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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116871
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】スロットル装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 11/02 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
F02D11/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019223
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】大谷 貴之
(72)【発明者】
【氏名】村田 敏一
【テーマコード(参考)】
3G065
【Fターム(参考)】
3G065BA01
3G065CA24
3G065JA02
3G065JA10
3G065KA11
(57)【要約】
【課題】リターンスプリングを装備したスロットル装置の組み付け作業が困難であること。
【解決手段】本発明のスロットル装置は、ハンドルバーの外周面に沿って回動可能に装備されるスロットルパイプに回転力を付勢するリターンスプリング11と、リターンスプリング11の一端が固定されるサブケース12と、リターンスプリング11の他端が固定されサブケース12と係合されるローター13と、ハンドルバーの内部に配置されリターンスプリング11とサブケース12とローター13とが組み付けられた状態で内部に挿入されるケース20と、を備え、サブケース12とローター13とリターンスプリング11は、リターンスプリング11をねじった状態で組み付けられ、サブケース12とローター13は相互に回転することを規制された状態で係合する係合部12a,13aを備える。
【選択図】図3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルバーの外周面に沿って回動可能に装備されるスロットルパイプに回転力を付勢するリターンスプリングと、
前記リターンスプリングの一端が固定されるサブケースと、
前記リターンスプリングの他端が固定され、前記サブケースと係合されるローターと、
前記ハンドルバーの内部に配置され、前記リターンスプリングと前記サブケースと前記ローターとが組み付けられた状態で内部に挿入されるケースと、を備え、
前記サブケースと前記ローターと前記リターンスプリングは、前記リターンスプリングをねじった状態で組み付けられ、
前記サブケースと前記ローターは相互に回転することを規制された状態で係合する係合部を備える、
スロットル装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスロットル装置であって、
前記係合部は、前記リターンスプリングをねじった方向とは反対方向に前記サブケースと前記ローターの一方が回転することを規制するよう構成されている、
スロットル装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスロットル装置であって、
前記係合部は、前記サブケースと前記ローターとにそれぞれ形成された対となる爪部にて形成されており、
対となる前記爪部は、前記リターンスプリングをねじった方向とは反対方向に相互に噛み合うよう構成されている、
スロットル装置。
【請求項4】
請求項1に記載のスロットル装置であって、
前記ケースは、内部に挿入された前記リターンスプリングと前記サブケースと前記ローターとが組み付けられたスプリングユニットが、前記ハンドルバーの軸を中心に少なくとも一方向の回転方向に回転することを規制する規制部材を備えた、
スロットル装置。
【請求項5】
請求項4に記載のスロットル装置であって、
前記スプリングユニットは、外周に被規制部を有し、
前記被規制部は、前記ケースの前記規制部材と係合し、
前記ハンドルバーの軸を中心に少なくとも一方向の回転方向への前記スプリングユニットの回転が規制されるよう構成されている、
スロットル装置。
【請求項6】
請求項5に記載のスロットル装置であって、
前記スプリングユニットの前記被規制部は、その周縁部にて前記規制部材を回転方向に沿って挟持するよう構成されている、
スロットル装置。
【請求項7】
請求項6に記載のスロットル装置であって、
前記規制部材を挟持する前記スプリングユニットの前記被規制部は、一方は前記サブケースに形成され、他方は前記ローターに形成される、
スロットル装置。
【請求項8】
請求項5に記載のスロットル装置であって、
前記スプリングユニットの前記被規制部は、前記ハンドルバーの軸方向であって前記ケースに対する前記スプリングユニットの挿入方向に沿って形成されており、
前記ケースの前記規制部材は、当該ケースに前記スプリングユニットが挿入される際に前記被規制部に沿って当該被規制部に挿入されることで係合するよう構成されている、
スロットル装置。
【請求項9】
請求項5に記載のスロットル装置であって、
前記スプリングユニットの前記被規制部の周縁部の一部であって、前記ローターに形成された部位は、前記規制部材が係合された際に当該規制部材に押圧されて前記リターンスプリングのねじり方向に回転するよう構成されている、
スロットル装置。
【請求項10】
ハンドルバーの外周面に沿って回動可能に装備されるスロットルパイプに回転力を付勢するリターンスプリングと、前記リターンスプリングの一端が固定されるサブケースと、前記リターンスプリングの他端が固定されるローターとを、前記リターンスプリングをねじった状態で組み付け、前記サブケースと前記ローターとにそれぞれ設けられた係合部にて前記サブケースと前記ローターは相互に回転することを規制され、
ねじられた状態の前記リターンスプリングと前記サブケースと前記ローターとが組み付けられたスプリングユニットを、前記ハンドルバーの内部に配置されたケースの内部に挿入する、
スロットル装置の組み付け方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルバーに装備されるスロットル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車などのハンドルバーを備える車両には、ハンドルバーにスロットル装置が装備されている。運転者は、スロットル装置のスロットルパイプを回転させることで、アクセル開度を調整してアクセル操作を行うこととなる。
【0003】
そして、スロットル装置は、特許文献1に記載のように、回転操作されたスロットルパイプを初期位置に復帰させる回転力を付勢するためのリターンスプリングが内部に装備されている。リターンスプリングは、トーションスプリングで形成されており、組み付ける際には、リターンスプリング自体をねじった状態で組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-66194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リターンスプリングを組み付ける際には、当該リターンスプリングをねじることによってトルクが発生し、かかるトルクによって組み付け作業が困難となる、という問題が生じる。例えば、組み付けの際にリターンスプリングをねじった状態を維持することが必要となり、作業工程が複雑となる。また、組み付けの際にリターンスプリングをねじった状態を維持することができない場合には、リターンスプリングが反発することによって他の部品を破損させてしまうおそれがある。
【0006】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、リターンスプリングを装備したスロットル装置の組み付け作業が困難となる、ということを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態であるスロットル装置は、
ハンドルバーの外周面に沿って回動可能に装備されるスロットルパイプに回転力を付勢するリターンスプリングと、
前記リターンスプリングの一端が固定されるサブケースと、
前記リターンスプリングの他端が固定され、前記サブケースと係合されるローターと、
前記ハンドルバーの内部に配置され、前記リターンスプリングと前記サブケースと前記ローターとが組み付けられた状態で内部に挿入されるケースと、を備え、
前記サブケースと前記ローターと前記リターンスプリングは、前記リターンスプリングをねじった状態で組み付けられ、
前記サブケースと前記ローターは相互に回転することを規制された状態で係合する係合部を備える、
という構成をとる。
【0008】
また、本発明の一形態であるスロットル装置の組み付け方法は、
ハンドルバーの外周面に沿って回動可能に装備されるスロットルパイプに回転力を付勢するリターンスプリングと、前記リターンスプリングの一端が固定されるサブケースと、前記リターンスプリングの他端が固定されるローターとを、前記リターンスプリングをねじった状態で組み付け、前記サブケースと前記ローターとにそれぞれ設けられた係合部にて前記サブケースと前記ローターは相互に回転することを規制され、
ねじられた状態の前記リターンスプリングと前記サブケースと前記ローターとが組み付けられたスプリングユニットを、前記ハンドルバーの内部に配置されたケースの内部に挿入する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上のように構成されることにより、リターンスプリングを装備したスロットル装置の組み付け作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態におけるスロットル装置の組み付け前の構成を示す図である。
図2図1に開示したスロットル装置の上面図である。
図3図1に開示したスロットル装置の組み付け時の様子を示す図である。
図4図1に開示したスロットル装置の組み付け時の様子を示す図である。
図5図1に開示したスロットル装置の組み付け時の様子を示す図である。
図6図1に開示したスロットル装置の組み付け時の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図6を参照して説明する。図1乃至図2は、スロットル装置の組み付け前の構成を示し、図3乃至図6は、スロットル装置の組み付け時の様子を示している。
【0012】
本実施形態におけるスロットル装置は、自動二輪車などのハンドルバーを備える車両に装備されるものである。スロットル装置は、図示しないが、ハンドルバーの外周面に沿って回動可能に装備されるスロットルパイプを備えており、かかるスロットルパイプを運転者が回転させることで、アクセル開度を調整してアクセル操作を行うものである。
【0013】
図1及び図2に、組み付ける前のスロットル装置の一部の構成を示す。図1に示すように、スロットル装置は、図示しないスロットルパイプに回転力を付勢するリターンスプリング11と、リターンスプリング11の一端が固定されるサブケース12と、リターンスプリング11の他端が固定され12サブケースと係合されるローター13と、これらが組み付けられた状態で内部に挿入されるケース20と、を備えている。そして、ケース20は、ハンドルバーの内部に挿入され、さらに、ローター13に対して当該ローター13と共に回転するスロットルパイプが設けられることで、スロットル装置が構成される。以下、各構成について各図を参照して詳述する。なお、図2は、図1を上方から見た上面図を示している。そして、各図において一点鎖線で示す軸線は、ハンドルバーの軸を示しており、上述した各構成11,12,13,20も、軸線を中心とした略円筒状あるいは略円環状に形成されている。
【0014】
リターンスプリング11は、図1及び図2に示すように、軸線に沿って延びるトーションスプリングで形成されており、後述するように端部に固定されたローター13と共に回転されるスロットルパイプを、初期位置に復帰させる回転力を付勢するものである。本実施形態では、リターンスプリング11は、図面の右側に位置する端部に固定されたローター13が、図面の手前方向、つまり、図3の矢印Y1方向に回転されたときに、かかる回転状態から元の状態に戻るように逆方向の回転力を生じさせるよう構成されている。
【0015】
サブケース12は、軸線に沿って延びる略筒状体にて形成されており、内部にリターンスプリング11の大部分を収容可能な長さに形成されている。そして、サブケース12の一端、つまり、図1及び図2に示す左側に位置する端部には、内部に挿入されたリターンスプリング11の一端が固定される。また、サブケース12の他端、つまり、図1及び図2に示す右側の端部からは、挿入されたリターンスプリング11の他端が突出した状態となっている。但し、サブケース12の他端には、後述するようにローター13が係合されることとなり、ローター13と係合するサブケース側係合部12aが形成されている。具体的に、図1に示すように、サブケース12の他端に形成されたサブケース側係合部12aは、外周方向に突出した爪部にて形成されている。つまり、略円筒状のサブケース12は、他端箇所において側壁の一部が切除されており、かかる切除箇所に外周方向に突出した爪部が形成されている。これにより、サブケース12の他端箇所には、軸方向に沿って他端側に向かって凹凸形状部が順に形成されたフック状のサブケース側係合部12aが形成されている。
【0016】
また、図2に示すように、サブケース12は、略円筒状を形成する側壁の一部が軸方向に沿って一端から他端にかけて一様に開口している。このため、サブケース12の側壁には、開口部分の周縁部に位置し、当該開口部分を円周方向に沿って挟むよう相互に対向して位置する開口枠部12A,12B(被規制部)が形成されている。つまり、開口枠部12A,12Bは、円周方向に沿って所定の間隔をあけて位置し、軸方向に延びる直線状の側壁の端面にて形成される。
【0017】
ローター13は、軸線に沿って延びる略筒状体にて形成されており、内部にリターンスプリング11の端部のみを収容可能な長さに形成されている。このため、ローター13は、上述したサブケース12よりも軸方向の長さが短く形成されており、略円環状に形成されていてもよい。そして、サブケース12の他端、つまり、図1及び図2に示す右側に位置する端部には、内部に挿入されたリターンスプリング11の他端が固定される。また、ローター13の一端、つまり、図1及び図2に示す左側の端部には、後述するようにサブケース12が係合されることとなるため、サブケース12と係合するローター側係合部13aが形成されている。具体的に、図2に示すように、ローター13の一端に形成されたローター側係合部13aは、外周方向に突出した爪部にて形成されている。つまり、略円筒状のローター13は、一端箇所において側壁の一部が切除されており、かかる切除箇所に外周方向に突出した爪部が形成されている。これにより、ローター13の一端箇所には、軸方向に沿って一端側に向かって凹凸形状部が順に形成されたフック状のローター側係合部13aが形成されている。なお、ローター13のローター側係合部13aを形成する爪部は、上述したサブケース13のサブケース側係合部12aを形成する爪部と対を成し、後述するように、対となる爪部は相互に噛み合うこととなる。
【0018】
そして、上述したリターンスプリング11とサブケース12とローター13とは組み付けられて、スプリングユニット10を形成する。このとき、リターンスプリング11がねじられた状態でサブケース12とローター13とに収容され、サブケース12のサブケース側係合部12aとローター13のローター側係合部13aとが係合することで、組み付けられる。
【0019】
具体的に、図3及び図4を参照して、スプリングユニット10の組み付け方法を説明する。まず、リターンスプリング11の一端側がサブケース12に挿入され固定され、当該リターンスプリング11の他端がローター13に挿入されて固定される。そして、図3の矢印Y1に示すように、サブケース12を固定した状態でローター13を図面手前方向に回転させて、リターンスプリング11をねじる。これにより、リターンスプリング11は、ねじられた回転状態から元の状態に戻るよう逆方向の回転力が生じている状態となる。なお、このとき、ローター13のローター側係合部13aの爪部の先端位置が、サブケース12のサブケース側係合部12aの爪部の先端位置よりもさらにねじり回転方向側に位置するよう、ローター13を回転させる。
【0020】
続いて、リターンスプリング11をねじった状態のまま、図3の矢印Y2に示すように、ローター13をサブケース12側に移動させ、ローター13の一端とサブケース12の他端とを当接させる。これにより、ローター13のローター側係合部13aと、サブケース12のサブケース側係合部12aとが、相互に円周方向に沿って対向して位置することとなる。
【0021】
その後、ローター13の回転を開放することで、リターンスプリング11がねじられたことによって生じている逆方向の回転力により回転し、図4の矢印Y3に示すように、リターンスプリング11の他端側に固定されたるローター13が図面奥方向に向かって回転する。これにより、相互に対向して位置していたローター13のローター側係合部13aと、サブケース12のサブケース側係合部12aとが、図4に示すように、相互に当接して係合することとなる。具体的に、サブケース側係合部12aとローター側係合部13aとに形成された相互に対となる爪部同士が噛み合う、つまり、フック状のサブケース側係合部12aとローター側係合部13aとが噛み合うこととなる。このため、サブケース12とローター13とが、相互にさらにねじり方向とは反対方向に回転することが規制される。また、リターンスプリング11は、ねじった方向とは反対方向への適度な回転力が生じている状態のまま、サブケース12及びローター13とによって両端が固定されて、スプリングユニット10として収容された状態である。このため、サブケース12やローター13に、さらにねじられた方向への回転力が印加されない限り、かかるねじられた方向への回転が規制された状態となっている。
【0022】
次に、上述したように組み付けたスプリングユニット10が内部に挿入されるケース20の構成と、当該ケース20にスプリングユニット10を挿入するときの様子を、図5乃至図6を参照して説明する。なお、図6は、ケース20を図示していないが、ケース20に挿入されたスプリングユニット10の状態を示している。
【0023】
図5に示すように、ケース20は、軸線に沿って延びる略筒状体にて形成されており、内部にスプリングユニット10を収容可能な長さに形成されている。そして、ケース20の内側面には、長手方向に沿って一様に、つまり、図5に示す左側の一端から右側の他端にかけて、さらに内部側に突出する規制部材21が形成されている。規制部材21は、ケース20の周方向において所定の幅だけ、内側面が内部側に向かって突出して形成されており、その断面形状が略台形に形成されている。このため、規制部材21の長手方向に沿って延びる側面21A,21Bは、半径方向に沿った面で形成されている。さらに、規制部材21の周方向における幅は、上述したサブケース12に形成された開口部分の幅とほぼ同一に形成されている。つまり、規制部材21の側面21A,21B間の幅は、サブケース12に形成された開口部分を円周方向に沿って挟むよう相互に対向して位置する開口枠部12A,12Bの幅とほぼ同一に形成されている。但し、実際には、規制部材21の側面21A,21B間の幅は、規制部材21がサブケース12の開口枠部12A,12B間に挿入可能なよう当該開口枠部12A,12Bの幅と同一かそれよりも小さく形成されている。
【0024】
そして、上記規制部材21は、図5の矢印Y4に示すように、ケース20の内部にスプリングユニット10が挿入された際に、スプリングユニット10を構成するサブケース12の外周に形成された開口枠部12A,12B間に挿入されることとなる。つまり、ケース20の規制部材21の側面21A,21Bが、それぞれサブケース12の開口枠部12A,12Bに当接し、規制部材21がサブケース12の開口枠部12A,12B間の開口部分に収容され、開口枠部12A,1Bに挟持されて係合された状態となる。このため、ケース20に収容されたスプリングユニット10は、ハンドルバーの軸を中心に回転することが規制される。
【0025】
ここで、ケース20に形成された規制部材21は、スプリングユニット10を構成するローター13の一部にも当接しうる。図5に示すように、スプリングユニット10として組み付けられたローター13の一部は、サブケース12の一方の開口枠部12Bとほぼ同一直線上に位置し、ローター側当接部13B(被規制部)を形成している。具体的に、ローター13のローター側当接部13Bは、サブケース12の開口枠部12A,12Bのうち、リターンスプリング11のねじり方向側に位置する他方の開口枠部12Bとほぼ同一直線上に位置する周縁部が該当する。このとき、ローター13のローター側当接部13Bは、スプリングユニット10として組み付けられた状態では、図5に示すように、サブケース12の開口枠部12Bと同一直線に対して、リターンスプリング11のねじり方向とは反対方向つまり回転力が生じている方向に突出して位置するよう構成されている。このため、ケース20の規制部材21がスプリングユニット10を構成するサブケース12の開口枠部12A,12B間に挿入された際には、他方の開口枠部12B側に位置する規制部材21の側面21Bが、ローター13のローター側当接部13Bに当接することとなる。すると、ローター13のローター側当接部13Bは、図6の矢印Y5に示すように、挿入された規制部材21の側面21Bによって、ねじり方向つまり図面手前方向に押圧されて回転することとなる。このとき、ローター13は、リターンスプリング11によってねじり方向とは反対方向に回転力が付勢されているため、ローター側当接部13Bが規制部材21の側面21Bをねじり方向とは反対方向に押圧していることとなる。
【0026】
このように、ケース20は、内部にスプリングユニット10が挿入されることで、その規制部材21の一方の側面21Aはサブケース12の一方の開口枠部12Aに当接し、規制部材21の他方の側面21Bはサブケース12の他方の開口枠部12B及びローター13のローター側当接部13Bに当接することとなる。このとき、特にローター13のローター側当接部13Bは、ねじり方向とは反対方向に回転力が付勢されているため、ケース20の規制部材21は、サブケース12の一方の開口枠部12Aとローター13のローター側当接部13Bとにより挟持された状態であると言える。
【0027】
そして、上述したようにスプリングユニット10が挿入されたケース20が、ハンドルバーに挿入され、さらにスプリングユニット10のローター13にスロットルパイプが装備されることで、スロットル装置を製造することができる。なお、アクセル開方向にローター13が回転する際には、ローター側当接部13Bが規制部材21から離間するが、リターンスプリング11により開口枠部12Aが規制部材21へと当接し続けることとなる。これにより、スロットル装置の実使用時にも常にハンドルバーとスロットル装置の位置決めができる。
【0028】
本発明は、以上のように構成されることにより、リターンスプリング11をねじった状態でサブケース12とローター13とに収容してスプリングユニット10として組み付けてから、当該スプリングユニット10をケース20に挿入して、スロットル装置を組み付けることができる。このため、リターンスプリング11をねじった状態で組み付ける作業が必要となるスロットル装置の組み付け作業が容易となる。
【0029】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明におけるスロットル装置及びスロットル装置の組み付け方法の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
ハンドルバーの外周面に沿って回動可能に装備されるスロットルパイプに回転力を付勢するリターンスプリングと、
前記リターンスプリングの一端が固定されるサブケースと、
前記リターンスプリングの他端が固定され、前記サブケースと係合されるローターと、
前記ハンドルバーの内部に配置され、前記リターンスプリングと前記サブケースと前記ローターとが組み付けられた状態で内部に挿入されるケースと、を備え、
前記サブケースと前記ローターと前記リターンスプリングは、前記リターンスプリングをねじった状態で組み付けられ、
前記サブケースと前記ローターは相互に回転することを規制された状態で係合する係合部を備える、
スロットル装置。
(付記2)
付記1に記載のスロットル装置であって、
前記係合部は、前記リターンスプリングをねじった方向とは反対方向に前記サブケースと前記ローターの一方が回転することを規制するよう構成されている、
スロットル装置。
(付記3)
付記2に記載のスロットル装置であって、
前記係合部は、前記サブケースと前記ローターとにそれぞれ形成された対となる爪部にて形成されており、
対となる前記爪部は、前記リターンスプリングをねじった方向とは反対方向に相互に噛み合うよう構成されている、
スロットル装置。
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載のスロットル装置であって、
前記ケースは、内部に挿入された前記リターンスプリングと前記サブケースと前記ローターとが組み付けられたスプリングユニットが、前記ハンドルバーの軸を中心に少なくとも一方向の回転方向に回転することを規制する規制部材を備えた、
スロットル装置。
(付記5)
付記4に記載のスロットル装置であって、
前記スプリングユニットは、外周に被規制部を有し、
前記被規制部は、前記ケースの前記規制部材と係合し、
前記ハンドルバーの軸を中心に少なくとも一方向の回転方向への前記スプリングユニットの回転が規制されるよう構成されている、
スロットル装置。
(付記6)
付記5に記載のスロットル装置であって、
前記スプリングユニットの前記被規制部は、その周縁部にて前記規制部材を回転方向に沿って挟持するよう構成されている、
スロットル装置。
(付記7)
付記6に記載のスロットル装置であって、
前記規制部材を挟持する前記スプリングユニットの前記被規制部は、一方は前記サブケースに形成され、他方は前記ローターに形成される、
スロットル装置。
(付記8)
付記5乃至7のいずれかに記載のスロットル装置であって、
前記スプリングユニットの前記被規制部は、前記ハンドルバーの軸方向であって前記ケースに対する前記スプリングユニットの挿入方向に沿って形成されており、
前記ケースの前記規制部材は、当該ケースに前記スプリングユニットが挿入される際に前記被規制部に沿って当該被規制部に挿入されることで係合するよう構成されている、
スロットル装置。
(付記9)
付記5乃至8のいずれかに記載のスロットル装置であって、
前記スプリングユニットの前記被規制部の周縁部の一部であって、前記ローターに形成された部位は、前記規制部材が係合された際に当該規制部材に押圧されて前記リターンスプリングのねじり方向に回転するよう構成されている、
スロットル装置。
(付記10)
ハンドルバーの外周面に沿って回動可能に装備されるスロットルパイプに回転力を付勢するリターンスプリングと、前記リターンスプリングの一端が固定されるサブケースと、前記リターンスプリングの他端が固定されるローターとを、前記リターンスプリングをねじった状態で組み付け、前記サブケースと前記ローターとにそれぞれ設けられた係合部にて前記サブケースと前記ローターは相互に回転することを規制され、
ねじられた状態の前記リターンスプリングと前記サブケースと前記ローターとが組み付けられたスプリングユニットを、前記ハンドルバーの内部に配置されたケースの内部に挿入する、
スロットル装置の組み付け方法。
【0030】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0031】
10 スプリングユニット
11 リターンスプリング
12 サブケース
12a サブケース側係合部
12A,12B 開口枠部
13 ローター
13a ローター側係合部
13B ローター側当接部
20 ケース
21 規制部材
21A,21B 規制部材の側面


図1
図2
図3
図4
図5
図6