IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ IHI運搬機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図1
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図2
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図3
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図4
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図5
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図6
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図7
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図8
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図9
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図10
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図11
  • 特開-ミックス型水平循環式駐車装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117099
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ミックス型水平循環式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/26 20060101AFI20230816BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20230816BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
E04H6/26
E04H6/42 H
E04H6/18 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019612
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】山田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】緑川 亨平
(72)【発明者】
【氏名】小林 陽介
(72)【発明者】
【氏名】妻木 翔太
(57)【要約】
【課題】同一の乗降室を用いて大きさの異なるパレットに載る大きさの異なる車両を格納することができ、同一の乗降室において、大きさの異なるパレットの中心位置と車両支持高さを同一にでき、かつ床面の間隙を実質的に無くすことができるミックス型水平循環式駐車装置を提供する。
【解決手段】複数の駐車空間20、乗降室22、及びリフト装置24を備える。駐車空間20は、例えば小型車駐車空間20Aと大型車駐車空間20Bであり、小パレット2Aと大パレット2Bのそれぞれに対し躯体床で上下方向に仕切られている。乗降室22は、駐車空間20の上方に設けられ、床面22aに大パレット2Bより大きい床面開口23を有する。リフト装置24は、駐車空間と乗降室との間でパレット2を昇降させる。さらに、乗降室22における床面開口23の内縁とパレット2の外縁との隙間を最小化する可動床30を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅及び長さが相対的に短い小パレットと相対的に長い大パレットとを有するパレットをその幅方向と長さ方向に水平移動するミックス型水平循環式駐車装置であって、
前記小パレットと前記大パレットのそれぞれに対し躯体床で上下方向に仕切られた複数の駐車空間と、
床面に内縁が前記大パレットより大きい床面開口を有し、該床面開口の内側に前記パレットの中心位置と車両支持面が同一に位置決めされ、その上に車両が入出庫する乗降室と、
複数の前記駐車空間と前記乗降室との間で前記パレットを昇降させるリフト装置と、を備え、
さらに、前記乗降室における前記床面開口の前記内縁と前記パレットの外縁との隙間を最小化する可動床を有する、ミックス型水平循環式駐車装置。
【請求項2】
前記可動床は、前記乗降室に設置された1対の長さ方向可動床と1対の幅方向可動床とを有し、
前記長さ方向可動床は、前記パレットの長さ方向の外側に位置し、前記長さ方向に水平移動し、
前記幅方向可動床は、前記パレットの幅方向の外側に位置し、前記幅方向に水平移動する、請求項1に記載のミックス型水平循環式駐車装置。
【請求項3】
前記長さ方向可動床は、上面が前記車両支持面と一致し前記床面の上に隙間を隔てて水平に位置する長さ方向上面板と、該長さ方向上面板の下面に固定され前記床面より下方に位置する長さ方向支持板とを有し、
前記幅方向可動床は、下面が前記長さ方向可動床の上面から隙間を隔てて水平に位置する幅方向上面板と、該幅方向上面板の下面に固定された幅方向支持板とを有する、請求項2に記載のミックス型水平循環式駐車装置。
【請求項4】
前記長さ方向可動床は、上面が前記車両支持面と一致し前記床面の上に隙間を隔てて水平に位置する長さ方向上面板と、該長さ方向上面板の下面に固定され前記床面より下方に位置する長さ方向支持板とを有し、
前記幅方向可動床は、上面が前記車両支持面と一致し前記床面の上に隙間を隔てて水平に位置する幅方向上面板と、該幅方向上面板の下面に固定され前記床面より下方に位置する幅方向支持板とを有し、
前記長さ方向上面板と前記幅方向上面板は、同一高さにおいて平面視で両者が重なる角部に互いに干渉しないテーパ部を有する、請求項2に記載のミックス型水平循環式駐車装置。
【請求項5】
前記可動床はさらに、前記床面より下方に固定され、前記長さ方向可動床及び前記幅方向可動床を水平移動可能に支持するガイド装置を備える、請求項3又は4に記載のミックス型水平循環式駐車装置。
【請求項6】
前記可動床はさらに、前記床面より下方に固定され、前記長さ方向可動床及び前記幅方向可動床を水平移動する水平駆動装置を備える、請求項3又は4に記載のミックス型水平循環式駐車装置。
【請求項7】
前記可動床は、内縁が前記小パレットより大きく外縁が前記床面開口より小さい枠型の間隙支持床と、
前記リフト装置に設置され、前記間隙支持床の上面が前記パレットより下方の下降位置と、前記上面が前記車両支持面と一致する上昇位置との間で前記間隙支持床を昇降させる支持床昇降装置と、を有し、
前記支持床昇降装置は、前記大パレットの搭載時に前記間隙支持床を前記下降位置に保持し、前記小パレットの搭載時に前記間隙支持床を前記乗降室において前記上昇位置に上昇させる、請求項1に記載のミックス型水平循環式駐車装置。
【請求項8】
前記パレットは、幅及び長さが前記小パレットと前記大パレットの中間の中パレットを有する、請求項1に記載のミックス型水平循環式駐車装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一の乗降室を用いて大きさの異なるパレットに載る大きさの異なる車両を入出庫して駐車空間に格納する水平循環式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明において「水平循環式駐車装置」は、パレットを支持して移動する複数の駆動セルを、パレットが水平面内で碁盤の目のように隣接するように配置し、各位置においてパレットを長さ方向又は幅方向に移動して循環させ車両の入出庫を行う装置である。
かかる装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
従来、水平循環式駐車装置では、同じ大きさのパレットしか格納できなかった。そのため、大きい車両(大型乗用車)では収容する寸法効率が良くても、小さい車両(小型乗用車)ばかりの時には寸法効率が悪化する。そのため、大型乗用車を載せる大型パレットと、小型乗用車を載せる小型パレットを同一の乗降室から入出庫することが要望されていた。
【0004】
上述した水平循環式駐車装置と相違する駐車装置では、この要望を満たすものが提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-184800号公報
【特許文献2】特公平7-58006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の「異型車混載型立体駐車装置」は、上述した水平循環式駐車装置と相違し、トレー(パレット)を幅方向にのみ移動する複数の横送り装置を幅方向に隣接して配置し、各位置においてトレーを幅方向にのみ移動する。さらに、幅方向端部において別の縦送り装置でトレーを長さ方向にのみ移動している。
【0007】
またこの装置では、入出庫室に位置する中型車トレーの長さ方向端部と出入口との間隙に(底の浅い)渡り床を設けて中型車が通過可能にし、かつ大型車トレーの長さ方向端部に渡り床の上面を覆うオーバハング板を設けて大型車が通過可能にしている。
さらに、この装置では、入出庫室において中型車トレーと大型車トレーの幅方向一端を同じ位置に位置決めし、他端側に生じる間隙を幅方向に移動可能な稼動床で塞いでいる。
【0008】
しかし、特許文献2の手段を上述した水平循環式駐車装置に適用しようとすると、以下の問題があった。
【0009】
(1)水平循環式駐車装置では、車両を載せたパレットを、その幅方向に移動する「横送り」と、その長さ方向に移動する「縦送り」との両方ができる必要があり、パレットはその下面に、幅方向レール及び長さ方向レールを有する。
この幅方向レール及び長さ方向レールは、パレットを支持し水平駆動する駆動セルにより移動(横送りと縦送りを)するために、それぞれ長さ方向及び幅方向の端部近傍まで設ける必要がある。
そのため、特許文献2のように、大型車トレーの長さ方向端部に渡り床の上面を覆うオーバハング板を設けることができない。
【0010】
(2)上述した特許文献2の手段では、入出庫室に位置する中型車トレーと大型車トレーの幅方向中心位置が異なる。そのため、同一の入出庫室においてトレーの位置が異なるため、車両の入出庫操作(特に入庫操作)が利用者(特に初心者)にとって難しくなる。
【0011】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、同一の乗降室を用いて大きさの異なるパレットに載る大きさの異なる車両を格納することができ、同一の乗降室において、大きさの異なるパレットの中心位置と車両支持高さを同一にでき、かつ床面の間隙を実質的に無くすことができるミックス型水平循環式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、幅及び長さが相対的に短い小パレットと相対的に長い大パレットとを有するパレットをその幅方向と長さ方向に水平移動するミックス型水平循環式駐車装置であって、
前記小パレットと前記大パレットのそれぞれに対し躯体床で上下方向に仕切られた複数の駐車空間と、
床面に内縁が前記大パレットより大きい床面開口を有し、該床面開口の内側に前記パレットの中心位置と車両支持面が同一に位置決めされ、その上に車両が入出庫する乗降室と、
複数の前記駐車空間と前記乗降室との間で前記パレットを昇降させるリフト装置と、を備え、
さらに、前記乗降室における前記床面開口の前記内縁と前記パレットの外縁との隙間を最小化する可動床を有する、ミックス型水平循環式駐車装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小パレットと大パレットのそれぞれに対し躯体床で上下方向に仕切られた複数の駐車空間と、複数の駐車空間と乗降室との間でパレットを昇降させるリフト装置とを備える。これにより、大きさの異なるパレットに載る大きさの異なる車両をそれぞれの駐車空間に格納することができる。
【0014】
また、乗降室が、床面に内縁が大パレットより大きい床面開口を有し、床面開口の内側にパレットの中心位置と車両支持面が同一に位置決めされ、その上に車両が入出庫する。これにより、同一の乗降室において、大きさの異なるパレットの中心位置と車両支持高さを同一でき、かつ同一の乗降室を用いて大きさの異なるパレット上に大きさの異なる車両が入出庫できる。
【0015】
さらに、乗降室における床面開口の内縁とパレットの外縁との隙間を最小化する可動床を有するので、床面の間隙を実質的に無くすことができる
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の水平循環式駐車装置の一例を示す側面図(A)と平面図(B)である。
図2】水平循環式駐車装置の動作説明図である。
図3】パレットの具体例を示す下面図である。
図4】駆動セルの平面図である。
図5】本発明のミックス型水平循環式駐車装置を構成するパレットの平面図である。
図6】本発明のミックス型水平循環式駐車装置の全体側面図である。
図7図6のA-A矢視図とB-B矢視図である。
図8】本発明による可動床の第1実施形態図であり、大パレットが位置決めされた乗降室の平面図である。
図9】本発明による可動床の第1実施形態図であり、小パレットが位置決めされた乗降室の平面図である。
図10図8図9のX-X断面図とY-Y断面図である。
図11】本発明による可動床の第2実施形態図であり、小パレットが位置決めされた乗降室の平面図である。
図12】本発明による可動床の第3実施形態図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、従来の水平循環式駐車装置100の一例を示す側面図(A)と平面図(B)である。
水平循環式駐車装置100は、パレット2を支持して移動する複数の駆動セル4を、パレット2が水平面内で碁盤の目のように隣接するように配置し、各位置においてパレット2を長さ方向又は幅方向に移動して循環させ車両1の入出庫を行う装置である。
車両1は、例えば乗用車である。車両1は、小型車、中型車、大型車、ハイルーフ車、などである。
【0018】
図1(A)(B)において、水平循環式駐車装置100は、地下式であり、地下に上下2段の格納領域を有する。また、地上の入出庫部と地下の上段及び下段との間で鉛直に昇降しその間でパレット2を昇降するリフト3が設けられている。
上下2段の各格納領域には、この例では、リフト3がパレット2を昇降する位置以外の範囲に、それぞれ11台分の車両格納スペースを有する。
【0019】
この図において、各車両格納スペースには、車両1を載せたパレット2をその幅方向と長さ方向に移動する駆動セル4が設けられている。またこの例では、リフト3にも、駆動セル4が設けられている。
【0020】
駆動セル4は、車両1を載せたパレット2を、その幅方向に移動する「横送り」と、その長さ方向に移動する「縦送り」との両方が可能に構成されている。
【0021】
図1において、上下2段の各段には、この例において、それぞれ11台分の車両格納スペースにそれぞれ1台ずつの駆動セル4が設けられている。各駆動セル4は、平面視でパレット2の大きさに相当するフレーム9(図4参照)を有する。
上下2段の各段において、複数のフレーム9は互いに一定の間隔を隔てて配置され、それぞれその四隅で水平に支持されている。また、各段において、少なくとも1つの駆動セル4上にはパレット2が載らず、その他の駆動セル4上にはパレット2が載っている。パレット2が載っていない駆動セル4を以下「空セル」と呼ぶ。
【0022】
上述した水平循環式駐車装置100の構成により、各段において少なくとも1つの駆動セル4が空セルなので、空セルに隣接する駆動セル4上のパレット2を空セル上に水平移動(横送り又は縦送り)することができる。この水平移動により空セルの位置が隣接する位置に移動する。
従ってこれを繰り返すことにより、各段のパレット2を自由に水平移動(横送り又は縦送り)することができる。
【0023】
図2は、上述した水平循環式駐車装置100の動作説明図である。
この図において、5は、リフト位置を示している。なおこの図において、駆動セル4の配列は、図1とは相違する。
【0024】
図2は、符号aで示す車両1(以下、車両aと呼ぶ)を(A)(B)(C)(D)の順で、リフト位置5まで水平移動し、リフト3により地上の入出庫部まで搬送する動作を示している。
この図に示すように、水平循環式駐車装置100におけるパレット2の水平移動は、コンピュータ制御により最短の入出庫ルートを決定し、パズルのように次から次へと車両1を効率よく水平移動させ、入出庫の最短待ち時間を実現するようになっている。
【0025】
図3は、パレット2の具体例を示す下面図である。この図はパレット2の下面を示している。
パレット2は、車両1(例えば乗用車)の全体がその上に載り、車両1の一部がパレット2の平面視で外側に出ない大きさに設定されている。
【0026】
図3において、パレット2はその下面に、1対の幅方向レール6a、1対の長さ方向レール6b、及び複数の切替レール6cを有する。以下、必要な場合を除き、幅方向レール6a、長さ方向レール6b、及び切替レール6cを、単に「支持レール6」と呼ぶ。
【0027】
1対の幅方向レール6aは、パレット2の幅方向に一定の間隔を隔てて水平に延びる。なお以下、「水平」とは、パレット2の使用状態において水平であることを意味する。
1対の長さ方向レール6bは、パレット2の長さ方向に一定の間隔を隔てて水平に延びる。1対の幅方向レール6aの間隔と1対の長さ方向レール6bの間隔は、パレット2を水平に支持できるように設定されている。
【0028】
複数(この例で4つ)の切替レール6cは、幅方向レール6aと長さ方向レール6bの交差部7(この例で4箇所)に設けられ、幅方向と長さ方向との間で旋回可能に構成されている。
なお、切替レール6cの旋回は、鉛直軸まわりの旋回であり、旋回駆動機構は設けられず、外力により自由に旋回できるようになっている。
【0029】
幅方向レール6aと長さ方向レール6bの下面は互いに面一の水平面である。また幅方向レール6aと長さ方向レール6bの幅は同一に設定されている。
幅方向レール6aと長さ方向レール6bは、交差部7において分断されており、それぞれの端面は、切替レール6cの旋回中心から一定の間隔を隔てている。また、幅方向レール6aと長さ方向レール6bの外方端は、パレット2の外縁付近まで延びている。
【0030】
切替レール6cは、幅方向レール6a及び長さ方向レール6bと同一の幅を有する1本のレールである。また切替レール6cの下面は幅方向レール6a及び長さ方向レール6bと同じ高さの水平面である。さらに、切替レール6cの長さは、交差部7において分断された幅方向レール6a及び長さ方向レール6bを切替レール6cを介して連結するように設定されている。
【0031】
上述したパレット2の構成により、切替レール6cを水平に旋回して、切替レール6cを介して、分断された幅方向レール6aを連結することで、幅方向レール6aと切替レール6cによりパレット2の幅方向全体に延びる1対のレールを構成することができる。
【0032】
また同様に、切替レール6cを水平に旋回して、切替レール6cを介して、分断された長さ方向レール6bを連結することで、長さ方向レール6bと切替レール6cによりパレット2の長さ方向全体に延びる1対のレールを構成することができる。
【0033】
図4は、駆動セル4の平面図である。
この図において、駆動セル4は、フレーム9と、フレーム上に設置されたパレット駆動装置10と、を備える。
【0034】
フレーム9は、車両1を載せたパレット2をその幅方向と長さ方向に移動する駆動セル4のフレームである。
図4において、複数のフレーム9は互いに一定の間隔を隔てて配置され、それぞれその四隅で水平に支持されている。この場合、フレーム9の四隅の外側に鉛直に延びる柱(図示せず)が設けられ、その柱の間をパレット2が幅方向と長さ方向に水平移動して通過できるようになっている。
【0035】
パレット駆動装置10は、1対の駆動ユニット12、1対の従動ユニット14、及び旋回機構16と、を有する。
1対の駆動ユニット12と1対の従動ユニット14は、上述したパレット2の4つの切替レール6cの旋回中心位置に設けられ、それぞれ切替レール6cの旋回中心を中心に自由に旋回可能に取り付けられている。また、この例では、切替レール6cの4つの旋回中心のうち対角位置に1対の駆動ユニット12と1対の従動ユニット14がそれぞれ配置されている。
【0036】
旋回機構16は、1対の駆動ユニット12と1対の従動ユニット14を順に連結した複数の連動ロッド17aと、連動ロッド17aを水平に移動させる旋回駆動ユニット17bとを有する。
この構成により、旋回駆動ユニット17bにより連動ロッド17aを介して1対の駆動ユニット12と1対の従動ユニット14を同期して水平旋回させ、駆動ユニット12の駆動方向と従動ユニット14の案内方向を幅方向と長さ方向に切替えることができる。
【0037】
駆動ユニット12は、パレット2を支持し駆動する駆動輪12aと、駆動輪12aと共に水平旋回しパレット2の水平移動を案内する複数の案内ローラ12bと、を有する。
駆動輪12aは、水平軸を中心に回転駆動される。駆動輪12aは円板形状であり、その外周上面にパレット2の支持レール6の下面を支持し、その回転によりパレット2を水平方向に駆動する。
【0038】
上述した構成により、連動ロッド17aにより、駆動ユニット12の駆動方向と従動ユニット14の案内方向を幅方向と長さ方向に連動して切替えることができる。
また、支持レール6が、幅方向又は長さ方向に1対のレールを構成している場合に、1対の駆動ユニット12は1対のレールにそれぞれ位置して、1対のレールを介してパレット2を支持し、かつパレット2を幅方向又は長さ方向に水平駆動することができる。
さらにこの場合、1対の従動ユニット14も1対のレールにそれぞれ位置して、1対のレールを介してパレット2を支持し、かつパレット2を幅方向又は長さ方向に案内することができる。
従って、上述したパレット駆動装置10により、車両1を載せたパレット2を、その幅方向に移動する横送りと、その長さ方向に移動する縦送りとの両方を切替えて実施することができる。
【0039】
なお、上述したパレット2、駆動セル4、及びパレット駆動装置10の構成は、一例であり、本発明はこれらに限定されず、その他の構成であってもよい。
【0040】
図5は、本発明のミックス型水平循環式駐車装置50を構成するパレット2の平面図である。
ミックス型水平循環式駐車装置50は、幅及び長さが相対的に短い小パレット2Aと相対的に長い大パレット2Bとを有する。
【0041】
図5において、内側が幅B1、長さL1の小パレット2Aであり、外側が幅B2、長さL2の大パレット2Bである。この図において、パレット2A,2Bの中心位置Oは同一位置に位置決めされている。
幅B1は例えば1950mm、幅B2は例えば2450mmであり、中心位置Oが同一の場合、幅方向両側にΔB=約250mmの差がある。また、長さL1は例えば5100mm、長さL2は例えば5700mmであり、中心位置Oが同一の場合、長さ方向両側にΔL=約300mmの差がある。
なお、パレット2の大きさはこの例に限定されず、その他の大きさであってもよい。例えば、幅及び長さが小パレット2Aと大パレット2Bの中間の大きさの中パレットを小パレット2A及び大パレット2Bと共に用いてもよい。
【0042】
図6は、本発明のミックス型水平循環式駐車装置50の全体側面図である。
この図において、ミックス型水平循環式駐車装置50は、複数の駐車空間20と、乗降室22と、リフト装置24とを備える。
【0043】
複数の駐車空間20は、この例では小型車駐車空間20Aと大型車駐車空間20Bであり、小パレット2Aと大パレット2Bのそれぞれに対し躯体床で上下方向に仕切られている。
また、この例において、小型車駐車空間20Aと大型車駐車空間20Bにおいて、小パレット2Aと大パレット2Bはそれぞれ上下2段に配置されている。
なお駐車空間20は、この例では2つであるが、3以上であってもよい。
【0044】
乗降室22は、複数の駐車空間20の上方(例えば地上部)に設けられ、床面22aを上下に貫通し、内縁が大パレット2Bより大きい床面開口23を有する。
リフト装置24は、複数の駐車空間20と乗降室22との間でパレット2(小パレット2Aと大パレット2B)を昇降させるようになっている。また、リフト装置24は、パレット2を水平駆動する駆動セル4をその上に備えている。
【0045】
図7は、図6のA-A矢視図とB-B矢視図である。
図7(A)は、小型車駐車空間20Aの平面図である。この図において、リフト装置24に近接して複数の小パレット2Aが水平面内で碁盤の目のように隣接して配置され、その下に位置する複数の駆動セル4により各位置において小パレット2Aを長さ方向又は幅方向に移動して循環させるようになっている。
図7(B)は、大型車駐車空間20Bの平面図である。この図において、同じリフト装置24に近接して複数の大パレット2Bが水平面内で碁盤の目のように隣接して配置され、その下に位置する複数の駆動セル4により各位置において大パレット2Bを長さ方向又は幅方向に移動して循環させるようになっている。
【0046】
また、リフト装置24は、小パレット2Aと大パレット2Bの中心位置Oとそれぞれの車両支持面Hを同一に位置決めしたまま、駐車空間20と乗降室22との間で昇降する。また、リフト装置24は、乗降室22において床面開口23の内側にパレット2(小パレット2Aと大パレット2B)の中心位置Oと車両支持面Hを同一位置と同一高さに位置決めし、その上に車両1が入出庫するようになっている。
【0047】
図8図9は、本発明による可動床30の第1実施形態図である。図8は、大パレット2Bが位置決めされた乗降室22の平面図であり、図9は、小パレット2Aが位置決めされた乗降室22の平面図である。
【0048】
図8図9において、ミックス型水平循環式駐車装置50はさらに、乗降室22における床面開口23の内縁とパレット2の外縁との隙間を最小化する可動床30を有する。
なおこの図において、18は乗降室22の内壁、19は入出庫扉である。
【0049】
図8は、乗降室22の床面開口23に大パレット2Bがリフト装置24により位置決めされた状態を示している。この場合、床面開口23の内縁と大パレット2Bの外縁との水平隙間は最小(例えば2~3mm)に設定されている。
なお、この図で大パレット2Bの内側の破線の矩形は、小パレット2Aの大きさを示している。
【0050】
図8において、可動床30は、乗降室22に設置された1対の長さ方向可動床32と1対の幅方向可動床34とを有する。
長さ方向可動床32は、上面が車両支持面Hと一致し、パレット2(小パレット2Aと大パレット2B)の長さ方向の外側に位置し、長さ方向に水平移動するようになっている。
幅方向可動床34は、パレット2(小パレット2Aと大パレット2B)の幅方向の外側に位置し、幅方向に水平移動するようになっている。
【0051】
図9は、乗降室22の床面開口23に小パレット2Aがリフト装置24により位置決めされた状態を示している。この場合、長さ方向可動床32が長さ方向内側に水平移動し、幅方向可動床34が幅方向内側に水平移動して、床面開口23の内縁と小パレット2Aの外縁との水平隙間を長さ方向可動床32と幅方向可動床34で塞ぐようになっている。
【0052】
図10は、図8図9のX-X断面図とY-Y断面図である。この図において、縦の破線は、床面開口23の外縁位置を示している。また、乗降室22は、床面開口23の外側に床面22aより低いピット底22bを有する。
ピット底22bは、床面開口23の外側に例えば小パレット2Aの幅及び長さの範囲で設けられている。
【0053】
図10(A)(B)は、図8図9のX-X断面図である。
この図において、長さ方向可動床32は、床面22aの上に隙間を隔てて水平に位置する長さ方向上面板32aと、長さ方向上面板32aの下面に固定され床面22aより下方に位置する長さ方向支持板32bとからなる。
【0054】
図10(A)(B)において、可動床30はさらに、床面22aより下方に固定され、長さ方向可動床32及び幅方向可動床34を水平移動可能に支持するガイド装置33aを備える。
ガイド装置33aは、この例では、ピット内のピット底22bに固定されている。
【0055】
長さ方向支持板32bは、例えば小パレット2Aの幅より短い範囲でピット内に位置する。また、ピット内のガイド装置33aで支持された状態で、長さ方向支持板32bは、入出庫時の車両1の重量を長さ方向上面板32aを介して支持できる剛性(厚さ)に設定されている。
【0056】
長さ方向上面板32aは、長さ方向支持板32bの上に固定され、図10(B)においてピットの外側まで張り出した大きさを有する。長さ方向の張出し長さは、中心位置Oが同一の場合の小パレット2Aと大パレット2Bの長さ方向両側の差(上述の例でΔL=約300mm)より大きく設定されている。また、幅方向の張出し長さは、幅端部がピットの外側に位置するように設定されている。
【0057】
長さ方向上面板32aの厚さは、長さ方向の張出し長さ(例えばΔL+α=約320mm)が長さ方向支持板32bで片持ち支持され、かつ先端(+α)が床面22aで支持されている状態で、車両1が支障なく通過できる厚さ(例えば4~6mm)に設定されている。
なお長さ方向上面板32aの床面22aからの隙間は、先端以外は床面22aと干渉しない範囲で最小(例えば、1~2mm)に設定されている。また、先端の下面に、耐摩耗性があり滑動抵抗の小さい部材を取り付けることが好ましい。
【0058】
図10(C)(D)は、図8図9のY-Y断面図である。
この図において、ピット底22bに長さ方向支持板32bを長さ方向に水平駆動する水平駆動装置33bが固定されている。水平駆動装置33bは例えば直動アクチュエータであるが、その他の駆動機構、例えば、リンク、チェーン、歯車、等を用いた駆動装置であってもよい。
【0059】
上述した長さ方向可動床32の構造により、長さ方向上面板32aの上面高さを車両支持面Hと一致させ、かつ床面22aより車両1が容易に通過できる高さ(例えば5~8mm)に維持することができる。
【0060】
幅方向可動床34の構造は、上述した長さ方向可動床32と同一である。
すなわち、幅方向可動床34は、長さ方向上面板32aと同様の幅方向上面板34aと、長さ方向支持板32bと同様の幅方向支持板34bを有する。その他の構成は、長さ方向可動床32と同様である。
【0061】
図8図9の第1実施形態において、幅方向可動床34の幅方向上面板34aは、下面が長さ方向可動床32の上面から隙間を隔てて幅方向に水平移動するようになっている。
この構成により、長さ方向可動床32の長さ方向上面板32aと幅方向可動床34の幅方向上面板34aとの干渉を回避することができる。
また、長さ方向上面板32aと幅方向上面板34aとの隙間を最小(例えば2~3mm)に設定することにより、幅方向上面板34aの上面高さを車両支持面Hと実質的に一致させることができる。
また、幅方向上面板34aの高さを車両の運転者が段差を感じ得る高さ(例えば、10~30mm)に設定し、幅方向上面板34aの内縁位置をパレット2の外縁より内側に設定することで、利用者による入庫時の車両1の位置決めを容易にすることができる。
【0062】
図11は、本発明による可動床30の第2実施形態図である。この図は、図9と同様に、乗降室22の床面開口23に小パレット2Aがリフト装置24により位置決めされた状態を示している。
図11において、長さ方向可動床32の長さ方向上面板32aと幅方向可動床34の幅方向上面板34aは、同一高さに設定され、平面視で両者が重なる角部にそれぞれテーパ部(切り欠き)を設けて互いに干渉しないようになっている。
この構成により、長さ方向上面板32aと幅方向上面板34aの上面を車両支持面Hと一致させ、かつ床面22aより車両1が容易に通過できる高さに維持することができる。
その他の構成は、第2実施形態と同様である。
【0063】
図12は、本発明による可動床30の第3実施形態図である。
この図において、可動床30は、間隙支持床36と支持床昇降装置38を有する。
間隙支持床36は、内縁が小パレット2Aより大きく、外縁が床面開口23より小さく設定された、枠型の平面部材である。なお、間隙支持床36は一体に構成することが好ましいが、分割してもよい。
また、支持床昇降装置38は、リフト装置24に設置され、下降位置Dと上昇位置Uとの間で間隙支持床36を昇降させるようになっている。下降位置Dは、間隙支持床36の上面がパレット2より下方に位置するように設定され、上昇位置Uは、間隙支持床36の上面が車両支持面Hと一致するように設定されている。
支持床昇降装置38は、例えば直動アクチュエータであるが、その他の駆動機構、例えば、リンク、チェーン、歯車、等を用いた駆動装置であってもよい。
【0064】
図12(A)は、乗降室22に大パレット2Bが位置決めされた状態を示している。
支持床昇降装置38は、大パレット2Bの搭載時に間隙支持床36を下降位置Dに常に保持する。
この構成により、間隙支持床36が常に下降位置Dに位置するので、間隙支持床36の影響を受けずに、大型車駐車空間20Bで大パレット2Bの搬入又は搬出をし、乗降室22で大パレット2Bを床面開口23に隙間なく位置決めすることができる。
【0065】
図12(B)は、乗降室22に小パレット2Aが位置決めされた状態、図12(C)は、小パレット2Aを載せたリフト装置24が乗降室22より下方に位置する状態を示している。
支持床昇降装置38は、小パレット2Aの搭載時に間隙支持床36を乗降室22において上昇位置Uに上昇させる。リフト装置24が乗降室22より下方に位置する際は、間隙支持床36を下降位置Dに保持する。
この構成により、リフト装置24が乗降室22より下方に位置する際は、間隙支持床36は下降位置Dに位置するので、間隙支持床36の影響を受けずに、小型車駐車空間20Aで小パレット2Aの搬入又は搬出ができる。また、間隙支持床36を乗降室22において上昇位置Uに上昇させるので、乗降室22において小パレット2Aと床面開口23の間隙に間隙支持床36が位置するので、小パレット2Aと床面開口23の間の隙間をなくすことができる。
【0066】
上述した本発明の実施形態によれば、小パレット2Aと大パレット2Bのそれぞれに対し躯体床で上下方向に仕切られた複数の駐車空間20と、複数の駐車空間20と乗降室22との間でパレット2を昇降させるリフト装置24と、を備える。これにより、大きさの異なるパレット2に載る大きさの異なる車両1をそれぞれの駐車空間20に格納することができる。
【0067】
また、乗降室22が、床面22aに内縁が大パレット2Bより大きい床面開口23を有し、床面開口23の内側にパレット2の中心位置Oと車両支持面Hが同一に位置決めされ、その上に車両1が入出庫する。これにより、同一の乗降室22において、大きさの異なるパレット2の中心位置Oと車両支持面Hの高さを同一でき、かつ同一の乗降室22を用いて大きさの異なるパレット上に大きさの異なる車両1が入出庫できる。
【0068】
さらに、乗降室22における床面開口23の内縁とパレット2の外縁との隙間を最小化する可動床30を有するので、床面22aの間隙を実質的に無くすことができる。
【0069】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0070】
H 車両支持面、1 車両、2 パレット、2A 小パレット、2B 大パレット、
3 リフト、4 駆動セル、5 リフト位置、6 支持レール、6a 幅方向レール、
6b 長さ方向レール、6c 切替レール、7 交差部、9 フレーム、
10 パレット駆動装置、12 駆動ユニット、12a 駆動輪、12b 案内ローラ、
14 従動ユニット、16 旋回機構、17a 連動ロッド、
17b 旋回駆動ユニット、18 内壁、19 入出庫扉、20 駐車空間、
20A 小型車駐車空間、20B 大型車駐車空間、22 乗降室、22a 床面、
22b ピット底、23 床面開口、24 リフト装置、30 可動床、
32 長さ方向可動床、32a 長さ方向上面板、32b 長さ方向支持板、
33a ガイド装置、33b 水平駆動装置、34 幅方向可動床、
34a 幅方向上面板、34b 幅方向支持板、35 テーパ部、36 間隙支持床、
38 支持床昇降装置、50 ミックス型水平循環式駐車装置、
100 水平循環式駐車装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12