(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116923
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/90 20230101AFI20230816BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230816BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20230816BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230816BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230816BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
H04N5/247
G03B15/00 T
G03B15/03 Z
G03B17/02
G03B15/00 P
G03B17/56 A
H04N5/222 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019321
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千賀 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 健二
(72)【発明者】
【氏名】枡谷 伸郎
【テーマコード(参考)】
2H100
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H100CC01
2H105AA03
5C122DA12
5C122EA01
5C122FA05
5C122FA11
5C122FB03
5C122FC01
5C122FC02
5C122GD11
5C122GG06
5C122GG17
5C122HA61
5C122HA82
5C122HA86
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮像アセンブリと撮像アセンブリに撮像される対象物との衝突を抑制すること。
【解決手段】検査装置は、固定焦点光学系を有する撮像アセンブリと、対象物の表面の複数のエリアのそれぞれが固定焦点光学系の被写界深度に順次配置されるように、撮像アセンブリと対象物とを相対移動させる移動装置と、複数のエリアのそれぞれの高さデータを取得する高さデータ取得部と、撮像アセンブリの外形データを記憶する装置データ記憶部と、高さデータ及び外形データに基づいて、複数のエリアのそれぞれが被写界深度に配置されるときの撮像アセンブリの少なくとも一部と対象物との衝突可能性を判定する判定部と、衝突可能性が低いと判定されたエリアが被写界深度に配置され、衝突可能性が高いと判定されたエリアが被写界深度に配置されないように、移動装置を制御する移動制御部と、被写界深度に配置されたエリアが撮像されるように、撮像アセンブリを制御する撮像制御部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定焦点光学系を有する撮像アセンブリと、
対象物の表面の複数のエリアのそれぞれが前記固定焦点光学系の被写界深度に順次配置されるように、前記撮像アセンブリと前記対象物とを相対移動させる移動装置と、
複数の前記エリアのそれぞれの高さデータを取得する高さデータ取得部と、
前記撮像アセンブリの外形データを記憶する装置データ記憶部と、
前記高さデータ及び前記外形データに基づいて、複数の前記エリアのそれぞれが前記被写界深度に配置されるときの前記撮像アセンブリの少なくとも一部と前記対象物との衝突可能性を判定する判定部と、
前記衝突可能性が低いと判定された前記エリアが前記被写界深度に配置され、前記衝突可能性が高いと判定された前記エリアが前記被写界深度に配置されないように、前記移動装置を制御する移動制御部と、
前記被写界深度に配置された前記エリアが撮像されるように、前記撮像アセンブリを制御する撮像制御部と、を備える、
検査装置。
【請求項2】
前記撮像アセンブリは、
前記固定焦点光学系及び前記固定焦点光学系を介して前記対象物の画像を取得するイメージセンサを含む撮像装置と、
前記固定焦点光学系の先端面よりも前記固定焦点光学系の焦点に近い位置に配置される照明装置と、を有し、
前記判定部は、前記照明装置と前記対象物との衝突可能性を判定する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記エリアを設定するエリア設定部を備え、
前記エリア設定部は、相互に高さが異なり且つ前記被写界深度に同時に配置可能な前記対象物の表面の複数の位置を含むように、前記エリアを設定する、
請求項1又は請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記移動制御部は、前記衝突可能性が低いと判定された前記エリアの複数の位置の高さの平均値と前記固定焦点光学系の焦点とが一致するように、前記移動装置を制御する、
請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記衝突可能性が低いと判定された複数の前記エリアの撮像順序を決定する順序決定部を備え、
前記順序決定部は、前記相対移動の距離が短くなるように、前記撮像順序を決定する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
対象物の表面の複数のエリアのそれぞれが撮像アセンブリの固定焦点光学系の被写界深度に順次撮像されるように、前記撮像アセンブリと前記対象物とを相対移動させることと、
複数の前記エリアのそれぞれの高さデータ及び前記撮像アセンブリの外形データに基づいて、複数の前記エリアのそれぞれが前記被写界深度に配置されるときの前記撮像アセンブリの少なくとも一部と前記対象物との衝突可能性を判定することと、
前記衝突可能性が低いと判定された前記エリアが前記被写界深度に配置され、前記衝突可能性が高いと判定された前記エリアが前記被写界深度に配置されないように、前記相対移動させることと、
前記被写界深度に配置された前記エリアが撮像されるように、前記撮像アセンブリを制御することと、を含む、
検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検査装置に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような検査装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、基板の表面から各部品の高さに応じた距離だけ離れた基準位置に焦点があるように固定焦点型のカメラを昇降させた場合、カメラと基板及び部品の少なくとも一方とが衝突する可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、撮像アセンブリと撮像アセンブリに撮像される対象物との衝突を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、検査装置を開示する。検査装置は、固定焦点光学系を有する撮像アセンブリと、対象物の表面の複数のエリアのそれぞれが固定焦点光学系の被写界深度に順次配置されるように、撮像アセンブリと対象物とを相対移動させる移動装置と、複数のエリアのそれぞれの高さデータを取得する高さデータ取得部と、撮像アセンブリの外形データを記憶する装置データ記憶部と、高さデータ及び外形データに基づいて、複数のエリアのそれぞれが被写界深度に配置されるときの撮像アセンブリの少なくとも一部と対象物との衝突可能性を判定する判定部と、衝突可能性が低いと判定されたエリアが被写界深度に配置され、衝突可能性が高いと判定されたエリアが被写界深度に配置されないように、移動装置を制御する移動制御部と、被写界深度に配置されたエリアが撮像されるように、撮像アセンブリを制御する撮像制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、撮像アセンブリと撮像アセンブリに撮像される対象物との衝突が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る検査装置を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る制御装置を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るエリアの設定方法を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る衝突可能性の判定方法を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る検査方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
実施形態においては、XYZ直交座標系を規定し、XYZ直交座標系を参照しながら各部の位置関係について説明する。水平面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。X軸と直交する水平面内のY軸と平行な方向をY軸方向とする。水平面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸及びY軸を含む平面を適宜、XY平面、と称する。XY平面は、水平面と平行である。Z軸は鉛直線と平行である。Z軸方向は上下方向である。+Z方向は上方向であり、-Z方向は下方向である。
【0011】
[検査装置]
図1は、実施形態に係る検査装置1を模式的に示す図である。
図1に示すように、検査装置1は、撮像アセンブリ2と、テーブル3と、移動装置4と、制御装置5とを備える。
【0012】
撮像アセンブリ2は、テーブル3に支持された対象物Wを撮像する。撮像アセンブリ2は、撮像装置6と、照明装置7とを有する。
【0013】
撮像装置6は、テーブル3に支持された対象物Wを撮像して、対象物Wの画像を取得する。撮像装置6は、対象物Wを上方から撮像する。撮像装置6は、固定焦点光学系8と、イメージセンサ9とを有する。固定焦点光学系8は、複数の光学素子を有する。固定焦点光学系8の焦点FPは、固定焦点光学系8の先端面10(下端面)よりも下方に存在する。固定焦点光学系8と焦点FPとの相対位置は、変化しない。固定焦点光学系8の光軸AXは、Z軸と平行である。イメージセンサ9は、固定焦点光学系8を介して対象物Wの画像を取得する。イメージセンサ9として、CCD(Couple Charged Device)イメージセンサ及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサの少なくとも一方が例示される。
【0014】
照明装置7は、テーブル3に支持された対象物Wを照明光で照明する。照明装置7は、撮像装置6よりも下方に配置される。照明装置7は、テーブル3よりも上方に配置される。照明装置7は、固定焦点光学系8の先端面10よりも固定焦点光学系8の焦点FPに近い位置に配置される。
【0015】
照明装置7は、光源11と、支持部材12とを有する。光源11は、照明光を射出する。光源11として、発光ダイオード(LED:light emitting diode)が例示される。光源11は、照明光として白色光を射出する。光源11は、円環状である。固定焦点光学系8の光軸AXは、円環状の光源11の内側に配置される。支持部材12は、光源11を支持する。支持部材12は、光源11の周囲に配置される。支持部材12の上端部は、撮像装置6に固定される。支持部材12の下端部は、光源11よりも下方に配置される。実施形態において、撮像アセンブリ2の下端部は、支持部材12の下端部を含む。
【0016】
照明装置7は、複数の照明条件のそれぞれで対象物Wを照明する。照明装置7は、光源11を複数有する。光源11は、第1の内径を有する第1光源11Aと、第1の内径よりも大きい第2の内径を有する第2光源11Bと、第2の内径よりも大きい第3の内径を有する第3光源11Cとを含む。複数の光源11のうち、第1光源11Aがテーブル3から最も遠い位置に配置され、第1光源11Aに次いで第2光源11Bがテーブル3から遠い位置に配置され、第3光源11Cがテーブル3に最も近い位置に配置される。
【0017】
照明条件は、対象物Wに入射する照明光の入射角度を含む。第1光源11Aから射出された照明光が対象物Wに入射する入射角度θ1と、第2光源11Bから射出された照明光が対象物Wに入射する入射角度θ2と、第3光源11Cから射出された照明光が対象物Wに入射する入射角度θ3とは、異なる。照明装置7は、複数の入射角度θのそれぞれで対象物Wに照明光を照射する。第1光源11Aから照明光が射出されるときに第2光源11B及び第3光源11Cのそれぞれから照明光は射出されない。第2光源11Bから照明光が射出されるときに第3光源11C及び第1光源11Aのそれぞれから照明光は射出されない。第3光源11Cから照明光が射出されるときに第1光源11A及び第2光源11Bのそれぞれから照明光は射出されない。
【0018】
撮像装置6は、照明装置7により対象物Wが照明された状態で、対象物Wを撮像する。光源11は、撮像装置6の撮像範囲IRよりも外側に配置される。撮像装置6の撮像範囲IRは、固定焦点光学系8の視野を含む。撮像装置6は、光源11の内側の空間を介して対象物Wを撮像する。
【0019】
移動装置4は、撮像アセンブリ2とテーブル3とを相対移動させる。撮像アセンブリ2とテーブル3とが相対移動することにより、撮像アセンブリ2と対象物Wとが相対移動する。移動装置4は、撮像アセンブリ2と対象物Wとを、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の3つの方向に相対移動させる。実施形態において、テーブル3の位置が固定され、移動装置4は、撮像アセンブリ2を、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の3つの方向に移動させる。移動装置4は、撮像アセンブリ2を移動させる動力を発生するアクチュエータを含む。撮像装置6と照明装置7とは、固定される。撮像装置6と照明装置7とは、一緒に移動する。なお、移動装置4は、撮像アセンブリ2及びテーブル3の両方を移動させてもよい。撮像アセンブリ2の位置が固定され、移動装置4は、テーブル3を移動させてもよい。
【0020】
実施形態において、対象物Wの表面は、撮像装置6の撮像範囲IRよりも大きい。移動装置4は、対象物Wの表面の複数のエリアARのそれぞれが撮像装置6の撮像範囲IRに順次撮像されるように、撮像アセンブリ2と対象物WとをXY平面内において相対移動させる。対象物Wの表面の全部が撮像装置6の撮像範囲IRに同時に配置されなくても、対象物Wの表面の複数のエリアARのそれぞれが撮像装置6の撮像範囲IRに順次配置されるように、撮像装置6の撮像範囲IRとテーブル3に支持された対象物WとのXY平面内における相対位置が調整されることにより、撮像装置6は、対象物Wの表面の複数のエリアARのそれぞれの画像を取得することができる。
【0021】
また、移動装置4は、対象物Wの表面の複数のエリアARのそれぞれが固定焦点光学系8の被写界深度DFに順次配置されるように、撮像アセンブリ2と対象物WとをZ軸方向に相対移動させる。対象物Wの表面の複数のエリアARのそれぞれが撮像装置6の撮像範囲IRに順次配置され、且つ、撮像範囲IRに配置された対象物Wの表面のエリアARが被写界深度DFに配置されることにより、撮像装置6は、撮像範囲IRに配置された対象物Wの表面のエリアARの画像を適正に取得することができる。
【0022】
制御装置5は、コンピュータシステムを含む。制御装置5は、撮像アセンブリ2及び移動装置4を制御する。制御装置5は、移動装置4を制御して、撮像アセンブリ2の撮像範囲IR及び被写界深度DFと対象物Wの表面との相対位置を調整する。制御装置5は、撮像アセンブリ2を制御して、対象物Wの照明条件及び撮像条件を調整する。撮像条件として、対象物Wを撮像するタイミング、シャッター速度、及び固定焦点光学系8の絞りが例示される。制御装置5は、撮像アセンブリ2を制御して、規定の照明条件のそれぞれで照明され、規定の撮像条件で撮像された対象物Wの画像を取得する。
【0023】
[制御装置]
図2は、実施形態に係る制御装置5を示す機能ブロック図である。制御装置5は、入力装置13に接続される。入力装置13は、作業者に操作される。作業者に操作されることにより、入力装置13は、入力データを生成する。入力装置13により生成された入力データは、制御装置5に出力される。入力装置13として、コンピュータ用キーボード、マウス、ボタン、スイッチ、及びタッチパネルの少なくとも一つが例示される。
【0024】
制御装置5は、高さデータ取得部14と、装置データ記憶部15と、エリア設定部16と、判定部17と、エリア記憶部18と、順序決定部19と、移動制御部20と、撮像制御部21とを有する。
【0025】
高さデータ取得部14は、対象物Wの表面の複数のエリアARのそれぞれの高さデータを取得する。高さデータは、対象物Wの表面の複数の位置Pの高さデータを含む。高さデータとは、対象物Wの表面のZ軸方向の位置をいう。対象物Wの表面の高さデータは、例えば対象物Wの設計データから導出される。なお、対象物Wの表面の高さデータは、検査装置1とは別の測定装置によって測定されてもよい。入力装置13は、入力データとして対象物Wの表面の高さデータを生成する。対象物Wの表面の高さデータは、入力装置13を介して制御装置5に入力される。高さデータ取得部14は、入力装置13から対象物Wの表面の高さデータを取得する。
【0026】
装置データ記憶部15は、撮像アセンブリ2の諸元データを記憶する。撮像アセンブリ2の諸元データは、撮像アセンブリ2の外形データを含む。撮像アセンブリ2の外形データは、撮像アセンブリ2の外形及び寸法を含む。また、撮像アセンブリ2の諸元データは、固定焦点光学系8の被写界深度DFを含む。また、撮像アセンブリ2の諸元データは、固定焦点光学系8と焦点FPとの相対位置を含む。
【0027】
エリア設定部16は、対象物Wの表面に複数のエリアARを設定する。エリア設定部16は、高さデータ取得部14により取得された対象物Wの表面の複数の位置Pのそれぞれの高さデータと、装置データ記憶部15に記憶されている固定焦点光学系8の被写界深度DFとに基づいて、対象物Wの表面に複数のエリアARを設定する。
【0028】
図3は、実施形態に係るエリアARの設定方法を説明するための図である。
図3に示す例において相互に高さが異なる複数の位置P(P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7)が対象物Wの表面に存在する。エリア設定部16は、相互に高さが異なる対象物Wの表面の複数の位置Pが被写界深度DFに同時に配置されるように、エリアARを設定する。
図3に示す例においては、位置P1と位置P2とが被写界深度DFに同時に配置される。エリア設定部16は、相互に高さが異なり且つ被写界深度DFに同時に配置可能な位置P1と位置P2を含むように、エリアARとして第1エリアAR1を設定する。同様に、エリア設定部16は、相互に高さが異なり且つ被写界深度DFに同時に配置可能な位置P3と位置P4とを含むように、エリアARとして第2エリアAR2を設定する。エリア設定部16は、相互に高さが異なり且つ被写界深度DFに同時に配置可能な位置P5と位置P6とを含むように、エリアARとして第3エリアAR3を設定する。エリア設定部16は、位置P7を含むように、エリアARとして第4エリアAR4を設定する。
【0029】
判定部17は、高さデータ取得部14により取得された対象物Wの表面の高さデータ及び装置データ記憶部15に記憶されている撮像アセンブリ2の外形データに基づいて、複数のエリアAR(AR1,AR2,AR3,AR4)のそれぞれが被写界深度DFに配置されるときの撮像アセンブリ2の少なくとも一部と対象物Wとの衝突可能性を判定する。
【0030】
図4は、実施形態に係る衝突可能性の判定方法を説明するための図である。対象物WのエリアARを撮像する場合、撮像アセンブリ2は、エリアARと対向するように、XY平面内において移動する。撮像アセンブリ2は、エリアARと対向するようにXY平面内において移動した後、エリアARの表面が被写界深度DFに配置されるように、Z軸方向に移動する。例えば第1エリアAR1を撮像する場合、撮像アセンブリ2は、第1エリアAR1と対向するように、XY平面内において移動した後、第1エリアAR1の表面が被写界深度DFに配置されるように、Z軸方向に移動する。第1エリアAR1の表面が被写界深度DFに配置された後、撮像アセンブリ2は、第1エリアAR1を撮像する。第1エリアAR1の撮像が終了した後、例えば第2エリアAR2を撮像するために、撮像アセンブリ2は、第2エリアAR2と対向するように、XY平面内において移動する。撮像アセンブリ2は、第2エリアAR2と対向するようにXY平面内において移動した後、第2エリアAR2の表面が被写界深度DFに配置されるように、Z軸方向に移動する。第2エリアAR2の表面が被写界深度DFに配置された後、撮像アセンブリ2は、第2エリアAR2を撮像する。以下同様に、撮像アセンブリ2は、対象物Wの表面の複数のエリアARのそれぞれが被写界深度DFに順次配置されるように移動して、被写界深度DFに配置されたエリアARを撮像する。
【0031】
対象物Wの表面のエリアARを被写界深度DFに配置させるために撮像アセンブリ2をZ軸方向に移動した場合、対象物Wの表面の3次元形状によっては、撮像アセンブリ2の少なくとも一部と対象物Wとが衝突する可能性がある。
図4に示す例においては、対象物Wの表面の第1,第2,第3エリアAR1,AR2,AR3のそれぞれを被写界深度DFに配置させるために撮像アセンブリ2をZ軸方向に移動した場合、撮像アセンブリ2と対象物Wとが衝突する可能性は低いものの、対象物Wの表面の第4エリアAR4を被写界深度DFに配置させるために撮像アセンブリ2をZ軸方向に移動した場合、照明装置7の支持部材12の下端部と対象物Wの第3エリアAR3の表面とが衝突する可能性がある。
【0032】
判定部17は、対象物Wの表面の高さデータ及び撮像アセンブリ2の外形データに基づいて、複数のエリアAR(AR1,AR2,AR3,AR4)のそれぞれを被写界深度DFに配置させたときの照明装置7の下端部と対象物Wとの衝突可能性を判定することができる。
【0033】
エリア記憶部18は、判定部17により衝突可能性が低いと判定されたエリアARと、衝突可能性が高いと判定されたエリアARとのそれぞれを記憶する。
図4に示す例においては、エリア記憶部18は、判定部17により衝突可能性が低いと判定された第1,第2,第3エリアAR1,AR2,AR3と、衝突可能性が高いと判定された第4エリアAR4とのそれぞれを記憶する。
【0034】
順序決定部19は、衝突可能性が低いと判定された複数のエリアARの撮像順序を決定する。順序決定部19は、撮像アセンブリ2と対象物Wとの相対移動の距離が短くなるように、撮像順序を決定する。
図4に示す例において、順序決定部19は、衝突可能性が低いと判定された第1,第2,第3エリアAR1,AR2,AR3を順次撮像する場合において、撮像アセンブリ2の移動距離が短くなるように、撮像順序を決定する。
図4に示す例において、第1エリアAR1の高さが最も高く、第1エリアAR1に次いで第2エリアAR2の高さが高く、第3エリアAR3の高さが最も低い。そのため、順序決定部19は、例えば、第1エリアAR1が撮像された後、第2エリアAR2が撮像され、次いで第3エリアAR3が撮像されるように、撮像順序を決定する。これにより、撮像アセンブリ2は、被写界深度DFに第1,第2,第3エリアAR1,AR2,AR3のそれぞれを順次配置させる場合、Z軸方向の移動については専ら-Z方向のみに移動すればよい。これにより、撮像アセンブリ2のZ軸方向の移動距離が長くなることが抑制される。例えば、第2エリアAR2が撮像された後、第1エリアAR1が撮像され、次いで第3エリアAR3が撮像されるように、撮像順序が決定された場合、撮像アセンブリ2は、第2エリアAR2の撮像が終了した後、被写界深度DFに第1エリアAR1が配置されるように、+Z方向に移動する必要があり、第1エリアAR1の撮像が終了した後、被写界深度DFに第3エリアAR2が配置されるように、-Z方向に大きく移動する必要がある。この場合、撮像アセンブリ2のZ軸方向の移動距離が長くなる可能性がある。また、衝突可能性が低いと判定されたエリアARが多数存在する場合、撮像順序が最適化されることにより、XY平面内における撮像アセンブリ2の移動距離が長くなることが抑制される。
【0035】
移動制御部20は、衝突可能性が低いと判定されたエリアARが被写界深度DFに配置され、衝突可能性が高いと判定されたエリアARが被写界深度DFに配置されないように、移動装置4を制御する。実施形態において、移動制御部20は、衝突可能性が高いと判定されたエリアARの上方に撮像アセンブリ2を配置しない。
図4に示す例においては、移動制御部20は、衝突可能性が低いと判定された第1,第2,第3エリアAR1,AR2,AR3が被写界深度DFに配置され、衝突可能性が高いと判定された第4エリアAR4の上方に撮像アセンブリ2が移動しないように、移動装置4を制御する。
【0036】
実施形態において、移動制御部20は、衝突可能性が低いと判定されたエリアARの複数の位置Pの高さの平均値と固定焦点光学系8の焦点FPとが一致するように、移動装置4を制御する。
図3に示す例においては、移動制御部20は、第1エリアAR1の撮像において、第1エリアAR1の位置P1の高さと位置P2の高さとの平均値と、固定焦点光学系8の焦点FPとが一致するように、撮像アセンブリ2のZ軸方向の位置を制御する。移動制御部20は、第2エリアAR2の撮像において、第2エリアAR2の位置P3の高さと位置P4の高さとの平均値と、固定焦点光学系8の焦点FPとが一致するように、撮像アセンブリ2のZ軸方向の位置を制御する。移動制御部20は、第3エリアAR3の撮像において、第3エリアAR3の位置P5の高さと位置P6の高さとの平均値と、固定焦点光学系8の焦点FPとが一致するように、撮像アセンブリ2のZ軸方向の位置を制御する。
【0037】
撮像制御部21は、被写界深度DFに配置されたエリアARが撮像されるように、撮像アセンブリ2を制御する。
【0038】
[検査方法]
図5は、実施形態に係る検査方法を示すフローチャートである。高さデータ取得部14は、入力装置13から高さデータを取得する。高さデータ取得部14は、対象物Wの表面の複数の位置Pの高さデータを取得する(ステップS1)。
【0039】
図3に示した例においては、高さデータ取得部14は、位置P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7の高さデータを取得する。高さデータは、対象物Wの設計データ又は検査装置1とは別の測定装置の測定データから導出可能である。
【0040】
エリア設定部16は、相互に高さが異なり且つ被写界深度DFに同時に配置可能な対象物Wの表面の複数の位置Pを含むように、エリアARを設定する(ステップS2)。
【0041】
図3に示した例においては、エリア設定部16は、位置P1と位置P2とを含むように第1エリアAR1を設定し、位置P3と位置P4とを含むように第2エリアAR2を設定し、位置P5と位置P6とを含むように第3エリアAR3を設定し、位置P7を含むように第4エリアAR4を設定する。
【0042】
判定部17は、カウンタiを初期値である1に設定する(ステップS3)。
【0043】
判定部17は、ステップS1において取得された高さデータ及び装置データ記憶部15に記憶されている撮像アセンブリ2の外形データに基づいて、第iエリア(第1エリアAR1)が被写界深度DFに配置されるときに照明装置7の支持部材12の下端部と対象物Wとの衝突可能性が有るか否かを判定する(ステップS4)。
【0044】
ステップS4において、衝突可能性が有ると判定した場合(ステップS4:Yes)、判定部17は、第iエリアを衝突可能性が有るエリアARとしてエリア記憶部18に記憶させる(ステップS5)。
【0045】
ステップS4において、衝突可能性が無いと判定した場合(ステップS4:No)、判定部17は、第iエリアを衝突可能性が無いエリアARとしてエリア記憶部18に記憶させる(ステップS6)。
【0046】
判定部17は、ステップS2において設定された全てのエリアARについて衝突可能性を判定したか否かを判定する(ステップS7)。
【0047】
ステップS7において、全てのエリアARについて衝突可能性を判定していないと判定した場合(ステップS7:No)、判定部17は、カウンタiをインクリメントし(ステップS8)、ステップS4の処理に戻る。判定部17は、ステップS2において設定された全てのエリアARについて衝突可能性を判定するまで、ステップS4からステップS8の処理を繰り返す。
【0048】
ステップS7において、全てのエリアARについて衝突可能性を判定したと判定された場合(ステップS7:Yes)、順序決定部19は、エリア記憶部18に記憶されている衝突可能性が無いと判定された複数のエリアARの撮像順序を決定する(ステップS9)。
【0049】
順序決定部19は、衝突可能性が無いと判定された複数のエリアARを順次撮像するときの撮像アセンブリ2の移動距離が短くなるように、撮像順序を決定する。
【0050】
撮像順序が決定された後、衝突可能性が無いと判定された複数のエリアARが撮像アセンブリ2により順次撮像される。移動制御部20は、衝突可能性が無いと判定されたARエリアが被写界深度DFに順次配置されるように、移動装置4を制御する。撮像制御部21は、被写界深度DFに配置されたエリアARが撮像されるように、撮像アセンブリ2を制御する(ステップS10)。
【0051】
[コンピュータシステム]
図6は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の制御装置5は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。制御装置5の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0052】
プログラムは、上述の実施形態に従って、コンピュータシステム1000に、対象物Wの表面の複数のエリアARのそれぞれが撮像アセンブリ2の固定焦点光学系8の被写界深度DFに順次撮像されるように、撮像アセンブリ2と対象物Wとを相対移動させることと、複数のエリアARのそれぞれの高さデータ及び撮像アセンブリ2の外形データに基づいて、複数のエリアARのそれぞれが被写界深度DFに配置されるときの撮像アセンブリ2の少なくとも一部と対象物Wとの衝突可能性を判定することと、衝突可能性が低いと判定されたエリアARが被写界深度DFに配置され、衝突可能性が高いと判定されたエリアARが被写界深度DFに配置されないように、撮像アセンブリ2と対象物Wとを相対移動させることと、被写界深度DFに配置されたエリアARが撮像されるように、撮像アセンブリ2を制御することと、を実行させることができる。
【0053】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、対象物Wの表面の3次元形状を示す高さデータと撮像アセンブリ2の外形データとに基づいて、対象物Wの表面の複数のエリアARのそれぞれが撮像アセンブリ2の被写界深度DFに配置されるときの撮像アセンブリ2の少なくとも一部と対象物Wとの衝突可能性が判定される。衝突可能性が低いと判定されたエリアARは、被写界深度DFに配置された状態で撮像アセンブリ2により撮像される。衝突可能性が高いと判定されたエリアARは、被写界深度DFに配置されず、撮像アセンブリ2により撮像されない。これにより、撮像アセンブリ2と撮像アセンブリ2に撮像される対象物Wとの衝突が抑制される。
【0054】
実施形態において、撮像アセンブリ2は、撮像装置6と、照明装置7とを有する。照明装置7は、撮像装置6の固定焦点光学系8の先端面10よりも焦点FPに近い位置に配置される。これにより、撮像アセンブリ2は、照明光で照明された対象物Wを撮像できるので、対象物Wの画像を適正に取得することができる。実施形態においては、照明装置7の支持部材12の下端部が対象物Wに近い位置に配置される。照明装置7の支持部材12の下端部と対象物Wとの衝突可能性が判定されることにより、撮像アセンブリ2と対象物Wとの衝突が抑制される。
【0055】
エリア設定部16は、相互に高さが異なり且つ被写界深度DFに同時に配置可能な対象物Wの表面の複数の位置Pを含むように、エリアARを設定する。これにより、撮像アセンブリ2による撮像回数を抑制することができる。例えば、
図3に示したように、対象物Wの表面に相互に高さが異なる7つの位置P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7が存在する場合において、固定焦点光学系8の焦点FPと対象物Wの表面とを一致させた状態で対象物Wの表面を撮像しようとすると、撮像アセンブリ2による撮像回数は、7回必要になる。実施形態においては、相互に高さが異なり且つ被写界深度DFに同時に配置可能な対象物Wの表面の複数の位置Pを含むように、エリアARが設定されるので、固定焦点光学系8の被写界深度DFに対象物Wの表面のエリアARを配置させた状態で対象物Wの表面を撮像しようとすると、撮像アセンブリ2による撮像回数は、4回で済む。
【0056】
移動制御部20は、衝突可能性が低いと判定されたエリアARの複数の位置Pの高さの平均値と固定焦点光学系8の焦点FPとが一致するように、移動装置4を制御する。これにより、複数の位置Pのそれぞれに撮像アセンブリ2のピントがあった状態で、エリアARが撮像される。
【0057】
衝突可能性が低いと判定された複数のエリアARの撮像順序が順序決定部19により決定される。撮像アセンブリ2と対象物Wとの相対移動の距離が短くなるように、撮像順序が決定される。これにより、検査装置1による検査時間の短縮が図られる。
【符号の説明】
【0058】
1…検査装置、2…撮像アセンブリ、3…テーブル、4…移動装置、5…制御装置、6…撮像装置、7…照明装置、8…固定焦点光学系、9…イメージセンサ、10…先端面、11…光源、11A…第1光源、11B…第2光源、11C…第3光源、12…支持部材、13…入力装置、14…高さデータ取得部、15…装置データ記憶部、16…エリア設定部、17…判定部、18…エリア記憶部、19…順序決定部、20…移動制御部、21…撮像制御部、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース、AR…エリア、AR1…第1エリア、AR2…第2エリア、AR3…第3エリア、AR4…第4エリア、AX…光軸、DF…被写界深度、FP…焦点、IR…撮像範囲、P…位置、P1…位置、P2…位置、P3…位置、P4…位置、P5…位置、P6…位置、P7…位置、W…対象物。