイズ及び形状は、反応の速度を制御するために使用され得る。例えば、室温で固体である酸、例えば、リンゴ酸又は酒石酸は、本発明の組成物を生成するのに使用される酸粒子のサイズを制御するために加工することができる。より小さい粒子及びより大きい表面積対体積比を有する粒子は、より速い速度で反応する。粉砕された酸粒子は、例えば、40メッシュ-2500メッシュの様々なメッシュサイズで使用してよい。理論に拘束されないが、組成物の溶解の速度は、メッシュサイズに直線的に依存すると考えられる。より大きい酸粒子、例えば、40-60メッシュを用いて作製された本発明の組成物は、より微細な、例えば、120メッシュ-2500メッシュの酸粒子を用いて作製されたものよりもゆっくりと溶解する。様々なサイズの酸粒子の混合物を使用してもよい。サイズが制御可能な酸粒子は、微細化、ボールミル粉砕、又はタンブリングを含むがこれらに限定されない、多数の様々な異なる技術によって生成してよい。サイズが制御可能な酸粒子を生成する他の方法は、本分野において既知である。
【0028】
結合剤
水中で崩壊することができる任意の結合剤を使用してよい。結合剤の例には、マルトース、デキストロース、及びラクトースなどの糖、及びマンニトール及びキシリトールなどの糖アルコールが含まれる。本発明の組成物のための例示的な結合剤には、ラクトース及びデキストロースが含まれる。組成物のための他の結合剤が、本分野において既知である。結合剤の量は、例えば、組成物の質量の10-50%、例えば、20-30%である。本発明の組成物は、組成物の物理的特性を制御するために、ラクトースなどの、単一の結合剤を含んでよく、又は2以上の結合剤の組み合わせから作製してよい。
【0029】
結合剤は、本分野において、例えば、Remington(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, (22nd ed.) ed. L.V. Allen, Jr., 2013, Pharmaceutical Press, Philadelphia, PA)において既知であるように、食用であってよく、又はそうでなければ化粧品又は医薬品グレードのものであってよい。
【0030】
追加の構成成分
組成物はまた、栄養補給剤、甘味料、香味剤、着色剤、香料、精油、滑沢剤、多糖類、又はコーティングなどの他の成分を含んでよい。本発明の組成物は、栄養補給剤、例えば、ビタミン、ミネラル、及び/又はハーブ抽出物を含有してよい。例えば、組成物は、マグネシウム、カリウム、又はカルシウム塩を含有してよい。適切な甘味料は、本分野において既知であり、例えば、スクロース、マンノース、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、ステビア、モンクフルーツ抽出物、及びアセスルファムKである。組成物はまた、任意の食品グレード着色料、例えばFD&C染料、及び/又は香味料、例えば果物香味料、を含んでよい。組成物は、精油、例えば、ブドウ種子油、ウインターグリーン油、ラベンダー油をさらに含んでよい。他の精油が、本分野において既知である。組成物は、香料、例えばユーカリをさらに含んでよい。組成物はまた、多糖類、例えばペクチン、サイリウム繊維、セルロース、及びその誘導体、例えば、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロース、様々なデンプン、リンゴ粉末、レモン粉末、ライム粉末、又はグレープフルーツ粉末を含有してよい。多糖類は、反応後に保持されるH2の量を増加させる可能性がある。組成物は、水溶性滑沢剤、例えば微細化されたフマル酸ステアリルナトリウム又は微細に調製されたステアリン酸、例えば、5マイクロメートル、の水溶性滑沢剤をさらに含んでよい。組成物はまた、組成物が溶解する速度を制御するために、可溶性界面活性剤などの水浸透性コーティングを有してよい。可溶性界面活性剤コーティングは、トリブロックコポリマー、例えば、ポロキサマー、例えば、ポロキサマー407、又は医薬用途に適した非イオン性ポリマー界面活性剤、例えば、グルコシドであってよい。例えば、組成物は、組成物が崩壊し始めてH2生成が始まる前に、ユーザが容器を密閉することを可能にするために、5分未満で、例えば、1分未満で溶解するコーティングを有してよい。
【0031】
典型的な滑沢剤、例えば、米国特許出願公開第2016/0113865号に記載されるようなラウリル硫酸ナトリウム及びフマル酸ステアリルナトリウムなど、を使用する発泡性の組成物、例えば、錠剤を生成するこれまでの試みは、迅速に崩壊する錠剤を生成することができなかったことを示した。これは、錠剤を成形するのに必要とされるより多い量の滑沢剤の使用に起因していた。大量の微細化されていない滑沢剤を使用することにより、錠剤の崩壊時間が遅くなり、これがさらに、容器内に過剰の未溶解残留物を生じ、不快な味を引き起こした。対照的に、本発明の組成物は、はるかに少ない滑沢剤を使用することができ、その結果、より速い反応速度、満足のいく量の残留物、及びおいしい味がもたらされる。
【0032】
組成物の形態
組成物は、錠剤に成形してよい。錠剤は、任意の適切な形状であってよい。例えば、錠剤は、円盤、球、又は卵形であってよい。単一の錠剤は、典型的には、所望の量のH2を、所与の体積、例えば、50、150、又は500mLの水において生成するのに必要とされる量のマグネシウム及び酸を含むこととなる。しかしながら、複数の、より小さい錠剤の組み合わせを使用してよい。例えば、錠剤を、250mL中に十分なH2を提供するサイズにしてよく、より大きい体積については複数の錠剤を使用してよい。マグネシウム金属及び酸の反応が水によって活性化されるため、本発明の組成物は、典型的には、ホイル又はプラスチックなどの耐水性包装中に保存されることとなる。錠剤の構成成分はまた、典型的には、非吸湿性であるだろうが、錠剤が防水容器又は包装紙中に乾燥した状態で包装される場合は、吸湿性成分を使用してもよい。錠剤は、本分野において既知の方法によって成形してよい。
【0033】
本発明の組成物を錠剤に成形する際の考慮事項は、錠剤の物理的特性、例えば、摩損度である。摩損度は、圧縮又は他の取り扱いの後に、錠剤が、欠ける、砕ける、又は壊れる傾向として定義される。錠剤の摩損度は、回転ドラムを使用し、固定された数のドラム回転の間、ドラムの周りを転がした後の、錠剤の質量損失パーセントを測定して評価される。錠剤が摩損度試験に首尾よく合格するためには、回転ドラム内で100回転した後に、錠剤の質量は、1%しか減少することができない。本発明の組成物では、摩損度は、組成物で使用される酸の種類及び粒子サイズ、結合剤の種類及び粒子サイズ、滑沢剤の種類及び粒子サイズ、及び錠剤がダイで打錠された圧力によって制御される。より微細なメッシュの粒子を使用することによって、典型的には、非常に脆い錠剤が生じる。この結果、微細なメッシュの粒子で作られる錠剤はしばしば、それらがばらばらにならないことを保証するために、より高い圧力下で作製される。これは、錠剤を非常に固くする効果を有し、錠剤が水と接触すると崩壊することのできるスピードを減少させる。したがって、微細なメッシュの酸を使用する錠剤は、水素発生反応を維持するために、酒石酸などの非常に水溶性の酸で作製することができる。
【0034】
他の形態の組成物を使用してもよい。例えば、組成物は、例えば、水溶性カプセル又は水透過性バッグ、又は小さい若しくは大きいビーズ、例えば、バスボム、又はフィルムの内部に、粉末の形態で提供してよい。
【0035】
組成物の溶解時間、及びしたがってH2の測定濃度は、結合剤の質量パーセント、滑沢剤の質量パーセント及び種類、酸対マグネシウム比、マグネシウム及び酸の両方の物理的特性、例えば、メッシュサイズ及び組成物が置かれる物理的条件によって、制御される。本発明の組成物は、典型的には、容器中の水と接触すると、5分未満で、例えば、4分未満、3分未満、2分未満、又は1分未満で崩壊するだろう。
【0036】
組成物が置かれる水の温度は、組成物がどれだけ速く崩壊するかに影響を及ぼす。熱水は組成物を迅速に崩壊させるが、高濃度の水素ガスを保持しない。より冷たい水は、水における水素の溶解性を増加させるが、組成物を迅速には崩壊させない。本発明の組成物からの水素の生成に適した温度は、およそ室温、例えば、15℃-25℃、例えば、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、又は25℃、例えば、59°F-77°F、例えば、59°F、60°F、61°F、62°F、63°F、64°F、65°F、66°F、67°F、68°F、69°F、70°F、71°F、72°F、73°F、74°F、75°F、76°F、又は77°Fである。
【0037】
組成物は、例えば、水と接触した後の少なくとも一定の期間、7未満、例えば、4-6のpHを有する、酸性水素富化製品を維持するだろう。酸性pHは、水素富化製品の使用のための典型的な時間尺度の経過を通して、例えば、組成物が水と接触した後10分間、維持される可能性がある。例えば、本発明の組成物は、少なくとも5分間、例えば、5-300分間、10-250分間、15-200分間、20-150分間、25-120分間、30-100分間、50-90分間、例えば、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、少なくとも30分間、少なくとも35分間、少なくとも40分間、少なくとも45分間、少なくとも50分間、少なくとも55分間、少なくとも60分間、少なくとも70分間、少なくとも80分間、少なくとも90分間、少なくとも100分間、少なくとも110分間、少なくとも120分間、少なくとも130分間、少なくとも140分間、少なくとも150分間、少なくとも160分間、少なくとも170分間、少なくとも180分間、少なくとも190分間、少なくとも200分間、少なくとも250分間、又は少なくとも300分間、例えば、少なくとも0.5時間、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3時間、少なくとも少なくとも3.5時間、少なくとも4時間、少なくとも4.5時間、又は少なくとも5時間、7未満のpHを維持する。組成物はまた、長期間、例えば、組成物が水と接触して1日後、7日後、30日後、又は6ヶ月後に、7未満のpHを維持する可能性がある。さらに、この時間枠の後、水素富化製品のpHは、アルカリ性になる、例えば、7を超える可能性がある。
【0038】
シャワー又はバスへの化粧品添加剤としての使用のために設計される組成物にとって、錠剤の溶解の速度は重要な考慮事項である。シャワー又はバス中にある時間の間、一貫したレベルのH2を生成するために、組成物は、水に十分にゆっくりと溶解しなければならない。反応が、発熱性であり、少量の水酸化マグネシウムを生成するため、溶解反応の熱力学が追加の制約である。反応が迅速に進みすぎると、結果として生じるバスの温度が、熱くなりすぎるか、又は水酸化マグネシウムを生成しすぎる可能性があり、これらの効果の両方が、皮膚に害を及ぼす可能性がある。組成物への多糖類の添加は、保持されるH2を最大化しながら溶解速度に影響を与えることが示されている。添加される多糖類は、線維性多糖類、例えばセルロース及びその誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、ヒプロメロースとして知られる)であることができる。代替的に又は加えて、トリブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー407)などの可溶性界面活性剤の添加を使用して、錠剤の溶解を減速し、マグネシウムの十分な消費を確実にして、H2が水に溶解する時間の長さを最大化することができる。
【0039】
化粧品又は美容スプレーとしての使用のための、水素で富化された液体は、より大きい酸含量を有することができ、結果として得られる組成物は、H2濃度をさらに強化するために、皮膚の自然に発生する4.5-5.2のpH(Lambers et al., Int. J. Cosmet. Sci., 2006, 28, 359-370)を活用することができる。H2は、皮膚に多数の利益をもたらすことが示されており、クレンザーとしてこの美容スプレーを使用して皮膚をその自然のpHに戻すと、さらなる健康上の利益がもたらされる可能性がある。
【0040】
担体
本発明の組成物、例えば、錠剤は、それらを、水又は他の水性液体などの担体と接触させることにより使用される。水は、純粋、例えば、脱イオン化されていてよく、又は他の溶解イオンを含有してよく、例えば、湧水又は水道水であってよい。水はまた、他の成分を含有してよく、例えば、水は、果物ジュースであるか又はそれを含有してよく、又は他の溶解ガスを含有してよく、例えば、炭酸水であってよく、又は溶解固体、例えば、テーブルシュガー又は塩を含有してよい。例示的な果物ジュースはレモンジュースである。
【0041】
担体の体積は、水素で富化される用途に基づいて選択される。本発明の組成物が飲料を生成するために使用される場合、富化される液体、例えば、水又は果物ジュースの体積は、約100mL-2L、例えば、約100mL、約150mL、約200mL、約250mL、約300mL、約350mL、約400mL、約450mL、約500mL、約550mL、約600mL、約650mL、約700mL、約750mL、約800mL、約850mL、約900mL、約950mL、約1L、約1.5L、又は約2Lである。本発明の組成物が化粧品製品を生成するために使用される場合、水の量は、約50mL-500mL、例えば、約50mL、約100mL、約150mL、約200mL、約250mL、約300mL、約350mL、約400mL、約450mL、又は約500mLである。
【0042】
代替的に、水は、H2を皮膚に効果的に送達できるように、クリーム、ローション、フォーム、ペースト、又はゲルなどの局所用担体中に存在してよい。水溶性局所用担体を生成する方法は、本分野において、例えば、Remington(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, (22nd ed.) ed. L.V. Allen, Jr., 2013, Pharmaceutical Press, Philadelphia, PA)に記載されるように、及び化粧品業界において、周知である。本発明の組成物の水との反応中又は反応後に、均一な稠度を保証するために、担体を、撹拌し、混合し、又はかき混ぜることができる。
【0043】
容器
組成物をある体積の水と接触させるために、様々な容器を使用してよい。一つの実施形態において、容器は、例えば、組成物をある体積の水中に移した直後に、容器を密封するために使用することができる蓋を有する。密封された容器は、反応が完了に進む間に、生成されたH2を保持する。代替的に、H2は、開放容器において生成させることができる。適切な容器の一例は、二重壁、二重ガスケットステンレス鋼ボトルである。
【0044】
使用の方法
本発明の組成物、例えば、錠剤は、組成物の溶解を促進する担体と接触させることによって使用される。例示的な担体は水である。典型的には、組成物を溶解するのに使用される水の量は、50mL-2L、例えば、50mL、150mL、250mL、355mL、500mL、750mL、又は1Lである。ユーザは、組成物を密封可能な容器中の水又は他の担体に添加し、水の温度に応じて1分以上、例えば、1-2分、少なくとも5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、又は12時間、反応を進行させることができる。ある実施形態において、組成物が2分未満で反応することが好ましい。好ましくは、錠剤及びある体積の水は、少なくとも0.5mM、例えば、少なくとも1mM、少なくとも3mM、少なくとも5mM、又は少なくとも10mM、例えば、0.5-20mM、1-15mM、又は5-10mMの濃度を生成する。組成物の中、又は水若しくは担体の中、例えば、果物ジュースの中に、多糖類を含めることは、多糖類の近くで局所的に又はH2富化組成物全体において、多糖類の非存在下での反応に比べて、H2の濃度を増加させ得る。
【0045】
本分野において知られているように、水素豊富水の摂取は、様々な障害の処置に役立ち、この様々な障害には、パーキンソン病(Yoritaka et al., BMC Neurology, 2016, 16:66)、うつ病(Zhang et al. Sci. Rep. 2016; 6:23742)、歯周炎(Azuma et al. Antioxidants (Basel). 2015; 4(3):513-22)、II型糖尿病、メタボリックシンドローム、慢性腎不全、炎症、リウマチ性関節炎、間質性膀胱炎、脳虚血、高脂血症、慢性B型肝炎、及びIchihara et al.(Med. Gas Res. (2015) 5:12)に記載される他の障害が含まれる。したがって、本発明の組成物は、これらの障害のいずれかを患っている被験体によって、障害を処置する又はその1又は複数の症状を緩和するために、摂取され得る。
【0046】
加えて、H2は、様々な皮膚科学的状態のための効果的な処置であることが示されている。例えば、本発明の組成物が水素富化水性液体を作製するために使用される場合、結果として得られる水性液体のpHを調整して、4.5-5.5のpHを有する「美容水(beauty water)」(これは、多数の健康上の利益を有する(Lambers et al., Int. J. Cosmet. Sci. 2006, 28, 359-370))を作製することができる。この「美容水」は、イオンマグネシウム局所用化粧品の担体基剤として使用されており、より低いpH及びH2含量は、皮膚を通したマグネシウム吸収を効果的に促進する(Magnes. Res. 2016; 29(2):35-42)。別の例において、H2含有製品は、しわ、アトピー性皮膚炎、及びUVにより誘導された皮膚の熱傷などの局所的皮膚状態のための将来有望な処置であることが示されている(Mol. Cell. Toxicol. 2013, 9(1), 15-21)。局所適応のために、本発明の組成物は、クリーム、ローション、フォーム、ペースト、又はゲルなどの皮膚科学的担体に直接組み込むことができる。
【0047】
原位置でのH2の発生から生成された水素含有製品は、ある特定の家畜動物、具体的には、乳牛の健康を向上させるために使用することができる。H2は、乳牛の使用可能期間及び寿命を伸ばす可能性があり、その結果、乳生産量が増加すると考えられる。
【0048】
本発明の組成物はまた、水素ガスを生成するために使用してよく、この水素ガスは、例えば、開放容器から又はカニューレ若しくは鼻腔チューブを介して水素ガスが放出されるときに、水素ガスを吸い込むことによって吸入される。
【0049】
水素富化酸性組成物
本発明の組成物は、H2を皮膚に効果的に送達するための、多数の消費者製品の製造において使用することができ、消費者製品には、食用食品及び栄養補助食品(例えば、飲料)、及びスキンケア製品、例えば、ローション、バスボム、又はシャワータブレットが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、水素富化組成物は、開放容器中の飲料である。局所用組成物の場合、本発明の組成物は、クリーム、ローション、フォーム、ペースト、又はゲルなどの、医薬品グレード又は化粧品グレードの局所用担体に、直接組み込むことができる。H2を含有する局所用組成物は、皮膚にしみ込ませるか、回転塗布するか、擦り込むか、又は直接スプレーすることができる。
【0050】
人体内に摂取されるように設計された消費者製品、例えば、栄養補助食品、例えば、飲料の場合、本発明の組成物の生成において使用される酸は、本明細書に記載される食用酸(例えば、リンゴ酸又は酒石酸)と同様に、安全に摂取可能でなければならない。局所投与用に設計された消費者製品の製造において使用される本発明の組成物で使用される酸は、米国食品医薬品局がヒト及び動物向け用途のために規定している「一般的に安全とみなされる」と考えられる、任意の医薬的に又は化粧品的に許容される酸及びその対イオンであってよい。代表的な酸には、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、グルコへプトン酸、グリセロリン酸、ヘミ硫酸、ヘプトン酸、ヘキサン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ラクトビオン酸、乳酸、ラウリン酸、ラウリル硫酸、マロン酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、ペクチン酸、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ステアリン酸、硫酸、酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸、それらの立体異性体、アルファ酸のすべての形態(例えば、α-ルプリン酸)、ポリカルボン酸、ルイス酸、例えば、AlCl3、又はそれらの組み合わせが含まれる。他のこのような酸が、本分野において既知である。
【0051】
本発明の組成物から生成された水素富化水は、0.5mM-20mM、例えば、1mM-15mM、1-10mM、1mM-4mM、1mM-3mM、1mM-2mM、1.5mM-4mM、又は2mM-3mM、例えば、約0.5mM、約1mM、約1.5mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約15mM、又は約20mMの溶解H2濃度を有する。他の実施態様において、この濃度は、1ppm-3ppm、2ppm-4ppm、3ppm-6ppm、4ppm-8ppm、5ppm-10ppm、6ppm-12ppm、又は5ppm-15ppmである。
【0052】
水を水素で富化するために使用される組成物の酸含量は、十分量のマグネシウムを消費しながら、7未満、例えば、6未満、例えば4-6のpHを維持するのに十分であり得る。水素富化組成物はまた、栄養補給剤、例えば、マグネシウム塩、甘味料、香味剤、着色剤、香料、精油、水溶性滑沢剤、又は多糖類を含んでよい。
【実施例0053】
例1
この例において、以下の2種類の組成物を別個の開放容器中で溶解することにより、水素富化水を作製し、放出された水素濃度を時間の関数としてモニタリングした。
サンプル組成物#1、「F6」、17℃に保持された500mLの水に溶解した
80mgのマグネシウム、-325メッシュ、フレーク状
120mgの酒石酸、120メッシュ
200mgのリンゴ酸、120メッシュ
200mgのデキストロース
6mgのフマル酸ステアリルナトリウム
サンプル組成物#2、「F1」、17℃に保持された500mLの水に溶解した
55mgのマグネシウム、-200メッシュ、粉砕状
25mgのマグネシウム、-325メッシュ、フレーク状
340mgのリンゴ酸、60メッシュ
160mgのラクトース
6mgのフマル酸ステアリルナトリウム
【0054】
粉砕された120メッシュの酸粒子を含有するF6組成物は、より大きい60メッシュ粒の酸粒子を含むF1組成物(およそ3.5分)よりも、速く溶解した(およそ1.75分で)。F6組成物中の酸が60メッシュに粉砕されるだけでは、錠剤の溶解時間はおよそ3分である。F6組成物及びF1組成物の両方が、摩損度の最低限の製剤試験に合格した。F6組成物において、120メッシュ粒子の代わりに、10マイクロメートル未満の粉砕された酒石酸粒子を使用したさらなる実験データは、45秒の錠剤溶解時間という結果をもたらした。さらに、バインダーとしてラクトースの代わりにデキストロースを使用することによって、錠剤あたりの溶解時間は、摩損度を許容限度内にとどめながら、およそ30秒減少した。
【0055】
F6組成物が完全に崩壊した後にF6組成物によって達成された水素濃度は、9ppmであった。F1組成物では、完全崩壊後の水素濃度は3.5ppmであった。摩損度試験に合格しなかった同様の組成物は、約75秒後に12ppmのピーク水素濃度を与えた。全ての濃度データは、各組成物のおよそ20の個々の錠剤の平均であった。
【0056】
第2の実験では、以下の成分を含む、酒石酸及びリンゴ酸の両方を含有する組成物(「F35」)の溶解を調べた。
60mgのマグネシウム、-325メッシュ、フレーク状
90mgの酒石酸
150mgのリンゴ酸
150mgのデキストロース
6mgのフマル酸ステアリルナトリウム
【0057】
F1及びF6と同一の水条件において(例えば、17℃の開放容器中の500mLの水)、およそ80-90秒の反応時間後に、濃度は5.3ppmであった。測定濃度は、およそ20の錠剤の平均であった。
【0058】
例2
水素富化されたすぐに飲むことのできる飲料の作製において使用するための例示的な錠剤は、以下の構成成分を含む。
30mgの-200メッシュマグネシウム
30mgの-325メッシュマグネシウム、フレーク状
90mgの酒石酸
150mgのリンゴ酸
150mgのデキストロース
5.5mgの2500メッシュステアリン酸
【0059】
例3
水素富化された飲料を密閉容器内で生成するために使用するための錠剤は、以下の成分を含む。
55mgの-200メッシュマグネシウム
25mgの-325メッシュマグネシウム、フレーク状
310mgのリンゴ酸
100mgのリンゴ酸マグネシウム
160mgのラクトース
7mgのフマル酸ステアリルナトリウム
【0060】
手動の機械式打錠機を使用して、これらの成分を錠剤に打錠した。この錠剤は、気密の500mL容器中の水に溶解すると、H2ガスを生成する。標準的なソーダボトル(500mL)において、H2濃度は、15分以内に1.6ppm(0.8mM)に達し、2時間以内に4ppm(2mM)に達し、12時間以内に6ppm(3mM)を超えた。二重壁、二重ガスケットステンレス鋼ボトルにおいて、濃度は、15分で2.8ppm(1.4mM)に達し、1時間で3.8ppm(1.9mM)に達し、12時間で7ppm(3.5mM)を超えた。錠剤を普通の水に添加したときの最終溶液のpHは4-6である。
【0061】
レモン、ライム、リンゴ、及びオレンジなどの、ペクチンを多く含む果物ジュースを含む、果物ジュースが、液体として又は液体に加えて使用される場合、液体の最上部の泡中のH2の濃度は、20ppm(10mM)を超える可能性がある。H2濃度の増加は、予混合ペクチン(Certo(登録商標))及びサイリウムハスクでも観察された。
【0062】
例4
高濃度のH2を生成するために、飲料で使用するために構成される錠剤は、以下の構成成分を含む。
30mgのマグネシウム
200mgのリンゴ酸
十分な量の結合剤及び滑沢剤の両方
これらの成分は、9-11mm直径の打錠用ダイで、適切な錠剤形状に打錠することができる。
【0063】
例5
化粧品、シャワー、又はバスタブ用途で使用するために構成される錠剤は、以下の構成成分を含む。
480mgのマグネシウム
720mgの酒石酸
1200mgのリンゴ酸
錠剤質量を3600mgにするのに十分な量の結合剤及び滑沢剤の両方
これらの成分は、直径24mmの打錠用ダイで、適切な錠剤形状に打錠することができる。
【0064】
例6
化粧品、シャワー、又はバスタブ用途で使用するために構成される第2の錠剤は、以下の構成成分を含む。
240mgの-325メッシュマグネシウム
360mgの80メッシュ(以下の)酒石酸
600mgの80メッシュ(以下の)リンゴ酸
錠剤質量を1800mgにするのに十分な量の結合剤及び滑沢剤の両方
これらの成分は、直径18mmの打錠用ダイで、適切な錠剤形状に打錠することができる。
【0065】
例7
飲料又は化粧品スプレーで使用するために構成される錠剤は、以下の構成成分を含む。
80mgの-325メッシュマグネシウム
120mgの80メッシュ(以下の)酒石酸
200mgの80メッシュ(以下の)リンゴ酸
錠剤質量を600mgにするのに十分な量の結合剤及び滑沢剤の両方
これらの成分は、直径12mmの打錠用ダイで、適切な錠剤形状に打錠することができる。
【0066】
例8
飲料又は化粧品スプレーで使用するために構成される錠剤は、以下の構成成分を含む。
60mgのマグネシウム
90mgの酒石酸
200mgのリンゴ酸
錠剤質量を4500mgにするのに十分な量の結合剤及び滑沢剤の両方
これらの成分は、直径12mmの打錠用ダイで、適切な錠剤形状に打錠することができる。
【0067】
例9
化粧品又は美容スプレー専用で使用するために構成される錠剤は、以下の構成成分を含む。
25-40mgのマグネシウム
富化された飲料を生成するために使用される錠剤よりも多い量の、十分な量の酸
十分な量の結合剤及び滑沢剤の両方
これらの成分は、直径9mmの打錠用ダイで、適切な錠剤形状に打錠することができる。
【0068】
例10
微細なフレーク状のマグネシウム粒子を含む錠剤の利点は、H2の分子が1つずつ放出されることである。十分な酸が存在し、錠剤中のマグネシウムの質量が、H2で飽和させる液体の体積に対して適正である場合(500mLの液体あたり、少なくとも80mgのマグネシウム及び300mgの全酸)、H2は連続して放出され、最初にピコメートルサイズの範囲のH2の気泡を作り、その後気泡は、ナノメートルサイズの気泡、次いでマイクロメートルサイズの気泡、次いでより大きい気泡に合体する。ナノメートルサイズの気泡は、他のサイズの気泡より高いレベルまで水溶液を飽和させることができ、それ故に液体中でH2のより高い圧力を生じることができる。これは、より大きい気泡は溶液の外に放散するが、ナノメートルサイズの気泡はより安定であり、ナノメートルサイズの気泡の物理化学的特性は、個々に溶解したH2分子とは異なり、これによりヘンリーの法則及びガスのフガシティー係数との関係が変化するためである。圧力が増加すると、ルシャトリエの原理のとおりに反応が停止し、マイクロメートル未満のサイズのマグネシウムフレークが溶液中に懸濁したままになる。H2気泡が合体してさらに放散するにつれて、系の圧力が低下し、等量のマグネシウムが反応してH2をさらに生成する。
【0069】
この連続反応は、組成物が密封ボトルではなく開放容器内に、例えば、1気圧の圧力下に置かれたときに、発生するH2の濃度が3ppmより大きくなることを可能にするが、H2の一定の補充を行って、H2の局所濃度をおよそ9ppmにする。錠剤の崩壊速度及び後続のマグネシウム及び酸の反応は、錠剤の構成成分、例えばコーティング又はバインダーを選択することによって加速して、4分以内で、例えば、1-2分の範囲内で反応が完了するように反応速度を制御することができる。
【0070】
本発明の組成物を溶解するために冷水を使用することによって、増加した濃度の水素を保持することができるが、錠剤の溶解速度、及びそれに続いて水素発生反応全体が大幅に遅延する。例えば、氷点をわずかに上回る(1℃)水中で、本発明の錠剤は典型的には、完全に溶解するのに4-5分を必要とする。しかしながら、一旦水が飽和すると、溶解した水素は、より高濃度で、より長く水中に保持される。本発明の組成物を溶解するために熱水を使用すると、溶解速度が顕著に増加し、それに続いて水素がより速く放出される。例えば、熱水、例えば、室温より高い水において、本発明の錠剤は典型的には、1分以下で完全に溶解する。しかしながら、気泡の合体の速度は、温度の上昇と共に劇的に増加し、したがって富化された水の保持時間及び全体の安定性が減少する。
【0071】
現在の打錠技術及び能力を使用すると、本発明の組成物から作られた錠剤を溶解するために理想的な水温範囲は、錠剤の最終組成に応じて、12-20℃である。
【0072】
例11
本発明の組成物、例えば、錠剤は、開放の、例えば、周囲圧力の、容器において、溶解し、H2の準安定性過飽和を生じることができる。組成物内に含まれるか、又は液体担体中に存在する多糖類は、液体の表面に境界層を形成することができる。この境界層は、組成物の溶解から生じるH2ガス雲が迅速に放散するのを防止する。例えば、剛性容器において、pH調整剤、例えば、大さじ2杯のレモンジュース(これはペクチンを含有する)又は酢を添加すると、H2の利用可能な濃度が増加する。酢を使用すると、液体全体に、より高濃度のH2が生じる。水及びレモンジュースを、主にポリエチレンテレフタレート(PET)で作られている標準的なソーダボトルに入れると、H2の濃度はガス雲の最上部で6-7倍に増加する。水及びレモンジュースの同じ溶液を含む開放ガラスボトルにおいて、生成されるH2ガスの濃度は、およそ20%増加する。多糖類を使用すると、泡が液体の表面に生じ、その泡は液体の残りの部分と比較してより高濃度のH2を含む。
【0073】
開放容器は、錠剤が容器に入れられるとすぐに、マグネシウムナノ粒子の懸濁液を迅速に作製することができる。これにより、H2を生成する反応速度が増加する。例えば、30-60秒で完全に反応する錠剤では、表面の最上部に形成される気泡は、激しくはじけ、1.6ppmのH2濃度が測定された。
【0074】
本発明の組成物では、70-90秒が理想的な反応スピードであり、ガス雲内でしばしば10ppmの過飽和に達する。H2の測定濃度は、表1のデータに示されるように、時間と共に直線的に減少し、8分の溶解後に1.6ppmの典型的なSATP濃度に達するようである。
【0075】
【0076】
例12
この例において、本発明の組成物、例えば、錠剤を、開放容器において溶解することによって作製されたH2強化水を、密封可能なスイングトップガラスボトルに移し、組成物をさらに溶解させる際に加圧下で安定化させた。この密封ボトルを開けたとき、H2の測定濃度は5.3ppmであった。
【0077】
さらなる実験では、本発明の組成物、例えば、錠剤を、開放容器において溶解することによって作製されたH2強化水を、ボトルの内部の圧力を測定するための圧力計を含むように改変された密封可能なPETソーダボトルに移した。反応が進行するにつれて、そのボトルは加圧し始め、H2気泡が形成され、それに続いて放散されるにつれて、ボトル内にヘッドスペースが形成された。5分の反応後、ボトルの測定圧力は25psiであった。そして、30分の反応後、ボトルの測定圧力は45psiであった。この圧力で、H2の測定濃度は2.3ppmであった。
【0078】
両方の容器(開放ボトル及び密封ボトル)中の組成物は、マイクロメートル粒子と反応し続けた。H2が合体し放散するにつれて、液体の内部に含まれていた圧力がヘッドスペースに移り、容器内の圧力が増加した。注目すべきことに、開放容器の液体をペットボトルに移すことによって達成される圧力は、錠剤をペットボトル内に落として直ちに密封することによって生じる圧力に達し、さらにそれを超える。同じ錠剤は、直ちに密封されると、ルシャトリエの原理のとおりに反応が停止するために、おおよそ35psiを生じ、したがって組成物の過飽和能力も確認される。
【0079】
例13
本発明の組成物からの水素の生成を制御する1つの変数は、粉砕された酸と反応させるのに使用されるマグネシウムの質量である。マグネシウムの質量と溶存水素濃度との関係は、ほぼ直線であり、使用されるマグネシウムの量が増加するにつれて、固定された質量の酸に対して生成される水素の量が増加する。表2は、様々なマグネシウム質量についての水素濃度データを示しており、ここで酸は微細なメッシュ(約120メッシュ)粒子径に粉砕されており、溶解時間はおよそ60-75秒であった。
【0080】
【0081】
酸を粉砕することの効果はまた、溶解反応中に生成された気泡のレーザー回折サイズ分布測定を実施することによっても検討した。微細に粉砕された酸を使用すると、発生した気泡は、2モード分布を示し、ノイズを補正した後、第1のモードはおよそ50-60nmの直径にあり、第2のモードは600nmの直径にあった。例10でも述べたように、ナノメートルサイズの気泡は、他のサイズの気泡より高いレベルまで水溶液を飽和させることができ、それ故に液体中でH2のより高い圧力を生じることができ、したがって、水を水素で富化するための組成物の生成において微細に粉砕された酸を使用することの重要性が確認される。
【0082】
開放容器において、微細に粉砕された酸を用いて作製された錠剤を使用する追加の試験では、最初の80-90秒以内に、80mLの理論的限界から、70mLの水素ガスが生成された。反応のさらに次の1分までに、開放容器中の液体の表面から、わずか6mLの水素ガスしか逃げなかった。