(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023116997
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】実装システム、部品認識データの更新方法、試験装置及び試験プログラム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019440
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 康弘
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353CC05
5E353EE02
5E353EE23
5E353EE24
5E353EE26
5E353EE28
5E353EE29
5E353EE61
5E353KK01
5E353KK11
5E353QQ07
5E353QQ30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】部品認識データを更新する場合に、ロットが切り替わっても部品形状の良否が正しく判定されるように部品認識データの妥当性を確保すること。
【解決手段】表面実装機の制御部が、部品認識データを用いて部品形状の良否を判定する判定処理と、画像と判定処理の判定結果とを対応付けて記憶部に記憶する記憶処理と、判定処理で不良判定された部品の画像に基づいて部品認識データの複製データを編集する編集処理と、不良判定された部品と同じ種類の他の部品の画像上で編集後の複製データを用いて部品形状の良否を判定し、判定結果を比較することによって編集後の複製データを試験する第1の試験処理と、第1の試験処理での試験に合格した場合に、制御部が部品認識データを編集後の複製データで更新する更新処理と、を実行する、実装システム。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する実装システムであって、
前記部品を撮像する撮像部と、
記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記撮像部によって撮像された画像上で部品認識データを用いて部品形状の良否を判定する判定処理と、
前記画像と前記判定処理の判定結果とを対応付けて前記記憶部に記憶する記憶処理と、
前記判定処理で不良判定された前記部品の前記画像に基づいて前記部品認識データの複製データを編集する編集処理と、
不良判定された前記部品と同じ種類の他の部品の前記画像上で編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定し、その判定結果を前記判定処理の判定結果と比較することによって編集後の前記複製データを試験する第1の試験処理と、
前記第1の試験処理での試験に合格した場合に、前記部品認識データを編集後の前記複製データで更新する更新処理と、
を実行する、実装システム。
【請求項2】
請求項1に記載の実装システムであって、
前記制御部は、不良判定が前記部品のロットの切り替わりに起因するものであるか否かを判断し、ロットの切り替わりに起因するものであると判断した場合に前記編集処理を実行する、実装システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の実装システムであって、
当該実装システムは同一機能を有する構成要素を複数備えており、前記部品毎にいずれかの前記構成要素を用いて前記基板に実装し、
前記制御部は、
不良判定された前記部品と同じ種類の他の部品のうち不良判定された前記部品の実装に用いられた前記構成要素と同じ前記構成要素を用いて実装された他の部品の前記画像上で編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定し、その判定結果を前記判定処理の判定結果と比較することによって編集後の前記複製データを試験する第2の試験処理と、
前記第2の試験処理での試験に合格した場合に、編集後の前記複製データを、不良判定された前記部品の実装に用いられた前記構成要素用の前記部品認識データとして設定する設定処理と、
前記部品認識データを更新するか、又は、不良判定された前記部品の実装に用いられた前記構成要素用の前記部品認識データを設定するかを不良判定の発生状況に基づいて判断する判断処理と、
を実行し、
前記判断処理で前記部品認識データを更新すると判断した場合は前記第1の試験処理及び前記更新処理を実行し、前記構成要素用の前記部品認識データを設定すると判断した場合は前記第2の試験処理及び前記設定処理を実行する、実装システム。
【請求項4】
請求項3に記載の実装システムであって、
前記構成要素は、前記部品を保持及び解放する実装ヘッド、前記撮像部、及び、前記実装ヘッドに部品を供給するフィーダの少なくとも1つである、実装システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の実装システムであって、
前記制御部は、前記第1の試験処理において、編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定した判定結果が前記判定処理の判定結果と完全に一致する場合、又は、直行率が閾値以上である場合に、試験に合格したと判断する、実装システム。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載の実装システムであって、
前記制御部は、前記第2の試験処理において、編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定した判定結果が前記判定処理の判定結果と完全に一致する場合、又は、直行率が閾値以上である場合に、試験に合格したと判断する、実装システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の実装システムであって、
前記制御部は、前記部品認識データを更新した後の不良判定の頻度が閾値以上である場合に、前記部品認識データの複製データを再編集する、更新前の前記部品認識データと更新後の前記部品認識データとのうちいずれの前記部品認識データを用いるかを選択する、及び、特定期間のみ更新後の前記部品認識データを用いる、のうちいずれかの選択を受け付ける選択受付処理を実行する、実装システム。
【請求項8】
請求項3又は請求項4に記載の実装システムであって、
前記制御部は、前記構成要素用の前記部品認識データを設定した後の不良判定の頻度が閾値以上である場合に、前記部品認識データの複製データを再編集する、前記部品認識データと前記構成要素用の前記部品認識データとのうちいずれの前記部品認識データを用いるかを選択する、特定期間のみ前記構成要素用の前記部品認識データを用いる、のうちいずれかの選択を受け付ける選択受付処理を実行する、実装システム。
【請求項9】
基板に部品を実装する実装システムにおいて部品形状の良否判定に用いられる部品認識データの更新方法であって、
前記部品を撮像部によって撮像する撮像工程と、
前記撮像部によって撮像された画像上で前記部品認識データを用いて部品形状の良否を判定する判定工程と、
前記画像と前記判定工程の判定結果とを対応付けて記憶部に記憶する記憶工程と、
前記判定工程で不良判定された前記部品の前記画像に基づいて前記部品認識データの複製データを編集する編集工程と、
不良判定された前記部品と同じ種類の他の部品の前記画像上で編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定し、その判定結果を前記判定工程の判定結果と比較することによって編集後の前記複製データを試験する第1の試験工程と、
前記第1の試験工程での試験に合格した場合に、前記部品認識データを編集後の前記複製データで更新する更新工程と、
を含む、部品認識データの更新方法。
【請求項10】
基板に部品を実装する表面実装機と通信可能に接続されている試験装置であって、
記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記表面実装機から前記部品の画像と前記画像上で部品認識データを用いて部品形状の良否を判定した判定結果とを受信し、受信した前記画像と前記判定結果とを対応付けて前記記憶部に記憶する記憶処理と、
前記部品認識データを用いた良否判定で不良判定された前記部品の前記画像に基づいて前記部品認識データの複製データを編集する、又は、前記表面実装機で編集された複製データを受信する編集受信処理と、
不良判定された前記部品と同じ種類の他の部品の前記画像上で編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定し、その判定結果を前記記憶部に記憶されている前記判定結果と比較することによって編集後の前記複製データを試験する第1の試験処理と、
を実行する、試験装置。
【請求項11】
基板に部品を実装する表面実装機と通信可能に接続されているコンピュータで実行される試験プログラムであって、
前記表面実装機から前記部品の画像と前記画像上で部品認識データを用いて部品形状の良否を判定した判定結果とを受信し、受信した前記画像と前記判定結果とを対応付けて記憶部に記憶する記憶処理と、
前記部品認識データを用いた良否判定で不良判定された前記部品の前記画像に基づいて前記部品認識データの複製データを編集する、又は、前記表面実装機で編集された複製データを受信する編集受信処理と、
不良判定された前記部品と同じ種類の他の部品の前記画像上で編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定し、その判定結果を前記記憶部に記憶されている前記判定結果と比較することによって編集後の前記複製データを試験する第1の試験処理と、
を前記コンピュータに実行させる、試験プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は実装システム、部品認識データの更新方法、試験装置及び試験プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を実装する実装システムでは、部品認識データを用いて部品形状の良否が判定されている。このような実装システムにおいて、部品形状が不良判定されたことに応じて部品認識データを修正するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、特許文献1に記載の認識データ修正方法では、部品を撮像して得られた画像データと当該電子部品の形状を表す認識データとが不一致であるとき、当該電子部品における画像データ及び認識データを含む画像ファイルを解析装置に送出し、画像ファイルに基づいて不一致の原因を求め、求めた原因に基づいて認識データの修正を行う。特許文献1には、解析装置にて修正された修正済認識データに基づいて再度上記画像データとの一致を判断することによって修正済認識データの良否を確認することも記載されている(同文献の請求項2及び段落0052)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の認識データ修正方法では、電子部品の製造ロット(以下、単にロットという)の違いが部品形状の良否判定に影響することについて十分に検討されていなかった。
本明細書では、部品認識データを更新する場合に、ロットが切り替わっても部品形状の良否が正しく判定されるように部品認識データの妥当性を確保する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基板に部品を実装する実装システムであって、前記部品を撮像する撮像部と、記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮像部によって撮像された画像上で部品認識データを用いて部品形状の良否を判定する判定処理と、前記画像と前記判定処理の判定結果とを対応付けて前記記憶部に記憶する記憶処理と、前記判定処理で不良判定された前記部品の前記画像に基づいて前記部品認識データの複製データを編集する編集処理と、不良判定された前記部品と同じ種類の他の部品の前記画像上で編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定し、その判定結果を前記判定処理の判定結果と比較することによって編集後の前記複製データを試験する第1の試験処理と、前記第1の試験処理での試験に合格した場合に、前記部品認識データを編集後の前記複製データで更新する更新処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0006】
上記の構成によれば、部品認識データを更新する場合に、ロットが切り替わっても部品形状の良否が正しく判定されるように部品認識データの妥当性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図8】表面実装機で実行される第1の処理のフローチャート(表面実装機で編集される場合)
【
図9】サーバで実行される処理のフローチャート(表面実装機で編集される場合)
【
図10】表面実装機で実行される第2の処理のフローチャート(表面実装機で編集される場合)
【
図11】表面実装機で実行される第1の処理のフローチャート(サーバで編集される場合)
【
図12】サーバで実行される処理のフローチャート(サーバで編集される場合)
【
図13】表面実装機で実行される第2の処理のフローチャート(サーバで編集される場合)
【
図14】実施形態2に係る実装システムのブロック図
【
図15】サーバで実行される処理のフローチャート(表面実装機で編集される場合)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本実施形態の概要)
(1)本開示に係る実装システムは、基板に部品を実装する実装システムであって、前記部品を撮像する撮像部と、記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮像部によって撮像された画像上で部品認識データを用いて部品形状の良否を判定する判定処理と、前記画像と前記判定処理の判定結果とを対応付けて前記記憶部に記憶する記憶処理と、前記判定処理で不良判定された前記部品の前記画像に基づいて前記部品認識データの複製データを編集する編集処理と、不良判定された前記部品と同じ種類の他の部品の前記画像上で編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定し、その判定結果を前記判定処理の判定結果と比較することによって編集後の前記複製データを試験する第1の試験処理と、前記第1の試験処理での試験に合格した場合に、前記部品認識データを編集後の前記複製データで更新する更新処理と、を実行する。
【0009】
基板に部品を実装する実装システムでは、部品が収容されている部品テープが巻き回されているリールや、部品が行列状に載置されている部品トレイによって部品が供給される。例えば部品テープに収容されている部品の残数が少なくなって新たなリールに交換される場合、交換前のリールと交換後のリールとで部品のロットが異なっていることがある。実装システムでは部品のロットが切り替わると交換前のロットに比べて不良判定される頻度が高くなることがあった。これには以下のような理由が挙げられる。
・ロットの違いによって部品形状が僅かに異なっている。
・ロットの違いによって部品の表面の光反射率が僅かに異なっており、撮像部によって撮像された画像上で部品の見え方が異なっている。
【0010】
前述したように、特許文献1に記載の認識データ修正方法では、修正済認識データに基づいて再度画像データとの一致を判断することによって修正済認識データの良否を確認する。しかしながら、確認の対象の画像データが、不一致と判断された部品の画像データだけであるため、その部品と同じロットの部品については良否が正しく判定されたとしても、異なるロットの部品については必ずしも部品形状が正しく判定されない可能性がある。
【0011】
上記の実装システムによると、不良判定された部品の画像に基づいて編集された複製データを、不良判定された部品と同じ種類の他の部品の画像を用いて試験する。他の部品には不良判定された部品とは異なるロットの部品も含まれる。このため、上記の実装システムでは異なるロットの部品の画像も用いて複製データが試験される。この試験に合格した複製データは、ロットが切り替わっても良否を正しく判定できることがある程度保証される。
よって上記の実装システムによると、部品認識データを更新する場合に、ロットが切り替わっても部品形状の良否が正しく判定されるように部品認識データの妥当性を確保できる。
【0012】
(2)前記制御部は、不良判定が前記部品のロットの切り替わりに起因するものであるか否かを判断し、ロットの切り替わりに起因するものであると判断した場合に前記編集処理を実行してもよい。
【0013】
上記の実装システムによると、不良判定が部品のロットの切り替わりに起因するものである場合に複製データを編集するので、部品のロットの違いが部品形状の良否判定に影響することをより確実に抑制できる。
【0014】
(3)当該実装システムは同一機能を有する構成要素を複数備えており、前記部品毎にいずれかの前記構成要素を用いて前記基板に実装し、前記制御部は、不良判定された前記部品と同じ種類の他の部品のうち不良判定された前記部品の実装に用いられた前記構成要素と同じ前記構成要素を用いて実装された他の部品の前記画像上で編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定し、その判定結果を前記判定処理の判定結果と比較することによって編集後の前記複製データを試験する第2の試験処理と、前記第2の試験処理での試験に合格した場合に、編集後の前記複製データを、不良判定された前記部品の実装に用いられた前記構成要素用の前記部品認識データとして設定する設定処理と、前記部品認識データを更新するか、又は、不良判定された前記部品の実装に用いられた前記構成要素用の前記部品認識データを設定するかを不良判定の発生状況に基づいて判断する判断処理と、を実行し、前記判断処理で前記部品認識データを更新すると判断した場合は前記第1の試験処理及び前記更新処理を実行し、前記構成要素用の前記部品認識データを設定すると判断した場合は前記第2の試験処理及び前記設定処理を実行してもよい。
【0015】
通常、基板への部品の実装では、基板に部品を搭載する前に部品形状の良否が判定され、良判定された場合は基板に搭載され、不良判定された場合は廃棄される。このため、上記の「実装」には部品が不良判定されて廃棄される場合も含まれる。上記の「不良判定された前記部品の実装に用いられた前記構成要素」とは、部品が廃棄されるまでに用いられた構成要素のことをいう。
【0016】
例えば、ある特定の構成要素に何らかの問題があることにより、その構成要素を用いて実装された部品の部品形状が不良判定されることがある。その場合はその構成要素に不良判定が集中する。このため、特定の構成要素に不良判定が集中する場合はその特定の構成要素用の部品認識データを設定すると判断してもよい。このようにすると、部品認識データの更新が影響する範囲を極力狭くできる。一方、特定の構成要素に不良判定が集中していない場合はロットの切り替わりの影響である可能性があるため、部品認識データを更新すると判断してもよい。このようにすると、いずれの構成要素を用いる場合であってもロットの影響を低減できる。
【0017】
(4)前記構成要素は、前記部品を保持及び解放する実装ヘッド、前記撮像部、及び、前記実装ヘッドに部品を供給するフィーダの少なくとも1つであってもよい。
【0018】
撮像部の場合、光源が経時劣化することによって部品形状を正確に認識できず、それにより不良判定されることがある。このため、光源が経時劣化した撮像部に不良判定が集中することがある。
実装ヘッドの場合、実装ヘッドの位置によって撮像部の照明(光源から出射された光)の当たり方が異なることがある。撮像部が経時劣化していない場合は部品の良否判定に影響がなかったとしても、撮像部が経時劣化すると照明の当たり方に大きな違いが生じ、照明が当たり難い実装ヘッドに不良判定が集中することがある。
フィーダにはリールや部品トレイがセットされる。フィーダの場合、例えばあるフィーダにセットされているリールに巻き回されている部品テープに収容されている部品のロットと他のフィーダにセットされているリールに巻き回されている部品テープに収容されている部品のロットとが異なることにより、ある特定のフィーダに不良判定が集中することがある。
上記の実装システムによると、部品認識データの更新が影響する範囲を1つの実装ヘッド、1つの撮像部、あるいは1つのフィーダに限定できる。
【0019】
(5)前記制御部は、前記第1の試験処理において、編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定した判定結果が前記判定処理の判定結果と完全に一致する場合、又は、直行率が閾値以上である場合に、試験に合格したと判断してもよい。
【0020】
上記の「直行率」は、判定結果の一致率と言い換えることもできる。
上記の実装システムによると、編集後の複製データを用いて部品形状の良否を判定した判定結果が判定処理の判定結果と完全に一致する場合、又は、直行率が閾値以上である場合に試験に合格したと判断するので、更新された部品認識データの妥当性を確保できる。
【0021】
(6)前記制御部は、前記第2の試験処理において、編集後の前記複製データを用いて部品形状の良否を判定した判定結果が前記判定処理の判定結果と完全に一致する場合、又は、直行率が閾値以上である場合に、試験に合格したと判断してもよい。
【0022】
上記の実装システムによると、編集後の複製データを用いて部品形状の良否を判定した判定結果が判定処理の判定結果と完全に一致する場合、又は、直行率が閾値以上である場合に試験に合格したと判断するので、設定された部品認識データの妥当性を確保できる。
【0023】
(7)前記制御部は、前記部品認識データを更新した後の不良判定の頻度が閾値以上である場合に、前記部品認識データの複製データを再編集する、更新前の前記部品認識データと更新後の前記部品認識データとのうちいずれの前記部品認識データを用いるかを選択する、及び、特定期間のみ更新後の前記部品認識データを用いる、のうちいずれかの選択を受け付ける選択受付処理を実行してもよい。
【0024】
上記の実装システムによると、オペレータは「複製データを再編集する」を選択することにより、部品認識データの複製データを再編集できる。オペレータは「更新前の部品認識データと更新後の部品認識データとのうちいずれの部品認識データを用いるかを選択する」を選択することにより、更新前の部品認識データと更新後の部品認識データとのうちいずれの部品認識データを用いるかを選択できる。オペレータは「特定期間のみ更新後の部品認識データを用いる」を選択することにより、特定期間のみ更新後の部品認識データを用いることができる。
【0025】
(8)前記制御部は、前記構成要素用の前記部品認識データを設定した後の不良判定の頻度が閾値以上である場合に、前記部品認識データの複製データを再編集する、前記部品認識データと前記構成要素用の前記部品認識データとのうちいずれの前記部品認識データを用いるかを選択する、特定期間のみ前記構成要素用の前記部品認識データを用いる、のうちいずれかの選択を受け付ける選択受付処理を実行してもよい。
【0026】
上記の実装システムによると、オペレータは「複製データを再編集する」を選択することにより、部品認識データの複製データを再編集できる。オペレータは「部品認識データと構成要素用の部品認識データとのうちいずれの部品認識データを用いるかを選択する」を選択することにより、部品認識データと構成要素用の部品認識データとのうちいずれの部品認識データを用いるかを選択できる。オペレータは「特定期間のみ構成要素用の部品認識データを用いる」を選択することにより、特定期間のみ設定後の部品認識データを用いることができる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本開示の実施形態は、装置、システム、方法、これらの装置、システムまたは方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0028】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図13に基づいて説明する。以降の説明では
図3に示す左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向といい、
図4に示す上下方向をZ軸方向という。また、以降の説明では
図3に示す右側を上流側、左側を下流側という。以降の説明では同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0029】
(1)実装システム
図1を参照して、実施形態1に係る実装システム1について説明する。実装システム1は部品が実装された実装基板を生産するシステムである。実装システム1は実装ラインL及びサーバ10(試験装置及びコンピュータの一例)を備えている。
実装ラインLは1台の表面実装機11を備えている。表面実装機11は基板に部品を実装する装置である。実装ラインLは表面実装機11以外にも基板に対する作業を行うその他の装置(ローダー、スクリーン印刷機、印刷検査機、ディスペンサ、実装後外観検査機、リフロー装置、硬化後外観検査機、アンローダーなど)を備えているが、
図1ではその他の装置については省略している。各装置は通信ネットワークを介してサーバ10と通信可能に接続されている。実装ラインLは複数台の表面実装機11を備えていてもよい。
【0030】
(1-1)サーバ
サーバ10は実装ラインLに関する各種の処理を実行するコンピュータである。詳しくは後述するが、各種の処理には表面実装機11で撮像された部品の画像を記憶する処理、後述する部品認識データの複製データを編集する処理、編集した複製データを試験する処理、表面実装機11に部品認識データの更新を指示する処理などが含まれる。
【0031】
図2を参照して、サーバ10の電気的構成について説明する。サーバ10は所謂パーソナルコンピュータであり、制御部12、記憶部13、通信部14、表示部15、操作部16などを備えている。制御部12はCPU12A及びRAM12Bを有している。記憶部13には各種のデータが記憶されている。各種のデータには部品形状の良否判定に用いられる部品認識データのマスターデータや、前述した各種の処理をサーバ10に実行させる試験プログラムなどが含まれる。記憶部には表面実装機11で撮像された部品の画像なども記憶される。表示部15は液晶ディスプレイなどの表示装置である。操作部16はマウス、キーボード、タッチパネルなどである。
【0032】
(1-2)表面実装機
図3を参照して、表面実装機11の全体構成について説明する。表面実装機11は基台20、搬送コンベア21、4つの部品供給装置22、ヘッドユニット24、ヘッド移動部25、2つの部品撮像カメラ30(構成要素及び撮像部の一例)、基板撮像カメラ31、制御部50(
図5参照)及び操作部51(
図5参照)を備えている。
【0033】
基台20は平面視長方形状をなすとともに上面が平坦とされている。
図3において二点破線で示す領域Aは基板Pに部品Eを実装するときに基板Pが固定される作業位置である。
搬送コンベア21はX軸方向に循環移動する一対のコンベアベルト(前側コンベアベルト21A及び後側コンベアベルト21B)、コンベアベルトを駆動するコンベア駆動モータ62(
図5参照)などを備えている。
【0034】
4つの部品供給装置22は搬送コンベア21の前後両側においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。ここではリールに巻き回されている部品テープに収容されている部品Eを供給する部品供給装置22を例に説明する。部品供給装置22には複数のテープフィーダ23(構成要素及びフィーダの一例)がX軸方向に横並び状に整列して取り付けられている。各テープフィーダ23は複数の部品Eが収容された部品テープ(不図示)が巻回されたリール(不図示)、及び、リールから部品テープを引き出す電動式の送出装置(不図示)等を備えており、搬送コンベア21側の端部に設けられた部品供給位置から部品Eを1つずつ供給する。部品供給装置22は部品トレイに載置されている部品Eを供給するものであってもよい。
【0035】
ヘッドユニット24は部品Eを吸着及び解放する複数の実装ヘッド28(構成要素の一例)を備えている。ヘッドユニット24についての説明は後述する。
ヘッド移動部25はヘッドユニット24を所定の可動範囲内でX軸方向及びY軸方向に移動させるものである。ヘッド移動部25はヘッドユニット24をX軸方向に往復移動可能に支持しているビーム26、ビーム26をY軸方向に往復移動可能に支持している一対のY軸ガイドレール27、ヘッドユニット24をX軸方向に往復移動させるX軸サーボモータ58、ビーム26をY軸方向に往復移動させるY軸サーボモータ59などを備えている。
【0036】
2つの部品撮像カメラ30はそれぞれX軸方向に並んだ2つの部品供給装置22の間に設けられている。部品撮像カメラ30は実装ヘッド28に吸着されている部品Eを下から撮像して部品Eの形状や角度などを認識するためのカメラである。部品撮像カメラ30は光源、複数の受光素子からなるイメージセンサ(ラインセンサあるいはエリアセンサ)、光源から出射されて部品Eで反射された光をイメージセンサに結像させる光学系などを備えている。
基板撮像カメラ31はヘッドユニット24に設けられている。基板撮像カメラ31は基板Pに付されているフィデューシャルマークを上から撮像して基板Pの位置や角度を検出するためのカメラである。
【0037】
図4を参照して、ヘッドユニット24について説明する。ヘッドユニット24は所謂インライン型であり、複数の実装ヘッド28(複数の構成要素の一例)がX軸方向に並んで設けられている。ヘッドユニット24にはこれらの実装ヘッド28を個別に昇降させるZ軸サーボモータ60(
図5参照)、及び、これらの実装ヘッド28を一斉に軸周りに回転させるR軸サーボモータ61(
図5参照)が設けられている。
【0038】
各実装ヘッド28は部品Eを吸着及び解放するものであり、ノズルシャフト28Aと、ノズルシャフト28Aの下端部に着脱可能に取り付けられている吸着ノズル28Bとを有している。吸着ノズル28Bにはノズルシャフト28Aを介して図示しない空気供給装置から負圧及び正圧が供給される。吸着ノズル28Bは負圧が供給されることによって部品Eを吸着し、正圧が供給されることによってその部品Eを解放する。ここでは左側の実装ヘッド28から順に1番から始まるヘッド番号がヘッド識別番号として付されているものとする。
ここではインライン型のヘッドユニット24を例に説明したが、ヘッドユニット24は例えば複数の実装ヘッド28が円周上に配列された所謂ロータリーヘッドであってもよい。
【0039】
図5を参照して、表面実装機11の電気的構成について説明する。表面実装機11は制御部50及び操作部51を備えている。制御部50は演算処理部52、モータ制御部53、記憶部54、画像処理部55、外部入出力部56、フィーダ通信部57などを備えている。
【0040】
演算処理部52はCPU、RAMなどを備えており、記憶部54に記憶されている制御プログラムを実行することによって表面実装機11の各部を制御する。
モータ制御部53は演算処理部52の制御の下でX軸サーボモータ58、Y軸サーボモータ59などの各モータの回転を制御する。
記憶部54には演算処理部52によって実行される各種のプログラムやデータが記憶されている。各種のデータにはサーバ10から受信した部品認識データが含まれる。
【0041】
画像処理部55は部品撮像カメラ30や基板撮像カメラ31から出力される画像信号が取り込まれるように構成されている。
外部入出力部56はいわゆるインターフェースであり、表面実装機11の本体に設けられている各種センサ類63から出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部56は演算処理部52から出力される制御信号に基づいて各種アクチュエータ類64(空気供給装置など)に対する動作制御を行うように構成されている。
【0042】
フィーダ通信部57はテープフィーダ23に接続されており、テープフィーダ23を統括して制御する。
操作部51は液晶ディスプレイなどの表示装置や、タッチパネル、キーボード、マウスなどの入力装置を備えている。オペレータは操作部51を操作して各種の設定や後述する部品認識データの複製データの編集などを行うことができる。
【0043】
(2)部品認識データ
部品認識データは表面実装機11で部品形状の良否判定に用いられるデータである。部品認識データは部品Eの種類毎に用意されている。部品認識データには部品形状を表す部品形状データと、部品撮像カメラ30によって部品Eを撮像するときの撮像条件を表す撮像条件データとが含まれる。
【0044】
部品形状データの内容は部品Eの種類によって異なる。例えば、
図6Aに示すように、抵抗などのチップ部品70は一般に下から見ると長方形であり、長手方向の両側に電極が形成されている。このため、チップ部品70の部品形状データにはチップ部品70を下から見たときの縦幅A、横幅B、各電極の横幅Cなどが含まれる。例えば、
図6Bに示すように、QFP(Quad Flat Package)部品71の場合は、部品本体の四辺から複数のリードが延びている。このため、QFP部品71の部品形状データにはQFP部品71を下から見たときの部品本体の縦幅A、横幅B、各辺のリードの数、リードの長さC、リードの幅D、隣り合うリードの間隔Eなどが含まれる。この他、部品形状データには寸法の交差なども含まれる。
【0045】
撮像条件データには部品Eを撮像するときの光源の明るさが含まれる。撮像条件データには露光時間が含まれてもよい。撮像条件データの内容は部品撮像カメラ30に設定可能な撮像条件に応じて適宜に決定できる。
前述したように部品認識データのマスターデータはサーバ10の記憶部13に記憶されている。各表面実装機11はサーバ10からマスターデータを受信し、受信したマスターデータを部品認識データとして記憶部54に記憶する。
【0046】
(3)部品実装処理
図7を参照して、表面実装機11の制御部50によって実行される部品実装処理について説明する。
S101では、制御部50はテープフィーダ23によって供給される部品Eを実装ヘッド28によって吸着する。以降の説明では実装ヘッド28に吸着されている部品Eのことを対象部品Eという。
【0047】
S102では、制御部50は対象部品Eを部品撮像カメラ30によって撮像する。
S103では、制御部50は部品撮像カメラ30によって撮像した画像上で対象部品Eの種類の部品認識データを用いて部品形状の良否を判定する(判定処理の一例)。
S104では、制御部50は対象部品Eの種類を表す種類情報、S102で撮像した画像、及び、S103での判定結果(判定処理の判定結果の一例)をサーバ10に送信する。サーバ10は受信した種類情報、画像及び判定結果を対応付けて記憶部13に記憶する(記憶処理の一例)。以降の説明ではサーバ10の記憶部13に記憶されている画像のことを過去画像という。
【0048】
S105では、制御部50は、S103で良判定した場合はS106に進み、不良判定した場合はS107に進む。
S106では、制御部50は対象部品Eを基板Pに実装する。
S107では、制御部50は対象部品Eを廃棄する。
【0049】
S108では、制御部50は対象部品Eの種類の部品認識データを更新するか否かを判断する。具体的には、制御部50は以下の更新条件が成立しているか否かを判断する。以下の更新条件は、不良判定がロットの切り替わりに起因するものであるか否かを判断するための条件である。
更新条件:交換されたリールによって供給される部品Eを実装した回数が所定回数(例えば20回)に達するまでに不良判定が所定回数(例えば5回)以上発生した。
【0050】
リールが交換された場合、交換前のリールと交換後のリールとで部品Eのロットが切り替わっていることがある。不良判定がロットの切り替わりに起因するものである場合は、リールが交換された後に不良判定の頻度が高くなる。このため、上述した更新条件が成立しているか否かを判断することにより、不良判定がロットの切り替わりに起因するものであるか否かを判断できる。更新条件は不良判定がロットの切り替わりに起因するものであるか否かを判断できる条件であれば上述した条件に限定されない。
【0051】
不良判定がロットの切り替わりに起因するものである場合は、それまでと同じ部品認識データを用い続けるとその後も不良判定される頻度が高くなる。このため、制御部50は、不良判定がロットの切り替わりに起因するものである場合は、不良判定される頻度を低減するために、部品認識データを更新すると判断する。
制御部50は、更新条件が成立している場合(すなわち不良判定がロットの切り替わりに起因するものである場合)は部品認識データを更新すると判断してS109に進み、成立していない場合はS101に戻って処理を繰り返す。
S109では、制御部50は部品認識データの更新処理を実行する。制御部50は、部品認識データの更新処理を実行した後、S101に戻って処理を繰り返す。
【0052】
(4)部品認識データの更新処理
S109で実行される部品認識データの更新処理について説明する。部品認識データの更新処理では、オペレータによって部品認識データの複製データが編集される。オペレータは複製データの編集を表面実装機11で行うかサーバ10で行うかを選択できる。理解を容易にするため、ここでは表面実装機11で編集される場合とサーバ10で編集される場合とに分けて説明する。
【0053】
(4-1)表面実装機で編集される場合
表面実装機11で編集される場合の部品認識データの更新処理は、表面実装機11で実行される第1の処理、サーバ10で実行される処理、及び、表面実装機11で実行される第2の処理からなる。以下、各処理について説明する。
【0054】
(4-1-1)表面実装機で実行される第1の処理
図8を参照して、表面実装機11で実行される第1の処理について説明する。
S201では、表面実装機11の制御部50(以下、単に表面実装機11という)は部品認識データの複製データを作成する。そして、表面実装機11はS102で撮像した対象部品Eの画像を操作部51に表示し、オペレータから複製データの編集を受け付ける。オペレータは表示された画像を見ながら判定結果が良判定となるように複製データを編集する(編集処理の一例)。
S202では、表面実装機11は編集した複製データをサーバ10に送信する。
【0055】
(4-1-2)サーバで実行される処理
図9を参照して、サーバ10で実行される処理について説明する。本処理はサーバ10が表面実装機11から上述した複製データを受信すると開始される。サーバ10が表面実装機11から複製データを受信する処理は編集受信処理の一例である。
S301では、サーバ10の制御部12(以下、単にサーバ10という)はS104で受信した種類情報によって示される種類(すなわち対象部品Eの種類)の部品Eの過去画像を記憶部13から抽出する。抽出する過去画像は当該種類の全ての過去画像であってもよいし、直近の所定数の過去画像であってもよい(第1の試験処理の一例)。
【0056】
S302では、サーバ10はS301で抽出した過去画像上で、S202で受信した複製データを用いて部品形状の良否を判定する(第1の試験処理の一例)。
S303では、サーバ10は種類情報によって示される種類の部品EについてのS103での判定結果(すなわちS104で記憶部13に記憶された判定結果)とS302での判定結果とを比較することにより、編集後の複製データを試験する(第1の試験処理の一例)。具体的には、サーバ10はそれらを比較することによって以下の合格条件が満たされているか否かを判断する。
合格条件:直行率が閾値以上
直行率は以下の式1によって表される。直行率は判定結果の一致率と言い換えることもできる。
直行率=S103での判定結果とS302での判定結果とが一致した部品Eの数/(一致した部品Eの数+一致しなかった部品Eの数) ・・・ 式1
【0057】
例えば、種類情報によって示される種類について5つの部品Eの過去画像が記憶されおり、それら5つの部品EについてS103及びS302でそれぞれ以下のように判定されたとする。
S103での判定結果:良、不良、良、不良、良
S302での判定結果:良、不良、良、良、不良
この場合、最初の3つの部品EはS103での判定結果とS302での判定結果とが一致しているが、後の2つの部品Eは判定結果が一致していない。このため直行率は3/5となる。この場合、例えば閾値が4/5であったとすると、合格条件は満たされていないと判断される。
【0058】
これに対し、例えばそれら5つの部品EについてS103及びS302でそれぞれ以下のように判定されたとする。
S103での判定結果:良、不良、良、不良、良
S302での判定結果:良、不良、良、良、良
この場合、最初の3つの部品E及び最後の部品EはS103での判定結果とS302での判定結果とが一致しているが、4つ目の部品Eは判定結果が一致していない。このため直行率は4/5となる。この場合、閾値が4/5であったとすると、合格条件が満たされていると判断される。
サーバ10は、合格条件が満たされている場合はS305に進み、満たされていない場合は処理を終了する。
S305では、サーバ10は、表面実装機11に記憶されている部品認識データを、表面実装機11で編集された複製データで更新するよう表面実装機11に指示する。
【0059】
(4-1-3)表面実装機で実行される第2の処理
図10を参照して、表面実装機11で実行される第2の処理について説明する。本処理は表面実装機11がサーバ10から部品認識データの更新を指示されると開始される。
S401では、表面実装機11は記憶部54に記憶されている部品認識データを編集後の複製データで更新する(更新処理の一例)。
【0060】
(4-2)サーバで編集される場合
サーバ10で編集される場合の部品認識データの更新処理も、表面実装機11で実行される第1の処理、サーバ10で実行される処理、及び、表面実装機11で実行される第2の処理からなる。以下、各処理について説明する。以降の説明では表面実装機11で編集される場合と同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
(4-2-1)表面実装機で実行される第1の処理
図11を参照して、表面実装機11で実行される第1の処理について説明する。
S501では、表面実装機11は部品認識データの複製データの編集をサーバ10に指示する。
【0062】
(4-2-1)サーバで実行される処理
図12を参照して、サーバ10で実行される処理について説明する。
S601では、サーバ10はマスターデータの複製データを作成する。そして、サーバ10はS104で受信した対象部品Eの画像を表示部15に表示し、オペレータから複製データの編集を受け付ける(編集処理及び編集受信処理の一例)。
【0063】
S602では、サーバ10は合格条件が満たされている場合はS603に進み、満たされていない場合はS604に進む。
S603では、サーバ10はS601で編集した複製データを表面実装機11に送信する。
S604では、サーバ10は部品認識データの更新をキャンセルするか否かの選択をオペレータから受け付ける。サーバ10は、キャンセルが選択された場合は処理を終了し、キャンセルしないが選択された場合はS601に戻って複製データの編集を受け付ける。
【0064】
(4-2-3)表面実装機で実行される第2の処理
図13を参照して、表面実装機11で実行される第2の処理について説明する。本処理は表面実装機11がサーバ10から複製データを受信すると開始される。
S701では、表面実装機11は記憶部54に記憶されている部品認識データをサーバ10から受信した複製データで更新する。
【0065】
(5)不良判定の頻度が低下しない場合
表面実装機11は、部品認識データを更新した後の所定のタイミング(例えば部品認識データを更新してから所定数の部品Eを実装したタイミング)で、部品認識データを更新した後に実装した部品の不良判定の頻度が閾値以上であるか否かを判断する。閾値は適宜に決定できる。例えば、閾値は部品認識データを更新する前の不良判定の頻度であってもよい。
【0066】
表面実装機11は、不良判定の頻度が閾値以上である場合は、オペレータから以下の選択を受け付ける(選択受付処理の一例)。
(a)部品認識データの複製データを再編集する。
(b)更新前の部品認識データと更新後の部品認識データとのうちいずれかを選択する。
(c)特定期間のみ更新後の部品認識データを用いる。
【0067】
上述した(a)が選択された場合は、表面実装機11はS201(あるいはS601)以降の処理を再実行する。(b)が選択された場合は、表面実装機11は更新前の部品認識データと更新後の部品認識データとのうちいずれの部品認識データを用いるかの選択をオペレータから受け付ける。表面実装機11は、更新前の部品認識データが選択された場合は、現在の部品認識データ(すなわち更新後の部品認識データ)を更新前の部品認識データに戻す。(c)が選択された場合は、表面実装機11は特定期間のみ更新後の部品認識データを用い、特定期間が経過すると更新前の部品認識データに戻す。特定期間は任意に設定できる。例えば、特定期間は次回リールが交換されるまでであってもよい。
【0068】
(6)実施形態の効果
実装システム1によると、不良判定された部品Eの画像に基づいて編集された複製データを、不良判定された部品Eと同じ種類の他の部品Eの画像を用いて試験する。他の部品Eには不良判定された部品Eとは異なるロットの部品Eも含まれる。このため、実装システム1では異なるロットの部品Eの画像も用いて複製データが試験される。この試験に合格した複製データは、ロットが切り替わっても良否を正しく判定できることがある程度保証される。よって実装システム1によると、部品認識データを更新する場合に、ロットが切り替わっても部品形状の良否が正しく判定されるように部品認識データの妥当性を確保できる。
【0069】
実装システム1によると、不良判定が部品Eのロットの切り替わりに起因するものである場合に複製データを編集するので、部品Eのロットの違いが部品形状の良否判定に影響することをより確実に抑制できる。
【0070】
実装システム1によると、直行率が閾値以上である場合に試験に合格したと判断するので、更新された部品認識データの妥当性を確保できる。
【0071】
実装システム1によると、オペレータは上述した(a)を選択することにより、部品認識データの複製データを再編集できる。オペレータは(b)を選択することにより、更新前の部品認識データと更新後の部品認識データとのうちいずれの部品認識データを用いるかを選択できる。オペレータは(c)を選択することにより、特定期間のみ更新後の部品認識データを用いることができる。
【0072】
<実施形態2>
図14を参照して、実施形態2に係る実装システム201について説明する。実施形態2に係る実装システム201も実装ラインL及びサーバ10を備えている。実施形態2に係る実装ラインLは複数の表面実装機11を備えている。
【0073】
前述した
図4に示すように、ヘッドユニット24には複数の実装ヘッド28が設けられている。各実装ヘッド28は同一機能を有する構成要素であり、部品E毎にいずれかの実装ヘッド28によって吸着される。
図3に示すように、部品撮像カメラ30は前側及び後側の2か所に設けられている。各部品撮像カメラ30は同一機能を有する構成要素であり、部品E毎にいずれかの部品撮像カメラ30によって撮像される。
図3に示すように、部品供給装置22には複数のテープフィーダ23が取り付けられている。各テープフィーダ23は同一機能を有する構成要素であり、部品E毎にいずれかのテープフィーダ23によって供給される。
【0074】
便宜上、以降の説明では、サーバ10からマスターデータを受信して表面実装機11の記憶部54に記憶されている部品認識データのことを共通の部品認識データという。共通の部品認識データは全ての構成要素で共通に用いられる部品認識データである。実施形態2に係るサーバ10は、共通の部品認識データを編集後の複製データで更新するか、又は、編集後の複製データを、不良判定された部品Eの実装に用いられた構成要素用の部品認識データとして設定するかを、不良判定の発生状況に基づいて判断する。
【0075】
具体的には、サーバ10は、基本的には共通の部品認識データを更新すると判断するが、不良判定が特定の構成要素に集中している場合は、その特定の構成要素用の部品認識データとして設定すると判断する。編集後の複製データを特定の構成要素用の部品認識データとして設定した場合は、その後にその特定の構成要素を用いて実装される部品Eはその特定の構成要素用の部品認識データを用いて部品形状の良否が判定される。他の構成要素を用いて実装される部品Eについては共通の部品認識データを用いて部品形状の良否が判定される。
【0076】
(1)部品実装処理
前述した
図7を参照して、実施形態2に係る部品実装処理について説明する。実施形態2に係る部品実装処理では、表面実装機11はS104において、種類情報、画像及び判定結果に加えて、対象部品Eを実装した表面実装機11を一意に識別するための実装機識別情報、対象部品Eを撮像した部品撮像カメラ30を一意に識別するためのカメラ識別情報、対象部品Eを吸着した実装ヘッド28を一意に識別するためのヘッド識別情報(すなわちヘッド番号)、及び、対象部品Eを供給したテープフィーダ23を一意に識別するためのフィーダ識別情報もサーバ10に送信する。サーバ10は受信した種類情報、画像、判定結果、及び、上述した各識別情報を対応付けて記憶部13に記憶する。
【0077】
(2)部品認識データの更新処理
実施形態2に係る部品認識データの更新処理について説明する。ここでは表面実装機11で複製データを編集する場合を例に説明する。
【0078】
(2-1)サーバで実行される処理
図15を参照して、実施形態2に係るサーバ10で実行される処理について説明する。以降の説明では実施形態1と実質的に同一のステップには同一の符号を付して説明を省略する。
S801では、サーバ10は共通の部品認識データを更新するか、特定の構成要素用の部品認識データを設定するかを判断する(判断処理の一例)。具体的には、サーバ10は実施形態1で説明した更新条件「交換されたリールによって供給される部品Eを実装した回数が所定回数(例えば20回)に達するまでに不良判定が所定回数(例えば5回)以上発生した」が成立した場合は部品認識データを更新すると判断する。この場合に、サーバ10は、不良判定された5回のうち4回が、S104で受信した実装機識別情報によって示される表面実装機11の特定の構成要素に集中していた場合は、不良判定が特定の構成要素に集中していると判断する。
【0079】
例えば、5回のうち4回が上述した表面実装機11のヘッド番号2番の実装ヘッド28で発生していた場合は、サーバ10は不良判定がヘッド番号2番の実装ヘッド28に集中していると判断する。不良判定が特定の構成要素に集中しているか否かの判断基準は上述した例に限定されず、適宜に決定できる。
サーバ10は、不良判定が特定の構成要素に集中していない場合は共通の部品認識データを更新すると判断してS802に進み、集中している場合は特定の構成要素用の部品認識データを設定すると判断してS803に進む。
【0080】
S802では、サーバ10は種類情報によって示される種類の部品Eの過去画像のうち上述した表面実装機11によって実装された部品Eの過去画像を抽出する(第1の試験処理の一例)。
S803では、サーバ10は種類情報によって示される種類の部品Eの過去画像のうち上述した表面実装機11の特定の構成要素を用いて実装された部品Eの過去画像だけを抽出する(第2の試験処理の一例)。例えば不良判定が上述した表面実装機11のヘッド番号2番の実装ヘッド28に集中していた場合は、サーバ10は種類情報によって示される種類の部品Eの過去画像のうち上述した表面実装機11のヘッド番号2番の実装ヘッド28を用いて吸着された部品Eの過去画像だけを抽出する。
【0081】
S804では、サーバ10は、共通の部品認識データを更新する場合は、S802で抽出した過去画像上で、S202で受信した複製データを用いて部品形状の良否を判定する(第1の試験処理の一例)。特定の構成要素用の部品認識データを設定する場合は、サーバ10はS803で抽出した過去画像上で、S202で受信した複製データを用いて部品形状の良否を判定する(第2の試験処理の一例)。
【0082】
S805では、サーバ10はS103での判定結果とS804での判定結果とを比較することにより、編集後の複製データを試験する(第1の試験処理及び第2の試験処理の一例)。
S806では、サーバ10は、共通の部品認識データを更新する場合は、上述した表面実装機11に共通の部品認識データの更新を指示する。特定の構成要素用の部品認識データを設定する場合は、サーバ10は上述した表面実装機11にその構成要素の識別情報を通知し、その識別情報によって示される構成要素用の部品認識データを設定するよう指示する。
【0083】
(2-2)表面実装機で実行される第2の処理
前述した
図10を参照して、実施形態2に係る表面実装機11で実行される第2の処理について説明する。実施形態2に係る表面実装機11で実行される第2の処理では、表面実装機11はS401において、サーバ10から共通の部品認識データの更新が指示された場合は、表面実装機11に記憶されている共通の部品認識データを表面実装機11で編集された複製データで更新する(更新処理の一例)。一方、サーバ10から特定の構成要素用の部品認識データを設定するよう指示された場合は、表面実装機11は編集後の複製データを、サーバ10から指定された構成要素用の部品認識データとして設定する(設定処理の一例)。
【0084】
ここでは表面実装機11で複製データを編集する場合を例に説明したが、サーバ10で編集する場合も同様である。
【0085】
(3)不良判定の頻度が低下しない場合
実施形態1と同様に、実施形態2に係る表面実装機11は、部品認識データを更新あるいは設定した後の所定のタイミングで、部品認識データを更新あるいは設定した後に実装した部品の不良判定の頻度が閾値以上であるか否かを判断し、不良判定の頻度が閾値以上である場合はオペレータから以下の選択を受け付ける(選択受付処理の一例)。共通の部品認識データを更新した場合の選択肢は実施形態1と同様であるので、ここでは構成要素用の部品認識データを設定した場合の選択肢について説明する。
(a)共通の部品認識データの複製データを再編集する。
(b)共通の部品認識データと構成要素用の部品認識データとのうちいずれの部品認識データを用いるかを選択する。
(c)特定期間のみ構成要素用の部品認識データを用いる。
【0086】
各選択肢が選択された場合の表面実装機11の動作は実施形態1と実質的に同一であるので説明は省略する。
【0087】
(4)実施形態の効果
実装システム201によると、特定の構成要素に不良判定が集中する場合はその特定の構成要素用の部品認識データを設定するので、部品認識データの更新が影響する範囲を極力狭くできる。一方、特定の構成要素に不良判定が集中していない場合は共通の部品認識データを更新するので、いずれの構成要素を用いる場合であってもロットの影響を低減できる。
【0088】
実装システム201によると、部品認識データの更新が影響する範囲を1つの実装ヘッド28、1つの部品撮像カメラ30、あるいは1つのテープフィーダ23に限定できる。
【0089】
実装システム201によると、直行率が閾値以上である場合に試験に合格したと判断するので、設定された部品認識データの妥当性を確保できる。
【0090】
実装システム201によると、オペレータは前述した(a)を選択することにより、部品認識データの複製データを再編集できる。オペレータは(b)を選択することにより、共通の部品認識データと構成要素用の部品認識データとのうちいずれの部品認識データを用いるかを選択できる。オペレータは(c)を選択することにより、特定期間のみ構成要素用の部品認識データを用いることができる。
【0091】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0092】
(1)上記実施形態では合格条件として「直行率が閾値以上」を例に説明したが、合格条件はこれに限られない。例えば、合格条件は「S103での判定結果とS302での判定結果とが完全に一致する」であってもよいし、「S302で良判定された部品の数の方がS103で良判定された部品の数より多い」であってもよい。
【0093】
(2)上記実施形態2では、S801において、共通の部品認識データを更新するか特定の構成要素用の部品認識データを設定するかを判断する場合を例に説明した。これに対し、例えば構成要素毎の不良判定の発生状況を表示し、共通の部品認識データを更新するか特定の構成要素用の部品認識データを設定するかをオペレータがその都度選択してもよい。あるいは、共通の部品認識データは更新せず、常に特定の構成要素用の部品認識データを設定する構成であってもよい。
【0094】
(3)上記実施形態では同一機能を有する複数の構成要素として複数の実装ヘッド28、複数の部品撮像カメラ30、及び、複数のテープフィーダ23を例に説明したが、同一機能を有する複数の構成要素はこれらに限定されず、他の構成要素であってもよい。
【0095】
(4)上記実施形態では前述した更新条件が成立した場合に複製データの編集を受け付ける場合を例に説明した。言い換えると、不良判定がロットの切り替わりに起因するものである場合に複製データの編集を受け付ける場合を例に説明した。しかしながら、複製データを編集する条件はこれに限られず、適宜に決定できる。例えば、ロットが切り替わったか否かに寄らず、直近の所定回数の実装において不良判定が一定回数以上発生したら複製データを編集すると判断してもよい。あるいは、オペレータが任意のタイミングで複製データを編集できる構成であってもよい。
【0096】
(5)上記実施形態では表面実装機11が部品形状の良否を判定する場合を例に説明したが、部品形状の良否は表面実装機11以外の装置が判定してもよい。例えば、表面実装機11の下流側に配されている実装後外観検査機においても部品形状の良否が判定される。その判定結果が表面実装機11に通知されてもよい。
【0097】
(6)上記実施形態では部品を撮像する撮像部として部品撮像カメラ30を例に説明したが、撮像部は実装ヘッド28に吸着されている部品Eを水平方向から撮像する撮像カメラであってもよい。あるいは、撮像部は基板撮像カメラ31であってもよい。
【0098】
(7)上記実施形態2では、S802及びS803において、サーバ10は種類情報によって示される種類の部品Eの過去画像のうち実装機識別情報によって示される表面実装機11によって実装された部品Eの過去画像を抽出する場合を例に説明した。これに対し、サーバ10は種類情報によって示される種類の部品Eの過去画像であればいずれの表面実装機11によって実装されたかによらず全ての過去画像を抽出してもよい。
【0099】
(8)上記実施形態ではサーバ10に記憶されているマスターデータの更新は行わない。これに対し、例えば表面実装機11に記憶されている共通の部品認識データを更新した後、更新前に比べて良否が正しく判定されることが明らかになった場合は、その共通の部品認識データでマスターデータを更新してもよい。
【0100】
(9)上記実施形態では不良判定された部品Eの画像を見ながらオペレータが複製データを編集する場合を例に説明した。これに対し、不良判定された部品Eの画像に基づいて、表面実装機11あるいはサーバ10が、判定結果が良判定となるように複製データを自動で編集してもよい。
【0101】
(10)上記実施形態ではサーバ10に過去画像が記憶されており、複製データの試験をサーバ10で行う場合を例に説明した。これに対し、表面実装機11がサーバ10の機能を備えていてもよい。すなわち、表面実装機11に過去画像を記憶し、表面実装機11が複製データの試験を行ってもよい。
【符号の説明】
【0102】
1: 実装システム
10: サーバ(試験装置の一例)
11: 表面実装機
12: 制御部
13: 記憶部
23: テープフィーダ(構成要素及びフィーダの一例)
28: 実装ヘッド(構成要素の一例)
30: 部品撮像カメラ(構成要素及び撮像部の一例)
50: 制御部
54: 記憶部
201: 実装システム
P: 基板
E: 部品