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特開2023-116996半導体装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116996
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230816BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230816BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230816BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/06 301V
H01L29/06 301D
H01L29/78 658G
H01L29/78 652B
H01L29/78 652T
H01L29/78 652K
H01L29/78 652M
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019439
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】永倉 壮
(72)【発明者】
【氏名】小林 純
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 智
(72)【発明者】
【氏名】牧 和慶
(72)【発明者】
【氏名】中島 脩
(57)【要約】
【課題】スーパージャンクション構造を有する半導体装置において、半導体層に形成される段差を低減する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、第1面および第1面と反対側の第2面12Bを有する第1導電型の半導体層12を形成すること、半導体層12内に第2導電型のピラー領域24を形成すること、半導体層12の第2面12Bを覆う絶縁層50を形成すること、絶縁層50上に金属層を形成すること、金属層を選択的に除去して、金属層を貫通する第1開口54を含むゲート電極32を形成すること、第1開口54を介して絶縁層50をエッチングすることを含む。絶縁層50をエッチングすることは、等方性エッチングにより、絶縁層50に湾曲した側壁58を有する第2開口60を形成して半導体層12を部分的に露出させることを含み、半導体層12の露出面62は、絶縁層50に覆われた半導体層12の第2面12Bと連続する平坦面を形成している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパージャンクション構造を有する半導体装置の製造方法であって、
第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する第1導電型の半導体層を形成すること、
前記半導体層内に第2導電型のピラー領域を形成すること、
前記半導体層の前記第2面を覆う絶縁層を形成すること、
前記絶縁層上に金属層を形成すること、
前記金属層を選択的に除去して、前記金属層を貫通する第1開口を含むゲート電極を形成すること、
前記第1開口を介して前記絶縁層をエッチングすること
を含み、
前記絶縁層をエッチングすることは、等方性エッチングにより、前記絶縁層に湾曲した側壁を有する第2開口を形成して前記半導体層を部分的に露出させることを含み、前記半導体層の露出面は、前記絶縁層に覆われた前記半導体層の前記第2面と連続する平坦面を形成している、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記湾曲した側壁は、前記ゲート電極と前記半導体層との間に位置している、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2開口は、前記ゲート電極よりも前記半導体層の前記第2面に近いほど小さい寸法を有する、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ゲート電極、前記絶縁層、および前記半導体層上に熱酸化膜を形成すること
をさらに含む、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記熱酸化膜を形成することは、前記平坦面に段差を形成することを含み、前記段差は、前記ゲート電極の下方に位置している、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記段差は、前記第2面と直交する方向において25nm未満である、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記熱酸化膜を形成することは、前記熱酸化膜によって囲まれた空洞を形成することを含み、前記空洞の少なくとも一部は、前記ゲート電極と前記半導体層との間に位置している、請求項4~6のうちのいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記熱酸化膜を形成することは、前記熱酸化膜によって囲まれた空洞を形成することを含み、前記空洞の少なくとも一部は、前記ゲート電極と前記段差との間に位置している、請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
スーパージャンクション構造を有する半導体装置であって、
第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する半導体層と、
前記半導体層の第2面上に形成された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極上に形成された第2絶縁層と、
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を覆う第3絶縁層と、
前記第3絶縁層上に形成されたソース電極であって、前記第1絶縁層および前記第3絶縁層を貫通して前記半導体層と接するソースコンタクト部を含むソース電極と
を備え、
前記第1絶縁層は、前記ゲート電極と前記半導体層との間に介在するゲート絶縁部を含み、前記ゲート絶縁部は、前記ゲート電極と前記半導体層との間に位置する湾曲した側面を含む、
半導体装置。
【請求項10】
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は、熱酸化膜によって形成され、
前記第3絶縁層は、CVD膜によって形成されている、
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体層の前記第2面は、前記ゲート電極の下方に位置する段差を含む、請求項9または10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記段差は、前記第2面と直交する方向において25nm未満である、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は、前記湾曲した側面によって少なくとも部分的に囲まれた空洞を形成し、前記空洞の少なくとも一部は、前記ゲート電極と前記半導体層との間に位置している、請求項9~12のうちのいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は、前記湾曲した側面によって少なくとも部分的に囲まれた空洞を形成し、前記空洞の少なくとも一部は、前記ゲート電極と前記段差との間に位置している、請求項11または12に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体層は、
前記第1面を含む第1導電型のドレイン領域と、
前記ドレイン領域上に形成された第1導電型のドリフト領域と、
前記第2面に形成された第2導電型のチャネル領域と、
前記チャネル領域に接続され、前記ドレイン領域に向かって延びる第2導電型のピラー領域と
を含む、請求項9~14のうちのいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スーパージャンクション構造を有するMISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field-Effect-Transistor)が開示されている。MISFETは、n型ドレイン層と、n型ドリフト層と、p型チャネル領域と、p型ピラー層と、n型ソース領域と、p型チャネルコンタクト領域と、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、層間絶縁膜とを含んでいる。p型ピラー層は、p型チャネル領域からn型ドレイン層に向かって延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-161712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スーパージャンクション構造を有するMISFETの半導体層上に形成されたゲート絶縁膜のエッチング工程において、半導体層の表面に段差が形成されることがある。そのような段差は局所的な応力集中を引き起こし、その結果、半導体層に欠陥を生じさせる可能性がある。半導体層に生じた欠陥は、MISFETのドレイン・ソース間リーク電流IDSSの増加の原因となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による半導体装置の製造方法は、第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する第1導電型の半導体層を形成すること、前記半導体層内に第2導電型のピラー領域を形成すること、前記半導体層の前記第2面を覆う絶縁層を形成すること、前記絶縁層上に金属層を形成すること、前記金属層を選択的に除去して、前記金属層を貫通する第1開口を含むゲート電極を形成すること、前記第1開口を介して前記絶縁層をエッチングすることを含んでいる。前記絶縁層をエッチングすることは、等方性エッチングにより、前記絶縁層に湾曲した側壁を有する第2開口を形成して前記半導体層を部分的に露出させることを含み、前記半導体層の露出面は、前記絶縁層に覆われた前記半導体層の前記第2面と連続する平坦面を形成している。
【0006】
本開示の一態様による半導体装置は、第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する半導体層と、前記半導体層の第2面上に形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極上に形成された第2絶縁層と、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層を覆う第3絶縁層と、前記第3絶縁層上に形成されたソース電極とを備えている。ソース電極は、前記第1絶縁層および前記第3絶縁層を貫通して前記半導体層と接するソースコンタクト部を含む。前記第1絶縁層は、前記ゲート電極と前記半導体層との間に介在するゲート絶縁部を含み、前記ゲート絶縁部は、前記ゲート電極と前記半導体層との間に位置する湾曲した側面を含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、スーパージャンクション構造を有する半導体装置において、半導体層に形成される段差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態による例示的な半導体装置の概略断面図である。
図2図2は、図1の部分拡大図である。
図3図3は、図2に示す半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
図4図4は、図3に続く製造工程を示す概略断面図である。
図5図5は、図4に続く製造工程を示す概略断面図である。
図6図6は、図5に続く製造工程を示す概略断面図である。
図7図7は、図6に続く製造工程を示す概略断面図である。
図8図8は、図7に続く製造工程を示す概略断面図である。
図9図9は、図8に続く製造工程を示す概略断面図である。
図10図10は、図9に続く製造工程を示す概略断面図である。
図11図11は、比較例による半導体装置の例示的なエッチング工程を示す概略断面図である。
図12図12は、比較例による半導体装置の概略断面図である。
図13図13は、変更例による半導体装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の半導体装置のいくつかの実施形態を説明する。なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0010】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図しない。
【0011】
[スーパージャンクション構造を有する半導体装置]
図1は、本発明の一実施形態による、スーパージャンクション構造を有する半導体装置10の概略断面図である。図2は、図1の部分拡大図であり、図1において一点鎖線で囲まれた部分F2が拡大されている。
【0012】
図1に示すように、半導体装置10は、第1面12Aおよび第1面12Aと反対側の第2面12Bを有する半導体層12を含んでいる。なお、図1に示すZ軸は、第1面12Aおよび第2面12Bと直交するZ方向に延びている。本開示において使用される「平面視」という用語は、Z方向に半導体装置10を視ることをいう。明示的に別段の記載がない限り、「平面視」とは、半導体装置10をZ軸に沿って上方から視ることを指す。半導体層12は、半導体基板14と、半導体基板14上に形成されたエピタキシャル層16とを含むことができる。半導体基板14は、半導体層12の第1面12Aを含み、エピタキシャル層16は、半導体層12の第2面12Bを含むことができる。
【0013】
半導体基板14は、n型不純物を含むn型の半導体基板であってよい。一例では、半導体基板14は、シリコン(Si)基板とすることができる。別の例では、半導体基板14は、シリコンカーバイド(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、またはMISFETに適用可能な任意の半導体基板であってよい。半導体基板14のn型不純物濃度は、一例では、1.0×1018cm-3~5.0×1020cm-3とすることができる。
【0014】
エピタキシャル層16は、半導体基板14上にエピタキシャル成長されたn型不純物を含むn型の層であってよい。一例では、エピタキシャル層16は、Siエピタキシャル層とすることができる。エピタキシャル層16の不純物濃度は、一例では、1.0×1010cm-3~1.0×1016cm-3であってよい。
【0015】
半導体層12は、ドレイン領域18と、ドリフト領域20と、チャネル領域22と、ピラー領域24と、ソース領域26と、チャネルコンタクト領域28とを含むことができる。ドレイン領域18は、半導体基板14に対応していてよい。ドリフト領域20、チャネル領域22、ピラー領域24、ソース領域26、およびチャネルコンタクト領域28は、エピタキシャル層16内に形成することができる。
【0016】
チャネル領域22は、半導体層12の第2面12Bから所定の深さまで形成することができる。チャネル領域22は、エピタキシャル層16内においてp型不純物が注入された領域であってよい。チャネル領域22の不純物濃度は、一例では、1.0×1015cm-3~1.0×1019cm-3とすることができる。
【0017】
ピラー領域24は、チャネル領域22と連続的に形成されていてよい。ピラー領域24は、エピタキシャル層16内においてチャネル領域22からドレイン領域18(半導体基板14)に向かって延びることができる。ピラー領域24は、ドレイン領域18までには達していないため、ピラー領域24とドレイン領域18との間には、ドリフト領域20が広がっていてよい。ピラー領域24は、一定の幅を有していてもよいし、有していなくてもよい。一例では、ピラー領域24の幅は、図1に示すようにZ方向に沿って周期的に変化していてもよい。ピラー領域24は、エピタキシャル層16内においてp型不純物が注入された領域であってよい。ピラー領域24の不純物濃度は、一例では、1.0×1015cm-3~1.0×1019cm-3とすることができる。ピラー領域24の不純物濃度は、チャネル領域22の不純物濃度と同等であってよい。
【0018】
ソース領域26は、チャネル領域22内において、半導体層12の第2面12Bから所定の深さまで形成することができる。ソース領域26は、チャネル領域22よりも浅く形成されている。ソース領域26は、チャネル領域22内においてn型不純物が注入された領域であってよい。ソース領域26の不純物濃度は、一例では、1.0×1018cm-3~5.0×1020cm-3とすることができる。ソース領域26の不純物濃度は、ドリフト領域20よりも高くてよい。
【0019】
チャネルコンタクト領域28は、後述するソース電極44のソースコンタクト部46の下方に形成することができる。チャネルコンタクト領域28は、チャネル領域22およびソース領域26に隣接することができる。チャネルコンタクト領域28は、チャネル領域22およびソース領域26内においてp型不純物が注入された領域であってよい。チャネルコンタクト領域28の不純物濃度は、一例では、5.0×1017cm-3~1.0×1019cm-3とすることができる。チャネルコンタクト領域28の不純物濃度は、チャネル領域22よりも高くてよい。
【0020】
本開示において、n型を第1導電型、およびp型を第2導電型ともいう。したがって、半導体層12は、第1面12Aを含む第1導電型のドレイン領域18と、ドレイン領域18上に形成された第1導電型のドリフト領域20と、第2面12Bに形成された第2導電型のチャネル領域22と、チャネル領域22に接続され、ドレイン領域18に向かって延びる第2導電型のピラー領域24とを含むことができる。
【0021】
n型不純物は、例えば、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)のうちの少なくとも1つであってよい。また、p型不純物は、例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)のうちの少なくとも1つであってよい。
【0022】
図2に示すように、半導体装置10は、半導体層12の第2面12B上に形成された第1絶縁層30と、第1絶縁層30上に形成されたゲート電極32と、ゲート電極32上に形成された第2絶縁層34とをさらに含むことができる。
【0023】
第1絶縁層30は、ゲート電極32と半導体層12との間に介在するゲート絶縁部36を含む。言い換えると、ゲート絶縁部36は、第1絶縁層30のうち、その上にゲート電極32が形成された部分であってよい。したがって、ゲート電極32の底面32Aは、ゲート絶縁部36と接することができる。一方、ゲート電極32の上面32Bおよび側面32Cは、第2絶縁層34と接することができる。
【0024】
ゲート絶縁部36は、半導体層12のうち、ソース領域26の表面の一部、チャネル領域22の表面、およびドリフト領域20の表面を覆っていてよい。
ゲート絶縁部36は、ゲート電極32と半導体層12との間に位置する湾曲した側面36Aを含むことができる。湾曲した側面36Aは、図6を参照して後述するゲート絶縁部36を形成するためのエッチング工程において、等方的エッチングが行われることにより形成されたものである。本実施形態では、第1絶縁層30および第2絶縁層34は、空洞38を形成することができる。空洞38は、湾曲した側面36Aによって少なくとも部分的に囲まれている。空洞38の少なくとも一部は、ゲート電極32と半導体層12との間に位置することができる。
【0025】
半導体層12の第2面12Bは、ゲート絶縁部36の湾曲した側面36Aの下方に位置する段差40を含んでいてよい。段差40は、第2面12Bと直交する方向において25nm未満であってよい。空洞38の少なくとも一部は、ゲート電極32と段差40との間に位置することができる。
【0026】
半導体装置10は、第1絶縁層30および第2絶縁層34を覆う第3絶縁層42と、第3絶縁層42上に形成されたソース電極44とをさらに含んでいてよい。ソース電極44は、第1絶縁層30および第3絶縁層42を貫通して半導体層12と接するソースコンタクト部46を含むことができる。ソースコンタクト部46は、ソース領域26を貫通してチャネルコンタクト領域28と接することができる。ソース電極44は、一例では、AlSiCuによって形成されていてよい。
【0027】
第1絶縁層30および第2絶縁層34は、熱酸化膜によって形成され、第3絶縁層42は、CVD膜によって形成されていてよい。ここで、熱酸化膜は、熱酸化法により形成された二酸化シリコン(SiO)膜であってよい。また、CVD膜は、化学気相成長(chemical vapor deposition,CVD)法により形成されたSiO膜であってよい。より具体的には、CVD膜は、USG(Undoped Silicate Glass)膜、BPSG(Boron-Doped Phospho-Silicate Glass)膜、またはその両方を含んでいてよい。空洞38は、第1絶縁層30および第2絶縁層34によって形成されているので、熱酸化膜によって囲まれることができる。ゲート電極32は、一例では、導電性のポリシリコンによって形成することができる。
【0028】
図1に戻って、半導体装置10は、半導体層12の第1面12Aに形成されたドレイン電極48をさらに含むことができる。ドレイン電極48は、ドレイン領域18と電気的に接続されていてよい。ドレイン電極48は、Ti、Ni、Au、Ag、Cu、Al、Cu合金、およびAl合金のうちの少なくとも1つから形成することができる。
【0029】
このように、半導体装置10は、半導体層12の第1面12Aに形成されたドレイン電極48と、第2面12Bの上方に形成されたソース電極44とを含むことができる。したがって、半導体装置10は、半導体層12の第1面12Aおよび第2面12Bと交差する方向に主電流が流れる縦型デバイスとすることができる。半導体層12の第2面12Bを含む上側の部分では、図1に示すようにn型のドリフト領域20とp型のピラー領域24とが交互に配列されている。このようなスーパージャンクション構造を有する半導体装置10においては、n型のドリフト領域20とp型のピラー領域24との間のpn接合面から空乏層が広がり、ドリフト領域20中にピラー領域24と同程度の深さの空乏層を形成することができる。これにより、半導体装置10の耐圧を改善することができる。
【0030】
[半導体装置の製造方法]
次に、本実施形態によるスーパージャンクション構造を有する半導体装置10の製造方法の一例を説明する。
【0031】
図3図11は、半導体装置10の例示的な製造工程を示す概略断面図である。なお、図3図11では、図2に示す半導体装置10の一部と同じ部分が示されている。理解を容易にするために、図3図11では、図2の構成要素と同様な構成要素には同一の符号を付している。
【0032】
図3に示すように、半導体装置10の製造方法は、第1面12A(図1参照)および第1面12Aと反対側の第2面12Bを有するn型の半導体層12を形成すること、半導体層12内にp型のピラー領域24を形成することを含んでいてよい。ピラー領域24は、半導体層12(エピタキシャル層16)中にp型不純物を注入することにより形成することができる。より詳細には、p型不純物が選択的に注入されたn型のエピタキシャル層の形成を複数回繰り返すことにより、半導体層12中でZ方向に延在するピラー領域24を形成してもよい。別の例では、ピラー領域24は、エピタキシャル層16にトレンチを形成し、当該トレンチ内にp型のエピタキシャル層を成長させることによって形成されてもよい。
【0033】
図4は、図3に続く製造工程を示す概略断面図である。図4に示すように、製造方法は、半導体層12の第2面12Bを覆う絶縁層50を形成すること、絶縁層50上に金属層52を形成することを含んでいてよい。絶縁層50は、一例では、熱酸化法で形成されたSiOであってよい。金属層52は、導電性のポリシリコンであってよい。
【0034】
図5は、図4に続く製造工程を示す概略断面図である。図5に示すように、製造方法は、金属層52を選択的に除去して、金属層52を貫通する第1開口54を含むゲート電極32を形成すること、第1開口54を介して半導体層12にp型不純物を注入することを含んでいてよい。p型不純物は、半導体層12の第2面12Bを含む第1領域56に注入することができる。第1領域56は、半導体層12の第2面12Bの比較的近くに位置しており、この工程においてはピラー領域24とは連続していない。
【0035】
図6は、図5に続く製造工程を示す概略断面図である。図6に示すように、製造方法は、第1開口54を介して絶縁層50をエッチングすることを含んでいてよい。絶縁層50をエッチングすることは、等方性エッチングにより、絶縁層50に湾曲した側壁58を有する第2開口60を形成して半導体層12を部分的に露出させることを含む。なお、この工程でエッチングされなかった絶縁層50は、図2に示すゲート絶縁部36を構成することができる。
【0036】
等方性エッチングでは、絶縁層50のエッチングは、絶縁層50の表面と直交する方向(半導体層12の第2面12Bと直交する方向)だけではなく、横方向(第2面12Bと平行な方向)にも進行する。この結果、ゲート電極32の底面32Aの一部(第1開口54と連続する部分)が露出されて、絶縁層50にアンダーカットが形成される。したがって、第2開口60は、少なくとも部分的に第1開口54よりも大きくてよい。側壁58が湾曲しているため、第2開口60は、ゲート電極32よりも半導体層12の第2面12Bに近いほど小さい寸法を有することができる。第2開口60の湾曲した側壁58は、ゲート電極32と半導体層12との間に位置していてよい。等方性エッチングにより形成された湾曲した側壁58上に、図7および図8を参照して後述する熱酸化膜64が成長することによって、図2に示すゲート絶縁部36の湾曲した側面36Aを形成することができる。
【0037】
この工程では等方性エッチングを採用しているため、半導体層12の露出面62は、殆どエッチングされていなくてよい。したがって、半導体層12の露出面62は、絶縁層50に覆われた半導体層12の第2面12Bと連続する平坦面を形成することができる。換言すると、等方性エッチングにより、半導体層12の第2面12Bに、半導体層12中の欠陥の発生の原因となり得るような段差は形成されない。
【0038】
一例では、等方性エッチングは、ウェットエッチングによって行うことができる。別の例では、等方性エッチングは、例えば、反応性ガスを用いたドライエッチング(ケミカルドライエッチング)によって行われてもよい。
【0039】
図7は、図6に続く製造工程を示す概略断面図である。図7に示すように、製造方法は、ゲート電極32、絶縁層50、および半導体層12上に熱酸化膜64を形成することをさらに含んでいてよい。この工程では、第1領域56(図6参照)に含まれていたp型不純物が、アニール処理により半導体層12中に拡散されてチャネル領域22が形成される。これにより、チャネル領域22は、ピラー領域24と連続的に形成されてよい。熱酸化膜64は、ゲート電極32、絶縁層50、および半導体層12の露出した表面と酸素との反応により形成することができる。この結果、ゲート電極32の上面32B、側面32C、および底面32Aの一部と、絶縁層50の湾曲した側壁58と、半導体層12の露出面62(図6参照)とを、熱酸化膜64によって覆うことができる。この酸化反応により、半導体層12およびゲート電極32は、図6に示す形状から変化し得る。より詳細には、図6に示す露出面62がわずかに凹むことにより、露出面62および第2面12Bによって形成される半導体層12の平坦面に段差40が形成され得る。段差40は、湾曲した側壁58の近くに形成され、したがって、ゲート電極32の下方に位置することができる。ゲート電極32の下方に位置する段差40は比較的小さく、一例では、第2面12Bと直交する方向において25nm未満であってよい。
【0040】
図8は、図7に続く製造工程を示す概略断面図である。図8に示すように、製造方法は、ソース領域26を形成することをさらに含んでいてよい。この工程では、第1開口54および第2開口60を介してn型不純物が半導体層12に注入され、注入されたn型不純物がアニール処理により半導体層12中に拡散されてソース領域26が形成される。このアニール処理により、図7に示す工程で形成された熱酸化膜64がさらに厚く成長する。本実施形態では、この熱酸化膜64の成長の際に、絶縁層50のアンダーカットに起因して、熱酸化膜64によって囲まれた空洞38が形成される。このように、熱酸化膜64を形成することは、熱酸化膜64によって囲まれた空洞38を形成することを含んでいてよい。
【0041】
空洞38の少なくとも一部は、ゲート電極32と半導体層12との間に位置することができる。これにより、図2に示す湾曲した側壁58を有するゲート絶縁部36を得ることができる。
【0042】
図9は、図8に続く製造工程を示す概略断面図である。図9に示すように、製造方法は、熱酸化膜64上にCVD膜66を形成することをさらに含んでいてよい。CVD膜66は、CVD法により形成されたSiO膜であってよい。より具体的には、CVD膜66は、USG膜、BPSG膜、またはその両方を含んでいてよい。
【0043】
図10は、図9に続く製造工程を示す概略断面図である。図10に示すように、製造方法は、チャネルコンタクト領域28を形成すること、CVD膜66および熱酸化膜64を貫通してチャネルコンタクト領域28まで達する開口68を形成することを含んでいてよい。この工程の後、開口68内のソースコンタクト部46を含むソース電極44(図2参照)が形成されて、図2に示す半導体装置10を得ることができる。
【0044】
半導体装置10の製造方法は、順次実行される複数の製造工程を含むものとして上記に説明されているが、いくつかの製造工程は並列に実行されてもよく、および/または異なる順序で実行されてもよいことを理解されたい。また、いくつかの製造工程は省略されてもよく、いずれかの製造工程において上記の例とは異なる処理が実行されてもよい。
【0045】
[作用]
以下、本実施形態の半導体装置10の作用について説明する。
本実施形態の半導体装置10では、ゲート絶縁部36を形成するために、半導体層12の第2面12Bを覆う絶縁層50のエッチングが行われる。絶縁層50のエッチングでは、等方性エッチングにより、絶縁層50に湾曲した側壁58を有する第2開口60を形成して、半導体層12が部分的に露出される。このとき、半導体層12の露出面62は、等方性エッチングによっては殆ど凹むことがないため、絶縁層50に覆われた半導体層12の第2面12Bと連続する平坦面を形成することができる。
【0046】
ここで、比較のために、図11および図12を参照して、絶縁層50のエッチングが、等方性エッチングではなく、異方性エッチングにより行われた場合の例を説明する。
図11は、比較例による半導体装置100(図12参照)の例示的なエッチング工程を示す概略断面図である。図11において、半導体装置10(特に図6参照)と同様の構成要素には同じ符号が付されている。また、半導体装置10と同様な構成要素については詳細な説明を省略する。
【0047】
図11に示す工程では、図6に示す工程と同様、第1開口54を介して絶縁層50がエッチングされる。図11に示す工程は、異方性エッチングにより、絶縁層50に第2開口102が形成されるという点で、図6に示す工程とは相違している。
【0048】
異方性エッチングでは、絶縁層50のエッチングは、絶縁層50の表面と直交する方向(半導体層12の第2面12Bと直交する方向)に主に進行する。図11の例では、異方性エッチングは、反応性イオンエッチングによって行われている。図11に示されるように、反応性イオンエッチングで用いられる反応性イオンに対し遮蔽物となるゲート電極32の近傍にある絶縁層50では、エッチングが比較的ゆっくりと進行する。特に、ゲート電極32の底面32Aの下にある絶縁層50は、図6の場合とは異なり、殆どエッチングされない。第2開口102は、ゲート電極32よりも半導体層12の第2面12Bに近いほど小さい寸法を有している。この結果、第2開口102の側壁104は、ゲート電極32の下方には位置せず、したがって、第2開口102は、第1開口54以下の大きさを有している。
【0049】
絶縁層50の第2開口102によって露出された半導体層12は、異方性エッチングにより表面からエッチングされ、露出面106は、絶縁層50によって覆われた半導体層12の第2面12Bから凹んでいる。これにより、第2面12Bと露出面106との間に段差108が生じる。図11の例では、第2面12Bと直交する方向において約45nmの段差108が形成されている。
【0050】
このように、異方性エッチングにより形成される段差108は比較的大きい。一方、図6の工程においては、等方性エッチングにより、半導体層12の第2面12Bに、半導体層12中の欠陥の発生の原因となり得るような段差は形成されない。この結果、図6に示す等方性エッチングの場合には、半導体層12の露出面62は、絶縁層50に覆われた半導体層12の第2面12Bと連続する平坦面を形成することができる。
【0051】
図12は、図11に示すエッチング工程の後、図7~10に示す半導体装置10の製造工程と同様の工程を経て得られた半導体装置100の概略断面図である。図12において、半導体装置10(特に図2参照)と同様の構成要素には同じ符号が付されている。
【0052】
半導体装置100では、図11に示すエッチング工程で形成された半導体層12の段差108が概ねそのまま残っている。なお、熱酸化により第2絶縁層34を形成する場合には、段差108が、図11に示す工程の後よりさらに大きくなっている可能性もある。半導体装置100では、段差108がゲート電極32の下方に位置していないため、図2に示される空洞38のような空洞が形成されることはない。また、半導体装置100では、段差108がゲート電極32の下方に位置していないため、ゲート絶縁部110は、ゲート電極32と半導体層12との間に位置する側面を有しない。
【0053】
半導体層12の比較的大きな段差108は、その近傍における応力集中を生じさせる。この応力集中により半導体層12に欠陥が生じ、その結果、半導体装置100においては、半導体装置10と比べてドレイン・ソース間リーク電流IDSSが増加する。
【0054】
これに対し、本実施形態の半導体装置10の製造方法では、等方性エッチングにより、絶縁層50に湾曲した側壁58を有する第2開口60を形成して半導体層12を部分的に露出させるので、半導体層12の露出面62は、絶縁層50に覆われた半導体層12の第2面12Bと連続する平坦面を形成することができる。等方性エッチングの採用により、半導体装置10のゲート絶縁部36はゲート電極32と半導体層12との間に位置する湾曲した側面36Aを含むようになるため、製造工程の間に形成され得る段差40は、ゲート電極32の下方に位置することになる。これは、段差40を比較的小さくすることを可能とする。したがって、本実施形態の半導体装置10および半導体装置10の製造方法によれば、半導体層12に形成される段差40を低減することができる。段差40の低減は、半導体層12中の局所的な応力集中を緩和し、その結果、半導体層12中の欠陥の発生を抑制することができる。したがって、半導体装置10において、ドレイン・ソース間リーク電流IDSSの増加を抑制することができる。
【0055】
[効果]
本実施形態の半導体装置10および半導体装置10の製造方法は、以下の利点を有する。
【0056】
(1)絶縁層50をエッチングすることは、等方性エッチングにより、絶縁層50に湾曲した側壁58を有する第2開口60を形成して半導体層12を部分的に露出させることを含んでいてよい。半導体層12の露出面62は、絶縁層50に覆われた半導体層12の第2面12Bと連続する平坦面を形成することができる。
【0057】
これにより、半導体装置10の製造工程の間に半導体層12に形成され得る段差40を比較的小さくすることができるため、半導体層12における欠陥の発生を抑制することができる。この結果、ドレイン・ソース間リーク電流IDSSの増加を抑制することができる。
【0058】
(2)湾曲した側壁58は、ゲート電極32と半導体層12との間に位置していてよい。これにより、製造工程の間に湾曲した側壁58の近傍に形成される段差40をゲート電極32の下方に位置するようにすることができるので、段差40を比較的小さくすることを可能とする。
【0059】
(3)半導体層12の平坦面に形成される段差40は、第2面12Bと直交する方向において25nm未満であってよい。これにより、半導体層12における局所的な応力集中を比較的小さくできるため、半導体層12の欠陥の発生が抑制されて、ドレイン・ソース間リーク電流IDSSの増加を抑制することができる。
【0060】
(4)熱酸化膜64を形成することは、熱酸化膜64によって囲まれた空洞38を形成することを含み、空洞38の少なくとも一部は、ゲート電極32と半導体層12との間に位置することができる。ゲート電極32と半導体層12との間に位置する空洞38の存在により、その近傍にある半導体層12の応力集中が緩和されて、半導体層12中の欠陥の発生を抑制することができる。
【0061】
(5)熱酸化膜64を形成することは、熱酸化膜64によって囲まれた空洞38を形成することを含み、空洞38の少なくとも一部は、ゲート電極32と段差40との間に位置することができる。ゲート電極32と段差40との間に位置する空洞38の存在により、応力が大きくなりやすい段差40近傍において半導体層12の応力集中が緩和されて、半導体層12の欠陥の発生をより効果的に抑制することができる。
【0062】
(6)第1絶縁層30は、ゲート電極32と半導体層12との間に介在するゲート絶縁部36を含み、ゲート絶縁部36は、ゲート電極32と半導体層12との間に位置する湾曲した側面36Aを含んでいてよい。
【0063】
これにより、製造工程の間に湾曲した側面36Aの近傍に形成される段差40をゲート電極32の下方に位置するようにできるので、段差40を比較的小さくすることができる。
【0064】
なお、ゲート電極32と半導体層12との間に位置する湾曲した側面36Aは、上述したとおり、等方性エッチングによって形成される特有の構造である。このため、上記側面36Aを有するゲート絶縁部36は、製造工程において等方性エッチングが行われたものと認められる。上述の通り、半導体装置10における段差40は、異方性エッチングが行われる場合よりも小さくなっている。したがって、ゲート絶縁部36が側面36Aを有する半導体装置10によれば、半導体層12に形成される段差40を低減することができる。段差40の低減は、半導体層12中の局所的な応力集中を緩和し、その結果、半導体層12中の欠陥の発生を抑制することができる。したがって、半導体装置10において、ドレイン・ソース間リーク電流IDSSの増加を抑制することができる。
【0065】
(7)第1絶縁層30および第2絶縁層34は、湾曲した側面36Aによって少なくとも部分的に囲まれた空洞38を形成し、空洞38の少なくとも一部は、ゲート電極32と半導体層12との間に位置することができる。ゲート電極32と半導体層12との間に位置する空洞38の存在により、その近傍にある半導体層12の応力集中が緩和されて、半導体層12中の欠陥の発生を抑制することができる。
【0066】
(8)第1絶縁層30および第2絶縁層34は、湾曲した側面36Aによって少なくとも部分的に囲まれた空洞38を形成し、空洞38の少なくとも一部は、ゲート電極32と段差40との間に位置することができる。ゲート電極32と段差40との間に位置する空洞38の存在により、応力が大きくなりやすい段差40近傍において半導体層12の応力集中が緩和されて、半導体層12中の欠陥の発生をより効果的に抑制することができる。
【0067】
[変更例]
上記した実施形態は、以下のようにさらに変更して実施することができる。
・第1絶縁層30および第2絶縁層34は、図2に示すような空洞38を形成していなくてもよい。図13は、変更例による半導体装置200の概略断面図である。図13において、半導体装置10(特に図2参照)と同様の構成要素には同じ符号が付されている。また、半導体装置10と同様な構成要素については詳細な説明を省略する。
【0068】
図13に示される半導体装置200においては、第1絶縁層30および第2絶縁層34が閉じた空洞を形成していないため、第1絶縁層30と第2絶縁層34とによって画定される間隙202には第3絶縁層42が埋め込まれている。間隙202の少なくとも一部は、ゲート電極32と半導体層12との間に位置することができる。このとき、ゲート絶縁部36の湾曲した側面36Aは、第3絶縁層42と接することができる。
【0069】
変更例による半導体装置200においても、等方性エッチングの採用により、半導体装置10のゲート絶縁部36がゲート電極32と半導体層12との間に位置する湾曲した側面36Aを含んでいるため、製造工程の間に形成され得る段差40は、ゲート電極32の下方に位置することになる。これは、段差40を比較的小さくすることを可能とし、その結果、ドレイン・ソース間リーク電流IDSSの増加を抑制することができる。
【0070】
・上記実施形態において、半導体層12内の各領域の導電型が反転された構造が採用されてもよい。すなわち、p型の領域がn型の領域とされ、n型の領域がp型の領域とされてもよい。
【0071】
本明細書に記載の様々な例のうちの1つまたは複数を、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
本明細書において、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」とは、「Aのみ、または、Bのみ、または、AおよびBの両方」を意味するものとして理解されるべきである。
【0072】
本明細書で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、「第1層が第2層上に形成される」という表現は、或る実施形態では第1層が第2層に接触して第2層上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1層が第2層に接触することなく第2層の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1層と第2層との間に他の層が形成される構造を排除しない。
【0073】
本明細書で使用される「垂直」、「水平」、「上方」、「下方」、「上」、「下」、「前方」、「後方」、「横」、「左」、「右」、「前」、「後」などの方向を示す用語は、説明および図示された装置の特定の向きに依存する。本開示においては、様々な代替的な向きを想定することができ、したがって、これらの方向を示す用語は、狭義に解釈されるべきではない。
【0074】
例えば、本明細書で使用されるZ方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造(例えば、図1に示される構造)は、本明細書で説明されるZ方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X方向が鉛直方向であってもよく、またはY方向が鉛直方向であってもよい。
【0075】
[付記]
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載される構成要素には、実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0076】
(付記A1)
スーパージャンクション構造を有する半導体装置(10)の製造方法であって、
第1面(12A)および前記第1面(12A)と反対側の第2面(12B)を有する第1導電型の半導体層(12)を形成すること、
前記半導体層(12)内に第2導電型のピラー領域(24)を形成すること、
前記半導体層(12)の前記第2面(12B)を覆う絶縁層(50)を形成すること、
前記絶縁層(50)上に金属層(52)を形成すること、
前記金属層(52)を選択的に除去して、前記金属層(52)を貫通する第1開口(54)を含むゲート電極(32)を形成すること、
前記第1開口(54)を介して前記絶縁層(50)をエッチングすること
を含み、
前記絶縁層(50)をエッチングすることは、等方性エッチングにより、前記絶縁層(50)に湾曲した側壁(58)を有する第2開口(60)を形成して前記半導体層(12)を部分的に露出させることを含み、前記半導体層(12)の露出面(62)は、前記絶縁層(50)に覆われた前記半導体層(12)の前記第2面(12B)と連続する平坦面を形成している、
半導体装置(10)の製造方法。
【0077】
(付記A2)
前記湾曲した側壁(58)は、前記ゲート電極(32)と前記半導体層(12)との間に位置している、付記A1に記載の半導体装置(10)の製造方法。
【0078】
(付記A3)
前記第2開口(60)は、前記ゲート電極(32)よりも前記半導体層(12)の前記第2面(12B)に近いほど小さい寸法を有する、付記A1またはA2に記載の半導体装置(10)の製造方法。
【0079】
(付記A4)
前記ゲート電極(32)、前記絶縁層(50)、および前記半導体層(12)上に熱酸化膜(64)を形成すること
をさらに含む、付記A1~A3のうちのいずれか1つに記載の半導体装置(10)の製造方法。
【0080】
(付記A5)
前記熱酸化膜(64)を形成することは、前記平坦面(62,12B)に段差(40)を形成することを含み、前記段差(40)は、前記ゲート電極(32)の下方に位置している、付記A4に記載の半導体装置(10)の製造方法。
【0081】
(付記A6)
前記段差(40)は、前記第2面(12B)と直交する方向において25nm未満である、付記A5に記載の半導体装置(10)の製造方法。
【0082】
(付記A7)
前記熱酸化膜(64)を形成することは、前記熱酸化膜(64)によって囲まれた空洞(38)を形成することを含み、前記空洞(38)の少なくとも一部は、前記ゲート電極(32)と前記半導体層(12)との間に位置している、付記A4~A6のうちのいずれか1つに記載の半導体装置(10)の製造方法。
【0083】
(付記A8)
前記熱酸化膜(64)を形成することは、前記熱酸化膜(64)によって囲まれた空洞(38)を形成することを含み、前記空洞(38)の少なくとも一部は、前記ゲート電極(32)と前記段差(40)との間に位置している、付記A5またはA6に記載の半導体装置(10)の製造方法。
【0084】
(付記A9)
前記熱酸化膜(64)上にCVD膜(66)を形成することをさらに含む、付記A4~A8のうちのいずれか1つに記載の半導体装置(10)の製造方法。
【0085】
(付記A10)
前記第1開口(54)を介して不純物を前記半導体層(12)に注入すること
をさらに含み、前記不純物(12)は、前記熱酸化膜(64)を形成する際に前記半導体層(12)中に拡散される、付記A4~A9のうちのいずれか1つに記載の半導体装置(10)の製造方法。
【0086】
(付記B1)
スーパージャンクション構造を有する半導体装置(10)であって、
第1面(12A)および前記第1面(12A)と反対側の第2面(12B)を有する半導体層(12)と、
前記半導体層(12)の第2面(12B)上に形成された第1絶縁層(30)と、
前記第1絶縁層(30)上に形成されたゲート電極(32)と、
前記ゲート電極(32)上に形成された第2絶縁層(34)と、
前記第1絶縁層(30)および前記第2絶縁層(34)を覆う第3絶縁層(42)と、
前記第3絶縁層(42)上に形成されたソース電極(44)であって、前記第1絶縁層(30)および前記第3絶縁層(42)を貫通して前記半導体層(12)と接するソースコンタクト部(46)を含むソース電極(44)と
を備え、
前記第1絶縁層(30)は、前記ゲート電極(32)と前記半導体層(12)との間に介在するゲート絶縁部(36)を含み、前記ゲート絶縁部(36)は、前記ゲート電極(32)と前記半導体層(12)との間に位置する湾曲した側面(36A)を含む、
半導体装置(10)。
【0087】
(付記B2)
前記第1絶縁層(30)および前記第2絶縁層(34)は、熱酸化膜によって形成され、
前記第3絶縁層(42)は、CVD膜によって形成されている、
付記B1に記載の半導体装置(10)。
【0088】
(付記B3)
前記半導体層(12)の前記第2面(12B)は、前記ゲート電極(32)の下方に位置する段差(40)を含む、付記B1またはB2に記載の半導体装置(10)。
【0089】
(付記B4)
前記段差(40)は、前記第2面(12B)と直交する方向において25nm未満である、付記B3に記載の半導体装置(10)。
【0090】
(付記B5)
前記第1絶縁層(30)および前記第2絶縁層(34)は、前記湾曲した側面(36A)によって少なくとも部分的に囲まれた空洞(38)を形成し、前記空洞(38)の少なくとも一部は、前記ゲート電極(32)と前記半導体層(12)との間に位置している、付記B1~B4のうちのいずれか1つに記載の半導体装置(10)。
【0091】
(付記B6)
前記第1絶縁層(30)および前記第2絶縁層(34)は、前記湾曲した側面(36A)によって少なくとも部分的に囲まれた空洞(38)を形成し、前記空洞(38)の少なくとも一部は、前記ゲート電極(32)と前記段差(40)との間に位置している、付記B3またはB4に記載の半導体装置(10)。
【0092】
(付記B7)
前記湾曲した側面(36A)は、前記第3絶縁層(42)と接している、
付記B1~B4のうちのいずれか1つに記載の半導体装置(200)。
【0093】
(付記B8)
前記湾曲した側面(36A)は、等方性エッチングにより形成されたものである、付記B1~B7のうちのいずれか1つに記載の半導体装置(10;200)。
【0094】
(付記B9)
前記半導体層(12)は、
前記第1面(12A)を含む第1導電型のドレイン領域(18)と、
前記ドレイン領域(18)上に形成された第1導電型のドリフト領域(20)と、
前記第2面(12B)に形成された第2導電型のチャネル領域(22)と、
前記チャネル領域(22)に接続され、前記ドレイン領域(18)に向かって延びる第2導電型のピラー領域(24)と
を含む、付記B1~B8のうちのいずれか1つに記載の半導体装置(10;200)。
【0095】
(付記C1)
スーパージャンクション構造を有する半導体装置(10)であって、
第1面(12A)および前記第1面(12A)と反対側の第2面(12B)を有する半導体層(12)と、
前記半導体層(12)の第2面(12B)上に形成された第1絶縁層(30)と、
前記第1絶縁層(30)上に形成されたゲート電極(32)と、
前記ゲート電極(32)上に形成された第2絶縁層(34)と、
前記第1絶縁層(30)および前記第2絶縁層(34)を覆う第3絶縁層(42)と、
前記第3絶縁層(42)上に形成されたソース電極(44)であって、前記第1絶縁層(30)および前記第3絶縁層(42)を貫通して前記半導体層(12)と接するソースコンタクト部(46)を含むソース電極(44)と
を備え、
前記半導体層(12)の前記第2面(12B)は、前記ゲート電極(32)の下方に位置する段差(40)を含む、
半導体装置(10)。
【0096】
(付記C2)
前記段差(40)は、前記第2面(12B)と直交する方向において25nm未満である、付記C1に記載の半導体装置(10)。
【0097】
(付記C3)
前記第1絶縁層(30)は、前記ゲート電極(32)と前記半導体層(12)との間に介在するゲート絶縁部(36)を含み、前記ゲート絶縁部(36)は、前記ゲート電極(32)と前記半導体層(12)との間に位置する湾曲した側面(36A)を含む、
付記C1またはC2に記載の半導体装置(10)。
【0098】
(付記C4)
前記第1絶縁層(30)および前記第2絶縁層(34)は、前記湾曲した側面(36A)によって少なくとも部分的に囲まれた空洞(38)を形成し、前記空洞(38)の少なくとも一部は、前記ゲート電極(32)と前記段差(40)との間に位置している、付記C3に記載の半導体装置(10)。
【0099】
(付記C5)
前記湾曲した側面(36A)は、前記第3絶縁層(42)と接している、
付記C3またはC4に記載の半導体装置(200)。
【0100】
(付記C6)
前記第1絶縁層(30)および前記第2絶縁層(34)は、熱酸化膜によって形成され、
前記第3絶縁層(42)は、CVD膜によって形成されている、
付記C1~C5のうちのいずれか1つに記載の半導体装置(10;200)。
【0101】
(付記C7)
前記半導体層(12)は、
前記第1面(12A)を含む第1導電型のドレイン領域(18)と、
前記ドレイン領域(18)上に形成された第1導電型のドリフト領域(20)と、
前記第2面(12B)に形成された第2導電型のチャネル領域(22)と、
前記チャネル領域(22)に接続され、前記ドレイン領域(18)に向かって延びる第2導電型のピラー領域(24)と
を含む、付記C1~C6のうちのいずれか1つに記載の半導体装置(10;200)。
【0102】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0103】
10,100,200…半導体装置
12…半導体層
12A…第1面
12B…第2面
14…半導体基板
16…エピタキシャル層
18…ドレイン領域
20…ドリフト領域
22…チャネル領域
24…ピラー領域
26…ソース領域
28…チャネルコンタクト領域
30…第1絶縁層
32…ゲート電極
34…第2絶縁層
36…ゲート絶縁部
36A…側面
38…空洞
40…段差
42…第3絶縁層
44…ソース電極
46…ソースコンタクト部
48…ドレイン電極
50…絶縁層
52…金属層
54…第1開口
56…第1領域
58…側壁
60…第2開口
62…露出面
64…熱酸化膜
66…CVD膜
68…開口
102…第2開口
104…側壁
106…露出面
108…段差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図13