IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ SMC株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-パッド付リフト装置 図1
  • 特開-パッド付リフト装置 図2
  • 特開-パッド付リフト装置 図3
  • 特開-パッド付リフト装置 図4
  • 特開-パッド付リフト装置 図5
  • 特開-パッド付リフト装置 図6
  • 特開-パッド付リフト装置 図7
  • 特開-パッド付リフト装置 図8
  • 特開-パッド付リフト装置 図9
  • 特開-パッド付リフト装置 図10
  • 特開-パッド付リフト装置 図11
  • 特開-パッド付リフト装置 図12
  • 特開-パッド付リフト装置 図13
  • 特開-パッド付リフト装置 図14
  • 特開-パッド付リフト装置 図15
  • 特開-パッド付リフト装置 図16
  • 特開-パッド付リフト装置 図17
  • 特開-パッド付リフト装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116860
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】パッド付リフト装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
B25J15/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019196
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 優
(72)【発明者】
【氏名】坂 洋明
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707DS01
3C707FS04
3C707FT06
3C707FU01
3C707HS14
3C707NS26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】負圧による吸引力に加えて、スカート部の変形による把持力で物品を保持でき、また、スカート部が、自由状態において、先端に向かって拡張しているので、物品をスカート部の内側に容易に取り込むことができるパッド付リフト装置を提供する。
【解決手段】パッド付リフト装置10のパッド42は、ボデイ12の端部に取り付けられる連結部44と、先端に向かって拡張する柔軟なスカート部46とを有し、ボデイの端面に沿って流れたエアがスカート部の内側を流れることで、スカート部の先端が内側にしぼむように変形する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボデイおよびパッドを備え、ベルヌーイ効果により物品を吸引するパッド付リフト装置であって、
前記パッドは、前記ボデイの端部に取り付けられる連結部と、先端に向かって拡張する柔軟なスカート部とを有し、前記ボデイの端面に沿って流れたエアが前記パッドの前記スカート部の内側を流れることで、前記スカート部の先端が内側にしぼむように変形するパッド付リフト装置。
【請求項2】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記パッドはシリコンゴム製であるパッド付リフト装置。
【請求項3】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記スカート部は円錐状であるパッド付リフト装置。
【請求項4】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記スカート部の先端開口形状が楕円であるパッド付リフト装置。
【請求項5】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記スカート部の先端開口形状が多角形であるパッド付リフト装置。
【請求項6】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記スカート部は、前記スカート部の先端から前記連結部に至るまで延びる複数の梁を備えるパッド付リフト装置。
【請求項7】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記スカート部は、前記スカート部の先端から前記連結部の近傍まで延びる複数の切り込みを備えるパッド付リフト装置。
【請求項8】
請求項7記載のパッド付リフト装置において、
前記スカート部の先端は、外方に曲がる反り返り部を備えるパッド付リフト装置。
【請求項9】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記スカート部は、前記スカート部の先端から前記連結部に至るまで形成される複数の切り込みを備え、前記スカート部は、複数の短冊状のスカート片から構成され、隣接する前記スカート片は、相互に重ね合わされているパッド付リフト装置。
【請求項10】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記スカート部は、前記スカート部の先端から前記連結部に至るまで延びる複数のプリーツを備えるパッド付リフト装置。
【請求項11】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記スカート部は、一対の逃げ溝を備えるパッド付リフト装置。
【請求項12】
請求項11記載のパッド付リフト装置において、
前記パッドは、前記スカート部を前記連結部に接続する平板状の基部を有し、前記基部の外周は、二つの長辺と二つの短辺とを組み合わせた形状を有し、前記スカート部は、前記基部の前記短辺に対応する位置において前記逃げ溝を備えるパッド付リフト装置。
【請求項13】
請求項11記載のパッド付リフト装置において、
前記スカート部の先端は、外方に曲がる反り返り部を備えるパッド付リフト装置。
【請求項14】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記パッドが前記ボデイから離脱することを防止するための抜け止め具を有するパッド付リフト装置。
【請求項15】
請求項14記載のパッド付リフト装置において、
前記抜け止め具は、第1抜け止め具および第2抜け止め具から構成され、前記第1抜け止め具は、前記パッドの前記連結部の端面に当接する平板部と、前記パッドの前記連結部に嵌合する円筒部とを有し、前記第2抜け止め具は、前記ボデイの溝部に係合する係合片を有し、前記第1抜け止め具の平板部が前記パッドの前記連結部の端面と前記第2抜け止め具の前記係合片との間で挟持されるパッド付リフト装置。
【請求項16】
請求項14記載のパッド付リフト装置において、
前記抜け止め具は、厚肉の第1円筒部と薄肉の第2円筒部とを有し、前記第1円筒部は前記ボデイに嵌合し、前記第2円筒部は前記パッドの前記連結部に嵌合し、前記第1円筒部の端面が前記パッドの前記連結部の端面に当接するパッド付リフト装置。
【請求項17】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記パッドは、物品が前記ボデイに衝突することを防止する網部を有するパッド付リフト装置。
【請求項18】
請求項1記載のパッド付リフト装置において、
前記パッドは、前記スカート部を前記連結部に接続する板状の基部を有するパッド付リフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品(ワーク)を吸着して搬送するパッド付リフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エアを高速で流すことによって生じるベルヌーイ効果を利用し、パッドの内側に真空圧を発生させ、種々の物品を保持して搬送するパッド付リフト装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、負圧を発生させる非接触チャックと、ベロウ形の吸着パッドとを備えた吸着ハンドが記載されている。この吸着ハンドによれば、吸着パッドを被吸着物に上方から当接させ、吸着パッドと被吸着物の表面とに囲まれた空間を負圧状態にすると、被吸着物が吸着パッドに吸着保持される。
【0004】
しかしながら、従来のパッド付リフト装置は、物品の保持を負圧による吸引作用のみに依存しているので、物品の保持力を大きくすることには限界がある。また、物品の保持力を過度に大きくすると、物品がリフト時に損傷するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6535847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ボデイおよびパッドを備え、ベルヌーイ効果により物品を吸引するパッド付リフト装置であって、パッドは、ボデイの端部に取り付けられる連結部と、先端に向かって拡張する柔軟なスカート部とを有する。ボデイの端面に沿って流れたエアがパッドのスカート部の内側を流れることで、スカート部の先端が内側にしぼむように変形する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るパッド付リフト装置によれば、負圧による吸引力に加えて、スカート部の変形による把持力で物品を保持できる。また、スカート部は、自由状態において、先端に向かって拡張しているので、物品をスカート部の内側に容易に取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るパッド付リフト装置の断面図である。
図2図2は、図1のパッド付リフト装置の底面図である。
図3図3は、パッドが変形したときの図1のパッド付リフト装置の断面図である。
図4図4は、パッドが変形したときの図1のパッド付リフト装置の底面図である。
図5図5は、球状の物品を保持した場合の図1のパッド付リフト装置の断面図である。
図6図6A図6Cは、先端開口形状が異なるパッドの変形例を示す図である。
図7図7Aは、梁を備えたパッドの変形例を示す図である。図7Bは、図7Aのパッドが変形した様子を示す図である。
図8図8A図8Cは、切り込みを備えたパッドの変形例を示す図である。
図9図9A図9Cは、プリーツを備えたパッドの変形例を示す図である。
図10図10は、逃げ溝を備えたパッドの変形例を示す図である。
図11図11は、図10のパッドを備えたパッド付リフト装置によって円柱状の物品を保持した状態を示す図である。
図12図12は、本発明の第2実施形態に係るパッド付リフト装置の断面図である。
図13図13は、図12のパッド付リフト装置を一部展開した図である。
図14図14は、本発明の第3実施形態に係るパッド付リフト装置の断面図である。
図15図15は、本発明の第4実施形態に係るパッド付リフト装置の断面図である。
図16図16は、図15のパッド付リフト装置の底面図である。
図17図17は、本発明の第5実施形態に係るパッド付リフト装置の断面図である。
図18図18は、図17のパッド付リフト装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るパッド付リフト装置10について、図1図5を参照しながら説明する。以下の説明において、上下の方向に関する言葉を用いたときは、便宜上、図面上での方向をいうものであって、実際の配置を限定するものではない。なお、図1は、一つの連続する平面で切断したときの断面を示すものではなく、図1の左半分および右半分は、軸線Xの回りに90度異なる方向で切断したときの断面をそれぞれ示している。図3および図5についても同様である。
【0011】
図1および図2に示されるように、パッド付リフト装置10は、ボデイ12、ディフレクタ26およびパッド42から構成される。円柱状のボデイ12は、ディフレクタ26を取り付けるための孔部14を中央に有し、孔部14はボデイ12の下面に開口する。ボデイ12の下面(端面)は、その外周寄りの領域に環状の第1平坦面16を備える。第1平坦面16は、ボデイ12の軸線Xと垂直であり、物品保持面を構成する。孔部14は、第2平坦面18および湾曲面20を経て第1平坦面16に連なる。
【0012】
ボデイ12は、第1ポート22および第2ポート24を備える。第1ポート22はボデイ12の上面に開口し、第2ポート24はボデイ12の側面に開口する。第1ポート22は、ボデイ12の下方の空間に負圧を発生させるためのポートである。第2ポート24は、ボデイ12の下方の空間に正圧を発生させ、負圧(真空圧)を破壊するため、または、真空スイッチを取り付けて負圧を監視するためのポートである。図示しないエア供給源からのエアが第1ポート22または第2ポート24を通じてボデイ12内に導入される。
【0013】
円柱状のディフレクタ26は、ボデイ12の孔部14に嵌合される本体部28と、本体部28の下部から径方向外方に延びるフランジ部34とを備える。ボルト40がボデイ12の上面からボデイ12に挿通されディフレクタ26の本体部28に螺合されることにより、ディフレクタ26がボデイ12に固定される。
【0014】
ディフレクタ26の本体部28の側面は、フランジ部34の上面と連なる第1環状溝30を有する。ディフレクタ26の第1環状溝30は、周方向の所定の箇所で第1ポート22と連通する。第1環状溝30は、ボデイ12の孔部14の壁面と協働して第1ポート22から供給されるエアの流路を構成する。ディフレクタ26の本体部28の側面は、第1環状溝30より上方の位置において、第2環状溝32を有する。ディフレクタ26の第2環状溝32は、周方向の所定の箇所で第2ポート24と連通する。負圧を破壊する場合、第2環状溝32は、ボデイ12の孔部14の壁面と協働して、第2ポート24から供給されるエアの流路を構成する。
【0015】
ディフレクタ26のフランジ部34の上面は、ボデイ12の第2平坦面18に当接する。フランジ部34の上面は、放射状に延びる複数のノズル溝36を有する。複数のノズル溝36は、第1環状溝30に連通し、第1ポート22から供給されるエアの流路を構成する。第1ポート22から供給されるエアは、本体部28の第1環状溝30およびディフレクタ26のノズル溝36を通って、放射状に噴射される。ノズル溝36から噴射されたエアは、ボデイ12の湾曲面20および第1平坦面16に沿って流れる。
【0016】
ディフレクタ26は、第2ポート24をディフレクタ26の下方の空間に連通せしめるための屈曲通路38を有する。屈曲通路38の一端は、ディフレクタ26の下面に開口する。屈曲通路38の他端は、周方向の所定の箇所でディフレクタ26の第2環状溝32に連通する。負圧を破壊する場合、第2ポート24から供給されるエアは、ディフレクタ26の第2環状溝32および屈曲通路38を通って、ディフレクタ26から下方に流れる。
【0017】
パッド42は、円筒状の連結部44と、連結部44の下方に連なる円錐状のスカート部46とを有する。連結部44およびスカート部46は、柔軟性を有するシリコンゴム、エラストマー等の樹脂で一体に成形される。連結部44は、圧入等の手段でボデイ12の下端部外周に取り付けられる。パッド42の軸線Xは、ボデイ12の軸線Xと一致する。スカート部46は、自由状態において、下方に向かってテーパ状に拡径している。すなわち、スカート部46は、先端に向かって拡張している。
【0018】
次に、エア供給源からのエアが第1ポート22に供給されたときのパッド付リフト装置10の動作について説明する。
【0019】
第1ポート22に供給されたエアは、ディフレクタ26の第1環状溝30およびノズル溝36を通過した後、ボデイ12の湾曲面20および第1平坦面16に沿って流れる。第1平坦面16に沿って流れたエアは、パッド42のスカート部46の内面に衝突した後、スカート部46の内側を下方に流れる。コアンダ効果により、柔軟なスカート部46は、スカート部46の内側を高速で流れるエアに引き摺られるように屈曲変形する。
【0020】
図3および図4は、スカート部46の屈曲変形を概念的に示したものである。パッド42の軸線Xを挟んで互いに反対側に位置する第1部分46aと第2部分46bは、パッド42の軸線Xに最も近づく。第1部分46aおよび第2部分46bから等距離隔てた位置にある第3部分46cおよび第4部分46dは、パッド42の軸線Xから最も離れる。このとき、スカート部46の内側の体積は小さくなる。スカート部46は、図4に示される形状に変形するとは限らないが、スカート部46の先端(下端)は、少なくとも、パッド42の軸線Xを挟んで向き合う2箇所において、パッド42の軸線Xに近づき、内側にしぼむように変形する。
【0021】
次に、パッド付リフト装置10により、物品を保持する動作について説明する。パッド付リフト装置10は、例えば、図示しない搬送装置のアームに取り付けられる。図示しない物品(ワーク)は、床面等の所定の場所に置かれている。
【0022】
搬送装置が駆動され、パッド付リフト装置10が上方から物品に接近する。物品がスカート部46の内側に収まった後、エア供給源からのエアがパッド付リフト装置10の第1ポート22に供給される。第1ポート22に供給されたエアは、ディフレクタ26の第1環状溝30およびノズル溝36を通過した後、ボデイ12の湾曲面20および第1平坦面16に沿って流れる。第1平坦面16に沿って流れたエアは、パッド42のスカート部46の内面に衝突した後、スカート部46の内側を下方に流れる。
【0023】
物品がスカート部46の内側に進入すると、スカート部46の内面と物品との隙間が狭くなるとともに、ボデイ12の第1平坦面16と物品との隙間が狭くなる。このため、これらの隙間を通過するエアの流速が大きくなり、ベルヌーイ効果により、物品の上方においてスカート部46の内側に負圧が生成される。物品は、吸引され、リフトする。比較的大きな物品が吸引される場合、物品は、ボデイ12に衝突する前に柔軟なスカート部46の内面に当接する。したがって、物品が損傷することが防止される。
【0024】
また、コアンダ効果により、柔軟なスカート部46は、スカート部46の内側を高速で流れるエアに引き摺られるように屈曲変形する。物品Wが例えばミニトマトやイチゴのように球状である場合、スカート部46は、図5に示されるように変形する。スカート部46の先端が部分的に内側にしぼむので、物品Wがスカート部46の先端で下方から支持される。物品Wは、負圧による吸引力とスカート部46の変形による把持力とを合わせた力でパッド付リフト装置10に保持される。
【0025】
本実施形態のパッド付リフト装置10によれば、パッド42のスカート部46の内側をエアが高速で流れると、柔軟なスカート部46の先端が内側にしぼむように変形するので、物品を下方から支持できる。このため、負圧による吸引力に加えて、スカート部46の変形による把持力で物品を保持できる。また、スカート部46は、自由状態において、先端に向かって拡張しているので、物品をスカート部46の内側に容易に取り込むことができる。以下に述べる変形例についても、同様の作用または効果が得られる。
【0026】
(先端開口形状が異なるパッドの変形例)
上述したパッド付リフト装置10において、パッド42のスカート部46は円錐状であるとしたが、保持する物品の形状に応じて、スカート部を図6A図6Cに示される形状としてもよい。
【0027】
図6Aに示される第1変形例のパッド48は、円筒状の連結部50と、連結部50に連なるスカート部52とを有する。スカート部52は、連結部50から離れるにつれてパッド48の軸線から離間している。すなわち、スカート部52は、先端に向かって拡張している。スカート部52の先端開口形状は、楕円である。
【0028】
図6Bに示される第2変形例のパッド54は、円筒状の連結部56と、連結部56に連なるスカート部58とを有する。スカート部58は、先端に向かって拡張している。スカート部58の先端開口形状は、矩形である。パッド54の軸線に垂直な平面で切断したときのスカート部58の外形は、連結部56から離れるにつれて、円から矩形に徐々に変化している。
【0029】
図6Cに示される第3変形例のパッド60は、円筒状の連結部62と、連結部62に連なるスカート部64とを有する。スカート部64は、先端に向かって拡張している。スカート部64の先端開口形状は、六角形である。パッド60の軸線に垂直な平面で切断したときのスカート部64の外形は、連結部62から離れるにつれて、円から六角形に徐々に変化している。
【0030】
(梁を備えたパッドの変形例)
上述したパッド付リフト装置10のパッドにおいて、梁を備えた変形例が図7Aに示されている。
【0031】
図7Aに示される第4変形例のパッド66は、円筒状の連結部68と、連結部68に連なる円錐状のスカート部70とを有する。スカート部70は、連結部68から離間するにつれてパッド66の軸線から離れている。すなわち、スカート部70は、先端に向かって拡張している。スカート部70は、スカート部70の母線に沿って延びる複数の梁72を備える。各梁72は、スカート部70の先端から連結部68に至るまで延びている。複数の梁72は、パッド66の軸線回りに等角度おきに配置される。
【0032】
スカート部70は、複数の梁72を備えるので、部分的に補強されている。スカート部70が屈曲変形したときの様子が図7Bに示されている。スカート部70の内側をエアが高速で流れると、スカート部70は、隣接する梁72の間の領域で内側にしぼむように変形する。スカート部70は、梁72が存在する領域では変形せず、全体としての強度を維持できる。
【0033】
(切り込みを備えたパッドの変形例)
上述したパッド付リフト装置10のパッドについて、切り込みを備えた変形例が図8A図8Cに示されている。
【0034】
図8Aに示される第5変形例のパッド82は、円筒状の連結部84と、連結部84に連なる円錐状のスカート部86とを有する。スカート部86は、連結部84から離間するにつれてパッド82の軸線から離れている。すなわち、スカート部86は、先端に向かって拡張している。スカート部86は、複数の切り込み88を備える。各切り込み88は、スカート部86の先端から連結部84の近傍まで延びている。複数の切り込み88は、パッド82の軸線回りに等角度おきに配置される。スカート部86は、複数の切り込み88を備えるので、大きな変形自由度を有し、様々な形状の物品を把持することができる。
【0035】
図8Bに示される第6変形例のパッド90は、円筒状の連結部92と、連結部92に連なる円錐状のスカート部94とを有する。スカート部94は、先端に向かって拡張している。スカート部94の先端は、外方に曲がる反り返り部96を備える。スカート部94は、複数の切り込み98を備える。各切り込み98は、反り返り部96を含むスカート部94の先端から連結部92の近傍まで延びている。複数の切り込み98は、パッド90の軸線回りに等角度おきに配置される。スカート部94は、複数の切り込み98を備えるので、大きな変形自由度を有し、様々な形状の物品を把持することができる。また、スカート部94は、先端に反り返り部96を備えるので、例えば物品が置かれた床面に押し付けられたとき、スカート部94の先端がスムーズに拡張される。このため、クッション効果が得られるとともに、物品を保持し易くなる。
【0036】
図8Cに示される第7変形例のパッド100は、円筒状の連結部102と、連結部102に連なる円錐状のスカート部104とを有する。スカート部104は、先端に向かって拡張している。複数の切り込み106がスカート部104の先端から連結部102に至るまで形成され、スカート部104は、複数の短冊状のスカート片104aから構成されている。隣接するスカート片104aは、相互に部分的に重ね合わされている。スカート部104は、複数の切り込み106を備えるので、大きな変形自由度を有し、様々な形状の物品を把持することができる。また、隣接するスカート片104aが相互に重ね合わされているので、スカート部104の内側に生成される負圧(真空圧)が損なわれることがない。
【0037】
(プリーツを備えたパッドの変形例)
上述したパッド付リフト装置10のパッドについて、重ね合わせによるプリーツを備えた変形例が図9A図9Cに示されている。
【0038】
図9Aに示される第8変形例のパッド108は、円筒状の連結部110と、連結部110に連なる円錐状のスカート部112とを有する。スカート部112は、連結部110から離間するにつれてパッド108の軸線から離れている。すなわち、スカート部112は、先端に向かって拡張している。スカート部112は、複数のワンウェイプリーツ114を備える。各ワンウェイプリーツ114は、スカート部112の先端から連結部110に至るまで延びている。複数のワンウェイプリーツ114は、パッド108の軸線回りに等角度おきに配置される。スカート部112は、複数のワンウェイプリーツ114を備えるので、大きな変形自由度を有し、様々な形状の物品を把持することができる。
【0039】
図9Bに示される第9変形例のパッド116は、円筒状の連結部118と、連結部118に連なる円錐状のスカート部120とを有する。スカート部120は、先端に向かって拡張している。スカート部120は、複数のボックスプリーツ122を備える。各ボックスプリーツ122は、スカート部120の先端から連結部118に至るまで延びている。複数のボックスプリーツ122は、パッド116の軸線回りに等角度おきに配置される。スカート部120は、複数のボックスプリーツ122を備えるので、大きな変形自由度を有し、様々な形状の物品を把持することができる。
【0040】
図9Cに示される第10変形例のパッド124は、円筒状の連結部126と、連結部126に連なるスカート部128とを有する。スカート部128は、先端に向かって拡張している。スカート部128は、複数のアコーディオンプリーツ130を備える。各アコーディオンプリーツ130は、スカート部128の先端から連結部126に至るまで延びている。複数のアコーディオンプリーツ130は、パッド124の軸線回りに等角度おきに配置される。スカート部128は、複数のアコーディオンプリーツ130を備えるので、大きな変形自由度を有し、様々な形状の物品を把持することができる。
【0041】
(逃げ溝を備えたパッドの変形例)
上述したパッド付リフト装置10のパッドについて、物品が入り込む逃げ溝を備えた変形例が図10および図11に示されている。
【0042】
図10に示される第11変形例のパッド132は、円筒状の連結部134と、連結部134の外周面から外方に拡がる平板状の基部136と、基部136の外周から連結部134と反対方向に延びるスカート部138とを有する。すなわち、パッド132は、スカート部138を連結部134に接続する基部136を有する。連結部134、基部136およびスカート部138は、柔軟性を有するシリコンゴム、エラストマー等の樹脂で一体に成形される。
【0043】
基部136の外周は、二つの直線状の長辺136aと二つの曲線状の短辺136bとを組み合わせた形状を有する。スカート部138は、基部136の短辺136bに対応する位置において、一対の逃げ溝140を備える。各逃げ溝140は、スカート部138の先端から基部136の近傍まで形成されている。スカート部138は、基部136の長辺136aに対応する位置において、一対のスカート片138aを備える。各スカート片138aは、基部136から離れるにつれてパッド132の軸線から離れるように、パッド132の軸線に対して傾斜している。
【0044】
パッド132は、特に、細長い物品Wを保持するのに適している。パッド132を備えたパッド付リフト装置によって円柱状の物品Wが保持された様子が図11に示されている。円柱状の物品Wは、スカート部138の一対の逃げ溝140に挿通され、先端が内側に変形した一対のスカート片138aによって下方から支持される。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るパッド付リフト装置150について、図12および図13を参照しながら説明する。なお、第2実施形態に係るパッド付リフト装置において、上述したパッド付リフト装置10と同一または同等の構成要素には同一の参照符号を付してある。
【0046】
図12および図13に示されるように、パッド付リフト装置150は、ボデイ12、ディフレクタ26、パッド42および抜け止め具152から構成される。パッド42は、円筒状の連結部44と、連結部44に連なる円錐状のスカート部46とを有する。スカート部46は、先端に向かって拡張している。パッド42の連結部44の内周面は、環状の溝部44aを備える。円柱状のボデイ12は、ボデイ12の下端から径方向外方に突出する環状のフランジ部12aを備える。ボデイ12のフランジ部12aがパッド42の溝部44aに係合することによって、パッド42がボデイ12に取り付けられる。
【0047】
抜け止め具152は、金属製の第1抜け止め具154および金属製の第2抜け止め具156から構成される。第1抜け止め具154は、環状の平板部154aと、平板部154aの外周から下方に直角に折れ曲がる円筒部154bとを有する。第1抜け止め具154の円筒部154bは、パッド42の連結部44に外側から嵌合する。第1抜け止め具154の平板部154aは、パッド42の連結部44の端面に当接する。
【0048】
第2抜け止め具156は、U字状の板材からなり、一対の係合片156aを有する。ボデイ12の外周面は、フランジ部12aから若干離れた位置において、環状の溝部12bを有する。第2抜け止め具156の一対の係合片156aがボデイ12の溝部12bに係合すると、第1抜け止め具154の平板部154aは、パッド42の連結部44の端面と第2抜け止め具156の係合片156aとの間で挟持される。これにより、パッド42がボデイ12から離脱することが確実に防止される。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るパッド付リフト装置について、図14を参照しながら説明する。なお、第3実施形態に係るパッド付リフト装置において、上述したパッド付リフト装置10と同一または同等の構成要素には同一の参照符号を付してある。
【0050】
パッド付リフト装置160は、ボデイ12、ディフレクタ26、パッド42および抜け止め具162から構成される。パッド42は、円筒状の連結部44と、連結部44に連なる円錐状のスカート部46とを有する。スカート部46は、先端に向かって拡張している。パッド42の連結部44の内周面は、環状の溝部44aを備える。円柱状のボデイ12は、ボデイ12の下端から径方向外方に突出する環状のフランジ部12aを備える。ボデイ12のフランジ部12aがパッド42の溝部44aに係合することによって、パッド42がボデイ12に取り付けられる。
【0051】
金属製の抜け止め具162は、厚肉の第1円筒部162aと、第1円筒部162aから下方に延びる薄肉の第2円筒部162bとを有する。第1円筒部162aは、ボデイ12に外側から嵌合する。第2円筒部162bは、パッド42の連結部44に外側から嵌合する。第1円筒部162aの下面は、パッド42の連結部44の端面に当接する。ねじ部材164が第1円筒部162aの側面から第1円筒部162aに挿通されボデイ12の側面に螺合することにより、抜け止め具162がボデイ12に固定される。これにより、パッド42がボデイ12から離脱することが確実に防止される。
【0052】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るパッド付リフト装置について、図15および図16を参照しながら説明する。なお、第4実施形態に係るパッド付リフト装置において、上述したパッド付リフト装置10と同一または同等の構成要素には同一の参照符号を付してある。
【0053】
図15に示されるように、パッド付リフト装置170は、ボデイ12、ディフレクタ26およびパッド42から構成される。パッド42は、円筒状の連結部44と、連結部44に連なる円錐状のスカート部46と、スカート部46の内側に配置される網部172とを有する。連結部44およびスカート部46は、柔軟性を有するシリコンゴム、エラストマー等の樹脂からなる。網部172は、樹脂製または金属製であり、スカート部46にインサート成形される。
【0054】
スカート部46は、先端に向かって拡張している。パッド42の連結部44は、径方向内方に突出する環状のフランジ部44bを備える。円柱状のボデイ12の外周面は、環状の溝部12cを備える。パッド42のフランジ部44bがボデイ12の溝部12cに係合することによって、パッド42がボデイ12に取り付けられる。
【0055】
図15に示されるように、パッド42の網部172は、ボデイ12に近接して配置される。図16に示されるように、パッド42の網部172は、ディフレクタ26の下面と向き合う環状のリング部172aと、リング部172aの外周から放射状に延びる複数の架橋部172bとから構成される。網部172は、複数の架橋部172bの先端において、スカート部46に接続される。複数の架橋部172bは、円周方向に等角度おきに配置される。
【0056】
パッド付リフト装置170のパッド42は、網部172を有するので、吸引する物品がボデイ12に衝突することが防止される。また、連結部44およびスカート部46は、柔軟性を有する樹脂で成形されるので、吸引する物品が網部172に当接したときにクッション効果が得られる。
【0057】
本実施形態では、網部172は、スカート部46にインサート成形されたが、連結部44、スカート部46および網部172が同じ材料で一体成形されてもよい。
【0058】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係るパッド付リフト装置180について、図17および図18を参照しながら説明する。なお、第5実施形態に係るパッド付リフト装置180において、上述したパッド付リフト装置10と同一または同等の構成要素には同一の参照符号を付してある。
【0059】
図17に示されるように、パッド付リフト装置180は、ボデイ12、ディフレクタ26およびパッド182から構成される。パッド182は、円筒状の連結部184と、連結部184の外周面からリング状に拡がる板状の基部186と、基部186の外周から連結部184と反対方向に延びるスカート部188とを有する。すなわち、パッド182は、スカート部188を連結部184に接続する板状の基部186を有する。連結部184、基部186およびスカート部188は、柔軟性を有するシリコンゴム、エラストマー等の樹脂で一体に成形される。
【0060】
スカート部188は、先端に向かって拡張している。図18に示されるように、スカート部188は、複数のアコーディオンプリーツ190を備える。各アコーディオンプリーツ190は、スカート部188の先端から連結部184に至るまで延びている。複数のアコーディオンプリーツ190は、パッド182の軸線回りに等角度おきに配置される。
【0061】
パッド182の連結部184は、径方向内方に突出する環状のフランジ部184aを備える。円柱状のボデイ12の外周面は、環状の溝部12dを備える。パッド182のフランジ部184aがボデイ12の溝部12dに係合することによって、パッド182がボデイ12に取り付けられる。
【0062】
パッド182は、スカート部188を連結部184に接続する板状の基部186を有するので、比較的大きな物品を保持するのに好適である。また、スカート部188は、複数のアコーディオンプリーツ190を備えるので、大きな変形自由度を有し、様々な形状の物品を把持することができる。
【0063】
本発明に係るパッド付リフト装置は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0064】
10、150、160、170…パッド付リフト装置
12…ボデイ 12b…溝部
42、48、54、60、66、82、90、100、108、116、124、132、182…パッド
44、50、56、62、68、84、92、102、110、118、126、134、184…連結部
46、52、58、64、70、86、94、104、112、120、128、138、188…スカート部
72…梁
88、98、106…切り込み 96…反り返り部
104a…スカート片
114、122、130、190…プリーツ
136、186…基部 136a…長辺
136b…短辺 140…逃げ溝
152、162…抜け止め具 154…第1抜け止め具
154a…平板部 154b…円筒部
156…第2抜け止め具 156a…係合片
162a…第1円筒部 162b…第2円筒部
172…網部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18