(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116981
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】動物忌避剤、動物忌避組成物、及び動物の忌避方法
(51)【国際特許分類】
A01N 43/78 20060101AFI20230816BHJP
A01P 17/00 20060101ALI20230816BHJP
A01N 25/28 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
A01N43/78 B
A01P17/00
A01N25/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019419
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】宮川 登志夫
(72)【発明者】
【氏名】栗山 智
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AE02
4H011BB10
4H011BC19
4H011DA06
4H011DD07
4H011DF03
4H011DH05
(57)【要約】
【課題】シカ、イノシシ等の大型動物に対して顕著な忌避効果を有し、極めて高い安全性を確保しつつ、忌避効果の長期持続性を有する動物忌避剤、動物忌避組成物、及び動物の忌避方法の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で示される化合物を含む動物忌避剤である。
一般式(1)中、R
1、R
2、及びR
3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~5のアルキルチオ基を示す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物を含むことを特徴とする動物忌避剤。
【化1】
ただし、前記一般式(1)中、R
1、R
2、及びR
3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~5のアルキルチオ基を示す。
【請求項2】
前記一般式(1)で示される化合物が、下記構造式で表される4,5-ジメチル-2-イソブチル-3-チアゾリンである、請求項1に記載の動物忌避剤。
【化2】
【請求項3】
更に、下記一般式(I)から(VI)で示される化合物から選択される少なくとも1種を含む、請求項1から2のいずれかに記載の動物忌避剤。
【化3】
ただし、前記一般式(I)から(VI)中、R
4、R
5、及びR
6はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~5のアルキルチオ基を示す。
【請求項4】
前記一般式(I)で示される化合物が、2-メチルチアゾール、2-エチルチアゾール、2-ブロモチアゾール、4-メチルチアゾール、及び2,4-ジメチルチアゾールのいずれかであり、
前記一般式(II)又は(III)で示される化合物が、2-メチル-2-チアゾリン、2-メチルチオ-2-チアゾリン、4-メチル-2-チアゾリン、2,4-ジメチル-2-チアゾリン、及び2,2-ジメチルチアゾリジンのいずれかであり、
前記一般式(IV)で示される化合物が、チオモルホリンである、請求項3に記載の動物忌避剤。
【請求項5】
シカ及びイノシシの少なくともいずれかの忌避用である、請求項1から4のいずれかに記載の動物忌避剤。
【請求項6】
マイクロカプセル化動物忌避剤である、請求項1から5のいずれかに記載の動物忌避剤。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の動物忌避剤、及び樹脂を含有することを特徴とする動物忌避組成物。
【請求項8】
前記樹脂が、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、オレフィン樹脂、生分解性樹脂、及びこれらの共重合体から選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の動物忌避組成物。
【請求項9】
請求項1から6のいずれかに記載の動物忌避剤、及び請求項7から8のいずれかに記載の動物忌避組成物の少なくともいずれかを、動物を忌避させる空間に配置する工程を含むことを特徴とする動物の忌避方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物忌避剤、動物忌避組成物、及び動物の忌避方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の動物忌避剤の問題点を克服するために、チアゾリン化合物に基づく、強力かつ馴化しない新たな動物忌避剤の開発が進められている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。動物の嗅覚には、進化の過程で種にとって危険であると認識された対象(例えば、小動物及び草食動物にとっての捕食者)に由来する匂いを受容する特別な嗅覚システムが備わっている。前記チアゾリン化合物は、この特別な嗅覚システムに受容される匂い分子であり、ネズミ、モグラ、ウサギ等の小動物、及び草食動物に対して極めて強力な忌避効果を示す上に、繰り返し嗅がせても馴化が全く起こらないという優れた性質を有している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kobayakawa,K.,et al.,Nature,2007,450(7169):503-508.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記チアゾリン化合物は比較的揮発性が高いため長期持続性が確保できない点と、例えば、害獣によって被害がある農作物近傍への忌避剤散布など、高い安全性が要求される用途に対し、安全性が高くない点が使用する上で弱点となっており、極めて高い安全性を確保しつつ、忌避効果の長期持続性を有するチアゾリン化合物は未だ提供されていないのが現状である。
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、シカ、イノシシ等の大型動物に対して顕著な忌避効果を有し、極めて高い安全性を確保しつつ、忌避効果の長期持続性を有する動物忌避剤、動物忌避組成物、及び動物の忌避方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(1)で示される化合物を含むことを特徴とする動物忌避剤である。
【化1】
ただし、前記一般式(1)中、R
1、R
2、及びR
3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~5のアルキルチオ基を示す。
<2> 前記一般式(1)で示される化合物が、下記構造式で表される4,5-ジメチル-2-イソブチル-3-チアゾリンである、前記<1>に記載の動物忌避剤である。
【化2】
<3> 更に、下記一般式(I)から(VI)で示される化合物から選択される少なくとも1種を含む、前記<1>から<2>のいずれかに記載の動物忌避剤である。
【化3】
ただし、前記一般式(I)から(VI)中、R
4、R
5、及びR
6はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~5のアルキルチオ基を示す。
<4> 前記一般式(I)で示される化合物が、2-メチルチアゾール、2-エチルチアゾール、2-ブロモチアゾール、4-メチルチアゾール、及び2,4-ジメチルチアゾールのいずれかであり、
前記一般式(II)又は(III)で示される化合物が、2-メチル-2-チアゾリン、2-メチルチオ-2-チアゾリン、4-メチル-2-チアゾリン、2,4-ジメチル-2-チアゾリン、及び2,2-ジメチルチアゾリジンのいずれかであり、
前記一般式(IV)で示される化合物が、チオモルホリンである、前記<3>に記載の動物忌避剤である。
<5> シカ及びイノシシの少なくともいずれかの忌避用である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の動物忌避剤である。
<6> マイクロカプセル化動物忌避剤である、前記<1>から<5>のいずれかに記載の動物忌避剤である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の動物忌避剤、及び樹脂を含有することを特徴とする動物忌避組成物である。
<8> 前記樹脂が、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、オレフィン樹脂、生分解性樹脂、及びこれらの共重合体から選択される少なくとも1種である、前記<7>に記載の動物忌避組成物である。
<9> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の動物忌避剤、及び前記<7>から<8>のいずれかに記載の動物忌避組成物の少なくともいずれかを、動物を忌避させる空間に配置する工程を含むことを特徴とする動物の忌避方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、シカ、イノシシ等の大型動物に対して顕著な忌避効果を有し、極めて高い安全性を確保しつつ、忌避効果の長期持続性を有する動物忌避剤、動物忌避組成物、及び動物の忌避方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(動物忌避剤)
本発明の動物忌避剤は、下記一般式(1)で示される化合物を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0010】
【化4】
ただし、前記一般式(1)中、R
1、R
2、及びR
3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~5のアルキルチオ基を示す。
【0011】
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0012】
前記炭素数1~6のアルキル基は1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を意味し、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。
前記炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、tert-ブチル基、ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基又は1-エチル-2-メチルプロピル基などが挙げられる。これらの中でも、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0013】
前記炭素数1~6のアルキル基は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲノ基などが挙げられる。前記ハロゲノ基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基などが挙げられる。前記ハロゲノ基置換アルキル基としては、炭素数1~6のハロアルキル基が好適である。
前記炭素数1~6のハロアルキル基は、1~5個のハロゲノ基で置換された炭素数1~6のアルキル基を意味し、ハロゲノ基が2個以上である場合の各ハロゲノ基の種類は、同一又は異なっていてもよい。
前記炭素数1~6のハロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、1-フルオロエチル基、2-フルオロエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、1,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル基、1-フルオロプロピル基、1,1-ジフルオロプロピル基、2,2-ジフルオロプロピル基、3-フルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4-フルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、5-フルオロペンチル基、5,5,5-トリフルオロペンチル基、6-フルオロヘキシル基、6,6,6-トリフルオロヘキシル基などが挙げられる。
【0014】
前記炭素数1~5のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基などが挙げられる。
【0015】
前記一般式(1)で示される化合物としては、下記構造式で表される4,5-ジメチル-2-イソブチル-3-チアゾリンであることが好ましい。前記4,5-ジメチル-2-イソブチル-3-チアゾリンは、高沸点化合物であることから長期持続性を有し、かつ食品添加物香料にリスト化されている極めて安全性の高い化合物である。また、シカ、イノシシ等の大型動物に対して顕著な忌避効果を有している。
【化5】
【0016】
本発明の動物忌避剤は、上記一般式(1)で示される化合物以外に、他の動物忌避剤を含有することができる。
前記他の動物忌避剤としては、下記一般式(I)から(VI)で示される化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
【化6】
ただし、前記一般式(I)から(VI)中、R
4、R
5、及びR
6はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~5のアルキルチオ基を示す。
【0018】
前記一般式(I)から(VI)中のR4、R5、及びR6は、上記一般式(1)中のR1、R2、及びR3と同様であるため、その説明を省略する。
【0019】
上記一般式(I)又は(II)において、式中R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)を示し、R4及びR5のいずれかが水素原子である場合は他方は水素原子ではない化合物又はその塩が挙げられる。
【0020】
上記一般式(III)において、式中R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。
【0021】
上記一般式(I)~(III)において、式中R4が水素原子、ハロゲン原子(例えば、臭素原子)、炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)又は炭素数1~5のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)を示し、式中R5が水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示し、式中R6が水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示す化合物若しくはその塩がより好ましい。
上記一般式(I)~(III)において、式中R4、R5及びR6がそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)を示す化合物若しくはその塩が更に好ましい。
【0022】
上記一般式(IV)において、式中R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。
【0023】
上記一般式(V)において、式中R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。
上記一般式(V)において、式中R4及びR5のいずれかが水素原子である場合は他方は水素原子ではない化合物又はその塩が更に好ましい。
【0024】
上記一般式(VI)において、式中R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。
【0025】
上記一般式(I)で示される化合物としては、例えば、2-メチルチアゾール、2-エチルチアゾール、2-ブロモチアゾール、4-メチルチアゾール、2,4-ジメチルチアゾールなどが好適に挙げられる。
【0026】
上記一般式(II)で示される化合物としては、例えば、2-メチル-2-チアゾリン、2-メチルチオ-2-チアゾリン、4-メチル-2-チアゾリン、2,4-ジメチル-2-チアゾリンなどが好適に挙げられる。
【0027】
上記一般式(III)で示される化合物としては、例えば、チアゾリジン、2-メチルチアゾリジン、2,2-ジメチルチアゾリジン、4-メチルチアゾリジン、2,4-ジメチルチアゾリジンなどが好適に挙げられる。
【0028】
上記一般式(IV)で示される化合物としては、例えば、チオモルホリンなどが好適に挙げられる。
【0029】
上記一般式(V)で示される化合物としては、例えば、2,5-ジメチル-2-チアゾリン、5-メチル-2-チアゾリンなどが好適に挙げられる。
【0030】
上記一般式(VI)で示される化合物としては、例えば、5-メチルチアゾリジンなどが好適に挙げられる。
【0031】
これらの中でも、忌避効果の長期持続性を有する高沸点化合物である点から2-メチルチオ-2-チアゾリン(2MT2T)が好ましく、食品添加物香料にリスト化されている安全性の高い化合物である点から2-メチル-2-チアゾリン(2MT)が好ましい。
【0032】
上記一般式(I)から(VI)で示される化合物の含有量は、上記一般式(1)で示される化合物100質量部に対して、0質量部以上、1質量部以上、5質量部以上、10質量部以上、20質量部以上、30質量部以上、40質量部以上、若しくは50質量部以上、及び/又は50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、10質量部以下、5質量部以下、1質量部以下、若しくは0質量部以下であってもよい。
【0033】
上記一般式(1)で表される化合物、及び上記一般式(I)から(VI)で示される化合物はその塩も含まれる。前記化合物の塩としては、製薬学的又は農業上、若しくは産業上許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩等のアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩などが挙げられる。
また、前記動物忌避剤としては、食品添加物香料にリスト化されている安全性の高いチアゾリン化合物を含むこともできる。
前記動物忌避剤には、上記に加えて忌避活性を有する更なる化合物を付加的に含んでもよい。そのような付加的に含まれてもよい化合物には、限定しないが、例えば、ネズミ忌避剤として従来から使用されている薄荷(はっか)、樟脳(しょうのう)などが挙げられる。
【0034】
本発明において、前記動物忌避剤が適用可能である動物の種類については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、農作物、森林、家畜又は人家に被害をもたらす有害動物である、シカ、イノシシ等の大型動物などが挙げられる。
前記シカは、シカ科に属する動物である。前記シカとしては、例えば、エゾシカ、ホンシュウジカ、キュウシュウジカ、ヤクジカ等のニホンジカ、キョンなどが挙げられる。
前記イノシシは、イノシシ科に属する動物である。前記イノシシとしては、例えば、ニホンイノシシ、リュウキュウイノシシなどが挙げられる。
なお、前記他の動物忌避剤として、上記一般式(I)から(VI)で示される化合物から選択される少なくとも1種を併用することにより、動物の適用範囲を広げることができる。
【0035】
本発明の動物忌避剤は、以下に説明するようにマイクロカプセル化されたマイクロカプセル化動物忌避剤として好適に用いられる。
【0036】
<動物忌避剤のマイクロカプセル化>
動物忌避剤のマイクロカプセルは、シェルと、該シェルの内部に動物忌避剤を含むコアとを有する。動物忌避剤をマイクロカプセル化することにより、動物忌避剤を単独で用いた場合よりも忌避効果の持続性を高めることができる。
マイクロカプセルのシェルの構成成分は、安定的に動物忌避剤を内包できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラミン樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、生分解性樹脂、シリカ、ゼラチン、アラビアゴム、寒天、セルロース、セルロース誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、生分解性樹脂、又はメラミン樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましい。
【0037】
動物忌避剤のマイクロカプセルを調製するためのマイクロカプセル化技術については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カプセル化される側の動物忌避剤を含む芯物質(コア)に膜材(シェル)を溶解してこれを不溶の分散媒中に分散させ、撹拌しながら分散媒に可溶の反応材を添加して分散粒子の表面で両者を反応させて芯物質を内包した高分子のカプセル膜を形成する界面重合法;分散粒子及び分散媒のどちらか一方のみから膜材が供給され分散粒子の表面でカプセル膜が形成されるIn situ重合法;1種のみの高分子で壁材を構成する単純コアセルベーション法、2種以上の高分子で壁材を構成する複合コアセルベーション法等のコアセルベーション法;液中硬化被覆法(オリフィス法)、液中乾燥法、噴霧・造粒法などが挙げられる。
【0038】
前記マイクロカプセルの体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上50μm以下ものを使用することが好ましい。
【0039】
本発明の動物忌避剤は、そのまま単独で動物の忌避に用いることができるが、以下に説明するように、動物忌避組成物に含有させて用いることが、忌避効果、強度、及び取扱性などの点から好ましい。
【0040】
(動物忌避組成物)
本発明の動物忌避組成物は、本発明の動物忌避剤、及び樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0041】
前記動物忌避剤の含有量は、動物忌避組成物の全量に対して、1×10-6質量%以上、1×10-5質量%以上、1×10-4質量%以上、1×10-3質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、若しくは50質量%以上、及び/又は50質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下、0.1質量%以下、0.01質量%以下、1×10-3質量%以下、1×10-4質量%以下、1×10-5質量%以下、若しくは1×10-6質量%以下であってもよい。
なお、マイクロカプセル化動物忌避剤における動物忌避剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上記動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤の含有量と同様である。
【0042】
<樹脂>
前記樹脂としては、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、オレフィン樹脂、生分解性樹脂、又はこれらの共重合体であることが好ましい。
【0043】
<<塩化ビニル樹脂>>
塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルに由来する構造単位を含む(共)重合体が用いられる。即ち、塩化ビニルの単独重合体、又は、塩化ビニルと、他の単量体との共重合体を用いることができる。
前記塩化ビニル樹脂が、他の単量体に由来する構造単位を含む共重合体である場合、前記他の単量体に由来する構造単位の含有割合の下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、8質量%以上が更に好ましい。
【0044】
前記他の単量体としては、例えば、ビニルエステル、ビニルエーテル、α,β-不飽和カルボン酸又はその塩、α,β-不飽和カルボン酸エステル、不飽和アミド、不飽和ニトリル、ヒドロキシル基含有ビニル化合物、アミノ基含有ビニル化合物、スルホン酸基含有ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、塩化ビニリデンなどが挙げられる。
前記他の単量体としては、ビニルエステルが好ましく、シートの密着性の観点から、酢酸ビニル、即ち、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
前記塩化ビニル樹脂としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、株式会社カネカ製カネビニールペースト(登録商標)PSL-675、PSL-684、PQB-83、PCH-12、PCH-72、PCM-178;新第一塩ビ株式会社製ZEST(登録商標)P-21、PQB-83、PQ-83、PQB-93;東ソー株式会社製リューロンペースト(登録商標)250、200、241、T80A、725、733、860、810、960、C38、750、751、850などが挙げられる。
【0045】
上記塩化ビニル樹脂の平均重合度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000~3,300が好ましく、1,200~2,500がより好ましく、1,500~2,200が更に好ましい。
【0046】
前記動物忌避組成物において、塩化ビニル樹脂は、粒状等の形態で分散していてよいし、有機溶剤が含まれる場合には、これに溶解されていてもよい。前者の場合、塩化ビニル樹脂の形状及び大きさは、特に限定されないが、平均粒子径は、好ましくは0.1μm~1.5μmである。また、この場合、粒状体は、塩化ビニル樹脂のみからなるものであってよいし、塩化ビニル樹脂と、可塑剤又は他の成分とからなるものであってもよい。
【0047】
<<酢酸ビニル樹脂>>
酢酸ビニル樹脂としては、酢酸ビニルに由来する構造単位を含む(共)重合体が用いられる。即ち、酢酸ビニルの単独重合体、又は、酢酸ビニルと、他の単量体との共重合体を用いることができる。
前記酢酸ビニル樹脂が、他の単量体に由来する構造単位を含む共重合体である場合、前記他の単量体に由来する構造単位の含有割合の上限は、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
前記他の単量体としては、例えば、ビニルエステル、ビニルエーテル、α,β-不飽和カルボン酸又はその塩、α,β-不飽和カルボン酸エステル、不飽和アミド、不飽和ニトリル、ヒドロキシル基含有ビニル化合物、アミノ基含有ビニル化合物、スルホン酸基含有ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、塩化ビニリデンなどが挙げられる。
前記他の単量体としては、ビニルエステルが好ましく、密着性の観点から、塩化ビニル、エチレンが好ましい。
前記酢酸ビニル樹脂としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル樹脂(住化ケムテックス株式会社製、スミカフレックス951HQ)、酢酸ビニル-アクリル樹脂(日信化学工業株式会社製、ビニブラン1225)などが挙げられる。
【0048】
<<オレフィン樹脂>>
オレフィン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリペンテン樹脂、ポリシクロペンテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂、又はこれらの共重合体などが挙げられる。
前記オレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、ARTON(アートン)(登録商標)シリーズ(JSR株式会社製)、サーフレン(登録商標)シリーズ(三菱化学株式会社製)、ZEONOR(登録商標)シリーズ、ZEONEX(登録商標)(いずれも日本ゼオン株式会社製)などが挙げられる。
【0049】
<<生分解性樹脂>>
生分解性樹脂としては、特に制限されず、生物由来の材料であってもよく、石油由来の材料であってもよい。このような生分解性樹脂として、例えば、脂肪族ポリエステル又はその誘導体、微生物産生ポリエステル、芳香族-脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステルカーボネート、脂肪族ポリエステルアミド、脂肪族ポリエステルエーテル、ポリアミノ酸、ポリビニルアルコール、デンプン;セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、キチン、キトサン、マンナン等の多糖類などが挙げられる。
【0050】
上記脂肪族ポリエステル又はその誘導体としては、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート系樹脂、モノマー単位として3-ヒドロキシアルカン酸を含有するポリエステルなどが挙げられる。
【0051】
上記ポリ乳酸(PLA)は、トウモロコシなどの植物を発酵して得られる乳酸を原料として製造され、そして微生物によって水と二酸化炭素に分解され、再び植物の育成を助けるという連鎖性を有することから、バイオリサイクル型として好ましく用いられる。
上記ポリブチレンサクシネート系樹脂の具体例としては、例えば、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネート・ラクタイドなどが挙げられる。
上記ポリブチレンサクシネート系樹脂として使用可能な製品(市販品)としては、例えば、三菱化学株式会社製ポリブチレンサクシネート系樹脂「BioPBS」(登録商標)(ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート等)、昭和電工株式会社製ポリブチレンサクシネート樹脂「ビオノーレ」(登録商標)、Shandong Fuwin New Material社製ポリブチレンサクシネート樹脂、BASF社製ポリブチレンアジペートテレフタレート系樹脂「エコフレックス」(登録商標)などが挙げられる。上記ポリブチレンサクシネート系樹脂は、生物由来の材料であってもよく、石油由来の材料であってもよい。
【0052】
上記モノマー単位として3-ヒドロキシアルカン酸を含有するポリエステルの具体例としては、例えば、PHB〔ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、又はポリ3-ヒドロキシ酪酸〕、PHBH〔ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸-co-3-ヒドロキシヘキサン酸)〕、PHBV〔ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート)、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸-co-3-ヒドロキシ吉草酸)〕、P3HB4HB〔ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸-co-4-ヒドロキシ酪酸)〕、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタデカノエート)などが挙げられる。
【0053】
上記脂肪族ポリエステル又はその誘導体の市販品としては、例えば、グリコール(ジオール)と多価カルボン酸との重縮合反応で得られる脂肪族ポリエステルに1,4-ブタンジオールとコハク酸から得られるPBS(例えば、ビオノーレ1000シリーズ(登録商標:昭和電工株式会社製)、BiOPBS FZシリーズ(登録商標:三菱化学株式会社製))、PBSにアジピン酸を共重合したPBSA(例えば、ビオノーレ3000シリーズ(登録商標:昭和電工株式会社製))、BiOPBS FDシリーズ(登録商標:三菱化学株式会社製))、エチレングリコールとコハク酸とから得られるポリエチレンサクシネート(PES)、ヒドロキシアルカン酸と多価カルボン酸とから得られる脂肪族ポリエステル共重合体のポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)(中でも、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)(例えば、アオニレックス(登録商標:株式会社カネカ製))、脂肪族ポリエステルとテレフタル酸エステルの共重合体として1,4-ブタンジオールとアジピン酸とテレフタル酸との共重合体であるPBAT(例えば、エコフレックス(登録商標:ビー・エー・エス・エフ社製))、1,4-ブタンジオールとコハク酸とテレフタル酸の共重合体であるポリブチレンテレフタレートサクシネート(PBTS)(例えば、バイオマックス(登録商標:デュポン社製))、PLA(例えば、REVODE(登録商標:海正生物材料株式会社製)、Ingeo(登録商標:ネイチャーワークス社製))、ポリカプロラクトン(PCL)(例えば、CAPA6800(登録商標:パーストープ社製))などが挙げられる。
【0054】
前記樹脂の含有量は、動物忌避組成物の全量に対して、0.01質量%以上、0.1質量%以上、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、若しくは50質量%以上、及び/又は50質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下、0.1質量%以下、若しくは0.01質量%以下であってもよい。
【0055】
<その他の成分>
前記動物忌避組成物は、その他の成分として、例えば、可塑剤、充填剤、防虫剤、殺虫剤、殺菌剤、防カビ剤、耐光剤、熱安定剤、香料、着色剤、及び/又は、肥料、製薬、農薬若しくは食品などの分野において製剤化に通常用いられる添加剤などが含まれてもよい。
前記添加剤としては、例えば、担体、界面活性剤、有機溶剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0056】
-可塑剤-
可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、トリメリテート系可塑剤、直鎖状二塩基酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、グリコールエステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、スルホン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
前記フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ビス-2-エチルヘキシルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ジメチルシクロヘキシルフタレートなどが挙げられる。
【0058】
前記アジピン酸エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ビス(2-ブトキシエチル)などが挙げられる。
【0059】
前記トリメリテート系可塑剤としては、例えば、トリ-n-オクチルトリメリテート、トリ-(2-エチルヘキシル)トリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、ジ-n-オクチル-n-デシルトリメリレートなどが挙げられる。
【0060】
前記直鎖状二塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジ-n-オクチルアジペート、ジ-n-デシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、ジ-n-オクチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、ジ-n-オクチルセバケートなどが挙げられる。
【0061】
前記クエン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリ-n-ブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリ-(2-エチルヘキシル)シトレート、プロペニルトリブチルシトレートなどが挙げられる。
【0062】
前記ポリエステル系可塑剤としては、例えば、ポリ(プロピレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(ブタンジオール、アジピン酸)エステル、ポリ(エチレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(1,6-ヘキサンジオール、ブタンジオール、アジピン酸)エステル、ポリ(ブタンジオール、エチレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、アジピン酸)エステルなどが挙げられる。
【0063】
前記グリコールエステル系可塑剤としては、例えば、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエートなどが挙げられる。
【0064】
前記リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリブチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、ブチルジキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3-ジブロモプロピル)-2,3-ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェートなどが挙げられる。
【0065】
前記スルホン酸エステル系可塑剤としては、例えば、デカンスルホン酸フェニルエステル、ウンデカンスルホン酸フェニルエステル、ドデカンスルホン酸フェニルエステル、トリデカンスルホン酸フェニルエステル、テトラデカンスルホン酸フェニルエステル、ペンタデカンスルホン酸フェニルエステル、ペンタデカンスルホン酸クレジルエステル、ヘキサデカンスルホン酸フェニルエステル、ヘプタデカンスルホン酸フェニルエステル、オクタデカンスルホン酸フェニルエステル、ノナデカンスルホン酸フェニルエステル、イコサンデシルスルホン酸フェニルエステルなどが挙げられる。
【0066】
前記エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化綿実油、液状エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0067】
前記可塑剤の中でも、熱可塑性樹脂との相溶性、及びコーティング性の観点から、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤がより好ましい。
【0068】
前記可塑剤の含有量は、動物忌避組成物の全量に対して、0.01質量%以上、0.1質量%以上、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、若しくは50質量%以上、及び/又は50質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下、0.1質量%以下、若しくは0.01質量%以下であってもよい。
【0069】
-充填剤-
充填剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸カルシウム、ガラス、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、酸化チタン、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記充填剤を含有することにより、コーティングする際の塗膜の厚みを厚くすることができる。
前記充填剤の含有量は、前記樹脂100質量部に対して、10質量部以上、30質量部以上、50質量部以上、70質量部以上、若しくは100質量部以上、及び/又は100質量部以下、70質量部以下、50質量部以下、30質量部以下、若しくは10質量部以下であってもよい。
【0070】
-担体-
担体としては、例えば、シリカゲル、ケイ酸、カオリン、活性炭、ベントナイト、珪藻土、タルク、クレー、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の無機物担体;シクロデキストリン、クラウン化合物、シクロファン、アザシクロファン、カリックスアレーン、ポルフィリン、フタロシアニン、サレン、又はこれらの誘導体、木粉、大豆粉、小麦粉、でんぷん等の有機物担体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】
-界面活性剤-
界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、モノアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられる。これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩などが挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、ノニルフェニルエーテル又は高級アルコールの酸化エチレン付加物に代表される、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、カルボベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等のベタイン型;イミダゾリン型の両性界面活性剤などが挙げられる。
前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0072】
-有機溶剤-
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール;エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの重合物であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ジエチレングリコール、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、プロピルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、グリセリン又はその誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0073】
本発明の動物忌避組成物の製造方法は、前記動物忌避剤、前記樹脂、前記可塑剤、及び必要に応じて前記その他の成分を、ロール、ニーダ―、押出し機、万能撹拌機等により混合し、動物忌避組成物を調製することができる。
次に、得られた動物忌避組成物を動物忌避剤の沸点より30℃低い温度以下で加熱する。具体的には、動物忌避組成物を80℃~200℃で加熱することが好ましく、100℃以上180℃以下で加熱することがより好ましい。加熱時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1分間~10分間が好ましい。
前記動物忌避組成物を加熱することにより、動物忌避剤が揮発することなく、動物忌避組成物のゾルがゲルとなり所望の形状に低温成形することができる。
【0074】
また、基材上に前記動物忌避組成物を付与した後、動物忌避剤の沸点より30℃低い温度以下で加熱することにより、動物忌避剤を揮発させることなく、動物忌避組成物の硬化物の強度を向上させることができる。基材上の動物忌避組成物を動物忌避剤の沸点より30℃低い温度以下で加熱することにより、動物忌避剤が揮発することなく、動物忌避組成物のゾルがゲル(塗膜)となり、基材と複合化することができる。
【0075】
前記基材は、その形状、大きさ、構造、材質などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基材の形状としては、例えば、シート状、板状、チューブ状、パイプ状、不定形状などが挙げられる。
前記基材の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記基材の大きさとしては、動物忌避組成物の大きさに応じて適宜選択することができる。
前記基材の材質としては、例えば、無機材料、有機材料、などが挙げられる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO2、金属(例えば、ステンレス鋼、鉄、銅等)などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、木材、紙、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体;合成紙、布、不織布;ポリオレフィン樹脂、生分解性樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂又はこれらの共重合体などが挙げられる。これらの中でも、不織布が好ましい。
【0076】
前記動物忌避組成物を基材に付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、刷毛塗り法、ブレードコート法、グラビアコート法、ロールコート法、カーテンフローコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スリットダイコート法、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
【0077】
塗膜の形状、厚さや面積等の塗膜のサイズは、所望する忌避効果が得られる限り特に限定されない。塗膜は、連続した単一の領域として支持体に形成されてもよく、不連続な複数の領域として基材に形成してもよい。
塗膜の平均厚さは、例えば、1μm以上5mm以下が好ましく、50μm以上4mm以下がより好ましく、100μm以上3.5mm以下が更に好ましく、500μm以上3mm以下が更により好ましく、1,000μm以上3mm以下が特に好ましい。塗膜が薄すぎると、所望の忌避効果が得られにくい場合があり、塗膜が厚すぎると、塗膜の柔軟性の乏しさに起因して、塗膜に割れ又は欠けが生じやすくなる場合があるが、上記以外にも塗膜の厚みを適宜選択することは可能である。
【0078】
(動物の忌避方法)
本発明の動物の忌避方法は、本発明の動物忌避剤及び本発明の動物忌避組成物の少なくともいずれかを、動物を忌避させる空間に配置する工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0079】
前記動物の忌避方法によると、動物を忌避させる空間に前記動物忌避剤及び前記動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤が徐放し、長期間に亘って動物を忌避させ、動物を忌避させる空間内への動物の侵入を防止することができる。
【0080】
前記動物忌避剤及び前記動物忌避組成物によると、前記動物忌避剤を不活性化せずに長期徐放することができる。
【0081】
本発明において「徐放」とは、物質が空間中に徐々に放出されることをいう。本発明では、特に匂い物質が空気中に徐々に放散されることをいう。具体的には、通常の条件下において匂い物質が放散される速度よりも遅い速度で、匂い物質が空気中に自然放散されることをいう。例えば、希釈されていない原液の匂い物質又は通常用いられる溶媒で希釈された匂い物質よりも遅い速度で、空気中に放散されることをいう。忌避性の匂い物質が徐放される場合、周囲の空間では長期間に亘って匂い分子が存在することから動物はその空間を忌避し得る。
【0082】
本発明において「長期徐放」における「長期」とは、通常の条件下で匂い物質が放散され続ける期間よりも長いことを意味する。具体的には、希釈されていない原液の匂い物質又は通常用いられる溶媒中に希釈された匂い物質が同一条件下で放散され続ける期間よりも長いことを意味する。具体的な期間は匂い物質の種類によって異なるが、例えば、1時間以上、2時間以上、3時間以上、6時間以上、半日間以上、1日間以上、2日間以上、3日間以上、1週間以上、2週間以上、1か月以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、1年以上、2年以上、3年以上、5年以上、又は10年以上の期間が該当する。
【0083】
本発明において、「動物を忌避させる空間」とは、忌避させる動物の生息空間又は侵入する恐れのある空間を意味し、対象物が存在する空間、動物が生息する空間、動物の縄張りなどが該当する。
【0084】
前記「動物を忌避させる空間」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、田畑、果樹園、ビニールハウス、森林、家畜の飼育場、道路、高速道路、線路、空港、ゴルフ場、グラウンド、塵埃集積場、公園、庭、庭園、花壇、駐車場、建築物、家屋、工場、倉庫、店舗、商業施設、レストラン、厨房、洗面所、ベランダ、物置、床下、屋根裏、仕切り板、ネット、金網、フェンス、電柱、電線、通信ケーブル、掲示板などが挙げられる。
【0085】
前記対象物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リンゴに代表される果樹の圃場の果樹の苗木、土壌、仕切り板、ネット、金網、フェンス、電柱、電線、通信ケーブル、掲示板、基材などが挙げられる。
【0086】
本発明の動物忌避剤及び動物忌避組成物を、動物を忌避させる空間に配置する態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、動物忌避剤及び動物忌避組成物の少なくともいずれかをそのまま空間としての土壌の表面に配置してもよく、土壌中に埋設してもよく、一部を土壌中に埋設し、一部が土壌の表面に露出していてもよく、容器に収容して配置してもよい。
【0087】
本発明の動物忌避剤及び動物忌避組成物は、特に限定しないが、例えば、1時間以上、2時間以上、3時間以上、6時間以上、半日間以上、1日間以上、2日間以上、3日間以上、1週間以上、2週間以上、1か月以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、1年以上、2年以上、3年以上、5年以上、若しくは10年以上、及び/又は10年以下、5年以下、3年以下、2年以下、1年以下、6か月以下、5か月以下、4か月以下、3か月以下、2か月以下、1か月以下、2週間以下、1週間以下、3日間以下、2日間以下、1日間以下、半日間以下、6時間以下、3時間以下、2時間以下、若しくは1時間以下の期間、使用することができる。
【0088】
本発明の動物忌避方法によって忌避の対象となる動物は、農作物、森林、家畜又は人家に被害をもたらす有害動物が対象となり、シカ、イノシシ等の大型動物などが挙げられる。
【0089】
本発明の動物忌避方法は、動物忌避剤が有効な濃度で放散されるように使用することができる。本発明において「有効な濃度」とは、動物忌避剤が対象とする動物を忌避させることが可能となる、匂い分子の空気中の濃度である。前記有効な濃度は、使用する忌避剤の種類及び忌避させる対象となる動物の組合せによって異なるが、例えば、0.01ppm以上、0.1ppm以上、0.2ppm以上、0.3ppm以上、0.4ppm以上、0.5ppm以上、1ppm以上、5ppm以上、若しくは10ppm以上、及び/又は10ppm以下、5ppm以下、1ppm以下、0.5ppm以下、0.4ppm以下、0.3ppm以下、0.2ppm以下、0.1ppm以下、若しくは0.01ppm以下であり得る。例えば、5ppm以上10ppm以下である。匂い分子の空気中の濃度は、使用条件下で直接測定することもできるが、測定が困難な屋外等の場合には密閉空間中で測定された値を参照値として使用することもできる。
【実施例0090】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0091】
(製造例1)
<マイクロカプセル化動物忌避剤(2MT-MC)の作製>
2-メチル-2-チアゾリン(2MT、東京化成工業株式会社製)と熱硬化性樹脂(ウレタン樹脂)とを、質量比(2MT/熱硬化性樹脂)が1/1となるように、水の入ったビーカーに添加し、加温下で撹拌して、2MT含有マイクロカプセルを水分散系により得た。その後、乾燥させて、2MT含有のマイクロカプセル粉末(2MT-MC)を得た。得られた2MT含有のマイクロカプセル粉末の体積平均粒径は5μmであった。
【0092】
(製造例2)
<マイクロカプセル化動物忌避剤(45D-MC)の作製>
製造例1において、2-メチル-2-チアゾリン(2MT、東京化成工業株式会社製)を、4,5-ジメチル-2-イソブチル-3-チアゾリン(45D、東京化成工業株式会社製)に代えた以外は、製造例1と同様にして、45D含有のマイクロカプセル粉末(45D-MC)を得た。得られた45D含有のマイクロカプセル粉末の体積平均粒径は5μmであった。
【0093】
(実施例1~2及び比較例1)
<動物忌避組成物の調製>
表1に示す組成及び含有量に基づき、混合装置(T.K.ロボミックス、特殊機化工業株式会社製)を用い、350rpmで1分間混合して、実施例1~2及び比較例1の動物忌避組成物を調製した。なお、表1中の各成分の含有量の単位は質量部である。
【0094】
次に、得られた実施例1~2及び比較例1の動物忌避組成物について、以下のようにして、「動物忌避組成物の持続性(動物忌避剤の残存率)」、及び「動物忌避試験」を行った。結果を表1に示した。
【0095】
<動物忌避組成物の持続性(動物忌避剤の残存率)評価>
各動物忌避組成物を、室温(25℃)下、ドラフトの中に静置し、作製直後及び1ヶ月経過後の動物忌避組成物の質量をそれぞれ測定し、残存率(%)=(1ヶ月経過後の動物忌避組成物の質量/作製直後の動物忌避組成物の質量)×100、を求め、下記の基準で評価した。
[評価基準]
◎:50質量%以上
〇:30質量%以上50質量%未満
×:10質量%以下30質量%未満
【0096】
<動物忌避試験方法>
-シカ忌避試験-
(1)飼育シカ1頭をケージの中にセットし、以下の動物忌避試験を行った。
(2)スコップの上に市販の不織布をセットし、不織布の上に上記で作製した動物忌避剤を含まない組成物(ブランク)、配合飼料を順番に設置し、シカが配合飼料を喫食する状況を確認した。
(3)次に、同様の不織布の上に、上記(2)のブランク、配合飼料と入れ替え、上記作製した動物忌避剤を含む各動物忌避組成物、配合飼料の順番でセットし、シカが配合飼料を喫食するか否か(忌避効果)を確認し、以下の基準で評価した。
[評価基準]
〇:忌避効果発現により、配合飼料を喫食しない
×:忌避効果発現せずに、配合飼料を喫食する
【0097】
-マウス忌避試験-
(1)実験用マウス1匹をケージにセットし、以下の動物忌避試験を行った。
(2)動物忌避剤を含まない組成物(ブランク)を設置すると共にカメラを上部にセットして、部屋を暗くして、マウスが動物忌避剤を含まない組成物を齧るかどうかを確認した。
(3)次に、ブランクを上記作製した動物忌避剤を含む各動物忌避組成物に入れ替えて、マウスが動物忌避剤を含む各動物忌避組成物を齧るか否か(忌避効果)を確認し、以下の基準で評価した。なお、上記動物忌避剤を含まない組成物(ブランク)及び動物忌避剤を含む組成物は共に同じであり、横5cm×縦10cm×厚み2mmの形状品を使用した。
[評価基準]
〇:忌避効果発現により、動物忌避組成物を齧らない
×:忌避効果発現せずに、動物忌避組成物を齧る
【0098】
【0099】
表1中の各成分の詳細については、以下のとおりである。
*PCH-72:カネビニールペーストPCH-72、株式会社カネカ製
・一般名:塩化ビニル・酢酸ビニル共重合物
・化学式:(CH2-CHCl)n(CH2-CHOAc)m
・成分及び含有量:(CH2-CHCl)n(CH2-CHOAc)m=99%以上
・酢酸ビニル=8%(残存モノマー成分)
【0100】
*DINP:フタル酸ジイソノニル
分子量:C26H42O4、分子量:419
【0101】
*安定剤
・AC-322:株式会社アデカ製、Ba-Zn系塩ビ用安定剤
【0102】
表1の結果から、実施例1は、動物忌避剤の持続性を有し、かつ大型動物であるシカに対する忌避効果があることがわかった。
また、実施例2は、動物忌避剤の持続性を有し、かつ大型動物であるシカ及び小型動物であるマウスの双方に忌避効果があることがわかった。
一方、比較例1は、大型動物であるシカ及び小型動物であるマウスの双方に忌避効果はあるものの、動物忌避剤の持続性が無いことがわかった。