(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117127
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ゲル化剤を含有したウナギ仔魚用飼料
(51)【国際特許分類】
A23K 50/80 20160101AFI20230816BHJP
A23K 20/163 20160101ALI20230816BHJP
A23K 20/147 20160101ALI20230816BHJP
【FI】
A23K50/80
A23K20/163
A23K20/147
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019665
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501168814
【氏名又は名称】国立研究開発法人水産研究・教育機構
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】合田 喬
(72)【発明者】
【氏名】奥田 瑛史
(72)【発明者】
【氏名】三内 剛
(72)【発明者】
【氏名】古板 博文
(72)【発明者】
【氏名】野村 和晴
(72)【発明者】
【氏名】石川 卓
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼崎 竜太朗
(72)【発明者】
【氏名】金子 信人
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005GA04
2B005GA05
2B005JA04
2B005MA02
2B005MC01
2B005MC03
2B005MC04
2B150AA08
2B150AB04
2B150AB20
2B150AE01
2B150AE24
2B150AE34
2B150AE40
2B150AE43
2B150DD61
(57)【要約】
【課題】ウナギ目の仔魚を安価に飼育する方法を提供すること、及び飼育水中での拡散が抑制され、ウナギ目の仔魚に好んで摂食される安価な飼料を提供すること。
【解決手段】(A)ゲル化剤及び(B)栄養成分を含有する、ウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料であって、押し込み試験で前記飼料を20℃で歪み1%分押し込んだ時の荷重が0.05~0.68Nであり、動的粘弾性試験で20℃、周波数1Hzでの前記飼料の損失正接(tanδ)が0.14~0.67であるゼリー状飼料。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ゲル化剤及び(B)栄養成分を含有する、ウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料であって、
押し込み試験で前記飼料を20℃で歪み1%分押し込んだ時の荷重が0.05~0.68Nであり、
動的粘弾性試験で20℃、周波数1Hzでの前記飼料の損失正接(tanδ)が0.14~0.67であるゼリー状飼料。
【請求項2】
前記(A)ゲル化剤が、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、フコイダン、ペクチン、大豆多糖類、ウェランガム、カルボキシメチルスターチ、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉及び酢酸澱粉、並びにそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載のゼリー状飼料。
【請求項3】
前記(B)栄養成分がカゼインナトリウムを含む、請求項1又は2に記載のゼリー状飼料。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のゼリー状飼料をウナギ目の仔魚に給餌する工程を含む、ウナギ目の仔魚の飼育方法。
【請求項5】
閉鎖循環式水槽で前記ウナギ目の仔魚を飼育する、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウナギ目の仔魚に摂食させるのに適したウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料、及び当該飼料をウナギ目の仔魚に給餌することによるウナギ目の仔魚の飼育方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なウナギ養殖では、シラスウナギ(ウナギ稚魚)を天然から漁獲し、成魚まで養殖しているが、シラスウナギの漁獲量が年々減少している。そのため、シラスウナギを人工的に生産する技術の確立が求められている。
【0003】
例えば、ウナギは、卵由来の栄養(内部栄養)で成長する全長10mm未満のプレレプトセファルスを経て、ふ化後10日ほどで体長10mm~60mm程度のレプトセファルス(ウナギ仔魚)になる。レプトセファルスは成長し、変態して、シラスウナギ(ウナギ稚魚)になり、更に成長してウナギ(成魚)になる。
【0004】
レプトセファルス(ウナギ仔魚)は、天然ではマリンスノーを食していると推定されているが、養殖飼育においては専ら希少なアブラツノザメを含む餌料が用いられる。しかし、サメ卵はコストが高く、また将来的に調達困難となる可能性があることから、持続可能な養殖漁業には望ましくない。更に、サメ卵は飼育水に懸濁して水質を悪化させ、飼育システムを汚染しやすいとの問題もあった。
【0005】
このような背景から、汎用されている安価な飼料原料をベースに、レプトセファルスに対する嗜好性を改善した様々な飼料が開発されている。
例えば、特許文献1には、粘度が101~103mPa・sであり、ウナギ仔魚の餌を含む飼料液が記載されている。特許文献2には、直接投餌可能で、かつ飼育水を汚染しないレプトセファルス用の飼料として、水溶性栄養成分を含有する水相が油溶性栄養成分を含有する油相内に存在し、マイクロカプセル化された水産養殖用飼料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-154319
【特許文献2】国際公開2016/117690
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に記載された拡散型の飼料は、水槽養殖において飼育水中に分散するため、多くの飼料が仔魚に摂取されず、循環式の水槽中では濾過フィルターに捕捉されてしまい、摂食される効率が低いという問題があった。拡散型の飼料は、飼育水中に分散するため、飼育水の水質を悪化させ、飼育システムを汚染しやすい。そこで、飼育水の水質の悪化によって仔魚が死滅し、悪化した飼育水の交換及び飼育システムの浄化のために過剰な費用が発生するとの問題があった。
他方、既存の非拡散型の飼料は、ウナギ目の仔魚がその独特の形態及び生態ゆえに、好まないとの問題があった。
【0008】
そこで本発明は、養殖で使用実績のある様々な既存の飼料原料を用いてもウナギ目の仔魚に好んで摂食され、かつ水中での拡散が抑制された飼料を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題の解決のために鋭意検討を行った結果、養殖で使用実績のある様々な安価な飼料原料を栄養成分として用いて、ゲル化剤と当該栄養成分とを含有し、特定の押し込み硬度(押し込み試験で評価)及び特定の動的粘弾性(動的粘弾性試験で評価)を有するゼリー状の飼料が、好んでウナギ目の仔魚に摂食され、当該飼料は水中での拡散が抑えられることを見出した。これらの知見に基づいて、本発明が完成された。即ち、本発明は、以下の通りである。
【0010】
[1] (A)ゲル化剤及び(B)栄養成分を含有する、ウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料であって、
押し込み試験で、前記飼料を20℃で歪み1%分押し込んだ時の荷重が0.05~0.68Nであり、
動的粘弾性試験で、20℃、周波数1Hzでの前記飼料の損失正接(tanδ)が0.14~0.67であるゼリー状飼料。
[2] 前記(A)ゲル化剤が、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、フコイダン、ペクチン、大豆多糖類、ウェランガム、カルボキシメチルスターチ、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉及び酢酸澱粉、並びにそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上である酸性糖を構成糖として含む水溶性多糖類を含有する、[1]に記載の飼料。
[3] 前記(B)栄養成分がカゼインナトリウムを含む、[1]又は[2]に記載のゼリー状飼料。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載のゼリー状飼料をウナギ目の仔魚に給餌する工程を含む、ウナギ目の仔魚の飼育方法。
[5] 閉鎖循環式水槽で前記ウナギ目の仔魚を飼育する、[4]に記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の飼料は、飼育水中での拡散が抑制され、安価な飼料を原料としており、ウナギ目の仔魚に好んで摂食される。飼育水中での拡散が抑制されるため、摂食効率が高く、飼育水の水質悪化及び飼育システムの汚染が抑えられる。従って、悪化した飼育水の交換及び飼育システムの浄化のために過剰な費用が発生することが抑えられる。
加えて、安価な飼料を原料としているため、本発明の飼料を用いて、又は本発明の飼育方法によって、ウナギ目の仔魚を安価に飼育することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】飼料の拡散性の基準を示す参考飼料の写真である。それぞれの写真は、参考飼料を水中に静置してから15分後の様子を撮影したものである。
【
図2】試験例2において、ゲル化剤と栄養成分を混合して調製後、1日冷蔵した後の飼料の外観を撮影したものである。
【
図3】試験例3において、飼料の物性値と飼育水での拡散性の関係を示した写真である。溶出試験機を用いて人工海水中で15分間撹拌した後の様子を撮影したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.ウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料
[ウナギ目の仔魚]
「仔魚」は孵化して以後、すべてのヒレが完成するまでの魚を指す。ウナギ目の仔魚はレプトセファルスと呼ばれる。「レプトセファルス」とは、ウナギ目(Anguilliformes)を含むカライワシ団(Cohort Elopomorpha)に属する魚類に特徴的な幼期の形態である「葉形仔魚」を指す。レプトセファルスは、一般的に柳葉形で透明であるという特徴を有する。
【0014】
ウナギ目には、例えば、ウナギ科(Anguillidae)、ハモ科(Muraenesocidae)、アナゴ科(Congridae)、ウツボ科(Muraenidae)、ウミヘビ科(Ophichthidae)が挙げられる。中でも、本発明の対象としてはウナギ科、ハモ科、及びアナゴ科からなる群より選ばれる1種又は2種以上の魚類が好ましく、ウナギ科の魚類がより好ましい。
【0015】
ウナギ科の魚類としては、好ましくはウナギ属(Anguilla)の魚類である。ウナギ属の魚類の具体例としては、特に限定されないが、ニホンウナギ(Anguilla japonica)、ヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla)、アメリカウナギ(Anguilla rostrata)、オオウナギ(Anguilla marmorata)、ニューギニアウナギ(Anguilla bicolor pacifica)が挙げられ、中でもニホンウナギが好ましい。
ハモ科の魚類は、好ましくはハモ(Muraenesox cinereus)である。
アナゴ科の魚類は、好ましくはマアナゴ(Conger myriaster)である。
【0016】
ウナギ目の仔魚の体長は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは8mm以上、より好ましくは9mm以上、更に好ましくは10mm以上である。ウナギ目の仔魚の体長は、特に限定されないが、例えば60mm以下、50mm以下、40mm以下、30mm以下、又は20mm以下であり得る。
【0017】
ウナギ目の仔魚のふ化後の日数(日齢)は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは8日~300日、より好ましくは15~200日、更に好ましくは20日~120日である。
【0018】
[ゼリー状飼料]
本発明のウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料は、(A)ゲル化剤と(B)栄養成分とを含有し、押し込み試験での特定の荷重値及び動的粘弾性試験での特定の損失正接を示すことを特徴とする。
なお、本明細書において、「飼料」及び「餌料」は同じ意味であり、いずれも動物に経口的に摂取されて、水産動物等の成長、繁殖、産卵等を可能にする栄養素を1種以上含み、かつ有害なものをほとんど含まない物質を指す。
【0019】
本発明のウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料は、ゼリー状(ゲル状)であり、固形である。飼育水中で拡散が抑制されるため、摂食効率が高く、飼育水の水質悪化及び飼育システムの汚染が抑えられ、悪化した飼育水の交換及び飼育システムの浄化のために過剰な費用が発生することが抑えられる。
【0020】
((A)ゲル化剤)
(A)ゲル化剤は、ゼリーの状態を構成することができ、押し込み試験における荷重0.05~0.68N、及び動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)0.14~0.67とすることができれば、特に限定されない。そのようなゲル化剤としては、例えば、高温の蒸留水(60℃以上)に混合した際に容易に溶解する多糖類が挙げられる。
【0021】
具体的には、例えば、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、フコイダン、ペクチン、大豆多糖類、ウェランガム、アガロペクチン、カラヤガム、ポルフィラン、ガラクトマンナン(例えば、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム等)、タマリンドシードガム、グルコマンナン、マクロホモプシスガム、プルラン、カードラン、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、ファーセレラン、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、水溶性ヘミセルロース等)、澱粉類(例えば、澱粉、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、α化澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉、酢酸澱粉等)及びデキストリン類(例えば、ポリデキストロース、難消化性デキストリン等)、発酵セルロース、微結晶セルロース(微小繊維状セルロース)、ヘミセルロース、植物由来食物繊維(果実由来食物繊維(シトラスファイバー、アップルファイバー、グレープシードファイバー等)、穀物由来食物繊維(小麦ファイバー、サトウキビファイバー、オート麦ファイバー等)、野菜由来食物繊維(ビートファイバー、エンドウ豆ファイバー等))、キチン、及び水不溶性グルカン並びにそれらの塩からなる群より選ばれる1種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0022】
多糖類は使用する環境に依存して、物性が変化する物があることから、上記以外の多糖類を使用することが排除される訳ではない。
更に、ゼリー状飼料の物性は、上記の(A)ゲル化剤以外の(B)栄養成分(例えば、カゼインナトリウム等)の物性(例、粘度)の影響を受ける場合がある。そこで、飼料を調製する際、飼料の組成に応じて、適宜、ゲル化剤の種類や添加量を調節することが好ましい。
【0023】
本発明の好ましい一実施態様としては、(A)ゲル化剤及び(B)栄養成分(少なくともカゼインナトリウムを含む)を含有し、押し込み試験で、20℃で歪み1%分押し込んだ場合の荷重が、0.05~0.68Nであり、20℃、周波数1Hzでの損失正接(tanδ)が0.14~0.67である、ウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料が挙げられる。
【0024】
本発明の(A)ゲル化剤としては、上記の物性を付与する観点から、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、フコイダン、ペクチン、大豆多糖類、ウェランガム、カルボキシメチルスターチ、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉及び酢酸澱粉、並びにそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0025】
サイリウムシードガムとは、オオバコ属(Plantago)植物の中の、主にブロンドサイリウム(Plantago ovata Forskal)等の種子から得られる水溶性多糖類である。サイリウムシードガムは、種子の外側を包む外皮ハスクの部分から得られる。このサイリウムシードガムの成分中の非セルロース多糖類は、キシランを主鎖として高度に分岐した構造を持ち、側鎖は、アラビノース、キシロース、ガラクツロン酸、ラムノースからなっている。一般的に入手可能な製品として三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のビストップ[登録商標]D-2074などを挙げることができる。
【0026】
カラギーナンは、イバラノリ属(Hypnea属)、キリンサイ属(Eucheuma属)、ギンナンソウ属(Iridaea属)、スギノリ属(Gigartina属)又はツノマタ属(Chondrus属)の藻類の全藻から抽出、精製される天然高分子で、硫酸基を有し、分子量は通常、100,000~1,500,000である。D-ガラクトースと、3,6アンヒドロ-D-ガラクトースから構成される多糖類であるカラギーナンの基本構造単位の硫酸基の位置、アンヒドロ糖の有無によってλ、ι、κ、μ、ν等のカラギーナンが存在する。
【0027】
ジェランガムは、シュードモナス エロデア(Pseudomonas elodea)ATCC31461又はその変異株により生産される発酵多糖類であり、2つのD-グルコース残基と1つのL-ラムノース残基と1つのD-グルクロン酸残基からなる四糖を構成単位とする。ジェランガムは、菌株の培養物から得られるネイティブ型ジェランガムと、ネイティブ型ジェランガムを脱アシル処理して得られる脱アシル型ジェランガムに大きく分けられる。
【0028】
アルギン酸は、海藻から抽出した多糖類であり、β-D-マンヌロン酸とα-L-グルロン酸を構成糖とする。アルギン酸の塩としては、特に限定されないが、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム等が知られている。
【0029】
キサンタンガムとは、Xanthomonas campestrisが産生する発酵多糖類である。キサンタンガムは、β-1,4-D-グルカンを主鎖骨格とし、主鎖中のグルコース1分子おきにα-D-マンノース、β-D-グルクロン酸、β-D-マンノースからなる側鎖が結合した多糖類である。主鎖に結合したマンノースはC6位がアセチル化され、末端のマンノースはピルビン酸とアセタール結合している場合がある。本発明に用いられるキサンタンガムは特に限定されず、アセチル基含量が通常よりも低いあるいはアセチル基を含まないキサンタンガム、及びピルビン酸含量が通常よりも低いあるいはピルビン酸を含まないキサンタンガムも使用することができる。
【0030】
(A)ゲル化剤の含有量は、特に限定されず、(A)ゲル化剤及び(B)栄養成分の種類に応じて適宜調整される。本発明の効果を顕著に奏する観点から、本発明のゼリー状飼料の全量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上である。(A)ゲル化剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下であってもよく、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.78質量%以下である。
【0031】
((B)栄養成分)
(B)栄養成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。例えば、魚類の卵(サメ、マダイ、ウナギ等の卵)、魚粉、魚肉タンパク分解物、オキアミ分解物等の水産生物由来飼料原料;魚油、タラ肝油等の油脂;カゼイン(塩を含む)、脱脂粉乳、全卵(鶏卵等)、卵黄、卵白、アルブミン等の動物性タンパク質;大豆ペプチド、大豆たん白等の植物性タンパク質;タウリン等のアミノ酸等;ビタミン類;が挙げられる。これらの栄養成分は、いずれか1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0032】
本発明のゼリー状飼料は、栄養成分として、魚類の卵及び鳥類の卵からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましく、サメ卵、鶏卵、又はそれらの組み合わせを含有することがより好ましく、アブラツノザメ(Squalus suckleyi)の卵、鶏卵、又はそれらの組み合わせが更に好ましい。
【0033】
(B)栄養成分の含有量は、特に限定されず、(A)ゲル化剤及び(B)栄養成分の種類によって適宜調整しうるが、飼料の全量に対して、好ましくは2~99.99質量%、より好ましくは5~90質量%、更に好ましくは15~85質量%、特に好ましくは20~80質量%である。
【0034】
(水の含有量)
本発明のゼリー状飼料の水の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、例えば50~95質量%である。
【0035】
(押し込み試験における荷重/動的粘弾性試験における損失正接(tanδ))
本発明のゼリー状飼料は、ウナギ目の仔魚によって好適に摂餌されると共に、水中での拡散が抑制される物性を有するために、押し込み試験によって測定される荷重(ノーマルフォース)0.05~0.68Nの範囲、及び動的粘弾性試験によって測定される損失正接(tanδ)0.14~0.67の範囲となるように調整する必要がある。
【0036】
本発明のゼリー状飼料の押し込み試験における荷重は、飼料の拡散を抑える観点から、20℃で歪み1%分押し込んだ場合に、例えば、0.05N以上、0.06N以上、0.07N以上、0.08N以上、0.09N以上、0.1N以上、0.15N以上、又は0.2N以上である。また、押し込み試験における荷重は、摂餌性を良好とする観点から、20℃で歪み1%分押し込んだ場合に、例えば、0.68N以下、0.67N以下、0.66N、0.64N以下、0.62N以下、0.6N以下、0.55N以下、又は0.50N以下である。当該荷重は、実施例に記載した押し込み試験の条件で測定することができる。
【0037】
本発明のゼリー状飼料の動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)は、ゲルの流動性の指標となりうるパラメータである。また、一般的にゲル(ゼリー)と定義されるものは、動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)が1以下である(飯島ら,半固形栄養における形状機能の科学的評価についての課題と検証,日本静脈経腸栄養学会雑誌,第33巻,第1号,p.595~601(2018))。
本発明のゼリー状飼料の動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)は、仔魚が摂餌可能な流動性を持つ観点から、20℃、周波数1Hzにおいて、例えば、0.14以上、0.15以上、0.16以上、0.18以上、0.2以上、0.25以上、又は0.3以上である。また、動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)は、20℃、周波数1Hzにおいて、例えば、0.67以下、0.66以下、0.64以下、0.62以下、0.6以下、又は0.55以下である。当該損失正接(tanδ)は、実施例に記載した動的粘弾性試験の条件で測定することができる。
【0038】
(実施形態:鳥類又は魚類の卵を含有する飼料)
特定の実施形態として、(B)栄養成分として、魚類及び鳥類の卵からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組成のものを用いた飼料が挙げられる。栄養成分としてサメ卵を用いる場合、サメ卵は特に希釈をしないで用いることができる。
【0039】
(A)ゲル化剤としてサイリウムシードガムを用いる場合、その含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、当該飼料の全量に対して、例えば0.4~1.4質量%であり、好ましくは0.5~1.3質量%であり、より好ましくは0.55~0.75質量%である。ここで、サイリウムシードガムとκ-カラギーナンを組み合わせて用いる場合、κ-カラギーナンの含有量は、当該飼料の全量に対して、例えば0.01~0.05質量%であり、好ましくは0.02~0.04質量%であり、より好ましくは0.03質量%である。
(A)ゲル化剤としてι-カラギーナンを用いる場合、その含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、当該飼料の全量に対して、例えば0.07~0.15質量%であり、好ましくは0.09~0.13質量%であり、より好ましくは0.10~0.12質量%である。
【0040】
(A)ゲル化剤としてネイティブ型ジェランガムを用いる場合、その含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、当該飼料の全量に対して、例えば0.01~0.09質量%であり、好ましくは0.02~0.08質量%であり、より好ましくは0.03~0.06質量%である。
(A)ゲル化剤としてアルギン酸ナトリウムを用いる場合、その含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、当該飼料の全量に対して、例えば0.05~0.3質量%であり、好ましくは0.1~0.2質量%である。
【0041】
2.ウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料の製造方法
(A)ゲル化剤及び(B)栄養成分に、水及びその他の成分等を加え、常法に従って混合することで、本発明のウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料を得ることができる。本発明の製造方法は、(A)ゲル化剤を溶解するための加熱工程を含むことが好ましい。また、本発明の製造方法は、殺菌工程、包装工程、冷凍工程等を含んでいてもよい。
製造されたゼリー状飼料は、冷蔵又は冷凍してもよい。
【0042】
3.ウナギ目の仔魚の飼育方法
本発明のウナギ目の仔魚の飼育方法は、本発明のウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料を、ウナギ目の仔魚に給餌する工程を含む。本発明の飼育方法によれば、ウナギ目の魚類を、仔魚の段階から、コストと手間を抑えて人工飼育することができる。より具体的には、当該飼料は、水中での分散が抑えられ、投餌した飼料に対して摂食した飼料の割合である摂餌効率を向上し、更に水及び飼育システムの汚染を抑制することができる。
【0043】
仔魚を飼育及び給餌する場合に、特に限定されないが、水槽で飼育及び給餌することが好ましい。このような飼育水の交換が制限された環境では、水質悪化の抑制が手間及びコストの削減から重要となるため、水及び飼育システムの汚染を抑制することができる本発明の飼育方法は、特に顕著な効果を奏する。
【0044】
1日あたりの給餌の回数は、特に限定されず、飼育対象の日齢によって適宜変更し得るが、ウナギ仔魚の場合、好ましくは1日あたり1~10回、より好ましくは1日あたり5回である。飼料の給餌にあたっては、養殖水槽中に飼料を局在させた状態で給餌する工程を含むことが好ましい。
給餌の態様としては、特に限定されないが、例えば、飼料を水面、水中、又は水槽の底面上等に静置する態様、餌容器、網等に入れて水面、水中、又は水槽の底面等に設置する態様等が挙げられる。
【実施例0045】
以下に、実施例、比較例及び試験例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。実施例中の「部」、「%」は、それぞれ「質量部」、「質量%」を意味する。
【0046】
[押し込み試験]
押し込み試験は、レオメーター(MCR-302、アントンパール社製)の測定治具にディスポーザブルのパラレルプレート(直径50mm、D-PP50/AL/S07、アントンパール社製)を用いて、試料温度20℃で、10μm/sの速度で試料厚み(ギャップ)1mmから歪み1%(10μm)分、実施例及び比較例の各飼料を押し込んだ時の荷重(ノーマルフォース)の増加量を測定した。
【0047】
[動的粘弾性試験]
動的粘弾性は、押し込み試験と同じレオメーターと治具を用いて、試料温度20℃、試料厚み(ギャップ)1mm、周波数1Hzで、歪み0.01%→1000%の範囲で測定を行い、損失正接(tanδ)を求めた。
【0048】
[摂餌性の評価]
実施例及び比較例の各飼料を、以下の手順でニホンウナギの仔魚に25℃で給餌し、摂餌性の評価を行った。
(1)25℃で10L水槽に対して100日齢の仔魚10匹を入れておき、飼料を水槽の底部に静置した。
(2)給餌15分後に、仔魚の消化管中の残留物量を観察した。仔魚を観察すると、食道を含む全身が光を透過するため、摂取した飼料が暗い管状の像として観察される。この食道に存在する飼料の量が多いほど摂餌量が多いことを示す。そこで、以下の基準で摂餌性の評価を行った。各飼料を摂餌した各仔魚の食道を観察したうえで、仔魚の平均的な状態に該当するものを、当該飼料の評価とした。なお、×の評価のものは、飼料として不適であると評価した。
【0049】
<摂餌性の基準>
〇:食道に連続して飼料が見える。
△:食道に途切れ途切れに飼料が見える。
×:食道に飼料が確認できない。
【0050】
[拡散性の評価]
上記の摂餌性の評価において、摂餌15分後の飼料の状態を目視観察し、以下の基準により飼料の拡散性を評価した。以下の基準を示す参考飼料の写真を
図1に示す。
<拡散性の基準>
〇:底部の飼料に顕著な崩壊が見られず、飼育水は透明である。
△:底部に飼料が残るが、一部形が崩れており、飼育水に濁りが見られる。
×:底部に飼料が残っておらず、飼育水が顕著に濁っている。
【0051】
実施例1~8及び比較例1~11 飼料の調製
実施例1~8及び比較例1~11の飼料を、以下の調製手順に従って調製した。
(1)表1に記載の原料(イオン交換水とタラ肝油を除く)を予め混合し、タラ肝油及びイオン交換水を加えて室温で撹拌して、3種類の栄養成分のスラリー(それぞれ、魚粉1、魚粉2及びサメ卵と略称する)を調製した。
(比較例1~3:それぞれ上記の栄養成分のスラリーをそのまま飼料として使用した)
(2)(1)で得られたスラリーの1/4量(実施例5及び6)のイオン交換水に、又は(1)で得られたスラリーの等量(比較例4~11、実施例1~4、7及び8)のイオン交換水に、表2に記載の質量%となるようにゲル化剤を加えて、80℃で10分間攪拌し、溶解して、ゲル化剤溶液を得た。
(3)(1)で得られたスラリーを(2)で得られたゲル化剤溶液に徐々に加え、80℃に加熱しながら攪拌混合して、飼料を得た。比較例6及び8の飼料は、凍結した後、解凍して用いた。レオメーターでの測定用の飼料は、ディスポーザブル下皿(EMS/CTD600、アントンパール社製)に試料厚み1mmとなるように充填し、冷蔵した。
【0052】
【0053】
【0054】
表2に記載されたゲル化剤は、以下のものを用いた。
サイリウムシードガム:ビストップ(登録商標)D-2074(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
κ-カラギーナン:カラギニンCS-530(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
ι-カラギーナン:サンサポート(登録商標)P-90(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
ネイティブ型ジェランガム:ケルコゲル LT100(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
アルギン酸ナトリウム:サンサポート(登録商標)P-80(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
キサンタンガム:サンエース(登録商標)(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
寒天:サンサポート(登録商標)P-60(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
CMC-Na(カルボキシセルロースナトリウム):ビストップ(登録商標)D-2208(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
【0055】
試験例1 押し込み試験、動的粘弾性試験、摂餌性及び拡散性の評価
実施例1~8及び比較例1~11の飼料について、押し込み試験、動的粘弾性試験、摂餌性及び拡散性の評価を行った。その評価結果を表3に示す。
【0056】
【0057】
表3から分かる通り、実施例1~8の各飼料は、押し込み試験における荷重が0.05~0.64Nであり、動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)が0.22~0.66である。実施例1~8の各飼料は、摂餌性及び拡散性が共に優れている。以上の通り、本発明のゼリー状飼料は、本発明の課題を解決することが分かる。
【0058】
本発明の効果である摂餌性及び拡散性について、「押し込み試験における荷重」と「動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)」との観点で、以下に考察する。
(1)摂餌性について
「押し込み試験における荷重」の観点では、比較例5の例外があるが、荷重が0.01~0.64N(実施例1~8及び比較例1~4と11)では、摂餌性が○又は△であり、仔魚が好ましく摂餌する。それに対して、荷重が0.69~1.00N(比較例6~8)では、摂餌性が×であり、仔魚の摂餌が損なわれている。従って、摂餌性のためには、荷重が0.68N以下であることが必要である。
【0059】
「動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)」の観点では、損失正接(tanδ)が0.22~3.75(実施例1~8及び比較例1~4と11)では、摂餌性が○又は△であり、仔魚が好ましく摂餌する。それに対して、損失正接(tanδ)が0.13(比較例5)では、摂餌性が×であり、仔魚の摂餌が損なわれている。従って、摂餌性のためには、損失正接(tanδ)が0.14以上であることが必要である。
【0060】
本試験では、ウナギ仔魚が飼料に頭を突っ込み、餌を吸い込むようにして摂る様子が観察された。上記の表3の結果から、このような摂食様式においては、仔魚が頭を突っ込める程度の「押し込み硬度」と吸い込みやすい適度な「動的粘弾性」が必要であることが示された。例えば、「押し込み試験における荷重」が0.69~1.00Nの比較例6~8の飼料は、硬すぎるためにウナギ仔魚が飼料中に頭を突っ込めず摂餌性が損なわれたと考えられる。
【0061】
(2)拡散性について
「押し込み試験における荷重」の観点では、荷重が0.05~1.00N(実施例1~8及び比較例5~8)では、拡散性が○又は△であり、拡散が抑制されている。それに対して、荷重が0.01~0.04N(比較例1~4と9~11)は、流動性が大きく、安定なゼリーにならなかった。そのため、拡散性が×であり、飼料が拡散した。従って、拡散性のためには、荷重が0.05N以上であることが必要である。
【0062】
「動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)」の観点では、損失正接(tanδ)が0.13~0.69(実施例1~8及び比較例5~8)では、拡散性が○又は△であり、拡散が抑制されている。それに対して、損失正接(tanδ)が0.70~3.75(比較例1~4と11)では、流動性が大きく、安定なゼリーにならなかった。そのため、拡散性が×であり、飼料が拡散した。従って、拡散性のためには、損失正接(tanδ)が0.69以下であることが必要である。
【0063】
上記の通り、ウナギ目の仔魚用のゼリー状飼料における摂餌性の向上と飼育水中での拡散の抑制を達成するためには、「押し込み試験における荷重」が0.05~0.68Nであり、「動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)」が0.14~0.67であることが好ましい。更に、表3の結果によれば、「押し込み試験における荷重」は、好ましくは0.05~0.60Nであり、より好ましくは0.09~0.55Nであり、更に好ましくは0.15~0.50Nである。また、動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)は、好ましくは0.20~0.67であり、より好ましくは0.22~0.66であり、更に好ましくは0.24~0.66である。
【0064】
また、比較例6及び8の飼料は、いったん冷凍してから解凍したものである。冷凍しない飼料と比較して押し込み試験における荷重が大きくなっていた。実施例1~8の飼料はいずれも内容にムラが無く、均一であった。
【0065】
試験例2 冷蔵保存時の安定性の評価
実施例5、比較例4、5、7、9及び10について、ゲル化剤と栄養成分を混合し、4℃で1日冷蔵した。冷蔵後の飼料の状態を
図2に示す。ゲル化剤としてCMC-Naを用いた比較例9と比較例10では、栄養成分の凝集と沈殿が確認された。このような分離状態は、飼料内での栄養成分の不均一をもたらすため、CMC-Naを用いた飼料は、冷蔵保存時の安定性の観点からは、好ましくない。それ以外の実施例5、比較例4、5及び7では、このような現象は見られなかった。
【0066】
試験例3 機器を用いた拡散性の評価
機器を用いた拡散性の評価には、溶出試験機(PJ-32S、宮本理研工業株式会社製)を用いた。マリンソルト(カイスイマレン製)をイオン交換水で溶解して調製した人工海水900mLを入れた専用のベッセルの底に飼料を3mL入れ、専用のパドルシャフトで40rpm、15分間の撹拌を行った後の飼育水を採取し、分光光度計(V-560、日本分光製)で720nmの透過率を測定した。
【0067】
溶出試験機を用い、実施例5、比較例4、5、7及び9の飼料の「押し込み試験における荷重」及び「動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)」と飼育水での拡散性の関係を示したものを
図3に示す。「押し込み試験における荷重」が大きい場合(0.68N以上)、拡散の抑制効果は大きくなり、飼育水の濁りが抑制された。「押し込み試験における荷重」が小さい場合(0.03N以下)、飼料が速やかに水中に拡散し、飼育水が懸濁した。
【0068】
「動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)」が小さい場合(0.14以下)、ゲルの流動性が低いために、荷重が大きい(0.68N以上)場合、全く拡散せず、それよりも荷重が小さい(0.03~0.68N)場合、細かく硬い粒状のゲルとなって拡散した。「動的粘弾性試験における損失正接(tanδ)」が大きい場合(0.70以上)、ゲルの流動性が高いために、飼料が速やかに水中に拡散し、飼育水が懸濁した。
本発明によって、ウナギ目の仔魚を安価に飼育する方法が提供される。また、飼育水中での拡散が抑制され、ウナギ目の仔魚に好んで摂食される安価な飼料が提供される。